説明

ステアリングハンガビーム構造

【課題】質量増加を抑制できるとともに、従来よりも簡易に剛性の向上が可能なステアリングハンガビーム構造を提供する。
【解決手段】ステアリングハンガビーム構造1は、車幅方向に延設されたステアリングハンガビーム10と、ステアリングコラム2を支持するコラムホルダ20と、プレス板より形成されるスティフナ30と、を備える。スティフナ30は、第2パイプ部材12の前側の外周面から前方やや斜め下に向かって延出する板状のスティフナ本体31と、運転席側ホルダ部材5に連結される車体部材側連結端部31cと、コラムホルダ20に連結されるコラムホルダ側連結端部31bと、ステアリングハンガビーム10の外周面に接合されるビーム接合端部31dと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングコラムを支持するステアリングハンガビームの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の運転席に配置されたインストルメントパネルの内部には、ステアリングコラムを支持するためのステアリングハンガビームが、車両の左右方向に架設されている。
例えば、特許文献1には、車室前部を横架して両端が各々車体に結合されたステアリングハンガビーム構造において、ステアリングハンガビームを、その長手方向の略全幅に亘って内管と外管とからなる二重管構造にして補強することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−222157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のステアリングハンガビーム構造は、長手方向の略全幅に亘って内管と外管とからなる二重管構造に構成されていることから、ステアリングハンガビームの質量が著しく増加してしまうという問題がある。
また、ステアリングハンガビームを二重管構造とする製造工程は複雑であり、より簡易に剛性の向上が可能な補強構造が望まれていた。
【0005】
本発明は、これらの問題に鑑みて成されたものであり、質量増加を抑制できるとともに、従来よりも簡易に剛性の向上が可能なステアリングハンガビーム構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車幅方向に延びて左右の車体部材に連結されたステアリングハンガビームと、前記ステアリングハンガビームの車幅方向の途中に配置されてステアリングコラムを支持するコラムホルダと、プレス板より形成されるスティフナと、を備えるステアリングハンガビーム構造であって、前記スティフナは、前記ステアリングハンガビームの断面中心から離間する方向へ延設されたスティフナ本体と、前記スティフナ本体の車幅方向の一端側であって前記車体部材に連結される車体部材側連結端部と、前記スティフナ本体の車幅方向の他端側であって前記コラムホルダに連結されるコラムホルダ側連結端部と、前記スティフナ本体の前記ステアリングハンガビーム側の端部であって前記ステアリングハンガビームの外周面に接合されるビーム接合端部と、を有することを特徴とする。
【0007】
かかる構成によれば、スティフナが、プレス板より形成されるとともに、車体部材とコラムホルダの間に設けられているので、補強部材の追加による車体の質量増加を抑制できる。また、スティフナが車体部材とコラムホルダとステアリングハンガビームとの3部材を接合するとともに、スティフナ本体がステアリングハンガビームの断面中心から離間する方向へと延設される構造となるため、ステアリングハンガビームの剛性を十分に確保することができる。特に、スティフナ本体と略平行な方向(スティフナ本体の面に沿う方向)にステアリングハンガビームを曲げたり断面変形させる荷重に対する強度・剛性を十分に得ることができる。
【0008】
また、前記スティフナは、前記ビーム接合端部と反対側の端部から前記スティフナ本体と交差する方向に延出する第1フランジ部をさらに有する構成とするのが好ましい。
【0009】
このような構成によれば、ビーム接合端部と反対側の端部からスティフナ本体と交差する方向に第1フランジ部が延出しているので、スティフナ本体と交差する方向(第1フランジ部と略平行な方向)にステアリングハンガビームを曲げたり断面変形させる荷重に対する強度・剛性を十分に得ることができる。
【0010】
また、前記第1フランジ部は、前記スティフナの車幅方向全長に亘って設けられ、前記第1フランジ部の前記スティフナ本体と反対側の端部に、前記コラムホルダ側に接近するにつれて前記スティフナ本体との間の距離が徐々に広がるように傾斜したコラムホルダ側傾斜部を備える構成とするのが好ましい。
【0011】
また、前記第1フランジ部は、前記スティフナの車幅方向全長に亘って設けられ、前記第1フランジ部の前記スティフナ本体と反対側の端部に、前記車体部材側に接近するにつれて前記スティフナ本体との間の距離が徐々に広がるように傾斜した車体部材側傾斜部を備える構成とするのが好ましい。
【0012】
かかる構成によれば、第1フランジ部のスティフナ本体と反対側の端部に、コラムホルダ側傾斜部と車体部材側傾斜部が形成されるので、第1フランジ部と略平行な方向の荷重(第1フランジ部の面に沿う方向)に対する強度・剛性が向上する。
【0013】
また、前記スティフナは、前記スティフナ本体が車両前後方向へ延びるように前記ステアリングハンガビームの前記外周面に接合され、前記スティフナは、前記スティフナの車幅方向全長に亘って設けられ、前記ビーム接合端部と反対側の端部から下方に延出する第1フランジ部をさらに有し、前記第1フランジ部の下端部には、前記コラムホルダ側に接近するにつれて下方に位置するように傾斜したコラムホルダ側傾斜部と、前記車体部材側に接近するにつれて下方に位置するように傾斜した車体部材側傾斜部と、が形成されている構成とするのが好ましい。
【0014】
かかる構成によれば、第1フランジ部が下方向に延設されており、コラムホルダ側傾斜部と車体部材側傾斜部とによって第1フランジ部の下端部が上向きに凸となる湾曲形状に形成されるので、ステアリングハンガビームが下方に撓むような変形に対する強度・剛性をアーチ作用によって十分に高めることができる。そのため、ステアリングコラムやハンドルなどの自重によってステアリングハンガビームが撓むことを抑制することができる。
【0015】
また、前記コラムホルダは、車体前後方向に延在し上向きに開口する凹形状断面部を有し、前記スティフナは、前記凹形状断面部の開口部を塞いで前記凹形状断面部と共に閉断面を形成する脚部をさらに備える構成とするのが好ましい。
【0016】
かかる構成によれば、スティフナの脚部とコラムホルダの凹形状断面部とによって閉断面が形成されるので、ステアリングハンガビームの曲げや変形に対する強度・剛性を一層向上することができる。
【0017】
また、前記コラムホルダは、車体前後方向に延在し上向きに開口する凹形状断面部を有し、前記スティフナは、前記凹形状断面部の開口部を塞いで前記凹形状断面部と共に閉断面を形成する脚部をさらに備え、前記脚部は、前記コラムホルダ側傾斜部に連続して形成されている構成とするのが好ましい。
【0018】
かかる構成によれば、閉断面によってステアリングハンガビームの曲げや変形に対する強度・剛性を向上できることに加えて、第1フランジ部と脚部との間にコラムホルダ側傾斜部が形成されているので、第1フランジ部と脚部との間での急な形状変化(屈曲)を抑制して、脚部への応力集中を緩和することができる。
【0019】
また、前記スティフナは、前記コラムホルダ側連結端部から前記スティフナ本体と交差する方向に延出する第2フランジ部を備え、前記コラムホルダ側連結端部は、該第2フランジ部を介して前記コラムホルダに連結されている構成とするのが好ましい。
【0020】
かかる構成によれば、スティフナ本体と第1フランジ部と第2フランジ部とによって、3方向の面部が構成されるので、スティフナの強度・剛性を一層向上させることができる。
【0021】
また、前記スティフナは、車幅方向に延びるビードを備え、該ビードは、前記スティフナ本体と前記第2フランジ部とに跨って形成されている構成とするのが好ましい。
【0022】
かかる構成によれば、スティフナ本体と前記第2フランジ部とに跨って形成されたビードによって、スティフナ本体及び第2フランジ部の面外方向の曲げ変形に対する強度・剛性が向上し、ひいてはスティフナ自体の強度・剛性が向上することとなる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、質量増加を抑制できるとともに、従来よりも簡易に剛性の向上が可能なステアリングハンガビーム構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】ステアリングハンガビーム構造の平面図である。
【図2】ステアリングハンガビームに取り付けられたスティフナを左前方から見下ろした斜視図である。
【図3】図2に示すI−I線の断面図である。
【図4】図2に示すII−II線の断面図である。
【図5】図2に示す矢印X方向から見たスティフナの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態について、図1乃至図5を参照して詳細に説明する。本実施形態では、右ハンドルタイプの自動車に本発明を適用した場合を例にとって説明する。説明において、同一の要素には同一の番号を付し、重複する説明は省略する。また、説明において方向を示すときは、車両の前後左右上下を基準にして説明する。なお、「車幅方向」と「左右方向」は同義である。
【0026】
本実施形態に係るステアリングハンガビーム構造1は、図1に示すように、ステアリングコラム2およびステアリングホイール3を支持する装置であり、図示しない車室前部に設けられたインストルメントパネルの内部に設置されている。
ステアリングハンガビーム構造1は、車幅方向に延設されたステアリングハンガビーム10と、ステアリングコラム2を支持するコラムホルダ20と、プレス板より形成されるスティフナ30と、を主に備えている。
【0027】
図1に示すように、ステアリングハンガビーム10は、車幅方向に延在して左右の車体部材の間に架設されたパイプ状の中空部材である。ステアリングハンガビーム10の左端側10aは、助手席側の車体部材に設けられた助手席側ホルダ部材4に固定されている。また、ステアリングハンガビーム10の右端側10bは、運転席側の車体部材に設けられた運転席側ホルダ部材5に固定されている。
【0028】
ステアリングハンガビーム10は、助手席側の第1パイプ部材11と、この第1パイプ部材11よりも太径に形成された運転席側の第2パイプ部材12と、を有している。第1パイプ部材11と第2パイプ部材12は、溶接などの接合手段によって一体化されている。運転席側の第2パイプ部材12の中間部には、後記するコラムホルダ20が固定されている。また、コラムホルダ20の左右両側には、一対のニーボルスター13,13が、第2パイプ部材12の下面から斜め下後方に向かって延設されている。ニーボルスター13は、例えば自動車の前方衝突時に乗員の膝部からの荷重を受けて乗員の前方移動を抑制する部材である。
なお、図示は省略するが、ステアリングハンガビーム10には、その他にも、グローブボックスやセンターパネルを取り付けるためのブラケットなどが設けられている。
【0029】
図1に示すように、コラムホルダ20は、ステアリングコラム2を支持する部材であり、ステアリングハンガビーム10の車幅方向の途中(より詳しくは、第2パイプ部材12の中央よりも若干左寄りの位置)であって、ステアリングハンガビーム10の下側に取り付けられている。コラムホルダ20は、ステアリングコラム2に沿って前後方向に延設されている。
【0030】
図2及び図4に示すように、コラムホルダ20は、下向きに開口する凹溝状のコラム取付部21と、コラム取付部21の左右両側に設けられた上向きに開口する凹形状断面部22R,22Lと、を有している。コラム取付部21は、ステアリングコラム2に上方から嵌合するように取り付けられる。また、コラムホルダ20の上面には、第2パイプ部材12の下面の形状に合わせて円弧状に凹設されたビーム取付部23が設けられている。
なお、図示は省略するが、コラムホルダ20の左側の凹形状断面部22Lは、図示しない支持ステーを介してインストルメントパネルやダッシュボードアッパなどの前部車体部材に連結されている。
【0031】
図1に示すように、スティフナ30は、ステアリングハンガビーム10を補強する部材であり、鋼板やアルミ板などの金属製の板材をプレス成形したプレス板で形成されている。スティフナ30は、第2パイプ部材12の前側の外周面であって運転席側ホルダ部材5からコラムホルダ20に至る部分に取り付けられている。
【0032】
図2、図3に示すように、スティフナ30は、第2パイプ部材12の前側の外周面から前方やや斜め下に向かって延出する板状のスティフナ本体31と、このスティフナ本体31の前端部31aから下方に向かって延出する第1フランジ部32と、第1フランジ部32のコラムホルダ20側に設けられた脚部33と、スティフナ本体31のコラムホルダ20側の端部31bから下方に延出する第2フランジ部34と、スティフナ30の略全体に亘って形成されたビード35と、を主に有している。
【0033】
スティフナ本体31は、左右方向に長尺に形成された平面視で長方形状を呈する板状部分である。スティフナ本体31は、図示しない電装部材の取付座となる複数の貫通孔31eを有している。スティフナ本体31は、図3に示すように断面視したときに、第2パイプ部材12の前側の外周面から、第2パイプ部材12の断面中心Oから遠ざかる方向(本実施形態では前方)に延設されている。
【0034】
図2に示すように、スティフナ本体31の右側の端部31c(以下、「車体部材側連結端部31c」という場合がある。)は、車体部材である運転席側ホルダ部材5に例えばミグ溶接などで接合されている。
また、スティフナ本体31のコラムホルダ20側の端部31b(以下、「コラムホルダ側連結端部31b」という場合がある。)は、第2フランジ部34を介して、コラムホルダ20の上面に連結されている。なお、第2フランジ部34の下端部34aは、コラムホルダ20の上面に例えばミグ溶接などで接合されている。
また、スティフナ本体31のステアリングハンガビーム10側の端部31d(以下、「ビーム接合端部31d」という場合がある。)は、第2パイプ部材12に沿って左右方向に延在しており、第2パイプ部材12の外周面に例えばミグ溶接などで接合されている。
【0035】
図2及び図5に示すように、第1フランジ部32は、スティフナ本体31の前端部31aから下方に向かって延出する壁状部分である。本実施形態では、第1フランジ部32は、スティフナ本体31に対して略直交するように曲折成形されている。第1フランジ部32の右側の端部32aは、運転席側ホルダ部材5に例えばミグ溶接などで連結されている。第1フランジ部32の左側の端部32b周辺は、コラムホルダ20の右側の凹形状断面部22Rの上方に位置しており、スティフナ本体31と脚部33とを連結する壁部32cを構成している。
【0036】
第1フランジ部32のスティフナ本体31と反対側の端部である下端部32dのうち運転席側ホルダ部材5側の部分32e(以下、「車体部材側傾斜部32e」という場合がある。)は、運転席側ホルダ部材5に近づくに連れてスティフナ本体31から離れるように傾斜している。
また、第1フランジ部32の下端部32dのうちコラムホルダ20側の部分32f(以下、「コラムホルダ側傾斜部32f」という場合がある。)は、コラムホルダ20(より詳しくは、壁部32c)に近づくに連れてスティフナ本体31から離れるように傾斜している。
このように、第1フランジ部32の下端部32dは、車体部材側傾斜部32eとコラムホルダ側傾斜部32fとが形成されることにより、中央部よりも左右両端部が下方に位置する上向きに凸となる湾曲形状となる。
なお、第1フランジ部32の下端部32dには、貫通孔を夫々有する2箇所の突部32g、32g(図5参照)が互いに離間して設けられる。
【0037】
図2及び図4に示すように、脚部33は、第1フランジ部32の壁部32cの下端部から前方に延設されている。つまり、脚部33は、壁部32cを介してコラムホルダ側傾斜部32fに連続している。脚部33は、コラムホルダ20の右側の凹形状断面部22Rに嵌合している。
図4に示すように、脚部33は、凹形状断面部22Rの底部22Raから上方に離間した位置に配置されている。また、脚部33の左右両側部33a,33bは、凹形状断面部22Rの左右の内壁22Rb,22Rcに例えばミグ溶接でそれぞれ接合されている。これにより、脚部33と凹形状断面部22Rによって閉断面Kが形成されている。
【0038】
第2フランジ部34は、スティフナ本体31のコラムホルダ20側の端部31bから下方に延出する壁状部分である。本実施形態では、第2フランジ部34は、スティフナ本体31及び第1フランジ部32の両者に対して直交するように曲折成形されている。第2フランジ部34の下端部34aは、コラムホルダ20の上面に例えばミグ溶接などで接合されている。第2フランジ部34の前端部は、第1フランジ部32と離間しているとともに、第2フランジ部34の後端部は、第2パイプ部材12の外周面と離間している。
【0039】
ビード35は、スティフナ30の剛性を高めるための補強構造である。ビード35は、図3に示すように、表面側が凹状となり、裏面側が凸状となるように、プレス板をプレス成形することによって形成されている。
図2に示すように、ビード35は、スティフナ本体31の上面のステアリングハンガビーム10側の縁部に沿って左右方向に延設された第1ビード部35aと、スティフナ本体31の右端部31c付近において、第1ビード部35aから連続して前方に湾曲するように形成された第2ビード部35bと、スティフナ本体31のコラムホルダ20側の端部31b付近において、第1ビード部35aから前方に湾曲するように、第1ビード部35aよりも幅広に形成された第3ビード部35cと、第3ビード部35cから壁部32cを通って脚部33の上面に至る第4ビード部35dと、第3ビード部35cから第2フランジ部34の表面に跨って形成された第5ビード部35eと、を備えている。
【0040】
本実施形態に係るステアリングハンガビーム構造1は、基本的に以上のように構成されるものであり、次に、ステアリングハンガビーム構造1の作用効果について、図1乃至図5を参照して説明する。
【0041】
ステアリングハンガビーム構造1によれば、スティフナ30がプレス板より形成されるとともに、運転席側ホルダ部材5とコラムホルダ20との間に設けられているので、従来のように、ステアリングハンガビーム10の全長に亘って二重管構造とする補強に比較して、車体の質量増加を抑制することができる。
【0042】
また、スティフナ30が、運転席側ホルダ部材5とコラムホルダ20とステアリングハンガビーム10との3部材を接合するとともに、スティフナ本体31が、ステアリングハンガビーム10の断面中心Oから離間する方向(本実施形態では前方)へと延設される構造となるため、ステアリングハンガビーム10の剛性を十分に確保することができる。特に、スティフナ本体31と略平行な方向(すなわち前後方向)にステアリングハンガビーム10を曲げたり断面変形させる荷重に対する強度・剛性を十分に得ることができる。
【0043】
また、スティフナ本体31の前端部31aから下方に向かって第1フランジ部32が延出しているので、上下方向にステアリングハンガビーム10を曲げたり断面変形させる荷重に対する強度・剛性を十分に得ることができる。
【0044】
また、第1フランジ部32が上下方向に延設されており、コラムホルダ側傾斜部32fと車体部材側傾斜部32eとによって第1フランジ部32の下端部32dが上向きに凸となる湾曲形状に形成されるので、ステアリングハンガビーム10が下方に撓むような変形に対する強度・剛性をアーチ作用によって十分に高めることができる。そのため、ステアリングコラム2やステアリングホイール3などの自重によってステアリングハンガビーム10が撓むことを抑制することができる。
【0045】
また、スティフナ30の脚部33とコラムホルダ20の凹形状断面部22Rとによって閉断面Kが形成されるので、ステアリングハンガビーム10の曲げや変形に対する強度・剛性を一層向上することができる。
【0046】
また、第1フランジ部32と脚部33との間にコラムホルダ側傾斜部32fが形成されているので、第1フランジ部32と脚部33との間での急な形状変化(屈曲)を抑制して、脚部33への応力集中を緩和することができる。
【0047】
また、スティフナ本体31と第1フランジ部32と第2フランジ部34とによって、3方向の面部がボックス状に構成されるので、スティフナ30の強度・剛性を一層向上させることができる。
【0048】
また、スティフナ30は、車幅方向に延びるビード35を備え、該ビード35は、スティフナ本体31と脚部33とに跨って形成されるとともに、スティフナ本体31と第2フランジ部34とに跨って形成されているので、スティフナ30の面外方向の変形に対する強度・剛性が一層向上する。
【0049】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0050】
例えば、本実施形態では、スティフナ30を、ステアリングハンガビーム10の前側に取り付けたが、これに限定されるものではなく、強度・剛性を向上させたい方向に応じて前後上下いずれの方向に取り付けてもよい。
【0051】
また、本実施形態では、ステアリングハンガビーム10を取り付ける左右の車体部材として助手席側ホルダ部材4及び運転席側ホルダ部材5を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、フロントピラーやインナパネルなど、適宜な車体部材に直接取り付けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 ステアリングハンガビーム構造
2 ステアリングコラム
3 ステアリングホイール
4 助手席側ホルダ部材
5 運転席側ホルダ部材
10 ステアリングハンガビーム
11 第1パイプ部材
12 第2パイプ部材
13 ニーボルスター
20 コラムホルダ
21 コラム取付部
22L 凹形状断面部
22R 凹形状断面部
23 ビーム取付部
30 スティフナ
31 スティフナ本体
31b コラムホルダ側連結端部
31c 車体部材側連結端部
31d ビーム接合端部
32 第1フランジ部
32e 車体部材側傾斜部
32f コラムホルダ側傾斜部
33 脚部
34 第2フランジ部
35 ビード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に延びて左右の車体部材に連結されたステアリングハンガビームと、
前記ステアリングハンガビームの車幅方向の途中に配置されてステアリングコラムを支持するコラムホルダと、
プレス板より形成されるスティフナと、を備えるステアリングハンガビーム構造であって、
前記スティフナは、
前記ステアリングハンガビームの断面中心から離間する方向へ延設されたスティフナ本体と、
前記スティフナ本体の車幅方向の一端側であって前記車体部材に連結される車体部材側連結端部と、
前記スティフナ本体の車幅方向の他端側であって前記コラムホルダに連結されるコラムホルダ側連結端部と、
前記スティフナ本体の前記ステアリングハンガビーム側の端部であって前記ステアリングハンガビームの外周面に接合されるビーム接合端部と、
を有することを特徴とするステアリングハンガビーム構造。
【請求項2】
前記スティフナは、前記ビーム接合端部と反対側の端部から前記スティフナ本体と交差する方向に延出する第1フランジ部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載のステアリングハンガビーム構造。
【請求項3】
前記第1フランジ部は、前記スティフナの車幅方向全長に亘って設けられ、前記第1フランジ部の前記スティフナ本体と反対側の端部に、前記コラムホルダ側に接近するにつれて前記スティフナ本体との間の距離が徐々に広がるように傾斜したコラムホルダ側傾斜部を備えることを特徴とする請求項2に記載のステアリングハンガビーム構造。
【請求項4】
前記第1フランジ部は、前記スティフナの車幅方向全長に亘って設けられ、前記第1フランジ部の前記スティフナ本体と反対側の端部に、前記車体部材側に接近するにつれて前記スティフナ本体との間の距離が徐々に広がるように傾斜した車体部材側傾斜部を備えることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のステアリングハンガビーム構造。
【請求項5】
前記スティフナは、前記スティフナ本体が車両前後方向へ延びるように前記ステアリングハンガビームの前記外周面に接合され、
前記スティフナは、前記スティフナの車幅方向全長に亘って設けられ、前記ビーム接合端部と反対側の端部から下方に延出する第1フランジ部をさらに有し、
前記第1フランジ部の下端部には、前記コラムホルダ側に接近するにつれて下方に位置するよう傾斜したコラムホルダ側傾斜部と、前記車体部材側に接近するにつれて下方に位置するよう傾斜した車体部材側傾斜部と、が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のステアリングハンガビーム構造。
【請求項6】
前記コラムホルダは、車体前後方向に延在し上向きに開口する凹形状断面部を有し、
前記スティフナは、前記凹形状断面部の開口部を塞いで前記凹形状断面部と共に閉断面を形成する脚部をさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のステアリングハンガビーム構造。
【請求項7】
前記コラムホルダは、車体前後方向に延在し上向きに開口する凹形状断面部を有し、
前記スティフナは、前記凹形状断面部の開口部を塞いで前記凹形状断面部と共に閉断面を形成する脚部をさらに備え、
前記脚部は、前記コラムホルダ側傾斜部に連続して形成されていることを特徴とする請求項3又は請求項5に記載のステアリングハンガビーム構造。
【請求項8】
前記スティフナは、前記コラムホルダ側連結端部から前記スティフナ本体と交差する方向に延出する第2フランジ部を備え、
前記コラムホルダ側連結端部は、該第2フランジ部を介して前記コラムホルダに連結されていることを特徴とする請求項2から請求項7のいずれか1項に記載のステアリングハンガビーム構造。
【請求項9】
前記スティフナは、車幅方向に延びるビードを備え、該ビードは、前記スティフナ本体と前記第2フランジ部とに跨って形成されていることを特徴とする請求項8に記載のステアリングハンガビーム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−106517(P2012−106517A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−254733(P2010−254733)
【出願日】平成22年11月15日(2010.11.15)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】