説明

ステアリングロック装置

【課題】仮にスライダ部材が破損しても、ロック部材がロック方向に飛び出してしまうことを防止することができる。
【解決手段】スライダ12の下面に、板状のプレート部材27とこれをロック方向に付勢する保持用付勢部材28とからなる保持機構26を設け、この保持機構26によってスライダ12をロック方向に支持する。保持機構26は、ステアリングロック装置3がアンロック状態においてスライダ12が結合部分25で破損したとしても、スライダ本体部37と破損部38との一部品化を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアリングホイールの操作をロックするステアリングロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から周知のように、例えば特許文献1には、図11に示すような機械操作式のステアリングロック装置81が開示されている。機械操作式のステアリングロック装置81は、車両電源を切り換える際に操作するキーシリンダ82の回動操作に伴い、ロック/アンロックが切り換わるタイプのロック装置である。
【0003】
例えば、キーシリンダ82がオフ位置に位置すると、ロックスプリング83がスライダ84を介して、ロックバー85をロック方向に押し出すことにより、ロックバー85がステアリングシャフト(図示略)の係止溝に係止し、ステアリングロック装置81がロック状態となる。一方、キーシリンダ82が電源オン方向に回動操作されると、キーシリンダ82の先端に取り付けられたカムシャフト86が同一軸上で一体に回る。これにより、カムシャフト86の壁面に形成された突状の押上部87がスライダ84をアンロック方向に押し上げ、ロックバー85がステアリングシャフトの係止溝から離脱し、ステアリングロック装置81がアンロック状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−055292号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種のステアリングロック装置81では、スライダ84がロックバー85との結合部分88において過使用の場合に疲労破壊してしまう可能性も否めない。こうなると、ロックバー85をスライダ84でアンロック位置にて保持する状態が維持できなくなり、ロックバー85が単独でロック方向に飛び出してしまう可能性があった。
【0006】
本発明の目的は、仮にスライダ部材が破損しても、ロック部材がロック方向に飛び出してしまうことを防止することができるステアリングロック装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記問題点を解決するために、本発明では、ロック部材がスライダ部材を介してロック/アンロックの各方向に動作可能であり、前記ロック部材がステアリングシャフトに係止するとロック状態をとり、前記ロック部材が前記ステアリングシャフトと非係止となるとアンロック状態となるステアリングロック装置において、前記スライダ部材が仮に破損しても、当該スライダ部材と前記ロック部材とが組み付く状態を保持する保持機構を備えたことを要旨とする。
【0008】
本発明の構成によれば、例えばステアリングロック装置がアンロック状態の際、仮にスライダ部材が破損したとしても、保持機構によってスライダ部材とロック部材との組み付け状態が保持されるので、ロック部材をアンロック位置にて保持する状態が維持される。このため、仮にスライダ部材が破損しても、ロック部材のロック方向への移動を生じ難くすることが可能となるので、意図せぬロック状態の切り換えを生じ難くすることが可能となる。
【0009】
本発明では、前記ロック部材は、間接的又は直接的にロック用付勢部材によってロック方向に常時付勢されている。この構成によれば、ステアリングロック装置がロック状態に切り換わる際、ロック部材がステアリングシャフトの係止溝と位置が合っておらず、ロック部材がステアリングシャフトの外面に乗り上げたとしても、ステアリングシャフトを位置合わせすれば、ロック用付勢部材にてロック部材を係止溝に係止させることが可能となる。このため、ステアリングロック装置のロック状態への切り換えを確実に行うことが可能となる。また、この構成をとっていると、仮にスライダ部材が破損した場合、ロック部材が単独でロック方向に飛び出す動きをとろうとするが、これを保持機構にて規制することが可能となる。
【0010】
本発明では、メカニカルキーによってキーシリンダを回動操作することにより、前記スライダ部材を介して前記ロック部材のロック/アンロックを切り換える機械操作式であることを要旨とする。この構成によれば、機械操作式のステアリングロック装置において、意図せぬロック状態への切り換えを生じ難くすることが可能となる。
【0011】
本発明では、前記保持機構は、前記スライダ部材において前記ロック部材との結合部分を支持することを要旨とする。この構成によれば、スライダ部材においてロック部材との結合部分という破損する可能性の高い場所を保持機構によって支持するので、スライダ部材とロック部材との組み付け状態をより確実に確保することが可能となる。
【0012】
本発明では、動作状態がアンロック状態となった際、前記保持機構が前記スライダ部材を支持する状態を補助する補助機構を備えたことを要旨とする。この構成によれば、アンロック時の保持機構によるスライダ部材とロック部材と組み付け状態が補助機構によって補助されるので、スライダ部材破損時のロック部材のロック方向への移動を一層生じ難くすることが可能となる。
【0013】
本発明では、前記保持機構は、前記スライダ部材を支持する板状のプレート部材と、当該プレート部材を前記スライダ部材に押し付ける保持用付勢部材とを備えることを要旨とする。この構成によれば、保持機構を板状のプレート部材とそれをスライダ部材に押し付ける付勢部材とから構成したので、保持機構が小型な部品で済む。このため、ステアリングロック装置に元からあるスペースに保持機構を搭載することが可能となるので、ステアリングロック装置の装置体格が大型化せずに済む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、仮にスライダ部材が破損しても、ロック部材がロック方向に飛び出してしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】一実施形態のステアリングロック装置の斜視図。
【図2】キーシリンダが電源オフ位置時の図であり、(a)が正面図、(b)が(a)のII−II線断面図。
【図3】キーシリンダがACCオン位置時の図であり、(a)が正面図、(b)が(a)のII−II線断面図。
【図4】キーシリンダがIGオン位置時の図であり、(a)が正面図、(b)が(a)のII−II線側面図。
【図5】キーシリンダがスタータオン位置時の図であり、(a)が正面図、(b)が(a)のII−II線側面図。
【図6】(a)は保持機構のプレート部材の平面図、(b)はプレート部材の側面図。
【図7】保持機構の付勢部材の側面図。
【図8】スライダが疲労破壊したときの状態図。
【図9】別例の保持機構の構造例を示す模式図。
【図10】別例の電動ステアリングロック装置の概念図。
【図11】従来のステアリングロック装置の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を具体化したステアリングロック装置の一実施形態を図1〜図8に従って説明する。
図1に示すように、車両のコラムチューブ1には、車両駐車時においてステアリングシャフト2の回動操作を不可とすることにより車両盗難を防止するステアリングロック装置3が設けられている。ステアリングロック装置3には、装置本体部分としてロックボディ4が設けられ、ロックボディ4がヒンジ式のブラケット5を介してボルト6によりコラムチューブ1に取り外し不能に取り付けられている。
【0017】
図1〜図5に示すように、ロックボディ4には、車両電源を切り換える際にメカニカルキー7にて回動操作するキーシリンダ8が取り付けられている。キーシリンダ8の先端には、キーシリンダ8と同一軸心上に一体回動する略円柱状のカムシャフト9が取り付け固定されている。カムシャフト9は、自身の中央に形成された係止穴10に、キーシリンダ8のロータ(図示略)の先端に形成された係止突11を係止することにより、キーシリンダ8に一体組み付けされている。
【0018】
ロックボディ4の内部には、キーシリンダ8の軸方向に沿ってスライド移動可能なスライダ12が取り付けられている。ロックボディ4の内壁面とスライダ12との間には、スライダ12をロック方向(図2(b)の矢印K1方向)に常時付勢するロックスプリング13が介装されている。ロックスプリング13は、例えばコイルばねが使用されるとともに、ロックボディ4の内壁に形成された取付穴14に一端が係止され、スライダ12の壁面に形成された取付穴15に他端が係止されている。スライダ12の裏面には、キーシリンダ8の回動操作にて接点の切り換え操作が行われるイグニッションスイッチ16を避けるべく肉取りすることで、段状部17が形成されている。なお、スライダ12がスライダ部材に相当し、ロックスプリング13がロック用付勢部材に相当する。
【0019】
スライダ12には、スライダ12と一体となってスライド移動可能なロックバー18が取り付けられている。本例の場合、スライダ12の壁面に係止溝19を設けて、その隣を係止突20とし、同様に、ロックバー18の壁面にも係止溝21を設けて、その隣を係止突22とする。そして、係止突20を係止溝21に係止するとともに、係止突22を係止溝19に係止することにより、ロックバー18をスライダ12に一体組み付けする。なお、ロックバー18がロック部材に相当する。
【0020】
カムシャフト9の壁面には、キーシリンダ8を電源オン方向(図3(a)の矢印R1方向)に回動操作した際、スライダ12をアンロック方向(図2(b)の矢印S1方向)に押し上げ可能なカム状の押上部23が設けられている。電源オン方向に操作するとは、キーシリンダ8をACC位置、IGオン位置、スタータオン位置の方向へ操作することを言う。また、スライダ12の壁面には、押上部23が当接する被押上部24が突設されている。キーシリンダ8が電源オン方向に回動操作された際、押上部23が被押上部24をアンロック方向に押すことにより、スライダ12及びロックバー18がロックスプリング13の付勢力に抗してアンロック方向にスライド移動する。
【0021】
ロックボディ4には、仮にスライダ12がロックバー18を支持する根元の結合部分25で疲労破損しても、スライダ12とロックバー18との組み付け状態、つまりこれらが一体部品となった状態を保持する保持機構26が設けられている。本例の保持機構26は、1枚のプレート部材27と、このプレート部材27をロック方向に常時付勢する保持用付勢部材28とからなる。
【0022】
図6(a),(b)に示すように、プレート部材27には、スライダ12の裏面略全体を支持する板状のプレート本体部29が設けられている。プレート本体部29は、スライダ12の段状部17の形状に合わせて折り曲げ形成されている。プレート本体部29の裏面には、保持用付勢部材28を係止するための突起30が突設されている。また、プレート本体部29の上面には、プレート部材27をスライダ12に位置決めする位置決め突31が設けられている。プレート部材27は、位置決め突31をスライダ12の裏面の位置決め穴32に係止することで、スライダ12に位置合わせされている。
【0023】
図7に示すように、保持用付勢部材28は、例えばコイルばねが使用されるとともに、ロックボディ4の内壁に形成された収納部33に収納されている。保持用付勢部材28は、一端が突起30に係止され、収納部33の下端に形成された係止穴34に他端の縮径部35が収納されている。保持用付勢部材28は、ロックバー18と接する状態で隣り合うように並設されている。
【0024】
図2〜図5に示すように、カムシャフト9の壁面9aには、アンロック時において持ち上がったプレート部材27を下から支える支持突部36が突設されている。支持突部36は、略直方体の形状を呈するとともに、アンロック時においてプレート部材27が持ち上がったとき、プレート部材27を下から支えて、プレート部材27がスライダ12を下支えする状態を補助する。なお、支持突部36が補助機構に相当する。
【0025】
次に、本例のステアリングロック装置3の動作を、図2〜図5及び図8を用いて説明する。
まず、図2に、キーシリンダ8がIGオフ位置に操作されている状態を示す。このとき、カムシャフト9も電源オフの回動位置にあるので、押上部23は被押上部24から離間した位置をとり、結果、カムシャフト9はスライダ12を押し上げる状態をとらない。よって、スライダ12及びロックバー18がロックスプリング13の付勢力によってロック方向(図2(b)の矢印K1方向)にスライド移動し、ロックバー18がロック位置に到達する。即ち、ロックバー18がステアリングシャフト2の係止溝2aに嵌り、ステアリングロック装置3がロック状態となる。
【0026】
このとき、スライダ12が保持用付勢部材28の付勢力に抗してプレート部材27をロック方向に押し込み、保持用付勢部材28を縮ませることにより、プレート部材27をロックボディ4の内壁面に押さえ付けた状態にする。即ち、スライダ12及びロックバー18がロック位置に到達したとき、プレート部材27はロック方向側の最大ストローク位置に位置する。
【0027】
続いて、図3に示すように、キーシリンダ8を電源オン方向(図3(a)の矢印R1方向)に回し、ACC位置に操作したとする。このとき、カムシャフト9の電源オン方向への回動操作に伴い、押上部23が斜面にてスライダ12を、ロックスプリング13の付勢力に抗してアンロック方向(図3(b)の矢印S1方向)に押し上げる動作をとる。これにより、スライダ12とともにロックバー18もアンロック方向にスライド移動し、スライダ12及びロックバー18がアンロック位置に到達する。よって、ロックバー18がステアリングシャフト2の係止溝2aから離脱し、ステアリングロック装置3がアンロック状態となる。
【0028】
また、スライダ12がアンロック方向にスライド移動するに伴い、プレート部材27は保持用付勢部材28の付勢力によって、スライダ12に連れ動きしてアンロック方向に動く。即ち、プレート部材27は、保持用付勢部材28の付勢力によってスライダ12の下面を支持しながら、スライダ12と一体となってアンロック方向に追従して持ち上がる。そして、ロックバー18がアンロック位置に到達したとき、プレート部材27はアンロック方向側の最大ストローク位置に位置する。
【0029】
続いて、図4に示すように、キーシリンダ8がIGオン位置に到達すると、カムシャフト9の支持突部36がプレート部材27を下から支える状態をとる。これにより、プレート部材27がスライダ12を下支えする状態が支持突部36によって補助される。即ち、保持用付勢部材28及び支持突部36の両者が協同して、プレート部材27を下から支える状態をとる。なお、キーシリンダ8がIGオン位置をとる際、押上部23がスライダ12を下から押し上げる状態をとらず、支持突部36によって支持する状態に切り換わる。また、図5に示すように、キーシリンダ8がスタータオン位置に回動操作されても、支持突部36がプレート部材27を支持する状態は維持される。
【0030】
ここで、図8に示すように、例えばキーシリンダ8がACCオン位置のときに、スライダ12の結合部分25が疲労破壊によって破損したとする。本例の場合、プレート部材27が保持用付勢部材28の付勢力によってスライダ12の下面略全体を支持しているので、スライダ12が結合部分25で破損しても、スライダ本体部37と破損部38との一部品化が保持される。このため、スライダ12が結合部分25で破損しても、ロックバー18がロックスプリング13の付勢力にてロック方向に飛び出すことはない。
【0031】
以上により、本例においては、略板状のプレート部材27を、保持用付勢部材28の付勢力によってスライダ12の裏面略全域に押し付ける保持機構26を設けた。このため、仮にスライダ12が結合部分25において疲労破壊しても、スライダ本体部37と破損部38とがプレート部材27の支えによって組み付け状態が維持される。よって、ステアリングロック装置3がアンロック状態の際にスライダ12が結合部分25で疲労破壊を起こしても、ロックバー18がロック方向に飛び出すことがない。従って、ユーザの意図しないロック状態への勝手な切り換わりが生じ難くなる。
【0032】
また、本例の場合、疲労破壊したスライダ12は、プレート部材27及び保持用付勢部材28にて常に組み付け状態が保持される。このため、ステアリングロック装置3のロック/アンロックの各動作を、疲労破壊する前と同様に変わりなく行うことが可能となる。さらに、本例の保持機構26は、板状のプレート部材27とばね材からなる保持用付勢部材28とから構成されるので、部品サイズが小型化で済む。このため、ステアリングロック装置3に従来から存在するスペースに部品配置することが可能となるので、装置体格の大型化の心配もない。
【0033】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)スライダ12の下面に、板状のプレート部材27とこれをロック方向に付勢する保持用付勢部材28とからなる保持機構26を設け、この保持機構26によってスライダ12をロック方向に支持する。このため、ステアリングロック装置3がアンロック状態の際、仮にスライダ12が破損したとしても、保持機構26によってスライダ12とロックバー18との組み付け状態が維持されるので、ロックバー18をアンロック位置にて保持する状態が維持される。よって、仮にスライダ12が破損しても、ロックバー18がロック方向に動いてしまう状況が生じ難くなるので、意図せぬロック状態への切り換わりを生じ難くすることができる。
【0034】
(2)スライダ12の背面には、スライダ12をロック方向に常時付勢するロックスプリング13が設けられている。このため、ステアリングロック装置3がロック状態に切り換わる際、ロックバー18と係止溝2aとの位置が合っておらず、ステアリングシャフト2の外面に乗り上げたとしても、ステアリングシャフト2の微調整にて位置が合えば、ロックバー18がロックスプリング13の付勢力にてロック方向に飛び出し、係止溝2aに係止する。このため、ステアリングロック装置3のロック状態への切り換えを確実に行うことができる。
【0035】
(3)ステアリングロック装置3が機械操作式であるので、このタイプの装置でも、意図せぬロック状態への切り換えを発生し難くすることができる。
(4)スライダ12においてロックバー18との結合部分25をプレート部材27によって支持する。このため、スライダ12のロックバー18との結合部分25という破損する可能性の高い場所をプレート部材27によって支持するので、スライダ12とロックバー18との組み付け状態をより確実に確保することができる。
【0036】
(5)カムシャフト9の壁面9aに、ステアリングロック装置3がアンロック状態をとる際、プレート部材27を下から支える支持突部36を設けた。このため、アンロック時の保持機構26によるスライダ12とロックバー18との組み付け状態が支持突部36によって補助されるので、スライダ12破損時のロックバー18のロック方向への動きを一層生じ難くすることができる。
【0037】
(6)保持機構26を板状のプレート部材27とそれをスライダ12に押し付ける保持用付勢部材28とから構成したので、保持機構26が小型な部品で済む。このため、ステアリングロック装置3に元からあるスペースに保持機構26を搭載することが可能となるので、ステアリングロック装置3の装置体格が大型化せずに済む。
【0038】
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・図9に示すように、プレート部材27は、プレート本体部29がロックバー18の係止溝21の内部に入り込む形状をとっていてもよい。この場合、スライダ12をプレート部材27によって広範囲で支持することが可能となるので、スライダ12の支持の確実性が増すことになる。
【0039】
・ステアリングロック装置3は、キーシリンダ8の回動操作によってロック/アンロックを切り換える機械操作式に限定されず、図10に示すような電動式としてもよい。電動式の場合、例えばモータ51の軸52にボールねじ機構を介してスライダ12を取り付け、スライダ12にロックバー18を遊嵌する。そして、そして、ロックバー18の背面にロックスプリング13をロックバー18のデッドロック用に配設する。この場合、モータ51の回転運動がボールねじ機構によってスライダ12及びロックバー18の直線運動に変換され、ロックバー18のロック/アンロックが切り換えられる。この電動式の場合でも、アンロック状態のときにスライダ12が根元部分で破損しても、保持機構26によってロックバー18のアンロック位置が保持される。
【0040】
・プレート部材27は、途中で折れ曲がった板状の部材に限定されず、例えば略直方体の中実部品としてもよい。
・保持用付勢部材28は、ばね材に限定されず、他の弾性部材に適宜変更してもよい。
【0041】
・保持機構26は、プレート部材27と保持用付勢部材28とから構成されることに限定されず、例えばスライダ12を下から支持する大きめの1つの板ばねなど、適宜変更してもよい。
【0042】
・ステアリングロック装置3の構造は、実施形態に述べた構造に限定されず、ロックバー18がスライダ12を介してロック/アンロックの各方向に動作するものであればよい。
【0043】
・スライダ12はロックバー18の形状は、実施形態の形状に限定されず、適宜変更してもよい。
・スライダ12とロックバー18とは、例えば長穴にピンを係止する構造にて連結してもよい。
【0044】
・ロック部材は、直線移動するロックバー18に限定されず、例えば1軸を支点に回転する回動部材でもよい。
・ロック用付勢部材は、ばね材に限定されず、他の弾性部材に変更してもよい。
【0045】
・補助機構の支持突部36は、カムシャフト9に形成されることに限らず、例えばキーシリンダ8など、他の部品に設けてもよい。
・補助機構は、突部分(支持突部36)にてプレート部材27を下から支える構造に限定されない。例えば、スライダ12がアンロック方向側の最大ストローク位置に到達すると、アクチュエータにて飛び出す係止部材にてプレート部材27を下支えするものでもよい。
【0046】
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
(イ)請求項1〜6のいずれかにおいて、前記スライダ部材がロック用付勢部材の付勢力によって前記ロック部材とともにロック方向に動くことにより、当該ロック部材がロック位置に移行してロック状態をとり、この状態から前記キーシリンダを回動操作すると、当該回動操作に伴って前記スライダが前記ロック付勢部材の付勢力に抗してアンロック方向に押し上げられ、前記ロック部材がアンロック位置に移行してアンロック状態をとる。この構成によれば、同構成の装置においても本発明の作用/効果を享受することが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
2…ステアリングシャフト、3…ステアリングロック装置、7…メカニカルキー、8…キーシリンダ、12…スライダ部材としてのスライダ、13…ロック用付勢部材としてのロックスプリング、18…ロック部材としてのロックバー、25…結合部分、26…保持機構、27…プレート部材、28…保持用付勢部材、36…補助機構としての支持突部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロック部材がスライダ部材を介してロック/アンロックの各方向に動作可能であり、前記ロック部材がステアリングシャフトに係止するとロック状態をとり、前記ロック部材が前記ステアリングシャフトと非係止となるとアンロック状態となるステアリングロック装置において、
前記スライダ部材が仮に破損しても、当該スライダ部材と前記ロック部材とが組み付く状態を保持する保持機構を備えた
ことを特徴とするステアリングロック装置。
【請求項2】
前記ロック部材は、間接的又は直接的にロック用付勢部材によってロック方向に常時付勢されている
ことを特徴とする請求項1に記載のステアリングロック装置。
【請求項3】
メカニカルキーによってキーシリンダを回動操作することにより、前記スライダ部材を介して前記ロック部材のロック/アンロックを切り換える機械操作式である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のステアリングロック装置。
【請求項4】
前記保持機構は、前記スライダ部材において前記ロック部材との結合部分を支持する
ことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載のステアリングロック装置。
【請求項5】
動作状態がアンロック状態となった際、前記保持機構が前記スライダ部材を支持する状態を補助する補助機構を備えた
ことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載のステアリングロック装置。
【請求項6】
前記保持機構は、前記スライダ部材を支持する板状のプレート部材と、当該プレート部材を前記スライダ部材に押し付ける保持用付勢部材とを備える
ことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載のステアリングロック装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2013−91470(P2013−91470A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236163(P2011−236163)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)