ステータコア及びこれを備えたスピンドルモータ
【課題】ステータコア及びこれを備えたスピンドルモータに関する。
【解決手段】ステータコア200は、設置孔212が設けられたコアパック210と、コアパック210から半径方向に延設される複数のティース220と、複数のティース220のそれぞれから円周方向に延設され、コギングトルクの低減のための貫通孔240が設けられた延長部230とを含む。
【解決手段】ステータコア200は、設置孔212が設けられたコアパック210と、コアパック210から半径方向に延設される複数のティース220と、複数のティース220のそれぞれから円周方向に延設され、コギングトルクの低減のための貫通孔240が設けられた延長部230とを含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータコア及びこれを備えたスピンドルモータに関し、より詳細には、コイルが巻線されるステータコア及びこれを備えたスピンドルモータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、記録ディスク駆動装置(Hard disk drive,HDD)に使用される小型のスピンドルモータは、ロータとステータで構成されることができる。
【0003】
ロータは、ステータに支持されて回転する回転部材を意味し、マグネットが設けられたロータハブを含んで構成されることができる。
【0004】
ステータは、マグネットに対向するように配置されステータコアを含んで構成されることができ、ロータを回転可能に支持する固定部材を意味する。
【0005】
また、ステータに含まれるステータコアには、外部から電源が供給されるコイルが巻線される。
【0006】
そして、ロータハブは、マグネットと、コイルが巻線されたステータコアとの電磁気的相互作用により回転することができる。即ち、コイルに電源が供給されると、ステータコアとマグネットの電磁気的相互作用によりロータハブが回転する。
【0007】
また、図1に示されたように、ステータコア10は、環状のコアパック12と、コアパック12から延設されるティース14とを備え、ティース14の末端部には、マグネット20との対向面積を増やすように半径方向に延設される延長部16が形成されることができる。
【0008】
ステータコア10の延長部16は所定の間隔離隔して配置され、これにより延長部16の間には開放された領域aが形成される。
【0009】
ところが、ロータハブに設けられるマグネット20がロータハブと共に回転する場合には、延長部16と、延長部16の間に形成された開放領域aにより磁束分布の大きさが変化し、磁束変化量によりコギングトルク(cogging torque)が発生する。
【0010】
これによって、ロータハブの回転時に振動と騒音が発生するという問題がある。
【0011】
一方、このような振動と騒音の原因となるコギングトルクを低減させるために、図2に示されたように、延長部16の先端に溝16aを形成する技術が開発された。しかし、この場合、延長部16の先端とマグネット20の内部面との隙間gが一定ではなく、ロータハブの回転時に不規則な空気流動が発生する。
【0012】
これによって、風切り音などのような騒音が追加的に発生するという他の問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、コギングトルクを低減できるステータコア及びこれを備えたスピンドルモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施例によるステータコアは、設置孔が設けられたコアパックと、上記コアパックから半径方向に延設される複数のティースと、上記複数のティースのそれぞれから円周方向に延設され、コギングトルクの低減のための貫通孔が設けられた延長部とを含む。
【0015】
上記貫通孔は、コギングトルクの低減のために上記延長部の上面から底面に向かって設けられることができる。
【0016】
上記貫通孔は、縦断面が円形であり、上記貫通孔の直径と上記延長部との間隔は0.5〜1:1の比率を有することができる。
【0017】
本発明の一実施例によるスピンドルモータは、マグネットが内部面に装着されるロータハブを備える回転部と、上記回転部を回転可能に支持し、上記マグネットが対向して配置されるステータコアを備える固定部とを含み、上記ステータコアは、設置孔が設けられたコアパックと、上記コアパックから半径方向に延設される複数のティースと、上記複数のティースのそれぞれから円周方向に延設され、コギングトルクの低減のための貫通孔が設けられた延長部と、を含む。
【0018】
上記固定部は、上記ステータコアが設けられたスリーブハウジングを有するベース部材と、上記スリーブハウジングに固設されるスリーブとをさらに備え、上記ステータコアは、上記延長部の先端が上記マグネットに対向して配置されるように上記スリーブハウジングの外周面に固設されることができる。
【0019】
上記回転部は、上記スリーブに回転可能に設けられ、上端部に上記ロータハブが装着され上記ロータハブと連動して回転するシャフトをさらに備え、上記貫通孔は、上記シャフトと平行に形成されることができる。
【0020】
上記貫通孔は、上記ティースから延長される延長線上に配置され、上記延長部の内部に形成されることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、延長部に形成される貫通孔を介してコギングトルクを低減させる効果がある。
【0022】
また、貫通孔が延長部の内側に配置されるように設けられ、マグネットの回転時に発生する不規則な空気流動による騒音を減少させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来技術によるステータコアを示す平面図である。
【図2】従来技術によるステータコアを示す平面図である。
【図3】本発明の一実施例によるスピンドルモータを示す概略断面図である。
【図4】本発明の一実施例によるステータコアを示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施例によるステータコアとマグネットを示す平面図である。
【図6】本発明の一実施例によるステータコアと従来技術によるステータコアのコギングトルクを比較したグラフである。
【図7】本発明の一実施例によるステータコアと従来技術によるステータコアのトルク定数を比較したグラフである。
【図8】ステータコアに設けられた貫通孔の直径とステータコアの延長部との間隔の比率によってコギングトルクの変化を説明するためのグラフである。
【図9】本発明の他の実施例によるスピンドルモータを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では図面を参照し本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。但し、本発明の思想は提示される実施例に制限されず、本発明の思想を理解する当業者は同一の思想の範囲内で他の構成要素を追加、変更、削除等を通じて退歩的な他の発明や本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施例を容易に提案することができ、これも本願発明の思想の範囲内に含まれる。
【0025】
本発明を説明するに当たって、関連する公知機能または構成についての具体的な説明が本発明の旨を不明確にする恐れあると判断される場合はその詳細な説明を省略する。
【0026】
図3は、本発明の一実施例によるスピンドルモータを示す概略断面図である。
【0027】
図3を参照すると、本発明の一実施例によるスピンドルモータ100は、一例として、固定部120と回転部160を含んで構成されることができる。
【0028】
固定部120は回転部160を回転可能に支持する。一方、固定部120はベース部材130、スリーブ140、キャップ部材150及びステータコア200を含んで構成されることができる。
【0029】
先ず、ベース部材130は、スリーブ140が挿設されるスリーブハウジング132を備えることができる。そして、スリーブハウジング132は、スリーブ140が挿設されるように設置孔132aを形成する。
【0030】
即ち、スリーブ140はスリーブハウジング132に固設されることができる。
【0031】
一方、スリーブハウジング132の外周面には、ステータコア200を挿入固定できるように段差部132bが備えられることができる。
即ち、ステータコア200は、スリーブハウジング132の外周面に形成された段差部132bに装着された状態で、スリーブハウジング132に固設されることができる。
【0032】
さらに、ベース部材130には磁気吸引板113が設けられ、回転部140の過浮上を防止することができる。
【0033】
スリーブ140は、上記したように、スリーブハウジング132に固設されることができる。そして、スリーブ140は、中央に貫通孔142が形成されシャフト170が回転可能に支持されている。
【0034】
前記スリーブ140の底面には潤滑流体の漏れを防止するためにカバー部材114が設けられることができる。
【0035】
また、スリーブ140の上端部には、キャップ部材150を取り付けることができるように外壁部146が備えられことができる。
そして、キャップ部材150の外周面が外壁部146の内周面に接触するよう、キャップ部材150がスリーブ140に固設されることができる。
【0036】
一方、キャップ部材150は、回転部160と共に、潤滑流体と空気との界面を形成させる役割を果たす。これに対する詳細な説明は後述する。
【0037】
回転部160は、マグネット116が内部面に装着されるロータハブ190を備えることができる。一方、回転部160は、シャフト170、スラストプレート180及びロータハブ190を含んで構成されることができる。
【0038】
ここで、方向に対する用語を定義すると、軸方向は、図1において上下方向、即ち、シャフト170の上部側から下部側に向かう方向、または、シャフト170の下部側から上部側に向かう方向を意味する。また、半径方向は、ロータケース190の外周面からシャフト170に向かう方向を意味し、円周方向は、ロータハブ190の外周面に沿って回転する方向を意味する。
【0039】
先ず、シャフト170はスリーブ140に回転可能に構成されている。
即ち、シャフト170はスリーブ140の貫通孔142に挿設され、このとき、シャフト170の外周面とスリーブ140の内周面は、所定の間隔離隔して配置されて軸受隙間を形成する。
【0040】
また、この軸受隙間には、シャフト170の回転時に流体動圧を発生させるように、潤滑流体が充填されることができる。
【0041】
シャフト170の外周面とスリーブ140の内周面のうち少なくとも一方には、シャフト170の回転時に潤滑流体をポンピングして流体動圧を発生させる動圧グルーブ(図示せず)が形成されることができる。
【0042】
即ち、シャフト170の回転時、動圧グルーブによってシャフト170を支持する流体動圧が発生することによりシャフト170をより安定して回転させることができる。
【0043】
前記軸受隙間はスリーブ140とカバー部材114によっても形成され、スリーブ140とカバー部材114により形成された軸受隙間にも潤滑流体が充填される。
【0044】
また、シャフト170がスリーブ140に設けられる場合、シャフト170の底面はカバー部材114の上面に接触するようになる。その後、シャフト170が回転すると、潤滑流体がスリーブ140とカバー部材114との間に流入され、シャフト170を所定の高さに浮上させる。
【0045】
スラストプレート180はシャフト170に固設され、シャフト170の回転時にシャフト170と共に回転する。そして、スラストプレート180はスリーブ140の上面に対向するように設けられることができる。
【0046】
一方、スラストプレート180の底面及びスリーブ140の上面部においても軸受隙間が形成されており、この軸受隙間にも潤滑流体が充填されている。そして、スラストプレート180の底面とスリーブ140の上面のうち少なくとも一方には、充填された潤滑流体を媒介として動圧を発生させるためのスラスト動圧グルーブ(図示せず)が形成されることができる。
【0047】
即ち、シャフト170と連動してスラストプレート180が回転する場合、上記スラスト動圧グルーブによって、軸方向上部側に向かうスラスト流体動圧が発生し得る。
【0048】
これによって、シャフト170がより容易に浮上するようになる。
【0049】
一方、キャップ部材150の底面とスラストプレート180の上面により、潤滑流体と空気との界面を形成している。このために、キャップ部材150の底面末端部には傾斜面が形成されることができる。
【0050】
即ち、上記軸受隙間に充填された潤滑流体は、毛細管現象によって、キャップ部材150の底面とスラストプレート180の上面によって形成されるシーリング部で空気との界面を形成する。
【0051】
ロータハブ190は、シャフト170の上端部に固定結合され、シャフト170と共に回転する。
【0052】
ロータハブ190は、シャフト170が貫通される装着孔192aが設けられた円盤状のボディ192と、ボディ192の縁から軸方向下部側に延設されるマグネット設置部194を備えることができる。
【0053】
また、マグネット設置部194の内周面にはマグネット116が設けられている。
即ち、マグネット116はステータコア200の先端に対向して配置されるようにマグネット設置部194の内周面に固設される。
【0054】
なお、マグネット116は環状であってもよく、円周方向に沿ってN極、S極が交互に着磁され一定強度の磁力を発生させる永久磁石であってよい。即ち、マグネット116はロータハブ190を回転駆動させるための駆動力を発生させる役割を果たす。
【0055】
即ち、ステータコア200に巻線されたコイル110に電源が供給されると、コイル110が巻線されたステータコア200とマグネット116との電磁気的相互作用によりロータハブ190を回転駆動させる力が発生する。これによって、ロータハブ190が回転駆動される。
【0056】
以上の構成により、ロータハブ190の回転によって、シャフト170と、シャフト170に設けられるスラストプレート180ともロータハブ190と共に回転するようになる。
【0057】
このようにロータハブ190が回転すると、軸受隙間に充填された潤滑流体が動圧グルーブ(図示せず)とスラスト動圧グルーブ(図示せず)によりポンピングされる。これにより、流体動圧が発生しシャフト170が回転支持されながら回転部160が所定の高さに浮上するようになる。
【0058】
一方、上記したように、ベース部材110には磁気吸引板113が設けられ、磁気吸引板113はロータハブ190に設けられるマグネット116の下部に配置され、回転部160が過浮上することを防止する役割を果たす。
【0059】
これによって、回転部160は一定の高さに浮上した状態で回転できるようになる。
【0060】
ステータコア200は貫通孔240を備え、スリーブハウジング132の外周面に固設される。即ち、ステータコア200はマグネット116に対向するように配置され、マグネット116との電磁気的相互作用によりロータハブ190が回転する駆動力を発生させる役割を果たす。
【0061】
以下、図面を参照し、ステータコア200についてより詳しく説明する。
【0062】
図4は、本発明の一実施例によるステータコアを示す斜視図であり、図5は、本発明の一実施例によるステータコアとマグネットを示す平面図である。
【0063】
図3から図5を参照すると、本発明の一実施例によるステータコア200は、コアバック210、ティース220、延長部230で構成される。
【0064】
コアパック210は、スリーブハウジング132へ挿入固定する為の設置孔212を形成する環状を有することができる。即ち、コアバック210は円形の環状を有し、スリーブハウジング132の外周面へ固設することができる。
【0065】
ティース220はコアバック210から半径方向に延設され、複数であることができる。即ち、ティース220は、円周方向に沿って複数が互いに離隔するよう半径方向に延設されることができる。
【0066】
また、延長部230は、複数のティース220のそれぞれから円周方向に延設され、延長部230にはコギングトルク(cogging torque)を低減させるための貫通孔240が設けられることができる。
【0067】
さらに、延長部230は、隣接して配置される他の延長部230と所定の間隔離隔して配置される。即ち、延長部230も所定の間隔離隔するように複数のティース220のそれぞれから延設されることができる。
【0068】
即ち、複数のティース220のそれぞれから延設される延長部230のそれぞれも、円周方向に所定の間隔aで離隔して配置される。
【0069】
前記延長部230の先端に対向するように配置されるマグネット116は、ロータハブ190の回転時ロータハブ190と共に回転する。このようにロータハブ190が回転すると、延長部230に対するマグネット116の磁束分布の大きさと向きが変化し、これによって、延長部230の先端と複数の延長部230との間の空間での磁束変化量によってコギングトルクが発生する。
【0070】
しかし、本発明の一実施例によるステータコア200の延長部230には貫通孔240が形成されているため、コギングトルクを低減させることができる。
【0071】
前記貫通孔240は、コギングトルクの低減のために延長部230の上面から底面に向かって設けられることができる。即ち、貫通孔240はシャフト170と平行になるよう軸方向に形成されることができる。
【0072】
一例として、貫通孔240は縦断面が円筒形であり、貫通孔240の直径dと延長部230との間隔aは0.5〜1:1の比率を有することができる。
【0073】
これに対する詳細な事項は後述する。
【0074】
また、貫通孔240は、ティース220から延長される延長線上に配置され、延長部230の内部で形成されている。即ち、貫通孔240は延長部230の内部に配置されるように設けられており、マグネット116の内周面と延長部230の先端によって形成されるギャップを一定に保持する。
【0075】
これにより、ロータハブ190の回転時に発生する不規則な空気流動により発生する騒音を低減することができる。即ち、ロータハブ190の回転時に発生する不規則な空気流動により発生する風切り音の低減が可能となる。
【0076】
以下、図面を参照し、本発明の一実施例によるステータコアの効果について説明する。
【0077】
図6は、本発明の一実施例によるステータコアと従来技術によるステータコアのコギングトルクとを比較したグラフであり、図7は、本発明の一実施例によるステータコアと従来技術によるステータコアのトルク定数とを比較したグラフであり、図8は、ステータコアに設けられる貫通孔の直径とステータコアの延長部との間隔の比率によってコギングトルクを説明するためのグラフである。
【0078】
先ず、図6を参照し、本発明の一実施例によるステータコアの効果について説明する。
【0079】
図6の縦軸は、コギングトルクの大きさを示す。
【0080】
なお、横軸のXは、従来のステータコア、即ち、コギングトルクの低減のための構成を有していないステータコア(図1を参照)を示す。また、横軸のYは、従来のステータコア、即ち、コギングトルクの低減のためにステータコアの先端部に溝が形成されたステータコア(図2を参照)を示す。さらに、横軸のZは、本発明の一実施例によるステータコアを示す。
【0081】
図6に示されたように、従来のステータコアであるX、Yと比較して、本発明の一実施例によるステータコアであるZのコギングトルクが低減することが分かる。
【0082】
一方、図7の縦軸は、トルク定数、即ち、回転駆動力の大きさを示すトルク定数を示す。
【0083】
また、図7の横軸は、上述の図6における横軸のX、Y、Zと同様である。
【0084】
図7に示されたように、本発明の一実施例によるステータコアであるZは、従来のステータコアであるYに比べてトルク定数が大きいことが分かる。即ち、より大きい回転駆動力を発生できることが分かる。
【0085】
そして、本発明の一実施例によるステータコアであるZは、従来のステータコアであるXに比べてトルク定数が低いが、Yとの比較では、Xに類似したトルク定数を有することが分かる。
【0086】
図6と図7を参照すると、本発明の一実施例によるステータコアであるZは、コギングトルクを低減すると共に、回転駆動力の低減を抑制し得ることが分かる。
【0087】
また、図8を参照すると、縦軸はコギングトルクを示し、横軸は貫通孔の直径dとステータコアの延長部との間隔aの比率を示す。
【0088】
図8に示されたように、貫通孔の直径とステータコアの延長部との間隔の比率d/aが0.5〜1の場合にコギングトルクが急激に減少することが分かる。
【0089】
また、貫通孔の直径とステータコアの延長部との間隔の比率d/aが0.75である部分でコギングトルクがより顕著に減少し得ることが分かる。
【0090】
従って、貫通孔の直径とステータコアの延長部との間隔の比率d/aが0.75の場合に、トルク定数(即ち、回転駆動力)の減少を抑制しながら、コギングトルクの減少率を最大にすることができる。
【0091】
以上のように延長部230に貫通孔240を設けることにより、マグネット116の回転時に発生するコギングトルクを低減させることができる。
【0092】
また、延長部230の内部に貫通孔240を設けることで、マグネット116の内周面と延長部230の先端によって形成されるギャップ(gap)が一定に保持され、不規則な空気流動により発生する騒音を減少できるようになる。
【0093】
さらに、貫通孔240の直径と延長部230との間隔の比率d/aが0.5〜1の比率を有することで、コギングトルクをさらに低減することができる。
【0094】
以下、図面を参照し、本発明の他の実施例によるスピンドルモータについて説明する。
【0095】
図9は、本発明の他の実施例によるスピンドルモータを示す概略断面図である。
【0096】
図9を参照すると、本発明の他の実施例によるスピンドルモータ300は、一例として、固定部320と回転部360を含んで構成されることができる。
【0097】
固定部320は、回転部360を回転可能に支持する。固定部320はベース部材330、スリーブ340及びステータコア200を含んで構成されることができる。
【0098】
回転部360は、マグネット316が内部面に装着されたロータハブ390を備えている。前記回転部360は、シャフト370、ロータハブ390を含んで構成されている。
【0099】
一方、本発明の他の実施例によるベース部材330、ステータコア200、シャフト370は、上述の本発明の一実施例によるベース部材130、ステータコア200、シャフト170と同じ構成要素に該当するため、詳細な説明は省略する。
【0100】
スリーブ340は、スリーブハウジング332に固設されることができる。
また、スリーブ340は中央に貫通孔342が設けられており、中空の円筒形状を有している。
【0101】
前記スリーブ340の底面には潤滑流体の漏れを防止するためのカバー部材314が設けられることができる。
【0102】
また、ロータハブ390は、シャフト370の上端部に結合され、シャフト370と共に回転する。
【0103】
ロータハブ290の底面とスリーブ340の上面が所定の間隔離隔して軸受隙間を形成するよう、ロータハブ290はシャフト370に結合されることができる。
この軸受隙間には潤滑流体が充填される。
【0104】
前記ロータハブ290の底面とスリーブ340の上面のうち少なくとも一方にはスラスト流体動圧を発生させるためのスラスト動圧グルーブ(図示せず)が形成されてもよい。
【0105】
そして、ロータハブ390は、シャフト370が貫通できるように装着孔392aが設けられた円盤状のボディ392と、ボディ392の縁から軸方向下部側に延設されるマグネット設置部394を備えることができる。
【0106】
マグネット設置部394の内周面にはマグネット316が設けられている。即ち、マグネット316はステータコア200の先端に対向して配置されるように、マグネット設置部394の内周面に固設される。
【0107】
さらに、ロータハブ390はスリーブ340の外周面から半径方向外側に配置されるように延設される延長壁部392bを備えることができる。即ち、延長壁部392bは、スリーブ340の外周面と共に、潤滑流体と空気との界面を形成させる役割を果たす。
【0108】
ロータハブ390に備えられた残りの構成は、上述の本発明の一実施例によるスピンドルモータ100のロータハブ190に備えられた構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0109】
また、ステータコア200も上述の本発明の一実施例によるスピンドルモータ100に備えられたステータコア200と同じ構成に該当するため、詳細な説明は省略する。
【0110】
即ち、上述の本発明の一実施例によるスピンドルモータ100によって具現される効果と同一の効果を、本発明の他の実施例によるスピンドルモータ300からも具現することが可能である。
【符号の説明】
【0111】
100、300:スピンドルモータ
120、320:固定部
130、330:ベース部材
140、340:スリーブ
150:キャップ部材
160、360:回転部
170、370:シャフト
180:スラストプレート
190、390:ロータハブ
200:ステータコア
210:コアパック
220:ティース
230:延長部
240:貫通孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータコア及びこれを備えたスピンドルモータに関し、より詳細には、コイルが巻線されるステータコア及びこれを備えたスピンドルモータに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、記録ディスク駆動装置(Hard disk drive,HDD)に使用される小型のスピンドルモータは、ロータとステータで構成されることができる。
【0003】
ロータは、ステータに支持されて回転する回転部材を意味し、マグネットが設けられたロータハブを含んで構成されることができる。
【0004】
ステータは、マグネットに対向するように配置されステータコアを含んで構成されることができ、ロータを回転可能に支持する固定部材を意味する。
【0005】
また、ステータに含まれるステータコアには、外部から電源が供給されるコイルが巻線される。
【0006】
そして、ロータハブは、マグネットと、コイルが巻線されたステータコアとの電磁気的相互作用により回転することができる。即ち、コイルに電源が供給されると、ステータコアとマグネットの電磁気的相互作用によりロータハブが回転する。
【0007】
また、図1に示されたように、ステータコア10は、環状のコアパック12と、コアパック12から延設されるティース14とを備え、ティース14の末端部には、マグネット20との対向面積を増やすように半径方向に延設される延長部16が形成されることができる。
【0008】
ステータコア10の延長部16は所定の間隔離隔して配置され、これにより延長部16の間には開放された領域aが形成される。
【0009】
ところが、ロータハブに設けられるマグネット20がロータハブと共に回転する場合には、延長部16と、延長部16の間に形成された開放領域aにより磁束分布の大きさが変化し、磁束変化量によりコギングトルク(cogging torque)が発生する。
【0010】
これによって、ロータハブの回転時に振動と騒音が発生するという問題がある。
【0011】
一方、このような振動と騒音の原因となるコギングトルクを低減させるために、図2に示されたように、延長部16の先端に溝16aを形成する技術が開発された。しかし、この場合、延長部16の先端とマグネット20の内部面との隙間gが一定ではなく、ロータハブの回転時に不規則な空気流動が発生する。
【0012】
これによって、風切り音などのような騒音が追加的に発生するという他の問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、コギングトルクを低減できるステータコア及びこれを備えたスピンドルモータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施例によるステータコアは、設置孔が設けられたコアパックと、上記コアパックから半径方向に延設される複数のティースと、上記複数のティースのそれぞれから円周方向に延設され、コギングトルクの低減のための貫通孔が設けられた延長部とを含む。
【0015】
上記貫通孔は、コギングトルクの低減のために上記延長部の上面から底面に向かって設けられることができる。
【0016】
上記貫通孔は、縦断面が円形であり、上記貫通孔の直径と上記延長部との間隔は0.5〜1:1の比率を有することができる。
【0017】
本発明の一実施例によるスピンドルモータは、マグネットが内部面に装着されるロータハブを備える回転部と、上記回転部を回転可能に支持し、上記マグネットが対向して配置されるステータコアを備える固定部とを含み、上記ステータコアは、設置孔が設けられたコアパックと、上記コアパックから半径方向に延設される複数のティースと、上記複数のティースのそれぞれから円周方向に延設され、コギングトルクの低減のための貫通孔が設けられた延長部と、を含む。
【0018】
上記固定部は、上記ステータコアが設けられたスリーブハウジングを有するベース部材と、上記スリーブハウジングに固設されるスリーブとをさらに備え、上記ステータコアは、上記延長部の先端が上記マグネットに対向して配置されるように上記スリーブハウジングの外周面に固設されることができる。
【0019】
上記回転部は、上記スリーブに回転可能に設けられ、上端部に上記ロータハブが装着され上記ロータハブと連動して回転するシャフトをさらに備え、上記貫通孔は、上記シャフトと平行に形成されることができる。
【0020】
上記貫通孔は、上記ティースから延長される延長線上に配置され、上記延長部の内部に形成されることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によると、延長部に形成される貫通孔を介してコギングトルクを低減させる効果がある。
【0022】
また、貫通孔が延長部の内側に配置されるように設けられ、マグネットの回転時に発生する不規則な空気流動による騒音を減少させる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】従来技術によるステータコアを示す平面図である。
【図2】従来技術によるステータコアを示す平面図である。
【図3】本発明の一実施例によるスピンドルモータを示す概略断面図である。
【図4】本発明の一実施例によるステータコアを示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施例によるステータコアとマグネットを示す平面図である。
【図6】本発明の一実施例によるステータコアと従来技術によるステータコアのコギングトルクを比較したグラフである。
【図7】本発明の一実施例によるステータコアと従来技術によるステータコアのトルク定数を比較したグラフである。
【図8】ステータコアに設けられた貫通孔の直径とステータコアの延長部との間隔の比率によってコギングトルクの変化を説明するためのグラフである。
【図9】本発明の他の実施例によるスピンドルモータを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では図面を参照し本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。但し、本発明の思想は提示される実施例に制限されず、本発明の思想を理解する当業者は同一の思想の範囲内で他の構成要素を追加、変更、削除等を通じて退歩的な他の発明や本発明の思想の範囲内に含まれる他の実施例を容易に提案することができ、これも本願発明の思想の範囲内に含まれる。
【0025】
本発明を説明するに当たって、関連する公知機能または構成についての具体的な説明が本発明の旨を不明確にする恐れあると判断される場合はその詳細な説明を省略する。
【0026】
図3は、本発明の一実施例によるスピンドルモータを示す概略断面図である。
【0027】
図3を参照すると、本発明の一実施例によるスピンドルモータ100は、一例として、固定部120と回転部160を含んで構成されることができる。
【0028】
固定部120は回転部160を回転可能に支持する。一方、固定部120はベース部材130、スリーブ140、キャップ部材150及びステータコア200を含んで構成されることができる。
【0029】
先ず、ベース部材130は、スリーブ140が挿設されるスリーブハウジング132を備えることができる。そして、スリーブハウジング132は、スリーブ140が挿設されるように設置孔132aを形成する。
【0030】
即ち、スリーブ140はスリーブハウジング132に固設されることができる。
【0031】
一方、スリーブハウジング132の外周面には、ステータコア200を挿入固定できるように段差部132bが備えられることができる。
即ち、ステータコア200は、スリーブハウジング132の外周面に形成された段差部132bに装着された状態で、スリーブハウジング132に固設されることができる。
【0032】
さらに、ベース部材130には磁気吸引板113が設けられ、回転部140の過浮上を防止することができる。
【0033】
スリーブ140は、上記したように、スリーブハウジング132に固設されることができる。そして、スリーブ140は、中央に貫通孔142が形成されシャフト170が回転可能に支持されている。
【0034】
前記スリーブ140の底面には潤滑流体の漏れを防止するためにカバー部材114が設けられることができる。
【0035】
また、スリーブ140の上端部には、キャップ部材150を取り付けることができるように外壁部146が備えられことができる。
そして、キャップ部材150の外周面が外壁部146の内周面に接触するよう、キャップ部材150がスリーブ140に固設されることができる。
【0036】
一方、キャップ部材150は、回転部160と共に、潤滑流体と空気との界面を形成させる役割を果たす。これに対する詳細な説明は後述する。
【0037】
回転部160は、マグネット116が内部面に装着されるロータハブ190を備えることができる。一方、回転部160は、シャフト170、スラストプレート180及びロータハブ190を含んで構成されることができる。
【0038】
ここで、方向に対する用語を定義すると、軸方向は、図1において上下方向、即ち、シャフト170の上部側から下部側に向かう方向、または、シャフト170の下部側から上部側に向かう方向を意味する。また、半径方向は、ロータケース190の外周面からシャフト170に向かう方向を意味し、円周方向は、ロータハブ190の外周面に沿って回転する方向を意味する。
【0039】
先ず、シャフト170はスリーブ140に回転可能に構成されている。
即ち、シャフト170はスリーブ140の貫通孔142に挿設され、このとき、シャフト170の外周面とスリーブ140の内周面は、所定の間隔離隔して配置されて軸受隙間を形成する。
【0040】
また、この軸受隙間には、シャフト170の回転時に流体動圧を発生させるように、潤滑流体が充填されることができる。
【0041】
シャフト170の外周面とスリーブ140の内周面のうち少なくとも一方には、シャフト170の回転時に潤滑流体をポンピングして流体動圧を発生させる動圧グルーブ(図示せず)が形成されることができる。
【0042】
即ち、シャフト170の回転時、動圧グルーブによってシャフト170を支持する流体動圧が発生することによりシャフト170をより安定して回転させることができる。
【0043】
前記軸受隙間はスリーブ140とカバー部材114によっても形成され、スリーブ140とカバー部材114により形成された軸受隙間にも潤滑流体が充填される。
【0044】
また、シャフト170がスリーブ140に設けられる場合、シャフト170の底面はカバー部材114の上面に接触するようになる。その後、シャフト170が回転すると、潤滑流体がスリーブ140とカバー部材114との間に流入され、シャフト170を所定の高さに浮上させる。
【0045】
スラストプレート180はシャフト170に固設され、シャフト170の回転時にシャフト170と共に回転する。そして、スラストプレート180はスリーブ140の上面に対向するように設けられることができる。
【0046】
一方、スラストプレート180の底面及びスリーブ140の上面部においても軸受隙間が形成されており、この軸受隙間にも潤滑流体が充填されている。そして、スラストプレート180の底面とスリーブ140の上面のうち少なくとも一方には、充填された潤滑流体を媒介として動圧を発生させるためのスラスト動圧グルーブ(図示せず)が形成されることができる。
【0047】
即ち、シャフト170と連動してスラストプレート180が回転する場合、上記スラスト動圧グルーブによって、軸方向上部側に向かうスラスト流体動圧が発生し得る。
【0048】
これによって、シャフト170がより容易に浮上するようになる。
【0049】
一方、キャップ部材150の底面とスラストプレート180の上面により、潤滑流体と空気との界面を形成している。このために、キャップ部材150の底面末端部には傾斜面が形成されることができる。
【0050】
即ち、上記軸受隙間に充填された潤滑流体は、毛細管現象によって、キャップ部材150の底面とスラストプレート180の上面によって形成されるシーリング部で空気との界面を形成する。
【0051】
ロータハブ190は、シャフト170の上端部に固定結合され、シャフト170と共に回転する。
【0052】
ロータハブ190は、シャフト170が貫通される装着孔192aが設けられた円盤状のボディ192と、ボディ192の縁から軸方向下部側に延設されるマグネット設置部194を備えることができる。
【0053】
また、マグネット設置部194の内周面にはマグネット116が設けられている。
即ち、マグネット116はステータコア200の先端に対向して配置されるようにマグネット設置部194の内周面に固設される。
【0054】
なお、マグネット116は環状であってもよく、円周方向に沿ってN極、S極が交互に着磁され一定強度の磁力を発生させる永久磁石であってよい。即ち、マグネット116はロータハブ190を回転駆動させるための駆動力を発生させる役割を果たす。
【0055】
即ち、ステータコア200に巻線されたコイル110に電源が供給されると、コイル110が巻線されたステータコア200とマグネット116との電磁気的相互作用によりロータハブ190を回転駆動させる力が発生する。これによって、ロータハブ190が回転駆動される。
【0056】
以上の構成により、ロータハブ190の回転によって、シャフト170と、シャフト170に設けられるスラストプレート180ともロータハブ190と共に回転するようになる。
【0057】
このようにロータハブ190が回転すると、軸受隙間に充填された潤滑流体が動圧グルーブ(図示せず)とスラスト動圧グルーブ(図示せず)によりポンピングされる。これにより、流体動圧が発生しシャフト170が回転支持されながら回転部160が所定の高さに浮上するようになる。
【0058】
一方、上記したように、ベース部材110には磁気吸引板113が設けられ、磁気吸引板113はロータハブ190に設けられるマグネット116の下部に配置され、回転部160が過浮上することを防止する役割を果たす。
【0059】
これによって、回転部160は一定の高さに浮上した状態で回転できるようになる。
【0060】
ステータコア200は貫通孔240を備え、スリーブハウジング132の外周面に固設される。即ち、ステータコア200はマグネット116に対向するように配置され、マグネット116との電磁気的相互作用によりロータハブ190が回転する駆動力を発生させる役割を果たす。
【0061】
以下、図面を参照し、ステータコア200についてより詳しく説明する。
【0062】
図4は、本発明の一実施例によるステータコアを示す斜視図であり、図5は、本発明の一実施例によるステータコアとマグネットを示す平面図である。
【0063】
図3から図5を参照すると、本発明の一実施例によるステータコア200は、コアバック210、ティース220、延長部230で構成される。
【0064】
コアパック210は、スリーブハウジング132へ挿入固定する為の設置孔212を形成する環状を有することができる。即ち、コアバック210は円形の環状を有し、スリーブハウジング132の外周面へ固設することができる。
【0065】
ティース220はコアバック210から半径方向に延設され、複数であることができる。即ち、ティース220は、円周方向に沿って複数が互いに離隔するよう半径方向に延設されることができる。
【0066】
また、延長部230は、複数のティース220のそれぞれから円周方向に延設され、延長部230にはコギングトルク(cogging torque)を低減させるための貫通孔240が設けられることができる。
【0067】
さらに、延長部230は、隣接して配置される他の延長部230と所定の間隔離隔して配置される。即ち、延長部230も所定の間隔離隔するように複数のティース220のそれぞれから延設されることができる。
【0068】
即ち、複数のティース220のそれぞれから延設される延長部230のそれぞれも、円周方向に所定の間隔aで離隔して配置される。
【0069】
前記延長部230の先端に対向するように配置されるマグネット116は、ロータハブ190の回転時ロータハブ190と共に回転する。このようにロータハブ190が回転すると、延長部230に対するマグネット116の磁束分布の大きさと向きが変化し、これによって、延長部230の先端と複数の延長部230との間の空間での磁束変化量によってコギングトルクが発生する。
【0070】
しかし、本発明の一実施例によるステータコア200の延長部230には貫通孔240が形成されているため、コギングトルクを低減させることができる。
【0071】
前記貫通孔240は、コギングトルクの低減のために延長部230の上面から底面に向かって設けられることができる。即ち、貫通孔240はシャフト170と平行になるよう軸方向に形成されることができる。
【0072】
一例として、貫通孔240は縦断面が円筒形であり、貫通孔240の直径dと延長部230との間隔aは0.5〜1:1の比率を有することができる。
【0073】
これに対する詳細な事項は後述する。
【0074】
また、貫通孔240は、ティース220から延長される延長線上に配置され、延長部230の内部で形成されている。即ち、貫通孔240は延長部230の内部に配置されるように設けられており、マグネット116の内周面と延長部230の先端によって形成されるギャップを一定に保持する。
【0075】
これにより、ロータハブ190の回転時に発生する不規則な空気流動により発生する騒音を低減することができる。即ち、ロータハブ190の回転時に発生する不規則な空気流動により発生する風切り音の低減が可能となる。
【0076】
以下、図面を参照し、本発明の一実施例によるステータコアの効果について説明する。
【0077】
図6は、本発明の一実施例によるステータコアと従来技術によるステータコアのコギングトルクとを比較したグラフであり、図7は、本発明の一実施例によるステータコアと従来技術によるステータコアのトルク定数とを比較したグラフであり、図8は、ステータコアに設けられる貫通孔の直径とステータコアの延長部との間隔の比率によってコギングトルクを説明するためのグラフである。
【0078】
先ず、図6を参照し、本発明の一実施例によるステータコアの効果について説明する。
【0079】
図6の縦軸は、コギングトルクの大きさを示す。
【0080】
なお、横軸のXは、従来のステータコア、即ち、コギングトルクの低減のための構成を有していないステータコア(図1を参照)を示す。また、横軸のYは、従来のステータコア、即ち、コギングトルクの低減のためにステータコアの先端部に溝が形成されたステータコア(図2を参照)を示す。さらに、横軸のZは、本発明の一実施例によるステータコアを示す。
【0081】
図6に示されたように、従来のステータコアであるX、Yと比較して、本発明の一実施例によるステータコアであるZのコギングトルクが低減することが分かる。
【0082】
一方、図7の縦軸は、トルク定数、即ち、回転駆動力の大きさを示すトルク定数を示す。
【0083】
また、図7の横軸は、上述の図6における横軸のX、Y、Zと同様である。
【0084】
図7に示されたように、本発明の一実施例によるステータコアであるZは、従来のステータコアであるYに比べてトルク定数が大きいことが分かる。即ち、より大きい回転駆動力を発生できることが分かる。
【0085】
そして、本発明の一実施例によるステータコアであるZは、従来のステータコアであるXに比べてトルク定数が低いが、Yとの比較では、Xに類似したトルク定数を有することが分かる。
【0086】
図6と図7を参照すると、本発明の一実施例によるステータコアであるZは、コギングトルクを低減すると共に、回転駆動力の低減を抑制し得ることが分かる。
【0087】
また、図8を参照すると、縦軸はコギングトルクを示し、横軸は貫通孔の直径dとステータコアの延長部との間隔aの比率を示す。
【0088】
図8に示されたように、貫通孔の直径とステータコアの延長部との間隔の比率d/aが0.5〜1の場合にコギングトルクが急激に減少することが分かる。
【0089】
また、貫通孔の直径とステータコアの延長部との間隔の比率d/aが0.75である部分でコギングトルクがより顕著に減少し得ることが分かる。
【0090】
従って、貫通孔の直径とステータコアの延長部との間隔の比率d/aが0.75の場合に、トルク定数(即ち、回転駆動力)の減少を抑制しながら、コギングトルクの減少率を最大にすることができる。
【0091】
以上のように延長部230に貫通孔240を設けることにより、マグネット116の回転時に発生するコギングトルクを低減させることができる。
【0092】
また、延長部230の内部に貫通孔240を設けることで、マグネット116の内周面と延長部230の先端によって形成されるギャップ(gap)が一定に保持され、不規則な空気流動により発生する騒音を減少できるようになる。
【0093】
さらに、貫通孔240の直径と延長部230との間隔の比率d/aが0.5〜1の比率を有することで、コギングトルクをさらに低減することができる。
【0094】
以下、図面を参照し、本発明の他の実施例によるスピンドルモータについて説明する。
【0095】
図9は、本発明の他の実施例によるスピンドルモータを示す概略断面図である。
【0096】
図9を参照すると、本発明の他の実施例によるスピンドルモータ300は、一例として、固定部320と回転部360を含んで構成されることができる。
【0097】
固定部320は、回転部360を回転可能に支持する。固定部320はベース部材330、スリーブ340及びステータコア200を含んで構成されることができる。
【0098】
回転部360は、マグネット316が内部面に装着されたロータハブ390を備えている。前記回転部360は、シャフト370、ロータハブ390を含んで構成されている。
【0099】
一方、本発明の他の実施例によるベース部材330、ステータコア200、シャフト370は、上述の本発明の一実施例によるベース部材130、ステータコア200、シャフト170と同じ構成要素に該当するため、詳細な説明は省略する。
【0100】
スリーブ340は、スリーブハウジング332に固設されることができる。
また、スリーブ340は中央に貫通孔342が設けられており、中空の円筒形状を有している。
【0101】
前記スリーブ340の底面には潤滑流体の漏れを防止するためのカバー部材314が設けられることができる。
【0102】
また、ロータハブ390は、シャフト370の上端部に結合され、シャフト370と共に回転する。
【0103】
ロータハブ290の底面とスリーブ340の上面が所定の間隔離隔して軸受隙間を形成するよう、ロータハブ290はシャフト370に結合されることができる。
この軸受隙間には潤滑流体が充填される。
【0104】
前記ロータハブ290の底面とスリーブ340の上面のうち少なくとも一方にはスラスト流体動圧を発生させるためのスラスト動圧グルーブ(図示せず)が形成されてもよい。
【0105】
そして、ロータハブ390は、シャフト370が貫通できるように装着孔392aが設けられた円盤状のボディ392と、ボディ392の縁から軸方向下部側に延設されるマグネット設置部394を備えることができる。
【0106】
マグネット設置部394の内周面にはマグネット316が設けられている。即ち、マグネット316はステータコア200の先端に対向して配置されるように、マグネット設置部394の内周面に固設される。
【0107】
さらに、ロータハブ390はスリーブ340の外周面から半径方向外側に配置されるように延設される延長壁部392bを備えることができる。即ち、延長壁部392bは、スリーブ340の外周面と共に、潤滑流体と空気との界面を形成させる役割を果たす。
【0108】
ロータハブ390に備えられた残りの構成は、上述の本発明の一実施例によるスピンドルモータ100のロータハブ190に備えられた構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0109】
また、ステータコア200も上述の本発明の一実施例によるスピンドルモータ100に備えられたステータコア200と同じ構成に該当するため、詳細な説明は省略する。
【0110】
即ち、上述の本発明の一実施例によるスピンドルモータ100によって具現される効果と同一の効果を、本発明の他の実施例によるスピンドルモータ300からも具現することが可能である。
【符号の説明】
【0111】
100、300:スピンドルモータ
120、320:固定部
130、330:ベース部材
140、340:スリーブ
150:キャップ部材
160、360:回転部
170、370:シャフト
180:スラストプレート
190、390:ロータハブ
200:ステータコア
210:コアパック
220:ティース
230:延長部
240:貫通孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置孔が設けられた円形状のコアパックと、
前記コアパックから半径方向に延設される複数のティースと、
前記複数のティースのそれぞれから円周方向に延設され、貫通孔が設けられた延長部と
を含むステータコア。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記延長部の一方の面から他方の面に向かって設けられる、請求項1に記載のステータコア。
【請求項3】
前記貫通孔は、円筒形であり、
前記貫通孔の直径と、隣り合う前記延長部同士間隔との比率が0.5〜1:1である、請求項1または2に記載のステータコア。
【請求項4】
マグネットが内部面に装着されるロータハブを備えた回転部と、前記回転部を回転可能に支持し、前記マグネットが対向して配置される請求項1から3の何れか1項に記載のステータコアを備える固定部と
を含むスピンドルモータ。
【請求項5】
前記固定部は、
前記ステータコアが設けられるスリーブハウジングを有するベース部材と、
前記スリーブハウジングに固設されるスリーブと
をさらに備え、
前記ステータコアは、前記延長部の先端が前記マグネットに対向して配置されるように前記スリーブハウジングの外周面に固設される、請求項4に記載のスピンドルモータ。
【請求項6】
前記回転部は、前記スリーブに回転可能に設けられ、一方の端部に前記ロータハブが装着され前記ロータハブと連動して回転するシャフトをさらに備え、
前記貫通孔は、前記シャフトと平行に形成される、請求項5に記載のスピンドルモータ。
【請求項7】
前記貫通孔は、前記ティースから延長される延長線上に配置され、前記延長部の内部に形成される、請求項4から5の何れか1項に記載のスピンドルモータ。
【請求項1】
設置孔が設けられた円形状のコアパックと、
前記コアパックから半径方向に延設される複数のティースと、
前記複数のティースのそれぞれから円周方向に延設され、貫通孔が設けられた延長部と
を含むステータコア。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記延長部の一方の面から他方の面に向かって設けられる、請求項1に記載のステータコア。
【請求項3】
前記貫通孔は、円筒形であり、
前記貫通孔の直径と、隣り合う前記延長部同士間隔との比率が0.5〜1:1である、請求項1または2に記載のステータコア。
【請求項4】
マグネットが内部面に装着されるロータハブを備えた回転部と、前記回転部を回転可能に支持し、前記マグネットが対向して配置される請求項1から3の何れか1項に記載のステータコアを備える固定部と
を含むスピンドルモータ。
【請求項5】
前記固定部は、
前記ステータコアが設けられるスリーブハウジングを有するベース部材と、
前記スリーブハウジングに固設されるスリーブと
をさらに備え、
前記ステータコアは、前記延長部の先端が前記マグネットに対向して配置されるように前記スリーブハウジングの外周面に固設される、請求項4に記載のスピンドルモータ。
【請求項6】
前記回転部は、前記スリーブに回転可能に設けられ、一方の端部に前記ロータハブが装着され前記ロータハブと連動して回転するシャフトをさらに備え、
前記貫通孔は、前記シャフトと平行に形成される、請求項5に記載のスピンドルモータ。
【請求項7】
前記貫通孔は、前記ティースから延長される延長線上に配置され、前記延長部の内部に形成される、請求項4から5の何れか1項に記載のスピンドルモータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2013−94044(P2013−94044A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−89987(P2012−89987)
【出願日】平成24年4月11日(2012.4.11)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月11日(2012.4.11)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】
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