説明

ステップモータの制御装置

【目的】 構成が簡素なステップモータの制御装置を提供する。
【構成】 処理器53は検出器52からの速度・位置検出信号を処理して電気角度検出信号、機械角度検出信号、および機械角速度検出信号を出力する。電流指令生成回路54,55,56および57は機械角度指令信号に応答して機械角度検出信号と機械角速度検出信号とに基づいてq軸電流指令信号を出力する。三角関数発生器58は電気角度検出信号を三角関数信号に変換する。座標変換器59はq軸電流指令信号を三角関数信号に基づいて相電流指令信号に変換する。電流検出器60はステータコイルに流れる相電流を検出して相電流検出信号を出力する。減算器61,62は相電流指令信号から相電流検出信号を減算して相電流偏差信号を出力する。電流制御回路63,64,65は相電流偏差信号に基づいて相電圧指令信号を発生する。インバータ66は相電圧指令信号に基づいて相電圧をステータコイルに印加する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ステップモータの制御装置に関し、特に、ハイブリッド(HB)形ステップモータの制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】周知のように、ステップモータは電気パルスを入力としてパルス数に対応した機械角度を出力とするモータである。このステップモータには種々のものがあるが、その1つにハイブリッド形ステップモータがある。
【0003】図2を参照して、ステップモータの動作原理について可変レラクタンス(VR)形ステップモータを例にとって説明する。図示のステップモータは、筒状のステータ10と、このステータ10内に回転軸RAの回りに回転可能に収容されたロータ20とからなる。図示のステータ10は、周方向に(π/3)ラジアン(60°)の間隔をおいて配置されて半径方向内側に突出した6個のステータ歯12を有する。図示はしていないが、各ステータ歯12にはステータコイルが巻回されている。ここでは、互いに対向する対のステータ歯12の3組を、それぞれ、U1−U2、V1−V2、およびW1−W2と呼び、それらに巻回されたステータコイルを、それぞれ、U−U´相、V−V´相、およびW−W´相と呼ぶことにする。一方、図示のロータ20は、周方向に(π/2)ラジアン(90°)の間隔をおいて配置されて半径方向外側に突出した4個のロータ歯22を有する。
【0004】このような構造を有するステップモータにおいて、図2(1)に示す如く、U1−U2のステータ歯12がそれぞれN極およびS極となるように、ステータコイル(U−U´相)を励磁したとする。この場合、U1−U2のステータ歯12とロータ歯22とが対面する位置でロータ20が停止する(図2(1)参照)。この状態で、図2(2)に示されるように、U−U´相の励磁を切り、V−V´相を励磁したとする。この場合、ロータ20が反時計方向(CCW)に(π/6)ラジアン(30°)回転する(図2(3)参照)。すなわち、このステップモータのステップ角は30°である。さらに、V−V´相からW−W´相に励磁を切り変えると再び反時計方向に30°回転する。
【0005】このように、ステップモータは、通常、ステータ歯12に巻かれたステータコイルの励磁を切り換えることにより、位置・速度検出器を持たずに歩進動作を行なう。しかしながら、このような構造を有するステップモータには以下に述べるような欠点がある。
【0006】a.励磁されたステータ歯とロータ歯との間に働く保持トルク以上の負荷がかかると、“脱調”を生じてステップモータを制御することが不可能になる。
【0007】b.励磁切り換えのみの運転では、ステップモータを正確にトルク制御することが不可能となる。
【0008】c.トルク脈動が大きい。
【0009】これらの欠点を解決するために、従来から、マイクロステップ駆動法とフィードバック制御法とが採用されている。ここで、マイクロステップ駆動法とは、ステップモータの励磁切り換えを正弦波状に切り換えることで、トルク脈動を抑制する制御方法である。一方、フィードバック制御法とは、ステップモータに位置・速度検出器を取り付け、その検出器からの検出信号をフィードバックすることで脱調等を防ぐ制御方法である。
【0010】しかしながら、上述した制御法のいずれも、ステップモータの理論的な電気回路モデルに基づいていないため、下記の問題を有する。
【0011】A.最適制御条件がわからないため、制御条件の設定があやふやとなる。
【0012】B.ステップモータの速度起電力、変圧器起電力、インピーダンス降下等の性能抑制要因が考慮されていないので、精密な制御ができない。
【0013】C.上記A、Bより、ステップモータの“中身”がわからず、ブラックボックスとして扱うため、制御設計ができない。
【0014】D.上記AとCより、制御性向上が望めず、またその限界点も把握できない。
【0015】ところで、1987年2月14日付けで社団法人電気学会から発行した「電気学会研究会資料 半導体電力変換研究会 SPC−87−14〜25」中のSPC−87−17,頁31〜40に「ステップモータによるブラシレスモータとその脈動トルクの考察」という題で、山中 広之、百目鬼 英雄、および本発明者の一人である松井 信行共著による論文が発表されている。この論文では、d−q軸モデルで電圧方程式を導出し、永久磁石型同期モータ、すなわち、ブラシレスモータと同じ形のブロック図と制御方法を提案している。しかしながら、この論文のモデル化の基本的な考えが、励磁方法とその駆動形態のみからステップモータが二相同期モータと同じとしており、論文には何故そうなるのかが理論的に説明されていない。
【0016】そこで、本発明者らは以下に詳細に説明するように、ステップモータ(特に、3相HB形ステップモータ)が一般のブラシレスDCモータと同一の形で表わされることを理論的に証明した。
【0017】図3を参照して、ステップモータの理論的な電気回路モデルについて、3相HB形ステップモータを例にとって説明する。3相HB形ステップモータは、筒状のステータ10と、このステータ10内に回転軸RAの回りに回転可能に収容されたロータ20とからなる。図示のステータ10はステータコア11を含む。ステータコア11は、周方向に60°の間隔をおいて配置されて半径方向内側に突出した6個のステータ歯12を有する。互いに対向する対のステータ歯12の3組を、それぞれ、U1−U2、V1−V2、およびW1−W2と呼ぶ。各ステータ歯12にはステータコイル13が巻回されている。
【0018】ステータコイル13には、図3(b)および(c)に示すように、U−U´相コイル、V−V´相コイル、およびW−W´相コイルの3種類のコイルがある。U−U´相コイルはステータ歯U1およびU2に巻かれており、同一方向に磁力線を発生するように直列に接続されている。同様に、V−V´相コイルはステータ歯V1およびV2に巻かれており、同一方向に磁力線を発生するように直列に接続されている。W−W´相コイルはステータ歯W1およびW2に巻かれており、同一方向に磁力線を発生するように直列に接続されている。
【0019】一方、ロータ20は、間に軸方向にN極、S極をもつ永久磁石23を介して配置された一対のロータコア21Aおよび21Bを含む。図示の如く、回転軸RAと直交する中心面CPを境にして、ロータコア21A側を区間Aと呼び、ロータコア21B側を区間Bと呼ぶことにする。ロータコア21Aおよび21Bはステータコア11と対向している。図3(b)に示すように、ロータコア21Aは、周方向に90°の間隔をおいて配置されて半径方向外側に突出した4個のロータ歯22Aを有する。同様に、図3(c)に示すように、ロータコア21Bは、周方向に90°の間隔をおいて配置されて半径方向外側に突出した4個のロータ歯22Bを有する。図3(b)および(c)から明らかなように、ロータ歯22Aとロータ歯22Bとは互いにピッチが半分ピッチ、即ち、電気角度で位相がπラジアン(180°)ずれている。ここで、ステップモータの技術分野では、ロータ歯の1ピッチを360°としてこれを電気角度と呼んでいる。従って、図3に示すステップモータでは、ロータ歯が4つあるので、ロータ20が機械的に1回転すると、電気角度で4回転したことになる。また、電気角度θr はステータ歯U1を基準として反時計方向(CCW)を正とする。図3(b)に示すように、4個のロータ歯22Aを、ステータ歯U1に対向したものを1とした場合に、時計方向に、それぞれ、1、2、3および4と呼ぶことにする。同様に、図3(c)に示すように、4個のロータ歯22Bを、ステータ歯U1より時計方向に、それぞれ、1´、2´、3´および4´と呼ぶことにする。
【0020】図3(b)に示すように、ステータ歯U1,U2がロータ歯1,3と一致しているとすると、ステータ歯V1,W1とロータ歯2及びステータ歯V2,W2とロータ歯4は、ロータ歯ピッチで1/3ピッチ(電気角度で120°)ずれている。尚、各ステータ歯に巻かれたステータコイル13のコイル巻数は全てNsとする。
【0021】3相HB形ステップモータのロータ20とステータ歯12との間の磁気の通りやすさ、すなわち、パーミアンスPを抵抗の形で表現し、永久磁石23と各ステータコイル13を磁力線の発生源として電源の形で表現すると、3相HB形ステップモータを図4に示す電気回路(磁気回路)で表現できる。ここで、HU1はステータ歯U1に巻かれたU相コイルによる起磁力で、PU はU相のパーミアンスとする。その他の記号も同様である。ステータ歯U1とステータ歯U2、ステータ歯V1とステータ歯V2、およびステータ歯W1とステータ歯W2のパーミアンスは常に同一である。
【0022】図4の電気回路を解き、3相HB形ステップモータのモデル化を行う。図4中、パーミアンスPU ,PV ,PW ,PU',PV',およびPW'について説明する。これらは、それぞれ、ステータ歯U1,V1,W1,U2,V2,およびW2の磁力線(以下、磁束と呼ぶ)の通りやすさを示すもので、ロータ20とステータ10の位置関係が変わると、これらの値も変化する。これらは電気角度θによる周期関数で、パーミアンスPU 〜PW'は、一般に下記の数式1で与えられる。
【0023】
【数1】


ここで、Pバー(Pの上にバーが付いている)は平均パーミアンス値、Poはパーミアンスの振幅を示し、これらの値はモータの寸法及び構造によって決まる定数で、単位は[H]である。また、下記の数式2が成り立つとする。
【0024】
【数2】


ここで、iU 、iV およびiW は、それぞれ、U−U´相コイル、V−V´相コイルおよびW−W´相コイルに流れる相電流である。
【0025】ステップモータのモデル化は、図4に示す電気回路を下記の手順で解くこで実現される。
【0026】i)図4に示す電気回路をコイル鎖交磁束=パーミアンス×起磁力、すなわち、下記の数式3の形で表わす。
【0027】
【数3】


各相及びロータ、ステータ間は干渉しているので、行列形式となる。
【0028】ii)次に、電圧ベクトルV、電流ベクトルi、磁束ベクトルλを、下記の数式4で求め、図3に示すステップモータを電圧方程式の形で表現する。
【0029】
【数4】


ここで、Rはコイル抵抗行列を表わす。図4に示す電気回路に、上記数式1および数式2を代入して、磁束ベクトルλを求める。その結果は、下記の数式5となる。
【0030】
【数5】


ここでは、電流iU 、iV およびiW を電流ベクトルとして解いた。尚、磁束ベクトルλは、λU (=λU1+λU2)、λV (=λV1+λV2)およびλW (=λW1+λW2)とおいた。ここで、ロータ20にはコイルがなく、永久磁石23のみなので、ロータ側の要素は存在せず、Hmによって等価的に示される。
【0031】次に、ステータコイル1個分のコイル抵抗をRsとして、コイル抵抗行列Rを作り、モータの電圧方程式を導く。その結果は、下記の数式6となる。
【0032】
【数6】


【0033】上記数式6中、PバーNs2 (パーミアンス平均値とコイル巻数の2乗)の項は、モータのインダクタンス成分を表わし、一般に対角成分(=(8/3)PバーNs2 )は自己インダクタンスLsと呼ばれ、それ以外の成分(=(−4/3)PバーNs2 )は相互インダクタンスMsと呼ばれている。
【0034】また、数式6の右辺、最終項のPoNscos θr ・Mmの要素は、電気角度θr の変動によって発生する電圧の項であり、永久磁石形同期電動機(以後、ブラシレスDCモータと呼ぶ)の誘起電圧項と同一である。ここで、PoNsMm=MrImであり、Imはロータ側磁石の等価起磁力電流を表わし、Mrは相互インダクタンスを表わす。上記の表現を用いて、数式6を書き表わすと、下記の数式7が得られる。
【0035】
【数7】


【0036】上記数式7から、3相HB形ステップモータが、図5に示すような、一般のブラシレスDCモータと同一の形で表わされることが分かる。
【0037】周知のように、モータ制御の分野においては、3相−2相変換やd−q変換が用いられる。ここで、3相−2相変換とは、U相、V相、W相の3相からα、βの2相に変換することをいう。また、d−q変換とは、α、βの静止座標系からロータ側に同期して回転する、d、q座標系に変換することをいう。
【0038】ステップモータにおいてd軸とは、図6に示すように、ロータ歯の中心軸を意味し、q軸とはd軸から電気角度でπ/2(90°)進んだところに位置する。(通常のステップモータでは、ロータ歯は複数個あるので、d軸も複数本存在する。)上記数式7に、3相−2相変換およびd−q変換を施すと、下記の数式8が得られる。
【0039】
【数8】


【0040】上記数式8を状態方程式の形に表現し直すと、下記の数式9が得られる。
【0041】
【数9】


【0042】上記数式9をラプラス演算子sを用い、ラプラス変換を行った上でブロック線図を描くと、図7が得られる。ここで、ステップモータの負荷を1/(Js+D)で表現し、負荷トルクをTL で表現する。図7より、本ステップモータのトルクTeは下記の数式10で与えられる。
【0043】
【数10】


【0044】ここで、p・Mr´・Imは永久磁石による磁束であるので、一定値として扱える。したがって、q軸電流iq をコントロールすることで、ステップモータをトルク制御することができる。また、d軸電流id は、モータ出力に寄与しないので、常に零に制御すればよい。以上述べたことを纏めると、下記の数式11が得られる。
【0045】
【数11】


【0046】しかしながら、図7のブロック線図より、モータ入力電圧vd .vq からq軸電流iq へ辿る行程には干渉要素(図7の点線で囲んだ部分)が存在している。この結果、モータ入力電圧vd .vq からd軸電流id およびq軸電流iq を直接制御することはできない。これを解決するために、以下に詳細に説明する手順に従って、制御系の非干渉化を行う。
【0047】■ステップモータのインピーダンス項に入力する電圧v´d ,v´q は、図7に示すように、下記の数式12および数式13で与えられる。
【0048】
【数12】


【0049】
【数13】


【0050】■ステップモータの電気角速度ωr 、d軸電流id およびq軸電流iq はリアルタイムで検出可能な値であり、LsとMr´・Imはモータ定数で既知である。
【0051】■したがって、数式12の右辺第2項{ωr Ls・iq }と、数式13の右辺第2項{ωr (Ls・id +Mr´Im)}とは演算可能であり、以下、それぞれ、d軸干渉成分及びq軸干渉成分と呼ぶ。したがって、モータ入力端子への印加電圧vd ,vq が下記の数式14および数式15となるように制御する。
【0052】
【数14】


【0053】
【数15】


【0054】■上記数式14および数式15で表わされる電圧を印加電圧vd ,vq として与えることで、図7に示すブロック線図の干渉項は打ち消され、図8に示すように簡素化される。
【0055】■d軸干渉成分{ωr Ls・iq }と、q軸干渉成分{ωr (Ls・id +Mr´Im)}とを電圧指令値に盛り込むことは、一種のフィードフォワード制御であり、かつ予測制御となる。すなわち、過去の電気角速度ωr 、d軸電流idおよびq軸電流iq の値で、未来のd軸干渉成分{ωr Ls・iq }およびq軸干渉成分{ωr (Ls・id +Mr´Im)}の値を求めることに相当する。従って、厳密には図8に示す非干渉化が成立しない。しかしながら、信号処理のスピード、すなわち、d軸電流id およびq軸電流iq の検出と、d軸干渉成分{ωr Ls・iq }とq軸干渉成分{ωr (Ls・id +Mr´Im)}の計算等が、モータスピード(機械角速度)各ωrmの変化に対して十分(100倍以上)に速いので、図8に示す非干渉化が成り立つ。
【0056】なお、図8に示す非干渉化は、定常状態のときに成り立つもので、過渡状態のときには成り立たない。しかし、実際の制御システムでは、過渡状態の整定は、瞬時(電気的時定数の1/10以下)に行われるので、影響は少ない。
【0057】■次に、ステップモータのインピーダンス項に入力する電圧v´d ,v´q に関しては、d軸電流id およびq軸電流iq の電流値をフィードバックした電流制御器を用いる。制御系の構成は、図9に示すようになる。図9中、伝達関数Gid(s),Giq(s)で表わされる電流制御器としては、一般に、比例制御器(P制御器)や比例−積分制御器(PI制御器)が使用される。
【0058】■以上、上記■〜■で述べたことをブロック線図で表わすと、図10が得られる。
【0059】なお、本制御方法を採用する場合は、ステップモータのロータに同期して回転する座標系(=モータの磁極中心と同期して回転する座標系)である、d,q軸を用いるため、磁極位置検出装置は不可欠である。
【0060】以上の議論より得られる3相HB形ステップモータの制御装置の構成を図11に示す。図3に示したような3相HB形ステップモータ31の回転軸には速度・位置検出器32が取り付けらており、その速度・位置検出器32からの速度・位置検出信号は速度・位置信号処理器33に送出される。なお、速度・位置検出器32としては、レゾルバあるいはエンコーダが用いられる。速度・位置信号処理器33は速度・位置検出信号を処理して、電気角度検出信号θr ,電気角速度検出信号ωr 、機械角度検出信号θrmおよび機械角速度検出信号ωrmを出力する。電気角度検出信号θr は角度/正弦・余弦変換器34によって正弦関数信号sinθr および余弦関数信号cos θr に変換される。
【0061】一方、HB形ステップモータ31のステータコイル(図3の13)にはU相電圧vu 、V相電圧vv およびW相電圧vw が供給される。HB形ステップモータ31の入力側には電流検出器35が設けられ、ここでU相電流iu とV相電流iv が検出される。これらU相電流検出信号iu およびV相電流検出信号iv は3相交流/d−q座標変換器36に供給される。この3相交流/d−q座標変換器36には角度/正弦・余弦変換器34から正弦関数信号sin θr および余弦関数信号cos θr も供給される。3相交流/d−q座標変換器36は、正弦関数信号sin θr および余弦関数信号cos θr に基づいてU相電流検出信号iu およびV相電流検出信号iv をd軸電流検出信号id およびq軸電流検出信号iq に変換する。
【0062】機械角度検出信号θrmは第1の減算器37に供給され、第1の減算器37は機械角度指令信号θrmから機械角度検出信号θrmを減算してその機械角度偏差信号を位置制御器38に送出する。位置制御器38は機械角度偏差信号に基づいて機械角速度指令信号ωrmを発生する。この機械角速度指令信号ωrmは第2の減算器39に供給される。この第2の減算器39には機械角速度検出信号ωrmも供給され、第2の減算器39は機械角速度指令信号ωrmから機械角速度検出信号ωrmを減算して機械角速度偏差信号を速度制御器40に送出する。速度制御器40は機械角速度偏差信号に基づいてq軸電流指令信号iq を発生する。
【0063】3相交流/d−q座標変換器36から出力されたd軸電流検出信号id およびq軸電流検出信号iq はそれぞれ第3および第4の減算器41および42に供給される。第3の減算器41は零に等しいd軸電流指令信号id からd軸電流検出信号id を減算してd軸電流偏差信号Δid を出力する。第4の減算器42には速度制御器40からq軸電流指令信号iq が供給される。第4の減算器42はq軸電流指令信号iq からq軸電流検出信号iq を減算してq軸電流偏差信号Δiq を出力する。d軸電流偏差信号Δid およびq軸電流偏差信号Δiq は、それぞれ、第1および第2の電流制御器43および44に供給される。第1および第2の電流制御器43および44は、それぞれ、図9又は図10中の伝達関数Gid(s)およびGiq(s)で表わされる伝達特性を有する。
【0064】第1の電流制御器43はd軸電流偏差信号Δid に基づいてd軸電圧指令信号v'*d を発生する。同様に、第2の電流制御器44はq軸電流偏差信号Δiq に基づいてq軸電圧指令信号v'*q を発生する。3相交流/d−q座標変換器36から出力されたd軸電流検出信号id およびq軸電流検出信号iq は非干渉化制御器45にも供給される。非干渉化制御器45には速度・位置信号処理器33から電気角速度検出信号ωr が供給される。非干渉化制御器45は、図10に示す非干渉制御(フィードフォワード)と記したブロックの部分に対応する。非干渉化制御器45は、d軸電流検出信号id 、q軸電流検出信号iq および電気角速度検出信号ωr に基づいて、d軸干渉成分{ωr Ls・iq }とq軸干渉成分{ωr (Ls・id +Mr´Im)}とを計算する。d軸干渉成分{ωr Ls・iq }は減算器46に供給され、q軸干渉成分{ωr (Ls・id +Mr´Im)}は加算器47に供給される。減算器46には第1の電流制御器43からd軸電圧指令信号v'*d が供給され、加算器47には第2の電流制御器44からq軸電圧指令信号v'*q が供給されている。減算器46は、上記数式14に示すように、d軸電圧指令信号v'*d からd軸干渉成分{ωr Ls・iq }を減算して、非干渉化したd軸電圧指令信号vd を出力する。同様に、加算器47は、上記数式15に示すように、q軸電圧指令信号v'*q とq軸干渉成分{ωr (Ls・id +Mr´Im)}とを加算して、非干渉化したq軸電圧指令信号vq を出力する。
【0065】これら非干渉化したd軸電圧指令信号vd と非干渉化したq軸電圧指令信号vq とはd−q/3相交流座標変換器48に供給される。このd−q/3相交流座標変換器48には、角度/正弦・余弦変換器34から正弦関数信号sin θrおよび余弦関数信号cos θr も供給される。d−q/3相交流座標変換器48は、正弦関数信号sin θr および余弦関数信号cos θr に基づいて、非干渉化したd軸電圧指令信号vd および非干渉化したq軸電圧指令信号vq をU相電圧指令信号vu ,V相電圧指令信号vv ,およびW相電圧指令信号vw に変換する。これらU相、V相およびW相電圧指令信号vu ,vv ,およびvw はPWMインバータ49に供給される。PWMインバータ49は、U相、V相およびW相電圧指令信号vu ,vv ,およびvw に基づいて、それぞれ、上述したU相、V相およびW相電圧vu 、vv およびvw を3相HB形ステップモータ31に供給する。
【0066】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来の3相HB形ステップモータの制御装置は、d−q軸上での制御システムなので、U相およびV相電流検出信号iu およびiv をd軸およびq軸電流検出信号id およびiq に変換するための3相交流/d−q座標変換器36や非干渉演算のための非干渉化制御器45が必要になり、構成が複雑となる欠点がある。
【0067】したがって、本発明の目的は、構成が簡素なステップモータの制御装置を提供することにある。
【0068】
【課題を解決するための手段】本発明に係るステップモータの制御装置は、ステータと、このステータと対向して回転軸の回りに回転可能に配置されたロータとからなるステップモータの制御装置であって、ステータは、周方向に間隔をおいて配置されて半径方向に突出した第1の個数のステータ歯をもつステータコアと、ステータ歯の各々に巻回されたステータコイルとを有し、ロータは、周方向に間隔をおいて配置されてステータ歯と対向するように半径方向に突出し、かつ第1の個数より少ない第2の個数のロータ歯をもつロータコアを有する。
【0069】本発明によれば、上記ステップモータの制御装置は、ステップモータの速度・位置を検出して、速度・位置検出信号を出力する検出手段と、速度・位置検出信号を処理して、電気角度検出信号、機械角度検出信号、および機械角速度検出信号を出力する処理手段と、機械角度指令信号に応答して、機械角度検出信号と機械角速度検出信号とに基づいてq軸電流指令信号を出力する電流指令生成手段と、電気角度検出信号を三角関数信号に変換する三角関数発生手段と、q軸電流指令信号を三角関数信号に基づいて相電流指令信号に変換する座標変換手段と、ステータコイルに流れる相電流を検出して、相電流検出信号を出力する電流検出手段と、相電流指令信号から相電流検出信号を減算して、相電流偏差信号を出力する減算手段と、相電流偏差信号に基づいて相電圧指令信号を発生する電流制御手段と、相電圧指令信号に基づいて相電圧をステータコイルに印加する駆動手段とを有することを特徴とする。
【0070】上記電流指令生成手段は、機械角度指令信号から機械角度検出信号を減算して機械角度偏差信号を出力する第1の減算器と、機械角度偏差信号に基づいて機械角速度指令信号を発生する位置制御器と、機械角速度指令信号から機械角速度検出信号を減算して機械角速度偏差信号を出力する第2の減算器と、機械角速度偏差信号に基づいてq軸電流指令信号を発生する速度制御器とを有することが好ましい。
【0071】上記ステップモータが3相ステップモータの場合、上記電流検出手段は、相電流検出信号としてU相およびV相電流検出信号を出力し、上記三角関数発生手段は、三角関数信号としてU相およびV相に対応する互いに(2π/3)ラジアンだけ相違する第1及び第2の三角関数信号を出力し、上記座標変換手段は、q軸電流指令信号を第1及び第2の三角関数信号に基づいて相電流指令信号としてU相およびV相電流指令信号に変換し、上記減算手段は、U相電流指令信号からU相電流検出信号を減算して、U相電流偏差信号を出力するU相用減算器と、V相電流指令信号からV相電流検出信号を減算して、V相電流偏差信号を出力するV相用減算器とを有し、上記電流制御手段は、U相電流偏差信号に基づいて相電圧指令信号の1つとしてU相電圧指令信号を発生するU相用電流制御器と、V相電流偏差信号に基づいて相電圧指令信号の他の1つとしてV相電圧指令信号を発生するV相用電流制御器と、U相電圧指令信号の極性反転信号とV相電圧指令信号の極性反転信号とを加算して相電圧指令信号のさらに他の1つとしてW相電圧指令信号を出力する加算器とを有し、上記駆動手段は、U相、V相およびW相電圧指令信号に基づいて相電圧としてU相、V相およびW相電圧を3相ステップモータのステータコイルに印加するPWMインバータである、ことが好ましい。
【0072】
【作用】従来のステップモータの制御装置に比較して、本発明のステップモータの制御装置は、精度や応答性の点では若干劣るとはいうものの、3相交流/d−q座標変換演算や非干渉化演算が不要なので、構成が簡素となる。
【0073】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
【0074】図1に本発明の一実施例による3相HB形ステップモータの制御装置の構成を示す。図示の制御装置は、図3に示したような3相HB形ステップモータ51のトルク制御を行うためのものである。
【0075】3相HB形ステップモータ51の回転軸には速度・位置検出器52が取り付けらており、その速度・位置検出器52からの速度・位置検出信号は速度・位置信号処理器53に送出される。なお、速度・位置検出器52としては、レゾルバあるいはエンコーダが用いられる。速度・位置信号処理器53は速度・位置検出信号を処理して、電気角度検出信号θr ,機械角度検出信号θrmおよび機械角速度検出信号ωrmを出力する。
【0076】機械角度検出信号θrmは第1の減算器54に供給され、第1の減算器54は機械角度指令信号θrmから機械角度検出信号θrmを減算して機械角度偏差信号を位置制御器55に送出する。位置制御器55は機械角度偏差信号に基づいて機械角速度指令信号ωrmを発生する。この機械角速度指令信号ωrmは第2の減算器56に供給される。この第2の減算器56には機械角速度検出信号ωrmも供給され、第2の減算器56は機械角速度指令信号ωrmから機械角速度検出信号ωrmを減算して機械角速度偏差信号を速度制御器57に送出する。速度制御器57は機械角速度偏差信号に基づいてq軸電流指令信号iq を発生する。したがって、第1の減算器54、位置制御器55、第2の減算器56および速度制御器57の組み合わせは、機械角度指令信号θrmに応答して、機械角度検出信号θrmと機械角速度検出信号ωrmとに基づいてq軸電流指令信号iq を出力する電流指令生成回路として働く。
【0077】電気角度検出信号θr は三角関数発生器58によってU相およびV相に対応する互いに(2π/3)ラジアンだけ相違する第1及び第2の三角関数信号sin θr およびsin (θr −2π/3)に変換される。これら第1及び第2の三角関数信号sin θr およびsin (θr −2π/3)はd−q/3相交流座標変換器59に供給される。このd−q/3相交流座標変換器59には、速度制御器57からq軸電流指令信号iq が供給される。d−q/3相交流座標変換器59は、第1及び第2の三角関数信号sin θr およびsin (θr −2π/3)に基づいて、q軸電流指令信号iq をU相およびV相電流指令信号iu およびiv に変換する。
【0078】一方、HB形ステップモータ51にはU相電圧vu 、V相電圧vv およびW相電圧vw が供給される。HB形ステップモータ51の入力側には電流検出器60が設けられ、ここでU相電流iu とV相電流iv が検出される。これらU相電流検出信号iu およびV相電流検出信号iv は、それぞれ、U相用およびV相用減算器61および62に供給される。U相用およびV相用減算器61および62には、それぞれ、d−q/3相交流座標変換器59からU相およびV相電流指令信号iu およびiv が供給される。U相用減算器61は、U相電流指令信号iu からU相電流検出信号iu を減算して、U相電流偏差信号を出力する。同様に、V相用減算器62は、V相電流指令信号iv からV相電流検出信号iv を減算して、V相電流偏差信号を出力する。
【0079】U相およびV相電流偏差信号は、それぞれ、U相用およびV相用電流制御器63および64に供給される。U相用電流制御器63は、U相電流偏差信号に基づいてU相電圧指令信号vu を発生する。同様に、V相用電流制御器64は、V相電流偏差信号に基づいてV相電圧指令信号vv を発生する。U相およびV相電圧指令信号vu およびvv は加算器65に供給される。加算器65は、U相電圧指令信号vu の極性反転信号−vu とV相電圧指令信号vv の極性反転信号−vv とを加算してW相電圧指令信号vw を出力する。したがって、U相用およびV相用電流制御器63および64と加算器65との組み合わせは、相電流偏差信号に基づいて相電圧指令信号を発生する電流制御回路として働く。これらU相、V相およびW相電圧指令信号vu ,vv およびvw は、PWMインバータ66に供給される。PWMインバータ66は、U相、V相およびW相電圧指令信号vu ,vv およびvw に基づいてU相、V相およびW相電圧vu ,vv およびvw を3相HB形ステップモータ52のステータコイル(図3の13)に印加する。すなわち、PWMインバータ66は、相電圧指令信号に基づいて相電圧をステータコイルに印加する駆動回路として作用する。
【0080】上述したように、本実施例のステップモータの制御装置は、図11に示した従来のものに比較して、3相交流d−q座標変換器36と非干渉化制御器45とを省略することができる。したがって、本実施例のステップモータの制御装置は構成が簡易であるという利点がある。一方、上述した回路を省略した分だけ、本実施例のものの方が従来のものに比較して、精度や応答性の点で若干劣る。しかしながら、電流及びトルクの整定時間について高速サーボ並みの性能が要求されなければ、本実施例のステップモータの制御装置は、十分に実用に供する。
【0081】なお、上記実施例の制御装置のさらに外側に、速度・位置制御ループを設けても良いのは言うまでもない。また、上記実施例の制御装置は、連続値制御を行なうアナログ回路や、離散値制御を行なうディジタル回路で実現できる。
【0082】また、上記実施例では、ステップモータとして3相HB形ステップモータを例として説明したが、本発明は、一般によく使用されている、2相ステップモータもしくは5相ステップモータにも同様に適用できる。但し、この場合には、相変換演算が必要となる。さらに、上記実施例では、ステップモータとしてインナーロータ形を例として説明したが、本発明は、アウタロータ形にも同様に適用できる。また、本発明は、ステータ側にコイルと磁石とを具備したステップモータにも適用できる。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように本発明のステップモータの制御装置は、従来のものと比較して、精度や応答性の点では若干劣るとはいうものの、3相交流/d−q座標変換演算や非干渉化演算が不要なので、構成が簡素となる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による3相HB形ステップモータの制御装置の構成を示すブロック図である。
【図2】ステップモータの動作原理を説明するための図である。
【図3】本発明が適用される3相HB形ステップモータの構造を示す図で、(a)は縦断面図、(b)は(a)のA−A´線から見た断面図、(c)は(a)のB−B´線から見た断面図である。
【図4】3相HB形ステップモータの電気回路モデルを示す回路図である。
【図5】ブラシレスDCモータの等価回路モデルを示す回路図である。
【図6】ステップモータのd軸およびq軸を説明するための図である。
【図7】3相HB形ステップモータのブロック線図である。
【図8】非干渉化後のブロック線図である。
【図9】d軸およびq軸電流をフィードバックした電流制御器を用いた制御系の構成を示すブロック線図である。
【図10】非干渉化を行なう制御システムを示すブロック線図である。
【図11】従来の3相HB形ステップモータの制御装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
51 3相HB形ステップモータ
52 検出器
53 速度・位置信号処理器
54 減算器
55 位置制御器
56 減算器
57 速度制御器
58 三角関数発生器
59 d−q/3相交流座標変換器
60 電流検出器
61 減算器
62 減算器
63 電流制御器
64 電流制御器
65 加算器
66 PWMインバータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ステータと、該ステータと対向して回転軸の回りに回転可能に配置されたロータとからなるステップモータの制御装置であって、前記ステータは、周方向に間隔をおいて配置されて半径方向に突出した第1の個数のステータ歯をもつステータコアと、前記ステータ歯の各々に巻回されたステータコイルとを有し、前記ロータは、周方向に間隔をおいて配置されて前記ステータ歯と対向するように半径方向に突出し、かつ前記第1の個数より少ない第2の個数のロータ歯をもつロータコアを有する、ステップモータの制御装置において、前記ステップモータの速度・位置を検出して、速度・位置検出信号を出力する検出手段と、前記速度・位置検出信号を処理して、電気角度検出信号、機械角度検出信号、および機械角速度検出信号を出力する処理手段と、機械角度指令信号に応答して、前記機械角度検出信号と前記機械角速度検出信号とに基づいてq軸電流指令信号を出力する電流指令生成手段と、前記電気角度検出信号を三角関数信号に変換する三角関数発生手段と、前記q軸電流指令信号を前記三角関数信号に基づいて相電流指令信号に変換する座標変換手段と、前記ステータコイルに流れる相電流を検出して、相電流検出信号を出力する電流検出手段と、前記相電流指令信号から前記相電流検出信号を減算して、相電流偏差信号を出力する減算手段と、前記相電流偏差信号に基づいて相電圧指令信号を発生する電流制御手段と、前記相電圧指令信号に基づいて相電圧を前記ステータコイルに印加する駆動手段とを有することを特徴とするステップモータの制御装置。
【請求項2】 前記電流指令生成手段は、前記機械角度指令信号から前記機械角度検出信号を減算して機械角度偏差信号を出力する第1の減算器と、前記機械角度偏差信号に基づいて機械角速度指令信号を発生する位置制御器と、前記機械角速度指令信号から前記機械角速度検出信号を減算して角速度偏差信号を出力する第2の減算器と、前記機械角速度偏差信号に基づいて前記q軸電流指令信号を発生する速度制御器とを有することを特徴とする請求項1記載のステップモータの制御装置。
【請求項3】 前記ステップモータは3相ステップモータであり、前記電流検出手段は、前記相電流検出信号としてU相およびV相電流検出信号を出力し、前記三角関数発生手段は、前記三角関数信号としてU相およびV相に対応する互いに(2π/3)ラジアンだけ相違する第1及び第2の三角関数信号を出力し、前記座標変換手段は、前記q軸電流指令信号を前記第1及び第2の三角関数信号に基づいて前記相電流指令信号としてU相およびV相電流指令信号に変換し、前記減算手段は、U相電流指令信号から前記U相電流検出信号を減算して、U相電流偏差信号を出力するU相用減算器と、V相電流指令信号から前記V相電流検出信号を減算して、V相電流偏差信号を出力するV相用減算器とを有し、前記電流制御手段は、前記U相電流偏差信号に基づいて前記相電圧指令信号の1つとしてU相電圧指令信号を発生するU相用電流制御器と、前記V相電流偏差信号に基づいて前記相電圧指令信号の他の1つとしてV相電圧指令信号を発生するV相用電流制御器と、前記U相電圧指令信号の極性反転信号と前記V相電圧指令信号の極性反転信号とを加算して前記相電圧指令信号のさらに他の1つとしてW相電圧指令信号を出力する加算器とを有し、前記駆動手段は、前記U相、V相およびW相電圧指令信号に基づいて前記相電圧としてU相、V相およびW相電圧を前記3相ステップモータのステータコイルに印加するPWMインバータである、請求項1記載のステップモータの制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図4】
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【図8】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開平6−225595
【公開日】平成6年(1994)8月12日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−10936
【出願日】平成5年(1993)1月26日
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)