説明

ステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼの阻害剤としてのアザシクロアルカン誘導体

構造式(I)のアザシクロアルカン誘導体(I)は、他の公知のステアロイル−コエンザイムAデサチュラーゼに対してステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼ(SCD1)の選択的阻害剤である。本発明の化合物は、心血管系疾患、例えば、アテローム性動脈硬化症;肥満;糖尿病;神経学的疾患;メタボリック・シンドローム;インスリン抵抗性及び肝臓脂肪変性を含む異常な脂質合成及び代謝に関連する症状の予防及び治療に有用である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼ(SCD)の阻害剤であるアザシクロアルカン誘導体、及びSCD活性によって媒介される症状又は疾患を制御、予防及び/又は治療するためのこのような化合物の使用に関する。本発明の化合物は、心臓血管疾患、例えば、アテローム性動脈硬化症;肥満;糖尿病;神経学的疾患;メタボリック・シンドローム;インスリン抵抗性;癌及び肝臓脂肪変性を含む異常な脂質合成及び代謝に関連する症状及び疾患の制御、予防及び治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
少なくとも3つのクラスの脂肪族アシルコエンザイムA(CoA)デサチュラーゼ(デルタ−5、デルタ−6及びデルタ−9デサチュラーゼ)は、哺乳動物における食餌由来又は新規の合成のいずれかに由来するモノ不飽和及びポリ不飽和脂肪族アシル−CoAにおける二重結合の形成を担う。デルタ−9特異的なステアロイル−CoAデサチュラーゼ(SCD)は、モノ不飽和脂肪族アシルCoAにおけるC9−C10の位置でのcis−二重結合の律速の形成を触媒する。好ましい基質はステアロイルCoA及びパルミトイルCoAであって、ここではオレオイル及びパルミトレオイル−CoAが、リン脂質、トリグリセリド、コレステロールエステル及びワックスエステルの生合成における主要な成分として得られる(Dobrzyn及びNatami,Obesity Reviews,6:169〜174(2005))。
ラット肝臓ミクロソームSCDタンパク質は、1974年に初めて単離されて特徴付けられた(Strittmatterら、PNAS,71:4565〜4569(1974))。多数の哺乳動物SCD遺伝子がクローニングされており、かつ種々の種から研究されている。例えば、ラットから2つの遺伝子(SCD1及びSCD2,Thiedeら、J.Biol.Chem.,261,13230〜13235(1986))、Mihara,K.,J.Biochem.(Tokyo),108:1022〜1029(1990));マウスからは4つの遺伝子(SCD1、SCD2、SCD3及びSCD4)(Miyazakiら、J.Biol.Chem.,278:33904〜33911(2003));そしてヒトからは2つの遺伝子(SCD1及びACOD4(SCD2)),(Zhang,ら、Biochem.J.,340:255〜264(1991);Beiraghi,ら、Gene,309:11〜21(2003);Zhangら、Biochem.J.,388:135〜142(2005))が特定されている。脂肪酸代謝におけるSCDの関与は、1970年代からラット及びマウスで公知である(Oshino,N.,Arch.Biochem.Biophys.,149:378〜387(1972))。これは、a)SCD1遺伝子において天然の変異体を担持するAsebiaマウス(Zhengら、Nature Genetics,23:268−270(1999))、b)標的の遺伝子欠失からのSCD1−ヌルマウス(Ntambi,ら、PNAS,99:11482−11486(2002)、及びc)レプチン誘発性の体重減少の間のSCD1発現の抑制(Cohenら、Science,297:240〜243(2002))、という生物学的研究によってさらに支持されている。SCD活性の薬理学的阻害の潜在的な利点は、マウスにおいてアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤(ASO)を用いて実証されている(Jiang,ら、J.Clin.Invest.,115:1030〜1038(2005))。SCD活性のASO阻害は、原発性マウス肝細胞において脂肪酸合成を減少し、かつ脂肪酸酸化を増大した。SCD−ASOでのマウスの処理は、食餌誘発性の肥満の予防をもたらし、身体の肥満症、肝腫大、脂肪変性、摂食後血漿インスリンレベル及びグルコースレベルを減少し、新規な脂肪酸合成を減少し、脂質合成遺伝子の発現を減少し、肝臓及び脂肪細胞組織におけるエネルギー消費を促進する遺伝子の発現を増大した。このように、SCD阻害は、肥満及び関連の代謝障害の治療における新規な治療ストラテジーである。
【0003】
ヒトにおけるSCD活性の上昇は、いくつかの共通の疾患プロセスに直接関与するということを支持する有力な証拠がある。例えば、非アルコール性脂肪肝疾の患者においてはトリグリセリド分泌に対する肝臓の脂肪合成の上昇がある(Diraison,ら、Diabetes Metabolism,29:478〜485(2003));Donnelly,ら、J.Clin.Invest.,115:1343〜1351(2005))。摂食後の新規な脂質生合成は、肥満の対象において有意に上昇される(Marques−Lopes,ら、American Journal of Clinical Nutrition,73:252〜261(2001))。高いSCD活性と、血漿トリグリセリドの上昇、高い肥満度指数及び血漿HDLの低下を含む心血管リスクのプロフィールの増大との間に有意な相関がある(Attie,ら、J.Lipid Res.,43:1899〜1907(2002))。SCD活性は、ヒトの形質転換された細胞の増殖及び生存を制御するのに重要な役割を果たす(Scaglia and Igal,J.Biol.Chem.,(2005))。
【0004】
上述の抗アンチセンスオリゴヌクレオチド以外、SCD活性の阻害剤としては、非選択的チア−脂肪酸基質アナログ[B.Behrouzian及びP.H.Buist,Prostaglandins,Leukotrienes,and Essential Fatty Acids,68:107〜112(2003)]、シクロプロペノイド脂肪酸(Raju及びReiser,J.Biol.Chem.,242:379−384(1967))、特定の共役長鎖脂肪酸同位体(Park,ら、Biochim.Biophys.Acta,1486:285〜292(2000))、公開された国際特許出願公開WO 2005/011653、WO 2005/011654、WO 2005/011656、WO 2005/011656及びWO 2005/011657(全て、Xenon Pharmaceuticals,Inc.,に譲渡)に開示された一連のピリダジン誘導体、並びに国際特許出願公開WO 2006/014168、WO 2006/034279、WO 2006/034312、WO 2006/034315、WO 2006/034338、WO 2006/034341、WO 2006/034440、WO 2006/034441及びWO 2006/034446(全て、Xenon Pharmaceuticals,Inc.に譲渡)に開示された一連の複素環式誘導体が挙げられる。
【0005】
本発明は、ステアロイル−CoAデルタ−9デサチュラーゼの阻害剤として新規なアザシクロアルカン誘導体に関連し、非アルコール性脂肪肝疾患、心血管系の疾患、肥満、糖尿病、メタボリック・シンドローム及びインスリン抵抗性で例示されるような、脂質レベルの上昇に対して関連する活性を含むがそれに限定はされないSCD活性によって媒介される種々の症状及び疾患の治療及び/又は予防において有用である。
【0006】
脂質代謝におけるステアロイルコエンザイムAデサチュラーゼの役割は、M.Miyazaki及びJ.M.Ntambi,Prostaglandins,Leukotrienes,and Essential Fatty Acids,68:113〜121(2003)に記載されている。SCD活性の薬理学的操作の治療的能力は、A.Dobryzn及びJ.M.Ntambiによって、「Stearoyl−CoA desaturase as a new drug target for obesity treatment,」Obesity Reviews,6:169〜174(2005)に記載されている。
【発明の概要】
【0007】
発明の要旨
本発明は、構造式Iのアザシクロアルカン誘導体に関する:
【0008】
【化1】

【0009】
これらのアザシクロアルカン誘導体は、SCDの阻害剤として有効である。したがって、それらは、例えば、糖尿病、インスリン抵抗性、脂質障害、肥満、アテローム性動脈硬化症及びメタボリック・シンドロームのようなSCDの阻害に応答する障害の治療、制御又は予防のために有用である。
【0010】
本発明はまた、本発明の化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0011】
本発明はまた、SCDの阻害に応答する障害、疾患又は症状の治療、制御又は予防のための方法であって、そのような必要のある対象において、本発明の化合物及び医薬組成物を投与することによる方法に関する。
【0012】
本発明はまた、本発明の化合物及び医薬組成物を投与することによる、2型糖尿病、インスリン抵抗性、肥満、脂質障害、アテローム性動脈硬化症及びメタボリック・シンドロームの治療、制御又は予防のための方法に関する。
【0013】
本発明はまた、本発明の化合物をこの症状の治療に有用であることが公知の別の薬剤の治療上有効な量と組み合わせて投与することによる、肥満の治療、制御又は予防のための方法に関する。
【0014】
本発明はまた、この症状の治療に有用であることが公知の別の薬剤の治療上有効な量と組み合わせて本発明の化合物を投与することによる、2型糖尿病の治療、制御又は予防のための方法に関する。
【0015】
本発明はまた、この症状の治療に有用であることが公知の別の薬剤の治療上有効な量と組み合わせて本発明の化合物を投与することによる、アテローム性動脈硬化症の治療、制御又は予防のための方法に関する。
【0016】
本発明はまた、この症状の治療に有用であることが公知の別の薬剤の治療上有効な量と組み合わせて本発明の化合物を投与することによる、脂質障害の治療、制御又は予防のための方法に関する。
【0017】
本発明はまた、この症状の治療に有用であることが公知の別の薬剤の治療上有効な量と組み合わせて本発明の化合物を投与することによる、メタボリック・シンドロームの治療のための方法に関する。
【0018】
発明の詳細な記載
本発明は、SCDの阻害剤として有用なアザシクロアルカン誘導体に関する。本発明の化合物は、構造式I:
【0019】
【化2】

【0020】
[式中、
各々のmは独立して0〜4の整数であり;
各々のnは独立して0〜2の整数であり;
各々のsは独立して1〜3の整数であり;
各々のtは独立して1〜3の整数であり;
qは0又は1であり;
rは0又は1であり;
ZはO、S又はNRであり;
X−YはN−C(O)、N−CR、CR14−O、CR14−S(O)0−2又はCR13−CRであり;
Wは:
【0021】
【化3】

【0022】
からなる群より選択されるヘテロアリールであり;
Arはフェニル、ナフチル又はヘテロアリールであって、1〜5個のR置換基で置換されてもよく;
及びRは、各々独立して水素又はC1−3アルキルであり、ここでアルキルはフッ素及びヒドロキシから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されてもよく;
は:
【0023】
【化4】

【0024】
からなる群より選択されるヘテロアリールであり、
ここでヘテロアリールは、−(CHCOH又は−(CHCO1−3アルキルで一置換され、そしてシアノ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルホニル及びトリフルオロメチルからなる群より独立して選択される1〜3個の置換基で置換されてもよく;
各々のRは独立して:
水素、
ハロゲン、
ヒドロキシ、
シアノ、
アミノ、
ニトロ、
1〜5個のフッ素で置換されてもよいC1−4アルキル、
1〜5個のフッ素で置換されてもよいC1−4アルコキシ、
1〜5個のフッ素で置換されてもよいC1−4アルキルチオ、
1−4アルキルスルホニル、
カルボキシ、
1−4アルキルオキシカルボニル、及び
1−4アルキルカルボニルからなる群より選択され;
各々のRは独立して:
1−6アルキル、
2−6アルケニル、
(CH−フェニル、
(CH−ナフチル、
(CH−ヘテロアリール、
(CH−ヘテロシクリル、
(CH3−7シクロアルキル、
ハロゲン、
ニトロ、
(CHOR
(CHN(R
(CHC≡N、
(CHCO
(CHNRSO
(CHSON(R
(CHS(O)0−2
(CHNRC(O)N(R
(CHC(O)N(R
(CHNRC(O)R
(CHNRCO
(CHC(O)R
O(CHC(O)N(R
(CH−Z−(CH)t−フェニル、
(CH−Z−(CH)t−ナフチル、
(CH−Z−(CH)t−ヘテロアリール、
(CH−Z−(CH)t−ヘテロシクリル、
(CH−Z−(CH)t−C3−7シクロアルキル、
(CH−Z−(CH)t−OR
(CH−Z−(CH)t−N(R
(CH−Z−(CH)t−NRSO
(CH−Z−(CH)t−C≡N、
(CH−Z−(CH)t−CO
(CH−Z−(CH)t−SON(R
(CH−Z−(CH)t−S(O)0−2
(CH−Z−(CH)t−NRC(O)N(R
(CH−Z−(CH)t−C(O)N(R
(CH−Z−(CH)t−NRC(O)R
(CH−Z−(CH)t−NRCO
(CH−Z−(CH)t−C(O)R
CF
CHCF
OCF、及び
OCHCFからなる群より独立して選択され;
ここで、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチル及びC1−4アルコキシから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されてもよく;ここでR中の任意のメチレン(CH)炭素原子はフッ素、ヒドロキシ及びC1−4アルキルから独立して選択される1又は2個の基で置換されてもよく;或いは2つの置換基は、同じメチレン(CH)基上にある場合、それらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロプロピル基を形成し;
各々のRは独立して、
水素、
1−6アルキル、
(CH−フェニル、
(CH−ヘテロアリール、
(CH−ナフチル、及び
(CH3−7シクロアルキルからなる群より選択され;
ここでアルキル、フェニル、ヘテロアリール及びシクロアルキルはハロゲン、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから独立して選択される1〜3個の基で置換されてもよく、又は2つのR基はそれらが結合する原子と一緒になって、O、S、NH及びNC1−4アルキルから選択されるさらなるヘテロ原子を含んでもよい4〜8員の単環系又は二環系を形成し;
、R、R、R、R、R10、R11及びR12は各々独立して水素、フッ素又はC1−3アルキルであり、ここでアルキルはフッ素及びヒドロキシから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されてもよく;
13は水素、C1−3アルキル、フッ素又はヒドロキシであり;そして
各々のR14は水素又はC1−3アルキルである]によって記載される化合物及び薬学的に許容されるその塩である。
【0025】
本発明の化合物の第一の実施態様では、mが0又は1である。この実施態様のあるクラスでは、mは0である。
【0026】
本発明の化合物の第二の実施態様では、q及びrが両方とも1であり、6員のピペリジン環が得られる。
【0027】
本発明の化合物の第三の実施態様では、qは1であり、かつrは0であり、5員のピロリジン環が得られる。
【0028】
本発明の化合物の第四の実施態様では、q及びrが両方とも0であり、4員のアゼチジン環が得られる。
【0029】
本発明の化合物の第五の実施態様では、X−YはN−C(O)である。この実施態様のあるクラスでは、Arは上記のように1〜3個のR置換基で置換されたフェニルである。
【0030】
本発明の化合物の第六の実施態様では、X−YはCH−Oである。この実施態様のあるクラスでは、Arは上記のように1〜3個のR置換基で置換されたフェニルである。
【0031】
本発明の化合物の第七の実施態様では、X−YはCH−S(O)である。この実施態様のあるクラスでは、Arは上記のように1〜3個のR置換基で置換されたフェニルである。
【0032】
本発明の化合物の第八の実施態様では、X−YはN−CRである。この実施態様のあるクラスでは、Arは上記のように1〜3個のR置換基で置換されたフェニルである。この実施態様のさらに別のクラスでは、R及びRは水素であり、かつArは1〜3個のR置換基で置換されたフェニルである。
【0033】
本発明の化合物の第九の実施態様では、X−YはCR13−CRである。この実施態様のあるクラスでは、Arは上記のように1〜3個のR置換基で置換されたフェニルである。この実施態様のさらに別のクラスでは、R、R及びR13は水素であり、かつArは1〜3個のR置換基で置換されたフェニルである。
【0034】
本発明の化合物のさらなる実施態様では、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12は各々水素である。
【0035】
なおさらなる実施態様では、Wは:
【0036】
【化5】

【0037】
からなる群より選択されるヘテロアリールであり;
ここで、R及びRは上記のとおりである。この実施態様のあるクラスでは、各々のRは水素である。
【0038】
なおさらなる実施態様では、Rがピリジン−3−イル又はピリミジン−2−イルであり、ここでRは:
−COH、
−CHCOH、
−CO1−3アルキル、及び
−CHCO1−3アルキルからなる群より選択される置換基で一置換され;
そしてシアノ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルホニル及びトリフルオロメチルからなる群より独立して選択される1〜2個の置換基で置換されてもよい。
この実施態様のクラスでは、Rは:
【0039】
【化6】

【0040】
からなる群より選択され、ここでRは、ハロゲン、C1−4アルキル及びトリフルオロメチルからなる群より独立して選択される1〜2個の置換基で置換されてもよい。
【0041】
本発明の化合物のなおさらなる実施態様では、q及びrは両方とも0であり;X−YはCH−Oであり;Wは:
【0042】
【化7】

【0043】
からなる群より選択されるヘテロアリールであり;
そしてRがピリジン−3−イル又はピリミジン−2−イルであり、ここでRは:
−COH、
−CHCOH、
−CO1−3アルキル、及び
−CHCO1−3アルキルからなる群より選択される置換基で一置換され;
そしてシアノ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルホニル及びトリフルオロメチルからなる群より独立して選択される1〜2個の置換基で置換されてもよい。
【0044】
この実施態様のあるクラスでは、R、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12は各々水素である。
【0045】
SCDの阻害剤として有用な本発明の化合物の例示的であって、非限定的な例は、以下:
【0046】
【化8−1】

【0047】
【化8−2】

【0048】
及び薬学的に許容されるその塩である。
【0049】
本明細書において用いる場合、以下の定義があてはまる。
【0050】
「アルキル」及び接頭語「alk」を有する他の基、例えば、アルコキシ及びアルカノイルとは、その炭素鎖が他に規定されない限り、直鎖又は分枝、及びその組み合わせであってもよい炭素鎖を意味する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニルなどが挙げられる。特定の数の炭素原子、例えば、C3−10が可能になる場合、アルキルという用語はまた、シクロアルキル基及びシクロアルキル構造と組み合わされた直鎖又は分枝鎖のアルキル鎖の組み合わせを含む。炭素原子の数が特定されない場合は、C1−6であるものとする。
【0051】
「シクロアルキル」とは、アルキルのサブセットであって、特定の数の炭素原子を有する飽和炭素環を意味する。シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルなどが挙げられる。シクロアルキル基は他に言及しない限り一般には単環系である。シクロアルキル基は他に規定しない限り飽和である。
【0052】
「アルケニル」という用語は、特定数の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルケンを意味するものとする。アルケニルの例としては、ビニル、1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニルなどが挙げられる。
【0053】
「アルコキシ」という用語は、特定の炭素原子数(例えば、C1−6アルコキシ)又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分枝鎖アルコキシドをいう[すなわち、メトキシ(MeO−)、エトキシ、イソプロポキシなど]。
【0054】
「アルキルチオ」という用語は、特定の炭素原子数(例えば、C1−6アルキルチオ)又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分枝鎖のアルキルスルフィドをいう[すなわち、メチルチオ(MeS−)、エチルチオ、イソプロピルチオなど]。
【0055】
「アルキルアミノ」という用語は、特定の炭素原子数(例えば、C1−6アルキルアミノ)又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分枝鎖のアルキルアミンをいう[すなわち、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、t−ブチルアミノなど]。
【0056】
「アルキルスルホニル」という用語は、特定の炭素原子数(例えば、C1−6アルキルスルホニル)又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分枝鎖アルキルスルホンをいう[すなわち、メチルスルホニル(MeSO2−)、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニルなど]。
【0057】
「アルキルスルフィニル」という用語は、特定の炭素原子数(例えば、C1−6アルキルスルフィニル)又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分枝鎖のアルキルスルホキシドをいう[すなわち、メチルスルフィニル(MeSO2−)、エチルスルフィニル、イソプロピルスルフィニルなど]。
【0058】
「アルキルオキシカルボニル」という用語は、特定の炭素原子数(例えば、C1−6アルキルオキシカルボニル)又はこの範囲内の任意の数の本発明のカルボン酸誘導体の直鎖又は分枝鎖エステルをいう[すなわち、メチルオキシカルボニル(MeOCO−)、エチルオキシカルボニル又はブチルオキシカルボニル]。
【0059】
「アリール」とは、炭素環原子を含む単環又は多環の芳香族環系を意味する。好ましいアリールは、単環又は二環式の6〜10員の芳香族環系である。フェニル及びナフチルが好ましいアリールである。最も好ましいアリールはフェニルである。
【0060】
「ヘテロシクリル(heterocyclyl)」とは、O、S及びNから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を含む飽和又は不飽和の非芳香族の環又は環系をいい、これはさらに、イオウの酸化型、すなわち、SO及びSOを含む。ヘテロシクリルの例としては、テトラヒドロフラン(THF)、ジヒドロフラン、1,4−ジオキサン、モルホリン、1,4−ジチアン、ピペラジン、ピペリジン、1,3−ジオキソラン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピロリン、ピロリジン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、オキサチオラン、ジチオラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジチアン、オキサチアン、チオモルホリン、2−オキソピペリジン−1−イル、2−オキソピロリジン−1−イル及び2−オキソアゼチジン−1−イルなどが挙げられる。
【0061】
「ヘテロアリール」とは、O、S及びNから選択される少なくとも1つの環ヘテロ原子を含む芳香族又は部分的に芳香族の複素環を意味する。したがって、ヘテロアリールとしては、芳香族でない、アリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルなどの他の種類の環に縮合したヘテロアリールが含まれる。ヘテロアリール基の例としては:ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル(特に、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル及び1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ベンズイソオキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリニル、ピリダジニル、インダゾリル、イソインドリル、ジヒドロベンソチエニル、インドリジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンゾジオキソリル、キノキサリニル、プリニル、フラザニル、イソベンジルフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、インドリル、イソキノリル、ジベンゾフラニルなどを含む。ヘテロシクリル及びヘテロアリール基については、3〜15原子を含む環及び環系が含まれ、これが1〜3個の環を形成する。
【0062】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素をいう。塩素及びフッ素が一般に好ましい。フッ素は、ハロゲンがアルキル基又はアルコキシ基上で置換される場合最も好ましい(例えば、CFO及びCFCHO)。
【0063】
構造式Iの化合物は、1つ以上の不斉中心を含んでもよく、したがって、ラセミ体及びラセミ混合物として、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在し得る。本発明は、構造式Iの化合物の全てのこのような異性体型を包含することを意味する。
【0064】
構造式Iの化合物は、例えば、適切な溶媒、例えばメタノール若しくは酢酸エチル又はその混合物からの分別結晶化によって、或いは、光学活性の固定相を用いるキラルクロマトグラフィーを介して、それらの個々のジアステレオマーに分離してもよい。絶対的な立体化学は、必要に応じて公知の絶対配置の不斉中心を含む試薬を用いて誘導体化した結晶産物又は結晶中間体のX線結晶学によって決定され得る。
【0065】
あるいは、一般的な構造式Iの化合物の任意の立体異性体は、光学的に純粋な出発原料又は公知の絶対配置の試薬を用いて立体特異的合成によって得てもよい。
【0066】
必要に応じて、この化合物のラセミ混合物は、個々のエナンチオマーが単離されるように分離され得る。この分離は、当該技術分野で周知の方法、例えば、化合物のラセミ混合物を鏡像異性的に純粋な化合物とカップリングし、ジアステレオマー混合物を得て、続いて、標準的な方法による個々のジアステレオマーの分離、例えば、分別結晶又はクロマトグラフィーによって行われてもよい。このカップリング反応はしばしば、鏡像異性的に純粋な酸又は塩基を用いる塩の形成である。次いで、ジアステレオマー誘導体は、付加されたキラル残基の切断によって純粋なエナンチオマーに変換され得る。この化合物のラセミ混合物はまた、当該技術分野で周知の方法であるキラル固定相を利用するクロマトグラフィー方法によって直接分離され得る。
【0067】
本明細書に記載される化合物のいくつかは、オレフィン二重結合を含み、他に特定されない限り、E及びZ幾何異性体の両方を包含するものとする。
【0068】
本明細書に記載される化合物のいくつかは、1つ以上の二重結合シフトを伴う水素の異なる結合ポイントを有する互変異性体として存在してもよい。例えば、ケトン及びそのエノール型は、ケト−エノール互変異性体である。個々の互変異性体及びその混合物は、本発明の化合物として包含される。
【0069】
本明細書に用いられる場合、構造式Iの化合物に対する言及は、薬学的に許容される塩も及び薬学的に許容されない塩(それらが遊離の化合物に対する前駆体又はその薬学的に許容される塩として、或いは他の合成操作において用いられる場合)も含むことを意味することが理解される。
【0070】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩の形態で投与されてもよい。「薬学的に許容される塩」という用語は、無機又は有機の塩基及び無機又は有機の酸を含む、薬学的に許容される非毒性の塩基又は酸から調製される塩をいう。「薬学的に許容される塩」という用語に包含される塩基性化合物の塩は、遊離の塩基と適切な有機又は無機の酸とを反応させることによって一般に調製される本発明の化合物の非毒性の塩をいう。本発明の塩基性化合物の代表的な塩としては、限定はしないが以下が挙げられる:酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、炭酸水素塩、重硫酸塩、酸性酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、カンシラート、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート(estolate)、エシレート(esylate)、フマル酸塩、グルセプテート(gluceptate)、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、臭化水素酸、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオネート、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチルブロミド、硝酸メチル、硫酸メチル、ムコ酸塩、ナプシレート(napsylate)、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボネート)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシル酸塩、トリエチオジド及び吉草酸塩。さらに、本発明の化合物が酸性部分を有する場合、その適切な薬学的に許容される塩としては、限定はしないが、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、三価鉄(第二鉄)、二価鉄(第一鉄)、リチウム、マグネシウム、第二マンガン、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などを含む無機塩基由来の塩が挙げられる。特に好ましいのは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウムの塩である。薬学的に許容される有機の非毒性の塩基由来の塩としては、一級、二級及び三級のアミン、環状アミン及び塩基性のイオン交換性樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェニン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩が挙げられる。
【0071】
さらに、本発明の化合物にカルボン酸(−COOH)又はアルコール基が存在する場合、カルボン酸誘導体の薬学的に許容されるエステル、例えば、メチル、エチル若しくはピバロイルオキシメチル、又はアルコールのアシル誘導体、例えば、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル及びアミノアシルも使用され得る。徐放性又はプロドラッグ製剤としての使用のための溶解又は加水分解の特性を改変するために当該技術分野で公知のエステル及びアシル基が含まれる。
【0072】
構造式Iの化合物の溶媒和物、特に水和物が同様に本発明に包含される。
【0073】
本発明の化合物は、このような阻害の必要な哺乳動物などの患者において、この化合物の有効量を投与することを包含する、ステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼ酵素(SCD)を阻害する方法において有用である。したがって本発明の化合物は、高いか又は異常なSCD酵素活性によって媒介される症状及び疾患を制御、予防及び/又は治療するために有用である。
【0074】
したがって、本発明の一態様は、このような治療の必要な哺乳動物患者において高血糖、糖尿病又はインスリン抵抗性を治療する方法であって、構造式Iの化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物の有効量をこの患者に投与することを包含する方法に関する。
【0075】
本発明の第二の態様は、このような治療の必要な哺乳動物患者において非インスリン依存性の糖尿病(2型糖尿病)を治療する方法であって、構造式Iの化合物の抗糖尿病に有効な量をこの患者に投与することを包含する方法に関する。
【0076】
本発明の第三の態様は、このような治療の必要な哺乳動物患者において肥満を治療する方法であって、肥満を治療するのに有効な量の構造式Iの化合物をこの患者に投与することを包含する方法に関する。
【0077】
本発明の第四の態様は、このような治療の必要な哺乳動物患者においてメタボリック・シンドローム及びその続発症を治療する方法であって、メタボリック・シンドローム及びその続発症を治療するのに有効な量の構造式Iの化合物をこの患者に投与することを包含する方法に関する。メタボリック・シンドロームの続発症としては、高血圧、血糖値上昇、高トリグリセリド及び低レベルのHDLコレステロールが挙げられる。
【0078】
本発明の第五の態様は、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群より選択される脂質障害を、このような治療の必要な哺乳動物患者において治療する方法であって、このような脂質障害を治療するのに有効な量の構造式Iの化合物をこの患者に投与することを包含する方法に関する。
【0079】
本発明の第六の態様は、このような治療の必要な哺乳動物患者においてアテローム性動脈硬化症を治療する方法であって、アテローム性動脈硬化症を治療するのに有効な量の構造式Iの化合物をこの患者に投与することを包含する方法に関する。
【0080】
本発明の第七の態様は、このような治療の必要な哺乳動物患者においてがんを治療する方法であって、がんを治療するのに有効な量の構造式Iの化合物をこの患者に投与することを包含する方法に関する。
【0081】
本発明のさらなる態様は、(1)高血糖、(2)低グルコース耐性、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその続発症、(13)血管再狭窄、(14)膵臓炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)脂肪肝疾患、(21)多嚢胞性卵巣症候群、(22)睡眠呼吸障害、(23)メタボリック・シンドローム、及び(24)インスリン抵抗性が構成要素である他の症状及び障害、からなる群より選択される症状を、このような治療の必要な哺乳動物患者において治療する方法であって、このような症状を治療するのに有効な量の構造式Iの化合物をこの患者に投与することを包含する方法に関する。
【0082】
本発明のさらなる態様は、(1)高血糖、(2)低グルコース耐性、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその続発症、(13)血管再狭窄、(14)膵臓炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)脂肪肝疾患、(21)多嚢胞性卵巣症候群、(22)睡眠呼吸障害、(23)メタボリック・シンドローム、及び(24)インスリン抵抗性が構成要素である他の症状及び障害、からなる群より選択される症状、並びにインスリン抵抗性が構成要素である他の症状及び障害からなる群より選択される症状の発現を遅延する方法であって、このような治療の必要な哺乳動物患者において、このような症状の発現を遅延させるのに有効な量の構造式Iの化合物をこの患者に投与することを包含する方法に関する。
【0083】
本発明のさらなる態様は、(1)高血糖、(2)低グルコース耐性、(3)インスリン抵抗性、(4)肥満、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその続発症、(13)血管再狭窄、(14)膵臓炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎症、(19)神経障害、(20)脂肪肝疾患、(21)多嚢胞性卵巣症候群、(22)睡眠呼吸障害、(23)メタボリック・シンドローム、及び(24)インスリン抵抗性が構成要素である他の症状及び障害、からなる群より選択される症状を発症するリスクを低減させる方法であって、このような治療の必要な哺乳動物患者において、このような症状の発生のリスクを低下させるのに有効な量の構造式Iの化合物をこの患者に投与することを包含する方法に関する。
【0084】
霊長類、例えば、ヒトに加えて種々の他の哺乳動物が本発明の方法に従って治療され得る。例えば、限定はしないが、うし、ひつじ、ヤギ、うま、いぬ、ねこ、モルモット、ラット、又は他のウシ、ヒツジ、ウマ、イヌ、ネコ、例えばマウスといったげっ歯類、種を含む哺乳動物が治療され得る。しかし、この方法はまた、鳥類(例えば、ニワトリ)のような他の種で実施され得る。
【0085】
本発明はさらに、本発明の化合物と薬学的に許容される担体又は希釈剤とを組み合わせる工程を包含する、ヒト及び動物でのステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼ酵素活性を阻害するための医薬の製造のための方法に関する。さらに詳細には、本発明は、哺乳動物における高血糖症、2型糖尿病、インスリン抵抗性、肥満及び脂質障害(この脂質障害は脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低LDL及び高LDLからなる群より選択される)からなる群より選択される症状の治療に用いる医薬の製造における構造式Iの化合物の使用に関する。
【0086】
本発明において治療される対象は、一般にステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼ酵素活性の阻害が求められる哺乳動物、好ましくはヒト(男性又は女性)である。この「治療上有効な量」という用語は、研究者、獣医、医師又は他の臨床家によって探究されている組織、系、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘発する本発明の化合物の量を意味する。
【0087】
本明細書において用いる場合、「組成物」という用語は、指定された量で特定の成分を含む産物、並びに特定の成分の指定された量での組み合わせから直接的又は間接的に生じる任意の成分を包含するものとする。薬学的組成物に関するこのような用語は、活性成分及び担体を構成する不活性成分を含む産物、並びに、この成分の任意の2つ以上の併用、複合若しくは会合から又はこの成分の1つ以上の解離から又はこの成分の1つ以上の他のタイプの反応若しくは相互作用から、直接的若しくは間接的に生じる任意の産物を包含するものとする。従って、本発明の薬学的組成物は、本発明の化合物及び薬学的に許容される担体を混合することによって作成される任意の組成物を包含する。「薬学的に許容される」とは、製剤の他の成分と適合性でなければならず、かつそのレシピエントに対して有害でない担体、希釈剤又は賦形剤を意味する。
【0088】
化合物「の投与」及び「〜を投与すること」という用語は、治療の必要な個体に対して本発明の化合物又は本発明の化合物のプロドラッグを提供することを意味することが理解されるべきである。
【0089】
ステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼ(SCD)酵素活性の阻害剤としての本発明による化合物の有用性は、以下のミクロソーム及び全細胞ベースのアッセイによって示され得る:
【0090】
I.SCD−誘発性のラット肝臓ミクロソームアッセイ:
SCD酵素に対する式Iの化合物の活性は、SCD−1誘発性ラット肝臓ミクロソームを用いる放射性標識ステアロイルCoAをオレオイルCoAに変換すること及びいくつかの実施態様での以前に公開された手順であって改変を含む手順によって決定する(Joshi,ら、J.Lipid Res.,18:32〜36(1977))。3日間の高炭水化物/脂肪なしのげっ歯類の食餌(LabDiet # 5803,Purina)をウイスター・ラットに給餌した後、SCD誘発肝臓を、250mMのスクロース、1mMのEDTA、5mMのDTT及び50mMのTris−HCl(pH7.5)中でホモジネートした(1:10 w/v)。組織及び細胞破片を除くための20分の遠心分離後(18,000×g/4℃)、そのミクロソームを、100,000×gの遠心分離(60分)によって分離して、得られたペレットを100mMのリン酸ナトリウム、20%グリセロール及び2mMのDTT中に懸濁した。2μLのDMSO中の試験化合物を、15分間、室温で180μLのミクロソーム(典型的には、約100μg/mL、Tris−HCl緩衝液(100mM,pH7.5)、ATP(5mM)、Coenzyme A(0.1mM)、Triton X−100(0.5mM)及びNADH(2mM))とともにインキュベートした。反応は、20μLの[H]−ステアロイル−CoA(1μCi/mLの放射性活性濃度で、2μMの最終濃度)の添加によって開始され、150μLの1Nの水酸化ナトリウムの添加によって終わらせた。オレオイルCoA及びステアロイルCoAを加水分解するため、室温で60分後、その溶液を、0.5mg/mLのステアリン酸及び0.5mg/mLのオレイン酸を補充したエタノール中での150μLの15%リン酸(v/v)の添加によって酸性にした。次いで、[H]−オレイン酸及び[H]−ステアリン酸を、C−18逆相カラム及びパッカード フロー シンチレーション アナライザーを装備したHPLCで定量した。あるいは、反応混合物(80μL)を、塩化カルシウム/活性炭水性懸濁液(100μLの15%(w/v)活性炭に加えて20μLの2NのCaCl)と混合した。この得られた混合物を遠心分離して、安定なペレット中に放射性の脂肪酸種を沈澱させた。9,10−[H]ステアロイル−CoAのSCD触媒不飽和化由来のトリチウム化水を、シンチレーションカウンターで50μLの上清をカウントすることによって定量した。
【0091】
II.全細胞ベースのSCD(デルタ−9)、デルタ−5及びデルタ−6デサチュラーゼアッセイ:
ヒトHepG2細胞を、10%熱不活性化ウシ胎仔血清を補充したMEM培地(Gibcoカタログ番号11095−072)中で24ウェルプレート上で、37℃で、5%CO下の加湿インキュベーター中で増殖させた。培地に溶解した試験化合物を、37℃で15分間サブコンフルエントな細胞とともにインキュベートした。[1−14C]−ステアリン酸を、各々のウェルに対して0.05μCi/mLの最終濃度となるよう添加して、SCD−触媒[14C]−オレイン酸形成を検出した。0.05μCi/mLの[1−14C]−エイコサトリエン酸又は[1−14C]−リノレン酸に加えて10μMの2−アミノ−N−(3−クロロフェニル)ベンズアミド(デルタ−5デサチュラーゼ阻害剤)を、用いて、それぞれ、デルタ−5及びデルタ−6デサチュラーゼ活性を参照した。37℃で4時間のインキュベーション後、培養培地を除去して、標識された細胞を室温でPBSを用いて洗浄した(3×1mL)。標識された細胞の脂質を、400μLの2N水酸化ナトリウムに加えて50μLのL−α−ホスファチジルコリン(イソプロパノール、Sigma#P−3556中で2mg/mL)を用いて1時間65℃で、窒素下で加水分解した。リン酸(60μL)での酸性化後、放射性種を300μLのアセトニトリルで抽出して、C−18逆相カラム及びパッカード フロー シンチレーション アナライザーを装備したHPLCで定量した。[14C]−ステアリン酸を超える[14C]−オレイン酸、[14C]−エイコサトリエン酸を超える[14C]−アラキドン酸及び[14C]−リノレン酸を超える[14C]−エイコサテトラエン酸(8,11,14,17)のレベルを、それぞれ、SCD、デルタ−5及びデルタ−6デサチュラーゼの対応する活性の指標として用いた。
【0092】
式IのSCD阻害剤、特に実施例1〜38の化合物は、1μM未満、さらに典型的には0.1μM未満という阻害定数IC50を示す。一般には、式Iの化合物、特に実施例1〜38についてのSCDに対するデルタ−5又はデルタ−6デサチュラーゼについてのIC50比は、少なくとも約10以上、そして好ましくは約100又はそれ以上である。
【0093】
本発明の化合物のインビボの有効性:
式Iの化合物のインビボの有効性は、下に例示されるような動物での[1−14C]−ステアリン酸の[1−14C]オレイン酸への変換後に決定した。マウスに、式Iの化合物を投薬して、1時間後に、放射性トレーサー[1−14C]−ステアリン酸を、20μCi/kg IVで投与した。この化合物の投薬3時間後に肝臓を回収し、次いで80℃で24時間、10Nの水酸化ナトリウム中で加水分解し、総肝臓脂肪酸のプールを得た。抽出物のリン酸酸性化後、[1−14C]−ステアリン酸及び[1−14C]−オレイン酸の量を、C−18逆相カラム及びパッカード フロー シンチレーション アナライザーを装備したHPLCで定量した。
【0094】
本発明の化合物は、さらに、他の薬剤と組み合わせて、上述の疾患、障害及び症状の予防又は治療のための方法において有用である。
【0095】
本発明の化合物は、式Iの化合物又は他の薬物が有用性を有し得る疾患又は症状の治療、予防、抑制又は軽減において、1つ以上の他の薬物と組み合わせて用いられてもよく、この薬物を一緒に併用することは、いずれかの薬物単独よりも安全又は有効である。このような他の薬物は、式Iの化合物と同時に又は連続して、一般に用いられる経路及び量で投与されてもよい。式Iの化合物が1つ以上の他の薬物と同時に用いられる場合、このような他の薬物及び式Iの化合物を含む単位剤形中の医薬組成物が好ましい。しかし、併用療法はまた、式Iの化合物及び1つ以上の他の薬物が、異なる重複スケジュールで投与される治療も含んでもよい。1つ以上の他の活性成分と組み合わせて用いる場合、本発明の化合物及び他の活性成分は、各々が単独で用いられる場合よりも低い用量で用いられ得るということも意図される。従って、本発明の医薬組成物には、式Iの化合物に加えて、1つ以上の他の活性成分を含む医薬組成物が挙げられる。
【0096】
式Iの化合物と組み合わせて、別々に又は同じ医薬組成物中のいずれかで投与され得る他の活性成分の例としては、限定はしないが、以下が含まれる:
(a)ジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−4)阻害剤;
(b)インスリン感作物質であって、(i)PPARγアゴニスト、例えばグリタゾン(例えばトログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾンなど)、及び他のPPARリガンド、PPARα/γ二重アゴニスト、例えばKRP−297、ムラグリタザール(muraglitazar)、ナベグリタザール(naveglitazar)、Galida、TAK−559、PPARαアゴニスト、例えばフェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレート及びベザフィブレート)、及び選択的PPARγモジュレーター(SPPARγM’s)、例えばWO 02/060388、WO 02/08188、WO 2004/019869、WO 2004/020409、WO 2004/020408及びWO 2004/066963に開示されたもの;(ii)ビグアニド、例えばメトホルミン及びフェンホルミン、並びに(iii)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤、を包含するインスリン感作物質;
(c)インスリン又はインスリン模倣薬;
(d)スルホニルウレア及び他のインスリン分泌促進物質、例えばトルブタミド、グリブリド、グリピジド、グリメピリド、及び例えばナテグリニド及びレパグニリドのようなメグリチニド;
(e)α−グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボーズ及びミグリトール);
(f)グルカゴン受容体アンタゴニスト、例えばWO 98/04528、WO 99/01423、WO 00/39088及びWO 00/69810に開示されたもの;
(g)GLP−1、GLP−1アナログ又は模倣物、並びにGLP−1受容体アゴニスト、例えばエキセンジン−4(エキセナチド)、リラグルチド(NN−2211)、CJC−1131、LY−307161、並びにWO 00/42026及びWO 00/59887に開示されたもの;
(h)GIP及びGIP模倣薬、例えばWO 00/58360に開示されたもの、及びGIP受容体アゴニスト;
(i)PACAP、PACAP模倣薬及びPACAP受容体アゴニスト、例えばWO 01/23420に開示されたもの;
(j)コレステロール低下剤、例えば(i)HMG−CoAリダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フラバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン及びロスバスタチン、並びに他のスタチン類)、(ii)金属イオン封鎖剤(コレスチラミン、コレスチポール及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩、(iv)PPARαアゴニスト、例えばフェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロシル、クロフィブレート、フェノフィブレート及びベザフィブレート)、(v)PPARα/γデュアルアゴニスト、例えばナベグリタザール及びムラグリタザール、(vi)コレステロール吸収阻害剤、例えばβシトステロール及びエゼチミブ、(vii)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばアバシミブ、並びに(viii)抗酸化剤、例えばプロブコール;
(k)PPARデルタアゴニスト、例えばWO 97/28149に開示されたもの;
(l)抗肥満化合物、例えばフェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、ニューロペプチドY又はYアンタゴニスト、CB1受容体インバースアゴニスト及びアンタゴニスト、βアドレナリン受容体アゴニスト、メラノコルチン受容体アゴニスト、特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト、グレリンアンタゴニスト、ボンベシン受容体アゴニスト(例えばボンベシン受容体サブタイプ−3アゴニスト)及びメラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニスト;
(m)回腸胆汁酸輸送体阻害剤;
(n)炎症状態における使用を意図する剤、例えばアスピリン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、グルココルチコイド、アズルフィジン及び選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤;
(o)降圧剤、例えばACE阻害剤(エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、キナプリル、タンドラプリル)、A−II受容体ブロッカー(ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、テルミサルタン及びエプロサルタン)、βブロッカー及びカルシウムチャネルブロッカー;
(p)グルコキナーゼ活性化因子(GKAs)、例えばWO 03/015774;WO 04/076420及びWO 04/081001に開示されたもの;
(q)11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型阻害剤、例えば米国特許第6,730,690号;WO 03/104207及びWO 04/058741号に開示されたもの;
(r)コレステリルエステル転移タンパク質(CETP)阻害剤、例えばトルセトラピブ;
(s)フルクトース1,6−ビスホスファターゼ阻害剤、例えば米国特許第6,054,587号;同第6,110,903号;同第6,284,748号;同第6,399,782号及び同第6,489,476号に開示されたもの;
(t)アセチルCoAカルボキシラーゼ−1及び/又は−2阻害剤;並びに
(u)AMPK活性化因子。
【0097】
構造式Iの化合物と組み合わせ得るジペプチジルペプチダーゼIV阻害剤としては、米国特許第6,699,871号;WO 02/076450(2002年10月3日);WO 03/004498(2003年1月16日);WO 03/004496(2003年1月16日);欧州特許第1 258 476号(2002年11月20日);WO 02/083128(2002年10月24日);WO 02/062764(2002年8月15日);WO 03/000250(2003年1月3日);WO 03/002530(2003年1月9日);WO 03/002531(2003年1月9日);WO 03/002553(2003年1月9日);WO 03/002593(2003年1月9日);WO 03/000180(2003年1月3日);WO 03/082817(2003年10月9日);WO 03/000181(2003年1月3日);WO 04/007468(2004年1月22日);WO 04/032836(2004年4月24日);WO 04/037169(2004年5月6日)及びWO 04/043940(2004年5月27日)に開示のものが挙げられる。特異的なDPP−IV阻害剤化合物としては、シタグリプチン(MK−0431);ビルダグリプチン(LAF 237);デナグリプチン;P93/01;サキサグリプチン(BMS 477118);RO0730699;MP513;SYR−322:ABT−279;PHX1149;GRC−8200及びTS021が挙げられる。
【0098】
構造式Iの化合物と組合され得る抗肥満化合物としては、フェンフルラミン、デクスフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、ニューロペプチドY又はYアンタゴニスト、カンナビノイドCB1受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニスト、メラノコルチン受容体アゴニスト、特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト、グレリンアンタゴニスト、ボンベシン受容体アゴニスト及びメラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニストが挙げられる。構造式Iの化合物と組合され得る抗肥満化合物の概説については、S.Chakiら、「Recent advances in feeding suppressing agents:potential therapeutic strategy for the treatment of obesity,」Expert Opin.Ther.Patents,11:1677〜1692(2001);D.Spanswick及びK.Lee,「Emerging antiobesity drugs,」Expert Opin.Emerging Drugs,8:217〜237(2003);並びにJ.A.Fernandez−Lopez,ら、「Pharmacological Approaches for the Treatment of Obesity,」Drugs,62:915〜944(2002)を参照のこと。
【0099】
構造式Iの化合物と組合され得るニューロペプチドY5アンタゴニストとしては、米国特許第6,335,345(2002年1月1日)及びWO 01/14376(2001年3月1日)に開示のもの;並びにGW 59884A;GW 569180A;LY366377及びCGP−71683Aとして特定された特定の化合物が挙げられる。
【0100】
式Iの化合物と組合され得るカンナビノイドCB1受容体アンタゴニストとしては、PCT公開WO 03/007887に開示のもの;米国特許第5,624,941に開示のもの、例えばリモナバント;PCT公開WO 02/076949に開示のもの、例えばSLV−319;米国特許第6,028,084号;PCT公開WO 98/41519;PCT公開WO 00/10968;PCT公開WO 99/02499;米国特許第5,532,237;米国特許第5,292,736;PCT公開WO 03/086288;PCT公開WO 03/087037;PCT公開WO 04/048317;PCT公開WO 03/007887;PCT公開WO 03/063781;PCT公開WO 03/075660;PCT公開WO 03/077847;PCT公開WO 03/082190;PCT公開WO 03/082191;PCT公開WO 03/087037;PCT公開WO 03/086288;PCT公開WO 04/012671;PCT公開WO 04/029204;PCT公開WO 04/040040;PCT公開WO 01/64632;PCT公開WO 01/64633及びPCT公開WO 01/64634に開示のものが挙げられる。
【0101】
本発明において有用なメラノコルチン−4受容体(MC4R)アゴニストとしては、限定はしないが、米国特許第米国特許第6,294,534号、米国特許第6,350,760号、同第6,376,509号、同第6,410,548号、同第6,458,790号、米国特許第6,472,398号、米国特許第5837521号、米国特許第6699873号(その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる);米国特許出願公開第2002/0004512号、米国特許出願公開第2002/0019523号、米国特許出願公開第2002/0137664号、米国特許出願公開第2003/0236262号、米国特許出願公開第2003/0225060号、米国特許出願公開第2003/0092732号、米国特許出願公開第2003/109556号、米国特許第2002/0177151号、米国特許出願公開第2002/187932号、米国特許出願公開第2003/0113263号(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる);並びにWO 99/64002、WO 00/74679、WO 02/15909、WO 01/70708、WO 01/70337、WO 01/91752、WO 02/068387、WO 02/068388、WO 02/067869、WO 03/007949、WO 2004/024720、WO 2004/089307、WO 2004/078716、WO 2004/078717、WO 2004/037797, WO 01/58891、WO 02/070511、WO 02/079146、WO 03/009847、WO 03/057671、WO 03/068738、WO 03/092690、WO 02/059095、WO 02/059107、WO 02/059108、WO 02/059117、WO 02/085925、WO 03/004480、WO 03/009850、WO 03/013571、WO 03/031410、WO 03/053927、WO 03/061660、WO 03/066597、WO 03/094918、WO 03/099818、WO 04/037797、WO 04/048345、WO 02/018327、WO 02/080896、WO 02/081443、WO 03/066587、WO 03/066597、WO 03/099818、WO 02/062766、WO 03/000663、WO 03/000666、WO 03/003977、WO 03/040107、WO 03/040117、WO 03/040118、WO 03/013509、WO 03/057671、WO 02/079753、WO 02//092566、WO 03/−093234、WO 03/095474及びWO 03/104761に開示されたものが挙げられる。
【0102】
併用療法の1つの特定の態様は、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質異常症からなる群より選択される症状を治療する方法であって、構造式Iの化合物及びHMG−CoAリダクターゼ阻害剤の治療上有効な量をこのような治療の必要な哺乳動物患者に投与することを包含する方法に関する。
【0103】
さらに詳細には、併用療法のこの態様は、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質異常症からなる群より選択される症状をこのような治療の必要な哺乳動物患者において治療する方法であって、ここで上記HMG−CoAリダクターゼ阻害剤が、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フラバスタチン、アトルバスタチン及びロスバスタチンからなる群より選択されるスタチンである、方法に関する。
【0104】
本発明の別の態様では、構造式Iの化合物及びHMG−CoAリダクターゼ阻害剤の治療上有効な量をこのような治療の必要な哺乳動物患者に投与することを包含する、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質異常症、並びにこのような症状の続発症からなる群より選択される症状を発症するリスクを減じる方法が開示されている。
【0105】
本発明の別の態様では、有効量の構造式Iの化合物及びHMG−CoAリダクターゼ阻害剤をこの患者に投与することを包含する、このような治療の必要なヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の発症の遅延又は発症のリスクの軽減の方法が開示されている。
【0106】
さらに詳細には、アテローム性動脈硬化症の発症の遅延又は発症のリスクの軽減の方法であって、このような治療の必要なヒト患者における方法が開示されており、ここで上記HMG−CoAリダクターゼ阻害剤は、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フラバスタチン、アトルバスタチン及びロスバスタチンからなる群より選択されるスタチンである。
【0107】
本発明の別の態様では、アテローム性動脈硬化症の発症の遅延又は発症のリスクの軽減の方法であって、このような治療の必要なヒト患者における方法が開示されており、ここでHMG−CoAリダクターゼ阻害剤はスタチンであり、さらにコレステロール吸収阻害剤を投与することを包含する。
【0108】
さらに詳細には、本発明の別の態様では、アテローム性動脈硬化症の発症の遅延又は発症のリスクの軽減の方法であって、このような治療の必要なヒト患者における方法が開示されており、ここで上記HMG−CoAリダクターゼ阻害剤はスタチンであり、コレステロール吸収阻害剤はエゼチミブである。
【0109】
本発明の別の態様では、医薬組成物が開示され、これは以下を含む:
(1)構造式Iの化合物;
(2)以下から選択される化合物:
(a)ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)阻害剤;
(b)インスリン感作物質であって、(i)PPARγアゴニスト、例えばグリタゾン(例えばトログリタゾン、ピゴグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾンなど)、及び他のPPARリガンド、例えばPPARα/γ二重アゴニスト、例えばKRP−297、ムラグリタザール(muraglitazar)、ナベグリタザール(naveglitazar)、Galida、TAK−559、PPARαアゴニスト、例えば、フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレート及びベザフィブレート)、及び選択的PPARγモジュレーター(SPPARγM’s)、例えばWO 02/060388、WO 02/08188、WO 2004/019869、WO 2004/020409、WO 2004/020408及びWO 2004/066963に開示されたもの;(ii)ビグアニド、例えば、メトホルミン及びフェンホルミン、並びに、(iii)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤、を含むもの;
(c)インスリン又はインスリン模倣薬;
(d)スルホニルウレア及び他のインスリン分泌促進物質、例えばトルブタミド、グリブリド、グリピジド、グリメピリド、及び例えばナテグリニド及びレパグニリドのようなメグリチニド;
(e)α−グルコシダーゼ阻害剤(例えばアカルボーズ及びミグリトール);
(f)グルカゴン受容体アンタゴニスト、例えばWO 98/04528、WO 99/01423、WO 00/39088及びWO 00/69810に開示されたもの;
(g)GLP−1、GLP−1アナログ又は模倣薬、並びにGLP−1受容体アゴニスト、例えばエキセンジン−4(エキセナチド)、リラグルチド(NN−2211)、CJC−1131、LY−307161、並びにWO 00/42026及びWO 00/59887に開示されたもの;
(h)GIP及びGIP模倣薬、例えばWO 00/58360に開示されたもの、及びGIP受容体アゴニスト;
(i)PACAP、PACAP模倣薬及びPACAP受容体アゴニスト、例えばWO 01/23420に開示されたもの;
(j)コレステロール低下剤、例えば(i)HMG−CoAリダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フラバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン及びロスバスタチン、並びに他のスタチン類)、(ii)金属イオン封鎖剤(コレスチラミン、コレスチポール及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はその塩、(iv)PPARαアゴニスト、例えばフェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロシル、クロフィブレート、フェノフィブレート及びベザフィブレート)、(v)PPARα/γデュアルアゴニスト、例えばナベグリタザール及びムラグリタザール、(vi)コレステロール吸収の阻害剤、例えばβシトステロール及びエゼチミブ、(vii)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばアバシミブ、並びに(viii)抗酸化剤、例えばプロブコール;
(k)PPARデルタアゴニスト、例えばWO 97/28149に開示されたもの;
(l)抗肥満化合物、例えばフェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オルリスタット、ニューロペプチドY又はYアンタゴニスト、CB1受容体インバースアゴニスト、及びアンタゴニスト、βアドレナリン受容体アゴニスト、メラノコルチン受容体アゴニスト、特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト、グレリンアンタゴニスト、ボンベシン受容体アゴニスト(例えばボンベシン受容体サブタイプ−3アゴニスト)及びメラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニスト;
(m)回腸胆汁酸輸送体阻害剤;
(n)炎症状態における使用を意図する剤、例えばアスピリン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、グルココルチコイド、アズルフィジン及び選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤;
(o)降圧剤、例えばACE阻害剤(エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、キナプリル、タンドラプリル)、A−II受容体ブロッカー(ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、テルミサルタン及びエプロサルタン)、βブロッカー及びカルシウムチャネルブロッカー;
(p)グルコキナーゼ活性化因子(GKAs)、例えばWO 03/015774;WO 04/076420及びWO 04/081001に開示されたもの;
(q)11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型阻害剤、例えば米国特許第6,730,690号;WO 03/104207及びWO 04/058741号に開示されたもの;
(r)コレステリルエステル転移タンパク質(CETP)阻害剤、例えばトルセトラピブ;
(s)フルクトース1,6−ビスホスファターゼ阻害剤、例えば米国特許第6,054,587号;同第6,110,903号;同第6,284,748号;同第6,399,782号及び同第6,489,476号に開示されたもの;
(t)アセチルCoAカルボキシラーゼ−1及び/又は−2阻害剤、及び
(u)AMPK活性化因子;並びに
(3)薬学的に許容される担体。
【0110】
本発明の化合物が1つ以上の他の薬物と同時に用いられる場合、本発明の化合物に加えてこのような他の薬物を含む医薬組成物が好ましい。したがって、本発明の医薬組成物としては、本発明の化合物に加えて、1つ以上の他の活性成分も含む組成物が挙げられる。
【0111】
第二の活性成分に対する本発明の化合物の重量比は、変化されてもよく、各々の成分の有効用量に依存する。一般には、各々の有効用量が用いられる。したがって、例えば、本発明の化合物が別の薬剤と組み合わされる場合、他の薬剤に対する本発明の化合物の重量比は一般に、約1000:1〜約1:1000、好ましくは約200:1〜約1:200である。一般に本発明の化合物及び他の活性成分の組み合わせも上述の範囲内であるが、各々の場合、各々の活性成分の有効量が用いられるべきである。
【0112】
このような併用では、本発明の化合物及び他の活性剤は、別々に又は組み合わせて投与されてもよい。さらに、1要素の投与は、他の薬剤(単数又は複数)の投与の前であっても又は同時であっても又は連続してもよい。
【0113】
本発明の化合物は、経口であっても、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、嚢内の注射又は注入、皮下注射又はインプラント)によって、吸入スプレー、経鼻、経膣、直腸、舌下又は局所投与経路によって投与されてもよく、そして、各々の投与経路に適切な、従来の非毒性の薬学的に許容される担体、アジュバント及びビヒクルを含む適切な単位剤形の製剤中で、単独で又は一緒に製剤されてもよい。温血動物、例えばマウス、ラット、ウマ、ウシ、ヒツジ、イヌ、ネコ、サルなどの治療に加えて、本発明の化合物は、ヒトにおける使用に有効である。
【0114】
本発明の化合物の投与のための医薬組成物は都合よく単位剤形で存在してもよく、薬学の当該技術分野において周知の任意の方法によって調製されてもよい。全ての方法が、活性成分を1つ以上の副成分を構成する担体と会合させる工程を包含する。一般には、医薬組成物は、活性成分を液体担体若しくは微細に分割した固体担体又はその両方と均一にかつ緊密に会合させること、次いで、必要に応じてこの生成物を所望の製剤に成型することによって調製される。医薬組成物には、活性な目的の化合物が疾患の過程又は状態に対して所望の効果を生じるのに十分な量で含まれる。本明細書において用いる場合、「組成物」という用語は、指定された量で特定の成分を含む生成物、及び指定された量での特定の成分の組み合わせから直接又は間接的に生じる任意の生成物を包含するものとする。
【0115】
活性成分を含有する医薬組成物は、経口使用のために適切な形態、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性又は油状の懸濁液、分散性の粉末又は顆粒、エマルジョン、硬カプセル若しくは軟カプセル又はシロップ若しくはエリキシルの形態であってもよい。経口使用が意図される組成物は、医薬組成物の製造のための当該技術分野で公知の任意の方法にしたがって調製されてもよく、このような組成物は、薬学的に洗練されかつ口当たりのよい製剤を提供するために、甘味料、香味料、着色料及び防腐剤からなる群より選択される1つ以上の薬剤を含んでもよい。錠剤は、錠剤の製造に適切な非毒性の薬学的に許容される賦形剤と混合した活性成分を含む。これらの賦形剤は、例えば不活性な希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム;顆粒化剤及び崩壊剤、例えば、コーンスターチ又はアルギン酸;結合剤、例えば、スターチ、ゼラチン又はアカシア、及び潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクであってもよい。錠剤は、コーティングされなくてもよいし、又はそれらは、胃腸管での分解及び吸収を遅らせ、それによって長期間にわたる徐放性の作用を得るための公知の技術によってコーティングされてもよい。例えば、時間遅延物質、例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルが使用され得る。それらはまた、徐放性のための浸透型治療錠剤を形成するために、米国特許第4,256,108号;同第4,166,452号及び同第4,265,874号に開示された技術によってコーティングされてもよい。
【0116】
経口使用のための製剤はまた、硬ゼラチンカプセル(活性成分が不活性な固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはカオリンと混合される)として又は軟ゼラチンカプセル(活性成分が水又はオイルエマルジョン、例えば、ピーナツオイル、流動パラフィン又はオリーブオイルと混合される)として与えられてもよい。
【0117】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適切な賦形剤と混合して活性な物質を含む。このような賦形剤は、懸濁剤、例えばカルボキシルメチル・セルロース・ナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカント・ガム及びアカシア・ガムであり;分散剤又は湿潤剤は、天然に存在するホスファチド、例えばレシチン、又はアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレン・オキシセタノール、又はエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール由来の部分エステルとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレン・ソルビトール・モノオレエート、又はエチレンオキシドと脂肪酸及び無水ヘキシトール由来の部分エステルとの縮合生成物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートであってもよい。水性懸濁液はまた、1つ以上の保存剤、例えばエチル又はn−プロピル p−ヒドロキシベンゾエート、1つ以上の着色剤、1つ以上の香味剤、及び1つ以上の甘味剤、例えばスクロース又はサッカリンを含んでもよい。
【0118】
油状の懸濁液は、植物油、例えばラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油若しくはココナツオイル(やし油)中に、又は鉱油、例えば流動パラフィン中に活性成分を懸濁することによって製剤されてもよい。この油状懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜ろう、固形パラフィン又はセチルアルコールを含んでもよい。甘味剤、例えば、上記の甘味剤及び香味剤が、口当たりのよい経口調製物を得るために添加されてもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸のような抗酸化剤の添加によって保存され得る。
【0119】
水の添加による水性懸濁液の調製に適切な分散性の粉末及び顆粒は、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1つ以上の保存剤と混合した活性成分を提供する。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は、既に上記されたものによって例示される。さらなる賦形剤、例えば、甘味剤、香味剤及び着色剤も存在してもよい。
【0120】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態であってもよい。油相は、植物油、例えばオリーブオイル又はラッカセイ油、又は鉱油、例えば流動パラフィン又はこれらの混合物であってもよい。適切な乳化剤は、天然に存在するガム、例えば、アラビア・ガム又はトラガカント・ガム、天然に存在するホスファチド(リン脂質)、例えば、大豆、レシチン、並びに脂肪酸及びヘキシトール無水物由来のエステル又は部分エステル、例えば、モノオレイン酸ソルビタン、及びこの部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートであってもよい。このエマルジョンはまた、甘味剤及び香味剤を含んでもよい。
【0121】
シロップ及びエリキシルは、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はスクロースとともに製剤されてもよい。このような製剤はまた、粘滑剤、保存剤及び香味剤及び着色剤を含んでもよい。
【0122】
この医薬組成物は、滅菌注射用水溶液又は油性の懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は、上述されている適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて、当該技術分野で公知の技術に従って製剤されてもよい。この滅菌注射用調製物はまた、例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口の許容される希釈液又は溶媒中の滅菌の注射用液又は懸濁液であってもよい。とりわけ使用され得る許容されるビヒクル及び溶媒は、水、リンゲル溶液及び等張性塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌の固定油が、溶媒又は懸濁媒体として都合よく使用される。この目的のために、合成のモノグリセリド又はジグリセリドを含む任意の非刺激性固定油が使用されてもよい。さらに、脂肪酸、例えば、オレイン酸は、注射用調製物において用途がある。
【0123】
本発明の化合物はまた、薬物の直腸投与のための坐剤の形態で投与されてもよい。これらの組成物は、薬物と、通常の温度では固体であるが、直腸温度では液体でありしたがって直腸において融解してその薬物を遊離する適切な非刺激性の賦形剤とを混合することによって調製されてもよい。このような物質はココアバター及びポリエチレングリコールである。
【0124】
局所使用については、本発明の化合物を含むクリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液などが使用される。(本出願の目的のためには、局所適用は、含嗽剤(mouthwashes)及びガーグル(gargles)を含むものとする。
【0125】
本発明の医薬組成物及び方法はさらに、上述の生理学的症状の治療において通常適用される本明細書に注記されるような他の治療上活性な化合物を含んでもよい。
【0126】
ステアロイル−CoAデルタ−9デサチュラーゼ酵素活性の阻害を要する症状の治療又は予防において、適切な投薬レベルは一般には、1日あたり患者の体重1kgあたり約0.01〜500mgであり、これは単回又は複数回の用量で投与され得る。好ましくは、この投薬レベルは、1日あたり約0.1〜約250mg/kg;さらに好ましくは1日あたり約0.5〜約100mg/kgである。適切な投薬レベルは、約0.01〜250mg/kg/日、約0.05〜100mg/kg/日又は約0.1〜50mg/kg/日であってもよい。この範囲内では、投薬量は、0.05〜0.5、0.5〜5又は5〜50mg/kg/日であってもよい。経口投与のためには、この組成物は好ましくは、活性成分の1.0〜1000mg、特に治療されるべき患者に対する投薬量の症状の調節のために、1.0、5.0、10.0、15.0.20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0及び1000.0mgの活性成分を含有する錠剤の形態で提供される。この化合物は、1日あたり1〜4回のレジメで、好ましくは1日あたり1回又は2回で投与されてもよい。
【0127】
真性糖尿病及び/又は高グリセリド血症又は高トリグリセリド血症又は本発明の化合物が適応とする他の疾患を治療又は予防する場合、一般には、本発明の化合物が動物の体重の1kgあたり約0.1mg〜約100mgの1日投薬量で、好ましくは、単回一日用量若しくは1日2〜6回の分割用量で又は徐放性の形態で与えられるとき、満足な結果が得られる。最も大型の哺乳動物では、合計一日用量は、約1.0mg〜約1000mg、好ましくは約1mg〜約50mgである。70kgの成体のヒトの場合、合計1日用量は一般に、約7mg〜約350mgである。この投薬レジメは、最適の治療応答を得るために調節されてもよい。
しかし、任意の特定の患者についての特定の用量レベル及び投与の頻度は変化され得、使用される特定の化合物の活性、代謝安定性及びその化合物の作用の長さ、年齢、体重、一般的健康状態、性別、食餌、投与の形態及び時間、排泄速度、薬物の併用、特定の症状の重篤度、並びにホストの受けている治療を含む種々の要因に依存するであろう。
【0128】
【化9】

【0129】
本発明の化合物の調製:
構造式Iの化合物は、適切な原料を用いて、以下のスキーム及び実施例の手順に従って調製され得、さらに以下の特定の実施例によって例示される。しかし、この実施例で例証される化合物は、本発明で考慮される唯一の属を形成するものと解釈されるべきではない。この実施例はさらに、本発明の化合物の調製のための詳細を例示する。以下の調製手順の条件及び過程の公知のバリエーションを用いてこれらの化合物を調製してもよいことを当業者は容易に理解する。全ての温度は他に注記しない限り摂氏温度である。質量スペクトル(MS)は、エレクトロスプレイイオン化質量分析(ESMS)によって測定した。
【0130】
方法A:
2,5−ジブロモピリジン及び4−ヒドロキシピペリジンの混合物を加熱して、中間の化合物を得る。
【0131】
【化10】

【0132】
方法B:
中間の化合物及び2−フルオロベンゾトリフルオリドの混合物を、DMF中、上昇した温度でカリウムtert−ブトキシドで処理して、臭化物を得る。
【0133】
【化11】

【0134】
方法C:
ブロミドを、DMF中、ビス(ピナコラート)ジボロン、PdCldppf及びKOAcを用いて加熱しながら処理して、ボロン酸塩を得る。
【0135】
【化12】

【0136】
方法D:
ボロン酸塩を、2つ以上の窒素を含有する6員のヘテロアリールハライド、例えば、エチル5−ブロモニコチネート、及びパラジウム触媒、例えばPd(OAc)及び(PhP)Pdと、塩基の存在下で反応させる。次いで、エステルをNaOHで加水分解して、を得る。この方法を、式で提示される種々のハロピリジンカルボン酸エステル、ハロピリジン酢酸エステル及びハロピリジンプロピオン酸エステルに拡大して、10を得てもよい。
【0137】
【化13】

【0138】
方法E:
方法A及びBを、11のような他の環状アミンに適用して、アルコール12を得、これを13に変換してもよい。
【0139】
【化14】

【0140】
方法F:
アルコール12は、適宜置換されるフェノール14との光延反応を介して、フェニルエーテル15に変換され得る。
【0141】
【化15】

【0142】
方法G:
アルコール12をシリル基で保護して、16を得て、次にこれを方法Cを用いてボロン酸塩17に変換してもよい。17と適切に置換されたハロピリジン又はハロピリミジンとのパラジウム媒介性のクロスカップリング反応は、方法Dを用いて達成され得る。シリル基の除去、続いて方法B及びFのいずれかでのアリールカップリングによって、本発明の化合物が得られる。
【0143】
【化16】

【0144】
方法H:
ボロン酸塩を2−クロロピリミジン−5−カルボン酸19(J.Med.Chem.2001,44,3369〜3377)と、触媒量のパラジウムとともに反応させて、20を得る。
【0145】
【化17】

【0146】
方法I:
3,6−ジクロロピリダジン21の混合物を、水及びエタノールのような極性の溶媒中で触媒量の酸の存在下で環状アミノアルコールとともに加熱して、化合物22を得る。
【0147】
【化18】

【0148】
方法J:
ボロン酸又はボロン酸エステル23及び3−クロロピリダジン22の混合物を、パラジウム触媒(例えば、Pddba、PdCl、Pd(OAc)及び[(アリル)PdCl])、ホスフィン配位子(例えば、PPh、PCy、P(t−Bu)及びビフェニルP(Cy))及び塩基(例えば、KPO、CsCO、CsF及びKOt−Bu)及び極性の溶媒の存在下で加熱して、クロスカップリング生成物24を得る。
【0149】
【化19】

【0150】
方法K:
THF及びジオキサンのような溶媒中、ピリダジンアルコール24及びフェノール25の混合物を、アゾジカルボキシレート(例えば、ジエチルアゾジカルボキシレート、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート及び1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン)及びホスフィン試薬(例えば、PPh及びPi−Bu)と、25℃〜80℃におよぶ温度で反応させる。濃縮及び精製、続いてエステルの塩基性加水分解によって、所望の化合物26を得る。
【0151】
【化20】

【0152】
方法L:
適切に置換されたアミノヘテロアリールブロミド27を、塩基、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)又はアルカリ金属(K,Na,Cs)炭酸塩の存在下で、溶媒、例えば、DMF、THF及びEtOH中において、ほぼ室温〜ほぼ還流の温度範囲で、適切に置換された環状アミン28と反応させる。水の添加又は抽出処理による生成物の沈殿、及びフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製によって、所望のアミノヘテロアリール29を得る。アミノヘテロアリール29と、臭化銅(II)及びt−ブチルニトリルとの、アセトニトリルなどの溶媒中のほぼ室温〜ほぼ還流という温度範囲での反応に続き、抽出処理及びフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製によって、所望の臭化ヘテロアリール30を得る。臭化ヘテロアリール30と、適切なカルボキシ−ヘテロアリール・ボロネート・エステル31との、DMF及びNMPのような溶媒中でのパラジウム(II)及び水性のNaCO又はKPOの存在下における、還流温度での鈴木カップリング、続いて抽出処理及びフラッシュカラムクロマトグラフィーによる精製によって、所望のヘテロアリールエステル32を得る。ほぼ室温〜ほぼ還流という温度範囲で、THF及びMeOHのような溶媒中、水性のNaOH又はLiOHを用いたヘテロアリール32の加水分解、続いて抽出処理及びフラッシュカラムクロマトグラフィー又は再結晶による精製によって、ヘテロアリールカルボン酸33を得る。
【0153】
【化21】

【0154】
方法M:
エチル5−ブロモニコチネート34を、パラジウム触媒の存在下でヘキサメチルジチンを用いてアリールスズ誘導体35に変換する。次いで、このスズ誘導体35を、クロロピリダジン22及びパラジウム触媒、例えば、パラジウム(I)トリ−tertブチルホスフィンブロミド二量体と反応させて、アルコール36を得る。アルコール36を、方法B又はFを利用して、本発明の化合物に変換し得る。
【0155】
【化22】

【0156】
以下の実施例は、本発明を例示するものであり、決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきはない。
実施例1
【0157】
【化23】

【0158】
6’−(4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}−1−ピペリジニル)−3,3’−ビピリジン−5−カルボン酸
工程11−(5−ブロモ−2−ピリジニル)−4−ピペリジノール
2,5−ジブロモピリジン及び4−ヒドロキシピペリジン(2.2当量)の混合物を、150℃で0.5時間加熱した。次いで、この反応混合物を冷却し、次に中性のpHになるまで酢酸エチル及び10%NaOH水溶液を添加した。その有機層を分離し、NaSOで乾燥して、エバポレーション後に、表題の化合物を白色固体として得た。
【0159】
工程25−ブロモ−2−(4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]}−1−ピペリジニル)ピリジン
1−(5−ブロモ−2−ピリジニル)−4−ピペリジノールのDMF(0.95M)中の溶液に、1Mのカリウムtert−ブトキシド(1.15当量)及び2−フルオロベンゾトリフルオリド(1.5当量)を添加した。70℃で18時間後に、その反応混合物を、酢酸エチルとNHCl水溶液との間で分配した。その有機層を分離し、NaSOで乾燥して、エバポレートした。表題の化合物を、ヘキサン中30%酢酸エチルを用いて溶出するシリカゲル上で精製した。
【0160】
工程35−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}ピリジン
5−ブロモ−2−(4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]}−1−ピペリジニル)ピリジン、ビス(ピナコラート)ジボロン(1.5当量)、PdCldppf(0.07当量)及びKOAc(3.9当量)のDMF(0.13M)中の混合物を80℃で加熱した。18時間後、反応混合物をエーテルと水との間で分配させた。その有機層を分離して、NaSOで乾燥し、エバポレートした。表題の化合物をヘキサン中50%酢酸エチルを用いて溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0161】
工程4エチル6’−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−3,3’−ビピリジン−5−カルボキシレート
5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}ピリジン、エチル5−ブロモニコチネート(2.5当量)、Pd(PhP)(0.1当量)、2MのNaCO(3.0当量)のDMF(0.08M)中の混合物を100℃で加熱した。4時間後、その反応混合物を、酢酸エチルと水との間で分配した。その有機層を分離し、NaSOで乾燥して、エバポレートした。表題の化合物を、ヘキサン中40%酢酸エチル〜50%酢酸エチルを用いて溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0162】
工程56’−(4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}−1−ピペリジニル)−3,3’−ビピリジン−5−カルボン酸
エチル6’−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−3,3’−ビピリジン−5−カルボキシレート(0.03M)のMeOH:THF:NaOH 1M(1:1:1)中の溶液を、室温で2時間攪拌した。表題の化合物を、C18CombiPrep ODS−AMカラム(勾配:60%のHO、CHCN〜5%のHO、CHCN、8分にわたる)を用いて逆相HPLCによって精製した。MS:m/z443.9(ESI+)。
実施例2
【0163】
【化24】

【0164】
[6’−(4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}−1−ピペリジニル)−2,3’−ジピリジン−5−イル]酢酸
工程1[6’−(4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}−1−ピペリジニル)−2,3’−ビピリジン−5−イル]酢酸
エチル(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−アセテート(1.5当量)を、5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}ピリジン(実施例1の工程3由来)、Pd(OAc)(0.017当量)、PhP(0.05当量)及び2MのNaCO(4.5当量)の混合物と反応させて、その混合物を80℃で加熱した。4時間後、その反応混合物を2MのLiOH(5当量)水溶液を用いて22℃で3時間加水分解した。その溶液をギ酸(30当量)の添加で中和して、濃縮した。その残渣をDMSO(0.04M)に懸濁して、遠心分離した。その上清をC18CombiPrep ODS−AMカラム(勾配:CHCN中の60%のHO〜CHCN中の5%のHO、8分にわたる)を用いて逆相HPLCによって精製して、表題の化合物を得た。MS:m/z458.5(ESI+)。
実施例3
【0165】
【化25】

【0166】
6−メチル−6’−(4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}−1−ピペリジニル)−2,3’−ビピリジン−4−カルボン酸
工程1メチル2−クロロ−6−メチルイソニコチネート
2−クロロ−6−メチルイソニコチン酸を、エーテル中のジアゾメタンを用いてエタノール(0.04M)中で処理して、メチルエステル誘導体を得た。その溶液を濃縮して、表題の化合物を得た。
【0167】
工程26−メチル−6’−(4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}−1−ピペリジニル)−2,3’−ビピリジン−4−カルボン酸
工程1で得られたエタノール溶液中、エチル(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−アセテートをメチル 2−クロロ−6−メチル−イソニコチネートで置き換えて、表題の化合物を、実施例2、工程1に記載のとおり調製した。MS:m/z458.5(ESI+)。
実施例4
【0168】
【化26】

【0169】
6−メチル−6’−(4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}−1−ピペリジニル)−2,3’−ビピリジン−3−カルボン酸
工程16−メチル−6’−(4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}−1−ピペリジニル)−2,3’−ビピリジン−3−カルボン酸
エチル(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−アセテートを、実施例3、工程1に記載のような2−クロロ−6−メチル−ニコチン酸から調製したメチル2−クロロ−6−メチル−ニコチン酸で置き換えて、表題の化合物を実施例2、工程1に記載のとおり調製した。MS:m/z458.5(ESI+)。
実施例5
【0170】
【化27】

【0171】
6’−(4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}−1−ピペリジニル)−2,3’−ビピリジン−3−カルボン酸
工程16’−(4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}−1−ピペリジニル)−2,3’−ビピリジン−3−カルボン酸
エチル(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−アセテートを、実施例3、工程1に記載のような3−ブロモ−イソニコチン酸から調製したメチル 3−ブロモ−イソニコチネートで置き換えて、表題の化合物を、実施例2、工程1に記載のとおり調製した。MS:m/z444.4(ESI+)。
実施例6
【0172】
【化28】

【0173】
6’−(4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}−1−ピペリジニル)−3,3’−ビピリジン−2−カルボン酸
工程16’−(4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}−1−ピペリジニル)−3,3’−ビピリジン−2−カルボン酸
エチル(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−アセテートを、実施例3、工程1に記載のような3−ブロモ−ピコリン酸から調製したメチル3−ブロモ−ピコリン酸塩で置き換えて、表題の化合物を、実施例2、工程1に記載のとおり調製した。MS:m/z444.4(ESI+)。
実施例7
【0174】
【化29】

【0175】
2−(6−(4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ})ピリジン−3−イル)ピリミジン−5−カルボン酸
エチル(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−アセテートを、実施例3、工程1に記載のような2−クロロ−ピリミジン−5−カルボン酸から調製したメチル2−クロロ−ピリミジン−5−カルボキシレートで置き換えて、表題の化合物を、実施例2、工程1に記載のとおり調製した。MS:m/z445.4(ESI+)。あるいは、表題の化合物を、2−クロロピリミジン−5−カルボン酸、5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}ピリジン(1.4当量)、NaHCO(1.5当量)、(PhP)Pd(0.1当量)から、DMF/HO(1/1)(0.1M)中で調製した。
実施例8
【0176】
【化30】

【0177】
2−(6−(4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ})ピリジン−3−イル)ピリミジン−4−カルボン酸
エチル(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−アセテートを、実施例3、工程1に記載のように2−クロロ−ピリミジン−4−カルボン酸から調製したメチル2−クロロ−ピリミジン−4−カルボキシレートで置き換えて、表題の化合物を、実施例2、工程1に記載のとおり調製した。MS:m/z445.4(ESI+)。
実施例9
【0178】
【化31】

【0179】
4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}−1−ピペリジニル)−2,3’−ビピリジン−6−カルボン酸
エチル(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−アセテートを、実施例3、工程1に記載のように6−ブロモ−ピコリン酸から調製したメチル6−ブロモ−ピコリン酸塩で置き換えて、表題の化合物を、実施例2、工程1に記載のとおり調製した。MS:m/z444.4(ESI+)。
実施例10
【0180】
【化32】

【0181】
6’−(4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}−1−ピペリジニル)−2,3’−ビピリジン−4−カルボン酸
エチル(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−アセテートを、実施例3、工程1に記載のように2−ブロモ−イソニコチン酸から調製したメチル2−ブロモ−イソニコチネートで置き換えて、表題の化合物を、実施例2、工程1に記載のとおり調製した。MS:m/z444.4(ESI+)。
実施例11
【0182】
【化33】

【0183】
6’−(4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}−1−ピペリジニル)−2,3’−ビピリジン−5−カルボン酸
エチル(6−クロロ−ピリジン−3−イル)−アセテートを、メチル2−クロロ−ニコチネートで置き換えて、表題の化合物を、実施例2、工程1に記載のとおり調製した。MS:m/z444.4(ESI+)。
実施例12
【0184】
【化34】

【0185】
エチル6’−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−3,3’−ビピリジン−5−カルボキシレート
表題の化合物を、実施例1、工程4に記載のとおり調製した。MS:m/z472.2(ESI+)。
実施例13
【0186】
【化35】

【0187】
エチル5−{6−[4−(2−ブロモフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチネート
工程11−(6−クロロピリダジン−3−イル)ピペリジン−4−オール
【0188】
【化36】

【0189】
磁気スターバー(stirbar)及び還流冷却器を装備した丸底フラスコ中に、3,6−ジクロロピリダジン(1当量)、4−ヒドロキシピペリジン(1.3当量)及び水(200mL)を添加した。その懸濁液を、濃塩酸(1.02mL,0.1当量)を滴下して処理して、その懸濁物を24時間80℃に加熱した。得られたオレンジ色の溶液を室温に冷却して、10Mの水酸化ナトリウム溶液を用いてpH=11まで塩基性にした。得られた懸濁液を、1MのNaOH水溶液を含む分液漏斗中に注いで、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過して減圧下で濃縮した。得られた黄色の固体を、酢酸エチル/ジエチルエーテル中で完全に粉砕して、ヒルシェ(Hirsch)漏斗上でワットマン#1の濾紙で濾過し、表題の化合物を黄色の固体として得た。
【0190】
工程2エチル5−[6−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)ピリダジン−3−イル]ニコチネート
【0191】
【化37】

【0192】
磁気スターバーを装備した火力乾燥シュレンク(Schlenk)フラスコに、N雰囲気下で3−(エトキシカルボニル)ピリジン−5−ボロン酸ピナコールエステル(1当量)、1−(6−クロロピリダジン−3−イル)ピペリジン−4−オール(1.1当量)、Pd(dba)(0.01当量)及びトリシクロヘキシルホスフィン(0.025当量)を添加した。このフラスコを排気し、Nを充填し戻した(3回繰り返し)。固体をジオキサン(0.5M)に懸濁し、次いで第三リン酸カリウム(1.7当量)の水溶液を添加した。その混合物を油浴中で3時間100℃に加熱した。その混合物を冷却し、pH5の緩衝液を含む分液漏斗に注ぎ、その混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過して、その溶媒を減圧下でエバポレートした。シリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによる精製(酢酸エチル中5%MeOHで溶出)によって、示された生成物をベージュ色の固体として得た。
【0193】
工程3エチル5−{6−[4−(2−ブロモフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチネート
【0194】
【化38】

【0195】
磁気スターバーを装備した丸底フラスコに、THF(1M)中、エチル5−[6−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)ピリダジン−3−イル]ニコチネート(1当量)、2−ブロモフェノール(1.3当量)、ジエチルアゾジカルボキシレート(1.3当量)及びトリフェニルホスフィン(1.3当量)を添加した。この濃厚懸濁液を20分間超音波処理したところ、濃いオレンジ色の溶液になった。その反応混合物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中50%酢酸エチルで溶出)によって精製して、所望の生成物を白色固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ9.41(s,1H);9.26(s,1H);8.95(s,1H)、7.76−7.65(m,2H)、7.62−7.54(m,1H)、7.09(d,J=9.5Hz,1H)、7.00(d,J=8.5Hz,1H)、6.90(t,J=7.5Hz,1H)、4.80−4.70(m,1H)、4.47(q,J=7.14Hz,2H)、4.02−3.96(m,4H)、2.10−2.05(m,4H)、1.46(t,J=7.0Hz,3H)。
MS(ESI,Q):m/z483,485(79Br及び81BrについてM+1)。
実施例14
【0196】
【化39】

【0197】
5−{6−[4−(2−ブロモフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチン酸
磁気スターバー及び還流冷却器を装備した丸底フラスコに、エチル5−{6−[4−(2−ブロモフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチネート(1当量)、メタノール(0.04M)及び1Mの水酸化ナトリウム水溶液(7.5当量)を添加した。得られた懸濁液を100℃まで2時間加熱し、次いで室温に冷却した。その反応混合物を濃縮して、pH5の緩衝液を含む分液漏斗に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮し、所望の生成物を白色固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO−d):δ9.42(s,1H)、9.09(s,1H)、8.85(s,1H)、8.15(d,J=9.5Hz,1H)、7.59(d,J=1.5Hz,1H)、7.47(d,J=9.5Hz,1H)、7.39−7.33(m,1H)、7.30−7.24(m,1H)、6.92(t,J=7.5Hz,1H)、4.85(bs,1H)、4.02−3.94(m,2H)、3.81−3.73(m,2H)、2.06−1.98(m,2H)、1.80−1.74(m,2H)。MS(ESI,Q)m/z454,456(79Br及び81BrについてM+1)。
実施例15
【0198】
【化40】

【0199】
エチル5−{6−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチネート
磁気スターバーを装備した丸底フラスコに、THF(1M)中、エチル5−[6−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)ピリダジン−3−イル]ニコチネート(1当量),2−ブロモ−5−フルオロフェノール(1.3当量)、ジエチルアゾジカルボキシレート(1.3当量)及びトリフェニルホスフィン(1.3当量)を添加した。濃厚な懸濁液を、20分間超音波処理したところ、濃いオレンジ色の溶液になった。その反応混合物をシリカゲル上でのカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中40%酢酸エチルで溶出)によって精製して、所望の生成物を白色固体として得た。
H NMR(400MHz,CDCl)δ9.40(s,1H)、9.26(s,1H)、8.94(s,1H)、7.77−7.72(m,1H)、7.55−7.49(m,1H)、7.09(d,J=9.5Hz,1H)、6.72(dd,J=10.5,3.0Hz,1H)、6.64(ddd,J=9.0,8.0,3.0Hz,1H)、4.74−4.68(m,1H)、4.46(q,J=7.0Hz,2H);4.03−3.91(m,4H)、2.12−2.04(m,4H)、1.45(t,J=7.0Hz,3H)。MS(ESI,Q)m/z501,503(79Br及び81BrについてM+1)。
実施例16
【0200】
【化41】

【0201】
5−{6−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチン酸
磁気スターバー及び還流冷却器を装備した丸底フラスコに、エチル5−{6−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチネート(1当量)、メタノール(0.04M)及び1Mの水酸化ナトリウム水溶液(5当量)を添加した。得られた懸濁液を100℃まで2時間加熱し、次いで室温まで冷却した。その反応混合物を濃縮して、pH5の緩衝液を含む分液漏斗に注ぎ、酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。その合わせた有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮し、所望の生成物を白色固体として得た。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ9.19(s,1H)、9.04(s,1H)、8.74(s,1H)、7.65(d,J=9.5Hz,1H)、7.38−7.34(m,1H)、7.05(d,J=9.5Hz,1H)、6.64−6.60(m,1H)、6.50−6.48(m,1H)、4.58(bs,1H)、3.83−3.77(m,4H)、1.94−1.88(m,4H)。MS(ESI,Q)m/z473,475(79Br及び81BrについてM+1)。
実施例17
【0202】
【化42】

【0203】
5−{6−[4−(2−ヨードフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチン酸
工程1エチル5−{6−[4−(2−ヨードフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチネート
磁気スターバーを装備した丸底フラスコに、THF(1mL)中、エチル5−[6−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)ピリダジン−3−イル]ニコチネート(230mg,0.700mmol)、2−ヨードフェノール(200mg,0.911mmol)、ジエチルアゾジカルボキシレート(144μL、0.911mmol)及びトリフェニルホスフィン(225mg,0.911mmol)を添加した。この濃厚懸濁液を20分間超音波処理したところ、濃いオレンジ色の溶液になった。その反応混合物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中40%酢酸エチルで溶出)によって精製して、所望の生成物を白色固体として得た。
工程25−{6−[4−(2−ヨードフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチン酸
磁気スターバー及び還流冷却器を装備した丸底フラスコに、エチル5−{6−[4−(2−ヨードフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチネート(1当量)、メタノール(0.03M)及び1Mの水酸化ナトリウム水溶液(10当量)を添加した。得られた懸濁液を100℃まで2時間加熱し、次いで室温まで冷却した。その反応混合物を濃縮して、pH5の緩衝液を含む分液漏斗に注いで、酢酸エチルで3回抽出した。その合わせた有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮し、所望の生成物を白色固体として得た。MS(ESI,Q)m/z503(M+1)。
実施例18
【0204】
【化43】

【0205】
5−{6−[4−(3−ブロモフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチン酸
工程1エチル5−{6−[4−(3−ブロモフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチネート
磁気スターバーを装備した丸底フラスコに、THF(1M)中、エチル5−[6−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)ピリダジン−3−イル]ニコチネート(1当量)、3−ブロモフェノール(1.3当量)、ジエチルアゾジカルボキシレート(1.3当量)及びトリフェニルホスフィン(1.3当量)を添加した。この濃厚懸濁液を20分間超音波処理したところ濃いオレンジ色の溶液になった。その反応混合物を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中40%酢酸エチルで溶出)によって精製して、所望の生成物を白色固体として得た。
【0206】
工程25−{6−[4−(3−ブロモフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチン酸
磁気スターバー及び還流冷却器を装備した丸底フラスコに、エチル5−{6−[4−(3−ブロモフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチネート(1当量)、メタノール(0.1M)及び1Mの水酸化ナトリウム水溶液(4.8当量)を添加した。得られた懸濁液を100℃まで2時間加熱し、次いで室温まで冷却した。その反応混合物を濃縮してpH5の緩衝液を含む分液漏斗に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮し、所望の生成物を白色固体として得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ9.32(s,1H)、9.15(s,1H)、8.92(s,1H)、8.03−7.97(m,1H)、7.46−7.40(m,1H)、7.24−7.15(m,2H)、7.13−7.07(m,1H)、6.99(d,J=8.0Hz,1H)、4.73(bs,1H)、4.11−4.05(m,2H)、3.74−3.68(m,2H)、2.12(m,2H)、1.86(m,2H)。MS(ESI,Q)m/z453,455(79Br及び81BrについてM−1)。
実施例19
【0207】
【化44】

【0208】
エチル5−[6−(3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)ピリダジン−3−イル]ニコチネート
工程11−(6−クロロピリダジン−3−イル)アゼチジン−3−オール
【0209】
【化45】

【0210】
還流冷却器及び磁気スターバーを装備した丸底フラスコに、3,6−ジクロロピリダジン(1.0当量)、3−ヒドロキシアゼチジン塩酸塩(1当量)及び水(0.9M)を添加した。アミン塩酸塩を、1Mの水酸化ナトリウム水溶液(0.8当量)の添加で部分的に中和した。その懸濁液を48時間還流した。その混合物を冷却して、250mLの分液漏斗(1Mの水酸化ナトリウム水溶液(125mL)を含む)に注いで、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮した。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中50%酢酸エチルで溶出)による精製によって、表題の化合物を淡黄色の固体として得た。
【0211】
工程2エチル5−[6−(3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)ピリダジン−3−イル]ニコチネート
磁気スターバーを装備した15−mLのシュレンクフラスコに、3−(エトキシカルボニル)ピリジン−5−ボロン酸ピナコールエステル(858mg,3.10mmol)、1−(6−クロロピリダジン−3−イル)アゼチジン−3−オール(500mg,2.69mmol)、Pddba(25mg,0.03mmol)及びトリシクロヘキシルホスフィン(19mg,0.07mmol)を添加した。そのフラスコを、減圧下で排気し、Nを充てんした(3回繰り返し)。次いで、その固体をジオキサン(6mL)で処理して、三塩基性リン酸カリウムの水溶液(0.972mL,4.58mmol)を添加した。そのフラスコを密封し、100℃で5時間加熱した。その反応混合物を冷却して、シリカゲルのプラグを備える焼結ガラス漏斗を通してろ過して、固体パッドを大量の9:1の酢酸エチル:メタノールで洗浄した。その濾液を減圧下で濃縮して、100%の酢酸エチルで溶出するシリカゲルを通じたカラムクロマトグラフィーによって精製した。
H NMR(400MHz,CDCl)δ9.34(s,1H)、9.23(s,1H)、8.87(s,1H)、7.68(d,J=9.5Hz,1H)、6.67(d,J=9.5Hz,1H)、4.94(bs,1H)、4.53−4.40(m,5H)、4.12(dd,J=9.5,4.5Hz,2H)、3.49(bs,1H)、1.44(t,J=7.0Hz,3H)。MS(ESI,Q)m/z301(M+1)。
実施例20
【0212】
【化46】

【0213】
5−{6−[3−(2−ブロモフェノキシ)アゼチジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチン酸
工程1エチル5−{6−[3−(2−ブロモフェノキシ)アゼチジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチネート
磁気スターバー、還流冷却器を装備した丸底フラスコに、N下で、エチル5−[6−(3−ヒドロキシアゼチジン−1−イル)ピリダジン−3−イル]ニコチネート(1当量)、2−ブロモフェノール(1.2当量)、1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン(1.2当量)及びTHF(0.2M)を添加した。その懸濁液を80℃まで加熱し、次いでトリ−n−ブチルホスフィン(1.2当量)を滴下して加え、その溶液を16時間加熱した。その冷却した反応混合物を、25mLの1Mの塩酸水溶液でクエンチして、室温で30分間攪拌した。その反応物をpH=9まで塩基性にし、次いで水を含む分液漏斗に注ぎ、その混合物を酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮した。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中40%酢酸エチルで溶出)による精製により、表題の化合物を白色固体として得た。
【0214】
工程25−{6−[3−(2−ブロモフェノキシ)アゼチジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチン酸
磁気スターバーを装備した丸底フラスコに、エチル5−{6−[3−(2−ブロモフェノキシ)アゼチジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチネート(1.0当量)、メタノール(0.1M)及び1Mの水酸化ナトリウム水溶液(5.0当量)を添加した。得られた懸濁液を100℃に2時間加熱し、室温まで冷却した。その反応混合物を濃縮してpH=5の緩衝液を含む分液漏斗に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮し、所望の生成物を白色固体として得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ9.33(s,1H)、9.16(s,1H)、8.93(s,1H)、8.04(d,J=9.5Hz,1H)、7.60(d,J=8.0Hz,1H)、7.38−7.32(m,1H)、7.06(d,J=9.5Hz,1H)、6.98−6.87(m,2H)、5.36−5.30(m,1H);4.70(dd,J=9.5,6.5Hz,2H)、4.28(dd,J=9.5,4.0Hz,2H)。
MS(ESI,Q)m/z425,427(79Br及び81BrについてM−1)。
実施例21
【0215】
【化47】

【0216】
5−{6−[4−(キノリン−4−イルオキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチン酸
工程1エチル5−{6−[4−(キノリン−4−イルオキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチネート
磁気スターバーを装備した丸底フラスコに、THF(1M)中、エチル5−[6−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)ピリダジン−3−イル]ニコチネート(1当量)、4−ヒドロキシキノリン(1.3当量)、ジエチルアゾジカルボキシレート(1.3当量)及びトリフェニルホスフィン(1.3当量)を添加した。この濃厚懸濁液を20分間超音波処理したところ、濃いオレンジ色の溶液になった。その反応混合物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(100%の酢酸エチルで溶出)によって精製し、所望の生成物を白色固体として得た。
【0217】
工程25−{6−[4−(キノリン−4−イルオキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチン酸
磁気スターバーを装備した丸底フラスコに、エチル5−{6−[4−(キノリン−4−イルオキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチネート(1当量)、メタノール(0.1M)及び1Mの水酸化ナトリウム水溶液(4.5当量)を添加した。得られた懸濁液を100℃に2時間加熱し、次いで室温まで冷却した。その反応混合物を濃縮して、pH5の緩衝液を含む分液漏斗に注ぎ、酢酸エチルで3回抽出した。合わせた有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮し、所望の生成物を白色固体として得た。
H NMR(400MHz,CDOD)δ9.21(s,1H)、9.12(s,1H)、8.83(s,1H)、8.70(d,J=5.5Hz,1H)、8.31(d,J=8.5Hz,1H)、7.99−7.94(m,2H)、7.76(t,J=7.5Hz,1H)、7.58(t,J=7.5Hz,1H)、7.47(d,J=9.5Hz,1H)、7.14(d,J=5.5Hz,1H)、5.16−5.10(m,1H)、4.18−4.10(m,2H)、3.88−3.80(m,2H)、2.33−2.25(m,2H)、2.13−2.03(m,2H)。MS(ESI,Q)m/z456(M+1)。
実施例22
【0218】
【化48】

【0219】
5−[5−(4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}ピペリジン−1−イル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]ピリジン−3−カルボン酸
工程15−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−1,3,4−チアジアゾール−2−アミン
4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン塩酸塩(1当量)のDMF(0.04M)中の溶液に、5−ブロモ−1,3,4−チアジアゾール−2−アミン(1当量)及びKCO(3当量)を添加した。その反応物を80℃で一晩、攪拌しながら加熱した。冷却後、その塩をろ過によって除き、その濾液を真空中でエバポレートした。その残渣を酢酸エチルで洗浄して、表題の化合物を得た。
H NMR(400MHz,DMSO−d):δ7.57−7.60(m,2H)、7.29−7.35(m,1H)、7.03−7.05(m,1H)、6.46(s,2H)、4.84(s,1H)、3.22−3.30(m,4H)、1.91−2.01(m,2H)、1.68−1.78(m,2H)。MS:m/z345(MH)。
【0220】
工程21−(5−ブロモ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)−4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン
5−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−1,3,4−チアジアゾール−2−アミン(1当量)のアセトニトリル(0.03M)中の懸濁液に、CuBr(2当量)を添加した。5分後、t−ブチル亜硝酸(2当量)を添加して、その反応混合物を室温で15分間攪拌した。次いでその反応混合物をTLCが出発原料の完全な消費を示すまで50〜60℃に加熱した。その溶媒をエバポレートし、EtOAc及び水を添加した。その固体を濾過によって除去し、その濾液をEtOAcで3回抽出し、無水NaSOで乾燥した。溶媒を真空中で除去して、粗生成物を得て、これをコンビフラッシュ(SiO,勾配溶出20〜50%のEtOAc/ヘキサン)によって精製して、表題の化合物を固体として得た。
H NMR(400MHz、アセトン−d):δ7.65−7.57(m,2H)、7.34(d,1H)、7.09(t,1H)、5.01−4.96(m,1H)、3.72(ddd,2H)、3.66−3.58(m,2H)、2.20−2.11(m,2H)、2.03−1.95(m,2H)。MS:m/z408,410(MH)。
【0221】
工程3エチル−5−[5−(4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}ピペリジン−1−イル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]ピリジン−3−カルボキシレート
1−(5−ブロモ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)−4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン(1当量)、エチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−3−カルボキシレート(1.2当量)、Pd(dppf)Cl(0.15当量)及び2MのNaCO水溶液(2.3当量)の混合物を、DMF(0.2M)中、Nガスを用いて5分間脱気した。次いで、その混合物を80℃で加熱した。5時間後、その混合物を室温まで冷却して、EtOAcで希釈し、セライトを通じてろ過した。その濾液を水で希釈して、EtOAcで3回抽出した。合わせた有機抽出物を水(25mL)で洗浄し、無水NaSOで乾燥した。溶媒を真空下で除去して、粗生成物を得て、これをコンビフラッシュ(SiO、勾配溶出50〜80%のMeOH/EtOAc)によって精製して、表題の化合物を固体として得た。
H NMR(500MHz,アセトン−d):δ9.16(s,1H)、9.13(s,1H)、8.62(t,1H)、7.66−7.58(m,2H)、7.36(d,1H)、7.10(t,1H)、5.05−5.01(m,1H)、4.43(q,2H)、3.88−3.81(m,2H)、3.79−3.72(m,2H)、2.24−2.17(m,2H)、2.05−2.01(m,2H)、1.40(t,3H)。MS:m/z479(MH)。
【0222】
工程45−[5−(4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}ピペリジン−1−イル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]ピリジン−3−カルボン酸
エチル−5−[5−(4−{[2−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}ピペリジン−1−イル)−1,3,4−チアジアゾ―ル−2−イル]ピリジン−3−カルボキシレート(1当量)のTHF(0.2M)中の溶液に、2MのNaOH水溶液(10当量)を添加した。この混合物を60℃で2時間加熱した。THFを除去し、次いで水性の残渣をEtOAcで2回洗浄した。その水層を、2NのHClを用いてpHを約5まで酸性にした。固体沈殿物をEtOでスラリーにして、濾過して、水、次いでEtOで洗浄して、表題の化合物を固体として得た。
H NMR(500MHz,アセトン−d):δ9.15(2xd,2H)、8.65(s,1H)、7.62(d,2H)、7.37(d,1H)、7.10(s,1H)、4.97(brs,1H)、3.83(dd,2H)、3.78−3.71(m,2H)、2.25−2.16(m,2H)、2.02−1.97(m,2H)。MS:m/z451(MH)。
実施例23
【0223】
【化49】

【0224】
5−{5−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}ニコチン酸
工程11−(5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)ピペリジン−4−オール
表題の化合物を、実施例22(工程1)に記載されるのと同じ方法でピペリジン−4−オール及び5−ブロモ−1,3,4−チアジアゾール−2−アミンから調製した。MS:m/z201(MH)。
【0225】
工程21−(5−ブロモ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)ピペリジン−4−オール
表題の化合物をm実施例22(工程2)に記載されるのと同じ方法で1−(5−アミノ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)ピペリジン−4−オール,CuBr及びt−ブチル亜硝酸から調製した。MS:m/z264,266(MH)。
【0226】
工程3エチル5−[5−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]ニコチネート
表題の化合物を、実施例22(工程3)に記載されるのと同じ方法で1−(5−ブロモ−1,3,4−チアジアゾール−2−イル)ピペリジン−4−オール,5−ブロモ−1,3,4−チアジアゾール−2−アミン,エチル−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−3−カルボキシレート及びPd(dppf)Clから調製した。MS:m/z335(MH)。
【0227】
工程4エチル−5−{5−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}ニコチン酸
表題の化合物を、実施例15に記載されるのと同じ方法でエチル5−[5−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−1,3,4−チアジアゾール−2−イル]ニコチネート−ブロモ−5−フルオロフェノール,ジエチルアゾジカルボキシレート及びトリフェニルホスフィンから調製した。MS:m/z507,509(MH)。
【0228】
工程55−{5−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル−ニコチン酸
表題の化合物を、実施例22(工程4)に記載されるのと同じ方法でエチル−5−{5−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル−ニコチン酸及び2MのNaOH水溶液から調製した。
H NMR(500MHz,アセトン−d):δ9.19(s,1H)、9.16(s,1H)、8.66(s,1H)、7.60(dd,1H)、7.12(dd,1H)、6.75(td,1H)、4.97(d,1H)、3.94−3.88(m,2H)、3.80−3.74(m,2H)、2.24−2.17(m,2H)、2.04−2.00(m,2H)。MS:m/z479,481(MH)。
実施例24
【0229】
【化50】

【0230】
(6’−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−3,3’−ビピリジン−5−イル)酢酸
工程1メチル(5−ブロモピリジン−3−イル)アセテート
(5−ブロモピリジン−3−イル)酢酸のメタノール(0.1M)中の溶液に、わずかに過剰のジアゾメタンのエーテル中の溶液を室温で添加した。5分間の攪拌後、溶媒及び残りのジアゾメタンを減圧下で除去して、表題の化合物を得た。
【0231】
工程2(6’−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−3,3’−ビピリジン−5−イル)酢酸
メチル(5−ブロモピリジン−3−イル)アセテート(1当量)及び5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}ピリジン(実施例1,工程3に記載のとおり調製)(1.4当量)のDMF(0.045M)中の溶液に、2Nの炭酸ナトリウム水溶液(3.3当量)及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.1当量)を添加した。次いで、その反応混合物を100℃で一晩攪拌した。冷却後、その混合物を水で希釈して、酢酸エチルで洗浄した。次いで、その水層を、飽和NHCl水溶液で酸性にして、その生成物を酢酸エチルで2回抽出した。合わせた有機層をMgSOで乾燥して、濾過して、濃縮し、表題の化合物を得た。MS:m/z458.1(ESI+)。
実施例25
【0232】
【化51】

【0233】
2−{5−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}ピリミジン−5−カルボン酸
工程14−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン
【0234】
【化52】

【0235】
tert−ブチル4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレートのジクロロメタン(0.5M)中の溶液に、MsCl(1.2当量)及びEtN(1.7当量)を0℃で添加した。その混合物をさらに3時間攪拌して、濾過した。その濾液を真空中でエバポレートして、tert−ブチル4−[(メチルスルホニル)オキシ]ピペリジン−1−カルボキシレートを得た。H NMR(400MHz,CDCl)δ4.84−4.91(m,1H)、3.64−3.75(m,2H)、3.24−3.35(m,2H)、3.04(s,3H)、1.91−2.02(m,2H)、1.76−1.87(m,2H)、1.48(s,9H)。MS:m/z280(MH)。
【0236】
tert−ブチル4−[(メチルスルホニル)オキシ]ピペリジン−1−カルボキシレートのDMF(1.0M)中の溶液に、2−ブロモ−5−フルオロフェノール(1.2当量)及びCsCO(2.0当量)を添加した。その反応混合物を70℃で一晩加熱した。その溶媒を、真空中でエバポレートし、残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製して、tert−ブチル4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートを得た。その生成物を精製なしに次の工程で直接用いた。
【0237】
tert−ブチル4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートのエタノール(4.5M)中の溶液に、5NのHClエタノール溶液(1.3当量)を滴下して加えた。その反応混合物を室温で12時間攪拌した。その溶媒を真空中でエバポレートし、その残渣にエーテルを加えた。得られた沈殿物をエーテルで洗浄して、表題の化合物をその塩酸塩の形態で得た。H NMR(300MHz,DO):δ7.44−7.49(m,1H)、6.83−6.88(m,1H)、6.50−6.67(m,1H)、4.67−4.73(m,1H)、3.30−3.39(m,2H)、3.13−3.23(m,2H)、2.03−2.08(m,4H)。
【0238】
その塩を、1NのNaOH水溶液で中性にし、EtOAcで抽出し、食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮した。表題の化合物を、さらなる精製なしに直接工程3で用いた。
【0239】
工程25−ブロモ−1,3,4−チアジアゾール−2−カルボニトリル
【0240】
【化53】

【0241】
5−ブロモ−1,3,4−チアジアゾール−2−アミン及びシアン化第一銅(2.2当量)のアセトニトリル(0.3M)中の懸濁液に0℃で、t−BuONO(2.1当量)を20分間にわたって滴下して加えた。その懸濁液を、反応が完了したことをTLCが示すまで室温で攪拌した。次いで、その反応混合物を濾過して、その濾液を真空中で濃縮して、粗生成物を得て、これをクロマトグラフィーによって精製して、表題の生成物を得た。13C NMR(300MHz,CDCl):δ77.3、109.0、141.7。
【0242】
工程35−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−1,3,4−チアジアゾール−2−カルボニトリル
【0243】
【化54】

【0244】
4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジンの1,4−ジオキサン(0.6M)中の溶液に、ヒューニッヒ塩基(3.3当量)、続いて5−ブロモ−1,3,4−チアジアゾール−2−カルボニトリル(1.0当量)を添加した。最終混合物を室温で1時間攪拌した。その反応混合物をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10〜40%の酢酸エチルで溶出)によって精製して、所望の生成物を無色の油状物として得た。
H NMR(500MHz,アセトン−d)δ7.63(dd,1H)、7.14(dd,1H)、6.78(td,1H)、5.04−4.99(m,1H)、4.00−3.95(m,2H)、3.89−3.84(m,2H)、2.27−2.21(m,2H)、2.11−2.05(m,2H)。
【0245】
工程4メチル2−{5−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}ピリミジン−5−カルボキシレート
【0246】
【化55】

【0247】
5−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−1,3,4−チアジアゾール−2−カルボニトリルのDMF(0.4M)中の溶液に、LiHMDS(ヘキサン中、1.0M、1.0当量)を添加した。15分後、塩酸ピリジニウム(2.1当量)をこの反応混合物に添加し、続いて3,3−ジメトキシ−2−メトキシカルボニルプロペン−1−オールのナトリウム塩を添加した(Zhichkin,P.;Fairfax,D.J.;Eisenbeis S.A.Synthesis 2002,720〜722)(1.6当量)。その最終混合物を100℃まで1.5時間加熱した。その反応混合物を0.5NのHCl水溶液に注ぎ、EtOAcで抽出し、食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮した。その粗残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中10〜75%の酢酸エチルで溶出)によって精製して、所望の生成物を黄色の固体として得た。
H NMR(400MHz,アセトン−d)δ9.29(s,2H)、7.64(dd,1H)、7.15(dd,1H)、6.78(td,1H)、5.04−4.98(m,1H)、4.02(s,3H)、4.02−3.94(m,2H)、3.89−3.83(m,2H)、2.28−2.21(m,2H)、2.11−2.03(m,2H)。MS:m/z496,494(MH)。
【0248】
工程52−{5−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}ピリミジン−5−カルボン酸
【0249】
【化56】

【0250】
メチル2−{5−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−1,3,4−チアジアゾール−2−イル}ピリミジン−5−カルボキシレートのTHF:MeOH(2:1)(v/v)(0.03M)中の溶液に、1.0NのNaOH水溶液(12当量)を添加した。その最終混合物を室温で10分攪拌した。その反応混合物を0.5NのHCl水溶液に注ぎ、EtOAcで抽出し、食塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過して、減圧下で濃縮した。その粗生成物をEtO/ヘプタンで完全に粉砕して、表題の化合物を黄色の固体として得た。
H NMR(500MHz,アセトン−d)δ9.31(s,2H)、7.64(dd,1H)、7.16(dd,1H)、6.78(m,1H)、5.01(m,1H)、4.00−3.95(m,2H)、3.88−3.84(m,2H)、2.27−2.21(m,2H)、2.10−2.04(m,2H)。
実施例26
【0251】
【化57】

【0252】
6’−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−3,3’−ビピリジン−5−カルボン酸
工程1エチル6’−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−5−カルボキシレート
1−(5−ブロモ−2−ピリジニル)−4−ピペリジノール[実施例1,工程1由来]、3−(エトキシカルボニル)ピリジン−5−ボロン酸ピナコールエステル(1.15当量)、CsCO(2.0当量)及びパラジウム(I)トリ−tertブチルホスフィン臭化物二量体(0.02当量)の混合物をDMF(0.5M)中、120℃で1時間加熱した。その反応混合物を酢酸エチルと水との間で分配した。その有機層を分離し、NaSOで乾燥して、エバポレートした。表題の化合物を、酢酸エチル中〜酢酸エチル中5%メタノールを用いて溶出するシリカゲルで精製した。
【0253】
工程2エチル6’−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−3,3’−ビピリジン−5−カルボキシレート
表題の化合物を実施例21の工程1に記載のとおり、エチル6’−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−3,3’−ビピリジン−5−カルボキシレート及び2−ブロモ−5−フルオロフェノールから調製した。
【0254】
工程36’−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−3,3’−ビピリジン−5−カルボン酸
加水分解後に反応混合物を酢酸エチルと塩化アンモニウムとの間で分配したことを除いて、実施例1の工程5に記載のとおり、エチル6’−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−3,3’−ビピリジン−5−カルボキシレートから、表題の化合物を調製した。有機溶媒を分離し、NaSOで乾燥して、濾過し、エバポレートした。エーテル及び酢酸エチルを添加して固体を得て、次いで濾過によって収集した。MS:m/z472.0(ESI+)。
実施例27
【0255】
【化58】

【0256】
6’−[4−(2,5−ジクロロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−3,3’−ビピリジン−5−カルボン酸
表題の化合物を、実施例26に記載のとおり調製した。MS:m/z444.0(ESI+)。
実施例28
【0257】
【化59】

【0258】
6’−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−2,3’−ビピリジン−5−カルボン酸
工程15−ブロモ−2−(4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}ピペリジン−1−イル)ピリジン
1−(5−ブロモ−2−ピリジニル)−4−ピペリジノール[実施例1工程1由来]及びイミダゾール(1.5当量)のDMF(0.5M)中の溶液に、tert−ブチルジメチルシリルクロライド(1.3当量)、続いて触媒量のDMAPを添加した。2時間後、その反応混合物を酢酸エチルと水との間で分配した。その有機溶媒を分離し、NaSOで乾燥し、濾過して、エバポレートした。表題の化合物をヘキサン中10%酢酸エチルで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0259】
工程22−(4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}ピペリジン−1−イル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン
表題の化合物を、実施例1の工程3に記載のとおり5−ブロモ−2−(4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}ピペリジン−1−イル)ピリジンから調製した。
【0260】
工程3メチル6’−(4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}ピペリジン−1−イル)−2,3’−ビピリジン−5−カルボキシレート
メチル6−ブロモニコチネート,2−(4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}ピペリジン−1−イル)−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン(1.1当量)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.04当量)、2Mの炭酸ナトリウム(2.5当量)の混合物を、DMF(0.1M)中、窒素を用いて2回パージし、18時間加熱還流した。冷却後、その反応混合物を、酢酸エチルと飽和塩化アンモニウムとの間で分配した。有機溶媒を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過して、エバポレートした。次いで、その粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0261】
工程4メチル6’−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−2,3’−ビピリジン−5−カルボキシレート
メチル6’−(4−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}ピペリジン−1−イル)−2,3’−ビピリジン−5−カルボキシレートのTHF(0.09M)中の溶液に、TBAF(1.1当量)を添加した。2時間後、反応混合物を、酢酸エチルと飽和酢酸アンモニウムとの間で分配させた。その有機溶媒を分離して、硫酸マグネシウムで乾燥して、濾過して、エバポレートした。表題の化合物を、酢酸エチル中2%メタノールで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0262】
工程5メチル6’−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−2,3’−ビピリジン−5−カルボキシレート
表題の化合物を、実施例21の工程1に記載のようにメチル6’−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−2,3’−ビピリジン−5−カルボキシレート及び2−ブロモ−5−フルオロフェノールから調製した。
【0263】
工程66’−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−2,3’−ビピリジン−5−カルボン酸
メチル6’−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−2,3’−ビピリジン−5−カルボキシレートの混合物に、MeOH−THF(1:1)(0.06M)中、水酸化リチウム(4.4当量)の1M水溶液を添加した。2時間の還流期間後、その溶媒を減圧下で除去した。その残渣に、水及び酢酸エチルを添加した。次いで、その水を収集し、続いて酢酸エチル及び飽和塩化アンモニウム水溶液を添加した。その有機層を分離し、MgSOで乾燥し、濾過して、エバポレートした。MS:m/z472.3(ESI+)。
実施例29
【0264】
【化60】

【0265】
5−{2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}ニコチン酸
工程11−(5−ブロモピリミジン−2−イル)ピペリジン−4−オール
5−ブロモ−2−クロロピリミジン及び4−ヒドロキシピペリジン(2.4当量)の混合物に、2−プロパノール(0.5M)中、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.7当量)を添加した。160℃でマイクロ波中で5分後、その反応混合物を酢酸エチルと炭酸ナトリウム水溶液との間で分配した。その有機層を分離し、NaSOで乾燥し、濾過して、エバポレートした。その残渣に、ヘキサン中の5%エーテルを添加し、ベージュ色の固体を生成し、これを濾過によって収集した。
【0266】
工程2エチル3−[2−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)ピリミジン−5−イル]安息香酸塩
3−(エトキシカルボニル)ピリジン−5−ボロン酸ピナコールエステル、1−(5−ブロモピリミジン−2−イル)ピペリジン−4−オール(0.7当量)、Pd(dba)(0.01当量)、トリシクロヘキシルホスフィン(0.02当量)及びリン酸三カリウム(1.13当量)の混合物を、ジオキサン−水(5:1)(0.6M)中、窒素でパージして、100℃で加熱した。2時間後、その反応混合物を酢酸エチルと水との間で分配した。その有機溶媒を分離し、NaSOで乾燥し、濾過して、エバポレートした。表題の生成物をピュアーな酢酸エチルで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、白色固体を得た。
【0267】
工程3エチル3−{2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}安息香酸塩
表題の化合物を、実施例21の工程1に記載のとおりエチル3−[2−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)ピリミジン−5−イル]安息香酸塩及び2−ブロモ−5−フルオロフェノールから調製した。
【0268】
工程45−{2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}ニコチン酸
エチル3−{2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}安息香酸塩の混合物に、THF−MeOH(2:1)(0.07M)中、1Mの水酸化ナトリウム(5当量)を添加した。1時間後、その反応混合物を、酢酸エチルと飽和塩化アンモニウム水溶液との間で分配した。その有機溶媒を分離し、NaSOで乾燥し、濾過して、エバポレートした。その残渣にエーテルを添加して、得られた固体を収集した。MS:m/z472.9(ESI+)。
実施例30
【0269】
【化61】

【0270】
(5−{6−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ピリジン−3−イル)酢酸
工程1メチル[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−3−イル]アセテート
メチル(5−ブロモピリジン−3−イル)アセテート[実施例24,工程1由来]、ビス(ピナコラート)ジボロン(1.25当量)、酢酸カリウム(3当量)、パラジウム(II)二塩化物(dppf)(0.1当量)の混合物を、DMF(0.4M)中、窒素下で、100℃で18時間加熱した。次いで、その反応混合物を、セライトを通して濾過して、ジクロロメタンで洗浄した。その濾液を減圧下で濃縮し、その粗残渣をヘプタン中に採取した。その固体を濾過して、表題の化合物を含む濾液をさらなる精製なしに濃縮した。
【0271】
工程21−(6−ブロモピリダジン−3−イル)ピペリジン−4−オール
3,6−ジブロモピリダジン及び4−ヒドロキシピペリジン(1.5当量)のイソプロパノール(2M)中の懸濁液を150℃でマイクロ波中で加熱した。20分の期間後、粗残渣を酢酸エチルと水との間で分配した。その有機層を分離し、MgSOで乾燥し、濾過して、減圧下でエバポレートした。表題の化合物を、ジクロロメタン中50%アセトンを用いて溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0272】
工程3メチル{5−[6−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)ピリダジン−3−イル]ピリジン−3−イル}アセテート
表題の化合物を、反応物を18時間加熱したことを除いて、メチル[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−3−イル]アセテート及び1−(6−ブロモピリダジン−3−イル)ピペリジン−4−オールから、実施例29の工程2に記載のとおり調製した。
【0273】
工程4メチル(5−{6−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)シクロヘキシル]ピリダジン−3−イル}ピリジン−3−イル)アセテート
表題の化合物を、実施例21の工程1に記載のとおりメチル{5−[6−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)ピリダジン−3−イル]ピリジン−3−イル}アセテート及び2−ブロモ−5−フルオロフェノールから調製した。
【0274】
工程55−{6−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ピリジン−3−イル)酢酸
メチル(5−{6−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)シクロヘキシル]ピリダジン−3−イル}ピリジン−3−イル)アセテートのメタノール−THF(1:2)(0.08M)中の溶液を、1MのLiOH(3.0当量)で処理した。1時間の還流後、溶媒を減圧下で除去して、エーテル−ヘキサン(1:1)の混合物を添加した。飽和塩化アンモニウム水溶液を、続いて酢酸エチルを添加した。その有機層を分離し、MgSOで乾燥し、濾過して、減圧下でエバポレートした。ヘキサン−酢酸エチルの混合物を固体に添加し、次いでこれを濾過によって収集した。MS:m/z487.0(ESI+)。
実施例31
【0275】
【化62】

【0276】
5−{5−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピラジン−2−イル}ニコチン酸
工程12,5−ジクロロピラジン
2−ヒドロキシ−5−クロロピラジンの混合物を、POCl(21当量)中、120℃で2時間加熱した。その反応混合物を冷却して、氷上に注ぎ、ジクロロメタンで抽出した。その有機溶媒を収集して、NaSOで乾燥し、濾過した。その溶媒をシリカゲルでろ過し、続いて酢酸エチルを流した。その溶媒をエバポレートして、表題の化合物を得た。
【0277】
工程21−(5−クロロピラジン−2−イル)ピペリジン−4−オール
2,5−ジクロロピラジンの混合物に、2−プロパノール(0.2M)中、4−ヒドロキシピペリジン(2.2当量)を添加した。その反応物を、160℃で10分間マイクロ波中で加熱した。その溶媒を減圧下でエバポレートして、表題の化合物を酢酸エチルで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0278】
工程3エチル5−[5−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)ピラジン−2−イル]ニコチネート
表題の化合物を、実施例29の工程2に記載のとおり1−(5−クロロピラジン−2−イル)−ピペリジン−4−オールから調製した。
【0279】
工程4エチル5−{5−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピラジン−2−イル}ニコチネート
表題の化合物を、実施例21の工程1に記載のとおりエチル5−[5−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)ピラジン−2−イル]ニコチネート及び2−ブロモ−5−フルオロフェノールから調製した。
【0280】
工程55−{5−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピラジン−2−イル}ニコチン酸
酢酸エチルを固体(濾過によって収集した)に添加した以外は、表題の化合物を、実施例29、工程4に記載のとおりエチル5−{5−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピラジン−2−イル}ニコチネートから調製した。MS:m/z473.0(ESI+)。
実施例32
【0281】
【化63】

【0282】
(5−{6−[4−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ピリジン−3−イル)酢酸
表題の化合物を、2−トリフルオロメチルフェノールを光延反応に用いて実施例30に記載のとおり調製した。MS:473.2(ESI+)。
実施例33
【0283】
【化64】

【0284】
5−{3−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−1,2,4−トリアジン−6−イル}ニコチン酸
工程13−アミノ−6−ブロモ−1,2,4−トリアジン
メタノール−水(2:1)(1.6M)の混合物中、3−アミノ−1,2,4−トリアジンに、シュウ素(1.0当量)をゆっくり添加した。室温で1時間後、その溶媒を減圧下で除いた。その粗混合物を酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウムとの間で分配した。その有機層を分離して、NaSOで乾燥して、濾過して、エバポレートした。エーテルをその残渣に加えて、得られた固体を濾過した。
【0285】
工程2エチル5−(3−アミノ−1,2,4−トリアジン−6−イル)ニコチネート
表題の化合物を、3−アミノ−6−ブロモ−1,2,4−トリアジンを用いて実施例29の工程2に記載のとおり調製した。
【0286】
工程3エチル5−(3−ブロモ−1,2,4−トリアジン−6−イル)ニコチネート
エチル5−(3−アミノ−1,2,4−トリアジン−6−イル)ニコチネートに、ブロモホルム(0.1M)中、80℃で亜硝酸イソアミル(3.2当量)を添加した。次いで、得られた混合物を85℃で0.5時間加熱した。その反応混合物を減圧下でエバポレートして、ヘキサン中の50%酢酸エチルで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0287】
工程4エチル5−{3−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−1,2,4−トリアジン−6−イル}ニコチネート
エチル5−(3−ブロモ−1,2,4−トリアジン−6−イル)ニコチネート及び4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン(2.2当量)[実施例25の工程1由来]の混合物に、ジオキサン(0.1M)中、炭酸カリウム(3.3当量)を添加した。得られた混合物を密閉試験管中で130℃で0.5時間加熱した。次いで、表題の化合物をヘキサン中50%酢酸エチルを用いてシリカゲルで濾過した。
【0288】
工程55−{3−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−1,2,4−トリアジン−6−イル}ニコチン酸
後処理手法でKHPOを塩化アンモニウムの代わりに用いたこと以外は、実施例29の工程4に記載のとおり表題の化合物を調製した。MS:m/z471.7(ESI−)。
実施例34
【0289】
【化65】

【0290】
5−{3−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル}ニコチン酸
工程14−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−カルボニトリル
4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジンのTHF(0.3M)中の溶液に、臭化シアン(1当量)、続いてトリエチルアミン(1当量)を0℃で加えた。この混合物を室温まで暖め、さらに1時間攪拌した。その溶媒をエバポレートして、その残渣を1NのHClで希釈した。その水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機画分を水で洗浄して、NaSOで乾燥した。その溶媒を減圧下でエバポレートして、表題の生成物を固体として得て、これをさらなる精製なしに次の工程に用いた。
H NMR(500MHz,アセトン−d):δ7.62(dd,1H)、7.08(dd,1H)、6.76(td,1H)、4.88−4.84(m,1H)、3.55−3.48(m,2H)、3.32−3.25(m,2H)、2.16−2.09(m,2H)、1.99−1.91(m,2H)。
【0291】
工程24−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)−N’−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシミドアミド
4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−カルボニトリル,ヒドロキシルアミン塩酸塩(3.0当量)及びNaCO(17当量)の混合物を、4:1のEtOH/水(0.2M)中、80℃で1時間加熱した。その溶媒をエバポレートして、その残渣を6NのHClで酸性にして、EtOで洗浄した。その水層を固体のNaCOで塩基性にして、EtOAcで抽出した。合わせた有機画分をNaSOで乾燥して、その溶媒を減圧下でエバポレートし、生成物を泡状物として得て、これをさらなる精製なしに次の工程に用いた。MS:m/z332,334(MH)。
【0292】
工程3メチル5−{3−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル}ニコチネート
5−(メトキシカルボニル)ニコチン酸の塩化チオニル(30当量)中の混合物を80℃で2時間加熱した。過剰の塩化チオニルをエバポレートした。その残渣をTHFで希釈し、次いでエバポレートして高真空下で乾燥した。その混合物をTHF(0.5M)に溶解し、4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)−N’−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシミドアミド(1当量)を、続いてトリエチルアミン(3.0当量)を添加した。0.5時間後、その混合物を80℃で1時間加熱した。その溶媒をエバポレートして、飽和NaCOを添加した。その水層をEtOAcで抽出した。合わせた有機画分をNaSOで乾燥し、その溶媒をエバポレートした。コンビフラッシュ(SiO−12g,25分にわたる30〜50%EtOAc/ヘキサンの勾配溶出)による精製で表題の生成物を泡状物として得た。
H NMR(500MHz,アセトン−d):δ9.41−9.38(m,1H)、9.32−9.29(m,1H)、8.81(s,1H)、7.60(dd,1H)、7.10(dd,1H)、6.74(td,1H)、4.93−4.89(m,1H)、4.02(s,3H)、3.84−3.77(m,2H)、3.66−3.59(m,2H)、2.19−2.12(m,2H)、2.00−1.92(m,2H)。MS:m/z477,479(MH)。
【0293】
工程45−{3−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル}ニコチン酸
表題の化合物を、メチル5−{3−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−1,2,4−オキサジアゾール−5−イル}ニコチネート及び1MのNaOH水溶液から実施例22の工程4に記載と同じ方式で調製した。
H NMR(500MHz,アセトン−d):δ9.44(d,1H)、9.37(d,1H)、8.89(s,1H)、7.63(dd,1H)、7.13(dd,1H)、6.76(td,1H)、4.94(t,1H)、3.87−3.80(m,2H)、3.68−3.62(m,2H)、2.19−2.12(m,2H)、2.00−1.93(m,2H)。MS:m/z462,465(MH)。
実施例35
【0294】
【化66】

【0295】
5−{6−[4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチン酸
工程1エチル5−{6−[4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチネート
表題の化合物を、光延反応にエチル5−[6−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)ピリダジン−3−イル]ニコチネート[実施例13の工程2由来]及び2−sec−ブチルフェノールを用いて、実施例21の工程1に記載のとおり調製した。
【0296】
工程25−{6−[4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチン酸
酢酸エチル抽出後に酢酸エチル中1MのNaOHで表題の化合物を抽出し、続いて2MのHClの添加及び酢酸エチルで抽出したこと以外は、実施例30工程4に記載のとおり、表題の化合物をエチル5−{6−[4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリダジン−3−イル}ニコチネートから調製した。MS:m/z433.0(ESI+)。
実施例36
【0297】
【化67】

【0298】
(5−{2−[4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}ピリジン−3−イル)酢酸
工程15−ブロモ−2−[4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリミジン
表題の化合物を、光延反応において実施例29の工程1由来の1−(5−ブロモピリミジン−2−イル)ピペリジン−4−オール及び2−sec−ブチルフェノールから、実施例21の工程1に記載のとおり調製した。
【0299】
工程2メチル(5−{2−[4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}ピリジン−3−イル)アセテート
表題の化合物を、メチル[5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリジン−3−イル]アセテート[実施例30の工程1由来]及び5−ブロモ−2−[4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリミジンを用いて、実施例29の工程2に記載のとおり調製した。
【0300】
工程3(5−{2−[4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}ピリジン−3−イル)酢酸
表題の化合物を、実施例33、工程5に記載のとおり、メチル(5−{2−[4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}ピリジン−3−イル)アセテートを用いて調製した。MS:m/z447.3(ESI+)。
実施例37
【0301】
【化68】

【0302】
6−{2−[4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}ニコチン酸
工程12−[4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリミジン
表題の化合物を、実施例1の工程3に記載のとおり5−ブロモ−2−[4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリミジン(実施例36、工程1)から調製した。
【0303】
工程2メチル6−{2−[4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}ニコチネート
表題の化合物を、実施例1の工程4に記載のとおり2−[4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−5−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)ピリミジン及びメチル6−ブロモニコチネートを用いて調製した。
【0304】
工程36−{2−[4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}ニコチン酸
表題の化合物を、メチル6−{2−[4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]ピリミジン−5−イル}ニコチネートから、実施例33の工程5に記載のとおり調製した。MS:m/z431.4(ESI−)。
実施例38
【0305】
【化69】

【0306】
5−{3−[4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−1,2,4−トリアジン−6−イル}ニコチン酸
工程1tert−ブチル 4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレート
tert−ブチル4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレートのTHF(0.1M)中の溶液に0℃で2−sec−ブチルフェノール(1.1当量)、トリフェニルホスフィン(1.0当量)及びDEAD(1.1当量)を添加した。36時間後、その反応混合物を、酢酸エチルと2Mの水酸化ナトリウムとの間で分配した。その有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過して濃縮した。その粗残渣を、ヘキサン中20%酢酸エチルで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0307】
工程24−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン
tert−ブチル4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−カルボキシレートのジクロロメタン(0.2M)中の溶液に0℃でTFA(5当量)を添加した。次いで得られた反応混合物を室温で3時間攪拌した。TFAを減圧下で除去して、粗生成物を、酢酸エチルと2Mの水酸化ナトリウムとの間で分配させた。その有機層を分離し、MgSOで乾燥し、濾過してエバポレートした。表題の化合物を、NHOH/MeOH/CHCl(1:9:90〜1:14:85)を用いるフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0308】
工程3エチル5−{3−[4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−1,2,4−トリアジン−6−イル}ニコチネート
エチル5−(3−ブロモ−1,2,4−トリアジン−6−イル)ニコチネート[実施例33の工程3]及び4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン(1.2当量)の混合物に、ジオキサン中、炭酸カリウム(2.0当量)を添加した。その混合物を、130℃で30分間マイクロ波中で加熱した。次いで、その粗反応混合物を濾過して、ジクロロメタンで洗浄して濃縮した。表題の化合物を、ジクロロメタン中15%アセトンで溶出するフラッシュクロマトグラフィーによって精製した。
【0309】
工程45−{3−[4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−1,2,4−トリアジン−6−イル}ニコチン酸
表題の化合物を、実施例30の工程4に記載のとおりエチル5−{3−[4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−1,2,4−トリアジン−6−イル}ニコチネートから調製した。
H NMR(500MHz,アセトン−d):δ9.44(s,1H)、9.20(s,1H)、9.00(s,1H)、8.95(s,1H)、7.25−6.95(m,3H)、4.85(m,1H)、4.35(m,2H)、4.00(m,4H)、2.20(m,2H)、1.95(m,3H)、1.65(m,2H)、1.20(d,3H)、0.85(t,3H)。
【0310】
医薬製剤の実施例
本発明の化合物の経口組成物の特定の実施態様として、任意の実施例の50mgの化合物を、十分に微細に分割したラクトースとともに製剤化して、Oサイズの硬ゼラチンカプセルを満たす総量580〜590mgを得る。
【0311】
本発明は、その特定の実施態様を参照して記載されかつ例示されているが、当業者は種々の変化、修飾及び置き換えが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくなされ得るということを理解するであろう。例えば、本明細書において上記される好ましい用量以外の有効投薬量が、特定の症状について治療されているヒトの応答性における変化の結果として適用可能であり得る。同様に、観察される薬理学的な応答は、選択される特定の活性な化合物又は薬学的な担体が存在するか否か、並びに使用される製剤のタイプ及び投与方式に従いかつ依存して変化し得、この結果におけるこのような予期される変動又は相違は、本発明の目的及び実施に合致して考慮される。したがって本発明は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定され、このような特許請求の範囲は、合理的である限り広義に解釈されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I:
【化1】

[式中、
各々のmは独立して0〜4の整数であり;
各々のnは独立して0〜2の整数であり;
各々のsは独立して1〜3の整数であり;
各々のtは独立して1〜3の整数であり;
qは0又は1であり;
rは0又は1であり;
ZはO、S又はNRであり;
X−YはN−C(O)、N−CR、CR14−O、CR14−S(O)0−2又はCR13−CRであり;
Wは:
【化2】

からなる群より選択されるヘテロアリールであり;
Arはフェニル、ナフチル又はヘテロアリールであって、1〜5個のR置換基で置換されてもよく;
及びRは、各々独立して水素又はC1−3アルキルであり、ここでアルキルは、フッ素及びヒドロキシルから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されてもよく;
は:
【化3】

からなる群より選択されるヘテロアリールであり、
ここでヘテロアリールは、−(CHCOH又は−(CHCO1−3アルキルで一置換され、そしてシアノ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルホニル及びトリフルオロメチルからなる群より独立して選択される1〜3個の置換基で置換されてもよく;
各々のRは独立して:
水素、
ハロゲン、
ヒドロキシ、
シアノ、
アミノ、
ニトロ、
1〜5個のフッ素で置換されてもよいC1−4アルキル、
1〜5個のフッ素で置換されてもよいC1−4アルコキシ、
1〜5個のフッ素で置換されてもよいC1−4アルキルチオ、
1−4アルキルスルホニル、
カルボキシ、
1−4アルキルオキシカルボニル、及び
1−4アルキルカルボニルからなる群より選択され;
各々のRは独立して:
1−6アルキル、
2−6アルケニル、
(CH−フェニル、
(CH−ナフチル、
(CH−ヘテロアリール、
(CH−ヘテロシクリル、
(CH3−7シクロアルキル、
ハロゲン、
ニトロ、
(CHOR
(CHN(R
(CHC≡N、
(CHCO
(CHNRSO
(CHSON(R
(CHS(O)0−2
(CHNRC(O)N(R
(CHC(O)N(R
(CHNRC(O)R
(CHNRCO
(CHC(O)R
O(CHC(O)N(R
(CH−Z−(CH)t−フェニル、
(CH−Z−(CH)t−ナフチル、
(CH−Z−(CH)t−ヘテロアリール、
(CH−Z−(CH)t−ヘテロシクリル、
(CH−Z−(CH)t−C3−7シクロアルキル、
(CH−Z−(CH)t−OR
(CH−Z−(CH)t−N(R
(CH−Z−(CH)t−NRSO
(CH−Z−(CH)t−C≡N、
(CH−Z−(CH)t−CO
(CH−Z−(CH)t−SON(R
(CH−Z−(CH)t−S(O)0−2
(CH−Z−(CH)t−NRC(O)N(R
(CH−Z−(CH)t−C(O)N(R
(CH−Z−(CH)t−NRC(O)R
(CH−Z−(CH)t−NRCO
(CH−Z−(CH)t−C(O)R
CF
CHCF
OCF3、及び
OCHCFからなる群より独立して選択され;
ここで、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチル及びC1−4アルコキシから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されてもよく;ここでR中の任意のメチレン(CH)炭素原子はフッ素、ヒドロキシ及びC1−4アルキルから独立して選択される1又は2個の基で置換されてもよく;或いは2つの置換基は、同じメチレン(CH)基上にある場合、それらが結合する炭素原子と一緒になって、シクロプロピル基を形成し;
各々のRは独立して、
水素、
1−6アルキル、
(CH−フェニル、
(CH−ヘテロアリール、
(CH−ナフチル、及び
(CH3−7シクロアルキルからなる群より選択され;
ここでアルキル、フェニル、ヘテロアリール及びシクロアルキルはハロゲン、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから独立して選択される1〜3個の基で置換されてもよく、又は2つのR基はそれらが結合する原子と一緒になって、O、S、NH及びNC1−4アルキルから選択されるさらなるヘテロ原子を含んでもよい4〜8員の単環系又は二環系を形成し;
、R、R、R、R、R10、R11及びR12は、各々独立して水素、フッ素又はC1−3アルキルであり、ここでアルキルはフッ素及びヒドロキシから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されてもよく;
13は水素、C1−3アルキル、フッ素又はヒドロキシであり;そして
各々のR14は水素又はC1−3アルキルである]の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
mが0又は1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
q及びrが両方とも1である、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
X−YがCH−Oである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
Arが1〜3個のR置換基で置換されるフェニルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
、R、R、R、R、R10、R11及びR12が各々水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
Wが、
【化4】

からなる群より選択されるヘテロアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
各々のRが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項9】
がピリジン−3−イル又はピリミジン−2−イルであり、ここでRは:
−COH、
−CHCOH、
−CO1−3アルキル、及び
−CHCO1−3アルキルからなる群より選択される置換基で一置換され;
そしてシアノ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルホニル及びトリフルオロメチルからなる群より独立して選択される1〜2個の置換基で選択されてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が:
【化5】

からなる群より選択され、
ここでRは、ハロゲン、C1−4アルキル及びトリフルオロメチルからなる群より独立して選択される1〜2個の置換基で置換されてもよい、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
q及びrが両方とも0であり;
X−YがCH−Oであり;
Wが:
【化6】

からなる群より選択されるヘテロアリールであり;そして
がピリジン−3−イル又はピリミジン−2−イルであり、ここでRは:
−COH、
−CHCOH、
−CO1−3アルキル、及び
−CHCO1−3アルキルからなる群より選択される置換基で一置換され、
そしてシアノ、ハロゲン、C1−4アルキル、C1−4アルコキシ、C1−4アルキルチオ、C1−4アルキルスルホニル及びトリフルオロメチルからなる群より独立して選択される1〜2個の置換基で置換されてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12が各々水素である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
【化7】

【化8】

からなる群より選択される化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項14】
請求項1に記載の化合物を薬学的に許容される担体と組み合わせて含む薬学的組成物。
【請求項15】
哺乳動物におけるステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼの阻害に応答する障害、症状又は疾患の治療のための請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項16】
前記障害、症状又は疾患が、2型糖尿病、インスリン抵抗性、脂質障害、肥満、メタボリック・シンドローム及び脂肪肝疾患からなる群より選択される、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
前記脂質障害が、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群より選択される、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
哺乳動物において2型糖尿病、インスリン抵抗性、脂質障害、肥満、メタボリック・シンドローム及び脂肪肝疾患の治療に用いる医薬の製造における請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項19】
前記脂質障害が脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群より選択される、請求項18に記載の使用。

【公表番号】特表2010−506859(P2010−506859A)
【公表日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−532660(P2009−532660)
【出願日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際出願番号】PCT/CA2007/001858
【国際公開番号】WO2008/046226
【国際公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】