説明

ステージ演出システム、演出制御サブシステム、ステージ演出システムの動作方法、演出制御サブシステムの動作方法、およびプログラム

【課題】ユーザ端末を利用したステージの視聴者であっても、自身の書き込んだコメントの表示を含むステージの配信ライブ映像の視聴が可能となり、さらにそのコメントによってステージ上の演出装置を制御することが可能なステージ演出システムを提供する。
【解決手段】ステージの配信ライブ映像に対するコメントの入力をネットワーク上のユーザ端末から受付け、そのコメントを直ちに当該配信ライブ映像の視聴者に対して視認可能にディスプレイに表示するとともに、その入力コメントに応じて照明装置や音響装置、スモーク装置などの実際のステージ上の演出装置を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステージ上の演出を、そのステージをネットワークを介して視聴するユーザ端末からのコメント入力によって制御する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パフォーマンスやイベントなどを行うステージに照明装置、音響装置、スモーク装置などを設置し、それら装置を担当者が所定のブースから遠隔制御することによるステージ演出が行われている。また、ステージ上にディスプレイを設置し、いわゆるVJ(ビデオジョッキー)と呼ばれる者たちが、ステージ上のパフォーマンスなどの進行に合わせて、その感性で自由に映像を表示させることができるステージ演出技術なども提供されている。
【0003】
また、特許文献1には、ネットワークを介して接続されたユーザ端末から、結婚式などに関する映像メッセージを受付け、その受付けたメッセージを式典の最中に会場内のディスプレイに表示することで式典などを盛り上げる演出技術が開示されている。
【0004】
また現在では、このように様々に演出されるステージの映像を撮影し、個人ユーザレベルの簡単な設備や技能でネットワーク上の不特定多数のユーザ端末に対してリアルタイムに配信することができるシステムも提供されている。これにより、実際にステージまで足を運ばなくとも、ネットワークを介してライブ配信された映像をユーザ端末上で視聴して、前述のような各種ステージ演出を含むパフォーマンスなどをリアルタイムに楽しむことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−285049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、それはあくまでも映像であるため、ユーザ端末による視聴者は上記演出を含めたパフォーマンスを身近に感じることは難しく、実際にステージを観覧しているユーザと比べるとその感じる楽しさ、特にステージで行われているパフォーマンスなどへの参加(ライブ)感は劣っている、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するために、本発明は、ステージの配信ライブ映像に対するコメントの入力をネットワーク上のユーザ端末から受付け、そのコメントを直ちに当該配信ライブ映像の視聴者に対して視認可能にディスプレイに表示するとともに、その入力コメントに応じて照明装置や音響装置、スモーク装置などの実際のステージ上の演出装置を制御することができるステージ演出システムを提供する。
【0008】
具体的に、ステージの演出制御を行う演出制御サブシステムと、演出制御サブシステムとネットワークを介して接続されたユーザ端末と、ユーザ端末にて入力されたコメントを表示するディスプレイと、からなるステージ演出システムであって、演出制御サブシステムは、ステージを演出するための演出装置と、ステージのライブ映像をユーザ端末に配信するライブ映像配信部と、コメントに基づく演出制御を定める演出制御ルールを保持するルール保持部と、ユーザ端末から送信されたコメントを受信するコメント受信部と、受信したコメントと、保持されている演出制御ルールと、に基づいてライブのステージの演出装置の制御を行う演出制御部と、を有する。
【0009】
また、そのユーザ端末は、配信されたライブ映像を受信するライブ映像受信部と、受信したライブ映像を表示するライブ映像表示部と、表示されたライブ映像に対するコメント入力を受付けるコメント入力受付部と、受付けたコメントを直ちに送信するコメント送信部と、を有し、ディスプレイは、ユーザ端末にて入力されたコメントを取得するコメント取得部と、取得したコメントをユーザ端末のユーザに対して視聴可能に表示するコメント表示部と、を有する、という具合である。
【0010】
これによりユーザ端末を利用したステージの視聴者は、自身の書き込んだコメントの表示を含むステージの配信ライブ映像の視聴が可能となり、さらにそのコメントによってステージ上の演出装置を制御することが可能となるので、実際のステージの観覧者とは別の形でステージへの参加感を得ることができる。
【0011】
また、前記コメントが表示されるディスプレイが、ステージの置かれた会場内に設置されていることを特徴とするステージ演出システムも提供する。また、前記演出制御サブシステムの演出制御部が、演出装置として前記ステージの置かれた会場内のディスプレイを制御するステージディスプレイ制御手段を有するステージ演出システムも提供する。また、前記演出制御サブシステムの演出制御部が、ステージの置かれた会場内の観覧者に配布される演出器具を演出装置として制御する観覧者演出器具制御手段を有するステージ演出システムも提供する。
また、前記ステージディスプレイ制御手段が、ステージに置かれたディスプレイに出力されるアバターのアクションを制御するアバター制御器を有するステージ演出システムも提供する。また、さらに前記演出制御部が、ステージに置かれたディスプレイに出力されるアバターにアクションを起こさせるアクション開始受付手段をさらに有するステージ演出システムも提供する。
【0012】
また、前記ユーザ端末のコメント送信部が、ユーザID又は/及び端末IDと関連付けてコメントを送信するID付コメント送信手段を有し、前記演出制御サブシステムが、前記IDに基づきステージの設置された会場内のディスプレイにIDアバターを表示するIDアバター表示部を有するとともに、前記ルール保持部は、前記IDアバターに対する演出制御を定めるIDアバター演出制御ルールを保持するIDアバタールール保持手段を有し、前記ステージディスプレイ制御手段は、受信したコメント及びIDと、保持されているIDアバター演出制御ルールと、に基づいてディスプレイに表示されたIDアバターの演出表示を行うIDアバター演出器を有するステージ演出システムも提供する。
【0013】
また、上記のようなステージ演出システムの動作方法や演出制御サブシステムの動作方法、そのプログラムなども提供する。
【発明の効果】
【0014】
以上のような構成をとる本発明によって、ユーザ端末を利用したステージの視聴者(バーチャルな視聴者)であっても、自身の書き込んだコメントの表示を含むステージの配信ライブ映像の視聴が可能となり、さらにそのコメントによってステージ上の演出装置を制御することが可能となるので、実際のステージの観覧者(リアルな視聴者)とは別の形でのステージへの参加感を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例1のステージ演出システムによるステージ演出制御の一例を説明するための概念図
【図2】実施例1のステージ演出システムにおける機能ブロックの一例を表す図
【図3】実施例1の演出制御サブシステムのルール保持部にて保持されている演出制御ルールの一例を表す概念図
【図4】実施例1のユーザ端末のコメント入力受付部でのコメント入力の一例を説明するための概念図
【図5】実施例1のディスプレイの設置場所に応じたコメントの表示例を示す図
【図6】実施例1のディスプレイの設置場所に応じたコメントの、別の表示例を示す図
【図7】実施例1の演出制御サブシステムにおけるハードウェア構成の一例を表す図
【図8】実施例1のユーザ端末におけるハードウェア構成の一例を表す図
【図9】実施例1のディスプレイにおけるハードウェア構成の一例を表す図
【図10】実施例1のステージ演出システムにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【図11】実施例1のステージ演出システムによるステージ演出制御の、別の一例を説明するための概念図
【図12】実施例2のステージ演出システムによるステージ演出制御(IDアバター表示)の一例を説明するための概念図
【図13】実施例2のステージ演出システムにおける機能ブロックの一例を表す図
【図14】実施例2のステージ演出システムにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【図15】実施例3のステージ演出システムにおける機能ブロックの一例を表す図
【図16】実施例3のステージ演出システムによるアバターのアクション制御の一例を説明するための概念図
【図17】実施例3のステージ演出システムにおける処理の流れの一例を表すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、図を用いて本発明の実施の形態を説明する。なお、本発明はこれら実施の形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施しうる。
【0017】
なお、実施例1は、主に請求項1,2,3,7,8,9,10,11,12について説明する。また、実施例2は、主に請求項3,6について説明する。また実施例3は、主に請求項4,5について説明する。
【0018】
≪実施例1≫
<概要>
図1は、本実施例のステージ演出システムによるステージ演出制御の一例を説明するための概念図である。この図1(a)にあるように、イベントやパフォーマンスなどが行われているステージのライブ映像が、ネットワークを介してユーザ端末に配信されている。そして図1(b)に示すように、ユーザ端末による視聴者(以下、バーチャル視聴者と記載)はステージの配信ライブ映像を見ながら、例えば「888888(拍手の擬音を表すコメント)」といったパフォーマンスの感想などを自由にコメントとして入力欄に書き込み送信ボタンをクリックする。
【0019】
すると図1(c)に示すように、書き込まれたコメント(他のユーザ端末で書き込まれたコメントも含まれて良い)は、ネットワークを介して、例えばステージ上の背面や両側面、また観客席後方などに設けられた巨大ディスプレイに取得され、そのディスプレイ上に回遊表示などされる。そしてそれとともに、図1(d)に示すように、ステージ近傍に設けられた演出制御サブシステムでもそのコメント(888888)が受信され、それに応じて、例えばステージ上や天井などに設けられた音響装置から「拍手の音」が演出として出力されるよう制御する。そしてバーチャル視聴者は、そのステージ上ディスプレイでの自身の入力したコメントの表示と、そのコメントに応じた音響装置の拍手音声の出力演出と、を配信ライブ映像にて楽しむことができる、という具合である。
【0020】
このように、ステージを実際には観覧していないバーチャル視聴者であっても、自身の書き込みによりディスプレイにコメントを表示させ、さらにその書き込みコメントによって実際のステージ上の演出装置を制御することできる。したがって実際のステージの観覧者(以下、リアル視聴者と記載)とは別の形でステージへの参加感を得ることができる。
【0021】
また、ステージ上の拍手音声出力などの演出は当然リアル視聴者も楽しむことができるので、そのステージを媒介したバーチャル視聴者とリアル視聴者の一体感を醸成する効果も期待できる。
【0022】
<機能的構成>
図2は、本実施例のステージ演出システムにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例のステージ演出システムは、「演出制御サブシステム」(0200)と、「ユーザ端末」(0210)と、「ディスプレイ」(0220)と、からなる。
【0023】
なお、以下に記載する本システムの各サブシステムや装置の機能ブロックは、ハードウェア及びソフトウェアの組み合わせとして実現され得る。具体的には、コンピュータを利用するものであれば、CPUや主メモリ、バス、あるいは二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリ、CDやDVDなどの記憶メディアとそれらメディアの読取ドライブなど)、情報入力に利用される入力デバイス、印刷機器や表示装置、その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインターフェース、通信用インターフェース、それらハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他アプリケーションプログラム、ユーザ・インターフェース用アプリケーションなどが挙げられる。そして主メモリ上に展開したプログラムに従ったCPUの演算処理によって、入力デバイスやその他インターフェースなどから入力され、メモリやハードディスク上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、上記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が生成されたりする。あるいは本システムの機能ブロックは専用ハードウェアによって実現されてもよい。
【0024】
また、この発明はシステムとして実現できるのみでなく、方法としても実現可能である。また、このような発明の一部をソフトウェアとして構成することができる。さらに、そのようなソフトウェアをコンピュータに実行させるために用いるソフトウェア製品、及び同製品を固定した記録媒体も、当然にこの発明の技術的な範囲に含まれる(本明細書の全体を通じて同様である)。
【0025】
(演出制御サブシステム)
まず「演出制御サブシステム」の構成要件について説明する。演出制御サブシステムはステージの映像配信や演出制御を行うサーバ装置や端末装置、あるいはそれらが組み合わされた一の装置などで構成されるサブシステムであって、図2にあるように、「演出装置」(0201)と、「ライブ映像配信部」(0202)と、「ルール保持部」(0203)と、「コメント受信部」(0204)と、「演出制御部」(0205)と、を有する。
【0026】
「演出装置」(0201)は、ステージを演出するための装置であって、その演出方法に合わせて様々なものが採用されると良い。例えばライティングによる演出であれば演出装置としては各種照明/レーザー/ミラーボウル/遮光装置などが挙げられ、音響による演出であれば各種スピーカ装置が挙げられる。またその他にも、発煙による演出を行うスモーク装置、安全なレベルでの爆破発生装置、たいまつなどの発火装置、放水装置、温度調節装置、あるいは体感に関する演出を行う床の振動装置などが挙げられる。
【0027】
また、ステージの置かれた会場内に設置される映像表示用のディスプレイも、画像表示による演出を行う演出装置の一例として挙げられる。さらに、演出装置であるディスプレイは、後述するユーザ端末から入力されたコメントが表示されるディスプレイと同一のものとして構成されても良い。
【0028】
なお、「ステージ」とは、パフォーマンスやイベントなどが行われる空間をいうが、例えば屋外のフリースペースなどのステージのように厳密に他の空間と区別されうるものには限らない。また「ステージの演出」とは、そのパフォーマンスなどが行われる空間における演出のみならず、リアル視聴者が演出を感じることができる形態であれば、例えばステージの置かれた会場(観客席なども含む空間など)に対する演出も含むものとする。
【0029】
「ライブ映像配信部」(0202)は、ステージのライブ映像をユーザ端末に配信する機能を有し、例えばカメラ装置や映像処理装置、CPUや主メモリ、通信回路、ライブ映像配信プログラムなどによって実現することができる。なお、ライブ映像の配信とはステージ上のパフォーマンスなどを略リアルタイムで配信することをいい、例えばストリーミング配信などが挙げられる。
【0030】
そして後述するユーザ端末でこのライブ配信される映像に対するコメントが入力され、そのコメントが直ちに配信映像上で反映表示され、かつ配信映像内にコメントで制御された演出の様子が含まれることで、バーチャル視聴者はステージ上のパフォーマンスなどに対する参加感や会場との一体感を得ることができる。
【0031】
「ルール保持部」(0203)は、コメントに基づく演出制御を定める演出制御ルールを保持する機能を有し、例えばHDDやフラッシュメモリなどの各種記録装置によって実現することができる。
【0032】
図3は、ここで保持されている演出制御ルールの一例を表す概念図である。この図にあるように、演出制御ルールには、例えば入力されたコメント(の一部又は全部)の文字列やコメントの属性(指定色など)と、制御先となる演出装置のIDと、その制御命令と、が関連付けられている。
【0033】
具体的には、「燃える」といった文字列を含むコメントに対して、その制御先となるディスプレイに対する炎のグラフィック表示制御命令や、照明に対する赤色明滅制御命令、あるいはたいまつ装置に対する着火制御命令などが関連付けられている。また、「拍手」や「8888・・・(拍手の擬音を示す文字列)」を含むコメントに対しては、その制御先となるディスプレイに対するスタンディングオベーションのグラフィック表示制御命令や、音響装置に対する拍手音の出力制御命令などが関連付けられていたり、「すごい」や「うおお」などを含むコメントに対しては、その制御先となる床の振動装置に対する振動制御命令などが関連付けられていたりする、という具合である。
【0034】
また、同じ(類義の)コメントの数をカウントし、その数に応じて、制御命令の強度(例えばグラフィックであれば表示画像の大きさ、色の濃淡、音響であれば音量の大きさ、振動であればその振幅の大きさ、またそれらの出力時間、演出による表示などの変化パターンの多寡など)を変えるようなルールであっても良い。
【0035】
また、上記のようなコメントの内容(文字列)や数に応じた演出制御のみならず、図4に示すようにコメントに付加されている情報、例えばコメントの表示色や表示の大きさ、表示スクロール速度を示す情報、あるいはコメント入力者のランク(詳細は後述)を示す情報などに応じた制御命令を出力するルールであっても良い。例えばコメントの表示色が指定可能であれば、演出装置であるディスプレイにその指定色メインの画像を表示する制御や、照明装置を指定色に点灯させる制御などを示すルールなどが挙げられる。また、コメントの表示の大きさや速度、コメントの入力者のランクなどであれば、それに応じて前述の制御命令の「強度」を変えるようなルールであっても良い。
【0036】
また、演出制御ルールとして制御命令を出力するための条件などが関連付けられていても良い。例えば書き込まれた類義のコメントの数や割合、あるいは内容に関わらずその表示指定色が同じコメントの数や割合が、例えばコメントの表示中や所定時間内に所定値/所定割合以上である場合に、上記のような対応する制御(例えばディスプレイの指定色メインの表示や照明の指定色明滅、後述するコンサートライトの指定色明滅など)を行うといった出力条件が含まれるルールとしても良い。あるいは書き込まれたコメントの中からランダムで抽選されたコメントに対応する制御を行うルールとしても良い。あるいはコメントに含まれるユーザIDと予め保持されているユーザ登録テーブルからユーザのランクを判断し、ランクの高いユーザのコメントに対応する制御を優先的に行うルールとしても良い。
また、例えば課金の有無によってコメントを演出制御に使うか否か区別して判断する制御ルールであっても良い。具体的には、コメント入力時や一括前/後払いにて課金処理を行った(行う契約を結んだ)ユーザの書き込んだコメントに課金済みフラグを含む構成として、その課金済みフラグを含むコメントによってのみ演出制御を行うといった出力条件を含むルールが挙げられる。なお、その場合課金済みフラグの無いコメントは、単に後述するディスプレイでの表示にのみ利用されると良い。
【0037】
また、例えば「右側のギターがすごい」、「燃える」といった複数のコメントを組み合わせて、ステージ右側の演出装置に対してのみ「燃える」に対応する制御命令を出力するようなルールであっても良い。
【0038】
以上のような様々な演出制御ルールを保持することで、この演出制御サブシステムはコメントに応じた様々な演出を行うことができる。
【0039】
「コメント受信部」(0204)は、ユーザ端末から送信されたコメントを受信する機能を有し、例えばCPUや主メモリ、通信回路、コメント受信プログラムなどによって実現することができる。そしてこのコメント受信部は、ユーザ端末から(転送のみを行う転送装置を介して)直接的にコメントを受信する構成であっても良い。
【0040】
あるいは、コメントのディスプレイへの表示に係る処理を行うコメント管理サーバなどのように、コメントに関する処理を行う別装置から転送されるコメントを間接的に受信する構成であっても良い。なお、このコメント管理サーバに関しては、従来のコメント付の動画配信システムにおいて、複数のユーザ端末から配信動画に対するコメントを収集しその表示位置や表示スピードなどを適宜決定して当該配信動画と共にコメントが表示されるよう再配信するサーバ装置と同様であるので、その説明は省略する。
【0041】
「演出制御部」(0205)は、受信したコメントと、保持されている演出制御ルールとに基づいてライブのステージの演出装置の制御を行う機能を有し、例えばCPUと主メモリ、演出制御プログラムなどによって実現することができる。また、前述のように演出装置として前記ステージの置かれた会場内のディスプレイを制御するよう構成するのであれば、この演出制御部は、当該会場内のディスプレイを制御する図示しない「ステージディスプレイ制御手段」を有していても良い。
【0042】
そして演出制御部は、具体的に、演出制御ルールがコメントの内容に応じたルールを定めるものであれば、受信したコメントの全部又は一部の文字列をキーとして、図3に示すような演出制御ルールを示すテーブル内のコメント列を対象にした検索処理を実行する。また検索処理の前に、コメントが文章などであれば形態素解析などを行ってコメントを品詞単位で分解した上で、その文章に含まれる名詞、動詞、形容詞、形容動詞、感動詞などのそれぞれについて上記検索処理を行うよう構成しても良い。
【0043】
そして、検索にヒットしたフィールドに関連付けられている制御命令および制御先の演出装置のIDを特定し、その特定された演出装置宛の制御命令を出力する、という具合である。
【0044】
また、演出制御ルールがコメントの内容に応じて制御命令を定めるルールではなく、例えばコメントの指定表示色に応じたルールであれば、例えば、まずコメントの属性情報として付加されている指定色の情報を取得する。そして、制御する演出装置がディスプレイ装置であれば、その指定色をメインとするグラフィックの描画命令が生成され出力されたり、制御する演出装置がLED照明装置であれば、その指定色での明滅制御命令が生成され出力されたりする、といった演出制御処理を行っても良い。なお、その出力先の演出装置は色に応じて別々に定められていても良いし、順番やランダムに選択されても良いし、一の演出装置に決まっていても構わない。
【0045】
また、演出制御ルールが前述のように制御命令の強度(グラフィック画像の大きさや色の濃淡など)を変えるようなルールであれば、その強度を変更するための情報を取得すると良い。例えば、ルールそのものを決定するコメントの文字列などとは別に、コメント内に「(赤)過ぎ/杉」などの文字列があれば、その演出装置への赤色出力制御が「濃い」赤、あるいは逆に「薄い」赤となるように色値が指定される、といった具合である。
【0046】
そのほか、コメントに付加されている情報、例えばコメントの表示の大きさやスクロール速度を示す情報、あるいはコメント入力者のランクを示す情報などに応じて同様に制御命令の強度を変える処理を行っても良い。なお「コメント入力者のランク」とは、所定の条件に応じて定められる、このシステムに対するユーザの貢献度合いや優先度合いを示す指標値をいい、例えば本発明によるサービスの有料会員であるか否か、またサービスの登録期間の長短、コメントの書込み回数や書き込んだコメントの他者評価値などに応じて定められうる指標値である。そして、演出制御サブシステムでは、そのユーザ毎のランクを示すテーブルを予め保持しておき、コメントの属性情報として示される当該コメント書込者のユーザIDを利用してそのランクを特定する。そして特定されたランクに応じて演出制御の強度を変える(例えばランクの高いコメントによる照明の明滅制御はその制御時間が長かったり色の変化パターンが多かったりするなど)と良い。
【0047】
また、例えばコメントに「右」「中央」「左」などの位置に関するパターン文字列が含まれているかをマッチング処理などで判断し、その方向に位置する演出装置や、その方向に向けて演出を行う演出装置のみを制御する処理を行っても良い。
【0048】
また複数受信した制御命令のうちの一部を出力することとし、その出力条件を設けても良い。例えば所定時間内に受信した同じ(類義の)コメントの数をカウントし、そのカウント数とルールで示される閾値との大小判断処理などに応じて制御命令を出力するか判断しても良い。あるいは書き込まれたコメントの中からランダムでコメントを抽出する処理を行い、そのコメントに関してのみ上記のように制御命令を特定し出力する処理を行っても良い。あるいは、上記コメント入力者のランクに応じて、ランクの高いコメントによる演出の制御命令の出力を優先的に行うようにしても良い。
【0049】
また、複数のコメントを組み合わせて制御命令を出力するようにしても良い。
【0050】
以上のような構成により、本願の演出制御サブシステムは、ステージ映像を配信し、それに応じてユーザ端末にて入力され受信したコメントに応じたステージ上の演出制御を行うことができる。
【0051】
(ユーザ端末)
つづいて、図2に戻りユーザ端末の構成要件について説明する。ユーザ端末は演出制御サブシステムとネットワークを介して接続されており、この図にあるように、「ライブ映像受信部」(0211)と、「ライブ映像表示部」(0212)と、「コメント入力受付部」(0213)と、「コメント送信部」(0214)と、を有する。
【0052】
「ライブ映像受信部」(0211)は、配信されたライブ映像を受信する機能を有し、例えばCPUや主メモリ、通信回路、ライブ映像受信プログラムなどによって実現することができる。
【0053】
「ライブ映像表示部」(0212)は、受信したライブ映像を表示する機能を有し、例えばCPUや主メモリ、画像処理回路やディスプレイ、ライブ映像表示プログラムなどによって実現することができる。そして、ユーザ端末によるバーチャル視聴者は、そのディスプレイに表示されたライブ映像を見ながら、その感想などをコメントとして書き込むことができる。
【0054】
具体的には、ユーザ端末から、ライブ映像を配信するサーバ装置(演出制御サブシステムに含まれるライブ映像配信部など)にネットワークを介してライブ映像の配信リクエストを送信する。すると、サーバ装置から、例えばライブ映像を再生するための再生ウィンドウを含むWebページが返信されてくる。そして同じくサーバ装置から配信されてきたライブ映像のデータを受信すると、先に受信したWebページの再生ウィンドウ内に当該ライブ映像を再生しユーザ端末のディスプレイに表示する、という具合である。また、ユーザ端末にライブ映像を再生するためのアプリケーションがすでにインストールされていれば、上記Webページの送受信などを省いても良い。
【0055】
なお、このライブ映像表示部を構成する「(ユーザ端末)ディスプレイ」と、後述する本願のステージ演出システムの構成要件である「(コメント表示用)ディスプレイ」(図2の220)とは、別々のハードウェア装置として実現されても良いし、同じハードウェアとして(両者の機能を兼備して)実現されても良い。
【0056】
「コメント入力受付部」(0213)は、表示されたライブ映像に対するコメント入力を受付ける機能を有し、例えばCPUや主メモリ、キーボードやリモコンなどの各種入力デバイス、そしてコメント入力用のGUIを含むコメント入力受付プログラムによって実現することができる。
【0057】
図4は、このコメント入力用のGUIを利用したコメント入力の一例を説明するための概念図である。この図にあるように、ディスプレイには、ライブ映像の表示枠αと、例えばWebページであれば同じページ内や別ウィンドウのページ内に、アプリケーションであればそのアプリケーション内や別/重畳ウィンドウ内にコメントを入力するための入力欄βが表示されている。そして、バーチャル視聴者は、表示枠αに表示されているライブ映像を見ながら、入力欄βにキーボードなどを利用して、例えば「ここのハモリがしびれる」などのコメントを入力する、という具合である。
【0058】
なお「ライブ映像に対するコメント入力」とは、ライブ映像のIDと関連付けてコメントを入力することをいう。具体的には、例えばライブ映像の表示中に、その映像表示枠(Webページ/アプリケーションなど)と関連するコメント入力用GUIへ入力されたコメントに対し当該ライブ映像のIDを関連付ける、という具合である。そして、そのように入力されライブ映像IDと関連付けられたコメントであれば、例えばライブ映像に対する感想のようなライブ映像の内容などに関連するコメントには限定されない。
【0059】
そして自他のユーザ端末にてそのように入力されたコメントは、後述するようにライブ映像の表示枠α内にライブ映像に重畳させて表示されたり、コメントリスト欄γに表示されたりすると良い。あるいはステージ上に設けられたディスプレイに表示されても良い。
【0060】
「コメント送信部」(0214)は、受付けたコメントを直ちに送信する機能を有し、CPUや主メモリ、通信回路、コメント送信プログラムなどによって実現することができる。
【0061】
なお、「直ちに送信する」とは、書込みの確定ボタンのクリックなどを契機として直ぐに送信処理を実行する形態に限定はされず、バーチャル視聴者の参加感を損なわない程度であれば、例えば10秒ごとに書き込まれたコメントをまとめて送信するなどの形態であっても構わない。
【0062】
また、このコメントの送信先については特に限定しない。直接、演出制御サブシステムや後述するディスプレイに送信(出力)される形態も挙げられるし、ディスプレイに表示するために複数のユーザ端末からのコメントを収集し管理するコメント管理サーバに送信される形態も挙げられる。
【0063】
そして、ここで直ちに送信されたコメントが後述するディスプレイに表示されるとともに、前述のように演出制御サブシステムによって演出装置に対する制御に利用される。したがってバーチャル視聴者はその自身の書き込んだコメントのディスプレイ表示と、同じコメントによる演出制御がされたライブ映像を視聴することができ、リアル視聴者とは別の形でライブへの参加感を感じることができる。
【0064】
(ディスプレイ)
最後に、図2に戻りディスプレイの構成要件について説明する。ディスプレイはユーザ端末にて入力されたコメントを表示するものであって、この図にあるように、「コメント取得部」(0221)と、「コメント表示部」(0222)と、を有する。
【0065】
なお、このディスプレイの設置場所は、コメントをユーザ端末のユーザに対して視聴可能に表示できる場所であればいずれでも構わないが、主に2パターンの設置場所が想定されうる。すなわち前記ユーザ端末のディスプレイとして設置される場合と、ステージの置かれた会場内に設置される場合と、(あるいはその双方と)である。以下、「コメント取得部」と「コメント表示部」について、2つのパターンに分けて説明する。
【0066】
「コメント取得部」(0221)は、ユーザ端末にて入力されたコメントを取得する機能を有し、CPUや主メモリ、コメント取得プログラムによって実現することができる。具体的に、ディスプレイの設置場所が上記前者のパターンの場合、ディスプレイはユーザ端末に接続されているものなので、そのまま内部的に取得する構成とすると良い。あるいは複数のユーザ端末からのコメントを受信し、それらをまとめて複数のユーザ端末に配信するコメント管理サーバなどが設けられていれば、そのコメント管理サーバから配信される自他のコメントをまとめて取得するよう構成しても良い。
【0067】
一方、ディスプレイの設置場所が後者のパターンの場合、ネットワークを介してユーザ端末から送信されたコメントを直接受信して取得する構成が挙げられる。あるいは、上記前者のパターンと同様に、ネットワーク上に別に設けられたコメント管理サーバなどから複数のユーザ端末にて入力されたコメントを間接的に受信して取得する構成も挙げられる。
【0068】
また、後者のパターンの場合、ディスプレイは演出制御サブシステムの制御下にあるとも想定されるので、演出制御サブシステムにて演出制御に利用されるために受信されたコメントが転送されることで取得する構成も挙げられる。なお、その場合には、演出制御サブシステムにてコメント文字列を所定の色、大きさ、アニメーションなどで表示するための画像データが生成され、その画像データをコメントとして取得する構成としても良い。また、まずディスプレイにてコメントを受信し、それが演出制御サブシステムに転送される構成も挙げられる。
【0069】
「コメント表示部」は、取得したコメントをユーザ端末のユーザに対して視聴可能に表示する機能を有し、例えばCPUや主メモリ、画質処理回路、表示パネル、コメント表示プログラムなどによって実現することができる。この、コメント表示部でのコメント表示形態としては、例えばコメントの色や大きさを変化させる形態や、コメント文字列を移動表示させる形態などが挙げられる。さらにディスプレイが複数のディスプレイを並べて構成されていれば、その複数のディスプレイ間をまたがってコメントが移動表示されても良い。そして例えばディスプレイがステージ上や観客席の側面や前面、背面など360度に配置されていれば、その360度ディスプレイ上にコメントを回遊表示することができる。
【0070】
図5は、ディスプレイの設置場所が前者のパターンである場合のコメントの表示例を示す図である。この図にあるように、ディスプレイはユーザ端末のライブ映像表示部でもあり、その映像表示枠α内に配信ライブ映像が表示されている。そして、その映像に重畳する形やその横のコメントリスト欄γなどにリスト化された形でコメントが表示される、という具合である。また、ここで表示されるコメントは自身が書き込んだコメントのみならず、前述のコメント管理サーバで収集された他のユーザ端末で入力されたコメントも合わせて表示されても良い。
【0071】
図6は、ディスプレイの設置場所が後者のパターンである場合のコメントの表示例を示す図である。この図にあるように、ディスプレイはステージ上の例えば背面や側面などに設置されており、配信されるライブ映像には少なくともその一部が映るようにして撮影されている。したがってステージ上のディスプレイにコメントが表示されることで、配信されるライブ映像にコメントが表示されたディスプレイが含まれ、バーチャル視聴者にそのコメントが視認される、という具合である。
【0072】
また、このディスプレイがステージの置かれた会場内に設置されている場合、その会場内ディスプレイは演出制御サブシステムの演出制御部によって演出装置として制御されても良い。なおその場合の演出制御は「コメントを表示すること」による演出ではなく、コメントの表示に加えた、例えばディスプレイの明滅表示制御やコメント以外のディスプレイ全体の色の変更制御などによる演出制御になる。
【0073】
以上のように、ネットワーク上のユーザ端末を利用してライブ映像を視聴しているバーチャル視聴者は自身の書き込んだコメントのディスプレイ表示と、同じコメントによる演出制御がされたライブ映像を同時に視聴することができ、リアル視聴者とは別の形でライブへの参加感を感じることができる。
【0074】
<ハードウェア構成>
図7から9は、上記機能的な各構成要件をハードウェアとして実現した際の、演出制御サブシステム、ユーザ端末、ディスプレイにおける構成の一例を表す概略図である。この図を利用して本実施例のステージ演出システムの演出制御処理におけるそれぞれのハードウェア構成部の働きについて説明する。
【0075】
(演出制御サブシステム)
図7は、演出制御サブシステムのハードウェア構成の一例を表す図である。この図にあるように、演出制御サブシステムは、「CPU」(0701)と「主メモリ」(0702)とを備え、これらによって演出制御部が実現されるとともに、その他の構成に係る各種演算処理が実行されている。またルール保持部である「HDD」(0703)や、ライブ映像配信部やコメント受信部である「通信回路」(0704)、演出装置である「照明装置」(0705)や「音響装置」(0706)なども備えられている。そしてそれらが「システムバス」や「会場内LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)」などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う。
【0076】
また、「主メモリ」にはプログラムが読み出され、「CPU」は読み出された当該プログラムを参照し、プログラムで示される手順に従い各種演算処理を実行する。また、この「主メモリ」や「HDD」にはそれぞれ複数のアドレスが割り当てられており、「CPU」の演算処理においては、そのアドレスを特定し格納されているデータにアクセスすることで、データを用いた演算処理を行うことが可能になっている。
【0077】
ここで、例えば野外音楽フェスティバル会場に設置されたステージ上でバンドが演奏を行っており、その演奏風景が撮影され、ネットワークを介して遠隔地にいるバーチャル視聴者のユーザ端末にライブ配信されている。そして、その配信ライブ映像に対してユーザ端末にて入力されたコメントが、いったんコメント管理サーバにて収集され、この演出制御サブシステムに送信されてくる。
【0078】
演出制御サブシステムでは、「通信回路」にて例えば"すげえ燃える!"などのコメントを受信すると、そのコメントを「主メモリ」に格納する。そして演出制御プログラムを解釈し、その解釈結果にしたがって「CPU」の演算処理によって例えばコメントの形態素解析処理を行い、コメント内の助詞/助動詞、接続詞などを除く名詞や動詞、形容詞、形容動詞、感動詞などを示す文字列を特定する。そして特定された文字列をキーとして、「HDD」に保持されている制御ルールの図3に示すようなテーブルの検索処理を実行し、当該文字列のフィールドに関連付けられている演出制御の対象となる演出装置のIDと制御命令、例えば照明装置IDと赤色明滅の制御命令を「主メモリ」に格納する。
【0079】
そして、「主メモリ」に格納した制御命令(赤色明滅制御命令)を、同じく格納したIDで示される演出装置(照明装置)に対して出力し、制御命令にしたがった例えば照明装置の赤色の明滅制御が実行される、という具合である。
【0080】
また、演出制御部にて前述の通り、例えば「CPU」は、「HDD」に保持されている類義語辞典などを参照し類義のコメントの数をカウントし、演出制御ルールにて定められる閾値との大小比較処理を行って演出制御を行うか否かの判断をしても良い。あるいはコメントに属性情報として付加されているコメントの表示色や表示の大きさ、表示スクロール速度、あるいはコメント入力者のランク情報を取得して「主メモリ」に格納し、その情報をキーとして「HDD」に保持されているテーブルを検索して演出装置IDや制御命令を特定する処理を行っても良い。また、その情報を示す数値から、制御命令の強度(音量のボリューム値や制御時間など)を「CPU」の演算処理によって算出する処理を行っても良い。
【0081】
また、例えば演出装置の設置位置を示す情報を「HDD」に保持しておき、コメントの文字列に「右」との文字列が含まれていれば、その設置位置情報を元にした「CPU」の演算処理によってステージ向かって右手側の演出装置のIDを取得し、その制御命令の出力先とするなどの処理を行っても良い。
また、この演出制御サブシステムが後述するディスプレイと映像出力線などで直接接続されている場合、「CPU」は、図示しないコメント表示プログラムを解釈し、受信したコメントを利用してコメント文字列を所定の色、大きさ、アニメーションなどで表示するための画像データを生成し、ディスプレイに対して出力する処理を行っても良い。
【0082】
(ユーザ端末)
図8は、ユーザ端末のハードウェア構成の一例を表す図である。この図にあるように、ユーザ端末は、各種演算処理を実行するための「CPU」(0801)と「主メモリ」(0802)とを備えている。また各種データを保持する「フラッシュメモリ」(0803)や、ライブ映像受信部やコメント送信部である「通信回路」(0804)、コメント入力受付部である「キーボード」(0805)やライブ映像表示部である「ユーザ端末ディスプレイ」(0806)なども備えられている。
【0083】
ここで、ステージの配信ライブ映像を見たいと思うユーザの入力操作によって例えばブラウザに所定のURLが入力される。すると「CPU」はブラウザプログラムの解釈結果にしたがって当該URLで示される演出制御サブシステムにアクセスし、HTTPリクエストを「通信回路」から送信する。そして、演出制御サブシステムからのレスポンスである配信ライブ映像の視聴用Webページのデータ(ライブ映像表示プログラムやコメント入力受付プログラムを含む)を「通信回路」にて受信すると、「CPU」はブラウザプログラムの解釈結果にしたがって「ユーザ端末ディスプレイ」にその視聴用Webページを表示する。また、それとともに「CPU」は視聴用Webページのデータに含まれるライブ映像表示プログラムを解釈し、その解釈結果に従って、演出制御サブシステムからのレスポンスとして「通信回路」にて受信した配信ライブ映像のストリーミングデータなどを視聴用Webページの映像表示枠内に再生表示する。
【0084】
また、視聴用Webページには配信ライブ映像に対するコメント入力を受付けるコメント入力欄が設けられており、「CPU」はコメント入力受付プログラムの解釈結果にしたがってそのコメント欄へのコメント入力待ち状態となる。そして「キーボード」を介して当該入力欄にコメントが入力され送信ボタンがクリックされると、「CPU」はコメント送信プログラムを解釈し、「通信回路」からネットワークを介してコメントを送信する処理を実行する。なお、そのコメントの送信先は、視聴用Webページや配信ライブ映像の送信元である演出制御サブシステムとして処理しても良いし、例えばコメント送信プログラムで指定などされる図示しない「コメント管理サーバ」などとしても良い。
【0085】
そして後述する「ディスプレイ」が、このユーザ端末の「ユーザ端末ディスプレイ」と同一に構成されているのであれば、自他のユーザ端末からのコメントを「通信回路」にて受信し、「CPU」の演算処理によってそのコメントを配信ライブ映像に重畳表示(コメント用レイヤーを重ねて表示)したり、視聴用Webページに設けられたコメントリスト内にリスト表示したりすると良い。
【0086】
そして、このようなコメントのディスプレイ表示処理とは別に、送信されたコメントは図7などで説明したように演出制御サブシステムにて受信され、演出装置に対する演出制御に利用される。そして、そのような演出がなされたステージ風景を含む配信ライブ映像が、上記「ユーザ端末ディスプレイ」にて再生表示される、という具合である。
【0087】
(ディスプレイ)
図9は、ディスプレイのハードウェア構成の一例を表す図である。この図にあるように、ディスプレイは、各種演算処理を実行するための「CPU」(0901)と「主メモリ」(0902)とを備えている。また各種データを保持する「フラッシュメモリ」(0903)や、コメント取得部である「外部映像入力回路」(0904)、コメント表示部である「映像出力回路」(0905)なども備えられている。
【0088】
ここでディスプレイは、例えばステージの置かれた会場内に設置されているのであれば、演出制御サブシステムにて受信され出力された前述のコメント表示のための画像データを「外部映像入力回路」にて取得し、その画像データを「映像出力回路」内のVRAMに展開する。あるいは、ユーザ端末から直接的に、あるいは図示しないコメント管理サーバを介して間接的にインターネットなどを介して送信されたコメントを図示しない「通信回路」にて受信し、そのコメントを元に表示用の画像データを生成して「映像出力回路」内のVRAMに展開しても良い。
【0089】
また、ディスプレイがユーザ端末ディスプレイと同一に構成されていれば、図示しないコメント管理サーバを介して間接的にインターネットなどを介して送信された自他のコメントを図示しない「通信回路」にて受信しても良いし、自身に入力されたコメントを内部的に取得しても良い。
【0090】
そして、その取得された画像データが図示しない表示パネルの所定の表示位置へ出力される、という具合である。
なお、このコメントの表示は受信した表示用画像データに従って、コメント文字列が移動表示される形態であっても良い。さらにディスプレイが複数のディスプレイを並べて構成されていれば、その複数のディスプレイ間をまたがってコメントが移動表示されても良い。そして例えばディスプレイがステージ上や観客席の側面や前面、背面など360度に配置されていれば、その360度ディスプレイ上にコメントを回遊表示することができる。
またコメント表示用の画像データの生成については、このディスプレイにて生成する構成としても良い。その場合、取得されたコメントが「主メモリ」に格納され、「CPU」はコメント表示プログラムの解釈結果にしたがって、「主メモリ」に格納されているコメントを、例えばコメントを移動表示させる場合には複数のコメントが重ならないようにするなどの処理を行いながら「映像出力回路」から図示しない表示パネルの所定の表示位置へ出力する、という具合である。
【0091】
そしてディスプレイがステージの置かれた会場内に設置されていれば、配信されるライブ映像に少なくともそのディスプレイの一部が映るように撮影することで、コメントをバーチャル視聴者に対して視聴可能に表示する。また、ディスプレイがユーザ端末ディスプレイと同一に構成されていれば、そのディスプレイに表示するために配信されているライブ映像に対して演出制御サブシステムのビデオスイッチャーがコメント画像データを別レイヤなどで重畳させて配信することで、あるいはユーザ端末側で同様に配信ライブ映像とコメント表示用の画像データを重畳して表示したり、表示枠近傍のコメントリストにコメントを表示したりすることで、コメントをバーチャル視聴者に対して視聴可能に表示することができる。
【0092】
<処理の流れ>
図10は、本実施例のステージ演出システムにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは、上記のような計算機の各ハードウェア構成によって実行されるステップであっても良いし、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。
【0093】
この図にあるように、まず、例えば図示しないユーザ端末からのライブ映像配信リクエストに応じて、演出制御サブシステムにてステージのライブ映像をユーザ端末に配信する(ステップS1001)。
【0094】
そしてユーザ端末にて、前記配信されたライブ映像を受信する(ステップS1011)と、受信したライブ映像を表示する(ステップS1012)。また、例えばそのライブ映像の表示に関連付ける形態でコメントの入力欄も表示しておき、その表示されたライブ映像に対するコメント入力を受付ける(ステップS1013)。そしてコメント入力が受付けられると、そのコメントを、演出制御サブシステムや図示しないコメント管理サーバなどに直ちに送信する(ステップS1014)。
【0095】
演出制御サブシステムでは、上記ユーザ端末から送信されたコメントを、例えばユーザ端末から直接、あるいは図示しないコメント管理サーバから間接的に受信する(ステップS1002)と、例えばコメントの内容(文字列)の解析処理や類義する内容のコメント数のカウント処理、あるいはその他演出制御のための各種処理を行い、受信したコメントと、保持されている演出制御ルールとに基づいてライブのステージの演出装置の制御を行う(ステップS1003)。そして配信終了まで、そのような演出装置の制御による演出が行われているステージのライブ映像がユーザ端末に配信され続ける。
【0096】
また、ディスプレイでは、ユーザ端末にて入力されたコメントを、演出制御サブシステムやユーザ端末、あるいは図示しないコメント管理サーバなどから取得し(ステップS1021)、取得したコメントをユーザ端末のユーザに対して視聴可能に表示する(ステップS1022)。
【0097】
<効果の簡単な説明>
以上のような構成を備える本実施例のステージ演出システムによって、ユーザ端末を利用したステージのバーチャル視聴者であっても、自身の書き込んだコメントの表示を含むステージの配信ライブ映像の視聴が可能となり、さらにそのコメントによってステージ上の演出装置を制御することが可能となる。したがって、ステージのリアル視聴者とは別の形でのステージへの参加感を得ることができる。
【0098】
<その他の構成>
さらに、本実施例のステージ演出システムは、ステージの演出装置としてステージを含む会場内に固定的に設置されているものを制御するだけではなく、リアル視聴者(ステージの実際の観覧者)に配布され、リアル視聴者が手に持ったり身に付けたりする携行型の演出器具を制御するよう構成しても良い。
【0099】
具体的には、演出制御サブシステムの演出制御部は、ステージの置かれた会場内の観覧者に配布される演出器具を演出装置として制御する「観覧者演出器具制御手段」を有していても良い。
【0100】
図11(a)は、この配布される演出器具の一例を表す外観図である。この図にあるように、配布される演出器具として、例えば一般的なコンサートなどで観覧者が手に持って利用するケミカルライトスティックを模した電子式のライトスティックが挙げられる。この電子式ライトスティックは、LEDや導光板、反射板など(1101)と、無線通信回路(1102)と、制御用マイコン(1103)が組み込まれており、演出制御サブシステムの演出制御部からコメントに応じて無線送信される制御命令によって、制御用マイコンの制御による各種パターンでのLEDの明滅が実行される。
具体的に、前述のように例えばコメントの文字列(内容)が「燃える」であれば、このケミカルライトスティックが赤色に明滅するよう制御されたり、あるいはコメントの表示色が「青色」に指定されていれば、それに合わせて青色明滅制御されたりする、という具合である。また、前述の課金済みフラグを含むコメントによってのみ当該制御が行われても良いし、コメント入力者のランクに応じてその明滅スピードなどが変わるよう制御されても良い。
【0101】
また図11(b)に示すように、その出力に際しては、例えば指向性の赤外線通信を利用して、例えばステージに向かって観客席「左側」の演出器具(1100L)と「右側」(1100R)の演出器具とで、コメントに応じて別々の制御命令L,Rを出力するなどの演出制御を行っても良い。
【0102】
またこの演出器具は光による演出のみならず、図示しない内蔵音源や音声デコーダ、スピーカなどで構成される音声出力機能を備え、内蔵音源や外部から受信した音声データを再生出力しても良い。
【0103】
このようにして、バーチャル視聴者の入力したコメントによってリアル視聴者が持つなどする演出器具の演出制御がなされるので、そのステージ演出を媒介としてバーチャル視聴者とリアル視聴者の一体感を醸成する効果も期待できる。
【0104】
≪実施例2≫
<概要>
本実施例は、上記実施例のうちディスプレイがステージの置かれた会場内に設置され演出制御部により制御される演出装置として機能するステージ演出システムを基本とし、図12に示すように、そのステージ上の側面や背面のディスプレイにバーチャル視聴者のIDアバター画像(分身画像:1201A〜D)を表示する演出を行うことを特徴とする。
【0105】
このようにして、実際にはステージの観覧席などには居ないバーチャル視聴者のIDアバター画像がステージ上のディスプレイに表示され、自身のコメントによって例えば踊ったりジャンプしたりするなどの演出制御されることで、バーチャル視聴者はさらにステージへの参加感を感じることができる。
【0106】
<機能的構成>
図13は、本実施例のステージ演出システムにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例のステージ演出システムは、「演出制御サブシステム」(1300)と、「ユーザ端末」(1310)と、「ディスプレイ」(1320)と、からなる。なお、ディスプレイの構成要件は上記実施例のものと基本的に相違しないので図示を省略する。
【0107】
そして上記実施例を基本とし、演出制御サブシステムは「演出装置(ディスプレイを含む)」(1301)と、「ライブ映像配信部」(1302)と、「ルール保持部」(1303)と、「コメント受信部」(1304)と、「演出制御部」(1305)と、を有するとともに、その演出制御部が「ステージディスプレイ制御手段」(1306)、を有する。また同様にユーザ端末は「ライブ映像受信部」(1311)と、「ライブ映像表示部」(1312)と、「コメント入力受付部」(1313)と、「コメント送信部」(1314)と、を有する。
【0108】
なおこれら構成要件については、上記実施例の同名の構成要件にて記載済みであるのでその説明は省略する。
【0109】
そして、本実施例の特徴点は、まずユーザ端末のコメント送信部が、「ID付コメント送信手段」(1315)を有する点と、つづいて演出制御サブシステムが「IDアバター表示部」(1307)を有するとともに、ルール保持部が「IDアバタールール保持手段」(1308)を有し、さらにステージディスプレイ制御手段が「IDアバター制御器」(1309)を有する点である。
【0110】
(ユーザ端末)
「ID付コメント送信手段」(1315)は、ユーザID又は/及び端末IDと関連付けてコメントを送信する機能を有し、CPUや主メモリ、ID付コメント送信プログラムなどによって実現することができる。
【0111】
具体的には、例えば本実施例のステージ演出システムによるサービスの利用開始時にユーザ登録を行わせ、その登録にてユーザIDをユーザが任意、あるいは自動生成などで設定する。そしてその後のサービス利用時にログイン情報としてユーザIDを取得し、その取得したユーザIDを送信するコメントに関連付ける、といった具合である。また端末IDであれば、同様にしてユーザが任意に設定した端末IDを利用しても良いし、例えば製造番号やMACアドレスのような装置を一意に識別するためユーザ端末自身が予め保持している端末IDを自動的に取得し、コメントに関連付ける構成としても良い。
【0112】
そして、このようにコメントにユーザID/端末IDが付されているため、コメントによるIDアバターの演出制御をバーチャル視聴者別に実行することができる。
【0113】
(演出制御サブシステム)
「IDアバター表示部」(1307)は、前記IDに基づきステージの設置された会場内のディスプレイにIDアバターを表示する機能を有し、例えばCPUや主メモリ、映像処理回路、IDアバター表示プログラムなどによって実現することができる。
【0114】
前記IDに基づくIDアバター表示とは、例えば演出制御サブシステムにてユーザID(あるいは端末ID)とそのユーザのIDアバター画像とを関連付けたIDアバターテーブルを保持しておく。そしてユーザがサービス利用のためログインした際に取得したIDをキーとしてIDアバターテーブルを検索し、特定されたIDアバターを表示する、という具合である。
【0115】
なお、「IDアバター」とは、ユーザのバーチャルな分身となる画像をいい、ユーザ本人が自身のIDアバターであることを認識可能であれば、その表示画像の内容は特に限定しない。基本的には、自身の顔写真を利用したり、予め設定された顔パーツや衣装パーツなどの三次元テクスチャ画像を組み合わせたりして生成されたキャラクター画像が挙げられるが、例えば自分の愛犬や好きな花の画像などをIDアバターとして設定しても良い。
そして、本実施例におけるIDアバターはユーザIDと紐付けられていることで、当該ユーザIDで識別されるユーザからのコメントに応じて制御されることを特徴とする。
【0116】
IDアバター演出制御ルール」(1308)は、前記IDアバターに対する演出制御を定めるIDアバター演出制御ルールを保持する機能を有し、例えばHDDやフラッシュメモリなどの各種記録装置によって実現することができる。
【0117】
なおIDアバター制御ルールは、IDでユーザや端末ごとに識別されるIDアバターのコメントによる演出制御を、そのコメントに関連付けられたIDによって区別して行う(すなわちバーチャル視聴者は自身のコメントで自身のIDアバターの演出を制御する)点と、演出制御の内容がIDアバターの表示制御(例えばIDアバターのアニメーション表示や色/大きさ変更表示など)である点を特徴とする。
【0118】
「IDアバター演出器」(1309)は、受信したコメント及びIDと、保持されているIDアバター演出制御ルールとに基づいてディスプレイに表示されたIDアバターの演出表示を行う機能を有し、例えばCPUや主メモリ、映像処理回路、IDアバター演出プログラムなどによって実現することができる。
【0119】
具体的に、例えばユーザαの入力した「拍手音」のコメントや「アンコール」のコメントに応じて、ユーザαのIDアバターの手が拍手するように動くアニメーション表示を行うよう制御したり、ユーザβの入力した「燃える」などのコメントに応じて、ユーザβのIDアバターの頭を上下に激しく動かすアニメーション表示を行うよう制御したり顔の頬領を赤色に変化させるよう制御したりする、という具合である。
【0120】
<処理の流れ>
図14は、本実施例のステージ演出システムにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは、上記のような計算機の各ハードウェア構成によって実行されるステップであっても良いし、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。
【0121】
この図にあるように、まず、例えば図示しないユーザ端末からのライブ映像配信リクエストに際して、例えばそのためのログイン処理などによって取得されたユーザIDや端末IDに応じて、そのユーザのIDアバター画像をステージ上などに設置されたディスプレイに表示する(ステップS1401)。そして、その後のライブ映像配信リクエストに応じて、演出制御サブシステムにてステージのライブ映像をユーザ端末に配信する(ステップS1402)。
【0122】
そしてユーザ端末にて、前記配信されたライブ映像を受信する(ステップS1411)と、受信したライブ映像を表示する(ステップS1412)。また、例えばそのライブ映像の表示に関連付ける形態でコメントの入力欄も表示しておき、その表示されたライブ映像に対するコメント入力を受付ける(ステップS1413)。そしてコメント入力が受付けられると、そのコメントを、演出制御サブシステムや図示しないコメント管理サーバなどに、ユーザIDや端末IDと関連付けて直ちに送信する(ステップS1414)。
【0123】
演出制御サブシステムでは、上記ユーザ端末から送信されたID付コメントを、例えばユーザ端末から直接、あるいは図示しないコメント管理サーバから間接的に受信する(ステップS1402)と、例えばコメントの内容(文字列)の解析処理や類義する内容のコメント数のカウント処理、あるいはその他演出制御のための各種処理を行い、受信したコメントと、保持されている演出制御ルールとに基づいて、そのコメントに付されたIDで識別されるIDアバターの表示制御を行う(ステップS1403)。
【0124】
また、ディスプレイでは、ユーザ端末にて入力されたコメントを、演出制御サブシステムやユーザ端末、あるいは図示しないコメント管理サーバなどから取得し(ステップS1421)、取得したコメントをユーザ端末のユーザに対して視聴可能に表示する(ステップS1422)。
【0125】
<効果の簡単な説明>
以上のような構成を備える本実施例のステージ演出システムによって、実際にはステージの観覧席などには居ないバーチャル視聴者のIDアバター画像がステージ上のディスプレイに表示され、自身のコメントによって例えば踊ったりジャンプしたりするなどの演出制御されることで、バーチャル視聴者はさらにステージへの参加感を感じることができる。
【0126】
≪実施例3≫
<概要>
本実施例は、上記実施例2と同様に、ステージに置かれたディスプレイ上のアバターを表示制御することでステージ演出を行う構成を備える。そして実施例2との相違点は、そのアバターの表示制御が、アバターとユーザIDで紐付けられたユーザからのコメントに基づくものではなく、不特定のユーザからのコメントに応じて行われる点である。したがって本実施例のステージ演出システムでは、一のユーザコメントなどに応じて多数のアバターの表示をまとめて制御するような演出、例えばウェーブ演出やボードを使った人文字演出などが容易に可能となる。
【0127】
<機能的構成>
図15は、本実施例のステージ演出システムにおける機能ブロックの一例を表す図である。この図にあるように、本実施例のステージ演出システムは、「演出制御サブシステム」(1500)と、「ユーザ端末」(1510)と、「ディスプレイ」(1520)と、からなる。なお、ユーザ端末およびディスプレイの構成要件は上記実施例のものと基本的に相違しないので図示を省略する。
【0128】
また演出制御サブシステムは「演出装置(ディスプレイを含む)」(1501)と、「ライブ映像配信部」(1502)と、「ルール保持部」(1503)と、「コメント受信部」(1504)と、「演出制御部」(1505)と、を有するとともに、その演出制御部が「ステージディスプレイ制御手段」(1506)を有するが、これら構成についても上記実施例で記載済みであるのでその説明は省略する。そして本実施例では、上記「ステージディスプレイ制御手段」が、さらに「アバター制御器」(1507)を有することを特徴とする。
【0129】
「アバター制御器」(1507)は、ステージに置かれたディスプレイに出力されるアバターのアクションを制御する機能を有し、例えばCPUや主メモリ、映像処理回路、アバター制御プログラムなどによって実現することができる。そして演出制御部およびステージディスプレイ演出制御手段は、前述のようにコメントと演出制御ルールを利用して、ステージディスプレイの演出を制御するものであり、このアバター制御器では、特にディスプレイに表示されたアバターのアクションを、例えばコメントと演出制御ルールに基づいて様々なアニメーション表示を行うことで制御する、という具合である。
【0130】
なお、ここでディスプレイに出力され制御されるアバターは、上記実施例2のIDアバターのように特にユーザIDによって特定のユーザと紐付けられている必要が無い(紐付けられていても良いが、基本的にアバターと紐付けられたユーザIDは利用されない)ことを特徴とする。なお、このアバターの画像もIDアバターと同様に特に限定されず、ユーザIDと紐付けられていないのであれば予め定められている、あるいはランダムに選択された画像がアバターとして利用されても良いし、またその画像も人型に限定されない。
【0131】
図16は、このアバター制御器によるステージディスプレイ上のアバターのアクション制御の一例を表す概念図である。この図16(a)にあるように、例えばランダムに選択された、あるいは前述のランクの一番高いユーザからの「ウェーーーブ!」というコメントに対応した演出制御ルールに基づいて、ステージディスプレイに横並びに表示されている複数のアバターについて右から順に立ち上がる→しゃがむというアニメーションを行うように制御し、スタジアム観客席などでのいわゆるウェーブを再現する演出を行う。
【0132】
また、図16(b)にあるように、ユーザからの複数のコメントのうち最もコメント数の多い例えば「8888888」というコメントに対応した演出制御ルールに基づいて、ステージディスプレイに表示された全アバターが一斉に拍手をしたり口笛を吹いたりするアニメーションを行うよう制御し(また前述のようにスピーカから拍手音や口笛音を出力し)、観客がステージを祝福し盛り上がりっているような演出を行う、という具合である。
【0133】
このように本実施例のステージ演出システムでは、コメントユーザIDに紐付けられたアバターがコメントごとに個別に制御されるのではなく、複数のコメントのうちのいずれかのコメントを利用して複数のアバターのアクションを一斉に制御することができるので、例えばウェーブ演出やボードを用いた人文字演出のような一体感のある演出を行うことが容易に可能となる。
【0134】
また、本実施例のステージ演出システムは、例えばステージのイベント進行などに応じて好適なタイミングでアバターのアクション制御による演出を行うことができるよう、ユーザからのコメントとは別途にアクション開始指示を受付けるように構成しても良い。具体的に、本実施例のステージ演出システムは、その演出制御部がさらに図示しない「アクション開始受付手段」を有していても良い。この「アクション開始受付手段」は、ステージに置かれたディスプレイに出力されるアバターにアクションを起こさせるための開始タイミング指示命令の入力を受付ける機能を有し、例えばCPUや主メモリ、入力デバイス、アクション開始受付プログラムなどで実現することができる。
【0135】
具体的には、例えば、ステージを一望できる位置に設置されている制御ルームのコンソールパネルに「アクション開始ボタン」が設けられている。そしてステージ上のマジックショーが終盤にさしかかった時点でユーザからコメント「88888」が大量に入力されるが、本実施例のステージ演出システムではこのタイミングでアバターのコメントに応じたアクション制御(拍手アニメーション表示など)は行わない。
【0136】
そして制御ルームにいる演出担当者が進行表を確認し、最後の山場のマジックが披露されたときに、コンソールパネルの「アクション開始ボタン」が押される。すると、そのタイミングで先に入力されていたコメント「88888」に応じてアバターの拍手アニメーション表示などのアクション制御が実行されショーのクライマックスを盛り上げる、という具合である。
【0137】
もちろん、アクション開始受付手段は上記のような実施例に限定されず、例えばコンピュータによって自動的に入力されるアクション開始命令の受付手段であっても良いし、視聴ユーザおよびコメント入力ユーザのユーザ端末上に設けられ、所定の一のユーザ(ランダムで選択されたユーザや前述のランクの高いユーザなど)から受付けたアクション開始操作によってアバターのアクション制御開始のタイミングが決定されても良い。また、コメントの表示とそのコメントによるアバターアクション演出は連動していたほうが演出効果は高いと想定されるので、ここで受付けられるアクション開始命令は、コメント表示開始命令を兼ねる命令であっても良い。
【0138】
<処理の流れ>
図17は、本実施例のステージ演出システムにおける処理の流れの一例を表すフローチャートである。なお、以下に示すステップは、上記のような計算機の各ハードウェア構成によって実行されるステップであっても良いし、媒体に記録され計算機を制御するためのプログラムを構成する処理ステップであっても構わない。
【0139】
この図にあるように、まずステージディスプレイにアバターを表示する(ステップS1701)。またユーザからのライブ映像配信リクエストに応じて、演出制御サブシステムにてステージのライブ映像をユーザ端末に配信する(ステップS1702)。そしてユーザ端末にて、前記配信されたライブ映像が受信(ステップS1711)、表示され(ステップS1712)、表示されたライブ映像に対するコメント入力が受付けられる(ステップS1713)。するとユーザ端末は、そのコメントを、演出制御サブシステムや図示しないコメント管理サーバなどに直ちに送信する(ステップS1714)。
【0140】
演出制御サブシステムでは、上記送信されたコメントをユーザ端末から直接、あるいはコメント管理サーバから間接的に受信する(ステップS1703)と、例えばコメントの内容(文字列)の解析処理や類義する内容のコメント数のカウント処理、あるいはその他演出制御のための各種処理を行い、受信したコメントと、保持されている演出制御ルールとに基づいてディスプレイに表示されているアバターのアクションを制御する(ステップS1704)。
【0141】
<効果の簡単な説明>
以上のような構成を備える本実施例のステージ演出システムによって、ユーザからのコメントを利用して、例えば複数のアバターのアクションを一斉に制御することができる。したがってウェーブ演出やボードを用いた人文字演出のような一体感のあるステージ演出を行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0142】
0200 演出制御サブシステム
0201 演出装置
0202 ライブ映像配信部
0203 ルール保持部
0204 コメント受信部
0205 演出制御部
0210 ユーザ端末
0211 ライブ映像受信部
0212 ライブ映像表示部
0213 コメント入力受付部
0214 コメント送信部
0220 ディスプレイ
0221 コメント取得部
0222 コメント表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージの演出制御を行う演出制御サブシステムと、演出制御サブシステムとネットワークを介して接続されたユーザ端末と、ユーザ端末にて入力されたコメントを表示するディスプレイと、からなるステージ演出システムであって、
演出制御サブシステムは、
ステージを演出するための演出装置と、
ステージのライブ映像をユーザ端末に配信するライブ映像配信部と、
コメントに基づく演出制御を定める演出制御ルールを保持するルール保持部と、
ユーザ端末から送信されたコメントを受信するコメント受信部と、
受信したコメントと、保持されている演出制御ルールとに基づいてライブのステージの演出装置の制御を行う演出制御部と、を有し、
ユーザ端末は、
配信されたライブ映像を受信するライブ映像受信部と、
受信したライブ映像を表示するライブ映像表示部と、
表示されたライブ映像に対するコメント入力を受付けるコメント入力受付部と、
受付けたコメントを直ちに送信するコメント送信部と、を有し、
ディスプレイは、
ユーザ端末にて入力されたコメントを取得するコメント取得部と、
取得したコメントをユーザ端末のユーザに対して視聴可能に表示するコメント表示部と、を有するステージ演出システム。
【請求項2】
前記ディスプレイは、ステージの置かれた会場内に設置されている請求項1に記載のステージ演出システム。
【請求項3】
前記演出制御サブシステムの演出制御部は、演出装置として前記ステージの置かれた会場内のディスプレイを制御するステージディスプレイ制御手段を有する請求項2に記載のステージ演出システム。
【請求項4】
前記ステージディスプレイ制御手段は、ステージに置かれたディスプレイに出力されるアバターのアクションを制御するアバター制御器を有する請求項3に記載のステージ演出システム。
【請求項5】
前記演出制御部は、ステージに置かれたディスプレイに出力されるアバターにアクションを起こさせるアクション開始受付手段をさらに有する請求項4に記載のステージ演出システム。
【請求項6】
前記ユーザ端末のコメント送信部は、ユーザID又は/及び端末IDと関連付けてコメントを送信するID付コメント送信手段を有し、
前記演出制御サブシステムは、
前記IDに基づきステージの設置された会場内のディスプレイにIDアバターを表示するIDアバター表示部を有するとともに、
前記ルール保持部は、前記IDアバターに対する演出制御を定めるIDアバター演出制御ルールを保持するIDアバタールール保持手段を有し、
前記ステージディスプレイ制御手段は、受信したコメント及びIDと、保持されているIDアバター演出制御ルールとに基づいてディスプレイに表示されたIDアバターの演出表示を行うIDアバター演出器を有する請求項3に記載のステージ演出システム。
【請求項7】
前記演出制御サブシステムの演出制御部は、ステージの置かれた会場内の観覧者に配布される演出器具を演出装置として制御する観覧者演出器具制御手段を有する請求項1から6のいずれか一に記載のステージ演出システム。
【請求項8】
ステージの演出制御を行うとともに、ネットワークを介してユーザ端末と接続された演出制御サブシステムであって、
ステージを演出するための演出装置と、
ステージのライブ映像をユーザ端末に配信する映像配信部と、
ユーザ端末にて入力されるコメントに基づく演出制御を定める演出制御ルールを保持するルール保持部と、
配信したライブ映像に応じてユーザ端末にて入力が受付けられ直ちに送信されたコメントを受信するコメント受信部と、
受信したコメントと、保持されている演出制御ルールとに基づいてライブのステージの演出装置の制御を行う演出制御部と、
受信したコメントをユーザ端末のユーザに対して視聴可能にディスプレイに表示するために出力するコメント出力表示部と、を有する演出制御サブシステム。
【請求項9】
ステージの演出制御を行う演出制御サブシステムと、演出制御サブシステムとネットワークを介して接続されたユーザ端末と、ユーザ端末にて入力されたコメントを表示するディスプレイと、からなるステージ演出システムの動作方法であって、
ステージを演出するための演出装置と、コメントに基づく演出制御を定める演出制御ルールを保持するルール保持部とを含む演出制御サブシステムにて、
ステージのライブ映像をユーザ端末に配信するライブ映像配信ステップと、
ユーザ端末から送信されたコメントを受信するコメント受信ステップと、
受信したコメントと、保持されている演出制御ルールとに基づいてライブのステージの演出装置の制御を行う演出制御ステップと、を計算機に実行させ、
ユーザ端末にて、
配信されたライブ映像を受信するライブ映像受信ステップと、
受信したライブ映像を表示するライブ映像表示ステップと、
表示されたライブ映像に対するコメント入力を受付けるコメント入力受付ステップと、
受付けたコメントを直ちに送信するコメント送信ステップと、を計算機に実行させ、
ディスプレイにて、
ユーザ端末にて入力されたコメントを取得するコメント取得ステップと、
取得したコメントをユーザ端末のユーザに対して視聴可能に表示するコメント表示ステップと、を計算機に実行させるステージ演出システムの動作方法。
【請求項10】
ネットワークを介してユーザ端末と接続されるとともに、ステージを演出するための演出装置と、ユーザ端末にて入力されるコメントに基づく演出制御を定める演出制御ルールを保持するルール保持部とを有する演出制御サブシステムの動作方法であって、
ステージのライブ映像をユーザ端末に配信する映像配信ステップと、
配信したライブ映像に応じてユーザ端末にて入力が受付けられ直ちに送信されたコメントを受信するコメント受信ステップと、
受信したコメントと、保持されている演出制御ルールとに基づいてライブのステージの演出装置の制御を行う演出制御ステップと、
受信したコメントをユーザ端末のユーザに対して視聴可能にディスプレイに表示するために出力するコメント出力表示ステップと、を計算機に実行させる演出制御サブシステムの動作方法。
【請求項11】
ステージの演出制御を行う演出制御サブシステムと、演出制御サブシステムとネットワークを介して接続されたユーザ端末と、ユーザ端末にて入力されたコメントを表示するディスプレイと、からなるステージ演出システムを動作させるプログラムであって、
ステージを演出するための演出装置と、コメントに基づく演出制御を定める演出制御ルールを保持するルール保持部とを含む演出制御サブシステムにて、
ステージのライブ映像をユーザ端末に配信するライブ映像配信ステップと、
ユーザ端末から送信されたコメントを受信するコメント受信ステップと、
受信したコメントと、保持されている演出制御ルールとに基づいてライブのステージの演出装置の制御を行う演出制御ステップと、を計算機に実行させ、
ユーザ端末にて、
配信されたライブ映像を受信するライブ映像受信ステップと、
受信したライブ映像を表示するライブ映像表示ステップと、
表示されたライブ映像に対するコメント入力を受付けるコメント入力受付ステップと、
受付けたコメントを直ちに送信するコメント送信ステップと、を計算機に実行させ、
ディスプレイにて、
ユーザ端末にて入力されたコメントを取得するコメント取得ステップと、
取得したコメントをユーザ端末のユーザに対して視聴可能に表示するコメント表示ステップと、を計算機に実行させるプログラム。
【請求項12】
ネットワークを介してユーザ端末と接続されるとともに、ステージを演出するための演出装置と、ユーザ端末にて入力されるコメントに基づく演出制御を定める演出制御ルールを保持するルール保持部とを有する演出制御サブシステムを動作させるプログラムであって、
ステージのライブ映像をユーザ端末に配信する映像配信ステップと、
配信したライブ映像に応じてユーザ端末にて入力が受付けられ直ちに送信されたコメントを受信するコメント受信ステップと、
受信したコメントと、保持されている演出制御ルールとに基づいてライブのステージの演出装置の制御を行う演出制御ステップと、
受信したコメントをユーザ端末のユーザに対して視聴可能にディスプレイに表示するために出力するコメント出力表示ステップと、を計算機に実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−37670(P2013−37670A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88760(P2012−88760)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【出願人】(598138327)株式会社ドワンゴ (97)
【Fターム(参考)】