説明

スティックスリップ検出装置および検出方法

【課題】制御の状態に対応してより正確にスティックスリップの状態が判断できるようにする。
【解決手段】診断動作制御部107は、弁軸の変位を制御する制御指令値の変化の幅と、予め設定されている基準値とを比較し、制御指令値の単位時間の変化幅が基準値を超えた場合、診断部100における異常の判断動作を停止する。制御指令値の単位時間の変化幅が基準値を超えている場合は、正常な動作であってもスティックスリップが発生している場合と同様に判断される場合がある。これに対し、診断動作制御部107は、制御指令値の単位時間の変化幅が基準値を超えると、診断部100の動作を停止するので、スティックスリップの誤判断が抑制できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調節弁やガスガバナなどの接触摩擦部を有する摺動面をもつ装置の動作におけるスティックスリップを検出するスティックスリップ検出装置および検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
調節弁やガスガバナの故障は、摺動部分におけるスティックスリップの発生を検出することで、診断することが可能である。スティックスリップは、例えば、図12に示すように、ピストン1201とシリンダ1202との接触摺動部1203の状態によって発生するものである。例えば、このスティックスリップは、接触摺動部1203に異物が混入したときなどに発生する。従って、ピストン1201の変位を計測し、計測した変位の状態を監視することでスティックスリップを検出できる(特許文献1参照)。
【0003】
ここで、特許文献1に記載されたスティックスリップ検出について簡単に説明する。この検出技術では、ピストン1201の変位を検出し、検出した変位より第1の状態量を算出し、また、検出した変位より第2の状態量を算出し、正常動作時の変位より得られる第1の状態量と第2の状態量との関係と、算出した第1の状態量および算出した第2の状態量の間の関係とを比較することで、スティックスリップを検出(判断)している。
【0004】
例えば、第1の状態量として変位の1階差分値の絶対値の平均を用い、第2の状態量として変位の1階差分値の2乗平均の平方根を用いている。ピストン1201の変位を離散的に検出する場合、i番目に検出した変位をXiとすると、各状態量は以下の式(1)および式(2)ように表される(ただし、Nは状態量の算出に用いた変位データの数である)。
【0005】
【数1】

【0006】
変位の1階差分値の絶対値(|Xi+1−Xi|)の頻度分布は、図13Aおよび図13Bに示すようになる。図13Aは、正常時の状態を示し、差分値が大きくなるにつれ発生頻度が緩やかに減少している。一方、スティックスリップが発生している場合、大半の時間は固着状態にあり、時々滑り状態が発生している。このため、1階差分値の頻度は、図13Bに示すように、高い頻度で0に近い値を取る一方で(固着状態に対応)、低い頻度ながら比較的大きな値を取ることもある(滑り状態に対応)。このようなスティックスリップが発生している状態では、第1の状態量(1階差分値の絶対値平均)と第2の状態量(1階差分値の2乗平均の平方根)の比が正常時より大きくなるので、2つの状態量の比を監視することでスティックスリップの検出ができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3254624号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した技術では、可動部(ピストン)の制御状態によっては、誤ってスティックスリップ状態であると判断する場合が発生するという問題がある。
【0009】
上述した技術では、スティックスリップの検出対象の動作が固着状態と滑り状態の2つに分かれていることを、可動部の変位から算出される2つの状態量とこれらの関係から検出する。これは、可動部の変位のみを用いて判断していることになる。このため、可動部の動き(変位)がスティックスリップの状態と同様であれば、スティックスリップが実際には発生していなくてもスティックスリップと判断されることになる。しかしながら、これは、誤検知ということになる。
【0010】
例えば、ポジショナによる弁軸位置の制御において、弁軸変位の制御指令値(設定値、セットポイント)が大きく変更される場合、制御指令値が変更されるときの弁(可動部)の変位の挙動は、スティックスリップの状態と同様となる場合がある。
【0011】
図14の(a)に示すような、2つの値が交互に取られ、時系列信号が矩形波となっている変位に対する制御指令値が与えられると、これに対応し、調節弁の弁軸変位の応答は、図14の(b)に示すような時系列信号の変位測定値として測定される。このような変位測定値の1階差分値は、図14の(c)に示すようになる。この場合、図14の(c)に示されるように、1階差分値は大半の時間は0に近い値を取るが、制御指令値が変わった直後のみ大きな値を取る。
【0012】
この挙動は、大半の時間は固着状態にあり、時々滑り状態となって速い動きをするというスティックスリップ現象の挙動と同様である。この結果、上述した技術では、図14の(a)に示すような制御を行っているときに、スティックスリップが発生しているものとして誤検知を起こしてしまう。このような誤検知は、弁の動作速度が速い場合に起きやすく、小型の弁で特に問題となる。
【0013】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、制御の状態に対応してより正確にスティックスリップの状態が判断できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係るスティックスリップ検出装置は、接触摺動部を有する可動部の変位を検出する変位検出手段と、変位より第1の状態量を算出する第1の演算手段と、変位より第2の状態量を算出する第2の演算手段と、予め求めてある可動部の正常動作時の変位より得られる第1の状態量と第2の状態量との関係を格納した特性記憶部と、特性記憶部に格納されている関係を利用し、第1の演算手段が算出した第1の状態量より第2の状態量を推定して推定状態量を算出する状態量推定手段と、第2の演算手段が算出した第2の状態量と推定状態量とを比較することで可動部の異常を判断する診断演算手段とを有する可動部の異常を判断する診断部と、可動部の変位を制御する制御指令値をもとに診断部の判断動作を停止する診断動作制御部とを備える。
【0015】
また、本発明に係るスティックスリップ検出装置は、接触摺動部を有する可動部の変位を検出する変位検出手段と、変位より第1の状態量を算出する第1の演算手段と、変位より第2の状態量を算出する第2の演算手段と、予め求めてある可動部の正常動作時の変位より得られる第1の状態量と第2の状態量との関係を格納した特性記憶部と、第1の演算手段が算出した第1の状態量および第2の演算手段が算出した第2の状態量の間の関係と、特性記憶部に格納された関係とを比較することで、可動部の異常を判断する診断演算手段とを有する可動部の異常を判断する診断部と、可動部の変位を制御する制御指令値をもとに診断部の判断動作を停止する診断動作制御部とを備える。
【0016】
上記いずれかのスティックスリップ検出装置において、診断動作制御部は、制御指令値をもとに第1の演算手段および第2の演算手段の動作を停止することで、診断部の判断動作を停止すればよい。また、診断動作制御部は、制御指令値をもとに診断演算手段の動作を停止することで診断部の判断動作を停止してもよい。
【0017】
上記スティックスリップ検出装置において、診断動作制御部は、制御指令値の変化量を算出する変化量算出手段と、この変化量算出手段が算出した変化量が予め設定されているしきい値を超えたことを検出して診断部の判断動作を停止する動作制御手段とを備えるようにすればよい。また、診断動作制御部は、制御指令値より第3の状態量を算出する第3の演算手段と、制御指令値より第4の状態量を算出する第4の演算手段と、第1の状態量に対する第2の状態量の割合を示す第1の比を、第3の状態量に対する第4の状態量の割合を示す第2の比が超えたことを検出して診断部の判断動作を停止する動作制御手段とを備えるようにしてもよい。
【0018】
上記スティックスリップ検出装置において、第1の状態量は変位の微小変化量であり、第2の状態量は変位の微小変化量の微小変化量であればよい。例えば、この微小変化量は例えば、1階微分値もしくは1階差分値の二乗平均であり、微小変化量の微小変化量は2階微分値もしくは2階差分値の二乗平均である。また、第1の状態量は変位の1階差分値の絶対値の平均であり、第2の状態量は変位の1階差分値の2乗平均の平方根であってもよい。また、第1の演算手段は、変位検出手段が検出した変位の1階差分値を計算する差分演算手段と、この差分演算手段により得られた1階差分値の絶対値の和を計算する第1の総和演算手段と、この第1の総和演算手段より得られた1階差分値の絶対値の和の一部もしくは全部の平均より第1の状態量を算出する第1の平均演算手段とを含み、第2の演算手段は、差分演算手段により得られた1階差分値の2乗和を計算する第2の総和演算手段と、この第2の総和演算手段より得られた1階差分値の2乗和の一部もしくは全部の平均より第2の状態量を算出する第2の平均演算手段とを含むようにしてもよい。
【0019】
また、本発明に係るスティックスリップ検出方法は、接触摺動部を有する可動部の変位を検出し、変位より第1の状態量を算出し、変位より第2の状態量を算出し、予め求めてある可動部の正常動作時の変位より得られる第1の状態量と第2の状態量との関係を利用し、算出した第1の状態量より第2の状態量を推定して推定状態量を算出し、算出した第2の状態量と推定状態量とを比較することで可動部の異常を判断し、可動部の変位を制御する制御指令値をもとに異常の判断動作を停止する。
【0020】
また、本発明に係るスティックスリップ検出方法は、接触摺動部を有する可動部の変位を検出し、変位より第1の状態量を算出し、変位より第2の状態量を算出し、予め求めてある可動部の正常動作時の変位より得られる第1の状態量と第2の状態量との関係と、第1の演算手段が算出した第1の状態量および第2の演算手段が算出した第2の状態量の間の関係とを比較することで、可動部の異常を判断し、可動部の変位を制御する制御指令値をもとに異常の判断動作を停止する。
【0021】
上記スティックスリップ検出方法において、異常の判断動作の停止では、制御指令値をもとに第1の状態量の算出および第2の状態量の算出の動作を停止すればよい。また、異常の判断動作の停止では、制御指令値をもとに判断動作を停止してもよい。また、異常の判断動作の停止では、制御指令値の変化量を算出し、算出した変化量が予め設定されているしきい値を超えたことを検出して判断動作を停止すればよい。また、異常の判断動作の停止では、制御指令値より第3の状態量を算出し、制御指令値より第4の状態量を算出し、第1の状態量に対する第2の状態量の割合を示す第1の比を、第3の状態量に対する第4の状態量の割合を示す第2の比が超えたことを検出して判断動作を停止してもよい。
【0022】
上記スティックスリップ検出方法において、第1の状態量は変位の微小変化量であり、第2の状態量は変位の微小変化量の微小変化量であればよい。例えば、この微小変化量は例えば、1階微分値もしくは1階差分値の二乗平均であり、微小変化量の微小変化量は2階微分値もしくは2階差分値の二乗平均である。また、第1の状態量は変位の1階差分値の絶対値の平均であり、第2の状態量は変位の1階差分値の2乗平均の平方根であってもよい。また、第1の状態量の算出では、変位検出手段が検出した変位の1階差分値を計算し、1階差分値の絶対値の和を計算し、1階差分値の絶対値の和の一部もしくは全部の平均より第1の状態量を算出し、第2の状態量の算出では、1階差分値の2乗和を計算し、1階差分値の2乗和の一部もしくは全部の平均より第2の状態量を算出してもよい。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、可動部の変位を制御する制御指令値をもとに異常の判断動作を停止するようにしたので、制御の状態に対応してより正確にスティックスリップの状態が判断できるようになるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1におけるスティックスリップ検出装置の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態2におけるスティックスリップ検出装置の構成を示す構成図である。
【図3】本発明の実施の形態3におけるスティックスリップ検出装置の構成を示す構成図である。
【図4】本発明の実施の形態4におけるスティックスリップ検出装置の構成を示す構成図である。
【図5】本発明の実施の形態5におけるスティックスリップ検出装置の構成を示す構成図である。
【図6】本発明の実施の形態6におけるスティックスリップ検出装置の構成を示す構成図である。
【図7】本発明の実施の形態7におけるスティックスリップ検出装置の構成を示す構成図である。
【図8】制御指令値、制御指令値の1階差分、指令値変更信号、変位測定値、および測定値の1階差分の変化を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の実施の形態8におけるスティックスリップ検出装置の構成を示す構成図である。
【図10】本発明の実施の形態9におけるスティックスリップ検出装置の構成を示す構成図である。
【図11A】与えられた制御指令値と変位信号との関係を示す特性図である。
【図11B】与えられた制御指令値と変位信号との関係を示す特性図である。
【図12】摺動部分を有する装置の構成を示す構成図である。
【図13A】往復摺動している部位より得られる変位信号の1階差分値の発生頻度分布を示すヒストグラムである。
【図13B】往復摺動している部位より得られる変位信号の1階差分値の発生頻度分布を示すヒストグラムである。
【図14】制御指令値と変位測定値と変位測定値の1階差分値との変化を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について図を参照して説明する。
【0026】
[実施の形態1]
はじめに、本発明の実施の形態1について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるスティックスリップ検出装置の構成を示す構成図である。このスティックスリップ検出装置は、まず、例えば、ポジショナにより弁軸変位が制御されている調節弁などの接触摺動部を有する可動部の異常を判断する診断部100を備える。また、弁体などの可動部の変位を制御する制御指令値をもとに診断部100の動作を停止する診断動作制御部107を備える。
【0027】
また、診断部100は、変位検出部101,第1状態量算出部(第1の演算手段)102,第2状態量算出部(第2の演算手段)103,特性記憶部104,第2状態量推定部105,および診断演算部106を備える。
【0028】
変位検出部101は、弁体などの可動部の変位を検出(計測)する。第1状態量算出部102は、検出された可動部の変位より第1の状態量を算出する。第2状態量算出部は、検出された可動部の変位より第2の状態量を算出する。特性記憶部104は、予め求めてある可動部の正常動作時の変位より得られる第1の状態量と第2の状態量との関係を格納している。第2状態量推定部105は、特性記憶部104に格納されている関係を利用し、第1状態量算出部102が算出した第1の状態量より第2の状態量を推定して推定状態量を算出する。診断演算部106は、第2状態量算出部103が算出した第2の状態量と推定状態量とを比較することで可動部の異常を判断する。
【0029】
次に、診断動作制御部107についてより詳細に説明する。例えば、ポジショナには、外部より弁軸(可動部)の変位を制御するための制御指令値(変位指令値)が制御信号として与えられ、この制御信号をもとに弁軸の変位を制御している。このような制御信号をもとに、診断動作制御部107は、診断部100の動作を制御する。
【0030】
例えば、診断動作制御部107は、弁軸の変位に対する制御指令値の変化の幅と、予め設定されている基準値とを比較し、制御指令値の単位時間の変化幅が基準値を超えた場合、診断部100における異常の判断動作を停止する。制御指令値の単位時間の変化幅が基準値を超えている場合は、正常な動作であってもスティックスリップが発生している場合と同様に判断される場合がある。これに対し、診断動作制御部107は、制御指令値の単位時間の変化幅が基準値を超えると、診断部100の動作を停止するので、スティックスリップの誤判断が抑制できるようになる。
【0031】
ここで、基準値について簡単に説明する。
【0032】
スティックスリップ状態ではない正常な可動部(検出対象)に対し、A1とA2の2値の間で往復するような矩形波状の制御指令値を与える。制御指令値を切り替える時間間隔は、実際の動作時において起こりうる最も頻繁な指令値変更間隔と同程度にすることが望ましい。この制御指令値で可動部を動作させた結果測定される変位測定値から2つの状態量を算出し、特許文献1に記載の方法にあてはめて、正常か異常かを判定する。この判定で異常と判定された場合は、与えた制御指令値の変化量は誤検知を起こしうる値ということになるので、もう少しA1とA2の差を小さくして再度実験する。
【0033】
このようにして、試験的に与えた制御指令値で動作させることで、A1とA2との幅(制御指令値変化量)をどの程度まで大きくすれば、異常と誤検知されるかが判定できる。従って、上述した試験動作により、異常と判断される制御指令値変化量の下限を求め、この下限値を基準値とすればよい。このようにして決定した基準値を超える制御指令値が与えられた場合、上述したことより、診断部100はスティックスリップが発生したものと誤判断するものと考えられる。言い換えると、上記基準値を超える制御指令値が与えられた場合、診断動作制御部107が診断部100の動作を停止すれば、誤判断を抑制することができる。
【0034】
なお、正常な検出対象の数学モデルがあれば、上述した基準値の決定方法に代えて、コンピュータシミュレーションを用いて同様に所定のしきい値を決めることができる。ただしこの場合は、変位検出部101の誤差と同程度の外乱を加えた上で状態量を算出する必要がある。
【0035】
また、診断動作制御部107は、上述した第1状態量算出部102と同様にすることで、制御指令値より第3の状態量を算出し、上述した第2状態量算出部103と同様にすることで第4の状態量を算出し、第1の状態量に対する第2の状態量の割合を示す第1の比を、第3の状態量に対する第4の状態量の割合を示す第2の比が超えると、診断部100の判断動作を停止する。
【0036】
診断部100でスティックスリップが発生していると判断される動作を行わせる制御指令値が与えられた場合、正常な動作をする可動部の変位は、制御指令値より滑らかな挙動となる。従って、このような状態で可動部の測定される変位より算出される第1の状態量に対する第2の状態量の割合(第2の状態量/第1の状態量)は、制御指令値より算出される第3の状態量に対する第4の状態量の割合(第4の状態量/第3の状態量)より大きくなる。従って、「第4の状態量/第3の状態量」が「第2の状態量/第1の状態量」を超えたことを検出したら診断部100の判断動作を停止することでも、スティックスリップの誤判断が抑制できるようになる。
【0037】
なお、診断動作制御部107は、例えば、第1状態量算出部102および第2状態量算出部103における算出動作を停止することで、診断部100における判断の動作を停止すればよい。また、例えば、診断演算部106の動作を停止することで、診断部100における判断の動作を停止してもよい。また、診断動作制御部107は、上述したように診断部100の動作を停止した後、設定されている時間の後に診断部100の動作を再開(開始)させる。ここで、上述したように制御指令値に問題があることが検出された時点で,第1の状態量および第2の状態量が既に算出されている場合もある。このような場合、各状態量算出部の動作の停止では、誤検知の抑制が不確実となる。従って、診断部100における判断の動作を停止する方が、より確実な誤検出の抑制が行える。
【0038】
上述したように、本実施の形態では、まず、接触摺動部を有する可動部の変位を検出し、次に、変位より第1の状態量を算出し、次に、算出した変位より第2の状態量を算出し、次に、予め求めてある可動部の正常動作時の変位より得られる第1の状態量と第2の状態量との関係を利用し、算出した第1の状態量より第2の状態量を推定して推定状態量を算出し、次に、算出した第2の状態量と推定状態量とを比較することで可動部の異常を判断し、加えて、可動部の変位を制御する制御指令値をもとに異常の判断動作を停止するようにしたところに特徴がある。
【0039】
この本実施の形態によれば、診断動作制御部107が、可動部に対する制御指令値をもとに診断部100の動作を制御するようにしたので、スティックスリップの誤判断が抑制できるなど、制御の状態に対応してより正確にスティックスリップの状態が判断できるようになる。
【0040】
[実施の形態2]
次に、本発明の実施の形態2について、図2を用いて説明する。図2は、本発明の実施の形態2におけるスティックスリップ検出装置の構成を示す構成図である。このスティックスリップ検出装置は、接触摺動部を有する可動部の異常を判断する診断部200および可動部の変位を制御する制御指令値をもとに診断部200の動作を停止する診断動作制御部207を備える。診断部200は、変位検出部201,第1状態量算出部202(第1の演算手段),第2状態量算出部203(第2の演算手段),特性記憶部204,第2状態量推定部205,および診断演算部206を備える。
【0041】
変位検出部201は、弁体などの可動部の変位を検出(計測)してデジタル信号の変位信号を出力する。
【0042】
第1状態量算出部202は、検出された可動部の変位を示す計測値として変位検出部201より出力された変位信号より第1の状態量として1階差分値の二乗平均を算出する。また、第2状態量算出部203は、変位検出部201より出力された変位信号より第2の状態量として2階差分値の二乗平均を算出する。1階差分値の二乗平均および2階差分値の二乗平均は、以下の式(3)および式(4)を用いて算出すればよい。
【0043】
【数2】

【0044】
ただし、δxはΔtの間のxの差分であり、以下の式(5)により求める。また、δ2xはΔtの間のδxの差分であり、同様に求められる。
【0045】
【数3】

【0046】
特性記憶部204は、予め求めてある可動部の正常動作時の変位より得られる第1の状態量と第2の状態量との関係を格納している。例えば、特性記憶部204には、可動部の摺動が正常である状態の変位信号の1階差分値の二乗平均と2階差分値の二乗平均との関係(特性式)として、例えば、以下の式(6)に示すような、2つの定数A,Bにより1次近似した特性式が格納されている。
【0047】
【数4】

【0048】
第2状態量推定部205は、特性記憶部204に格納されている関係を利用し、第1状態量算出部202が算出した第1の状態量(1階差分値の二乗平均)より第2の状態量(2階差分値の二乗平均)を推定して推定状態量を算出する。例えば、第2状態量推定部205は、式(6)に第1状態量算出部202が算出した1階差分値の二乗平均を代入し、2階差分値に相当する推定状態量を算出する。
【0049】
診断演算部206は、第2状態量算出部203が算出した第2の状態量と推定状態量とを比較することで可動部の異常を判断する。例えば、診断演算部206は、第2状態量算出部203が算出した2階差分値の二乗平均と、第2状態量推定部205が推定した推定状態量との差を求め、例えば、求めた差が所定の値より大きい場合にスティックスリップの発生が起きたものと判断する。
【0050】
上述したように、診断部200がスティックスリップ(可動部の異常)を判断している中で、本実施の形態では、診断動作制御部207が、可動部に対する制御指令値をもとに第1状態量算出部202および第2状態量算出部203の動作を停止することで、診断部200の判断動作を停止する。例えば、弁体などの可動部に対する制御指令値の単位時間の変化幅が基準値を超えた場合、診断動作制御部207は、第1状態量算出部202および第2状態量算出部203における算出動作を停止する。これにより、診断部200においては、スティックスリップの判断が停止され、上述したような可動部に対する制御指令値に起因するスティックスリップの誤判断が抑制できるようになる。
【0051】
ところで、上述では、変位検出部201より出力される変位信号がデジタル信号であり、第1の状態量として1階差分値の二乗平均を算出し、第2の状態量として2階差分値の二乗平均を算出したが、これに限るものではない。例えば、式(1)のように、第1の状態量として1階差分値の絶対値平均を算出し、第2の状態量として1階差分値の二乗平均の平方根を算出してもよい。また、変位信号がアナログ信号の場合、第1の状態量として1階微分値の二乗平均を算出し、第2の状態量として2階微分値の二乗平均を算出してもよい。
【0052】
例えば、まず、第1状態量算出部202は、摺動する2つの物体(例えば、ピストンとシリンダ)の相対変位xを計測しているときの変位信号の1階微分値から、以下に示す式(7)に示すように、時間Tの間の二乗平均を求める。また、第2状態量算出部203は、変位信号の2階微分値から、以下の式(8)に示すように、時間Tの間の二乗平均を求める。
【0053】
【数5】

【0054】
一方、特性記憶部204には、摺動が正常である状態の変位信号の1階微分値の二乗平均と2階微分値の二乗平均との関係(特性式)として、例えば、最も簡単なものとして以下の式(9)に示すように、2つの定数A,Bにより1次近似した特性式が格納されている。
【0055】
【数6】

【0056】
第2状態量推定部205においては、式(9)で示した特性式を用い、計測値から得られた1階微分値の二乗平均より2階微分値の二乗平均を推定する。また、診断演算部206では、第2状態量推定部205が推定(算出)した2階微分値の二乗平均(推定状態量)と第2状態量算出部203が算出した2階微分値の二乗平均との差を求める。この差が所定の値より大きい場合に、診断演算部206は、スティックスリップが発生したものと判断する。なお、2階微分値の二乗平均より1階微分値の二乗平均を推定し、この推定1階微分値の二乗平均と変位より求めた実際の1階微分値の二乗平均とを比較してもよい。
【0057】
[実施の形態3]
次に、本発明の実施の形態3について、図3を用いて説明する。図3は、本発明の実施の形態3におけるスティックスリップ検出装置の構成を示す構成図である。このスティックスリップ検出装置は、接触摺動部を有する可動部の異常を判断する診断部300および可動部の変位を制御する制御指令値をもとに診断部300の動作を停止する診断動作制御部307を備える。診断部300は、変位検出部301,第1状態量算出部302(第1の演算手段),第2状態量算出部303(第2の演算手段),特性記憶部304,第2状態量推定部305,および診断演算部306を備える。
【0058】
変位検出部301は、弁体などの可動部の変位を検出(計測)してデジタル信号の変位信号を出力する。
【0059】
第1状態量算出部302は、検出された可動部の変位を示す計測値として変位検出部301より出力された変位信号より第1の状態量として1階差分値の二乗平均を算出する。また、第2状態量算出部303は、変位検出部301より出力された変位信号より第2の状態量として2階差分値の二乗平均を算出する。
【0060】
特性記憶部304は、予め求めてある可動部の正常動作時の変位より得られる第1の状態量と第2の状態量との関係を格納している。例えば、特性記憶部304には、可動部の摺動が正常である状態の変位信号の1階差分値の二乗平均と2階差分値の二乗平均との関係(特性式)が格納されている。
【0061】
第2状態量推定部305は、特性記憶部304に格納されている関係を利用し、第1状態量算出部302が算出した第1の状態量(1階差分値の二乗平均)より第2の状態量(2階差分値の二乗平均)を推定して推定状態量を算出する。
【0062】
診断演算部306は、第2状態量算出部303が算出した第2の状態量と推定状態量とを比較することで可動部の異常を判断する。例えば、診断演算部306は、第2状態量算出部303が算出した2階差分値の二乗平均と、第2状態量推定部305が推定した推定状態量との差を求め、例えば、求めた差が所定の値より大きい場合にスティックスリップの発生が起きたものと判断する。
【0063】
上述したように、診断部300がスティックスリップ(可動部の異常)を判断している中で、本実施の形態では、診断動作制御部307が、可動部に対する制御指令値をもとに診断演算部306の動作を停止することで、診断部300の判断動作を停止する。例えば、弁体などの可動部の変位に対する制御指令値の単位時間の変化幅が基準値を超えた場合、診断動作制御部307は、診断演算部306におけるスティックスリップ発生の判断動作を停止する。これにより、診断部300においては、スティックスリップの判断が停止され、上述したような可動部に対する制御指令値に起因するスティックスリップの誤判断が抑制できるようになる。
【0064】
なお、診断動作制御部307が、可動部の変位に対する制御指令値の単位時間の変化幅が基準値を超えたことを検出した場合に判断停止信号を出力し、診断演算部306がスティックスリップが発生したと判断したときに、上記判断停止信号が出力されていた場合、診断部300(診断演算部306)が判断結果の出力を停止してもよい。
【0065】
[実施の形態4]
次に、本発明の実施の形態4について、図4を用いて説明する。図4は、本発明の実施の形態4におけるスティックスリップ検出装置の構成を示す構成図である。このスティックスリップ検出装置は、まず、例えば、ポジショナにより弁軸変位が制御されている調節弁などの接触摺動部を有する可動部の異常を判断する診断部400を備える。また、弁体などの可動部の変位を制御する制御指令値をもとに診断部400の判断動作を停止する診断動作制御部407を備える。
【0066】
また、診断部400は、変位検出部401,第1状態量算出部402(第1の演算手段),第2状態量算出部403(第2の演算手段),特性記憶部404,および診断演算部406を備える。
【0067】
変位検出部401は、弁体などの可動部の変位を検出(計測)する。第1状態量算出部402は、検出された変位より第1の状態量を算出する。第2状態量算出部403は、検出された変位より第2の状態量を算出する。特性記憶部404は、予め求めてある可動部の正常動作時の変位より得られる第1の状態量と第2の状態量との関係を格納している。診断演算部406は、第1状態量算出部402が算出した第1の状態量および第2状態量算出部403が算出した第2の状態量の間の関係と、特性記憶部404に格納された関係とを比較することで、可動部の異常を判断する。
【0068】
次に、診断動作制御部407についてより詳細に説明する。例えば、ポジショナには、外部より弁軸(可動部)の変位を制御するための変位指令値(制御指令値)が制御信号として与えられ、この制御信号をもとに弁軸の変位を制御している。このような制御信号をもとに、診断動作制御部407は、診断部400の動作を制御する。
【0069】
例えば、診断動作制御部407は、弁軸の変位に対する制御指令値の変化の幅と、予め設定されている基準値とを比較し、制御指令値の単位時間の変化幅が基準値を超えた場合、診断部400における異常の判断動作を停止する。制御指令値の単位時間の変化幅が基準値を超えている場合は、正常な動作であってもスティックスリップが発生している場合と同様に判断される場合がある。これに対し、診断動作制御部407は、制御指令値の単位時間の変化幅が基準値を超えると、診断部400の動作を停止するので、スティックスリップの誤判断が抑制できるようになる。これらの動作は、前述した実施の形態1と同様である。
【0070】
上述した本実施の形態においても、前述した実施の形態1と同様に、診断動作制御部407が、可動部に対する制御指令値をもとに診断部400の動作を制御するようにしたので、スティックスリップの誤判断が抑制できるなど、制御の状態に対応してより正確にスティックスリップの状態が判断できるようになる。
【0071】
[実施の形態5]
次に、本発明の実施の形態5について、図5を用いて説明する。図5は、本発明の実施の形態5におけるスティックスリップ検出装置の構成を示す構成図である。このスティックスリップ検出装置は、接触摺動部を有する可動部の異常を判断する診断部500および可動部の変位を制御する制御指令値をもとに診断部500の動作を停止する診断動作制御部507を備える。診断部500は、変位検出部501,第1状態量算出部502(第1の演算手段),第2状態量算出部503(第2の演算手段),特性記憶部504および診断演算部506を備える。
【0072】
変位検出部501は、弁体などの可動部の変位を検出(計測)してデジタル信号の変位信号を出力する。
【0073】
第1状態量算出部502は、検出された可動部の変位を示す計測値として変位検出部501より出力された変位信号より第1の状態量として1階差分値の二乗平均を算出する。また、第2状態量算出部503は、変位検出部501より出力された変位信号より第2の状態量として2階差分値の二乗平均を算出する。
【0074】
特性記憶部504は、予め求めてある可動部の正常動作時の変位より得られる第1の状態量と第2の状態量との関係を格納している。診断演算部506は、第1状態量算出部502が算出した第1の状態量と第2状態量算出部503が算出した第2の状態量との関係を求め、求めた関係と、特定記憶部504に記憶されている関係とを比較することで、スティックスリップの発生を検出する。
【0075】
上述したように、診断部500がスティックスリップ(可動部の異常)を判断している中で、本実施の形態では、診断動作制御部507が、可動部に対する制御指令値をもとに第1状態量算出部502および第2状態量算出部503の動作を停止することで、診断部500の判断動作を停止する。例えば、弁体などの可動部の変位に対する制御指令値の単位時間の変化幅が基準値を超えた場合、診断動作制御部507は、第1状態量算出部502および第2状態量算出部503における算出動作を停止する。これにより、診断部500においては、スティックスリップの判断が停止され、上述したような可動部に対する制御指令値に起因するスティックスリップの誤判断が抑制できるようになる。
【0076】
ところで、上述では、変位検出部501より出力される変位信号がデジタル信号であり、第1の状態量として1階差分値の二乗平均を算出し、第2の状態量として2階差分値の二乗平均を算出したが、これに限るものではない。式(1)のように、第1の状態量として1階差分値の絶対値平均を算出し、第2の状態量として1階差分値の二乗平均の平方根を算出してもよい。変位信号がアナログ信号の場合、第1の状態量として1階微分値の二乗平均を算出し、第2の状態量として2階微分値の二乗平均を算出してもよい。
【0077】
[実施の形態6]
次に、本発明の実施の形態6について、図6を用いて説明する。図6は、本発明の実施の形態6におけるスティックスリップ検出装置の構成を示す構成図である。このスティックスリップ検出装置は、接触摺動部を有する可動部の異常を判断する診断部600および可動部の変位を制御する制御指令値をもとに診断部600の動作を停止する診断動作制御部607を備える。診断部600は、変位検出部601,第1状態量算出部602(第1の演算手段),第2状態量算出部603(第2の演算手段),特性記憶部604および診断演算部606を備える。
【0078】
変位検出部601は、弁体などの可動部の変位を検出(計測)してデジタル信号の変位信号を出力する。
【0079】
第1状態量算出部602は、検出された可動部の変位を示す計測値として変位検出部601より出力された変位信号より第1の状態量として1階差分値の二乗平均を算出する。また、第2状態量算出部603は、変位検出部601より出力された変位信号より第2の状態量として2階差分値の二乗平均を算出する。
【0080】
特性記憶部604は、予め求めてある可動部の正常動作時の変位より得られる第1の状態量と第2の状態量との関係を格納している。診断演算部606は、第1状態量算出部602が算出した第1の状態量と第2状態量算出部603が算出した第2の状態量との関係を求め、求めた関係と、特定記憶部604に記憶されている関係とを比較することで、スティックスリップの発生を検出する。
【0081】
上述したように、診断部600がスティックスリップ(可動部の異常)を判断している中で、本実施の形態では、診断動作制御部607が、可動部に対する制御指令値をもとに診断演算部606の動作を停止することで、診断部600の判断動作を停止する。例えば、弁体などの可動部の変位に対する制御指令値の単位時間の変化幅が基準値を超えた場合、診断動作制御部607は、診断演算部606におけるスティックスリップ発生の判断動作を停止する。これにより、診断部600においては、スティックスリップの判断が停止され、上述したような可動部に対する制御指令値に起因するスティックスリップの誤判断が抑制できるようになる。
【0082】
なお、診断動作制御部607が、可動部の変位に対する制御指令値の単位時間の変化幅が基準値を超えたことを検出した場合に判断停止信号を出力し、診断演算部606がスティックスリップが発生したと判断したときに、上記判断停止信号が出力されていた場合、診断部200(診断演算部606)が判断結果の出力を停止してもよい。
【0083】
[実施の形態7]
次に、本発明の実施の形態7について図7を用いて説明する。図7は、本発明の実施の形態7におけるスティックスリップ検出装置の構成を示す構成図である。このスティックスリップ検出装置は、接触摺動部を有する可動部の異常を判断する診断部200および可動部の変位を制御する制御指令値をもとに診断部200の動作を停止する診断動作制御部707を備える。診断部200は、変位検出部201,第1状態量算出部202(第1の演算手段),第2状態量算出部203(第2の演算手段),特性記憶部204,第2状態量推定部205,および診断演算部206を備える。これらの構成については、前述した実施の形態2と同様である。
【0084】
本実施の形態では、診断動作制御部707が、制御指令値受信部771,制御指令値変化量算出部772,および動作制御部773を備える。
【0085】
制御指令値受信部771は、診断部200による診断対象となる例えば調節弁のポジショナに対する制御指令値を受信する。制御指令値変化量算出部772は、制御指令値受信部771が受信している制御指令値の変化より、予め設定されている単位時間あたりの変化量を算出する。動作制御部773は、制御指令値変化量算出部772が算出している変化量が、設定されている基準値を超えたら、第1状態量算出部202および第2状態量算出部203の動作を停止することで、診断部200の判断動作を停止する。
【0086】
例えば、図8の(a)に示すような制御指令値が制御指令値受信部771で受信される。制御指令値変化量算出部772では、受信された制御指令値より、単位時間毎に1階差分値を算出する。制御指令値変化量算出部772が算出する1階差分値は、図8の(b)に示すように時系列的に変化する。図8の(a)に示すように、制御指令値が時刻tの時点で大きく変更されると、図8の(b)に示すように、1階差分値は大きな値となる。この値が基準値を超えると、動作制御部773が、図8の(c)に示すように、時刻tより所定の時間継続する指令値変更信号を出力する。
【0087】
この指令値変更信号が第1状態量算出部202および第2状態量算出部203で受けるけられると、第1状態量算出部202および第2状態量算出部203では、算出動作を停止する。第1状態量算出部202および第2状態量算出部203では、指令値変更信号を受け付けている間は、算出動作を停止する。指令値変更信号が出力されている所定の時間においては、変位検出部201から出力される変位信号は、図8の(d)に示すように変化する。
【0088】
このように変化する変位信号の1階差分は、図8の(e)に示すように変化する。変位信号の1階差分の変化は、制御指令値の大きな変化に対応して大きな値となるが、時刻tより所定の時間は、第1状態量算出部202および第2状態量算出部203の動作が停止しており、状態量の算出が停止している。言い換えると、スティックスリップと判断される変位信号の1階差分値の大きな値は、算出動作から除外されることになる。従って、動作制御部773により指令値変更信号が出力されている所定の時間は、診断部200においてはスティックスリップの判断が停止され、スティックスリップの誤判断が抑制できるようになる。
【0089】
なお、上述した所定の時間は、以下のように決定すればよい。まず、検出対象の可動部の時定数をTC、起こりうる変位に対する制御指令値の最大変化幅をD、変位検出部201の誤差の標準偏差をσとする。時刻がt=0で変位の制御指令値をA1からA1+Dに変更すると、時刻tにおける変位測定値は(A1+D)−Dexp(−t/TC)であり、目標とする変位の制御指令値(A1+D)との差異は、|Dexp(−t/TC)|である。この差が3σ(変位検出部201の誤差の標準偏差の3倍)と同程度以下になるまでを所定の時間とすればよい。不等式|Dexp(−t/TC)|<3σを解けば、t>TCln(D/3σ)となるので、所定の時間は、TCln(D3/σ)より大きくなるように定めれば良い。なお、この時間を必要以上に長くすると、本来ならばスティックスリップ検知が可能な区間を検知対象から外すことになるので注意を要する。
【0090】
[実施の形態8]
次に、本発明の実施の形態8について図9を用いて説明する。図9は、本発明の実施の形態8におけるスティックスリップ検出装置の構成を示す構成図である。このスティックスリップ検出装置は、接触摺動部を有する可動部の異常を判断する診断部200を備える。診断部200は、前述した実施の形態2,7と同様である。
【0091】
また、本実施の形態8におけるスティックスリップ検出装置は、可動部の変位を制御する制御指令値をもとに診断部200の動作を停止するための判定信号を送出する診断動作制御外部システム907、および診断動作制御外部システム907より送出された判定信号をもとに診断部200の動作を停止する動作制御部976を備える。診断動作制御外部システム907より送出された判定信号は、ネットワーク908を介して接続する受信部975で受け付けられて動作制御部976に送られる。
【0092】
本実施の形態では、診断動作制御外部システム907が、制御指令値受信部971,制御指令値変化量算出部972,変化量判定部973,および送信部974を備える。なお、診断動作制御外部システム907は、可動部の変位を制御する制御指令値を決定する外部制御システムと同じシステム内にあることが望ましいが、別システムとして実現されていても構わない。
【0093】
制御指令値受信部971は、診断部200による診断対象となる例えば調節弁のポジショナに対する制御指令値を受信する。診断動作制御外部システム907が可動部の変位を制御する制御指令値を決定する外部制御システムと同じシステム内にある場合は、制御指令値の取得はシステム内のデータの受け渡しとして実現可能である。別システムとして実現されている場合は、可動部の変位を制御する制御指令値を決定する外部システムなどと通信を行うことで、リアルタイムに制御指令値を受信できるようにする必要がある。制御指令値変化量算出部972は、診断動作制御部976が受信している制御指令値の変化より、予め設定されている単位時間あたりの変化量を算出する。変化量判定部973は、制御指令値変化量算出部972が算出している変化量が、設定されている基準値を超えたら、動作停止信号を出力する。送信部974は、変化量判定部973から出力された動作停止信号を、ネットワーク908を介して受信部975に送信する。
【0094】
受信部975では、送信部974から送信された動作停止信号を受信して動作制御部976に出力する。動作停止信号を受け付けた動作制御部976は、第1状態量算出部202および第2状態量算出部203の動作を停止することで、診断部200の判断動作を停止する。これにより、診断部200においては、前述した実施の形態7と同様にスティックスリップの判断が停止され、前述したような可動部に対する制御指令値に起因するスティックスリップの誤判断が抑制できるようになる。
【0095】
[実施の形態9]
次に、本発明の実施の形態9について、図10を用いて説明する。図10は、本発明の実施の形態9におけるスティックスリップ検出装置の構成を示す構成図である。このスティックスリップ検出装置は、接触摺動部を有する可動部の異常を判断する診断部1000および可動部の変位を制御する制御指令値をもとに診断部1000の動作を停止する診断動作制御部1007を備える。診断部1000は、変位検出部1001,第1状態量算出部1002(第1の演算手段),第2状態量算出部1003(第2の演算手段),特性記憶部1004,および診断演算部1006を備える。
【0096】
変位検出部1001は、弁体などの可動部の変位を検出(計測)し、例えば、デジタル信号の変位信号を出力する。
【0097】
第1状態量算出部1002は、検出された可動部の変位を示す計測値として変位検出部1001より出力された変位信号より第1の状態量として1階差分値の二乗平均を算出する。また、第2状態量算出部1003は、変位検出部1001より出力された変位信号より第2の状態量として2階差分値の二乗平均を算出する。
【0098】
特性記憶部1004は、予め求めてある可動部の正常動作時の変位より得られる第1の状態量と第2の状態量との関係を格納している。例えば、特性記憶部1004には、可動部の摺動が正常である状態の変位信号の1階差分値の二乗平均と2階差分値の二乗平均との関係(特性式)として、2つの定数A,Bにより1次近似した特性式が格納されている。
【0099】
診断演算部1006は、第1状態量算出部1002が算出した第1の状態量と第2状態量算出部1003が算出した第2の状態量との関係を求め、求めた関係と、特定記憶部1004に記憶されている関係とを比較することで、スティックスリップの発生を検出する。例えば、診断演算部1006は、第1状態量算出部1002が算出した1階差分値の二乗平均と、第2状態量算出部1003が算出した2階差分値の二乗平均の比と、特性記憶部1004が格納している正常動作時の二つの状態量の比との差を求め、求めた差が所定の値より大きい場合にスティックスリップの発生が起きたものと判断する。
【0100】
以上の構成は、前述した実施の形態6と同様である。
【0101】
本実施の形態では、上述したように、診断部1000がスティックスリップ(可動部の異常)を判断している中で、本実施の形態では、診断動作制御部1007が、可動部に対する制御指令値をもとに診断演算部1006の動作を停止することで、診断部1000の判断動作を停止する。
【0102】
以下、診断動作制御部1007についてより詳細に説明する。診断動作制御部1007は、指令値受信部1071,第3状態量算出部(第3の演算手段)1072,第4状態量算出部(第4の演算手段)1073,および動作制御部1074を備える。
【0103】
指令値受信部1071は、診断部1000による診断対象となる例えば調節弁のポジショナに対する変位指令値(制御指令値)を受信する。
【0104】
第3状態量算出部1072は、指令値受信部1071が受信している制御指令値より、第3の状態量として1階差分値の二乗平均を算出する。これは、計測された変位信号より第1の状態量として1階差分値の二乗平均を算出する第1状態量算出部1002と同様の動作である。
【0105】
また、第4状態量算出部1073は、指令値受信部1071が受信している制御指令値より、第4の状態量として2階差分値の二乗平均を算出する。これは、計測された変位信号より第2の状態量として2階差分値の二乗平均を算出する第2状態量算出部1003と同様の動作である。
【0106】
動作制御部1074は、第1の状態量に対する第2の状態量の割合を示す第1の比を、第3の状態量に対する第4の状態量の割合を示す第2の比が超えたことを検出して診断部1000の判断動作を停止する。本実施の形態において、動作制御部1074は、診断演算部1006の動作を停止することで、診断部1000の判断動作を停止する。
【0107】
まず、図11Aにおける(a)の点線で示すような変位の制御指令値が与えられる場合について考える。このような制御指令値に対して可動部が正常に動作すれば、変位検出部1001で計測されて出力される変位信号も、同様の状態となり、診断部1000では、スティックスリップが発生したものとは判断されない。また、このような制御指令値をもとに第3の状態量および第4の状態量を算出すれば、このような場合、第1の状態量に対する第2の状態量の割合を示す第1の比は、第3の状態量に対する第4の状態量の割合を示す第2の比より大きいものとなる。
【0108】
一方、スティックスリップが発生している場合、変位検出部1001で計測されて出力される変位信号は、図11Aにおける(b)の実線で示されるような階段状のものとなる。このような変位信号が検出されると、診断部1000では、スティックスリップが発生しているものと判断する。この場合も、第1の状態量に対する第2の状態量の割合を示す第1の比は、第3の状態量に対する第4の状態量の割合を示す第2の比より大きいものとなる。
【0109】
以上の場合に対し、図11Bにおける(a)の点線で示されるような変位の制御指令値が与えられる場合について考える。このような制御指令値が与えられると、可動部が正常に動作しても、変位検出部1001で計測されて出力される変位信号は、図11Bにおける(b)の実線で示されるものとなる。このような状態では、診断部1000では、スティックスリップが発生しているものと判断してしまう。ここで、(a)の制御指令値をもとに第3の状態量および第4の状態量を算出すれば、第3の状態量に対する第4の状態量の割合を示す第2の比が、第1の状態量に対する第2の状態量の割合を示す第1の比より大きいものとなる。
【0110】
従って、「第4の状態量/第3の状態量」が「第2の状態量/第1の状態量」を超えたことを検出したら診断部1000の判断動作を停止することで、スティックスリップの誤判断が抑制できるようになる。
【0111】
上述したように、本実施の形態では、制御指令値より第3の状態量を算出し、制御指令値より第4の状態量を算出し、第1の状態量に対する第2の状態量の割合を示す第1の比を、第3の状態量に対する第4の状態量の割合を示す第2の比が超えたことを検出して判断動作を停止するところに特徴がある。これにより、診断部1000においては、スティックスリップの判断が停止され、前述したような可動部に対する制御指令値に起因するスティックスリップの誤判断が抑制できるようになる。
【0112】
ところで、上述では、第1の状態量および第3の状態量として1階差分値の二乗平均を算出し、第2の状態量および第4の状態量として2階差分値の二乗平均を算出したが、これに限るものではない。第1の状態量および第3の状態量として1階差分値の絶対値平均を算出し、第2の状態量および第4の状態量として1階差分値の二乗平均平方根を算出してもよい。
【0113】
なお、上述したスティックスリップ検出は、検出された変位をコンピュータで処理することでスティックスリップを検出するようにしてもよい。例えば、コンピュータを構成するCPUがバスを介して接続されているメモリに展開されているプログラムにより動作することで、得られた変位信号を処理して診断結果を出力し、また、得られた制御指令値より診断結果を得る処理を停止してもよい。ここで、上記プログラムは、前述した各実施の形態で説明したスティックスリップ検出の処理を、CPU(コンピュータ)に行わせるものである。また、メモリに展開されているプログラムは、バスを介して外部接続される外部記憶装置に格納されているものを取り込んで展開すればよい。外部記憶装置としては、例えば、磁気ディスク記憶装置などがある。
【0114】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形が実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0115】
100…診断部、101…変位検出部、102…第1状態量算出部(第1の演算手段)、103…第2状態量算出部(第2の演算手段)、104…特性記憶部、105…第2状態量推定部、106…診断演算部、107…診断動作制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触摺動部を有する可動部の変位を検出する変位検出手段と、
前記変位より第1の状態量を算出する第1の演算手段と、
前記変位より第2の状態量を算出する第2の演算手段と、
予め求めてある前記可動部の正常動作時の変位より得られる第1の状態量と第2の状態量との関係を格納した特性記憶部と、
前記特性記憶部に格納されている関係を利用し、前記第1の演算手段が算出した第1の状態量より前記第2の状態量を推定して推定状態量を算出する状態量推定手段と、
前記第2の演算手段が算出した第2の状態量と前記推定状態量とを比較することで前記可動部の異常を判断する診断演算手段と
を有する前記可動部の異常を判断する診断部と、
前記可動部の変位を制御する制御指令値をもとに前記診断部の判断動作を停止する診断動作制御部と
を備えることを特徴とするスティックスリップ検出装置。
【請求項2】
接触摺動部を有する可動部の変位を検出する変位検出手段と、
前記変位より第1の状態量を算出する第1の演算手段と、
前記変位より第2の状態量を算出する第2の演算手段と、
予め求めてある前記可動部の正常動作時の変位より得られる第1の状態量と第2の状態量との関係を格納した特性記憶部と、
前記第1の演算手段が算出した第1の状態量および前記第2の演算手段が算出した第2の状態量の間の関係と、前記特性記憶部に格納された関係とを比較することで、前記可動部の異常を判断する診断演算手段と
を有する前記可動部の異常を判断する診断部と、
前記可動部の変位を制御する制御指令値をもとに前記診断部の判断動作を停止する診断動作制御部と
を備えることを特徴とするスティックスリップ検出装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のスティックスリップ検出装置において、
前記診断動作制御部は、前記制御指令値をもとに前記第1の演算手段および前記第2の演算手段の動作を停止することで、前記診断部の判断動作を停止する
ことを特徴とするスティックスリップ検出装置。
【請求項4】
請求項1または2記載のスティックスリップ検出装置において、
前記診断動作制御部は、前記制御指令値をもとに前記診断演算手段の動作を停止することで前記診断部の判断動作を停止する
ことを特徴とするスティックスリップ検出装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のスティックスリップ検出装置において、
前記診断動作制御部は、
前記制御指令値の変化量を算出する変化量算出手段と、
この変化量算出手段が算出した変化量が予め設定されているしきい値を超えたことを検出して前記診断部の判断動作を停止する動作制御手段と
を備えることを特徴とするスティックスリップ検出装置。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のスティックスリップ検出装置において、
前記診断動作制御部は、
前記制御指令値より第3の状態量を算出する第3の演算手段と、
前記制御指令値より第4の状態量を算出する第4の演算手段と、
前記第1の状態量に対する前記第2の状態量の割合を示す第1の比を、前記第3の状態量に対する前記第4の状態量の割合を示す第2の比が超えたことを検出して前記診断部の判断動作を停止する動作制御手段と
を備えることを特徴とするスティックスリップ検出装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のスティックスリップ検出装置において、
前記第1の状態量は前記変位の微小変化量であり、
前記第2の状態量は前記変位の微小変化量の微小変化量である
ことを特徴とするスティックスリップ検出装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のスティックスリップ検出装置において、
前記第1の状態量は前記変位の1階差分値の絶対値の平均であり、
前記第2の状態量は前記変位の1階差分値の2乗平均の平方根である
ことを特徴とするスティックスリップ検出装置。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のスティックスリップ検出装置において、
前記第1の演算手段は、
前記変位検出手段が検出した変位の1階差分値を計算する差分演算手段と、
この差分演算手段により得られた1階差分値の絶対値の和を計算する第1の総和演算手段と、
この第1の総和演算手段より得られた1階差分値の絶対値の和の一部もしくは全部の平均より第1の状態量を算出する第1の平均演算手段と
を含み、
前記第2の演算手段は、
前記差分演算手段により得られた1階差分値の2乗和を計算する第2の総和演算手段と、
この第2の総和演算手段より得られた1階差分値の2乗和の一部もしくは全部の平均より第2の状態量を算出する第2の平均演算手段と
を含むことを特徴とするスティックスリップ検出装置。
【請求項10】
接触摺動部を有する可動部の変位を検出し、
前記変位より第1の状態量を算出し、
前記変位より第2の状態量を算出し、
予め求めてある前記可動部の正常動作時の変位より得られる第1の状態量と第2の状態量との関係を利用し、前記算出した第1の状態量より前記第2の状態量を推定して推定状態量を算出し、
前記算出した第2の状態量と前記推定状態量とを比較することで前記可動部の異常を判断し、
前記可動部の変位を制御する制御指令値をもとに前記異常の判断動作を停止する
ことを特徴とするスティックスリップ検出方法。
【請求項11】
接触摺動部を有する可動部の変位を検出し、
前記変位より第1の状態量を算出し、
前記変位より第2の状態量を算出し、
予め求めてある前記可動部の正常動作時の変位より得られる第1の状態量と第2の状態量との関係と、前記第1の演算手段が算出した第1の状態量および前記第2の演算手段が算出した第2の状態量の間の関係とを比較することで、前記可動部の異常を判断し、
前記可動部の変位を制御する制御指令値をもとに前記異常の判断動作を停止する
ことを特徴とするスティックスリップ検出方法。
【請求項12】
請求項10または11記載のスティックスリップ検出方法において、
前記異常の判断動作の停止では、前記制御指令値をもとに前記第1の状態量の算出および前記第2の状態量の算出の動作を停止する
ことを特徴とするスティックスリップ検出方法。
【請求項13】
請求項10または11記載のスティックスリップ検出方法において、
前記異常の判断動作の停止では、前記制御指令値をもとに前記判断動作を停止する
ことを特徴とするスティックスリップ検出方法。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれか1項に記載のスティックスリップ検出方法において、
前記異常の判断動作の停止では、
前記制御指令値の変化量を算出し、
算出した変化量が予め設定されているしきい値を超えたことを検出して前記判断動作を停止する
ことを特徴とするスティックスリップ検出方法。
【請求項15】
請求項10〜13のいずれか1項に記載のスティックスリップ検出方法において、
前記異常の判断動作の停止では、
前記制御指令値より第3の状態量を算出し、
前記制御指令値より第4の状態量を算出し、
前記第1の状態量に対する前記第2の状態量の割合を示す第1の比を、前記第3の状態量に対する前記第4の状態量の割合を示す第2の比が超えたことを検出して前記判断動作を停止する
ことを特徴とするスティックスリップ検出方法。
【請求項16】
請求項10〜15のいずれか1項に記載のスティックスリップ検出方法において、
前記第1の状態量は前記変位の微小変化量であり、
前記第2の状態量は前記変位の微小変化量の微小変化量である
ことを特徴とするスティックスリップ検出方法。
【請求項17】
請求項10〜15のいずれか1項に記載のスティックスリップ検出方法において、
前記第1の状態量は前記変位の1階差分値の絶対値の平均であり、
前記第2の状態量は前記変位の1階差分値の2乗平均の平方根である
ことを特徴とするスティックスリップ検出方法。
【請求項18】
請求項10〜15のいずれか1項に記載のスティックスリップ検出方法において、
前記第1の状態量の算出では、
前記変位検出手段が検出した変位の1階差分値を計算し、
前記1階差分値の絶対値の和を計算し、
前記1階差分値の絶対値の和の一部もしくは全部の平均より第1の状態量を算出し、
前記第2の状態量の算出では、
前記1階差分値の2乗和を計算し、
前記1階差分値の2乗和の一部もしくは全部の平均より第2の状態量を算出する
ことを特徴とするスティックスリップ検出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図13B】
image rotate

【図14】
image rotate


【公開番号】特開2011−80787(P2011−80787A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231328(P2009−231328)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】