説明

ステープル供給および形成装置

【課題】外科手術ステープル留め装置のためのエンドエフェクターを提供すること。
【解決手段】上記エンドエフェクターは、複数の通路と管腔とを規定するハウジングであって、複数の通路と管腔とは、ハウジングを通って長手方向に延在する、ハウジングと、ハウジングから延在するカートリッジであって、カートリッジは、カートリッジを通って長手方向に延在するチャンネルを含み、カートリッジは、上部表面を有する、カートリッジと、複数の長手方向に延在する列に配列された複数のファスナーを含む細長い部材と、カートリッジ内に配置され、かつ複数の保持スロットに動作可能に関連付けられた複数のプッシャーであって、複数のプッシャーは、複数のファスナーを支持するように適合されている、複数のプッシャーと、カートリッジを通って移動可能である駆動部材とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
(技術分野)
本開示は、外科手術ステープラに関する。具体的には、本開示は、外科手術処置の間に、外科手術部位から取り外されることなしに、再ロードされることが可能である外科手術ステープル留め装置に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の背景)
向き合うジョー構造の間に、まず組織を把持し、またはクランプし、次に外科手術ファスナーを用いて組織をステープル留める外科手術デバイスは、技術分野において周知である。いくつかの器具において、ナイフは、ファスナーによってステープル留められた組織を切断するために提供される。この目的のための器具は、一般的に、2つの細長い部材を含み、2つの細長い部材のうちの1つは、ステープルカートリッジを搭載し、もう1つは、アンビルを含む。ステープルカートリッジは、少なくとも2つの横列に配列された複数のステープルを収容する。ステープルがステープルカートリッジから駆動されるときに、アンビルは、ステープルレッグを形成するための表面を規定する。あるデバイスにおいて、ステープル留めの動作は、ステープルカートリッジを通って長手方向に移動するカムバーによって影響される。ナイフは、ステープルの列の間にステープル留められた組織を長手方向に切断および/または開放するために、ステープル列の間に移動し得る。
【0003】
ときには、外科手術デバイスのステープル留めアセンブリの全てまたは一部分は、ハンドルアセンブリに動作可能に接続されるローディングユニット上に配置される。ハンドルアセンブリが複数の使用のために構成されるが、ローディングユニットは、単回使用のために構成され得る。単回使用が終わった後に、ローディングユニットは、ハンドルアセンブリから取り外され、そして適切に処分される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(要約)
ローディングユニットを含む外科手術ステープル留め装置が開示され、ローディングユニットは、外科手術部位から取り外すことなしに、外科手術処置の間に再ロードされることができる。これは、外科医が、再ローディングのために外科手術ステープラを引き抜き、または取り外すことなしに、外科手術動作を続けることを可能にし、従って、外科手術の長さを低減させると同時に、外科医が、外科手術処置と、外科手術ステープラを再ロードするかまたは取り替えることとに注意を分散するのではなく、外科手術処置のみに集中することを可能にする。
【0005】
外科手術ステープル留め装置のためのエンドエフェクターが開示され、エンドエフェクターは、ハウジングを含み、ハウジングは、ハウジングを通って長手方向に延在する複数の通路と管腔とを規定する。エンドエフェクターは、ハウジングから延在するカートリッジを含み、カートリッジは、カートリッジを通って長手方向に延在するチャンネルを有する。チャンネルの上部表面は、外科手術ファスナーを受け取るために、上部表面を貫通している複数の保持スロットを含む。エンドエフェクターはまた、複数の長手方向に延在する列に配列された複数のファスナーを有する細長い部材を含み、細長い部材は、ハウジングおよびカートリッジを通って長手方向に並進可能である。細長い部材は、可撓性材料から作られ得る。複数のプッシャーは、カートリッジ内に配置され、かつ複数の保持スロットに動作可能に関連付けられ、複数のファスナーを支持するように適合されている。エンドエフェクターは、カートリッジを通って移動可能であり、かつ複数の保持スロットを通して複数のファスナーを押すために、複数のプッシャーを係合するように適合されている。駆動部材は、駆動部材から近位へ延在する作動部材を含み、作動部材は、カートリッジを通って駆動部材を動かすように適合されている。
【0006】
複数のプッシャーの各々は、ポストを含み得、駆動部材は、スロットを含み得、複数のプッシャーの各々のポストは、駆動部材の作動の際に駆動部材のスロットを係合するように適合されている。複数のプッシャーの各々は、ガイド溝を含み、複数のファスナーの各々は、対応するガイド部分を含み、ガイド部分は、プッシャーが保持スロットのうちの1つを通してファスナーを押す場合に、ファスナーをガイドするために、ガイド溝を係合するように適合されている。
【0007】
ハウジングは、上部ハウジングおよび下部ハウジングを含み、管腔は、上部ハウジングと下部ハウジングとの間に規定されている。ハウジングの通路は、管腔から延在し、ハウジングを通してファスナーをガイドするように適合されている。
【0008】
カートリッジは、上部表面の裏面上に形成されており、ハウジングの通路と整列されている複数の溝チャンネルを含む。複数の溝チャンネルは、上部表面の複数の保持スロットと横方向に整列されている。複数の保持スロットは、複数の外科手術ファスナーを複数の保持スロット内にガイドするために適合されたガイド表面を含む。
【0009】
細長い部材は、複数の長手方向に延在する列に配列された複数の開口部を規定し、各開口部は、ファスナーを受け取るように適合されており、各開口部は、複数の貫通孔を含み得、開口部は、複数の貫通孔に沿って裂けるように適合されている。各開口部は、1対の孔およびスリットを含み得、各ファスナーは、バックスパンと、バックスパンから延在する1対のレッグとを含み得る。各ファスナーのバックスパンは、細長い部材の第1の側に配置され得、各ファスナーの1対のレッグは、細長い部材を通って細長い部材の第2の側へ延在し得る。
【0010】
外科手術ステープル留め装置が開示され、外科手術ステープル留め装置は、アクチュエータアセンブリと、アクチュエータアセンブリによって支持され、かつ作動機構を含むハンドルと、アクチュエータアセンブリから延在する細長い本体と、細長い本体の遠位端部におけるエンドエフェクターとを含む。エンドエフェクターは、ハウジングを含み、ハウジングは、ハウジングを通って長手方向に延在する複数の通路と管腔とを規定する。カートリッジは、ハウジングから延在し、カートリッジを通って長手方向に延在するチャンネルを含む。カートリッジは、上部表面を含み、上部表面は、外科手術ファスナーを受け取るために、上部表面を貫通している複数の保持スロットを含む。複数の長手方向に延在する列に配列された複数のファスナーを含む細長い部材は、ハウジングおよびカートリッジを通って長手方向に並進可能である。複数のプッシャーは、カートリッジ内に配置され、かつ複数の保持スロットに動作可能に関連付けられ、複数のファスナーを支持するように適合されている。駆動部材は、カートリッジを通って移動可能であり、かつ複数の保持スロットを通して複数のファスナーを押すために、複数のプッシャーを係合するように適合されている。細長い部材は、可撓性材料から作られ得る。
【0011】
各ファスナーは、バックスパンと、バックスパンから延在する1対のレッグとを含み得る。各ファスナーのバックスパンは、細長い部材の第1の側に配置され得、各ファスナーの1対のレッグは、細長い部材を通って細長い部材の第2の側へ延在し得る。
【0012】
外科手術ステープル留め装置は、ファスナーを受け取り、かつ形成するためのアンビルプレートを含むアンビルアセンブリをさらに含み得る。アンビルアセンブリは、カートリッジに対して並置関係であり、アンビルアセンブリおよびカートリッジのうちの少なくとも1つは、アンビルアセンブリおよびカートリッジのもう1つに対して移動可能である。
【0013】
駆動部材は、駆動部材から近位へ延在する作動部材を含み、作動部材は、作動機構の作動の際に、カートリッジの複数の開口部を通って駆動部材を動かすように適合されている。
【0014】
細長い部材は、細長い本体の少なくとも一部分を通って並進するように適合され得る。
【0015】
外科手術処置の間に再ロード可能な外科手術ステープル留め装置を使用する方法が開示され、方法は、外科手術ステープル留め装置を外科手術部位内に挿入することと、外科手術ステープル留め装置のアンビルアセンブリとカートリッジアセンブリとの間に組織の第1の部分を把持することと、外科手術ステープル留め装置のアクチュエータアセンブリを作動させて、カートリッジアセンブリの保持スロットを通して組織の第1の部分内に第1のグループのファスナーを駆動して、第1のグループのファスナーを組織の第1の部分に固定することと、アクチュエータアセンブリを作動させて、組織の第1の部分を解放し、保持スロットと実質的整列でカートリッジアセンブリ内に第2のグループのファスナーを位置決めすることと、アンビルアセンブリとカートリッジアセンブリとの間に組織の第2の部分を把持することと、アクチュエータアセンブリを作動させて、保持スロットを通して組織の第2の部分内に第2のグループのファスナーを駆動して、第2のグループのファスナーを組織の第2の部分に固定することとを含む。
【0016】
方法は、組織の第2の部分を解放することと、外科手術部位から外科手術ステープル留め装置を取り外すことをさらに含み得、外科手術ステープル留め装置は、少なくとも、第1および第2のグループのファスナーがそれぞれ、組織の第1および第2の部分に固定された後に外科手術部位から取り外される。
【0017】
保持スロットを通して第1および第2のグループのファスナーを駆動することは、カートリッジアセンブリを通して少なくとも部分的に駆動部材を並進させて、カートリッジアセンブリ内に配置され、かつ実質的に保持スロットと整列された複数のプッシャーを係合して、複数のプッシャーを保持スロットに向って駆動させることを含み得る。複数のプッシャーを保持スロットに向って駆動させることは、複数のプッシャーのガイド表面を第1および第2のグループのファスナーと係合して、保持スロットを通ってファスナーを押すことを含み得る。
【0018】
カートリッジアセンブリは、カートリッジを通って延在する細長い部材を含み得、細長い部材は、細長い部材を通って延在し、複数の長手方向に延在する列に配列された第1および第2のグループのファスナーを有する。カートリッジ内に第2のグループのファスナーを位置決めするようにアクチュエータアセンブリを作動させることは、カートリッジアセンブリを通って細長い部材を並進させることを含み得る。保持スロットを通って第1および第2のグループのファスナーのうちの1つを押すことは、細長い部材を通してファスナーのバックスパンを押すことを含み得る。カートリッジアセンブリを通して細長い部材を並進させることは、細長い部材の空の部分をカートリッジアセンブリの外へ並進させることを含み得る。
【0019】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
外科手術ステープル留め装置のためのエンドエフェクターであって、該エンドエフェクターは、
複数の通路と管腔とを規定するハウジングであって、該複数の通路と該管腔とは、該ハウジングを通って長手方向に延在する、ハウジングと、
該ハウジングから延在するカートリッジであって、該カートリッジは、該カートリッジを通って長手方向に延在するチャンネルを含み、該カートリッジは、上部表面を有し、該上部表面は、外科手術ファスナーを受け取るために、該上部表面を貫通している複数の保持スロットを有する、カートリッジと、
複数の長手方向に延在する列に配列された複数のファスナーを含む細長い部材であって、該細長い部材は、該スロットの近位位置から該スロットと一列になる位置に該ファスナーを動かすために、該ハウジングおよび該カートリッジを通して、長手方向に並進可能である、細長い部材と、
該カートリッジ内に配置され、かつ該複数の保持スロットに動作可能に関連付けられた複数のプッシャーであって、該複数のプッシャーは、該複数のファスナーを支持するように適合されている、複数のプッシャーと、
該カートリッジを通って移動可能である駆動部材であって、該駆動部材は、該複数の保持スロットを通して該複数のファスナーを押すために、該複数のプッシャーを係合するように適合されている、駆動部材と
を含む、エンドエフェクター。
(項目2)
上記細長い部材は、可撓性材料から作られている、上記項目に記載のエンドエフェクター。
(項目3)
上記複数のプッシャーの各々は、ポストを含み、上記駆動部材は、スロットを含み、該複数のプッシャーの各々の該ポストは、該駆動部材の作動の際に該スロットを係合するように適合されている、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクター。
(項目4)
上記駆動部材は、該駆動部材から近位へ延在する作動部材を含み、該作動部材は、上記カートリッジを通して該駆動部材を動かすように適合されている、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクター。
(項目5)
上記複数のプッシャーの各々は、ガイド溝を含み、上記複数のファスナーの各々は、対応するガイド部分を含み、該ガイド部分は、該プッシャーが上記保持スロットのうちの1つを通して該ファスナーを押す場合に、該ファスナーをガイドするために、該ガイド溝を係合するように適合されている、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクター。
(項目6)
上記ハウジングは、上部ハウジングおよび下部ハウジングを含み、上記管腔は、該上部ハウジングと該下部ハウジングとの間に規定されている、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクター。
(項目7)
上記ハウジングの上記通路は、上記管腔から延在し、該ハウジングを通して上記ファスナーをガイドするように適合されている、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクター。
(項目8)
上記カートリッジは、上記上部表面の裏面上に形成された複数の溝チャンネルを含む、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクター。
(項目9)
上記複数の溝チャンネルは、上記ハウジングの上記通路と整列されている、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクター。
(項目10)
上記複数の溝チャンネルは、上記上部表面の上記複数の保持スロットと横方向に整列されている、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクター。
(項目11)
上記細長い部材は、複数の長手方向に延在する列に配列された複数の開口部を規定し、各開口部は、ファスナーを受け取るように適合されている、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクター。
(項目12)
各開口部は、複数の貫通孔を含み、該開口部は、該複数の貫通孔に沿って裂けるように適合されている、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクター。
(項目13)
各開口部は、1対の孔と、スリットとを含む、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクター。
(項目14)
上記長細い部材は、上記ファスナーが該長細い部材を通り抜けることを可能にするように適合されている、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクター。
(項目15)
上記複数の保持スロットは、上記複数の外科手術ファスナーを該複数の保持スロットの中にガイドするように適合されたガイド表面を含む、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクター。
(項目16)
各ファスナーは、バックスパンと、該バックスパンから延在する1対のレッグとを含む、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクター。
(項目17)
各ファスナーの上記バックスパンは、上記細長い部材の第1の側に配置されており、各ファスナーの上記1対のレッグは、該細長い部材を通って該細長い部材の第2の側へ延在している、上記項目のいずれかに記載のエンドエフェクター。
【0020】
(摘要)
カートリッジアセンブリを含む外科手術ステープル留め装置および使用の方法が開示され、カートリッジアセンブリは、外科手術部位から取り外すことなしに、外科手術処置の間に再ロードされることができる。これは、外科医が、再ローディングのための外科手術ステープラを引き抜き、または取り外すことなしに、外科手術動作を続けることを可能にし、従って、外科手術の長さを低減させると同時に、臨床医が、外科手術処置と、外科手術ステープラを再ロードすることとに注意を分散するのではなく、外科手術処置のみに集中することを可能にする。外科手術ステープル留め装置は、複数の長手方向に延在する列に配列された複数のファスナーを有する細長い部材を含み、細長い部材は、カートリッジの上部表面を通って延在する複数の保持スロットに対して複数のファスナーを位置決めするために、カートリッジを通って長手方向に並進可能である。
【0021】
本開示のさまざまな実施形態が、図面を参照して以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1A】図1Aは、本開示の原理に従う、仮想線の部分を伴う外科手術ステープル留め装置の透視図である。
【図1B】図1Bは、図1Aの外科手術ステープル留め装置の遠位部分の透視図である。
【図2A】図2Aは、ハウジングの外へ延在する細長い部材およびファスナーを示す図1の外科手術ステープル留め装置のハウジングの透視図である。
【図2B】図2Bは、図2Aのハウジングの前面透視図である。
【図2C】図2Cは、図2Aのハウジングの側面透視図である。
【図2D】図2Dは、下部ハウジングが取り外された図2Cの側面透視図である。
【図2E】図2Eは、細長い部材およびファスナーが取り外された図2Bの前面透視図である。
【図3A】図3Aは、図1Aの外科手術ステープル留め装置の遠位部分の透視図である。
【図3B】図3Bは、図3Aのハウジングとカートリッジアセンブリとの間の接合の透視図である。
【図3C】図3Cは、上部ハウジングが取り外された図3Bの透視図である。
【図3D】図3Dは、図3Aのカートリッジの透視図である。
【図4A】図4Aは、図1Aのカートリッジの上部平面図である。
【図4B】図4Bは、溝チャンネル内に配置されたファスナーを示す図4Aの端面図である。
【図4C】図4Cは、図4Bの底部平面図である。
【図4D】図4Dは、図4Aの側面断面図である。
【図4E】図4Eは、図4Dの透視断面図である。
【図5A】図5Aは、カートリッジを通って並進させて、保持スロットを通ってファスナーを駆動する駆動部材を示す図1Aのカートリッジアセンブリの前面透視図である。
【図5B】図5Bは、図5Aの端面図である。
【図5C】図5Cは、図5Aの駆動部材、プッシャーおよびファスナーの透視図である。
【図5D】図5Dは、図5Aの駆動部材および長細い部材の透視図である。
【図5E】図5Eは、図5Aの細長い部材の上部平面図である。
【図5F】図5Fは、図5Aの駆動部材およびプッシャー(部分的断面)の側面透視図である。
【図5G】図5Gは、ガイド溝内に静止しているファスナーを有する図5Aのプッシャーの前面透視図である。
【図6A】図6Aは、それぞれ、プッシャーおよびファスナー上のガイド溝およびガイド部分を示す図1Aのプッシャーおよびファスナーの透視図である。
【図6B】図6Bは、図6Aのファスナーの代替的実施形態である。
【図6C】図6Cは、図6Aのファスナーの代替的実施形態である。
【図7A】図7Aは、ピーク部分に位置するプッシャーを示す図1Aの駆動部材およびプッシャーの前面透視図である。
【図7B】図7Bは、プッシャーが斜面上へ並進するときに、駆動部材のチャンネルを係合するポストを有するプッシャーを示す図7Aの前面透視図である。
【図7C】図7Cは、駆動部材のみを示す図7Aの後方透視図である。
【図8】図8は、図1Aの駆動部材およびプッシャーの上部図である。
【図9】図9は、駆動部材がプッシャーを係合する前に、断面線9−9に沿って取られた図8のスレッドおよびプッシャーの側面断面図である。
【図10】図10は、図9の入口の開口部において駆動部材のチャンネルを係合するプッシャーのポストを示す図である。
【図11】図11は、図10の駆動部材の斜面上へ並進するプッシャーを示す図である。
【図12】図12は、図11の形成されたファスナーを有する駆動部材のピーク部分においてプッシャーを示す図である。
【図13】図13は、駆動部材が近位へ進み続けた後に、図12のプッシャーを示す図である。
【図14】図14は、図13の遠位へ戻る駆動部材を示す図である。
【図15】図15は、図14のプッシャーのポストを係合するチャンネルの出口を示す図である。
【図16】図16は、図15のチャンネルを係合して、プッシャーを駆動部材の斜面の下へ引くプッシャーのポストを示す図である。
【図17】図17は、図16の斜面の底部においてプッシャーを示す図である。
【図18】図18は、図17の遠位へ戻り続ける駆動部材を有する発射前の位置におけるプッシャーを示す図である。
【図19】図19は、駆動部材が完全に発射された位置へ並進した後に、図1Aの外科手術ステープル留め装置のエンドエフェクターの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施形態の詳細な説明)
図面および以下の説明において、同様な参照数字は、類似または同一の構成要素を識別し、技術分野において従来的かつ既知であるように、用語「近位」は、使用の間に臨床医に最も近い装置の端部を指し、その一方で、用語「遠位」は、臨床医から最も離れている端部を指す。
【0024】
図1Aは、概してエンドエフェクター100として示される本開示に従うエンドエフェクターの実施形態を含む外科手術ステープル留め装置10を例示する。図1Aに示されるように、かつ以下に議論されるように、エンドエフェクター100は、外科手術ステープラ10を形成するように、アクチュエータアセンブリ12に取り付けるために構成される。アクチュエータアセンブリ12は、ハンドルアセンブリと、ハンドルアセンブリ20から延在する細長い本体30とを含む。細長い本体30は、閉鎖処置(すなわち、腹腔鏡、内視鏡、関節鏡)に用いられるために構成されるが、細長い本体30は、開放処置に用いられるために短くされ、または省略され得る。本開示において、アクチュエータアセンブリ12は、エンドエフェクター100を完全に開示する必要な程度しか説明されない。アクチュエータアセンブリ12に類似する外科手術ステープラの構造および機能のさらなる詳細な説明について、Millimanらの共存に係る米国特許第5,865,361号(「Milliman‘361特許」)を参照してください。上記文献の内容は、全体として参照することによって本明細書において援用される。
【0025】
図1Aおよび1Bを参照すると、エンドエフェクター100は、アンビルアセンブリ110、ハウジング200、カートリッジアセンブリ300、細長い部材400、および駆動部材500を含む。アンビルアセンブリ110は、組織「T」を固定するようにファスナーを変形させるためのファスナー変形くぼみ112(図19)を含む。
【0026】
図2A〜2Eにおいて理解されるように、ハウジング200は、細長い形状を規定し、上部ハウジング202および下部ハウジング204を含み、上部ハウジング202および下部ハウジング204は、その間に、ハウジング200を通って長手方向に延在するギャップまたは管腔206を規定する。ハウジング200はまた、管腔206から上部ハウジング202内に延在し、かつ上部ハウジング202を通って長手方向に延在する複数の通路208を含む。下部ハウジング204は、管腔206から下部ハウジング204内に延在し、かつ横方向に通路208と整列された長手方向に延在する溝210を規定する。ハウジング200はまた、作動チャンネル212を含み、作動チャンネルは、そこに作動機構502(図5A)を受け取る。作動機構502は、駆動部材500を作動させるために使用され得る。作動チャンネル212は、例えば、下部ハウジング204内に配置され得る。
【0027】
ここで、図3A〜3Dを参照すると、カートリッジアセンブリ300は、ハウジング200から延在し、カートリッジ304を受け取るように寸法を合わせられ、かつ構成されたケーシング302を含む。カートリッジ304は、カートリッジを通って長手方向に延在する複数の間隔を空けられたチャンネル306を含む。カートリッジ304はまた、複数の保持スロット308を含み、複数の保持スロットは、カートリッジ304の上部表面310を通って延在し、アンビルアセンブリ110の複数のファスナー変形くぼみ112(図19)と整列されている。複数の保持スロット308は、複数の列を規定し得、各列は、複数の間隔を空けられたチャンネル306のうちの1つに関連付けられ得る。例えば、各チャンネル306は、外側列の保持スロット308Aと内側の保持スロット308Bとを含み得る。ナイフスロット318は、ナイフスロットを通ってナイフブレード(示されていない)を受け取るために隣接するチャンネル306の間に配置され得る。各チャンネル306はまた、必要に応じて追加の列の保持スロット308を含み得、例えば、各チャンネル306は、3つ以上の列の保持スロット308を含み得、または各チャンネル306は、単一の列の保持スロット308しか含まない場合もある。
【0028】
カートリッジ304はまた、カートリッジ304の上部表面310の裏面314に沿って長手方向に延在する複数の溝チャンネル312を含む。複数の溝チャンネル312は各々、保持スロット308の列のうちの1つと横方向に整列される。図4A〜4Eにおいて理解されるように、保持スロット308はまた、上部表面310の裏面314上のガイド表面316を含み得る。ガイド表面316は、例えば、面取りした表面、角度のある表面、放射状の表面、または保持スロット308を通ってファスナーをガイドするように適切な他のタイプの輪郭のある表面であり得る。以下により詳細に説明されるように、カートリッジ304はまた、保持スロット308に動作可能に関連付けられた複数のプッシャー350を含む。
【0029】
ここで、図2A〜2D、3B〜3C、5A、5D、および5Eを参照すると、細長い部材400は、そこを通って延在し、かつ複数の長手方向に延在する列402に配列された複数のファスナー600を含む。列402の各々は、保持スロット308の列のうちの1つに対応し、かつそれと整列し得、追加の細長い部材400が列402に含まれ得、例えば、カートリッジ304の各チャンネル306は、細長い部材400を受け取る。各ファスナー600は、1対のレッグ602およびバックスパン604(図4D〜4E)を含み、各バックスパン604は、細長い部材400の第1の側に配置され、各対のレッグ602は、細長い部材400を通って第2の側に延在する。細長い部材400およびファスナー600は、ハウジング200を通って長手方向に並進可能であり、ハウジング200の管腔206は、細長い部材400を受け取るように適合され、通路208および溝212は、それぞれ、ファスナー600のレッグ602およびバックスパンを受け取るように適合される(図2Bおよび2C)。通路208および溝212は、細長い部材400がハウジング200を通って長手方向に並進する場合に、ハウジング200を通ってファスナー600をガイドするように適合される。細長い部材400およびファスナー600はまた、ファスナーを保持スロットの近位位置からスロットと一列の位置に動かすために、ハウジングおよびカートリッジアセンブリ300を通って長手方向に並進可能である。チャンネル306は、細長い部材400およびファスナー600を受け取るように適合されるが、溝チャンネル312は、保持スロット308に対してファスナー600の横位置を維持するために、ファスナー600のレッグ602の少なくとも一部分を係合する(図3B、3Cおよび4B)。細長い部材400は、可撓性のあるまたは変形可能な材料(例えば、ゴム、コットンまたは他の生地、織物、または繊維、プラスチックウェブまたはメッシュ、プラスチック化合物、シリコーン、ゴム状ガム、またはファスナー600がプッシャー350によって発射されることを可能にするために、ハウジング200およびカートリッジアセンブリ300を通る並進に対して適切に可撓性のあるまたは適合可能な任意の他の材料)で作られ得る。細長い部材400は、ファスナー600を受け取るために、細長い部材400を通る開口部404を含む。図5Eにおいて理解されるように、各開口部404は、例えば、1対の孔406および408、並びに少なくとも部分的に孔406の間に延在するスリット410を含み得る。ファスナー600の各対のレッグ602は、それぞれ、1対の孔406および408を通って延在し、各バックスパン604が、スリット410のうちの1つと実質的に整列される。
【0030】
ここで図5F〜5G、6A〜6C、および7A〜7Cを参照すると、プッシャー350は、ファスナー600を係合するための複数のプッシング表面352を含み、プッシング表面352は、バックスパン604およびファスナー600のガイド部分606を係合するためのガイド溝354を規定し得る。ガイド部分606は、バックスパン604によって規定され得、またはバックスパン604に加えられ得る(図6A〜6C)。ガイド溝354は、保持スロット308に対してファスナー600の整列を維持し、かつファスナー600が保持スロット308を通って移動するときにファスナー600をガイドおよび安定させることを支援するように構成される。例えば、ガイド溝354は、ガイド溝354内にファスナー600のバックスパン604を中心にするための傾斜表面356および358(図6A)を含み得、ガイド部分606およびバックスパン604を受け取り、かつ係合するためのガイド部分606に対応する形状を規定し得る。傾斜表面356および358は、例えば、横方向の支持をファスナー600に提供し、かつ発射の間にファスナー600を位置決めまたは中心にすることを支援するために適切な任意の、角度のある表面、放射状の表面、または輪郭のある表面であり得る。プッシャー350はまた、カートリッジアセンブリ300の整列スロット320を係合し、保持スロット308に向かってプッシャー350をガイドするためのフランジ状部分360を含む。プッシャー350はまた、駆動部材500を係合するためのポストまたは突起部362(図5G)を含み得る。
【0031】
ここで、図1B、5A、5C、5D、5F、7A〜7C、および8〜19を参照すると、駆動部材500は、カートリッジアセンブリ300の遠位部分における最初の位置(図1B)と、カートリッジアセンブリ300の近位部分における完全に発射された位置(図19)との間で、カートリッジアセンブリ300(図5A)を通って長手方向に並進可能である。最初の位置は、カートリッジアセンブリ300の近位部分にあり得、完全に発射された位置は、カートリッジアセンブリ300の遠位位置にあり得ることも考えられ、この場合、駆動部材500は、最初の位置から完全に発射された位置まで遠位へ並進する。駆動部材500は、任意的に、ファスナー600の一部分のみが発射されるように、カートリッジアセンブリ300を通って部分的にしか並進されない場合もある。
【0032】
駆動部材500は、複数のプッシャー350に動作可能に関連付けられることにより、駆動部材500が、カートリッジアセンブリ300を通って並進するときに、駆動部材500は、斜面504を用いてプッシャー350の各々を係合する(図9〜12)。プッシャー350は、斜面504に沿って並進し、保持スロット308を通ってファスナー600を押す。プッシャー350はまた、駆動部材500が最初の位置から完全に発射された位置に向かって並進する間に、斜面504を係合するための遠位傾斜表面364を含み得る(図10〜12)。
【0033】
駆動部材500は、プッシャー350のポスト362を受け取るためのスロット506を含み得、ポスト362は、スロット506内に容易に進入するために、実質的に円筒形または曲線状であり得る。代替的には、ポスト362は、カム作用をスロット506に提供するように、スロット506内に進入するための任意の適切な形状(例えば、線形形状、正方形、三角形、楕円形形状、または他の多角形または曲がった形状を含む)であり得る。図9〜18において理解されるように、スロット506は各々、駆動部材500のリーディングまたは近位部分510における入口開口部508と、そこを通るポスト362の並進のために斜面504に実質的に平行して延在するチャンネル512と、駆動部材500のトレイリングまたは遠位部分516における出口開口部514とを規定する。トレイリング部分516はまた、斜面518を含み得、出口開口部514は、駆動部材500のピーク部分522において規定され得、または斜面518のトレイリングエッジ520において規定され得る。プッシャー350は、駆動部材500が、完全に発射された位置(図19)から最初の位置(図1B)に向かって並進する間に斜面518を係合するための近位傾斜表面(示されていない)を含み得る。チャンネル512は、ポスト362を受け取るために駆動部材500を通って斜面518に平行して延在する遠位部分526(図5F)をさらに含み得る。代替的な実施形態において、プッシャー350と共に用いられるポスト362またはスロット506が含まれず、例えば、プッシャー350は、ポスト362およびスロット506の支持なしに斜面504を係合する。
【0034】
ここで、図2D、5A、5F、および7A〜7Cを参照すると、駆動部材500は、作動機構502(図5A)の作動によってカートリッジアセンブリ300を通って並進する。作動機構502は、アクチュエータアセンブリ12に動作可能に関連付けられ、かつ駆動部材500に連結される。作動機構502は、ハウジング200の作動チャンネル212、カートリッジアセンブリ300、および駆動部材500の管腔524を通ってアクチュエータアセンブリ12から延在する。管腔524は、駆動部材500を通って延在し、駆動機構502を受け取るために適合される。例えば、管腔524は、作動機構502を係合するための内部スレッドを含み得る。作動機構502は、スクリュー、ロッドまたはカートリッジアセンブリ300を通って駆動部材500を並進させるために適切な他の機構の形状であり得る。
【0035】
アクチュエータアセンブリ12は、アクチュエータ(示されていない)(例えば、スプール、ギヤーシステム、またはハウジング200およびカートリッジアセンブリ300を通って細長い部材400を前進させるための任意の適切な機構)の使用を介して、ハウジング200およびカートリッジアセンブリ300を通って細長い部材400を独立して並進させるように適合され得る。アクチュエータは、直接に細長い部材400に接触し得、または代わりに、滑車システムを駆動して、ハウジング200およびカートリッジアセンブリ300を通って細長い部材400を並進させ得る。細長い部材400は、エンドエフェクター100の遠位端部において滑車または他の適切な機構に巻かれ得、カートリッジ300を介してハウジング200に戻り得る。例えば、細長い部材400は、カートリッジ300のチャンネル306を通ってハウジング200の管腔206へ戻り得る。代替的には、別個の通路322(図19)が、細長い部材400の使用した部分を受け取るために、カートリッジ300およびハウジング200の両方によって規定され得る。
【0036】
例えば、細長い部材400は、供給機構412(図5E)(例えば、ハウジング200およびカートリッジアセンブリ300を通って細長い部材400を前進させるためにギヤーまたはスプール機構によって係合可能であるスロットまたはカットアウト)を含み得る。アクチュエータはまた、発射した後に駆動部材500と協働して駆動部材500をエンドエフェクター100の遠位端部における最初の位置に戻しながら、新しいセットのファスナー600を用いてカートリッジ300を再ロードするように構成され得る。代替的には、駆動部材500は、駆動部材500が発射した後に最初の位置に戻るときに供給機構412を係合するためのフック付き部分(示されていない)を含み得、例えば、フック付き部分は、遠位方向おいて少なくとも部分的に角度があることにより、駆動部材500が近位へ並進するときに、供給機構412は、フック付き部分と係合されないが、駆動部材500が遠位へ並進する場合に、フック付き部分は、供給機構412を係合し、駆動部材500と同じ量で細長い部材400を遠位へ並進させる。これは、カートリッジアセンブリ300が、駆動部材500を最初の位置に再設定または並進させる単一の作用を介して再ロードされることを可能にし、加えて、使用の間に外科医が少なくとも部分的にカートリッジアセンブリ300を再ロードすることを可能にする。例えば、カートリッジアセンブリ300内のファスナーの一部分のみが発射された場合に、外科医は、駆動部材500を最初の位置に再設定して、残りのファスナーを処分せずに、既に発射されたファスナーの数でカートリッジアセンブリ300を完全に再ロードし得る。加えて、例えば、外科医は、発射した後に、駆動部材500を最初の位置へ通路の一部分しか並進させないことによってカートリッジアセンブリ300の部分的再ローディングを実行し得る。これは、外科医は、カートリッジアセンブリの処分または取替えをする必要なしに、外科手術処置の間に必要される可変の再ローディングを利用することを可能にする。
【0037】
ハウジング200は、カートリッジアセンブリ300内に供給するための所定の数のファスナー600を含み得、例えば、ファスナー600の再ロードまたはグループの数は、外科医が手術する部位からカートリッジアセンブリ300を取り外すことなしに、外科手術ステープル留め装置10を複数回再ロードまたは発射することを可能にするように提供され得る。ファスナー600の各々のグループは、保持スロット308の数に対応し得、または保持スロット308の数の一部分のみに対応し得、例えば、ファスナー600の複数のグループが、カートリッジアセンブリ300を完全に再ロードすることを要求され得る。
【0038】
ハウジング200は、任意的に、外部の供給源から細長い部材400およびファスナー600を受け取り得、例えば、複数の細長い部材400が、追加のファスナー600をカートリッジアセンブリ300に提供するための処置中に、一緒に取り付けられ、または固定され得る。例えば、細長い本体30は、細長い部材400およびファスナー600をハウジング200に提供するように適合され得、外科医が追加の細長い部材400およびファスナーをハウジング200内に供給することを可能にするように適合され得る。この方法で、使用されるファスナー600の数は、具体的処置または外科医のニーズに合わせられ得る。
【0039】
使用中、外科手術ステープル留め装置10は、外科手術部位内に挿入されて操作されることにより、組織「T」が、アンビルアセンブリ110とカートリッジアセンブリ300との間に位置決めされる。次に、ハンドルアセンブリ20は、アンビルアセンブリ110とカートリッジアセンブリ300とを閉じるように、または接近させるように作動され、アンビルアセンブリ110とカートリッジアセンブリ300との間に組織「T」を把持する。組織「T」がアンビルアセンブリ110とカートリッジアセンブリ300との間に把持された後に、アクチュエータアセンブリ12は、カートリッジアセンブリ300を通って、最初の位置(図1A)から完全に発射された位置(図19)まで駆動部材500を近位へ並進させるように作動されて、第1のグループのファスナー600を発射する。外科手術ステープル留め装置10は、第1のグループのファスナー600がカートリッジ300内に最初に配置され、発射の準備ができているか、または第1のグループのファスナー600は、発射する前にカートリッジアセンブリ300内に並進され得る。前述のように、駆動部材500は、任意的に、カートリッジアセンブリ300を通って部分的にしか並進されず、カートリッジアセンブリ300内に配置された第1のグループのファスナー600の一部分のみを発射し得る。駆動部材500が、カートリッジアセンブリ300を通って並進するときに、プッシャー350のポスト362は、入口開口部508と係合し、チャンネル512に進入する(図9および10)。同時に、プッシャー350の遠位傾斜表面364は、駆動部材500の斜面504を係合し、斜面504に沿って並進し、または滑って、細長い部材400およびファスナー600を保持スロット308に向って押す(図11および12)。前に議論されるように、ファスナー600は、保持スリット308のガイド表面316を係合し(図4C〜4E)、ガイド表面316は、保持スロット308を通ってファスナー600をガイドすることを支援し得る。プッシャー350のガイド溝354は、ファスナー600のバックスパン604およびガイド部分606を係合し、保持スロット308を通ってファスナー600を押す(図5G、6A〜6C、12および19)。プッシャー350が、保持スロット308を通ってファスナー600を押すと、ファスナー600は、細長い部材400の開口部404を通り抜け、例えば、バックスパン604は、開口部404のスリット410を通過する。細長い部材は、ファスナーが細長い部材を通り抜けることを可能にするように適合され得る。開口部404は、ファスナー600が開口部を通過することを可能にするように裂かれ、または切られ得る。プッシャー350の各々の一部分はまた、発射中に、細長い部材400の各々の開口部404を通過し得る。一旦ファスナー600が保持スロット308を通して押されると、レッグ602は、アンビルアセンブリ110のファスナー変形くぼみ112によって変形され、それによってアンビルアセンブリ110とカートリッジアセンブリ300との間にクランプされた組織「T」をステープル留め、または締結する(図12、13、および19)。
【0040】
駆動部材500が、完全に発射された位置に向って近位へ並進すると、各ファスナー600は、それぞれの保持スロット308を通って押される。駆動部材500が、プッシャー350の各々を通過して近位へ移動した後に、発射されたプッシャー350は、発射された位置に留まる(図13および19)。代替的に、発射されたプッシャー350は、チャンネル512の遠位部分526から出た後に、駆動部材500のトレイリング部分516上の斜面518に沿って滑ることによって最初の発射されていない位置に向って少なくとも部分的に戻り得る。
【0041】
一旦発射が完了すると、アクチュエータアセンブリ12は、駆動部材500をその最初の位置に戻して並進させるように作動される。駆動部材500がその最初の位置に戻るように並進する間に、駆動部材500は、プッシャー350を発射されていない位置に戻すようにプッシャー350を係合する。例えば、図14〜18において理解されるように、駆動部材500の遠位移動の間に、プッシャー350のポスト362は、チャンネル512の出口開口部514に進入し、プッシャー350を斜面504から引きおろすようにチャンネル512を係合する。ポスト362は、斜面504の底面において入口開口部508から出て、プッシャー350を最初の位置に戻す。ここで、プッシャー350は、細長い部材400から新しいセットのファスナー600を受け取る準備ができる。代替的には、プッシャー350が、発射された位置に留まっていなかった場合、ポスト362がチャンネル512を係合する前に、プッシャー350は、斜面518を係合して、ピーク部分522に向って滑り得る。
【0042】
次に、細長い部材400は、アクチュエータアセンブリ12によってハウジング200およびカートリッジアセンブリ300を通って並進されて、プッシャー350および保持スロット308に第2のグループのファスナー600を提供する。この処理の間に、細長い部材400の空の開口部404は、カートリッジアセンブリ300のチャンネル306または通路322を介してハウジング200に戻る前に、駆動部材500を通過して遠位へ並進される。例えば、第2のグループのファスナー600の一部分またはすべては、カートリッジアセンブリ300内に並進されて、カートリッジアセンブリ300を部分的または完全に再ロードし得る。新しいセットのファスナー600が保持スロット308と整列され、新しいセットのファスナー600がプッシャー314に支持されるように、細長い部材400が、カートリッジアセンブリ300内に位置決めされた場合に、外科手術ステープル留め装置10は、発射される準備ができる。駆動部材500が最初の位置へ遠位に並進する前、間、または後に、細長い部材400は、ハウジング200およびカートリッジ300を通って並進されて、カートリッジ300を再ロードし得ることが考えられる。
【0043】
次に、外科医は、アンビルアセンブリ110およびカートリッジアセンブリ300を開放または接近解除して、締結された組織「T」を解放し得る。代替的には、外科医は、組織「T」の解放の間、または組織「T」を解放した後に、カートリッジアセンブリ300を再ロードし得る。ここで、外科手術ステープル留め装置10のさらなる使用が必要であれば、外科医は、外科手術部位から外科手術ステープル留め装置10を引き抜くことなしに、外科手術部位内で外科手術ステープル留め装置10を操作して、アンビルアセンブリ110とカートリッジアセンブリ300との間に組織「T」の別の部分または別の体の組織を位置決めし得る。例えば、外科医は、アンビルアセンブリ110とカートリッジアセンブリ300との間に組織の新しい部分を把持し、外科手術ステープル留め装置10を発射し、前述のように、外科手術部位から外科手術ステープル留め装置10を取り外すことなしに、外科手術処置に対する所望または必要の回数でカートリッジアセンブリ300を再ロードし得る。これは、外科手術処置の長さを低減させ、伴ったリスクを低減させ、外科医が、処置を実行することと、組織をさらに締結するために外科手術ステープル留め装置10を再ロードし、または取り替えることとに彼の注意を分散させることなしに、外科手術処置に集中することを可能にする。
【0044】
本開示の例示的実施形態が、添付の図面を参照して本明細書に説明されたが、上記説明、開示、および図面は、限定としてではなく、単に特定の実施形態の例示として解釈されるべきである。それ故、本開示は、それらの正確な実施形態に限定されないこと、およびさまざまな他の改変および変更は、本開示の範囲および精神から逸脱することなしに当業者によって実施形態においてもたらされ得ることが理解されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術ステープル留め装置のためのエンドエフェクターであって、該エンドエフェクターは、
複数の通路と管腔とを規定するハウジングであって、該複数の通路と該管腔とは、該ハウジングを通って長手方向に延在する、ハウジングと、
該ハウジングから延在するカートリッジであって、該カートリッジは、該カートリッジを通って長手方向に延在するチャンネルを含み、該カートリッジは、上部表面を有し、該上部表面は、外科手術ファスナーを受け取るために、該上部表面を貫通している複数の保持スロットを有する、カートリッジと、
複数の長手方向に延在する列に配列された複数のファスナーを含む細長い部材であって、該細長い部材は、該スロットの近位位置から該スロットと一列になる位置に該ファスナーを動かすために、該ハウジングおよび該カートリッジを通して、長手方向に並進可能である、細長い部材と、
該カートリッジ内に配置され、かつ該複数の保持スロットに動作可能に関連付けられた複数のプッシャーであって、該複数のプッシャーは、該複数のファスナーを支持するように適合されている、複数のプッシャーと、
該カートリッジを通って移動可能である駆動部材であって、該駆動部材は、該複数の保持スロットを通して該複数のファスナーを押すために、該複数のプッシャーを係合するように適合されている、駆動部材と
を含む、エンドエフェクター。
【請求項2】
前記細長い部材は、可撓性材料から作られている、請求項1に記載のエンドエフェクター。
【請求項3】
前記複数のプッシャーの各々は、ポストを含み、前記駆動部材は、スロットを含み、該複数のプッシャーの各々の該ポストは、該駆動部材の作動の際に該スロットを係合するように適合されている、請求項1に記載のエンドエフェクター。
【請求項4】
前記駆動部材は、該駆動部材から近位へ延在する作動部材を含み、該作動部材は、前記カートリッジを通して該駆動部材を動かすように適合されている、請求項1に記載のエンドエフェクター。
【請求項5】
前記複数のプッシャーの各々は、ガイド溝を含み、前記複数のファスナーの各々は、対応するガイド部分を含み、該ガイド部分は、該プッシャーが前記保持スロットのうちの1つを通して該ファスナーを押す場合に、該ファスナーをガイドするために、該ガイド溝を係合するように適合されている、請求項1に記載のエンドエフェクター。
【請求項6】
前記ハウジングは、上部ハウジングおよび下部ハウジングを含み、前記管腔は、該上部ハウジングと該下部ハウジングとの間に規定されている、請求項1に記載のエンドエフェクター。
【請求項7】
前記ハウジングの前記通路は、前記管腔から延在し、該ハウジングを通して前記ファスナーをガイドするように適合されている、請求項1に記載のエンドエフェクター。
【請求項8】
前記カートリッジは、前記上部表面の裏面上に形成された複数の溝チャンネルを含む、請求項1に記載のエンドエフェクター。
【請求項9】
前記複数の溝チャンネルは、前記ハウジングの前記通路と整列されている、請求項8に記載のエンドエフェクター。
【請求項10】
前記複数の溝チャンネルは、前記上部表面の前記複数の保持スロットと横方向に整列されている、請求項8に記載のエンドエフェクター。
【請求項11】
前記細長い部材は、複数の長手方向に延在する列に配列された複数の開口部を規定し、各開口部は、ファスナーを受け取るように適合されている、請求項1に記載のエンドエフェクター。
【請求項12】
各開口部は、複数の貫通孔を含み、該開口部は、該複数の貫通孔に沿って裂けるように適合されている、請求項11に記載のエンドエフェクター。
【請求項13】
各開口部は、1対の孔と、スリットとを含む、請求項11に記載のエンドエフェクター。
【請求項14】
前記長細い部材は、前記ファスナーが該長細い部材を通り抜けることを可能にするように適合されている、請求項11に記載のエンドエフェクター。
【請求項15】
前記複数の保持スロットは、前記複数の外科手術ファスナーを該複数の保持スロットの中にガイドするように適合されたガイド表面を含む、請求項1に記載のエンドエフェクター。
【請求項16】
各ファスナーは、バックスパンと、該バックスパンから延在する1対のレッグとを含む、請求項1に記載のエンドエフェクター。
【請求項17】
各ファスナーの前記バックスパンは、前記細長い部材の第1の側に配置されており、各ファスナーの前記1対のレッグは、該細長い部材を通って該細長い部材の第2の側へ延在している、請求項16に記載のエンドエフェクター。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図4E】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図5F】
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【図5G】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2013−90915(P2013−90915A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−212815(P2012−212815)
【出願日】平成24年9月26日(2012.9.26)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】