説明

ステアロイル−補酵素Aデルタ−9デサチュラーゼの阻害剤としての二環式芳香族複素環化合物

構造式Iの二環式芳香族複素環化合物は、ステアロイル−補酵素Aデルタ−9デサチュラーゼ(SCD)の阻害剤である。本発明の化合物は、アテローム性動脈硬化症;肥満症;2型糖尿病;インシュリン抵抗性;高血糖症;メタボリックシンドローム;神経系疾患;癌;及び肝脂肪変性のような循環器病を含む異常な脂質合成及び代謝と関連する病状の予防及び治療に有用である。式(I)
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステアロイル−補酵素Aデルタ−9デサチュラーゼ(SCD)の阻害剤である二環式芳香族複素環化合物、SCD活性により介在される病状又は疾患を抑制、予防及び/又は治療するためのこのような化合物の使用に関する。本発明の化合物は、循環器疾患;アテローム性動脈硬化症;肥満症;糖尿病;神経系疾患;メタボリックシンドローム;インシュリン抵抗性;癌;肝脂肪変性及び非アルコール性脂肪性肝炎を含む、異常な脂質合成及び代謝と関連する病状及び疾患の抑制、予防及び治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
哺乳動物において、少なくも3種のクラスのアシル−補酵素A(CoA)デサチュラーゼ(デルタ−5、デルタ−6及びデルタ−9デサチュラーゼ)が、食餌又はデノボ合成のいずれか由来のモノ−及びポリ不飽和脂肪酸アシル−CoAにおける二重結合生成の原因である。デルタ−9特異的ステアロイル−CoAデサチュラーゼ(SCDs)は、モノ不飽和脂肪酸アシル−CoAのC9−C10位におけるシス−二重結合の律速的な生成を触媒する。好ましい基質は、ステアロイル−CoA及びパルミトイル−CoA、及びリン脂質、トリグリセリド、コレステロールエステル及びろうエステルの生合成における主要な成分として生じるオレオイル及びパルミトレオイル−CoAである(Dobrzyn and Natami,Obesity Reviews,6:169−174(2005))。
【0003】
ラット肝臓のミクロソームSCDタンパク質は、1974年に最初に分離され、特徴づけられた(Strittmatter et al.,PNAS,71:4565−4569(1974))。それ以来、いろいろな種由来の多くの哺乳類SCD遺伝子がクローニングされ研究された。例えば、ラットから2種の遺伝子(SCD1及びSCD2、Thiede et al.,J.Biol.Chem.,261,13230−13235(1986)),Mihara,K.,J.Biochem.(Tokyo),108:1022−1029(1990));マウスから4種の遺伝子(SCD1、SCD2、SCD3及びSCD4)(Miyazaki et al.,J. Biol.Chem.,278:33904−33911(2003));ヒトから2種の遺伝子(SCD1及びACOD4(SCD2又はSCD5))(Zhang,et al.,Biochem.J.,340:255−264(1991);Beiraghi,et al.,Gene,309:11−21(2003);Zhang et al.,Biochem.J.,388:135−142(2005))が同定された。ラット及びマウスにおける脂肪酸代謝におけるSCDsの関与は1970年代から知られている(Oshino,N.,Arch.Biochem.Biophys.,149:378−387(1972))。これは、更にa)SCD遺伝子に自然変異を有するアセビアマウス(Zheng et al.,Nature Genetics,23:268−270(1999))、b)標的遺伝子欠失に由来するSCD−ヌルマウス(Ntambi,et al.,PNAS,99:11482−11486(2002))、及びc)レプチンに誘導される体重減少の間のSCD発現抑制(Cohen et al.,Science,297:240−243(2002))の生物学的研究によって支持されている。SCD活性の薬理学的阻害の潜在的利益は、マウスにおけるアンチセンスオリゴヌクレオチド阻害剤(ASO)を用いて証明されている(Jiang,et al.,J.Clin.Invest.,115:1030−1038(2005))。SCD活性のASO阻害は、初代マウス肝細胞において、脂肪酸合成を減少し、脂肪酸の酸化を増加する。SCD−ASOsによるマウスの処理は、食餌に誘導される肥満症の予防、脂肪過多症の減少、肝腫大、脂肪変性、食後の血漿インシュリン及びグルコース濃度、デノボ脂肪酸合成の減少、脂質合成遺伝子の発現の減少、及び肝臓及び脂肪組織におけるエネルギー消費を促進する遺伝子の発現の増加を招く。SCDノックアウトマウス(−/−)は、肥満の減少及びエネルギー消費の増大によって特徴づけられる。従って、SCDの阻害は、2型糖尿病、肥満症及びメタボリックシンドロームのような関連する代謝障害の治療における新規な治療方針となる。
【0004】
ヒトにおいて、上昇したSCD活性が、いくつかの一般の疾患経過において直接関係することを支持することを受け入れざるを得ない証拠がある。例えば、非アルコール性肝疾患の患者におけるトリグリセライドの分泌に対する肝臓の脂肪合成の増加がある(Diraison,et al.,Diabetes Metabolism,29:478−485(2003);Donnelly,et al.,J.Clin.Invest.,115:1343−1351(2005))。食後のデノボ脂肪合成は、肥満症患者において有意に増加する(Marques−Lopes,et al.,American Journal of Clinical Nutrition,73:252−261(2001))。高いSCD活性と、血漿トリグリセリドの増加、肥満度指数及び血漿HDLの減少を含む心血管系リスクプロフィールの増加との間には顕著な関係がある(Attie,et al.,J.Lipid Res.,43:1899−1907(2002))。SCD活性は、ヒトの形質転換細胞の増殖及び生存の制御において重要な役割を果たしている(Scaglia and Igal,J.Biol.Chem.,(2005))。
【0005】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチド以外に、SCD活性の阻害剤には、非選択的チア脂肪酸基質類似体[B.Behrouzian and P.H.Buist,Prostaglandins,Leukotrienes,and Essential Fatty Acids,68:107−112(2003)]、シクロプロペノイド脂肪酸(Raju and Reiser,J.Biol.Chem.,242:379−384(1967))、特定の共役長鎖脂肪酸異性体(Park,et al.,Biochim.Biophys.Acta,1486:285−292(2000))、全てXenon Pharmaceuticals,Inc.に譲渡された国際特許出願公開WO 2005/011653;WO 2005/011654;WO 2005/011656;WO 2005/011657;WO 2006/014168;WO 2006/034279;WO 2006/034312;WO 2006/034315;WO 2006/034338;WO 2006/034341;WO 2006/034440;WO 2006/034441;WO 2006/034446;WO 2006/086445;WO 2006/086447;WO 2006/101521;WO 2006/125178;WO 2006/125179;WO 2006/125180;WO 2006/125181;WO 2006/125194;WO 2007/044085;WO 2007/046867;WO 2007/046868;WO 2007/050124;WO 2007/130075;及びWO 2007/136746に開示されている複素環式化合物誘導体のシリーズが含まれる。肥満症及び2型糖尿病の治療に有用なSCD阻害剤を開示する、Merck Frosst Canada Ltd.に譲渡された多くの国際特許出願:WO 2006/130986(2006年12月14日);WO 2007/009236(2007年1月25日);WO 2007/038865(2007年4月12日);WO 2007/056846(2007年5月24日);WO 2007/071023(2007年6月28日);WO 2007/134457(2007年11月29日);WO 2007/143823(2007年12月21日);及びWO 2007/143824(2007年12月21日)にも開示されている。WO 2008/003753(Novartisに譲渡された)は、SCD阻害剤としてのピラゾロ[1,5−a]ピリミジン類似体のシリーズを開示し、WO 2007/143597(Novartis及びXenon Pharmaceuticalsに譲渡された)は、SCD阻害剤としての複素環式化合物誘導体を開示している。低分子量のSCD阻害剤も、G.Liuらにより、J.Med.Chem.,50:3086−3100(2007)に”Discovery of Potent,Selective,Orally Bioavailable SCD1 Inhibitors,”が、また、H.Zhaoらにより、Bioorg.Med.Chem.Lett.,17:3388−3391(2007)に”Discovery of 1−(4−phenoxypiperidin−1−yl)−2−arylaminocthanone SCD 1 inhibitors,”が開示されている。
【0006】
本発明は、ステアロイル−CoAデルタ−9デサチュラーゼの阻害剤としての新規な芳香族複素環化合物に関し、これは非アルコール性脂肪肝疾患、循環器病、肥満症、高血糖症、2型糖尿病、メタボリックシンドローム及びインシュリン抵抗性として例示される脂質濃度の上昇に関連する疾病が含まれるが、これらに限定されないSCD活性により媒介される種々の病状及び疾患の治療及び/又は予防に有用である。
【0007】
脂質代謝におけるステアロイル−補酵素Aデサチュラーゼの役割は、M.Miyazaki and J.M.Ntambi,Prostaglandins,Leukotrienes,and Essential Fatty Acids,68:113−121(2003)に開示されている。SCD活性の薬理学的処置の治療の可能性は、A.Dobryzn and J.M.Ntambi,in“Stearoyl−CoA desaturase as a new drug target for obesity treatment,”Obesity Reviews,6:169−174(2005)に開示されている。
【発明の概要】
【0008】
発明の要旨
本発明は、構造式I:
【0009】
【化1】

【0010】
の二環式芳香族複素環化合物に関する。
【0011】
これらの二環式芳香族複素環化合物はSCDの阻害剤として有効である。従って、それらは、糖尿病、インシュリン抵抗性、脂質障害、肥満症、アテローム性動脈硬化症及びメタボリックシンドロームのようなSCDの阻害に応答する疾患の治療、抑制又は予防に有用である。
【0012】
本発明は、本発明の化合物及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物にも関する。
【0013】
本発明の化合物及び医薬組成物を投与することによる、治療を必要とする患者において、SCDの阻害に応答する障害、疾患又は病状を治療、抑制又は治療する方法にも関する。
【0014】
本発明は、本発明の化合物及び医薬組成物を投与することによる、2型糖尿病、インシュリン抵抗性、肥満症、脂質障害、アテローム性動脈硬化症及びメタボリックシンドロームを治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0015】
本発明は、本発明の化合物を、前記病状を治療するのに有用であることが知られている他の薬剤の治療的有効量と組み合わせて投与することによる、肥満症を治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0016】
本発明は、本発明の化合物を、前記病状を治療するのに有用であることが知られている他の薬剤の治療的有効量と組み合わせて投与することによる、2型糖尿病を治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0017】
本発明は、本発明の化合物を、前記病状を治療するのに有用であることが知られている他の薬剤の治療的有効量と組み合わせて投与することによる、アテローム性動脈硬化症を治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0018】
本発明は、本発明の化合物を、前記病状を治療するのに有用であることが知られている他の薬剤の治療上有効な量と組み合わせて投与することによる、脂質障害を治療、抑制又は予防する方法にも関する。
【0019】
本発明は、本発明の化合物を、前記病状を治療するのに有用であることが知られている他の薬剤の治療上有効な量と組み合わせて投与することによる、メタボリックシンドロームを治療する方法にも関する。
【0020】
発明の詳細な記載
本発明は、SCD阻害剤として有用な二環式芳香族複素環化合物に関する。本発明の化合物は構造式I:
【0021】
【化2】

【0022】
[式中、HetArは、
【0023】
【化3】

【0024】
からなる群から選択される縮合芳香族複素環であり;
qは0又は1であり;
rは0又は1であり;
WはO、S又はNR15であり;
X−YはN−C(O)、CR14−O、CR14−S(O)0−2又はCR13−CRであり;
Arは、1〜5個のR置換基で置換されていてもよい、フェニル、ナフチル又はヘテロアリールであり;
及びRは、それぞれ独立して、水素又はC1−3アルキルであり、ここで、アルキルは、フッ素及びヒドロキシから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
各Rは、それぞれ、
1−6アルキル、
2−6アルケニル、
(CH−フェニル、
(CH−ナフチル、
(CH−ヘテロアリール、
(CH−ヘテロシクリル、
(CH3−7シクロアルキル、
ハロゲン、
ニトロ、
(CHOR
(CHN(R
(CHC≡N、
(CHCO
(CHNRSO
(CHSON(R
(CHS(O)0−2
(CHNRC(O)N(R
(CHC(O)N(R
(CHNRC(O)R
(CHNRCO
(CHC(O)R
O(CHC(O)N(R
(CH−Z−(CH−フェニル、
(CH−Z−(CH−ナフチル、
(CH−Z−(CH−ヘテロアリール、
(CH−Z−(CH−ヘテロシクリル、
(CH−Z−(CH−C3−7シクロアルキル、
(CH−Z−(CH−OR
(CH−Z−(CH−N(R
(CH−Z−(CH−NRSO
(CH−Z−(CH−C≡N、
(CH−Z−(CH−CO
(CH−Z−(CH−SON(R
(CH−Z−(CH−S(O)0−2
(CH−Z−(CH−NRC(O)N(R
(CH−Z−(CH−C(O)N(R
(CH−Z−(CH−NRC(O)R
(CH−Z−(CH−NRCO
(CH−Z−(CH−C(O)R
CF
CHCF
OCF、及び
OCHCFからなる群から独立して選択され、ここで、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチル及びC1−4アルコキシから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;R中の任意のメチレン(CH)炭素原子は、フッ素、ヒドロキシ及びC1−4アルキルから独立して選択される1〜2個の基で置換されていてもよく;又は2個の置換基が同一のメチレン(CH)基上にある場合、それらが結合する炭素原子と一緒になってシクロプロピル基を形成し;
Zは、O、S又はNRであり;
各Rは、独立して、
水素、
1−6アルキル、
(CH−フェニル、
(CH−ヘテロアリール、
(CH−ナフチル、及び
(CH3−7シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、アルキル、フェニル、ヘテロアリール及びシクロアルキルは、ハロゲン、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよく;又は2個のR基は、それらが結合する原子と一緒になって、O、S、NH及びNC1−4アルキルから選択される追加のヘテロ原子を含んでもよい4〜8員環の単環式又は二環式環構造を形成し;
、R、R、R、R、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素、フッ素又はC1−3アルキルであり、ここで、アルキルは、フッ素及びヒドロキシから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
13は、水素、C1−3アルキル、フッ素又はヒドロキシであり;
各R14は、独立して、水素又はC1−3アルキルであり;
15は、水素、C1−4アルキル、C1−4アルキルカルボニル、アリール−C1−2アルキルカルボニル、アリールカルボニル、C1−4アルキルアミノカルボニル、C1−4アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリール−C1−2アルキルスルホニル、C1−4アルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル及びアリール−C1−2アルキルオキシカルボニルからなる群から選択され;
16は、水素、又は1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキルであり;
17は、
−(CHC(O)R
−(CH−T−(CH(O)R
−(CH−T−(CHSOH、
−(CH−T−(CH−フェニル、
−(CH−T−(CH−ヘテロアリール、
【0025】
【化4】

【0026】
からなる群から選択され、ここで、フェニル及びヘテロアリールは、ハロゲン、C1−4アルキル、−(CHC(O)R及び−CH=CHC(O)Rから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよく;R17中の任意のメチレン(CH)炭素原子は、アミノ、カルボキシ、フッ素、ヒドロキシ及びC1−4アルキルから独立して選択される1〜2個の基で置換されていてもよく;又は2個の置換基が同一のメチレン(CH)基上にある場合、それらが結合する炭素原子と一緒になってシクロプロピル基を形成し;
TはO、S又はNR14であり;
は、−OH、−OC1−4アルキル、−NH、−NHSO1−4アルキル、−NHSO3−6シクロアルキル又は−NHSOCH3−6シクロアルキルであり;
18は、
アミノ、
ハロゲン、
ヒドロキシ又はカルボキシで置換されていてもよいC1−4アルコキシ、
ヒドロキシ又はカルボキシで置換されていてもよいC1−4アルキルチオ、
1−4アルキルアミノ、
ジ−(C1−4アルキル)アミノ、
アリールアミノ、
アリール−C1−2アルキルアミノ、
1−4アルキルカルボニルアミノ、
アリール−C1−2アルキルカルボニルアミノ、
アリールカルボニルアミノ、
1−4アルキルアミノカルボニルアミノ、
1−4アルキルスルホニルアミノ、
アリールスルホニルアミノ、
アリール−C1−2アルキルスルホニルアミノ、
1−4アルキルオキシカルボニルアミノ、
アリールオキシカルボニルアミノ、及び
アリール−C1−2アルキルオキシカルボニルアミノからなる群から選択され;
各mは、独立して0〜2の整数であり;
各nは、独立して0〜2の整数であり;
各sは、独立して1〜3の整数であり;
各tは、独立して1〜3の整数であり;
vは0〜4の整数であり;
wは0〜2の整数であり;
zは1又は2であり;
各xは0〜2の整数であり;そして
各yは0又は1である]及び薬学的に許容されるその塩により記述される。
【0027】
本発明の化合物の一実施態様においては、q及びrはいずれも1であり、6員環のピペリジン環を与える。
【0028】
本発明の化合物の第二の実施態様においては、qは1であり、rは0であり、5員環のピロリジン環を与える。
【0029】
本発明の化合物の第三の実施態様においては、q及びrはいずれも0であり、4員環のアゼチジン環を与える。
【0030】
本発明の化合物の第四の実施態様においては、X−YはN−C(O)である。この実施態様の一クラスにおいては、Arは1〜3個の前述したR置換基で置換されているフェニルである。
【0031】
本発明の化合物の第五の実施態様においては、X−YはCR14−Oである。この実施態様の一クラスにおいては、R14は水素であり、Arは1〜3個の前述したR置換基で置換されているフェニルである。
【0032】
本発明の化合物の第六の実施態様においては、X−YはCR14−Sである。この実施態様の一クラスにおいては、R14は水素であり、Arは1〜3個の前述したR置換基で置換されているフェニルである。
【0033】
本発明の化合物の第七の実施態様においては、X−YはCR13−CRである。この実施態様の一クラスにおいては、R、R及びR13は、それぞれ水素であり、Arは1〜3個の前述したR置換基で置換されているフェニルである。
【0034】
本発明の化合物の第八の実施態様においては、R、R、R、R、R、R10、R11及びR12は、それぞれ水素である。
【0035】
本発明の化合物の第九の実施態様においては、HetArは
【0036】
【化5】

【0037】
である。この実施態様の一クラスにおいては、WはSである。このクラスのサブクラスにおいては、R16は水素である。
【0038】
本発明の化合物の第九の実施態様の第二のクラスにおいては、R17は−(CHC(O)Rであり、ここで、Rは−OH又は−OC1−4アルキルであり、vは1〜3の整数である。このクラスのサブクラスにおいては、vは2である。
【0039】
本発明の化合物のこの実施態様の第三のクラスにおいては、R17は−(CH−S−(CH)C(O)Rであり、ここで、Rは−OH又は−OC1−4アルキルであり、yは前述した通りである。
【0040】
本発明の化合物のこの第九の実施態様の第四のクラスにおいては、R17は−(CH−T−(CH−ピリジル又は−(CH−T−(CH−フェニルであり、ここで、yは0又は1であり;
Wは0又は1であり;
TはO又はSであり;そして
フェニル及びピリジルは、−(CHC(O)R及び−CH=CHC(O)Rから選択される1個の置換基で置換され、ここで、Rは−OH又は−OC1−4アルキルであり、xは前述した通りである。
【0041】
本発明の化合物の第十の実施態様においては、Arは、C1−4アルキル、ハロゲン、CF、並びにハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチル及びC1−4アルコキシからなる群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニルからなる群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換されているフェニルである。
【0042】
本発明の更なる実施態様は、構造式(II):
【0043】
【化6】

【0044】
[式中、Arは、C1−4アルキル、ハロゲン、CF、並びにハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチル及びC1−4アルコキシからなる群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニルからなる群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換されているフェニルであり;
17は:
−(CHC(O)R
−(CH−S−CHC(O)R
−(CH−T−(CH−ピリジル、及び
−(CH−T−(CH−フェニルからなる群から選択され;
TはO又はSであり;そして
フェニル及びピリジルは、−(CHC(O)R及び−CH=CHC(O)Rから選択される1個の置換基で置換され;ここで、Rは−OH又は−OC1−4アルキルであり;vは1〜3の整数であり;yは0又は1であり;wは0又は1であり;そしてxは0〜2の整数である]の化合物に関する。
【0045】
本発明の更なる実施態様は、構造式(III):
【0046】
【化7】

【0047】
[式中、Arは、C1−4アルキル、ハロゲン、CF、並びにハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチル及びC1−4アルコキシからなる群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニルからなる群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換されているフェニルであり;
18は:
アミノ、
ハロゲン、
ヒドロキシ又はカルボキシで置換されていてもよいC1−4アルコキシ、
ヒドロキシ又はカルボキシで置換されていてもよいC1−4アルキルチオ、
1−4アルキルアミノ、及び
ジ−(C1−4アルキル)アミノからなる群から選択され;
17は:
−(CHC(O)R
−(CH−S−CHC(O)R
−(CH−T−(CH−ピリジル、及び
−(CH−T−(CH−フェニルからなる群から選択され;
TはO又はSであり;
フェニル及びピリジルは、−(CHC(O)R及び−CH=CHC(O)Rから選択される1個の置換基で置換され;ここで、Rは−OH又は−OC1−4アルキルであり;vは1〜3の整数であり;yは0又は1であり;wは0又は1であり;そしてxは0〜2の整数である]の化合物に関する。
【0048】
SCDの阻害剤として有用な本発明の化合物の非限定的である具体例は、以下の;
【0049】
【化8】

【0050】
【化9】

【0051】
【化10】

【0052】
及び薬学的に許容されるその塩である。
【0053】
本明細書で用いられる場合、下記の定義が適用される。
【0054】
「アルキル」並びにアルコキシ及びアルカノイルのような接頭辞「アルカ(alk)」を有する他の基は、炭素鎖を特に定義しない限り、直鎖又は分岐鎖、並びにそれらの組み合わせである炭素鎖を意味する。アルキル基の具体例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−及びtert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル等が含まれる。例えば、C3−10のように、特定の数の炭素原子が許容される場合、用語アルキルは、シクロアルキル基、シクロアルキル構造と組み合わせた、直鎖又は分岐鎖アルキル鎖の組み合わせをも含む。炭素原子の数が特定されていない場合、C1−6を意味する。
【0055】
「シクロアルキル」はアルキルのサブセットであり、特定の数の炭素原子を有する、飽和炭素環を意味する。シクロアルキルの具体例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が含まれる。シクロアルキル基は、特に示さない限り、一般に単環式である。シクロアルキル基は、特に定義されない限り飽和である。
【0056】
「アルコキシ」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルコキシ)、又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分岐鎖アルコキシド[すなわち、メトキシ(MeO−)、エトキシ、イソプロポキシ等]を意味する。
【0057】
「アルキルチオ」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルキルチオ)、又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分岐鎖アルキルスルフィド[すなわち、メチルチオ(MeS−)、エチルチオ、イソプロピルチオ等]を意味する。
【0058】
「アルキルアミノ」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルキルアミノ)、又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分岐鎖アルキルアミン[すなわち、メチルアミノ、エチルアミノ、イソプロピルアミノ、t−ブチルアミノ等]を意味する。
【0059】
「アルキルスルホニル」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルキルスルホニル)、又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分岐鎖アルキルスルフォン[すなわち、メチルスルホニル(MeSO−)、エチルスルホニル、イソプロピルスルホニル等]を意味する。
【0060】
「アルキルスルフィニル」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルキルスルフィニル)、又はこの範囲内の任意の数の直鎖又は分岐鎖アルキルスルホキシド[すなわち、メチルスルフィニル(MeSO−)、エチルスルフィニル、イソプロピルスルフィニル等]を意味する。
【0061】
「アルキルオキシカルボニル」なる用語は、特定の数の炭素原子(例えば、C1−6アルキルオキシカルボニル)、又はこの範囲内の任意の数の本発明のカルボン酸誘導体の直鎖又は分岐鎖エステル[すなわち、メチルオキシカルボニル(MeOCO−)、エチルオキシカルボニル又はブチルオキシカルボニル等]を意味する。
【0062】
「アリール」は、炭素環原子を含む、単環式又は多環式芳香族環構造を意味する。好ましいアリールは、単環式又は二環式の6〜10員環芳香族環構造である。フェニル及びナフチルが好ましいアリールである。最も好ましいアリールはフェニルである。
【0063】
「複素環」は、O、S及びNから選択される少なくとも1個のヘテロ原子、更にイオウの酸化形態、すなわちSO及びSOを含む、飽和又は不飽和の非芳香族環又は環構造を意味する。複素環の具体例には、テトラヒドロフラン(THF)、ジヒドロフラン、1,4−ジオキサン、モルホリン、1,4−ジチアン、ピペラジン、ピペリジン、1,3−ジオキソラン、イミダゾリジン、イミダゾリン、ピロリン、ピロリジン、テトラヒドロピラン、ジヒドロピラン、オキサチオラン、ジチオラン、1,3−ジオキサン、1,3−ジチアン、オキサチアン、チオモルホリン、2−オキソピペリジン−1−イル、2−オキソピロリジン−1−イル及び2−オキソアゼチジン−1−イル、1,2,4−オキサジアジン−5(6H)−オン−3−イル等が含まれる。
【0064】
「ヘテロアリール」は、O、S及びNから選択される少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む、芳香族又は部分芳香族複素環を意味する。従って、ヘテロアリールには、アリール、シクロアルキル及び芳香族でない複素環等の他の種類の環と縮合したヘテロアリールが含まれる。ヘテロアリール基の具体例には、ピロリル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、ピリジル、オキサゾリル、オキサジアゾリル(特に、1,3,4−オキサジアゾール−2−イル及び1,2,4−オキサジアゾール−3−イル)、チアジアゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、フリル、トリアジニル、チエニル、ピリミジル、ベンズイソキサゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリニル、ピリダジニル、インダゾリル、イソインドリル、ジヒドロベンゾチエニル、インドリジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ナフチリジニル、カルバゾリル、ベンゾジオキソリル、キノキサリニル、プリニル、フラザニル、イソベンジルフラニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、キノリル、インドリル、イソキノリル、ジベンゾフラニル等が含まれる。複素環及びヘテロアリール基については、3〜15個の原子を含み、1〜3個の環を形成する環及び環構造が含まれる。
【0065】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。塩素及びフッ素が、一般的に好ましい。アルキル又はアルコキシ基上においてハロゲンが置換される場合、フッ素が最も好ましい(例えば、CFO及びCFCHO)。
【0066】
「カルボキシ」は、残基−COOHを意味する。
【0067】
構造式Iの化合物は、1個以上の不斉中心を含んでいてもよく、従って、ラセミ化合物及びラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオマー混合物及び個々のジアステレオマーとして存在し得る。本発明は、構造式Iの化合物のこのような全ての異性体形態を含むことを意味する。
【0068】
構造式Iの化合物は、例えば、適切な溶媒、例えばメタノール又は酢酸エチル又はそれらの混合物からの分別結晶、又は光学活性固定相を用いたキラルクロマトグラフィーによって個々のジアステレオマーに分離することができる。絶対的立体化学は、必要であれば、既知の絶対配置の不斉中心を含む試薬を用いて誘導体化される結晶生成物又は結晶性中間体のX−線結晶学によって決定してもよい。
【0069】
また、一般構造式Iの化合物の任意の立体異性体は、既知の絶対配置の光学的に純粋な出発原料又は試薬を用いて、立体特異的な合成により得られ得る。
【0070】
所望であれば、個々の光学異性体を分離するように、化合物のラセミ混合物を分離することができる。分離は、化合物のラセミ混合物を鏡像異性的に純粋な化合物とカップリングしてジアステレオマー混合物を生成し、分別結晶化又はクロマトグラフィーのような標準的な方法により個々のジアステレオマーを分離する等の、当該技術分野において周知の方法により実施することができる。カップリング反応は、しばしば光学異性的に純粋な酸又は塩基を用いた塩の生成である。次いで、加えられたキラルな残基の切断により、ジアステレオマー誘導体を純粋な鏡像異性体に変換する。化合物のラセミ混合物は、また、当該技術分野において周知の方法である、キラル固定相を用いたクロマトグラフィー法によっても直接分離することができる。
【0071】
本明細書に開示された化合物のいくつかはオレフィン二重結合を含んでおり、特に特定されない限りはE及びZ幾何異性体を含むことを意味する。
【0072】
本明細書に開示された化合物のいくつかは、1個以上の二重結合シフトに付随して起こる水素の異なる結合点を有する互変異性体として存在し得る。例えば、ケトン及びそのエノール体はケト−エノール互変異性体である。個々の互変異性体及びその混合物は、本発明の化合物に含まれる。本発明の化合物に包含されることを意図する互変異性体の具体例を以下に示す:
【0073】
【化11】

【0074】
本明細書で用いられる場合、構造式Iの化合物への言及は、薬学的に許容される塩、それらが遊離の化合物又は薬学的に許容される塩への前駆体として又は他の合成操作において用いられる場合、薬学的に許容されない塩をも含むことが理解されるであろう。
【0075】
本発明の化合物は、薬学的に許容される塩の形態で投与することができる。「薬学的に許容される塩」なる用語は、無機又は有機塩基並びに無機又は有機酸を含む、薬学的に許容される無毒の塩基又は酸から調製される塩を意味する。「薬学的に許容される塩」なる用語に含まれる塩基性化合物の塩は、一般的に遊離の塩基を適切な有機又は無機酸と反応させることにより調製される本発明の化合物の無毒の塩を意味する。本発明の塩基性化合物の代表的な塩には、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、臭化物、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クラブラン酸塩、クエン酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシラート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イソチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル臭化物、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ムコ酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、N−メチルグルカミンアンモニウム塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、硫酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクレート、トシル酸塩、トリエチオダイド、吉草酸塩が含まれるが、これらに限定されない。更に、本発明の化合物が酸部分を有する場合は、適切な薬学的に許容される塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、マンガン塩、カリウム、ナトリウム、亜鉛等を含む無機塩基に由来する塩が含まれるが、これらに限定されない。特に好ましくは、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム及びナトリウム塩である。薬学的に許容される有機の無毒の塩基に由来する塩には、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンのような一級、二級及び三級アミン、環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂の塩が含まれる。
【0076】
また、本発明の化合物の中にカルボン酸(−COOH)又はアルコール基が存在する場合、メチル、エチル又はピバロイルオキシメチルのようなカルボン酸誘導体、アセチル、ピバロイル、ベンゾイル及びアミノアシルのようなアルコールのアシル誘導体の薬学的に許容されるエステルを用いることができる。徐放製剤又はプロドラッグ製剤として用いるための溶解性又は加水分解特性を修飾するために当業界で公知のエステル及びアシル基が含まれる。
【0077】
なお、構造式Iの化合物の溶媒和物、特に水和物は本発明に含まれる。
【0078】
本発明の化合物は、阻害を必要とする哺乳動物等の患者において、この化合物の有効量を投与することを含むステアロイル−補酵素Aデルタ−9デサチュラーゼ酵素(SCD)を阻害する方法において有用である。従って、本発明の化合物は、高いか又は異常なSCD酵素活性により介在される病状及び疾患の抑制、予防及び/又は治療に有用である。
【0079】
従って、本発明の一態様は、構造式Iの化合物又はその薬学的塩又は溶媒和物の有効量を患者に投与することを含む、治療を必要とする哺乳動物患者において、高血糖症、糖尿病又はインシュリン抵抗性を治療する方法に関する。
【0080】
本発明の第二の態様は、構造式Iの化合物の抗糖尿病に有効な量を患者に投与することを含む、治療を必要とする哺乳動物の患者において非−インシュリン依存性糖尿病(2型糖尿病)を治療する方法に関する。
【0081】
本発明の第三の態様は、構造式Iの化合物を、肥満症の治療に有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とする哺乳動物患者において肥満症を治療する方法に関する。
【0082】
本発明の第四の態様は、構造式Iの化合物を、メタボリックシンドローム及びその後遺症の治療に有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とする哺乳動物患者においてメタボリックシンドローム及びその後遺症を治療する方法に関する。メタボリックシンドロームの後遺症には、高血圧症、血糖値の上昇、高トリグリセリド血症、低レベルのHDLコレステロールが含まれる。
【0083】
本発明の第五の態様は、構造式Iの化合物を、脂質障害の治療に有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とする哺乳動物患者において、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される脂質障害を治療する方法に関する。
【0084】
本発明の第六の態様は、構造式Iの化合物を、アテローム性動脈硬化症の治療に有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とする哺乳動物患者において、アテローム性動脈硬化症を治療する方法に関する。
【0085】
本発明の第七の態様は、構造式Iの化合物を、癌の治療に有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とする哺乳動物患者において癌を治療する方法に関する。本発明のこの態様の一実施態様においては、癌は肝臓癌である。
【0086】
本発明の更なる態様は、構造式Iの化合物を、病状の治療に有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とする哺乳動物患者において、(1)高血糖症、(2)低グルコース耐性、(3)インシュリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎臓障害、(19)神経障害、(20)非アルコール性脂肪肝疾患又は肝脂肪疾患、(21)非アルコール性脂肪性肝炎、(22)多嚢胞性卵巣症候群、(23)睡眠呼吸障害、(24)メタボリックシンドローム、(25)肝繊維症、(26)肝硬変、及び(27)インシュリン抵抗性が要素である他の病状及び障害、からなる群から選択される病状を治療する方法に関する。
【0087】
本発明の更なる態様は、構造式Iの化合物を、病状の発症を遅延させるのに有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とする哺乳動物患者において、(1)高血糖症、(2)低グルコース耐性、(3)インシュリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎臓障害、(19)神経障害、(20)非アルコール性脂肪肝疾患又は肝脂肪疾患、(21)非アルコール性脂肪性肝炎、(22)多嚢胞性卵巣症候群、(23)睡眠呼吸障害、(24)メタボリックシンドローム、(25)肝繊維症、(26)肝硬変、及び(27)インシュリン抵抗性が要素である他の病状及び障害、からなる群から選択される病状の発生を遅延する方法に関する。
【0088】
本発明の更なる態様は、構造式Iの化合物を、病状の発現の危険性を減少するのに有効な量で患者に投与することを含む、治療を必要とする哺乳動物患者において、(1)高血糖症、(2)低グルコース耐性、(3)インシュリン抵抗性、(4)肥満症、(5)脂質障害、(6)脂質異常症、(7)高脂血症、(8)高トリグリセリド血症、(9)高コレステロール血症、(10)低HDLレベル、(11)高LDLレベル、(12)アテローム性動脈硬化症及びその後遺症、(13)血管再狭窄、(14)膵炎、(15)腹部肥満、(16)神経変性疾患、(17)網膜症、(18)腎臓障害、(19)神経障害、(20)非アルコール性脂肪肝疾患又は肝脂肪疾患、(21)非アルコール性脂肪性肝炎、(22)多嚢胞性卵巣症候群、(23)睡眠呼吸障害、(24)メタボリックシンドローム、(25)肝繊維症、(26)肝硬変、及び(27)インシュリン抵抗性が要素である他の病状及び障害、からなる群から選択される病状の発現の危険性を減少する方法に関する。
【0089】
ヒトのような霊長類に加え、本発明の方法により他の種々の哺乳動物を治療することができる。例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、馬、犬、猫、モルモット、ラット又は他のウシ、ヒツジ、馬、犬、猫、マウス等のげっし類等の種を含むが、これらに限定されない他の哺乳動物を治療することができる。しかし、本方法は鳥類(例えば、ニワトリ)等の他の種でも実施されている。
【0090】
更に、本発明は、本発明の化合物を薬学的に許容される担体又は希釈剤と一緒に含む、ヒト及び動物においてステアロイル−補酵素Aデルタ−9デサチュラーゼ酵素活性を阻害する薬剤の製造方法に関する。特に、本発明は、哺乳動物において高血糖症、2型糖尿病、インシュリン抵抗性、肥満症及び脂質障害からなる群から選択される病状の治療に用いられる薬剤の製造における構造式Iの化合物の使用に関するものであって、前記脂質障害が、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される使用に関する。
【0091】
本発明の方法において治療される患者は、一般に、ステアロイル−補酵素Aデルタ−9デサチュラーゼ酵素活性の阻害が望まれているほ乳類、好ましくはヒトの男性又は女性である。「治療上有効な量」なる用語は、研究者、獣医師、医師又は他の臨床家によって求められる組織、システム、動物又はヒトの生物学的又は医学的応答を誘導する被検化合物の量を意味する。
【0092】
本明細書において用いられるように、「組成物」なる用語は、特定の成分を特定の量で含む生成物、及び特定の量における特定の成分の組み合わせから直接又は間接的にもたらされる任意の生成物を含むことが意図される。医薬組成物に関するこのような用語には、活性成分及び担体を構成する不活性成分を含む生成物、並びに任意の2種以上の成分の組み合わせ、複合体生成又は凝集、又は1種以上の成分の解離、又は1種以上の成分の他のタイプの反応又は相互作用により直接又は間接的にもたらされる任意の生成物が含まれることが意図される。従って、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物と薬学的に許容される担体とを混合することによって製造される任意の組成物が含まれる。「薬学的に許容される」については、製剤の他の成分と適合性があり、受容者に対して有害でない担体、希釈剤又は賦形剤を意味する。
【0093】
「化合物の投与」及び/又は「化合物を投与する」なる用語は、本発明の化合物又は本発明の化合物のプロドラッグを治療を必要とする個体に与えることを意味すると理解すべきである。
【0094】
ステアロイル−補酵素Aデルタ−9デサチュラーゼ(SCD)酵素活性の阻害剤としての本発明の化合物の有用性は、以下のミクロソーム及び全細胞に基づくアッセイにより証明することができる。
【0095】
I.SCD−誘導ラット肝臓ミクロソームアッセイ
SCD酵素に対する式Iの化合物の活性は、以下に示すように、SCDを誘導したラット肝臓ミクロソーム及びいくらか修飾された既に公開されている手順(Joshi,et al.,J.Lipid Res.,18:32−36(1977))を用いて、放射標識されたステアロイル−CoAのオレオイル−CoAへの変換によって測定された。ウィスターラットに、高炭水化物/低脂肪げっし動物用食餌(LabDiet#5803,Purina)を3日間摂食させた後、SCDが誘導された肝臓を、250mMショ糖、1mM EDTA、5mM DTT及び50mM Tris−HCl(pH7.5)中で均質化した(1:10w/v)。組織及び細胞破片を除去するための20分間の遠心分離(18,000×g/4℃)の後、100,000×gの遠心分離(60分間)、及び得られた沈殿を100mMリン酸ナトリウム、20%グリセロール及び2mM DTTに懸濁することによりミクロソームを調製した。2μLのDMSO中の試験化合物を、180μLのミクロソーム(通常、Tris−HClバッファー(100mM、pH7.5)、ATP(5mM)、補酵素A(0.1mM)、Triton X−100(0.5mM)及びNADH(2mM)中に、約100μg/mL)と室温で15分間インキュベートした。20μLの[H]−ステアロイル−CoA(最終濃度2μM、放射活性濃度1μCi/mL)を加えることにより反応を開始し、150μLの1N水酸化ナトリウムを加えることにより反応を停止した。室温で60分間、オレオイル−CoA及びステアロイル−CoAを加水分解した後、0.5mg/mLのステアリン酸及び0.5mg/mLのオレイン酸を補充したエタノール中の15%リン酸(v/v)を150μL加えることにより溶液を酸性化した。次いで、C−18逆相カラム及びPackard Flow Scintillation Analyzerを備えたHPLCにより、[H]−オレイン酸及び[H]のステアリン酸を定量した。また、反応混合物(80μL)を、塩化カルシウム/活性炭水溶液懸濁液(100μLの15%(w/v)活性炭及び20μLの2N CaCl)と混合した。得られた混合物を遠心分離し、放射活性脂肪酸種を安定な沈殿として沈殿させた。9,10−[H]−ステアロイル−CoAのSCD−触媒不飽和化に由来するトリチウム水を50μLの上清をシンチレーションカウンターにより測定することにより定量した。
【0096】
II.全細胞に基づくSCD(デルタ−9)、デルタ−5及びデルタ−6デサチュラーゼアッセイ
ヒトHepG2細胞を、24穴ウェルで、10%の加熱不活性化したウシ胎児血清を補充したMEM培地(Gibcoカタログ番号11095−072)中、加湿したインキュベータ内で37℃、5%CO下で培養した。培地に溶解した試験化合物を、密集した細胞と、37℃で15分間インキュベートした。[1−14C]−ステアリン酸を、各ウェルに最終濃度0.05μCi/mLに加え、SCDが触媒する[14C]−オレイン酸の生成を検出した。0.05μCi/mLの[1−14C]−エイコサトリエン酸又は[1−14C]−リノレン酸及び10μMの2−アミノ−N−(3−クロロフェニル)ベンズアミド(デルタ5−デサチュラーゼ阻害剤)を、それぞれ、デルタ−5及びデルタ−6デサチュラーゼ活性の指標とするために用いた。37℃で4時間インキュベートした後、培養培地を除去し、標識化された細胞を、室温でPBS(3×1mL)で洗浄した。標識化された細胞脂質を、400μLの2N水酸化ナトリウム及び50μLのL−α−ホスファチジルコリン(イソプロパノール中2mg/mL、Sigma #P−3556)を用いて65℃で1時間、窒素雰囲気下で加水分解した。リン酸(60μL)を用いて酸性化した後、300μLのアセトニトリルを用いて放射活性種を抽出し、C−18逆相カラム及びPackard Flow Scintillation Analyzerを備えたHPCLにより定量した。[14C]−ステアリン酸を超える[14C]−オレイン酸、[14C]−エイコサトリエン酸を超える[14C]−アラキドン酸、及び[14C]−リノレン酸を超える[14C]−エイコサテトラエン酸(8,11,14,17)のレベルを、それぞれ、SCD、デルタ−5及びデルタ−6デサチュラーゼの対応する活性指数として用いた。
【0097】
式IのSCD阻害剤、特に実施例1〜43の阻害剤は、1μM未満、更に典型的には0.1μM未満の阻害定数IC50を示す。一般に、式Iの化合物、特に実施例1〜43の化合物についてのSCDに対するデルタ−5又はデルタ−6デサチュラーゼについてのIC50比は少なくとも約10以上であり、好ましくは約100以上である。
【0098】
本発明の化合物のインビボ効果
式Iの化合物のインビボ効果は、以下に例示するように、動物において[1−14C]−ステアリン酸の[1−14C]オレイン酸への変換の後に測定された。式Iの化合物をマウスに投与し、1時間後に放射活性トレーサー[1−14C]−ステアリン酸を20μCi/kgIVで投与した。化合物の投与3時間後、肝臓を集め、10N水酸化ナトリウム中で80℃で24時間加水分解し、全肝臓脂肪酸のプールを得た。抽出物のリン酸による酸性化の後、[1−14C]−ステアリン酸及び[1−14C]−オレイン酸の量を、C−18逆相カラム及びPackard Flow Scintillation Analyzerを備えるHPLCにより定量した。
【0099】
更に、本発明の化合物は、他の薬剤と組み合わせて、前述した疾患、障害及び病状の予防又は治療に有用である。
【0100】
本発明の化合物は、式Iの化合物又は他の薬剤が有用性を有する疾患又は病状の治療、予防、鎮静又は改善において1種以上の他の薬剤と併用して用いることができ、同時の薬剤の組み合わせは、それぞれの薬剤単独の場合よりも安全であり、又はより効果的である。このような他の薬剤は、それらが通常に用いられる投与経路及び量で、式Iの化合物と同時又は連続的に投与することができる。式Iの化合物を1種以上の他の薬剤と同時に用いる場合、このような他の薬剤及び式Iの化合物を含む単一の投与形態における医薬組成物が好ましい。しかし、併用療法には、式Iの化合物と1種以上の他の薬剤とを異なる重複するスケジュールで投与する療法も含まれる。1種以上の他の活性成分を併用して用いる場合、本発明の化合物及び他の活性成分は、それぞれを単独で用いる場合よりも低い容量で用い得ることも意図される。従って、本発明の医薬組成物には、式Iの化合物に加え、1種以上の他の活性成分を含む組成物が含まれる。
【0101】
別々に投与されるか、同一の医薬組成物内で投与されるかのいずれかで、式Iの化合物と組み合わせて投与することのできる他の活性成分には、
(a)ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)阻害剤;
(b)以下のインシュリン増感剤:(i)グリタゾン(トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾン等)のようなPPARγアゴニスト、並びにKRP−297、ムラグリタザル、ナベグリタザル、ガリダ、TAK−559のようなPPARα/γ二重アゴニスト、フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベザフィブラート)のようなPPARαアゴニスト、及びWO 02/060388、WO 02/08188、WO 2004/019869、WO 2004/020409、WO 2004/020408及びWO 2004/066963に開示されたような選択的PPARγモジュレータ(SPPARγM’s)を含む他のPPARリガンド;(ii)メトホルミン及びフェノホルミンのようなビグアニド、並びに(iii)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;
(c)インシュリン又はインシュリン模倣薬;
(d)スルホニル尿素、並びにトルブタミド、グリブリド、グリピジド、グリメピリド、ナテグリニド及びレパグリニド等のメグリチニド類のような他のインシュリン分泌促進剤;
(e)α−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース及びミグリトール等):
(f)WO 98/04528、WO 99/01423、WO 00/39088及びWO 00/69810に開示された化合物のような、グルカゴン受容体アンタゴニスト;
(g)GLP−1、GLP−1類似体又は模倣薬、並びにエキセンジン−4(エクセナチド)、リラグルチド(NN−2211)、CJC−1131、LY−307161、並びにWO 00/42026及びWO 00/59887に開示された化合物のようなGLP−1受容体アゴニスト;
(h)WO 00/58360に開示されている化合物のようなGIP及びGIP模倣薬、並びにGIP受容体アゴニスト;
(i)PACAP、PACAP模倣薬、及びWO 01/23420に開示されているようなPACAP受容体アゴニスト;
(j)以下のコレステロール低下薬、(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン及びロスバスタチン並びに他のスタチン類)、(ii)金属イオン封鎖剤(コレスチラミン、コレスチポール及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はそれらの塩、(iv)フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベザフィブラート)のようなPPARαアゴニスト、(v)ナベグリタザル及びムラグリタザルのようなPPARα/γ二重アゴニスト、(vi)ベータ−シトステロール及びエゼチミブのようなコレステロール吸収阻害剤、(vii)アバシミブのようなアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、並びに(viii)プロブコールのような抗酸化剤;
(k)WO 97/28149に開示された化合物のようなPPARδアゴニスト;
(l)フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オーリスタット、神経ペプチドY又はYアンタゴニスト、CB1受容体インバースアゴニスト及びアンタゴニスト、βアドレナリン作動性受容体アゴニスト、メラノコルチン−受容体アゴニスト、特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト、グレリンアンタゴニスト、ボンベシン受容体アゴニスト(ボンベシン受容体サブタイプ−3アゴニスト)及びメラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニスト及びミクロソームトリグリセリド転移タンパク質(MTP)阻害剤のような抗肥満薬;
(m)回腸型胆汁酸トランスポーター阻害剤;
(n)アスピリン、非ストロイド性抗炎症剤(NSAIDs)、グルココルチコイド、アズルフィジン及び選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤のような炎症状態に用いられることを意図する薬剤;
(o)ACE阻害剤(エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、キナプリル、タンドラプリル)、A−II受容体遮断薬(ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、テルミサルタン及びエプロサルタン)、ベータ遮断薬及びカルシウムチャンネル遮断薬のような降圧剤;
(p)WO 03/015774;WO 04/076420;及びWO 04/081001に開示された化合物のようなグルコキナーゼ活性化剤(GKAs);
(q)米国特許第6,730,690号;WO 03/104207;及びWO 04/058741に開示された化合物のような11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼI型の阻害剤;
(r)トルセトラピブのようなコレステリルエステル転移タンパク質(CETP)の阻害剤;
(s)米国特許第6,054,587号;第6,110,903号;第6,284,748号;第6,399,782号;及び第6,489,476号に開示された化合物のようなフルクトース1,6−ビスホスファターゼの阻害剤;
(t)アセチルCoAカルボキシラーゼ−1及び/又は−2阻害剤;
(u)AMPK活性剤;及び
(v)オキシントモジュリン及びその誘導体及びその類似物、が含まれるが、これらに限定されない。
【0102】
構造式Iの化合物と併用することのできるジペプチジルペプチダーゼ−IV阻害剤には、米国特許第6,699,871号;WO 02/076450(2002年10月3日);WO 03/004498(2003年1月16日);WO 03/004496(2003年1月16日);EP 1 258 476(2002年11月20日);WO 02/083128(2002年10月24日);WO 02/062764(2002年8月15日);WO 03/000250(2003年1月3日);WO 03/002530(2003年1月9日);WO 03/002531(2003年1月9日);WO 03/002553(2003年1月9日);WO 03/002593(2003年1月9日);WO 03/000180(2003年1月3日);WO 03/082817(2003年10月9日);WO 03/000181(2003年1月3日);WO 04/007468(2004年1月22日);WO 04/032836(2004年4月24日);WO 04/037169(2004年5月6日);及びWO 04/043940(2004年5月27日)に開示されているものが含まれる。特定のDPP−IV阻害剤化合物には、シタグリプチン(MK−0431);NVP−DPP−728;ビルダグリプチン(LAF237);P93/01;アログリプチン(SYR−322);デナグリプチン及びサキサグリプチン(BMS477118)が含まれる。
【0103】
構造式Iの化合物と併用することのできる抗肥満化合物には、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オーリスタット、神経ペプチドY又はYアンタゴニスト、カンナビノイドCB1受容体アンタゴニスト又はインバースアゴニスト、メラノコルチン受容体アゴニスト、特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト、グレリンアンタゴニスト、ボンベシン受容体アゴニスト及びメラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニストが含まれる。構造式Iの化合物と併用することのできる抗肥満化合物の概説については、S.Chaki et al.,”Recent advances in feeding suppressing agents:potential therapeutic strategy for the treatment of obesity,”Expert Opin.Ther.Patents,11:1677−1692(2001);D.Spanswick and K.Lee,”Emerging antiobesity drugs,”Expert Opin.Emerging Drugs,8:217−237(2003);及びJ.A.Fernandez−Lopez,et al.,”Pharmacological Approaches for the Treatment of Obesity,”Drugs,62:915−944(2002)を参照されたい。
【0104】
構造式Iの化合物と併用することのできる神経ペプチドY5アンタゴニストには、米国特許第6,335,345号(2002年1月1日)及びWO 01/14376(2001年3月1日)に開示された化合物;及びGW 59884A;GW 569180A;LY366377;及びCGP−71683Aに同定された特定の化合物が含まれる。
【0105】
式Iの化合物と併用することのできるカンナビノイドCB1受容体アンタゴニストには、PCT国際公開WO 03/007887;リモナバントのような米国特許第5,624,941号;SLV−319のようなPCT国際公開WO 02/076949;米国特許第6,028,084号;PCT国際公開WO 98/41519;PCT国際公開WO 00/10968;PCT国際公開WO 99/02499;米国特許第5,532,237号;米国特許第5,292,736号;PCT国際公開WO 03/086288;PCT国際公開WO 03/087037;PCT国際公開WO 04/048317;PCT国際公開WO 03/007887;PCT国際公開WO 03/063781;PCT国際公開WO 03/075660;PCT国際公開WO 03/077847;PCT国際公開WO 03/082190;PCT国際公開WO 03/082191;PCT国際公開WO 03/087037;PCT国際公開WO 03/086288;PCT国際公開WO 04/012671;PCT国際公開WO 04/029204;PCT国際公開WO 04/040040;PCT国際公開WO 01/64632;PCT国際公開WO 01/64633;及びPCT国際公開WO 01/64634に開示されるものが含まれる。特定のカンナビノイドCB1受容体アゴニストには、リモナバント及びタラナバントが含まれる。
【0106】
本発明において有用なメラノコルチン−4受容体(MC4R)アゴニストには、全体として本明細書に参考文献として組み入れられる、米国特許第6,294,534号、米国特許第6,350,760号、第6,376,509号、第6,410,548号、第6,458,790号、米国特許第6,472,398号、米国特許第5837521号、米国特許第6699873号;全体として本明細書に参考文献として組み入れられる、米国特許出願公開第2002/0004512号、第2002/0019523号、第2002/0137664号、第2003/0236262号、第2003/0225060号、第2003/0092732号、第2003/109556号、第2002/0177151号、第2002/187932号、第2003/0113263号;及びWO 99/64002、WO 00/74679、WO 02/15909、WO 01/70708、WO 01/70337、WO 01/91752、WO 02/068387、WO 02/068388、WO 02/067869、WO 03/007949、WO 2004/024720、WO 2004/089307、WO 2004/078716、WO 2004/078717、WO 2004/037797、WO 01/58891、WO 02/070511、WO 02/079146、WO 03/009847、WO 03/057671、WO 03/068738、WO 03/092690、WO 02/059095、WO 02/059107、WO 02/059108、WO 02/059117、WO 02/085925、WO 03/004480、WO 03/009850、WO 03/013571、WO 03/031410、WO 03/053927、WO 03/061660、WO 03/066597、WO 03/094918、WO 03/099818、WO 04/037797、WO 04/048345、WO 02/018327、WO 02/080896、WO 02/081443、WO 03/066587、WO 03/066597、WO 03/099818、WO 02/062766、WO 03/000663、WO 03/000666、WO 03/003977、WO 03/040107、WO 03/040117、WO 03/040118、WO 03/013509、WO 03/057671、WO 02/079753、WO 02//092566、WO 03/−093234、WO 03/095474及びWO 03/104761に開示されるものが含まれるが、これらに限定されない。
【0107】
併用療法の1つの特定の態様は、構造式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の治療上有効な量を患者に投与することを含む、治療を必要とするほ乳類患者における、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質異常症からなる群から選択される病状の治療方法に関する。
【0108】
特に、この併用療法の態様は、治療を必要とするほ乳類患者における、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症及び脂質異常症からなる群から選択される病状の治療方法であって、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤が、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン及びロスバスタチンからなる群から選択されるスタチンである方法に関する。
【0109】
本発明の他の態様においては、構造式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の治療上有効な量をその治療を必要とするほ乳類患者に投与することを含む、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、低HDLレベル、高LDLレベル、高脂血症、高トリグリセリド血症、脂質異常症、及びこのような病状の後遺症からなる群から選択される病状の発現の危険性を減少する方法が開示される。
【0110】
本発明の他の態様においては、構造式Iの化合物及びHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の有効な量を患者に投与することを含む、治療を必要なヒト患者における、アテローム性動脈硬化症の発症の遅延又は発現の危険性を減少する方法が開示される。
【0111】
特に、治療を必要とするヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の発症の遅延又は発現の危険性を減少する方法であって、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤が、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン及びロスバスタチンからなる群から選択されるスタチンである方法が開示される。
【0112】
本発明の他の態様においては、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤がスタチンであり、更にコレステロール吸収阻害剤を投与することを含む、治療を必要とするヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の発症の遅延又は発現の危険性を減少する方法が開示される。
【0113】
特に、本発明の他の態様においては、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤がスタチンであり、コレステロール吸収阻害剤がエゼチミブである、治療を必要とするヒト患者におけるアテローム性動脈硬化症の発症の遅延又は発現の危険性を減少する方法が開示される。
【0114】
本発明の他の態様においては、
【0115】
(1)構造式Iの化合物;
(2)(a)ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP−IV)阻害剤;
(b)以下のインシュリン増感剤:(i)グリタゾン(トログリタゾン、ピオグリタゾン、エングリタゾン、MCC−555、ロシグリタゾン、バラグリタゾン等)のようなPPARγアゴニスト、並びにKRP−297、ムラグリタザル、ナベグリタザル、ガリダ、TAK−559のようなPPARα/γ二重アゴニスト、フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベザフィブラート)のようなPPARαアゴニスト、及びWO 02/060388、WO 02/08188、WO 2004/019869、WO 2004/020409、WO 2004/020408及びWO 2004/066963に開示されたような選択的PPARγモジュレータ(SPPARγM’s)を含む他のPPARリガンド;(ii)メトホルミン及びフェノホルミンのようなビグアニド、並びに(iii)タンパク質チロシンホスファターゼ−1B(PTP−1B)阻害剤;
(c)インシュリン又はインシュリン模倣薬;
(d)スルホニル尿素、並びにトルブタミド、グリブリド、グリピジド、グリメピリド及びナテグリニド及びレパグリニドのようなメグリチニド類のような他のインシュリン分泌促進剤;
(e)α−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース及びミグリトール等):
(f)WO 98/04528、WO 99/01423、WO 00/39088及びWO 00/69810に開示された化合物のような、グルカゴン受容体アンタゴニスト;
(g)GLP−1、GLP−1類似体又は模倣薬、並びにエキセンジン−4(エクセナチド)、リラグルチド(NN−2211)、CJC−1131、LY−307161、並びにWO 00/42026及びWO 00/59887に開示された化合物のようなGLP−1受容体アゴニスト;
(h)WO 00/58360に開示されている化合物のようなGIP及びGIP模倣薬、並びにGIP受容体アゴニスト;
(i)PACAP、PACAP模倣薬及びWO 01/23420に開示されている化合物のようなPACAP受容体アゴニスト;
(j)以下のコレステロール低下薬、(i)HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、セリバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、イタバスタチン及びロスバスタチン及び他のスタチン類)、(ii)金属イオン封鎖剤(コレスチラミン、コレスチポール及び架橋デキストランのジアルキルアミノアルキル誘導体)、(iii)ニコチニルアルコール、ニコチン酸又はそれらの塩、(iv)フェノフィブリン酸誘導体(ゲムフィブロジル、クロフィブラート、フェノフィブラート及びベザフィブラート)のようなPPARαアゴニスト、(v)ナベグリタザル及びムラグリタザルのようなPPARα/γ二重アゴニスト、(vi)β−シトステロール及びエゼチミブのようなコレステロール吸収阻害剤、(vii)アバシミブのようなアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼ阻害剤、並びに(viii)プロブコールのような抗酸化剤;
(k)WO 97/28149に開示された化合物のようなPPARδアゴニスト;
(l)フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、フェンテルミン、シブトラミン、オーリスタット、神経ペプチドY又はYアンタゴニスト、CB1受容体インバースアゴニスト及びアンタゴニスト、βアドレナリン作動性受容体アゴニスト、メラノコルチン−受容体アゴニスト、特にメラノコルチン−4受容体アゴニスト、グレリンアンタゴニスト、ボンベシン受容体アゴニスト(ボンベシン受容体サブタイプ−3アゴニスト等)及びメラニン凝集ホルモン(MCH)受容体アンタゴニスト、並びにミクロソームトリグリセリド転移タンパク質(MTP)阻害剤のような抗肥満薬;
(m)回腸型胆汁酸トランスポーター阻害剤;
(n)アスピリン、非ストロイド性抗炎症剤(NSAIDs)、グルココルチコイド、アズルフィジン及び選択的シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤のような炎症状態に用いられることを意図する薬剤;
(o)例えば、ACE阻害剤(エナラプリル、リシノプリル、カプトプリル、キナプリル及びタンドラプリル等)、A−II受容体遮断薬(ロサルタン、カンデサルタン、イルベサルタン、バルサルタン、テルミサルタン及びエプロサルタン等)、ベータ遮断薬及びカルシウムチャンネル遮断薬のような降圧剤;
(p)WO 03/015774;WO 04/076420;及びWO 04/081001に開示された化合物のようなグルコキナーゼ活性化剤(GKAs);
(q)米国特許第6,730,690号;WO 03/104207;及びWO 04/058741に開示された化合物のような11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼI型の阻害剤;
(r)トルセトラピブのようなコレステリルエステル輸送タンパク質(CETP)の阻害剤;
(s)米国特許第6,054,587号;第6,110,903号;第6,284,748号;第6,399,782号;及び第6,489,476号に開示された化合物のようなフルクトース1,6−ビスホスファターゼの阻害剤;
(t)アセチルCoAカルボキシラーゼ−1及び/又は−2阻害剤;及び
(u)AMPK活性剤からなる群から選択される1種以上の化合物;並びに
(3)薬学的に許容される担体、
を含む医薬組成物が開示される。
【0116】
本発明の化合物が1種以上の他の薬剤と同時に用いられる場合、本発明の化合物に加えてこのような他の薬剤を含む医薬組成物が好ましい。従って、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物に加え、1種以上の他の活性成分を含むものも含まれる。
【0117】
第二の活性成分に対する本発明の化合物の重量比は変えることができ、それぞれの成分の有効投与量に依存するであろう。一般に、それぞれの有効量が用いられる。従って、例えば、本発明の化合物を他の薬剤と併用する場合、他の薬剤に対する本発明の化合物の重量比は一般に約1000:1〜約1:1000であり、好ましくは約200:1〜約1:200である。本発明の化合物及び他の活性成分の併用は、一般に前記範囲内であるが、各ケースにおいて、それぞれの活性成分の有効量を用いるべきである。
【0118】
本発明の化合物及び他の活性成分のこのような併用は、別個に、又は一緒に投与することができる。更に、一成分の投与は、他の薬剤の投与の前、同時又は後であってもよい。
【0119】
本発明の化合物は、経口、非経口的(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、嚢内注射又は注入、皮下注射又は埋め込み)によって、吸入スプレー、鼻、膣、直腸、舌下、又は局所的経路によって投与することができ、単独で、又は通常の無毒の薬学的に許容される担体、アジュバント及びそれぞれの投与経路に適した賦形剤を含む適切な投与単位製剤中に一緒に製剤化され得る。マウス、ラット、馬、牛、羊、犬、猫、猿のような温血動物の治療に加え、本発明の化合物はヒトにおける利用に有効である。
【0120】
本発明の化合物の投与のための医薬組成物は、投与単位形態中に好都合に存在することができ、薬学の分野において周知の任意の方法によって製造することができる。全ての方法は、活性成分を、1種以上の補助成分を構成する担体と会合させる工程を含む。一般に、医薬組成物は、活性成分を、液体担体又は微粉化した固体担体又はその両方に均一及び均質に会合させ、必要であれば、生成物を所望の製剤に形成することによって製造される。医薬組成物においては、活性化合物は、疾患の進行又は病状について所望の効果をもたらすのに十分な量含まれる。本明細書で用いられるように、「組成物」なる用語は、特定の成分を特定量で含む生成物、及び直接的又は間接的に、特定量の特定成分の組み合わせに由来する任意の生成物を含むことを意味する。
【0121】
活性成分を含む医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ、薬用キャンディー、水性又は油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒、エマルジョン、硬又は軟カプセル、又はシロップ又はエリキシル剤のような経口的使用に適した形態であり得る。経口使用を意図した組成物は、医薬組成物の製造のための技術分野で公知の任意の方法によって調製することができ、このような組成物は、薬学的優雅さ及び味のよい製剤を提供するために、甘味剤、着香料、着色剤及び保存剤からなる群から選択される1種以上の成分を含んでもよい。錠剤は、錠剤の製造に適した無毒の薬学的に許容される賦形剤と混合された活性成分を含む。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、乳糖、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウムのような不活性希釈剤;トウモロコシデンプン又はアルギン酸のような造粒剤及び崩壊剤;デンプン、ゼラチン又はアラビアゴムのような結合剤、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクのような滑沢剤である。錠剤はコーティングされていないか、又は消化管内における崩壊及び吸収を遅延し、その結果、長期間にわたる持続する活性をもたらすために公知の技術によってコーティングされてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルのような時間遅延物質を用いることができる。それらはまた、制御放出のための浸透圧性治療用錠剤を形成するための米国特許第4,256,108号;第4,166,452号及び第4,265,874号に開示された技術によってコーティングすることもできる。
【0122】
経口用途のための製剤は、活性成分が、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンのような不活性固体希釈剤と混合される硬ゼラチンカプセルとして、又は活性成分が、水、又はピーナッツ油、流動パラフィン又はオリーブ油のような油性媒体と混合される軟ゼラチンカプセルとして存在してもよい。
【0123】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合された活性成分を含む。このような賦形剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアゴムのような懸濁剤であり;分散剤又は湿潤剤は、レシチンのような天然のホスファチド、ステアリン酸ポリオキシエチレンのようなアルキレンオキシドと脂肪酸との縮合生成物、ヘプタデカエチレンオキシセタノールのようなエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合生成物、ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートのようなエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物、ポリエチレンソルビタンモノオレートのようなエチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合生成物である。また、水性懸濁液は、エチル又はn−プロピルp−ヒドロキシ安息香酸のような1種以上の保存剤、1種以上の着色剤、1種以上の着香料及びショ糖又はサッカリン等の1種以上の甘味剤を含んでもよい。
【0124】
油性懸濁液は、活性成分を、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油又はやし油のような植物性油脂、又は流動パラフィンのような鉱油に懸濁することによって製剤化することができる。油性懸濁液は、ミツロウ、固形パラフィン又はセチルアルコールのような増粘剤を含んでもよい。味のよい経口製剤を得るために、前述したような甘味剤及び着香料を加えてもよい。これらの組成物は、アスコルビン酸のような酸化防止剤を添加することにより保存することができる。
【0125】
水を加えることによって水性懸濁液を調製するのに適した分散性粉末及び顆粒は、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1種以上の保存剤と混合された活性成分を提供する。適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤は、既に前記に例示されている。追加の賦形剤、例えば、甘味剤、着香料及び着色剤を存在させてもよい。
【0126】
本発明の医薬組成物は、水中油型のエマルジョンの形態であってもよい。油相は、オリーブ油、ラッカセイ油のような植物性油脂、又は流動パラフィンのような鉱油、又はそれらの混合物であってもよい。適切な乳化剤は、アラビアゴム又はトラガカントゴムのような天然のゴム、大豆、レシチンのような天然のホスファチド、ソルビタンモノオレートのような脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来するエステル又は部分エステル、及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレートのような前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成物であってもよい。エマルジョンは、甘味剤及び着香料を含んでもよい。
【0127】
シロップ及びエリキシル剤は、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール又はショ糖のような甘味剤を用いて製剤化することができる。このような製剤は、粘滑剤、保存剤及び着香料及び着色剤を含んでもよい。
【0128】
医薬組成物は、無菌の注射用の水性又は油性懸濁液であってもよい。この懸濁液は、前述した適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて、当該技術分野において公知の方法に従って製造することができる。無菌の注射用製剤は、例えば、1,3−ブタンジオール溶液のような無毒の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の無菌の注射用溶液又は懸濁液であってもよい。用いることのできる許容される担体及び溶媒は、水、リンゲル液及び等張塩化ナトリウム溶液である。更に、無菌の固定油が、溶媒又は懸濁媒体として好都合に用いられる。この目的のため、合成のモノ−又はジグリセリドを含む、無刺激性の固定油を用いることができる。更に、オレイン酸のような脂肪酸は、注射用製剤における用途がある。
【0129】
本発明の化合物は、薬剤の直腸投与のための座薬の形態で投与することもできる。これらの組成物は、薬剤を、常温では固体であるが、直腸温度で液体であり、その結果直腸内で薬剤を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することによって調製することができる。このような物質は、カカオ脂及びポリエチレングリコールである。
【0130】
局所用途のために、本発明の化合物を含むクリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液等が用いられる。(この用途の目的のため、局所適用には、マウスウォッシュ及びうがい薬が含まれるべきである。)
【0131】
本発明の医薬組成物及び方法は、更に、本明細書に示された前記病理状態の治療に通常に用いられる他の治療上活性な化合物を含んでもよい。
【0132】
ステアリル−CoAデルタ−9デサチュラーゼ酵素活性の阻害を必要とする病状の治療又は予防において、適切な投与レベルは、1日あたり約0.01〜500mg/患者の体重1kgであり、単一又は複数の投与において投与することができる。好ましくは、投与レベルは、1日あたり約0.1〜約250mg/kgであり、更に好ましくは1日あたり約0.5〜約100mg/kgである。適切な投与レベルは、1日あたり約0.01〜250mg/kg、1日あたり約0.05〜100mg/kg、又は1日あたり約0.1〜50mg/kgであってもよい。投与のこの範囲内で、投与量は、1日あたり0.05〜0.5、0.5〜5又は5〜50mg/kgであってもよい。経口投与のために、治療される患者の投与量の症状の調節のために、組成物は、好ましくは、1.0〜1000mgの活性成分、特には1.0、5.0、10.0、15.0、20.0、25.0、50.0、75.0、100.0、150.0、200.0、250.0、300.0、400.0、500.0、600.0、750.0、800.0、900.0及び1000.0mgの活性成分を含む錠剤の形態で提供される。化合物は、1日に1〜4回の投与計画で、好ましくは1日に1又は2回の投与計画で投与することができる。
【0133】
糖尿病及び/又は高血糖症又は高トリグリセリド血症又は本発明の化合物を必要とする他の疾患を治療又は予防する場合、一般的に満足な結果は、本発明の化合物を、1日に約0.1mg〜約100mg/動物の体重1kg、好ましくは単一投与又は1日に2〜6回に分けて、又は徐放形態で投与する場合に得られる。最も大きな哺乳動物について、1日の全投与量は約1.0mg〜約1000mg、好ましくは約1mg〜約50mgである。70kgの成人のヒトの場合、1日の全投与量は一般に約7mg〜約350mgである。この投与計画は、最適な治療反応をもたらすように調整することができる。
【0134】
しかし、任意の特定の患者についての特定の投与レベル及び投与頻度は変化し得、用いられる特定の化合物の活性、化合物の代謝安定性及び作用の長さ、年齢、体重、全体的な健康状態、性、食事、投与の様式及び時間、排泄速度、薬剤の併用、特定の病状の重症度、及び宿主の経験した療法を含む種々の要因に依存するだろうことが理解されよう。
【0135】
本発明の化合物の調製
構造式Iの化合物は、適切な原料を用いて、以下のスキーム及び実施例の方法に従って調製することができ、以下の具体的な実施例によって更に説明する。しかし、実施例に説明される化合物は、本発明として考慮される唯一の種を形成するものとして解釈されない。実施例は、更に本発明の化合物の調製の詳細を説明する。当業者は、これらの化合物を調製するために、以下の製造方法の条件及び工程の公知の変形を用いることができることを容易に理解するであろう。特に示さない限り、全ての温度は摂氏である。質量スペクトル(MS)は、エレクトロスプレイイオン−質量分析(ESMS)により測定した。
【0136】
【化12】

【0137】
方法A:
XがCである構造式(I)の化合物は方法Aによって調製することができる。適切に置換され、N−保護された−4−ヒドロキシピペリジン(1)を、最初に光延反応によってArOH又はArSHとカップリングさせる。(Tanaka,N.;Goto,R.;Ito,R.;Hayakawa,M.;Ogawa,T.;Fujimoto,K.Chem.Pharm.Bull.1998,46,639−646;Fletcher,S.R.;Burkamp,F.;Blurton,P.;Cheng,S.K.F.;Clarkson,R.;O’Connor,D.;Spinks,D.;Tudge,M.;Niel,M.B.;Patel,S.;Chapman,K.;J.Med.Chem.2002,45,492−503;Ohno,K.-I.;Fukushima,T.;Santa,T.;Waizumi,N.;Tokuyama,H.;Masako,M.;Imai,K.;Anal.Chem.2002,74,4391−4396を参照されたい)。次いで、ピペリジン窒素保護基(PG)を切断し3を得て、これは公開されている文献の方法(W=S,O,N;それぞれ、Ried W.;Kuhnt D.Liebigs.Ann.Chem.1986,780−784;McCarty,C.G.et al.,J.Org.Chem.1970,35,2067−2069;Gante J.;Mohr G.Chem.Ber.1975,108,174−180を参照されたい)に従い4とし、その次に5に変化し得る。次いで、5を適切な塩基、及びメタノール中のトリエチルアミンのような溶媒の組み合わせで処理し、シアナミド中の炭素上の共鳴安定化カルバニオン(W=Sである場合、G=ニトリル、エステル又はアミド;W=O又はNR15である場合、ニトリル)の分子内攻撃により、6中の5員環芳香族複素環を得る(Ried W.;Kuhnt D.Liebigs Ann.Chem.1986,780−784を参照されたい)。G=CONHである場合、溶媒として対応するカルボン酸又はエステル中の酸塩化物との次の反応により、7によって示される本発明の化合物を得る(Dotsenko,V.V.;Krivokolysko,S.G.;Litvinov,V.P.,Chem.Heterocycl.Compd.2003,39,110−112)。また、化合物7は、TsOHのような酸触媒の存在下、オルトエステルを用いた6の縮合により調製することができる。化合物7のR17がエステル官能基を含む場合、水性メタノールのような適切な溶媒中での水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムを用いたけん化により、所望の遊離のカルボン酸誘導体を得る。
【0138】
【化13】

【0139】
方法B:
Lが、ハロゲン又はスルホネートのような脱離基である場合、中間体8は、溶媒として置換酢酸中で、適切に置換された塩化アセチルを用い、化合物7を調製するために記述された方法を用いて調製することができる。化合物9は、適切な塩基の存在下に、求核試薬R17’−TH(T=O、S又はN)を用いてLを置換することにより中間体8から調製することができる。また、Lは、PG−THと置換し、中間体10を得ることができ、これは脱保護によりR17’−LGを用いてアルキル化され、ここでLGは脱離基であり、化合物9を得る。化合物9中のR17’がカルボン酸エステル官能基を含む場合、水性メタノールのような適切な溶媒中で水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムを用いたけん化により、遊離のカルボン酸誘導体が得られる。
【0140】
【化14】

【0141】
方法C:
方法Aにおいて議論された公開された文献に従い、ピペリジノール11を12に合成することができる(W=S、O、N;それぞれ、Ried W.;Kuhnt D.Liebigs.Ann.Chem.1986,780−784;McCarty,C.G. et al.,J.Org.Chem.1970,35,2067−2069;Gante J.;Mohr G.Chem.Ber.1975,108,174−180を参照されたい)。12の5員環の芳香族複素環14への変換のために、Ried W.;Kuhnt D.Liebigs Ann.Chem.1986,780−784に記載された方法を用いることができる。G=CONHである場合、対応するカルボン酸又はエステルを溶媒として、それに続く酸塩化物との反応により、二級ヒドロキシル基がアシル化された中間体15が得られる(Dotsenko,V.V.;Krivokolysko,S.G.;Litvinov,V.P.,Chem.Heterocycl.Compd.2003,39,110−112)。アシル基の切断は、メタノール中でのナトリウムメトキシドを用いた処理により実施される。最終的に、方法Aの最初の工程において記載された光延反応により、中間体16をArOH又はArSH単位と連結し、化合物7を得ることができる。化合物7中のR17がエステル官能基を含む場合、水性メタノールのような適切な溶媒中、水酸化リチウム又は水酸化ナトリウムを用いたけん化により、遊離のカルボン酸誘導体が得られる。
【0142】
【化15】

【0143】
方法D:
対応するピリミジノン7を、塩化チオニル、塩化オキサリル及びオキシ塩化リンのような塩素化剤を用いてクロロピリミジン17に変換することができる。最終化合物18を、クロロピリミジン17のアルコール、アミン及びチオールのような適切な求核試薬を用いた置換により調製することができる。
【0144】
【化16】

【0145】
実施例1
【0146】
【化17】

【0147】
メチル7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]−チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−カルボキシレート
工程1:tert−ブチル4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−カルボキシレート
ジエチルアゾジカルボキシレート(18.9mL,120ミリモル)を、tert−ブチル−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルボキシレート(20.13g,100ミリモル)、2−トリフルオロメチルフェノール(17.83g,110ミリモル)及びトリフェニルホスフィン(31.44g,120ミリモル)のTHF(300mL)中の0℃の溶液に滴下して加えた。次いで、混合物を室温まで加温し、16時間攪拌し、濃縮し、エーテル及び水で分配した。エーテル層を2M NaOH及び水で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。次いで、残渣をエーテル及びヘキサンの混合物(35/65)に懸濁し、ろ過し、ほとんどの酸化トリフェニルホスフィン副生成物を除去した。ろ液を濃縮し、残渣を35/65のエーテル/ヘキサンで溶出するシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーに供し、標題の化合物を無色の固体として得た。
【0148】
工程2:4−[2−{トリフルオロメチル}フェノキシ]ピペリジン
tert−ブチル4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−カルボキシレート(28.65g,83.0ミリモル)のCHCl(200mL)中の溶液を0℃に冷却し、室温で攪拌しながら、トリフルオロ酢酸(25.5mL,330ミリモル)で10時間処理した。次いで、反応混合物を濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶解し、2M NaOH及び食塩水で洗浄し、有機層をNaSOで乾燥した。減圧下に濃縮し、1/9/90のNHOH/MeOH/CHClで溶出するシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーにより、標題の化合物を淡黄色のシロップとして得た。
【0149】
工程3:メチルN−シアノ−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−カルビミドチオアート
4−[2−{トリフルオロメチル}フェノキシ]ピペリジン(1.12g,4.57ミリモル)及びジメチルN−シアノジチオイミノカルボネート(670mg,4.60ミリモル)をエタノール(1.5mL)中、還流温度で30分間、一緒に加熱した。次いで、混合物を減圧下に濃縮し、標題の化合物を濃い黄色のシロップとして得た。
【0150】
工程4:4−アミノ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−1,3−チアゾール−5−カルボキシアミド
トリエチルアミン(2.0mL,15ミリモル)を、メチルN−シアノ−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−カルビミドチオアート(1.56g,4.57ミリモル)、2−メルカプトアセトアミド(4.2mL,4.6ミリモル,メタノールアンモニア中10重量%)の混合物に加え、溶液を室温で一晩置き、回転によって混合させた。次いで、混合物を0℃まで冷却し、ろ過した。集めた固体を冷メタノールで洗浄し、減圧下に乾燥し、標題の化合物を無色の固体として得た。
【0151】
工程5:メチル7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−カルボキシレート
4−アミノ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−1,3−チアゾール−5−カルボキシアミド(245mg,0.63ミリモル)及びシュウ酸ジメチル(995mg)を80℃で加熱し、均一な溶液を得た。次いで、メチルオキサリルクロライド(0.2mL,2.2ミリモル)を滴下して加えた。得られた黄−緑色の溶液を120℃で4.5時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、EtOAc及び水で分配した。有機層を半飽和NaHCOで洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルにかけ、ヘキサン中0%〜100%酢酸エチルの勾配で溶出し、標題の化合物を白色固体として得た。HNMR(400MHz,d−アセトン):δ11.3(bs,1H),7.68−7.61(m,2H),7.40(d,1H),7.13(t,1H),5.10−5.05(m,1H),3.99(s,3H),3.88(m,4H)2.26−2.17(m,2H),1.98(m,2H)ppm.MS(APCI,Q)m/z454.9[M+H]
【0152】
実施例2
【0153】
【化18】

【0154】
メチル3−(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)プロパノアート
4−アミノ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−1,3−チアゾール−5−カルボキシアミド(245mg,0.63ミリモル、実施例1の工程4由来)のジメチルスクシネート(1mL)中の溶液にカルボメトキシプロピオニルクロライド(0.15mL,1.2ミリモル)を滴下して加えた。得られた黄色の溶液を125℃で4時間攪拌した。反応混合物を室温まで冷却し、EtOAc及び酢酸アンモニウム水溶液(25%w/v)で分配した。有機層をNaSOで乾燥し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルにかけ、ヘキサン中80%〜100%酢酸エチルの勾配を用いて溶出し、標題の化合物を白色固体として得た。HNMR(400MHz,d−アセトン):δ11.15(bs,1H),7.68−7.61(m,2H),7.39(d,1H),7.15−7.10(m,1H),5.08−5.04(m,1H),3.88−3.80(m,4H),3.65(s,3H),3.06−3.02(t,2H),2.91−2.89(t,2H),2.23−2.15(m,2H),2.07−1.98(m,2H)ppm.MS(APCI,Q)m/z483.2[M+H]
【0155】
実施例3
【0156】
【化19】

【0157】
3−(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)プロパン酸
メチル3−(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)プロパノアート(36mg,0.075ミリモル、実施例2由来)のTHF(0.7mL)及びメタノール(0.3mL)中の氷冷した溶液に、1.0N水酸化リチウム水溶液(0.3mL,0.3ミリモル)を滴下して加えた。得られた溶液を室温で4時間攪拌した。KHPO水溶液を加えることにより反応混合物を酸性化し、沸騰したEtOAc(2×20mL)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥し、濃縮し、黄色の固体を得た。粗生成物をEtO(8mL)で粉砕し、ろ過により集め、標題の化合物を白色固体として得た。HNMR(400MHz,d−アセトン):δ11.05(bs,1H),7.68−7.64(m,2H),7.39(d,1H),7.13(t,1H),5.06(m,1H),3.87−3.80(m,4H),3.03(t,2H),2.91(t,2H),2.24−2.15(m,2H),2.07−1.98(t,2H)ppm.MS(APCI,Q)m/z469.2[M+H]
【0158】
実施例4
【0159】
【化20】

【0160】
5−(クロロメチル)−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7(6H)−オン
4−アミノ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−1,3−チアゾール−5−カルボキシアミド(0.40g,1.04ミリモル,実施例1の工程4由来)及びクロロ酢酸(2.56g)の混合物を80℃に加温し、均一な溶液を得、クロロアセチルクロライド(0.17mL,2.1ミリモル)をゆっくりと加えた。得られた混合物を130℃で5時間攪拌した。反応物を室温まで冷却し、EtOAc及び半飽和NaHCOで分配し、NaSOで乾燥し、濃縮した。粗生成物を粉砕し、EtOAc(7mL)中で超音波処理し、ろ過により集め、乾燥し、標題の化合物を明るいベージュ色の固体として得た。 HNMR(400MHz,d−アセトン):δ11.42(1H,br.s),7.64(2H,m),7.39(1H,d),7.12(1H,dd),5.08(1H,m),4.62(2H,s),3.86(4H,m),2.20(2H,m),2.02(2H,m)ppm.MS(ESI,Q)m/z445.0(M+1).
【0161】
実施例5
【0162】
【化21】

【0163】
5−[(ピリジン−2−イルチオ)メチル]−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7(6H)−オン
5−(クロロメチル)−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7(6H)−オン(43mg,0.097ミリモル,実施例4由来)及び2−メルカプトピリジン(21mg,0.19ミリモル)のジクロロメタン(1mL)中の氷冷した溶液に、トリエチルアミン(0.04mL,0.29ミリモル)を加えた。得られた溶液を室温で0.5時間攪拌した。反応混合物をEtOAc及び半飽和NaHCOで分配し、有機層をNaSOで乾燥し、濃縮した。粗生成物をシリカゲルにかけ、ヘキサン中70%〜100%酢酸エチルの勾配で溶出し、標題の化合物を白色固体として得た。HNMR(400MHz,d−アセトン):δ11.9(bs,1H),8.61(ddd,1H),7.78−7.75(m,1H),7.68−7.62(m,2H),7.48(dt,1H),7.39(d,1H),7.30−7.28(m,1H),7.13(t,1H),5.07−5.05(m,1H),4.38(s,2H),3.87−3.82(m,4H),2.24−2.16(m,2H),2.10−1.98(m,2H)ppm.MS(ESI,Q)m/z520.2[M+H]
【0164】
実施例6
【0165】
【化22】

【0166】
6−{[(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)メチル]チオ}ニコチン酸
2−メルカプトピリジンを6−メルカプトニコチン酸に代え、実施例5に記載したようにして標題の化合物を調製した。MS(ESI,Q)m/z564.0(M+1).
【0167】
実施例7
【0168】
【化23】

【0169】
6−{[(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)メチル]チオ}ニコチン酸
2−メルカプトピリジンを6−メルカプトニコチンアミドに代え、実施例5に記載したようにして標題の化合物を調製した。MS(ESI,Q)m/z563.1(M+1).
【0170】
実施例8
【0171】
【化24】

【0172】
2−{[(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)メチル]チオ}プロパン酸
2−メルカプトピリジンをメチル2−メルカプトプロパノアートに代え、実施例5について記載したようにし、次いで、実施例3に記載したようにけん化し、標題の化合物を調製した。MS(ESI,Q)m/z515[M+H]
【0173】
実施例9
【0174】
【化25】

【0175】
3−{[(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)メチル]チオ}プロパン酸
2−メルカプトピリジンを3−メルカプトプロパノアートに代え、実施例5について記載したようにし、次いで、実施例3に記載したようにけん化し、標題の化合物を調製した。MS(ESI,Q)m/z515[M+H]
【0176】
実施例10
【0177】
【化26】

【0178】
{[(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)メチル]チオ}酢酸
2−メルカプトピリジンをチオグリコール酸メチルに代え、実施例5について記載したようにし、次いで、実施例3に記載したようにけん化し、標題の化合物を調製した。MS(ESI,Q)m/z501[M+H]
【0179】
実施例11
【0180】
【化27】

【0181】
S−[(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)メチル]−L−システイン
2−メルカプトピリジンをメチルL−システイネートに代え、実施例5について記載したようにし、次いで、実施例3に記載したようにけん化し、標題の化合物を調製した。MS(ESI,Q)m/z530[M+H]
【0182】
実施例12
【0183】
【化28】

【0184】
3−{[(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)メチル]チオ}安息香酸
2−メルカプトピリジンを3−メルカプト安息香酸に代え、実施例5について記載したようにし、次いで、実施例3に記載したようにけん化し、標題の化合物を調製した。MS(ESI,Q)m/z563[M+H]
【0185】
実施例13
【0186】
【化29】

【0187】
2−{[(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)メチル]チオ}安息香酸
2−メルカプトピリジンを2−メルカプト安息香酸に代え、実施例5について記載したようにし、次いで、実施例3に記載したようにけん化し、標題の化合物を調製した。MS(ESI,Q)m/z563[M+H]
【0188】
実施例14
【0189】
【化30】

【0190】
4−{[(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)メチル]チオ}安息香酸
2−メルカプトピリジンを4−メルカプト安息香酸に代え、実施例5について記載したようにし、次いで、実施例3に記載したようにけん化し、標題の化合物を調製した。MS(ESI,Q)m/z563[M+H]
【0191】
実施例15
【0192】
【化31】

【0193】
メチル3−{2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}プロパノアート
工程1:メチルN−シアノ−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルビミドチオアート
4−ヒドロキシピペリジン(10.2g,101ミリモル)及びジメチルN−シアノジチオイミノカルボネート(14.7g,101ミリモル)を、一緒にエタノール(100mL)中、65℃で2.5時間加熱した。次いで、混合物を減圧下に濃縮し、標題の化合物を赤−橙色の固体として得た。
【0194】
工程2:4−アミノ−2−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−1,3−チアゾール−5−カルボキシアミド
室温で、トリエチルアミン(12.0mL,15ミリモル)を、メチルN−シアノ−4−ヒドロキシピペリジン−1−カルビミドチオアート(1.56g,4.57ミリモル)及び2−メルカプトアセトアミド(4.2mL,4.6ミリモル,メタノール性アンモニア中10重量%)の混合物にゆっくり加え、得られた溶液を一晩攪拌した。水(5mL)を加え、攪拌を1時間続けた。ろ過により集めた固体を水/メタノール(1:2)の氷冷した溶液で洗浄した。減圧下で更に乾燥し、標題の化合物を明るい橙色の粉末として得た。
【0195】
工程3:1−[5−(3−メトキシ−3−オキソプロピル)−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2−イル]ピペリジン−4−イルメチルスクシネート
室温で、メチル4−クロロ−4−オキソブタノアート(1.5mL,12.2ミリモル)を、4−アミノ−2−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−1,3−チアゾール−5−カルボキシアミド(1.0g,4.1ミリモル)のジメチルスクシネート(6.9mL)中の懸濁液に加えた。得られた混合物を120℃で2時間攪拌した。混合物を室温まで冷却し、EtOAcで希釈し、半飽和NaHCOで急速に洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。粗生成物を、EtOAc中の0〜10%EtOHで溶出するクロマトグラフィー(DMSOで適用)により精製し、標題の化合物をベージュ色の固体として得た。
【0196】
工程4:メチル3−[2−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル]プロパノアート
1−[5−(3−メトキシ−3−オキソプロピル)−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−2−イル]ピペリジン−4−イルメチルスクシネート(0.55g,1.2ミリモル)のメタノール(6mL)中の懸濁液に、0.94Mナトリウムメトキシドのメタノール中の溶液(1.15mL,1.4ミリモル)を加えた。得られた溶液を室温で1時間攪拌した。反応混合物をEtOAc及びNHOAc水溶液(25%w/v)で分配し、有機層をNaSOで乾燥し、濃縮した。粗生成物を、EtOAc中の0〜20%EtOHで溶出するクロマトグラフィー(DMSOを用いて適用)により精製し、標題の化合物をベージュ色の固体として得た。
【0197】
工程5:メチル3−{2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}プロパノアート
ジエチルアゾジカルボキシレート(0.065mL,0.41ミリモル)を、メチル3−[2−(4−ヒドロキシピペリジン−1−イル)−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル]プロパノアート(110mg,0.33ミリモル)、2−ブロモ−5−フルオロフェノール(75mg,0.39ミリモル)及びトリフェニルホスフィン(137mg,0.52ミリモル)のTHF(1mL)中の氷冷した懸濁液に滴下しながら加えた。次いで、混合物を室温まで加温し、3日間攪拌し、濃縮し、EtOAc及びNHOAc水溶液(25%w/v)で分配した。有機層をNaSOで乾燥し、濃縮した。粗生成物を、ヘキサン中の80〜100%EtOAcで溶出するクロマトグラフィー(DMSOを用いて適用)により精製し、標題の化合物を淡黄色固体として得た。HNMR(400MHz,d−アセトン):δ11.13−11.08(brs,1H),7.66−7.60(m,1H),7.14(dd,1H),6.79−6.73(m,1H),5.03−4.97(m,1H),3.95−3.76(m,4H),3.65(s,3H),3.03(td,2H),2.90(t,2H),2.23−2.14(m,2H),2.08−1.98(m,2H)ppm.MS(ESI,Q)m/z510.9,512.9[M+H]
【0198】
実施例16
【0199】
【化32】

【0200】
3−{2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}プロパン酸
メチル3−(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)プロパノアートをメチル3−{2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}プロパノアートに代え、実施例3について記載したようにして標題の化合物を調製した。HNMR(400MHz,d−アセトン):δ12.1−11.9(brs,1H),7.63(dd,1H),7.18(dd,1H),6.77(m,1H),5.01−4.99(m,1H),3.93−3.78(m,4H),2.95(t,2H),2.81(t,2H),2.21−2.13(m,2H),2.03−1.95(m,2H)ppm.MS(ESI,Q)m/z497,499[M+H]
【0201】
実施例17
【0202】
【化33】

【0203】
4−(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)ブタン酸
カルボメトキシプロピオニルクロライドをメチル4−(クロロホルミル)ブチレートに、ジメチルスクシネートをジメチルグルタレートに代え、実施例2について記載したようにして標題の化合物を調製した。粗生成物を、EtOAcで粉砕し、次いで実施例3に記載したようにしてけん化した。MS(APCI,Q)m/z483[M+H]
【0204】
実施例18
【0205】
【化34】

【0206】
5−(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]−ピリミジン−5−イル)ペンタン酸
カルボメトキシプロピオニルクロライドをメチルアジポイルクロライドに、ジメチルスクシネートをジメチルアジペートに代え、実施例2について記載したようにして標題の化合物を調製した。粗生成物を、EtOAc中の0〜5%EtOHで溶出するシリカゲルによるクロマトグラフィーにより精製し、対応するメチルエステルを得、実施例3に記載したように加水分解し、酸とした。MS(ESI,Q)m/z497[M+H]
【0207】
実施例19
【0208】
【化35】

【0209】
6−(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ−[4,5−d]ピリミジン−5−イル)ニコチン酸
工程1:メチル6−({[(4−アミノ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−1,3−チアゾール−5−イル)カルボニル]アミノ}カルボニル)ニコチネート
5−(メトキシカルボニル)ピリジン−2−カルボン酸(56mg,0.31ミリモル)及び塩化オキサリル(0.03mL,0.33ミリモル)のトルエン(2mL)中の溶液にDMF(0.2mL,2.6ミリモル)を加えた。反応混合物を室温で30分間攪拌し、減圧下に溶媒を除去した。次いで、4−アミノ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−1,3−チアゾール−5−カルボキシアミド(100mg,0.26ミリモル、実施例1の工程4由来)のDMF中の溶液、次いで水素化ナトリウム(60%油性懸濁液)(10mg,0.26ミリモル)を加え、得られた混合物を室温で3日間攪拌した。次いで、混合物をEtOAc及びKHPO水溶液で分配した。水層をEtOAcで3回抽出した。一緒にした有機層をNaSOで乾燥し、濃縮した。粗生成物を、ヘキサン中50〜100%EtOAcで溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を得た。
【0210】
工程2:メチル6−(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)ニコチネート
メチル6−({[(4−アミノ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−1,3−チアゾール−5−イル)カルボニル]アミノ}カルボニル)ニコチネート(15mg,0.03ミリモル)及びカンファースルホン酸(6mg,0.03ミリモル)のキシレン中の溶液を、ディーンスタークトラップを用いて2時間還流した。混合物を室温まで冷却し、次いで、NaHCO水溶液を加えた。水層をEtOAcで2回抽出し、一緒にした有機層をNaSOで乾燥し、濃縮した。粗生成物を、EtOAcで溶出するシリカゲルによるクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を得た。
【0211】
工程3:6−(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)ニコチン酸
メチル3−(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)プロパノアートをメチル6−(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)ニコチネートに代え、実施例3に記載したようにして工程2由来のメチルエステルの加水分解により標題の化合物を得た。 HNMR(400MHz,d−アセトン):δ11.2−11.0(brs,1H),9.27(s,1H),8.66−8.59(m,2H),7.70−7.62(m,2H),7.41(d,1H),7.14(t,1H),5.09(m,1H),3.92−3.87(m,4H),2.27−2.21(m,2H),2.10−2.05(m,2H)ppm.MS(ESI,Q)m/z518[M+H]
【0212】
実施例20
【0213】
【化36】

【0214】
5−(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ−[4,5−d]ピリミジン−5−イル)ニコチン酸
工程1:3−カルボキシ−5−(エトキシカルボニル)ピリジニウムクロライド
ジエチルピリジン−3,5−ジカルボキシレート(10g,44.8ミリモル)のエタノール(180mL)及びクロロホルム(24mL)中の還流溶液に、1N KOHの水溶液(44.8mL,44.8ミリモル)を滴下して加えた。30分後、室温まで冷却し、1Lのジエチルエーテルに注ぎ入れた。混合物を氷中で30分間冷却し、ろ過により沈殿を集めた。得られた固体を最小量の水に溶解し、飽和KHPO水溶液に加えた。次いで、それが沈殿し、得られた白色固体をろ過により集めた。この固体を10%HCl水溶液に加え、再びろ過により集め、標題の化合物を得た。
【0215】
工程2:3−(クロロカルボニル)−5−(エトキシカルボニル)ピリジニウムクロライド
3−カルボキシ−5−(エトキシカルボニル)ピリジニウムクロライド及び塩化チオニルの溶液を80℃で3時間加熱した。混合物を濃縮し、得られた酸塩化物を、精製することなく次の工程において用いた。
【0216】
工程3:5−(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)ニコチン酸
カルボメトキシプロピオニルクロライドを3−(クロロカルボニル)−5−(エトキシカルボニル)ピリジニウムクロライドに、ジメチルスクシネートを3−カルボキシ−5−(エトキシカルボニル)ピリジニウムクロライドに代え、実施例2について記載したようにして標題の化合物を調製した。粗生成物をEtOAcにより粉砕し、実施例3に記載したようにしてけん化した。MS(ESI,Q)m/z518[M+H]
【0217】
実施例21
【0218】
【化37】

【0219】
2−ヒドロキシ−3−[(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)メトキシ]コハク酸
酒石酸ジメチル(12mg,0.67ミリモル、D及びLの1:1混合物)及び5−(クロロメチル)−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7(6H)−オン(15mg,0.034ミリモル、実施例4由来)のDMF中の溶液(750μL,0.045M)に、水素化ナトリウム(60%油性懸濁液、4mg,0.10ミリモル)を加え、混合物を室温で2日間攪拌した。対応するメチルエステルを含む反応混合物を、実施例3に記載のようにして酸に加水分解した。ギ酸を加え、反応を停止した。減圧下に揮発性成分を除去し、溶液を1mLのDMSOで元に戻した。生成物を、セミ分取用LC−MSを用いて精製した。MS(ESI,Q)m/z559[M+H]
【0220】
実施例22
【0221】
【化38】

【0222】
4−[(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)メトキシ]安息香酸
メチル4−ヒドロキシベンゾアート(11mg,0.075ミリモル)及び5−(クロロメチル)−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7(6H)−オン(15mg,0.034ミリモル,実施例4由来)のトリグライム(750μL)中の溶液に、炭酸カリウム(20mg,0.14ミリモル)を加え、懸濁液を室温で2日間攪拌した。メチルエステルを含む反応混合物を、実施例3に記載したようにして加水分解した。ギ酸を加え反応を停止した。生成物を、セミ分取用LC−MSを用いて精製した。MS(ESI,Q)m/z547[M+H]
【0223】
実施例23
【0224】
【化39】

【0225】
5−[(7−オキソ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)メトキシ]ニコチン酸
メチル4−ヒドロキシベンゾアートをメチル5−ヒドロキシニコチネートに代え、実施例22について記載したようにして標題の化合物を調製した。MS(ESI,Q)m/z548[M+H]
【0226】
実施例24
【0227】
【化40】

【0228】
5−({[(5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)メチル]アミノ}メチル)−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリジン−7(6H)−オン
(5−メチル−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル)メタナミニウムオキサレート(14mg,0.69ミリモル)及び5−(クロロメチル)−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7(6H)−オン(15mg,0.034ミリモル,実施例4由来)のDMF(1mL)中の溶液に、トリエチルアミン(23μL,0.165ミリモル)を加え、溶液を室温で一晩攪拌した。酢酸を加え、反応を停止した。減圧下に揮発性成分を除去し、溶液を1mLのDMSOで元に戻した。生成物をセミ分取用LC−MSを用いて精製した。
MS(ESI,Q)m/z522.1[M+H]
【0229】
実施例25
【0230】
【化41】

【0231】
3−{2−[4−(2,5−ジクロロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}プロパン酸
工程5において、2−ブロモ−5−フルオロフェノールを2,5−ジクロロフェノールに代え、実施例15について記載したようにして対応するメチルエステルを得、これを実施例3に記載したようにして加水分解し、標題の化合物を調製した。MS(ESI,Q)m/z467,469[M−H]
【0232】
実施例26
【0233】
【化42】

【0234】
3−{2−[4−(2−sec−ブチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}プロパン酸
工程5において、2−ブロモ−5−フルオロフェノールを2−sec−ブチルフェノールに代え、実施例15について記載したようにして対応するメチルエステルを得、これを実施例3に記載したようにして加水分解し、標題の化合物を調製した。MS(ESI,Q)m/z457[M+1].
【0235】
実施例27
【0236】
【化43】

【0237】
3−[2−(4−{[4−ブロモ−4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−3−イル]オキシ}ピペリジン−1−イル)−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル]プロパン酸
工程5において、2−ブロモ−5−フルオロフェノールを4−ブロモ−4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−3−オールに代え、実施例15について記載したようにして対応するメチルエステルを得、これを実施例3に記載したようにして加水分解し、標題の化合物を調製した。MS(ESI,Q)m/z543,545[M−H]
【0238】
実施例28
【0239】
【化44】

【0240】
3−(2−{4−[(3,4’−ジブロモビフェニル−4−イル)オキシ]ピペリジン−1−イル}−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)プロパン酸
工程5において、2−ブロモ−5−フルオロフェノールを3,4’−ジブロモビフェニル−4−オールに代え、実施例15について記載したようにして対応するメチルエステルを得、これを実施例3に記載したようにして加水分解し、標題の化合物を調製した。MS(APCI,Q)m/z615,617,619[MH-HO]
【0241】
実施例29
【0242】
【化45】

【0243】
3−{2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}プロパンアミド
実施例16由来の3−{2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}プロパン酸(61mg,0.12ミリモル)及びHATU(380mg,0.2ミリモル)のDMF(6mL)中の氷冷した溶液に、水酸化アンモニウム(0.05mL,0.7ミリモル)を加えた。得られた黄色の溶液を室温で4時間攪拌した。混合物をEtOAc及びNHOAcで分配し、有機層をNaSOで乾燥し、濃縮した。得られた残渣を、濃NHOH/EtOH/CHClの(0:0:100)から(0:20:80)へ、次いで(1:20:79)への勾配を用いて溶出するシリカゲルによるフラッシュカラムクロマトグラフィー(最小量のDMSOを用いて適用)により精製し標題の化合物を白色固体として得た。MS(ESI,Q)m/z494,496[M−H]
【0244】
実施例30
【0245】
【化46】

【0246】
3−{2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}−2−ヒドロキシプロパン酸
工程1:メチル3−[2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−6−(メトキシメチル)−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル]プロパノアート
磁気攪拌子を備えた100mLのフラスコ中に、水素化ナトリウム(156mg,3.90ミリモル)及びTHF(10.0mL)を加えた。懸濁液をブロモメチルメチルエーテル(510μL,6.26ミリモル)で処理し、0℃に冷却した。この反応混合物に、メチル3−{2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}プロパノアート(800mg,1.56ミリモル,10mLのTHF及び1mLのDMFに溶解)を15分間かけて滴下して加えた。得られた懸濁液を0℃で30分間、次いで25℃で30分間攪拌した。飽和NHCl水溶液(5mL)を滴下して加えることにより反応混合物の反応を停止し、飽和NHCl水溶液(100mL)を含む分液漏斗250mLに加え、酢酸エチル(3×75mL)を用いて混合物を抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下に溶媒を除去した。勾配としてヘキサン中50%EtOAcからヘキサン中100%EtOAcで溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を淡黄色の泡状物質として得た。MS(ESI,Q)m/z555,557[M+1].
【0247】
工程2:メチル3−[2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−6−(メトキシメチル)−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル]−2−ヒドロキシプロパノアート
磁気攪拌子を備えた火力乾燥した25mLの丸底フラスコに、N雰囲気下、メチル3−[2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−6−(メトキシメチル)−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル]プロパノアート(100mg,0.18ミリモル)及びTHF(2.0mL)を加えた。溶液を−78℃に冷却し、トルエン中、0.5Mカリウムヘキサメチルジシラジド(0.72mL,0.36ミリモル)で処理した。得られた黄色の溶液を−78℃で30分間攪拌し、1mLのTHF中の3−フェニル−2−(フェニルスルホニル)オキサジリジン(165mg,0.63ミリモル)をシリンジにより加えた。反応混合物を−78℃で1時間攪拌し、室温まで加熱しながら飽和NHCl水溶液(5mL)を滴下して加えることにより反応を停止した。混合物を、飽和NHCl水溶液(75mL)を含む125mLの分液漏斗に注ぎ入れ、酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下に溶媒を除去した。勾配としてヘキサン中40%EtOAcからヘキサン中80%EtOAcで溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を透明な油状物質として得た。
【0248】
工程3:3−{2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}−2−ヒドロキシプロパン酸
磁気攪拌子を備えた5mLのフラスコに、メチル3−[2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−6−(メトキシメチル)−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル]−2−ヒドロキシプロパノアート(40mg,0.07ミリモル)及びジクロロメタン(1mL)を加えた。反応混合物を−78℃に冷却し、次いで、ジクロロメタン中の1.0M三臭化ホウ素(0.11mL,0.11ミリモル)を1回で加えた。反応物を−40℃まで加温し、1時間攪拌した。1M NaOH水溶液(1mL)を滴下して加え反応混合物の反応を停止した。反応物を室温まで加温し、2時間攪拌した。混合物を冷却し、pH5のバッファー(KHPO,50mL)を含む125mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下に溶媒を除去した。100% CHCl+0.5% AcOHから95:5 CHCl:MeOH+0.5% AcOHで溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の化合物を白色固体として得た。MS(ESI,Q)m/z513,515[M+1].
【0249】
実施例31
【0250】
【化47】

【0251】
({2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}チオ)酢酸
工程1:2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−5−メルカプト[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7(6H−オン)
磁気攪拌子を備えた250mLのフラスコに、4−アミノ−2−[4−(2−ブロモ5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−1,3−チアゾール−5−カルボキシアミド(2.00g,4.80ミリモル)、カリウムエチルキサンテート(0.990mL,9.6ミリモル)及びDMF(100mL)を加えた。得られた懸濁液を100℃で2時間加熱し、反応混合物を冷却し、濃縮してDMFを除去した。粗反応混合物をジエチルエーテル(100mL)に溶解し、pH5のバッファー(KHPO,100mL)を含む250mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物をジエチルエーテル(3×75mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、溶媒を減圧下に除去した。ヘキサン中40%EtOAcからヘキサン中80%EtOAcで溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製した。所望の画分の濃縮から得られた褐色の泡状物質を、熱ジクロロメタン及びヘキサンから結晶化により更に精製した。ハーシュ漏斗を用い、Whatman #1ペーパーでろ過し、黄−橙色の固体を得た。MS(ESI,Q)m/z455,457[M+1].
【0252】
工程2:エチル({2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}チオ)アセテート
磁気攪拌子を備えた25mLのフラスコに、2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−5−メルカプト[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7(6H−オン)(500mg,1.09ミリモル)、炭酸カリウム(150mg,1.09ミリモル)及びDMF(2mL)を加えた。得られた黄色の溶液をエチルブロモアセテート(0.120mL,1.09ミリモル)を滴下して加えて処理した。得られた溶液を室温で16時間攪拌した。混合物を、水(75mL)を含む250mLの分液漏斗に注ぎ入れ、酢酸エチル(4×50mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下に溶媒を蒸発させた。勾配としてヘキサン中40%EtOAcからヘキサン中90%EtOAcで溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を橙色の固体として得た。MS(ESI,Q)m/z543,545[M+1].
【0253】
工程3:({2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}チオ)酢酸
磁気攪拌子を備えた25mLのフラスコに、エチル({2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}チオ)アセテート(79mg,0.15ミリモル)、メタノール(2.0mL)及び1M水酸化リチウム水溶液(0.73mL,0.73ミリモル)を加えた。得られた懸濁液を85℃で2時間加熱した。反応混合物を濃縮し、得られた懸濁液を、pH5のバッファー(KHPO,50mL)を含む125mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下に溶媒を除去し、標題の化合物をベージュ色の固体として得た。MS(ESI,Q)m/z515,517[M+1].
【0254】
実施例32
【0255】
【化48】

【0256】
3−[({2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ−[4,5−d]ピリミジン−5−イル}チオ)メチル]安息香酸
工程2におけるエチルブロモアセテートをメチル3−(ブロモメチル)ベンゾアートに代え、実施例31について記載したようにして標題の化合物を調製した。MS(APCI,Q)m/z589,591[M−1].
【0257】
実施例33
【0258】
【化49】

【0259】
5−[({2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}チオ)メチル]−2−フロ酸
工程2におけるエチルブロモアセテートをメチル5−(クロロメチル)−2−フロエートに代え、実施例31について記載したようにして標題の化合物を調製した。MS(APCI,Q)m/z578,581[M−1].
【0260】
実施例34
【0261】
【化50】

【0262】
({2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−クロロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}チオ)酢酸
工程1:エチル({2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−クロロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}チオ)アセテート
磁気攪拌子を備えた50mLのフラスコに、ジクロロメタン(10mL)中、エチル({2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}チオ)アセテート(300mg,0.55ミリモル)及びDMF(42.7μL,0.55ミリモル)を加えた。褐色の溶液を、塩化オキサリル(480μL,5.5ミリモル)を滴下して加えることにより処理し、褐色の溶液を還流して2時間加熱した。冷却した反応混合物を減圧下に濃縮し、塩化オキサリル及びジクロロメタンを除去した。残渣を酢酸エチルに溶解し、飽和NaHCO水溶液(75mL)を含む125mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下に溶媒を除去した。ヘキサン中10%EtOAcからヘキサン中40%EtOAcで溶出するシリカゲルによるフラッシュクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を白色の泡状物質として得た。MS(ESI,Q)m/z563,565[M+1].
【0263】
工程2:({2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−クロロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}チオ)酢酸
磁気攪拌子を備えた10mLの丸底フラスコに、テトラヒドロフラン(2mL)中、エチル({2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−クロロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}チオ)アセテート(70mg,0.13ミリモル)を加えた。溶液を1M水酸化リチウム水溶液(0.64mL,0.64ミリモル)で処理し、室温で4時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、粗混合物をpH5のバッファー(KHPO,50mL)を含む125mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下に溶媒を蒸発させた。20:80ヘキサン/EtOAc+1%AcOHで溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、所望の化合物を白色固体として得た。MS(ESI,Q)m/z533,535[M+1].
【0264】
実施例35
【0265】
【化51】

【0266】
{[2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−(3−ヒドロキシプロポキシ)[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル]チオ}酢酸
磁気攪拌子を備えた25mLの丸底フラスコに、({2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−クロロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}チオ)酢酸(100mg,0.18ミリモル)、THF(2mL)及び1,3−プロパンジオール(135mg,1.80ミリモル)を加えた。溶液を1M水酸化ナトリウム水溶液(0.89mL,0.90ミリモル)で処理し、2時間還流した。混合物を冷却し、pH5のバッファー(KHPO,75mL)を含む125mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下に溶媒を蒸発させ、C18逆相カラムによる分取用HPLCにより精製した。MS(ESI,Q)m/z573,575[M+1].
【0267】
実施例36
【0268】
【化52】

【0269】
{[2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−メトキシ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル]チオ}酢酸
溶媒としてメタノールを用い、({2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−クロロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}チオ)酢酸から、実施例35と同様の方法により、この化合物を合成した。MS(ESI,Q)m/z529,531[M+1].
【0270】
実施例37
【0271】
【化53】

【0272】
3−[2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−(3−ヒドロキシプロポキシ)[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル]プロパン酸
工程1:メチル3−{2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−クロロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}プロパノアート
磁気攪拌子を備えた50mLのフラスコに、CHCl(10mL)中、メチル3−{2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ(ピペリジン−1−イル)−7−オキソ−6,7−ジヒドロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル)プロパノアート(500mg,0.98ミリモル)及びDMF(0.09mL,0.98ミリモル)を加えた。褐色の溶液を、塩化オキサリル(0.43mL,4.89ミリモル)を滴下して加えることにより処理し、2時間還流した。反応混合物を濃縮し、塩化オキサリル及びジクロロメタンを除去し、黒い残渣を酢酸エチルに溶解し、1M NaOH水溶液(75mL)を含む125mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×50mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下に溶媒を蒸発させた。勾配としてヘキサン中10%EtOAcからヘキサン中40%EtOAcで溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を淡黄色の油状物質として得た。
【0273】
工程2:3−[2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−(3−ヒドロキシプロポキシ)[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル]プロパン酸
磁気攪拌子を備えた25mLの丸底フラスコに、メチル3−{2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−クロロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}プロパノアート(60mg,0.11ミリモル)、1,3−プロパンジオール(86mg,1.13ミリモル)及びテトラヒドロフラン(3.0mL)を加えた。得られた溶液を1M水酸化ナトリウム水溶液(0.57mL,0.57ミリモル)で処理し、2時間還流して加熱した。混合物を冷却し、pH5のバッファー(KHPO,75mL)を含む125mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下に溶媒を蒸発させ、標題の化合物を白色固体として得た。MS(ESI,Q)m/z555,557[M+1].
【0274】
実施例38
【0275】
【化54】

【0276】
3−[2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−(2−ヒドロキシエトキシ)[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル]プロパン酸
メチル3−{2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−クロロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}プロパノアート(50mg,0.09ミリモルl)及びエチレングリコール(230mg,4.7ミリモル)から、実施例37と同様の方法でこの化合物を合成した。MS(ESI,Q)m/z541,543[M+1].
【0277】
実施例39
【0278】
【化55】

【0279】
3−[2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−イソプロポキシ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル]プロパン酸
メチル3−{2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−クロロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}プロパノエート(50mg,0.09ミリモル)及び2−プロパノール(2.0mL)から、実施例37と同様の方法でこの化合物を合成した。MS(ESI,Q)m/z539,541[M+1].
【0280】
実施例40
【0281】
【化56】

【0282】
3−[2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−エトキシ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル]プロパン酸
メチル3−{2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−クロロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}プロパノアート(50mg,0.09ミリモル)及びエタノール(2.0mL)から、実施例37と同様の方法でこの化合物を合成した。MS(ESI,Q)m/z525,527[M+1].
【0283】
実施例41
【0284】
【化57】

【0285】
3−[2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−メトキシ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル]プロパン酸
メチル3−{2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−クロロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}プロパノエート(50mg,0.09ミリモル)及びメタノール(2.0mL)から、実施例37と同様の方法でこの化合物を合成した。MS(ESI,Q)m/z511,513[M+1].
【0286】
実施例42
【0287】
【化58】

【0288】
3−[2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−(ジメチルアミノ)[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル]プロパン酸
工程1:メチル3−[2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−(ジメチルアミノ)[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル]プロパノアート
磁気攪拌子を備えた5mLのシール可能なフラスコに、N雰囲気下、THF中、メチル3−{2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−クロロ[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル}プロパノアート(100mg,0.19ミリモル)及び2.0Mジエチルアミン(950μL,1.90ミリモル)を加えた。得られた明るい橙色の溶液を、油浴中、80℃で15時間加熱した。反応混合物を濃縮し、勾配としてヘキサン中30%EtOAcからヘキサン中80%EtOAcで溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を透明な油状物質として得た。MS(ESI,Q)m/z538,540[M+1].
【0289】
工程2:3−[2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−(ジメチルアミノ)[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル]プロパン酸
磁気攪拌子を備えた25mLの丸底フラスコに、メチル3−[2−[4−(2−ブロモ−5−フルオロフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−(ジメチルアミノ)[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−5−イル]プロパノアート(75mg,0.14ミリモル)、テトラヒドロフラン(2.0mL)及びメタノール(1.0mL)を加えた。溶液を、1M水酸化リチウム水溶液(0.7mL,0.7ミリモル)で処理し、室温で2時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、pH5のバッファー(KHPO,50mL)を含む125mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下に溶媒を蒸発させた。所望の生成物を白色の泡状物質として分離した。MS(ESI,Q)m/z524,526[M+1].
【0290】
実施例43
【0291】
【化59】

【0292】
({2−[4−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−5−メチル[1,3]チアゾロ[4−5,d]ピリミジン−7−イル}オキシ)酢酸
工程1:メチル−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7(6H)−オン
4−アミノ−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}−1,3−チアゾール−5−カルボキシアミド(0.40g,1.04ミリモル,実施例1の工程4由来)の酢酸(2.50g)中の混合物に、塩化アセチル(0.2mL)をゆっくりと加えた。得られた混合物を130℃で5時間攪拌した。反応物を25℃まで冷却し、EtOAc及び半飽和NaHCO水溶液で分配し、NaSOで乾燥し、濃縮した。粗生成物をEtOAc(7mL)中で粉砕し、超音波処理し、ろ過により集め、乾燥し、標題の化合物を明るいベージュ色の固体として得た。
【0293】
工程2:2−[4−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−クロロ−5−メチル[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン
磁気攪拌子を含む10mLの丸底フラスコをジエチルアニリン(195μL,1.22ミリモル)及びオキシ塩化リン(3.7mL,40ミリモル)で満たした。反応混合物を室温で10分間攪拌し、次いで、5−メチル−2−{4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ピペリジン−1−イル}[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン−7(6H)−オン(500mg,1.22ミリモル)を加え、混合物を120℃で20分間加熱した。反応混合物を濃縮し、残渣を、1M HCl水溶液(75mL)を含む125mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下に溶媒を蒸発させた。勾配としてヘキサン中50%EtOAcから100%EtOAcで溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を得た。
【0294】
工程3:エチル({2−[4−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−5−メチル[1,3]チアゾロ[4−5,d]ピリミジン−7−イル}オキシ)アセテート
トルエン(1.0mL)中のエチレングリコレート(127mg,1.22ミリモル)を含む、磁気攪拌子を含む10mLの丸底フラスコを、水素化ナトリウム(49mg,1.22ミリモル,鉱油中60%)で処理した。攪拌の10分後、2−[4−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−7−クロロ−5−メチル[1,3]チアゾロ[4,5−d]ピリミジン(260mg,0.61ミリモル)を加え、反応物を120℃で16時間加熱した。飽和NHCl水溶液を滴下して加えることにより反応混合物の反応を停止し、濃縮した。勾配としてヘキサン中70%EtOAc〜100%EtOAc〜EtOAc中10%EtOHで溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を得た。
【0295】
工程4:({2−[4−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−5−メチル[1,3]チアゾロ[4−5,d]ピリミジン−7−イル}オキシ)酢酸
磁気攪拌子を備えた10mLの丸底フラスコに、エチル({2−[4−(2−トリフルオロメチルフェノキシ)ピペリジン−1−イル]−5−メチル[1,3]チアゾロ[4−5,d]ピリミジン−7−イル}オキシ)アセテート(88mg,0.18ミリモル)、メタノール(1.0mL)及び1M水酸化ナトリウム水溶液(350μL,0.35ミリモル)を加えた。反応混合物を25℃で16時間攪拌した。冷却した反応混合物を濃縮し、残渣を、pH5のバッファー(KHPO,75mL)を含む125mLの分液漏斗に注ぎ入れ、混合物を酢酸エチル(3×30mL)で抽出した。一緒にした有機層を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、ろ過し、減圧下に溶媒を蒸発させた。100%CHClから90:10のCHCl:EtOHで溶出するシリカゲルによるカラムクロマトグラフィーにより精製し、標題の化合物を得た。HNMR(400MHz,d−アセトン):δ7.68−7.61(m,2H),7.40(d,J=8.5Hz,1H),7.11(t,J=7.5Hz,1H),4.99(brs,1H),4.66(brs,2H),3.76(brs,4H),2.44(s,3H),2.10−2.05(m,2H),1.89−1.80(m,2H)ppm.
【0296】
医薬製剤の実施例
本発明の経口用医薬組成物の特定の実施態様として、実施例の任意の1種の50mgの化合物を、十分に微粉化された乳糖を用いて製剤化し、サイズOの硬ゼラチンカプセルを満たす総量580〜590mgを得る。
【0297】
本発明を、特定の実施態様を参照して開示及び説明したが、当業者は、種々の変形、修飾及び置換を本発明の精神及び範囲を逸脱せずになし得ることを理解するであろう。例えば、前記に記載の好ましい投与量以外の有効な投与量を、特定の病状について治療されるヒトの応答性における変化の結果として適用することができる。同様に、観察される薬理学的反応は、選択される特定の活性化合物、薬学的担体が存在するかどうか、製剤のタイプ及び用いられる投与方法により、及び依存して変化し得、結果におけるこのような予想される変形又は相違は、本発明の目的及び実施に従って意図される。従って、本発明は、以下の請求の範囲によってのみ限定され、このような請求の範囲は、妥当であるのと同じくらい広く解釈されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式I:
【化1】

[式中、HetArは、
【化2】

からなる群から選択される縮合芳香族複素環であり;
qは0又は1であり;
rは0又は1であり;
WはO、S又はNR15であり;
X−YはN−C(O)、CR14−O、CR14−S(O)0−2又はCR13−CRであり;
Arは、1〜5個のR置換基で置換されていてもよい、フェニル、ナフチル又はヘテロアリールであり;
及びRは、それぞれ独立して、水素又はC1−3アルキルであり、ここで、アルキルは、フッ素及びヒドロキシから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
各Rは、それぞれ、
1−6アルキル、
2−6アルケニル、
(CH−フェニル、
(CH−ナフチル、
(CH−ヘテロアリール、
(CH−ヘテロシクリル、
(CH3−7シクロアルキル、
ハロゲン、
ニトロ、
(CHOR
(CHN(R
(CHC≡N、
(CHCO
(CHNRSO
(CHSON(R
(CHS(O)0−2
(CHNRC(O)N(R
(CHC(O)N(R
(CHNRC(O)R
(CHNRCO
(CHC(O)R
O(CHC(O)N(R
(CH−Z−(CH−フェニル、
(CH−Z−(CH−ナフチル、
(CH−Z−(CH−ヘテロアリール、
(CH−Z−(CH−ヘテロシクリル、
(CH−Z−(CH−C3−7シクロアルキル、
(CH−Z−(CH−OR
(CH−Z−(CH−N(R
(CH−Z−(CH−NRSO
(CH−Z−(CH−C≡N、
(CH−Z−(CH−CO
(CH−Z−(CH−SON(R
(CH−Z−(CH−S(O)0−2
(CH−Z−(CH−NRC(O)N(R
(CH−Z−(CH−C(O)N(R
(CH−Z−(CH−NRC(O)R
(CH−Z−(CH−NRCO
(CH−Z−(CH−C(O)R
CF
CHCF
OCF、及び
OCHCFからなる群から独立して選択され、ここで、フェニル、ナフチル、ヘテロアリール、シクロアルキル及びヘテロシクリルは、ハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチル及びC1−4アルコキシから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;R中の任意のメチレン(CH)炭素原子は、フッ素、ヒドロキシ及びC1−4アルキルから独立して選択される1〜2個の基で置換されていてもよく;又は2個の置換基が同一のメチレン(CH)基上にある場合、それらが結合する炭素原子と一緒になってシクロプロピル基を形成し;
Zは、O、S又はNRであり;
各Rは、独立して、
水素、
1−6アルキル、
(CH−フェニル、
(CH−ヘテロアリール、
(CH−ナフチル、及び
(CH3−7シクロアルキルからなる群から選択され、ここで、アルキル、フェニル、ヘテロアリール及びシクロアルキルは、ハロゲン、C1−4アルキル及びC1−4アルコキシから独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよく;又は2個のR基は、それらが結合する原子と一緒になって、O、S、NH及びNC1−4アルキルから選択される追加のヘテロ原子を含んでもよい4〜8員環の単環式又は二環式環構造を形成し;
、R、R、R、R、R10、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素、フッ素又はC1−3アルキルであり、ここで、アルキルは、フッ素及びヒドロキシから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよく;
13は、水素、C1−3アルキル、フッ素又はヒドロキシであり;
各R14は、独立して、水素又はC1−3アルキルであり;
15は、水素、C1−4アルキル、C1−4アルキルカルボニル、アリール−C1−2アルキルカルボニル、アリールカルボニル、C1−4アルキルアミノカルボニル、C1−4アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリール−C1−2アルキルスルホニル、C1−4アルキルオキシカルボニル、アリールオキシカルボニル及びアリール−C1−2アルキルオキシカルボニルからなる群から選択され;
16は、水素、又は1〜5個のフッ素で置換されていてもよいC1−3アルキルであり;
17は、
−(CHC(O)R
−(CH−T−(CH(O)R
−(CH−T−(CHSOH、
−(CH−T−(CH−フェニル、
−(CH−T−(CH−ヘテロアリール、
【化3】

からなる群から選択され、ここで、フェニル及びヘテロアリールは、ハロゲン、C1−4アルキル、−(CHC(O)R及び−CH=CHC(O)Rから独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよく;R17中の任意のメチレン(CH)炭素原子は、アミノ、カルボキシ、フッ素、ヒドロキシ及びC1−4アルキルから独立して選択される1〜2個の基で置換されていてもよく;又は2個の置換基が同一のメチレン(CH)基上にある場合、それらが結合する炭素原子と一緒になってシクロプロピル基を形成し;
TはO、S又はNR14であり;
は、−OH、−OC1−4アルキル、−NH、−NHSO1−4アルキル、−NHSO3−6シクロアルキル又は−NHSOCH3−6シクロアルキルであり;
18は、
アミノ、
ハロゲン、
ヒドロキシ又はカルボキシで置換されていてもよいC1−4アルコキシ、
ヒドロキシ又はカルボキシで置換されていてもよいC1−4アルキルチオ、
1−4アルキルアミノ、
ジ−(C1−4アルキル)アミノ、
アリールアミノ、
アリール−C1−2アルキルアミノ、
1−4アルキルカルボニルアミノ、
アリール−C1−2アルキルカルボニルアミノ、
アリールカルボニルアミノ、
1−4アルキルアミノカルボニルアミノ、
1−4アルキルスルホニルアミノ、
アリールスルホニルアミノ、
アリール−C1−2アルキルスルホニルアミノ、
1−4アルキルオキシカルボニルアミノ、
アリールオキシカルボニルアミノ、及び
アリール−C1−2アルキルオキシカルボニルアミノからなる群から選択され;
各mは、独立して0〜2の整数であり;
各nは、独立して0〜2の整数であり;
各sは、独立して1〜3の整数であり;
各tは、独立して1〜3の整数であり;
vは0〜4の整数であり;
wは0〜2の整数であり;
zは1又は2であり;
各xは0〜2の整数であり;そして
各yは0又は1である]の化合物、又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
q及びrが、いずれも1である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
X−YがCR14−Oである、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
14が水素であり、Arが1〜3個のR置換基で置換されているフェニルである、請求項3記載の化合物。
【請求項5】
、R、R、R、R、R10、R11及びR12が、それぞれ水素である、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
HetArが
【化4】

である、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
WがSであり、R16が水素である、請求項6記載の化合物。
【請求項8】
17が−(CHC(O)Rであり、ここで、Rが−OH又は−OC1−4アルキルであり、vが1〜3の整数である、請求項6記載の化合物。
【請求項9】
vが2である、請求項8記載の化合物。
【請求項10】
17が−(CH−S−(CH)C(O)Rであり、Rが−OH又は−OC1−4アルキルであり、yが0又は1である、請求項6記載の化合物。
【請求項11】
17が、−(CH−T−(CH−ピリジル又は−(CH−T−(CH−フェニルであり、ここで
yが0又は1であり;
wが0又は1であり;
TがO又はSであり;そして
フェニル及びピリジルが、−(CHC(O)R及び−CH=CHC(O)Rから選択される1個の置換基で置換され、Rが−OH又は−OC1−4アルキルであり、そしてxが0又は1である、請求項6記載の化合物。
【請求項12】
Arが、C1−4アルキル、ハロゲン、CF、並びにハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチル及びC1−4アルコキシからなる群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニルからなる群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換されているフェニルである、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
構造式(II):
【化5】

[式中、Arは、C1−4アルキル、ハロゲン、CF、並びにハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチル及びC1−4アルコキシからなる群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニルからなる群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換されているフェニルであり;
17は:
−(CHC(O)R
−(CH−S−CHC(O)R
−(CH−T−(CH−ピリジル、及び
−(CH−T−(CH−フェニルからなる群から選択され;
TはO又はSであり;そして
フェニル及びピリジルは、−(CHC(O)R及び−CH=CHC(O)Rから選択される1個の置換基で置換され;ここで、Rは−OH又は−OC1−4アルキルであり;vは1〜3の整数であり;yは0又は1であり;wは0又は1であり;そしてxは0〜2の整数である]の請求項1記載の化合物。
【請求項14】
構造式(III):
【化6】

[式中、Arは、C1−4アルキル、ハロゲン、CF、並びにハロゲン、ヒドロキシ、C1−4アルキル、トリフルオロメチル及びC1−4アルコキシからなる群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換されていてもよいフェニルからなる群から独立して選択される1〜2個の置換基で置換されているフェニルであり;
18は:
アミノ、
ハロゲン、
ヒドロキシ又はカルボキシで置換されていてもよいC1−4アルコキシ、
ヒドロキシ又はカルボキシで置換されていてもよいC1−4アルキルチオ、
1−4アルキルアミノ、及び
ジ−(C1−4アルキル)アミノからなる群から選択され;
17は:
−(CHC(O)R
−(CH−S−CHC(O)R
−(CH−T−(CH−ピリジル、及び
−(CH−T−(CH−フェニルからなる群から選択され;
TはO又はSであり;そして
フェニル及びピリジルは、−(CHC(O)R及び−CH=CHC(O)Rから選択される1個の置換基で置換され;ここで、Rは−OH又は−OC1−4アルキルであり;vは1〜3の整数であり;yは0又は1であり;wは0又は1であり;xは0〜2の整数である]の請求項1記載の化合物。
【請求項15】
【化7−1】

【化7−2】

【化7−3】

からなる群から選択される、請求項5記載の化合物又は薬学的に許容されるその塩。
【請求項16】
請求項1記載の化合物を薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項17】
哺乳動物におけるステアロイル補酵素Aデルタ−9デサチュラーゼの阻害に応答する障害、病状又は疾患の治療のための請求項1記載の化合物の使用。
【請求項18】
前記障害、病状又は疾患が、2型糖尿病、インシュリン抵抗性、脂質障害、肥満症、メタボリックシンドローム、脂肪肝疾患及び非アルコール性脂肪性肝炎からなる群から選択される、請求項16記載の使用。
【請求項19】
前記脂質障害が、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される、請求項17記載の使用。
【請求項20】
哺乳動物において2型糖尿病、インシュリン抵抗性、脂質障害、肥満症、メタボリックシンドローム、脂肪肝疾患及び非アルコール性脂肪性肝を治療するのに用いられる薬剤の製造のための請求項1記載の化合物の使用。
【請求項21】
前記脂質障害が、脂質異常症、高脂血症、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、低HDL及び高LDLからなる群から選択される、請求項19記載の使用。

【公表番号】特表2010−527941(P2010−527941A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508678(P2010−508678)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際出願番号】PCT/CA2008/000981
【国際公開番号】WO2008/141455
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】