説明

ストライプ塗布装置、ストライプ塗布方法、およびブレード回転機構

【課題】手間なく簡単にストライプ状塗膜のパターンを変更することができ、装置の稼働率の向上を図るのに好適なストライプ塗布装置、ストライプ塗布方法、その装置と方法に用いられるブレード回転機構を提供する。
【解決手段】ストライプ塗布装置Mは、塗液Tの搬送方向と交差するブレード回転軸15を中心としてブレード保持手段16を回転可能に設け、ブレード保持手段16で前記ブレード回転軸15周りに複数の掻取りブレード12A〜12Dを保持し、該ブレード保持手段16の回転により、いずれか一つの掻取りブレード12A〜12Dの先端が搬送される塗液の表面に対向するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紙、不織布、フィルム、ガーゼなどの帯状の基材にストライプ状塗膜を形成するストライプ塗布装置、ストライプ塗布方法、および、その装置と方法に用いられるブレード回転機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の帯状の基材を塗液(例えば粘着剤、塗料など)で連続的に塗布する場合、当該基材に非塗布部と塗布部を塗液の搬送方向に交互にストライプ状に設ける、いわゆるストライプ塗布を施す場合がある。
【0003】
前記ストライプ塗布によるストライプ状塗膜の形成装置としては、例えば特許文献1の図7に記載された塗工装置(101)が知られている。この塗工装置(101)は、塗工液の供給部(123)と被塗工シート(不図示)との間に非塗工部分に対応するように短冊状に塗工阻止テープ(122)を設け、この塗工阻止テープ(122)で非塗工部分への塗工液の供給を阻止することにより、被塗工シート上に非塗工部と塗工部からなるストライプ状塗膜を形成する構造になっている(同文献の段落0003参照)。尚、前記カッコ内の符号は特許文献1で用いられている符号である。次の段落も同様である。
【0004】
しかしながら、前記のような従来の塗工装置によると、塗工阻止テープ(122)の厚さと幅および配置間隔によって、形成されるストライプ状塗膜のパターン、すなわちストライプ状塗膜の膜厚、幅、間隔が決まる。一方、かかる塗工阻止テープ(122)は送り出しロール(117)と巻取りロール(118)とに掛け回されている。そのため、ストライプ状塗膜のパターンを変更しようとする場合には、塗工装置の運転を停止し、送り出しロール(117)と巻取りロール(118)から塗工阻止テープ(122)を取り外す作業、新たに別の厚さの塗工阻止テープを送り出しロール(117)に所定の間隔で掛け回す作業、および、その別の厚さの塗工阻止テープを巻取りロール(118)に掛け回す作業等、大掛かりな作業を行わなければならず、その作業に時間がかかり、装置の稼動効率が悪くなるという問題点がある。
【0005】
【特許文献1】特開2006−26558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は前記問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、手間なく簡単にストライプ状塗膜のパターンを変更することができ、装置の稼働率の向上を図るのに好適なストライプ塗布装置、ストライプ塗布方法、および、その装置と方法に用いられるブレード回転機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明のストライプ塗布装置は、先端に切欠きを有する掻取りブレードを備え、搬送される塗液をその掻取りブレードの先端で一部掻取ることにより、前記切欠きに対応したストライプ状塗膜を形成するストライプ塗布装置であって、前記塗液の搬送方向と交差するブレード回転軸を中心として回転可能に設けられ、該ブレード回転軸周りに前記掻取りブレードを複数保持可能なブレード保持手段と、前記ブレード保持手段を回転させ、前記複数の掻取りブレードのうちいずれか一つの掻取りブレードの先端を前記塗液の表面に対向させるブレード回転手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
前記本発明のストライプ塗布装置において、前記ブレード保持手段に保持される複数の掻取りブレードは、その掻取りブレードごとに、少なくとも先端の切欠きの高さ、幅、または間隔のいずれかが異なるように構成してもよい。
【0009】
前記本発明のストライプ塗布装置においては、前記ブレード保持手段を待機位置へ移動させることにより、前記搬送される塗液の表面に対向している前記掻取りブレードを当該塗液の表面から遠ざける移動手段を具備する構成を採用してもよい。
【0010】
前記本発明のストライプ塗布装置においては、前記切欠きの高さが、前記掻取りブレードによる掻取り前の塗液の膜厚より低くなるように設けられる構成を採用することもできる。
【0011】
また、本発明のストライプ塗布方法は、先端に切欠きを有する掻取りブレードを備え、搬送される塗液をその掻取りブレードの先端で一部掻取ることにより、前記切欠きに対応したストライプ状塗膜を形成するストライプ塗布方法であって、前記掻取りブレードを回転可能なブレード保持手段で複数保持し、前記ブレード保持手段の回転により、前記複数の掻取りブレードのうちいずれか一つの掻取りブレードの先端が前記塗液の表面に対向し該塗液を一部掻取ることを特徴とする。
【0012】
前記本発明のストライプ塗布方法において、前記ブレード保持手段に保持される複数の掻取りブレードは、その掻取りブレードごとに、少なくとも先端の切欠きの高さ、幅、または間隔のいずれかが異なるように構成してもよい。
【0013】
前記本発明のストライプ塗布方法においては、前記切欠きの高さが、前記掻取りブレードによる掻取り前の塗液の膜厚より低くなるように設けられる構成を採用することもできる。
【0014】
また、本発明のブレード回転機構は、塗液の搬送方向と交差するブレード回転軸を中心として回転可能に設けられ、先端に切欠きを有する掻取りブレードを前記ブレード回転軸周りに複数保持可能なブレード保持手段と、前記ブレード保持手段を回転させ、前記複数の掻取りブレードのうちいずれか一つの掻取りブレードの先端を前記塗液の表面に対向させるブレード回転手段とからなり、前記対向した掻取りブレードの先端で前記塗液を一部掻取ることにより前記切欠きに対応したストライプ状塗膜を形成可能とすることを特徴とする。
【0015】
前記本発明のブレード回転機構において、前記ブレード保持手段に保持される複数の掻取りブレードは、その掻取りブレードごとに、少なくとも先端の切欠きの高さ、幅、または間隔のいずれかが異なるように構成してもよい。
【0016】
前記本発明のブレード回転機構においては、前記切欠きの高さが、前記掻取りブレードによる掻取り前の塗液の膜厚より低くなるように設けられる構成を採用することもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のストライプ塗布装置、ストライプ塗布方法、およびブレード回転機構にあっては、上記の如く、ブレード保持手段で掻取りブレードを複数保持し、そのブレード保持手段の回転により、いずれか一つの掻取りブレードの先端が搬送される塗液の表面に対向する構成を採用した。このため、ストライプ状塗膜のパターンを変更する場合には、搬送される塗液の表面に対向している掻取りブレードを別の掻取りブレードに変更すればよく、その変更は前記ブレード保持手段を回転させるだけの簡単な作業で済むから、ストライプ状塗膜のパターン変更作業を塗布装置の運転を停止することなく短時間で行うことができ、この種のストライプ塗布装置の稼動効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、添付した図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
図1は本発明のストライプ塗布方法、ブレード回転機構を適用したストライプ塗布装置の概略図、図2は図1のストライプ塗布装置に設けられているブレード回転機構の拡大図である。
【0020】
本ストライプ塗布装置Mは、図1に示したように帯状の基材Nを移送する移送手段1を備えており、移送手段1は、帯状の基材Nをロール状に巻装した繰出しロール2と、当該基材Nを巻き取るための巻取りロール3とを備え、図示しないドライブロール等によって繰出しロール2から繰り出された帯状の基材Nを巻取りロール3で巻き取る構造になっている。
【0021】
前記基材Nの移送経路には転写手段4が設けられている。転写手段4は、移送される基材Nを挟んで対向配置されたバッキングロール5とアプリケーションロール6、及び、アプリケーションロール6の外周面に塗液を供給する塗液供給手段7を備えており、塗液供給手段7は、アプリケーションロール6の外周面とこれに隣接して配置されたロール状ナイフ8の外周面とで断面がロート状の塗液貯留部9を形成し、この塗液貯留部9から回転するアプリケーションロール6の外周面に塗液Tを供給塗布する。ここでの塗液Tの供給塗布は、アプリケーションロール6の全外周面に塗液を塗布する形態、いわゆるベタ塗り(全面塗布)の形態である。
【0022】
本ストライプ塗布装置Mにおいては、アプリケーションロール6の外周面に塗布された塗液Tを基材Nの表面へ転写するが、転写前に、そのアプリケーションロール6の回転によって搬送されるアプリケーションロール外周面6aの塗液Tを一部掻取ることによりストライプ状塗膜S(図5参照)を形成する手段として、前記転写手段4に掻取り手段10を設けている。
【0023】
掻取り手段10は、図2に示したように、アプリケーションロール外周面6aの塗液Tを一部掻取るための複数の掻取りブレード12A〜12Dと、アプリケーションロール6の回転方向、すなわちアプリケーションロール外周面6aによる塗液Tの搬送方向と交差するブレード回転軸15と、ブレード回転軸15周りに前記複数(本実施形態では4つ)の掻取りブレード12A〜12Dを保持したブレード保持手段16と、前記複数の掻取りブレード12A〜12Dを前記ブレード回転軸15周りに回転移動させるブレード回転手段17と、前記ブレード保持手段16を図2の二点破線のようにスタンバイ位置へ移動させる移動手段18とを含んで構成される。
【0024】
図3(a)(b)(c)に示したように、複数の掻取りブレード12A〜12Dは、いずれも先端に複数の切欠き11を有するが、それぞれの切欠き11の高さ、幅、間隔のいずれかは掻取りブレード12A〜12Dごとに異なる。第1の掻取りブレード12Aは、例えば図5に示す幅、間隔、膜厚のストライプ状塗膜を形成するために、その幅、間隔、膜厚に対応する切欠き11が設けられる。第2の掻取りブレード12Bについては、図5とは別の幅、間隔、膜厚のストライプ状塗膜を形成するために、その別の幅、間隔、膜厚に対応する別の切欠き11が設けられる。第3と第4の掻取りブレード12C、12Dについても同様である。本発明のブレード回転機構は、前記ブレード保持手段16と前記ブレード回転手段17とから構成される。
【0025】
図2に示すように前記ブレード保持手段16は、ブレード回転軸15の外周面に軸受19を介して回転可能に取り付けられた円形の回転板20からなり、この回転板20の回転中心周り(ブレード回転軸15周り)にブレードホルダ21を介して複数の掻取りブレード12A〜12Dを取り付けることにより、ブレード回転軸15周りに前記複数の掻取りブレード12A〜12Dを保持する構造になっている。図1、図2においては掻取りブレード12が4つの場合を示したが、これに限られず、掻取りブレード12は2つ以上であればよく、3つ、5つ、6つでもよい。ブレードホルダ21の具体的な構造については後述する。
【0026】
前記ブレード回転手段17は、回転板20の外周にウォームホイール22を設け、このウォームホイール22と噛み合うウォームギア23付きの軸24を軸受25で回転可能に支持した構造になっており、その軸24の先端に取り付けたハンドル26の回転操作により、ウォームホイール22とウォームギア23を介して、前記複数の掻取りブレード12A〜12Dがブレード回転軸15周りに回転し、そのいずれか一つの掻取りブレード12A〜12Dの先端が前記のように搬送されるアプリケーションロール外周面6aの塗液Tの表面に対向するように構成されている。
【0027】
図1に示すように前記移動手段18は、図示しない装置フレーム等に固定され前記ブレード回転軸15に対して平行に配置されたアーム回転軸27と、アーム回転軸27に軸受28を介して回転可能に取り付けた揺動アーム29とを有し、揺動アーム29の上端で前記ブレード回転軸15を支持することにより、ブレード保持手段16全体を支持する構造になっている。また、揺動アーム29の下端にはシリンダ装置等からなるアクチュエータ手段30が連結されており、アクチュエータ手段30によって揺動アーム29の下端を引っ張ると、揺動アーム29の上端と一緒にブレード保持手段16が、アプリケーションロール外周面6aから離れる方向に揺動し、図1、図2の二点破線のように待機位置へ移動するとともに、前記のように塗液Tの表面に対向している掻取りブレード12Aの先端が、当該塗液Tの表面から遠ざかる。逆にアクチュエータ手段30で揺動アーム29の下端を押し出すと、掻取りブレード12Aの先端が当該塗液Tの表面に接近する。
【0028】
ここで、掻取りブレード12Aのブレードホルダ21について説明する。本ストライプ塗布装置Mでは、かかるブレードホルダ21の具体的な構成として、図3(b)のように押え板14の凹部15に掻取りブレード12Aを装着した状態で、その押え板14と調整用ブレード13とで掻取りブレード12Aを挟んでネジ31で固定する構造を採用している。この構造において、調整用ブレード13は、掻取りブレード12Aの表面側、すなわち図3(c)のように掻取られた塗液T1が溜まる面側に配置されるようにしている。
【0029】
また、前記調整用ブレード13は、ネジ31を緩めることで切欠き11の高さH2方向に所定量スライドでき、このスライドにより掻取りブレード12A先端の「切欠きの高さH2」が掻取りブレード12Aによる「掻取り前の塗液の膜厚H1」に比し低くなるように調整することで、切欠き11上部の余計な隙間をなくし、そのような隙間を通じて掻取られた塗液が掻取りブレード12Aの裏面側へ回り込むことを防止するように構成されている。例えば、図3(c)に示す位置にある調整用ブレード13を切欠き11の上方へスライドさせると、図4(c)のように切欠き11の高さH2は高くなる。また、この調整用ブレード13と押え板14は、掻取りブレード12全体を補強し、掻取りブレード12先端の振れを防止する手段としての機能も有する。
【0030】
他の掻取りブレード12B〜12Dのブレードホルダ21も、以上説明した掻取りブレード12Aのブレードホルダ21と同様に構成されており、同一部材には同一符号を付し、その詳細説明は省略する。
【0031】
以上説明した本実施形態において、「掻取り前の塗液の膜厚H1」とは、図3(c)又は図4(c)のように、アプリケーションロール6の外周面6aに塗布されている塗液の表面からアプリケーションロール6の外周面6aに垂直に降ろした垂線の足の長さH1であるものとする。
【0032】
また、「切欠きの高さH2」とは、図3(c)又は図4(c)のように、アプリケーションロール6の外周面6aに掻取りブレード12Aの先端を当接させた状態において、調整用ブレード13の最先端からアプリケーションロール6の外周面6aに垂直に降ろした垂線の足の長さH2であるものとする。
【0033】
尚、図3(c)と図4(c)では説明の便宜上、アプリケーションロール6の外周面6aを平面で示したが、その外周面6aは実際は曲面である。図3(b)、図4(b)も同様である。
【0034】
次に、前記の如く構成された本実施形態のストライプ塗布装置の動作について図1、図2を基に説明する。
【0035】
本ストライプ塗布装置Mにおいては、図1の矢印R1で示す方向へのアプリケーションロール6の回転により、その外周面6aに塗液貯留部9の塗液Tが供給塗布され、塗布された塗液Tが掻取りブレード12Aの方向へ順次搬送される。そして、例えば、図2のように第1の掻取りブレード12Aの先端がアプリケーションロール6の外周面6aに当接している場合には、その掻取りブレード12Aの先端で当該塗液Tの一部が掻取られることにより(図3(c)参照)、掻取りブレード12A先端の切欠き11の幅、間隔、高さH2に対応したストライプ状塗膜S(図5(a)参照)がアプリケーションロール6の外周面6aに形成される。
【0036】
そして、アプリケーションロール6の回転に対応してバッキングロール5が図1中矢印R2で示す方向に回転し、これらのロール5、6の回転に対応して繰出しロール2から繰り出された基材Nがバッキングロール5とアプリケーションロール6の間を通過する。このとき、上述の掻取り動作によってアプリケーションロール6の外周面6aに形成されたストライプ状塗膜Sが基材Nの表面に転写され、転写後の基材Nは例えば図示しない乾燥工程等を経て最終的に巻取りロール3に巻き取られる。
【0037】
前記図1においては、アプリケーションロール6の回転方向は矢印R1で示す方向としたが、矢印R1と逆方向に回転してストライプ状塗膜Sを基材Nに転写させてもよい。その場合には塗液供給手段7と掻取り手段10の設置位置をアプリケーションロール6に対して逆に配置する必要がある。具体的には、図1において、アプリケーションロール6の左側にある塗液供給手段7を右側に、アプリケーションロール6の右側にある掻取り手段10を左側に配置する。
【0038】
以上のように形成されるストライプ状塗膜のパターン、すなわち幅、間隔、膜厚を別のパターンに変更する場合には、移動手段18によってブレード保持手段16を図2の二点破線のように待機位置まで移動させる。そして、他の掻取りブレード12B〜12Dの中から別のパターンに合った掻取りブレード、例えば掻取りブレード12Cを選択し、ハンドル26の操作で当該ブレード保持手段16を回転させ、選択した掻取りブレード12Cの先端が前記のように搬送される塗液Tの表面を向くようにセットする。次に、移動手段18によって待機位置からアプリケーションロール6方向へブレード保持手段16を移動させ、選択された掻取りブレード12Cの先端をアプリケーションロール外周面6aに当接させる。以後は、選択された掻取りブレード12Cの先端でアプリケーションロール外周面6aの塗液Tの一部が掻取られるから、選択された掻取りブレード12Cの切欠き11の幅、間隔、高さH2に対応した別パターンのストライプ状塗膜Sが得られる。
【0039】
尚、以上説明した動作例では、待機位置でブレード保持手段16を回転させることにより掻取りブレードの選択を行うようにしているが、その待機位置より前のアプリケーションロール外周面6aに近い位置でそのような選択の動作を行ってもよい。
【0040】
また、本ストライプ塗布装置Mにおいては、前記のような掻取りブレードの選択による変更を行うことなく、いずれか一つの掻取りブレード12A〜12Dだけでも、形成されるストライプ状塗膜Sの膜厚を変更することができる。すなわち、本装置Mの場合、形成されるストライプ状塗膜Sの膜厚は切欠き11の高さH2に依存するから、例えば、第1の掻取りブレード12Aにおいて図3(c)に示すストライプ状塗膜Sの膜厚をそれより更に厚く形成したい場合は、ネジ31を緩め、図3(c)に示す位置にある調整用ブレード13を図4(c)のように上方(アプリケーションロール6の外周面6aから遠ざかる方向)へスライドさせるだけでよい。
【0041】
ところで、掻取りブレード12Aの先端で掻取られた塗液T1は図3(c)のように掻取りブレード12Aの表面側に溜まる。しかしながら、本装置Mでは、調整用ブレード13により、切欠き11の高さH2が掻取り前の塗液の膜厚H1より低くなるように調整されているため、切欠き11上部に余分な隙間はできず、そのような余分な隙間を通じて掻取られた塗液T1が調整用ブレード13の裏面へ回り込むこともない。従って、平坦な表面のストライプ状塗膜Sがアプリケーションロール6の外周面6aに形成される。
【0042】
図1のストライプ塗布装置Mにおいては、ストライプ状塗膜の形成方式として、基材Nへ転写する前の塗液Tを例えば掻取りブレード12Aで一部掻取る方式を採用したが、これに代えて、基材Nに塗液Tを直接塗布するとともに、その基材N上の塗液Tを掻取りブレード12Aで一部掻取ることにより基材N上にストライプ状塗膜を直接形成する方式を採用してもよい。塗液供給手段7については、図1に示した型式に限られず、ダイ方式、ロール方式、グラビア方式等の手段を用いてもよい。
【0043】
また、前記実施形態ではストライプ状塗膜Sの断面形状を矩形とするため、矩形の切欠き11を採用したが、切欠き11の形状はそれに限定されず適宜変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明のストライプ塗布方法、ブレード回転機構を適用したストライプ塗布装置の概略図。
【図2】図1のストライプ塗布装置に設けられているブレード回転機構の拡大図。
【図3】図3は図1のストライプ塗布装置に設けられている掻取りブレードとそのブレードホルダの説明図であって、(a)は掻取りブレードとそのブレードホルダの斜視図、(b)は掻取りブレードとブレードホルダの断面図、(c)は図(b)中のC部の拡大図である。
【図4】図4は図1のストライプ塗布装置に設けられている掻取りブレードとそのブレードホルダの説明図であって、(a)は切欠きの高さを高く調整した状態の掻取りブレードの斜視図、(b)はその掻取りブレードの断面図、(c)は図(b)中のC部の拡大図である。
【図5】掻取りブレードによる掻取り動作とそれにより形成されるストライプ状塗膜の説明図。
【符号の説明】
【0045】
1 移送手段
2 繰出しロール
3 巻取りロール
4 転写手段
5 バッキングロール
6 アプリケーションロール
6a アプリケーションロールの外周面
7 塗液供給手段
8 ロール状ナイフ
9 塗液貯留部
10 掻取り手段
11 切欠き
12A、12B、12C、12D 掻取りブレード
13 調整用ブレード
14 押え板
15 ブレード回転軸
16 ブレード保持手段
17 ブレード回転手段
18 移動手段
19 軸受
20 回転板
21 ブレードホルダ
22 ウォームホイール
23 ウォームギア
24 軸
25 軸受
26 ハンドル
27 アーム回転軸
28 軸受
29 揺動アーム
30 アクチュエータ手段
31 ネジ
M ストライプ塗布装置
N 基材
T 塗液
T1 掻取られた塗液
H1 掻取り前の塗液の膜厚
H2 切欠きの高さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に切欠きを有する掻取りブレードを備え、搬送される塗液をその掻取りブレードの先端で一部掻取ることにより、前記切欠きに対応したストライプ状塗膜を形成するストライプ塗布装置であって、
前記塗液の搬送方向と交差するブレード回転軸を中心として回転可能に設けられ、該ブレード回転軸周りに前記掻取りブレードを複数保持可能なブレード保持手段と、
前記ブレード保持手段を回転させ、前記複数の掻取りブレードのうちいずれか一つの掻取りブレードの先端を前記塗液の表面に対向させるブレード回転手段と、
を備えることを特徴とするストライプ塗布装置。
【請求項2】
前記ブレード保持手段に保持される複数の掻取りブレードは、その掻取りブレードごとに、少なくとも先端の切欠きの高さ、幅、または間隔のいずれかが異なること
を特徴とする請求項1に記載のストライプ塗布装置。
【請求項3】
前記ストライプ塗布装置は、
前記ブレード保持手段を待機位置へ移動させることにより、前記搬送される塗液の表面に対向している前記掻取りブレードを当該塗液の表面から遠ざける移動手段を具備すること
を特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のストライプ塗布装置。
【請求項4】
前記切欠きの高さが、前記掻取りブレードによる掻取り前の塗液の膜厚より低くなるように設けられていること
を特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のストライプ塗布装置。
【請求項5】
先端に切欠きを有する掻取りブレードを備え、搬送される塗液をその掻取りブレードの先端で一部掻取ることにより、前記切欠きに対応したストライプ状塗膜を形成するストライプ塗布方法であって、
前記掻取りブレードを回転可能なブレード保持手段で複数保持し、
前記ブレード保持手段の回転により、前記複数の掻取りブレードのうちいずれか一つの掻取りブレードの先端が前記塗液の表面に対向し該塗液を一部掻取ること
を特徴とするストライプ塗布方法。
【請求項6】
前記ブレード保持手段に保持される複数の掻取りブレードは、その掻取りブレードごとに、少なくとも先端の切欠きの高さ、幅、または間隔のいずれかが異なること
を特徴とする請求項5に記載のストライプ塗布方法。
【請求項7】
前記切欠きの高さが、前記掻取りブレードによる掻取り前の塗液の膜厚より低くなるように設けられていること
を特徴とする請求項5または6のいずれかに記載のストライプ塗布方法。
【請求項8】
塗液の搬送方向と交差するブレード回転軸を中心として回転可能に設けられ、先端に切欠きを有する掻取りブレードを前記ブレード回転軸周りに複数保持可能なブレード保持手段と、
前記ブレード保持手段を回転させ、前記複数の掻取りブレードのうちいずれか一つの掻取りブレードの先端を前記塗液の表面に対向させるブレード回転手段とからなり、
前記対向した掻取りブレードの先端で前記塗液を一部掻取ることにより前記切欠きに対応したストライプ状塗膜を形成可能とすること
を特徴とするブレード回転機構。
【請求項9】
前記ブレード保持手段に保持される複数の掻取りブレードは、その掻取りブレードごとに、少なくとも先端の切欠きの高さ、幅、または間隔のいずれかが異なること
を特徴とする請求項8に記載のブレード回転機構。
【請求項10】
前記切欠きの高さが、前記掻取りブレードによる掻取り前の塗液の膜厚より低くなるように設けられていること
を特徴とする請求項8または9のいずれかに記載のブレード回転機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−161767(P2008−161767A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−351715(P2006−351715)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000102980)リンテック株式会社 (1,750)
【Fターム(参考)】