説明

スチールストリップを被覆するのに適した液体金属の化学組成を測定するための方法及び装置

スチールストリップを被覆するのに適した金属溶融体の化学組成を測定する方法及び装置。本発明は、スチールストリップを被覆するのに適した金属溶融体(1)の化学組成を測定する方法に関し、その際、前記金属溶融体を、第一のキャビティ(2)内で連続的に形成し、かつ、前記金属溶融体の組成を、その直接測定面(6)で測定し、その際、測定面に達する金属溶融体の試料を、原則的に鉄系不純物を前記測定面から分離するために選択される温度(7)に加熱する。本発明による前記方法を実施するのに適した装置のいくつかの実施態様も示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1及び2の前提部で特許保護が請求される、スチールストリップを被覆する金属溶融体の化学組成を測定するための方法及び装置に関する。
【0002】
本発明の主たる内容は、スチールストリップの溶融めっき用浴、とりわけ、この被覆浴の化学分析に関する。
【0003】
金属被覆が意味することは、スチールストリップの耐食性を改善するために設けられる全てのタイプの金属合金である。とりわけ、しかし、限定的な意味ではなく、主として亜鉛とアルミニウムとから成る溶融亜鉛めっき合金を意味するものと捉えられるべきである。
【0004】
溶融亜鉛めっき浴の化学組成の測定は、例えば、適した順序において被覆化金属の溶融浴中に導入される、適した組成のインゴットを用いて少なくとも1つの合金化材料の含有量を調節するためにとりわけ必要である。
【0005】
浴から採取され、ミニ−インゴットに固化され、それから分光法によって分析される試料の測定技術が用いられる。この方法は信頼できるものであるが、遅くなるという欠点を有しており、それにより、例えば、浴への合金インゴットの供給に部分変更を加えることによって迅速に反応させることが不可能となる。他方、手動で試料を溶融浴から取り出すという作業は、作業者を危険な状況に曝す。
【0006】
電気化学センサを用いた類似の測定がまた、文献US5,256,272に記載されているように提案されている。しかしながら、これらのセンサは脆く、またそれらの校正が手動サンプリングの古い方法との比較分析及びミニ−インゴットの分析によって頻繁に確かめられなければならない。
【0007】
実時間分析を提供する他の測定法が、レーザーアブレーション、より一般的には"レーザー誘起ブレイクダウン分光法"又はLIBSとして公知のものによる、分光分析の方法を中核とする方法に基づき提案されていた。かかる方法は、その放射線が分光分析に供されるプラズマを生成するのに十分な非常に短時間の露光に必要なだけの強い非常に狭いレーザービームを、分析されるべきターゲットに指向することから成る。溶融金属浴のためのかかる方法の使用は、出願WO02/063284に構想されており、それは測定セル内で循環するか又は測定セル内に導入された溶融試料の表面上で浴の分析を実施することを提案している。
【0008】
現在、特に、亜鉛とアルミニウムの合金を用いてスチールストリップを亜鉛めっきする場合において、溶融試料のこのタイプの表面測定は、一方では、表面酸化の危険を被りやすく、他方では、ドロスとして公知の、鉄、アルミニウム及び亜鉛の金属間化合物が存在しやすく、それのアルミニウム及び亜鉛の含有量は、それらが形成される浴の平均含有量とは非常に異なる。実際に、溶融金属混合物との接触は、スチールストリップの表面において鉄の溶解を招く。この溶解された鉄は、一方では、Fe2Al5Znxの非常に薄い層のストリップの形成の一因となり、他方では、Fe2Al5Znxの層が連続的に形成されない限りは溶融金属浴中に拡散する。Fe2Al5Znxは、保護亜鉛層のためのベースとして用いられるのに対して、浴中に拡散した鉄は、数ミクロン〜数十ミクロンのサイズ範囲のFe、Al及びZnの金属間化合物の粒子の形成の一因となる。
【0009】
溶融亜鉛めっき浴中でのこれらの金属間化合物のグレーン成長及び成長速度は、平均的な当業者によく知られている。溶融亜鉛の浴の温度とアルミニウム含有量に依存して、溶解され得る鉄の量は、かなり幅広い範囲で様々に変化する。拡散した鉄の含有量が溶解限度を超過すると、金属間化合物の核形成及びスウェリングが可能になる。一般の連続溶融亜鉛めっき法において、被覆浴は常に鉄で充満されており、これは、ストリップから溶融し、かつ溶融混合物中に拡散した全ての鉄が、数十ミクロンのサイズに達し得る金属間化合物の粒子の溶融浴内での生成に供されることを意味している。それらの密度を決定するそれらの組成に依存して、これらの粒子のいくつかは、ポットの底部に沈降するか、又は主として溶融浴の表面上で浮遊し、それゆえ、たいていはボトムドロス又はトップドロスと呼ばれる。
【0010】
試料中での、とりわけ、その表面上でのこれらの金属間化合物の存在は、従って、測定される様々な成分−例えば亜鉛、アルミニウム及び鉄−の濃度(それらは浴自体の濃度とは異なる)をもたらすことによる分析を無効にする恐れがある。
【0011】
出願WO2008/067620は、溶融浴のドロスの存在の検出を可能にする自動表面検査システムを用いて、それに従って、LIBS型分析装置がドロス不含領域に照準をあてることを保証し、又は浴の表面を洗浄するためにドロススキミング装置の動作を引き起こすことによって溶融浴の表面上で浮遊する"トップドロス"として公知の金属間化合物の粒子が原因となって生じる問題を解決することを提案する。しかしながら、この煩雑かつ厄介な表面モニタリングのビデオベースの方法は、アブレーションレーザーショットが、画像処理システムによってそのものが割り出されるにはあまりにも離散し過ぎているドロスに指向しないことを保証するのにはあまりにも不精密である(完全にドロスで覆われている場合は、不可能でないにしても)ことが分かる。
【0012】
それゆえ本発明の一対象は、スチールストリップを被覆するための溶融金属の化学組成を測定する方法及び装置を提案することであり、その際、溶融金属試料の直接測定が定性的に改善される。
【0013】
連続的な製造ラインにおいてスチールストリップを被覆するための溶融金属の化学組成を測定する方法に基づき(その際、溶融金属は、第一のキャビディ内で連続的に形成され、かつ、その組成は、該溶融体の表面の直接測定に基づく)、本発明は、測定面に達する金属溶融体試料が、主として鉄系不純物を該測定面から分離するために選択される温度に供されることを提供する。
【0014】
直接表面測定との用語は、とりわけ、化学組成分析手段(例えばLIBSのレーザービーム)により、局所的にあらかじめ定義された測定面上に直接入射してその物理的測定が行われることを表す。該測定面は、測定されるべき試料が本発明に従ってそれに達する場合、不純物を含まないので、それゆえ、非常に不精密であることが度々生じる煩雑な検出手段を用いて、明らかに不純物を含まない測定面を探す必要がもはやなくなるという点で好ましい。
【0015】
言い換えれば、本発明による方法は、溶融合金の試料が、その組成の分析のために該組成を測定するのに先立って、一般に、不純物の形態で存在する鉄系金属間化合物を溶融浴中に融解するために再熱され、それによって、直接測定される面又は体積において所望の組成のみが保持される。それゆえ再熱は、合金の組成を考慮に入れつつ、溶融浴の均一性及び不純物と比較して鉄の十分な溶解性を保証するために選択される前述の温度まで実施される。
【0016】
実際に、亜鉛及びアルミニウムの合金の場合、そして所定のアルミニウム含有率において、溶融混合物中の鉄の溶解限度は温度とともに上昇する。例えば、約0.20%のアルミニウム含有率において、460℃−この種の溶融亜鉛めっき浴の通常の温度−から480℃への遷移は、鉄の溶解度をほぼ倍にする。いっそう高い温度、例えば500〜600℃の本発明による温度は、それから、溶融亜鉛めっき浴中の過飽和条件下で通常生じるレベルより高い含有レベルでの鉄の溶解度を保証する。これにより金属間化合物から結果生じる(位置的に直接測定面に達する試料から出る)不純物の完全な再融解が可能となり、従って、該表面を対象とする分析用測定装置による分析をもはや妨げないことが見込まれる。
【0017】
本発明はまた、上記の本発明による方法を実施するための装置を提供する。
【0018】
概して、連続的な生産ラインにおいてスチールストリップを被覆するのに適した溶融金属の化学組成を測定するための装置に基づき、本発明による該装置は:
− 金属溶融体を収容している第一のキャビティ、
− 金属溶融体の組成を、該溶融体の直接測定面上で測定するための装置を有し、
かつ、温度調節器が、主として鉄系不純物を、該測定面に達する金属溶融体の試料から分離するために測定面付近に配置されていることを特徴とする。
【0019】
本発明による方法及び装置はまた、次のように、請求項1及び2の主題によって記載されている。
【0020】
多数の従属請求項は、本発明の利点を提示する。
【0021】
本発明による装置の実施形態が、その2つの実施例を添付図面を基準として記載した形で示されている:
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による装置の第一の実施形態の概要を示す
【図2】本発明による装置の第二の実施形態の概要を示す
【0023】
金属溶融体(1)の化学組成を測定するための該装置は、スチールストリップ被覆製造ライン(非図示)用に設計されており、かつ、以下のもの:
− 金属溶融体を含有する第一のキャビディ(2)、
− 金属溶融体の組成を、該溶融体の直接測定面(6)上で測定するための測定装置(9)、
− 主として鉄系不純物を、該測定面に達する金属溶融体の試料(5)から分離するために測定面(6、12)付近に配置されている温度調節器(7)
を有する。
【0024】
この例では、直接測定面は、第一のキャビティの金属溶融体の循環回路(3)の上に位置しており、該回路は、大部分の不純物、例えばトップドロス及びボトムドロスが該回路(3)に接触しないようなキャビティ(2)の高さレベルで理想的には配置された循環取入れ口を有する。
【0025】
第一のキャビディは、この場合、被覆ポットであってよく、かつ循環回路(3)は、その時に、該ポットに外付けされたループを有してよい。
【0026】
循環回路(3)は、選択的に、金属溶融体を循環させるチャネルを内部で又は少なくとも第一のキャビティに取り付けられて有してよく、該チャネルは、溶融金属浴の誘導加熱のために理想的である。直接測定するためのビームをその中に導入できるようにするために加熱チャネルに対して横方向に配置される単独の測定チャンバ(5)のみが必要とされるので、これにより、非常に簡単に実施される直接測定面に関する限り、測定される試料の循環基礎構造が可能となる。鉄の溶解度は、必要であれば、本発明の目的を達成するのに位置的に適切に選択された温度をそこで得るために適したインダクションユニットを加えることによって、加熱チャネル中で本質的に達成される。
【0027】
第一のキャビティはまた、金属溶融体を製造するのに金属合金を溶融するための少なくとも1つのポットであってよく、該坩堝は、第二のキャビティ、例えば(上記の種類の)被覆ポットに接続されており、かつ循環回路(3)は、第一と第二のキャビティの間の金属溶融体ダクトに接続されている。かかる多重のキャビティ配置により、一般に、大部分のドロスのより良好な分離に加えて、異なる浴(溶融/被覆)の温度のより良好な制御が可能となる。
【0028】
図1の例では、溶融被覆金属(1)が、それゆえ、スチールストリップの被覆のために又は該金属溶融体(1)の複合構造を作製するためのインゴットの必要な溶融のために使用されるポット(2)中に含まれていてよい。
【0029】
溶融金属循環回路(3)は、インゴット坩堝と別個のストリップ被覆ポットとの間で溶融金属を移すために用いられるか、又は試料を提供し、かつ循環ループによって該ポット(2)の1つに返送するために用いられる。該循環は、重力送りか、又は循環回路(3)の上流に配置された少なくとも1つのポンプ(4)を介して強制的に行われる。
【0030】
測定チャンバ(5)は、循環回路(3)の一側面に取り付けられており、かつ重力送り循環回路の場合の一次キャビティ(2)の溶融浴の自由面に相当するか、又は強制循環の場合のポンプ供給装置の引き上げ能力に相当する高さ(H)に位置した(不純物のない)該直接測定面(6)によって区切られる溶融金属の量を収容する。
【0031】
単相交流又は多相交流の誘導加熱装置(7)は、キャビティ(5)の中を循環する金属溶融体の試料の温度を調節することができるようにキャビティ(5)を加熱するのに用いられ、それゆえ本発明により試料から不所望な不純物を除去する。
【0032】
ケーシング(8)は、測定チャンバ(5)とLIBSといった分析装置(9)との間で密封された接合部を提供する。それは測定装置(9)側で、分析装置からのアブレーションレーザービーム(11a)に対して透明な、かつ金属溶融体の直接測定面(6)上への該ビームによって生成されるプラズマ(12)の放射線(11b)に対して透明なウィンドウ(10)を有する。ケーシング(8)は、オリフィス(81;82)を有し、溶融金属(6)の表面とウィンドウ(10)との間で、窒素といった天然ガスによる掃気を可能にする。これにより、溶融金属の組成の測定をより良好に保証するために、金属溶融体の表面酸化を防ぐことが可能となる。
【0033】
キャビティ(2)の壁にある循環回路(3)のサンプリングオリフィスが、浴(1)の表面上を浮動する金属間化合物(15)の粒子を保持することができる該キャビティ中のバッフル(14)の下流に設置されている。
【0034】
図2は、本発明による第二の実施態様の概要を示す。図1とは異なり、循環回路(3)は、第一のキャビティ(図示されていないが、場合によっては、図1のものと同じである)中の溶融体レベルより少なくとも大きい高さの垂直ライザ(8、31a)の形態のバイパスを有し、直接測定面(6)は、該ライザ中の溶融体レベルによって定義されている。垂直ライザ(31a)は、循環回路(3)に該回路の循環方向に則って戻る垂直ダウンパイプ(31b)に接続されている。
【0035】
各パイプ(31a、31b)は、例えば電磁弁(311、312)を、測定チャンバ(5)におけるバイパス内の溶融体を一時的に遮断するために有している。正確に言えば、該弁(311、322)の少なくとも1つは、十分な時間の加熱ひいては測定面からの不純物の十分な分離を保証するために、定義されたブロッキング遅延に供され、続けて測定段階が開始されるので、それゆえ測定品質が改善される。他の利点もこの点と関連しており、すなわち:とりわけ、加熱手段が電磁誘導加熱素子を有する場合に、この遅延のもと、測定されるべき溶融体のより良好な混合を可能にできること;測定装置が光学調節を要する場合に、光学的でないにしても、機械的に安定した条件下で測定を実施するのに、測定されるべき試料を固定するために、最終的に表面組成測定装置の要求に依存する。金属溶融体を循環回路(3)に返送するために、垂直ダウンパイプ(31b)は、測定チャンバ(5)の溶融体オーバーフローゲートを有する。このオーバーフローも、好ましくは該表面に対する任意の光学的な再調節を回避するために直接測定面の高さレベルを整える単純な手段を構成する。
【0036】
図1に示される通り、図2に記載の温度調節器(7)は、測定面、理想的には、誘導加熱手段、例えば溶融体の緩やかな混合のみをもたらす単相交流系又は溶融体の著しい混合をもたらす多相交流系の下の少なくとも1つの部分に配置されている。同様に、図示されていないが、第一のキャビディには、循環回路(3)の金属溶融体の取入れ口より前に、第一のキャビティでサンプリングされる溶融浴の表面上を浮遊する化合物を少なくとも受け止めるバッフル装置が置かれている。同様に、不活性ガスの循環回路が、金属溶融体の直接測定面に、それを酸化反応から保護するために適用され、その循環流量は、直接測定面(6)を有する測定チャンバ(5)と該表面に向く測定装置(9)との間で漏れることのない掃気を保証する。図1と同様に、アブレーションレーザービーム(11a)及びプラズマ放射に対して透明な材料のウィンドウ(10)が、密封の測定チャンバ(5)を形成するように測定装置と直接測定面(6)との間に配置されることができる。
【0037】
本発明による装置の全ての実施態様において:
− 測定装置は、直接測定面(6)のレーザーアブレーションを用いる分光分析装置であるが、しかし、他の先行技術の測定系であってもよい。
− 直接測定面(6)は、理想的には、金属溶融体と反応性でない材料、例えばオーステナイト系ステンレス鋼、セラミック又はセラミック被覆金属から成る測定チャンバ(5)内で位置決めされている。
【0038】
図1又は2による循環回路(3)は、金属溶融体を採取するためのポンプを、少なくともその取入れ口で有してよい。ポンプの種類は、電磁式、機械的(例えば遠心タイプの)又は空気式(例えばベンチュリ効果によるポンププライミング)である。このようにポンプは循環をもたらす。電磁式である場合、それは、本発明によって提供されるように、鉄の溶解閾値を上昇させ、その結果、そこを循環する試料から不純物を分離するために溶融体の誘導加熱に少なくとも部分的に寄与する。それゆえ、循環回路(3)は、そのポンプ特性が、理想的には電磁式ポンプの場合に、又は不純物から金属溶融体を物理的に切り離すためのオーバーフロー段が備わったポンプの場合にも、不純物の分離とリンクしたポンプを有してよい。
【0039】
最後に、特に図3において、本発明による装置の変法は、循環回路(3)が、少なくとも1つの取入れ口、例えば、キャビティ内の溶融金属に浸漬されるよう設計されたパイプ又はサンプリングブランチを有することを提供することができる。言い換えれば、完成した組成測定装置は可動式に作られており、それゆえ、サンプリングブランチ、例えばパイプ(31a)及びリターンフローブランチ、例えばパイプ(31b)を形成しながら、キャビティ内で位置決め可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 金属溶融体、 2 キャビティ、 3 循環回路、 4 ポンプ、 5 測定チャンバ、 6 直接測定面、 7 温度調節器、 8 ケーシング、 9 測定装置、 10 ウィンドウ、 11a アブレーションレーザービーム、 11b プラズマ放射、 12 測定面、 13 不活性ガス、 14 バッフル、 15 金属間化合物、 81:82 オリフィス、 31a 垂直ライザ、 31b 垂直ダウンパイプ、 311:312 弁、 H 高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチールストリップを被覆するのに適した金属溶融体(1)の化学組成を測定するための方法であって、該金属溶融体を、第一のキャビティ(2)内で連続的に形成し、かつ、その組成を該溶融体の直接測定面(6)で測定する方法において、測定面に達する金属溶融体の試料を、主として鉄系不純物を該測定面から分離するために選択される温度(7)に供することを特徴とする方法。
【請求項2】
スチールストリップを被覆するのに適した金属溶融体(1)の化学組成を測定するための装置であって、
− 金属溶融体を収容している第一のキャビティ(2)、
− 金属溶融体の組成を、該溶融体の直接測定面(6)で測定する測定装置(9)
を有する装置において、温度調節器(7)が、主として鉄系不純物を、該測定面に達する金属溶融体の試料から分離するために測定面付近に配置されていることを特徴とする装置。
【請求項3】
前記直接測定面が、第一のキャビティの金属溶融体の循環回路(3)上に位置しており、前記回路は、大部分の不純物、例えばトップドロス及びボトムドロスが該回路(3)に接触しないように、理想的には、キャビティ(2)の高さレベルで配置された循環取入れ口を有する、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記第一のキャビティが被覆ポットであり、かつ前記循環回路(3)が、該ポットに外付けされたループを有する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記循環回路(3)が、金属溶融体を循環させるチャネルを内部に又は前記第一のキャビティに少なくとも取り付けられて有し、該チャネルは、理想的には、溶融金属浴の誘導加熱用に設計されている、請求項2又は3に記載の装置。
【請求項6】
前記第一のキャビティが、金属溶融体を製造するための少なくとも1つの金属合金坩堝であり、該坩堝は、第2のキャビティ、例えば被覆ポットに接続されており、かつ前記循環回路(3)は、第一と第二のキャビティとの間の金属溶融体ダクトに接続されている、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記循環回路(3)が、第一のキャビティ内の溶融体レベルより少なくとも大きい高さの垂直ライザ(8、31a)の形態のバイパスを有し、かつ前記直接測定面(6)が、該ライザ内の溶融体レベルによって定義されている、請求項4、5又は6に記載の装置。
【請求項8】
前記垂直ライザ(31a)が、循環回路(3)内で終端をなす垂直ダウンパイプ(31b)に接続されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記各パイプ(31a、31b)が、バイパス内の溶融体を一時的に遮断する弁(311、312)を有する、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記弁(311、312)の少なくとも1つが、測定面からの不純物の十分な分離を保証する定義された遮断遅延に供され、続けて測定段階が開始される、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記垂直ダウンパイプ(31b)が、溶融体オーバーフロー取入れ口を有する、請求項8から10までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
温度調節器(7)が、前記測定面、理想的には、誘導加熱手段、例えば溶融体の緩混合のみをもたらす単相交流系又は溶融体の強混合をもたらす多相交流系の下の少なくとも1つの部分上に配置されている、請求項8から10までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記第一のキャビディ内で、前記循環回路(3)による金属溶融体の取入れ口より前に、前記第一のキャビティ内でサンプリングされた溶融浴の表面上を浮遊する化合物(15)を少なくとも受け止めるバッフル装置(14)が置かれている、請求項1から12までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
不活性ガス(13)の循環回路が、金属溶融体の直接測定面(6)に、それを酸化反応から保護するために適用され、そのガス循環流量は、直接測定面(6)を有する測定チャンバ(5)と測定装置(9)との間で漏れのない掃気を保証する、請求項1から13までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
アブレーションレーザービーム(11a)及びプラズマ放射(11b)に対して透明な材料のウィンドウ(10)が、密封の測定チャンバ(5)を形成するように測定装置(9)と直接測定面(6)との間に配置されていてよい、請求項1から14までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記測定装置(9)が、直接測定面(6)のレーザーアブレーションを実施する分光分析装置である、請求項1から15までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項17】
前記直接測定面(6)が、理想的には、金属溶融体と反応性でない材料、例えばオーステナイト系ステンレス鋼、セラミック又はセラミック被覆金属から成る測定チャンバ(5内で位置決めされている、請求項1から16までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項18】
前記循環回路(3)が、金属溶融体をサンプリングするためのポンプを、少なくともその取入れ口で有し、ポンプの種類が、電磁式、機械的(例えば遠心タイプの)又は空気式(例えばベンチュリ効果によるポンププライミング)である、請求項3から17までのいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記循環回路(3)が、理想的には、電磁式ポンプの場合に、又はオーバーフロー段が備わったポンプの場合において、そのポンプ特性が不純物の分離と結ばれているポンプを有する、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記循環回路(3)が、溶融金属面によって浸漬され得る少なくとも1つのサンプリング取入れ口を有する、請求項3から17までのいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−508824(P2012−508824A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543787(P2011−543787)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001608
【国際公開番号】WO2010/055212
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(503087245)シーメンス ヴェ メタルス テクノロジーズ エスアーエス (19)
【氏名又は名称原語表記】Siemens VAI Metals Technologies SAS
【住所又は居所原語表記】51 rue Sibert, F−42400 Saint−Chamond, France
【Fターム(参考)】