説明

スチールコードの製造方法

【課題】長手方向にくせが異なるワイヤ(素線)を複数本撚り合わせた、長手方向で性質の異なるスチールコードの製造方法を提供する。
【解決手段】素線1を一定の張力下で引き出しながら、素線1の1部分に装置20によりくせ付けを行い、一定の長さ引き出した後、引き出しを停止し、この素線を均等な位置に配置した3ヵ所のチャッキング装置40、41で把持し、チャッキング装置41を回転させて撚り線加工と残留応力の除去を行い、ついで全チャッキング装置を開放し、引き取り装置を兼ねた送り出し装置50、70によりこれを送り出す加工を繰り返し行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤ補強材としてのスチールコードの製造方法および同方法により製造されたスチールコードで補強されたタイヤに関し、特に、複数本の素線からなる素線束あるいは1乃至複数本の素線と1乃至複数本のコードとからなる素線コード束(以下、総称して「素線束」という)からなるタイヤ補強材としてのスチールコードの製造方法および同方法により製造されたスチールコードで補強されたタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
スチールラジアルタイヤが実用化されて以来、自動車タイヤの安全性および耐久性が飛躍的に進歩し現在にいたっている。
現在までのタイヤの進歩過程で補強材たるスチールコードのメッキも種々進歩し改善されて来た。
【0003】
例えば、ゴムとの接着力向上のため、スチールコードのメッキの改善、タイヤ軽量化のための高強度化、タイヤ耐久性および安全性向上のためのスチールコードの構成の変化などが挙げられタイヤの進歩への影響は少なくないといえる。
【0004】
自動車が多様化し、加えて使用環境とか用途によりタイヤの仕様が変わるに至ってタイヤの種類が多くなる一方、昨今はランフラットタイヤ、ワイドタイヤ、超偏平タイヤなどのタイヤが開発され構造的に著しい変化が生じつつある。
【0005】
走行中のタイヤの変形理論によると、一言でブレーカー部と云えども、トレッドの中央部とショルダー部とでは、変形の仕方が異なる。
したがって、補強材に負荷される応力も、例えば前述のブレーカー部の中央には圧縮応力が、ショルダー部には引っ張り応力が作用するというように、タイヤの各部位には異なった応力が負荷されることは、多くの文献に紹介されている通りである。
【0006】
しかしながら、従来より、スチールラジアルタイヤの補強材たるスチールコードは、ベルト層、カーカス層共にタイヤの幅方向に対して同じ仕様のスチールコードが使用されている。
この為、タイヤの剛性の高い性質よりも柔軟性が必要な部位にも、また逆の場合にも一層として平均値なスチールコードの特性で補強されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の通り、ワイドタイヤや超偏平タイヤ化に伴いタイヤの幅が広くなるほど、タイヤの各部位に必要な補強機能と使用する平均的な補強材特性とがますます乖離することとなり、著しい場合は、部分的に不足を補うための新たな補強層を設ける場合もしばしばある。その結果はタイヤ重量を上げるばかりで燃費を悪くするばかりか、資源の無駄に連なる。
【0008】
そこで、タイヤの幅方向で埋め込まれるスチールコードの性能を変え、圧縮部には圧縮応力に優れかつ柔軟な構造とし、引張応力負荷部にはそれに優れた構造とした、1本の中で性質の異なるスチールコードが望まれている。
【0009】
走行中にタイヤの変形を理想に近づける補強材のあり方は、タイヤの層毎に幅方向で変形に応じた補強機能を備えたスチールコードをゴム中に埋め込み、タイヤの補強をおこなうことが有効な方法である。
その手段として、タイヤに埋め込まれたスチールコードの一端部から他端部までの一本のスチールコードを、その長手方向に部分的に構造や性質を変え、かつタイヤに埋め込まれた状態でタイヤの周方向の必要な幅で同じ性質を有するスチールコードが並び、層を形成するように埋め込む加工方法が必要となる。
【0010】
本発明は、これを達成するためのスチールコードの(加工)製造方法を提供しようとするもので、長手方向にくせが異なる(真っ直ぐな個所や波付けされた個所が長手方向に繰り返される)ワイヤ(素線)を複数本撚り合わせて、長手方向で性質の異なるスチールコードの製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、タイヤ補強材としてのスチールコードの製造方法において、素線束を一定の張力下で引き出しながら、上記素線束に一単位長さ(タイヤに埋め込まれた状況でスチールコードの一端部から他端部までの長さで、「一単位」ともいう)の長手で部分的にスチールコードの形状あるいは性質を変えるために、撚り線加工で撚られる前の上記素線束を形成する素線に部分的に同じパターンでくせ付け加工を行いながら素線を一単位長さ引き出し停止する。一単位長さ繰り出し中、少なくとも1本以上の素線1本当たり2ヵ所以上でくせ付け加工を行う。加工波形は複数形状としてもよい。部分的に1ヵ所以上のくせ加工部分を有して引き出された素線束あるいは素線コード束を、張力を張った状態で素線同志自由に回転しない強さで、均等な位置に配置した3個以上のチャッキング装置により把持し、偶数番目のチャッキング装置をスチールコードの仕様による所定回転量回転させることにより、回転させるチャッキング装置の両側の素線束がSとZとの方向で撚り合わされ、その後必要に応じて捩じり残留応力の除去がなされる。この時予め素線を加工した部分は加工波形により部分的に他と形状の異なるスチールコードが撚られる。チャッキング装置の間隔は、撚り線した状態でタイヤに埋め込むスチールコード層のスチールコードの一端部から他端部までの長さに等しく設定し、奇数番目のチャッキング装置は基台にスチールコードに沿った方向に移動可能に設けられている(ただ無負荷時は常に定位置の戻る)構造とし、チャッキング装置の間で撚り合わされたスチールコードはチャッキングを解除した後送り出し装置により送り出される。スチールコードの各素線の表面の残留応力処理あるいはスチールコードの偏平加工を必要とする場合は2個の組み合わせ送り出し装置間でスチールコードに張力を負荷し、矯正ローラーあるいは圧延装置などにより残留応力処理あるいは偏平加工を行う。送り出されたスチールコードは撚り線加工する際のチャッキング装置で把持された部分で切断しカレンダーシートにより張り合せる準備をするとした点を特徴とする。
【0012】
また、上記のスチールコードの製造方法において、上記撚り線加工の終了後の送り出し工程時に、複数のロールにより全長あるいはくせを施した部分の残留応力処理およびスチールコードの断面形状の変形加工を行うことを特徴とする。
【0013】
さらに、上記のスチールコードの製造方法において、上記の均等な位置に配置したチャッキング装置の撚り線加工前の間隔Lは、撚り線加工後のスチールコードの長さをM、上記チャック装置の数をn、撚り線の撚り込み率をkとするとき
L=(n−1)×M×k
に設定され、かつ撚り線加工終了後のスチールコードの長さは、使用されるタイヤの埋設した補強層の一端部から他端部までの長さと同一に設定されていることを特徴とする。
なお、上記の均等な位置に配置したチャッキング装置の撚り線加工前の間隔Lは、素線束を引き出す長さと同一である。
撚り込み率kとは、撚り合わせ前の素線束の長さAと撚り合わせた後のコードの長さBの比率(B/A)である。
【0014】
また、上記のスチールコードの製造方法において、上記素線束の内の少なくとも1本以上の素線に施されるくせ付け加工が、
(a)撚り合わせのための螺旋状くせよりも大きな螺旋状くせ付け加工
(b)スパイラル波付け加工
(c)ジグザグ状の平面波加工
(d)コイル加工
のいずれかの加工によるものであることを特徴とする。
【0015】
さらにまた、上記のスチールコードの製造方法で製造されたスチールコードにより、タイヤの横幅方向で性能の異なる補強が行われたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明のスチールコードの製造方法によれば、長手方向にくせが異なる(真っ直ぐな個所やくせ付けされた個所が長手方向に繰り返される)ワイヤ(素線)を複数本撚り合わせて、長手方向で性質の異なるスチールコードを製造することができる。
本発明の製造方法により製造されたスチールコードを使用するとき、タイヤに埋め込まれたスチールコードの一端部から他端部までの一本のスチールコードを、その長手方向に部分的に構造や性質を変え、かつタイヤに埋め込まれた状態でタイヤの周方向の必要な幅で同じ性質を有するスチールコードが並び、層を形成するように埋め込むことが可能となる。このようにして、ユーザーの要求に対処した多種類の性質のタイヤを生産することができることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面により本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の製造方法により製造されたスチールコードの一例を示すもので、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)はC−C線断面図、(d)はD−D線断面図、(e)はE−E線断面図である。
図2は、本発明の製造方法によりスチールコードを製造する装置の一例の模試図である。
図2において、符号90はリールを示しており、複数個のリール90より、素線あるいはコード(以下「素線1」と略称する)が、張力を掛けた状態で送り出しキャプスタン50の回転により引き出される。
リール90と送り出しキャプスタン50との間には、くせ付け装置20、目板30、チャック装置40、41、40がこの順に配設されている。
【0018】
くせ付け装置20は、各素線1の通過路上に設置されていて、後述する図1に示すスチールコード10のオープン構造部分(図1におけるD−D線付近)を加工するもので、詳細については後述する。
目板30は、コイル加工(後述)する際、素線1同志が絡み合ったり捩じれて交差する事がないように素線を相互の並びを決定する作用を行うものである。
【0019】
次に、くせ付け装置20について説明する。
図3(a)、(b)および図4に示すように、このくせ付け装置20は、回転本体2、回転本体2に回転可能に勘合するカバー3とを備えており、回転本体2およびカバー3の中心部に貫通孔2a、3aが形成されている。
さらに、回転本体2およびカバー3の中心部に、一対のピン4、5が各貫通孔2a、3aに突設するように、設けられている。
【0020】
回転本体2の素線束入口側(図面左側)に素線1の引き出しと連動して回転本体2を回転させるための伝動装置(歯車)2bが取り付けられている。符号2cは回転本体2を回転可能に支持するベアリングを示している。
カバー3の素線束出口側面(図面右側)に、素線1の引き出しと連動して回転するカム7が設けられている。符号8はカム7に当接する連動アームを示している。
【0021】
連動アーム板8には部材9が取り付けられており、部材9はカバー3の素線束出口側面に当接している。符号6はカバー3の復元用のバネを示す。
カバー3には、貫通孔2a、3aに対して所定の角度傾斜して案内溝11が形成されている。一方回転本体2にこの案内溝11に係合するピン12が設けられている。
【0022】
素線1を、張力を掛けて一対のピン4、5にかけ渡す状態にしてくせ付け装置20を貫通し、回転本体20、つまり一対のピン4、5を回転すると、素線1はしごかれて、素線1に波くせを付与された状態でくせ付け装置から引き出される(図5参照)。このとき、一対のピン4、5は回転しているので、波くせは螺旋状(スパイラル波形状)である。
【0023】
この装置では、この間、カム7も回転しているので、カバー3に設けられているピン5の位置が左右方向に移動する。この作動により、くせの形状を変化させることができる。つまり、一対のピン4、5の間隔が大きいと螺旋くせのピッチは大きくなって直線に近い状態でくせ付け装置から引き出され(図6参照)、一対のピン4、5の間隔が小さいと螺旋くせのピッチは小さくなり、コイル形状の波くせを付与された状態でくせ付け装置から引き出される(図7参照)。
【0024】
ピン12の角度(素線1に対する上下方向のずれ)を大きくすると(図4参照)、螺旋くせの波高を高くすることができる。この調整は、ピン12と案内溝11によってカバー3を回転させることにより行うことができる。
一対のピン4、5の間隔やピン12の角度は、得ようとするくせの形状に応じて予め設計して決定しておく。なお、螺旋くせの形状を変える場合は、くせ付け装置自体をかえることになる。各図中の符号2dは駆動歯車、矢は素線1の移動方向を示す。
【0025】
このようにして、素線1を、このくせ付け装置20を通して引き抜くと、くせ(螺旋くせ)が付いた部分と、ピン4、5によるしごきを殆ど受けなかった(あるいはピン4、5との接触が弱かった)ので元の状態のままの部分とが、混在したものとなる。
【0026】
上述の通り、この装置では、カバー3を図面でみて上下、左右に動かすことにより素線1に施すくせの形状を変えることができるが、ピン5の移動(位置変移)がカム7によるものであるため、その移動速度が低く、したがって不連続部(変曲点)が長くなってしまう。この部分を小さくするために、油圧あるいは電磁弁で瞬間的にカバー3を移動させるようにしてもよい。
【0027】
このようにして、くせ付け装置20により素線1(の一部)に(螺旋状の)くせを施したあと、張力を掛けたまま素線1を所定長さ(一単位長さ)だけ引き出して素線1の引き出しを停止する。このとき、素線1は、目板30により平行状態で引き揃えられた状態にある。
次に、左右一対のチャック装置40と中央のチャック装置41とで素線1を把持し、中央のチャック装置41を所定量回転して素線1を撚り合わせてスチールコードを形成する。撚り合わせの後、必要ならばチャック装置41を逆回転して残留応力の除去を行う。
左右一対のチャック装置40は、基台100に対して、中央のチャック装置41の回転による撚り合わせ工程中、両者の間隔が狭まる方向に移動可能となっている。符号40aは各チャック装置による素線1の把持解除時(無負荷時)に左右一対のチャック装置40を元の位置(定位置)に復元させるためのバネを示す。
【0028】
中央のチャック装置41は左右一対のチャック装置40,40の間の中間位置に設置されている。つまり、3台のチャック装置40、40、41は均等な間隔をあけて配置されている。
均等な位置に配置された各チャック装置の間の撚り線加工前の間隔をMとし、素線1を引き出す一定の長さをLとし、チャック装置の数をnとするとき
M={(1+2n)ー1}L
に設定され、かつ撚り線加工の終了後のスチールコードの長さで、使用されるタイヤの埋設した補強層の一端部から他端部までの長さ(一単位長さ)と同一に設定されている。
【0029】
次に、左右一対のチャック装置40と中央のチャック装置41とによる素線1の把持を解除し、送り出しキャプスタン50、70によりスチールコードを引き出す。と同時にこれに続く素線1がくせ付け装置20に引き込まれる。
キャプスタン50、70のそれぞれのローラ間で両ローラの回転差、あるいは直径差により、通常引き取り時よりも高い張力が保たれるようになっていて、この高い張力のもとで、矯正ローラ60を通過させることにより、スチールコードの偏平化が行われる構成になっている。
なお、矯正ローラ60による偏平加工は、スチールコードの全長に対して行うようにしてもよく、また部分的に行うようにしてもよい。矯正ローラ60に代え平面プレスによる加工でも同じ効果が得られる。
【0030】
偏平加工されたスチールコードは、キャプスタン70のローラにより引き取られた後、無撚り部(チャック装置40で把持されていた個所)に対応する位置に設置されたカッター80(あるいはグラインダー)で切断され、S,Zを交互にタイヤに埋め込まれる為の短冊用のスチールコード10(図1に示す)が得られる。
このようにして得られたスチールコード10が、使用されるタイヤの埋設した補強層の一端部から他端部までの長さと同一の長さであることはいうまでもない。
【0031】
図1に示すスチールコード10は、中央部が偏平オープン断面に形成され、両端部がクローズの、いわゆる長手で構造および性質が異なるスチールコードである。
【0032】
素線全数あるいは一部に波付け加工の場合、上述の加工と同様の装置を使用し加工する。すなわち、図3、4に示すくせ付け装置20を素線1に一定間隔で2ヵ所以上対として設置し、素線1の引き出しと連動してくせ付け装置20全体を回転させる。この時、対としてのくせ付け装置20を反対方向に回転させることにより、S撚り部とZ撚り部に対応したS方向のスパイラルとZ方向のスパイラルがそれぞれ同時にしかも部分的に加工される。
【0033】
ジグザグの平面波形は、図7(a)に示すように、一部に歯を欠いた部分を有する一対の歯車101の間に素線1を通過させることにより、ワイヤの全長にではなく一部分にくせを施すこともできる。この装置を図2のくせ付け装置20に換えることにより、素線1にジグザグの平面波形のくせを施すことができる。
また、図7(b)に示すように、全周に歯を有する一対の歯車102を用い、少なくとも片方の歯車を他方の歯車に対して、腕105を介して、カム104と復元バネ103により、接離可能な構造にし、両歯車102間を、片方の歯車を他方の歯車に対して接離させながら両歯車間に素線1を通過させることにより、ワイヤの全長にではなく一部分にジグザグの平面波形のくせを施すこともできる。
【0034】
上述の通り、この実施形態の製造方法によれば、長手方向にくせが異なる(真っ直ぐな個所や波付けされた個所が長手方向に繰り返される)ワイヤ(素線)を複数本撚り合わせて、長手方向で性質の異なるスチールコード10を製造することができる。
【0035】
そして、この製造方法により製造されたスチールコードを使用するとき、一端部から他端部までの一本のスチールコードは、その長手方向に部分的に構造や性質が変わっており、かつタイヤに埋め込まれた状態でタイヤの周方向の必要な幅で同じ性質を有するように並び、層を形成するようにスチールコードを埋め込むことが可能となる。
その結果、ユーザーの多種類の要求に対処した性質のタイヤを生産することができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の製造方法により製造されたスチールコードの1例を示すもので、(a)は側面図、(b)は平面図、(c)はCーC線断面図、(d)はDーD線断面図、(e)はEーE線断面図である。
【図2】本発明の製造方法によりスチールコードを製造する装置の1例の模試図である。
【図3】(a)くせ付け装置の側面図である。 (b)同断面図である。
【図4】くせ付け装置の主要部の断面図である。
【図5】(a)くせ付け装置の一作動状態における平面図である。 (b)同側断面図である。
【図6】(a)くせ付け装置の他の作動時における平面図である。 (b)同側断面図である。
【図7】(a)くせ付け装置の別の作動時における平面図である。 (b)同断面図である。
【図8】(a)ジグザグ形くせ付け装置の一例の模試側面図である。 (b)同他の模試側面図である。
【符号の説明】
【0037】
1:素線
2:回転主体
3:カバー
4、5:一対のピン
6:バネ
7:カム
8:連動アーム板
10:スチールコード
11:案内溝
12:ピン
20:くせ付け装置
30:目板
40、41:チャック装置
50:送り出しキャプスタン
60、70:矯正ローラー
80:カッター
100:基台
101:一部に歯を欠いた部分を有する一対の歯車
102:全周に歯を有する一対の歯車
103:復元バネ
104:カム
105:腕

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ補強材としてのスチールコードの製造方法において、
複数本の素線からなる素線束、複数のコードからなるコード束、あるいは1本乃至複数本の素線と1本乃至複数本のコードからなる素線コード束を一定の張力下で引き出しながら、これらの内の少なくとも1本以上に引き出しながら一部分にくせ付けを行い、
上記素線束、コード束あるいは素線コード束を一定の長さ引き出した後、同素線束、コード束あるいは素線コード束の引き出しを停止し、
この素線束、コード束あるいは素線コード束を自由に回転しない強さで均等な位置に配置した少なくとも3ヵ所のチャック装置でチャッキングし、
偶数番目のチャック装置を所定数回転させて、当該素線束、コード束あるいは素線コード束に撚り線加工を施し、
ついで上記の全チャック装置のチャッキングを解除し、
引き取り装置を兼ねた送り出し装置により、これを送り出し、
以上の加工を一定周期で繰り返し行うことを特徴とするスチールコードの製造方法。
【請求項2】
上記撚り線加工の終了後の送り出し工程時に、複数のロールにより全長あるいはくせを施した部分の残留応力処理およびスチールコードの断面形状の変形加工を行うことを特徴とする請求項1に記載のスチールコードの製造方法。
【請求項3】
上記均等な位置に配置したチャック装置の撚り線加工前の間隔Lは、撚り線加工後のスチールコードの長さをM、上記チャック装置の数をn、撚り線の撚り込み率をkとするとき
L=(n−1)×M×k
に設定され、かつ撚り線加工終了後のスチールコードの長さは、使用されるタイヤの埋設した補強層の一端部から他端部までの長さと同一に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のスチールコードの製造方法。
【請求項4】
上記素線束あるいは素線コード束の内の少なくとも1本以上に施されるくせが、
(a)撚り合わせのための螺旋状くせよりも大きな螺旋状くせ付け加工
(b)スパイラル波付け加工
(c)ジグザグ状の平面波加工
(d)コイル加工
のいずれかの加工によるものであることを特徴とする請求項1に記載のスチールコードの製造方法。
【請求項5】
上記の請求項1〜請求項4に記載の方法により製造されたスチールコードにより、横幅方向で性能の異なる補強が行われたことを特徴とするタイヤ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−127717(P2008−127717A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−315370(P2006−315370)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(394010506)
【Fターム(参考)】