説明

ステロイド組成物

本発明では、治療有効量の少なくとも1つのステロイドを個体に提供するために好適なステロイド含有化合物を提供する。本発明では、治療上有効かつ安全な量のテストステロンを長時間にわたって提供するために好適なテストステロン及び/又はテストステロン誘導体を含む組成物を提供する。個体に本明細書で記載される組成物を投与することにより、個体におけるアンドロゲン欠乏症及び/又はテストステロン欠乏症を治療する方法をさらに提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照することによって本明細書に組み込まれる、2009年1月8日付で出願された米国出願第12/350,930号の恩恵を主張する。
【0002】
テストステロンは人間の健康に非常に重要なアンドロゲン化合物である。本明細書で記載される本発明のある実施形態は、概して、テストステロン、テストステロン類似体、他のステロイド類及び関連する化合物を投与するための組成物に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明のある実施形態で提供するのは、治療有効量の1以上のテストステロンアルキルエステル及び少なくとも1つの薬剤的に許容される担体を含む遅延放出経口投与製剤であり、この場合、当該遅延放出経口投与製剤の単回投与は、同じ量のテストステロンアルキルエステルを有する即時放出経口投与製剤の単回投与によって得られるテストステロンの平均血漿Cmaxよりも少なくとも5%、少なくとも10%又は少なくとも15%低いテストステロンの平均血漿Cmaxを提供する。いくつかの実施形態において、本発明で提供するのは、遅延放出経口投与製剤であり、この場合、当該遅延放出経口投与製剤の単回投与は、同じ量のテストステロンアルキルエステルを有する即時放出経口投与製剤の単回投与により得られるテストステロンアルキルエステルの平均血漿Cmaxよりも少なくとも5%、少なくとも10%又は少なくとも15%低いテストステロンアルキルエステルの平均血漿Cmaxを提供する。ある実施形態では、本明細書で記載される遅延放出経口投与製剤の単回投与は、同じ量のテストステロンアルキルエステルを有する即時放出経口投与製剤の単回投与により得られるジヒドロテストステロンの平均血漿Cmaxよりも少なくとも5%低い平均血漿Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される遅延放出経口投与製剤は、同じ量のテストステロンアルキルエステルを有する即時放出経口投与製剤により得られる定常状態でのテストステロンアルキルエステルの平均血漿Cmaxよりも少なくとも5%、少なくとも10%又は少なくとも15%低いテストステロンアルキルエステルの定常状態での平均血漿Cmaxを提供する。ある実施形態では、本明細書で記載される遅延放出経口投与製剤は、同じ量のテストステロンアルキルエステルを有する即時放出経口投与製剤の定常状態でのテストステロンの変動指数よりも少なくとも5%、又は少なくとも10%低い定常状態でのテストステロンの変動指数を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される遅延放出経口投与製剤は、同じ量のテストステロンアルキルエステルを有する即時放出経口投与製剤の定常状態でのテストステロンアルキルエステルの変動指数よりも少なくとも5%、又は少なくとも10%低い定常状態でのテストステロンアルキルエステルの変動指数を提供する。いくつかの実施形態では、遅延放出経口投与製剤の単回投与は、同じ量のテストステロンアルキルエステルを有する即時放出経口投与製剤の単回投与の経口投与後1時間で得られるテストステロンの平均血漿濃度よりも少なくとも20%低い、遅延放出経口投与製剤の経口投与後1時間で得られるテストステロンの平均血漿濃度を提供する。
【0004】
本発明におけるある実施形態で提供するのは、治療有効量の1以上のテストステロンアルキルエステル及び少なくとも1つの薬剤的に許容される担体を含む医薬組成物である。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物の単回投与は、経口投与により約15ng/mL以下;又は約19ng/mL以下であるテストステロンの平均血漿Cmaxを提供する。ある実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物の単回投与は、経口投与により約4.5ng/mL、又は約3.6ng/mL以下のジヒドロテストステロンの平均血漿Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物は、約1300ng/dL以下の定常状態でのテストステロン平均血漿Cmaxを提供する。ある実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物は、約200ng/dL以上の定常状態でのテストステロン平均血漿Cminを提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は個体に投与されると、約500×10mL以下の(アルキルエステルから得られるテストステロン同等用量)/(平均定常状態テストステロンCmax)比を提供する。ある実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物により得られる、定常状態でのテストステロンの平均血漿Cmaxと定常状態でのテストステロンの平均血漿Cminとの差は、約11ng/mL以下、又は約16ng/mL以下である。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物によって得られる、テストステロンアルキルエステルの定常状態での平均血漿Cmaxと定常状態での平均血漿Cminとの差は、約275ng/mL以下;又は約200ng/mL以下である。ある実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物の単回投与は、経口投与で約150ng/dL以下の1時間後のテストステロンの平均血漿濃度を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物の単回投与は、経口投与で約500ng/dL以下の2時間後のテストステロンの平均血漿濃度を提供する。
【0005】
ある実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物は、水性媒体中に、約1時間後に約50%以下のテストステロンアルキルエステル及び/又は約30分後に約80%以下のテストステロンアルキルエステルを放出する。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物は、水性媒体中に、約30分後に約20%以下のテストステロンアルキルエステルを放出する。ある実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物は、水性媒体中に、約3時間後に95%未満のテストステロンアルキルエステルを放出する。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物は、水性媒体中に12時間以内で80%を越えるテストステロンアルキルエステルを放出する。数例では、水性媒体はUSPII型(パドル)装置中、37±0.5℃及び100rpmの条件で存在する。さらに具体的な例では、水性媒体は、8%w/vのTriton X−100を含む約1LのDI水である。
【0006】
ある実施形態では、本明細書で記載されるのは、テストステロンアルキルエステル(たとえば、固体PEG中に配合されたテストステロンアルキルエステル)を含む遅延放出経口投与製剤である。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物は、遅延放出経口投与製剤である。ある実施形態では、遅延放出経口投与製剤は任意の好適な方法で処方される。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される遅延放出経口投与製剤の単回投与は、同じ量のテストステロンアルキルエステルを有する即時放出経口投与製剤の単回投与により得られるテストステロンの平均血漿Cmaxよりも少なくとも約5%、少なくとも10%又は少なくとも15%低いテストステロンの平均血漿Cmaxを提供する。ある実施形態では、本明細書で記載される遅延放出経口投与製剤の単回投与は、同じ量のテストステロンアルキルエステルを有する即時放出経口投与製剤の単回投与により得られるテストステロンアルキルエステルの平均血漿Cmaxよりも少なくとも約5%、少なくとも10%又は少なくとも15%低いテストステロンアルキルエステルの平均血漿Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される遅延放出経口投与製剤の単回投与は、同じ量のテストステロンアルキルエステルを有する即時放出経口投与製剤の単回投与により得られるジヒドロテストステロンの平均血漿Cmaxよりも少なくとも5%低い平均血漿Cmaxを提供する。ある実施形態では、本明細書で記載される遅延放出経口投与製剤は、同じ量のテストステロンアルキルエステルを有する即時放出口投与製剤により得られる定常状態でのテストステロンアルキルエステルの平均血漿Cmaxよりも少なくとも約5%、少なくとも10%又は少なくとも15%低いテストステロンアルキルエステルの定常状態での平均血漿Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される遅延放出経口投与製剤は、同じ量のテストステロンアルキルエステルを有する即時放出経口投与製剤の定常状態でのテストステロンの変動指数よりも少なくとも10%低い定常状態でのテストステロンの変動指数を提供する。ある実施形態では、本明細書で記載される遅延放出経口投与製剤は、同じ量のテストステロンアルキルエステルを有する即時放出経口投与製剤の定常状態でのテストステロンアルキルエステルの変動指数よりも少なくとも10%低い定常状態でのテストステロンアルキルエステルの変動指数を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される遅延放出経口投与製剤の単回投与は、同じ量のテストステロンアルキルエステルを有する即時放出経口投与製剤の単回投与の経口投与後1時間で得られるテストステロンの平均血漿濃度よりも少なくとも20%低い、遅延放出経口投与製剤の経口投与後1時間で得られるテストステロンの平均血漿濃度を提供する。
【0007】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載される任意の医薬組成物又は経口投与形態において提供される1以上のテストステロンアルキルエステルは、ウンデカン酸テストステロンであるか又はウンデカン酸テストステロンを含む。ある実施形態では、本明細書で記載される任意の医薬組成物又は経口投与形態は、約10mg〜約400mg、又は約10mg〜約1000mgのテストステロンアルキルエステルを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される任意の医薬組成物又は経口投与形態は、約10mg〜約300mgのテストステロンアルキルエステルを含む。ある実施形態では、本明細書で記載される任意の医薬組成物又は経口投与形態は、約10mg〜約240mgのテストステロンアルキルエステルを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される任意の医薬組成物又は経口投与形態は、約10mg〜約150mgのテストステロンアルキルエステルを含む。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される任意の医薬組成物又は経口投与形態は、約120mgのテストステロンアルキルエステルを含む。
【0008】
ある実施形態では、本明細書で記載される任意の医薬組成物又は経口投与形態の少なくとも1つの薬剤的に許容される担体は、少なくとも1つの親水性担体を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される任意の医薬組成物又は経口投与形態の少なくとも1つの薬剤的に許容される担体は、少なくとも1つの親油性担体を含む。ある実施形態では、本明細書で記載される任意の医薬組成物又は経口投与形態の少なくとも1つの薬剤的に許容される担体は、少なくとも1つの粘度向上剤又は凝固剤を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの親水性担体は、親水性トリグリセリドを含む。具体的な実施形態では、親水性トリグリセリドは、ポリオキシル化ヒマシ油、又はポリオキシル化水素化ヒマシ油である。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態で提供するのは、アンドロゲン欠乏症の治療を必要とする個体において、本明細書で記載される任意の経口投与形態又は医薬組成物を前記個体に対して投与することにより、アンドロゲン欠乏症を治療する方法である。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物又は経口投与形態を1日につき2回投与する。ある実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物又は経口投与形態を食事とともに投与する。
【0010】
本発明のある実施形態で提供するのは、治療有効量のウンデカン酸テストステロンを含む組成物をヒトに経口送達することによって、アンドロゲン療法を必要とするヒトに提供する経口ウンデカン酸テストステロン療法である。いくつかの実施形態では、経口ウンデカン酸テストステロン療法は、ヒト(たとえば、ヒト男性)において組成物を1回投与した後に、約15ng/mL未満;又は約19ng/mL未満のテストステロンの平均Cmaxを提供する。ある実施形態では、経口ウンデカン酸テストステロン療法は、ヒト(たとえば、ヒト男性)に対して、組成物を1回投与した後に、約3.6ng/mL以下;又は約4.5ng/mL以下のジヒドロテストステロンの平均血漿Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、経口ウンデカン酸テストステロン療法は、ヒト(たとえば、ヒト男性)に対して、約1300ng/dL以下の定常状態でのテストステロン平均血漿Cmaxを提供する。ある実施形態では、経口ウンデカン酸テストステロン療法は、ヒト(たとえば、ヒト男性)に対して、約200ng/dL以上の定常状態でのテストステロン平均血漿Cminを提供する。いくつかの実施形態では、経口ウンデカン酸テストステロン療法は、ヒト(たとえば、ヒト男性)に対して約15以下の(定常状態でのテストステロンの平均Cmax)/(用量)比を提供する。具体的な実施形態では、この比は15以下、又は13以下である。いくつかの実施形態において、本発明で提供するのは、個体に投与すると、約500×10mL以下の(テストステロンC〜C13アルキルエステル用量(mg))/(平均定常状態テストステロンCmax(mg/mL))比、つまり(テストステロンアルキルエステルから得られるテストステロンの同等用量)/(平均定常状態テストステロンCmax)比を提供する医薬組成物である(たとえば、テストステロン欠乏症の個体に1日2回又は1日1回投与した場合)。ある実施形態では、経口ウンデカン酸テストステロン療法は、ヒト(たとえば、ヒト男性)に対して、定常状態でのテストステロンの平均血漿Cmaxと定常状態でのテストステロンの平均血漿Cminとの差を約11ng/mL以下、又は約16ng/mL以下とする。いくつかの実施形態では、経口ウンデカン酸テストステロン療法は、ヒト(たとえば、ヒト男性)に対して、テストステロンアルキルエステルの定常状態での平均血漿Cmaxと定常状態での平均血漿Cminとの差を約200ng/mL以下;又は約275ng/mL以下とする。ある例において、平均血漿濃度を用いる場合、この値は、統計的に有意な個体集団から得る。
【0011】
本発明におけるある実施形態で提供するのは、(i)治療有効量の1以上のテストステロンC〜C13アルキルエステル;及び(ii)少なくとも1つの薬剤的に許容される担体を含む医薬組成物であり;当該医薬組成物は、約80%以下のテストステロンC〜C13アルキルエステルを30分後に水性媒体中に放出する。ある例において、水性媒体は約37℃で水中に8%w/vのオクトキシノール−9を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される任意の水性媒体は、37±0.5℃で8%w/vのTriton X−100(たとえば、オクチルフェノールエチレンオキシド縮合物;オクトキシノール−9;t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール;t−オクト−C−(OCHCHOH、x=9〜10;CAS番号9002−93−1;Triton X−100は、以前はRohm and Haas Co.が所有する登録商標であったが、現在はUnion Carbideが所有するものである)を含む1Lの脱イオン水であり、100rpm及び37±0.5℃で指定された時間パドル法に付される(USP App2)。いくつかの実施形態では、テストステロンC〜C13アルキルエステルはウンデカン酸テストステロンである。ある実施形態では、医薬組成物は約10mg〜約1000mgのテストステロンC〜C13アルキルエステルを含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、本発明で提供される任意の医薬組成物の単回投与は、(たとえば、テストステロン欠乏個体に対して)経口投与で、約15ng/mL以下;又は約19ng/mL以下のテストステロンの平均血漿Cmaxを提供する。ある実施形態では、本発明で提供される任意の医薬組成物の単回投与は、(たとえば、テストステロン欠乏個体に対して)経口投与すると、約4.5ng/mL以下;又は約3.6ng/mL以下のジヒドロテストステロンの平均血漿Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、本発明で提供される任意の医薬組成物は、経口投与(たとえば、テストステロン欠乏症の個体に1日2回又は1日1回投与)で約1300ng/dL以下の定常状態でのテストステロン平均血漿Cmaxを提供する。ある実施形態では、本発明で提供される任意の医薬組成物は、経口投与(たとえば、テストステロン欠乏症の個体に1日2回又は1日1回投与)で約200ng/dL以上の定常状態でのテストステロン平均血漿Cminを提供する。いくつかの実施形態では、本発明で提供される任意の医薬組成物は、個体への投与(たとえば、経口投与)により、約500×10mL以下の(テストステロンアルキルエステルから得られるテストステロン同等用量)/(平均定常状態テストステロンCmax)比を提供する(たとえば、テストステロン欠乏症の個体に1日2回又は1日1回投与した場合)。
【0013】
いくつかの実施形態では、定常状態でのテストステロンの平均血漿Cmaxと定常状態でのテストステロンの平均血漿Cminとの差は約11ng/mL以下、又は約16ng/mL以下である(たとえば、テストステロン欠乏症の個体に1日2回又は1日1回投与した場合)。いくつかの実施形態では、テストステロンC〜C13アルキルエステルの定常状態での平均血漿Cmaxと定常状態での平均血漿Cminとの差は、約200ng/mL以下;又は約275ng/mL以下である(たとえば、テストステロン欠乏症の個体に1日2回又は1日1回投与した場合)。いくつかの実施形態では、本発明で提供される任意の医薬組成物の単回投与は、経口投与で約150ng/dL以下の1時間後のテストステロンの平均血漿濃度を提供する。ある実施形態では、本発明で提供される任意の医薬組成物の単回投与は、経口投与で、約500ng/dL以下である2時間後のテストステロンの平均血漿濃度を提供する。
【0014】
ある実施形態では、本発明で提供される任意の医薬組成物の少なくとも1つの薬剤的に許容される担体は、少なくとも1つの親水性担体を含む。具体的な実施形態では、親水性担体は親水性トリグリセリドである。さらに具体的な実施形態では、親水性トリグリセリドはポリオキシル化ヒマシ油、又はポリオキシル化水素化ヒマシ油である。いくつかの実施形態では、本発明で提供される任意の医薬組成物は、本質的に親油性担体又は親油性担体の組み合わせからなる。ある実施形態では、本発明で提供される任意の医薬組成物は、親油性担体及び10%w/w未満又は5%w/w未満の親水性担体を含む。
【0015】
本発明におけるある実施形態で提供するのは、(i)治療有効量の1以上のテストステロンC〜C13アルキルエステル;及び(ii)少なくとも1つの薬剤的に許容される担体を含む遅延放出経口投与製剤であり;この場合、遅延放出経口投与製剤の単回投与は、同じ量のテストステロンC〜C13アルキルエステルを有する即時放出経口投与製剤の単回投与により得られるテストステロンの平均血漿Cmaxよりも少なくとも5%低いか;又は少なくとも10%低いテストステロンの平均血漿Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、テストステロンC〜C13アルキルエステルはウンデカン酸テストステロンである。ある実施形態では、医薬組成物は約10mg〜約1000mgのテストステロンC〜C13アルキルエステルを含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、本発明で提供される遅延放出経口投与製剤の単回投与は、同じ量のテストステロンC〜C13アルキルエステルを有する即時放出経口投与製剤の単回投与により得られるテストステロンC〜C13アルキルエステルの平均血漿Cmaxよりも少なくとも5%、少なくとも10%又は少なくとも15%低い平均血漿Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、遅延放出経口投与製剤の用量をヒトに対して1回投与すると、約500×10mL以下の(遅延放出経口投与製剤の用量中に存在するC〜C13アルキルエステルから得られるテストステロン同等用量)/(遅延放出経口投与製剤を1回投与することによって得られる平均血漿テストステロンCmax)比が得られる。ある実施形態では、本発明で提供される遅延放出経口投与製剤の単回投与は、同じ量のテストステロンC〜C13アルキルエステルを含む即時放出経口投与製剤の単回投与により得られるジヒドロテストステロンの平均血漿Cmaxよりも少なくとも5%低い平均血漿Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、遅延放出経口投与製剤のヒトに対する単回投与は、約350×10mL以下の(C〜C13アルキルエステルから得られるテストステロン同等用量)/(遅延放出経口投与製剤の単回投与によって得られる平均血漿ジヒドロキシテストステロンCmax)比を提供する。いくつかの実施形態では、本発明で提供される任意の遅延放出経口投与製剤は、同じ量のテストステロンC〜C13アルキルエステルを有する即時放出経口投与製剤により得られる定常状態でのテストステロンC〜C13アルキルエステルの平均血漿Cmaxよりも少なくとも5%低いか、又は少なくとも10%低い、テストステロンC〜C13アルキルエステルの定常状態での平均血漿Cmaxを提供する(たとえば、テストステロン欠乏個体に対して1日2回又は1日1回投与した場合)。
【0017】
ある実施形態では、本発明で提供される任意の遅延放出経口投与製剤は、少なくとも1つの親水性担体を含む少なくとも1つの薬剤的に許容される担体を含む。具体的な実施形態では、親水性担体は親水性トリグリセリドである。さらに具体的な実施形態では、親水性トリグリセリドはポリオキシル化ヒマシ油、又はポリオキシル化水素化ヒマシ油である。いくつかの実施形態では、本発明で提供される任意の遅延放出経口投与製剤は、本質的に親油性担体又は親油性担体の組み合わせからなる。いくつかの実施形態では、親油性担体は、モノグリセリド、ジグリセリド、ビタミンE化合物、トリグリセリド、脂肪酸、ポリオキシル化脂肪酸、ポリオキシル化トリグリセリド、ポリオキシル化植物油、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。ある実施形態では、本発明で提供される任意の遅延放出経口投与製剤は、親油性担体及び10%w/w未満又は5%w/w未満の親水性担体を含む。
【0018】
本発明におけるいくつかの実施形態で提供するのは、(i)治療有効量の1以上のテストステロンアルキルエステル;及び(ii)少なくとも1つの薬剤的に許容される担体を含む医薬組成物であり;当該医薬組成物は、約60%〜約90%、約60%〜約85%、又は約60%〜約80%のテストステロンアルキルエステルを1時間後に水性媒体中に放出する。ある例では、水性媒体は約37℃で水中に8%w/vのオクトキシノール−9を含む。
【0019】
本発明におけるある実施形態で提供するのは、(i)治療有効量の1以上のテストステロンアルキルエステル;及び(ii)少なくとも1つの薬剤的に許容される担体を含む医薬組成物であり;当該医薬組成物は、約50%以下、約45%以下、又は約40%以下のテストステロンアルキルエステルを6時間後に水性媒体中に放出する。ある例においては、水性媒体は約37℃で水中に8%w/vのオクトキシノール−9を含む。
【0020】
本発明におけるいくつかの実施形態で提供するのは、アンドロゲン欠乏症の治療を必要とする個体においてそれを治療する方法であって、本明細書で記載される医薬組成物または投与形態を前記個体に投与することによる方法である。具体的な実施形態において、本発明で提供するのは、アンドロゲン欠乏症の治療を必要とする個体においてそれを治療する方法であって、前記個体に(i)治療有効量の1以上のテストステロンC〜C13アルキルエステル;及び(ii)少なくとも1つの薬剤的に許容される担体を含む医薬組成物を投与することによる方法である。具体的な実施形態では、医薬組成物は、約80%以下;又は90%以下のテストステロンC〜C13アルキルエステルを30分後に水性媒体中に放出する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は約50%以下のテストステロンC〜C13アルキルエステルを1時間後に水性媒体中に放出する。ある実施形態では、医薬組成物を食事とともに投与する。いくつかの実施形態では、医薬組成物を1日2回又は1日1回投与する。様々な実施形態では、本発明で提供される方法は、本明細書で記載されるような放出又は薬物動態プロファイルを有する。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される経口ウンデカン酸テストステロン療法は、ヒトに対して、約500×10mL以下の(テストステロンC〜C13アルキルエステルからのテストステロン同等用量)/(平均定常状態テストステロンCmax)比を提供する。
【0021】
本発明におけるいくつかの実施形態では、治療有効量のウンデカン酸テストステロンを含む組成物をヒトに経口送達することによってアンドロゲン療法を必要とするヒトに提供する経口ウンデカン酸テストステロン療法もを提供する。いくつかの実施形態では、当該療法は、ヒトに対して、組成物の単回投与後に約15ng/mL未満、又は約19ng/mL未満のテストステロンの平均Cmaxを提供する。ある実施形態では、経口ウンデカン酸テストステロン療法は、組成物の単回投与後に、ヒトに対して約3.6ng/mL以下;又は約4.5ng/mL以下のジヒドロテストステロンの平均血漿Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、経口ウンデカン酸テストステロン療法は、組成物の単回投与後に、ヒトに対して約1300ng/dL以下の定常状態でのテストステロン平均血漿Cmaxを提供する。ある実施形態では、経口ウンデカン酸テストステロン療法は、組成物の単回投与後に、ヒトに対して約200ng/dL以上の定常状態でのテストステロン平均血漿Cminを提供する。いくつかの実施形態では、経口ウンデカン酸テストステロン療法は、ヒトに対して、組成物の単回投与後に約500×10mL以下の(テストステロン同等用量)/(平均定常状態テストステロンCmax)比を提供する。ある実施形態では、経口ウンデカン酸テストステロン療法は、ヒトに対して、定常状態でのテストステロンの平均血漿Cmaxと定常状態でのテストステロンの平均血漿Cminとの差を約11ng/mL以下;又は約16ng/mL以下とする。いくつかの実施形態では、経口ウンデカン酸テストステロン療法は、ヒトに対して、テストステロンアルキルエステル定常状態での平均血漿Cmaxと定常状態での平均血漿Cminとの差を約200ng/mL以下とする。
【0022】
本発明のある実施形態で提供するのは、(i)治療有効量の1以上のテストステロンアルキルエステル;及び(ii)テストステロンアルキルエステルを可溶化する単一の(たとえば、唯一の)脂質成分を含む医薬組成物である。いくつかの実施形態では、本発明で提供するのは、治療有効量のウンデカン酸テストステロンを含む医薬組成物であり;当該医薬組成物は、ウンデカン酸テストステロン以外のテストステロンアルキルエステルを含む以外は同じ医薬組成物と比較して、血漿中のテストステロンアルキルエステルを増大させる。ある実施形態において、本発明で提供するのは、(i)治療有効量の1以上のテストステロンアルキルエステル;及び(ii)少なくとも1つの薬剤的に許容される担体を含む医薬組成物であり;当該医薬組成物は、単回投与として個体に投与される場合、約500×10mL/h以下の(テストステロンアルキルエステルから得られるテストステロン同等物の用量)/(平均定常状態AUC0−∞)比を提供する。
【0023】
本出願で言及される全ての刊行物及び特許出願は、各刊行物又は特許出願が具体的かつ個別に表示されているかのように参照することによって本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本発明の新規特性を添付の請求項で詳細に記載する。本発明の特性及び利点は、本発明の原理がある実施形態において利用される例示的実施形態を記載する以下の詳細な説明及び添付の図面を参照することによってさらによく理解でき、図面は以下の通りである:
【0025】
【図1】37℃及び100rpmでUSP装置2に付したカプセル1〜4の放出特性を示す図である。
【図2】本明細書で記載されるいくつかの経口投与形態及び即時放出性経口用量の投与後の平均血漿テストステロン濃度を示す図である。
【図3】本明細書で記載されるいくつかの経口投与形態及び即時放出性経口用量の投与後の平均血漿ウンデカン酸テストステロン濃度を示す図である。
【図4】本明細書で記載されるいくつかの経口投与形態及び即時放出性経口用量を投与した後の平均血漿ジヒドロテストステロン濃度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明では、医薬組成物及びその使用法を提供する。いくつかの実施形態では、医薬組成物は経口投与形態として経口送達用に処方される。ある実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物は、ステロイド化合物及び少なくとも1つの薬剤的に許容される担体を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物は、ステロイド化合物及び少なくとも1つの薬剤的に許容される担体を含む経口投与形態である。具体的な実施形態では、ステロイド化合物は、ステロイド性アンドロゲン(たとえば、テストステロン、ジヒドロテストステロン、類似体、又はそれらのプロドラッグ)である。ある実施形態では、テストステロンの類似体又はプロドラッグには、たとえばテストステロンのエステルが含まれる。具体的な実施形態では、テストステロンのエステルには、たとえばテストステロンのアルキル(たとえば、直鎖、分岐、環状、不飽和、部分飽和、完全飽和等)エステルが含まれる。特に、テストステロンのアルキルエステルには、非限定的例を挙げると、低級アルキルエステル(たとえば、プロピオン酸テストステロン、エタン酸テストステロン、若しくはウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンC〜C13アルキルエステル)、又は高級アルキルエステル(たとえば、パルミチン酸テストステロンなどのテストステロンC14+アルキルエステル)が含まれる。さらなる実施形態では、テストステロンのアルキルエステルには、非限定的例を挙げると、シクロアルキルアルキルエステル(たとえば、シピオン酸テストステロン)、シクロアルキルエステル、及びアルキルシクロアルキルエステルが含まれる。さらに具体的な実施形態では、テストステロンアルキルエステルはウンデカン酸テストステロンである。ある実施形態では、本明細書で記載されるステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)のアルキルエステル及び/又は他の位置のアルキル基は、場合によって、たとえば1以上のハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基など、又はそれらの組み合わせで置換されている。
【0027】
様々な実施形態では、医薬組成物はアンドロゲン(たとえば、テストステロン)療法のために処方される。ある例において、アンドロゲン療法はアンドロゲン(たとえば、テストステロン)補充療法である。いくつかの実施形態では、アンドロゲン補充療法は、アンドロゲン欠乏症に罹っている個体(たとえば、閉経後の女性、閉経期の女性、性機能不全の女性、更年期の男性、性腺機能低下症の男性等)を治療するため、又はアンドロゲンレベルを増大させる必要がある個体を治療するために利用される。いくつかの実施形態では、アンドロゲン(たとえばテストステロン)補充療法は、たとえば高齢男性においてなど、アンドロゲン(たとえばテストステロン)欠乏症の症状を有すると診断されたか又は症状を示す個体の治療に利用される。
【0028】
本発明におけるある実施形態では、個体集団(たとえば、ヒト成人及び/又は思春期のヒト男性)に投与した場合に、個体集団(単回投与の投与後及び/又は定常状態)の少なくとも85%において1500ng/dL未満のテストステロンの血漿Cmaxを提供する医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物は、個体集団(たとえば、成人及び/又は思春期のヒト男性)に投与した場合に、個体集団(単回投与後及び/又は定常状態)の少なくとも95%において、1800ng/dL未満のテストステロンの血漿Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、経口投与形態は、個体集団(たとえば、成人及び/又は思春期のヒト男性)に投与した場合に、全個体(単回投与後及び/又は定常状態で)において2500ng/dL未満のテストステロンの血漿Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、個体はヒト成人である。具体的な実施形態では、ヒト成人は成人性腺機能低下症又はアンドロゲン欠乏症のヒト男性である。
【0029】
ある例では、正常なヒト男性精巣は毎日4〜8ミリグラムのテストステロンを産生し、ヒト女性は産生量がより少ない。本明細書で記載される本発明の文脈では、男性における全テストステロンの生理学的「正常」範囲は、約250〜約1,100ナノグラム/デシリットル(ng/dL)であり、健康な女性においては約11ng/dL〜約78ng/dLであることは、当業者には一般的に認識されているであろう。Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, 85(7):2395−401。
【0030】
本発明におけるいくつかの実施形態では、ヒト成人女性の集団に投与した場合(単回投与後及び/又は定常状態で)、ヒト成人女性(たとえば、閉経後又は他のアンドロゲン欠乏症のヒト女性)の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%において約10ng/dL以上のCmin及び約100ng/dL以下のCmaxを提供する医薬組成物を提供する。本発明におけるいくつかの実施形態では、ヒト成人女性集団に投与した場合(単回投与後及び/又は定常状態で)、ヒト成人女性(たとえば、閉経後又はアンドロゲン欠乏症のヒト女性)の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%において、約12ng/dL以上のCmin及び約82ng/dL以下のCmaxを提供する医薬組成物を提供する。
【0031】
いくつかの実施形態では、本発明で提供する医薬組成物は、ステロイド化合物及び少なくとも1つの薬剤的に許容される担体を含む遅延放出経口投与製剤である。ある例において、遅延放出経口投与製剤は、水性媒体(たとえば、水、胃液、又はpH約5.8の水溶液)中に即時又は高速放出(fast release)経口投与製剤よりも遅い速度(たとえば、水性媒体中で見いだされる活性の量により測定される)で活性物質を放出する。いくつかの実施形態では、遅延放出経口投与製剤は、ステロイド化合物、少なくとも1つの親水性担体を含む。さらなる実施形態では、遅延放出経口投与製剤は、ステロイド化合物、少なくとも1つの親水性担体、及び少なくとも1つの脂質及び/又は親油性担体を含む。さらに別の実施形態では、遅延放出経口投与製剤は、少なくとも1つのステロイド化合物、少なくとも1つの親水性担体、少なくとも1つの脂質及び/又は親油性担体、並びに少なくとも1つの粘度向上剤若しくは凝固剤を含む。さらに別の実施形態では、遅延放出経口投与製剤は、少なくとも1つのステロイド化合物及び少なくとも1つの粘度向上剤又は凝固剤を含む。いくつかの実施形態では、本発明で提供される医薬組成物を、たとえば粘度向上剤又は凝固剤と配合して、固体、半固体、ゲル、ジェリー、ペースト等を得る。具体的な実施形態では、遅延放出経口投与製剤は、カプセル(たとえば、ハード若しくはソフトゲルカプセル、錠剤又は他の固体投与形態)である。いくつかの実施形態では、本発明で提供される遅延放出投与製剤は、活性物質(たとえば、1以上のウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を異なる放出フラクション(たとえば、即時放出性部分及び遅延放出性部分)中に含む。具体的な実施形態では、本発明で提供される医薬組成物又は投与形態は、1以上の即時放出性部分若しくはフラクション、高速放出部分若しくはフラクション、又はそれらの組み合わせ及び腸放出部分若しくはフラクション、持続(sustained)放出部分若しくはフラクション、制御放出部分若しくはフラクション、持続(extended)放出部分若しくはフラクション、パルス放出部分若しくはフラクション、徐放部分若しくはフラクション、又はこれらの組み合わせを含む。
【0032】
医薬組成物
ある実施形態において、本発明で提供するのは、少なくとも1つのステロイド化合物(たとえば、テストステロン、ジヒドロテストステロン、エストラジオール、又はそれらの類似体若しくはプロドラッグ)及び少なくとも1つの薬剤的に許容される担体を含む医薬組成物である。具体的な実施形態では、ステロイド化合物はステロイド性アンドロゲン(たとえば、テストステロン、ジヒドロテストステロン、又はそれらのプロドラッグ)である。いくつかの実施形態では、ステロイド化合物はアルキル化、ヒドロキシアルキル化及び/又はヒドロキシアルコイル化(alkoylated)天然ステロイド(たとえば、テストステロンアルキルエステル、ジヒドロテストステロンアルキルエステル、エストラジオールアルキルエステル等)である。ある実施形態では、テストステロンの類似体又はプロドラッグには、たとえばテストステロンのエステルが含まれる。具体的な実施形態では、テストステロンのエステルとしては、たとえばテストステロンのアルキル(たとえば、直鎖、分岐、環状、不飽和、部分飽和、完全飽和等)エステルが挙げられる。特に、テストステロンのアルキルエステルには、非限定的例を挙げると、低級アルキルエステル(たとえば、プロピオン酸テストステロン、エタン酸テストステロン、若しくはウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンC〜C13アルキルエステル)、又は高級アルキルエステル(たとえば、パルミチン酸テストステロンなどのテストステロンC14+アルキルエステル)が含まれる。さらなる実施形態では、テストステロンのアルキルエステルには、非限定的例を挙げると、シクロアルキルアルキルエステル(たとえば、シピオン酸テストステロン)、シクロアルキルエステル、及びアルキルシクロアルキルエステルが含まれる。さらに具体的な実施形態では、テストステロンアルキルエステルはウンデカン酸テストステロンである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのステロイド化合物は、(1)テストステロン低級アルキルエステル(たとえば、プロピオン酸テストステロン、エタン酸テストステロン、又はウンデカン酸テストステロン);及び(2)テストステロン高級アルキルエステル(たとえばパルミチン酸テストステロン)を含む。一般的に、本明細書で用いられる場合、ステロイド化合物を含む医薬組成物には、1以上のステロイド化合物を含む医薬組成物の開示が含まれる。
【0033】
ある実施形態では、本明細書で記載される任意の医薬組成物は、治療有効量の少なくとも1つのステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を含む。いくつかの実施形態では、治療有効量のステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を1以上の経口投与形態に分割する。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される1以上の経口投与形態は、集合的に治療有効量のテストステロンアルキルエステル(たとえばウンデカン酸テストステロン)を含む。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物中のステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)の治療有効量は、医薬組成物を別の療法と併用して投与する場合には変わる可能性がある。さらに、処方の治療有効量は、少なくとも1つのステロイド化合物が含まれる特定の処方に依存し得る。たとえば、いくつかの実施形態では、2以上のステロイド化合物が本明細書で記載される医薬組成物中に存在する。したがって、ステロイド化合物の組み合わせが存在する場合、ある例では、存在するステロイド化合物の一方又は両方は、当該ステロイド化合物が別々に又は単独で投与される場合に必要とされるよりも少ない治療有効量を有する。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物は、アジュバントをさらに含み、これは、場合によっては治療有効量として用いられるステロイド化合物の量を少なくすることができる。
【0034】
ある実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物は、約1mg〜約1.5g、約10mg〜約1000mg、又は約10mg〜約200mgのステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を含む。具体的な実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物は、約10mg〜約50mg、約15mg〜約40mg、約20mg〜約30mg、又は約25mgのステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を含む。他の実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物は、約70mg〜約150mg、約80mg〜約140mg、約90mg〜約140mg、約100mg〜約130mg、約110mg〜約130mg、又は約120mgのステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を含む。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物は、経口投与形態を投与される個体1kgあたり約0.1mg〜約5mgのステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を含む。ある実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物は、約1mg〜約1g、約5mg〜約500mg、約10mg〜約300mg、又は約20〜約250mgのステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を、1日1回、1日2回、1日3回、または1日4回の経口投与で個体に提供するために十分な量のステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの薬剤的に許容される担体は、有効量のステロイド化合物、たとえばテストステロンアルキルエステルを個体に送達するために適した任意の担体である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの薬剤的に許容される担体は、親水性担体(たとえば、親水性界面活性剤若しくは親水性添加剤)であるか又は親水性担体を含む。ある実施形態では、少なくとも1つの薬剤的に許容される担体は親油性担体(たとえば、親油性界面活性剤若しくは親油性添加剤)である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの薬剤的に許容される担体は、親水性担体(たとえば、親水性界面活性剤若しくは親水性添加剤)及び親油性担体(たとえば、親油性界面活性剤若しくは親油性添加剤)である。ある実施形態では、親水性担体は親水性トリグリセリドである。具体的な実施形態では、親水性トリグリセリドは、ポリオキシル化ヒマシ油、又はポリオキシル化水素化ヒマシ油である。いくつかの実施形態では、本発明で提供される任意の医薬組成物は、本質的に親油性担体又は親油性担体の組み合わせからなる。ある実施形態では、本発明で提供される任意の医薬組成物は、親油性担体及び10%w/w未満、5%w/w未満の親水性担体を含むか、又は親水性担体を実質的に含まない。ある実施形態では、本明細書で提供される任意の医薬組成物は、親油性担体及び10%w/w未満、5%w/w未満の親水性担を含むか、又は親水性担体を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、医薬組成物は担体(たとえば、親水性担体及/又は親油性担体)を含み、医薬組成物は固体、半固体、ゲル、ジェリー、ペースト等である。たとえば、医薬組成物が親水性担体及/又は親油性担体を含むある実施形態では、粘度向上剤又は凝固剤を利用して、固体、半固体、ゲル、ジェリー、ペーストなどである医薬組成物を得る。したがって、ある実施形態では、少なくとも1つの薬剤的に許容される担体は、親水性担体(たとえば、親水性界面活性剤若しくは親水性添加剤)及び粘度向上又は凝固剤である。ある実施形態では、少なくとも1つの薬剤的に許容される担体は、親油性担体(たとえば、親油性界面活性剤若しくは親油性添加剤)及び粘度向上又は凝固剤である。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの薬剤的に許容される担体は、親水性担体(たとえば、親水性界面活性剤若しくは親水性添加剤)、親油性担体(たとえば、親油性界面活性剤若しくは親油性添加剤)、及び粘度向上又は凝固剤であるか、或いはこれらを含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの薬剤的に許容される担体は、両親媒性若しくは双性イオン性担体(たとえば、両親媒性界面活性剤若しくは両親媒性添加剤)であるか又はこれを含む。ある実施形態では、薬剤的に許容される担体は、本明細書で記載される薬物動態及び/又は薬力学的プロファイルの1以上を達成するために適した任意の担体である。
【0036】
本発明で有用な添加剤には、一般的に薬力学的に不活性な化学物質が含まれる。さらに、添加剤は、室温付近で事実上、固体、液体又は半固体であり得る。さらに、添加剤は親水性であっても又は親油性であってもよい。ある例において、「親水性添加剤」は、その化学構造中に水を引きつける少なくとも1つの極性側基を有し、一方、「親油性添加剤」は水をはじく傾向を示す。
【0037】
いくつかの実施形態では、親水性又は親油性添加剤は、その組成物及び/又は医薬投与形態を形成する成分中に含まれる。ある実施形態では、親水性又は親油性添加剤は、組成物においてカプセル化コート中にある。或いは、添加剤は、医薬組成物中に含めることができるが、それ自体組成物の一部してとしてではない。添加剤の具体的非限定的例を以下に記載する。
【0038】
好適な添加剤には、本明細書で記載される医薬組成物及び/又は投与形態の調製を含むプロセスを促進できる任意の添加剤が含まれる。数例において、このような添加剤には、本明細書で記載される組成物及び/又は医薬投与形態の調製を含むプロセスを促進するために通常利用されるものが含まれる。これらのプロセスとしては、凝集、エアサスペンション冷却、エアサスペンション乾燥、ボーリング、コアセルベーション、粉砕、圧縮、ペレット化、低温ペレット化、カプセル化、押出、造粒、均一化、包接錯体形成、凍結乾燥、ナノカプセル化、溶融、混合、成形、パンコーティング、溶媒脱水、超音波処理、球形化、噴霧冷却(spray chilling)、噴霧凝固(spray congealing)、噴霧乾燥、又は当該技術分野で公知の他のプロセスが挙げられる。ある例において、添加剤は、場合によってプレコーティングされるか又はカプセル化される。組成物及び/又は医薬投与形態からの薬剤放出に影響を及ぼすために好適な添加剤を場合によって使用する。
【0039】
本明細書で記載される様々な実施形態で使用される好適な添加剤には、非限定的例を挙げると、吸着剤、接着防止剤、抗凝固剤、消泡剤、酸化防止剤、アンチケーキング剤、帯電防止剤、バインダー、胆汁酸、緩衝剤(bufferant)、増量剤、キレート剤、凝固剤(coagulant)、着色剤、補助溶媒、不透明化剤(opaquant)、凝固剤(congealing agent)、冷却剤、抗凍結剤、希釈剤、脱湿剤、乾燥剤、減感剤、崩壊剤、分散剤、酵素阻害剤、流動促進剤、フィラー、水和剤、超崩壊剤、ガム、ゴムのり、水素結合剤、酵素、着香剤(flavorant)、保湿剤、増湿剤、潤滑油、イオン交換樹脂、滑剤、可塑剤、pH調節剤、保存料、凝固剤(solidifying agent)、溶媒、可溶化剤、展着剤、甘味料、安定剤、表面積向上剤、懸濁化剤、シックナー、増粘剤、ワックス及びそれらの混合物が含まれる。
【0040】
本発明に好適な親水性又は親油性添加剤のいくつかの非限定的例は以下のとおりである:
【0041】
アルコール及び/又はポリオール(たとえば、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、脂肪酸アルコール、ビニルアルコールポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、トコフェロール、セルロースシクロデキストリン、それらの他の誘導体、形態、混合物など);約200〜約20,000の平均分子量を有するポリエチレングリコールのエーテル(たとえば、テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル、メトキシPEGなど);アミド(たとえば、2−ピロリドン、2−ピペリドン、ε−カプロラクタム、N−アルキルピロリドン、N−ヒドロキシアルキルピロリドン、N−アルキルピペリドン、N−アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミド、ポリビニルピロリドン等);エステル(たとえば、エチルプロピオネート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリエチルシトレート、エチルオレエート、エチルカプリレート、エチルブチレート、トリアセチン、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ε−カプロラクタム及びそれらの異性体、δ−バレロラクトン及びそれらの異性体、β−ブチロラクトン及びそれらの異性体;並びに当該技術分野で公知の他の添加剤、たとえばジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド、N−メチルピロリドン、モノオクタノイン、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなど);アミノ酸(たとえば、P−アミノベンズアミジン、グリココール酸ナトリウム)メシレート;アミノ酸及び修飾アミノ酸(たとえば、アミノボロン酸誘導体及びn−アセチルシステイン;ペプチド及び修飾ペプチド(たとえば、バシトラシン、ホスフィン酸ジペプチド誘導体、ペプスタチン、アンチパイン、ロイペプチン、キモスタチン、エラスチン、ベスタチン、ホスホラミドン、ピューロマイシン、サイトカラシンポテトカルボキシペプチダーゼ阻害剤、アマスタチンなど);ポリペプチドプロテアーゼ阻害剤;粘膜付着性ポリマーなど(たとえば、ポリアクリレート誘導体、キトサン、セルロース系物質、キトサン−EDTA、キトサン−EDTA−アンチパイン、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等);又はそれらの組み合わせ。
【0042】
本明細書で記載される組成物及び/又は投与形態に好適な添加剤のいくつかのさらなる例には、非限定的例を挙げると、タルク、ステアリン酸マグネシウム、シリカ(たとえば、ヒュームドシリカ、微粉化シリカ、ケイ酸アルミニウムマグネシウム等)及び/又は誘導体、ポリエチレングリコール、界面活性剤、ワックス、油、セチルアルコール、ポリビニルアルコール、ステアリン酸、ステアリン酸塩、ステアリン酸誘導体、デンプン、水素化植物油、水素化ヒマシ油、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ロイシン、PEG、アルキル硫酸塩;アセチル化モノグリセリド;長鎖アルコール;シリコーン誘導体;ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシルアニソール(BHA)、没食子酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、乾燥デンプン、乾燥糖、ポリビニルピロリドン、デンプンペースト、メタクリルコポリマー、ベントナイト、スクロース、ポリマーセルロース誘導体、シェラック、糖シロップ;コーンシロップ;多糖類、アカシア、トラガカント、グアーガム、キサンタンガム;アルギネート;ゼラチン;ゼラチン加水分解物;寒天;スクロース;デキストロース;PEG、ビニルピロリドンコポリマー、ポロキサマー;α化デンプン、ソルビトール、グルコース);酢酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ヒドロキノスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸及び尿酸、ビネガー、薬剤的に許容される塩基、たとえばアミノ酸、アミノ酸エステル、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ハイドロタルサイト、水酸化アルミニウムマグネシウム、ジイソプロピルエチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン;薬剤的に許容されるカチオン及びアニオンの塩;EDTA及びEDTA塩;二酸化チタン、食用色素、レーキ、天然の植物性着色剤、酸化鉄、ケイ酸塩、硫酸塩、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;ハロゲン化炭化水素、トリクロロエタン、トリクロロエチレン、ジクロロメタン、フルオロトリクロロメタン、ジエチルエーテル、トレヘロース(trehelose)、リン酸塩、クエン酸、酒石酸、ゼラチン、デキストラン及びマンニトール、ラクトース、マンニトール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、噴霧乾燥ラクトース、加水分解デンプン、直打用デンプン、微結晶セルロース、セルロース誘導体、ソルビトール、スクロース、スクロース系材料、硫酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム、デキストロース、クロスカルメロースナトリウム、デンプン、デンプン誘導体、クレイ、ガム、セルロース、セルロース誘導体、アルギネート、架橋ポリビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム及び微結晶セルロース、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム;減感剤、噴霧乾燥フレーバー、精油、エチルバニリン、スチレン/ジビニルベンゼンコポリマー、第4アンモニウム化合物、ポリエチレングリコール、シトレートエステル(たとえば、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート)、アセチル化モノグリセリド、グリセリン、トリアセチン、プロピレングリコール、フタレートエステル(たとえば、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート)、ヒマシ油、ソルビトール及びジブチルセバケート、アスコルビン酸、ホウ酸、ソルビン酸、安息香酸、及びそれらの塩、パラベン、フェノール、ベンジルアルコール、及び第4アンモニウム化合物;アルコール、ケトン、エステル、塩化炭化水素水;甘味料、(たとえば、マルトース、スクロース、グルコース、ソルビトール、グリセリン及びデキストリン、アスパルテーム、サッカリン、サッカリン塩、グリチルリジン)、粘度調整剤、糖、ポリビニルピロリドン、セルロース系材料、ポリマー、ガム及び/又はアルギネートが含まれる。
【0043】
添加剤は、タンパク質(たとえば、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、イガイタンパク質、リポタンパク質);炭水化物(たとえば、アルギネート、カラギーナン、セルロース誘導体、ペクチン、デンプン、キトサン);ガム(たとえば、キサンタンガム、アラビアゴム);鯨ロウ;天然若しくは合成ワックス;カルナウバワックス;脂肪酸(たとえば、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸);脂肪族アルコール;糖;シェラック、たとえば糖に基づくもの(たとえば、ラクトース、スクロース、デキストロース)又はデンプン;多糖類系シェラック(たとえば、マルトデキストリン及びマルトデキストリン誘導体、デキストレート、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体);セルロース系ポリマー(たとえば、エチルセルロース、メチルセルロース、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、HPMC酸スクシネート、セルロースアセテート、セルロースニトレート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートトリメリテート、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート)、シェラック;無機物、たとえばリン酸二カルシウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、タルク及びチタニア;ポリオール、たとえばマンニトール、キシリトール及びソルビトール;ポリエチレングリコールエステル;並びにポリマー、たとえばアルギネート、ポリ(ラクチドコグリコリド)、ゼラチン、架橋ゼラチン、及び寒天−寒天などの物質でもあり得る。
【0044】
一般的使用において前記添加剤間にはかなりの重複があると理解すべきである。なぜなら、所定の親水性又は親油性添加剤は、多くの場合、異なる分野の専門家により異なって分類されるか、又は通常、異なるか若しくは重複したいくつかの機能のいずれかに関して使用されるからである。したがって、前記親水性又は親油性添加剤は、本発明の組成物中に含めることができる添加剤の種類の単なる例であって限定的ではないと理解されるべきである。ある実施形態では、このような添加剤の量は、場合により、当業者によって望ましい特定の性質にしたがって調節及び/又は決定される。
【0045】
ある実施形態では、少なくとも1つの薬剤的に許容される担体は、少なくとも1つの親水性担体(たとえば、親水性界面活性剤)を含む。いくつかの実施形態では、親水性担体は、ポリオキシル化グリセリド(たとえば、モノグリセリド、ジグリセリド若しくはトリグリセリド)、ポリオキシル化植物油、ポリオキシル化水素化植物油、ポリオキシル化脂肪酸(一置換、若しくは二置換)、それらの組み合わせなどである。ある実施形態では、少なくとも1つの薬剤的に許容される担体は、親油性担体を含むか又は親油性担体をさらに含む。親油性担体は、非限定的例を挙げると、親油性界面活性剤、植物油(たとえばヒマシ油)、脂肪酸、脂肪族アルコール、グリセリド(たとえば、モノグリセリド、ジグリセリド、若しくはトリグリセリド)、水素化植物油、ビタミンE化合物(たとえば、d,l−α−トコフェロール)、トリグリセリド、脂肪酸、ポリオキシル化脂肪酸、ポリオキシル化トリグリセリド、ポリオキシル化植物油、又はこれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、ポリオキシル化化合物はポリエトキシル化化合物を含む。
【0046】
ある実施形態では、少なくとも1つの親水性担体は、本明細書で記載される任意の医薬組成物の、約1%〜約99%w/w、約2%〜約80%w/w、約2%〜約50%w/w、又は約10%〜約40%w/wを構成する。いくつかの実施形態では、親油性担体は、本明細書で記載される任意の医薬組成物の、約1%w/w〜約99%w/w、約2%〜約80%w/w、約10%w/w〜約80%w/w、約30%w/w〜約80%w/w、又は約40%〜約80%w/wを構成する。
【0047】
具体的な実施形態において、本発明で提供するのは、親水性担体を含む医薬組成物(たとえば遅延放出投与製剤)である。さらに具体的な実施形態では、親水性担体は、ポリオキシル化植物油(たとえば、ポリオキシル化、水素化植物油)であるか又はポリオキシル化植物油を含む。さらに具体的な実施形態では、ポリオキシル化植物油はポリオキシル化ヒマシ油(たとえば、ポリオキシル化、水素化ヒマシ油)である。ある実施形態では、脂質及び/又は親油性担体はC〜C18脂肪酸ではない。いくつかの実施形態では、親油性担体はC20+脂肪酸である。いくつかの実施形態では、脂質及び/又は親油性担体は、脂肪酸又は非修飾(たとえば、非ポリオキシル化)植物油でない。さらに具体的な実施形態では、脂質及び/又は親油性担体はオレイン酸又はヒマシ油でない。ある具体的な実施形態において、本発明で提供するのは、両親媒性担体を含む医薬組成物(たとえば、遅延放出投与製剤)である。さらに具体的な実施形態では、両親媒性担体は、双性イオン性コリン(たとえば、ホスファチジルコリン)であるか又は双性イオン性コリンを含む。いくつかの具体的な実施形態において、本発明で提供するのは、親油性担体を含む医薬組成物(たとえば、遅延放出投与製剤)である。さらに具体的な実施形態では、親油性担体は、非限定的例を挙げると、モノグリセリド、ジグリセリド若しくはトリグリセリド(たとえば、グリセロールモノリノレエート)であるか又はモノグリセリド、ジグリセリド若しくはトリグリセリドを含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの薬剤的に許容される担体は、少なくとも1つの親水性担体、並びに少なくとも1つの脂質及び/又は親油性担体を含む。さらなる実施形態では、少なくとも1つの薬剤的に許容される担体は、少なくとも1つの親水性担体、少なくとも1つの脂質及び/又は親油性担体、並びに少なくとも1つの粘度向上剤又は凝固剤を含む。いくつかの実施形態では、凝固剤はポリエチレングリコール(たとえば、PEG8000などの高分子量ポリエチレングリコール)である。具体的な実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物は、ステロイド剤(たとえば、テストステロンアルキルエステル)とともに、水素化及びポリオキシル化ヒマシ油並びにポリエチレングリコールを含む。さらに具体的な実施形態では、水素化及びポリオキシル化ヒマシ油並びにポリエチレングリコールを含む医薬組成物は、さらなる脂質及び/又は親油性担体をさらに含む。いくつかの実施形態では、さらなる脂質及び/又は親油性担体は、モノグリセリド、ジグリセリド、ビタミンE化合物、又はそれらの組み合わせである。
【0049】
ある実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、表A〜Qのいずれかの経口投与形態又は遅延放出経口投与製剤を含む。表A〜Qでは、カプセル中に配合された組成物のおよその重量百分率を記載する。具体的な実施形態では、カプセルA1〜Q2のいずれのステロイド化合物も、アルキルエステルテストステロン(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)を含む。ある例では、使用した成分の非限定的グレード及び/又は供給源を表に記載する。表A〜Qに記載する開示は、記載したグレード及び/又は供給源に限定されない。
【表A】

【表B】

【表C】

【表D】

【表E】

【表F】

【表G】

【表H】

【表I】

【表J】

【表K】

【表L】

【表M】

【表N】

【表O】

【表P】

【表Q】

【0050】
ある実施形態では、本明細書で記載される任意の医薬組成物、たとえば表A〜Qのいずれかの医薬組成物は、(i)全成分を合し、溶融混合物が得られるまで加熱し(たとえば、50〜70℃);そして(ii)選択された用量(たとえば、治療有効量又は治療有効量の一部の量)のステロイド化合物を含むある量の溶融混合物をカプセル化して経口投与形態を得ることによって調製することができる。ある例では、溶融混合物を噴霧凝固させて、ビーズを得る。数例では、溶融混合物を不活性コア(たとえば、糖球)上に噴霧して、コーティングされたコアを得る。ある実施形態では、このようなビーズ、コア、又は類似した形態をカプセル化するか又は他の方法で処方して、経口投与形態を得る。数例においては、溶融混合物を混合するか、均一に分散させるか、又は担体上で粒状にし、圧縮して、錠剤投与形態にする。ある実施形態では、圧縮前に、溶融混合物/担体組成物を、非限定的例を挙げると、流動促進剤、滑剤、バインダーなどをはじめとする1以上の製剤補助剤とさらに混合する。いくつかの実施形態では、担体は、非限定的例を挙げると、微結晶セルロース、デンプン、ラクトースなどの薬剤的に不活性な担体である。
【0051】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載される組成物(たとえば、表K〜Mに記載する組成物)は、場合によって、遅延放出性カプセル若しくはシェル中に充填されるか、又は遅延放出性コーティングでコーティングまたはカプセル化される。
薬物動態及び薬力学
【0052】
本発明におけるある実施形態で提供するのは、個体の集団に投与された場合、(単回投与後及び/又は定常状態で)個体集団の少なくとも85%において、1500ng/dL未満のテストステロンの血漿Cmaxを提供する、アンドロゲン療法(たとえばウンデカン酸テストステロン療法)、医薬組成物及び経口投与形態である。いくつかの実施形態では、アンドロゲン療法(たとえばウンデカン酸テストステロン療法)、医薬組成物又は経口投与形態は、個体集団(たとえば、成人及び/又は思春期のヒト男性)に投与された場合に、(単回投与後及び/又は定常状態で)個体集団の少なくとも95%において1800ng/dL未満のテストステロンの血漿Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、アンドロゲン療法(たとえば、ウンデカン酸テストステロン療法)、医薬組成物又は経口投与形態は、個体集団(たとえば、成人及び/又は思春期のヒト男性)に投与された場合に、(単回投与後及び/又は定常状態で)全て若しくは実質的に全ての個体において2500ng/dL未満のテストステロンの血漿Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、アンドロゲン療法(たとえばウンデカン酸テストステロン療法)、医薬組成物及び経口投与形態は、個体集団(たとえば、成人及び/又は思春期のヒト男性)に投与された場合に、(単回投与後及び/又は定常状態で)個体集団の少なくとも85%において1500ng/dL未満、そして少なくとも95%において1800ng/dL未満のテストステロンの血漿Cmaxを提供する。ある実施形態では、アンドロゲン療法(たとえばウンデカン酸テストステロン療法)、医薬組成物及び経口投与形態は、個体集団(たとえば、成人及び/又は思春期のヒト男性)に投与された場合に、(単回投与後及び/又は定常状態で)個体集団の少なくとも85%において1500ng/dL未満、少なくとも95%において1800ng/dL未満、そして少なくとも99%において2500ng/dL未満のテストステロンの血漿Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、アンドロゲン療法(たとえば、ウンデカン酸テストステロン療法)、医薬組成物及び経口投与形態は、個体集団(たとえば、成人及び/又は思春期のヒト男性)に投与された場合に、(単回投与後及び/又は定常状態で)個体集団の少なくとも85%において1500ng/dL未満、そして少なくとも99%において2500ng/dL未満のテストステロンの血漿Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、アンドロゲン療法(たとえば、ウンデカン酸テストステロン療法)、医薬組成物及び経口投与形態は、個体(たとえば、成人及び/又は思春期のヒト男性)の集団に投与された場合、(単回投与後及び/又は定常状態で)個体集団の少なくとも95%において1800ng/dL未満、そして少なくとも99%において2500ng/dL未満のテストステロンの血漿Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、本明細書における任意の記載で用いられる場合、個体はヒト成人である。具体的な実施形態では、ヒト成人はヒト成人男性である。ある実施形態では、個体は成人性腺機能低下症のヒト成人男性である。本明細書で記載される血漿濃度は、場合によって、本明細書に記載される組成物をヒト男性、たとえば性腺機能低下症ヒト男性に投与することによって得られる。他の例では、血漿濃度は、場合によって、低レベルのテストステロンを有する個体に対するテストステロン療法の効果の代表的な集団となるテストステロン欠乏症のヒト対象(たとえば、閉経後の女性)に組成物を投与することによって得られる。Clin.Endocrinology 2007,66(4):570−85。
【0053】
本明細書におけるいくつかの実施形態で提供されるのは、ヒト成人女性集団(たとえば、閉経後又はその他のアンドロゲン欠乏症のヒト女性)に投与された場合(単回投与後及び/又は定常状態で)、成人女性の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%で約10ng/dL以上のCmin及び約100ng/dL以下のCmaxを提供する医薬組成物である。本明細書におけるいくつかの実施形態で提供されるのは、ヒト成人女性集団(たとえば、閉経後又はその他のアンドロゲン欠乏症のヒト女性)に投与された場合(単回投与後及び/又は定常状態で)、成人女性の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%で約12ng/dL以上のCmin及び約82ng/dL以下のCmaxを提供する医薬組成物である。いくつかの実施形態では、ヒト成人女性は性機能不全のヒト成人女性である。ある実施形態では、成人女性は閉経後のヒト女性である。
【0054】
本明細書に記載される医薬組成物及び経口投与形態は、様々な実施形態では、任意の好適な方法で本発明における薬物動態及び薬力学的プロファイルを達成するために処方される。ある例において、本明細書に記載される所望の薬物動態及び/又は薬力学的プロファイルは、投与形態、少なくとも1つの薬剤的に許容される担体、存在するステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)の量、これらの組み合わせなどの変更により得られる。ある実施形態では、個体の集団は、1、1以上、2以上、又はまたは統計的に有意な数の個体である。
【0055】
本発明におけるある実施形態で提供するのは、個体の集団に投与された場合に、個体の集団の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%において約200ng/dL〜1300ng/dLの定常状態でのテストステロンの血漿濃度を提供するか又は提供するように処方された、本明細書に記載されるアンドロゲン療法(たとえば、ウンデカン酸テストステロン療法)、医薬組成物若しくは経口投与形態である。いくつかの実施形態では、本発明で提供されるアンドロゲン療法(たとえば、ウンデカン酸テストステロン療法)、医薬組成物又は経口投与形態は、個体の集団に投与された場合に、個体集団の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%において約200ng/dL〜1100ng/dLの定常状態でのテストステロンの血漿濃度を提供するか又は提供するように処方される。ある実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物又は経口投与形態は、個体の集団に投与された場合に、個体集団の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%で約300ng/dL〜1000ng/dLの定常状態でのテストステロンの血漿濃度を提供するか又は提供するように処方される。
【0056】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物又は経口投与形態(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのステロイド療法で用いられる)は、当該医薬組成物又は経口投与形態の単回投与が、約19ng/mL以下、約18ng/mL以下、約17ng/mL以下、約16ng/mL以下、約15ng/mL以下、約14ng/mL以下、約5ng/mL〜約19ng/mL、約5ng/mL〜約18ng/mL、約5ng/mL〜約17ng/mL、約5ng/mL〜約16ng/mL、約5ng/mL〜約15ng/mL、約5ng/mL〜約14ng/mL、約7ng/mL〜約19ng/mL、約7ng/mL〜約18ng/mL、約7ng/mL〜約17ng/mL、約7ng/mL〜約16ng/mL、約7ng/mL〜約15ng/mL、約7ng/mL〜約14ng/mL、約10ng/mL〜約19ng/mL、約10ng/mL〜約18ng/mL、約10ng/mL〜約17ng/mL、約10ng/mL〜約16ng/mL、約10ng/mL〜約15ng/mL、又は約10ng/mL〜約14ng/mLのテストステロンの平均血漿Cmaxを提供するように処方される。具体的な実施形態では、本明細書に記載される経口投与形態は、当該経口投与形態の単回投与が、約15ng/mL以下、約19ng/mL以下、約5ng/mL〜約19ng/mL、又は約5ng/mL〜約15ng/mLのテストステロンの平均血漿Cmaxを提供するように処方される。ある実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物又は経口投与形態は、当該医薬組成物又は経口投与形態の単回投与が、約4.5ng/mL以下、約4.3ng/mL以下、約4.2ng/mL以下、約4.1ng/mL以下、約4ng/mL以下、約3.9ng/mL以下、約3.8ng/mL以下、約3.7ng/mL以下、約3.6ng/mL以下、約3.5ng/mL以下、約1.5ng/mL〜約4.5ng/mL、約1.5ng/mL〜約3.9ng/mL、約1.5ng/mL〜約3.8ng/mL、約1.5ng/mL〜約3.7ng/mL、約1.5ng/mL〜約3.6ng/mL、約1.5ng/mL〜約3.5ng/mL、約2.0ng/mL〜約4.5ng/mL、約2.0ng/mL〜約3.9ng/mL、約2.0ng/mL〜約3.8ng/mL、約2.0ng/mL〜約3.7ng/mL、約2.0ng/mL〜約3.6ng/mL、約2.0ng/mL〜約3.5ng/mL、約2.5ng/mL〜約3.9ng/mL、約2.5ng/mL〜約3.8ng/mL、約2.5ng/mL〜約3.7ng/mL、約2.5ng/mL〜約3.6ng/mL、又は約2.5ng/mL〜約3.5ng/mLのジヒドロテストステロンの平均血漿Cmaxを提供するように処方される。具体的な実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物又は経口投与形態は、当該医薬組成物又は経口投与形態の単回投与が経口投与により、約3.6ng/mL以下のジヒドロテストステロンの平均血漿Cmaxを提供するように処方される。ある実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物又は経口投与形態は、当該医薬組成物又は経口投与形態の単回投与が経口投与により、約400ng/mL以下、約380ng/mL以下、約360ng/mL以下、約340ng/mL以下、約320ng/mL以下、約300ng/mL以下、又は約280ng/mL以下、約100ng/mL〜約400ng/mL、約100ng/mL〜約380ng/mL、約100ng/mL〜約360ng/mL、約100ng/mL〜約340ng/mL、約100ng/mL〜約320ng/mL、約100ng/mL〜約300ng/mL、約100ng/mL〜約280ng/mL、約150ng/mL〜約400ng/mL、約150ng/mL〜約380ng/mL、約150ng/mL〜約360ng/mL、約150ng/mL〜約340ng/mL、約150ng/mL〜約320ng/mL、約150ng/mL〜約300ng/mL、約150ng/mL〜約280ng/mL、約200ng/mL〜約400ng/mL、約200ng/mL〜約380ng/mL、約200ng/mL〜約360ng/mL、約200ng/mL〜約340ng/mL、約200ng/mL〜約320ng/mL、約200ng/mL〜約300ng/mL、又は約200ng/mL〜約280ng/mLのテストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)の平均血漿Cmaxを提供するように処方される。具体的な実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物又は経口投与形態は、当該医薬組成物又は経口投与形態の単回投与が経口投与により約380ng/mL以下のウンデカン酸テストステロンの平均血漿Cmaxを提供するように処方される。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物又は経口投与形態(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのステロイド療法において用いられる)は、当該医薬組成物又は経口投与形態の単回投与が、約5ng/mL〜約15ng/mLのテストステロンの平均血漿Cmax、約1.5ng/mL〜約3.8ng/mLのジヒドロテストステロンの平均血漿Cmax、及び約100ng/mL〜約380ng/mLのテストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)の平均血漿Cmaxを提供するように処方される。ある実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物又は経口投与形態(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのステロイド療法において用いられる)は、当該医薬組成物又は経口投与形態の単回投与が、約5ng/mL〜約19ng/mLのテストステロンの平均血漿Cmax、約1.5ng/mL〜約4.5ng/mLのジヒドロテストステロンの平均血漿Cmax、及び約100ng/mL〜約380ng/mLのテストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)の平均血漿Cmaxを提供するように処方される。
【0057】
いくつかの実施形態において、本発明で提供されるのは、約200ng/dL以下、約150ng/dL以下、約100ng/dL以下、又は約75ng/dL以下、約5ng/dL〜約200ng/dL、約5ng/dL〜約150ng/dL、約5ng/dL〜約100ng/dL、約5ng/dL〜約75ng/dL、約10ng/dL〜約200ng/dL、約10ng/dL〜約150ng/dL、約10ng/dL〜約100ng/dL、約10ng/dL〜約75ng/dL、約15ng/dL〜約200ng/dL、約15ng/dL〜約150ng/dL、約15ng/dL〜約100ng/dL、又は約15ng/dL〜約75ng/dLのテストステロンの平均血漿濃度を1回の経口投与後1時間で提供するように処方された医薬組成物又は経口投与形態である。ある実施形態では、本発明で提供されるのは、約500ng/dL以下、約400ng/dL以下、約300ng/dL以下、約200ng/dL以下、約150ng/dL以下、約5ng/dL〜約500ng/dL、約5ng/dL〜約400ng/dL、約5ng/dL〜約300ng/dL、約5ng/dL〜約200ng/dL、約5ng/dL〜約150ng/dL、約10ng/dL〜約500ng/dL、約10ng/dL〜約400ng/dL、約10ng/dL〜約300ng/dL、約10ng/dL〜約200ng/dL、約10ng/dL〜約150ng/dL、約15ng/dL〜約500ng/dL、約15ng/dL〜約400ng/dL、約15ng/dL〜約300ng/dL、約15ng/dL〜約200ng/dL、約15ng/dL〜約150ng/dLのテストステロンの平均血漿濃度を1回の経口投与後2時間で提供するように処方された医薬組成物又は経口投与形態である。いくつかの実施形態において、本発明で提供されるのは、1回の経口投与後1時間で約5ng/dL〜約150ng/dL、1回の経口投与後2時間で約10ng/dL〜約500ng/dLのテストステロンの平均血漿濃度を提供するように処方された医薬組成物又は経口投与形態である。
【0058】
ある実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、本明細書で記載される1以上の経口投与形態を含むか、または1以上の経口投与形態中に処方される。したがって、いくつかの実施形態では、目標の血漿濃度(たとえば、特定の濃度、所定の時間で、Cmax、Cminなど)に達するために、本明細書に記載される複数の経口投与形態を場合によって投与する。さらに、本明細書で用いられる場合、平均血漿濃度(たとえば、特定の濃度、所定の時間で、Cmax、Cminなど)は、本明細書に記載される経口投与形態を複数の個体に経口投与した後の、複数の個体の血漿から得られる複数の濃度値の平均である。いくつかの実施形態では、個体はヒト成人である。具体的な実施形態では、ヒト成人はヒト成人男性である。ある実施形態では、個体は、性腺機能低下症の成人又は他のアンドロゲン欠乏症の成人ヒト男性である。いくつかの実施形態では、個体は、閉経後又は他のアンドロゲン欠乏症のヒト成人女性である。さらに、本明細書に記載されるテストステロンアルキルエステルの濃度は、投与される1以上のテストステロンアルキルエステルの濃度を含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、本発明で提供されるのは、約90%以下、約80%以下、約70%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約5%〜約90%、約5%〜約80%、約5%〜約70%、約5%〜約60%、約5%〜約55%、約5%〜約50%、約5%〜約45%、約5%〜約40%、約5%〜約35%、約20%〜約90%、約20%〜約80%、約20%〜約70%、約20%〜約60%、約20%〜約55%、約20%〜約50%、約20%〜約45%、約20%〜約40%、又は約20%〜約35%のテストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)を1時間後に水性媒体中(たとえば、8%w/vのTriton X−100を含む1Lの脱イオン水中)に放出するか又は放出するように処方された医薬組成物又は経口投与形態である。ある実施形態では、本発明で提供されるのは、約90%以下、約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、約2%〜約90%、約2%〜約80%、約2%〜約70%、約2%〜約60%、約2%〜約50%、約2%〜約40%、約2%〜約30%、約2%〜約20%、約10%〜約90%、約10%〜約80%、約10%〜約70%、約10%〜約60%、約10%〜約50%、約10%〜約40%、約10%〜約30%、又は約10%〜約20%のテストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)を30分後に水性媒体(たとえば、8%w/vのTriton X−100を含む1Lの脱イオン水)中に放出するか又は放出するように処方された医薬組成物又は経口投与形態である。いくつかの実施形態において、本発明で提供されるのは、約99%以下、約98%以下、約97%以下、約96%以下、約95%以下、約90%以下、約10%〜約99%、約10%〜約98%、約10%〜約97%、約10%〜約96%、約10%〜約95%、約10%〜約90%、約40%〜約99%、約40%〜約98%、約40%〜約97%、約40%〜約96%、約40%〜約95%、約40%〜約90%、約70%〜約99%、約70%〜約98%、約70%〜約97%、約70%〜約96%、約70%〜約95%、又は約70%〜約90%のテストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)を3時間後に水性媒体中(たとえば、8%w/vのTriton X−100を含む1Lの脱イオン水中)に放出するか又は放出するように処方された医薬組成物又は経口投与形態である。いくつかの実施形態において、本発明で提供されるのは、80%を超えるテストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)を、12、10、8、6、5、4、3、又は2時間以内に水性媒体中(たとえば、8%w/vのTriton X−100を含む1Lの脱イオン水中)に放出するか又は放出するように処方された医薬組成物又は経口投与形態である。具体的な実施形態では、本発明で提供されるのは、30分後に約20%以下のテストステロンアルキルエステルを、1時間後に50%以下のテストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)を、そして3時間後に約95%以下のテストステロンアルキルエステルを水性媒体中(たとえば、8%w/vのTriton X−100を含む1Lの脱イオン水)中に放出するか又は放出するように処方された医薬組成物又は経口投与形態である。いくつかの実施形態において、本発明で提供されるのは、1時間後に約5%〜約60%のテストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)を、30分後に約2%〜約40%のテストステロンアルキルエステルを、そして2時間後に約10%〜約95%のテストステロンアルキルエステルを水性媒体中(たとえば、8%w/vのTriton X−100を含む1Lの脱イオン水中)に放出するか又は放出するように処方された医薬組成物又は経口投与形態である。ある具体的な実施形態では、本発明で提供されるのは、1時間後に約50%以下のテストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)を、そして2〜12時間以内(又は12時間後、10時間後、8時間後、6時間後、5時間後、4時間後、3時間後、若しくは2時間)に80%以下のテストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)を水性媒体中(たとえば、8%w/vのTriton X−100を含む1Lの脱イオン水中)に放出するか又は放出するように処方された医薬組成物又は経口投与形態である。ある例において、水性媒体は、37±0.5℃で8%w/vのTriton X−100(たとえば、オクチルフェノールエチレンオキシド縮合物;オクトキシノール−9;t−オクチルフェノキシポリエトキシエタノール;t−オクト−C−(OCHCHOH、x=9〜10;CAS番号9002−93−1;Triton X−100は、以前はRohm and Haas Co.が所有した登録商標であったが、現在はUnion Carbideが所有している)を含む1Lの脱イオン水であり、医薬組成物又は経口投与形態をこの媒体の中で沈殿させ、100rpm及び37±0.5℃で指定された時間、パドル法に付す(USP App2)。
【0060】
いくつかの実施形態において、本発明で提供されるのは、約1550ng/dL以下、約1500ng/dL以下、約1450ng/dL以下、約1400ng/dL以下、約1310ng/dL以下、約1300ng/dL以下の定常状態での(たとえば、ヒト男性、ヒト成人男性、思春期のヒト男性などにおける)テストステロン平均血漿Cmaxを提供するかまたは提供するように処方された医薬組成物又は経口投与形態である。いくつかの実施形態において、本発明で提供されるのは、約100ng/dL以上、約150ng/dL以上、約200ng/dL以上、約250ng/dL以上、又は約300ng/dL以上の定常状態での(たとえば、ヒト男性、ヒト成人男性、思春期のヒト男性などにおける)テストステロン平均血漿Cminを提供するか又は提供するように処方された医薬組成物又は経口投与形態である。具体的な実施形態では、本発明で提供されるのは、約200ng/dL以上の定常状態での(たとえば、ヒト男性、ヒト成人男性、思春期のヒト男性などにおける)テストステロン平均血漿Cminを提供するか又は提供するように処方された医薬組成物又は経口投与形態である。ある実施形態では、本発明で提供されるのは、約100ng/dL〜約1500ng/dL、約150ng/dL〜約1400ng/dL、約200ng/dL〜約1300ng/dL又は約250ng/dL〜約1200ng/dLの範囲の定常状態での(たとえば、ヒト男性、ヒト成人男性、思春期のヒト男性などにおける)テストステロン平均血漿濃度を提供するか又は提供するように処方された、医薬組成物又は経口投与形態である。具体的な実施形態では、本発明で提供されるのは、約200ng/dL〜約1300ng/dLの定常状態での範囲の(たとえば、ヒト男性、ヒト成人男性、思春期のヒト男性などにおける)テストステロン平均血漿濃度を提供するか又は提供するように処方された、医薬組成物又は経口投与形態である。
【0061】
いくつかの実施形態において、本発明で提供されるのは、約110ng/dL以下、100ng/dL以下、約95ng/dL以下、約90ng/dL以下、約85ng/dL以下、又は約82ng/dL以下の定常状態での(たとえば、ヒト女性、ヒト成人女性、閉経後のヒト女性などにおける)テストステロン平均血漿Cmaxを提供するか又は提供するように処方された医薬組成物又は経口投与形態である。いくつかの実施形態において、本発明で提供されるのは、約3ng/dL以上、約5ng/dL以上、約8ng/dL以上、約10ng/dL以上、又は約12ng/dL以上の定常状態での(たとえば、ヒト女性、ヒト成人女性、閉経後のヒト女性などにおける)テストステロン平均血漿Cminを提供するか又は提供するように処方された医薬組成物又は経口投与形態である。具体的な実施形態では、本発明で提供されるのは、約8ng/dL以上の定常状態での(たとえば、ヒト女性、ヒト成人女性、閉経後のヒト女性などにおける)テストステロン平均血漿Cminを提供するか又は提供するように処方された医薬組成物又は経口投与形態である。ある実施形態では、本発明で提供されるのは、約5ng/dL〜約110ng/dL、約8ng/dL〜約100ng/dL、約10ng/dL〜約90ng/dL又は約12ng/dL〜約82ng/dLの定常状態での範囲の(たとえば、ヒト男性、ヒト成人女性、思春期ヒト女性、閉経後ヒト女性などにおける)テストステロン平均血漿濃度を提供するかまたは提供するように処方された医薬組成物又は経口投与形態である。具体的な実施形態では、本発明で提供されるのは、約10ng/dL〜約90ng/dLの定常状態での範囲の(たとえば、ヒト女性、ヒト成人女性、閉経後のヒト女性などにおける)テストステロン平均血漿濃度を提供するか又は提供するように処方された医薬組成物又は経口投与形態である。
【0062】
本明細書のある実施形態で提供されるのは、経口投与によって個体(たとえば、アンドロゲン欠乏のヒト男性)に対して、約500×10mL以下の(テストステロン同等用量(たとえば、テストステロンアルキルエステル(たとえば、C〜C13)から誘導することができるテストステロンの量))/(平均定常状態テストステロンCmax)の比を提供するか又は提供するように処方された医薬組成物又は経口投与形態である。いくつかの実施形態では、(テストステロン同等用量)/(平均定常状態テストステロンCmax)比は、約500×10mL以下;約4×10mL以上;約6×10mL以上;約8×10mL以上;約1×10mL以上;約3×10mL以上;約4×10mL以上;約5×10mL以上;約6×10mL以上;500×10mL以下;400×10mL以下;300×10mL以下;250×10mL以下;200×10mL以下;150×10mL以下;100×10mL以下;約25×10mL以上;約100×10mL以上;約250×10mL以上;約500×10mL以上;約4×10mL〜約500×10mL;約4×10mL〜約400×10mL;約4×10mL〜約300×10mL;約4×10mL〜約250×10mL;約4×10mL〜約200×10mL;約4×10mL〜約150×10mL;約20×10mL〜約500×10mL;約20×10mL〜約400×10mL;約20×10mL〜約300×10mL;約20×10mL〜約250×10mL;約20×10mL〜約200×10mL;約20×10mL〜約150×10mL;約50×10mL〜約500×10mL;約50×10mL〜約400×10mL;約50×10mL〜約300×10mL;約50×10mL〜約250×10mL;約50×10mL〜約200×10mL;約50×10mL〜約150×10mL;約200×10mL〜約500×10mL;約200×10mL〜約400×10mL;約200×10mL〜約300×10mL;約200×10mL〜約250×10mL;約200×10mL〜約200×10mL;約200×10mL〜約150×10mL等である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される任意の経口投与形態又は医薬組成物の単回投与は、個体(たとえば、アンドロゲン欠乏のヒト男性)に経口投与されると、約500×10mL以下の(テストステロン同等用量)/(平均血漿テストステロンCmax)比を提供する。いくつかの実施形態では、単回投与は、約500×10mL以下;約4×10mL以上;500×10mL以下;400×10mL以下;300×10mL以下;250×10mL以下;200×10mL以下;150×10mL以下;100×10mL以下;約25×10mL以上;約100×10mL以上;約250×10mL以上;約500×10mL以上;約4×10mL〜約500×10mL;約4×10mL〜約400×10mL;約4×10mL〜約300×10mL;約4×10mL〜約250×10mL;約4×10mL〜約200×10mL;約4×10mL〜約150×10mL;約20×10mL〜約500×10mL;約20×10mL〜約400×10mL;約20×10mL〜約300×10mL;約20×10mL〜約250×10mL;約20×10mL〜約200×10mL;約20×10mL〜約150×10mL;約50×10mL〜約500×10mL;約50×10mL〜約400×10mL;約50×10mL〜約300×10mL;約50×10mL〜約250×10mL;約50×10mL〜約200×10mL;約50×10mL〜約150×10mL;約200×10mL〜約500×10mL;約200×10mL〜約400×10mL;約200×10mL〜約300×10mL;約200×10mL〜約250×10mL;約200×10mL〜約200×10mL;約200×10mL〜約150×10mLなどである(テストステロン同等用量)/(平均テストステロンCmax)比を提供する。いくつかの実施形態では、単回投与は、約350×10mL以下;約20×10mL以上;500×10mL以下;400×10mL以下;300×10mL以下;250×10mL以下;200×10mL以下;150×10mL以下;100×10mL以下;約25×10mL以上;約100×10mL以上;約250×10mL以上;約500×10mL以上;約20×10mL〜約500×10mL;約20×10mL〜約400×10mL;約20×10mL〜約300×10mL;約20×10mL〜約250×10mL;約20×10mL〜約200×10mL;約20×10mL〜約150×10mL;約50×10mL〜約500×10mL;約50×10mL〜約400×10mL;約50×10mL〜約300×10mL;約50×10mL〜約250×10mL;約50×10mL〜約200×10mL;約50×10mL〜約150×10mL;約200×10mL〜約500×10mL;約200×10mL〜約400×10mL;約200×10mL〜約300×10mL;約200×10mL〜約250×10mL;約200×10mL〜約200×10mL;約200×10mL〜約150×10mL等の(テストステロン同等用量)/(平均ジヒドロキシテストステロンCmax)比を提供する。ある例において、本明細書で記載される組成物又は投与形態のステロイド同等用量(たとえば、テストステロン同等用量)は、組成物又は投与形態中に存在するテストステロンなどのステロイド化合物(たとえば、テストステロンアルキルエステルなどのステロイド化合物のステロイド部分)の量であり、たとえば、(テストステロン量/テストステロンアルキルエステル量)*(組成物又は投与形態中のテストステロンアルキルエステルの量)を計算することによって決定することができる。
【0063】
本明細書におけるある実施形態で提供されるは、定常状態でのテストステロンの平均血漿Cmaxと定常状態でのテストステロンの平均血漿Cminとの差を、約20ng/mL以下、約19ng/mL以下、約18ng/mL以下、約17ng/mL以下、約16ng/mL以下、約15ng/mL以下、約14ng/mL以下、約13ng/mL以下、約12ng/mL以下、約11ng/mL以下、約10.8ng/mL以下、約2〜約20ng/mL、約2〜約18ng/mL、約2〜約16ng/mL、約2〜約15ng/mL、約2〜約14ng/mL、約2〜約13ng/mL、約2〜約12ng/mL、約2〜約11ng/mL、約5〜約15ng/mL、約5〜約14ng/mL、約5〜約13ng/mL、約5〜約12ng/mL、又は約5〜約11ng/mLにするか、またはそのように処方される医薬組成物又は経口投与形態である。具体的な実施形態では、医薬組成物又は経口投与形態は、定常状態でのテストステロンの平均血漿Cmaxと定常状態でのテストステロンの平均血漿Cminとの差を約11ng/mL以下にするか又はそのように処方される。さらに、いくつかの実施形態では、本発明で提供される医薬組成物又は経口投与形態は、テストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)の平均血漿Cmaxと平均Cminとの差を、約275ng/mL以下、約260ng/mL以下、約250ng/mL以下、約240ng/mL以下、約230ng/mL以下、約225ng/mL以下、約220ng/mL以下、約210ng/mL以下、約200ng/mL以下、約190ng/mL以下、又は約180ng/mL以下にするか、又はそのように処方される。具体的な実施形態において、本発明で提供されるのは、本発明で提供される医薬組成物又は経口投与形態は、テストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)の平均血漿Cmaxと平均血漿Cminとの差を約200ng/mL以下とするか又はそのように処方される。具体的な実施形態では、本発明で提供される医薬組成物又は経口投与形態は、テストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)の平均血漿Cmaxと平均血漿Cminとの差を約275ng/mL以下にするか又はそのように処方される。
【0064】
いくつかの実施形態において、本発明で提供されるのは、1回の経口投与後に、約120ng・h/mL以下、約110ng・h/mL以下、約100ng・h/mL以下、約90ng・h/mL以下、約80ng・h/mL以下、約70ng・h/mL以下、約60ng・h/mL以下、約20ng・h/mL〜約110ng・h/mL、約20ng・h/mL〜約100ng・h/mL、約20ng・h/mL〜約90ng・h/mL、約20ng・h/mL〜約80ng・h/mL、約20ng・h/mL〜約70ng・h/mL、約20ng・h/mL〜約60ng・h/mL、約30ng・h/mL〜約110ng・h/mL、約30ng・h/mL〜約100ng・h/mL、約30ng・h/mL〜約90ng・h/mL、約30ng・h/mL〜約80ng・h/mL、約30ng・h/mL〜約70ng・h/mL、約30ng・h/mL〜約60ng・h/mL、約40ng・h/mL〜約110ng・h/mL、約40ng・h/mL〜約100ng・h/mL、約40ng・h/mL〜約90ng・h/mL、約40ng・h/mL〜約80ng・h/mL、約40ng・h/mL〜約70ng・h/mL、約40ng・h/mL〜約60ng・h/mL、約50ng・h/mL〜約110ng・h/mL、約50ng・h/mL〜約100ng・h/mL、約50ng・h/mL〜約90ng・h/mL、約50ng・h/mL〜約80ng・h/mL、約50ng・h/mL〜約70ng・h/mL、約60ng・h/mL〜約110ng・h/mL、約60ng・h/mL〜約100ng・h/mL、約60ng・h/mL〜約90ng・h/mL、又は約60ng・h/mL〜約80ng・h/mLのテストステロンの平均血漿AUC0−∞濃度を提供するように処方された医薬組成物又は経口投与形態である。ある実施形態では、本発明で提供されるのは、1回の経口投与後に、約50ng・h/mL以下、約45ng・h/mL以下、約40ng・h/mL以下、約35ng・h/mL以下、約30ng・h/mL以下、約25ng・h/mL以下、約20ng・h/mL以下、約10ng・h/mL〜約50ng・h/mL、約10ng・h/mL〜約45ng・h/mL、約10ng・h/mL〜約40ng・h/mL、約10ng・h/mL〜約35ng・h/mL、約10ng・h/mL〜約30ng・h/mL、約10ng・h/mL〜約25ng・h/mL、約10ng・h/mL〜約20ng・h/mL、約15ng・h/mL〜約50ng・h/mL、約15ng・h/mL〜約45ng・h/mL、約15ng・h/mL〜約40ng・h/mL、約15ng・h/mL〜約35ng・h/mL、約15ng・h/mL〜約30ng・h/mL、約15ng・h/mL〜約25ng・h/mL、約20ng・h/mL〜約50ng・h/mL、約20ng・h/mL〜約45ng・h/mL、約20ng・h/mL〜約40ng・h/mL、約20ng・h/mL〜約35ng・h/mL、又は約20ng・h/mL〜約30ng・h/mLのジヒドロテストステロンの平均血漿AUC0−∞濃度を提供するように処方された医薬組成物又は経口投与形態である。いくつかの実施形態において、本発明で提供されるのは、1回の経口投与後に、約1200ng・h/mL以下、約1100ng・h/mL以下、約1000ng・h/mL以下、約900ng・h/mL以下、約850ng・h/mL以下、約800ng・h/mL以下、約750ng・h/mL以下、約100ng・h/mL〜約1200ng・h/mL、約100ng・h/mL〜約1100ng・h/mL、約100ng・h/mL〜約1000ng・h/mL、約100ng・h/mL〜約900ng・h/mL、約100ng・h/mL〜約850ng・h/mL、約100ng・h/mL〜約800ng・h/mL、約100ng・h/mL〜約750ng・h/mL、約150ng・h/mL〜約1200ng・h/mL、約150ng・h/mL〜約1100ng・h/mL、約150ng・h/mL〜約1000ng・h/mL、約150ng・h/mL〜約900ng・h/mL、約150ng・h/mL〜約850ng・h/mL、約150ng・h/mL〜約800ng・h/mL、約150ng・h/mL〜約750ng・h/mL、約200ng・h/mL〜約1200ng・h/mL、約200ng・h/mL〜約1100ng・h/mL、約200ng・h/mL〜約1000ng・h/mL、約200ng・h/mL〜約900ng・h/mL、約200ng・h/mL〜約850ng・h/mL、約200ng・h/mL〜約800ng・h/mL、約200ng・h/mL〜約750ng・h/mL、約250ng・h/mL〜約1200ng・h/mL、約250ng・h/mL〜約1100ng・h/mL、約250ng・h/mL〜約1000ng・h/mL、約250ng・h/mL〜約900ng・h/mL、約250ng・h/mL〜約850ng・h/mL、約250ng・h/mL〜約800ng・h/mL、約250ng・h/mL〜約750ng・h/mL、約300ng・h/mL〜約1200ng・h/mL、約300ng・h/mL〜約1100ng・h/mL、約300ng・h/mL〜約1000ng・h/mL、約300ng・h/mL〜約900ng・h/mL、約300ng・h/mL〜約850ng・h/mL、約300ng・h/mL〜約800ng・h/mL、又は約300ng・h/mL〜約750ng・h/mLのテストステロンアルキルエステル(たとえば、当該組成物又は投与形態中に存在するウンデカン酸テストステロンなどの1以上のテストステロンアルキルエステル化合物)の平均血漿AUC0−∞濃度を提供するように処方された医薬組成物又は経口投与形態ある。
【0065】
本発明のある実施形態で提供されるのは、単回投与が個体に投与された場合に、約500×10mL/h以下の(テストステロン同等用量)/(平均テストステロンAUC0−∞)比を提供する、本明細書に記載される任意の経口投与形態又は医薬組成物である。いくつかの実施形態では、(テストステロン同等用量)/(平均AUC0−∞)比は、約20×10mL/h以上;約30×10mL/h以上;約40×10mL/h以上;約50×10mL/h以上;約60×10mL/h以上;約80×10mL/h以上;約100×10mL/h以上;約600×10mL/h以下;約400×10mL/h以下;約350×10mL/h以下;約250×10mL/h以下;約200×10mL/h以下;約150×10mL/h以下;約10〜約600×10mL/h;約20〜約500×10mL/h;約30〜約450×10mL/h;約20〜約400×10mL/h;約50〜約300×10mL/h;約50〜約200×10mL/h;などである。
【0066】
ある実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物又は経口投与形態は、たとえば1日1回、1日2回、1日3回、1日4回など、定常状態を達成するために好適な任意の方法で投与すると定常状態を達成する。具体的な実施形態では、定常状態は、本明細書に記載される経口投与形態の1日2回経口投与(たとえば、12時間ごと)期間後に達成される。ある実施形態では、定常状態は、必要ならば又は必要に応じて、たとえば2日後、3日後、4日後、5日後、6日後、7日後、2週後又はそれ以上で得られる。具体的な実施形態では、定常状態は、5〜7日間、1日2回経口投与した後に得られる。さらに、テストステロン、テストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)、及びジヒドロテストステロンの定常状態血漿濃度は、ある例では、約1mg〜約1g、又は約10mg〜約200mgのステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を含む医薬組成物の投与によって得られる。具体的な実施形態では、(たとえば、ヒト男性への投与用)医薬組成物は、約10mg〜約50mg、約15mg〜約40mg、約20mg〜約30mg、又は約25mgのステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を含む。他の実施形態では、(たとえば、ヒト男性への投与用)医薬組成物は約、70mg〜約150mg、約80mg〜約140mg、約90mg〜約140mg、約100mg〜約130mg、約110mg〜約130mg、約80mg、又は約120mgのステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を含む。いくつかの実施形態では、テストステロン、テストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)、及びジヒドロテストステロンの定常状態は、経口投与形態を投与する個体1kgあたり約0.1mg〜約5mgのステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)の投与によって得られる。ある実施形態では、テストステロン、テストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)、及びジヒドロテストステロンは、約1mg〜約1g、約5mg〜約500mg、約10mg〜約300mg、又は約20〜約250mgのステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を個体に1日1回、1日2回、1日3回、又は1日4回経口投与することによって得られる。ある実施形態では、本明細書に記載される薬物動態及び/又は薬力学的プロファイルは、ステロイド化合物の量及び/又は医薬組成物の処方の関数として得られる。ある実施形態では、ヒト女性へ投与するための経口投与形態は、ヒト男性へ投与するための経口投与形態の約10%のテストステロンアルキルエステルを含む。いくつかの実施形態では、ヒト成人女性への送達用医薬組成物は、約5mg〜約50mg、約5mg〜約30mg、約7mg〜約15mg、約8mg〜約14mg、約9mg〜約14mg、約10mg〜約13mg、約11mg〜約13mg、約8mg、又は約12mgのウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステルを含む。
【0067】
本明細書のある実施形態で提供されるのは、遅延放出投与製剤を提供するか又は提供するように処方された医薬組成物又は経口投与形態である。具体的な実施形態では、本明細書に記載される遅延放出経口投与製剤は、1以上のステロイド化合物(たとえば、1以上のウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を含む。ある実施形態では、遅延放出投与製剤は、約90%以下、約80%以下、約70%以下、約60%以下、約55%以下、約50%以下、約45%以下、約40%以下、約35%以下、約5%〜約90%、約5%〜約80%、約5%〜約70%、約5%〜約60%、約5%〜約55%、約5%〜約50%、約5%〜約45%、約5%〜約40%、約5%〜約35%、約20%〜約90%、約20%〜約80%、約20%〜約70%、約20%〜約60%、約20%〜約55%、約20%〜約50%、約20%〜約45%、約20%〜約40%、又は約20%〜約35%のステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を1時間後に水性媒体中に放出し;約90%以下、約80%以下、約70%以下、約60%以下、約50%以下、約40%以下、約30%以下、約20%以下、約2%〜約90%、約2%〜約80%、約2%〜約70%、約2%〜約60%、約2%〜約50%、約2%〜約40%、約2%〜約30%、約2%〜約20%、約10%〜約90%、約10%〜約80%、約10%〜約70%、約10%〜約60%、約10%〜約50%、約10%〜約40%、約10%〜約30%、又は約10%〜約20%のステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を30分後に水性媒体中に放出し;約99%以下、約98%以下、約97%以下、約96%以下、約95%以下、約90%以下、約10%〜約99%、約10%〜約98%、約10%〜約97%、約10%〜約96%、約10%〜約95%、約10%〜約90%、約40%〜約99%、約40%〜約98%、約40%〜約97%、約40%〜約96%、約40%〜約95%、約40%〜約90%、約70%〜約99%、約70%〜約98%、約70%〜約97%、約70%〜約96%、約70%〜約95%、又は約70%〜約90%のステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を3時間後に水性媒体中に放出し;及び/又はその中に含まれるステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)の80%超を12、10、8、6、5、4、3、又は2時間以内に水性媒体中に放出するものである。反対に、いくつかの実施形態では、ステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を含む即時放出投与製剤(たとえば、高速放出投与製剤)は、その中に含まれるステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)の約90%超を水性媒体への暴露の約15分以内に放出する。数例においては、水性媒体は、37±0.5℃及び100rpmの条件でUSPII型(パドル)装置中に存在する。さらに具体的な例では、水性媒体は、8%w/vのTriton X−100を有する約1LのDI水である。さらに、いくつかの実施形態では、ステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)の即時放出投与製剤は、ヒマシ油とプロピレングリコールラウレートとの混合物中に配合されたステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)(たとえば、ウンデカン酸テストステロン、ヒマシ油及びプロピレングリコールラウレートを含む組成物、現在、商標名Andriol(登録商標)で市販);又はオレイン酸中に配合されたステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)(たとえば、ウンデカン酸テストステロン及びオレイン酸を含む組成物、以前、商標名Andriol(登録商標)で市販)を含む経口投与形態(たとえば、カプセル)である。
【0068】
さらに、本発明で提供されるのは、1時間後に測定すると、1回の経口投与後に、同じ量のステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を含む即時放出経口投与製剤の単回投与によって提供されるよりも、少なくとも50%低い、少なくとも40%低い、少なくとも30%低い、少なくとも20%低い、少なくとも10%低い、少なくとも5%低い、約50〜95%低い、約40〜95%低い、約30〜95%低い、約20〜95%低い、約50〜90%低い、約40〜80%低い、約30〜80%低い、約20〜80%低い、約40〜60%低い、又は約10〜95%低いテストステロンの平均血漿濃度を提供するように処方された遅延放出経口投与製剤である。具体的な実施形態では、本発明で提供されるのは、即時放出経口投与製剤の単回投与により提供されるよりも、1時間後に測定すると少なくとも20%低いテストステロンの平均血漿濃度を1回の経口投与後に提供するように処方された遅延放出経口投与製剤である。いくつかの実施形態において、本発明で提供されるのは、即時放出経口投与製剤の単回投与により提供されるよりも、約2時間後に測定すると、少なくとも50%低い、少なくとも40%低い、少なくとも30%低い、少なくとも20%低い、少なくとも10%低い、約50〜95%低い、約40〜95%低い、約30〜95%低い、約20〜95%低い、約40〜60%低い、約20〜80%低い、約10〜60%低い、又は約10〜95%低いテストステロンの平均血漿濃度を1回の経口投与後に提供するように処方された遅延放出経口投与製剤である。具体的な実施形態では、本発明で提供されるのは、即時放出経口投与製剤の単回投与により提供されるよりも、約2時間後に測定すると、少なくとも20%低いテストステロンの平均血漿濃度を1回の経口投与後に提供するように処方された遅延放出経口投与製剤である。ある実施形態では、本発明で提供されるのは、約3時間後に測定して、即時放出経口投与製剤の単回投与によって提供されるよりも、1回の経口投与後に、少なくとも50%低い、少なくとも40%低い、少なくとも30%低い、少なくとも20%低い、少なくとも10%低い、約50〜95%低い、約40〜95%低い、約30〜95%低い、約20〜95%低い、約50〜80%低い、約40〜80%低い、約30〜60%低い、約20〜50%低い、約10〜50%低い、又は約10〜95%低いテストステロンの平均血漿濃度を提供するように処方された遅延放出経口投与製剤である。具体的な実施形態では、本発明で提供されるのは、約3時間後で測定して、即時放出経口投与製剤の単回投与により得られるよりも少なくとも20%低いテストステロンの平均血漿濃度を、1回の経口投与後に提供するように処方された遅延放出経口投与製剤である。
【0069】
本発明におけるいくつかの実施形態で提供されるのは、遅延放出経口投与製剤中に存在するのと同じ量のステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を有する即時放出経口投与製剤の単回投与により提供されるテストステロンの平均血漿Cmaxよりも、少なくとも25%低い、少なくとも20%低い、少なくとも15%低い、少なくとも10%低い、少なくとも5%低い、約25〜95%低い、約20〜99%低い、約15〜99%低い、約10〜99%低い、約25〜50%低い、約20〜60%低い、約15〜40%低い、約10〜60%低い、約5〜30%低い、又は約5〜99%低いテストステロンの平均血漿Cmaxを1回の経口投与後に提供するように処方された遅延放出経口投与製剤である。ある実施形態では、本発明で提供されるのは、遅延放出経口投与製剤中に存在するのと同じ量のステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を有する即時放出経口投与製剤の単回投与によって提供されるテストステロンアルキルエステルの平均血漿Cmaxよりも少なくとも25%低い、少なくとも20%低い、少なくとも15%低い、少なくとも10%低い、少なくとも5%低い、約25〜95%低い、約20〜99%低い、約15〜99%低い、約10〜99%低い、約5〜99%低い、約25〜90%低い、約20〜80%低い、約15〜60%低い、約10〜60%低い、又は約5〜40%低い、テストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)の平均血漿Cmaxを1回の経口投与後に提供するか又は提供するように処方された遅延放出経口投与製剤である。いくつかの実施形態において、本発明で提供されるのは、遅延放出経口投与製剤中に存在するのと同じ量のステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を有する即時放出経口投与製剤の単回投与によって提供されるジヒドロテストステロンの平均血漿Cmaxよりも少なくとも10%低い、少なくとも8%低い、少なくとも7%低い、少なくとも6%低い、少なくとも5%低い、約10〜95%低い、約8〜99%低い、約7〜99%低い、約6〜99%低い、約5〜99%低い、約5〜15%低い、約10〜90%低い、約8〜80%低い、約7〜60%低い、約10〜60%低い、又は約5〜40%低い、ジヒドロテストステロンの平均血漿Cmaxを経口投与後に提供するか又は提供するように処方された遅延放出経口投与製剤である。
【0070】
本発明のある実施形態で提供されるのは、遅延放出経口投与製剤中に存在する同じ量のテストステロンアルキルエステルを有する即時放出経口投与製剤によって提供される定常状態でのステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)の平均血漿Cmaxよりも少なくとも20%低い、少なくとも15%低い、少なくとも10%低い、少なくとも5%低い、約20〜95%低い、約15〜99%低い、約10〜99%低い、約20〜99%低い、約15〜99%低い、約10〜99%低い、約5〜99%低い、約20〜90%低い、約20〜80%低い、約15〜60%低い、約10〜60%低い、又は約5〜40%低いテストステロンアルキルエステルの定常状態での平均血漿Cmaxを提供するか又は提供するように処方された遅延放出経口投与製剤である。いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるテストステロンアルキルエステルを含む遅延経口投与製剤は、遅延放出経口投与製剤中に存在する同じ量のステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を有する即時放出経口投与製剤によって提供される定常状態でのテストステロンの平均血漿Cmaxよりも、少なくとも20%低い、少なくとも15%低い、少なくとも10%低い、少なくとも5%低い、約20〜95%低い、約15〜99%低い、約10〜99%低い、約20〜99%低い、約15〜99%低い、約10〜99%低い、約10〜30%低い、約20〜90%低い、約20〜80%低い、約15〜60%低い、約10〜60%低い、又は約10〜40%低い、テストステロンの定常状態での平均血漿Cmaxを提供するか又は提供するように処方されている。
【0071】
いくつかの実施形態では、遅延放出経口投与製剤は、前記遅延放出経口投与製剤中に存在するのと同じ量のステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を有する即時放出経口投与製剤によって提供される定常状態でのテストステロンの変動指数よりも、少なくとも20%低い、少なくとも15%低い、少なくとも10%低い、少なくとも5%低い、約20〜95%低い、約15〜99%低い、約10〜99%低い、約20〜99%低い、約15〜99%低い、約10〜99%低い、約5〜99%低い、約20〜90%低い、約20〜80%低い、約15〜60%低い、約10〜60%低い、又は約5〜40%低い、定常状態でのテストステロンの変動指数を提供する。ある実施形態では、遅延放出経口投与製剤は、前記遅延放出経口投与製剤中に存在するのと同じ量のテストステロンアルキルエステルを有する即時放出経口投与製剤の定常状態でのテストステロンアルキルエステルの変動指数よりも、少なくとも20%低い、少なくとも15%低い、少なくとも10%低い、少なくとも5%低い、約20〜95%低い、約15〜99%低い、約10〜99%低い、約20〜99%低い、約15〜99%低い、約10〜99%低い、約5〜99%低い、約20〜90%低い、約20〜80%低い、約15〜60%低い、約10〜60%低い、又は約5〜40%低い、定常状態でのテストステロンアルキルエステルの変動指数を提供する。いくつかの実施形態では、オレエートを含まない本発明で提供される医薬組成物又は経口投与形態は、同じ量のステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を有するオレエート含有経口投与形態により提供される定常状態でのテストステロンの変動指数よりも、少なくとも20%低い、少なくとも15%低い、少なくとも10%低い、少なくとも5%、約20〜95%低い、約15〜99%低い、約10〜99%低い、約20〜99%低い、約15〜99%低い、約10〜99%低い、約5〜99%低い、約20〜90%低い、約20〜80%低い、約15〜60%低い、約10〜60%低い、又は約5〜40%低い、定常状態でのテストステロンの変動指数を提供する。ある実施形態では、ヒマシ油(ポリオキシル化又は水素化によって修飾されていない)を含まない、本発明で提供される医薬組成物又は経口投与形態は、同じ量のステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を有するヒマシ油含有経口投与形態の定常状態でのテストステロンアルキルエステルの変動指数よりも、少なくとも20%低い、少なくとも15%低い、少なくとも10%低い、少なくとも5%低い、約20〜95%低い、約15〜99%低い、約10〜99%低い、約20〜99%低い、約15〜99%低い、約10〜99%低い、約5〜99%低い、約20〜90%低い、約20〜80%低い、約15〜60%低い、約10〜60%低い、又は約5〜40%低い、定常状態でのテストステロンアルキルエステルの変動指数を提供する。本明細書で用いられる場合、変動指数とは、投与形態の投与後に得られる、平均血漿Cmax値と平均血漿Cmin値との間の差である。
【0072】
いくつかの実施形態において、本発明で提供されるのは、即時放出投与製剤により提供されるテストステロンの平均血漿AUC0−∞濃度の少なくとも40%、少なくとも50%又は少なくとも60%のテストステロンの平均血漿AUC0−∞濃度を1回の経口投与後に提供するように処方された遅延型経口投与形態である。
方法
【0073】
ある実施形態では、本発明で提供されるのは、アンドロゲン療法を必要とする個体を本明細書で記載される任意の医薬組成物又は経口投与形態で治療する方法である。いくつかの実施形態では、提供されるのは、アンドロゲン欠乏症の治療を必要とする個体において、本明細書において記載される任意の医薬組成物又は投与形態をこの個体に投与することによってアンドロゲン欠乏症を治療する方法であり、この場合、本明細書に記載される医薬組成物又は投与形態は、治療有効量のステロイド化合物(たとえば、1以上のウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を含む。いくつかの実施形態では、個体は、アンドロゲン欠乏症(たとえば、性腺機能低下症、更年期、又はそれ以外のアンドロゲン欠乏症)ヒト成人男性、(たとえば、性腺機能低下症である結果としての)思春期遅発症の若年ヒト男性、アンドロゲン欠乏症(たとえば、閉経後又はその他のアンドロゲン欠乏症)ヒト成人女性である。
【0074】
具体的な実施形態では、本発明で提供されるのは、ヒト男性において、本明細書において記載される任意の医薬組成物又は投与形態をこのヒト男性に投与することによってテストステロン欠乏症を治療する方法であり、この場合、本明細書に記載される医薬組成物又は投与形態は治療有効量の1以上のテストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)を含む。さらに具体的な実施形態では、本発明で提供されるのは、性腺機能低下症ヒト男性(たとえば、成人又は思春期前のヒト男性)において、この性腺機能低下症ヒト男性に対して本明細書に記載される任意の医薬組成物又は投与形態を投与することによってテストステロン欠乏症を治療する方法であって、この場合、本明細書に記載される医薬組成物又は投与形態は、治療有効量の1以上のテストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)を含む。テストステロン欠乏症の症状には、非限定的例を挙げると、鬱病、性欲減退、低エネルギー、貧血、骨粗鬆症、筋力低下などの1以上が含まれる。したがって、いくつかの実施形態では、このような症状も、アンドロゲン欠乏症又はテストステロン欠乏症が原因であるか又は原因であると疑われる場合は、個別に又は集合的に、それを必要とするヒト男性に対して本明細書で記載される医薬組成物又は経口投与形態を投与することによって治療される。いくつかの実施形態において、本発明で提供されるのは、ヒト男性において、このヒト男性に対して本明細書において記載される任意の医薬組成物又は投与形態を投与することによってテストステロン欠乏症を治療する方法であって、この場合、本明細書に記載される医薬組成物又は投与形態は、5−アルファ還元酵素阻害剤(たとえば、デュタステライド、フィネステリド(finesteride)、イソテルチノイン(isotertinoin)、没食子酸、L−リシン、エピガロカテキン没食子酸塩、ノコギリヤシ、植物ステロール複合体、ベータシトステロール、緑茶抽出物、ポリフェノール等)と同時投与される治療有効量の1以上のテストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)を含む。さらに具体的な実施形態では、酵素阻害剤は、別の組成物として同時投与することができるか、又は同じテストステロンアルキルエステル含有組成物の一部とすることができる。
【0075】
いくつかの実施形態において、本発明で提供されるのは、性機能障害の治療を必要とする個体において、本明細書において記載される任意の個々の医薬組成物又は投与形態を投与することによって性機能障害を治療する方法であって、この場合、本明細書に記載される医薬組成物又は投与形態は、治療有効量のステロイド化合物(たとえば、1以上のウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を含む。ある実施形態では、個体はヒト成人男性である。いくつかの実施形態では、個体はヒト成人女性である。
【0076】
具体的な実施形態では、本発明では、ヒト女性(たとえば、ヒト成人女性)に本明細書において記載される任意の医薬組成物又は投与形態を投与することにより、ヒト女性におけるアンドロゲン欠乏症を治療する方法を提供し、この場合、本明細書に記載される医薬組成物又は投与形態は、治療有効量の1以上のテストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)を含む。いくつかの実施形態において、本発明では、本明細書において記載される任意の医薬組成物又は投与形態をヒト女性(たとえば、成人女性)に投与することにより、ヒト女性における筋肉及び/又は骨量を維持する方法を提供し、この場合、本明細書に記載される医薬組成物又は投与形態は治療有効量の1以上のテストステロンアルキルエステル(たとえば、ウンデカン酸テストステロン)を含む。
【0077】
本明細書に記載される方法の様々な実施形態では、治療有効量の1以上のステロイド化合物(たとえば、1以上のウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)を含む医薬組成物を投与する。いくつかの実施形態では、治療有効量は、約1mg〜約1g、又は約10mg〜約200mgの1以上のステロイド化合物(たとえば、1以上のウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)である。具体的な実施形態では、治療有効量は、約10mg〜約50mg、約15mg〜約40mg、約20mg〜約30mg、又は約25mgの1以上のステロイド化合物(たとえば、1以上のウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)である。他の実施形態では、治療有効量は、約70mg〜約150mg、約80mg〜約140mg、約90mg〜約140mg、約100mg〜約130mg、約110mg〜約130mg、又は約120mgの1以上のステロイド化合物(たとえば、1以上のウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)である。いくつかの実施形態では、治療有効量は、経口投与形態が投与される個体1kgあたり約0.1mg〜約5mgである。ある実施形態では、治療有効量は、1日あたり、約1mg〜約1g、約5mg〜約500mg、約10mg〜約300mg、又は約20〜約250mgのステロイド化合物(たとえば、ウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)である。
【0078】
ある実施形態では、本明細書に記載される方法は、個体の集団(単回投与後及び/又は定常状態で)の少なくとも85%において1500ng/dL未満、約100ng/dL〜約1500ng/dL、又は約500ng/dL〜約1500ng/dLのテストステロンの血漿Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、個体の集団(単回投与後及び/又は定常状態で)の少なくとも95%において1800ng/dL未満、約100ng/dL〜約1800ng/dL、又は約500ng/dL〜約1800ng/dLのテストステロンの血漿Cmaxを提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、個体の全て(単回投与後及び/又は定常状態で)において、2500ng/dL未満、又は約100ng/dL〜2500ng/dLのテストステロンの血漿Cmaxを提供する。ある実施形態では、本明細書に記載される方法は、個体の集団の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%において約200ng/dL〜1300ng/dLの定常状態でのテストステロンの血漿濃度を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法は、個体の集団の少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%において約200ng/dL〜1100ng/dLの定常状態でのテストステロンの血漿濃度を提供する。ある実施形態では、本明細書に記載される方法は、個体の集団の少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%において約300ng/dL〜1000ng/dLの定常状態でのテストステロンの血漿濃度を提供する。同様に、様々な実施形態では、本明細書に記載される方法は、本明細書に記載される医薬組成物又は投与形態について記載される薬物動態又は薬力学的プロファイルのいずれかを提供する。
【0079】
様々な実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物又は投与形態を経口投与する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、本明細書に記載される1以上の経口投与形態を含むか、又は本明細書に記載される1以上の経口投与形態に分割される。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書で記載される方法は、複数の経口投与形態を同時に、連続して、又は実質的に同時に投与することを含み、かつ/又は本明細書で記載される薬物動態若しくは薬力学的プロファイルは、複数の経口投与形態を同時に、連続して、又は実質的に同時に投与することによって達成される。さらに、本明細書に記載される医薬組成物又は経口投与形態の投与は、任意の治療上有効な方法で行われる。いくつかの実施形態では、医薬組成物又は経口投与形態は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回などで投与する。いくつかの実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物又は経口投与形態を給餌状態で投与する。ある実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物又は経口投与形態を食事とともに、食事の30分以内に、食事の1時間以内に、又は食事の2時間以内に投与する。さらに具体的な実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物又は経口投与形態を食事とともに、食後30分以内に、食後1時間以内に、又は食後2時間以内に投与する。いくつかの実施形態において、本発明で提供されるのは、本明細書で記載される任意の実施形態において記載される成分を含む、低食効医薬組成物又は投与形態である。いくつかの実施形態では、低食効医薬組成物又は投与形態は、絶食状態で経口投与された場合に、同じか又は同一の医薬組成物又は投与形態を給餌状態で投与する場合に得られるテストステロンの最大血漿濃度(Cmax)の少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%、少なくとも15%、少なくとも10%、又は少なくとも5%のテストステロンの最大血漿濃度(Cmax)を提供する。ある実施形態では、低食効医薬組成物又は投与形態は、絶食状態で経口投与された場合に、同じか又は同一の医薬組成物又は投与形態を給餌状態で投与する場合に得られるテストステロンアルキルエステルの最大血漿濃度(Cmax)の少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%、少なくとも15%、少なくとも10%、又は少なくとも5%のテストステロンアルキルエステルの最大血漿濃度(Cmax)を提供する。いくつかの実施形態では、低食効医薬組成物又は投与形態は、絶食状態で経口投与された場合に、同じ若しくは同一の医薬組成物又は投与形態を給餌状態で投与する場合に得られるジヒドロテストステロンの最大血漿濃度(Cmax)の少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、少なくとも50%、少なくとも40%、少なくとも30%、少なくとも20%、少なくとも15%、少なくとも10%、又は少なくとも5%のジヒドロテストステロンの最大血漿濃度(Cmax)を提供する。
【0080】
ある実施形態では、本発明で提供されるのは、個体におけるアンドロゲン欠乏症、又はそれに関連する障害を治療する方法であって、それを必要とする個体に治療有効量の本明細書に記載される任意の組成物を投与することを含む方法である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される方法に従って投与される組成物は、本明細書に記載される薬物動態及び/又は薬力学的効果を提供するように処方される。ある実施形態では、本発明で提供される方法は、十分な量の本明細書に記載される組成物を投与して、本明細書に記載される薬物動態又は薬力学的効果を得ることを含む。様々な実施形態では、組成物を投与するための本明細書に記載される任意のプロトコルを、場合によって本明細書に記載される方法において用いる。
担体
【0081】
本発明で提供されるのは、ステロイド化合物(たとえば、1以上のウンデカン酸テストステロンなどのテストステロンアルキルエステル)及び少なくとも1つの薬剤的に許容される担体を含む医薬組成物である。ある実施形態では、少なくとも1つの薬剤的に許容される担体は、少なくとも1つの親水性担体(たとえば、親水性界面活性剤若しくは添加剤)、少なくとも1つの親油性担体(たとえば、親油性界面活性剤若しくは添加剤)、及び/又は少なくとも1つの粘度向上剤若しくは凝固剤を含む。具体的な実施形態では、少なくとも1つの薬剤的に許容される担体は親水性担体である。さらに具体的な実施形態では、少なくとも1つの薬剤的に許容される担体は、親油性担体を含むか、又はさらに含む。さらなる実施形態では、少なくとも1つの薬剤的に許容される担体は、少なくとも1つの親水性担体、少なくとも1つの脂質及び/又は親油性担体、並びに少なくとも1つの粘度向上剤又は凝固剤を含む。
【0082】
ある実施形態では、親水性担体には、非限定的例を挙げると、親水性界面活性剤が含まれる。さまざまな例において、親水性界面活性剤は、非限定的例を挙げると:固体担体である担体の少なくとも1つのフラクション中の活性成分の溶解度の増加;活性成分の溶解度の改善;脂質担体の分散及び/又は可溶化の改善;溶解に際しての活性成分の可溶化の改善;活性成分、特に親水性、疎水性、又は親油性活性成分の吸収及び/又はバイオアベイラビリティーの向上;並びに活性成分の安定性(物理的及び化学的安定性の両方)の改善をはじめとするいくつかの有利な特性のいずれか1以上を組成物に提供するために用いられる。様々な実施形態において、親水性界面活性剤は、1つの親水性界面活性剤又は親水性界面活性剤の混合物のいずれかを含む。親水性界面活性剤は、両イオン性又は非イオン性界面活性剤も含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、親油性担体は、非限定的例を挙げると、1以上の親油性界面活性剤、1以上のモノグリセリド、ジグリセリド、若しくはトリグリセリド、又はそれらの混合物を含む1以上の親油性界面活性剤を含むか、あるいはさらに含む。さまざまな例において、親油性界面活性剤は、親水性界面活性剤について前述の有利な特性のいずれか1以上の提供、及び/又は医薬組成物中に存在する他の(たとえば、親水性)界面活性剤の機能の向上をもたらす。
【0084】
「親水性」及び「親油性」という用語は、相対語である。親水性及び/又は親油性は、任意の好適な方法で決定される。一例では、本明細書に記載される担体の相対的親水性及び親油性を特徴化するために、経験的パラメータを用いる。たとえば、一方法では、非イオン性両親媒性化合物の親水性及び/又は親油性は親水性−親油性バランス(「HLB」値)である。担体又は界面活性剤のHLB値が低いほど、親油性が高く、油中の溶解度が高くなり、一方、界面活性剤のHLB値が高いほど、親水性が高く、水性媒体中の溶解度が高くなる。この評価基準は本明細書に記載される界面活性剤に好適である。なぜなら、一般的に、界面活性剤は両極性部分(たとえば、極性非荷電又は荷電部分)及び親油性部分(たとえば脂肪族基)を含むので両親媒性であるからである。
【0085】
HLB値をおよその目安として使用して、親水性界面活性剤は一般的に、約10より大きなHLB値を有する化合物、並びにHLBスケールが一般的に適用できない非イオン性、アニオン性、カチオン性、又は双性イオン性化合物であると見なされる。同様に、親油性界面活性剤は、約10未満のHLB値を有する化合物である。
【0086】
界面活性剤のHLB値は、工業用、医薬及び化粧品エマルジョンの配合を可能にするために一般的に用いられるおよその目安にすぎないと理解されるべきである。いくつかのポリエトキシル化界面活性剤をはじめとする多くの重要な界面活性剤に関して、HLB値は、HLB値を測定するために選択される経験法によって、約8HLB単位も異なり得ることが報告されている(Schott,J.Pharm.Sciences,79(1),87−88(1990))。同様に、あるポリプロピレンオキシド含有ブロックコポリマーについて(ポロキサマー、PLURONIC(登録商標)界面活性剤(BASF Corp.)として市販されている)、HLB値は必ずしも化合物の真の物理化学的性質の信頼できるインジケータとは限らない。最後に、市販の界面活性剤製品は、一般的に純粋な化合物ではなく、多くの場合、化合物の複雑な混合物であり、特定の化合物について報告されるHLB値は、より正確には、この化合物が主成分である商品に特徴的であり得る。同じ界面活性剤主成分を有する異なる商品は、典型的には異なるHLB値を有する。加えて、単一の市販の界面活性剤製品に関しても、ある量のロットごとのばらつきが予想される。したがって、これらの問題を考慮しながら、当業者は、所定の生成物のHLB値及び同一性を用いて、本明細書に記載される医薬組成物における使用に好適な親油性及び/又は親水性を得るための界面活性剤を決定することができる。
【0087】
本明細書で用いられる場合、有用な界面活性剤には、薬剤的に許容され、医薬組成物における使用に適した任意の界面活性剤が含まれる。好適な界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、双性イオン性及び非イオン性界面活性剤が挙げられる。本明細書(たとえば、表中)では、いくつかの一般的な種類の界面活性剤を記載する。下記表に記載するHLB値は、一般的に、対応する商品の製造業者により報告されているHLB値である。2以上の商品が記載されている場合、表中のHLB値は商品のうちの1つについて報告されている値であるか、報告されている値のおおよその平均であるか、又は本発明者等の判断でより信頼性のある値である。
【0088】
表に記載される界面活性剤は例示的であり、非限定的例として記載される。たとえば、精製、蒸留又は分画された界面活性剤、それらの精製フラクション、又は再エステル化フラクションも本明細書に記載される界面活性剤の範囲内に含まれるが、これらは表1には具体的に記載していない。
【0089】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載される界面活性剤としては、ポリオキシル化脂肪酸、たとえばポリエトキシル化脂肪酸(すなわち、PEG−脂肪酸エステル)が挙げられる。ポリエトキシル化脂肪酸モノエステル界面活性剤の例示的及び非限定的例のリストを表1に記載する。
【表1】


【0090】
さらに、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される界面活性剤には、非限定的例を挙げると、ポリエチレングリコール(PEG)脂肪酸ジエステルが含まれる。PEG−脂肪酸ジエステルの例示的及び非限定的例を表2に示す。
【表2】

【0091】
前述のように、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、たとえば、2以上の市販の界面活性剤製品の混合物をはじめとする界面活性剤の混合物を含む。いくつかのPEG−脂肪酸エステルは、混合物又はモノエステル及びジエステルとして市販されている。界面活性剤混合物の例示的及び非限定的例を表3に示す。
【表3】

【0092】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される界面活性剤には、非限定的例を挙げると、ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル(PEGグリセロール脂肪酸エステル)が含まれる。PEGグリセロール脂肪酸エステルの例示的及び非限定的例を表4に示す。
【表4】

【0093】
ある実施形態では、親油性又は親水性の程度が異なる界面活性剤を、アルコール又はポリアルコールと、様々な天然及び/又は水素化油との反応によって調製する。いくつかの実施形態では、使用される油はヒマシ油若しくは水素化ヒマシ油又は食用植物油、たとえばコーン油、オリーブ油、ピーナッツ油、パーム核油、杏仁油、又はアーモンド油である。具体的な実施形態では、アルコールとしては、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、及びペンタエリトリトールが挙げられる。ある実施形態では、このような界面活性剤は、本明細書で記載される医薬組成物において利用される。本明細書に記載される医薬組成物における使用に好適なこのクラスの界面活性剤の例示的及び非限定的例を表5に示す。
【表5】


【0094】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物において用いられる界面活性剤には、非限定的例を挙げると、ポリグリセル化(polyglycerized)脂肪酸が含まれる。好適なポリグリセリルエステルの例示的及び非限定的例を表6に示す。
【表6】

【0095】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物において用いられる界面活性剤には、非限定的例を挙げると、プロピレングリコールと脂肪酸とのエステルが含まれる。このクラスの界面活性剤の例示的及び非限定的例を表7に示す。
【表7】

【0096】
前述のように、いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物において、界面活性剤の混合物も用いることができる。界面活性剤の混合物としては、非限定的例を挙げると、プロピレングリコール脂肪酸エステルとグリセロール脂肪酸エステルとの混合物が好適であり、市販されている。このような界面活性剤の混合物の例示的及び非限定的例には、非限定的例を挙げると、表8に示すものが含まれる。
【表8】

【0097】
ある実施形態では、重要な種類の界面活性剤には、モノ及びジグリセリドの種類が含まれる。これらの界面活性剤は一般的に親油性である。これらの界面活性剤の例示的及び非制限的例を表9に示す。
【表9】


【0098】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物において用いられる界面活性剤は、ステロール及びステロールの誘導体を含む。様々な実施形態では、これらの界面活性剤は親水性又は親油性である。この種類の界面活性剤の例示的及び非限定的例を表10に示す。
【表10】

【0099】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物において有用な界面活性剤には、様々なPEG−ソルビタン脂肪酸エステルが含まれる。一般的に、これらの界面活性剤は親水性であるが、この種類のいくつかの親油性界面活性剤を使用することができる。これらの界面活性剤の例示的及び非限定的例を表11に示す。
【表11】

【0100】
いくつかの実施形態では、本明細書で用いられる界面活性剤には、ポリエチレングリコール及びアルキルアルコールのエーテルが含まれる。これらの界面活性剤の例示的及び非限定的例を表12に示す。
【表12】

【0101】
ある実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物において用いられる界面活性剤は、糖のエステルを含む。このような界面活性剤の例示的及び非限定的例を表13に示す。
【表13】

【0102】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物において用いられる界面活性剤には、ポリエチレングリコールアルキルフェノール、たとえば親水性PEG−アルキルフェノール界面活性剤が含まれる。これらの界面活性剤の例示的及び非限定的例を表14に示す。
【表14】

【0103】
ある実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物において用いられる界面活性剤には、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマーが含まれる。POE−POPブロックコポリマーは独自の種類のポリマー界面活性剤である。明確に定義された比及び位置で親水性POE及び親油性POP部分を有する、界面活性剤の独自の構造により、本発明における使用に好適な様々な界面活性剤が得られる。これらの界面活性剤は、Synperonic PEシリーズ(ICI);Pluronic(登録商標)シリーズ(BASF)、Emkalyx、Lutrol(BASF)、Supronic、Monolan、Pluracare、及びPlurodacをはじめとする様々な商標名で入手可能である。これらのポリマーの一般名は、「ポロキサマー」(CAS9003−11−6)である。これらのポリマーは式:HO(CO)(CO)(CO)Hを有し;「a」及び「b」は、それぞれポリオキシエチレン及びポリオキシプロピレン単位の数を表す。
【0104】
この種類の好適な界面活性剤の例示的及び非限定的例を表15に示す。これらの化合物は広く入手可能であるので、商業的供給源は表中に記載していない。化合物は一般名で、対応する「a」及び「b」値とともに記載する。
【表15】

【0105】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物において用いられる界面活性剤には、脂肪酸のソルビタンエステルが含まれる。このような界面活性剤の例示的及び非限定的例を表16に示す。
【表16】

【0106】
ある実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物において用いられる界面活性剤には、低級アルコール(C〜C)及び脂肪酸(C〜C18)のエステルが含まれる。これらの界面活性剤の例示的及び非限定的例を表17に示す。
【表17】

【0107】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物において用いられる親水性界面活性剤には、イオン性界面活性剤(たとえば、カチオン性、アニオン性及び双性イオン性界面活性剤)が含まれる。具体的な実施形態では、アニオン性界面活性剤には、脂肪酸塩及び胆汁酸塩が含まれる。ある具体的な実施形態では、カチオン性界面活性剤にはカルニチンが含まれる。いくつかの具体的な実施形態では、イオン性界面活性剤には、非限定的例を挙げると、オレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルサルコシン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム;ラウロイルカルニチン;パルミトイルカルニチン;及びミリストイルカルニチンが含まれる。このような界面活性剤の例示的及び非限定的例を表18に示す。簡単にするために、カウンターイオンの例を表中見出し項目に示す。様々な実施形態では、このようなカウンターイオンは場合によって好適なカウンターイオンで置換されている。たとえば、脂肪酸をナトリウム塩として示しているが、アルカリ金属カチオン又はアンモニウム等の他のカチオンカウンターイオンも場合によって使用する。ある非イオン性界面活性剤と違って、これらのイオン性界面活性剤は一般的に、市販の(有標の)混合物ではなく、純粋な化合物として利用できる。これらの化合物はAldrich、Sigmaなどの様々な商業的供給業者から容易に入手可能であるので、商業的供給源は一般に表中に記載しない。
【表18】


【0108】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物において用いられる界面活性剤には、イオン性界面活性剤が含まれる。ある実施形態では、イオン性界面活性剤は、それらの非イオン化(中性、非塩)形態で存在する場合は、本発明の組成物における使用に好適な親油性界面活性剤である。このような界面活性剤の特定例としては、遊離脂肪酸、特にC〜C22脂肪酸、及び胆汁酸が挙げられる。さらに具体的には、好適な非イオン化イオン性界面活性剤としては、表18に示す脂肪酸塩および胆汁塩のいずれかの遊離脂肪酸及び胆汁酸形態が挙げられる。
【0109】
数例においては、ビタミンA、D、E、Kなどの油溶性ビタミン誘導体も本明細書に記載する医薬組成物における使用に有用な界面活性剤である。このような誘導体の一例は、トコフェリルPEG−1000スクシネート(TPGS、Eastmanから入手可能)である。
【0110】
具体的な実施形態では、常温で凝固する(たとえば、固体、半固体、ゲル、ジェリー、ペーストなどを形成する)界面活性剤又は界面活性剤の混合物を本明細書で記載される医薬組成物において用いる。ある具体的な実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物において用いられる界面活性剤又は界面活性剤の混合物は、さらなる薬剤(たとえば、特に、トリグリセリド、ビタミン(たとえばビタミンE)など、粘度調整剤、安定剤、凝固剤、バインダー、シックナーなどの親油性成分)と組み合わせた場合に、常温で凝固する(たとえば、固体、半固体、ゲル、ジェリー、ペーストなどを形成する)。このようなさらなる薬剤は、場合によって、本明細書で記載される医薬組成物において用いられる。ある実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は、親水性担体(たとえば親水性界面活性剤)、親油性担体、及び/又は粘度調整剤若しくは凝固剤を含む。
【0111】
いくつかの具体的な実施形態では、非イオン性親水性界面活性剤としては、アルキルグルコシド;アルキルマルトシド;アルキルチオグルコシド;ラウリルマクロゴールグリセリド;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルフェノール;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;ポリグリセロール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリド;ポリオキシエチレンステロール、誘導体、及びそれらの類似体;ポリオキシエチレン植物油;ポリオキシエチレン水素化植物油;ポリオールの脂肪酸、グリセリド、植物油、水素化植物油、及びステロールとの反応混合物;糖エステル、糖エーテル;スクログリセリド;ポリエトキシル化脂溶性ビタミン又は誘導体;並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0112】
ある具体的な実施形態では、非イオン性親水性界面活性剤は、非限定的例を挙げると、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;ポリグリセリル脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリド;ポリオキシエチレン植物油;及びポリオキシエチレン水素化植物油から選択される。様々な実施形態では、グリセリドは、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、又はそれらの混合物である。
【0113】
いくつかの具体的な実施形態では、非イオン性親水性界面活性剤は、ポリオール及び脂肪酸、グリセリド、植物油、水素化植物油又はステロールの反応混合物の生成物である。これらの反応混合物は、主に、多くの場合は他の反応生成物の複雑な混合物とあわせて、反応のエステル交換生成物から構成される。さらに具体的な実施形態では、ポリオールは、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、ペンタエリトリトール、又はサッカリドである。
【0114】
ある具体的な実施形態では、親水性界面活性剤は、イオン性界面活性剤であるか、又はイオン性界面活性剤を含む。具体的なイオン性界面活性剤としては、アルキルアンモニウム塩;胆汁酸並びにその塩、類似体、及び誘導体;フシジン酸及びその誘導体;アミノ酸、オリゴペプチド、及びポリペプチドの脂肪酸誘導体;アミノ酸、オリゴペプチド、及びポリペプチドのグリセリド誘導体;アシルラクチレート;モノグリセリド、ジグリセリドのモノアセチル化、ジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノグリセリド;モノグリセリド、ジグリセリドのクエン酸エステル;アルギネート塩;プロピレングリコールアルギネート;レシチン及び水素化レシチン;リソレシチン及び水素化リソレシチン;リソリン脂質及びその誘導体;リン脂質及びその誘導体;アルキルスルフェート塩;脂肪酸塩;ドクサートナトリウム;カルニチン;及びそれらの混合物が挙げられる。
【0115】
いくつかの具体的な実施形態では、イオン性界面活性剤としては、胆汁酸並びにその塩、類似体、及び誘導体;レシチン、リソレシチン、リン脂質、リソリン脂質及びその誘導体;アルキルスルフェート塩;脂肪酸の塩;ドクサートナトリウム;アシルラクチレート;モノグリセリド、ジグリセリドのモノアセチル化、ジアセチル化酒石酸エステル;スクシニル化モノグリセリド;モノ−ジグリセリドのクエン酸エステル;カルニチン;並びにそれらの混合物が挙げられる。さらに具体的な実施形態では、イオン性界面活性剤には、非限定的例を挙げると、レシチン、リソレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルセリン、リソホスファチジルコリン、リソホスファチジルエタノールアミン、リソホスファチジルグリセロール、リソホスファチジン酸、リソホスファチジルセリン、PEG−ホスファチジルエタノールアミン、PVP−ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸のラクチル酸エステル、ステアロイル−2−ラクチレート、ステアロイルラクチレート、スクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コレート、タウロコレート、グリココレート、デオキシコレート、タウロデオキシコレート、ケノデオキシコレート、グリコデオキシコレート、グリコケノデオキシコレート、タウロケノデオキシコレート、ウルソデオキシコレート、タウロウルソデオキシコレート、グリコウルソデオキシコレート、コリルサルコシン、N−メチルタウロコレート、カプロエート、カプリレート、カプレート、ラウレート、ミリステート、パルミテート、オレエート、リシノレエート、リノレエート、リノレネート、ステアレート、ラウリルスルフェート、テラセシルスルフェート、ドクサート、ラウロイルカルニチン、パルミトイルカルニチン、ミリストイルカルニチン、及び塩並びにそれらの混合物が含まれる。さらに具体的な実施形態では、イオン性界面活性剤は、レシチン、リソレシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、リソホスファチジルコリン、PEG−ホスファチジルエタノールアミン、脂肪酸のラクチル酸エステル、ステアロイル−2−ラクチレート、ステアロイルラクチレート、スクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、コレート、タウロコレート、グリココレート、デオキシコレート、タウロデオキシコレート、グリコデオキシコレート、コリルサルコシン、カプロエート、カプリレート、カプレート、ラウレート、オレエート、ラウリルスルフェート、ドクサート、及び塩並びにそれらの混合物から選択され、最も好ましいイオン性界面活性剤は、レシチン、脂肪酸のラクチル酸エステル、ステアロイル−2−ラクチレート、ステアロイルラクチレート、スクシニル化モノグリセリド、モノ/ジグリセリドのモノ/ジアセチル化酒石酸エステル、モノ/ジグリセリドのクエン酸エステル、タウロコレート、カプリレート、カプレート、オレエート、ラウリルスルフェート、ドクサート、及び塩並びにそれらの混合物である。
【0116】
様々な実施形態では、親油性界面活性剤は、非限定的例を挙げると、アルコール;ポリオキシエチレンアルキルエーテル;脂肪酸;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;低級アルコール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリド;モノ/ジグリセリドの乳酸誘導体;プロピレングリコールジグリセリド;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;エステル交換植物油;ステロール;ステロール誘導体;糖エステル;糖エーテル;スクログリセリド;ポリオキシエチレン植物油;及びポリオキシエチレン水素化植物油から選択される。親水性界面活性剤と同様に、親油性界面活性剤は、場合によって、ポリオールと脂肪酸、グリセリド、植物油、水素化植物油、及びステロールとの反応混合物の生成物である。具体的な実施形態では、親油性界面活性剤は、脂肪酸;低級アルコール脂肪酸エステル;ポリエチレングリコールグリセロール脂肪酸エステル;ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル;ポリオキシエチレングリセリド;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;モノ/ジグリセリドの乳酸誘導体;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;ポリオキシエチレン植物油;ポリオキシエチレン水素化植物油;並びにポリオールと脂肪酸、グリセリド、植物油、水素化植物油及びステロールとの反応混合物から選択される。ある具体的な実施形態では、親油性界面活性剤は、低級アルコール脂肪酸エステル;ポリプロピレングリコール脂肪酸エステル;プロピレングリコール脂肪酸エステル;グリセロール脂肪酸エステル;アセチル化グリセロール脂肪酸エステル;モノ/ジグリセリドの乳酸誘導体;ソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン植物油;及びそれらの混合物から選択され、グリセロール脂肪酸エステル及びアセチル化グリセロール脂肪酸エステルが最も好ましい。グリセロール脂肪酸エステルのうち、エステルは、たとえば、モノグリセリド若しくはジグリセリド、又はモノグリセリドとジグリセリドとの混合物であり、この場合、脂肪酸部分はC〜C22脂肪酸である。いくつかの具体的な実施形態では、親油性界面活性剤は、ポリオールと脂肪酸、グリセリド、植物油、水素化植物油、及びステロールとの反応混合物の生成物から選択される。さらに具体的な実施形態では、ポリオールは、ポリエチレングリコール、ソルビトール、プロピレングリコール、及びペンタエリトリトールである。
【0117】
ある実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は親油性成分又は担体を含む。いくつかの実施形態では、親油性担体は、親油性界面活性剤、トリグリセリド、及びビタミンE化合物(たとえばd,l−α−トコフェロール)から選択される。具体的な実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物で用いられるトリグリセリドは、適切な添加剤の添加の有無に関係なく、常温で凝固する(たとえば、固体、半固体、ゲル、ジェリー、ペーストなどを形成する)ものであるか、又は特定の界面活性剤及び/又は活性成分との組み合わせで室温にて凝固するものである。本明細書に記載される医薬組成物における使用に適したトリグリセリドの例示的及び非限定的な例を表19に示す。一般的に、これらのトリグリセリドは、商業的供給源から容易に入手可能である。いくつかのトリグリセリドについては、それぞれの商品及び/又は商業的供給業者も記載する。
【表19】


【0118】
ある実施形態において、本明細書に記載される医薬組成物で用いられるトリグリセリドとしては、分画トリグリセリド、修飾トリグリセリド、合成トリグリセリドが挙げられ、トリグリセリドの混合物も本発明の範囲内に含まれる。具体的な実施形態では、トリグリセリドには、非限定的例を挙げると、植物油、魚油、獣脂、水素化植物油、部分水素化植物油、中及び長鎖トリグリセリド、並びに構造化トリグリセリド(structured triglyceride)が含まれる。いくつかの市販の界面活性剤組成物は少量から中程度の量のトリグリセリドを、典型的にはたとえば、エステル交換反応におけるトリグリセリド出発物質の不完全な反応の結果として含むと理解されるべきである。このような市販の界面活性剤組成物は、名目上「界面活性剤」と称し、本発明の組成物のトリグリセリド成分の全部又は一部を提供することが好ましい。トリグリセリドを含む市販の界面活性剤組成物の例としては、Gelucire(Gattefosse)、Maisines(Gattefosse)、及びImwitors(Huels)ファミリーの一部のメンバーが挙げられる。これらの組成物の具体例は:Gelucire44/14(飽和ポリグリコール化グリセリド);Gelucire50/13(飽和ポリグリコール化グリセリド);Gelucire 53/10(飽和ポリグリコール化グリセリド);Gelucire33/01(C〜C18飽和脂肪酸の半合成トリグリセリド);Gelucire39/01(半合成グリセリド);他のGelucire、たとえば37/06、43/01、35/10、37/02、46/07、48/09、50/02、62/05など;Maisine35−1(リノレイングリセリド);及びImwitor742(カプリル/カプリングリセリド)である。
さらなる薬剤
【0119】
本明細書に記載される医薬組成物は、場合によって1以上のさらなる薬剤又は添加剤を含む。ある例において、好適な添加剤には、本明細書で記載される医薬組成物の経口投与形態としての処方を容易にするものが含まれ、たとえば、コーティング及びカプセル成分が含まれる。さらなる添加剤には、非限定的例を挙げると、可溶化剤、酵素阻害剤、消泡剤、酸化防止剤、バインダー、緩衝剤、キレート剤、希釈剤、崩壊剤、香味料、保存料、甘味料、シックナーなどが含まれる。
【0120】
いくつかの実施形態では、本発明で提供する医薬組成物は、場合によって、1以上の可溶化剤、すなわち固体担体中の医薬活性成分又は他の組成物成分の溶解度を増大させる添加剤を含む。本発明の組成物における使用に好適な可溶化剤としては:アルコール、ポリオール、ポリエチレングリコールのエーテル、アミド、エステルなどが挙げられる。アルコール及びポリオールには、非限定的例を挙げると、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール及びそれらの異性体、グリセロール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、トランスクトール、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び他のセルロース誘導体、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体が含まれる。ポリエチレングリコールのエーテルには、約200〜約6000の平均分子量を有するものが含まれ、非限定的例を挙げると、テトラヒドロフルフリルアルコールPEGエーテル(グリコフロール、BASFからTetraglycolの商標名で市販されている)及びメトキシPEG(Union Carbide)がある。アミドには、非限定的例を挙げると、2−ピロリドン、2−ピペリドン、ε−カプロラクタム、N−アルキルピロリドン、N−ヒドロキシアルキルピロリドン、N−アルキルピペリドン、N−アルキルカプロラクタム、ジメチルアセトアミド、及びポリビニルピロリドンが含まれる。エステルには、非限定的例を挙げると、エチルプロピオネート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート、トリエチルシトレート、エチルオレエート、エチルカプリレート、エチルブチレート、トリアセチン、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ε−カプロラクタム及びそれらの異性体、δ−バレロラクトン及びそれらの異性体、β−ブチロラクトン及びそれらの異性体が含まれる。他の可溶化剤には、非限定的例を挙げると、ジメチルアセトアミド、ジメチルイソソルビド(Arlasolve DMI(ICI))、N−メチルピロリドン(Pharmasolve(ISP))、モノオクタノイン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(Gattefosseから商標名Transcutolで入手可能)、及び水が含まれる。可溶化剤の混合物も本開示の範囲内に含まれる。表示されているものを除いて、これらの化合物は、標準的な商業的供給源から容易に入手可能である。具体的な実施形態では、可溶化剤には、非制限的例を挙げると、トリアセチン、トリエチルシトレート、エチルオレエート、エチルカプリレート、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−ヒドロキシエチルピロリドン、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルシクロデキストリン、エタノール、ポリエチレングリコール200−600、グリコフロール、トランスクトール、プロピレングリコール、及びジメチルイソソルビドが含まれる。ある具体的な実施形態では、可溶化剤には、ソルビトール、グリセロール、トリアセチン、エチルアルコール、PEG−400、グリコフロール及びプロピレングリコールが含まれる。本明細書に記載される医薬組成物中に含まれる可溶化剤の量は、任意の好適な量である。
【0121】
接着防止剤(抗粘着剤、流動促進剤、流れ促進剤、滑剤)には、非限定的例を挙げると、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ヒュームドシリカ(Carbosil、Aerosil)、微粉化シリカ(Syloid番号FP244、Grace U.S.A.)、ポリエチレングリコール、界面活性剤、ワックス、ステアリン酸、ステアリン酸塩、ステアリン酸誘導体、デンプン、水素化植物油、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ロイシン、PEG−4000及びラウリル硫酸マグネシウムが含まれる。酸化防止剤には、非制限適例を挙げると、BHT、BHA、没食子酸、没食子酸プロピル、アスコルビン酸、アスコルビルパルミテート、4−ヒドロキシメチル−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、及びトコフェロールが含まれる。バインダー(接着剤)、すなわち粉末材料に対して粒子間結合により粘着性を付与する薬剤には、非限定的例を挙げると、マトリックスバインダー(乾燥デンプン、乾燥糖)、フィルムバインダー(PVP、デンプンペースト、セルロース、ベントナイト、スクロース)、及び化学バインダー(ポリマーセルロース誘導体、たとえばカルボキシメチルセルロース、HPC及びHPMC;糖シロップ;コーンシロップ;水溶性多糖類、たとえばアカシア、トラガカント、グアー及びアルギネート;ゼラチン;ゼラチン加水分解物;寒天;スクロース;デキストロース;及び非セルロースバインダー、たとえばPVP、PEG、ビニルピロリドンコポリマー、α化デンプン、ソルビトール、及びグルコース)が含まれる。緩衝剤には、酸及び塩基が含まれ、酸は、薬剤的に許容される酸、たとえば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸、酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ヒドロキノスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸及び尿酸であり、塩基は、薬剤的に許容される塩基、たとえばアミノ酸、アミノ酸エステル、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、合成ケイ酸アルミニウム、合成ハイドロタルサイト、水酸化マグネシウムアルミニウム、ジイソプロピルエチルアミン、エタノールアミン、エチレンジアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、又は薬剤的に許容されるカチオンと酢酸、アクリル酸、アジピン酸、アルギン酸、アルカンスルホン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、安息香酸、ホウ酸、酪酸、炭酸、クエン酸、脂肪酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、ヒドロキノスルホン酸、イソアスコルビン酸、乳酸、マレイン酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、パラブロモフェニルスルホン酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、タンニン酸、酒石酸、チオグリコール酸、トルエンスルホン酸、及び尿酸との塩である。キレート剤には、非限定的例を挙げると、EDTA及びEDTA塩が含まれる。着色剤又は不透明化剤には、非限定的例を挙げると、二酸化チタン、食用色素、レーキ、天然の植物性着色剤、酸化鉄、ケイ酸塩、硫酸塩、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムが含まれる。希釈剤又はフィラーには、非限定的例を挙げると、ラクトース、マンニトール、タルク、ステアリン酸マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸、噴霧乾燥ラクトース、加水分解デンプン、直打用デンプン、微結晶セルロース、セルロース系材料、ソルビトール、スクロース、スクロース系材料、硫酸カルシウム、二塩基性リン酸カルシウム及びデキストロースが含まれる。崩壊剤及び超崩壊剤には、非限定的例を挙げると、クロスカルメロースナトリウム、デンプン、デンプン誘導体、クレイ、ガム、セルロース、セルロース誘導体、アルギネート、架橋ポリビニルビニルピロリドン、デンプングリコール酸ナトリウム及び微結晶セルロースが含まれる。着香剤又は減感剤には、非限定的例を挙げると、噴霧乾燥フレーバー、精油及びエチルバニリンが含まれる。可塑剤には、非限定的例を挙げると、ポリエチレングリコール、シトレートエステル(たとえば、トリエチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチルトリブチルシトレート)、アセチル化モノグリセリド、グリセリン、トリアセチン、プロピレングリコール、フタレートエステル(たとえば、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート)、ヒマシ油、ソルビトール及びジブチルセケートが含まれる。保存料には、非限定的例を挙げると、アスコルビン酸、ホウ酸、ソルビン酸、安息香酸、及びそれらの塩、パラベン、フェノール、ベンジルアルコール、及び第4アンモニウム化合物が含まれる。溶媒には、非限定的例を挙げると、アルコール、ケトン、エステル、塩化炭化水素及び水が含まれる。甘味料には、非限定的例を挙げると、天然甘味料、たとえばマルトース、スクロース、グルコース、ソルビトール、グリセリン及びデキストリン、並びに人工甘味料、たとえばアスパルテーム、サッカリン及びサッカリン塩が含まれる。シックナー(粘度調整剤、増粘剤)には、非限定的例を挙げると、糖、ポリビニルピロリドン、セルロース系材料、ポリマー、高分子量ポリエチレングリコール(たとえば、PEG8000)、及びアルギネートが含まれる。添加剤にはまた、非限定的例を挙げると、タンパク質(たとえば、コラーゲン、ゼラチン、ゼイン、グルテン、イガイタンパク質、リポタンパク質);炭水化物(たとえば、アルギネート、カラギーナン、セルロース誘導体、ペクチン、デンプン、キトサン);ガム(たとえば、キサンタンガム、アラビアゴム);鯨ロウ;天然若しくは合成ワックス;カルナウバワックス;脂肪酸(たとえば、ステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸);脂肪族アルコール;糖;シェラック、たとえば糖系のもの(たとえば、ラクトース、スクロース、デキストロース)又はデンプン;多糖類系シェラック(たとえば、マルトデキストリン及びマルトデキストリン誘導体、デキストレート、シクロデキストリン及びシクロデキストリン誘導体);セルロース系シェラック(たとえば、微結晶セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロースアセテート、セルロースニトレート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートトリメリテート、カルボキシメチルエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート);無機物、たとえばリン酸二カルシウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、タルク及びチタニア;ポリオール、たとえばマンニトール、キシリトール及びソルビトール;ポリエチレングリコールエステル;並びにポリマー、たとえばアルギネート、ポリ(ラクチドコグリコリド)、ゼラチン、架橋ゼラチン、及び寒天−寒天が含まれる。
【0122】
一般的使用における前記添加剤間にはかなりの重複があると理解すべきである。なぜなら、所定の添加剤は、その技術分野の異なる専門家によって異なって分類されることが多いか、または一般的にいくつかの異なる機能のいずれかに関して使用されるからである。したがって、前記添加剤は本発明の組成物に含めることができる添加剤の種類の単なる例示であり、限定するものと解釈するべきではない。このような添加剤の量は、所望の特定の性質によって当業者が容易に決定できる。
投与形態
【0123】
様々な実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物は経口投与形態として処方される。経口投与形態は、非限定的例を挙げると、凝集、エアサスペンション冷却、エアサスペンション乾燥、ボーリング、コアセルベーション、粉砕、圧縮、ペレット化、低温ペレット化、カプセル化、押出、造粒、均一化、包接錯体形成、凍結乾燥、ナノカプセル化、溶融、混合、成形、パンコーティング、溶媒脱水、超音波処理、球形化、噴霧冷却、噴霧凝固、噴霧乾燥などの1以上のステップを含む任意の好適なステップによって調製される。
【0124】
いくつかの実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物を基体と配合して、経口投与形態を形成する。様々な実施形態では、本明細書に記載される医薬組成物の経口投与形態としての処方に有用な基体には、非限定的例を挙げると、粉末又は多粒子(multiparticulate)(たとえば、1以上の顆粒、1以上のペレット、1以上のビーズ、1以上の小球、1以上のビーズレット、1以上のマイクロカプセル、1以上のミリスフィア、1以上のミニカプセル、1以上のマイクロカプセル、1以上のナノカプセル、1以上のナノスフィア、1以上のマイクロスフィア、1以上のミニタブレット、1以上の錠剤、1以上のカプセル、又はそれらの1以上の組み合わせ)が含まれる。ある例において、粉末は、活性成分若しくは添加剤分子集合体又は複数の成分の化合物集合体又は活性成分及び/又は添加剤の凝集体の物理的混合物の微粉化(粉砕、微粉化、ナノサイズ化、沈殿)形態を構成する。
【0125】
基体は、非限定的例を挙げると、ラクトース、スクロース又はデキストロースなどの糖;マルトデキストリン又はデキストレートなどの多糖類;デンプン;微結晶セルロース又は微結晶セルロース/カルボキシメチルセルロースナトリウムなどのセルロース系材料;リン酸二カルシウム、ヒドロキシアパタイト、リン酸三カルシウム、タルク、又はチタニアなどの無機物;及びマンニトール、キシリトール、ソルビトール又はシクロデキストリンなどのポリオールをはじめとする任意の好適な材料から調製される。さらに、基体は場合によって、活性成分、界面活性剤、トリグリセリド又は本明細書に記載される添加剤から構成される。特定の一実施形態では、基体は、添加剤、活性成分、界面活性剤、若しくはトリグリセリドの固体形態;添加剤、界面活性剤若しくはトリグリセリドと活性成分との複合体;添加剤、界面活性剤若しくはトリグリセリドと活性成分の共沈物、又はそれらの混合物である。
【0126】
様々な実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物及び基体は、非限定的例を挙げると、ミニカプセル、カプセル、錠剤、インプラント、トローチ、ロゼンジ(ミニタブレット)、一時的若しくは恒久的懸濁液、ウェハ、チュアブル錠、急速若しくは速溶性錠剤、発泡錠、口腔若しくは舌下用固体、顆粒、フィルム、スプリンクル、ペレット、ビーズ、丸薬、散剤、粉薬、ストリップ又はサシェから選択される経口投与形態を提供するか又は提供するように処方される。
【0127】
具体的な実施形態では、本明細書で記載される経口投与形態はカプセルである。好適なカプセル形態としては、非限定的例を挙げると、ハード又はソフトゼラチンカプセル、デンプンカプセル、及びセルロースカプセルが挙げられる。さらに具体的な実施形態では、本明細書で記載される経口投与形態は、ハード又はソフトゼラチンカプセルの形態である。いくつかの実施形態では、経口投与形態は、ジェリー、固体、半固体、ガラス状又はペースト様組成物を含むカプセルであり、この場合、テストステロンアルキルエステルが組成物中に配合される。
【0128】
具体的な実施形態では、本明細書で記載される医薬組成物は、(i)本明細書に記載される医薬組成物を、医薬組成物が流動できるよう(たとえば、均一なエマルジョン、スラリーなど)になるまで加熱し;そして(ii)流動し得る医薬組成物を基体上に堆積させることにより、経口投与形態として処方される。さらに具体的な実施形態では、流動し得る医薬組成物は均一な溶液である。さらなる実施形態又は別の実施形態では、基体は、1以上のカプセル、1以上のマイクロカプセル、又は1以上のナノカプセルである。さらに具体的な実施形態では、基体は、ハードゼラチンカプセル又はソフトゼラチンカプセルである。さらに具体的な実施形態では、基体はハードゼラチンカプセルである。
【実施例1】
【0129】
数例では、経口投与形態を以下の方法で調製する:
【0130】
ステップ1:選択された量の担体及び添加剤を清浄な容器中に移し、溶融溶液が得られるまでこの組み合わせを加熱する;
【0131】
ステップ2:選択された量のステロイド化合物(たとえばウンデカン酸テストステロン)をステップ1で得られた溶融溶液に移し、均質化する;
【0132】
ステップ3:ステップ2の混合物をステップ4で使用するまで高温で維持する;そして
【0133】
ステップ4:ステップ3の混合物の(たとえば、ハードゼラチンカプセル中に)封入。
【0134】
前記手順を用いて、以下のカプセルを調製する:
【表20】

【表21】

【表22】

【表23】

【実施例2】
【0135】
カプセル1〜4を、37±0.5℃、100rpmでUSPII型(パドル)装置条件に付す(すなわち、8%w/vのTriton X−100を有するDI水1L中で沈殿させる)。図1は、カプセル1〜4の放出プロファイルを表す。
【実施例3】
【0136】
臨床試験プロトコル
【0137】
治験集団:BMIが18〜30kg/m、試験前スクリーニング合計T濃度が1.3ng/mL(4.5nmol/L)未満の健康なボランティア(N=24)。健康なボランティアには、45才以上の閉経後の女性が含まれる。
【0138】
研究デザイン:カプセル1〜4並びに商標名Andriol(登録商標)で入手可能なヒマシ油とプロピレングリコールラウレートとの混合物中に配合された40mgのウンデカン酸テストステロン(カプセル1〜4と同じ120mgの用量を提供するため)を含む即時放出経口投与製剤×3のI相単一施設ランダム化非盲検研究
【0139】
投与様式:10時間絶食した後、標準化高脂肪高カロリーの朝食開始後約30分に、240mlの水とともに経口投与する。治療と治療の間隔:各治療期間の開始の間隔は最低7日である。
【0140】
図2は、カプセル1〜4及び3×40mgの即時放出経口投与製剤(合計120mgの即時放出性用量)の投与後の平均血漿テストステロン濃度を表す。図3は、カプセル1〜4及び3×40mg即時放出経口投与製剤(合計120mgの即時放出性用量)の投与後の平均血漿ウンデカン酸テストステロン濃度を表す。図4は、カプセル1〜4及び3×40mgの即時放出経口投与製剤(合計120mgの即時放出性用量)の投与後の平均血漿ジヒドロテストステロン濃度を表す。
【0141】
表24〜26は、得られたテストステロン、ウンデカン酸テストステロン、及びジヒドロテストステロンの単回投与の濃度レベル及びシミュレートされた定常状態レベルを示す。
【表24】

【表25】

【表26】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)治療有効量の1以上のテストステロンC〜C13アルキルエステル;及び(ii)少なくとも1つの薬剤的に許容される担体を含む医薬組成物であって;テストステロンC〜C13アルキルエステルの約80%以下を30分後に水性媒体中に放出する、医薬組成物。
【請求項2】
テストステロンC〜C13アルキルエステルがウンデカン酸テストステロンである、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
約10mg〜約1000mgのテストステロンC〜C13アルキルエステルを含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記医薬組成物の単回投与が、経口投与によって約19ng/mL以下のテストステロンの平均血漿Cmaxを提供する、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記医薬組成物の単回投与が、経口投与によって約4.5ng/mL以下のジヒドロテストステロンの平均血漿Cmaxを提供する、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項6】
約1300ng/dL以下の定常状態でのテストステロン平均血漿Cmaxを提供する、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項7】
約200ng/dL以上の定常状態でのテストステロン平均血漿Cminを提供する、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬組成物が個体に投与されると、約500×10mL以下の(テストステロン同等用量)/(平均定常状態テストステロンCmax)比を提供する、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項9】
個体に経口投与されると、定常状態でのテストステロンの平均血漿Cmaxと定常状態でのテストステロンの平均血漿Cminとの差を約16ng/mL以下とする、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項10】
個体に経口投与されると、テストステロンC〜C13アルキルエステルの定常状態での平均血漿Cmaxと定常状態での平均血漿Cminとの差を約275ng/mL以下とする、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項11】
医薬組成物の単回投与が、経口投与されると1時間後に約150ng/dL以下のテストステロンの平均血漿濃度を提供する、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項12】
医薬組成物の単回投与が、経口投与されると2時間後に約500ng/dL以下のテストステロンの平均血漿濃度を提供する、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1つの薬剤的に許容される担体が少なくとも1つの親水性担体を含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記親水性担体が親水性トリグリセリドである、請求項13記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記親水性トリグリセリドがポリオキシル化ヒマシ油、又はポリオキシル化水素化ヒマシ油である、請求項14記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1つの薬剤的に許容される担体が少なくとも1つの親油性担体を含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1つの親油性担体が、モノグリセリド、ジグリセリド、ビタミンE化合物、トリグリセリド、脂肪酸、ポリオキシル化脂肪酸、ポリオキシル化トリグリセリド、ポリオキシル化植物油、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項18】
(i)治療有効量の1以上のテストステロンC〜C13アルキルエステル;及び(ii)少なくとも1つの薬剤的に許容される担体を含む遅延放出経口製剤であって;前記遅延放出経口製剤の単回投与が、同じ量のテストステロンC〜C13アルキルエステルを有する即時放出経口製剤の単回投与により提供されるテストステロンの平均血漿Cmaxよりも少なくとも5%低いテストステロンの血漿Cmaxを提供する、遅延放出経口製剤。
【請求項19】
前記テストステロンC〜C13アルキルエステルがウンデカン酸テストステロンである、請求項18記載の遅延放出経口製剤。
【請求項20】
前記医薬組成物が約10mg〜約1000mgのテストステロンC〜C13アルキルエステルを含む、請求項18記載の遅延放出経口製剤。
【請求項21】
ヒトに対して遅延放出経口製剤の用量を単回投与することによって、約500×10mL以下の(テストステロン同等用量)/(平均血漿テストステロンCmax)比を提供する、請求項18記載の遅延放出経口製剤。
【請求項22】
ヒトに対して遅延放出経口製剤の用量を単回投与することによって、約350×10mL以下の(テストステロン同等用量)/(平均血漿ジヒドロキシテストステロンCmax)比を提供する、請求項18記載の遅延放出経口製剤。
【請求項23】
同じ量のテストステロンC〜C13アルキルエステルを有する即時放出経口製剤によって提供される定常状態でのテストステロンC〜C13アルキルエステルの平均血漿Cmaxよりも少なくとも50%低いテストステロンC〜C13アルキルエステルの定常状態での平均血漿Cmaxを提供する、請求項18記載の遅延放出経口製剤。
【請求項24】
前記少なくとも1つの薬剤的に許容される担体が少なくとも1つの親水性担体を含む、請求項18記載の遅延放出経口製剤。
【請求項25】
前記親水性担体が親水性トリグリセリドである、請求項24記載の遅延放出経口製剤。
【請求項26】
前記親水性トリグリセリドが、ポリオキシル化ヒマシ油、又はポリオキシル化水素化ヒマシ油である、請求項25記載の遅延放出経口製剤。
【請求項27】
前記少なくとも1つの薬剤的に許容される担体が本質的に1以上の親油性担体からなる、請求項18記載の遅延放出経口製剤。
【請求項28】
前記少なくとも1つの親油性担体が、モノグリセリド、ジグリセリド、ビタミンE化合物、トリグリセリド、脂肪酸、ポリオキシル化脂肪酸、ポリオキシル化トリグリセリド、ポリオキシル化植物油、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項27記載の遅延放出経口製剤。
【請求項29】
(i)治療有効量の1以上のテストステロンアルキルエステル;及び(ii)少なくとも1つの薬剤的に許容される担体を含む医薬組成物であって、1時間後に約60%〜約90%のテストステロンアルキルエステルを水性媒体中に放出する、医薬組成物。
【請求項30】
(i)治療有効量の1以上のテストステロンアルキルエステル;及び(ii)少なくとも1つの薬剤的に許容される担体を含む医薬組成物であって;約50%以下のテストステロンアルキルエステルを6時間で水性媒体中に放出する、医薬組成物。
【請求項31】
アンドロゲン欠乏症の治療を必要とする個体におけるアンドロゲン欠乏症を治療するための医薬の製造における治療有効量の1以上のテストステロンC〜C13アルキルエステルの使用であって、前記医薬が、30分後にテストステロンC〜C13アルキルエステルの約90%以下を水性媒体中に放出する、使用。
【請求項32】
前記医薬を食事とともに投与する、請求項31記載の使用。
【請求項33】
前記医薬を1日2回又は1日1回投与する、請求項31記載の使用。
【請求項34】
治療有効量のウンデカン酸テストステロンを含む医薬組成物であって、ヒト個体に投与されると、ウンデカン酸テストステロン以外のテストステロンアルキルエステルを含む以外は同じである医薬組成物をヒト個体に実質的に同様に投与することにより得られる血漿テストステロンアルキルエステル、テストステロン、又は両者の濃度と比較して、ヒト個体において、血漿テストステロンアルキルエステル、テストステロン、又は両者の濃度を増大させる、医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−514653(P2012−514653A)
【公表日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−545470(P2011−545470)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/020538
【国際公開番号】WO2010/081032
【国際公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(511156427)リポシン,インク. (1)
【Fターム(参考)】