説明

ステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼの阻害剤としてのアゼチジン誘導体

構造式Iのアゼチジン誘導体は、ステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼ(SCD)の阻害剤である。本発明の化合物は、心血管系疾患;アテローム性動脈硬化症;肥満症;糖尿病;神経疾患;メタボリックシンドローム;インシュリン抵抗性;癌;肝脂肪変性;及び非アルコール性脂肪性肝炎を含む、異常脂質合成及び代謝に関連する症状の予防及び治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼ(SCD)の阻害剤であるアゼチジン誘導体、並びにSCD活性により介在される症状又は疾病を抑制、予防及び/又は治療するためのこのような化合物の使用に関する。本発明の化合物は、心血管系疾患;アテローム動脈硬化症;肥満症;糖尿病;神経疾患;メタボリックシンドローム;インシュリン抵抗性:癌;肝脂肪変性及び非アルコール性脂肪性肝炎を含む、異常脂質合成及び代謝に関連する症状及び疾病の抑制、予防及び治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物において、少なくも3種のクラスの脂肪酸アシル−コエンザイムA(CoA)デサチュラーゼ(デルタ−5、デルタ−6及びデルタ−9デサチュラーゼ)が、食餌又はデノボ合成のいずれか由来のモノ−及びポリ不飽和脂肪酸アシル−CoAにおける二重結合生成の役割を有す。デルタ−9特異的ステアロイル−CoAデサチュラーゼ(SCDs)は、モノ不飽和脂肪酸アシル−CoAのC9−C10位におけるシス−二重結合の律速的な形成を触媒する。好ましい基質は、ステアロイル−CoA及びパルミトイル−CoAであり、オレオイル及びパルミトレオイル−CoAがリン脂質、トリグリセリド、コレステロールエステル及びろうエステルの生合成における主要な成分として生じる(Dobrzyn and Natami,Obesity Reviews,6:169−174(2005))。
【0003】
ラット肝臓のミクロソームSCDタンパク質は、1974年に最初に分離され、特徴づけられた(Strittmatter et al.,PNAS,71:4565−4569(1974))。それ以来、いろいろな種由来の多くの哺乳動物SCD遺伝子がクローニングされ研究された。例えば、ラットから2種の遺伝子(SCD1及びSCD2、Thiede et al.,J.Biol.Chem.,261,13230−13235(1986)),Mihara,K.,J.Biochem.(Tokyo),108:1022−1029(1990));マウスから4種の遺伝子(SCD1、SCD2、SCD3及びSCD4)(Miyazaki et al.,J. Biol.Chem.,278:33904−33911(2003));ヒトから2種の遺伝子(SCD1及びACOD4(SCD2))(Zhang,et al.,Biochem.J.,340:255−264(1991);Beiraghi,et al.,Gene,309:11−21(2003);Zhang et al.,Biochem.J.,388:135−142(2005))が同定された。脂肪酸代謝におけるSCDsの関与は1970年代からラット及びマウスにおいて知られている(Oshino,N.,Arch.Biochem.Biophys.,149:378−387(1972))。これは、更にa)SCD1遺伝子に自然変異を有するアセビアマウス(Zheng et al.,Nature Genetics,23:268−270(1999))、b)標的遺伝子欠失に由来するSCD1−ヌルマウス(Ntambi,et al.,PNAS,99:11482−11486(2002))、及びc)レプチンに誘導される体重減少の間のSCD1発現抑制(Cohen et al.,Science,297:240−243(2002))、の生物学的研究によって支持されている。SCD活性の薬理学的阻害の潜在的利益は、マウスにおけるアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤(ASO)を用いて証明されている(Jiang,et al.,J.Clin.Invest.,115:1030−1038(2005))。SCD活性のASO阻害は、初代マウス肝細胞において、脂肪酸合成を減少し、脂肪酸の酸化を増加する。SCD−ASOsによるマウスの処理は、食餌に誘導される肥満症の予防、脂肪過多症の減少、肝腫大、脂肪変性、食後の血漿インシュリン及びグルコース濃度、デノボ脂肪酸合成の減少、脂質合成遺伝子の発現の減少、及び肝臓及び脂肪組織におけるエネルギー消費を促進する遺伝子の発現の増加を招く。従って、SCDの阻害は、肥満症及び関連する代謝障害の治療における新規な治療戦略となる。
【0004】
ヒトにおいて、上昇したSCD活性が、いくつかの一般の疾病経過において直接関係することを支持することを受け入れざるを得ない証拠がある。例えば、非アルコール性脂肪肝疾患の患者におけるトリグリセリドの分泌に対する肝臓の脂肪合成の増加がある(Diraison,et al.,Diabetes Metabolism,29:478−485(2003);Donnelly,et al.,J.Clin.Invest.,115:1343−1351(2005))。脂肪組織内において上昇したSCD活性は、インシュリン抵抗性の発生と密接に関連している(Sjogren,et al.,Diabetologia,51(2):328−35(2007))。食後のデノボ脂肪合成は、肥満症患者において有意に増加する(Marques−Lopes,et al.,American Journal of Clinical Nutrition,73:252−261(2001))。SCD遺伝子のノックアウトは、血漿トリグリセリドを減少し、体重を減少し、インシュリン感受性を増大し、及び肝臓脂質の蓄積を減少することにより、メタボリックシンドロームを改善する(MacDonald,et al.,Journal of Lipid Research,49(1):217−29(2007))。高いSCD活性と、血漿トリグリセリドの増加、高いボディマスインデックス及び血漿HDLの減少を含む、心血管系リスクプロフィールの増加との間には顕著な関係がある(Attie,et al.,J.Lipid Res.,43:1899−1907(2002))。SCD活性は、ヒトの形質転換細胞の増殖及び生存の制御において重要な役割を果たしている(Scaglia and Igal,J.Biol.Chem.,(2005))。SCD−1のRNA干渉は、ヒト腫瘍細胞の生存を減少させる(Morgan−Lappe,et al.,Cancer Research,67(9):4390−4398 (2007))。
【0005】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチド以外に、SCD活性の阻害剤には、非選択的チア脂肪酸基質類似体[B.Behrouzian and P.H.Buist,Prostaglandins,Leukotrienes,and Essential Fatty Acids,68:107−112(2003)]、シクロプロペノイド脂肪酸(Raju and Reiser,J.Biol.Chem.,242:379−384(1967))、特定の共役長鎖脂肪酸異性体(Park,et al.,Biochim.Biophys.Acta,1486:285−292(2000))、全てXenon Pharmaceuticals,Inc.に譲渡された国際特許出願公開WO2005/011653;WO2005/011654;WO2005/011656;WO2005/011656;WO2005/011657;WO2006/014168;WO2006/034279;WO2006/034312;WO2006/034315;WO2006/034338;WO2006/034341;WO2006/034440;WO2006/034441;WO2006/034446;WO2006/086445;WO2006/086447;WO2006/101521;WO2006/125178;WO2006/125179;WO2006/125180;WO2006/125181;WO2006/125194;WO2007/044085;WO2007/046867;WO2007/046868;WO2007/050124;WO2007/130075;WO2007/136746;WO2008/074835に開示されているヘテロシクリル誘導体のシリーズが含まれる。
【0006】
肥満症及び2型糖尿病の治療に有用なSCD阻害剤を開示する、Merck Frosst Canada Ltd.に譲渡された多くの国際特許出願:WO2006/130986(2006年12月14日);WO2007/009236(2007年1月25日);WO2007/056846(2007年5月24日);WO2007/071023(2007年6月28日);WO2007/134457(2007年11月29日);WO2007/143823(2007年12月21日);WO2007/143824(2007年12月21日);WO2008/017161(2008年2月14日);WO2008/046226(2008年4月24日);WO2008/064474(2008年6月5日)及び米国特許出願公開2008/0182838(2008年7月31日)にも開示されている。
【0007】
WO2008/003753(Novartisに譲渡)は、SCD阻害剤としての一連のピラゾロ[1,5−a]ピリミジン類似体を開示しており;WO2007/143597及びWO2008/024390(Novartis及びXenon Pharmaceuticalsに譲渡)は、SCD阻害剤としてのヘテロシクリル誘導体を開示しており;そして、WO2008/096746(武田薬品工業株式会社に譲渡)は、SCD阻害剤としてのスピロ化合物を開示している。
【0008】
低分子量のSCD阻害剤も、(a)G.Liu,et al.,”Discovery of Potent,Selective,Orally Bioavailable SCD1 Inhibitors,”in J.Med.Chem.,50:3086−3100(2007);(b)H.Zhao,et al.,”Discovery of 1−(4−phenoxypiperidin−1−yl)−2−arylaminoethanone SCD 1 inhibitors,”Bioorg.Med.Chem.Lett.,17:3388−3391(2007);及び(c)Z.Xin,et al.,”Discovery of piperidine−aryl urea−based stearoyl−CoA desaturase 1 inhibitors,”Bioorg.Med.Chem.Lett.,18:4298−4302(2008)により開示されている。
【0009】
本発明は、ステアロイル−CoAデルタ−9デサチュラーゼの阻害剤としての新規な芳香族複素環化合物に関し、これは非アルコール性脂肪肝疾患、心血管系疾患、肥満症、糖尿病、メタボリックシンドローム及びインシュリン抵抗性として例示される脂質濃度の上昇を含み、これらに限定されないSCD活性により介在される種々の症状及び疾病の治療及び/又は予防に有用である。
【発明の概要】
【0010】
脂質代謝におけるステアロイル−コエンザイムAデサチュラーゼの役割は、M.Miyazaki and J.M.Ntambi,Prostaglandins,Leukotrienes,and Essential Fatty Acids,68:113−121(2003)に開示されている。SCD活性の薬理学的処置の治療の可能性は、A.Dobrzyn and J.M.Ntambi,in“Stearoyl−CoA desaturase as a new drug target for obesity treatment,”Obesity Reviews,6:169−174(2005)に開示されている。
【0011】
発明の要旨
本発明は、構造式Iのアゼチジン誘導体に関する。
【0012】
【化1】

【0013】
これらのアゼチジン誘導体はSCDの阻害剤として効果的である。従って、それらは、
糖尿病、インシュリン抵抗性、脂質障害、肥満症、アテローム性動脈硬化症及びメタボリックシンドロームのような、SCDの阻害に応答する疾患の治療、抑制又は予防に有用である。
【0014】
本発明は、本発明の化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物にも関する。
【0015】
本発明は、本発明の化合物及び医薬組成物を投与することによる、治療、抑制又は予防を必要とする患者においてSCDの阻害に応答する障害、疾病又は症状を治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0016】
本発明は、本発明の化合物及び医薬組成物を投与することによる、2型糖尿病、インシュリン抵抗性、肥満症、脂質障害、アテローム性動脈硬化症及びメタボリックシンドロームを治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0017】
本発明は、本発明の化合物を、肥満症の治療に有用であることが知られている他の薬剤の治療上有効な量と組み合わせて投与することによる、前記病状を治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0018】
本発明は、本発明の化合物を、2型糖尿病の治療に有用であることが知られている他の薬剤の治療上有効な量と組み合わせて投与することによる、前記病状を治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0019】
本発明は、本発明の化合物を、アテローム性動脈硬化症の治療に有用であることが知られている他の薬剤の治療上有効な量と組み合わせて投与することによる、前記病状を治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0020】
本発明は、本発明の化合物を、脂質障害の治療に有用であることが知られている他の薬剤の治療上有効な量と組み合わせて投与することによる、前記病状を治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0021】
本発明は、本発明の化合物を、メタボリックシンドロームの治療に有用であることが知られている他の薬剤の治療上有効な量と組み合わせて投与することによる、前記病状を治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0022】
発明の詳細な記載
本発明は、SCDの阻害剤として有用なアゼチジン誘導体に関する。本発明の化合物は、構造式Iで記載され、そして薬学的に許容されるその塩である。
【0023】
【化2】

【0024】
[式中、X−Yは、CH−O、CH−S又はCH−CRであり;
U及びTのそれぞれはCH又はNであり、ただし、U及びTの少なくとも1個はNであり;
Arは、フェニル、ベンジル、ナフチル又はピリジルであり、それぞれは、独立してRから選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
及びRは、それぞれ独立して水素又はC1−3アルキルであり、ここで、アルキルは、独立してフッ素及びヒドロキシから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
各Rは、独立して:
(CHCO
(CHOC(O)R
(CHCOR
(CHNRSO
(CHSON(R
(CHS(O)
(CHNRC(O)N(R
(CHC(O)N(R
(CHC(O)N(OR)R
(CHC(O)NRNC(O)R
(CHNRC(O)R
(CHNRCO、及び
O(CHC(O)N(R
からなる群から選択され、ここで、Rにおける任意のメチレン(CH)炭素原子は、独立してフッ素、ヒドロキシ、及び1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよく;又は2個の置換基が同じメチレン(CH)基上にある場合、それらが結合する炭素原子と一緒になってシクロプロピル基を形成し;
各Rは独立して:
ハロゲン、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−6アルキル、
(CHOR
(CHN(R
(CHC≡N、
(CHCOR、及び
(CHS(O)
からなる群から選択され、ここで、アルキルはヒドロキシ又は1〜3個のフッ素で置換されていてもよく;Rにおける任意のメチレン(CH)炭素原子は、独立してフッ素、ヒドロキシ、及び1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよく;又は2個の置換基が同じメチレン(CH)基上にある場合、それらが結合する炭素原子と一緒になってシクロプロピル基を形成し;
各Rは、独立して:
水素、
1−6アルキル、
(CH−フェニル、
(CH−ヘテロアリール、
(CH−ナフチル、及び
(CH3−7シクロアルキル;
らなる群から選択され、ここで、アルキルは、独立してハロゲン、シアノ、−C1−4アルコキシ、−C1−4アルキルチオ、−C1−4アルキルスルホニル、−カルボキシ及び−CO1−4アルキルからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、そして、フェニル、ナフチル及びヘテロアリールは、独立して:
ハロゲン、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキル、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルコキシ、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルチオ、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルスルホニル、
1−4アルキルカルボニル、
1−4アルキルオキシカルボニル、
アミノ、
モノ−(C1−4アルキル)アミノ、
ジ−(C1−4アルキル)アミノ、
−O(CHCOH、
−O(CHCO1−4アルキル、
−S(O)(CHCOH、
−S(O)(CHCO1−4アルキル、
−NH(CHCOH、
−NH(CHCO1−4アルキル、
−(CHCOH、
−(CHCO1−4アルキル、
−N(R10)C(O)(R10)、
ハロゲン、カルボキシ及びC1−4アルキルから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニル、及び
ハロゲン、カルボキシ及びC1−4アルキルから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール、からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
又は2個のR基は、それらが結合する原子と一緒になって、O、S及びNC1−4アルキルから選択される追加のヘテロ原子を含んでいてもよい、4〜8員環の単環又は二環式系を形成し;
各nは、独立して0〜2の整数であり;
各mは、独立して0〜2の整数であり;
各pは、独立して1〜3の整数であり;
各qは、独立して0〜2の整数であり;
、R、R及びRは、各独立して水素、フッ素又はC1−3アルキルであり、ここで、アルキルは、独立してフッ素及びヒドロキシから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;そして
各R10は、独立して、水素又は1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルである]。
【0025】
本発明の化合物の一実施態様においては、X−YはCH−Oである。この実施態様の一クラスにおいては、Arは前記で定義したRから、独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニルである。このクラスの一サブクラスにおいては、Rはハロゲン又はトリフルオロメチルである。
【0026】
本発明の化合物の第2の実施態様においては、X−YはCH−Sである。この第二の実施態様の一クラスにおいては、Arは、前記で定義したRから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニルである。このクラスの一サブクラスにおいては、Rはハロゲン又はトリフルオロメチルである。
【0027】
本発明の化合物の第3の実施態様においては、X−YはCH−CRである。この第4の実施態様の一クラスにおいては、R及びRは水素であり、Arは、前記で定義したRから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニルである。このクラスの一サブクラスにおいては、Rはハロゲン又はトリフルオロメチルである。
【0028】
本発明の化合物の第4の実施態様においては、R、R、R及びRは、それぞれ水素である。
【0029】
本発明の化合物の第5の実施態様においては、各Rは、独立してハロゲン及びトリフルオロメチルからなる群から選択される。
【0030】
本発明の化合物の第6の実施態様においては、Rは:
CO
OC(O)R
COR
NRSO
SON(R
NRC(O)N(R
C(O)N(R
C(O)N(OR)R
C(O)NRNC(O)R
NRC(O)R、及び
NRCO
からなる群から選択され、ここでRは前記で定義した通りである。この実施態様の一クラスにおいては、Rは−C(O)N(Rである。このクラスの一サブクラスにおいては、Rは−C(O)NHRであり、ここで、Rはアルキル、フェニル、ナフチル又はヘテロアリールであり、それぞれは前述のように置換されていてもよい。
【0031】
本発明の化合物の第7の実施態様においては、TはCHを表わし、UはNを表わす。
【0032】
本発明の化合物の第8の実施態様においては、TはNを表わし、UはCHを表わす。
【0033】
本発明の化合物の第9の実施態様においては、X−YはCH−Oであり;TはNを表わし、UはCHを表わし;Arは、前記で定義したRから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニルである。この実施態様の一クラスにおいては、Rはハロゲン又はトリフルオロメチルである。このクラスの一サブクラスにおいては、R、R、R及びRは、それぞれ水素である。
【0034】
本発明の化合物の第10の実施態様においては、X−YはCH−Oであり;TはCHを表わし、UはNを表わし;Arは、前記で定義したRから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニルである。この実施態様の一クラスにおいては、Rはハロゲン又はトリフルオロメチルである。このクラスの一サブクラスにおいては、R、R、R及びRは、それぞれ水素である。
【0035】
例えば、SCDの阻害剤として有用である本発明の化合物の非限定的な具体例は、
【0036】
【化3−1】

【0037】
【化3−2】

及び薬学的に許容されるその塩である。
【0038】
本明細書で用いられる場合、下記の定義が適用される。
【0039】
「アルキル」並びにアルコキシ及びアルカノイルのような接頭辞「alk」を有する他の置換基は、炭素鎖を特に定義しない限り、直鎖又は分岐鎖、並びにそれらの組み合わせである炭素鎖を意味する。アルキル基の具体例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル等が含まれる。特定数の炭素原子、例えばC3−10が可能である場合、アルキルなる用語は、シクロアルキル基、シクロアルキル構造と結合した、直鎖又は分岐鎖アルキル鎖の結合をも含む。炭素原子の数が特定されていない場合、C1−6を意味する。
【0040】
「シクロアルキル」はアルキルのサブセットであり、特定の数の炭素原子を有する、飽和炭素環を意味する。シクロアルキルの具体例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が含まれる。シクロアルキル基は、特に示さない限り、一般に単環式である。シクロアルキル基は、特に示さない限り飽和である。
【0041】
「アルコキシ」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルコキシ)、又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分岐鎖アルコキシド[すなわち、メトキシ(MeO−)、エトキシ、イソプロポキシ等]を意味する。
【0042】
「アルキルチオ」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルキルチオ)、又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分岐鎖アルキルスルフィド[すなわち、メチルチオ(MeS−)、エチルチオ、イソプロピルチオ等]を意味する。
【0043】
「アルキルアミノ」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルキルアミノ)、又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分岐鎖アルキルアミン[すなわち、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、t−ブチルアミノ等]を意味する。
【0044】
「アルキルスルホニル」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルキルスルホニル)、又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分岐鎖アルキルスルホニル[すなわち、メチルスルホニル(MeSO−)、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニル等]を意味する。
【0045】
「アルキルスルフィニル」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルキルスルフィニル)、又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分岐鎖アルキルスルホキシド[すなわち、メチルスルフィニル(MeSO−)、エチルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル等]を意味する。
【0046】
「アルキルオキシカルボニル」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルキルオキシカルボニル)、又はこの範囲内の任意の数の本発明のカルボン酸誘導体の直鎖又は分岐鎖エステル[すなわち、メチルオキシカルボニル(MeOCO−)、エチルオキシカルボニル又はブチルオキシカルボニル等]を意味する。
【0047】
「アリール」は、炭素環原子を含む、単環式又は多環式芳香環系を意味する。好ましいアリールは、単環式又は二環式の6〜10員芳香環系である。フェニル及びナフチルは好ましいアリールである。最も好ましいアリールはフェニルである。
【0048】
「ヘテロシクリル」は、O、S及びN(イオウの酸化形態、すなわちSO及びSOを更に含む)から選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含む、飽和又は不飽和の非芳香環又は環系を意味する。ヘテロシクリルの具体例には、テトラヒドロフラン(THF)、ジヒドロフラン、1,4−ジオキサン、モルホリン、1,4−ジチアン、ピペラジン、ピペリジン、1,3−ジオキソラン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピロリン、ピロリジン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、オキサチオラン、ジチオラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジチアン、オキサチアン、チオモルホリン、2−オキソピペリジン−1−イル、2−オキソピロリジン−1−イル、2−オキソアゼチジン−1−イル、1,2,4−オキサジアジン−5(6H)−オン−3−イル等が含まれる。
【0049】
「ヘテロアリール」は、O、S及びNから選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む、芳香族又は部分芳香族複素環を意味する。ヘテロアリールには、アリール、シクロアルキル及び芳香族でない複素環のような他の種類の環と縮合したヘテロアリールも含まれる。ヘテロアリール基の具体例には、ピロリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル(特に、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル及び1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリニル、ピリダジニル、インダゾリル、イソインドリル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンゾジオキソリル、キノキサリニル、プリニル、フラザニル、イソベンジルフラニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、インドリル、イソキノリル、ジベンゾフラニル等が含まれる。ヘテロシクリル及びヘテロアリール基について、環及び環系は3〜15個の原子を含み、1〜3個の環を形成する。
【0050】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。塩素及びフッ素が、一般的に好ましい。アルキル又はアルコキシ基上においてハロゲンで置換される場合、フッ素が最も好ましい(例えば、CFO及びCFCHO)。
【0051】
構造式Iの化合物は、1個以上の不斉中心を含んでいてもよく、従って、ラセミ化合物及びラセミ混合物、単一のエナンチオマー、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在し得る。本発明は、構造式Iの化合物のこのような全ての異性体形態を含むことを意味する。
【0052】
構造式Iの化合物は、例えば、適切な溶媒、例えばメタノール又は酢酸エチル又はそれらの混合物からの分別結晶、又は光学活性固定相を用いたキラルクロマトグラフィーによって個々のジアステレオアイソマーに分離することができる。絶対的立体化学は、必要であれば、既知の絶対配置の不斉中心を含む試薬を用いて誘導体化される結晶生成物又は結晶性中間体のX−線結晶学によって決定することができる。
【0053】
また、一般構造式Iの化合物の任意の立体異性体は、既知の絶対配置を有する光学的に純粋な出発原料又は試薬を用いて、立体特異的な合成により得ることができる。
【0054】
所望であれば、個々の光学異性体を分離するように、化合物のラセミ混合物を分離することができる。分離は、化合物のラセミ混合物を鏡像異性的に純粋な化合物とカップリングしてジアステレオマー混合物を生成し、分別結晶又はクロマトグラフィーなどの標準的な方法により個々のジアステレオマーを分離する等の、当該技術分野において周知の方法により実施することができる。カップリング反応は、しばしば光学異性的に純粋な酸又は塩基を用いた塩の生成である。次いで、加えられたキラルな残基の切断により、ジアステレオマー誘導体を純粋なエナンチオマーに変換する。化合物のラセミ混合物は、また、当該技術分野において周知なキラル固定相を用いたクロマトグラフィー法によっても直接分離することができる。
【0055】
本明細書に開示された化合物のいくつかはオレフィン二重結合を含んでおり、また特に示さない限りはE及びZ幾何異性体の両方を含むことを意味する。
【0056】
本明細書に開示された化合物のいくつかは、1個以上の二重結合シフトに付随して起こる水素の異なる結合点を有する互変異性体として存在し得る。例えば、ケトン及びそのエノール体はケト−エノール互変異性体である。個々の互変異性体及びその混合物は、本発明の化合物に含まれる。
【0057】
一般式Iの化合物において、原子はその自然の同位体の多数量を示し、又は1種以上の原子は、同じ原子番号を有する特定の同位元素が人工的に高められているが、原子質量又は質量数は、主に天然に見られる原子質量又は質量数とは異なっている。本発明は、一般式Iの化合物の全ての適切な同位体変異体を含むことが意図される。例えば、水素(H)の異なる同位体形態には、プロチウム(H)及び重水素(H)が含まれる。プロチウムは、天然に見られる主な水素の同位体である。重水素の濃縮は、特定の治療上の利点、例えば、インビボでの半減期の上昇又は投与要求量の減少が得られ、又は生体試料の特徴づけのための標準として有用な化合物が得られる。一般式I中に同位体濃縮された化合物は、当業者に周知の従来の方法により、又は同位体濃縮された試薬及び/又は中間体を用い、本明細書のスキーム及び実施例に記載されたものと類似の方法により、過度の実験なく調製することができる。
【0058】
本明細書で用いられる場合、構造式Iの化合物に対する言及には、薬学的に許容される塩も含まれ、また、遊離化合物に対する前駆体又はその薬学的に許容される塩として用いられる場合、若しくは他の合成的操作に用いられる場合は、薬学的に許容されない塩も含まれることを意味することが理解される。
【0059】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩の形態で投与することができる。「薬学的に許容される塩」なる用語は、無機又は有機塩基並びに無機又は有機酸を含む、薬学的に許容される無毒の塩基又は酸から調製される塩を意味する。「薬学的に許容される塩」なる用語に含まれる塩基性化合物の塩は、一般的にフリーの塩基を適切な有機又は無機酸と反応させることにより調製される本発明の化合物の無毒の塩を意味する。本発明の塩基性化合物の代表的な塩には、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムコ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート、トシル酸塩、トリエチオダイド、吉草酸塩が含まれるが、これらに限定されない。更に、本発明の化合物が酸部分を有する場合は、適切な薬学的に許容される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、マンガン塩、カリウム、ナトリウム、亜鉛等に由来する塩が含まれるがこれらに限定されない。特に好ましくは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。薬学的に許容される有機の無毒の塩基に由来する塩には、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンのような一級、二級及び三級アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂が含まれる。
【0060】
また、本発明の化合物の中にカルボン酸(−COOH)又はアルコール基が存在する場合、メチル、エチル又はピバロイルオキシメチルのようなカルボン酸誘導体、若しくは、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル及びアミノアシルのようなアルコールのアシル誘導体の薬学的に許容されるエステルを用いることができる。徐放製剤又はプロドラッグ製剤として用いるための溶解性又は加水分解特性を修飾するために当業界で公知のエステル及びアシル基が含まれる。
【0061】
なお、構造式Iの化合物の溶媒和物、特に水和物は本発明に含まれる。
【0062】
本発明の化合物は、この化合物の有効量を投与することを含む、阻害を必要とするほ乳類のような患者において、ステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼ酵素(SCD)を阻害する方法において有用である。従って、本発明の化合物は、高いか又は異常なSCD酵素活性により介在される病状及び疾患の抑制、予防及び/又は治療に有用である。
【0063】
従って、本発明の一態様は、構造式Iの化合物又は薬学的その塩又はその溶媒和物の有効量を患者に投与することを含む、治療を必要とするほ乳類患者において、高血糖症、糖尿病又はインシュリン抵抗性を治療する方法に関する。
【0064】
本発明の第2の態様は、構造式Iの化合物の抗糖尿病に有効な量を患者に投与することを含む、治療を必要とするほ乳類患者において非インシュリン依存性糖尿病(2型糖尿病)を治療する方法に関する。
【0065】
本発明の第3の態様は、構造式Iの化合物を、肥満症の治療に有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とするほ乳類患者において肥満症を治療する方法に関する。
【0066】
本発明の第4の態様は、構造式Iの化合物を、メタボリックシンドローム及びその後遺症の治療に有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とするほ乳類患者においてメタボリックシンドローム及びその後遺症を治療する方法に関する。メタボリックシンドロームの後遺症には、高血圧症、血糖値の上昇、高いトリグリセリド、低レベルのHDLコレステロールが含まれる。
【0067】
本発明の第5の態様は、構造式Iの化合物を、脂質障害の治療に有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とするほ乳類患者において、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される脂質障害を治療する方法に関する。
【0068】
本発明の第6の態様は、構造式Iの化合物を、アテローム性動脈硬化症の治療に有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とするほ乳類患者において、アテローム性動脈硬化症を治療する方法に関する。
【0069】
本発明の第7の態様は、構造式Iの化合物を、癌の治療に有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とするほ乳類患者において、癌を治療する方法に関する。本発明のこの態様の一実施態様においては、癌は肝臓癌である。
【0070】
本発明の更なる態様は、構造式Iの化合物を、症状の治療に有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とする哺乳類患者において、(1)高血糖症、(2)低グルコース耐性、(3)インシュリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎臓障害、(19)神経障害、(20)非アルコール性脂肪肝疾患又は肝脂肪変性、(21)非アルコール性脂肪性肝炎、(22)多嚢胞性卵巣症候群、(23)睡眠呼吸障害、(24)メタボリックシンドローム、(25)肝線維症、(26)肝硬変、及び(27)インシュリン抵抗性が要素である他の症状及び疾病、からなる群から選択される症状を治療する方法に関する。
【0071】
本発明の更なる態様は、構造式Iの化合物を、症状の発症を遅延するのに有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とする哺乳類患者において、(1)高血糖症、(2)低グルコース耐性、(3)インシュリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎臓障害、(19)神経障害、(20)非アルコール性脂肪肝疾患又は肝脂肪変性、(21)非アルコール性脂肪性肝炎、(22)多嚢胞性卵巣症候群、(23)睡眠呼吸障害、(24)メタボリックシンドローム、(25)肝線維症、(26)肝硬変、及び(27)インシュリン抵抗性が要素である他の症状及び疾病、からなる群から選択される症状の発生を遅延する方法に関する。
【0072】
本発明の更なる態様は、構造式Iの化合物を、症状を発症する危険性を減少するのに有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とする哺乳類患者において、(1)高血糖症、(2)低グルコース耐性、(3)インシュリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎臓障害、(19)神経障害、(20)非アルコール性脂肪肝疾患又は肝脂肪変性、(21)非アルコール性脂肪性肝炎、(22)多嚢胞性卵巣症候群、(23)睡眠呼吸障害、(24)メタボリックシンドローム、(25)肝線維症、(26)肝硬変、及び(27)インシュリン抵抗性が要素である他の症状及び疾病、からなる群から選択される症状の発症の危険性を減少する方法に関する。
【0073】
ヒトのような霊長類に加え、本発明の方法により他の種々のほ乳類を治療することができる。例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、馬、犬、猫、モルモット、ラット又は他のウシ、ヒツジ、ヤギ、馬、犬、猫、マウス等のげっし類を含むが、これらに限定されない他のほ乳類を治療することができる。しかし、本方法は鳥類(例えば、ニワトリ)等の他の種でも実施されている。
【0074】
更に、本発明は、本発明の化合物を薬学的に許容される担体又は希釈剤を組み合わせることを含む、ヒト及び動物においてステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼ活性を阻害する薬剤の製造方法に関する。特に、本発明は、ほ乳類において高血糖症、2型糖尿病、インシュリン抵抗性、肥満症及び脂質障害からなる群から選択される症状の治療に用いられる薬剤の製造における構造式Iの化合物の使用であって、前記脂質障害が、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される使用に関する。
【0075】
本発明の方法において治療される被験者は、一般に、ステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼ酵素活性の阻害が望まれているほ乳類、好ましくはヒトの男性又は女性である。「治療に有効な量」なる用語は、研究者、獣医師、医師又は他の医療関係者によって求められる組織、システム、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘導する対象化合物の量を意味する。
【0076】
本明細書において用いられる場合、「組成物」なる用語は、特定の成分を特定の量で含む生成物、及び特定の量における特定の成分の組み合わせから直接又は間接的にもたらされる任意の生成物を含むことが意図される。医薬組成物に関するこのような用語には、活性成分及び担体を構成する不活性成分を含む生成物、並びに任意の2種以上の成分の組み合わせ、複合体生成又は凝集、又は1種以上の成分の解離、又は1種以上の成分の他のタイプの反応又は相互作用から直接又は間接的にもたらされる任意の生成物が含まれることが意図される。従って、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物と薬学的に許容される担体とを混合することによって製造される任意の組成物が含まれる。「薬学的に許容される」については、製剤の他の成分と適合性があり、受容者に対して有害でない担体、希釈剤又は賦形剤を意味する。
【0077】
「化合物の投与」及び/又は「化合物を投与する」なる用語は、本発明の化合物又は本発明の化合物のプロドラッグを治療を必要とする個体に与えることを意味すると理解すべきである。
【0078】
ステアロイル−コエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼ(SCD)酵素活性の阻害剤としての本発明の化合物の有用性は、以下のミクロソーム及び全細胞に基づくアッセイにより証明することができる。
【0079】
I.SCD酵素活性アッセイ
ステアロイル−CoAデサチュラーゼに対する式Iの化合物の有効性は、いくらかの修飾をした開示された方法(Joshi, et al., J. Lipid Res., 18: 32−36 (1977); Talamo, et al., Anal. Biochem, 29: 300−304 (1969))に従い、ラット肝臓ミクロソーム又はヒトSCD1(hSCD−1)を用いた、放射性同位元素で標識したステアロイル−CoAのオレオイル−CoAへの変化を測定することにより測定した。肝臓ミクロソームは、3日間、高炭水化物食餌(LabDiet # 5803,Purina)を与えたオスのWistar又はSpraque Dawleyラットから調製した。肝臓を、250mM ショ糖、1mMEDTA、5mMDTT及び50mMTris−HCl(pH7.5)を含むバッファー中(1:10 w/v)で均質化した。100,000×gで60分間遠心分離した後、肝臓ミクロソーム沈殿物を、100mMリン酸ナトリウム、20%グリセロール、2mMDTTを含むバッファー中に懸濁し、−78℃に保存した。ヒトSCD1デサチュラーゼシステムを、バキュロウイルス/Sf9発現システム由来のヒトSCD1、チトクロームB5及びチトクロームB5レダクターゼを用いて構築した。通常は、DMSO2μL中の試験化合物を、100mMTris−HCl(pH7.5)、ATP(5mM)、コエンザイム−A(0.1mM)、TritonX−100(0.5mM)及びNADH(2mM)を含むバッファー中のSCD酵素180μLと、室温で15分間インキュベートした。[H]−ステアロイル−CoAを20μL(最終濃度=2μM、放射活性濃度=1μCi/mL)を加えることにより反応を開始した。10分後、反応混合物(80μL)を、塩化カルシウム/木炭水性懸濁液(木炭100μL(10%w/v)にCaCl(2N)25μLを加える)と混合した。放射活性脂肪酸種を遠心して沈殿させた後、、SCD酵素により9,10−[H]−ステアロイル−CoAから放出されたトリチウム水をシンチレーションカウンターで定量した。
【0080】
II.全細胞に基づくSCD(デルタ−9)、デルタ−5及びデルタ−6デサチュラーゼアッセイ
ヒトHepG2細胞を、96ウェルプレートで、10%の加熱不活性化したウシ胎児血清を補充したMEM培地(Gibcoカタログ番号11095−072)中、加湿したインキュベータ内で37℃、5%CO下で培養した。培地に溶解した試験化合物を、密集した細胞と37℃で15分間インキュベートした。[1−14C]−ステアリン酸を、各ウェルに最終濃度0.05μCi/mLに加え、SCDが触媒する[14C]−オレイン酸の生成を検出した。0.05μCi/mLの[1−14C]−エイコサトリエン酸又は[1−14C]−リノレン酸及び10μMの2−アミノ−N−(3−クロロフェニル)ベンズアミド(デルタ5−デサチュラーゼ阻害剤)を、それぞれ、デルタ−5及びデルタ−6デサチュラーゼ活性の指標とするために用いた。37℃で4時間インキュベートした後、培養培地を除去し、標識化された細胞を、室温でPBS(3×1mL)で洗浄した。標識化された細胞脂質を、400μLの2N水酸化ナトリウム及び50μLのL−α−ホスファチジルコリン(イソプロパノール中2mg/mL、Sigma #P−3556)を用いて65℃で1時間、窒素雰囲気下で加水分解した。リン酸(60μL)を用いて酸性化した後、300μLのアセトニトリルを用いて放射活性種を抽出し、C−18逆相カラム及びPackard Flow Scintillation Analyzerを備えたHPCLにより定量した。[14C]−ステアリン酸を超える[14C]−オレイン酸、[14C]−エイコサトリエン酸を超える[14C]−アラキドン酸、及び[14C]−リノレン酸を超える[14C]−エイコサテトラエン酸、(8,11,14,17)のレベルを、それぞれ、SCD、デルタ−5及びデルタ−6デサチュラーゼの対応する活性指数として用いた。
【0081】
式IのSCD阻害剤、特に実施例1〜42の阻害剤は、1μM未満、更に典型的には0.1μM未満の阻害定数IC50を示す。一般に、式Iの化合物、特に実施例1〜42の化合物についてのSCDに対するデルタ−5又はデルタ−6についてのIC50比は少なくとも約10以上であり、好ましくは約100以上である。
【0082】
本発明の化合物のインビボにおける効果
式Iの化合物のインビボにおける効果は、以下に示すように、動物において[1−14C]−ステアリン酸の[1−14C]オレイン酸への変換の後に測定された。式Iの化合物をマウスに投与し、1時間後に放射活性トレーサー[1−14C]−ステアリン酸を20μCi/kgで静脈注射した。化合物の投与3時間後、肝臓を集め、10N水酸化ナトリウム中で80℃で24時間加水分解した。抽出物のリン酸による酸性化の後、[14C]−ステアリン酸及び[14C]−オレイン酸の量を、C−18逆相カラム及びPackard Flow Scintillation Analyzerを備えるHPLCシステムにより定量した。
【0083】
本発明の化合物は、式Iの化合物又は他の薬剤が有用性を有する疾病又は症状の治療、予防、鎮静又は改善において1種以上の他の薬剤と併用して用いることができ、ここで同時の薬剤の組み合わせは、それぞれの薬剤単独の場合よりも安全であり、又はより効果的である。このような他の薬剤は、それらが通常に用いられる投与経路及び量で、式Iの化合物と同時又は連続的に投与することができる。式Iの化合物を1種以上の他の薬剤と同時に用いる場合、このような他の薬剤及び式Iの化合物を含む単一の投与形態、特に薬学的に許容される担体と組み合わせた医薬組成物が好ましい。しかし、併用療法には、式Iの化合物と1種以上の他の薬剤とを異なる重複するスケジュールで投与する療法も含まれる。1種以上の他の活性成分を併用して用いる場合、本発明の化合物及び他の活性成分は、それぞれを単独で用いる場合よりも低い濃度で用い得ることも意図される。従って、本発明の医薬組成物には、式Iの化合物に加え、1種以上の他の活性成分を含む組成物が含まれる。
【0084】
本発明の化合物が、1種以上の他の薬剤と同時に用いられる場合、本発明の化合物に加えてこのような他の薬剤を含む医薬組成物が好ましい。従って、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物に加え、1種以上の他の活性成分を含むものも含まれる。
【0085】
第二の活性成分に対する本発明の化合物の重量比は変えることができ、又、それぞれの成分の有効投与量に依存するであろう。一般に、それぞれの有効投与量が用いられる。従って、例えば、本発明の化合物を他の薬剤と併用する場合、他の薬剤に対する本発明の化合物の重量比は一般的に約1000:1〜約1:1000であり、好ましくは約200:1〜約1:200である。本発明の化合物及び他の活性成分の併用は、一般に前記範囲内であるが、各ケースにおいて、それぞれの活性成分の有効投与量を用いるべきである。
【0086】
併用においては、本発明の化合物及び他の活性剤は、別個に又は一緒に投与することができる。更に、一成分の投与は、他の薬剤の投与の前、同時又は後であってもよい。
【0087】
別々に投与されるか同一の医薬組成物内で投与されるかのいずれかで式Iの化合物と組み合わせて投与することのできる他の活性成分の具体例には、
【0088】
(1)ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−4)阻害剤;
(2)(i)グリタゾン類(例えば、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、ネトグリタゾン、リボグリタゾン及びバラグリタゾン)のようなPPARγアゴニスト、並びに(1)ムラグリタザル、アレグリタザル、ソデルグリタザル及びナベグリタザルのようなPPARα/γ二重アゴニスト、(2)フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、シプロフィブラート、フェノフィブラート及びベザフィブラート)のようなPPARαアゴニスト、(3)WO02/060388、WO02/08188、WO2004/019869、WO2004/020409、WO2004/020408及びWO2004/066963に開示されている化合物のような選択的PPARγモジュレータ(SPPARγM’s)、及び(4)PPARγ部分アゴニスト、を含む他のPPARリガンド;(ii)メトホルミン及び薬学的に許容されるその塩、特にメトホルミン塩酸塩及びその徐放製剤、例えば、Glumetza(登録商標)、Fortamet(登録商標)及びGlucophageXR(登録商標)のようなビグアニド類;(iii)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤、を含むインシュリン増感剤;
(3)インシュリン及びインシュリン類似体又は誘導体、例えば、インシュリンリスプロ、インシュリンデテミル、インシュリングラルギン、インシュリングルリジン、及びそれらの吸入可能な製剤;
(4)レプチン及びレプチン誘導体、アゴニスト及び類似体、例えば、メトレレプチン;
(5)アミリン;アミリン類似体、例えばダバリンチド;及びアミリンアゴニスト、例えばプラムリンチド;
(6)スルホニル尿素、並びに非スルホニル尿素インシュリン分泌促進薬、例えばトルブタミド、グリブリド、グリピジド、グリメピリド、ミチグリニド、及びメグリチニド類、例えばナテグリニド及びレパグリニド;
(7)α−グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース、ボグリボース及びミグリトール);
(8)グルカゴン受容体アンタゴニスト、例えば、WO98/04528、WO99/01423、WO00/39088及びWO00/69810に開示された化合物;
(9)インクレチン模倣薬、例えば、GLP−1、GLP−1類似体、誘導体及び模倣薬(例えば、WO2008/011446、米国特許第5545618号、米国特許第6191102号及び米国特許第56583111号を参照されたい);並びにGLP−1受容体アゴニスト、例えばオキシントモジュリン、並びにその類似体及び誘導体(例えば、WO2003/022304、WO2006/134340、WO2007/100535を参照されたい)、グルカゴン並びにその類似体及び誘導体(例えば、WO2008/101017を参照されたい)、経鼻、経皮及びそれらの週1回投与製剤、例えば、エキセナチドQWを含む、エキセナチド、リラグルチド、タスポグルチド、アルビグルチド、AVE0010、CJC−1134−PC、NN9535、LY2189265、LY2428757及びBIM−51077;
(10)LDLコレステロール低下剤、例えば、(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ピタバスタチン及びロスバスタチン)、(ii)胆汁酸金属封鎖剤(例えば、コレスチラミン、コレスチミド、コレセベラム塩酸塩、コレスチポール及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)コレステロール吸収阻害剤、例えばエゼチミブ、及び(iv)アシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばアバシミブ;
(11)HDL上昇剤、例えば、ナイアシン又はその塩並びにそれらの徐放型;ナイアシン徐放剤及びDP−1アンタゴニストMK−524の組み合わせであるMK524A;及びニコチン酸受容体アゴニスト;
(12)抗肥満化合物;
(13)炎症状態に用いられることを意図する薬剤、例えば、アスピリン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、グルココルチコイド及び選択的シクロオキシゲナーゼ2(COX−2)阻害剤;
(14)降圧剤、例えば、ACE阻害剤(例えば、エナラプリル、リシノプリル、ラミプリル、カプトプリル、キナプリル及びタンドラプリル)、A−II受容体遮断薬(例えば、ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、オルメサルタンメドキソミル、バルサルタン、テルミサルタン及びエプロサルタン)、レニン阻害剤(例えばアリスキレン)、ベータ遮断薬(例えばカルシウムチャンネル遮断薬);
(15)グルコキナーゼ活性化剤(GKAs)、例えばLY2599506;
(16)11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼI型の阻害剤、例えば、米国特許第6,730,690号;WO03/104207;及びWO04/058741に開示されている化合物;
(17)コレステリルエステル輸送タンパク質(CETP)の阻害剤、例えばトルセトラピブ及びMK−0859;
(18)フルクトース1,6−ビスホスファターゼの阻害剤、例えば、米国特許第6,054,587号;第6,110,903号;第6,284,748号;第6,399,782号;及び第6,489,476号に開示されている化合物;
(19)アセチルCoAカルボキシラーゼ−1又は2(ACC1又はACC2)の阻害剤;
(20)AMP−活性化プロテインキナーゼ(AMPK)活性化剤;
(21)G蛋白質共役型受容体のアゴニスト:GPR−109、GPR−116、GPR−119、及びGPR−40;
(22)SSTR3アンタゴニスト、例えばWO2009/011836に開示されている化合物;
(23)ニューロメジンU受容体1(NMUR1)及び/又はニューロメジンU受容体2(NMUR2)のアゴニスト、ニューロメジンU(NMU)及びニューロメジンS(NMS)並びにそれらの類似体及び誘導体を含み、これらに限定されない、例えばWO2007/109135及びWO2009/042053に開示されている化合物;
(24)GPR−105(P2YR14)アンタゴニスト、例えば、WO2009/000087に開示されている化合物;
(25)グルコース摂取の阻害剤、例えばナトリウム−グルコーストランスポーター(SGLT)阻害剤及びその種々のイソ型、例えばSGLT−1;SGLT−2、例えばダパグリフロジン及びレモグリフロジン;並びにSGLT−3;
(26)アシルコエンザイムAの阻害剤:ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ1及び2(DGAT−1及びDGAT−2);
(27)脂肪酸シンターゼの阻害剤;
(28)アシルコエンザイムAの阻害剤:モノアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ1及び2(MGAT−1及びMGAT−2);
(29)TGR5受容体のアゴニスト(GPBAR1、BG37、GPCR19、GPR131及びM−BARとしても知られている);
(30)ブロモクリプチンメシレート及びその急速放出製剤;
(31)ヒスタミンH3受容体アゴニスト、並びに
(32)α2−アドレナリン作動性又はβ3−アドレナリン作動性受容体アゴニスト、
が含まれるが、これらに限定されない。
【0089】
式Iの化合物と併用することのできるジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−4)阻害剤には、シタグリプチン(米国特許第6,699,871号に開示されている)、ビルダグリプチン、サキサグリプチン、アログリプチン、デナグリプチン、カルメグリプチン、デュトグリプチン、メログリプチン、リナグリプチン、及び薬学的に許容されるその塩、並びにこれらの化合物と、メトホルミン塩酸塩、ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、シンバスタチン、アトルバスタチン又はスルホニル尿素との固定投与組合せが含まれるが、これらに限定されない。
【0090】
式Iの化合物と併用することのできる他のジペプチジルペプチダーゼ−IV(DPP−4)阻害剤には、
(2R,3S,5R)−5−(1−メチル−4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−5(1H)−イル)−2−(2,4,5−トリフルオロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミン;
(2R,3S,5R)−5−(1−メチル−4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−5(1H)−イル)−2−(2,4,5−トリフルオロフェニル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミン;
(2R,3S,5R)−2−(2,5−ジフルオロフェニル)テトラヒドロ)−5−(4,6−ジヒドロピロロ[3,4−c]ピラゾール−5(1H)−イル)テトラヒドロ−2H−ピラン−3−アミン;
(3R)−4−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−ヘキサヒドロ−3−メチル−2H−1,4−ジアゼピン−2−オン;
4−[(3R)−3−アミノ−4−(2,5−ジフルオロフェニル)ブタノイル]ヘキサヒドロ−1−メチル−2H−1,4−ジアゼピン−2−オン塩酸塩、及び
(3R)−4−[(3R)−3−アミノ−4−(2,4,5−トリフルオロフェニル)ブタノイル]−ヘキサヒドロ−3−(2,2,2−トリフルオロエチル)−2H−1,4−ジアゼピン−2−オン;並びに薬学的に許容されるその塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0091】
式Iの化合物と併用することのできる抗肥満化合物には、トピラメート;ゾニサミド;ナルトレキソン;フェンテルミン;ブプロピオン;ブプロピオンとナルトレキソンとの組み合わせ;ブプロピオンとゾニサミドとの組み合わせ;トピラメートとフェンテルミンとの組み合わせ;フェンフルラミン;デクスフェンフルラミン;シブトラミン;リパーゼ阻害剤、例えばオーリスタット及びセチリスタット;メラノコルチン受容体アゴニスト、特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト;CCK−1アゴニスト;メラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニスト;神経ペプチドY又はYアンタゴニスト(例えばMK−0557);CB1受容体インバースアゴニスト及びアンタゴニスト(例えば、リモナバント及びタラナバント);β3アドレナリン作動性受容体アゴニスト:グレリンアンタゴニスト;ボンベシン受容体アゴニスト(例えば、ボンベシン受容体サブタイプ−3アゴニスト);ヒスタミンH3受容体インバースアゴニスト;5−ヒドロキシトリプタミン−2c(5−HT2c)アゴニスト、例えば、ロルカセリン;及び脂肪酸シンターゼ(FAS)の阻害剤が含まれる。本発明の化合物と併用することのできる抗肥満化合物の概説については、S. Chaki et al.,”Recent advances in feeding suppressing agents:potential therapeutic strategy for the treatment of obesity,”Expert Opin.Ther.Patents,11:1677−1692(2001);D.Spanswick and K.Lee,”Emerging antiobesity drugs,”Expert Opin.Emerging Drugs,8:217−237(2003);J.A.Fernandez−Lopez,et al.,”Pharmacological Approaches for the Treatment of Obesity,”Drugs,62:915−944(2002);及びK.M.Gadde,et al.,”Combination pharmaceutical therapies for obesity,”Exp.Opin.Pharmacother.,10:921−925(2009)を参照されたい。
【0092】
式Iの化合物と併用することのできるグルカゴン受容体アンタゴニストには、
N−[4−((1S)−1−{3−(3,5−ジクロロフェニル)−5−[6−(トリフルオロメトキシ)−2−ナフチル]−1H−ピラゾール−1−イル}エチル)ベンゾイル]−β−アラニン;
N−[4−((1R)−1−{3−(3,5−ジクロロフェニル)−5−[6−(トリフルオロメトキシ)−2−ナフチル]−1H−ピラゾール−1−イル}エチル)ベンゾイル]−β−アラニン;
N−(4−{1−[3−(2,5−ジクロロフェニル)−5−(6−メトキシ−2−ナフチル)−1H−ピラゾール−1−イル]エチル}ベンゾイル)−β−アラニン;
N−(4−{(1S)−1−[3−(3,5−ジクロロフェニル)−5−(6−メトキシ−2−ナフチル)−1H−ピラゾール−1−イル]エチル}ベンゾイル)−β−アラニン;
N−(4−{(1S)−1−[(R)−(4−クロロフェニル)(7−フルオロ−5−メチル−1H−インドール−3−イル)メチル]ブチル}ベンゾイル)−β−アラニン;及び
N−(4−{(1S)−1−[(4−クロロフェニル)(6−クロロ−8−メチルキノリン−4−イル)メチル]ブチル}ベンゾイル)−β−アラニン;並びに薬学的に許容されるその塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0093】
式Iの化合物と併用することのできるGPR−119受容体のアゴニストには、
rac−cis 5−クロロ−2−{4−[2−(2−{[5−(メチルスルホニル)ピリジン−2−イル]オキシ}エチル)シクロプロピル]ピペリジン−1−イル}ピリミジン;
5−クロロ−2−{4−[(1R,2S)−2−(2−{[5−(メチルスルホニル)ピリジン−2−イル]オキシ}エチル)シクロプロピル]ピペリジン−1−イル}ピリミジン;
rac cis−5−クロロ−2−[4−(2−{2−[4−(メチルスルホニル)フェノキシ]エチル}シクロプロピル)ピペリジン−1−イル]ピリミジン;
5−クロロ−2−[4−((1S,2R)−2−{2−[4−(メチルスルホニル)フェノキシ]エチル}シクロプロピル)ピペリジン−1−イル]ピリミジン;
5−クロロ−2−[4−((1R,2S)−2−{2−[4−(メチルスルホニル)フェノキシ]エチル}シクロプロピル)ピペリジン−1−イル]ピリミジン;
rac cis−5−クロロ−2−[4−(2−{2−[3−(メチルスルホニル)フェノキシ]エチル}シクロプロピル)ピペリジン−1−イル]ピリミジン;及び
rac cis −5−クロロ−2−[4−(2−{2−[3−(5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)フェノキシ]エチル}シクロプロピル)ピペリジン−1−イル]ピリミジン;並びに薬学的に許容されるその塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0094】
式Iの化合物と併用することのできる選択的PPARγモジュレータ(SPPARγM’s)には、
(2S)−2−({6−クロロ−3−[6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル]−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸;
(2S)−2−({6−クロロ−3−[6−(4−フルオロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル]−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸;
(2S)−2−{[6−クロロ−3−(6−フェノキシ−2−プロピルピリジン−3−イル)−1,2−ベンズイソオキサゾール−5−イル]オキシ}プロパン酸;
(2R)−2−({6−クロロ−3−[6−(4−クロロフェノキシ)−2−プロピルピリジン−3−イル]−1,2−ベンゾイソオキサゾール−5−イル}オキシ)プロパン酸;
(2R)−2−{3−[3−(4−メトキシ)ベンゾイル−2−メチル−6−(トリフルオロメトキシ)−1H−インドール−1−イル]フェノキシ}ブタン酸;
(2S)−2−{3−[3−(4−メトキシ)ベンゾイル−2−メチル−6−(トリフルオロメトキシ)−1H−インドール−1−イル]フェノキシ}ブタン酸;
2−{3−[3−(4−メトキシ)ベンゾイル−2−メチル−6−(トリフルオロメトキシ)−1H−インドール−1−イル]フェノキシ}−2−メチルプロパン酸;及び
(2R)−2−{3−[3−(4−クロロ)ベンゾイル−2−メチル−6−(トリフルオロメトキシ)−1H−インドール−1−イル]フェノキシ}プロパン酸;並びに薬学的に許容されるその塩及びエステルが含まれるが、これらに限定されない。
【0095】
式Iの化合物と併用することのできる11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型の阻害剤には、
3−[1−(4−クロロフェニル)−トランス−3−フルオロシクロブチル]−4,5−ジシクロプロピル−r−4H−1,2,4−トリアゾール;
3−[1−(4−クロロフェニル)−トランス−3−フルオロシクロブチル]−4−シクロプロピル−5−(1−メチルシクロプロピル)−r−4H−1,2,4−トリアゾール;
3−[1−(4−クロロフェニル)−トランス−3−フルオロシクロブチル]−4−メチル−5−[2−(トリフルオロメトキシ)フェニル]−r−4H−1,2,4−トリアゾール;
3−[1−(4−クロロフェニル)シクロブチル]−4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール;
3−{4−[3−(エチルスルホニル)プロピル]ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル}−4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール;
4−メチル−3−{4−[4−(メチルスルホニル)フェニル]ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル}−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール;
3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−5−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,2,4−オキサジアゾール;
3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−5−(3,3,3−トリフルオロエチル)−1,2,4−オキサジアゾール;
5−(3,3−ジフルオロシクロブチル)−3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,2,4−オキサジアゾール;
5−(1−フルオロ−1−メチルエチル)−3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,2,4−オキサジアゾール;
2−(1,1−ジフルオロエチル)−5−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール;
2−(3,3−ジフルオロシクロブチル)−5−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,3,4−オキサジアゾール;及び
5−(1,1−ジフルオロエチル)−3−(4−{4−メチル−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イル}ビシクロ[2.2.2]オクタ−1−イル)−1,2,4−オキサジアゾール;並びに薬学的に許容されるその塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0096】
式Iの化合物と併用することのできるソマトスタチン受容体サブタイプ3(SSTR3)のアンタゴニストには、
【0097】
【化4】

並びに薬学的に許容されるその塩が含まれるが、これらに限定されない。
【0098】
式Iの化合物と併用することのできるAMP−活性化プロテインキナーゼ(AMPK)活性化剤には、
【0099】
【化5】

並びに薬学的に許容されるその塩及びエステルが含まれるが、これらに限定されない。
【0100】
式Iの化合物と併用することのできるアセチル−CoAカルボキシラーゼ−1及び2(ACC−1及びACC−2)の阻害剤には、
3−{1’−[(1−シクロプロピル−4−メトキシ−1H−インドール−6−イル)カルボニル]−4−オキソスピロ[クロマン−2,4’−ピペリジン]−6−イル}安息香酸;
5−{1’−[(1−シクロプロピル−4−メトキシ−1H−インドール−6−イル)カルボニル]−4−オキソスピロ[クロマン−2,4’−ピペリジン]−6−イル}ニコチン酸;
1’−[(1−シクロプロピル−4−メトキシ−1H−インドール−6−イル)カルボニル]−6−(1H−テトラゾール−5−イル)スピロ[クロマン−2,4’−ピペリジン]−4−オン;
1’−[(1−シクロプロピル−4−エトキシ−3−メチル−1H−インドール−6−イル)カルボニル]−6−(1H−テトラゾール−5−イル)スピロ[クロマン−2,4’−ピペリジン]−4−オン;
5−{1’−[(1−シクロプロピル−4−メトキシ−3−メチル−1H−インドール−6−イル)カルボニル]−4−オキソ−スピロ[クロマン−2,4’−ピペリジン]−6−イル}ニコチン酸;
4’−({6−(5−カルバモイルピリジン−2−イル)−4−オキソスピロ[クロマン−2,4’−ピペリジン]−1’−イル}カルボニル)−2’,6’−ジエトキシビフェニル−4−カルボン酸;
2’,6’−ジエトキシ−4’−{[6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−4−オキソスピロ[クロマン−2,4’−ピペリジン]−1’−イル]カルボニル}ビフェニル−4−カルボン酸;
2’,6’−ジエトキシ−3−フルオロ−4’−{[6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−4−オキソスピロ[クロマン−2,4’−ピペリジン]−1’−イル]カルボニル}ビフェニル−4−カルボン酸;
5−[4−({6−(3−カルバモイルフェニル)−4−オキソスピロ[クロマン−2,4’−ピペリジン]−1’−イル}カルボニル)−2,6−ジエトキシフェニル]ニコチン酸;
ナトリウム4’−({6−(5−カルバモイルピリジン−2−イル)−4−オキソスピロ[クロマン−2,4’−ピペリジン]−1’−イル}カルボニル)−2’,6’−ジエトキシビフェニル−4−カルボキシラート;
メチル4’−({6−(5−カルバモイルピリジン−2−イル)−4−オキソスピロ[クロマン−2,4’−ピペリジン]−1’−イル}カルボニル)−2’,6’−ジエトキシビフェニル−4−カルボキシラート;
1’−[(4,8−ジメトキシキノリン−2−イル)カルボニル]−6−(1H−テトラゾール−5−イル)スピロ[クロマン−2,4’−ピペリジン]−4−オン;
(5−{1’−[(4,8−ジメトキシキノリン−2−イル)カルボニル]−4−オキソスピロ[クロマン−2,4’−ピペリジン]−6−イル}−2H−テトラゾール−2−イル)メチルピバレート;
5−{1’−[(8−シクロプロピル−4−メトキシキノリン−2−イル)カルボニル]−4−オキソスピロ[クロマン−2,4’−ピペリジン]−6−イル}ニコチン酸;
1’−(8−メトキシ−4−モルホリン−4−イル−2−ナフトイル)−6−(1H−テトラゾール−5−イル)スピロ[クロマン−2,4’−ピペリジン]−4−オン;及び
1’−[(4−エトキシ−8−エチルキノリン−2−イル)カルボニル]−6−(1H−テトラゾール−5−イル)スピロ[クロマン−2,4’−ピペリジン]−4−オン;並びに薬学的に許容されるその塩及びエステルが含まれるが、これらに限定されない。
【0101】
併用療法の1つの特定の態様は、構造式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の治療上有効な量を患者に投与することを含む、治療を必要とするほ乳類患者における、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質異常症からなる群から選択される症状の治療方法に関する。
【0102】
特に、この併用療法の態様は、治療を必要とするほ乳類患者における、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質異常症からなる群から選択される症状の治療方法であって、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤が、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン及びロスバスタチンからなる群から選択されるスタチンである方法に関する。
【0103】
本発明の他の態様においては、構造式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の治療上有効な量をほ乳類患者に投与することを含む、治療を必要とするほ乳類患者における、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症、脂質異常症及びこのような病状の後遺症からなる群から選択される症状の発現の危険性を減少する方法が開示される。
【0104】
本発明の他の態様においては、構造式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の治療上有効な量を患者に投与することを含む、治療を必要なヒト患者における、アテローム性動脈硬化症の発現の遅延又は発現の危険性を減少する方法が開示される。
【0105】
特に、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤が、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン及びロスバスタチンからなる群から選択されるスタチンであり、治療を必要とするヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の発現の遅延又は発現の危険性を減少する方法が開示される。
【0106】
本発明の他の態様においては、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤がスタチンであり、更にコレステロール吸収阻害剤を投与することを含む、治療を必要とするヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の発現の遅延又は発現の危険性を減少する方法が開示される。
【0107】
特に、本発明の他の態様においては、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤がスタチンであり、コレステロール吸収阻害剤がエゼチミブである、治療を必要とするヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の発現の遅延又は発現の危険性を減少する方法が開示される。
【0108】
本発明の化合物は、経口、非経口的(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、嚢内注射又は注入、皮下注射又は埋め込み)によって、吸入スプレー、鼻、膣、直腸、舌下又は局所的経路によって投与することができ、単独で又は一緒に、通常の無毒の薬学的に許容される担体、アジュバント及びそれぞれの投与経路に適した賦形剤を含む、適切な投与単位製剤中で製剤化され得る。マウス、ラット、馬、牛、羊、犬、猫、猿のような温血動物の治療に加え、本発明の化合物はヒトにおける利用に有効である。
【0109】
本発明の化合物の投与のための医薬組成物は、投与単位形態中に好都合に存在することができ、薬学の分野において周知の任意の方法によって調製することができる。全ての方法は、活性成分を、1種以上の補助成分を構成する担体と会合させる工程を含む。一般に、医薬組成物は、活性成分を、液体担体又は微粉化した固体担体又はその両方に均一及び均質に関連させ、そして必要であれば、生成物を所望の製剤に形成することによって調製される。医薬組成物においては、活性化合物は、疾病の進行又は症状について所望の効果をもたらすのに十分な量が含まれる。本明細書で用いられる場合、「組成物」なる用語は、特定の成分を特定量で含む生成物、及び特定量の特定成分の組み合わせから直接的又は間接的に由来する任意の生成物を含むことを意味する。
【0110】
活性成分を含む医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ、薬用キャンディー、水性又は油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒、エマルジョン、硬又は軟カプセル、又はシロップ又はエリキシル剤のような経口的使用に適した形態であり得る。経口使用を意図した組成物は、医薬組成物の製造のための技術分野で公知の任意の方法によって調製することができ、このような組成物は、薬学的優雅さ及び味のよい製剤を提供するために、甘味剤、着香料、着色剤及び保存剤からなる群から選択される1種以上の薬剤を含んでもよい。錠剤は、錠剤の製造に適した、無毒の薬学的に許容される賦形剤と混合された活性成分を含む。これらの賦形剤には、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウムのような不活性希釈剤;トウモロコシデンプン又はアルギン酸のような造粒剤及び崩壊剤;デンプン、ゼラチン又はアラビアゴムのような結合剤、及びステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクのような滑沢剤を含む。錠剤はコーティングされていないか、又は消化管内における崩壊及び吸収を遅延し、その結果、長期間にわたる持続する活性をもたらすために公知の技術によってコーティングされてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルのような時間遅延物質を用いることができる。それらはまた、制御放出のための浸透圧性治療用錠剤を形成するための米国特許第4,256,108号;第4,166,452号;及び第4,265,874号に開示された技術によってコーティングすることもできる。
【0111】
経口用途のための製剤は、活性成分が、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンのような不活性固体希釈剤と混合される硬ゼラチンカプセル、又は活性成分が、水又はピーナッツ油、流動パラフィン又はオリーブ油のような油性媒体と混合される軟ゼラチンカプセルとして存在してもよい。
【0112】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合された活性成分を含む。このような賦形剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアゴムのような懸濁剤であり;分散剤又は湿潤剤は、レシチンのような天然のホスファチド、ステアリン酸ポリオキシエチレンのようなアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、ヘプタデカエチレンオキシセタノールのようなエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートのような、エチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物、ポリエチレンソルビタンモノオレートのような、エチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合生成物である。また、水性懸濁液は、エチル又はn−プロピルp−ヒドロキシ安息香酸のような1種以上の保存剤、1種以上の着色剤、1種以上の着香料及びショ糖又はサッカリン等の1種以上の甘味剤を含んでもよい。
【0113】
油性懸濁液は、活性成分を、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油又はやし油のような植物性油脂、又は流動パラフィンのような鉱油に懸濁することによって製剤化することができる。油性懸濁液は、ミツロウ、固形パラフィン又はセチルアルコールのような増粘剤を含んでもよい。味のよい経口製剤を得るために、前述したような甘味剤、及び着香料を加えてもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸のような酸化防止剤を添加することにより保存することができる。
【0114】
水を加えることによる水性懸濁液の調製に適した分散性粉末及び顆粒は、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1種以上の保存剤と混合された活性成分を提供する。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は、既に前記に例示されている。追加の賦形剤、例えば、甘味剤、着香料及び着色剤を存在させてもよい。
【0115】
本発明の医薬組成物は、水中油型のエマルジョンの形態であってもよい。油層は、オリーブ油、ラッカセイ油のような植物性油脂又は流動パラフィンのような鉱油、又はそれらの混合物であってもよい。適切な乳化剤は、アラビアゴム又はトラガカントゴムのような天然のゴム、大豆、レシチンのような天然のホスファチド、モノオレイン酸のような脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来するエステル又は部分エステル及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレートのような前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物であってもよい。エマルジョンは、甘味剤及び着香料を含んでもよい。
【0116】
シロップ及びエリキシル剤は、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はショ糖のような甘味剤を用いて製剤化することができる。このような製剤は、粘滑剤、保存剤及び着香料及び着色剤を含んでもよい。
【0117】
医薬組成物は、無菌の注射用の水性又は油性懸濁液であってもよい。この懸濁液は、前述した適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて、公知の技術に従って生成することができる。無菌の注射用製剤は、例えば、1,3−ブタンジオールの溶液のような無毒の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の無菌の注射用溶液又は懸濁剤であってもよい。用いることのできる許容される担体及び溶媒は、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液である。更に、無菌の不揮発油が、溶媒又は懸濁媒体として従来通り用いられる。この目的のため、合成のモノ−又はジグリセリドを含む、無刺激性の不揮発油を用いることができる。更に、オレイン酸のような脂肪酸は、注射用製剤における用途がある。
【0118】
本発明の化合物は、薬剤の直腸投与のための座薬の形態で投与することもできる。これらの組成物は、薬剤を、常温では固体であるが直腸温度で液体であり、その結果直腸内で薬剤を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することによって調製することができる。このような物質は、カカオ脂及びポリエチレングリコールである。
【0119】
局所用途のために、本発明の化合物を含むクリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液等が用いられる。(この用途の目的のため、局所適用には、マウスウォッシュ及びうがい薬が含まれるであろう。)
【0120】
本発明の医薬組成物及び方法は、更に、本明細書に示された前記病理状態の治療に通常に用いられる他の治療的に活性な化合物を含んでもよい。
【0121】
ステアリル−CoAデルタ−9デサチュラーゼ酵素活性の阻害を必要とする症状の治療又は予防において、適切な投与レベルは、1日あたり約0.01〜500mg/患者の体重1kgであり、単一又は複数の投与において投与することができる。好ましくは、投与レベルは、1日あたり約0.1〜約250mg/kgであり、更に好ましくは1日あたり約0.5〜約100mg/kgである。適切な投与レベルは、1日あたり約0.01〜250mg/kg、1日あたり約0.05〜100mg/kg、又は1日あたり約0.1〜50mg/kgであってもよい。投与のこの範囲内で、投与量は、1日あたり0.05〜0.5、0.5〜5又は5〜50mg/kgであってもい。経口投与のために、治療される患者の投与量の症状の調節のために、組成物は、好ましくは、1.0〜1000mgの活性成分、特には1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0及び1000.0mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供される。化合物は、1日に1〜4回、好ましくは1日に1又は2回の投与計画で投与することができる。
【0122】
糖尿病及び/又は高血糖症又は高トリグリセリド血症又は本発明の化合物が適応とする他の疾病を治療又は予防する場合、一般的に満足な結果は、本発明の化合物を、1日に約0.1mg〜約100mg/動物の体重1kg、好ましくは単一投与又は1日に2〜6回に分けて、又は徐放形態で投与する場合に得られる。最も大きな動物について、1日の全投与量は約1.0mg〜約1000mg、好ましくは約1mg〜約50mgである。70kgの成人のヒトの場合、1日の全投与量は一般に約7mg〜約350mgである。この投与計画は、最適な治療反応をもたらすように調整することができる。
【0123】
しかし、任意の特定の患者についての特定の投与レベル及び投与頻度は変化し得、そして用いられる特定の化合物の活性、化合物の代謝安定性及び作用の長さ、年齢、体重、全体的な健康状態、性、食事、投与の様式及び時間、排泄速度、薬剤の併用、特定の症状の重症度、及び宿主の進行中の療法を含む種々の要因に依存するだろうことが理解されるであろう。
【0124】
本発明の化合物の調製
本発明の化合物の調製のための合成方法を以下のスキーム(方法A〜E)及び実施例において説明する。出発原料は市販されており、又は当該技術分野において知られているか、又は本明細書に示されている方法に従い製造することができる。以下に示す特定の実施例により本発明の化合物を説明する。しかし、これらの特定の実施例は、本発明とみなされる種類のみを形成するものとして解釈されない。実施例は、更に本発明の化合物の調製のための詳細をも説明する。当業者は、以下の調製方法の条件及び工程の公知の変形を、これらの化合物を調製するために用いることができることを容易に理解するであろう。特に示さない限り、全ての温度は摂氏である。質量スペクトル(MS)はエレクトロスプレイイオン質量分析(ESI)により測定した。H NMRスペクトルは、400又は500MHzにおいてBruker instrumentにより記録した。
【0125】
【化6】

【0126】
本発明を説明するために以下の実施例を提供するが、いかなる方法によっても本発明の範囲を限定するものと解釈されない。通常、以下の全てのスキームにおける標準操作として、tert−ブトキシカルボニル保護基(PG)を用いた。カルバメート又はアミドを含む他の標準的な窒素保護基を用いてもよい。
【0127】
方法A:
【0128】
【化7】

【0129】
わずかに過剰量のカリウムtert−ブトキシドのような強塩基の存在下で、適切に保護されたアゼチジンアルコール1a又はチオール1bを、DMFのような極性溶媒に溶解する。反応混合物を、電子不足フッ化アリールの存在下で加熱し、求核芳香族置換をもたらし、対応するアリールエーテル2a又はチオエーテル2bを得る。適切な条件下で、アリールエーテル又はチオエーテル生成物を処理し、窒素保護基を除去する。例えば、PG=tert−ブトキシカルボニル(Boc)である場合、アリールエーテル2aを、ジオキサン中、4M塩酸のような酸性条件下で処理し、遊離アミン中間体3aを塩酸塩として得る。
【0130】
方法B:
【0131】
【化8】

【0132】
適切に保護されたアゼチジンアルコールa又はチオール1bを、標準的な光延条件下で処理し、対応するアリールエーテル生成物2a又は2bを得る。光延反応のための標準的条件は、通常は、室温でDEAD及びトリフェニルホスフィンの存在下でテトラヒドロフラン又はジクロロメタン中にアルコール1a及びフェノールを懸濁することを含む。適切な条件下で、アリールエーテル生成物を処理し、方法Aにおいて記載したように窒素保護基を除去する。
【0133】
方法C:
【0134】
【化9】

【0135】
標準的なウィッティヒ条件下で、適切に保護されたアゼチジンケトン3を処理し、対応するアリールアルケン4を得る。ウィッティヒ反応のための標準的条件は、通常は、ヘキサメチルジシラザンナトリウムのような塩基の存在下で、テトラヒドロフラン又はジクロロエタン中にケトンのホスホニウム塩を懸濁することを含む。次いで、標準的な金属触媒水素化条件下(例えば、10重量%Pd/C、H雰囲気下、溶媒)で、アルケン4を還元し、アリールアルカン5を得る。適切な条件下で、生成物5を処理し、方法Aにおいて記載したように窒素保護基を除去する。
【0136】
方法D:
【0137】
【化10】

【0138】
2−クロロピラジン及びわずかに過剰量の塩基(例えば、炭酸カリウム、カリウム三リン酸、DBU又はトリエチルアミン)の存在下で、アゼチジンエーテルを、高温下(100〜130℃)で、4〜16時間処理する。2−クロロピラジンの誘導体は市販されており、又は当業者によく知られている種々の方法により都合よく調製することができる。
【0139】
方法E:
【0140】
【化11】

【0141】
方法Cと同様の方法で、ハロゲン又はスルホニル基のような適切な脱離基で2位が置換されているピリミジンエステルの存在下、対応するアゼチジンエーテルを加熱することにより、2−アゼチジニルピリミジン10を調製する。2−ハロ及び2−スルホニルピリミジンの誘導体は市販されており、又は当業者によく知られている種々の方法により都合よく調製することができる。
【0142】
方法F:
【0143】
【化12】

【0144】
エステル加水分解のための通常の条件下で、エステル又は10を加水分解して対応するカルボン酸11を得る。例えば、R=メチル又はエチルである場合、エステル又は10を、2等量の水酸化リチウムを用いて、テトラヒドロフラン中、25℃で1時間処理した後に遊離の酸11が得られる。標準的なペプチド結合条件下で、中間体11を1級アミンと結合させる。例えば、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)、トリエチルアミンのような適切な塩基及びN,N−ジメチルホルムアミドのような極性溶媒の存在下で、11と1級アミンとを室温で3〜48時間処理し、適切な精製の後に化合物12を得る。
【0145】
実施例1
【0146】
【化13】

【0147】
2−[3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン−1−イル]ピリミジン−5−カルボキサミド
工程1:tert−ブチル3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン−1−カルボキシラート
【0148】
【化14】

【0149】
磁気撹拌子を備えた250mLの丸底フラスコに、tert−ブチル3−ヒドロキシアゼチジン−1−カルボキシラート(3.5g、20.2mmol)及びDMF(35mL)を加えた。溶液を、無水カリウムtert−ブトキシド(2.7g、24.3mmol)で処理し、室温で15分間撹拌した。1回の添加で2,4−ジフルオロブロモベンゼン(5.9g、30.3mmol)を加え、得られた懸濁液を室温で10分間、次いで60℃で2時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、反応混合物が3〜5のpHの範囲に達するまで1M HCl水溶液を滴下して加えることにより反応を停止した。混合物を、水(150mL)を含む250mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物をジエチルエーテル(3×50mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で溶媒を蒸発させた。シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を白色固体として得た。
【0150】
工程2:3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン塩酸塩
【0151】
【化15】

【0152】
磁気撹拌子を備えた250mLの丸底フラスコに、tert−ブチル3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン−1−カルボキシラート(6.20g、17.9mmol)及びジオキサン中の4M塩酸(45mL、180mmol)を加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌した。得られた白色の懸濁液をHirsch漏斗上のろ紙を通してろ過し、ジエチルエーテル(2×10mL)で洗浄した。得られた白色固体を真空ポンプで乾燥し、所望の生成物を得た。
【0153】
工程3:エチル2−[3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン−1−イル]ピリミジン−5−カルボキシラート
【0154】
【化16】

【0155】
磁気撹拌子を備えた25mLの密封可能な圧力フラスコに、エチル2−(メチルスルホニル)ピリミジン−5−カルボキシラート(495mg、2.15mmol)、3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン塩酸塩(632mg、2.24mmol)及び炭酸カリウム(749mg、5.42mmol)を加えた。固体を1,4−ジオキサン(7mL)中に懸濁し、バイアルを密封し、内容物を100℃で3時間加熱した。冷却した反応混合物を水(75mL)で希釈し、250mLの分液漏斗に注ぎ入れた。水層を酢酸エチル(3×50mL)で抽出し、一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSO-で乾燥し、ろ過し、減圧下で溶媒を除去した。シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を白色固体として得た。
【0156】
工程4:2−[3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン−1−イル]ピリミジン−5−カルボン酸
【0157】
【化17】

【0158】
磁気撹拌子を備えた50mLの丸底フラスコに、エチル2−[3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン−1−イル]ピリミジン−5−カルボキシラート(321mg、0.81mmol)、テトラヒドロフラン(3mL)、メタノール(1.8mL)及び1M水酸化リチウム水溶液(1.2mL、1.2mmol)を加えた。反応混合物を室温で72時間撹拌した。反応混合物をEtOAc(20mL)及び KHPO温溶液(20mL)で分配した。有機層を除去し、NaSOで乾燥し、濃縮し、白色固体を得た。
【0159】
工程5:2−[3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン−1−イル]ピリミジン−5−カルボキサミド
窒素雰囲気下、磁気撹拌子を備えた25mLの丸底フラスコに、2−[3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン−1−イル]ピリミジン−5−カルボン酸(910mg、2.47mmol)、HATU(1.31g、3.44mmol)及びDMF(12mL)を加えた。得られた溶液を、濃水酸化アンモニウム溶液(0.4mL、5.9mmol)で処理し、混合物を室温で16時間撹拌した。混合物を冷却し、飽和NaHCO水溶液(75mL)を含む125mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で溶媒を蒸発させた。シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を薄いベージュ色の固体として得た。
H NMR(d−アセトン,400MHz):8.87(2H,s),7.71−7.60(1H,m),6.86−6.78(2H,m),5.41−5.35(1H,m),4.74(2H,dd,J=10.5,6.0Hz),4.24(2H,dd,J=10.0,3.5Hz)。
【0160】
実施例2
【0161】
【化18】

【0162】
5−[3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン−1−イル]ピラジン−2−カルボキサミド
工程1:メチル5−[3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン−1−イル]ピラジン−2−カルボキシラート
【0163】
【化19】

【0164】
磁気撹拌子を備えた100mLの密封可能な圧力フラスコに、メチル5−クロロピラジン−2−カルボキシラート(1.83g、10.6mmol)、3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン塩酸塩(2.50g、8.9mmol)及び炭酸カリウム(3.1g、22.1mmol)を加えた。固体を1,4−ジオキサン(25mL)に懸濁し、バイアルを密封し、内容物を110℃で16時間加熱した。冷却した反応混合物を水(75mL)で希釈し、懸濁液を得、Hirsch漏斗上のろ紙を通してろ過し、水(2×10mL)で洗浄した。得られたベージュ色の固体を真空ポンプで乾燥し、標題の化合物を得た。MS(ESI,Q) m/z 382,384(M+1,79Br,81Br)。
【0165】
工程2:5−[3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン−1−イル]ピラジン−2−カルボン酸
【0166】
【化20】

【0167】
磁気撹拌子を備えた250mLの丸底フラスコに、メチル5−[3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン−1−イル]ピラジン−2−カルボキシラート(3.30g、8.6mmol)、テトラヒドロフラン(25mL)及び1M水酸化リチウム水溶液(17.3mL、17.3mmol)を加えた。反応混合物を室温で12時間撹拌した。酢酸を滴下して加えることにより、反応混合物をpH=3〜5まで中和した。得られた懸濁液を、Hirsch漏斗上のろ紙を通してろ過し、ジエチルエーテルで洗浄し、標題の化合物をベージュ色の固体として得た。MS(ESI,Q) m/z 368,370(M+1,79Br,81Br)
【0168】
工程3:5−[3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン−1−イル]ピラジン−2−カルボキサミド
窒素雰囲気下、磁気撹拌子を備えた25mLの丸底フラスコに、5−[3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン−1−イル]ピラジン−2−カルボン酸(150mg、0.41mmol)、HATU(232mg、0.61mmol)及びDMF(2mL)を加えた。得られた溶液を、濃水酸化アンモニウム溶液(1.02mL、8.2mmol)で処理し、混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を白色固体として得た。
H NMR(d−DMSO,400MHz):8.62(1H,bs),7.90(1H,bs),7.77(1H,s),7.66(1H,t,J=6.5Hz),7.38(1H,s),6.94(1H,d,J=10.0Hz),6.86(1H,m),5.33(1H,m),4.67(2H,m),4.15(2H,m)。MS(ESI,Q) m/z 367,369(M+1,79Br,81Br)。
【0169】
実施例3
【0170】
【化21】

【0171】
5−[3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン−1−イル]−N−メチルピラジン−2−カルボキサミド
窒素雰囲気下、磁気撹拌子を備えた25mLの丸底フラスコに、5−[3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン−1−イル]ピラジン−2−カルボン酸(150mg、0.41mmol)、HATU(232mg、0.61mmol)及びDMF(2mL)を加えた。得られた溶液を、テトラヒドロフラン中の2.0Mメチルアミン溶液(2.1mL、4.2mmol)で処理し、混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を白色固体として得た。
H NMR(CDCl,400MHz):8.89(1H,s),7.68(2H,s),7.54(1H,bs),7.50(1H,m),6.69(1H,m),6.42(1H,m),5.18(1H,m),4.65(2H,m),4.36(2H,m),3.03(3H,s)。
MS(ESI,Q) m/z 383,385(M+1,79Br,81Br)。
【0172】
実施例4
【0173】
【化22】

【0174】
5−[3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン−1−イル]−N−フェニルピラジン−2−カルボキサミド
磁気撹拌子を備えた25mLの丸底フラスコに、5−[3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン−1−イル]ピラジン−2−カルボン酸(100mg、0.27mmol)、HATU(155mg、0.41mmol)及びDMF(10mL)を加えた。溶液を、トリエチルアミン(0.12mL、0.82mmol)及びアニリン(0.075mL、0.82mmol)で処理し、室温で48時間撹拌した。混合物を冷却し、飽和NHCl水溶液(75mL)を含む125mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で溶媒を蒸発させた。シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を薄いベージュ色の固体として得た。
H NMR(d−DMSO,400MHz):10.24(1H,s),8.76(1H,s),7.97(1H,s),7.87(2H,d,J=8.0Hz),7.71−7.67(1H,m),7.34(2H,t,J=8.0Hz),7.09(1H,t,J=7.5Hz),6.98−6.95(1H,m),6.90−6.85(1H,m),5.37−5.32(1H,m),4.72(2H,dd,J=10.0,6.5Hz),4.21(2H,dd,J=10.0,3.0Hz)。Ms(ESI,Q) m/z 443,445(M+1,79Br,81Br)。
【0175】
実施例5
【0176】
【化23】

【0177】
エチル[({5−[3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン−1−イル]ピラジン−2−イル}カルボニル)アミノ]アセタート
磁気撹拌子を備えた25mLの丸底フラスコに、5−[3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン−1−イル]ピラジン−2−カルボン酸(200mg、0.54mmol)、HATU(310mg、0.82mmol)及びDMF(10mL)を加えた。溶液を、トリエチルアミン(0.23mL、1.63mmol)及びグリシンエチルエステル塩酸塩(114mg、0.82mmol)で処理し、室温で16時間撹拌した。混合物を冷却し、飽和NHCl水溶液(75mL)を含む125mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で溶媒を蒸発させた。シリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を白色固体として得た。
MS(ESI,Q) m/z 453,455(M+1,79Br,81Br)。
【0178】
実施例6
【0179】
【化24】

【0180】
[({5−[3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン−1−イル]ピラジン−2−イル}カルボニル)アミノ]酢酸
磁気撹拌子を備えた25mLの丸底フラスコに、エチル[({5−[3−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)アゼチジン−1−イル]ピラジン−2−イル}カルボニル)アミノ]アセタート(130mg、0.29mmol)及びテトラヒドロフラン(3mL)を加えた。溶液を、1M水酸化リチウム水溶液(1.4mL、1.4mmol)で処理し、室温で2時間撹拌した。反応混合物を、1M塩酸水溶液(5mL)を用いて酸性にし、冷却し、水(10mL)を含む75mLの分液漏斗に注ぎ入れた。混合物を酢酸エチル(3×10mL)で抽出し、一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下で溶媒を蒸発させた。得られた白色の泡状物質を1−プロパノール(3mL)で粉砕し、Hirsch漏斗上のろ紙を通してろ過し、1−プロパノール(1mL)で洗浄し、生成物を白色固体として得た。
H NMR(d−アセトン,400MHz):8.71(1H,s),8.22(1H,bs),7.92(1H,s),7.68−7.65(1H,m),6.86−6.79(2H,m),5.47−5.42(1H,m),4.79(2H,dd,J=10.0,6.5Hz),4.30(2H,dd,J=10.0,3.5Hz),4.15(2H,d,J=6.0Hz)。Ms(ESI,Q) m/z 425,427(M+1,79Br,81Br)。
【0181】
実施例1〜6について記載した方法に従い、表1に示す、以下の追加の実施例を製造した。
【0182】
【表1−1】

【0183】
【表1−2】

【0184】
【表1−3】

【0185】
【表1−4】

【0186】
医薬製剤の実施例
本発明の化合物の経口用組成物の特定の実施態様として、50mgの実施例の任意の化合物を、十分に微粉化した乳糖を用いて製剤化し、総量580〜590mgを得て、サイズ0の硬ゼラチンカプセルに充填する。
【0187】
本発明を、特定の実施態様を参照して開示及び説明したが、当業者は、種々の変形、修飾及び置換を本発明の趣旨及び範囲を逸脱せずになし得ることを理解するであろう。例えば、前記に記載の好ましい投与量以外の有効な投与量を、特定の症状について治療されるヒトの応答性における変化の結果として適用することができる。同様に、観察される薬理学的反応は、選択される特定の活性化合物、又は薬学的担体が存在するかどうか、製剤のタイプ及び用いられる投与方法により、及び依存して変化し得、結果におけるこのような予想される変形又は相違は、本発明の目的及び実施に従って意図される。従って、本発明は、以下の請求の範囲によってのみ限定され、このような請求の範囲は、妥当である限り広く解釈されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I:
【化1】

[式中、X−Yは、CH−O、CH−S、CF−O、CF−S又はCH−CRであり;
U及びTのそれぞれはCH又はNであり、ただし、U及びTの少なくとも1個はNであり;
Arは、フェニル、ベンジル、ナフチル又はピリジルであり、それぞれは、独立してRから選択される1〜5個の置換基で置換されていてもよく;
及びRは、それぞれ独立して水素又はC1−3アルキルであり、ここで、アルキルは、独立してフッ素及びヒドロキシから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
各Rは、独立して:
(CHCO
(CHOC(O)R
(CHCOR
(CHNRSO
(CHSON(R
(CHS(O)
(CHNRC(O)N(R
(CHC(O)N(R
(CHC(O)N(OR)R
(CHC(O)NRNC(O)R
(CHNRC(O)R
(CHNRCO、及び
O(CHC(O)N(R
からなる群から選択され、ここで、Rにおける任意のメチレン(CH)炭素原子は、独立してフッ素、ヒドロキシ、及び1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよく;又は2個の置換基が同じメチレン(CH)基上にある場合、それらが結合する炭素原子と一緒になってシクロプロピル基を形成し;
各Rは独立して:
ハロゲン、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−6アルキル、
(CHOR
(CHN(R
(CHC≡N、
(CHCOR、及び
(CHS(O)
からなる群から選択され、ここで、アルキルはヒドロキシ又は1〜3個のフッ素で置換されていてもよく;Rにおける任意のメチレン(CH)炭素原子は、独立してフッ素、ヒドロキシ、及び1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよく;又は2個の置換基が同じメチレン(CH)基上にある場合、それらが結合する炭素原子と一緒になってシクロプロピル基を形成し;
各Rは、独立して:
水素、
1−6アルキル、
(CH−フェニル、
(CH−ヘテロアリール、
(CH−ナフチル、及び
(CH3−7シクロアルキル;
からなる群から選択され、ここで、アルキルは、独立してハロゲン、シアノ、−C1−4アルコキシ、−C1−4アルキルチオ、−C1−4アルキルスルホニル、−カルボキシ及び−CO1−4アルキルからなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく、そしてフェニル、ナフチル及びヘテロアリールは、独立して:
ハロゲン、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキル、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルコキシ、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルチオ、
1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルスルホニル、
1−4アルキルカルボニル、
1−4アルキルオキシカルボニル、
アミノ、
モノ−(C1−4アルキル)アミノ、
ジ−(C1−4アルキル)アミノ、
−O(CHCOH、
−O(CHCO1−4アルキル、
−S(O)(CHCOH、
−S(O)(CHCO1−4アルキル、
−NH(CHCOH、
−NH(CHCO1−4アルキル、
−(CHCOH、
−(CHCO1−4アルキル、
−N(R10)C(O)(R10)、
ハロゲン、カルボキシ及びC1−4アルキルから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニル、及び
ハロゲン、カルボキシ及びC1−4アルキルから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいヘテロアリール、
からなる群から選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
又は2個のR基は、それらが結合する原子と一緒になって、O、S及びNC1−4アルキルから選択される追加のヘテロ原子を含んでいてもよい、4〜8員環の単環又は二環式系を形成し;
各nは、独立して0〜2の整数であり;
各mは、独立して0〜2の整数であり;
各pは、独立して1〜3の整数であり;
各qは、独立して0〜2の整数であり;
、R、R及びRは、各々独立して水素、フッ素又はC1−3アルキルであり、ここで、アルキルは、独立してフッ素及びヒドロキシから選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;そして
各R10は、独立して、水素又は1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−4アルキルである]の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
X−YがCH−Oである、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
Arが、独立してRから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニルである、請求項2記載の化合物。
【請求項4】
各Rがハロゲン又はトリフルオロメチルである、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
、R、R及びRが、それぞれ水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
各Rが、独立してハロゲン及びトリフルオロメチルからなる群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
が:
CO
OC(O)R
COR
NRSO
SON(R
NRC(O)N(R
C(O)N(R
C(O)N(OR)R
C(O)NRNC(O)R
NRC(O)R、及び
NRCOからなる群から選択される、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
が−C(O)N(Rである請求項7記載の化合物。
【請求項9】
が−C(O)NHRであり、Rが、それぞれ請求項1に定義されたように置換されていてもよいアルキル、フェニル、ナフチル又はヘテロアリールである、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
TがCHを表わし、そしてUがNを表わす、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
TがNを表わし、そしてUがCHを表わす、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
X−YがCH−Oであり;TがNを表わし;UがCHを表わし;そしてArが、独立してRから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニルである化合物。
【請求項13】
各Rがハロゲン又はトリフルオロメチルである、請求項12記載の化合物。
【請求項14】
、R、R及びRが、それぞれ水素である、請求項13記載の化合物。
【請求項15】
X−YがCH−Oであり;TがCHを表わし;UがNを表わし;そしてArが、独立してRから選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
各Rがハロゲン又はトリフルオロメチルであり、そしてR、R、R及びRが、それぞれ水素である、請求項15記載の化合物。
【請求項17】
請求項1記載の化合物を、薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項18】
哺乳動物における、ステアロイルコエンザイムAデルタ−9デサチュラーゼの阻害に応答する障害、症状又は疾病の治療のための請求項1記載の化合物の使用。
【請求項19】
前記障害、症状又は疾病が、2型糖尿病、インシュリン抵抗性、脂質障害、肥満症、メタボリックシンドローム及び脂肪肝疾患からなる群から選択される、請求項18記載の使用。
【請求項20】
前記脂質障害が、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される、請求項19記載の使用。
【請求項21】
哺乳動物において、2型糖尿病、インシュリン抵抗性、脂質障害、肥満症、メタボリックシンドローム、脂肪肝疾患及び非アルコール性脂肪性肝炎を治療するのに用いられる薬剤の製造のための請求項1記載の化合物の使用。
【請求項22】
前記脂質障害が、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される、請求項21記載の使用。

【公表番号】特表2012−505839(P2012−505839A)
【公表日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531315(P2011−531315)
【出願日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際出願番号】PCT/CA2009/001489
【国際公開番号】WO2010/043052
【国際公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(305042057)メルク カナダ インコーポレイテッド (99)
【氏名又は名称原語表記】MERCK CANADA INC.
【Fターム(参考)】