説明

ストレスの評価方法、ストレス評価マーカー、ストレス負荷モデル動物の作成方法、及びストレス負荷モデル動物

【課題】新規なストレスの評価方法を提供する。
【解決手段】遺伝子の発現量を指標として用いるストレス評価マーカー遺伝子が、Retnlg、Csta、Il1b、Camp、Tspan8、Mmp9、Add2、Eraf、Aqp1、Alas2、Hbb、その他からなる群から選択される少なくとも1種である、ストレスの評価方法。更に、ラット又はマウスを床敷飼育した後に、金網飼育することによる、ストレス負荷モデル動物の作成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なストレスの評価方法に関する。また、本発明は、新規なストレス評価マーカーに関する。さらに、本発明は、ストレス負荷動物モデルの作成方法およびその方法により作成されるストレス負荷動物モデル等にも関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会では、将来への不安、職場や学校の人間関係、生活環境や騒音、家庭内の不和や子育てへの不安等の精神的なストレス負荷により自律神経系の失調をきたし、うつ病に代表される様々な精神疾患に至ることがある。これら精神疾患の発症には、ストレスが非常に重要な危険因子であると考えられている。近年、精神疾患の患者数が世界的に増加傾向にあり、社会的に大きな問題になっている。特にうつ病は生涯罹患率が10%前後の頻度の高い疾患であり、その頻度は今後さらに増加することが予想される。この疾患は、患者に対して社会生活に甚大な支障をきたすばかりか、自殺に結びつくことも少なくない重大な疾患である。
これらの問題を解決するためにも、ヒトや動物のストレスおよび精神疾患を的確に診断・評価し、すみやかに治療する体制を確立することは、国民生活の向上に必須であり、社会全体の急務である。
【0003】
精神疾患の一種であるうつ病の主な症状は、抑うつ気分、意欲低下、興味と喜びの喪失、集中力と注意力の減退、自己評価と自信の低下、罪責感と無価値感、将来への悲観、自殺念慮、睡眠障害、食欲不振などである。これらの症状には特有の特徴があり、単なる気分の落ち込みとは異なる。うつ病の症状を把握するためには、詳しく病歴を聴取し、心理行動面に表れる症状がいつからどのように出現し、社会生活や家庭生活の上でどのような支障が生じているのかを聞きとり、受診時の患者の態度や会話内容などから、諸症状を確認することが主体となる。これらを的確に把握するためには、十分に熟練した精神科専門医による長時間の問診が必要となる。得られた所見を、世界保健機構(WHO)やアメリカ精神医学会による診断基準と照合し、診断を確定することが一般的である。
上述した従来の診断方法の大きな問題点は、診断に熟練した技能を要することである。うつ病に関する十分な知識と経験が必要であることはいうまでもないが、うつ病には該当しなくともうつ状態を呈する心理的、精神科的および身体的状態は数多い。それらとの鑑別診断も必須となる。したがって、診断には十分な研修を積んだ精神科専門医師があたらねばならない。しかし、うつ病患者は、最初に体調不良を訴え、プライマリーケア医師、特に内科医を受診することが多い。精神科的な診察に習熟していない一般医師にとって、客観的検査所見のないうつ病の診断は必ずしも容易ではない。
【0004】
客観的な指標を目指して、これまでにもいくつかのストレスおよび精神疾患等の検査方法が試みられている。
例えば、20年ほど前に、一連のストレス評価の研究で対象となった生理指標は、瞬目、血圧、心拍変動、呼吸、発汗等であったが、これらの研究はストレス関連成分を直接計測することを狙ったため、複雑な要因で生じるストレスを的確に評価できる方法には至らなかった。その後、ストレス状態を評価する、精神疾患を診断あるいは評価するいくつかの方法として、例えば、体液中のクロモグラミンの濃度を定量する方法(特許文献1)、副腎又は下垂体における一酸化窒素合成酵素の活性を測定する方法(特許文献2)、唾液における副腎性性ホルモン又はその代謝物の濃度を指標にする方法(特許文献3)、グルタチオン付加ヘモグロビン量を測定する方法(特許文献4)、唾液中のコルチゾール濃度を測定する方法(特許文献5)、モノアミン類の濃度変化率を測定する方法(特許文献6)などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許公開平11−23572号公報
【特許文献2】特許公開平8−262025号公報
【特許文献3】特許公開平11−38004号公報
【特許文献4】特許公開2000−74923号公報
【特許文献5】特許公開平11−326318号公報
【特許文献6】特許公開2002−156378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記検査方法の何れも、対象者のストレス疲労状態、ストレス刺激の種類等は個人差が大きく、「ストレス評価は簡便な方法かつ高精度で、個人的に持続して行うべきである」という課題が残された。
一方、うつ病においても、脳内のモノアミン系の機能的変調があり、その変調は心身相関作用を通して、神経内分泌系、神経免疫系、自律神経系に少なからぬ影響を及ぼしていることが知られている。また、最近では、脳血流や脳内モノアミン受容体の変化なども指摘されているが、いずれも感度や再現性に問題が残る。また、従来の検査は、施行と評価には膨大な時間と労力が必要であり、簡便性という観点をも考慮すると、日常診療への応用はとうてい望むことが出来ないのが現状である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解決するために、白血球中の特定の遺伝子の発現量を定量することによって、新規なストレスの評価方法を提供することができることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
本発明は、以下のとおりである。
[1]
遺伝子の発現量を指標として用い、該遺伝子が、Retnlg、Csta、Il1b、Camp、Ifitm6、Ifit1lb、Fcar、Pglyrp1、Mmp8、Schip1、Mycbpap、Aqp9、Ldhc、Degs2、Oas3、Slc22a4、Slc38a5、Slc43a3、Rsad2、Slc4a1、Wfdc15b、Plekhb1、Cd52、Anxa1、Rhd、Nrtn、Alox15、Scube1、Ube2c、Mrgprx3、Steap4、Selenbp1、Rrm2、S100a8、Cfd、Tuba3b、Slpi、Padi4、Fech、Bpgm、Nlrp12、Csf3r、Osgin1、Mogat2、Alpl、Csf1、Klra2、Cdr2、Kcnq2、Prp15、Clec4e、Dusp13、Gpr77、Znf532、Oas1k、Per2、Upp1、Oas1a、Pth、Lrg1、Dnase2b、Vegfa、Hdc、Egr1、Clec4d、Alox5、Car2、Il1r2、Il8rb、Pla2g7、Dgat2、Mcpt10、Mcpt8、Mcpt8l2、Mcpt8l3、S100a9、Rab32、Emb、Fetub、Scgb3a1、Nlrp3、TC646750、ENSRNOT00000065312、ENSRNOT00000040211、ENSRNOT00000056434、RGD1311874、MGC72973、TC587327、LOC688574、TC603221、RGD1565432、RGD1565374、RGD1565161、RGD1565983、RGD1310507、LOC690116、LOC691993、LOC689064、CF109441、A_64_P154430、A_64_P138390、A_64_P050137、ENSRNOT00000035459、Tspan8、Mmp9、Add2、Eraf、Aqp1、Alas2、Hbb、およびHba-a2からなる群から選択される少なくとも1種である、ストレスの評価方法
[2]
前記遺伝子が、Retnlg、Csta、Il1b、Camp、Ifitm6、Ifit1lb、Fcar、Pglyrp1、Mmp8、Schip1、Mycbpap、Aqp9、Ldhc、Degs2、Oas3、Slc22a4、Slc38a5、Slc43a3、Rsad2、Slc4a1、Wfdc15b、Plekhb1、Cd52、Anxa1、Rhd、Nrtn、Alox15、Scube1、Ube2c、Mrgprx3、Steap4、Selenbp1、Rrm2、S100a8、Cfd、Tuba3b、Slpi、Padi4、Fech、Bpgm、Nlrp12、Csf3r、Osgin1、TC646750、ENSRNOT00000065312、ENSRNOT00000040211、ENSRNOT00000056434、RGD1311874、MGC72973、TC587327、LOC688574、Tspan8、Mmp9、Add2、Eraf、Aqp1、Alas2、およびHbbからなる群から選択される少なくとも1種である、[1]に記載のストレスの評価方法。
[3]
前記遺伝子が、Retnlg、Csta、Il1b、Camp、Ifitm6、Ifit1lb、Fcar、Pglyrp1、Mmp8、TC646750、ENSRNOT00000065312、ENSRNOT00000040211、ENSRNOT00000056434、Tspan8、Mmp9からなる群から選択される少なくとも1種である、[1]又は[2]に記載のストレスの評価方法。
[4]
前記遺伝子が、Tspan8、Mmp9、Add2、Eraf、Aqp1、Hba-a2、Hbb、およびAlas2の8種の遺伝子からなる群から選択される、[1]に記載のストレスの評価方法。
[5]
2種以上の前記遺伝子を指標として用いる、[1]〜[4]のいずれか1項に記載のストレスの評価方法。
[6]
Retnlg、Csta、Il1b、Camp、Ifitm6、Ifit1lb、Fcar、Pglyrp1、Mmp8、Schip1、Mycbpap、Aqp9、Ldhc、Degs2、Oas3、Slc22a4、Slc38a5、Slc43a3、Rsad2、Slc4a1、Wfdc15b、Plekhb1、Cd52、Anxa1、Rhd、Nrtn、Alox15、Scube1、Ube2c、Mrgprx3、Steap4、Selenbp1、Rrm2、S100a8、Cfd、Tuba3b、Slpi、Padi4、Fech、Bpgm、Nlrp12、Csf3r、Osgin1、Mogat2、Alpl、Csf1、Klra2、Cdr2、Kcnq2、Prp15、Clec4e、Dusp13、Gpr77、Znf532、Oas1k、Per2、Upp1、Oas1a、Pth、Lrg1、Dnase2b、Vegfa、Hdc、Egr1、Clec4d、Alox5、Car2、Il1r2、Il8rb、Pla2g7、Dgat2、Mcpt10、Mcpt8、Mcpt8l2、Mcpt8l3、S100a9、Rab32、Emb、Fetub、Scgb3a1、Nlrp3、TC646750、ENSRNOT00000065312、ENSRNOT00000040211、ENSRNOT00000056434、RGD1311874、MGC72973、TC587327、LOC688574、TC603221、RGD1565432、RGD1565374、RGD1565161、RGD1565983、RGD1310507、LOC690116、LOC691993、LOC689064、CF109441、A_64_P154430、A_64_P138390、A_64_P050137、ENSRNOT00000035459、Tspan8、Mmp9、Add2、Eraf、Aqp1、Alas2、Hbb、およびHba-a2かからなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子を含有する、ストレス評価マーカー。
[7]
前記遺伝子が、Retnlg、Csta、Il1b、Camp、Ifitm6、Ifit1lb、Fcar、Pglyrp1、Mmp8、Schip1、Mycbpap、Aqp9、Ldhc、Degs2、Oas3、Slc22a4、Slc38a5、Slc43a3、Rsad2、Slc4a1、Wfdc15b、Plekhb1、Cd52、Anxa1、Rhd、Nrtn、Alox15、Scube1、Ube2c、Mrgprx3、Steap4、Selenbp1、Rrm2、S100a8、Cfd、Tuba3b、Slpi、Padi4、Fech、Bpgm、Nlrp12、Csf3r、Osgin1、TC646750、ENSRNOT00000065312、ENSRNOT00000040211、ENSRNOT00000056434、RGD1311874、MGC72973、TC587327、LOC688574、Tspan8、Mmp9、Add2、Eraf、Aqp1、Alas2、およびHbbからなる群から選択される少なくとも1種である、[6]に記載のストレス評価マーカー。
[8]
前記遺伝子が、Retnlg、Csta、Il1b、Camp、Ifitm6、Ifit1lb、Fcar、Pglyrp1、Mmp8、TC646750、ENSRNOT00000065312、ENSRNOT00000040211、ENSRNOT00000056434、Tspan8、Mmp9からなる群から選択される少なくとも1種である、[6]又は[7]に記載のストレス評価マーカー。
[9]
前記遺伝子が、Tspan8、Mmp9、Add2、Eraf、Aqp1、Hba-a2、Hbb、およびAlas2の8種の遺伝子からなる群から選択される、[6]に記載のストレス評価マーカー。
[10]
2種以上の前記遺伝子を含有する、[6]〜[9]のいずれか1項に記載のストレス評価マーカー。
[11]
少なくともTspan8、Mmp9、Add2、Eraf、Aqp1、Hba-a2、Hbb、およびAlas2の8種の遺伝子を含有する、[6]〜[10]のいずれか1項に記載のストレス評価マーカー。
[12]
床敷飼育した後に、金網飼育することによる、ストレス負荷モデル動物の作成方法。
[13]
床敷飼育を5日間以上行う、[12]に記載の作成方法。
[14]
金網飼育を5日間以上行う、[12]又は[13]に記載の作成方法。
[15]
モデル動物が、げっ歯類である、[12]〜[14]のいずれか1項に記載の作成方法。
[16]
モデル動物が、ラット又はマウスである、[12]〜[15]のいずれか1項に記載の作成方法。
[17]
[12]〜[16]のいずれか1項に記載の方法により作成される、ストレス負荷モデル動物。
【発明の効果】
【0009】
本法は、通常の採血による数mLの血液をもとに解析可能であり、微侵襲的、簡便かつ日常的に行うことのできる検査方法である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ラットの床敷ケージ又は金網ケージでの飼育状態(それぞれ、床敷飼育、金網飼育)を示す。
【図2】実施例1のストレス負荷効果検証試験における白血球中の好中球の割合の測定結果を示す。
【図3】実施例2におけるCREB遺伝子およびIRF2遺伝子の白血球中の発現の解析結果を示す。
【図4】実施例4におけるランダムに選択された8遺伝子の相対定量法による遺伝子発現量の測定結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態について以下詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0012】
本発明は、遺伝子の発現量を指標として用い、該遺伝子が、Retnlg、Csta、Il1b、Camp、Ifitm6、Ifit1lb、Fcar、Pglyrp1、Mmp8、Schip1、Mycbpap、Aqp9、Ldhc、Degs2、Oas3、Slc22a4、Slc38a5、Slc43a3、Rsad2、Slc4a1、Wfdc15b、Plekhb1、Cd52、Anxa1、Rhd、Nrtn、Alox15、Scube1、Ube2c、Mrgprx3、Steap4、Selenbp1、Rrm2、S100a8、Cfd、Tuba3b、Slpi、Padi4、Fech、Bpgm、Nlrp12、Csf3r、Osgin1、Mogat2、Alpl、Csf1、Klra2、Cdr2、Kcnq2、Prp15、Clec4e、Dusp13、Gpr77、Znf532、Oas1k、Per2、Upp1、Oas1a、Pth、Lrg1、Dnase2b、Vegfa、Hdc、Egr1、Clec4d、Alox5、Car2、Il1r2、Il8rb、Pla2g7、Dgat2、Mcpt10、Mcpt8、Mcpt8l2、Mcpt8l3、S100a9、Rab32、Emb、Fetub、Scgb3a1、Nlrp3、TC646750、ENSRNOT00000065312、ENSRNOT00000040211、ENSRNOT00000056434、RGD1311874、MGC72973、TC587327、LOC688574、TC603221、RGD1565432、RGD1565374、RGD1565161、RGD1565983、RGD1310507、LOC690116、LOC691993、LOC689064、CF109441、A_64_P154430、A_64_P138390、A_64_P050137、ENSRNOT00000035459、Tspan8、Mmp9、Add2、Eraf、Aqp1、Alas2、Hbb、およびHba-a2からなる群から選択される少なくとも1種である、ストレスの評価方法である。
【0013】
本発明において、ストレスの評価をするにあたり、上記111種の遺伝子のうち少なくとも1種の遺伝子発現量を測定することにより、ストレス負荷の有無を測定することができるが、以下のような方法によりストレスの負荷の有無を評価することができる。
例えば、一遺伝子の発現量を測定して、ストレスの評価を行ってもよいし、複数遺伝子の発現量を同時に測定して、ストレスの評価を行ってもよい。
また、111種遺伝子から選択される、1種又は複数種を含むマイクロチップを用いて、遺伝子発現量を測定してもよい。
複数種の遺伝子を用いてストレスの評価を行う場合には、全ての遺伝子の発現量が増えている場合にはもちろん、発現量の亢進されている遺伝子の数が多いことをもってストレス負荷状態にあると評価することもできる。
【0014】
本発明のストレスの評価方法により、ストレスの有無を評価することができるが、かかる評価結果に基づいて、医師などによって、ヒトにおけるうつ病などの疾患に罹っているか否かを診断することができる。すなわち、本発明のストレスの評価方法においては、医師などが診断を行う際の基礎資料となる、血中のストレスマーカーである111種の遺伝子について、その少なくとも1種を用いてストレスの有無を評価するのであって、ヒトの病気を診断する方法には該当しない。
【0015】
ストレスの有無を評価するに当たり、かかる111種の遺伝子の少なくとも1種の遺伝子の発現量を測定する。
かかる遺伝子の発現量について測定するサンプルは、特に限定されるものではないが、血液サンプルであることが好ましい。中でも、血液中の白血球における遺伝子の発現量を測定することが好ましい。
【0016】
遺伝子の発現量を測定し、ストレスの有無を評価するにあたっては、以下のような方法により行うことができる。
サンプル中における遺伝子の発現量の絶対量を測定して、その多寡によりストレスの有無を測定することもできるが、データベース化した遺伝子発現量と対比することにより、ストレス評価を行うこともできる。
なお、本発明においては、少なくとも1種の遺伝子の発現量を用いてストレス評価を行うが、うつ病患者やストレス負荷家畜からマーカー遺伝子群の発現量データを集め、データベース化し、そのデータベースと照合し、例えば、パターン認識技術を用いることによりストレス評価を行うこともできる。
また、個人(個体)単位でマーカー発現量を定期的に測定・記録しデータベース化し、そのデータベースと照合し、ストレス評価を行うこともできる。
【0017】
本発明における、遺伝子の発現量の測定方法としては、発現量が亢進していることを測定するために、mRNAの量を遺伝子の発現量として測定することもでき、また、遺伝子発現産物であるタンパクの発現変動を遺伝子の発現量として測定することもできる。
【0018】
遺伝子の発現量を転写産物としてのmRNAの量として測定する場合には、公知の遺伝子工学および分子生物学的技術に従い、当該分野で特定の遺伝子の発現を検知測定するために知られた手法、例えばin situハイブリダイゼーション、ノーザンブロッティング、ドットブロット、RNaseプロテクションアッセイ、RT−PCR、Real−Time PCR等、当該技術分野で知られた任意の解析方法を用いることができる。
【0019】
また、遺伝子の発現変動を判定するための別の方法として、遺伝子の発現産物であるタンパク質量を定量する場合には、公知の遺伝子工学および分子生物学的技術に従い、当該分野で特定のタンパク質量を検知測定するために知られた手法、例えばウェスタンブロッティング、各種の免疫組織学的方法等、当該技術分野で知られた任意の解析方法を用いることができる。
具体的には、遺伝子変動を判定するための手法としてタンパク質を定量する場合の例示として、Tspan8を例として説明すると、TSPAN8タンパク質を特異的に認識する抗体を用いて実施することができる。抗体はポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり、それぞれTSPAN8タンパク質のエピトープに結合することができる全体分子、およびFab、F(ab’)2、Fv断片等が全て含まれる。このような抗体は、例えばポリクローナル抗体の場合には、タンパク質やその一部断片を免疫原として動物を免役した後、血清から得ることができる。あるいは、Tspan8遺伝子を組込んだ真核細胞用発現ベクターを注射や遺伝子銃によって、動物の筋肉や皮膚に導入した後、血清を採取することによって作製することができる。動物としては、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ニワトリなどが用いられる。
このような抗体を使用する方法は、例えば免疫染色、例えば組織あるいは細胞染色、免疫電子顕微鏡、イムノアッセイ、例えば競合型イムノアッセイまたは非競合型イムノアッセイで行うことができ、放射免疫測定法(RIA)、蛍光免疫測定法(FIA)、ルミネッセント免疫測定法(LIA)、酵素免疫測定法(EIA)、ELISAなどを用いることができ、B−F分離を行ってもよいし、あるいは行わないでその測定を行うことができる。好ましくはRIA、EIA、FIA、LIAであり、さらにサンドイッチ型アッセイが挙げられる。サンドイッチ型アッセイには、同時サンドイッチ型アッセイ、フォワード(forward)サンドイッチ型アッセイあるいは逆サンドイッチ型アッセイなどであってもよい。Tspan8遺伝子の発現量をTSPAN8タンパク質を定量することによる方法を例示して説明したが、Tspan8遺伝子以外の遺伝子についても、同様の手法により遺伝子の発現量をタンパク質の定量により測定することもできる。
【0020】
本発明の評価方法においては、以上に例示した各方法の2以上を組み合わせて行うことによって、遺伝子の発現量を解析するにあたりより精度を高く判定することもできる。
【0021】
本発明においては、111種の遺伝子の発現量は、血液中の白血球画分における発現量を測定することが好ましい。
【0022】
本発明は、別の態様として、Retnlg、Csta、Il1b、Camp、Ifitm6、Ifit1lb、Fcar、Pglyrp1、Mmp8、Schip1、Mycbpap、Aqp9、Ldhc、Degs2、Oas3、Slc22a4、Slc38a5、Slc43a3、Rsad2、Slc4a1、Wfdc15b、Plekhb1、Cd52、Anxa1、Rhd、Nrtn、Alox15、Scube1、Ube2c、Mrgprx3、Steap4、Selenbp1、Rrm2、S100a8、Cfd、Tuba3b、Slpi、Padi4、Fech、Bpgm、Nlrp12、Csf3r、Osgin1、Mogat2、Alpl、Csf1、Klra2、Cdr2、Kcnq2、Prp15、Clec4e、Dusp13、Gpr77、Znf532、Oas1k、Per2、Upp1、Oas1a、Pth、Lrg1、Dnase2b、Vegfa、Hdc、Egr1、Clec4d、Alox5、Car2、Il1r2、Il8rb、Pla2g7、Dgat2、Mcpt10、Mcpt8、Mcpt8l2、Mcpt8l3、S100a9、Rab32、Emb、Fetub、Scgb3a1、Nlrp3、TC646750、ENSRNOT00000065312、ENSRNOT00000040211、ENSRNOT00000056434、RGD1311874、MGC72973、TC587327、LOC688574、TC603221、RGD1565432、RGD1565374、RGD1565161、RGD1565983、RGD1310507、LOC690116、LOC691993、LOC689064、CF109441、A_64_P154430、A_64_P138390、A_64_P050137、ENSRNOT00000035459、Tspan8、Mmp9、Add2、Eraf、Aqp1、Alas2、Hbb、およびHba-a2からなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子を含有する、ストレス評価マーカーである。
【0023】
ストレス評価マーカーとして、上記111種の遺伝子のうち少なくとも1種を含めば特に遺伝子が限定されるものではないが、111種の遺伝子それぞれを単独でマーカーとして用いてもよく、2種以上の遺伝子群をマーカーとして用いてもよい。
複数の遺伝子をマーカーとして用いることにより、より信頼性の高いストレス評価マーカーとして用いることができる。
【0024】
本発明においては、「ストレス評価マーカー」とは、かかるマーカーの発現量を測定することにより、ストレス負荷の状態にあるか否かを判定することのできるマーカーであることを意味し、かかるマーカーとしては、111種の遺伝子から選択される少なくとも1種である。
ストレス評価マーカーとして、2種以上を用いる場合には、キットのように、かかるマーカーを用いてもよく、同時に測定してもよく、一方を先行してその発現量を測定し、次いで、他のマーカーの発現量を測定することにより、ストレス評価用のマーカーとして用いてもよい。
【0025】
ストレスマーカーとしては、Retnlg、Csta、Il1b、Camp、Ifitm6、Ifit1lb、Fcar、Pglyrp1、Mmp8、Schip1、Mycbpap、Aqp9、Ldhc、Degs2、Oas3、Slc22a4、Slc38a5、Slc43a3、Rsad2、Slc4a1、Wfdc15b、Plekhb1、Cd52、Anxa1、Rhd、Nrtn、Alox15、Scube1、Ube2c、Mrgprx3、Steap4、Selenbp1、Rrm2、S100a8、Cfd、Tuba3b、Slpi、Padi4、Fech、Bpgm、Nlrp12、Csf3r、Osgin1、TC646750、ENSRNOT00000065312、ENSRNOT00000040211、ENSRNOT00000056434、RGD1311874、MGC72973、TC587327、LOC688574、Tspan8、Mmp9、Add2、Eraf、Aqp1、Alas2、およびHbbからなる群から選択される少なくとも1種を含有することが好ましく、Retnlg、Csta、Il1b、Camp、Ifitm6、Ifit1lb、Fcar、Pglyrp1、Mmp8、TC646750、ENSRNOT00000065312、ENSRNOT00000040211、ENSRNOT00000056434、Tspan8、Mmp9からなる群から選択される少なくとも1種を含有することがより好ましく、Retnlg、Csta、Il1b、Camp、Ifit1lb、Fcar、Pglyrp1、Mmp8、Tspan8、およびMmp9からなる群から選択される少なくとも1種を含有することがさらに好ましい。
マイクロアレイのように、これら遺伝子を全てマーカーとして有していてもよく、また、その一部に遺伝子の少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0026】
本発明の評価方法において用いられるストレス評価マーカーである111種の遺伝子は、本発明のもう1つの態様であるストレス負荷モデル動物の作成方法により見出されたものである。
本発明において、ストレス負荷モデル動物の作成方法により、新規ストレス負荷モデル動物を作成し、ストレス負荷された動物における血液から白血球成分を抽出し、かかる血球成分中の遺伝子発現量を測定することにより見出された遺伝子群である。具体的には実施例に示すような実験により、ストレス検出用のマーカーとして選択された111種の遺伝子である。表1および表2に示す。
【0027】
【表1】

【0028】
【表2】

【0029】
表1及び表2は、各遺伝子についてのAccession numberとその機能と共に、白血球の遺伝子発現量をDNAマイクロアレイ(N数=5)で分析した結果も示すものである。
【0030】
本発明におけるストレス負荷モデル動物の作成方法は、好ましくは、げっ歯類、中でも、マウスやラットに適用することで、新規ストレス負荷モデル動物を作成することができる。
モデル動物を購入した際には、通常、輸送ストレス等がかかっていることが多い。
そこで、本発明においては、まず、モデル動物を床敷条件で飼育して、かかるストレスを解消させる。
床敷条件での飼育には、通常、5日以上飼育することにより、購入から輸送までの間にかかるストレスを解消させることができる。かかる飼育期間は、7日以上であることが好ましい。
【0031】
床敷条件での飼育とは、モデル動物を、例えば、夏目製作所製のポリカーボネートケージのようなケージに、ストレス負荷をより軽減する観点で、図1に示すように、ウッドチップやおがくずなどの床材や市販の床敷などを敷いた床敷ケージで飼育することを意味する。
【0032】
床敷条件で飼育することによりストレスの解消したモデル動物を、続いて、金網条件で飼育することによる、ストレス負荷モデル動物を作成することができる。
床敷条件から、金網条件下でと、飼育環境が変わることにより、ストレス負荷のかかったモデル動物を作成することができる。
金網条件での飼育には、通常、5日以上飼育することにより、ストレスから解消されたモデル動物にストレスを負荷することができる。かかる飼育期間は、7日以上であることが好ましい。金網条件での飼育は、長く行うと、モデル動物がストレス環境に順応してしまうため、好ましくは、10日以内で飼育することが好ましい。
【0033】
金網条件での飼育とは、モデル動物を、1.2cm角程度のメッシュの開いた金網ケージで飼育することを意味する。
【0034】
ストレス負荷モデル動物の作成の確認については、金網条件での飼育下のモデル動物と、床敷条件で飼育を続けたコントロールとしてのモデル動物との血液サンプル中の好中球数の違いや、ストレスマーカーとして知られた遺伝子の発現量を比較することによっても確認することができる。
また、本発明により、111種の遺伝子マーカーが提供されているので、これら111種の遺伝子の発現量を比較することによっても、ストレス負荷モデル動物の作成を確認することができる。
【0035】
本発明においては、上記ストレス負荷モデル動物の作成方法により作成されるストレス負荷モデル動物をも提供する。
【実施例】
【0036】
以下、実施例を用いて、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0037】
[実施例1](ストレス負荷ラットの作成)
1.試験方法
購入した近交系の雄のラット(Fischer344)の輸送ストレスを排除するために、7日間、床敷ケージ内でラットを飼育した。その後、同じ飼育部屋の別の床敷ケージ又は金網ケージへ、ラットを移し飼育した(図1参照)。それぞれのケージでの飼育7日目に採血し、得られたサンプル(0.2mL)を用いてヒト用血球分析装置(XT−2000i、Sysmex製)で血液成分解析を行った。床敷飼育については11匹の、金網飼育については12匹のラットの血液中の好中球の割合(%)の測定結果およびその平均を表3に示す。図2は、血液中の好中球の割合の平均値を(%)グラフ化したものであり、縦軸は、血液中の好中球の割合を表す。
【0038】
【表3】

【0039】
2.結果
ラットに対して肉体的拘束などのストレスを加えると血液中の好中球の増加が観察されることが知られている(新潟大学医学部医動物学教室のグループによって実証されてもいる:日本経済新聞1995-11-24)。また、日本補完代替医療学会誌 Vol. 1 (2004) , No. 1 pp.31-40や、臨床検査ガイド2007〜2008(文光堂出版)なども参考になる。
金網ケージ内で飼育したラットと床敷ケ−ジ内で飼育したラットとの血液成分を比較解析したところ、前者の白血球中好中球の割合は平均15.1%であり後者は12.1%であった。すなわち、金網飼育において、床敷飼育に比べ顕著に白血球中の好中球の割合が増加していたことから(表3および図2参照)、金網飼育により、ストレス負荷のかかったラットが得られた。
【0040】
[実施例2](CREB遺伝子およびIRF2遺伝子の白血球中での発現解析)
CREB(cAMP Response Element Binding protein)遺伝子およびIRF2(Interferon Regulatory Factor 2)遺伝子はうつ病やストレスと密接に関連していることが知られている。
うつ病など精神疾患を対象に、末梢血白血球遺伝子発現を指標にして病因候補遺伝子を探索した結果、うつ病患者においてCREB遺伝子、つまりCREB mRNAの発現量が上昇することが報告されている(Jun-ichi Iga, et al., : Altered HDAC5 and CREB mRNA expressions in the peripheral leukocytes of major depression, Progress in Neuro-Psychopharmacology and Biological Psychiatry, Vol.31, No.3, pp.628-632, 2007)。
また、健常人にストレスを負荷した際に、末梢血白血球由来のIRF2遺伝子、つまりIRF2 mRNAの発現量が上昇することも報告されている(特開2006−15号公報)。
そこで、実施例1で得られた血液サンプルを用いて白血球中CREB遺伝子およびIRF2遺伝子の発現変化の有無を確認した。
【0041】
<白血球の血液サンプルからの分離>
床敷飼育したラット及び金網飼育したラットから採取した静脈血(5mL)を血液凝固阻止剤(ヘパリンナトリウム注射液、100単位/mLを50μL)で処理後、6mLの血球分離試薬(モノ・ポリ分離溶液、大日本住友製薬ファーマバイオメディカル)の入った試験管へ移した。遠心分離(1500rpm、20minを連続して3回、トータル60min)を行い、白血球が含まれる白色の層を1.5mLチューブへ移した。
生理食塩水を加え、遠心分離(6000rpm、5minを3回)を行って、白血球を沈殿させた。
【0042】
<白血球からのRNA抽出>
次に、RNeasy mini kit(Qiagen)を用いて、添付説明書に従いtotal RNAの抽出を行った。具体的には以下のとおりである。
Buffer RLTにメルカプトエタノール(M−E)を10μL/mLの濃度で添加した。遠心分離により沈殿させて得られた白血球サンプルにBuffer RLT(+M−E)を700μL加えた。ボルテックスミキサーにより、物理的に細胞を破壊した。さらに、シリンジに取り付けた先の尖っていない注射針(20−G、直径0.9mm)に白血球サンプルを少なくとも5回通し、物理的に白血球を破壊した。得られたサンプルに600μLの70%エタノール水溶液を添加し、ピペッティングによりよく混和した。600μLのサンプルを、2mLチューブ中にセットしたRNeasyスピンカラムに適用し、8000 × g(10,000rpm)以上で15秒間遠心分離し、上清を除去した。350μLの洗浄液(RW1 buffer)をRNeasyスピンカラムに添加し、8000 x g(10,000rpm)以上で15秒間遠心分離し、上清を除去した。
DNAのコンタミネーションを防ぐため、1サンプルあたりDNA分解酵素(DNase)20μLとバッファーRDD140μLの計160μLをカラム中央に適用し、室温で15分間静置した。350μLの洗浄液(RW1 buffer)をRNeasyスピンカラムに添加し、8000 x g(10,000rpm)以上で15秒間遠心分離し、上清を除去した。RNeasyスピンカラムに500μLの洗浄液(RPE buffer)を添加し、8000 x g(10,000rpm)以上で15秒間遠心分離し、上清を除去した。再び、RNeasyスピンカラムに500μLの洗浄液(RPE buffer)を添加し、8000 x g(10,000rpm)以上で2分間遠心操作した。RNeasyスピンカラムを新しい1.5mLチューブにセットした。蒸留水40μLを直接スピンカラム・メンブレンに添加し、8000 x g(10,000rpm)以上で1分間遠心操作を行ない、RNAを溶出した。新しい蒸留水40μLを用いて上記ステップを再度行ない、RNAを溶出した。抽出した各total RNAサンプル50μLを濃度測定に用いた。残りのRNAサンプルは−80℃にて凍結保存した。
抽出したtotal RNAは吸光度測定にてRT−PCR解析に用いられる品質であるかどうかを確認した。
【0043】
<total RNAからのcDNAの合成>
逆転写反応用キット(TOYOBO社製 ReverTra Ace)を用いて、42℃、20分→99℃、5分→4℃で逆転写反応を行った。逆転写反応用の試薬(15sample分)として、水150μL、buffer 5xRT 60μL、dNTP 30μL、Oligo(dT) 15μL、RNase Inhibitor(TOYOBO)15μL、Rever Tra Ase(TOYOBO)15μL、Template RNA15μL(それぞれ1μL(117.5ng))を用い、total vol. 20μLで実施した。
【0044】
<PCR法による遺伝子検出実験>
CREB遺伝子およびIRF2遺伝子に対して特異的なプライマーを用いて、白血球由来cDNAを鋳型として、Ex Taq(TaKaRa社製)を使用し、下記プロトコールに従いPCR反応を行った。PCRの反応液量(total vol.)は1sampleあたり25μlで実施した。PCR用反応液(30sample分)として、DNAポリメラーゼ酵素「Ex−Taq」3.75μL、10 x PCR buffer 75μL、dNTPs 60μL、白血球由来template cDNA 60μL、滅菌水492μLを用い、混合液を23μLずつPCR用チューブへ分注し、それぞれの遺伝子検出用のプライマーDNAをそれぞれ2μLずつ添加した。
PCR反応は、以下の条件で実施した。
【表4】

IRF2遺伝子のアニーリング温度は54℃、サイクル数は29、CREB遺伝子のアニーリング温度は56℃、サイクル数は30で実施した。
RT−PCR解析で使用したCREB遺伝子およびIRF2遺伝子の特異的プライマーとして、CREB
Forward Primer:5’-GGCCTGCAGACATTAACCAT-3’(配列番号1)
Reverse Primer:5’-ATCCAGTCCATTTTCCACCA-3’(配列番号2)
IRF2
Forward Primer:5’-ATCTGAGCGACCTTCCAAGA-3’(配列番号3)
Reverse Primer:5’-AGGACCGCATACTCAGGAGA-3’(配列番号4)
を用いた。
PCR反応後、4%アガロースゲル電気泳動を行い、エチジウムブロマイド染色で目的遺伝子の検出をした。検出にはUVトランスイルミネーター(SCOPE−WD)を用い、遺伝子バンドの強度を測定した。
RT−PCR解析の結果、CREB遺伝子およびIRF2遺伝子は顕著に発現量が上昇していることが確認できた(図3参照)。CREB遺伝子およびIRF2遺伝子の発現量が上昇していることから、金網飼育により、ストレス負荷のかかったラットが得られたことが確認できた。
なお、コントロールとして用いたGAPDH遺伝子のラットGAPDH遺伝子検出用プライマー配列は以下の通りである。
Forward Primer:5’-TTCAATGGCACAGTCAAGGC-3(配列番号5)
Reverse Primer:5’-TCACCCCATTTGATGTTAGCG-3(配列番号6)
【0045】
[実施例3](マイクロアレイ解析)
実施例1と同様にして、ラットを飼育して、金網飼育によりストレス負荷のかかったラット5個体および床敷飼育したラット5個体を得た。金網又は床敷上での飼育7日目に血液サンプルを採取した。
実施例2と同様にして、RNeasy mini kit(Qiagen)を用いて、添付説明書に従いtotal RNAの抽出を行った(それぞれの血液サンプルに由来するtotal RNAサンプルを、以下、ストレス負荷サンプル、対照サンプルという。)。
次に、DNAマイクロアレイ解析を行った。
cDNAの合成、cRNAのラベルと増殖をLow Input Quick Amp labeling Kit(Agilent Technologies社製)を用いて行った。
まず、total RNA 25ng、T7 promoter primer 1.8μLを加え、totalで3.3μLになるようにNuclease free waterを加えた。RNA Spike In Kit(2カラー用)のSpike−AをCy3ラベルする対照サンプルに、Spike−BをCy5ラベルするストレス負荷サンプルに2μL加えた。65℃で10分間、インキュベート後、5分間、氷上に置き、熱変性させた。熱変性させたRNAにcDNAマスターミックス(5xFirst Strand Buffer 2.0μL、0.1M DTT 1.0μL、10mM dNTP mix 0.5μL、AffinityScript 1.2μL)を4.7μl加え、40℃で2時間インキュベートした。チューブをウォーターバスから取り出し、70℃で15分間インキュベートし、反応を停止した後、氷上で5分間冷却した。
対照サンプルにCyanine3 Transcription mixを、ストレス負荷サンプルにCyanine5 Transcription mixを各反応チューブに加えた。Transcriptionマスターミックスとして、Nuclease free water 0.75μL、5xTranscription buffer 3.2μL、0.1M DTT 0.6μL、NTP mix 1.0μL、T7 RNA polymerase mix 0.21μL、Cyanine 3 or 5 CTP 0.24μLを1反応の必要量(Ttotal 6.0μL)として用いた。40℃のウォーターバス中で、遮光しながら2時間インキュベートした。
次に、RNeasy mini spin columus(Qiagen社)を用いて、ラベル化cRNAを調整した。
Nuclease free water 84μL、RLT buffer 350μL、エタノール 250μLを順次反応チューブに加えた。700μLのcRNAサンプルをカラムに移し、13,000rpmで1分間遠心した。フロースルーを別のチューブに移し、カラムをコレクションチューブに戻した。500μLのRPE Bufferを加え、13000rpmで1分間遠心した。フロースルーを別のチューブに移し、カラムをコレクションチューブに戻した。500μLのRPE Bufferを加え、13,000rpmで1分間遠心した。カラムを1.5mLチューブに移した。30μLのNuclease free waterを加え、1分間静置した。13,000rpmで1分間遠心し溶出した。
次に、溶出した溶液状態のcRNAを分光光度計で濃度測定し、以下の溶液量となるようcRNAターゲット溶液の調整を行った。
以下のように2xcRNAターゲット溶液を調整した。1チューブあたりの反応量を示す。
Cyanine3ラベル化cRNA 0.825μg
Cyanine5ラベル化cRNA 0.825μg
10xBlocking agent 11.0μL
Nuclease free water
Total 52.8μL
2xcRNAターゲット溶液52.8μLに25xフラグメンテーションバッファーを2.2μL加え、60℃のウォーターバスで30分間インキュベートした。
フラグメンテーションをストップさせるために、2xハイブリダイゼーションバッファーを55μL加えた。
Microarray(Rat GE 4x44k v3 2color、Agilent Technologiest社製)に100μLアプライし、65℃で約17時間、ハイブリオーブンで攪拌しながらハイブリダイゼーションを行った。
室温のAgilent gene expression洗浄バッファー1で1分間洗浄した。37℃のAgilent gene expression洗浄バッファー2で1分間洗浄した。スライドを引き上げて風乾した。乾燥後、Agilent technologies microarray scannerを用いて5μmの解像度でスキャンした。
次に、変動した遺伝子を選出するために、microarray scannerから出力された数値生データをExcelにより解析した。
Controlフィーチャーは、「ControlType→0」にして、全て排除した。つまり、解析に使用しないポジティブコントロール、ネガティブコントロールを排除し、解析に使用するデータのみを表示した。
なお、gIsFeatNonUnifOL(Green Channel(Cy3)のフィーチャーに対するNon Uniformity Outlier)、gIsFeatPopnOL(Green Channel(Cy3)のフィーチャーに対するPopulation Outlier)のフラグは排除し、また、バックグラウンドより充分にシグナルの高いフィーチャーを集めるために、バックグラウンド±13xSDよりも低いシグナルフィーチャーを排除した。P値(P value)は0.01以下、つまり99%の信頼性をもって対照サンプルとの発現差があると判定されたフィーチャーのみを表示した。
【0046】
P値はいずれも10E−2未満であり、Retnlg遺伝子、Csta遺伝子、Il1b遺伝子、Camp遺伝子、Ifitm6遺伝子、Ifit1lb遺伝子、Fcar遺伝子、Pglyrp1遺伝子、Mmp8遺伝子、Schip1遺伝子、Mycbpap遺伝子、Aqp9遺伝子、Ldhc遺伝子、Degs2遺伝子、Oas3遺伝子、Slc22a4遺伝子、Slc38a5遺伝子、Slc43a3遺伝子、Rsad2遺伝子、Slc4a1遺伝子、Wfdc15b遺伝子、Plekhb1遺伝子、Cd52遺伝子、Anxa1遺伝子、Rhd遺伝子、Nrtn遺伝子、Alox15遺伝子、Scube1遺伝子、Ube2c遺伝子、Mrgprx3遺伝子、Steap4遺伝子、Selenbp1遺伝子、Rrm2遺伝子、S100a8遺伝子、Cfd遺伝子、Tuba3b遺伝子、Slpi遺伝子、Padi4遺伝子、Fech遺伝子、Bpgm遺伝子、Nlrp12遺伝子、Csf3r遺伝子、Osgin1遺伝子、Mogat2遺伝子、Alpl遺伝子、Csf1遺伝子、Klra2遺伝子、Cdr2遺伝子、Kcnq2遺伝子、Prp15遺伝子、Clec4e遺伝子、Dusp13遺伝子、Gpr77遺伝子、Znf532遺伝子、Oas1k遺伝子、Per2遺伝子、Upp1遺伝子、Oas1a遺伝子、Pth遺伝子、Lrg1遺伝子、Dnase2b遺伝子、Vegfa遺伝子、Hdc遺伝子、Egr1遺伝子、Clec4d遺伝子、Alox5遺伝子、Car2遺伝子、Il1r2遺伝子、Il8rb遺伝子、Pla2g7遺伝子、Dgat2遺伝子、Mcpt10遺伝子、Mcpt8遺伝子、Mcpt8l2遺伝子、Mcpt8l3遺伝子、S100a9遺伝子、Rab32遺伝子、Emb遺伝子、Fetub遺伝子、Scgb3a1遺伝子、Nlrp3遺伝子、TC646750遺伝子、ENSRNOT00000065312遺伝子、ENSRNOT00000040211遺伝子、ENSRNOT00000056434遺伝子、RGD1311874遺伝子、MGC72973遺伝子、TC587327遺伝子、LOC688574遺伝子、TC603221遺伝子、RGD1565432遺伝子、RGD1565374遺伝子、RGD1565161遺伝子、RGD1565983遺伝子、RGD1310507遺伝子、LOC690116遺伝子、LOC691993遺伝子、LOC689064遺伝子、CF109441遺伝子、A_64_P154430遺伝子、A_64_P138390遺伝子、A_64_P050137遺伝子、ENSRNOT00000035459遺伝子、Tspan8遺伝子、Mmp9遺伝子、Add2遺伝子、Eraf遺伝子、Aqp1遺伝子、Alas2遺伝子、Hbb遺伝子、およびHba-a2遺伝子において、ストレス負荷ラットにおける発現量が有意に増加していた。
【0047】
5シリーズ全てにおいて発現上昇していた遺伝子は、Retnlg遺伝子、Csta遺伝子、Il1b遺伝子、Camp遺伝子、Ifitm6遺伝子、Ifit1lb遺伝子、Fcar遺伝子、Pglyrp1遺伝子、Mmp8遺伝子、TC646750遺伝子、ENSRNOT00000065312遺伝子、ENSRNOT00000040211遺伝子、ENSRNOT00000056434遺伝子、Tspan8遺伝子、およびMmp9遺伝子であった。
表5および表6にマイクロアレイ解析における測定結果の一部を例示として示す。マイクロアレイ解析においては、表1および表2において、changes in transcript levelとして、測定値の平均値としても記載しているが、かかる数値は、以下のようにして求めた値である。
Tspan8を例にかかる数値の計算方法を示すと、表5および表6に示されるように、Tspan8遺伝子の発現量の変化は、Feature Numberとして示す、25273、36630、16892、・・・のデータとして各々サンプル数に応じて測定される。
そして、まず、各サンプル毎の平均値を取る。すなわち、Tspan8のSample1のデータとしては、Tspan8のFeature Numberが25273、36630、16892、・・・であるSample1のデータの平均値を取っている。そうすることにより、Tspan8の測定結果として、Sample1〜Sample5までの各平均値としての、遺伝子発現量の変化が確認される。
ここで、Sample1〜Sample5までの全ての各平均値において、発現上昇が確認できた遺伝子が、上記5シリーズ全てにおいて発現上昇していた遺伝子である。
そして、Sample1〜Sample5として得られた遺伝子発現量の変化を総平均値として求めた値が、上記表1および表2におけるchanges in transcript levelとして示されているものである。
【0048】
【表5】

【0049】
【表6】

【0050】
4シリーズにおいて発現上昇していた遺伝子は、Schip1遺伝子、Mycbpap遺伝子、Aqp9遺伝子、Ldhc遺伝子、Degs2遺伝子、Oas3遺伝子、Slc22a4遺伝子、Slc38a5遺伝子、Slc43a3遺伝子、Rsad2遺伝子、Slc4a1遺伝子、Wfdc15b遺伝子、Plekhb1遺伝子、Cd52遺伝子、Anxa1遺伝子、Rhd遺伝子、Nrtn遺伝子、Alox15遺伝子、Scube1遺伝子、Ube2c遺伝子、Mrgprx3遺伝子、Steap4遺伝子、Selenbp1遺伝子、Rrm2遺伝子、S100a8遺伝子、Cfd遺伝子、Tuba3b遺伝子、Slpi遺伝子、Padi4遺伝子、Fech遺伝子、Bpgm遺伝子、Nlrp12遺伝子、Csf3r遺伝子、Osgin1遺伝子、RGD1311874遺伝子、MGC72973遺伝子、TC587327遺伝子、LOC688574遺伝子、Add2遺伝子、Eraf遺伝子、Aqp1遺伝子、Alas2遺伝子、およびHbb遺伝子であった。
【0051】
3シリーズにおいて発現上昇していた遺伝子は、Mogat2遺伝子、Alpl遺伝子、Csf1遺伝子、Klra2遺伝子、Cdr2遺伝子、Kcnq2遺伝子、Prp15遺伝子、Clec4e遺伝子、Dusp13遺伝子、Fcar遺伝子、Gpr77遺伝子、Znf532遺伝子、Oas1k遺伝子、Per2遺伝子、Upp1遺伝子、Oas1a遺伝子、Pth遺伝子、Lrg1遺伝子、Dnase2b遺伝子、Vegfa遺伝子、Hdc遺伝子、Egr1遺伝子、Clec4d遺伝子、Alox5遺伝子、Car2遺伝子、Il1r2遺伝子、Il8rb遺伝子、Pla2g7遺伝子、Bpgm遺伝子、Dgat2遺伝子、Mcpt10遺伝子、Mcpt8遺伝子、Mcpt8l2遺伝子、Mcpt8l3遺伝子、S100a9遺伝子、Rab32遺伝子、Emb遺伝子、Fetub遺伝子、Scgb3a1遺伝子、Nlrp3遺伝子、TC603221遺伝子、RGD1565432遺伝子、RGD1565374遺伝子、RGD1565161遺伝子、RGD1565983遺伝子、RGD1310507遺伝子、LOC690116遺伝子、LOC691993遺伝子、LOC689064遺伝子、CF109441遺伝子、A_64_P154430遺伝子、A_64_P138390遺伝子、A_64_P050137遺伝子、ENSRNOT00000035459遺伝子、およびHba-a2遺伝子であった。
【0052】
[実施例4]
111種の遺伝子の中から、無作為に、Tspan8、Mmp9、Add2、Eraf、Aqp1、Hba-a2、Hbb、およびAlas2の8種類の遺伝子を選択した。
実施例1と同様にして作成したストレス負荷ラットの血液サンプル中の、遺伝子発現量をLightCycler480装置(登録商標、ロシュ製)を用いて、RT−PCRにより測定した。
RT−PCR用プライマーとして表2に示すようにプライマーを、NCBI(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)から対象遺伝子のDNA情報を取得した後、プライマーデザインソフト「Primer3」(http://frodo.wi.mit.edu/primer3/)にDNA情報をアプライし、いくつか候補となるプライマーセットを選択し、そのうちから、対象遺伝子のイントロンを挟むようにプライマーセットを設計した。
【表7】

PCR反応は、以下の条件で実施した。
【表8】

【0053】
対照サンプルおよびストレス負荷サンプルをそれぞれ5匹測定し、平均値をとりmRNAの相対定量法により遺伝子発現量を比較した(図4参照)。図4において、左側のカラム(w)は、床敷飼育でのラット(対照サンプル)の結果であり、該発現量を1としたときの、右側のカラム(s)には、金網飼育でのラット(ストレス負荷サンプル)における相対発現量を示す。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、ストレス評価を行うことで、当該評価結果をうつ病の診断等に用いることが出来るという産業上の利用可能性を有する。また、うつ病の早期発見を行うことが出来ると考えられる点で、産業上の利用可能性を有する。また、ストレス評価を行うことができる新規なストレスマーカーにより、人や動物のストレスの評価を的確に行うことが出来ると考えられる点で、産業上の利用可能性を有する。また、ストレス負荷モデル動物を作成することにより、人や動物の抗うつ薬等を作成することが出来る可能性があると考えられる点で、産業上の利用可能性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺伝子の発現量を指標として用い、該遺伝子が、Retnlg、Csta、Il1b、Camp、Ifitm6、Ifit1lb、Fcar、Pglyrp1、Mmp8、Schip1、Mycbpap、Aqp9、Ldhc、Degs2、Oas3、Slc22a4、Slc38a5、Slc43a3、Rsad2、Slc4a1、Wfdc15b、Plekhb1、Cd52、Anxa1、Rhd、Nrtn、Alox15、Scube1、Ube2c、Mrgprx3、Steap4、Selenbp1、Rrm2、S100a8、Cfd、Tuba3b、Slpi、Padi4、Fech、Bpgm、Nlrp12、Csf3r、Osgin1、Mogat2、Alpl、Csf1、Klra2、Cdr2、Kcnq2、Prp15、Clec4e、Dusp13、Gpr77、Znf532、Oas1k、Per2、Upp1、Oas1a、Pth、Lrg1、Dnase2b、Vegfa、Hdc、Egr1、Clec4d、Alox5、Car2、Il1r2、Il8rb、Pla2g7、Dgat2、Mcpt10、Mcpt8、Mcpt8l2、Mcpt8l3、S100a9、Rab32、Emb、Fetub、Scgb3a1、Nlrp3、TC646750、ENSRNOT00000065312、ENSRNOT00000040211、ENSRNOT00000056434、RGD1311874、MGC72973、TC587327、LOC688574、TC603221、RGD1565432、RGD1565374、RGD1565161、RGD1565983、RGD1310507、LOC690116、LOC691993、LOC689064、CF109441、A_64_P154430、A_64_P138390、A_64_P050137、ENSRNOT00000035459、Tspan8、Mmp9、Add2、Eraf、Aqp1、Alas2、Hbb、およびHba-a2からなる群から選択される少なくとも1種である、ストレスの評価方法。
【請求項2】
前記遺伝子が、Retnlg、Csta、Il1b、Camp、Ifitm6、Ifit1lb、Fcar、Pglyrp1、Mmp8、Schip1、Mycbpap、Aqp9、Ldhc、Degs2、Oas3、Slc22a4、Slc38a5、Slc43a3、Rsad2、Slc4a1、Wfdc15b、Plekhb1、Cd52、Anxa1、Rhd、Nrtn、Alox15、Scube1、Ube2c、Mrgprx3、Steap4、Selenbp1、Rrm2、S100a8、Cfd、Tuba3b、Slpi、Padi4、Fech、Bpgm、Nlrp12、Csf3r、Osgin1、TC646750、ENSRNOT00000065312、ENSRNOT00000040211、ENSRNOT00000056434、RGD1311874、MGC72973、TC587327、LOC688574、Tspan8、Mmp9、Add2、Eraf、Aqp1、Alas2、およびHbbからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載のストレスの評価方法。
【請求項3】
前記遺伝子が、Retnlg、Csta、Il1b、Camp、Ifitm6、Ifit1lb、Fcar、Pglyrp1、Mmp8、TC646750、ENSRNOT00000065312、ENSRNOT00000040211、ENSRNOT00000056434、Tspan8、Mmp9からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のストレスの評価方法。
【請求項4】
前記遺伝子が、Tspan8、Mmp9、Add2、Eraf、Aqp1、Hba-a2、Hbb、およびAlas2の8種の遺伝子からなる群から選択される、請求項1に記載のストレスの評価方法。
【請求項5】
2種以上の前記遺伝子を指標として用いる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のストレスの評価方法。
【請求項6】
Retnlg、Csta、Il1b、Camp、Ifitm6、Ifit1lb、Fcar、Pglyrp1、Mmp8、Schip1、Mycbpap、Aqp9、Ldhc、Degs2、Oas3、Slc22a4、Slc38a5、Slc43a3、Rsad2、Slc4a1、Wfdc15b、Plekhb1、Cd52、Anxa1、Rhd、Nrtn、Alox15、Scube1、Ube2c、Mrgprx3、Steap4、Selenbp1、Rrm2、S100a8、Cfd、Tuba3b、Slpi、Padi4、Fech、Bpgm、Nlrp12、Csf3r、Osgin1、Mogat2、Alpl、Csf1、Klra2、Cdr2、Kcnq2、Prp15、Clec4e、Dusp13、Gpr77、Znf532、Oas1k、Per2、Upp1、Oas1a、Pth、Lrg1、Dnase2b、Vegfa、Hdc、Egr1、Clec4d、Alox5、Car2、Il1r2、Il8rb、Pla2g7、Dgat2、Mcpt10、Mcpt8、Mcpt8l2、Mcpt8l3、S100a9、Rab32、Emb、Fetub、Scgb3a1、Nlrp3、TC646750、ENSRNOT00000065312、ENSRNOT00000040211、ENSRNOT00000056434、RGD1311874、MGC72973、TC587327、LOC688574、TC603221、RGD1565432、RGD1565374、RGD1565161、RGD1565983、RGD1310507、LOC690116、LOC691993、LOC689064、CF109441、A_64_P154430、A_64_P138390、A_64_P050137、ENSRNOT00000035459、Tspan8、Mmp9、Add2、Eraf、Aqp1、Alas2、Hbb、およびHba-a2かからなる群から選択される少なくとも1種の遺伝子を含有する、ストレス評価マーカー。
【請求項7】
前記遺伝子が、Retnlg、Csta、Il1b、Camp、Ifitm6、Ifit1lb、Fcar、Pglyrp1、Mmp8、Schip1、Mycbpap、Aqp9、Ldhc、Degs2、Oas3、Slc22a4、Slc38a5、Slc43a3、Rsad2、Slc4a1、Wfdc15b、Plekhb1、Cd52、Anxa1、Rhd、Nrtn、Alox15、Scube1、Ube2c、Mrgprx3、Steap4、Selenbp1、Rrm2、S100a8、Cfd、Tuba3b、Slpi、Padi4、Fech、Bpgm、Nlrp12、Csf3r、Osgin1、TC646750、ENSRNOT00000065312、ENSRNOT00000040211、ENSRNOT00000056434、RGD1311874、MGC72973、TC587327、LOC688574、Tspan8、Mmp9、Add2、Eraf、Aqp1、Alas2、およびHbbからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項6に記載のストレス評価マーカー。
【請求項8】
前記遺伝子が、Retnlg、Csta、Il1b、Camp、Ifitm6、Ifit1lb、Fcar、Pglyrp1、Mmp8、TC646750、ENSRNOT00000065312、ENSRNOT00000040211、ENSRNOT00000056434、Tspan8、Mmp9からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項6又は7に記載のストレス評価マーカー。
【請求項9】
前記遺伝子が、Tspan8、Mmp9、Add2、Eraf、Aqp1、Hba-a2、Hbb、およびAlas2の8種の遺伝子からなる群から選択される、請求項6に記載のストレス評価マーカー。
【請求項10】
2種以上の前記遺伝子を含有する、請求項6〜9のいずれか1項に記載のストレス評価マーカー。
【請求項11】
少なくともTspan8、Mmp9、Add2、Eraf、Aqp1、Hba-a2、Hbb、およびAlas2の8種の遺伝子を含有する、請求項6〜10のいずれか1項に記載のストレス評価マーカー。
【請求項12】
床敷飼育した後に、金網飼育することによる、ストレス負荷モデル動物の作成方法。
【請求項13】
床敷飼育を5日間以上行う、請求項12に記載の作成方法。
【請求項14】
金網飼育を5日間以上行う、請求項12又は13に記載の作成方法。
【請求項15】
モデル動物が、げっ歯類である、請求項12〜14のいずれか1項に記載の作成方法。
【請求項16】
モデル動物が、ラット又はマウスである、請求項12〜15のいずれか1項に記載の作成方法。
【請求項17】
請求項12〜16のいずれか1項に記載の方法により作成される、ストレス負荷モデル動物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−110969(P2013−110969A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257005(P2011−257005)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】