説明

ストレス検出装置、ストレス検出システム及び送信装置

【課題】被験者のストレス反応を精度よく検出する。
【解決手段】ストレス検出装置1は、被験者の薬指の皮膚に接触するとともに、電力の供給を受ける第1の指輪型電極4と、被験者の中指の皮膚に接触し、皮膚を介して第1の指輪型電極4と電気的に接続される第2の指輪型電極5と、第1及び第2の指輪型電極4,5の間の生体静電容量に反比例した電圧に基づいて、被験者のストレス反応を検出する受信装置3とを、備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚電気活動から被験者のストレスを検出するストレス検出装置、ストレス検出システム及びストレス検出システム用の送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚電気活動から被験者のストレスを検出する装置として、例えば、特許文献1には、送信側の装置と受信側の装置からなるストレス検出装置が記載されている。送信側の装置は、第1の指輪型電極と、第2の指輪型電極と、送信部と、を備えている。送信部は、周波数信号発生部と、送信コイルと、を有している。送信側の装置は、運転者者の中指と薬指にそれぞれ第1の指輪型電極と第2の指輪型電極を嵌めると、コードで相互接続された両電極の生体抵抗値に反比例した電圧を、周波数信号発生部の送信側周波数変換回路によって周波数信号に変換して受信側の装置へ送信する。受信側の装置では、受信した周波数信号を電圧信号に戻し、短期的指標及び長期的指標の解析結果を出力するストレス検出装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−212391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記ストレス検出装置では、被験者の覚醒度が低下するなど、生体の活性レベルが低下したとき、受信側の装置において、ストレス反応が検出されない可能性がある。
【0005】
そこで本発明は、被験者のストレス反応を精度よく検出することが可能なストレス検出装置、ストレス検出システム及びストレス検出システム用の送信装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、本発明のストレス検出装置は、第1の電極と、第2の電極と、検出手段と、を備える。
【0007】
第1の電極は、被験者の皮膚に接触するとともに、電力の供給を受ける。第2の電極は、被験者の皮膚に接触し、皮膚を介して第1の電極と電気的に接続される。検出手段は、第1及び第2の電極の間の生体静電容量に反比例した電圧に基づいて、被験者のストレス反応を検出する。
【0008】
生体静電容量は、被験者の皮膚の乾燥度によって増減する。発汗などによって皮膚の乾燥度が小さくなると生体静電容量は増加し、皮膚の乾燥度が大きくなると生体静電容量は減少する。すなわち、被験者の精神的ストレスMWL(Mental Work Load)の増加によって精神性発汗が亢進され、皮膚の乾燥度が小さくなると、生体静電容量は増加する。
【0009】
上記構成では、検出手段が、第1及び第2の電極の間の生体静電容量に反比例した電圧に基づいて被験者のストレス反応を検出することができるので、ストレス反応を精度よく検出することができる。
【0010】
また、上記検出手段は、生体静電容量値の基準性体静電容量値に対する反比例分圧電圧を検出してもよい。
【0011】
上記構成では、検出手段は、例えば、第1の電極、第2の電極、生体(被験者の皮膚)及び基準コンデンサで構成された分圧回路の出力電圧(第1及び第2の電極の間の生体静電容量に反比例する電圧)に基づいて被験者のストレス反応の検出を行うことができるので、被験者のストレス反応を精度よく検出することができる。
【0012】
また、本発明の送信装置は、送信装置と受信装置とを備えるストレス検出システムの送信装置であって、第1の電極と、絶縁性の第1の短絡防止体と、第2の電極と、絶縁性の第2の短絡防止体と、送信手段と、電力供給手段と、を備える。
【0013】
第1の電極は、被験者の皮膚に接触するとともに、電力の供給を受ける。第1の短絡防止体は、第1の電極の一部を覆い、第1の電極の短絡を防止する。第2の電極は、被験者の皮膚に接触し、皮膚を介して第1の電極と電気的に接続される。第2の短絡防止体は、第2の電極の一部を覆い、第2の電極の短絡を防止する。送信手段は、第1及び第2の電極の間の生体静電容量に反比例した電圧を周波数信号に変換し、周波数信号を受信装置に送信するとともに、第1又は第2の短絡防止体に固定される。電力供給手段は、第1及び第2の電極並びに送信手段に電力を供給するとともに、第1又は第2の短絡防止体に固定される。
【0014】
上記構成では、送信手段と電力供給手段は、それぞれ第1又は第2の短絡防止体に固定されるので、別途これらを固定するための部材を設ける必要がないため、送信装置を比較的小型化できる。
【0015】
また、本発明のストレス検出システムは、上記送信装置と、送信装置から出力される周波数信号を受信する受信装置と、を備え、受信装置は、変換手段と、解析手段と、を備える。
【0016】
変換手段は、周波数信号を電圧に復調する。解析手段は、変換手段が復調した電圧に基づいて被験者のストレス反応を解析する。
【0017】
上記構成では、受信装置の変換手段が、周波数信号を電圧に復調し、検知手段が、変換手段が復調した電圧に基づいて被験者のストレス反応を解析する。このため、第1及び第2の電極の間の生体静電容量に反比例した電圧に基づいて被験者のストレス反応を解析することができるので、ストレス反応を精度よく検出することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、被験者のストレス反応を精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態のストレス検出装置のブロック構成図である。
【図2】図1の送信装置の(a)は全体斜視図、(b)は要部拡大図である。
【図3】図1の送信装置の装着状態を示す図である。
【図4】図1の受信装置の周波数−電圧変換回路が出力する電圧の遷移の一例を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態のストレス検出装置のブロック構成図である。
【図6】図5の送信装置の全体斜視図である。
【図7】図5の送信装置の装着状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係るストレス検出装置(ストレス検出システム)の第1の実施形態を図1〜図4を参照して説明する。
【0021】
本実施形態におけるストレス検出装置1は、車両(図示省略)に搭載され、図1に示すように、送信装置2と受信装置(検出手段)3とを有している。
【0022】
送信装置2は、第1の指輪型電極(第1の電極)4と、第2の指輪型電極(第2の電極)5と、コード6と、送信部7と、を有している。
【0023】
第1の指輪型電極4は、図2(a)に示すように、略円弧状のステンレス電極である。外側には、他の金属等と短絡しないように樹脂コーティングが施され、第1の短絡防止体43が形成されている。内側には、被験者の指、例えば薬指が挿入される挿入孔41が設けられている。また、第1の指輪型電極4の一端部には、接続部42が設けられている。
【0024】
第2の指輪電極5は、図2(a)に示すように、略円弧状のステンレス電極である。外側には、他の金属等と短絡しないように樹脂によってコーティングが施され、第2の短絡防止体52が形成されている。また、内側には、被験者の指、例えば中指が挿入される挿入孔51が設けられている。また、第2の指輪電極の上部には、略矩形状の送信部7の筐体が第2の短絡防止体52に固定されている。
【0025】
コード6は、ビニールで被覆された銅製の導線であり、一端は送信部7に接続されている。また、他端は第1の指輪型電極4の接続部42に接続されている。
【0026】
送信部7は、プラスチックモールドされた略矩形状体の筐体の内部に、周波数信号発生部71(送信手段)と、送信コイル72(送信手段)と、電池(電力供給手段)73と、を有する(図1参照)。
【0027】
周波数信号発生部71は、基準コンデンサ71aと、コイル駆動回路71bと、を有している。
【0028】
コイル駆動回路71bは、入力端子T1と入力端子T2とを有している。入力端子T1には、第1の指輪型電極4がコード6を介して接続されている。また、入力端子T2には、第2の指輪型電極5が接続されている。また、入力端子T2は、基準コンデンサ71aを介して接地されている。
【0029】
電池73は、周波数信号発生部71と、第2の指輪型電極5と、コード6を介して第1の指輪型電極4とに、電力を供給する。また、電池73の電源電圧+Vは、コード6を介して第1の指輪型電極4に供給される。電池73は、送信部7の上方に設けられた電池ケース74に収納されている。電池ケース74は、図2(b)に示すように、略矩形状体で、中央に電池73を収納する収納部を有する電池ケース基部74aと、収納部を上方から閉止する板状体の電池ケース蓋部74bを有する。
【0030】
コイル駆動回路71bは、T2に入力された電圧Vaを増幅する増幅機能と、増幅された電圧Vbを周波数信号fs1に変換する電圧−周波数変換機能とを有する。また、コイル駆動回路71bは、電圧−周波数変換の際に用いる発振回路(図示省略)が内蔵されている。コイル駆動回路71bは、送信コイル72に接続されており、変換した周波数信号fs1を送信コイル72に出力する。
【0031】
送信コイル72は、一端がコイル駆動回路71bに接続され、他端が接地されている。コイル駆動回路71bから出力された周波数信号fs1が送信コイル72に入力されると、送信コイル72に弱い交流電流が流れ、送信コイル72の近傍に信号伝達用の交流磁場が形成される。すなわち、コイル駆動回路71bと送信コイル72とは、第1及び第2の電極の間の生体静電容量に反比例した電圧を周波数信号に変換し、周波数信号を受信装置に送信するとともに、第1又は第2の短絡防止体に固定される送信手段を構成する。
【0032】
受信装置3は、図1に示すように、車両のステアリングホイール8に内蔵された受信コイル9と、インストルメントパネルに設けられた収納部(図示省略)に収納されたカップリングコンデンサ11と、バンドパスフィルタ12と、周波数−電圧変換回路13と、バッファ14と、短期的指標解析部(解析手段)15と、長期的指標解析部(解析手段)16と、を備えている。
【0033】
受信コイル9は、両端がカップリングコンデンサ11に接続されており、送信コイル72から周波数信号fs1を受信し、カップリングコンデンサ11に出力する。
【0034】
カップリングコンデンサ11は、各々の一端が受信コイル9に、他端がバンドパスフィルタ12に接続されている。カップリングコンデンサ11は、受信コイル9が出力する周波数信号fs1の直流成分を除去し、周波数信号fs2をバンドパスフィルタ12に出力する。
【0035】
バンドパスフィルタ12は、各々のカップリングコンデンサ11が接続されている入力端子と、周波数−電圧変換回路13に接続される出力端子を有する。バンドパスフィルタ12は、入力された周波数信号fs2のうち、所定範囲内の周波数信号fs3のみを通過させ、すなわち、周波数信号fs2の交流信号asを抽出し、周波数−電圧変換回路13に入力する。
【0036】
周波数−電圧変換回路13は、一端がバンドパスフィルタ12に、他端がバッファ14に接続されている。周波数−電圧変換回路13は、入力された交流信号asを電圧Vcに復調する。また、周波数−電圧変換回路13は、復調した電圧Vcをバッファ14に出力する。
【0037】
バッファ14は、一端が周波数−電圧変換回路13に、他端が長期的指標解析部16と短期的指標解析部15に接続されている。バッファ14は、入力された電圧Vcを長期的指標解析部16と、短期的指標解析部15に出力する。
【0038】
長期的指標解析部16は、ローパスフィルタ(図示省略)を備え、電圧Vcから基線変動成分を抽出し、電圧Vdとして出力する。
【0039】
短期的指標解析部15は、微分フィルタ15aとピークホールド回路15bを備える。微分フィルタ15aは、入力された電圧Vcを、所謂ハイパスフィルタ(HPF)による波形の高周波成分の振幅(一過性の精神的ストレスP−MWL、すなわちPhasic−Mental Work Loadの波形)ではなく、傾きを出力電圧Veとして出力する。
【0040】
ピークホールド回路15bは、出力電圧Veの立ち上がりをトリガとして、その振幅のピーク値を数分の長い時定数を持って維持し、電圧Vfとして出力する。
【0041】
次に本実施形態のストレス検出システム1の作用について説明する。図3に示すように、車両の運転者が第1の指輪型電極4の挿入孔41に左手の薬指を、第2の指輪型電極5の挿入孔51に左手の中指を挿入して、送信装置2を装着すると、第1及び第2の指輪型電極4,5は、人体を介して接続された状態となる。第1及び第2の指輪型電極4,5が人体を介して接続されると、図1に示すように、第1及び第2の指輪型電極4,5と、人体と、送信部7の基準コンデンサ71aとで分圧回路を構成する。したがって、人体の静電容量(生体静電容量)をCsとし、送信部7における基準コンデンサ71aの静電容量をC0とすると、コイル駆動回路71bの入力端子T2への入力電圧Vaは、下記の式によって求められる。
【0042】
Va=V×C0/(C0+Cs)・・・式(1)
【0043】
コイル駆動回路71bは、入力された電圧Vaを増幅し、電圧Vbとする。したがって、増幅された電圧Vbは人体の生体静電容量Csが増加すると、これに反比例して減少することになる。これは、精神的ストレスMWLが大きく、発汗が亢進され、皮膚の乾燥度が小さくなると生体静電容量Csが増大し、電圧Vbが減少することを示している。このため、生体静電容量Csと電圧Vbとの関係は、次式で表すことができる。
【0044】
Cs∝1/Vb・・・式(2)
【0045】
また、精神的ストレスMWLと生体静電容量Csとの関係は、次式で表すことができる。
【0046】
MWL∝Cs・・・式(3)
【0047】
電圧Vbは、コイル駆動回路71bによって、電圧−周波数変換され、電圧Vbに対応した周波数faの出力パルスに変換され、周波数信号fs1として送信コイル72に出力される。したがって、出力パルスの周波数faは電圧Vbに比例するので次式のように表すことができる。
【0048】
fa∝Vb・・・式(4)
【0049】
なお、周波数faは次式で表すように所定範囲(f1〜f2)内にある。
【0050】
f1 < fa < f2・・・式(5)
【0051】
以上より、生体静電容量Csとコイル駆動回路71bが出力する出力パルスの周波数faとの関係は、次式のように表すことができる。
【0052】
fa=K×1/Cs・・・式(6)
【0053】
なお、Kは、コイル駆動回路71bから出力される周波数信号fs1の周波数faを式(5)に示すように一定の範囲に収めるための定数であり、受信装置3の特性に合うように設定される。
【0054】
コイル駆動回路71bから出力された周波数faの周波数信号fs1が送信コイル72に入力されると、送信コイル72に弱い交流電流が流れ、送信コイル72の近傍に信号伝達用の交流磁場が形成される。
【0055】
送信装置2を装着した運転者がステアリングホイール8を把持して、送信コイル72の近傍に形成された信号伝達用の交流磁場内に、受信装置3のステアリングホイール8に内蔵された受信コイル9が入ると、受信コイル9は、送信コイル72から周波数信号fs1を受信し、カップリングコンデンサ11に出力する。
【0056】
カップリングコンデンサ11は、受信コイル9が出力する周波数信号fs1の直流成分を除去し、周波数信号fs2をバンドパスフィルタ12に出力する。
【0057】
バンドパスフィルタ12は、入力された周波数信号fs2のうち、所定範囲内の周波数信号fs3のみを通過させ、すなわち、周波数信号fs2の交流信号asを抽出し、周波数−電圧変換回路13に入力する。
【0058】
周波数−電圧変換回路13は、入力された交流信号asを電圧Vcに復調する。また、周波数−電圧変換回路13は、復調した電圧Vcをバッファ14に出力する。
【0059】
バッファ14は、入力された電圧Vcを長期的指標解析部16と、短期的指標解析部15に出力する。
【0060】
長期的指標解析部16は、電圧Vcから基線変動成分を抽出し、電圧Vdとして出力する。この基線変動成分は、持続的な精神的ストレス成分T−MWL(Tonic−Mental Work Load)を示している。
【0061】
短期的指標解析部15は、微分フィルタ15aとピークホールド回路15bを備える。微分フィルタ15aは、入力された電圧Vcを、所謂ハイパスフィルタ(HPF)による波形の高周波成分の傾きを出力電圧Veとして出力する。
【0062】
ピークホールド回路15bは、出力電圧Veの立ち上がりをトリガとして、その振幅のピーク値を数分の長い時定数を持って維持し、電圧Vfとして出力する。すなわち、このピークホールド回路15bの出力は、送信部7における電圧Vbの各ピークの立ち上がりの傾きの最大値を常に出力していることになる。ピークが一回発生する毎に次々とその急峻さを現在値とすることで、解析時間に関係なく常に最新の精神的ストレスMWLを出力することができる。
【0063】
バッファ14から出力される電圧Vcの一例を図4に示す。図4の破線で示される範囲の電圧Vcは、被験者が眠気を感じている状態、すなわち被験者の覚醒度が低下している状態においてバッファ14から出力される電圧Vcである。なお、図4に示す電圧Vcは、周波数信号fs1を連続記録し、後処理として、0.5秒の移動平均を算出し、算出した値を±反転し、さらに0.05〜0.5Hzのバンドパスフィルタ12処理を行って算出した。
【0064】
本実施形態によれば、第1及び第2の指輪型電極4,5と、人体と、送信部7の基準コンデンサ71aとで構成された分圧回路の出力電圧、すなわち精神的ストレスMWLの変化に伴う精神性発汗によって増減する生体静電容量に反比例する電圧に基づいて、被験者のストレス反応の検出することができるので、被験者のストレス反応を精度よく検出することができる。
【0065】
また、図4に示すように、被験者の覚醒度が低下するなど、被験者の生体の活性レベルが低下したときであっても、電圧Vcを確実に検出できる。電圧Vcは、電圧Vaを増幅した電圧Vbを周波数信号fs1に変換後、周波数信号fs1から電圧に復調したものであるため、電圧Va及び電圧Vbと同様に、被験者が受ける精神的ストレスMWLに応じて変化する。したがって、被験者が受ける精神的ストレスMWLに応じて変化する電圧Vcを確実に検出できるので、被験者のストレス反応を精度よく検出することができる。
【0066】
また、第2の指輪電極5の第2の短絡防止体52に送信部7の筺体を固定したことから、別途送信部7の筺体を固定するための部材を設ける必要がないため、送信装置2を比較的小型化できる。
【0067】
また、第1の指輪型電極4と第2の指輪型電極5との間の人体をコンデンサとみなし、コイル駆動回路71bに内蔵された発振回路と電圧Vaを増幅するための回路(増幅回路)とを一つの構成とすることができ、コイル駆動回路71bの回路構成を簡略化することができる。
【0068】
以下、本発明に係るストレス検出装置(ストレス検出システム)の第2の実施形態を、図5〜図7を参照して説明する。第2の実施形態におけるストレス検出システム1の送信装置2は、受信装置3から誘導起電力が供給される。そのため、図5に示すように、送信装置2は、電池73に代えて、受電コイル75と、受電回路76と、キャパシタ77と、を有し、周波数信号発生部71に電力を供給する。また、受信装置3は、受信コイル9に代えて、送受信コイル17と、送受信コイル17に接続される送電回路18と、を有する。なお、本実施形態における第1の指輪型電極2の接続部42は、第1の指輪型電極4の一端側に設けられている。また、第1の実施形態と共通する構成については同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0069】
受信装置3の送電回路18は、送受信コイル17に接続されており、送受信コイル17に周波数範囲f1〜f3に無い周波数fbの交流電圧Vgを出力する。
【0070】
送受信コイル17は、ステアリングホイール8に内蔵されており、カップリングコンデンサ11と、送電回路18に接続されている。送受信コイル17は、送電回路18から交流電圧Vgが入力されるとステアリングホイール8の周囲に電力伝達用の磁場を形成する。
【0071】
送信装置2の受電コイル75は、受電回路76に接続されている。受電コイル75は、送受信コイル17が形成した電力伝達用の磁場の中に入ると、周波数fbの交流誘導起電力を発生させ、受電回路76に出力する。
【0072】
受電回路76は、受電コイル75とキャパシタ77に接続されており、受電回路76から入力された交流誘導起電力を整流し、直流電力をキャパシタ77に出力する。
【0073】
キャパシタ77は、受電回路76に接続されており、受電回路76から入力された直流電力を蓄電する。また、キャパシタ77は、蓄電した直流電力を周波数信号発生部71に供給する。
【0074】
なお、送受信コイル17には送電回路18による周波数fbの交流電流に対して、送信部7の送信コイル72による周波数faの弱い誘導電流(周波数信号fs1)が重畳しているが、下記の式に示すように周波数fbと周波数faと周波数範囲が異なるため互いに干渉しない。
【0075】
fb < f1 < fa < f2・・・式(7)
【0076】
次に本実施形態におけるストレス検出システム1の作用について説明する。上記のようなストレス検出システム1において、受信装置3が交流電圧Vgを送受信コイル17に出力すると、送受信コイル17は、ステアリングホイール8の周囲に電力伝達用の磁場を形成する。図7に示すように左手に送信装置2を装着した運転者がステアリングホイール8を把持し、送信装置2の受電コイル75が、送受信コイル17が形成した電力伝達用の磁場の中に入ると、周波数fbの交流誘導起電力を発生させ、受電回路76に出力する。受電回路76は、入力された交流誘導起電力を整流し、直流電力をキャパシタ77に出力する。キャパシタ77は、入力された直流電力を蓄電する。また、キャパシタ77は、蓄電した直流電力を周波数信号発生部71に供給する。
【0077】
したがって、送信装置2に電池73を設けなくても、周波数信号発生部71に安定した直流電力の供給を行うことができる。このため、送信装置2を比較的小型化できる。
【0078】
以上、本発明者によってなされた発明を適用した実施形態について説明したが、この実施形態による本発明の開示の一部をなす論述及び図面により本発明は限定されることはない。
【0079】
例えば、第1及び第2本実施形態では、送信装置2と受信装置3とが、物理的に離間したストレス検出装置1について説明したが、送信装置2と受信装置3とをコードによって接続し、第1及び第2の指輪電極4,5と、人体と、基準コンデンサ71aで構成される分圧回路の出力電圧をバッファ14に出力してもよい。
【0080】
上記第1及び第2の実施形態では、車両に搭載されるストレス検出システム1を説明したが、本発明のストレス検出システムは、医療分野にも適用可能である。例えば、歯科外来のような被験者(患者)が会話ができない場合での痛みや緊張に因るストレス反応を検出するために本発明のストレス検出システムを用いてもよい。また、医療分野の他にも、福祉、在宅介護などに本発明のストレス検出システムを用いてもよい。また、本発明のストレス検出システムを遊技機に内蔵し、遊技者のストレス反応に応じて演出を変更するなど、ゲームの演出の制御に用いてもよい。
【0081】
また、送信装置2における各電極は、精神性発汗を生じる箇所に対して適切な距離を置いて2つ配置することで、手指のみならず、手のひら、足指、足裏に適用してもよい。
【0082】
また、各コイルを平面型にし、各電極をフィルム状体に形成し、手袋や、靴下、靴底などに埋め込んでもよい。例えば、オートマッチ車の車両において、靴下に埋め込んだ各電極によって、動作の少ない左足の生体静電容量Csに着目することによって、より精度の高いストレス指標の算出が可能となる。
【0083】
受信装置3において、送信装置2から出力される周波数信号fs1を受信するためのコイルを複数配置してもよい。この場合、複数のコイルのうち、受信状況が最もよいコイルを選択し、このコイルの出力結果を受信装置3におけるストレス反応の検出に用いてもよい。
【0084】
また、送信部7の筺体を第1の短絡防止体43に固定してもよい。また、送信部7の送信コイル72及び電池73のいずれか一方を第1の短絡防止体43に固定し、他方を第2の短絡防止体52に固定してもよい。
【0085】
すなわち、この実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施形態、実施例及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれることは勿論であることを付け加えておく。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、皮膚電気活動から被験者のストレスを検出する装置に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0087】
1:ストレス検出装置(ストレス検出システム)
2:送信装置
3:受信装置(検出手段)
4:第1の指輪型電極(第1の電極)
41:挿入孔
42:接続部
43:第1の短絡防止体
5:第2の指輪型電極(第2の電極)
51:挿入孔
52:第2の短絡防止体
6:コード
7:送信部
71:周波数信号発生部(送信手段)
71a:基準コンデンサ
71b:コイル駆動回路
72:送信コイル(送信手段)
73:電池(電力供給手段)
74:電池ケース
74a:電池ケース基部
74b:電池ケース蓋部を有する
8:ステアリングホイール
9:受信コイル
11:カップリングコンデンサ
12:バンドパスフィルタ
13:周波数−電圧変換回路
14:バッファ
15:短期的指標解析部(解析手段)
15a:微分フィルタ
15b:ピークホールド回路
16:長期的指標解析部(解析手段)
T1:入力端子
T2:入力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験者の皮膚に接触するともに、電力の供給を受ける第1の電極と、
前記被験者の皮膚に接触し、該皮膚を介して前記第1の電極と電気的に接続される第2の電極と、
前記第1及び第2の電極の間の生体静電容量に反比例した電圧に基づいて、前記被験者のストレス反応を検出する検出手段とを、備える
ことを特徴とするストレス検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載のストレス検出装置であって、
前記検出手段は、前記生体静電容量の基準静電容量に対する反比例分圧電圧を検出することを特徴とするストレス検出装置。
【請求項3】
送信装置と受信装置とを備えるストレス検出システムの送信装置であって、
被験者の皮膚に接触するとともに、電力の供給を受ける第1の電極と、
前記第1の電極の一部を覆い、該第1の電極の短絡を防止する絶縁性の第1の短絡防止体と、
前記被験者の皮膚に接触し、該皮膚を介して前記第1の電極と電気的に接続される第2の電極と、
前記第2の電極の一部を覆い、該第2の電極の短絡を防止する絶縁性の第2の短絡防止体と、
前記第1及び第2の電極の間の生体静電容量に反比例した電圧を周波数信号に変換し、該周波数信号を前記受信装置に送信するとともに、前記第1又は第2の短絡防止体に固定される送信手段と、
前記第1及び第2の電極並びに前記送信手段に電力を供給するとともに、前記第1又は第2の短絡防止体に固定される電力供給手段と、を備える
ことを特徴とする送信装置。
【請求項4】
請求項3に記載の送信装置と、該送信装置から出力される周波数信号を受信する受信装置とを備え、
前記受信装置は、
前記周波数信号を電圧に復調する変換手段と、
前記変換手段が復調した電圧に基づいて前記被験者のストレス反応を解析する解析手段と、を有する
ことを特徴とするストレス検出システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−239562(P2012−239562A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−110927(P2011−110927)
【出願日】平成23年5月18日(2011.5.18)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】