ステップ式学習用教材及びこれを用いた学習指導システム
【課題】捲る・読む・写すという作業を繰り返すことにより、細分化された問いかけに応え、これにより学習者が知識や能力を身につけることができるステップ式学習用教材及びこれを用いた学習指導システムを提供する。
【解決手段】教科書その他の学習教材に掲載された、問題を解くための条件,考えるべき事項及び/又は達成すべき課題(以下単に「条件・事項・課題」という)や暗記すべき単語・文章(以下単に「単語・文章」という)を細分化した細分化学習事項が片面に表示された複数のプリント101等を備え、当該複数のプリント101等が前記片面を表学習面として最初の細分化学習事項から最後の細分化学習事項に至るまで、当該各細分化学習事項を単一の細分化学習事項ずつ増加させながら、順番に綴じられているステップ式学習用教材。
【解決手段】教科書その他の学習教材に掲載された、問題を解くための条件,考えるべき事項及び/又は達成すべき課題(以下単に「条件・事項・課題」という)や暗記すべき単語・文章(以下単に「単語・文章」という)を細分化した細分化学習事項が片面に表示された複数のプリント101等を備え、当該複数のプリント101等が前記片面を表学習面として最初の細分化学習事項から最後の細分化学習事項に至るまで、当該各細分化学習事項を単一の細分化学習事項ずつ増加させながら、順番に綴じられているステップ式学習用教材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステップ式学習用教材及びこれを用いた学習指導システムに関し、更に詳しくは、学習者に身につけさせる知識や能力(例えば、計算や解答の手順をいうが、これに限定されない。以下、本明細書及び特許請求の範囲において同じ)を1ページに1学習事項にまで細分化することにより、学習者にページを捲る・読む・写すという作業をさせるだけでその学習者に目的とする知識や能力を身につけさせることができるステップ式学習用教材、並びに、複数の学習者に少ない指導者で効率的に学習させることができる学習指導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の学習用教材として、例えば、特許文献1に開示の学習用問題集教材は、主要な三つの観点での学習到達状況の把握やテスト結果の観点別集計が容易であり、また、児童がテストに取り組みやすくすることを目的として提案されたものである。特許文献1に開示の学習用問題集教材は、横長のテスト用紙の表側の紙面に、第一乃至第三の観点別テスト欄が左から順に割り付けられ、右上に得点記入欄が割り付けられる。算数の場合、第一の観点別テスト欄には学習到達度を「知識・理解」の観点から評価するための設問、第二の観点別テスト欄には「表現・処理」の観点から評価するための設問、第三の観点別テスト欄には「数学的な考え方」の観点から評価するための設問が設けられる。第一の観点別テスト欄の観点名とこれに対応する第一の観点別得点記入欄は紫色で、第二の観点別テスト欄における観点名とこれに対応する第二の観点別得点記入欄は緑色で、第三の観点別テスト欄における観点名とこれに対応する第三の観点別得点記入欄は橙色で統一される。
【0003】
従って、特許文献1に開示の学習用問題集教材は、表側の紙面に観点別の全設問が設けられているので、テストを受ける児童は、ある観点に関する設問を見ることもなくテストが終わってしまうようなことがなくなり、教師の採点や観点別得点の集計等が容易になり、全ての主要観点から児童の学習到達状況を正確に評価することが可能になり、更に、教師独自のカリキュラムに基づいたテストの実施もやりやすくなるといった種々の効果が実現される。
【0004】
また、特許文献2に開示の学習用問題集教材は、答え合わせ等の採点や添削が容易で、印刷、編集、製本も容易であり、空欄等の不体裁な個所を皆無とし得ることを目的として提案されたものである。特許文献1に開示の学習用問題集教材は、表問題面と裏面に所定の配列で問題及び解答記入欄を記載表示した複数の問題用紙と、各問題に対応した正解を正解用紙の表問題面側と裏面側に奇数頁の問題と偶数頁の問題とに分離して記載表示した正解用紙とを備えており、前記問題用紙を綴り止めして問題集とし、この問題集の最初又は最後の頁に前記正解用紙を問題集から反綴り止め端側へ延長して形成するとともに、該正解用紙を問題集内に折り畳み収納可能に綴り止めした構成を備える。
従って、特許文献2に開示の学習用問題集教材は、正解用紙と問題用紙を同時に対比できるため、答え合わせ等の採点や添削が容易であり、問題と正解とを別の用紙に記載表示すればよく、その際、問題及び解答記入欄は問題用紙に第1問から最終問題まで頁毎に区画配置して記載表示すればよく、正解は正解用紙の表問題面側と裏面側に奇数頁の問題と偶数頁の問題とに分離して記載表示すればよく、印刷、編集、製本が容易であり、空欄等の不体裁な個所を皆無とし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3806106号
【特許文献2】特許第3128645号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の学習用問題集教材は、学習する児童が繰返し練習を行うことができるように構成されたものではなく、教師が児童を評価しやすいように構成されたものにすぎない。従って、学習効果を確認し、学習者を評価するには優れているが、学習者にこれを用いて学習させただけでは知識や能力を身につけさせることは難しい。すなわち、特許文献1に開示の学習用問題集教材によれば、別にノートを作成する、あるいは、同じ児童に使わせるために何枚も複写して用いる等の工夫をして初めて学習効果を期待できる。
【0007】
また、特許文献2に開示の学習用教材は、1ページに表示される問題が多い。また、暗算練習を想定しているため、基本的な知識や能力を習得してから取り組むようにできており、新たな知識や能力を身につけるために行うにはあまり向いていないという問題がある。
【0008】
学習効果を上げるためには、学習者に繰返し練習をさせる必要がある。すなわち、学習者自身が読む・写すという作業を繰返し行うことが必要である。特許文献1、2に開示の問題集や教材は、これらをそのまま使用するのではその繰返し効果が上がらない。また、特許文献1、2に開示の問題集や教材の場合、学習者に問題を解答させるうえで細分化しうる複数のステップがあるにも係わらずこれが明らかにされていない。従って、学習者が問題を理解できず、解けないという問題がある。
【0009】
一般的に広く理解されているように、学習能力が高い学習者は既存の教材を用いて、又は、自力で工夫して知識や能力を身につけることができる。特許文献1、2に開示の問題集や教材はこのような学習能力が高い学習者には教員等が児童の評価をするため以外にこれらを用いても学習効果を期待しうる。しかし、学習能力が低い学習者はそのようなことが期待できない。更に、学習能力が低い学習者は、学校等では場合によっては席を離れる、騒ぎ出すといった行為をし始めて他の学習者に迷惑になるという問題がある。このような問題を解消するには、学習者の能力に拘わらず学習者が集中して取り組むことができる学習用教材があるとよい。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明は、捲る・読む・写すという作業を繰り返すことにより、細分化された問いかけに応え、これにより学習者が知識や能力を身につけることができるステップ式学習用教材及びこれを用いた学習指導システムを提供することを目的とする。
本発明は、更に、指導者が居なくても一人で学習することができるステップ式学習用教材を提供することにある。
本発明は、更に、達成の手順を自覚することができるとともに、学習者が体を動かすことにより脳の活性化を図ることができるステップ式学習用教材及びこれを用いた学習指導システムを提供することを目的とする。
本発明は、更に、指導者が移動しやすく学習者が複数人いても指導しやすいステップ式学習用教材を用いた学習指導システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係るステップ式学習用教材は、
教科書その他の学習教材に掲載された、問題を解くための条件,考えるべき事項及び/又は達成すべき課題(以下単に「条件・事項・課題」という)や暗記すべき単語・文章(以下単に「単語・文章」という)を細分化した細分化学習事項が片面に表示された複数のプリントを備え、
当該複数のプリントが前記片面を表学習面として最初の細分化学習事項から最後の細分化学習事項に至るまで、当該各細分化学習事項を単一の細分化学習事項ずつ増加させながら、順番に綴じられていることを要旨とする。
【0012】
この場合に、前記片面は、更に、ヒントが表示され、
当該ヒントは、当該複数のプリントが横書きの場合には前記細分化学習事項より上側に表示され、縦書きの場合には前記細分化学習事項より右側に表示されていることが望ましい。
【0013】
この場合に、本発明に係るステップ式学習用教材は、更に、表紙を備え、
当該表紙には、当該ステップ式学習用教材の名称、対象学年、学習内容、学習者の目標、及び、使い方からなる群のいずれか一が表示されていることが望ましい。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明に係る学習指導システムは、
学習者数と同数以上の同種の本発明に係るステップ式学習用教材からなる学習用教材セットを用いた学習指導システムであって、
前記同種の学習用教材セットとは異なる少なくとも一の異種の学習用教材セットと、
多角形状、円若しくは楕円形状その他の指導者囲繞形状に配置されたテーブルその他の載置手段と、を備え、
前記各学習用教材セットは種類毎に前記載置手段に並べて配置されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るステップ式学習用教材は、条件・事項や単語・文章を細分化した細分化学習事項が片面に表示された複数のプリントを備え、当該複数のプリントが前記片面を表学習面として最初の細分化学習事項から最後の細分化学習事項に至るまで、当該各細分化学習事項を単一の細分化学習事項ずつ増加させながら、順番に綴じられているものであるから、
(1)学習者は、捲る・読む・写すという作業を繰り返すことにより、細分化された問いかけに応え、これにより学習者が知識や能力を身につけることができる、
(2)学習者は、指導者が居なくても一人で学習することができる、
(3)学習者は、達成の手順を自覚(例えば、達成感が得られる等、以下同じ。)することができる、
(4)学習者は、体を動かす(例えば、捲るという作業や学習指導システムで使用される場合における席の移動をいう、以下同じ。)ことにより脳の活性化を図ることができる、
(5)指導者の指導方法にブレがない、
(6)エラーレスラーニングを実現できる、
という効果がある。
【0016】
本発明に係るステップ式学習用教材を用いた学習指導システムは、
学習者数と同数以上の同種の本発明に係るステップ式学習用教材からなる学習用教材セットを用いた学習指導システムであって、
前記同種の学習用教材セットとは異なる少なくとも一の異種の学習用教材セットと、
多角形状、円若しくは楕円形状その他の指導者囲繞形状に配置されたテーブルその他の載置手段と、を備え、
前記各学習用教材セットは種類毎に前記載置手段に並べて配置されているものであるから、
(1)学習者は、捲る・読む・写すという作業を繰り返すことにより、細分化された問いかけに応え、これにより学習者が知識や能力を身につけることができる、
(2)学習者は、達成の手順を自覚することができる、
(3)学習者は、体を動かすことにより脳の活性化を図ることができる、
(4)指導者が移動しやすく学習者が複数人いても指導しやすい、
(5)指導者の指導方法にブレがない、
(6)エラーレスラーニングを実現できる、
という効果がある。
【0017】
本発明に係るステップ式学習用教材は、前記片面に表示されたヒントが、当該複数のプリントが横書きの場合には前記細分化学習事項より上側に表示され、縦書きの場合には前記細分化学習事項より右側に表示されていると、学習者の学習効率が更に高まるという効果がある。
【0018】
本発明に係るステップ式学習用教材は、表紙に、当該ステップ式学習用教材の名称、対象学年、学習内容、学習者の目標、及び、使い方からなる群のいずれか一が表示されていると、
(1)これを用いた学習指導システムを構築するときにステップ式学習用教材の配置がしやすい、
(2)学習者や指導者が一見で使用すべき学習用教材を見つけることができる、
という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るステップ式学習用算数学習用教材(以下単に「算数学習用教材」という)Aの表紙100の一例を示す図である。
【図2A】算数学習用教材Aのプリント101の表学習面の一例を示す図である。
【図2B】算数学習用教材Aのプリント102の表学習面の一例を示す図である。
【図2C】算数学習用教材Aのプリント103の表学習面の一例を示す図である。
【図2D】算数学習用教材Aのプリント104の表学習面の一例を示す図である。
【図2E】算数学習用教材Aのプリント105の表学習面の一例を示す図である。
【図2F】算数学習用教材Aのプリント106の表学習面の一例を示す図である。
【図3】算数学習用教材Bの表紙200の一例を示す図である。
【図4A】算数学習用教材Bのプリント201の表学習面の一例を示す図である。
【図4B】算数学習用教材Bのプリント202の表学習面の一例を示す図である。
【図4C】算数学習用教材Bのプリント203の表学習面の一例を示す図である。
【図4D】算数学習用教材Bのプリント204の表学習面の一例を示す図である。
【図4E】算数学習用教材Bのプリント205の表学習面の一例を示す図である。
【図4F】算数学習用教材Bのプリント206の表学習面の一例を示す図である。
【図5】算数学習用教材Cの表紙300の一例を示す図である。
【図6A】算数学習用教材Cのプリント301の表学習面の一例を示す図である。
【図6B】算数学習用教材Cのプリント302の表学習面の一例を示す図である。
【図6C】算数学習用教材Cのプリント303の表学習面の一例を示す図である。
【図6D】算数学習用教材Cのプリント304の表学習面の一例を示す図である。
【図6E】算数学習用教材Cのプリント305の表学習面の一例を示す図である。
【図6F】算数学習用教材Cのプリント306の表学習面の一例を示す図である。
【図6G】算数学習用教材Cのプリント316の表学習面の一例を示す図である。
【図6H】算数学習用教材Cのプリント307の表学習面の一例を示す図である。
【図6I】算数学習用教材Cのプリント308の表学習面の一例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るステップ式学習用国語学習用教材(以下単に「国語学習用教材」という)Dの手本410の一例を示す図である。
【図8】国語学習用教材Dの表紙400の一例を示す図である。
【図9A】国語学習用教材Dのプリント401の表学習面の一例を示す図である。
【図9B】国語学習用教材Dのプリント402の表学習面の一例を示す図である。
【図9C】国語学習用教材Dのプリント403の表学習面の一例を示す図である。
【図9D】国語学習用教材Dのプリント404の表学習面の一例を示す図である。
【図9E】国語学習用教材Dのプリント405の表学習面の一例を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る学習用教材を用いた学習指導システム500の一例を示す図である。
【図11】学習用教材A〜Dの使い方を説明するための図である。
【符号の説明】
【0020】
A,B,C 算数学習用教材
D 国語学習用教材
100,200,300,400 表紙
101〜106,201〜206,301〜308,401〜405 プリントの表学習面
316 思考転換プリント
410 手本
500 学習指導システム
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
(第一の実施形態)
図1は本発明の第一の実施形態に係る算数学習用教材Aの表紙100を示し、図2A〜図2Fは算数学習用教材Aのプリント101〜106を示す。算数学習用教材Aは、教科書その他の学習教材に掲載されている学習事項や問題・課題等を解けるように又は理解できるように導くための教材である。
従って、本実施形態における算数学習用教材Aは、その元となる教科書その他の学習教材には、「長いす1きゃくに4人すわれるとします。6人がすわるためには長いすがなんきゃくいりますか」という問題が掲載された場合を例として、当該問題を解くまでの手順をプリント101〜106に示したものである。
表紙100は、算数学習用教材Aの名称100a、対象学年100b、学習内容100c、学習者の目標100d、及び、使い方100eが表示されている。そのため、これを用いた学習指導システム500(後述する)を構築するときに算数学習用教材Aの配置がしやすい、学習者や指導者が一見で使用すべき学習用教材を見つけることができる。
【0022】
プリント101〜106は、複数の紙媒体等(これに準ずる電子媒体、例えば、iPad(登録商標)のようなタブレット型コンピュータに複数ページにわたって表示されるものを含む)からなる。プリント101〜106は、ノートN(図11参照)のマス目と同じマス目が描かれたものであり、上部二箇所が綴じられる。更に、プリント101〜106は、その材質が紙である場合には、捲る操作がしやすいものとする。
プリント101〜106は、当該紙媒体等からなる教科書その他の学習教材に掲載された、問題(又は課題)を、
(1)解くための条件(又は解決するための条件)、
(2)解くために考えるべき事項(又は解決するために考えるべき事項)、及び/又は、
(3)解くために達成すべき課題等を、
1ステップ毎に細分化した細分化学習事項として条件・事項・課題101a,102a〜102b,103a〜103c,104a,105a,106a〜106bがそれぞれに片面に表示される。プリント101〜106は、その片面を表学習面として、同一方法(例えば、表学習面が常に上面にくる方法)で綴じられる。従って、学習者がプリント101〜106を捲れば次に解くべきプリントが出てくるため学習者は単純な作業で済む。また、一枚ずつプリントを捲った後に声を出して読ませ、筆写させることにより、学習者に条件・事項・課題101a〜106bを記憶として定着させることができる。
【0023】
条件・事項・課題101a,102a〜102b,103a〜103c,104a,105a,106a〜106bは、最初の細分化学習事項から最後の細分化学習事項に至るまで、当該各細分化学習事項を単一の細分化学習事項ずつ増加させながら、順番に綴じられている。本実施形態においては、以下の(1)〜(6)、すなわち、
(1)条件・事項・課題101a,
(2)条件・事項・課題102a〜102b,
(3)条件・事項・課題103a〜103c,
(4)条件・事項・課題104a,
(5)条件・事項・課題105a,及び,
(6)条件・事項・課題106a〜106b、
の順番が、問題を解くための考え方の手順になっている(尚、符号a〜b…とあるのは、「単一の細分化学習事項をこなすための考える事項」の順番、すなわち、「問題を解くために考える事項、達成すべき課題」の順番になっている。)。
また、上記(1)〜(6)は、細分化学習事項(条件・事項・課題)を単一の細分化学習事項ずつ増加させたものとなっている。例えば、プリント102では、プリント101の内容に加えて、条件・事項・課題102a〜102bが追加されている。プリント103〜106もまた、直前のプリントの内容に新たな単一の細分化学習事項を追加したものである。そのため、学習者に単に条件・事項・課題101a〜106bを記憶として定着させることができるだけでなく、達成の手順を自覚させることができる。
【0024】
プリント101〜106は、表学習面に、更に、ヒント101A〜106Aが表示される。ヒント101A〜106Aは、算数学習用教材Aのように、プリント101〜106が横書きの場合には条件・事項・課題より上側に表示される。従って、学習者に最も重要なことを視覚を通じて直感的に認識させることができる。
従って、学習者は、「長いす1きゃくに4人すわれるとします。6人がすわるためには長いすがなんきゃくいりますか」という問題の場合、学習者はページ(各プリント)を順番に捲りながら、ヒント101A〜106A及び/又は条件・事項・課題101a〜106bを声に出して読み上げ、一つずつ追加される事項を自分で考えて書く(最悪でも単に写す)という作業を繰り返すことにより、細分化された問いかけに応える作業を繰り返すこととなる。これにより学習者は、知識や能力を身につけることができ、更に、体を動かすことになるため、脳の活性化を図ることができる。算数学習用教材Aは、このような使い方ができるため、学習者は、指導者が居なくても一人で学習することができる。
【0025】
(第二の実施形態)
図3は本発明の第二の実施形態に係る算数学習用教材Bの表紙200を示し、図4A〜図4Fは算数学習用教材Bのプリント201〜206を示す。算数学習用教材Bは、その元となる教科書その他の学習教材に、「はこをかきましょう」という課題が掲載された場合を例として、当該課題を解決するまでの手順をプリント201〜206に示したものである。
表紙200は、算数学習用教材Bの名称200a、学習内容200c、学習者の目標200d、及び、使い方200eが表示されている。表紙200は、その他の構成・作用効果が表紙100と同様であるため、表紙100についての説明をもって表紙200の説明に代える。
【0026】
プリント201〜206には、「はこをかく」という課題を1ステップ毎に細分化した細分化学習事項として条件・事項・課題201a〜206aがそれぞれに片面に表示される。また、プリント201〜206には、ヒント201A〜206Aが表示される。「はこをかく」という課題の場合、学習者はページ(各プリント)を順番に捲りながら、ヒント201A〜206Aを声に出して読み上げ、一つずつ追加される事項を写す作業で「はこをかく」ことができる。プリント201〜206は、その他の構成・作用効果がプリント101〜106と同様であるため、プリント101〜106についての説明をもってプリント201〜206の説明に代える。
【0027】
(第三の実施形態)
図5は本発明の第三の実施形態に係る算数学習用教材Cの表紙300を示し、図6A〜図6Iは算数学習用教材Cのプリント301〜306,316,307〜308を示す。算数学習用教材Cは、その元となる教科書その他の学習教材に、「あまりのあるわり算 10÷3をときましょう」という問題が掲載された場合を例として、当該問題を解くまでの手順をプリント301〜306,316,307〜308に示したものである。
表紙300は、算数学習用教材Cの名称300a、対象学年300b、学習内容300c、学習者の目標300d、及び、使い方300e、習熟度別コメント300fが表示されている。表紙300は、その他の構成・作用効果が表紙100と同様であるため、表紙100についての説明をもって表紙300の説明に代える。
【0028】
プリント301〜306,307〜308には、「あまりのあるわり算 10÷3をときましょう」という問題を1ステップ毎に細分化した細分化学習事項として条件・事項・課題301a〜308aがそれぞれに片面に表示される。また、プリント301〜306,307〜308には、ヒント301A〜308Aが表示される。「あまりのあるわり算 10÷3をときましょう」という課題の場合、学習者はページ(各プリント)を順番に捲りながら、ヒント301A〜308Aを声に出して読み上げ、一つずつ追加される事項を写す作業で「10÷3」という問題を解くことができる。プリント301〜306,307〜308は、その他の構成・作用効果がプリント101〜106等と同様であるため、プリント101〜106についての説明をもってプリント301〜306,307〜308の説明に代える。
【0029】
ここで、第三の実施形態が第一及び第二の実施形態と異なる構成について説明する。
まず、条件・事項・課題302a,303aは、網掛けにされている。これは、九九をまだ覚えていない(又は覚えきれていない)学習者のためのものである。そこで、網掛け部分については「暗記していたら書かなくてもいいよ」と指示しておけば、既に九九を暗記している学習者への対処となる。
また、条件・事項・課題303aは、九九の3のだんを書き出したものである。304aには○印が付けられ、304bには×印が付けられている。これは、わり算をするときに「わられる数」が「わる数×商」よりも大きくならない最大の数が答えになることを学習者に示唆する。このように、プリント301〜306には、学習者の理解を促す表示を盛り込んでもよい。
【0030】
次に、符号316で示すプリントは、学習者に「これからすべきことを自分で見つけ出させる」ための思考転換プリント316である。思考転換プリント316は、自分で理解しながら先へ進めることができる学習者の場合には特に必要ないが、理解度が低い学習者の場合には、プリント301〜306,307〜308では、単に、捲る・読む・写すという作業に留まっている場合がある。そこで、思考転換プリント316では、学習者自らに考えさせるためのコメント316aとして、例えば、「つぎは、なにをする?」といった学習者に思考を促すための言葉が掲載される。思考転換プリント316は、換言すれば「空白のページ」ともいえ、学習者に更なる学習意欲を沸かせるためのページである。
【0031】
(第四の実施形態)
図7は本発明の第四の実施形態に係る国語学習用教材Dの手本410を示し、図8は国語学習用教材Dの表紙400を示し、図9A〜図9Eは国語学習用教材Dのプリント401〜405を示す。国語学習用教材Dは、その元となる教科書その他の学習教材に、手本410に掲載された文章を「暗記すべき単語・文章(以下単に「単語・文章」という)」として、当該文章を全て筆写する練習手順をプリント401〜405に示したものである。
表紙400は、国語学習用教材Dの名称400a、学習内容400c、学習者の目標400d、及び、使い方300eが表示されている。表紙400は、その他の構成・作用効果が表紙100等と同様であるため、表紙100についての説明をもって表紙300の説明に代える。
【0032】
プリント401〜405には、手本410に掲載された文章を一文毎に細分化した細分化学習事項として条件・事項・課題401a〜405aがそれぞれに片面に表示される。国語学習用教材Dのように言葉そのものを覚えることが必要である場合には、プリント401〜405には、ヒント401A〜405Aとして欄が設けられるが具体的なヒントは少なくともプリント401〜404までには表示されず、最後のプリント405にのみ、ヒント405Aとして課題達成を示す「できあがり」が表示される。このように「文章をおぼえましょう」という課題の場合、学習者はページ(各プリント)を順番に捲りながら、条件・事項・課題401a〜405aを声に出して読み上げ、一つずつ追加される事項を写す作業で「文章をおぼえましょう」という課題に取り組むことができる。学習者がこれを繰返し行うことにより、学習者は自然に文章を覚えるという課題を達成することができる。プリント401〜405は、その他の構成・作用効果がプリント101〜106等と同様であるため、プリント101〜106についての説明をもってプリント401〜405の説明に代える。
【0033】
(第五の実施形態)
(学習指導システム500の構成)
図10は本発明の一実施形態に係る算数学習用教材A〜C及び/又は国語学習用教材D(以下単に、「学習用教材A〜D」という)を用いた学習指導システム500の構成を示す図であり、図11は学習用教材A〜Dの使用方法を説明するための図である。
これらの図において、学習指導システム500は、一の学習用教材セットを用いた学習指導システムである。ここで、学習用教材セットとは、学習者数と同数以上の同種(同種とは、本明細書においては、全く同じ内容の学習用教材を指す)の学習用教材群を意味する。学習指導システム500は、
(1)一の学習用教材セットとは異なる少なくとも一の他の学習用教材セット(他の学習用教材セットとは、本明細書においては、同一科目であっても内容が異なれば他の学習用教材セットに該当するものとする)と、
(2)多角形状、円若しくは楕円形状その他の指導者囲繞形状に配置されたテーブルT…とを備える。
【0034】
図10に示す学習指導システム500は、原則として2人の学習者用を想定したものであり(席が8席あるため、8人でも使用は可能)、学習用教材セットとして、2冊の学習用教材Aからなる学習用教材セット、2冊の学習用教材Bからなる学習用教材セット、2冊の学習用教材Cからなる学習用教材セット、2冊の学習用教材Dからなる学習用教材セットを用いた例を示す。学習指導システム500で使用する学習用教材セットは、本実施形態に限定されるものではなく、学習者数、学習時間、学習レベルに応じて適宜選択・作成・変更して使用することができる。
【0035】
また、図10に示すように学習用教材セットは、同種の学習用教材群をまとめて配置するとよく、簡単な問題及び又は課題から難しい問題及び又は課題へ段階的に学習を進めることができるように順番に配置するとよい。指導者も学習者もどこに何があるのかがすぐわかり、学習指導を進める上での混乱を回避できるとともに、学習者は自分の進度を自覚することができるからである。
【0036】
(学習指導システム500の使用準備)
学習指導システム500の使用方法について説明する。図10に示したように、テーブルT…を囲繞形状に配置する(例えば、2人掛け全4つ)とともに、椅子CH…を各テーブルT…の大きさや学習者数に合わせて(例えば、2脚ずつ、全8脚)配置する。次いで、学習用教材A〜Dを学習者の数(例えば、2冊)ずつ、各々同じテーブルT…に各学習者が各椅子CH…に座ったときに各学習者の目前に来るように配置する。各テーブルT…には、筆記具、消しゴム、定規類が必要数配置される。
【0037】
(学習指導システム500の使用方法)
学習指導システム500の使用方法について説明する。
(1)指導者はテーブルT…に囲まれた位置に立って、各学習者を学習用教材Aが配置されている椅子CH…へ着席させる。指導者は、学習者にテーブルT…にある筆記具等を使用させるようにする。また、鉛筆削りを準備できる場合には、指導者は、各学習者が各学習用教材A〜Dを解けた後に、鉛筆を削って元に戻すように使用する。
(2)指導者は各学習者に学習用教材A(B〜D)を解かせる。このときの学習者の基本操作は次の通りである。すなわち、
一 「めくる」…「ペロン」と言って、ページをめくる(指を動かす)、
二 「読 む」…作業内容を声に出して読む(声を出す)、
三 「写 す」…そっくりそのままノートNに写す(書く)、という操作である。指導者は学習を開始する時に、上記を実演すると学習者が学習しやすい。また、「読む」場合は、ヒント及び/又は条件・事項・課題を読ませるようにしてもよい。この方法によればスモールステップ毎に基本操作を繰り返すだけでよく、あらゆる学習者に集中させやすい。また、学習者が一度やり方を覚えれば、自分一人で学習を進めることができる。
尚、学習者が学習する場合の学習用教材A〜D及び学習者自身のノートNの配置は図11(a)の通りである。すなわち、指導者は学習者が右利きの場合には、学習者に左手で捲らせ右手で鉛筆を持たせて学習させる。指導者は、めくり方についても、同図(b)に示すように学習者に「ただ捲る」を徹底させるべく、捲ったら「写すページ」の下に折り込まないように指導する。
(3)指導者は各学習者が学習用教材A(B〜D)を解けたら提出させる。
(4)指導者は当該学習者のノートNを見て評価する。指導者を囲繞するようにテーブルT…が配置されているため、さほど移動する必要がない。また、指導者は評価する時に、「褒める・励ます」ことを中心に学習者に声を掛け、個別に「ふれあう」時間を確保するように努めるとよい。
(5)指導者は評価が終わったら、当該学習者を次の学習用教材B(C〜D)が配置されている椅子CH…へ移動させる。
(6)上記(1)〜(5)を繰返し行う。
【0038】
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、作図方法、文章問題の解き方、理科・社会の問題及び又は課題等多くの問題及び又は課題に対応することができる。また、保護者にも指導方法を理解してもらうことにより、家庭学習に活かしてもらうことが期待される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係るステップ式学習用教材及びこれを用いた学習指導システムは、学校その他の教育施設並びに自宅において、スモールステップで学習ができるため、あらゆる学習者が使用でき、更に、ステップ毎に場所を移動するため、達成の様子を自覚できる。また、本発明によれば、学習者が手を動かす、声を出す、移動する等、体を動かすため、脳の働きを活性化させることができる。従って、本発明に係るステップ式学習用教材及びこれを用いた学習指導システムは、学習教材関連産業の振興に寄与するものとなる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステップ式学習用教材及びこれを用いた学習指導システムに関し、更に詳しくは、学習者に身につけさせる知識や能力(例えば、計算や解答の手順をいうが、これに限定されない。以下、本明細書及び特許請求の範囲において同じ)を1ページに1学習事項にまで細分化することにより、学習者にページを捲る・読む・写すという作業をさせるだけでその学習者に目的とする知識や能力を身につけさせることができるステップ式学習用教材、並びに、複数の学習者に少ない指導者で効率的に学習させることができる学習指導システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の学習用教材として、例えば、特許文献1に開示の学習用問題集教材は、主要な三つの観点での学習到達状況の把握やテスト結果の観点別集計が容易であり、また、児童がテストに取り組みやすくすることを目的として提案されたものである。特許文献1に開示の学習用問題集教材は、横長のテスト用紙の表側の紙面に、第一乃至第三の観点別テスト欄が左から順に割り付けられ、右上に得点記入欄が割り付けられる。算数の場合、第一の観点別テスト欄には学習到達度を「知識・理解」の観点から評価するための設問、第二の観点別テスト欄には「表現・処理」の観点から評価するための設問、第三の観点別テスト欄には「数学的な考え方」の観点から評価するための設問が設けられる。第一の観点別テスト欄の観点名とこれに対応する第一の観点別得点記入欄は紫色で、第二の観点別テスト欄における観点名とこれに対応する第二の観点別得点記入欄は緑色で、第三の観点別テスト欄における観点名とこれに対応する第三の観点別得点記入欄は橙色で統一される。
【0003】
従って、特許文献1に開示の学習用問題集教材は、表側の紙面に観点別の全設問が設けられているので、テストを受ける児童は、ある観点に関する設問を見ることもなくテストが終わってしまうようなことがなくなり、教師の採点や観点別得点の集計等が容易になり、全ての主要観点から児童の学習到達状況を正確に評価することが可能になり、更に、教師独自のカリキュラムに基づいたテストの実施もやりやすくなるといった種々の効果が実現される。
【0004】
また、特許文献2に開示の学習用問題集教材は、答え合わせ等の採点や添削が容易で、印刷、編集、製本も容易であり、空欄等の不体裁な個所を皆無とし得ることを目的として提案されたものである。特許文献1に開示の学習用問題集教材は、表問題面と裏面に所定の配列で問題及び解答記入欄を記載表示した複数の問題用紙と、各問題に対応した正解を正解用紙の表問題面側と裏面側に奇数頁の問題と偶数頁の問題とに分離して記載表示した正解用紙とを備えており、前記問題用紙を綴り止めして問題集とし、この問題集の最初又は最後の頁に前記正解用紙を問題集から反綴り止め端側へ延長して形成するとともに、該正解用紙を問題集内に折り畳み収納可能に綴り止めした構成を備える。
従って、特許文献2に開示の学習用問題集教材は、正解用紙と問題用紙を同時に対比できるため、答え合わせ等の採点や添削が容易であり、問題と正解とを別の用紙に記載表示すればよく、その際、問題及び解答記入欄は問題用紙に第1問から最終問題まで頁毎に区画配置して記載表示すればよく、正解は正解用紙の表問題面側と裏面側に奇数頁の問題と偶数頁の問題とに分離して記載表示すればよく、印刷、編集、製本が容易であり、空欄等の不体裁な個所を皆無とし得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3806106号
【特許文献2】特許第3128645号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の学習用問題集教材は、学習する児童が繰返し練習を行うことができるように構成されたものではなく、教師が児童を評価しやすいように構成されたものにすぎない。従って、学習効果を確認し、学習者を評価するには優れているが、学習者にこれを用いて学習させただけでは知識や能力を身につけさせることは難しい。すなわち、特許文献1に開示の学習用問題集教材によれば、別にノートを作成する、あるいは、同じ児童に使わせるために何枚も複写して用いる等の工夫をして初めて学習効果を期待できる。
【0007】
また、特許文献2に開示の学習用教材は、1ページに表示される問題が多い。また、暗算練習を想定しているため、基本的な知識や能力を習得してから取り組むようにできており、新たな知識や能力を身につけるために行うにはあまり向いていないという問題がある。
【0008】
学習効果を上げるためには、学習者に繰返し練習をさせる必要がある。すなわち、学習者自身が読む・写すという作業を繰返し行うことが必要である。特許文献1、2に開示の問題集や教材は、これらをそのまま使用するのではその繰返し効果が上がらない。また、特許文献1、2に開示の問題集や教材の場合、学習者に問題を解答させるうえで細分化しうる複数のステップがあるにも係わらずこれが明らかにされていない。従って、学習者が問題を理解できず、解けないという問題がある。
【0009】
一般的に広く理解されているように、学習能力が高い学習者は既存の教材を用いて、又は、自力で工夫して知識や能力を身につけることができる。特許文献1、2に開示の問題集や教材はこのような学習能力が高い学習者には教員等が児童の評価をするため以外にこれらを用いても学習効果を期待しうる。しかし、学習能力が低い学習者はそのようなことが期待できない。更に、学習能力が低い学習者は、学校等では場合によっては席を離れる、騒ぎ出すといった行為をし始めて他の学習者に迷惑になるという問題がある。このような問題を解消するには、学習者の能力に拘わらず学習者が集中して取り組むことができる学習用教材があるとよい。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明は、捲る・読む・写すという作業を繰り返すことにより、細分化された問いかけに応え、これにより学習者が知識や能力を身につけることができるステップ式学習用教材及びこれを用いた学習指導システムを提供することを目的とする。
本発明は、更に、指導者が居なくても一人で学習することができるステップ式学習用教材を提供することにある。
本発明は、更に、達成の手順を自覚することができるとともに、学習者が体を動かすことにより脳の活性化を図ることができるステップ式学習用教材及びこれを用いた学習指導システムを提供することを目的とする。
本発明は、更に、指導者が移動しやすく学習者が複数人いても指導しやすいステップ式学習用教材を用いた学習指導システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係るステップ式学習用教材は、
教科書その他の学習教材に掲載された、問題を解くための条件,考えるべき事項及び/又は達成すべき課題(以下単に「条件・事項・課題」という)や暗記すべき単語・文章(以下単に「単語・文章」という)を細分化した細分化学習事項が片面に表示された複数のプリントを備え、
当該複数のプリントが前記片面を表学習面として最初の細分化学習事項から最後の細分化学習事項に至るまで、当該各細分化学習事項を単一の細分化学習事項ずつ増加させながら、順番に綴じられていることを要旨とする。
【0012】
この場合に、前記片面は、更に、ヒントが表示され、
当該ヒントは、当該複数のプリントが横書きの場合には前記細分化学習事項より上側に表示され、縦書きの場合には前記細分化学習事項より右側に表示されていることが望ましい。
【0013】
この場合に、本発明に係るステップ式学習用教材は、更に、表紙を備え、
当該表紙には、当該ステップ式学習用教材の名称、対象学年、学習内容、学習者の目標、及び、使い方からなる群のいずれか一が表示されていることが望ましい。
【0014】
上記課題を解決するために、本発明に係る学習指導システムは、
学習者数と同数以上の同種の本発明に係るステップ式学習用教材からなる学習用教材セットを用いた学習指導システムであって、
前記同種の学習用教材セットとは異なる少なくとも一の異種の学習用教材セットと、
多角形状、円若しくは楕円形状その他の指導者囲繞形状に配置されたテーブルその他の載置手段と、を備え、
前記各学習用教材セットは種類毎に前記載置手段に並べて配置されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るステップ式学習用教材は、条件・事項や単語・文章を細分化した細分化学習事項が片面に表示された複数のプリントを備え、当該複数のプリントが前記片面を表学習面として最初の細分化学習事項から最後の細分化学習事項に至るまで、当該各細分化学習事項を単一の細分化学習事項ずつ増加させながら、順番に綴じられているものであるから、
(1)学習者は、捲る・読む・写すという作業を繰り返すことにより、細分化された問いかけに応え、これにより学習者が知識や能力を身につけることができる、
(2)学習者は、指導者が居なくても一人で学習することができる、
(3)学習者は、達成の手順を自覚(例えば、達成感が得られる等、以下同じ。)することができる、
(4)学習者は、体を動かす(例えば、捲るという作業や学習指導システムで使用される場合における席の移動をいう、以下同じ。)ことにより脳の活性化を図ることができる、
(5)指導者の指導方法にブレがない、
(6)エラーレスラーニングを実現できる、
という効果がある。
【0016】
本発明に係るステップ式学習用教材を用いた学習指導システムは、
学習者数と同数以上の同種の本発明に係るステップ式学習用教材からなる学習用教材セットを用いた学習指導システムであって、
前記同種の学習用教材セットとは異なる少なくとも一の異種の学習用教材セットと、
多角形状、円若しくは楕円形状その他の指導者囲繞形状に配置されたテーブルその他の載置手段と、を備え、
前記各学習用教材セットは種類毎に前記載置手段に並べて配置されているものであるから、
(1)学習者は、捲る・読む・写すという作業を繰り返すことにより、細分化された問いかけに応え、これにより学習者が知識や能力を身につけることができる、
(2)学習者は、達成の手順を自覚することができる、
(3)学習者は、体を動かすことにより脳の活性化を図ることができる、
(4)指導者が移動しやすく学習者が複数人いても指導しやすい、
(5)指導者の指導方法にブレがない、
(6)エラーレスラーニングを実現できる、
という効果がある。
【0017】
本発明に係るステップ式学習用教材は、前記片面に表示されたヒントが、当該複数のプリントが横書きの場合には前記細分化学習事項より上側に表示され、縦書きの場合には前記細分化学習事項より右側に表示されていると、学習者の学習効率が更に高まるという効果がある。
【0018】
本発明に係るステップ式学習用教材は、表紙に、当該ステップ式学習用教材の名称、対象学年、学習内容、学習者の目標、及び、使い方からなる群のいずれか一が表示されていると、
(1)これを用いた学習指導システムを構築するときにステップ式学習用教材の配置がしやすい、
(2)学習者や指導者が一見で使用すべき学習用教材を見つけることができる、
という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るステップ式学習用算数学習用教材(以下単に「算数学習用教材」という)Aの表紙100の一例を示す図である。
【図2A】算数学習用教材Aのプリント101の表学習面の一例を示す図である。
【図2B】算数学習用教材Aのプリント102の表学習面の一例を示す図である。
【図2C】算数学習用教材Aのプリント103の表学習面の一例を示す図である。
【図2D】算数学習用教材Aのプリント104の表学習面の一例を示す図である。
【図2E】算数学習用教材Aのプリント105の表学習面の一例を示す図である。
【図2F】算数学習用教材Aのプリント106の表学習面の一例を示す図である。
【図3】算数学習用教材Bの表紙200の一例を示す図である。
【図4A】算数学習用教材Bのプリント201の表学習面の一例を示す図である。
【図4B】算数学習用教材Bのプリント202の表学習面の一例を示す図である。
【図4C】算数学習用教材Bのプリント203の表学習面の一例を示す図である。
【図4D】算数学習用教材Bのプリント204の表学習面の一例を示す図である。
【図4E】算数学習用教材Bのプリント205の表学習面の一例を示す図である。
【図4F】算数学習用教材Bのプリント206の表学習面の一例を示す図である。
【図5】算数学習用教材Cの表紙300の一例を示す図である。
【図6A】算数学習用教材Cのプリント301の表学習面の一例を示す図である。
【図6B】算数学習用教材Cのプリント302の表学習面の一例を示す図である。
【図6C】算数学習用教材Cのプリント303の表学習面の一例を示す図である。
【図6D】算数学習用教材Cのプリント304の表学習面の一例を示す図である。
【図6E】算数学習用教材Cのプリント305の表学習面の一例を示す図である。
【図6F】算数学習用教材Cのプリント306の表学習面の一例を示す図である。
【図6G】算数学習用教材Cのプリント316の表学習面の一例を示す図である。
【図6H】算数学習用教材Cのプリント307の表学習面の一例を示す図である。
【図6I】算数学習用教材Cのプリント308の表学習面の一例を示す図である。
【図7】本発明の一実施形態に係るステップ式学習用国語学習用教材(以下単に「国語学習用教材」という)Dの手本410の一例を示す図である。
【図8】国語学習用教材Dの表紙400の一例を示す図である。
【図9A】国語学習用教材Dのプリント401の表学習面の一例を示す図である。
【図9B】国語学習用教材Dのプリント402の表学習面の一例を示す図である。
【図9C】国語学習用教材Dのプリント403の表学習面の一例を示す図である。
【図9D】国語学習用教材Dのプリント404の表学習面の一例を示す図である。
【図9E】国語学習用教材Dのプリント405の表学習面の一例を示す図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る学習用教材を用いた学習指導システム500の一例を示す図である。
【図11】学習用教材A〜Dの使い方を説明するための図である。
【符号の説明】
【0020】
A,B,C 算数学習用教材
D 国語学習用教材
100,200,300,400 表紙
101〜106,201〜206,301〜308,401〜405 プリントの表学習面
316 思考転換プリント
410 手本
500 学習指導システム
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
(第一の実施形態)
図1は本発明の第一の実施形態に係る算数学習用教材Aの表紙100を示し、図2A〜図2Fは算数学習用教材Aのプリント101〜106を示す。算数学習用教材Aは、教科書その他の学習教材に掲載されている学習事項や問題・課題等を解けるように又は理解できるように導くための教材である。
従って、本実施形態における算数学習用教材Aは、その元となる教科書その他の学習教材には、「長いす1きゃくに4人すわれるとします。6人がすわるためには長いすがなんきゃくいりますか」という問題が掲載された場合を例として、当該問題を解くまでの手順をプリント101〜106に示したものである。
表紙100は、算数学習用教材Aの名称100a、対象学年100b、学習内容100c、学習者の目標100d、及び、使い方100eが表示されている。そのため、これを用いた学習指導システム500(後述する)を構築するときに算数学習用教材Aの配置がしやすい、学習者や指導者が一見で使用すべき学習用教材を見つけることができる。
【0022】
プリント101〜106は、複数の紙媒体等(これに準ずる電子媒体、例えば、iPad(登録商標)のようなタブレット型コンピュータに複数ページにわたって表示されるものを含む)からなる。プリント101〜106は、ノートN(図11参照)のマス目と同じマス目が描かれたものであり、上部二箇所が綴じられる。更に、プリント101〜106は、その材質が紙である場合には、捲る操作がしやすいものとする。
プリント101〜106は、当該紙媒体等からなる教科書その他の学習教材に掲載された、問題(又は課題)を、
(1)解くための条件(又は解決するための条件)、
(2)解くために考えるべき事項(又は解決するために考えるべき事項)、及び/又は、
(3)解くために達成すべき課題等を、
1ステップ毎に細分化した細分化学習事項として条件・事項・課題101a,102a〜102b,103a〜103c,104a,105a,106a〜106bがそれぞれに片面に表示される。プリント101〜106は、その片面を表学習面として、同一方法(例えば、表学習面が常に上面にくる方法)で綴じられる。従って、学習者がプリント101〜106を捲れば次に解くべきプリントが出てくるため学習者は単純な作業で済む。また、一枚ずつプリントを捲った後に声を出して読ませ、筆写させることにより、学習者に条件・事項・課題101a〜106bを記憶として定着させることができる。
【0023】
条件・事項・課題101a,102a〜102b,103a〜103c,104a,105a,106a〜106bは、最初の細分化学習事項から最後の細分化学習事項に至るまで、当該各細分化学習事項を単一の細分化学習事項ずつ増加させながら、順番に綴じられている。本実施形態においては、以下の(1)〜(6)、すなわち、
(1)条件・事項・課題101a,
(2)条件・事項・課題102a〜102b,
(3)条件・事項・課題103a〜103c,
(4)条件・事項・課題104a,
(5)条件・事項・課題105a,及び,
(6)条件・事項・課題106a〜106b、
の順番が、問題を解くための考え方の手順になっている(尚、符号a〜b…とあるのは、「単一の細分化学習事項をこなすための考える事項」の順番、すなわち、「問題を解くために考える事項、達成すべき課題」の順番になっている。)。
また、上記(1)〜(6)は、細分化学習事項(条件・事項・課題)を単一の細分化学習事項ずつ増加させたものとなっている。例えば、プリント102では、プリント101の内容に加えて、条件・事項・課題102a〜102bが追加されている。プリント103〜106もまた、直前のプリントの内容に新たな単一の細分化学習事項を追加したものである。そのため、学習者に単に条件・事項・課題101a〜106bを記憶として定着させることができるだけでなく、達成の手順を自覚させることができる。
【0024】
プリント101〜106は、表学習面に、更に、ヒント101A〜106Aが表示される。ヒント101A〜106Aは、算数学習用教材Aのように、プリント101〜106が横書きの場合には条件・事項・課題より上側に表示される。従って、学習者に最も重要なことを視覚を通じて直感的に認識させることができる。
従って、学習者は、「長いす1きゃくに4人すわれるとします。6人がすわるためには長いすがなんきゃくいりますか」という問題の場合、学習者はページ(各プリント)を順番に捲りながら、ヒント101A〜106A及び/又は条件・事項・課題101a〜106bを声に出して読み上げ、一つずつ追加される事項を自分で考えて書く(最悪でも単に写す)という作業を繰り返すことにより、細分化された問いかけに応える作業を繰り返すこととなる。これにより学習者は、知識や能力を身につけることができ、更に、体を動かすことになるため、脳の活性化を図ることができる。算数学習用教材Aは、このような使い方ができるため、学習者は、指導者が居なくても一人で学習することができる。
【0025】
(第二の実施形態)
図3は本発明の第二の実施形態に係る算数学習用教材Bの表紙200を示し、図4A〜図4Fは算数学習用教材Bのプリント201〜206を示す。算数学習用教材Bは、その元となる教科書その他の学習教材に、「はこをかきましょう」という課題が掲載された場合を例として、当該課題を解決するまでの手順をプリント201〜206に示したものである。
表紙200は、算数学習用教材Bの名称200a、学習内容200c、学習者の目標200d、及び、使い方200eが表示されている。表紙200は、その他の構成・作用効果が表紙100と同様であるため、表紙100についての説明をもって表紙200の説明に代える。
【0026】
プリント201〜206には、「はこをかく」という課題を1ステップ毎に細分化した細分化学習事項として条件・事項・課題201a〜206aがそれぞれに片面に表示される。また、プリント201〜206には、ヒント201A〜206Aが表示される。「はこをかく」という課題の場合、学習者はページ(各プリント)を順番に捲りながら、ヒント201A〜206Aを声に出して読み上げ、一つずつ追加される事項を写す作業で「はこをかく」ことができる。プリント201〜206は、その他の構成・作用効果がプリント101〜106と同様であるため、プリント101〜106についての説明をもってプリント201〜206の説明に代える。
【0027】
(第三の実施形態)
図5は本発明の第三の実施形態に係る算数学習用教材Cの表紙300を示し、図6A〜図6Iは算数学習用教材Cのプリント301〜306,316,307〜308を示す。算数学習用教材Cは、その元となる教科書その他の学習教材に、「あまりのあるわり算 10÷3をときましょう」という問題が掲載された場合を例として、当該問題を解くまでの手順をプリント301〜306,316,307〜308に示したものである。
表紙300は、算数学習用教材Cの名称300a、対象学年300b、学習内容300c、学習者の目標300d、及び、使い方300e、習熟度別コメント300fが表示されている。表紙300は、その他の構成・作用効果が表紙100と同様であるため、表紙100についての説明をもって表紙300の説明に代える。
【0028】
プリント301〜306,307〜308には、「あまりのあるわり算 10÷3をときましょう」という問題を1ステップ毎に細分化した細分化学習事項として条件・事項・課題301a〜308aがそれぞれに片面に表示される。また、プリント301〜306,307〜308には、ヒント301A〜308Aが表示される。「あまりのあるわり算 10÷3をときましょう」という課題の場合、学習者はページ(各プリント)を順番に捲りながら、ヒント301A〜308Aを声に出して読み上げ、一つずつ追加される事項を写す作業で「10÷3」という問題を解くことができる。プリント301〜306,307〜308は、その他の構成・作用効果がプリント101〜106等と同様であるため、プリント101〜106についての説明をもってプリント301〜306,307〜308の説明に代える。
【0029】
ここで、第三の実施形態が第一及び第二の実施形態と異なる構成について説明する。
まず、条件・事項・課題302a,303aは、網掛けにされている。これは、九九をまだ覚えていない(又は覚えきれていない)学習者のためのものである。そこで、網掛け部分については「暗記していたら書かなくてもいいよ」と指示しておけば、既に九九を暗記している学習者への対処となる。
また、条件・事項・課題303aは、九九の3のだんを書き出したものである。304aには○印が付けられ、304bには×印が付けられている。これは、わり算をするときに「わられる数」が「わる数×商」よりも大きくならない最大の数が答えになることを学習者に示唆する。このように、プリント301〜306には、学習者の理解を促す表示を盛り込んでもよい。
【0030】
次に、符号316で示すプリントは、学習者に「これからすべきことを自分で見つけ出させる」ための思考転換プリント316である。思考転換プリント316は、自分で理解しながら先へ進めることができる学習者の場合には特に必要ないが、理解度が低い学習者の場合には、プリント301〜306,307〜308では、単に、捲る・読む・写すという作業に留まっている場合がある。そこで、思考転換プリント316では、学習者自らに考えさせるためのコメント316aとして、例えば、「つぎは、なにをする?」といった学習者に思考を促すための言葉が掲載される。思考転換プリント316は、換言すれば「空白のページ」ともいえ、学習者に更なる学習意欲を沸かせるためのページである。
【0031】
(第四の実施形態)
図7は本発明の第四の実施形態に係る国語学習用教材Dの手本410を示し、図8は国語学習用教材Dの表紙400を示し、図9A〜図9Eは国語学習用教材Dのプリント401〜405を示す。国語学習用教材Dは、その元となる教科書その他の学習教材に、手本410に掲載された文章を「暗記すべき単語・文章(以下単に「単語・文章」という)」として、当該文章を全て筆写する練習手順をプリント401〜405に示したものである。
表紙400は、国語学習用教材Dの名称400a、学習内容400c、学習者の目標400d、及び、使い方300eが表示されている。表紙400は、その他の構成・作用効果が表紙100等と同様であるため、表紙100についての説明をもって表紙300の説明に代える。
【0032】
プリント401〜405には、手本410に掲載された文章を一文毎に細分化した細分化学習事項として条件・事項・課題401a〜405aがそれぞれに片面に表示される。国語学習用教材Dのように言葉そのものを覚えることが必要である場合には、プリント401〜405には、ヒント401A〜405Aとして欄が設けられるが具体的なヒントは少なくともプリント401〜404までには表示されず、最後のプリント405にのみ、ヒント405Aとして課題達成を示す「できあがり」が表示される。このように「文章をおぼえましょう」という課題の場合、学習者はページ(各プリント)を順番に捲りながら、条件・事項・課題401a〜405aを声に出して読み上げ、一つずつ追加される事項を写す作業で「文章をおぼえましょう」という課題に取り組むことができる。学習者がこれを繰返し行うことにより、学習者は自然に文章を覚えるという課題を達成することができる。プリント401〜405は、その他の構成・作用効果がプリント101〜106等と同様であるため、プリント101〜106についての説明をもってプリント401〜405の説明に代える。
【0033】
(第五の実施形態)
(学習指導システム500の構成)
図10は本発明の一実施形態に係る算数学習用教材A〜C及び/又は国語学習用教材D(以下単に、「学習用教材A〜D」という)を用いた学習指導システム500の構成を示す図であり、図11は学習用教材A〜Dの使用方法を説明するための図である。
これらの図において、学習指導システム500は、一の学習用教材セットを用いた学習指導システムである。ここで、学習用教材セットとは、学習者数と同数以上の同種(同種とは、本明細書においては、全く同じ内容の学習用教材を指す)の学習用教材群を意味する。学習指導システム500は、
(1)一の学習用教材セットとは異なる少なくとも一の他の学習用教材セット(他の学習用教材セットとは、本明細書においては、同一科目であっても内容が異なれば他の学習用教材セットに該当するものとする)と、
(2)多角形状、円若しくは楕円形状その他の指導者囲繞形状に配置されたテーブルT…とを備える。
【0034】
図10に示す学習指導システム500は、原則として2人の学習者用を想定したものであり(席が8席あるため、8人でも使用は可能)、学習用教材セットとして、2冊の学習用教材Aからなる学習用教材セット、2冊の学習用教材Bからなる学習用教材セット、2冊の学習用教材Cからなる学習用教材セット、2冊の学習用教材Dからなる学習用教材セットを用いた例を示す。学習指導システム500で使用する学習用教材セットは、本実施形態に限定されるものではなく、学習者数、学習時間、学習レベルに応じて適宜選択・作成・変更して使用することができる。
【0035】
また、図10に示すように学習用教材セットは、同種の学習用教材群をまとめて配置するとよく、簡単な問題及び又は課題から難しい問題及び又は課題へ段階的に学習を進めることができるように順番に配置するとよい。指導者も学習者もどこに何があるのかがすぐわかり、学習指導を進める上での混乱を回避できるとともに、学習者は自分の進度を自覚することができるからである。
【0036】
(学習指導システム500の使用準備)
学習指導システム500の使用方法について説明する。図10に示したように、テーブルT…を囲繞形状に配置する(例えば、2人掛け全4つ)とともに、椅子CH…を各テーブルT…の大きさや学習者数に合わせて(例えば、2脚ずつ、全8脚)配置する。次いで、学習用教材A〜Dを学習者の数(例えば、2冊)ずつ、各々同じテーブルT…に各学習者が各椅子CH…に座ったときに各学習者の目前に来るように配置する。各テーブルT…には、筆記具、消しゴム、定規類が必要数配置される。
【0037】
(学習指導システム500の使用方法)
学習指導システム500の使用方法について説明する。
(1)指導者はテーブルT…に囲まれた位置に立って、各学習者を学習用教材Aが配置されている椅子CH…へ着席させる。指導者は、学習者にテーブルT…にある筆記具等を使用させるようにする。また、鉛筆削りを準備できる場合には、指導者は、各学習者が各学習用教材A〜Dを解けた後に、鉛筆を削って元に戻すように使用する。
(2)指導者は各学習者に学習用教材A(B〜D)を解かせる。このときの学習者の基本操作は次の通りである。すなわち、
一 「めくる」…「ペロン」と言って、ページをめくる(指を動かす)、
二 「読 む」…作業内容を声に出して読む(声を出す)、
三 「写 す」…そっくりそのままノートNに写す(書く)、という操作である。指導者は学習を開始する時に、上記を実演すると学習者が学習しやすい。また、「読む」場合は、ヒント及び/又は条件・事項・課題を読ませるようにしてもよい。この方法によればスモールステップ毎に基本操作を繰り返すだけでよく、あらゆる学習者に集中させやすい。また、学習者が一度やり方を覚えれば、自分一人で学習を進めることができる。
尚、学習者が学習する場合の学習用教材A〜D及び学習者自身のノートNの配置は図11(a)の通りである。すなわち、指導者は学習者が右利きの場合には、学習者に左手で捲らせ右手で鉛筆を持たせて学習させる。指導者は、めくり方についても、同図(b)に示すように学習者に「ただ捲る」を徹底させるべく、捲ったら「写すページ」の下に折り込まないように指導する。
(3)指導者は各学習者が学習用教材A(B〜D)を解けたら提出させる。
(4)指導者は当該学習者のノートNを見て評価する。指導者を囲繞するようにテーブルT…が配置されているため、さほど移動する必要がない。また、指導者は評価する時に、「褒める・励ます」ことを中心に学習者に声を掛け、個別に「ふれあう」時間を確保するように努めるとよい。
(5)指導者は評価が終わったら、当該学習者を次の学習用教材B(C〜D)が配置されている椅子CH…へ移動させる。
(6)上記(1)〜(5)を繰返し行う。
【0038】
以上本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、作図方法、文章問題の解き方、理科・社会の問題及び又は課題等多くの問題及び又は課題に対応することができる。また、保護者にも指導方法を理解してもらうことにより、家庭学習に活かしてもらうことが期待される。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明に係るステップ式学習用教材及びこれを用いた学習指導システムは、学校その他の教育施設並びに自宅において、スモールステップで学習ができるため、あらゆる学習者が使用でき、更に、ステップ毎に場所を移動するため、達成の様子を自覚できる。また、本発明によれば、学習者が手を動かす、声を出す、移動する等、体を動かすため、脳の働きを活性化させることができる。従って、本発明に係るステップ式学習用教材及びこれを用いた学習指導システムは、学習教材関連産業の振興に寄与するものとなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
教科書その他の学習教材に掲載された、問題を解くための条件,考えるべき事項及び/又は達成すべき課題(以下単に「条件・事項・課題」という)や暗記すべき単語・文章(以下単に「単語・文章」という)を細分化した細分化学習事項が片面に表示された複数のプリントを備え、
当該複数のプリントが前記片面を表学習面として最初の細分化学習事項から最後の細分化学習事項に至るまで、当該各細分化学習事項を単一の細分化学習事項ずつ増加させながら、順番に綴じられていることを特徴とするステップ式学習用教材。
【請求項2】
前記片面は、更に、ヒントが表示され、
当該ヒントは、当該複数のプリントが横書きの場合には前記細分化学習事項より上側に表示され、縦書きの場合には前記細分化学習事項より右側に表示されていることを特徴とする請求項1に記載のステップ式学習用教材。
【請求項3】
更に、表紙を備え、
当該表紙には、当該ステップ式学習用教材の名称、対象学年、学習内容、学習者の目標、及び、使い方からなる群のいずれか一が表示されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のステップ式学習用教材。
【請求項4】
学習者数と同数以上の同種の請求項1〜3のいずれかに記載のステップ式学習用教材からなる学習用教材セットを用いた学習指導システムであって、
前記同種の学習用教材セットとは異なる少なくとも一の異種の学習用教材セットと、
多角形状、円若しくは楕円形状その他の指導者囲繞形状に配置されたテーブルその他の載置手段と、を備え、
前記各学習用教材セットは種類毎に前記載置手段に並べて配置されていることを特徴とする学習指導システム。
【請求項1】
教科書その他の学習教材に掲載された、問題を解くための条件,考えるべき事項及び/又は達成すべき課題(以下単に「条件・事項・課題」という)や暗記すべき単語・文章(以下単に「単語・文章」という)を細分化した細分化学習事項が片面に表示された複数のプリントを備え、
当該複数のプリントが前記片面を表学習面として最初の細分化学習事項から最後の細分化学習事項に至るまで、当該各細分化学習事項を単一の細分化学習事項ずつ増加させながら、順番に綴じられていることを特徴とするステップ式学習用教材。
【請求項2】
前記片面は、更に、ヒントが表示され、
当該ヒントは、当該複数のプリントが横書きの場合には前記細分化学習事項より上側に表示され、縦書きの場合には前記細分化学習事項より右側に表示されていることを特徴とする請求項1に記載のステップ式学習用教材。
【請求項3】
更に、表紙を備え、
当該表紙には、当該ステップ式学習用教材の名称、対象学年、学習内容、学習者の目標、及び、使い方からなる群のいずれか一が表示されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のステップ式学習用教材。
【請求項4】
学習者数と同数以上の同種の請求項1〜3のいずれかに記載のステップ式学習用教材からなる学習用教材セットを用いた学習指導システムであって、
前記同種の学習用教材セットとは異なる少なくとも一の異種の学習用教材セットと、
多角形状、円若しくは楕円形状その他の指導者囲繞形状に配置されたテーブルその他の載置手段と、を備え、
前記各学習用教材セットは種類毎に前記載置手段に並べて配置されていることを特徴とする学習指導システム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図6H】
【図6I】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10】
【図11】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図2D】
【図2E】
【図2F】
【図3】
【図4A】
【図4B】
【図4C】
【図4D】
【図4E】
【図4F】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図6E】
【図6F】
【図6G】
【図6H】
【図6I】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−112997(P2012−112997A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259358(P2010−259358)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(510307716)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(510307716)
[ Back to top ]