説明

ステアリングシャフト回転角度検出装置

【課題】ステアリングシャフトの回転角度を高分解能で検出でき、かつ構造が簡便なステアリングシャフト回転角度検出装置を提供すること。
【解決手段】ステアリングホイール1の操作に伴って回転するステアリングシャフト2の回転角度を検出するステアリングシャフト回転角度検出装置100であって、ドライバによるステアリングホイール1の操舵を補助する電動モータ10と、電動モータ10の回転をステアリングシャフト2に減速して伝達する減速機構11と、電動モータ10の回転軸に取り付けられた回転体21と、回転体21の回転に伴い信号を出力する信号出力器22と、信号出力器22の出力信号に基づいて回転体21の回転角度を演算し、回転角度21と減速機構11の減速比とに基づいてステアリングシャフト2の回転角度を演算するコントローラ13とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等のステアリングシャフトの回転角度を検出する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ステアリング角度を基に各種の制御を行う車両では、ステアリング角度を検出する装置が搭載されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ステアリング角度を検出する装置として、光学式ロータリエンコーダや磁気式ロータリエンコーダをステアリングシャフトに設けるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平3−120419号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のロータリエンコーダの分解能は、光学式ロータリエンコーダでは回転円板のスリットの数、磁気式ロータリエンコーダではN極とS極の数に依存する。したがって、分解能を高くするためにはロータリエンコーダを大型化する必要があり、その場合には、車両へのロータリエンコーダの設置スペースが確保できないという問題点がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ステアリングシャフトの回転角度を高分解能で検出でき、かつ構造が簡便なステアリングシャフト回転角度検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ステアリングホイールの操作に伴って回転するステアリングシャフトの回転角度を検出するステアリングシャフト回転角度検出装置であって、ドライバによる前記ステアリングホイールの操舵を補助する電動モータと、前記電動モータの回転を前記ステアリングシャフトに減速して伝達する減速機構と、前記電動モータの回転軸に取り付けられた回転体と、前記回転体の回転に伴い信号を出力する信号出力器と、前記信号出力器の出力信号に基づいて前記回転体の回転角度を演算し、当該回転角度と前記減速機構の減速比とに基づいて前記ステアリングシャフトの回転角度を演算するコントローラと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ステアリングシャフトの回転角度は信号出力器の出力信号に基づいて演算された回転体の回転角度と減速機構の減速比とに基づいて演算されるため、ステアリングシャフトに設けられるセンサにてステアリングシャフトの回転角度を検出する場合と比較して、ステアリングシャフトの回転角度を高分解能で検出することができる。また、信号出力器は、電動モータの回転軸に取り付けられた回転体の回転に伴い信号を出力するものであるため、構造も簡便である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るステアリングシャフト回転角度検出装置の構成図である。
【図2】リング磁石の平面図である。
【図3】(a)リング磁石が発生する磁力の変化を示す図である。(b)第1高分解能センサ(上図)と第2高分解能センサ(下図)の出力信号を示す図である。(c)第1低分解能センサ(上図)と第2低分解能センサ(下図)の出力信号を示す図である。
【図4】ステアリングシャフトの回転角度に対するインデックスセンサの出力信号を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係るステアリングシャフト回転角度検出装置の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係るステアリングシャフト回転角度検出装置100について説明する。
【0012】
ステアリングシャフト回転角度検出装置100は、車両のステアリングホイール1の操作に伴って回転するステアリングシャフト2の絶対回転角度(以下、単に「回転角度」と称する。)を検出する装置であり、ドライバがステアリングホイール1に加える操舵力を補助するパワーステアリング装置101のシステムを利用するものである。
【0013】
ステアリングシャフト2の絶対回転角度とステアリングホイール1の操舵絶対角度であるステアリング角度とは等しいため、ステアリングシャフト回転角度検出装置100によってステアリングシャフト2の回転角度を検出することによって、ステアリングホイール1のステアリング角度が得られる。
【0014】
図1に示すように、パワーステアリング装置101は、ドライバによるステアリングホイール1の操作に伴って回転する入力シャフト7と、トーションバー4を介して入力シャフト7と接続されラック軸5に連係する出力シャフト3とを有し、出力シャフト3の下端に設けられるピニオン3aと噛合するラック軸5を軸方向に移動させることで車輪6を操舵するものである。入力シャフト7と出力シャフト3とによってステアリングシャフト2が構成される。
【0015】
パワーステアリング装置101は、ドライバによるステアリングホイール1の操舵を補助する電動モータ10と、電動モータ10の回転をステアリングシャフト2に減速して伝達する減速機11と、入力シャフト7と出力シャフト3との相対回転によってトーションバー4に作用する操舵トルクを検出するトルクセンサ12と、トルクセンサ12の検出結果を基に電動モータ10の駆動を制御するコントローラ13とを備える。減速機11は、電動モータ10の出力軸に連結されるウォームシャフトと、出力シャフト3に連結されウォームシャフトに噛み合うウォームホイール11aとからなる。減速機11の減速比は1:15である。つまり、ステアリングシャフト2が1回転すると電動モータ10は15回転する。
【0016】
電動モータ10が出力するトルクは、ウォームシャフトからウォームホイール11aに伝達されて出力シャフト3に補助トルクとして付与される。電動モータ10が出力するトルクは、トルクセンサ12にて検出された操舵トルクに基づいて演算される。
【0017】
ステアリングシャフト回転角度検出装置100は、電動モータ10と、減速機11と、電動モータ10の回転軸に取り付けられた回転体としてのリング磁石21(図2参照)と、リング磁石21の回転に伴い信号を出力する信号出力器としての角度センサ22(図2参照)とを備える。コントローラ13は、角度センサ22の出力信号に基づいて、リング磁石21、つまり電動モータ10の回転角度を演算し、その回転角度と減速機11の減速比とに基づいてステアリングシャフト2の回転角度を演算する。減速機11が本発明の減速機構に該当する。
【0018】
また、ステアリングシャフト回転角度検出装置100は、ステアリングシャフト2の入力シャフト7に取り付けられステアリングシャフト2の基準回転位置を検出する基準回転位置検出器としてのインデックスセンサ25も備える。
【0019】
コントローラ13は、ステアリングシャフト回転角度検出装置100及びパワーステアリング装置101の動作を制御するCPUと、CPUの処理動作に必要な制御プログラムや設定値等が記憶されたROMと、トルクセンサ12,角度センサ22,及びインデックスセンサ25等の各種センサが検出した情報を一時的に記憶するRAMとを備える。ROMは、コントローラ13への電力の供給が遮断されても記憶を保持する不揮発性メモリ(不揮発性記憶部)であり、RAMは、コントローラ13への電力の供給が遮断された場合には記憶が喪失する揮発性メモリ(揮発性記憶部)である。
【0020】
まず、図1及び図4を参照して、インデックスセンサ25について詳しく説明する。インデックスセンサ25は、入力シャフト7に固定され磁気を発生する磁気発生部と、ステアリングコラム等の非回転部に固定され磁気発生部が発生する磁気を検出する検出部とからなる磁気センサである。インデックスセンサ25は、ステアリングシャフト2が1回転する毎に1パルスの信号を出力し、その出力信号はコントローラ13に入力される。
【0021】
一般的に、ステアリングシャフト2は、車輪6が直進方向を向く中立状態を基準として左右にそれぞれ2回転程度するように構成される。したがって、図4に示すように、インデックスセンサ25は、ステアリングシャフト2の回転に伴って5つのパルス信号(パルスa〜e)を出力することになる。車両の組み立て時或いはパワーステアリング装置101の組み立て時には、車輪6が直進方向を向くステアリングシャフト2の中立位置(ステアリング角度0度の位置)からステアリングシャフト2を左右に回転させ、インデックスセンサ25がパルス信号を最初に出力するまでの左右の回転角度の測定が行われる。ここでは、仮に、ステアリングシャフト2を中立位置から右回転させた場合に、インデックスセンサ25が1つ目のパルス信号(パルスc)を出力するまでの回転角度の測定値が10度であり、ステアリングシャフト2を中立位置から左回転させた場合に、インデックスセンサ25が1つ目のパルス信号(パルスb)を出力するまでの回転角度の測定値が−350度であったとする。この左右の測定値(10度と−350度)は、インデックスセンサ25の1つ目のパルス信号(パルスc,b)に対応するステアリングシャフト2の基準回転角度としてコントローラ13のROMに記憶される。このように、ステアリングシャフト2の基準回転角度は、車両の組み立て時或いはパワーステアリング装置101の組み立て時に予め設定される。ステアリングシャフト2の回転角度は、中立位置を基準として、右回転を+の符号、左回転を−の符号にて示す。
【0022】
なお、以上では、インデックスセンサ25が磁気センサである場合について説明したが、インデックスセンサ25を発光部と受光部とからなる光センサにて構成するようにしてもよい。
【0023】
次に、図1〜図3を参照して、電動モータ10の回転軸に取り付けられたリング磁石21及びリング磁石21の回転に伴い信号を出力する角度センサ22について詳しく説明する。
【0024】
リング磁石21は、回転方向に着磁された環状の永久磁石であり、内周面が電動モータ10の回転軸の外周面に嵌まることによって取り付けられ、電動モータ10の回転軸と一体に回転する。
【0025】
図2に示すように、リング磁石21には、6個の磁極が周方向にわたって等間隔に形成される。つまり、3個のN極と3個のS極が周方向に交互に配設される。したがって、図3(a)に示すように、電動モータ10が1回転する間に、リング磁石21が発生する磁力は正弦波3周期分変化する。
【0026】
図2に示すように、角度センサ22は、分解能が相対的に高い高分解能出力器としての高分解能センサ23と、分解能が相対的に低い低分解能出力器としての低分解能センサ24との2つの磁気センサを有する。基本的には、高分解能センサ23は車両のイグニッションスイッチがオンのときに動作し、低分解能センサ24は車両のイグニッションスイッチがオフのときに動作する。このように、高分解能センサ23と低分解能センサ24は、車両のイグニッションスイッチのオンオフによって切り換えられる。高分解能センサ23及び低分解能センサ24は非回転部に固定され、リング磁石21の回転に応じて信号を出力する。
【0027】
高分解能センサ23は、リング磁石21の外周に対峙して所定角度離れて配置された第1高分解能センサ23aと第2高分解能センサ23bとからなる。第1高分解能センサ23aと第2高分解能センサ23bは同じセンサであり、図3(b)に示すように、リング磁石21の回転に応じて正弦波信号(電圧)を出力する。第1高分解能センサ23aと第2高分解能センサ23bは、それぞれの正弦波信号の位相が90度ずれるように配置される。リング磁石21は6個の磁極を有するため、電動モータ10が1回転すると、第1高分解能センサ23aと第2高分解能センサ23bは正弦波3周期分の信号を出力する。つまり、電動モータ10の電気角周期数は3である。
【0028】
高分解能センサ23の分解能について説明する。高分解能センサ23は電気角360度に対して360分解能(1度分解能)を有する。また、電動モータ10の1回転当たりの電気角周期数は3である。さらに、ステアリングシャフト2と電動モータ10との減速比は1:15である。したがって、高分解能センサ23によるステアリングシャフト2の回転角度の分解能は、以下の式のように0.022度と算出される。
【0029】
高分解能センサによるステアリングシャフト2の回転角度の分解能=360/360/3/15=0.022度
高分解能センサ23の出力信号(電圧)はコントローラ13に入力され、コントローラ13はその入力された信号に基づいてステアリングシャフト2の回転角度変化量を演算する。具体的に説明すると、コントローラ13のROMには、高分解能センサ23の出力電圧とそれに対応する電動モータ10の電気角との関係が規定されたテーブルが記憶されており、コントローラ13は、そのテーブルを参照することによって電気角の変化量を演算することができる。例えば、テーブルを参照することによって電気角の変化量が5度であった場合には、電動モータ10の1回転当たりの電気角周期数が3であるため、電動モータ10の回転角度の変化量は1.67度(=5/3)と演算される。そして、ステアリングシャフト2と電動モータ10との減速比は1:15であるため、ステアリングシャフト2の回転角度変化量は0.11度(=1.67/15)と演算される。このように、高分解能センサ23の出力信号に基づいて演算された電動モータ10の回転角度の変化量と減速機11の減速比とに基づいて、ステアリングシャフト2の回転角度変化量を演算することができる。
【0030】
また、第1高分解能センサ23aと第2高分解能センサ23bが出力する正弦波信号の位相が90度ずれていることによって、コントローラ13はステアリングシャフト2の回転方向を識別することができる。図3(b)を参照して具体的に説明すると、例えば、電動モータ10の電気角がθ(第1高分解能センサ23aの出力電圧:a)である場合において、第1高分解能センサ23aの出力電圧がaからbに変化した場合、第1高分解能センサ23aのみでは、電動モータ10の電気角がθからθ1に変化したのかθ2に変化したのかが判別できない。つまり、ステアリングシャフト2の回転方向を識別することができない。しかし、第2高分解能センサ23bでは、電気角θ1とθ2の出力電圧が異なるため、第2高分解能センサ23bの出力電圧の変化から電動モータ10の電気角がθからθ1に変化したのかθ2に変化したのかが判別できる。つまり、ステアリングシャフト2の回転方向を識別することができる。
【0031】
図2に示すように、低分解能センサ24は、リング磁石21の外周に対峙して所定角度離れて配置された第1低分解能センサ24aと第2低分解能センサ24bとからなる。第1低分解能センサ24aと第2低分解能センサ24bは同じセンサであり、図3(c)に示すように、リング磁石21の回転に応じてS極に対峙した場合にパルス信号(電圧)を出力する。第1低分解能センサ24aと第2低分解能センサ24bは、1/4電気角周期毎、つまり電気角90度毎にパルス信号の出力変化があるように配置される。
【0032】
低分解能センサ24の分解能について説明する。低分解能センサ24は、上述のように1/4電気角周期毎にパルス信号の出力変化があるため、電気角360度に対して4分解能(90度分解能)を有する。また、電動モータ10の1回転当たりの電気角周期数は3である。さらに、ステアリングシャフト2と電動モータ10との減速比は1:15である。したがって、低分解能センサ24によるステアリングシャフト2の回転角度の分解能は、以下の式のように2度と算出される。
【0033】
低分解能センサによるステアリングシャフト2の回転角度の分解能=360/4/3/15=2度
このように、低分解能センサ24の分解能は、高分解能センサ23の分解能と比較して相対的に低い。
【0034】
低分解能センサ24の出力信号(電圧)はコントローラ13に入力される。低分解能センサ24の出力信号はパルス信号であるため、コントローラ13は、入力された信号に基づいてステアリングシャフト2の回転角度変化量を演算することはできない。しかし、低分解能センサ24が出力するパルス信号は電気角90度毎に変化するため、コントローラ13は、低分解能センサ24が出力するパルス信号の変化に基づいて、現在の電動モータ10の電気角が90度毎に区切られた12のセクションのうちどこのセクション内にあるかは判定することができる。また、コントローラ13は、低分解能センサ24が出力するパルス信号の変化からステアリングシャフト2の回転方向を識別することもできる。
【0035】
低分解能センサ24はイグニッションスイッチがオフのときに動作するものである。イグニッションスイッチがオフのときは車両のエンジンが停止しているため、ステアリングシャフト2の回転角度を正確に検出する必要がない。しかし、車両のエンジンが停止している場合でも、ステアリングホイール1が操舵される可能性もあるため、コントローラ13は、低分解能センサ24の検出結果に基づいて現在電動モータ10の電気角がどの範囲にあるかを判定する。
【0036】
イグニッションスイッチのオンオフによる高分解能センサ23と低分解能センサ24の切り替えについて説明する。イグニッションスイッチがオフになると、その時点でのステアリングシャフト2の回転角度及び電動モータ10の電気角がコントローラ13に記憶されると共に、高分解能センサ23から低分解能センサ24への検出に切り換えられる。イグニッションスイッチのオフ時にステアリングホイール1が操舵された場合には、コントローラ13は、低分解能センサ24が出力するパルス信号の変化に基づいて、現在電動モータ10の電気角がどの範囲にあるかを判定する。
【0037】
イグニッションスイッチがオンになると、低分解能センサ24から高分解能センサ23への検出に切り換えられる。コントローラ13は、低分解能センサ24の出力信号に基づいて判定した電気角の範囲及び高分解能センサ23の出力信号に基づいて、イグニッションスイッチオン時の電気角を判定する。図3(b)を参照して具体的に説明すると、イグニッションスイッチオン時の第1高分解能センサ23aの出力電圧がcであり、第2高分解能センサ23bの出力電圧がdであった場合には対応する電気角は3点存在する。しかし、コントローラ13は、イグニッションスイッチオフの状態で低分解能センサ24が出力したパルス信号の変化に基づいて、イグニッションスイッチオン時の電動モータ10の電気角が例えばθ3からθ4の範囲内にあると判定可能であるため、イグニッションスイッチオン時の電気角が3点のうちθ5であると判定することができる。
【0038】
次に、コントローラ13は、イグニッションスイッチオン時の電気角とコントローラ13に記憶されたイグニッションスイッチオフ時の電気角との変化量を演算する。そして、上記にて説明したように、その電気角の変化量からのステアリングシャフト2の回転角度変化量を演算し、その回転角度変化量をコントローラ13に記憶されたイグニッションスイッチオフ時のステアリングシャフト2の回転角度に加算することによって、イグニッションスイッチオン時のステアリングシャフト2の回転角度を演算する。このようにして、イグニッションスイッチがオンとなった場合にはステアリングシャフト2の回転角度の検出が再開される。
【0039】
高分解能センサ23の動作時には、コントローラ13は、高分解能センサ23の出力信号に基づいてステアリングシャフト2の回転角度変化量を演算し、それを基にしてステアリングシャフト2の回転角度を演算する。これに対して、低分解能センサ24の動作時には、コントローラ13は、電動モータ10の電気角がどの範囲にあるかのみを判定する。したがって、高分解能センサ23の動作時のコントローラ13の消費電力は、低分解能センサ24の動作時のコントローラ13の消費電力と比較して大きい。そのため、イグニッションスイッチのオフ時においても高分解能センサ23を動作させるようにすれば、バッテリあがりが発生するおそれがあるため、イグニッションスイッチのオフ時には、高分解能センサ23から消費電力の小さい低分解能センサ24に切り換えるように構成される。
【0040】
なお、低分解能センサ24の動作時の消費電力を低減するため、イグニッションスイッチのオフ時には、コントローラ13による電動モータ10の電気角がどの範囲にあるかの判定処理を停止させ、コントローラ13を待機状態とすることが望ましい。コントローラ13は、待機状態では、低分解能センサ24が出力するパルス信号の変化の数をカウントしてRAMに記憶することのみを行う。そして、イグニッションスイッチがオンになったときに、コントローラ13は、RAMに記憶されたパルス信号の変化の数から現在電動モータ10の電気角がどの範囲にあるかを判定する。したがって、イグニッションスイッチのオフ時のコントローラ13への電源供給は、最低限RAMに対してのみ行われていればよい。
【0041】
また、さらなる消費電力の低減のため、イグニッションスイッチのオフ時には、低分解能センサ24による検出のみを行い、コントローラ13を停止状態としてもよい。この場合には、低分解能センサ24が電動モータ10の回転を検出するのに基づいて、つまり低分解能センサ24がパルス信号を出力するのに基づいて、コントローラ13が停止状態から上記待機状態に切り換わる。その後は、上述のように、コントローラ13は、低分解能センサ24が出力するパルス信号の変化の数をカウントしてRAMに記憶することのみを行う。また、他の方法として、低分解能センサ24が電動モータ10の回転を検出するのに基づいて、低分解能センサ24から高分解能センサ23への検出に切り換えるようにしてもよい。つまり、イグニッションスイッチのオフ時であっても、低分解能センサ24が電動モータ10の回転を検出するのに基づいて、ステアリングシャフト2の回転角度を演算するようにしてもよい。この場合、高分解能センサ23が立ち上がるまでの時間を考慮して、低分解能センサ24が電動モータ10の回転を検出した後、所定時間経過後に高分解能センサ23による検出に切り換えるのが望ましい。つまり、高分解能センサ23が立ち上がって検出が安定した後に、低分解能センサ24から高分解能センサ23に切り換えるのが望ましい。
【0042】
次に、ステアリングシャフト回転角度検出装置100によるステアリングシャフト2の回転角度の検出動作について説明する。
【0043】
図4に示すように、コントローラ13のROMに、インデックスセンサ25の1つ目のパルス信号パルスc,bに対応するステアリングシャフト2の基準回転角度として、それぞれ10度と−350度が予め記憶されているとする。
【0044】
まず、イグニッションスイッチがオンのときの通常状態について説明する。コントローラ13は、ステアリングシャフト2の中立位置、つまり車両が直進状態であることを判定する。具体的には、コントローラ13は、車速が所定速度以上、例えば25km/h以上である場合において、トルクセンサ12にて検出される操舵トルクであるステアリングシャフト2に作用する操舵トルクが所定値以下で、かつ高分解能センサ23の出力信号に基づいて演算された電動モータ10の回転角度の変化量が所定値以下である場合に、車両が直進状態であると判定する。好ましくは、この条件が所定時間以上、例えば5秒以上継続された場合に車両が直進状態であると判定する。操舵トルクが所定値以下である場合には、ステアリングホイール1が操舵されておらずステアリングシャフト2が中立位置である可能性が高い。しかし、右折又は左折後にステアリングホイール1を戻す際にはステアリングホイール1が操舵されず操舵トルクが小さい状態となるため、ステアリングシャフト2の中立位置を判定する条件として、電動モータ10の回転角度の変化量が所定値以下という条件も必要となる。
【0045】
コントローラ13は、車両が直進状態であると判定した場合には、高分解能センサ23の出力信号に基づいてステアリングシャフト2の回転方向を識別し、インデックスセンサ25が出力するステアリングシャフト2の中立位置から1つ目のパルス信号(図4のパルスc又はb)を受信した場合には、ROMから基準回転角度を読み込むことによって現在のステアリングシャフト2の回転角度を判定する。具体的には、ステアリングシャフト2の回転方向が右方向であると識別し、インデックスセンサ25の出力信号(パルスc)を受信した場合には、ステアリングシャフト2の回転角度が10度と判定する。また、ステアリングシャフト2の回転方向が左方向であると識別し、インデックスセンサ25の出力信号(パルスb)を受信した場合には、ステアリングシャフト2の回転角度−350度と判定する。このように、インデックスセンサ25の出力信号に基づいて、ステアリングシャフト2の基準絶対回転角度を設定することができる。なお、インデックスセンサ25が出力するパルス信号は、図4に示すように、所定回転角度分の長さを有するため、コントローラ13は、パルス信号の中央位置のときにROMから基準回転角度を読み込むのが望ましい。これは、磁気センサの場合、温度変化や経年変化によってパルス信号の幅が変わる可能性があり、パルス信号の端部を基準とした場合には、正確な基準回転角度の設定ができないためである。パルス信号の中央位置を基準とすれば、磁気センサの磁力が低下したり感度が低下したりしても正確に基準回転角度を設定することができる。
【0046】
インデックスセンサ25の出力信号に基づくステアリングシャフト2の基準回転角度の設定は、コントローラ13が車両の直進状態を判定する毎に行ってもよいし、イグニッションスイッチがオンになった後1回だけ行うようにしてもよい。
【0047】
さらには、インデックスセンサ25が出力するステアリングシャフト2の中立位置から1つ目のパルス信号を受信した際において、演算されたステアリングシャフト2の回転角度とROMに記憶された基準回転角度(10度又は−350度)との偏差が予め設定された許容値以上の場合に、インデックスセンサ25の出力信号に基づくステアリングシャフト2の基準回転角度の再設定を行うようにしてもよい。これにより、ステアリングシャフト回転角度検出装置100の動作中に、ノイズ等によってステアリングシャフト2の回転角度がずれて検出された場合であっても、インデックスセンサ25の出力信号に基づいてステアリングシャフト2の回転角度を再設定することができる。
【0048】
ステアリングシャフト2の基準回転角度が設定された後は、上記にて説明したように、高分解能センサ23の出力信号に基づいて演算された電動モータ10の回転角度の変化量と減速機11の減速比とに基づいてステアリングシャフト2の回転角度変化量を演算し、その回転角度変化量を基準回転角度に加算することによってステアリングシャフト2の回転角度を演算する。
【0049】
イグニッションスイッチのオンオフによる高分解能センサ23と低分解能センサ24の切り替えについては、上述したとおりである。
【0050】
以上のようにして、ステアリングシャフト2の回転角度を演算することができる。ここで、演算されたステアリングシャフト2の回転角度を基に、ステアリングホイール1のステアリング角度を得たい場合には、演算されたステアリングシャフト2の回転角度をトーションバー4の捩れ角度の分だけ補正する必要がある。これは、減速機11のウォームホイール11aは、ステアリングシャフト2の出力シャフト3に連結されているため、電動モータ10の回転角度の変化量と減速機11の減速比とから演算されるステアリングシャフト2の回転角度変化量は、出力シャフト3の回転角度変化量であり、入力シャフト7、つまりステアリングホイール1の回転角度変化量ではない。入力シャフト7と出力シャフト3はトーションバー4の捩れ角度の分だけ相対回転するため、その相対回転分を補正する必要がある。補正方法について説明すると、例えば、トーションバー4のばね定数が2Nm/degであり、トルクセンサ12の検出値である操舵トルクが4Nmであった場合には、入力シャフト7と出力シャフト3との間の捩れ角度は2度となる。つまり、補正値は2度と算出される。
【0051】
電動モータ10の回転角度の変化量から演算される出力シャフト3の回転角度変化量に補正値を加えることによって、入力シャフト7の回転角度変化量が算出され、その回転角度変化量をステアリングシャフト2の基準回転角度に加算することによってステアリングホイール1のステアリング角度を得ることができる。
【0052】
このように、ステアリングホイール1のステアリング角度を得たい場合には、ステアリングシャフト2のうち入力シャフト7の回転角度を演算する必要があり、その場合には、電動モータ10の回転角度の変化量と減速機11の減速比とから演算されるステアリングシャフト2(出力シャフト3)の回転角度変化量をトーションバー4の捩れ角度にて補正する必要がある。
【0053】
一方、インデックスセンサ25は入力シャフト7に設けられるため、インデックスセンサ25の出力信号に基づいてステアリングシャフト2の基準回転角度を設定する際に、トーションバー4の捩れ角度にて基準回転角度を補正する必要はない。
【0054】
次に、車両のバッテリが取り外された場合について説明する。バッテリが取り外されると、コントローラ13のRAMに記憶されたステアリングシャフト2の回転角度の情報が喪失してしまう。しかし、ステアリングシャフト回転角度検出装置100では、イグニッションスイッチがオンとなって、上述のように車両が直進状態であると判定されれば、コントローラ13は、インデックスセンサ25の出力信号に基づいてステアリングシャフト2の基準回転角度をROMから読み込むことによって、ステアリングシャフト2の基準回転角度を再設定することができる。したがって、ステアリングシャフト2の回転角度を再演算することができる。このように、ステアリングシャフト2の基準回転角度が不揮発性メモリであるROMに記憶されていることによって、車両のバッテリ交換後においても、自動でステアリングシャフト2の回転角度の再演算を行うことが可能となる。
【0055】
以上の実施の形態によれば、以下に示す作用効果を奏する。
【0056】
ステアリングシャフト2の回転角度は角度センサ22の出力信号に基づいて演算された電動モータ10の回転角度と減速機11の減速比とに基づいて演算されるため、ステアリングシャフト2に設けられるセンサにてステアリングシャフト2の回転角度を検出する場合と比較して、ステアリングシャフト2の回転角度を高分解能で検出することができる。また、角度センサ22は、電動モータ10の回転軸に取り付けられたリング磁石21の回転に伴い信号を出力するものであるため、構造も簡便である。
【0057】
また、車両のバッテリ交換後においても、インデックスセンサ25が出力するステアリングシャフト2の中立位置から1つ目のパルス信号に基づいてステアリングシャフト2の基準回転角度を不揮発性メモリから読み込むことによって、自動でステアリングシャフト2の回転角度の再演算が行われる。
【0058】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態に係るステアリングシャフト回転角度検出装置200について説明する。以下では、上記第1の実施の形態と異なる点を中心に説明し、第1の実施の形態と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0059】
ステアリングシャフト回転角度検出装置200は、電動モータ10が出力するトルクが歯車機構30及びボールねじ機構40を介してラック軸5に補助トルクとして付与される点で、上記第1の実施の形態に係るステアリングシャフト回転角度検出装置100と異なる。電動モータ10が出力するトルクがトルクセンサ12にて検出された操舵トルクに基づいて演算される点は同様である。
【0060】
歯車機構30は、電動モータ10の出力軸に連結される駆動プーリ31と、駆動プーリ31とベルト32を介して連結される従動プーリ33とを備える。従動プーリ33には、駆動プーリ31及びベルト32を介して電動モータ10の回転が伝達される。従動プーリ33の径は駆動プーリ31の径より大きく、従動プーリ33には電動モータ10の回転トルクが増幅して伝達される。
【0061】
ボールねじ機構40は、ラック軸5の外周に形成された螺旋溝41と、ラック軸5の外周を覆う円筒状に形成され、内周に螺旋溝41と噛み合う螺旋溝が形成されたボールナット42とを備える。ボールナット42は従動プーリ33に連結して設けられ、従動プーリ33の回転はボールねじ機構40によってラック軸5の軸方向への移動へと変換される。
【0062】
ラック軸5にはラック5aが形成され、ラック5aには出力シャフト3の下端に設けられるピニオン3aが噛合する。このように、ラック軸5とステアリングシャフト2は、ラック5aとピニオン3aにて構成されるラックピニオン機構45を介して連結される。
【0063】
以上のように、電動モータ10の回転は、歯車機構30、ボールねじ機構40、及びラックピニオン機構45を介してステアリングシャフト2に減速して伝達される。歯車機構30、ボールねじ機構40、及びラックピニオン機構45が本発明の減速機構に該当する。
【0064】
この減速機構の減速比について説明する。駆動プーリ31と従動プーリ33の減速比は1:3である。ボールナット42の1回転当たりのラック軸5の移動量は7mmであり、ステアリングシャフト2の1回転当たりのラック軸5の移動量は70mmであるため、ボールナット42とステアリングシャフト2の減速比は1:10である。このことから、減速機構の減速比は1:30である。つまり、ステアリングシャフト2が1回転すると電動モータ10は30回転する。
【0065】
以上より、ステアリングシャフト回転角度検出装置200では、高分解能センサ23によるステアリングシャフト2の回転角度の分解能は、以下の式のように0.011度と算出される。
【0066】
高分解能センサによるステアリングシャフト2の回転角度の分解能=360/360/3/30=0.011度
また、低分解能センサ24によるステアリングシャフト2の回転角度の分解能は、以下の式のように1度と算出される。
【0067】
低分解能センサによるステアリングシャフト2の回転角度の分解能=360/4/3/30=1度
ステアリングシャフト回転角度検出装置200は、上記第1の実施の形態に係るステアリングシャフト回転角度検出装置100と減速比が異なるのみで、ステアリングシャフト2の回転角度の検出方法は同じである。したがって、本第2の実施の形態でも、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏する。
【0068】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【0069】
例えば、上記実施の形態に示した高分解能センサ23及び低分解能センサ24によるステアリングシャフト2の回転角度の分解能の数値は一例であり、自由に調整することができる。
【0070】
また、上記実施の形態では、リング磁石21の回転に伴い出力される角度センサ22の信号に基づいて電動モータ10の回転角度が演算されると説明した。この構成に代わり、放射状のスリットが設けられ電動モータ10の回転軸に取り付けられた回転体と、その回転体を挟むようにして固定された発光部と受光部とからなる光センサとを用い、光センサの信号に基づいて電動モータ10の回転角度を演算するようにしても、上記実施の形態と同様の作用効果が得られる。
【0071】
また、上記実施の形態では、インデックスセンサ25は入力シャフト7に設けられると説明した。これに代えて、インデックスセンサ25を出力シャフト3に設けるようにしてもよい。この場合において、演算されたステアリングシャフト2の回転角度を基にステアリングホイール1のステアリング角度を得るには、インデックスセンサ25の出力信号に基づいてステアリングシャフト2の基準回転角度を設定する際に、トーションバー4の捩れ角度の分だけ基準回転角度を補正する必要がある。補正値の算出方法は上述したとおりである。
【0072】
また、上記実施の形態では、演算されたステアリングシャフト2の回転角度を基に、ステアリングホイール1のステアリング角度が得られると説明した。これに加えて、演算されたステアリングシャフト2の回転角度を基に、車輪6の切れ角を算出することもできる。車輪6の切れ角とは、車輪6が直進方向を向く中立状態からの転舵角である。ステアリングシャフト2が回転することによってラック軸5が軸方向に移動して車輪6が転舵されるため、ステアリングシャフト2の回転角度を基に車輪6の切れ角を算出することが可能となる。
【0073】
演算されたステアリングシャフト2の回転角度を基に車輪6の切れ角を得たい場合には、電動モータ10の回転角度の変化量から演算されるステアリングシャフト2の回転角度変化量をトーションバー4の捩れ角度にて補正する必要はない。これは、車輪6の切れ角を得たい場合には、ステアリングシャフト2のうち出力シャフト3の回転角度を演算する必要があり、減速機11のウォームホイール11aはステアリングシャフト2の出力シャフト3に連結されているためである。一方、インデックスセンサ25は入力シャフト7に設けられるため、インデックスセンサ25の出力信号に基づいてステアリングシャフト2の基準回転角度を設定する際には、トーションバー4の捩れ角度の分だけ基準回転角度を補正する必要がある。しかし、インデックスセンサ25を出力シャフト3に設けるようにすれば、インデックスセンサ25の出力信号に基づいてステアリングシャフト2の基準回転角度を設定する際に、トーションバー4の捩れ角度にて基準回転角度を補正する必要がない。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明に係るステアリングシャフト回転角度検出装置は、ステアリングシャフトの回転角度を基に各種の制御を行う車両に利用することができる。
【符号の説明】
【0075】
100,200 ステアリングシャフト回転角度検出装置
101 パワーステアリング装置
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 出力シャフト
4 トーションバー
7 入力シャフト
10 電動モータ
11 減速機
12 トルクセンサ
13 コントローラ
21 リング磁石
22 角度センサ
23 高分解能センサ
23a 第1高分解能センサ
23b 第2高分解能センサ
24 低分解能センサ
24a 第1低分解能センサ
24b 第2低分解能センサ
25 インデックスセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステアリングホイールの操作に伴って回転するステアリングシャフトの回転角度を検出するステアリングシャフト回転角度検出装置であって、
ドライバによる前記ステアリングホイールの操舵を補助する電動モータと、
前記電動モータの回転を前記ステアリングシャフトに減速して伝達する減速機構と、
前記電動モータの回転軸に取り付けられた回転体と、
前記回転体の回転に伴い信号を出力する信号出力器と、
前記信号出力器の出力信号に基づいて前記回転体の回転角度を演算し、当該回転角度と前記減速機構の減速比とに基づいて前記ステアリングシャフトの回転角度を演算するコントローラと、を備えることを特徴とするステアリングシャフト回転角度検出装置。
【請求項2】
前記ステアリングシャフトに取り付けられ、前記ステアリングシャフトの基準回転位置を検出する基準回転位置検出器をさらに備え、
前記コントローラは、前記基準回転位置検出器の出力信号に基づいて前記ステアリングシャフトの基準回転角度を設定すると共に、前記回転体の回転角度と前記減速機構の減速比とに基づいて前記ステアリングシャフトの回転角度変化量を演算し、前記基準回転角度に前記回転角度変化量を加算することによって前記ステアリングシャフトの回転角度を演算することを特徴とする請求項1に記載のステアリングシャフト回転角度検出装置。
【請求項3】
前記基準回転位置検出器は、前記ステアリングシャフトが1回転する毎に1パルスの信号を出力し、
前記コントローラは、前記基準回転位置検出器が出力する前記ステアリングシャフトの中立位置から1つ目のパルス信号の受信に基づいて当該パルス信号に対応する予め設定された基準回転角度を前記ステアリングシャフトの基準回転角度として設定することを特徴とする請求項2に記載のステアリングシャフト回転角度検出装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記基準回転位置検出器が出力する前記ステアリングシャフトの中立位置から1つ目のパルス信号を受信した際には、前記演算された前記ステアリングシャフトの回転角度と前記予め設定された基準回転角度との偏差が予め設定された許容値以上の場合には、前記基準回転位置検出器の出力信号に基づいて前記ステアリングシャフトの基準回転角度の再設定を行うことを特徴とする請求項3に記載のステアリングシャフト回転角度検出装置。
【請求項5】
前記基準回転位置検出器は、前記ステアリングシャフトが1回転する毎に1パルスの信号を出力し、
前記コントローラは、前記ステアリングシャフトの回転角度の情報を喪失した場合には、前記基準回転位置検出器が出力する前記ステアリングシャフトの中立位置から1つ目のパルス信号の受信に基づいて当該パルス信号に対応する予め設定された基準回転角度を不揮発性記憶部から読み込み、前記ステアリングシャフトの基準回転角度として設定することを特徴とする請求項2に記載のステアリングシャフト回転角度検出装置。
【請求項6】
前記信号出力器は、分解能が相対的に高い高分解能出力器と、分解能が相対的に低い低分解能出力器と、を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一つに記載のステアリングシャフト回転角度検出装置。
【請求項7】
前記高分解能出力器は車両のイグニッションスイッチがオンのときに動作し、前記低分解能出力器は車両のイグニッションスイッチがオフのときに動作するように切り換えられることを特徴とする請求項6に記載のステアリングシャフト回転角度検出装置。
【請求項8】
前記回転体は、回転方向に着磁されたリング磁石であり、
前記高分解能出力器は、前記回転体の回転に応じて90度位相のずれた複数周期の正弦波信号を出力する2つの出力器からなり、
前記コントローラは、前記高分解能出力器の出力信号と前記電動モータの電気角との関係が規定されたテーブルに基づいて電気角の変化量を演算し、前記変化量から前記回転体の回転角度を演算することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のステアリングシャフト回転角度検出装置。
【請求項9】
前記低分解能出力器は、前記回転体の回転に応じて所定電気角毎に出力変化があるようにパルス信号を出力する2つの出力器からなり、
前記コントローラは、前記低分解能出力器が出力するパルス信号の変化に基づいて、前記電動モータの電気角が前記所定電気角毎に区切られた複数のセクションのうちどこのセクション内にあるかを判定することを特徴とする請求項6から請求項8のいずれか一つに記載のステアリングシャフト回転角度検出装置。
【請求項10】
車両のイグニッションスイッチがオフのときには、前記コントローラは、前記低分解能出力器が出力するパルス信号の変化の数をカウントして記憶することのみを行う待機状態となり、
車両のイグニッションスイッチがオンになったときには、前記コントローラは、記憶されたパルス信号の変化の数から前記電動モータの電気角が前記所定電気角毎に区切られた複数のセクションのうちどこのセクション内にあるかを判定することを特徴とする請求項9に記載のステアリングシャフト回転角度検出装置。
【請求項11】
車両のイグニッションスイッチがオフのときには、前記低分解能出力器は前記電動モータの回転の検出を行う一方、前記コントローラは停止状態となり、
前記低分解能出力器が前記電動モータの回転を検出するのに基づいて、前記コントローラは、前記待機状態となることを特徴とする請求項10に記載のステアリングシャフト回転角度検出装置。
【請求項12】
車両のイグニッションスイッチがオフのときには、前記低分解能出力器は前記電動モータの回転の検出を行う一方、前記コントローラは停止状態となり、
前記低分解能出力器が前記電動モータの回転を検出するのに基づいて、前記低分解能出力器から前記高分解能出力器への検出に切り換えられることを特徴とする請求項6に記載のステアリングシャフト回転角度検出装置。
【請求項13】
前記コントローラは、車速が所定速度以上である場合において、前記ステアリングシャフトに作用する操舵トルクが所定値以下で、かつ前記信号出力器の出力信号に基づいて演算された前記回転体の回転角度の変化量が所定値以下である場合に、前記ステアリングシャフトが中立位置であると判定することを特徴とする請求項3から請求項12のいずれか一つに記載のステアリングシャフト回転角度検出装置。
【請求項14】
前記コントローラは、前記基準回転位置検出器が出力するパルス信号の中央位置のときに、前記予め設定された基準回転角度を前記ステアリングシャフトの基準回転角度として設定することを特徴とする請求項3から請求項13のいずれか一つに記載のステアリングシャフト回転角度検出装置。
【請求項15】
前記ステアリングシャフトは、前記ステアリングホイールの操作に伴って回転する入力シャフトと、トーションバーを介して前記入力シャフトと接続されラック軸に連係する出力シャフトと、を備え、
前記電動モータの回転は前記減速機構を介して前記出力シャフトに伝達され、
前記基準回転位置検出器は前記入力シャフトに取り付けられ、
前記コントローラは、前記ステアリングシャフトのうち前記入力シャフトの回転角度を演算する場合には、前記回転体の回転角度と前記減速機構の減速比とに基づいて前記ステアリングシャフトの回転角度変化量を演算する際に前記回転角度変化量を前記トーションバーの捩れ角度にて補正することを特徴とする請求項2から請求項14のいずれか一つに記載のステアリングシャフト回転角度検出装置。
【請求項16】
前記ステアリングシャフトは、前記ステアリングホイールの操作に伴って回転する入力シャフトと、トーションバーを介して前記入力シャフトと接続されラック軸に連係する出力シャフトと、を備え、
前記電動モータの回転は前記減速機構を介して前記出力シャフトに伝達され、
前記基準回転位置検出器は前記出力シャフトに取り付けられ、
前記コントローラは、前記ステアリングシャフトのうち前記入力シャフトの回転角度を演算する場合には、前記回転体の回転角度と前記減速機構の減速比とに基づいて前記ステアリングシャフトの回転角度変化量を演算する際に前記回転角度変化量を前記トーションバーの捩れ角度にて補正し、かつ前記基準回転位置検出器の出力信号に基づいて前記ステアリングシャフトの基準回転角度を設定する際に前記基準回転角度を前記トーションバーの捩れ角度にて補正することを特徴とする請求項2から請求項14のいずれか一つに記載のステアリングシャフト回転角度検出装置。
【請求項17】
前記ステアリングシャフトは、前記ステアリングホイールの操作に伴って回転する入力シャフトと、トーションバーを介して前記入力シャフトと接続されラック軸に連係する出力シャフトと、を備え、
前記電動モータの回転は前記減速機構を介して前記出力シャフトに伝達され、
前記基準回転位置検出器は前記入力シャフトに取り付けられ、
前記コントローラは、前記ステアリングシャフトのうち前記出力シャフトの回転角度を演算する場合には、前記基準回転位置検出器の出力信号に基づいて前記ステアリングシャフトの基準回転角度を設定する際に前記基準回転角度を前記トーションバーの捩れ角度にて補正することを特徴とする請求項2から請求項14のいずれか一つに記載のステアリングシャフト回転角度検出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate