説明

ステロール及び/又はスタノール及びコレステロール生合成阻害剤を含む新規化合物及び組成物、並びに様々な疾患及び症状の治療又は防止へのそれらの使用

【課題】ステロール及び/又はスタノール及びコレステロール生合成阻害剤を含む新規化合物及び組成物、並びに様々な病気及び症状の治療又は防止へのそれらの使用
【解決手段】本発明は、一つの局面において、ステロール及び/又はスタノール及びコレステロール生合成阻害剤を含む新規化合物(それら化合物の塩、及びそれら化合物及び/又は塩の溶媒和物及びプロドラッグを含む。)を提供する。別の局面において、本発明は、少なくとも一つのステロール及び/又はスタノールエステル、並びに、少なくとも一つのコレステロール生合成阻害剤を含む組成物を提供する。また、本明細書に示された化合物又は組成物を投与することによって、様々な疾患、症状及び障害を治療及び予防する方法をも提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はステロール、スタノール及びそれらの新規誘導体分野に関し、並びに、心血管疾患及びその他の疾患の治療及び予防におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
科学技術における近年の進歩はヒトの生活の質を改善し寿命を延ばすことに役立っているが、アテローム性動脈硬化症、すなわち心血管疾患(CVD)の根本原因の予防は十分に対処されていない。実際、心血管疾患は、あらゆる形態のガンを全て含めたその他の疾患よりも、年間に多くの死者を計上する(非特許文献1)。米国に限っても、毎年100万件以上の心臓発作が起こっており、そしてそれが原因で50万人以上が亡くなっている。この甚大な犠牲者は、CVDの原因とそれを予防及び治療する手段を決定するための継続的な研究を必要としている。
【0003】
CVDの根本原因はアテローム性動脈硬化症、すなわち、血管路の狭窄及び最終的には脈管系の硬化をもたらす動脈血管壁へのコレステロールなどの脂質の沈殿を特徴とする疾患である。アテローム性動脈硬化症は遺伝(遺伝子)因子及び食生活や生活習慣などの環境因子の相互作用に起因する変性プロセスである。今日までの研究は、コレステロールが、血管に動脈硬化性プラークを形成し、動脈系図のプラークの位置に応じて心筋又は脳又は四肢への血液供給を最終的には絶つことによって、アテローム性動脈硬化症の一因となり得ることを示唆している(非特許文献1、2)。225−250mg/dlを上回る総コレステロール量は、血管障害などのCVDの有意に高いリスクと関連する。概観は、ヒトの総血清コレステロールにおける1%の減少が、冠動脈イベントのリスクにおける2%の減少をもたらすことを示している(非特許文献3)。統計的には、平均血清コレステロールにおける10%の減少(たとえば6.0mmol/Lから5.3mmol/L)が米国内において年間100,000人の死亡を防ぐ結果になり得る(非特許文献4)。
【0004】
コレステリルエステルはアテローム性病変の主要成因であり、動脈壁細胞のコレステロールの主要な貯蔵形態である。コレステリルエステル形成はまた、恒常性のコントロールメカニズムを介して、食事性コレステロールの腸内吸収における一段階である。これらコントロールメカニズムは、食事性コレステロール、コレステロール生合成及びコレステロール含有血漿リポタンパク質の異化反応の相互関連する規制を含んでいる。コレステロール生合成及び異化反応は最初に肝臓で起こり、それゆえ、血漿コレステロール値の主要な決定要因である。
【0005】
リポタンパク質は非共有結合で結合された脂質とタンパク質の複合体である。各種のリポタンパク質類は、特有の質量、化学組成、密度及び生理学的役割を有する。密度又は粒子サイズに関係なく、循環脂質はコレステリルエステルとトリグリセリドの核、及びリン脂質、遊離コレステロール及びアポリポタンパク質の膜で構成される。アポリポタンパク質はリポタンパク質の集合及び分泌に関与し、構造的完全性を与え、リポタンパク質変性酵素を活性化し、そして多くの種類のレセプターや膜タンパク質に対するリガンドである。血漿中に見られるリポタンパク質類はHDL、LDL、中間密度リポタンパク質(IDL)及び極低密度リポタンパク質(VLDL)を含む。
【0006】
各種のリポタンパク質は、特有のアポリポタンパク質組成又は比率を有する。HDL中で最も有名なアポリポタンパク質はアポリポタンパク質−AI(アポ−AI)であり、それはタンパク質質量の約70%を占め、もう20%をアポ−AIIが占める。アポA−Iの
アポA−IIに対する比率は、HDL機能特性及び抗動脈硬化特性を決定し得る。循環しているHDL粒子は、質量200乃至400キロダルトン、直径7乃至10nmの円板状並びに球状粒子の異質混合物からなる。
【0007】
HDLは血漿中で脂質の輸送において機能するリポタンパク質の主要な種類の一つであり、また、コレステロール逆輸送、胆汁酸合成のためのコレステロール分子基質の供給、クラステリン輸送、パラオキサネーゼ輸送、リポタンパク質酸化防止、及び、副腎細胞によるコレステロールの選択的摂取などの、体内における多様な機能を有する。HDLに関連する主要な脂質はコレステロール、コレステリルエステル、トリグリセリド、リン脂質及び脂肪酸が挙げられる。
【0008】
HDLがどのように抗動脈硬化性であるかを十分に理解するために、動脈硬化プロセスの簡単な説明が必要である。動脈硬化プロセスは、LDLが血管壁内部に捕捉されることから始まる。このLDLの酸化は、単核細胞の血管壁の内側を覆う内皮細胞への結合を生じさせる。これら単核細胞は活性化され、そして内皮空間へ入り込み、そこでマクロファージへと変形され、LDLのさらなる酸化を導く。酸化されたLDLは、スカベンジャーレセプターによってマクロファージに取りこまれ、泡沫細胞の形成を導く。線維性被膜が、動脈平滑筋細胞の増殖と移動によって発生し、これにより動脈硬化性プラークが形成される。
【0009】
HDLは、肝臓外の組織から肝臓へコレステロールを輸送するのに必須なものであり、肝臓において遊離コレステロールとして又はコレステロールから形成される胆汁酸として胆汁中に排出される。該プロセスは幾つかの段階を必要とする。第一プロセスは肝臓及び腸内における新生又はプレ−βHDL粒子の形成である。過剰コレステロールがABC A1トランポーターの働きによって細胞膜を通って新生HDL中に移動する。レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)がコレステロールをコレステリルエステルに変換し、続いて新生HDLを成熟HDLへの変換する。エステル化されたコレステロールは続いて、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)によってHDLからアポリポタンパク質−Bを含むリポタンパク質へ転送され、該リポタンパク質は多数の受容体によって肝臓内に取りこまれる(非特許文献1)。新生HDLは肝臓トリグリセリドリパーゼ及びリン脂質転送タンパク質によって再生され、このサイクルが繰り返される。抹消細胞から除去されたコレステロールに加え、HDLはLDL及び赤血球膜からコレステロールを受け取る。逆コレステロール輸送の別のメカニズムは、コレステロールに乏しい膜とHDL又は他の受容体分子の間のコレステロールの受動的拡散を含み得る。
【0010】
HDLは逆コレステロール輸送におけるその役割を通して、あるいは恐らくLDL酸化を妨げることの双方によってアテローム性動脈硬化症の発生を防ぐ。幾つかのHDL関連酵素が該プロセスに関与している。パーオキソナーゼ(PON1)、LCAT、及び血小板活性化因子アセチルヒドロラーゼ(PAFAH)の全てが、LDL酸化の間に生成したリン脂質ヒドロペルオキシドを加水分解することによって関与し、そしてLDL中の酸化脂質の蓄積を協力して防止する働きをする。これら酵素はHDLの抗酸化及び抗炎症特性に関与する。研究論文は、HDLコレステロールの低血漿濃度がアテローム性動脈硬化症の発生の重要なリスク因子であり(非特許文献5)、そしてその高レベル値が防止することを示している。
【0011】
肝臓はVLDL類の合成及び分泌に関する主要な臓器であり、VLDL類は上述の通り循環中に代謝されてLDLとなる。LDL類は血漿中でコレステロールを輸送する主要なリポタンパク質であり、それゆえ、その濃度上昇がアテローム性動脈硬化症に直接的に関連する。簡潔に言えば、腸内のコレステロール吸収が減少すると、どうしても、より少ないコレステロールが肝臓へ配送されることになる。結果として、VLDL産生が減少し、同
時に大部分はLDL形態にある血漿コレステロールの肝クリアランスが増加する。
【0012】
その結果、コレステロールはそれ自体の合成を調整するために3つの異なる段階で作用する。第一に、HMG CoAレダクターゼ酵素を抑制することによって、内因性コレステロール合成を抑える。第二に、LCATを活性化する。第三に、LDL−レセプターの合成を調整して、十分量のコレステロールを既に有する細胞がさらなるコレステロールを取りこまないことを確実にする。
【0013】
ステロールは多くの重要な細胞機能を果たす、天然由来の化合物である。植物中のカンペステロール、スチグマステロール及びβ−シトステロール、菌類中のエルゴステロール、並びに動物中のコレステロールなどのステロール類はそれぞれ、各々の細胞タイプにおいて細胞膜及び細胞内膜の各主要成分である。ヒトの食事由来のフィトステロールは野菜や植物油などの植物性物質に由来する。標準的な西洋食中の一日あたりの推定フィトステロール含有量は、一日あたり約500ミリグラムを供給する菜食料理とは対照的に、約60−80ミリグラムである。
【0014】
フィトステロールは、ヒトなどの多くの哺乳類に供給した場合に血清コレステロール値を下げる能力によって、多くの注目を集めている。正確な作用メカニズムの多くは解明されていないものの、コレステロールとフィトステロールとの関係は、1つにはそれぞれの化学構造間の類似性(分子の側鎖に起因する相違)によるらしい。コレステロール吸収プロセスにおいて、フィトステロールはミセル相のコレステロールと置き換わり、それにより、その吸収を減少させるか、受容体及び/又は担体サイトと競合することが推測される。
【0015】
40年以上前、イーライリリー社は、ある論文によると約9%まで血清コレステロールを下げることが見出された、シテリン(登録商標:Cytellin)と呼ばれるトール油由来(後に大豆油由来)のステロール製剤を市販した(非特許文献6)。その後の様々な研究者らが、血漿脂質及びリポタンパク質濃度へのコレステロール製剤の効果(非特許文献7)、並びに、血清コレステロールへの大豆油及びトール油源由来のシトステロール及びカンペステロールの効果の調査(非特許文献8)を行ってきた。血清コレステロールを下げることに非常に有効であることが発見されているフィトステロールの組成物は、米国特許第5,770,749号明細書においてカトニーらに開示され、それは70質量%以下のβ−シトステロール、少なくとも10質量%のカンペステロール及びスチグマスタノール(β−シトスタノール)を含有する。構成要素のフィトステロールの間に何らかの相互作用が存在し、以前に得られたものよりさらに優れたコレステロール低下結果を与えることが、この特許において注目されている。
【0016】
多くの他の化合物及び組成物が、血清LDLコレステロールの低下、血清HDLコレステロールの増加、及び、CVDの他の重大なリスク因子の防止の目的で、過去10年間に開発されている。
【特許文献1】米国特許第5,770,749号明細書
【非特許文献1】Levi RI Declining Mortality in Coronary Heart Diseases Atherosclerosis 1981;1:312−325
【非特許文献2】ロー M.R.、ワルド N.J.、ウー.、ハックソー ZA.、ベイリー A.;Systemic Understimation of association between serum cholesterol concentration and ischemic heart disease in observational studies:Data from BUPA Study;Br.Med.J.1994;308:363−366
【非特許文献3】ラ ローサ J.C.、ハニングヘイク D.、ブッシュ D.ら;The cholesterol facts:A summary of the evidence relating to dietary fats,serum cholesterol and coronary heart disease:A joint statement by the American Heart Association and the National Heart,Lung and Blood Institute.Circulation 1990;81:1721−1733
【非特許文献4】ハベル R.J.、ラパポート E.;Drug Therapy:Management of Primary Hyperlipidemia.New England Journal of Medicine,1995;332:1491−1498
【非特許文献5】バーカー及びライ;Atherosclerosis 1996;121:1−12
【非特許文献6】クコドゥカーら;Effects of plant sterols on cholesterol metabolism.Atherosclerosis,1976−23:239−248
【非特許文献7】リーズ R.S.、リーズ A.M.;Effects of sitosterol therapy on plasma lipid and lipoprotein concentrations. in:Greten H(Ed) Lipoprotein Metabolism.Springer−Verlag,Berlin,Heidelberg,New York,1976:119−124
【非特許文献8】リーズ A.M.、モク H.Y.I.、リーズ R.S.、マックラスキー M.A.、グルンディ S.M.;Plant sterols as cholesterol−lowering agents:clinical trials in patients with hypercholesterolemia and studies of sterol balance.Atherosclerosis 1977;28:325−338
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、CVD及び、脂質障害などのその根底となる障害の治療に用いられていた以前の既知化合物における不利点を未然に防ぐか又は軽減し得る新規化合物を提供することである。
【0018】
本発明の目的は、CVD及び、脂質障害などのその根底となる障害の治療に用いられた以前の既知組成物における不利点を未然に防ぐか又は軽減し得る新規組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、一つの局面において、下記化学式、
【化1】

(式中、Rはステロール又はスタノール部分を表し、R2は少なくとも一つの遊離性及び
反応性カルボキシル基を有するコレステロール生合成阻害剤を表し;R3は少なくとも一
つの遊離性及び反応性水酸基を有するコレステロール生合成阻害剤を表し;R4はアスコ
ルビン酸に由来し、Xは水素原子であるか、又は、金属、アルカリ土類金属及びアルカリ金属からなる群から選択され、並びに、nは1−5を表す。)の一つ以上を有する新規化合物(生物学的に許容される塩又は溶媒和物、又は少なくとも一つの前記化合物の又はそれらの塩の又はそれらの溶媒和物のプロドラッグを含む。)を提供する。
【0020】
本発明は、別の局面において、
a)
【化2】

(式中、Rはステロール又はスタノール部分を表し、R4はアスコルビン酸に由来し、並
びにnは1−5を表す。)の一般式を有する化合物(あらゆる生物学的に許容される塩又は溶媒和物、又は少なくとも一つの前記化合物の又はそれらの塩の又はそれらの溶媒和物のプロドラッグを含む。)から選択される少なくとも一つのコレステロール吸収阻害剤
b)少なくとも一つのコレステロール生合成阻害剤
を含む組成物を提供する。
【0021】
本発明は、別の局面において、以下の治療目的;
a)一般にCVDに関連し、動脈硬化、アテローム性動脈硬化、細動脈硬化、狭心症および血栓症などの一つ以上の症状を予防し、治療し、又は軽減すること、
b)CVDに関連するリスク因子の一つ以上を減らし及び/又は排除すること、
c)アテローム性動脈硬化症を予防し、治療し、又は軽減すること、
d)高コレステロール血症を予防し、治療し、又は軽減すること、
e)高脂質症状を予防し、治療し、又は軽減すること、
f)脂質代謝異常を予防し、治療し、又は軽減すること、
g)高血圧症を予防し、治療し、又は軽減すること、
h)冠動脈疾患を予防し、治療し、又は軽減すること、
i)冠動脈プラーク発生を予防し、治療し、又は軽減すること、
j)冠動脈プラーク炎症を予防し、治療し、又は軽減すること、
k)血清LDLコレステロールを低下すること、
l)血清HDLコレステロールを増加すること、
m)血清トリグリセリド値を減少すること、
n)コレステロール生合成を減少すること、
o)脂質代謝異常状態又は障害を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
p)高コレステロール血症又は低アルファリポタンパク質血症を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
q)アテローム性病変またはプラークの発生を予防し、減らし、排除し、安定化させ、又は改善すること、
r)心血管疾患及び冠動脈疾患の発生に関連する炎症の発生を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
s)血清HDLの不足、若しくはLDL、VLDL、Lp(a)、ベータ−BLDL、I
DL又は残留リポタンパク質の過剰をその基礎として有するか、又は、それらにより悪化する、あらゆる症状、疾患又は障害を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
t)発作のリスクを減少すること、
u)イソプレノイド合成を抑制すること、
v)アルツハイマー病を予防し、治療し、又は軽減すること、
w)認知症を予防し、治療し、又は軽減すること、
x)骨粗鬆症を予防し、治療し、又は軽減すること、
y)酸化ストレスによる損傷を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
z)酸化からHDLの安定性を増強し及び/又は維持すること、
aa)酸化からLDL、VLDL、又はIDLの安定性を増強し及び/又は維持すること、
bb)酸化からトリグリセリド(TG)の安定性を増強し及び/又は維持すること、
cc)抗凝固特性を示すこと、
dd)抗増殖特性を示すこと、
ee)免疫調節特性を示すこと、
ff)血管由来特性を示すこと、
gg)腫瘍の成長を予防し、治療し、又は軽減すること、
hh)骨質量及び/又は骨代謝を増加すること、及び、
ii)特に細胞又は分子レベルにおいて、スタチンの投与によって得られる非脂質関連の多面発現効果の何れかを増強すること、
の一つ以上を達成する方法を提供し、それらは本明細書に説明され主張される化合物又は組成物の無毒性かつ治療有効量を動物に投与することを含む。
【0022】
本発明は、さらなる別の局面において、心血管疾患及びその根底となる症状(アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂質血症、脂質代謝異常、高血圧症、血栓症、冠動脈疾患などを含むがこれに限定されない)を治療し又は予防する方法、又は、冠動脈プラーク炎症などの炎症を治療し又は減らす方法を提供し、前記方法は上記に示された一つ以上の化合物の無毒性かつ治療有効量を動物へ投与することを含む。
【0023】
本発明は、さらなる別の局面において、心血管疾患及びその根底となる症状(アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂質血症、脂質代謝異常、高血圧症、血栓症、冠動脈疾患などを含むがこれに限定されない)を治療し又は予防する方法、又は、冠動脈プラーク炎症などの炎症を治療し又は減らす方法を提供し、前期方法は上記に示された一つ以上の組成物の無毒性かつ治療有効量を動物へ投与することを含む。
【0024】
更なる別の局面において、本発明は、一つ以上の本明細書に示された新規化合物の有効量又は治療量、並びに、薬剤的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。さらなる局面において、本発明は、少なくとも一つのコレステロール生合成阻害剤の有効量又は治療量とともに、式i)−iv)の一つを有する少なくとも一つのコレステロール吸収阻害剤の有効量又は治療量、並びに、薬剤的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。
【0025】
最終局面において、本発明は、1つの容器中に式i)−iv)の一つを有する少なくとも一つのコレステロール吸収阻害剤の有効量及び薬剤的に許容される担体、そして、別の容器中に少なくとも一つのコレステロール生合成阻害剤の有効量及び薬剤的に許容される担体、を含むキットを提供する。
【0026】
本発明の最も重要な点は、ステロール及び/又はスタノールと、例えば好ましくはスタチンなどのコレステロール生合成阻害剤との供給及び同時投与である。これは二つの方法にて遂行し得る。
1)ステロール及び/又はスタノールが選択されたコレステロール生合成阻害剤と一体構
造で化学的に結合している新規化合物の形成による;並びに、
2)選択されたコレステロール吸収阻害剤(ステロール及び/又はスタノールエステル又は誘導体の形態にて)が選択されたコレステロール生合成阻害剤と混合している新規組成物の形成による。
【0027】
コレステロール生合成阻害剤が、本明細書に説明される通り、ステロール/スタノール成分で誘導体化されるか、あるいは組成物中でステロール/スタノールと単に同時投与される場合、低投与量の選択されたコレステロール生合成阻害剤が望ましい効果を得るために要求され得ると考えられる。これは、たとえばある種のスタチンなどのある種のコレステロール生合成阻害剤における立証された不都合な副作用のために重要である。潜在的な副作用の減少はまた、患者のコンプライアンスの観点からも重要であるとみなされている。
【0028】
本発明の幾つかの化合物(上記式(e)及び(f)並びにi)乃至iv)に表現されるもの)はアスコルビル部分を含む。これら特定の化合物は多くの有利点を有する。特に、水などの水溶液への溶解度はアスコルビル部分によって改善されており、そのためそれ自体の経口投与を可能にする。同様に、他の投与形態も容易にする。したがって、本発明のこれら選択された化合物はそのままそれ自体で製造され用いられるか、又は、組み込む医薬製剤が水性であるか否かに関わらずその医薬製剤へ容易に組み込むことができる。この増強された溶解度は、一般に、目的とする治療効果を得るために、低投与量の化合物を要すと解釈される。
【0029】
これらの効果及び他の重要な有利点が以降に明らかになる。
【0030】
本発明は、以下の限定されない図により説明され、
図1はアスコルビル シトスタニル又はカンペスタニル アトルバスタチンリン酸エステル及びそのナトリウム塩の調製方法を示す概略図であり;
図2はアスコルビル シトスタニル又はカンペスタニル シンバスタチンリン酸エステル及びそのナトリウム塩の調製方法を示す概略図であり;
図3はシトスタニル又はカンペスタニル シンバスタチンリン酸エステルの調製方法を示す概略図であり;
図4はシトスタニル又はカンペスタニル アトルバスタチンカルボン酸エステルの調製方法を示す概略図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
下記の詳細な説明は、本発明を実施するにあたり当業者を助けるために提供されている。しかしながら、この詳細な説明は、本発明の範囲を不当に限定するものと解釈されるべきではない。本明細書中で論じられている実施態様の改良及び変形は、本発明の精神及び範囲を離れることなく当業者により行われ得る。
【0032】
本明細書において、「動物」とは、全ての哺乳類を含み、最も好ましくはヒトである、動物界のどんな一員をも意味する。
【0033】
本明細書において、「プロドラッグ」という用語は薬剤前駆物質である化合物であって、患者への投与後、何らかの化学的又は生理学的なプロセス(例えば、生理学的なpHががもたらされるか、又は酵素反応によって、プロドラッグが目的とする薬剤形態へ変換される。)を介して体内で薬剤が放出される化合物を指す。
【0034】
本明細書において、「溶媒和物」という用語は、溶媒の分子又はイオンと溶質(例えば、式a)乃至f)の化合物又は化合物a)乃至f)のプロドラッグ。)の分子又はイオンとからなる分子複合体又はイオン複合体を指す。限定されない有用な溶媒としては、水及び
/又はアルコール(例えばメタノール)などの極性、プロトン性溶媒がある。
【0035】
本明細書において、「化合物」という用語は「誘導体」「構造」及び「類似体」という用語と置き換え可能である。
【0036】
本明細書において、「有効」又は「治療有効」という用語は、化合物(類)又は組成物を投与する人が求める細胞組織、システム、動物又は哺乳類における生物学的又は医学的反応を発現させるために、動物、特にヒトへ投与される前記化合物(類)又は組成物の量であって、一つ以上の以下の目的を達成する量を限定することを目的としている。
a)一般にCVDに関連し、動脈硬化、アテローム性動脈硬化、細動脈硬化、狭心症および血栓症などの一つ以上の症状を予防し、治療し、又は軽減すること、
b)CVDに関連するリスク因子の一つ以上を減らし及び/又は排除すること、
c)アテローム性動脈硬化症を予防し、治療し、又は軽減すること、
d)高コレステロール血症を予防し、治療し、又は軽減すること、
e)高脂質症状を予防し、治療し、又は軽減すること、
f)脂質代謝異常を予防し、治療し、又は軽減すること、
g)高血圧症を予防し、治療し、又は軽減すること、
h)冠動脈疾患を予防し、治療し、又は軽減すること、
i)冠動脈プラーク発生を予防し、治療し、又は軽減すること、
j)冠動脈プラーク炎症を予防し、治療し、又は軽減すること、
k)血清LDLコレステロールを低下すること、
l)血清HDLコレステロールを増加すること、
m)血清トリグリセリド値を減少すること、
n)コレステロール生合成を減少すること、
o)脂質代謝異常状態又は障害を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
p)高コレステロール血症又は低アルファリポタンパク質血症を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
q)アテローム性病変またはプラークの発生を予防し、減らし、排除し、安定化させ、又は改善すること、
r)心血管疾患及び冠動脈疾患の発生に関連する炎症の発生を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
s)血清HDLの不足、若しくはLDL、VLDL、Lp(a)、ベータ−BLDL、IDL又は残留リポタンパク質の過剰をその基礎として有するか、又は、それらにより悪化する、あらゆる症状、疾患又は障害を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
t)発作のリスクを減少すること、
u)イソプレノイド合成を抑制すること、
v)アルツハイマー病を予防し、治療し、又は軽減すること、
w)認知症を予防し、治療し、又は軽減すること、
x)骨粗鬆症を予防し、治療し、又は軽減すること、
y)酸化ストレスによる損傷を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
z)酸化からHDLの安定性を増強し及び/又は維持すること、
aa)酸化からLDL、VLDL、又はIDLの安定性を増強し及び/又は維持すること、
bb)酸化からトリグリセリド(TG)の安定性を増強し及び/又は維持すること、
cc)抗凝固特性を示すこと、
dd)抗増殖特性を示すこと、
ee)免疫調節特性を示すこと、
ff)血管由来特性を示すこと、
gg)腫瘍の成長を予防し、治療し、又は軽減すること、
hh)骨質量及び/又は骨代謝を増加すること、及び、
ii)特に細胞又は分子レベルにおいて、スタチンの投与によって得られる非脂質関連の多面発現効果の何れかを増強すること。
【0037】
本明細書において、「スタチン」という用語はHMG CoAレダクターゼ上の基質結合部位を得るために3−ヒドロキシ−3−メチルグルタン酸と競うことによって3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル コエンザイムA レダクターゼを抑制する、いずれの天然又は合成化合物も含む。
【0038】
本明細書において、「ステロール」という用語は、限定無く全てのステロールが含まれ、例えば、(任意の供給源から及び任意の形態(α、β及びγ)で)シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール(ジヒドロブラシカステロールを含む)、デスモステロール、カリノステロール、ポリフェラステロール、クリオナステロール、エルゴステロール、コプロステロール、コジステロール、イソフコステロール、フコステロール、クレロステロール、ネルビステロール、ラトステロール、ステラステロール、スピナステロール、コンドリラステロール、ペポステロール、アベナステロール、イソアベナステロール、フェコステロール、ポリナスタステロール、コレステロール及びそれらの全ての天然又は合成形態及び誘導体(異性体を含む)である。
【0039】
「スタノール」という用語は、例えば:(任意の供給源から及び任意の形態(α、β及びγ)で)全ての天然又は合成形態及びそれらの誘導体及び異性体を含む飽和又は水素化ステロール類、例えばシトスタノール、カンペスタノール、スチグマスタノール、ブラシカスタノール(ジヒドロブラシカスタノールを含む)、デスモスタノール、カリノスタノール、ポリフェラスタノール、クリオナスタノール、エルゴスタノール、コプロスタノール、コジスタノール、イソフコスタノール、フコスタノール、クリロスタノール、ネルビスタノール、ラトスタノール、ステラスタノール、スピナスタノール、コンドリラスタノール、ペポスタノール、アベナスタノール、イソアベナスタノール、フェコスタノール及びポリナスタノールを指す。
【0040】
ステロール及びスタノールの変更、すなわち、側鎖を含むこともまた本発明の範囲に含まれることが理解される。明細書全体に渡って判別がつかず、そして特に規定がなければ、「ステロール」という用語はステロール及びスタノールの双方を包含する。「フィトステロール」及び「フィトスタノール」という用語もまた使用され得、それぞれ植物由来のステロール又はスタノールを指す。
【0041】
本発明による誘導体の形成に使用するステロール及びスタノールは、様々な天然源から入手され得、あるいは、それらは人工的に合成され得る。例えば、それらは、コーン油及び他の植物油、小麦胚種油、大豆抽出、米抽出、米ぬか、菜種油、ひまわり油、ごま油などの植物油(水生植物を含む)並びに魚(及び他の海洋原料)油の加工から得られ得る。それらはまた、酵母やエルゴステロールなどの菌類に由来し得る。したがって、本発明は、特定のステロール源に限定されない。米国特許第4,420,427号明細書は、メタノールなどの溶媒を用いた植物油汚泥からのステロール製造法を教える。また、フィトステロール及びフィトスタノールは、参照することにより本明細書に組み込まれる、米国特許第5,770,749号明細書に記載されたように林業業務の副生産物であるトール油ピッチ又は石鹸から得られ得る。トール油ピッチからステロール及びスタノールを抽出するさらなる方法は、1998年2月20日に出願されたカナダ国特許出願第2,230,373号明細書(1999年2月19日に出願された国際出願第CA99/00140号に対応)、及び、2002年1月28日に出願された米国特許出願第10/060,022号明細書に記載され、それらの内容の全てが参照することにより本明細書に組み込まれる。
【0042】
したがって、遊離ステロール及びスタノール、脂肪酸又は芳香族酸とのエステル化ステロール及びスタノール(その結果、それぞれ脂肪酸エステル又は芳香族酸エステルを形成する)、フェノール酸エステル、ケイ皮酸エステル、フェルラートエステル、フィトステロール及びフィトスタノールグリコシド及びアシル化グリコシド又はアシルグリコシドを含むがこれに限定されない、最大限に可能な定義が、本明細書において「ステロール」及び「スタノール」という用語に与えられることが理解される。それゆえ、「ステロール」及び「スタノール」という用語は、あらゆる類似体を包含し、それらは、多くの天然ステロールのように環状ユニット中の5番目の位置に二重結合をさらに有し得、又は環の他の位置(例えば6,7,8(9),8(14),14 5/7など)に一つ以上の二重結合を有し得、又はスタノールのように環状ユニット中に二重結合を有さなくても良い。さらに、たとえばα1−シトステロールのように更なるメチル基が存在し得る。
【0043】
コレステロール生合成阻害剤
本発明の範囲内、並びに本明細書において、「コレステロール生合成阻害剤」という用語は、どんなメカニズムを用いてでもあれ体内コレステロール生成への悪影響を有するいずれの化合物をも示す。前記化合物の限定されない例としては、1)3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA還元酵素「HMG CoAレダクターゼ」、2)3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリルコエンザイムA合成酵素「HMG CoAシンターゼ」、3)スクアレンシンターゼ、及び4)スクアレンエポキシダーゼの拮抗阻害剤などがある。
【0044】
HMG CoAレダクターゼ阻害剤はより一般的には「スタチン」として知られている。これら薬剤は冠動脈疾患の第一次及び第二次予防のために使用されてきた。HMG CoAレダクターゼは、コレステロール生合成経路における鍵酵素である。スタチンは肝臓コレステロール生合成を減少させ(循環コレステロールの約50%が主にLDLコレステロールとして内因的に合成されている)、代わってLDLレセプターの生成を増加させることにより、血漿総コレステロール及びLDLコレステロールを減少させる。薬剤及び用量に応じて、スタチンは血清トリグリセリド値をもまた減少させ得、血清HDLを増加させ得る。スタチンはLDLコレステロール低下の標準的な治療法になっている。
【0045】
消化不良、腹痛及び腸内ガス充満は、スタチン投与の最も一般的な副作用である。スタチンの最も重篤な副作用は血清トランスアミナーゼ値の上昇と筋炎の発生である。
【0046】
筋毒性は高用量におけるあらゆるスタチンの共通作用である。そのメカニズムはミトコンドリアの酸化的損傷であるようにみられる。スタチンは乳酸塩/ピルビン酸塩値の降下を引き起こす。乳酸塩/ピルビン酸塩比率はミトコンドリア機能異常と酸化状態の高感度の指標である。スタチンは、エネルギー生産に必要な必須補因子、すなわちコエンザイムQを激減させることが臨床研究で示されてきた。コエンザイムQの減少は用量依存性である。
コエンザイムQは、酸化過程に由来するエネルギーを供給するミトコンドリア電子輸送プロセスの不可欠な部分である。スタチンはHMG CoAレダクターゼ触媒過程にてコレステロール合成を阻止して機能する。
【化3】

【0047】
メバロネートは、一連の酵素段階を経て、コレステロールを合成するために使用される。メバロネートはまたコエンザイムQの前駆体である。それゆえ、コレステロール合成の抑
制はコエンザイムQ合成を抑制する。高いエネルギー必要量を有する筋細胞がスタチンによる損傷に対して最も影響を受けやすいのと同時に、肝細胞もまた損傷が生じやすい。後者はおそらく、主要な血液供給が肝門脈系からである、小葉中心性肝細胞の相対的な低酸素状態の結果である。筋肉損傷の最も重篤な病態は、筋細胞含有物が体循環に放出される時に起こる(横紋筋融解)。重大な合併症としては急性心不全及び心異常がある。心毒性は心筋コエンザイムQ値におけるスタチンの直接の作用であり得る。
【0048】
これら悪影響は、スタチンと、アゾール系抗真菌剤、シメチジン(cimetadine)及びメトトレキセートなどの、シトクロームP450システムを抑制する他の薬剤とを併用するときに起こることが多い。スタチン関連性筋炎のリスクは、ゲムフィブロジル、ニコチン酸又はマクロライドを服用している患者において増加する。
【0049】
スタチン適応症が報告された文献は広く知られている。
【0050】
薬物間相互作用の可能性がたとえないとしても、筋肉におけるスタチンの主要な副作用は、患者に対して前記薬物治療を続けることの重要な阻害要因となる。筋毒性は用量依存性であるため、少ないスタチン用量の使用を可能にし、なおもターゲットLDLコレステロール値を達成できるいずれの補助的療法も非常に望ましい。よって、同時に副作用のリスクを増加させることなしに、LDLコレステロールのさらなる低下をもたらすためにスタチンと共に付加的に働き得る、本発明の範囲内の化合物及び組成物に対する独自市場がある。
【0051】
以下のリストは、本発明による好ましいスタチン類及びそれらの参照特許を含み、本明細書に示したように、該参照文献は参照することにより本明細書に完全に組み込まれる。
【表1】

【0052】
以下のリストは幾つかの好ましいスタチンの化学式を説明する。
ロバスタチン: [1S[1a(R)3アルファ、7ベータ、8ベータ(2S、4S)、8aベータ]]1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−3,7−ジメチル−8−[2−(テトラヒドロ−4−ヒドロキシ−6−オキソ−2H−ピラン−2−イル)エチル]−1−ナフタレニル−2−メチルブタノエート。
プラバスタチンナトリウム:1−ナフタレン−ヘプタン酸,1,2,6,7,8a−ヘキサヒドロ−ベータ,δ,6−トリヒドロキシ−2−メチル−8−(2−エチル−1−オキシブトキシ)−1−モノナトリウム塩[1S−[1アルファ(ベータs,δ,S),2アルファ,6アルファ,8ベータ(R),8aアルファ。
シンバスタチン:ブタン酸,2,2ジメチル−1,2,3,7,8,8a−ヘキサヒドロ−3,7−ジメチル−8−[2−(テトラヒドロ−4−ヒドロキシ−6−オキソ−2H−ピラン−2−イル)エチル]−1−ナフタレニルエステル[1S−[1アルファ,3アルファ,7ベータ,8ベータ,(2S,4S),−8aベータ。
フルバスタチンナトリウム:[R,S(E)]−(+/−)−7−[3(4−フルオロフェニル)−1−(1メチルエチル)−1H−インドール−2−イル]−3,5−ジヒドロキシ−6−ヘプテン酸,モノナトリウム塩。
【0053】
本発明は前述のスタチンのみに限られるとみなされるべきではない。天然由来のスタチンはピシウム・ウルティマム、モナクス・ラバー、ペニシリウム・シトリヌム、ペニシルム・ブレビコンパクタム及びアスペルギルス・テレウスから単離された菌類代謝産物(ML
−236B/コンパクチン/モノカリン K)の誘導体であるが、先に示されたように、これらは合成的にもまた製造され得る。スタチン誘導体は文献中で周知であり、米国特許第4,397,786号明細書に開示された方法で製造され得る。現在、別の方法が当技術分野で周知である。
【0054】
本発明に使用する最も好ましいスタチンの構造は以下のとおりである。
【化4】

【0055】
スクアレンシンターゼ阻害剤はスクアレンシンターゼの活性を減少させ、それゆえ、ファルネシルピロリン酸塩のスクアレンへの変換を抑制する。スクアレンシンターゼ阻害剤は、
1)スクアレンシンターゼの活性化に関与する一種以上の酵素又は補因子の活性を減少させること
2)スクアレンシンターゼのダウンレギュレーションに関与する一種以上の酵素又は補因子の活性を増加させること
によって、スクアレンシンターゼに直接的に又は間接的に作用し得る。
【0056】
好適なスクアレンシンターゼ阻害剤としては、イソプレノイド(ホスフィニル−メチル)ホスホン酸塩などの米国特許第5,712,396号明細書に開示されたα−フォスフォノ−スルホネート及び、例えば米国特許4,871,721号明細書に開示されたテルペノイドピロリン酸塩、ファルネシルジリン酸塩類似体A及びプレスクアレンピロリン酸塩類似体などの他の既知のスクアレンシンターゼ阻害剤もまた含まれるが、これらに限らない。
【0057】
好ましくは、本発明の使用のために、コレステロール生合成阻害剤は、ロバスタチン(例えばメルク社から入手可能なメバコール(登録商標:MEVACOR))、プラバスタチン(例えばブリストル・マイヤーズ・スクイブ社から入手可能なプラバコール(登録商標:PRAVACHOL))、フルバスタチン、シンバスタチン(例えばメルク社から入手可能なゾコール(登録商標:ZOCOL))、アトルバスタチン、セリバスタチン、CI−981及びピタバスタチン(ネグマ・コーワ・オブ・ジャパン社のNK−104など)からなる群から選択されるHMG CoAレダクターゼ阻害剤;HMG CoAシンターゼ阻害剤、例えばL−659,699((E,E)−11−[3R’−(ヒドロキシル−メチル)−4’−オキソ−2’R−オキセタニル]−3,5,7R−トリメチル−2,4−ウンデカジエン酸)など;スクアレン合成阻害剤、例えばスクアレスタチン1など;及びスクアレンエポキシダーゼ阻害剤、例えばNB−598((E)−N−エチル−N−(6,6−ジメチル−2−ヘプテン−4−イニル)−3−[(3,3’−ビチオフェン5−イル)メトキシ]ベンゼン−メタンアミン ヒドロクロリド)など;からなる群から選択される。
【0058】
化合物
本発明の化合物はステロール又はスタノール部分、及び、以下の式の一つ以上で表されるコレステロール生合成阻害剤部分を含む。
【化5】

(式中、Rはステロール又はスタノール部分を表し、R2は少なくとも一つの遊離性及び
反応性カルボキシル基を有するコレステロール生合成阻害剤を表し;R3は少なくとも一
つの遊離性及び反応性水酸基を有するコレステロール生合成阻害剤を表し;R4はアスコ
ルビン酸に由来し、Xは水素原子であるか、又は、金属、アルカリ土類金属及びアルカリ金属からなる群から選択され、並びに、nは1−5を表す。)本発明の範囲にある化合物は、全ての生物学的に許容される塩又は溶媒和物、又は少なくとも一つの前記化合物の又はそれらの塩の又はそれらの溶媒和物のプロドラッグを含む。
【0059】
前記化合物の好ましい形態において、コレステロール生合成阻害剤、R2及びR3は、HMG CoAレダクターゼ拮抗阻害剤、HMG CoAシンターゼ拮抗阻害剤、スクアレンシンターゼ拮抗阻害剤及びスクアレンエポキシダーゼ拮抗阻害剤からなる群から選択される。本発明のさらに好ましい実施態様において、R2はアトルバスタチン又はプラバスタ
チンナトリウムのいずれか一方である。さらに好ましい実施態様において、R3はシンバ
スタチン又はロバスタチンのいずれか一方である。
【0060】
注意しておくことは、化合物a)、b)、c)及びe)の形成は、少なくとも一つの遊離性及び反応性カルボキシル基を有するコレステロール生合成阻害剤を選択することによってのみ達成できるということである。同様に化合物d)及びf)の形成は、少なくとも一つの遊離性及び反応性水酸基を有するコレステロール生合成阻害剤を選択することによってのみ達成できる。これに基づき、適切なコレステロール生合成阻害剤が選択される必要があるが、そうすることは化学の学生であってさえ完全にその活動範囲内にある。
【0061】
本発明の最も好ましい局面において、ステロール及び/又はスタノール部分、及び選択されたコレステロール生合成阻害剤の間に形成された化合物は下記からなる群から選択される。
【0062】
化合物1:アスコルビルフィトスタニルアトルバスタチンリン酸エステルナトリウム
【化6】

【0063】
化合物2:アスコルビルフィトスタニルプラバスタチンリン酸エステル二ナトリウム
【化7】

【0064】
化合物3:アスコルビルフィトスタニルシンバスタチンリン酸エステルナトリウム
【化8】

【0065】
化合物4:アスコルビルフィトスタニルロバスタチンリン酸エステル二ナトリウム
【化9】

【0066】
化合物5:シトスタノール−シンバスタチンリン酸エステル
【化10】

【0067】
化合物6:シトスタノール(又はカンペスタノール)ロバスタチンリン酸エステルナトリウム塩
【化11】

【0068】
化合物7:シトスタノールアトルバスタチンエステル
【化12】

【0069】
化合物8:シトスタノールプラバスタチンエステル
【化13】

【0070】
所望により、本発明の化合物は天然由来又は人工的に合成されたベータ−シトステロール、カンペスタノール、シトスタノール及びカンペステロールで形成され、そのように形成されたこれら化合物の各々は、デリバリーに先立ち、様々な割合で医薬組成物中に混合される。最も好ましい形態において、本発明の化合物は、二つの主要成分:アスコルビルカンペスタニルリン酸二ナトリウム(「DACP」)とアスコルビルシトスタニルリン酸二ナトリウム(「DASP」)を含む、一つ以上のアスコルビルフィトスタニルリン酸二ナトリウム(「FM−VP4」として本明細書に示される)の間に化学結合を含む。
【0071】
塩類
本明細書において、「生物学的に許容される塩」という用語は、本明細書に説明された化合物の望ましい生物学的及び/又は生理学的活性を保有し、わずかな好ましくない毒性効
果しか示さない、いずれの塩をも指す。したがって、式a)からf)の化合物への参照は、無機及び/又は有機酸及び塩基と共に形成されたそれらの酸性及び/又は塩基性塩への参照を含む。
【0072】
典型的な酸付加塩としてはアセテート(例えば酢酸又はトリフルオロ(trifluro)酢酸などのトリハロ酢酸と形成されたもの)、アジペート、アルギネート、アスコルベート、アスパルテート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート、ビスルフェート、ボレート、ブチレート、シトレート、カンホレート、カンファースルホネート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシルスルホネート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、ヒドロクロリドシロブロミド、ヒドロアイオダイド、2−ヒドロエタンスルホネート、ラクテート、マレート、メタンスルホネート、2−ナフタレンスルホネート、ニコチネート、ニトレート、オキサレート、ペクチネート、パースルホネート、3−フェニルプロピロネート、ホスフェート、ピクレート、ピバレート、プロピオネート、サリチレート、スクシネート、スルフェート、スルフォネート、タートレート、チオシアネート、トルエンスルホネート、ウンデカノエートなどがある。
【0073】
酸部分を含むこれら化合物は、様々な有機塩基及び無機塩基と塩を形成し得る。
【0074】
したがって、本発明は、ステロール及び/又はスタノール並びにコレステロール生合成阻害剤を含む親化合物を包含するだけでなく、可能であれば(すなわち、親化合物が遊離水酸基を含めば)、本発明は開示された化合物の生物学的に許容される金属、アルカリ土類金属又はアルカリ金属塩をも包含する。
【0075】
本明細書に説明される塩類は、対応する親化合物よりはるかに水溶性であり、それゆえ、生体外及び生体内の双方におけるそれらの有効性及び評価が増強され得る。
【0076】
本発明の化合物の塩形成は、例えば、一連の塩基(例えばナトリウムメトキシド又は他の金属アルコキシドなど)で遊離OH基を含むいずれかの親化合物を処置することによって容易に実行可能であり、対応するアルカリ金属塩が生成する。カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅、亜鉛などの他の金属塩は、親化合物を適切な金属アルコキシドと反応させることによって生成され得る。
【0077】
化合物の形成
ステロール及び/又はスタノール並びに選択されたコレステロール生合成阻害剤からなる新規化合物が形成され得る多くのプロセスがある。あるプロセスにおいて、そこではコレステロール生合成阻害剤は少なくとも一つの遊離性及び反応性カルボキシル基を有すが、選択されたステロール又はスタノール(又はそれらのハロホスフェート、ハロカーボネート、又はハロ−オキサレート誘導体)並びにコレステロール生合成阻害剤が、「酸」部分と「アルコール」(フィトステロール)との縮合を可能にする反応条件下で一緒に混合される。これらの条件は、酸成分から形成された酸クロリドとアルコール成分が直接又は、鉱酸、硫酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸などの適切な酸触媒の存在で反応することができるような、他の一般的なエステル化反応にて使用されるものと同様である。前記エステル化反応に一般的に用いられる有機溶媒は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル、又はベンゼン、トルエン又は類似の芳香族系溶媒であり、反応を起こす反応物質の反応性によって温度は室温から高温まで様々であり得る。
【0078】
別の好ましい実施態様において、エステル誘導体を形成するプロセスは、エステル(例えば酢酸エステルなど)又はエーテル(例えばメチエルエーテル)としてコレステロール生合成阻害剤の水酸基を「保護すること」、そしてそれから保護されたコレステロール生合成阻害剤を、適切な反応条件下で、反応性ステロール/スタノール(又はそれらのハロホ
スフェート、ハロカーボネート又はハロ−オキサレート)と縮合させることを含む。一般に、前記縮合反応はジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、又はベンゼン、トルエン又は類似の芳香族系溶媒などの有機溶媒中で行われる。反応物質の種類及び反応性に応じて、反応温度は低温(−15度)から高温まで様々であり得る。
【0079】
限定されない例として、図1はアルコルビルシトスタニル又はカンペスタニルアトバスタチンリン酸エステル及びそれらのナトリウム塩の形成を示す図である。以前に開発された方法によって製造された出発原料は、古典的なエステル化プロセスにおいて、触媒として硫酸の存在下でアトルバスタチンと縮合され、連結された生成物が形成される。後者はそれからナトリウムメトキシドで処理され、最終生成物としてナトリウム塩を得る。
【0080】
図2の図中に例示された、他の限定されない代替手法で、アスコルビルシトスタニル又はカンペスタニルシンバスタチンリン酸エステル及びそれらのナトリウム塩の製造プロセスが説明される。出発物質は、オキシ塩化リンで図1に既に示した出発物質を処理することによって得られ、示されたジクロロホスフェートを得る。後者はそれからシンバスタチンで処理され、それにより前記スタチンの遊離水酸基がより反応性のクロロホスフェート基のハロゲン原子と置き換わり、連結された生成物を得る。鉱酸による酸性化に続き、ナトリウムメトキシドとの処理によって、二ナトリウム塩として最終生成物が生じる。
【0081】
図3の図中に例示された、他の限定されない代替手法で、シトスタニル又はカンペスタニルシンバスタチンリン酸エステルの製造プロセスが説明される。シトスタノール又はカンペスタノールは、オキシ塩化リンで処理され、対応するクロロホスフェートエステルを得る。この中間体をそれから、シンバスタチンの水酸基によって塩化物の置換に影響を与えるために、ピリジン/THF混合物中で前記スタチンと反応させる。得られた連結された生成物は水で処理され、最終リン酸エステルの合成が完結する。
【0082】
図4の図中に例示された、他の限定されない代替手法で、シトスタニル又はカンペスタニルアトルバスタチンカルボン酸エステルの製造プロセスが説明される。シトスタノール又はカンペスタノールは、触媒としての硫酸の存在下でアトルバスタチンで処理され、古典的なエステル化プロセスを通じてエステルを得る。
【0083】
これら誘導体の形成に関して、選択された合成プロセスが説明されてはいるが、開示及び特許請求された各種誘導体が製造でき得る他の多くの他の手法が存在することが理解される。ひとたび特定の誘導体が選択されれば、当技術分野で一般に利用可能な技術を用いて合成を行うことは、十分に当化学分野における当業者の活動範囲内にある。このため、特許請求されたありとあらゆる誘導体の合成一式は説明されない。
【0084】
本明細書に説明される化合物及びそれらの塩がそれらの互変異性型で存在し得る場合、全ての前記互変異性型が本明細書中の本発明の一部として考えられる。
【0085】
鏡像異性形態(非対称の炭素原子の不在下でも存在し得る)及びジアステレオマー形態を含む、様々な構成要素における非対称の炭素原子によって存在し得る立体異性体等の、本発明の化合物の全ての立体異性体が、本発明の範囲内に考えられる。本発明の化合物の個々の立体異性体は、例えば、ラセミ化合物として混合され得、又は他の全ての若しくは他の選択された立体異性体と混合され得る。化合物のキラル中心は、IUPAC1974勧告によって定義されたS配置又はR配置を有する。ジアステレオマー型又は鏡像異性型生成物が製造される場合、クロマトグラフィー結晶化又は分別結晶化などの、従来の手法によって分離され得る。
【0086】
組成物
本発明の別の局面によれば、本明細書に説明されるように、少なくとも一つのコレステロール生合成阻害剤と混合された、少なくとも一つのステロール/スタノールベースのコレステロール吸収阻害剤を含む新規組成物が提供され、該組成物はCVD並びに、アテローム性動脈硬化症、高コレステロール血症、高脂血症、脂質代謝異常、高血圧、血栓症、冠動脈疾患及び冠動脈プラーク炎症などの炎症などを含むがこれに限定されないその根底となる症状の治療又は予防への使用に好適である。
【0087】
さらに具体的には、該組成物は
a)一般式
【化14】

(式中、Rはステロール又はスタノール部分を表し、R4はアスコルビン酸に由来し、並
びにnは1−5を表す。)を有する化合物(あらゆる生物学的に許容される塩又は溶媒和物、又は少なくとも一つの前記化合物の又はそれらの塩の又はそれらの溶媒和物のプロドラッグを含む。)から選択される少なくとも一つのコレステロール吸収阻害剤、及び
b)少なくとも一つのコレステロール生合成阻害剤
を含む。
【0088】
式i)乃至iv)の化合物は、例えば、以下の方法及び国際出願PCT/CA00/00730号(2000年6月20日出願、米国特許出願第09/339,903号(1999年6月23日出願)による優先権を主張)に記載されているような既知の方法にて製造され得、その全ての内容が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0089】
一般に、式i)乃至iv)の化合物は以下のようにに製造され得る。選択されたステロール又はスタノール(又はそれらのハロホスフェート、ハロカーボネート又はハロ−オキサネート誘導体)及びアスコルビン酸を、「酸」部分と「アルコール」(ステロール)との縮合ができる反応条件下で一緒に混合する。こうした条件は、酸成分及びアルコール成分が直接、又は、鉱酸、硫酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸などの適切な酸触媒の存在下で反応することができる、フィッシャーエステル化プロセスなどの他の一般的なエステル化反応で用いられるものと同様である。前記エステル化反応に一般に用いられる有機溶媒は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル、又はベンゼン、トルエン又は類似の芳香族系溶媒であり、反応を起こす反応物質の反応性によって温度は室温から高温まで様々であり得る。
【0090】
好ましい実施態様において、エステルを形成するプロセスは、エステル(例えば酢酸エステルなど)又はエーテル(例えばメチエルエーテル)としてアスコルビン酸又はそれらの誘導体の水酸基を「保護すること」、そしてそれから保護されたアスコルビン酸を、適切な反応条件下で、ステロール/スタノール ハロホスフェート、ハロカーボネート又はハロ−オキサレートと縮合させることを含む。一般に、前記縮合反応はジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、又はベンゼン、トルエン又は類似の芳香族系溶媒などの有機溶媒中で行われる。反応物質の種類及び反応性に応じて、反応温度は低温(−15度)から高温まで様々であり得る。
【0091】
より詳細には、下記事項が式i)乃至iv)、とりわけ式i)の化合物を製造する一つの好ましい方法である:最初に、5,6−イソプロピリデン−アスコルビン酸の形成によってアスコルビン酸を分解から保護する。これは、アセトンをアスコルビン酸並びに硫酸又は塩酸などの酸性触媒と適切な反応条件下で混合することによって達成され得る。フィトスタノールクロロホスフェートは、トルエン及びピリジン(とはいえ例えば脂肪族又は芳香族アミンなどの他の窒素塩基を代わりに使用し得る)中でフィトスタノール溶液を形成すること、そしてこの溶液をオキシ塩化リンなどのリン誘導体で処理することによって、製造される。母液の濾過及び濃縮後に形成された残留物がフィトスタノールクロロホスフェートである。後者は次に5,6−イソプロピリデン−アスコルビン酸と混合され、エタノールなどの適切なアルコールとHClを加えた後、濃縮される。あるいは、ピリジン/THFが加えられ得、生成物を濃縮する。最終洗浄及び乾燥の後、得られた新規生成物がスタノール−ホスフェート−アルコルベートである。
【0092】
式i)乃至iv)の化合物を製造するプロセスの他の好ましい形態は、アスコルビン酸が、5,6−イソプロピリデン−アスコルビン酸としてではなく、エステル(例えばアセテート、ホスフェートなどの)として水酸基位置において保護される。後者は、次に上述の通り誘導体化されたステロール又はスタノールと既知のエステル化手法を用いて縮合され得、最終的に前記化合物が生成する。アスコルビン酸のモノホスフェート及びジホスフェートの形成は文献に完全に記載されている。例えば、参照として本明細書に組み込まれる、米国特許第4,939,128号明細書(カトウら)、はアスコルビン酸のリン酸エステルの形成を教える。同様に、参照として本明細書に組み込まれる、米国特許第4,999,437号明細書(ドブラーら)、はアスコルビン酸 2−ホスフェートの製造法を記載する。ドブラーらにおいて、第三アミンの存在下におけるアスコルビン酸又はアスコルビン酸誘導体のPOCl3でのリン酸化のコア反応(独国特許出願公開第2,719,303号明細書に開示)は、反応溶液にマグネシウム化合物、好ましくはマグネシウム化合物水溶液を加えることによって改善される。いずれの既知のアスコルビン酸誘導体が使用され得る。
【0093】
より詳細には、下記事項が、式i)乃至iv)、とりわけ式ii)の化合物を製造する別の好ましい方法である:「保護された」アスコルビン酸を準備し、上記に詳細に説明されたものと同様のプロセスが続く;しかしながら、オキシ塩化リンが塩化オキサリルに置き換わることによって、スタノール−オキサレート−アスコルベートが生じる。
【0094】
好ましい形態において、本発明の組成物は、少なくとも一つのスタチンと一緒になって、二つの主要成分:アスコルビルカンペスタニルリン酸二ナトリウム(「DACP」)とアスコルビルシトスタニルリン酸二ナトリウム(「DASP」)を含む、一つ以上のアスコルビルフィトスタニルリン酸二ナトリウム塩(「FM−VP4」と呼ばれる)を含む。
【0095】
別の好ましい実施態様において、ステロール及び/又はスタノール部分は、選択されたコレステロール生合成阻害剤との結合前又は結合後にミセル内へ組み込まれ得る。このミセ
ルは、レシチン又はいずれの他の好適な乳化剤を用い、そして、既知のそして当技術分野で広く適用される方法を用いて、生成され得る。
【0096】
本発明の組成物は、コレステロール吸収阻害剤及びコレステロール生合成阻害剤が、たとえば固定比率の有効成分を有する単一錠剤又はカプセルなどにて、実質的に同時の方法で併用投与されるか、又は、治療薬毎に複数分離投与される、「併用療法」を可能にする。この分離投与は連続投与形態を含む。
【0097】
使用法
本発明は以下の治療目的
a)一般にCVDに関連し、動脈硬化、アテローム性動脈硬化、細動脈硬化、狭心症および血栓症などの一つ以上の症状を予防し、治療し、又は軽減すること、
b)CVDに関連するリスク因子の一つ以上を減らし及び/又は排除すること、
c)アテローム性動脈硬化症を予防し、治療し、又は軽減すること、
d)高コレステロール血症を予防し、治療し、又は軽減すること、
e)高脂質症状を予防し、治療し、又は軽減すること、
f)脂質代謝異常を予防し、治療し、又は軽減すること、
g)高血圧症を予防し、治療し、又は軽減すること、
h)冠動脈疾患を予防し、治療し、又は軽減すること、
i)冠動脈プラーク発生を予防し、治療し、又は軽減すること、
j)冠動脈プラーク炎症を予防し、治療し、又は軽減すること、
k)血清LDLコレステロールを低下すること、
l)血清HDLコレステロールを増加すること、
m)血清トリグリセリド値を減少すること、
n)コレステロール生合成を減少すること、
o)脂質代謝異常状態又は障害を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
p)高コレステロール血症又は低アルファリポタンパク質血症を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
q)アテローム性病変またはプラークの発生を予防し、減らし、排除し、安定化させ、又は改善すること、
r)心血管疾患及び冠動脈疾患の発生に関連する炎症の発生を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
s)血清HDLの不足、若しくはLDL、VLDL、Lp(a)、ベータ−BLDL、IDL又は残留リポタンパク質の過剰をその基礎として有するか、又は、それらにより悪化する、あらゆる症状、疾患又は障害を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
t)発作のリスクを減少すること、
u)イソプレノイド合成を抑制すること、
v)アルツハイマー病を予防し、治療し、又は軽減すること、
w)認知症を予防し、治療し、又は軽減すること、
x)骨粗鬆症を予防し、治療し、又は軽減すること、
y)酸化ストレスによる損傷を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
z)酸化からHDLの安定性を増強し及び/又は維持すること、
aa)酸化からLDL、VLDL、又はIDLの安定性を増強し及び/又は維持すること、
bb)酸化からトリグリセリド(TG)の安定性を増強し及び/又は維持すること、
cc)抗凝固特性を示すこと、
dd)抗増殖特性を示すこと、
ee)免疫調節特性を示すこと、
ff)血管由来特性を示すこと、
gg)腫瘍の成長を予防し、治療し、又は軽減すること、
hh)骨質量及び/又は骨代謝を増加すること、及び、
ii)特に細胞又は分子レベルにおいて、スタチンの投与によって得られる非脂質関連の多面発現効果の何れかを増強すること、
の一つ以上を達成する方法を提供し、本明細書に説明され特許請求された化合物又は組成物の無毒性かつ治療有効量を動物に投与することを含む。
本発明はさらに、本明細書に説明される症状に対して、さらに具体的には、上記に定義された治療目的の一つ以上の達成に使用するための、開示された化合物及び組成物のいずれかの使用を含む。
【0098】
とりわけ、本発明の化合物及び組成物は心血管疾患の多重要因の症状に寄与する少なくとも二つの重要因子:腸コレステロール吸収及び体内コレステロール生合成:への対処にとりわけ有用であることが示されている。血清コレステロール値は主として二つの臓器:肝臓(コレステロール及び胆汁酸(消化に使用)を生成する)及び腸(食物及び胆汁(肝臓にて生成)の双方からコレステロールを吸収する):によってコントロールされる。ステロールは、腸内でコレステロール吸収を抑制することによる独自の作用機序によってLDL血清コレステロール値を下げる。この作用機序はステロールにスタチンなどの肝臓で働くコレステロール生合成阻害剤を補完させる。そのため、スタチンとともにステロールを摂取する患者は、LDL及び総コレステロールのさらなる低下を達成できる。
【0099】
したがって、コレステロール吸収を同時に低下させる(例えばステロール/スタノール)一部分と、コレステロール生合成を減少させる(例えばスタチン)別の部分を投与することは、非常に有利である。これは、式a)乃至式f)の化合物の少なくとも一つの投与によってか、或いは、コレステロール吸収阻害剤(式i)乃至iv)の一つを有する)及びコレステロール生合成阻害剤を含む組成物の投与によって、達成される。
【0100】
最終的に、本明細書に説明される化合物及び組成物の使用によって生じる最も重要な利点は、血清HDLコレステロールの増加及び血清トリグリセリドの減少によって得られたさらなる有益な効果とともに、血清LDLコレステロールの減少及び総血清コレステロールの減少である。これら利点はスタチン投与に付随する副作用なしに達成される。
【0101】
加えて、本発明の化合物について、本明細書に説明されたステロールベースのコレステロール吸収阻害剤で共有結合的に修飾することによって、コレステロール生合成阻害剤(例えばスタチンなど)の全般的な疎水性を変化させることの重大な生物学的影響(及び利点)が存在する。具体的に、本発明の化合物は天然スタチンよりも全般的に高い疎水性を有する。このことは少なくとも二つの面において重要である。第一に、スタチンの多面発現(pleotropic)効果の増加となり得る。第二に、化合物がそのままに吸収される場合、スタチンのADME特性が異なり得るので、数ある利点の中でも特に潜在的な毒性を減少させ得る。
【0102】
作用機序についていずれの一つの理論に縛られることを意図しないが、遊離スタチンと比べ化合物の構造変化は、血清リポタンパク質プールへの高い比例配分をもたらすため、特にHDLによって薬剤が運搬される場合、末梢組織へより大きな割合で活性成分が輸送される。これは、数多く報告されてきた「スタチン」の症状、例えばアルツハイマー病や骨粗鬆症に対する本発明の化合物の潜在的効果を大いに増加させ得る。
【0103】
さらに、本発明の化合物(式(e)乃至(f)及びi)乃至iv)で表されるもの)のいくつかは、アスコルビル部分を含む。これら特定の化合物は数々のさらなる有利点を有する。何よりもまず、化合物の溶解度が水溶液及び油や脂肪などの非水溶性媒体のいずれにおいても非常に増加する。この優れた溶解度のため、効果的な食物量及び薬用量、及び付随的にはコストをも、低減できる。第二に、一つの構造で結ばれていると、心血管疾患だ
けでなくアテローム性動脈硬化症や高脂血症などのその根底となる症状の治療又は予防において、フィトステロール部分とアスコルビン酸の間に相乗的又は付加的な効果でさえも存在し得る。第三に、これら化合物の形成は、分解を排除すると共に、アスコルビン酸の最大の可能性が実現されることを可能にする。第四に、これら誘導体は、幾つかの加工機序に必須である耐熱性(酸化及び加水分解に安定)である。
【0104】
本明細書に説明される望ましい効果は、様々な異なる方法で達成し得る。本発明の化合物及び組成物は、医薬品と一緒の使用に利用可能ないずれかの従来手法を用いて投与され得る。したがって、本発明は、一局面において、式a)乃至f)の化合物の一つ以上及び薬剤的に許容される担体を含む医薬組成物に関する。本発明は、別の局面において、式i)−iv)の一つを有する少なくとも一つのコレステロール吸収阻害剤の有効量又は治療量を、有効量及び治療量の少なくとも一つのコレステロール生合成阻害剤及び薬剤的に許容される担体とともに含む、医薬組成物に関する。これら化合物及び/又は組成物は、いずれかの一般的な調剤形にて、好ましくは錠剤、カプセル、粉剤、カシェット、懸濁液又は溶液などの経口調剤形にて、投与され得る。医薬組成物は「活性」成分(コレステロール吸収阻害剤及びコレステロール生合成阻害剤)約1%乃至99%、好ましくは活性成分を約5%乃至95%含み得る。
【0105】
製剤及び医薬組成物は、従来の、薬剤的に許容される賦形剤及び添加剤を用いて、従来の手法によって製造され得る。前記薬剤的に許容される賦形剤及び添加剤としては、無毒性の相溶性充填剤、結合剤、崩壊剤、バッファー、防腐剤、抗酸化剤、滑剤、香味料、増粘剤、着色剤、及び乳化剤などが挙げられる。
【0106】
望ましい効果の達成に必要とされる化合物及び組成物の正確な量又は用量は、もちろん、特定の化合物又は組成物の選択、投与された化合物又は組成物の効能、投与法、及び年齢、体重、症状、及び患者の反応などの、多くの要因に依存する。とりわけ、これら要因の全てが、担当医によって各個人又は患者毎に対して考慮される。
【0107】
式i)−iv)の一つを有する少なくとも一つのコレステロール吸収阻害剤を少なくとも一つのコレステロール生合成阻害剤及び薬剤的に許容される担体とともに含む医薬組成物について、通常一日1回又は2回の単一投与又は複数投与で投与される、コレステロール生合成阻害剤の典型的な一日用量は、一日あたり哺乳類の体重に対して約0.1mg乃至160mg/kgにおよび得、好ましくは、2mg乃至80mgにおよび得る。例えば、HMG CoAレダクターゼ阻害剤について、投与当たり約0.25mg乃至40mgが一日当たり1回乃至2回与えられ、一日当たり総一日用量約0.5mg乃至80mgが与えられる。他のコレステロール生合成阻害剤については、投与当たり約1mg乃至約1000mgが一日あたり1回ないし2回与えられ、一日当たり総一日用量約1mg乃至約2000mが与えられる。
【0108】
一般に、式i)−iv)の一つを有し、ステロール及び/又はスタノールを含むコレステロール吸収阻害剤の総一日用量は、単一投与又は複数投与で一日当たり10mg乃至約20g、より好ましくは10mg乃至1.5gの一日用量範囲にて投与され得る。
【0109】
本化合物の成分が別々に投与される場合、投与回数及び一日当たり与えられる各成分の前記用量の総量は、同じである必要ない。例えば、コレステロール吸収阻害剤が、コレステロール生合成阻害剤よりも一日当たり多数の投与を必要とし得、及び/又はより大量の用量を必要とし得る。
【0110】
これら化合物及び組成物の一日用量は、必要とするならば、単一投与又は複数投与にて個人に投与される。持続放出用量が使用され得る。
【0111】
体内投与に好適な用量における本発明の実践のために、本明細書に開示された化合物及び組成物を処方するための薬剤的に許容される担体の使用は、本発明の範囲内である。適切な担体の選択と好適な製造の実践によって、本発明の化合物及び組成物は、とりわけ、溶液として処方されたものは、静脈注射などによって非経口の投与をなされ得る。本化合物及び組成物は当業者に既知の薬剤的に許容される担体を用いて、経口投与に好適な製剤に容易に処方できる。前記担体は、本発明の化合物及び組成物が、治療される患者による経口摂取のために、タブレット、錠剤、カプセル、液体、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などとして処方されることを可能にする。
【0112】
本発明の化合物の一つ以上を含む医薬組成物は、活性成分がそれらの本来意図した目的を達成するに効果的な量で含まれている組成物を含む。有効量の決定は、特に本明細書に提供された詳細な開示を踏まえて、当業者の能力の十分範囲内にある。
【0113】
活性成分に加え、これら医薬組成物は、薬剤的に使用でき、製剤中において活性化合物の処理を促進する賦形剤及び補助剤を含む、薬剤的に許容される好適な担体を含み得る。経口投与用に処方された製剤は、タブレット、糖衣錠、カプセル又は溶液の形態にあり得る。
【0114】
本発明の医薬組成物は、それ自体既知の方法で、例えば、従来からある混合、溶解、造粒、糖衣錠形成、水簸、乳化、カプセル化、封入又は凍結乾燥プロセスなどによる方法で製造され得る。
【0115】
非経口投与用の医薬品製剤としては、水溶性形態の活性化合物の水溶液が挙げられる。加えて、活性化合物の懸濁液は適当な油性の注射用懸濁液として製造され得る。好適な親油性溶媒又はビヒクルとしては、ごま油などの脂肪油、又はエチルオレート又はトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、又はリポソームがある。水性の注射用懸濁液は、懸濁液の粘度を増加させるカルボキシルメチルセルロースナトリウム、ソルビトール又はデキストランなどの物質を含み得る。所望により、懸濁液はまた、化合物の溶解度を増加させて高濃度溶液の製造を可能にする適当な安定剤又は薬剤を含み得る。
【0116】
経口用の医薬品製剤は活性化合物を固形賦形剤と組み合わせることによって、所望により、得られた混合物を粉砕し、適当な補助剤を加えた後、顆粒の混合物の加工を行うことによって得られ得、必要ならばタブレット又は糖衣錠コアを得る。好適な賦形剤としては、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、とうもろこしでんぷん、小麦でんぷん、米でんぷん、じゃがいもでんぷん、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、及びポリビニルピロリドン(PVP)がある。必要に応じて、例えば架橋ポリビニルピロリドン、寒天又はアルギン酸又はアルギン酸ナトリウムなどのそれらの塩などの崩壊剤を加えられ得る。
【0117】
糖衣錠コアは適当なコーティングを施される。この目的のために、濃縮砂糖溶液が使用され得、それらは所望によりアラビアガム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/又は二酸化チタン、ラッカー溶液、及び適当な有機溶剤又は溶剤混合物を含み得る。識別のため、又は活性化合物用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、染料又は顔料がタブレット又は糖衣錠のコーティングに加えられ得る。
【0118】
経口使用可能な医薬品製剤としては、ゼラチンでできた押し込み型カプセル、並びに、ゼラチン及びグリセロール又はソルビトールなどの可塑剤でできた密封ソフトカプセルが挙
げられる。押し込み型カプセルは、ラクトースなどの充填剤、でんぷんなどの結合剤、及び/又は、タルク又はステアリン酸マグネシウムなどの滑剤、所望により安定剤と混合して活性成分を含み得る。ソフトカプセルにおいて、活性化合物は脂肪油、液体パラフィン又は液体ポリエチレングリコールなどの好適な液体中に溶解又は懸濁され得る。
加えて、安定剤もまた加えられ得る。
【0119】
経口液体製剤は、エマルジョン、シロップ又はエリキシル剤などの形態であり得、又は
使用前に水又は他の適当な媒体とともに再構成される乾燥製品として提示される。前記液体製剤は、懸濁化剤、たとえばソルビトール、シロップ、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、水素化食用脂など;乳化剤、例えばレシチン、ソルビタンモノオレート又はアカシアなど;非水性ビヒクル(食用油を含み得る)、例えばアーモンド油、分画ヤシ油、グリセリン、プロピレングリコール又はエチルアルコールのエステルなどの油性エステルなど;防腐剤、たとえばメチル又はプロピルp−ヒドロキシベンゾエート、又はソルビン酸など;及び必要であれば従来の香味料又は着色剤、などの従来の添加剤を含み得る。
【0120】
本発明は、同時投与又は分離投与され得る活性成分の組み合わせを有する組成物に関するので、本明細書において、前記目的のためのキットもまた提供する。キットは二つの別のユニット:本明細書に説明される少なくとも一つのコレステロール生合成阻害剤を含む医薬組成物、及び、本明細書に説明される少なくとも一つのコレステロール吸収阻害剤を含む別の医薬組成物:を組み合わせることが意図される。キットは好ましくは別々の成分の投与のための説明書を含む。このキット型の配置は、別々の成分が異なる用量形態(例えば経口及び非経口)で投与されねばならないとき、あるいは、異なる投与間隔で投与されるときに、特に有用である。
【0121】
さらなる詳細な説明はなしに、前述の記載が本発明を十分に説明しているため、他者は、現在又は将来の知識を応用して、本明細書に説明され特許請求される様々な状況下での使用のために、本発明を適合させ得る。
【0122】
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【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】図1はアスコルビル シトスタニル又はカンペスタニル アトルバスタチンリン酸エステル及びそのナトリウム塩の調製方法を示す概略図である。
【図2】図2はアスコルビル シトスタニル又はカンペスタニル シンバスタチンリン酸エステル及びそのナトリウム塩の調製方法を示す概略図である。
【図3】図3はシトスタニル又はカンペスタニル シンバスタチンリン酸エステルの調製方法を示す概略図である。
【図4】図4はシトスタニル又はカンペスタニル アトルバスタチンカルボン酸エステルの調製方法を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステロール又はスタノール(生物学的に許容されるそれらの塩を含む。)を含み、以下の化学式
【化1】

(式中、Rはステロール又はスタノール部分を表し、R2は少なくとも一つの遊離性及び
反応性カルボキシル基を有するコレステロール生合成阻害剤を表し;R3は少なくとも一
つの遊離性及び反応性水酸基を有するコレステロール生合成阻害剤を表し;R4はアスコ
ルビン酸に由来し、Xは水素原子であるか、又は、生物学的に許容される金属又はアルカリ土類金属からなる群から選択され、並びに、nは1−5を表す。)の一つ以上を有することを特徴とする化合物(生物学的に許容される塩又は溶媒和物、又は少なくとも一つの前記化合物の又はそれらの塩の又はそれらの溶媒和物のプロドラッグを含む。)。
【請求項2】
前記ステロールが、シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール(ジヒドロブラシカステロールを含む)、デスモステロール、カリノステロール、ポリフェラステロール、クリオナステロール、エルゴステロール、コプロステロール、コジステロール、イソフコステロール、フコステロール、クレロステロール、ネルビステロール、ラトステロール、ステラステロール、スピナステロール、コンドリラステロール、ペポステロール、アベナステロール、イソアベナステロール、フェコステロール及びポリナスタステロールからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記スタノールが、シトスタノール、カンペスタノール、スチグマスタノール、ブラシカスタノール(ジヒドロブラシカスタノールを含む)、デスモスタノール、カリノスタノール、ポリフェラスタノール、クリオナスタノール、エルゴスタノール、コプロスタノール、コジスタノール、イソフコスタノール、フコスタノール、クレロスタノール、ネルビスタノール、ラトスタノール、ステラスタノール、スピナスタノール、コンドリラスタノール、ペポスタノール、アベナスタノール、イソアベナスタノール、フェコスタノール及びポリナスタスタノールからなる群から選択されることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
前記ステロール及びスタノールが天然又は人工的に合成した形態にあることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
前記ステロール及びスタノールがそれら異性体の形態のうちの何れか一つにあることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項6】
前記R2及びR3がHMG CoAレダクターゼ拮抗阻害剤、HMG CoAシンターゼ拮抗阻害剤、スクアレンシンターゼ拮抗阻害剤、及びスクアレンエポキシダーゼ拮抗阻害剤からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項7】
前記R2がアトルバスタチン又はプラバスタチン(provastatin)を表すことを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項8】
前記R3がシンバスタチン又はロバスタチンを表すことを特徴とする、請求項1記載の化
合物。
【請求項9】
以下の化学式
【化2】

を有することを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項10】
以下の化学式
【化3】

を有することを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項11】
以下の化学式
【化4】

を有することを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項12】
以下の化学式
【化5】

を有することを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項13】
以下の化学式
【化6】

を有することを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項14】
以下の化学式
【化7】

を有することを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項15】
以下の化学式
【化8】

を有することを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項16】
以下の化学式
【化9】

を有することを特徴とする、請求項1記載の化合物。
【請求項17】
a)一般式
【化10】

(式中、Rはステロール又はスタノール部分を表し、R4はアスコルビン酸に由来し、並
びにnは1−5を表す。)を有する化合物(あらゆる生物学的に許容される塩又は溶媒和物、又は少なくとも一つの前記化合物の又はそれらの塩の又はそれらの溶媒和物のプロドラッグを含む。)から選択される少なくとも一つのコレステロール吸収阻害剤;及び
b)少なくとも一つのコレステロール生合成阻害剤
を含む組成物。
【請求項18】
前記ステロールが、シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール(ジヒドロブラシカステロールを含む)、デスモステロール、カリノステロール、ポリフェラステロール、クリオナステロール、エルゴステロール、コプロステロール、コジステロール、イソフコステロール、フコステロール、クレロステロール、ネルビステロール、ラトステロール、ステラステロール、スピナステロール、コンドリラステロール、ペポステロール、アベナステロール、イソアベナステロール、フェコステロール及びポリナスタステロールからなる群から選択されることを特徴とする、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
前記スタノールが、シトスタノール、カンペスタノール、スチグマスタノール、ブラシカスタノール(ジヒドロブラシカスタノールを含む)、デスモスタノール、カリノスタノール、ポリフェラスタノール、クリオナスタノール、エルゴスタノール、コプロスタノール、コジスタノール、イソフコスタノール、フコスタノール、クレロスタノール、ネルビスタノール、ラトスタノール、ステラスタノール、スピナスタノール、コンドリラスタノール、ペポスタノール、アベナスタノール、イソアベナスタノール、フェコスタノール及びポリナスタスタノールからなる群から選択されることを特徴とする、請求項17記載の組成物。
【請求項20】
前記ステロール及びスタノールが天然又は人工的に合成した形態にあることを特徴とする、請求項17記載の組成物。
【請求項21】
前記ステロール及びスタノールがそれら異性体の形態のうちの何れか一つにあることを特徴とする、請求項17記載の組成物。
【請求項22】
前記コレステロール生合成阻害剤がHMG CoAレダクターゼ拮抗阻害剤、HMG CoAシンターゼ拮抗阻害剤、スクアレンシンターゼ拮抗阻害剤、及びスクアレンエポキシダーゼ拮抗阻害剤からなる群から選択されることを特徴とする、請求項17記載の組成物。
【請求項23】
前記コレステロール生合成阻害剤がスタチンであることを特徴とする、請求項17記載の組成物。
【請求項24】
前記コレステロール生合成阻害剤が、ロバスタチン、プラバスタチン、プラバスタチンナトリウム、フルバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、CI−981及びピタバスタチン、L−659,699((E,E)−11−[3’R−(ヒドロキシルメチル)−4’−オキソ−2’R−オキセタニル]−3,5,7R−トリメチル−2,4−ウンデカジエン酸)、メバスタチン、ベロスタチン、コンパクチン、ダルバスタチン、フルインドスタチン、ジヒドロコンパクチン、イタバスタチン、スクアレスタチン 1、NB−598((E)−N−エチル−N−(6,6−ジメチル−2−ヘプテン−4−イニル)−3−[(3,3’−ビチオフェン−5−イル)メトキシ]ベンゼン−メタンアミンヒドロクロリド)又はそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項17記載の組成物。
【請求項25】
以下の化学式
【化11】

(式中、Rはステロール又はスタノール部分を表し、R2は少なくとも一つの遊離性及び
反応性カルボキシル基を有するコレステロール生合成阻害剤を表し;R3は少なくとも一
つの遊離性及び反応性水酸基を有するコレステロール生合成阻害剤を表し;R4はアスコ
ルビン酸に由来し、Xは水素原子であるか、又は、金属、アルカリ土類金属及びアルカリ金属からなる群から選択され、並びに、nは1−5を表す。)の一つ以上を有する少なくとも一つの化合物(生物学的に許容される塩又は溶媒和物、又は少なくとも一つの前記化合物の又はそれらの塩の又はそれらの溶媒和物のプロドラッグを含む。)、並びにそれらのための薬剤的に許容される担体を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項26】
前記R2及びR3がHMG CoAレダクターゼ拮抗阻害剤、HMG CoAシンターゼ拮抗阻害剤、スクアレンシンターゼ拮抗阻害剤、及びスクアレンエポキシダーゼ拮抗阻害剤からなる群から選択されることを特徴とする、請求項25記載の組成物。
【請求項27】
前記R2がアトルバスタチン又はプラバスタチン(provastatin)を表すことを特徴とする、請求項25記載の組成物。
【請求項28】
前記R3がシンバスタチン又はロバスタチンを表すことを特徴とする、請求項25記載の
組成物。
【請求項29】
a)一般式
【化12】

(式中、Rはステロール又はスタノール部分を表し、R4はアスコルビン酸に由来し、並
びにnは1−5を表す。)を有する化合物(あらゆる生物学的に許容される塩又は溶媒和物、又は少なくとも一つの前記化合物の又はそれらの塩の又はそれらの溶媒和物のプロドラッグを含む。)から選択される少なくとも一つのコレステロール吸収阻害剤;
b)少なくとも一つのコレステロール生合成阻害剤;及び
c)それらのための薬剤的に許容される担体
を含む医薬組成物。
【請求項30】
前記コレステロール生合成阻害剤がHMG CoAレダクターゼ拮抗阻害剤、HMG CoAシンターゼ拮抗阻害剤、スクアレンシンターゼ拮抗阻害剤、及びスクアレンエポキシダーゼ拮抗阻害剤からなる群から選択されることを特徴とする、請求項29記載の組成物。
【請求項31】
前記コレステロール生合成阻害剤がスタチンであることを特徴とする、請求項29記載の組成物。
【請求項32】
前記コレステロール生合成阻害剤が、ロバスタチン、プラバスタチン、プラバスタチンナトリウム、フルバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、CI−981及びピタバスタチン、L−659,699((E,E)−11−[3’R−(ヒドロキシルメチル)−4’−オキソ−2’R−オキセタニル]−3,5,7R−トリメチル−2,4−ウンデカジエン酸)、メバスタチン、ベロスタチン、コンパクチン、ダルバスタチン、フルインドスタチン、ジヒドロコンパクチン、イタバスタチン、スクアレスタチン 1、NB−598((E)−N−エチル−N−(6,6−ジメチル−2−ヘプテン−4−イニル)−3−[(3,3’−ビチオフェン−5−イル)メトキシ]ベンゼン−メタンアミンヒドロクロリド)又はそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項29記載の組成物。
【請求項33】
前記ステロールが、シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール(ジヒドロブラシカステロールを含む)、デスモステロール、カリノステロール、ポリフェラステロール、クリオナステロール、エルゴステロール、コプロステロール、コジステロール、イソフコステロール、フコステロール、クレロステロール、ネルビス
テロール、ラトステロール、ステラステロール、スピナステロール、コンドリラステロール、ペポステロール、アベナステロール、イソアベナステロール、フェコステロール及びポリナスタステロールからなる群から選択されることを特徴とする、請求項25又は請求項29に記載の組成物。
【請求項34】
前記スタノールが、シトスタノール、カンペスタノール、スチグマスタノール、ブラシカスタノール(ジヒドロブラシカスタノールを含む)、デスモスタノール、カリノスタノール、ポリフェラスタノール、クリオナスタノール、エルゴスタノール、コプロスタノール、コジスタノール、イソフコスタノール、フコスタノール、クレロスタノール、ネルビスタノール、ラトスタノール、ステラスタノール、スピナスタノール、コンドリラスタノール、ペポスタノール、アベナスタノール、イソアベナスタノール、フェコスタノール及びポリナスタスタノールからなる群から選択されることを特徴とする、請求項25又は請求項29に記載の組成物。
【請求項35】
以下の治療目的:
a)一般にCVDに関連し、動脈硬化、アテローム性動脈硬化、細動脈硬化、狭心症および血栓症などの一つ以上の症状を予防し、治療し、又は軽減すること、
b)CVDに関連するリスク因子の一つ以上を減らし及び/又は排除すること、
c)アテローム性動脈硬化症を予防し、治療し、又は軽減すること、
d)高コレステロール血症を予防し、治療し、又は軽減すること、
e)高脂質症状を予防し、治療し、又は軽減すること、
f)脂質代謝異常を予防し、治療し、又は軽減すること、
g)高血圧症を予防し、治療し、又は軽減すること、
h)冠動脈疾患を予防し、治療し、又は軽減すること、
i)冠動脈プラーク発生を予防し、治療し、又は軽減すること、
j)冠動脈プラーク炎症を予防し、治療し、又は軽減すること、
k)血清LDLコレステロールを低下すること、
l)血清HDLコレステロールを増加すること、
m)血清トリグリセリド値を減少すること、
n)コレステロール生合成を減少すること、
o)脂質代謝異常状態又は障害を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
p)高コレステロール血症又は低アルファリポタンパク質血症を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
q)アテローム性病変またはプラークの発生を予防し、減らし、排除し、安定化させ、又は改善すること、
r)心血管疾患及び冠動脈疾患の発生に関連する炎症の発生を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
s)血清HDLの不足、若しくはLDL、VLDL、Lp(a)、ベータ−BLDL、IDL又は残留リポタンパク質の過剰をその基礎として有するか、又は、それらにより悪化する、あらゆる症状、疾患又は障害を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
t)発作のリスクを減少すること、
u)イソプレノイド合成を抑制すること、
v)アルツハイマー病を予防し、治療し、又は軽減すること、
w)認知症を予防し、治療し、又は軽減すること、
x)骨粗鬆症を予防し、治療し、又は軽減すること、
y)酸化ストレスによる損傷を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
z)酸化からHDLの安定性を増強し及び/又は維持すること、
aa)酸化からLDL、VLDL、又はIDLの安定性を増強し及び/又は維持すること、
bb)酸化からトリグリセリド(TG)の安定性を増強し及び/又は維持すること、
cc)抗凝固特性を示すこと、
dd)抗増殖特性を示すこと、
ee)免疫調節特性を示すこと、
ff)血管由来特性を示すこと、
gg)腫瘍の成長を予防し、治療し、又は軽減すること、
hh)骨質量及び/又は骨代謝を増加すること、及び、
ii)特に細胞又は分子レベルにおいて、スタチンの投与によって得られる非脂質関連の多面発現効果の何れかを増強すること、
の一つ以上を達成する方法であって、以下の化学式
【化13】

(式中、Rはステロール又はスタノール部分を表し、R2は少なくとも一つの遊離性及び
反応性カルボキシル基を有するコレステロール生合成阻害剤を表し;R3は少なくとも一
つの遊離性及び反応性水酸基を有するコレステロール生合成阻害剤を表し;R4はアスコ
ルビン酸に由来し、Xは水素原子であるか、又は、金属、アルカリ土類金属及びアルカリ金属からなる群から選択され、並びに、nは1−5を表す。)を有する一つ以上の化合物(生物学的に許容される塩又は溶媒和物、又は少なくとも一つの前記化合物の又はそれらの塩の又はそれらの溶媒和物のプロドラッグを含む。)の無毒性かつ治療有効量を動物に投与することを含む方法。
【請求項36】
前記R2及びR3がHMG CoAレダクターゼ拮抗阻害剤、HMG CoAシンターゼ拮抗阻害剤、スクアレンシンターゼ拮抗阻害剤、及びスクアレンエポキシダーゼ拮抗阻害剤からなる群から選択されることを特徴とする、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記R2がアトルバスタチン又はプラバスタチン(provastatin)を表すことを特徴とする、請求項35記載の方法。
【請求項38】
前記R3がシンバスタチン又はロバスタチンを表すことを特徴とする、請求項35記載の
方法。
【請求項39】
以下の治療目的:
a)一般にCVDに関連し、動脈硬化、アテローム性動脈硬化、細動脈硬化、狭心症および血栓症などの一つ以上の症状を予防し、治療し、又は軽減すること、
b)CVDに関連するリスク因子の一つ以上を減らし及び/又は排除すること、
c)アテローム性動脈硬化症を予防し、治療し、又は軽減すること、
d)高コレステロール血症を予防し、治療し、又は軽減すること、
e)高脂質症状を予防し、治療し、又は軽減すること、
f)脂質代謝異常を予防し、治療し、又は軽減すること、
g)高血圧症を予防し、治療し、又は軽減すること、
h)冠動脈疾患を予防し、治療し、又は軽減すること、
i)冠動脈プラーク発生を予防し、治療し、又は軽減すること、
j)冠動脈プラーク炎症を予防し、治療し、又は軽減すること、
k)血清LDLコレステロールを低下すること、
l)血清HDLコレステロールを増加すること、
m)血清トリグリセリド値を減少すること、
n)コレステロール生合成を減少すること、
o)脂質代謝異常状態又は障害を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
p)高コレステロール血症又は低アルファリポタンパク質血症を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
q)アテローム性病変またはプラークの発生を予防し、減らし、排除し、安定化させ、又は改善すること、
r)心血管疾患及び冠動脈疾患の発生に関連する炎症の発生を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
s)血清HDLの不足、若しくはLDL、VLDL、Lp(a)、ベータ−BLDL、IDL又は残留リポタンパク質の過剰をその基礎として有するか、又は、それらにより悪化する、あらゆる症状、疾患又は障害を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
t)発作のリスクを減少すること、
u)イソプレノイド合成を抑制すること、
v)アルツハイマー病を予防し、治療し、又は軽減すること、
w)認知症を予防し、治療し、又は軽減すること、
x)骨粗鬆症を予防し、治療し、又は軽減すること、
y)酸化ストレスによる損傷を予防し、減らし、排除し、又は改善すること、
z)酸化からHDLの安定性を増強し及び/又は維持すること、
aa)酸化からLDL、VLDL、又はIDLの安定性を増強し及び/又は維持すること、
bb)酸化からトリグリセリド(TG)の安定性を増強し及び/又は維持すること、
cc)抗凝固特性を示すこと、
dd)抗増殖特性を示すこと、
ee)免疫調節特性を示すこと、
ff)血管由来特性を示すこと、
gg)腫瘍の成長を予防し、治療し、又は軽減すること、
hh)骨質量及び/又は骨代謝を増加すること、及び、
ii)特に細胞又は分子レベルにおいて、スタチンの投与によって得られる非脂質関連の
多面発現効果の何れかを増強すること、
の一つ以上を達成する方法であって、
a)一般式
【化14】

(式中、Rはステロール又はスタノール部分を表し、R4はアスコルビン酸に由来し、並
びにnは1−5を表す。)を有する化合物(あらゆる生物学的に許容される塩又は溶媒和物、又は少なくとも一つの前記化合物の又はそれらの塩又はそれらの溶媒和物のプロドラッグを含む。)から選択される少なくとも一つのコレステロール吸収阻害剤;及び
b)少なくとも一つのコレステロール生合成阻害剤
の無毒性かつ治療有効量を動物に投与することを含む方法。
【請求項40】
前記コレステロール生合成阻害剤がHMG CoAレダクターゼ拮抗阻害剤、HMG CoAシンターゼ拮抗阻害剤、スクアレンシンターゼ拮抗阻害剤、及びスクアレンエポキシダーゼ拮抗阻害剤からなる群から選択されることを特徴とする、請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記コレステロール生合成阻害剤がスタチンであることを特徴とする、請求項39記載の方法。
【請求項42】
前記コレステロール生合成阻害剤が、ロバスタチン、プラバスタチン、プラバスタチンナトリウム、フルバスタチン、シンバスタチン、アトルバスタチン、セリバスタチン、CI−981及びピタバスタチン、L−659,699((E,E)−11−[3’R−(ヒドロキシルメチル)−4’−オキソ−2’R−オキセタニル]−3,5,7R−トリメチル−2,4−ウンデカジエン酸)、メバスタチン、ベロスタチン、コンパクチン、ダルバスタチン、フルインドスタチン、ジヒドロコンパクチン、イタバスタチン、スクアレスタチン 1、NB−598((E)−N−エチル−N−(6,6−ジメチル−2−ヘプテン−4−イニル)−3−[(3,3’−ビチオフェン−5−イル)メトキシ]ベンゼン−メタンアミンヒドロクロリド)又はそれらの混合物からなる群から選択されることを特徴とする、請求項39記載の方法。
【請求項43】
少なくとも二つの別の成分:
a)一般式
【化15】

(式中、Rはステロール又はスタノール部分を表し、R4はアスコルビン酸に由来し、並
びにnは1−5を表す。)を有する化合物(あらゆる生物学的に許容される塩又は溶媒和物、又は少なくとも一つの前記化合物の又はそれらの塩の又はそれらの溶媒和物のプロドラッグを含む。)から選択される少なくとも一つのコレステロール吸収阻害剤を含む組成物;及び
b)少なくとも一つのコレステロール生合成阻害剤を含む組成物、
を各組成物の投与を説明する説明書を伴って含むキット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−525470(P2007−525470A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517922(P2006−517922)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/CA2004/000999
【国際公開番号】WO2005/005453
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(501309163)フォーブス メディ−テック インコーポレーテッド (7)
【Fターム(参考)】