説明

ストリップの赤外線温度測定

バイオセンシング機器内部の赤外線センサを含むことによって、ストリップの反応部位でのものを含む、電気化学的試験ストリップ上の温度の直接的な評価を可能にするシステム及び方法が提供される。検体測定システムは、赤外線センサが、試験ストリップに関する温度を評価するために使用され、取得した温度情報を使用し、生体サンプル中の検体に関するデータを調整し、それによって正確な検体の測定値を提供することができる、検体測定システムが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2008年10月21日出願の米国特許仮出願第61/107,002号に対する優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、血糖測定器のような医療診断システムによる、検体濃度の検出に関する。
【背景技術】
【0003】
バイオセンシング機器は、血液サンプル中の様々な検体(例えば、グルコース及びコレステロール)の検出のために使用される。例えば、血糖測定器は、患者の血液中のグルコース濃度を測定するために使用される医療診断機器であり、血液サンプルを受容するためのウェル又は反応領域を有する、使い捨てのサンプルストリップを採用する場合がある。一部の測定器は、血液サンプルを通過し得る電気量を測定することによってグルコース濃度を判定するセンサアセンブリを含むが、一方で他の測定器は、サンプルから反射する光量を測定するセンサアセンブリを含む。測定器のマイクロプロセッサは、次いでセンサアセンブリからの測定された電気又は光を使用して、グルコース濃度を算定し、このグルコース濃度を数字で表示する。
【0004】
血液中の化学物質の濃度を測定する、電気化学的方法の重要な制限は、検体の拡散、及び試薬の様々な活性成分についての、交絡変数の影響である。例えば、検体の指数は、サンプルウェル又は反応領域を取り囲む、周囲温度によって影響を受ける。いずれの電気化学的検知方法の場合でも、測定サイクル中、又は測定サイクルの合間の温度の過渡的変化は、バックグラウンド信号、反応定数、及び/又は拡散係数を変動させる可能性がある。したがって、経時的な温度変化を観察するために、温度センサを使用する場合がある。経時的な最大温度変化の限界値をデータ画面上で使用し、測定値を無効化することができる。絶対的な温度の限界基準もまた利用可能であり、最低温度、及び/又は最高温度の検出をデータ画面上で使用し、測定値を無効化することができる。グルコースセンサのマイクロプロセッサは、試験環境の温度が所定の限界値の範囲内にあるか否かについて判定し、精度に悪影響を及ぼす恐れがある場合には、ユーザによる試験の実行を禁止することができる。それゆえ、グルコース測定器のいずれの温度検知要素も、グルコース測定器内部で発生する熱によって(例えば、バックライト液晶ディスプレイによって)影響を受けないことが重要である。
【0005】
グルコース測定器の温度検知要素は、測定器を取り囲む周囲温度へのアクセスを有するべきである。バイオセンシングデバイスによって読み取られる生化学反応の温度感度を考慮して、サンプル中の検体濃度の評価の間は、温度センサによって得られる周囲温度の値が直接使用される。結果として、検知された周囲温度における比較的軽微な変化であっても、生化学的指数における変動を生じさせ、誤ったアウトプットをもたらし得る。バイオセンシングデバイスによって提供されるアウトプットは、とりわけ薬剤の投与に関する、患者の判断に影響を与えることを意図するため、誤った指数を避けることが非常に重要である。したがって、バイオセンシング機器は、不正確な、又は紛らわしい周囲温度指数から生じる誤ったアウトプットを避けるための手段を含むべきである。
【0006】
様々な従来技術の機器が、周囲温度についての情報を取得するために、内部熱センサ又は外部熱センサを採用しているが(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)、一方で、他の機器は反応領域の温度を制御するよう試みて、また他のデバイスは、交流アドミッタンス測定値と組み合わせて周囲温度センサの使用に依存する複雑なアルゴリズムを使用することにより、血液サンプル温度の間接的な測定値を得ることを試みている(特許文献3を参照)。
【0007】
周囲温度を敏感に検知するセンサは、温度変化に迅速に反応し、それによって適時に情報を提供することが可能であるが、特定の状況下では、この属性が望ましくない結果を招く恐れがある。例えば、通常はユーザの手中に保持されるバイオセンシング機器が、テーブルの天板上に置かれると、急激な温度変化が発生する場合があり、周囲温度指数が安定するまでは、以降の生化学的指数を偏倚させる恐れがある。反応領域の温度の制御を試みる機器については、そのバイオセンシング機器がバッテリー駆動の場合、反応領域の温度の制御は、必要とされるこの機器のバッテリーからの電力ドレインが大きすぎるため、非実用的なものになる。更に、特許文献3に記載されるような特定の手法は、周囲温度の推定の問題に対して一般的な解決方法を提供するものではなく、その特許に記載の手法は、特定のグルコースストリップとの使用のために設計されており、そのストリップの化学的特性、又はストリップの幾何学形状を変更した場合、開示されたアルゴリズムを修正しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5,405,511号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2006/0229502号明細書
【特許文献3】米国特許第7,407,811号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これらの問題を克服し得る温度検知システム、また他の場合は、バイオセンシング機器による検体測定の精度を改善し得る温度検知システムが、今なお必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様では、本発明は、検体測定システム内に挿入される試験ストリップに関連する温度を評価するために赤外線センサを使用することを含む方法を目的とし、このシステムは、ハウジングと、ハウジング内部に、又はハウジングに近接して配置され、かつ試験ストリップを受容するための開口を有する、検体測定構成要素であって、この検体測定構成要素は、試験ストリップ上の検体を測定することにより、検体測定データを提供する、検体測定構成要素と、ハウジング内部に少なくとも部分的に配置された赤外線センサと、ハウジング内部に配置され、赤外線センサからの温度データを使用して、検体測定データを調整する、プロセッサと、を含む。
【0011】
別の態様では、本発明は、ハウジングと、ハウジング内部に、又はハウジングに近接して配置され、かつ試験ストリップを受容するための開口を有する、検体測定構成要素であって、この検体測定構成要素は、試験ストリップ上の検体を測定することにより検体測定データを提供する、検体測定構成要素と、ハウジング内部に少なくとも部分的に配置された赤外線センサと、ハウジング内部に配置され、赤外線センサからの温度データを使用して、検体測定データを調整する、プロセッサと、を含む、システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】検体試験ストリップの赤外線透過率を評価するために設計された実験の結果。
【図2】検体試験ストリップの赤外線反射率を評価するために設計された実験の結果。
【図3A】検体測定構成要素の開口内に挿入される試験ストリップの一部分を測定することができる、検体測定システムのハウジング内部に配置された赤外線センサを特徴とする、例示の実施形態。
【図3B】検体測定構成要素の開口内に挿入されるストリップの一部分の、赤外線温度測定の結果。
【図4】本発明の方法及びシステムによる例示的な検体測定システムの、部分的に透明な側面図。
【図5A】赤外線センサと、光導体と、を含む実験用システム。
【図5B】実験用デバイスの外側に位置決めされた標準グルコースストリップの温度の測定の結果。
【図5C】温度測定に関して認められた誤差。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、本開示の一部を形成する、添付図面及び実施例に関連して解釈される以下の詳細な説明を参照することにより、より容易に理解することができる。本発明は、本明細書に記載する及び/又は示す特定の製品、方法、条件又はパラメータに限定されるものではなく、本明細書で使用される専門用語は実施例を用いて具体的な実施形態を記載する目的のためだけのものであり、請求した発明を制限することを意図するものではないことが理解されるべきである。
【0014】
バイオセンシング機器を取り囲む周囲温度を、センサ(例えばサーミスタ、温度計、又は熱電対デバイス)によって測定することは、生体サンプル中の1つ以上の検体の測定精度を改善するために使用され得る情報を提供することができ、そのような温度測定は、関連の電気化学的反応の部位(試験ストリップのウェル又は反応領域であることが多い)での実際の温度の推定値を表す。更に、バイオセンシング機器は、一般的に、コンパクトなデバイスであり、バックライトを備えた液晶ディスプレイ、データ処理用の大型プロセッサ、無線通信用の高周波構成要素、及び多くの他の電子構成要素若しくはサブアセンブリが組み込まれる場合が多く、こうした構成要素は、電力を消費し、結果として熱放散をもたらす。内部で電力消散するコンパクトなデバイスの内部温度は、有意に、周囲温度を超えて上昇する場合があり、このことは、内部サーミスタを使用する測定値が実際の周囲温度を表さない場合があることを意味し得る。その結果、このことは、試験ストリップのサンプルウェル又は反応領域から導き出される検体指数に影響を及ぼし得る。
【0015】
反応部位での温度の直接的な測定は、サンプルとストリップのセンサアセンブリとの間の反応に影響を及ぼす実際の温度条件を、その機器が補正できるようにすることにより、試験サンプル中の検体の正確な測定を実施する機器の能力を大きく改善させ得ることが現在見出されている。本発明は、バイオセンシング機器の構成要素として赤外線センサを含むことによって、ストリップの反応部位でのものを含む、電気化学的試験ストリップに関連する温度の直接的な評価を可能にする。赤外線の使用による温度の直接的な測定は、検体濃度に関する正確な指数を提供するバイオセンシング機器の能力を大きく改善し、これにより、薬剤、医師若しくは看護師との相談、又は他の処置選択肢に関する、適切かつ適時な判断に必要な医療情報を得るためのユーザの能力に、明白な効果をもたらす。更に、本発明は、周囲温度を推定するために、単一の非赤外線センサが使用されているデバイスにおいて、デバイスの向き、電力変動、及び温度指数を歪める恐れがある他の要因に左右されない温度決定を可能にする。
【0016】
一態様では、本発明は、検体測定システム内に挿入される試験ストリップに関連する温度を評価するために赤外線センサを使用することを含む方法を目的とし、このシステムは、ハウジングと、ハウジング内部に、又はハウジングに近接して配置され、かつ試験ストリップを受容するための開口を有する、検体測定構成要素であって、この検体測定構成要素は、試験ストリップ上の検体を測定することにより検体測定データを提供する、検体測定構成要素と、ハウジング内部に少なくとも部分的に配置された赤外線センサと、ハウジング内部に配置され、赤外線センサからの温度データを使用して、検体測定データを調整する、プロセッサと、を含む。
【0017】
別の態様では、本発明は、ハウジングと、ハウジング内部に、又はハウジングに近接して配置され、かつ試験ストリップを受容するための開口を有する、検体測定構成要素であって、この検体測定構成要素は、試験ストリップ上の検体を測定することにより検体測定データを提供する、検体測定構成要素と、ハウジング内部に少なくとも部分的に配置された赤外線センサと、ハウジング内部に配置され、赤外線センサからの温度データを使用して、検体測定データを調整する、プロセッサと、を含む、システムを提供する。
【0018】
特に指定のない限り、特定の実施形態、機構、構成要素、又は機能の説明は、本発明の方法、及び本発明のシステムの双方に適用される。例えば、「システム」への言及は、本発明の方法の「検体測定システム」、及び別個の請求項に記載の「システム」の双方に適用される。
【0019】
検体測定システムはグルコース又はコレステロールモニターデバイスであってもよい。こうしたデバイスは、生体サンプルがストリップ上の適切な場所に配置される前又は後のいずれかに、ユーザによって挿入される試験ストリップを収容するために使用されるポート又は他の構成要素を含んでもよい。試験ストリップは、好ましくは電気化学的試験ストリップ、すなわち、血液などの生体サンプル中の1つ以上の検体の濃度を反映する電気信号を発生するように構成されている試験ストリップである。「試験ストリップに関連する」温度は好ましくは、試験ストリップに直接隣接する(例えば、試験ストリップの約5mm以内、約3mm以内、又は約1mm以内)空気の温度、試験ストリップそれ自体の1つ以上の部分の温度、試験ストリップ上のサンプルの温度、又はそれらのいずれかの組み合わせ、すなわち先行する温度のいずれかの組み合わせに対応する複数の指数である。例えば、試験ストリップが長さLを有する場所では、本発明の方法及びシステムは、検体測定システムの検体測定構成要素の開口内に挿入される試験ストリップの末端部から約1/3L以下の距離で配置される試験ストリップの一部分上で、温度を評価するために使用され得る。他の実施形態では、試験ストリップは長さLを有し、温度は、検体測定構成要素の開口内に挿入される試験ストリップの末端部から約1/3Lを超える距離で配置される試験ストリップの一部分上で評価されてもよい。試験ストリップが長さLを有するときに、温度は、前述の検体測定構成要素の開口内に挿入される試験ストリップの末端部から約2/3Lを超える距離で配置される試験ストリップの一部分上で評価されてもよく、又は別の方法として評価されてもよい。
【0020】
試験ストリップに関連する温度は、2回以上評価されてもよい。例えば、温度は、試験ストリップに直接隣接する(例えば、試験ストリップの約5mm以内、約3mm以内、又は約1mm以内)空気の温度、試験ストリップそれ自体の1つ以上の部分の温度、試験ストリップ上のサンプルの温度、又はそれらのいずれかの組み合わせに関して2回以上評価されてもよい。試験ストリップ上の同じ場所又は試験ストリップの付近は、2回以上評価されてもよく、又は2つ以上の異なる場所のそれぞれは2回以上評価されてもよい。試験ストリップに関連する温度の評価から導き出されるデータの一部又は全て(すなわち、試験ストリップに関連する1回以上評価された温度の一部又は全て)は、システムの検体測定構成要素によって測定される試験測定データを調整するために使用されてもよい。試験ストリップに関連する複数の温度が評価されるとき、個々の評価が、いずれかの望ましいインターバルで経時的に発生する場合があり、そのようなインターバルは、秒、秒、分の率であってもよく、インターバルは同じ持続時間、又は1つ以上の異なる持続時間であってもよい。
【0021】
本発明のシステムは、内部スペースを実質的に画定するハウジングを含む。このハウジングは、任意の好適な材料で作製することができ、ハウジング内部に不可欠な構成要素を収容可能な、任意の形状を採用することができる。多くのバイオセンシング機器は、1つ以上の成形部品から組み立てられるプラスチックのシェルを含む、ハウジングを有する。例えば、ハウジングは、デバイスの第1の半部分及び第2の半部分を含むシェルであってもよく、一方の半部分は、水平静止位置で(例えば、テーブル天板上で)デバイスの「上」部分を形成し、他方の半部分は、デバイスの「下」部分を形成し、これら2つの半部分は、一体型シェルを形成するための相互の確実な取り付けを可能にするように、また内部構成要素、部分的にハウジングの外部に存在し得る構成要素(例えば、スイッチ、インターフェイスボタン、ディスプレイ構成要素等)、ハウジングの組み立てに必要な機構(連結部品、又はネジ穴若しくはリベット穴など)、バッテリー(すなわち、ハウジングは、バッテリーポート及び/又はバッテリードアを含み得る)、通気口などを収容するように構成されている。ハウジングはまた、ハウジングの外側側部上のゴムグリップ部分のような、ユーザのバイオセンシング機器を把持する能力を高める、1つ以上のコーティングされた区域を特徴とすることもできる。検体測定システムのハウジングを形成するために適切に使用できる、寸法、形状、及び材料のパラメータは、当業者によって容易に理解されよう。
【0022】
検体測定構成要素は、ハウジング内部、又はハウジングに近接して配置される。換言すれば、検体測定構成要素は、部分的に、又は完全にハウジング内部に配置されてもよく、ハウジングに取り付けても、又は別の方法で装着してもよく、ハウジングによって少なくとも部分的に画定されてもよく、あるいはこれらのいずれの組み合わせであってもよい。検体測定構成要素は、試験ストリップを受容するための開口を含み、試験ストリップ上の検体の測定が可能であり、すなわち、試験ストリップ上の生体サンプル内に存在する検体を測定することができ、これによって、システムの他の構成要素に伝達可能な、検体測定データを提供する。検体測定構成要素は、従来のバイオセンシング機器においても見受けられ、例えば、開口は、ハウジングの一方の末端部に配置され(実際には、開口を画定するように、ハウジングが成形され得る)、試験ストリップの挿入された末端部と接触して、生体サンプルを保持するストリップ末端部から試験ストリップの挿入された末端部へと伝わってきた電気信号を受信する電気的構成要素を含む。開口は、典型的には、試験ストリップと同じ幅を有し、ユーザによって試験ストリップが挿入される、溝、又はスロットを含む。電気的構成要素は、マイクロプロセッサのようなハウジング内部の処理装置と連動し、この処理装置には、電気的構成要素によって、試験ストリップから受信した信号に対応する検体測定データが供給される。検体測定構成要素に関する様々な構成は、当業者によって容易に理解され、本発明の検体測定構成要素は、従来のバイオセンシング機器の検体測定構成要素と同様の方法で構成され得ることが理解されよう。
【0023】
本発明に従って、赤外線センサは、試験ストリップに関連する温度を評価し、本発明の文脈において、電気化学的試験ストリップを作製するために使用される材料は、赤外線測定に適していると決定されているということが判明した。赤外線センサは、ハウジング内部に少なくとも部分的に配置される。一部の実施形態では、赤外線センサは、ハウジングの外側に取り付けられてもよい。好ましくは、赤外線センサは、ハウジング内部に実質的に配置され、換言すれば、赤外線センサの大部分又は全てはハウジング内部に配置されることが好ましいが、赤外線センサに関連する1つ以上の構成要素(例えばこれらの特定された赤外線の1つなど)は、ハウジングの外側に少なくとも部分的に配置されてもよく、及び/又はハウジングを通じて内部スペースからハウジングの外側の周囲環境に延在してもよい。赤外線温度センサは、多くの異なる構成で存在してもよいが、一般に、それぞれは、標的から放射される赤外線エネルギーを内部の検出器に集束するためにレンズを使用し、これはエネルギーを電気信号に変換し、これは次いで、センサの較正式及び標的の放射率に基づいて温度データに変換され得る。好ましくは、赤外線センサは、ハウジング内部に実質的にはまるような大きさでなければならない。
【0024】
適切に構成された赤外線センサは例えば、幅広い温度範囲にわたって±0.5℃の温度精度を有すると言われる、適した寸法のセンサ(カタログ番号MLX90614)を販売するMelexis Microelectronic Systems(Concord,NH)から、又は「超小型」の熱電対列センサ(カタログ番号HMSZ11)を提供するHeimann Sensor GmbH(Dresden,Germany)から販売されている。他の例には、General Electric Sensing & Inspection Technologies(Billerica,MA)からの赤外線センサのZTP 135シリーズ及びPerkinElmer Optoelectronics(Fremont,CA)からのTPSシリーズが挙げられる。赤外線センサの更なるパラメータは以下に記載される。好ましくは、赤外線センサは、±2℃以上の精度、±1℃以上の精度、又は±0.5℃以上の精度を有する。この精度は、ユーザがバイオセンシング機器を動作させようとする可能性のある、周囲温度の範囲内、例えば0℃〜60℃に維持される必要があり、一方で、センサ温度それ自体は0℃〜50℃の間で変化することができる。
【0025】
熱に対して感度が高く、センサの周りの周囲温度に従って自己較正を行う赤外センサに物理的遮蔽を提供する必要はないため、赤外線センサは、熱源(例えば液晶ディスプレイ、マイクロプロセッサ、又はバイオセンシングデバイス内部のいずれか他の熱源)から十分な距離にあるハウジング内部の場所に実質的に位置決めされてもよい。しかしながら、検体測定システムは、赤外線センサが熱源に近接するように構成されている場合、赤外線センサを遮蔽する必要があり得る。赤外線センサは、組み込みサーミスタを含む場合があるため、赤外線センサは、赤外線センサそれ自体の温度とは関係なくストリップ又は周囲温度を測定することができ、熱に対して感度が高く、センサの周りの周囲温度によって自己較正する赤外センサに物理的遮蔽を提供する必要はなく、したがって、熱源から赤外線センサを完全に隔離する必要がない場合がある。
【0026】
典型的に、0.7以上〜14マイクロン以下の周波数帯が赤外線温度測定に使用され、本発明の赤外線センサはこの範囲内の任意の赤外線波長を使用することができる。好ましい実施形態では、赤外線センサは、約8μm〜約14μmの波長を有する赤外線を使用して、試験ストリップに関連する温度を評価する。赤外線温度センサが、試験ストリップに関連する2回以上の温度評価を実施する場所では、各対応する指数は、赤外線の同じ波長を使用することができ、又は所定の範囲内の異なる波長を有することができる。
【0027】
赤外線温度測定の基本的な実現性は、赤外線に対して不透明である標的の物体、好ましくは試験ストリップの下の条件を決定する試験を通じて確認された(標的の物体が赤外線に対して透過性である場合、標的の後ろの物体は温度予測に対して誤差を引き起こす可能性がある)。赤外線透過率は厚さ0.03mm及び0.25mmをそれぞれ有し、それぞれがポリエステル系材料を含む、2つの異なる試験ストリップに関して評価された。約8ミクロン〜約14ミクロンの範囲の波長を有する赤外線が使用されるとき、両方のストリップのベース材料は、有意な程度に赤外線を透過しないということが見出された(図1)。典型的なグルコースストリップの厚さは、0.5mmを超え、したがって赤外線透過率の割合は、実験用試験ストリップに関して観察されたものよりも更に小さい。
【0028】
試験ストリップの材料はまた、赤外線反射率に関しても試験された。赤外線温度測定の標的の表面は、低い赤外線反射率を有するべきであり、高い赤外線反射率を有する材料は、付近の物体から発生する赤外線を反射する可能性があり、これは温度指数の誤差につながる。図2に示されるように、ポリエステル試験ストリップ材料の赤外線(1μm〜25μm)の反射率は、好ましい波長(例えば約8μm〜約14μm)において低い。
【0029】
本発明のいくつかの実施形態では、赤外線センサは、全体的に検体測定システムのハウジング内部に全体的に配置され、検体測定構成要素の開口内に挿入される試験ストリップの一部分上の試験ストリップに関連する温度を評価する。好ましくは、開口内に挿入される試験ストリップの部分に関連する温度の評価は、試験ストリップの挿入の時間から、約5秒以内に、約4秒以内に、約3秒以内に、約2秒以内に、約1秒以内に、又は約0.5秒以内に起きる。試験ストリップの熱容量は低いため、試験ストリップは短期間内でハウジングの内部の温度と平衡化する傾向があり、しかしながら、本発明の赤外線センサは、試験ストリップの挿入された部分(標的温度は、ミリ秒内に読み取ることができる)の温度を迅速に測定することができ、検体測定構成要素の開口内への挿入後すぐに試験ストリップの温度は、周囲温度の良好な表示を、したがって、生体サンプルが試験ストリップの反応領域と作用する温度の、周囲温度の良好な表示を示す。そのような実施形態に従って、赤外線センサは、赤外線センサと、検体測定構成要素の開口内に挿入される試験ストリップの部分との間の距離が小さいように、例えば約3mm未満、約2mm未満、約1mm未満、約0.5mm未満、又は約0.1mm未満であるように、ハウジング内に位置決めされるのが好ましい。
【0030】
図3Aは、検体測定構成要素の開口内に挿入される試験ストリップの一部分Q(斜線で影が付けられている)を測定することができる、検体測定システムのハウジング内部に配置された赤外線センサを特徴とする代表的な実施形態を示す。図3Bは、検体測定構成システム内に挿入されたストリップの部分の、赤外線温度測定の結果を提供する。図3Bは、赤外線センサの(TS_周囲)の温度が周囲環境に対して上昇したことを示しているが、センサは依然として、試験ストリップの挿入された部分の正確な温度測定を提供することができた。赤外線センサによってされた温度測定は、検体測定構成要素の開口内へのストリップの挿入に続いて、ストリップの挿入された部分の温度(TS)が、ハウジングの外側の周囲環境と一致するが(例えば時間≒5.8秒を参照)、経時的にハウジング及び赤外線センサの内部の温度と均衡したということを示した。
【0031】
特定の状況下において、試験ストリップの挿入された部分の温度測定が、挿入後すぐに実施された場合でさえも、そのような測定はバイオセンシング機器の外側の周囲温度の正確な表示を常に提供しない場合がある。例えば、挿入プロセス中の、ユーザによる試験ストリップの処理の延長は、周囲環境の温度を超えてストリップの温度を上昇させ得る。この潜在的な制限のために、検体測定構成要素の開口内に挿入されていない試験ストリップの一部分に関連する温度測定値を得るのが望ましい場合がある。試験ストリップの低い熱容量が、バイオセンシング機器の外側のストリップの部分を、挿入後すぐに周囲温度と均衡化させる。したがって、一部の実施形態は、検体測定構成要素の開口内に挿入されていないストリップの一部分の測定を含んでもよい。
【0032】
特定の実施形態では、本発明のシステムは、試験ストリップに関連する場所から赤外線センサに赤外線を配向するための光導体を更に含んでもよい。光導体は、赤外線センサが試験ストリップに関連する場所に集束できるようにする。光導体は、試験ストリップ、試験ストリップ上のサンプル、又はすなわち試験ストリップに関連する任意の場所から、赤外線が赤外線センサに向けられるように伝送される赤外線に関する光学導波路として機能する任意の構成要素であってもよい。平面的な、チューブ/パイプ、ストリップ、スラブ、錐体、矩形、角錘、又は繊維の導波路は、代表的な光導体であり、この特性は当該技術分野における人々によって容易に理解されるであろう。本明細書で使用されるとき、光導体はまた、試験ストリップに関連する任意の場所から発生する赤外線を、赤外線センサに反射し、及び/又は試験ストリップに関連する場所から放射された赤外線を集束する反射体を指す。反射体は、平面的であっても、実質的に平面であっても、又は略放物線状であってもよい。赤外線反射体は、当該技術分野において広く認識されており、様々な供給源から入手可能である。使用される光導体のタイプに拘わらず、光導体及び赤外線センサは実質的に等温であるべきである。好ましい実施形態では、光導体は光パイプである。赤外線光パイプは、当該技術分野において知られており、好ましくは低い赤外線放射率及び高い赤外線反射率を有することが好ましい。更に、センサが使用中に熱くなるとき、光パイプがセンサの温度に実質的に慣れるように、赤外線センサと光パイプとの間の十分な熱伝導率がなくてはならない。この末端部に、任意の材料が、光導体と赤外線センサとの間の接続を形成するために使用される範囲において、そのような材料は熱伝導性でなければならない。代表的な赤外線光パイプには、内部が金でコーティングされたパイプが挙げられ、これは約98%を超える赤外線反射率を提供することができる。赤外線コーティングを備える光パイプは、真っ直ぐであっても、湾曲していても、又は接続されていてもよく、好ましくは研磨された孔を特徴としてもよい。光パイプの任意の所与の部分の直径は、1mm未満、約0.5mm〜約10mm、約0.5mm〜約5mm、又は任意の他の適した直径であってもよい。赤外線光パイプは、Epner Technology,Inc.(Greenpoint,NY)など、多くの源から市販されている。
【0033】
一実施形態では、赤外線センサは、検体測定システムのハウジング内部に全体的に配置され、検体測定システムの開口に挿入されるストリップに近接する延在部によって、光導体は、センサレンズから、検体測定構成要素に近接して配置されるハウジング内の開口部に延在する。開口部は、赤外線が試験ストリップに関連する場所から光導体に入ることを可能にし、これは放射線を赤外線センサレンズに配向する。開口部は、赤外線透過性であるが、他の不必要な光を防ぎ、周囲環境からの塵及び他の汚染物質から、ハウジングの内部の光導体、赤外線センサ、及び他の構成要素を保護するカバー又はスクリーンによって保護されてもよい。カバー又はスクリーンは、例えば従来、一般に使用されるラップトップコンピューター、PDA、及び携帯電話などのプラスチック赤外線ポートカバーであってもよい。定位置にあるときに、カバー又はスクリーンの外側表面は、ハウジングの外側表面と接触している、又はこれとぴったり重ってもよい。
【0034】
赤外線をセンサに配向されるときに使用される赤外線センサ及び任意の構成要素は、センサの視野が、実質的に標的で満たされるように(例えば、温度測定からストリップの部分が得られる状態で)、センサは標的に関連する距離から温度指示を得ることができるように、好ましくは選択される。標的がセンサの視界の実質的に全てを満たさない場合、標的以外の源からの赤外線は、センサによって検出される場合があり、これは試験ストリップに関する温度を正確に判定するための赤外線センサの能力に影響を与え得る。したがって、その中に赤外線が入る、検体測定構成要素に近接して配置されているハウジング内の開口は、センサの視野が標的で実質的に満たされるような寸法であり得る。センサの赤外線レンズは、試験ストリップの外接する部分に集束するように選択され得る。1つ以上の赤外線反射体が、標的から放射された赤外線を配向するために、又は標的から放射された赤外線を集束するために含まれてもよい。存在する場合、赤外線反射体は、ハウジング内に実質的に搭載されることが好ましく、標的から放射され、ハウジング内の開口を通じて受容される赤外線を反射するように機能し、赤外線の反射体は、赤外線センサ上に赤外線センサを配向する、集束する、又はこれを配向して、かつ集束する両方を行う。前述のように、いずれか他のタイプの光導体が、試験ストリップに関連する場所から前述の赤外線センサに赤外線を配向するために含まれ得る。好ましくは、任意のそのような構成要素は、赤外線センサと実質的に等温であることが可能な方法で含まれる。
【0035】
赤外線センサは、ハウジング内部に配置され、温度センサからの温度データを使用して、検体測定構成要素によって得られる検体測定データを調整するプロセッサと連動する。検体測定データを受信するプロセッサは、赤外線センサから温度データを受信する同一のプロセッサであってもよい。あるいは、温度データを使用して検体測定データを調整するプロセッサは、温度データ及び検体測定データを、それぞれ他のプロセッサ構成要素から受信する、中央演算処理装置としてもよい。例えば、赤外線センサインターフェース電子機器は、赤外線センサから直接温度データを受信し、そのようなデータを中央演算処理装置に供給してもよい。
【0036】
赤外線センサそれ自体は、温度変化に対して感度が高い。特に赤外線「熱電対列」の反応において、実際の赤外線測定を実施する要素は、温度に対して感度が高い。したがって、システムは標的温度の正確な測定をするために、赤外線センサの温度を考慮に入れなければならない。市販されているセンサは典型的に、組み込まれたサーミスタを有し、そのようなセンサに関して、センサの周囲の周囲環境の温度が測定され、次いで赤外線センサの反応は、センサの温度を基準としては是正される。熱電対列は、n電力への標的温度(T標的)の差に比例する電圧(V標的)、及びn電力へのセンサ周囲温度(T周囲)の差を提供し、
【数1】

式中、V標的は、赤外線センサによって、それが標的からの赤外線を読み込んでいるときに、Kは、センサ及び赤外線光学効率性によって決まる定数であり、εは、標的の放射率であり、T標的は標的の温度であり、T周囲は、赤外線センサの周囲の周囲温度であり、nは好ましくは4である。
【0037】
測定された電圧は、標的からの赤外線に比例し、これが、指数nが4であることが好ましい理由である。実際には、n及びKは、標準的なセンサ較正プロセス中に決定され、εは、標的材料を基準として定義される。これらの係数のそれぞれは、事前に既知であり、かつデバイスメモリに保存されてもよく、そのような状況下で、T周囲は、赤外線センサのサーミスタ構成要素によって測定され、標的温度は以下の式から算出される:
【数2】

【0038】
このアルゴリズムが使用されるときに、赤外線センサの反応は、以下の実施例1(図4B及び4C)に示されるように、温度における変化に対して、比較的感度は高くない。
【0039】
Melexis Microelectronic Systemsから市販されている赤外線センサ(Concord,NH;カタログ番号MLX90614)の製品文献は、センサに対する異なる標的(y軸)及び周囲(x軸)温度範囲に対する得られた精度を示す表を含む。製品文献は、本明細書において、その全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。カタログ番号MLX90614は、幅広い温度範囲にわたって±0.5℃の温度精度を有すると言われる、適した寸法のセンサである。0℃〜−60℃の範囲は、バイオセンシング機器が動作される見込みであり得る温度に相当し、一方で、赤外線センサ温度は、0℃〜50℃に変化する可能性があり、これらの範囲の収束内の±0.5℃の誤差は、このデバイスが、検体測定の関連で周囲温度測定に良好に適しているということを示す。
【0040】
これまで示されているように、多くの市販されているセンサは、本発明のシステムに関する使用に有効である。市販されている赤外線温度センサの一部は、特徴とするセンサ構成要素、追加のサーミスタ、及びアナログ−デジタルインターフェース回路が一体化されている。そのようなデバイスの例は、Melexis Microelectronic Systems(Concord,NH)からのカタログ番号MLX90614及びMLX90615である。これらのデバイスは、内蔵型であり、動作のための電力及びシリアルラインのみを必要とする。MLX90615は、更に小さなフォームファクタを有し、小型のシステムと共に使用するのに好ましい。他の市販されているセンサは、アナログ回路のみを有し、更なるデータ処理のために外部のA/D変換器の使用を必要とする。そのようなデバイスの例には、PerkinElmer Optoelectronics(Fremont,CA)からのA2TPMI 23 S及びHeimann Sensor GmbH(Dresden,Germany)からのHISモジュールが挙げられる。他の市販されているセンサは、外部の処理する電子機器が温度を測定するのに必要となるように、赤外線センサ及びサーミスタのみを特徴とする。これらのデバイスの効果は、それらが極めて小さいということである。例には、General Electric Sensing & Inspection Technologies(Billerica,MA)からのZTP 135、Dexter Research,Inc.(Dexter,MI)からのST60R及びST60 Micro、Heimann Sensor GmbH(Dresden,Germany)からのHMS Z11 F5.5、及びPerkinElmer Optoelectronics(Fremont,CA)からのTPS 23 Sが挙げられる。
【0041】
検体測定データの調整は、試験ストリップ上の検体の測定中に、試験ストリップに関連する評価された温度を補正することを含んでもよい。他の実施形態では、本発明は、試験ストリップに関連する、評価された温度を補正するために、試験ストリップ上で検体の測定中に得られたデータを調整することを含んでもよい。調整された検体測定データは、次いでユーザに変換され得る。検体測定システムは、調整された検体測定データを表示するためのディスプレイを含んでもよく、また、あるいは別の方法としては、調整されたデータが、音声を使って変換されてもいいように音声構成要素を含んでもよい。例えば、「音声付き」グルコース測定器は、視覚障害を持つユーザが血液グルコース解析の結果を聞くことができるようにするスピーカー構成要素を含む。ユーザは、薬物投与計画、医者の訪問、又は医学的介入が必要かどうかを決定するための調整されたデータを検討することができる。
【0042】
図4は、それが平坦な表面、例えばテープル面上に水平静止位置で配置されているように見える、例示の検体測定システム1の部分的に透明な側面を示す。内部スペース5を実質的に画定するハウジング3は、上方部分Aに不透明で示されており、一方で、下方部分Bは、システム1の内部構成要素が、ハウジングが切り取られたように見ることができるようにしている。検体測定構成要素7は、ハウジング3内部に配置され、試験ストリップ11を受容するための開口部9を特徴とする。赤外線センサ13はまた、試験ストリップ11に関連する温度を評価するために、ハウジング3内部に配置される。赤外線光パイプ15は、センサ13から、試験ストリップ11に近接する場所におけるハウジング3内の開口部まで延びる。開口部は、赤外線(矢印)が、試験ストリップ11に関連する場所から移動できるようにし、その一方で、周囲環境からの塵又は他の汚染物質が光パイプ15に入るのを防ぐ赤外線ポートカバー17を含む。回路基板19は、マイクロプロセッサ21を収容し、赤外線センサ13及び検体測定構成要素7の両方が、マイクロプロセッサ21と連動するのを可能にする。赤外線センサ13はマイクロプロセッサ21と連動し、それに、試験ストリップに関連する場所に関する温度データを供給する。検体測定構成要素7は、マイクロプロセッサ21と連動し、検体測定データを供給し、これは受信された温度データを考慮してマイクロプロセッサ21によって調整される。
【実施例】
【0043】
実施例1−赤外線センサ及び基本的な光導体を備えるシステム
内部の赤外線センサの使用の構想の実現性を立証するために、内径3.8mm及び長さ10mmを備える、真っ直ぐな赤外線光パイプがMLX90615赤外線センサ(Melexis Microelectronic Systems,Concord,NH)に取り付けられた。熱伝導性ヒートシンク化合物が使用されて光パイプ及びセンサを取り付けた。アセンブリは、熱を発生する抵抗も特徴とする、ハウジング内部に搭載された。抵抗は、電源に取り付けられてハウジング内部に熱を生じさせる。図5Aは、構成要素の得られる配列を示す。
【0044】
赤外線センサは、デバイスの外側に位置決めされた標準的なグルコースストリップの温度を測定するのに使用された。結果が図5Bに要約されている。赤外線それ自体の温度(「TS_周囲」)は、標的の温度(「TS」)の測定に対する有意な誤差をもたらすことなく、有意に経時的に増加し、これはデバイスを囲む外側の環境の周囲温度(「T_周囲」)の外側の周囲温度の近似値を理想的に示す。図5Cは、赤外線センサによって得られた温度測定における誤差を示す。エラーは、デバイスのハウジング内部の状態により赤外線センサの急激に変化する温度に起因する。誤差のマージンは、1.2℃以下であり、デバイス内部の頻繁な温度変化は、デバイスの外側の標的の温度を測定するための赤外線センサの能力と連動しないことを示している。
【0045】
先行する試験は、基本的な試作品を使用して実施され、システムの性能を最適化するために、いずれの特定の光学位置合わせは実施されなかった。更に、試験を早めるために、デバイス内部の電力損失は、有意に上昇し、よって温度における急激な変化は(赤外線センサ温度における急激な変化又は熱衝撃は、赤外線温度測定の精度を低下させる可能性があるが)、実際の使用条件下では、内部デバイス温度は、急激には変動しない。したがって、最適化されたシステムは、本発明の実験の目的のために使用されたデバイスよりも低いマージンの誤差を有すると見込まれる。
【0046】
本明細書に引用、又は記載する各特許、特許出願、及び刊行物の開示は、その全文において本明細書に参考として組み込まれる。
【0047】
上記で使用のとき、また本開示全体を通して、以下の用語及び略語は、特に指示のない限り、以下の意味を有するものと理解されたい。本開示では、特に明示しない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数形の言及を包含し、特定の数値への言及は、少なくともその特定の値を包含する。それゆえ、例えば「プロセッサ」への言及は、1つ以上の、そうしたプロセッサ、及び当業者には既知のその等価物への言及であり、その他の場合も同様である。値が、先行する「約」の使用によって近似値として表現されるとき、その特定の値は、別の実施形態を形成することが理解されよう。本明細書で使用するとき、「約X」(Xは数値である)は、好ましくは記載の値の±10%を包括的に指す。例えば、語句「約8」は、好ましくは7.2以上〜8.8以下の値を指し、別の例としては、語句「約8%」は、好ましくは7.2%以上〜8.8%以下の値を指す。存在する場合、全ての範囲は、包括的、分割可能、及び組み合わせ可能である。例えば「1〜5」の範囲が記載されるとき、記載の範囲は、「1〜4」、「1〜3」、「1〜2」、「1〜2及び4〜5」、「1〜3及び5」などの範囲を含むものとして解釈するべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体測定システム内に挿入される試験ストリップに関連する温度を評価するために赤外線センサを使用することを含む方法であって、前記システムが、ハウジングと、
前記ハウジング内部に、又は前記ハウジングに近接して配置され、かつ前記試験ストリップを受容するための開口を有する、検体測定構成要素であって、前記検体測定構成要素が、前記試験ストリップ上の検体を測定することにより検体測定データを提供する、検体測定構成要素と、
前記ハウジング内部に少なくとも部分的に配置された前記赤外線センサと、
前記ハウジング内部に配置され、前記赤外線センサからの温度データを使用して、前記検体測定データを調整する、プロセッサと、を含む、方法。
【請求項2】
前記赤外線センサが、前記ハウジング内部に実質的に配置される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記試験ストリップが電気化学的試験ストリップである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記システムが、前記試験ストリップに関連する場所から前記赤外線センサに赤外線を配向するための光導体を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記光導体及び前記赤外線センサが実質的に等温である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記光導体が光パイプを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記赤外線センサが、約8μm〜約14μmの波長を有する赤外線を使用して、前記試験ストリップに関連する前記温度を評価する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記試験ストリップが、長さLを有し、前記温度が、前記検体測定構成要素の前記開口内に挿入される前記試験ストリップの末端部から約1/3L以下の距離で配置される前記試験ストリップの一部分上で評価される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記赤外線センサが、前記検体測定構成要素の前記開口内に挿入される前記ストリップの一部分上で前記温度を評価する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記温度が、前記検体測定構成要素の前記開口内への前記試験ストリップの挿入後約5秒以下で評価される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記試験ストリップが、長さLを有し、前記温度が、前記検体測定構成要素の前記開口内に挿入される前記試験ストリップの末端部から約1/3Lを超える距離で配置される前記試験ストリップの一部分上で評価される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記試験ストリップが、長さLを有し、前記温度が、前記検体測定構成要素の前記開口内に挿入される、前記試験ストリップの末端部から約2/3Lを超える距離で配置される、前記試験ストリップの一部分上で評価される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記試験ストリップ上の検体の測定の間に、前記試験ストリップに関連する前記評価された温度を補正することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記試験ストリップに関連する前記評価された温度を補正するために、前記試験ストリップ上の検体の測定の間に得られたデータを調整することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記検体測定システムが血糖測定器である、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記温度が前記試験ストリップ上の2つ以上の場所で評価される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記試験ストリップに関連する前記温度が、2回以上評価される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記温度が前記試験ストリップ上の2つ以上の場所で評価される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ハウジングと、
前記ハウジング内部に、又は前記ハウジングに近接して配置され、かつ試験ストリップを受容するための開口を有する、検体測定構成要素であって、前記検体測定構成要素が、前記試験ストリップ上の検体を測定することにより検体測定データを提供する、検体測定構成要素と、前記ハウジング内部に少なくとも部分的に配置された赤外線センサと、前記赤外線センサからの温度データを使用して前記検体測定データを調整する、前記ハウジング内部に配置されたプロセッサと、を含む、システム。
【請求項20】
前記赤外線センサが、前記ハウジング内部に実質的に配置される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記検体測定構成要素及び前記赤外線センサの両方が、前記プロセッサと電子通信する、請求項19に記載のシステム。
【請求項22】
前記システムが、前記試験ストリップに関連する場所から前記赤外線センサに赤外線を配向するための光導体を更に含む、請求項19に記載のシステム。
【請求項23】
前記光導体及び前記赤外線センサが実質的に等温である、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記光導体が光パイプを含む、請求項22に記載のシステム。
【請求項25】
前記赤外線センサが、約8μm〜約14μmの波長を有する赤外線を使用して、前記試験ストリップに関連する前記温度を評価する、請求項19に記載のシステム。
【請求項26】
前記試験ストリップが、長さLを有し、前記赤外線センサが、前記検体測定構成要素の前記開口内に挿入される前記試験ストリップの末端部から約1/3L以下の距離で配置される前記試験ストリップの一部分上で、温度を評価する、請求項19に記載のシステム。
【請求項27】
前記赤外線センサが、前記検体測定構成要素の前記開口内に挿入される前記試験ストリップの一部分上で前記温度を評価する、請求項19に記載のシステム。
【請求項28】
前記試験ストリップが、長さLを有し、前記赤外線センサが、前記検体測定構成要素の前記開口内に挿入される前記試験ストリップの末端部から約1/3Lを超える距離で配置される前記試験ストリップの一部分上で、温度を評価する、請求項19に記載のシステム。
【請求項29】
前記試験ストリップが、長さLを有し、前記赤外線センサが、前記検体測定構成要素の前記開口内に挿入される前記試験ストリップの末端部から約2/3Lを超える距離で配置される前記試験ストリップの一部分上で、温度を評価する、請求項19に記載のシステム。
【請求項30】
前記検体測定構成要素が血糖を測定する、請求項19に記載のシステム。
【請求項31】
前記調整された検体測定データを表示するためのディスプレイを更に含む、請求項19に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公表番号】特表2012−506536(P2012−506536A)
【公表日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−532350(P2011−532350)
【出願日】平成21年10月21日(2009.10.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/061504
【国際公開番号】WO2010/048303
【国際公開日】平成22年4月29日(2010.4.29)
【出願人】(511089561)ライフスキャン・インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】