説明

ストレス活性化プロテインキナーゼ系を調節する方法

現在、キナーゼp38の活性上昇に関連する種々の障害の処置における高い治療効果は、p38?に対する阻害活性も有する強力なp38?キナーゼ阻害剤化合物を使用して達成され得ることが発見されている。さらに、キナーゼp38?の活性を低下させずにキナーゼp38?およびキナーゼp38?の両方の活性を、キナーゼp38の活性上昇に関連する障害を有する被験体に対する投与時に望ましくない副作用が認められる程度にまで低下させることは、修飾によりp38?に対する阻害活性が生じるようにp38?の阻害剤を修飾することによって達成可能であることが発見されている。p38?およびp38?に対する活性を有する化合物を記載する。また、記載の化合物および組成物を使用して活性化合物を有するストレス活性化プロテインキナーゼ(SAPK)系を調節する方法であって、前記活性化合物がp38?およびp38? MAPKの阻害を示す方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、キナーゼp38の活性上昇に関連するものを含めた種々の線維症状態を処置する際に有用な化合物および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
多くの慢性状態および急性状態は、炎症反応の摂動に関連することが確認されている。IL−1、IL−6、IL−8、TNFαを含めた数多くのサイトカインがこの反応に関与すると考えられる。炎症の調節におけるこれらのサイトカインの活性は、細胞シグナル伝達経路における酵素、すなわちp38として一般的に知られ、さらにSAPK、CSBPおよびRKとしても知られるMAPキナーゼファミリーのメンバーの活性化に関連し得ると考えられる。
【0003】
NPC 31169、SB239063、SB203580、FR−167653およびピルフェニドン(pirfenidone)などのp38のいくつかの阻害剤はインビトロおよび/またはインビボで試験され、そして炎症反応の調節に効果的であることが明らかにされている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、炎症性肺線維症などの種々の炎症性の状態を処置する安全かつ有効な薬物が依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態においては、ストレス活性化プロテインキナーゼ(SAPK)系を調節する方法であって、
化合物にp38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)を接触させる工程;
を含み、
前記化合物が前記p38γの阻害について約10pM〜約500μMの範囲のIC50を示し;そして
前記化合物が示す前記p38α MAPKの阻害についてのIC50が、前記p38γ MAPKの阻害についての前記IC50よりも少なくとも2倍、5倍または10倍高い、
方法が提供される。
【0006】
別の実施形態においては、ストレス活性化プロテインキナーゼ(SAPK)系を調節する方法であって、
化合物にp38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)を接触させる工程;
を含み、
前記化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約500μMの範囲のIC50値を示し;そして
前記化合物が、前記p38α MAPKの阻害について約10pM〜約1500μMの範囲のIC50値を示す、
方法が提供される。
【0007】
別の実施形態においては、被験体の疾患状態を処置または予防する方法であって、
線維症状態の危険性があるかもしくはこのような状態を有する被験体を同定する工程;
前記線維症状態を処置または予防するのに有効な量の化合物を被験体に投与する工程、
を含み、
前記化合物がp38γの阻害について約10pM〜約500μMの範囲のIC50を示し;そして
前記化合物が示す前記p38α MAPKの阻害についてのIC50が、前記p38γ MAPKの阻害についての前記IC50よりも少なくとも2倍、5倍または10倍高い、
方法が提供される。
【0008】
別の実施形態においては、薬学的に活性な化合物を同定する方法であって、
化合物のライブラリを提供する工程;
p38α MAPKの阻害について前記ライブラリ由来の複数の化合物をアッセイする工程;および
p38γ MAPKの阻害について前記ライブラリ由来の複数の化合物をアッセイする工程;および
前記複数の化合物から少なくとも1種の化合物を選択する工程であって、前記化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約500μMの範囲のIC50を示す、工程;
を含み、そして
前記化合物が示す前記p38α MAPKの阻害についてのIC50が、前記p38γ MAPKの阻害についての前記IC50よりも少なくとも2倍、5倍または10倍高い、
方法が提供される。
【0009】
別の実施形態においては、薬学的に活性な化合物を同定する方法であって、
化合物のライブラリを提供する工程;
p38γ MAPKの阻害について前記ライブラリ由来の複数の化合物をアッセイする工程;および
前記複数の化合物から少なくとも1種の化合物を選択する工程であって、前記化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約500μMの範囲のIC50を示す、工程;
を含み、そして
前記化合物が示す前記p38α MAPKの阻害についてのIC50が、前記p38γ MAPKの阻害についての前記IC50よりも少なくとも2倍、5倍または10倍高い、
方法が提供される。
【0010】
別の実施形態においては、薬学的に活性な化合物を同定する方法であって、
化合物のライブラリを提供する工程;
p38α MAPKの阻害について前記ライブラリ由来の複数の化合物をアッセイする工程;および
前記複数の化合物から少なくとも1種の化合物を選択する工程であって、前記化合物が、前記p38α MAPKの阻害について約10pM〜約1500μMの範囲のIC50を示す、工程;
を含み、そして
前記化合物が示す前記p38α MAPKの阻害についてのIC50が、前記p38γ MAPKの阻害についての前記IC50よりも少なくとも2倍、5倍または10倍高い、
方法が提供される。
【0011】
一実施形態においては、ストレス活性化プロテインキナーゼ(SAPK)系を調節する方法であって、
化合物にp38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)を接触させる工程;
を含み、
前記化合物が前記p38γの阻害について約100μM〜約1000μMの範囲のIC50値を示し;そして
前記化合物が示す前記p38α MAPKの阻害についてのIC50が、前記p38γ MAPKの阻害についての前記IC50よりも少なくとも2倍高い、
方法が提供される。
【0012】
別の実施形態においては、被験体の疾患状態を処置または予防する方法であって、
線維症状態の危険性があるかもしくはこのような状態を有する被験体を同定する工程;
前記線維症状態を処置または予防するのに有効な量の化合物を前記被験体に投与する工程;
を含み、
前記化合物がp38γの阻害について約100μM〜約1000μMの範囲のIC50を示し;そして
前記化合物が示す前記p38α MAPKの阻害についてのIC50が、前記p38γ MAPKの阻害についての前記IC50よりも少なくとも10倍高い、
方法が提供される。
【0013】
別の実施形態においては、薬学的に活性な化合物を同定する方法であって、
化合物のライブラリを提供する工程;
p38α MAPKの阻害について前記ライブラリ由来の複数の化合物をアッセイする工程;および
p38γ MAPKの阻害について前記ライブラリ由来の複数の化合物をアッセイする工程;および
前記複数の化合物から少なくとも1種の化合物を選択する工程であって、前記化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50を示す、工程;
を含み、そして
前記化合物が示す前記p38α MAPKの阻害についてのIC50が、前記p38γ MAPKの阻害についての前記IC50よりも少なくとも10倍高い、
方法が提供される。
【0014】
別の実施形態においては、薬学的に活性な化合物を同定する方法であって、
化合物のライブラリを提供する工程;
p38γ MAPKの阻害について前記ライブラリ由来の複数の化合物をアッセイする工程;および
前記複数の化合物から少なくとも1種の化合物を選択する工程であって、前記化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50を示す、工程;
を含み、そして
前記化合物が示す前記p38α MAPKの阻害についてのIC50が、前記p38γ MAPKの阻害についての前記IC50よりも少なくとも10倍高い、
方法が提供される。
【0015】
別の実施形態においては、薬学的に活性な化合物を同定する方法であって、
化合物のライブラリを提供する工程;
p38α MAPKの阻害について前記ライブラリ由来の複数の化合物をアッセイする工程;および
前記複数の化合物から少なくとも1種の化合物を選択する工程であって、前記化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50を示す、工程;
を含み、そして
前記化合物が示す前記p38α MAPKの阻害についてのIC50が、前記p38γ MAPKの阻害についての前記IC50よりも少なくとも10倍高い、
方法が提供される。
【0016】
上記実施形態の一部において、前記化合物は、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50を示す。他の実施形態において、前記化合物は、前記p38γ MAPKの阻害について約100nM〜約500μMの範囲のIC50を示す。
【0017】
上記実施形態の一部において、前記化合物は、
【0018】
【化8−1】

【0019】
【化8−2】

【0020】
【化8−3】

およびピルフェニドンからなる群から選択されない。
【0021】
別の実施形態においては、種類Iの式:
【0022】
【化9】

の化合物であって、式中、
Rが、H、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、必要に応じて置換されたC1−6アルキル、必要に応じて置換されたC3−7シクロアルキル、必要に応じて置換されたC4−10アルキルシクロアルキル、必要に応じて置換されたC2−6アルケニル、必要に応じて置換されたC1−6アルコキシ、必要に応じて置換されたCまたはC10アリール、必要に応じて置換されたピリジニル、必要に応じて置換されたピリミジニル、必要に応じて置換されたチエニル、必要に応じて置換されたフラニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたフェノキシ、必要に応じて置換されたチオフェノキシ、必要に応じて置換されたスルホンアミド、必要に応じて置換された尿素、必要に応じて置換されたチオ尿素、必要に応じて置換されたアミド、必要に応じて置換されたケト、必要に応じて置換されたカルボキシル、必要に応じて置換されたカルバミル、必要に応じて置換されたスルフィド、必要に応じて置換されたスルホキシド、必要に応じて置換されたスルホン、必要に応じて置換されたアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシヘテロシクリル、必要に応じて置換されたアルキルアミノ、必要に応じて置換されたアルキルカルボキシ、必要に応じて置換されたカルボニル、必要に応じて置換されたスピロ環式シクロアルキル、必要に応じて置換されたピラジニル、必要に応じて置換されたピリダジニル、必要に応じて置換されたピロリル、必要に応じて置換されたチオフェニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたイミダゾリル、必要に応じて置換されたイソオキサゾリル、必要に応じて置換されたピラゾリル、必要に応じて置換されたイソチアゾリル、必要に応じて置換されたナフチル、必要に応じて置換されたキノリニル、必要に応じて置換されたイソキノリニル、必要に応じて置換されたキノキサリニル、必要に応じて置換されたベンゾチアゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチオフェニル、必要に応じて置換されたベンゾフラニル、必要に応じて置換されたインドリルおよび必要に応じて置換されたベンゾイミダゾリルからなる群から選択される、
化合物;
あるいは前記化合物の薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物またはプロドラッグが提供される。
【0023】
一実施形態において、種類Iの化合物は、p38γの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50を示す。
【0024】
別の実施形態は、種類IIの式:
【0025】
【化10】

の化合物であって、式中、
が、H、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、必要に応じて置換されたC1−6アルキル、必要に応じて置換されたC3−7シクロアルキル、必要に応じて置換されたC4−10アルキルシクロアルキル、必要に応じて置換されたC2−6アルケニル、必要に応じて置換されたC1−6アルコキシ、必要に応じて置換されたCまたはC10アリール、必要に応じて置換されたピリジニル、必要に応じて置換されたピリミジニル、必要に応じて置換されたチエニル、必要に応じて置換されたフラニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたフェノキシ、必要に応じて置換されたチオフェノキシ、必要に応じて置換されたスルホンアミド、必要に応じて置換された尿素、必要に応じて置換されたチオ尿素、必要に応じて置換されたアミド、必要に応じて置換されたケト、必要に応じて置換されたカルボキシル、必要に応じて置換されたカルバミル、必要に応じて置換されたスルフィド、必要に応じて置換されたスルホキシド、必要に応じて置換されたスルホン、必要に応じて置換されたアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシヘテロシクリル、必要に応じて置換されたアルキルアミノ、必要に応じて置換されたアルキルカルボキシ、必要に応じて置換されたカルボニル、必要に応じて置換されたスピロ環式シクロアルキル、必要に応じて置換されたピラジニル、必要に応じて置換されたピリダジニル、必要に応じて置換されたピロリル、必要に応じて置換されたチオフェニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたイミダゾリル、必要に応じて置換されたイソオキサゾリル、必要に応じて置換されたピラゾリル、必要に応じて置換されたイソチアゾリル、必要に応じて置換されたナフチル、必要に応じて置換されたキノリニル、必要に応じて置換されたイソキノリニル、必要に応じて置換されたキノキサリニル、必要に応じて置換されたベンゾチアゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチオフェニル、必要に応じて置換されたベンゾフラニル、必要に応じて置換されたインドリルおよび必要に応じて置換されたベンゾイミダゾリルからなる群から選択される、
化合物;
あるいは前記化合物の薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物またはプロドラッグを提供する。
【0026】
一実施形態において、種類IIの化合物は、p38γの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50を示す。
【0027】
別の実施形態は、種類IIIの式:
【0028】
【化11】

の化合物であって、式中、
が、H、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、必要に応じて置換されたC1−6アルキル、必要に応じて置換されたC3−7シクロアルキル、必要に応じて置換されたC4−10アルキルシクロアルキル、必要に応じて置換されたC2−6アルケニル、必要に応じて置換されたC1−6アルコキシ、必要に応じて置換されたCまたはC10アリール、必要に応じて置換されたピリジニル、必要に応じて置換されたピリミジニル、必要に応じて置換されたチエニル、必要に応じて置換されたフラニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたフェノキシ、必要に応じて置換されたチオフェノキシ、必要に応じて置換されたスルホンアミド、必要に応じて置換された尿素、必要に応じて置換されたチオ尿素、必要に応じて置換されたアミド、必要に応じて置換されたケト、必要に応じて置換されたカルボキシル、必要に応じて置換されたカルバミル、必要に応じて置換されたスルフィド、必要に応じて置換されたスルホキシド、必要に応じて置換されたスルホン、必要に応じて置換されたアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシヘテロシクリル、必要に応じて置換されたアルキルアミノ、必要に応じて置換されたアルキルカルボキシ、必要に応じて置換されたカルボニル、必要に応じて置換されたスピロ環式シクロアルキル、必要に応じて置換されたピラジニル、必要に応じて置換されたピリダジニル、必要に応じて置換されたピロリル、必要に応じて置換されたチオフェニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたイミダゾリル、必要に応じて置換されたイソオキサゾリル、必要に応じて置換されたピラゾリル、必要に応じて置換されたイソチアゾリル、必要に応じて置換されたナフチル、必要に応じて置換されたキノリニル、必要に応じて置換されたイソキノリニル、必要に応じて置換されたキノキサリニル、必要に応じて置換されたベンゾチアゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチオフェニル、必要に応じて置換されたベンゾフラニル、必要に応じて置換されたインドリルおよび必要に応じて置換されたベンゾイミダゾリルからなる群から選択され;および
が、H、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、必要に応じて置換されたC1−6アルキル、必要に応じて置換されたC3−7シクロアルキル、必要に応じて置換されたC4−10アルキルシクロアルキル、必要に応じて置換されたC2−6アルケニル、必要に応じて置換されたC1−6アルコキシ、必要に応じて置換されたCまたはC10アリール、必要に応じて置換されたピリジニル、必要に応じて置換されたピリミジニル、必要に応じて置換されたチエニル、必要に応じて置換されたフラニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたフェノキシ、必要に応じて置換されたチオフェノキシ、必要に応じて置換されたスルホンアミド、必要に応じて置換された尿素、必要に応じて置換されたチオ尿素、必要に応じて置換されたアミド、必要に応じて置換されたケト、必要に応じて置換されたカルボキシル、必要に応じて置換されたカルバミル、必要に応じて置換されたスルフィド、必要に応じて置換されたスルホキシド、必要に応じて置換されたスルホン、必要に応じて置換されたアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシヘテロシクリル、必要に応じて置換されたアルキルアミノ、必要に応じて置換されたアルキルカルボキシ、必要に応じて置換されたカルボニル、必要に応じて置換されたスピロ環式シクロアルキル、必要に応じて置換されたピラジニル、必要に応じて置換されたピリダジニル、必要に応じて置換されたピロリル、必要に応じて置換されたチオフェニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたイミダゾリル、必要に応じて置換されたイソオキサゾリル、必要に応じて置換されたピラゾリル、必要に応じて置換されたイソチアゾリル、必要に応じて置換されたナフチル、必要に応じて置換されたキノリニル、必要に応じて置換されたイソキノリニル、必要に応じて置換されたキノキサリニル、必要に応じて置換されたベンゾチアゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチオフェニル、必要に応じて置換されたベンゾフラニル、必要に応じて置換されたインドリルおよび必要に応じて置換されたベンゾイミダゾリル、からなる群から選択される、
化合物;
あるいは前記化合物の薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物またはプロドラッグを提供する。
【0029】
一実施形態において、種類IIIの化合物は、p38γの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50を示す。
【0030】
一実施形態において、種類IIIの化合物は、1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[4−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)ナフタレン−1−イル]尿素(BIRB 796)ではない。
【0031】
別の実施形態は、種類IVの式:
【0032】
【化12】

の化合物であって、式中、
およびRが、H、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、必要に応じて置換されたC1〜6アルキル、必要に応じて置換されたC3〜7シクロアルキル、必要に応じて置換されたC4〜10アルキルシクロアルキル、必要に応じて置換されたC2〜6アルケニル、必要に応じて置換されたC1〜6アルコキシ、必要に応じて置換されたC6またはC10アリール、必要に応じて置換されたピリジニル、必要に応じて置換されたピリミジニル、必要に応じて置換されたチエニル、必要に応じて置換されたフラニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたフェノキシ、必要に応じて置換されたチオフェノキシ、必要に応じて置換されたスルホンアミド、必要に応じて置換された尿素、必要に応じて置換されたチオ尿素、必要に応じて置換されたアミド、必要に応じて置換されたケト、必要に応じて置換されたカルボキシル、必要に応じて置換されたカルバミル、必要に応じて置換されたスルフィド、必要に応じて置換されたスルホキシド、必要に応じて置換されたスルホン、必要に応じて置換されたアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシヘテロシクリル、必要に応じて置換されたアルキルアミノ、必要に応じて置換されたアルキルカルボキシ、必要に応じて置換されたカルボニル、必要に応じて置換されたスピロ環式シクロアルキル、必要に応じて置換されたピラジニル、必要に応じて置換されたピリダジニル、必要に応じて置換されたピロリル、必要に応じて置換されたチオフェニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたイミダゾリル、必要に応じて置換されたイソオキサゾリル、必要に応じて置換されたピラゾリル、必要に応じて置換されたイソチアゾリル、必要に応じて置換されたナフチル、必要に応じて置換されたキノリニル、必要に応じて置換されたイソキノリニル、必要に応じて置換されたキノキサリニル、必要に応じて置換されたベンゾチアゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチオフェニル、必要に応じて置換されたベンゾフラニル、必要に応じて置換されたインドリルおよび必要に応じて置換されたベンゾイミダゾリルからなる群からそれぞれ独立して選択される
化合物;
あるいは前記化合物の薬学的に許容される塩、エステル、溶媒和物またはプロドラッグを提供する。
【0033】
一実施形態において、種類IVの化合物は、p38γの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50を示す。
【0034】
一実施形態において、種類IVの化合物は、XがNである
【0035】
【化13】

ではない。
【0036】
これらのおよび他の実施形態については、以下でさらに詳細に記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
現在、キナーゼp38の活性上昇に関連する種々の障害の処置における高い治療効果は、p38αに関する阻害活性も有する強力なp38γキナーゼ阻害剤化合物を使用して達成され得ることが発見されている。さらに、キナーゼp38αの活性を低下させずにキナーゼp38γおよびキナーゼp38αの両方の活性を、キナーゼp38の活性上昇に関連する障害を有する被験体に対する投与時に望ましくない副作用が認められる程度にまで低下させることは、修飾によりp38γに関する阻害活性が生じるようにp38αの阻害剤を修飾することによって達成可能であることが発見されている。
【0038】
その結果、一実施形態においては、化合物にp38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)を接触させることによってストレス活性化プロテインキナーゼ(SAPK)系を調節する方法が提供される。好ましい化合物は、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50を示し、好ましくは前記p38γ MAPKの阻害について約50pM〜約1μMの範囲のIC50を示し、より好ましくは前記p38γ MAPKの阻害について約50pM〜約200nMの範囲のIC50を示す。また、好ましい化合物が示すp38αに関するIC50値は、p38γに関するIC50値よりも少なくとも2倍である。
【0039】
「マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)」は、多くの細胞事象の調節に関与する進化的に保存されたセリン/スレオニンキナーゼである。いくつかのMAPK群は、哺乳類細胞において同定されており、細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)、p38およびSAPK/JNKを含む。MAPKは、その特異的なMAPKキナーゼ(MAPKK)によって:ERKはMEK1およびMEK2によって、p38はMKK3およびMKK6によって、ならびにSAPK/JNKはSEK1(MKK4としても知られる)およびMKK7(SEK2)によって、活性化されると考えられる。これらのMAPKKはまた、Raf、MLK、MEKK1、TAK1およびASK1などの各種MAPKKキナーゼ(MAPKKK)によっても活性化され得る。
【0040】
細胞ストレス(酸化ストレス、DNA損傷、熱または浸透圧ショック、紫外線照射、虚血−再灌流)、外因性薬剤(アニソマイシン、亜ヒ酸ナトリウム、リポポリサッカライド、LPS)または炎症誘発性サイトカイン(TNF−αおよびIL−1β)によって活性化される場合に細胞質または核のいずれかの中の転写因子などの他のキナーゼまたは核タンパク質をリン酸化および活性化し得る、少なくとも12個の、クローン化され、高度に保存されたプロリン誘導セリンスレオニンキナーゼが、MAPKネットワークには必要であると考えられる(Underwood,et al.,2001 Prog Respir Res 31:342−345の図1を参照)。
p38 MAPK
本明細書で使用される「p38 MAPK」は、ストレス活性化プロテインキナーゼファミリーのメンバーであって、ストレス活性化プロテインキナーゼファミリーには少なくとも4つのアイソフォーム(α、β、γ、δ)があり、その内のいくつかは、炎症反応および組織リモデリングに重大な意味を持つプロセスにおいて重要であると考えられる(Lee,et al.,2000 Immunopharmacol.47:185−201)。単球およびマクロファージ内の主要なキナーゼであるp38αおよびp38βは、p38γ(骨格筋)またはp38δ(精巣、膵臓、前立腺、小腸、ならびに唾液腺や脳下垂体や副腎の中)よりも幅広く発現すると思われる。p38MAPキナーゼの基質はいくつかが同定されおり、これには他のキナーゼ(MAPKAP K2/3、PRAK、MNK 1/2、MSK1/RLPK、RSK−B)、転写因子(ATF2/6、ミオサイトエンハンサー因子2、核転写因子−β、CHOP/GADD153、ElklおよびSAP−1A1)およびサイトゾルタンパク質(スタスミン)が含まれ、それらの多くが生理的に重要なものである。
【0041】
Jiang,Y.,et al.,1996 J Biol Chem271:l7920−17926では、p38−αに密接に関連する372−アミノ酸タンパク質としてのp38βの特性評価が報告されている。p38αおよびp38βはいずれも、炎症誘発性サイトカインおよび環境ストレスによって活性化され、p38βは、MAPキナーゼキナーゼ−6(MKK6)および選択的に活性化された転写因子2によって選択的に活性化される。Kumar,S.,et al.,1997 Biochem Biophys Res Comm235:533−538;およびStein,B.,et al.,1997 J.Biol Chem272:19509−19517では、p38αに対して73%の同一性を有する364のアミノ酸を含むp38βの第2のアイソフォーム、すなわちp−38β2が報告されている。p38βは炎症誘発性サイトカインおよび環境ストレスによって活性化されると考えられるが、p38αがより広範な組織に発現するのに対して、報告された第2のp38βアイソフォーム、すなわちp38β2は、中枢神経系(CNS)、すなわち心臓および骨格筋で選択的に発現すると思われる。さらに、活性化された転写因子−2(ATF−2)は、p38αよりもp38β2に対して良好な基質であると考えられる。
【0042】
p38γの同定は、Li,Z.,et al.,1996 Biochem Biophys Res Comm228:334−340において、ならびにp38δの同定は、Wang,X.,et al.,1997 J Biol.Chem272:23668−23674;およびKumar,S.,et al.,1997 Biochem Biophys Res Comm235:533−538において報告されている。これらの2つのp38アイソフォーム(γおよびδ)は、それらの組織発現パターン、基質利用、直接的および間接的な刺激に対する反応、ならびにキナーゼ阻害剤に対する感受性に基づいてMAPKファミリーの固有のサブセットを表す。p38αおよびβは密接な関連があるものの、より互いに密接に関連するγおよびδとは異なると考えられる。
【0043】
一般的には、p38MAPキナーゼ経路は、同族の受容体に結合する、例えばサイトカイン、ケモカインまたはリポポリサッカライド(LPS)などの特異的なリガンドによって活性化された、受容体チロシンキナーゼ、ケモカインまたはGタンパク質結合受容体などの細胞表面受容体によって直接的または間接的に活性化される。その後、p38MAPキナーゼは、残基スレオニン180およびチロシン182においてリン酸化により活性化される。活性化後、p38MAPキナーゼは、炎症反応や細胞接着やタンパク質分解の原因となる炎症誘発性サイトカインや他のタンパク質の発現につながる転写因子をリン酸化および活性化する場合、タンパク質キナーゼを含む他の細胞内タンパク質をリン酸化し得、そして細胞核に転位し得る。例えば、マクロファージおよび単球などの骨髄性系統の細胞において、IL−1βおよびTNFαの両方は、p38の活性化に応答して転写される。その後これらおよび他のサイトカインの翻訳および分泌が起こり、それにより、隣接組織内において、そして白血球の浸潤を経て、局所性または全身性の炎症反応が開始する。この反応は細胞ストレスに対する通常の生理反応の一部であるが、急性または慢性の細胞ストレスは、炎症誘発性サイトカインの過度または未調節あるいは過度および未調節の発現につながる。このことは、次に、組織の損傷につながり、これにより、多くの場合、疼痛や衰弱を招く。
【0044】
肺胞マクロファージ内では、p38阻害剤、すなわちSB203580によるp38キナーゼの阻害によりサイトカイン遺伝子産物が減少する。炎症性サイトカイン(TNF−α、IFN−γ、IL−4、IL−5)およびケモカイン(IL−8、RANTES、エオタキシン)は慢性気道炎症を調節または支持し得ると考えられる。気道炎症の多くの潜在的メディエーターの産生および作用は、ストレス活性化MAPキナーゼ系(SAPK)またはp38キナーゼカスケードに依存していると思われる(Underwood,et al.,2001 Prog Respir Res31:342−345)。数多くの環境刺激によるp38キナーゼ経路の活性化によって、認識された炎症性メディエーターが生成され、これらの炎症性メディエーターの産生は翻訳により調節されると考えられる。さらに、種々の炎症性メディエーターはp38 MAPKを活性化し、次に、p38 MAPKによって、他のキナーゼまたは転写因子を含めたMAPK系の下流標的が活性化され得、それにより肺内における炎症プロセスの増幅の可能性が生じる。
【0045】
(MAPキナーゼのp38群の下流基質)
p38αまたはp38βのタンパク質キナーゼ基質:MAPキナーゼ活性化タンパク質キナーゼ2(MAPKAPK2またはM2)、MAPキナーゼ相互作用性タンパク質キナーゼ(MNK1)、p38調節/活性化キナーゼ(PRAK)、マイトジェンおよびストレス活性化プロテインキナーゼ(MSK:RSK−BまたはRLPK)。
【0046】
p38によって活性化される転写因子:活性化転写因子(ATF)−1、2および6、SRF付属タンパク質1(Sap1)、CHOP(成長停止およびDNA損傷誘導性遺伝子153またはGADD153)、p53、C/EBPβ、ミオサイトエンハンサー因子2C(MEF2C)、MEF2A、MITF1、DDIT3、ELK1、NFAT、および高移動群−ボックスタンパク質(HBP1)。
【0047】
p38に関する他の基質:cPLA2、Na/Hエンハンサーアイソフォーム−1、Tau、ケラチン8およびスタスミン。
【0048】
p38経路によって調節される遺伝子:c−jun、c−fos、junB、IL−1、TNF、IL6、IL−8、MCP−1、VCAM−1、iNOS、PPARγ、シクロオキシゲナーゼ(COX)−2、コラゲナーゼ−1(MMP−1)、コラゲナーゼ−3(MMP−13)、HIV−LTR、Fgl−2、脳ナトリウム排泄増加性ペプチド(BNP)、CD23、CCK、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ細胞質ゾル、サイクリンD1、LDL受容体(Ono,et al.,2000 Cellular Signalling 12:1−13)。
【0049】
(p38の活性化の生物学的影響)
p38および炎症
急性および慢性炎症は、関節リウマチや喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などの多くの疾患の病因にとって中心的なものであると考えられる。p38経路の活性化は、(1)IL−1βやTNF−αやIL−6などの炎症誘発性サイトカインの産生;(2)病的状態の結合組織リモデリングを制御するCOX−2などの酵素の誘導;(3)酸化を調節するiNOSなどの細胞内酵素の発現;(4)VCAM−1などの付着タンパク質や他の多くの炎症関連分子の誘導において中心的な役割を果たし得る。これらに加えて、p38経路は、免疫系の細胞の増殖および分化において調節的役割を果たし得る。p38は、GM−CSF、CSF、EPOおよびCD40誘導細胞の増殖および/または分化に関与し得る。
【0050】
炎症関連疾患のp38経路の役割は、いくつかの動物モデルにおいて研究された。SB203580によるp38の阻害は、エンドトキシン誘導ショックのマウスモデルにおける死亡率を低下させ、そしてマウスコラーゲン誘導関節炎およびラットアジュバント関節炎の発現を阻害した。最近の研究によって、より強力なp38阻害剤であるSB220025により肉芽腫の血管密度の有意な用量依存的減少が引き起こされたことが明らかにされている。これらの結果は、p38またはp38経路の成分が炎症性疾患のための治療標的であり得ることを示している。
【0051】
(p38および線維症)
細胞外マトリックスタンパク質の無制御および/または異所性の沈着は、線維症につながり、そして特発性肺繊維症(IPF)、サルコイドーシス、慢性閉塞性肺疾患(COPD)および肝硬変などの疾患の病因の基礎をなす。p38は、TGF−β受容体シグナル伝達における役割によるいくつかの線維症誘発性経路の事象に関係付けられている(Kaminska,et al.,Acta Biochimica Polonica52(2):329−37)。TGF−βは、線維症の基礎をなし、そしてコラーゲン沈着の誘導、線維症誘発性サイトカインの合成、繊維芽細胞増殖、筋線維芽細胞分化、および上皮間葉移行などの事象に関与する(Kaminska,et al.,Acta Biochimica Polonica52(2):329−37;Border and Noble, 1994 NEJM331:1286−92)(R.Newton and N.S.Holden,Drug Discovery Today:Disease Mechanisms,Volume3,Issue1,Spring 2006,Pages 53−61)。p38は、インターロイキン−1β(IL−1β)、インターロイキン−17(IL−17)、上皮細胞成長因子(EGF)および血小板由来成長因子(PDGF)など、線維症と関連する可能性があるさらなるサイトカインおよび成長因子によって活性化される。
【0052】
例えば肝臓における線維症は、肝臓内で産生されるマトリックス巨大分子と分解されるマトリックス巨大分子との間の量の不均衡による細胞外マトリックス成分、特にコラーゲンの過剰な沈着により生じる(NIH Guide PA−99−110 National Institute on Alcohol Abuse and Alcoholism)。歴史的に、肝線維症は、肝実質のコラーゲンリッチECMとの進行性置換を伴う不可逆的プロセスであると考えられてきた(Muddu,et al.,Int J Biochem Cell Biol.2006 Oct 7)。ヒトにおけるコラーゲン沈着の増加の生化学的根拠は、急性型および慢性型の肺線維症の患者において示されている(Laurent,Ciba Found Symp.1985 114:222−33)。特発性肺繊維症において、コラーゲン、テネイシンおよびプロテオグリカンなどの細胞外マトリックス分子の過大な産生が起こる(Noble,et al.,Clin Chest Med 2004 25:749−758)。線維形成(潜在的可逆性反応)から線維症(不可逆性)への過程を制御する機序は、コラーゲンの成熟、石灰化、あるいは架橋タンパク質塊の形成に関連し得る(Toxicol Pathol.1991;19(4Pt1):526−39)。本明細書に記載され、実施例で示されるように、RNA阻害実験によって、p38γアイソフォームを含むがこれに限定されないp38の阻害が繊維芽細胞などの標的細胞内のコラーゲン産生のレベルに影響を及ぼし得ることが明らかにされている。
【0053】
RNA干渉(RNAi)は、短い干渉RNAまたはsiRNAとして知られる短い2本鎖RNAが相補型RNA標的の分解を導く細胞機序である。このプロセスは、RNA標的のレベルの有意な低下につながり得る。Elbashirら、(2001 Nature 411:494−8)は、両端に2つのヌクレオチドオーバーハングを有する19塩基対2本鎖としての一般的なsiRNAの構造的特徴を定義した。その後、研究者は、2つのRNAオリゴヌクレオチドの内の1つが関連遺伝子に相補的である合成siRNAを設計するためのこのフォーマットを使用した。哺乳類細胞内へのこれらの合成siRNAの導入は、相補型mRNAの分解と、対応するタンパク質産物の対応する低下を促進し得る。RNAi技術を使用することによって、特異的遺伝子の発現の低下により細胞経路または疾患状態におけるその遺伝子の役割を調べる実験が可能になる機能的研究が可能になる。
【0054】
短いヘアピンRNA(またはshRNA)は、Elbashirらによって記載された21ヌクレオチド2本鎖をヘアピンフ型に変化させた関連研究ツールである。ヘアピン設計により、適切な転写プロモーターからshRNA発現を導く細胞内への発現カセットの導入が可能になる。shRNAを使用することによって、特定の細胞型とは困難であり得る合成siRNAによる細胞の効率的なトランスフェクションの必要がなくなり、従って、RNAiに基づいた実験に良好に使用し得る細胞型の数が多くなる。また、shRNAsを使用することによっても、mRNA標的の拡張した/安定したノックダウンと、shRNA発現カセットで形質導入された細胞集団の単離とが可能になる。
【0055】
shRNA発現カセットの安定導入の1つの様式は、弱毒化されたレンチウイルスである。Moffatらは、感染細胞のゲノム内にU6−プロモーターにより駆動されるshRNA発現カセットを安定して組み込むように設計されている弱毒化されたレンチウイルス粒子のライブラリについて記載している(Moffat,et al.,2006 Cell 124:1283−98)。この設計されたウイルスの移入されたセグメントは、ピューロマイシン抵抗マーカーもコードするが、このマーカーは、安定して組み込まれたshRNA発現カセットを有する細胞の選択に使用し得る。
【0056】
p38αまたはp38γを標的とする種々のshRNAをコードするコード領域(配列番号1〜8)を含む8種のレンチウイルス粒子が調製され、そして実施例10で説明される細胞、実施例11により単離および定量されたmRNA、ならびに実施例12によりアッセイされたコラーゲンレベルに導入された際、その結果として、p38γmRNAレベルを低下させる配列が、結果として生じるコラーゲンの蓄積の減少と関連していることが示された。実施例12の表1を参照されたい。ゆえに、例えばp38γの阻害は、コラーゲン発現のレベルの低下をもたらし得、それにより線維症を阻害することができる。
【0057】
(p38およびアポトーシス)
p38およびアポトーシスの同時活性化は、NGFの停止およびFasのライゲーションなどの種々の薬剤によって誘導される。システインプロテアーゼ(カスパーゼ)は、アポトーシス経路に中心的であって、不活性チモーゲンとして発現される。そして、カスパーゼ阻害剤は、Fas架橋によるp38活性化を遮断することができる。しかしながら、優位な活性MKK6bの過剰発現もまた、カスパーゼ活性および細胞死を誘導し得る。アポトーシスにおけるp38の役割は、細胞型依存性および刺激依存性である。p38シグナル伝達は、いくつかの細胞株、すなわち異なる細胞株の細胞死を促進することが示されたが、p38は、生存、細胞増殖および分化を高めることが示された。
【0058】
(細胞周期におけるp38)
酵母菌のp38αの過剰発現は増殖の有意な減速につながり、このことは細胞成長におけるp38αの関与を示す。培養哺乳動物細胞にp38α/β阻害剤、すなわちSB203580を投与すると、細胞の増殖の減速が認められた。
【0059】
(p38および心筋細胞肥大)
心筋細胞肥大におけるp38の活性化および機能を研究した。肥大が進行する間に、p38αおよびp38βの両レベルは増加し、サルコメアの組織化および心房性ナトリウム利尿因子の発現の上昇によって構成的に活性のMKK3およびMKK6誘導肥大反応が増強された。また、心臓内のp38のシグナル伝達の低下により、カルシニュリン−NFATシグナル伝達を伴う機序を介してミオサイト分化が促進される。
【0060】
(p38および発育)
p38ノックアウトマウスが生育不能であるにもかかわらず、発育におけるp38の特異的な役割に関する証拠が存在する。いくつかの研究では、p38が、胎盤の血管形成に関連付けられてきたが、心血管の発育には関連付けられていない。さらにまた、p38は、赤血球形成における役割を示唆するエリトロポエチン発現にも関連付けられてきた。PRAKは、マウスの着床における細胞発育に最近関連付けられている。PRAK mRNAならびにp38アイソフォームは、胚盤胞発育の全体にわたって発現されることが判明している。
【0061】
(p38および細胞分化)
p38αおよび/またはp38βは、いくつかの種々の細胞型の細胞分化において重要な役割を果たすことが判明している。脂肪細胞への3T3−L1細胞の分化およびニューロンへのPC12細胞の分化は、いずれもp38αおよび/またはp38βを必要とする。p38経路は、ヘモグロビン化細胞(hemoglobinized cell)へのSKT6分化や筋小管におけるC2C112分化に必要かつ十分なものであることが判明している。
【0062】
(老化および腫瘍抑制におけるp38)
p38には、腫瘍化および老化における役割がある。MKK6およびMKK3の活性化がp38 MAPK活性に依存する老化の表現型につながったという報告がある。また、p38 MAPK活性は、テロメア短縮、H曝露、および慢性的RAS腫瘍遺伝子シグナル伝達を受けて老化の原因となることが示されている。腫瘍細胞の共通機能は、老化の喪失であり、p38は、特定細胞の腫瘍化に関連している。p38の活性化は腫瘍において低下し、MKK3およびMKK6などのp38経路の成分の喪失によって、これらの研究において使用された細胞株または腫瘍誘導剤に関係なく、腫瘍形成性の変換の増殖や可能性が高まったことが報告された。
【0063】
(p38MAPキナーゼ阻害剤)
「p38 MAPK阻害剤」は、p38の活性を阻害する化合物である。p38の活性に対する化合物の阻害効果は、熟練者によく知られた各種の方法で測定してよい。例えば、阻害効果は、リポポリサッカライド(LPS)刺激によるサイトカイン産生の阻害のレベルを測定することで測定され得る(Lee,et al.,1988 Int J Immunopharmacol 10:835−843;Lee,et al.,1993 Ann NY Acad Sci 696:149−170;Lee,et al.,1994 Nature 372:739−746;Lee,et al.,1999 Pharmacol Ther82:389−397)。
【0064】
p38 MAPK阻害剤を発現させる取組みは、一般的に効力の増大に集中した。SB203580は、ナノモルの範囲のIC50値の強力p38キナーゼ阻害剤であることが判明している。例えば、SB203580において、IC50は48nMであることが判明している。以下に示すピリジニルイミダゾールSKF86002(P1)およびSB203582(P2)はまた、p38キナーゼ阻害剤でもある。最近の刊行物(Lee,et al.,2000 Immunopharmacology47:185−201)では、以下に示すp38阻害剤(P3−P6)が開示されている。化合物P4(p38のIC50=0.19nM)について記載した相対的に高い効力および選択性や、SB220025(P6)による、炎症によって駆動される血管形成の阻害は、これらの阻害剤の中で顕著である。このような化合物は、p38αポリペプチドのATPポケットにおいて結合すると考えられ、そして補因子ATPの競合阻害剤である。
【0065】
特定のピリミジンイミダゾールもまた、ナノモル以下のIC50値の強力p38キナーゼ阻害剤であることが判明している(Liverton,et al.,1999 J.Med.Chem.42:2180−2190)。このような化合物は、p38αポリペプチドのATPポケットにおいて結合すると考えられ、必須の補因子ATPの競合阻害剤である。
【0066】
特定のジアリール尿素、例えばBIRB 796もまた、p38 MAPKの強力阻害剤である(Pargellis,et al.,Nature Structural Biology9:268−272)。BIRB 796は、18nMのTNFαに対してIC50を有する。ジアリール尿素は、p38のピリジニルイミダゾールやピリミジニルイミダゾール阻害剤とは構造的に異なる。特定のジアリール尿素は、p38aのアロステリック阻害剤であると考えられる。ATP結合ポケットから空間的に取り除いた部位でp38αに結合すると、アロステリック阻害剤は、ポリペプチドのATP結合ポケットの配座変化を誘導し、そしてその配座変化によって、ATPの効率的な結合と不適合なATP結合ポケットとなる。ゆえに、このことが、p38α阻害剤としての化合物の効力が認められる理由である。
【0067】
臨床開発中であることが報告されている2種類のp38阻害剤は、HEP689(P7)およびVX−745(P8)である。VX−745は、関節リウマチに関する第II相試験中であると報告されている。強力な局所的抗炎症作用はHRP689について開示されており、このHRP689は、乾癬および他の皮膚障害の処置のための局所的剤としてのその潜在性を調べる臨床開発が開始されていることが報告されている。
【0068】
【化14】

各種のp38阻害剤のさらなる考察については、Boehm,et al.,2000 Exp Opin Ther Pat10:25−37;Salituro,et al.,1999 Curr Med Chem6:807−823;およびFitzgerald,et al.,2003 Nature Structural Biology 10:764−769に記載されている。
【0069】
p38のγアイソフォームにはαアイソフォームとの有意な構造的類似性があることが発見されている。しかしながら、重要な残基はアイソフォームの間で保存されるものの、構造変動は、タンパク質のATP結合ポケット周辺の領域などで認められる。上述のp38阻害剤のモデリングによって、p38α阻害剤がp38γアイソフォームと相互作用した際に、エネルギー的に不利な相互作用が認められることが示されている。また、モデリングでは、p38α阻害剤がp38γアイソフォームと相互作用した際に、他のエネルギー的に有利な相互作用が保持されたことも明らかにされている。
【0070】
種類IIの特定の化合物は、立体的に不利な相互作用、例えばFitzgerald,et al.,2003 Nature Structural Biology10:764−769に記載されたp38γのMet109と化合物1のトリフルオロメチルフェニル部分との間の立体的に不利な相互作用を必要とすることが判明しており、さらに、種類IIの特定の化合物は、p38γと相互作用して正の結合エネルギーを付与する置換基を有することも判明している。トリフルオロメチルフェニル部分の単純な除去には、タンパク質と相互作用を行う置換基を有する化合物の有利な結合エネルギーが必要であることが判明している。従って、いくつかの実施形態において、Fitzgerald,et al.,2003 Nature Structural Biology10:764−769に記載の化合物1のトリフルオロメチルフェニル置換基は、より小さな分子体積の置換基によって、あるいはより小さな分子体積の、p38γ残基Leu89、Leu58、Leu107およびLeu108によって定義される疎水性ポケットとファン・デル・ワールス相互作用を行う置換基によって、あるいはより小さな分子体積の、p38γのMet109と水素結合または静電的相互作用を行う置換基によって、あるいはより小さな分子体積の、p38γ残基Leu89、Leu58、Leu107およびLeu108によって定義される疎水性ポケットとファン・デル・ワールス相互作用を行い、p38γのMet109と水素結合または静電的相互作用を行う置換基によって、置換される。
【0071】
種類IVの特定の化合物は、立体的に不利な相互作用、例えばp38γのMet109とP2のフルオロフェニル部分との間の立体的に不利な相互作用を必要とすることが判明しており、さらに、種類IVの特定の化合物は、p38γと相互作用して正の結合エネルギーを付与する置換基を有することも判明している。従って、いくつかの実施形態において、P2のフルオロメチルフェニル置換基は、より小さな分子体積の置換基によって、あるいはより小さな分子体積の、p38γ残基Leu89、Leu58、Leu107およびLeu108によって定義される疎水性ポケットとファン・デル・ワールス相互作用を行う置換基によって、あるいはより小さな分子体積の、p38γのMet109と水素結合または静電的相互作用を行う置換基によって、あるいはより小さな分子体積の、p38γ残基Leu89、Leu58、Leu107およびLeu108によって定義される疎水性ポケットとファン・デル・ワールス相互作用を行い、またp38γのMet109と水素結合または静電的相互作用を行う置換基によって、置換される。
【0072】
種類IIIの特定の化合物は、立体的に不利な相互作用、例えばp38γのMet109とBIRB 796の置換ナフチレン基部分との間の立体的に不利な相互作用を必要とすることが判明しており、さらに、種類IIIの特定の化合物は、p38γと相互作用して正の結合エネルギーを付与する置換基を有することも判明している。従って、いくつかの実施形態において、BIRB 796の置換ナフチレン基部分は、より小さな分子体積の置換基によって、あるいはより小さな分子体積の、p38γ残基Leu89、Leu58、Leu107およびLeu108によって定義される疎水性ポケットとファン・デル・ワールス相互作用を行う置換基によって、あるいはより小さな分子体積の、p38γのMet109と水素結合または静電的相互作用を行う置換基によって、あるいはより小さな分子体積の、p38γのPhe111とπ−π相互作用またはπ−カチオン相互作用を行う置換基によって、あるいはより小さな分子体積の、p38γ残基Leu89、Leu58、Leu107およびLeu108によって定義される疎水性ポケットとファン・デル・ワールス相互作用を行い、またp38γのMet109と水素結合または静電的相互作用を行う置換基によって、あるいはより小さな分子体積の、p38γ残基Leu89、Leu58、Leu107およびLeu108によって定義される疎水性ポケットとファン・デル・ワールス相互作用を行い、またp38γのPhe111とπ−π相互作用またはπ−カチオン相互作用を行う置換基によって、あるいはより小さな分子体積の、p38γ残基Leu89、Leu58、Leu107およびLeu108によって定義される疎水性ポケットとファン・デル・ワールス相互作用を行い、p38γのMet109と水素結合または静電的相互作用し、またp38γのPhe111とπ−π相互作用またはπ−カチオン相互作用を行う置換基によって置換される。
【0073】
本明細書に記載の好ましいp38阻害剤は、p38γ阻害の相対的に高い効力を示し、このような阻害の結果として相対的に高い治療効果(例えば、SAPK系の調節)を有する2環式オキソピリジン誘導体および類似体である。好ましくは、実施形態のp38阻害剤は、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約500μM、好ましくは約10pM〜約5μMまたは約100nM〜約500μM、好ましくは約50pM〜約1μM、より好ましくは約50pM〜約200nMの範囲のIC50を示す。好ましくは、実施形態のp38阻害剤は、前記p38γ MAPKの阻害についてのIC50値よりも少なくとも約2倍高いp38αの阻害についてのIC50を示す。より好ましくは、実施形態のp38阻害剤は、前記p38γ MAPKの阻害についてのIC50値よりも少なくとも約5倍高いp38αの阻害についてのIC50を示す。さらにより好ましくは、実施形態のp38阻害剤は、前記p38γ MAPKの阻害についてのIC50値よりも少なくとも約10倍高いp38αの阻害についてのIC50値を示す。
【0074】
本明細書に記載の好ましいp38阻害剤は、p38γ阻害の相対的に高い効力を示し、このような阻害の結果として相対的に高い治療効果(例えば、SAPK系の調節)を有するピリミジニルイミダゾール誘導体および類似体である。好ましくは、実施形態のp38阻害剤は、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約500μM、好ましくは約10pM〜約5μMまたは約100nM〜約500μM、好ましくは約50pM〜約1μM、より好ましくは約50pM〜約200nMの範囲のIC50を示す。好ましくは、実施形態のp38阻害剤は、前記p38γ MAPKの阻害についてのIC50値よりも約2倍高いp38αの阻害についてのIC50値を示す。より好ましくは、実施形態のp38阻害剤は、前記p38γ MAPKの阻害についてのIC50値よりも少なくとも約5倍高いp38αの阻害についてのIC50値を示す。さらにより好ましくは、実施形態のp38阻害剤は、前記p38γ MAPKの阻害についてのIC50値よりも少なくとも約10倍高いp38αの阻害についてのIC50値を示す。
【0075】
本明細書に記載の好ましいp38阻害剤は、p38γ阻害の相対的に高い効力を示し、このような阻害の結果として相対的に高い治療効果(例えば、SAPK系の調節)を有するジアリール尿素誘導体および類似体である。好ましくは、実施形態のp38阻害剤は、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約500μM、好ましくは約10pM〜約5μMまたは約100nM〜約500μM、好ましくは約50pM〜約1μM、より好ましくは約50pM〜約200nMの範囲のIC50を示す。好ましくは、実施形態のp38阻害剤は、前記p38γ MAPKの阻害についてのIC50値よりも約2倍高いp38αの阻害についてのIC50値を示す。
【0076】
本明細書において使用される「アルキル」という用語は、炭素原子数1〜10の1価の直鎖または分枝鎖のラジカルを指し、これにはメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ヘキシルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0077】
本明細書において使用される「アルケニル」という用語は、炭素2重結合を含む炭素原子数2〜10の1価の直鎖または分枝鎖のラジカルを指し、これには1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0078】
本明細書において使用される「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨードを指す。
【0079】
本明細書において使用される「ハロアルキル」という用語は、アルキルラジカルに付加される1つ以上のハロ基を指す。
【0080】
本明細書において使用される「ニトロアルキル」という用語は、アルキルラジカルに付加される1つ以上のニトロ基を指す。
【0081】
本明細書において使用される「チオアルキル」という用語は、アルキルラジカルに付加される1つ以上のチオ基を指す。
【0082】
本明細書において使用される「ヒドロキシアルキル」という用語は、アルキルラジカルに付加される1つ以上のヒドロキシ基を指す。
【0083】
本願明細書において使用される「アルコキシ」という用語は、−O−結合で親分子に共有結合する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルを指す。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0084】
本明細書において使用される「アルコキシアルキル」という用語は、アルキルラジカルに付加された1つ以上のアルコキシ基を指す。
【0085】
本明細書において使用される「カルボキシ」は、−COOHを指す。
【0086】
「アルコキシカルボニル」という用語は、−(CO)−O−アルキルを指す。アルコキシカルボニル基の例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基などが含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
本明細書で使用されるラジカルは、そのラジカルを含む種が別の種に共有結合し得るように単一の不対電子を有する種を示す。そのため、この文脈においては、ラジカルが必ずしもフリーラジカルであるというわけではない。むしろ、ラジカルは、より大きな分子の特定部分を表す。「ラジカル」という用語は、「基」という用語と交換可能に使用することができる。
【0088】
本明細書で使用される置換基は、1個以上の水素原子が別の原子または基と交換された非置換の親構造体に由来する。置換基は、置換される場合、一置換アミノ基および二置換アミノ基を含むアルキル、シクロアルキル、アリール、融合アリール、ヘテロシクリル、ヘテロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アリールオキシ、メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、シアノ、ハロ、カルボニル、チオカルボニル、アルコキシカルボニル、ニトロ、シリル、トリハロメタンスルホニル、トリフルオロメチルおよびアミノならびにその保護誘導体から個別におよび独立して選択される1個以上の基である。上記の置換基の保護誘導体を形成し得る保護基は、当業者に知られており、Greene and Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis;John Wiley and Sons:New York,1999などの参考文献に記載されている。置換基が「必要に応じて置換された」と記載される場合は必ず、その置換基は上記の置換基によって置換され得る。
【0089】
「精製」という用語は、アッセイの際に測定物質の少なくとも95%を含むように他の化合物から分離された化合物を指す。
【0090】
不斉炭素原子は、本明細書に記載の化合物に存在してよい。ジアステレオマーやエナンチオマーなどのすべての異性体は、それらの混合物と共に、列挙された化合物の範囲内に含まれることが意図される。特定の場合において、化合物は互変異性型で存在し得る。すべての互変異性型は、列挙された化合物の範囲内に含まれることが意図される。同様に、化合物がアルケニル基またはアルケニレン基を含む場合、化合物のシスおよびトランス異性体の形態の可能性がある。シスおよびトランス異性体の両方が、シスおよびトランス異性体の混合物と共に考えられる。したがって、文脈が明確に示されない限り、化合物に対する本明細書における参照には、前記異性体の形態のすべてが含まれる。
【0091】
実施形態には、多形、溶媒和物、水和物、コンフォーマー、塩類およびプロドラッグ誘導体などの各種の形態が含まれる。多形とは、化学式が同じであるが構造が異なる組成物である。溶媒和物とは、溶媒和(溶質の分子またはイオンとの溶媒分子の組み合わせ)によって形成される組成物である。水和物とは、水の組込みによって形成される化合物である。コンフォーマーとは、配座異性体である構造である。立体配座異性とは、構造式が同じであるが回転する結合の周囲の原子の配座(コンフォーマー)が異なる分子の現象である。化合物の塩は、当業者に知られた方法によって調製され得る。例えば、化合物の塩は、適切な塩基または酸と化合物の化学量論的等価物とを反応させることによって調製され得る。プロドラッグとは、その薬理効果を示す前に生体内変化(化学変換)を受ける化合物である。したがって、プロドラッグは、例えば、親分子の望ましくない特性を変更または除去する一時的な方法で使用される特殊化した保護基を含む薬物として考えることができる。したがって、文脈が明確に示されない限り、本明細書における化合物の言及には、前記形態のすべてが包含される。
【0092】
以下に記載される化合物は、本明細書に記載の方法において有用である。一実施形態において、化合物は、下記のようにp38γの阻害について約10pM〜約5μM、好ましくは約100nm〜約500μMの範囲のIC50を示す。
【0093】
一実施形態は、以下の種類(種類I):
【0094】
【化15】

により表わされる化合物であって、
式中、Rが、H、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、必要に応じて置換されたC1−6アルキル、必要に応じて置換されたC3−7シクロアルキル、必要に応じて置換されたC4−10アルキルシクロアルキル、必要に応じて置換されたC2−6アルケニル、必要に応じて置換されたC1−6アルコキシ、必要に応じて置換されたCまたはC10アリール、必要に応じて置換されたピリジニル、必要に応じて置換されたピリミジニル、必要に応じて置換されたチエニル、必要に応じて置換されたフラニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたフェノキシ、必要に応じて置換されたチオフェノキシ、必要に応じて置換されたスルホンアミド、必要に応じて置換された尿素、必要に応じて置換されたチオ尿素、必要に応じて置換されたアミド、必要に応じて置換されたケト、必要に応じて置換されたカルボキシル、必要に応じて置換されたカルバミル、必要に応じて置換されたスルフィド、必要に応じて置換されたスルホキシド、必要に応じて置換されたスルホン、必要に応じて置換されたアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシヘテロシクリル、必要に応じて置換されたアルキルアミノ、必要に応じて置換されたアルキルカルボキシ、必要に応じて置換されたカルボニル、必要に応じて置換されたスピロ環式シクロアルキル、必要に応じて置換されたピラジニル、必要に応じて置換されたピリダジニル、必要に応じて置換されたピロリル、必要に応じて置換されたチオフェニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたイミダゾリル、必要に応じて置換されたイソオキサゾリル、必要に応じて置換されたピラゾリル、必要に応じて置換されたイソチアゾリル、必要に応じて置換されたナフチル、必要に応じて置換されたキノリニル、必要に応じて置換されたイソキノリニル、必要に応じて置換されたキノキサリニル、必要に応じて置換されたベンゾチアゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチオフェニル、必要に応じて置換されたベンゾフラニル、必要に応じて置換されたインドリルおよび必要に応じて置換されたベンゾイミダゾリルからなる群から選択される、
化合物のファミリーを提供する。
【0095】
別の実施形態は、以下の種類(種類II):
【0096】
【化16】

により表わされる化合物であって、
式中、Rが、H、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、必要に応じて置換されたC1−6アルキル、必要に応じて置換されたC3−7シクロアルキル、必要に応じて置換されたC4−10アルキルシクロアルキル、必要に応じて置換されたC2−6アルケニル、必要に応じて置換されたC1−6アルコキシ、必要に応じて置換されたCまたはC10アリール、必要に応じて置換されたピリジニル、必要に応じて置換されたピリミジニル、必要に応じて置換されたチエニル、必要に応じて置換されたフラニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたフェノキシ、必要に応じて置換されたチオフェノキシ、必要に応じて置換されたスルホンアミド、必要に応じて置換された尿素、必要に応じて置換されたチオ尿素、必要に応じて置換されたアミド、必要に応じて置換されたケト、必要に応じて置換されたカルボキシル、必要に応じて置換されたカルバミル、必要に応じて置換されたスルフィド、必要に応じて置換されたスルホキシド、必要に応じて置換されたスルホン、必要に応じて置換されたアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシヘテロシクリル、必要に応じて置換されたアルキルアミノ、必要に応じて置換されたアルキルカルボキシ、必要に応じて置換されたカルボニル、必要に応じて置換されたスピロ環式シクロアルキル、必要に応じて置換されたピラジニル、必要に応じて置換されたピリダジニル、必要に応じて置換されたピロリル、必要に応じて置換されたチオフェニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたイミダゾリル、必要に応じて置換されたイソオキサゾリル、必要に応じて置換されたピラゾリル、必要に応じて置換されたイソチアゾリル、必要に応じて置換されたナフチル、必要に応じて置換されたキノリニル、必要に応じて置換されたイソキノリニル、必要に応じて置換されたキノキサリニル、必要に応じて置換されたベンゾチアゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチオフェニル、必要に応じて置換されたベンゾフラニル、必要に応じて置換されたインドリルおよび必要に応じて置換されたベンゾイミダゾリルからなる群から選択される、
化合物のファミリーを提供する。
【0097】
別の実施形態は、以下の種類(種類III):
【0098】
【化17】

により表わされる化合物であって、式中、
およびRが、H、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、必要に応じて置換されたC1−6アルキル、必要に応じて置換されたC3−7シクロアルキル、必要に応じて置換されたC4−10アルキルシクロアルキル、必要に応じて置換されたC2−6アルケニル、必要に応じて置換されたC1−6アルコキシ、必要に応じて置換されたCまたはC10アリール、必要に応じて置換されたピリジニル、必要に応じて置換されたピリミジニル、必要に応じて置換されたチエニル、必要に応じて置換されたフラニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたフェノキシ、必要に応じて置換されたチオフェノキシ、必要に応じて置換されたスルホンアミド、必要に応じて置換された尿素、必要に応じて置換されたチオ尿素、必要に応じて置換されたアミド、必要に応じて置換されたケト、必要に応じて置換されたカルボキシル、必要に応じて置換されたカルバミル、必要に応じて置換されたスルフィド、必要に応じて置換されたスルホキシド、必要に応じて置換されたスルホン、必要に応じて置換されたアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシヘテロシクリル、必要に応じて置換されたアルキルアミノ、必要に応じて置換されたアルキルカルボキシ、必要に応じて置換されたカルボニル、必要に応じて置換されたスピロ環式シクロアルキル、必要に応じて置換されたピラジニル、必要に応じて置換されたピリダジニル、必要に応じて置換されたピロリル、必要に応じて置換されたチオフェニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたイミダゾリル、必要に応じて置換されたイソオキサゾリル、必要に応じて置換されたピラゾリル、必要に応じて置換されたイソチアゾリル、必要に応じて置換されたナフチル、必要に応じて置換されたキノリニル、必要に応じて置換されたイソキノリニル、必要に応じて置換されたキノキサリニル、必要に応じて置換されたベンゾチアゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチオフェニル、必要に応じて置換されたベンゾフラニル、必要に応じて置換されたインドリルおよび必要に応じて置換されたベンゾイミダゾリルからなる群からそれぞれ独立して選択される、
化合物のファミリーを提供する。
【0099】
一実施形態において、種類IIIの化合物は、1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[4−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)ナフタレン−1−イル]尿素(BIRB 796)ではない。
【0100】
別の実施形態は、以下の種類(種類IV):
【0101】
【化18】

により表わされる化合物であって、式中、
およびRが、H、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、必要に応じて置換されたC1−6アルキル、必要に応じて置換されたC3−7シクロアルキル、必要に応じて置換されたC4−10アルキルシクロアルキル、必要に応じて置換されたC2−6アルケニル、必要に応じて置換されたC1−6アルコキシ、必要に応じて置換されたC6またはC10アリール、必要に応じて置換されたピリジニル、必要に応じて置換されたピリミジニル、必要に応じて置換されたチエニル、必要に応じて置換されたフラニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたフェノキシ、必要に応じて置換されたチオフェノキシ、必要に応じて置換されたスルホンアミド、必要に応じて置換された尿素、必要に応じて置換されたチオ尿素、必要に応じて置換されたアミド、必要に応じて置換されたケト、必要に応じて置換されたカルボキシル、必要に応じて置換されたカルバミル、必要に応じて置換されたスルフィド、必要に応じて置換されたスルホキシド、必要に応じて置換されたスルホン、必要に応じて置換されたアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシヘテロシクリル、必要に応じて置換されたアルキルアミノ、必要に応じて置換されたアルキルカルボキシ、必要に応じて置換されたカルボニル、必要に応じて置換されたスピロ環式シクロアルキル、必要に応じて置換されたピラジニル、必要に応じて置換されたピリダジニル、必要に応じて置換されたピロリル、必要に応じて置換されたチオフェニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたイミダゾリル、必要に応じて置換されたイソオキサゾリル、必要に応じて置換されたピラゾリル、必要に応じて置換されたイソチアゾリル、必要に応じて置換されたナフチル、必要に応じて置換されたキノリニル、必要に応じて置換されたイソキノリニル、必要に応じて置換されたキノキサリニル、必要に応じて置換されたベンゾチアゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチオフェニル、必要に応じて置換されたベンゾフラニル、必要に応じて置換されたインドリルおよび必要に応じて置換されたベンゾイミダゾリルからなる群からそれぞれ独立して選択される、
化合物のファミリーを提供する。
【0102】
一実施形態において、種類IVの化合物は、XがNである
【0103】
【化19】

ではない。
【0104】
本明細書に記載の特定の化合物が上記の各種の属の内の2種以上のメンバーであってよいことは認識されるであろう。本明細書に記載の化合物は、ストレス活性化プロテインキナーゼ(SAPK)系の調節に有用である。
【0105】
別の実施形態は、種類I〜IVで表される精製化合物を対象とする。純度の程度は、上記の通りの割合で発現させてよい。好ましい実施形態において、種類I〜IVで表される精製化合物は、精製化合物を含む組成物の全重量に基づいて約96重量%以上、より好ましくは98重量%以上の純度を有する。
【0106】
種類I〜IVの化合物は、当該技術分野で既知の各種の従来の反応を使用して合成してよい。合成の例としては、実施例6、7、8および9に示す合成スキームが含まれる。
【0107】
2環式オキソピリジン誘導体として、種類Iの化合物もまた、実施例6で与えられるものなどの2環式オキソピリジンの既知の合成スキームに基づくものなど、当該技術分野で既知のいずれかの従来反応によって合成され得る。
【0108】
ピリミジニルイミダゾール誘導体として、種類IIおよびIVの化合物もまた、例えば実施例7および9にて図示したものなどのピリミジニルイミダゾールの既知の合成スキームに基づくものなど、当該技術分野で既知のいずれかの従来反応によって合成され得る。
【0109】
ジアリール尿素誘導体として、種類IIIの化合物もまた、例えば実施例8にて図示したものなどのジアリール尿素の既知の合成スキームに基づくものなど、当該技術分野で既知のいずれかの従来反応によっても合成され得る。
【0110】
本明細書に記載の出発材料は、商業的に入手可能であるか、既知であるか、もしくは当該技術分野で既知の方法によって調製され得る。さらに、本明細書において記載されない出発材料は、商業的に入手可能であるか、既知であるか、もしくは当該技術分野で既知の方法によって調製され得る。
【0111】
出発材料は適切な置換基を有し、対応する置換基を有する所望の産物を最終的に産出し得る。あるいは、置換基は合成の任意の位置に付加され、対応する置換基を有する所望の産物を最終的に産出し得る。
【0112】
実施例6で表される合成スキームは、種類Iの化合物を調製するために使用してよい方法を示す。実施例7および9に示す合成スキームは、種類IIおよびIVの化合物を調製するために使用してよい方法を示す。実施例8に示す合成スキームは、種類IIIの化合物を調製するために使用してよい方法を示す。当業者であれば、種類I〜IVの化合物を合成するために多くの種々の合成反応スキームが使用され得ることを理解するであろう。さらに、当業者であれば、多くの種々の溶媒や、カップリング剤や、反応条件が、類似の結果をもたらす合成反応において使用され得ることを理解するであろう。
【0113】
当業者であれば、種類I〜IVの化合物を作製するために上記のプロセスにおいて適切に使用され得る、示された、さもなければ知られた類似の反応からの配列の変異、さらには、適切な反応条件の変異を理解するであろう。
【0114】
種類I〜IVの化合物の化合物の調製のための本明細書に記載のプロセスにおいて、保護基の使用は、有機化学における当業者によって一般的に広く認識されており、従って、適切な保護基の使用は、このような基が特に図示され得ないにもかかわらず、場合によっては本明細書におけるスキームのプロセスに含意される。このような適切な保護基の導入および除去は、有機化学の当該技術分野で周知である;例えば、T.W.Greene,「Protective Groups in Organic Synthesis」,Wiley(New York),1999を参照されたい。本明細書に記載の反応の産物は、抽出や蒸留やクロマトグラフィなどの従来の手段によって単離され得る。
【0115】
種類I〜IVの化合物の塩、例えば薬学的に許容される塩は、適切な塩基または酸を化合物の化学量論的等価物と反応させることによって調製され得る。同様に、種類I〜IVの化合物の薬学的に許容される誘導体(例えば、エステル)代謝物、水和物、溶媒和物およびプロドラッグは、当業者に周知の方法によって調製され得る。したがって、別の実施形態は、活性化合物のプロドラッグである化合物を提供する。一般的に、プロドラッグは、インビボで代謝されて(例えば、脱アミノ化、脱アルキル化、脱エステル化などの代謝変換によって)活性化合物が得られる化合物である。「薬学的に許容されるプロドラッグ」とは、適切な医学判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などのない患者における薬学的使用に適切な化合物であって、可能な場合、実施形態の化合物の双性イオン形態だけでなく薬学的に許容されるエステルなどの使用目的に効果的な化合物である。薬学的に許容されるプロドラッグの種類の例については、いずれも参考として本明細書で援用される、T.Higuchi and V.Stella,Pro−drugs as Novel Delivery Systems,Vol.14,A.C.S.Symposium Series;ならびにEdward B.Roche,ed.,Bioreversible Carriers in Drug Design,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987に記載されている。
【0116】
本明細書に記載の化合物および組成物にはまた、代謝物も包含されてよい。本明細書で使用する「代謝物」という用語は、実施形態の化合物にインビトロまたはインビボで同様の活性を示す実施形態の化合物の代謝の産物あるいはその薬学的に許容される塩、類似体または誘導体を意味する。また、本明細書に記載の化合物および組成物として、水和物や溶媒和物を挙げてよい。本明細書で使用する「溶媒和物」という用語は、溶質(本明細書では種類I〜IVの化合物)および溶媒によって形成される複合体を意味する。実施形態のためのこのような溶媒は、好ましくは溶質の生物活性を妨げてはならない。溶媒は、例証として、水、エタノールまたは酢酸であってよい。前述から鑑みて、化合物の内の特定の化合物または種類への本明細書における参照は、薬学的に許容される塩、エステル、プロドラッグ、代謝物およびその溶媒和物などの上記の各種の形態を包含すると理解されるであろう。
p38γ選択的阻害剤のための化合物のライブラリのスクリーニング
別の態様においては、例えば、化合物が、例えば線維症状態(p38関連またはサイトカイン関連の状態など)の予防または処置のための治療剤として潜在的に有用かどうかを決定するための薬学的に活性な化合物を同定する方法が提供される。前記方法は、p38γの阻害について複数の化合物をアッセイすること、p38γの阻害について相対的に高い効力を示す化合物を選択すること、さらにp38αの阻害について選択された化合物を試験し、p38αの阻害について相対的に高い効力を示す化合物を選択することを含む。前記方法はまた、p38γの阻害について複数の化合物をアッセイすること、ならびにp38γの阻害について相対的に高い効力を示しかつp38αの阻害についても相対的に高い効力を示す化合物を選択することも含む。前記方法はまた、p38αの阻害について複数の化合物をアッセイすること、p38αの阻害について相対的に高い効力を示しかつp38αの阻害についても相対的に高い効力を示す化合物を選択することも含む。好ましくは、このような高い効力のp38γおよびp38α阻害剤化合物のIC50は、p38γの阻害について約10pM〜約500μMの範囲、好ましくは約10pM〜約5μMまたは約100nM〜約500μM、より好ましくは約500pM〜約1μM、さらにより好ましくは約500pM〜約1μMである。好ましくは、このような高い効力のp38γおよびp38α阻害剤化合物のp38αに関するIC50値は、p38γに関するそのIC50値の2倍を超える。より好ましくは、このような高い効力のp38γおよびp38α阻害剤化合物のp38αに関するIC50値は、p38γに関するそのIC50値の5倍を超える。さらにより好ましくは、このような高い効力のp38γおよびp38α阻害剤化合物のp38αに関するIC50値は、p38γに関するそのIC50値の10倍を超える。アッセイされる複数の化合物は、好ましくは潜在的化合物のライブラリから選択される。ライブラリからの複数の化合物のアッセイは、各種方法で実施してよい。例えば、いくつかの実施形態において、前記方法は、複数の化合物をp38 MAPKに接触させること、および前記化合物がサイトカインの活性を阻害するかどうかを決定することを含む。p38 MAPKは、好ましくはp38αおよびp38γからなる群から選択される。好ましい実施形態において、前記接触手順はインビトロで行うものであって;特定の好ましい実施形態において、前記接触手順は、p38 MAPKを含む細胞に前記化合物を接触させることを含む。
【0117】
さらに別の実施形態においては、インビトロまたはインビボで細胞内のp38 MAPKの活性を阻害する方法が提供される。一般的に、このような方法は、細胞におけるp38活性が阻害されるような条件下で、p38 MAPKを含む細胞に、p38阻害に有効な量の化合物(例えば、種類I〜IVの化合物)を接触させることを含む。このような方法の例は、以下の実施例の項において提供される。前記化合物は、好ましくはp38γの阻害について約10pM〜約500μM、好ましくは約10pM〜約5μMまたは約100nM〜約500μM、より好ましくは約500pM〜約1μM、さらにより好ましくは約500pM〜約1μMの範囲のIC50値を示す。好ましくは、前記化合物のp38αに関するIC50値は、p38γに関するそのIC50値の2倍を超える。
【0118】
インビボの方法は、例えば、各種の濃度の関心のある化合物(例えば、種類I〜IVの化合物)を経口的にまたは注射によって一群の動物に導入することを含む。化合物の導入後、リポポリサッカライドが静脈内投与される。血清TNFαレベルが測定され、対照動物と比較される。好ましい化合物はTNFαの放出を阻害し、しかるにこれにより、試験された動物の血液試料のTNFαレベルが低下する。化合物は、TNFαの放出の阻害について、好ましくは約10pM〜約5μM、より好ましくは約500pM〜約1μM、さらにより好ましくは約500pM〜約1μMの範囲のEC50を示す。
【0119】
薬学的に活性な化合物を同定する方法は、選択された化合物の哺乳動物毒性を決定することをさらに含んでよい。このような方法は、当業者に周知である。薬学的に活性な化合物を同定する方法はまた、哺乳動物毒性の決定に関連してまたは他の理由のためのいずれかにおいて、被験体に選択された化合物を投与することを含んでよい。一実施形態において、被験体は、炎症性の状態を有するか、もしくはこのような病体の危険性がある。好ましくは、被験体は哺乳類であり、そしてヒトであってよい。
【0120】
(p38MAPキナーゼを阻害する方法)
一実施形態において、インビトロまたはインビボでSAPK系を調節する方法が提供される。化合物によるp38 MAPKの阻害について相対的に高い阻止濃度に対応するp38γの阻害について相対的に高い効力を化合物が有する場合、前記方法は、p38 MAPKを、SAPKを調節する濃度の化合物に接触させること(例えば、p38 MAPKを含む細胞または組織を化合物に接触させることによる)を含む。
【0121】
阻止濃度(IC)は、用量反応曲線上の特定の率(例えば、50%、40%、30%、20%、10%)のp38 MAPKの活性の低下をもたらす濃度である。例えば、IC50、IC40、IC30、IC20、IC10は、用量反応曲線上のそれぞれ50%、40%、30%、20%、10%のp38 MAPKの活性の低下をもたらす濃度として決定される。SAPK系調節化合物のIC50は、p38γの阻害について好ましくは約10pM〜約500μMの範囲、好ましくは約10pM〜約5μMまたは約100nM〜約500μM、より好ましくは約50pM〜約1μM、さらにより好ましくは約50pM〜約1μMである。
【0122】
「細胞に接触させること」とは、化合物または他の組成物が細胞または組織に直接接触している、あるいは細胞または組織における所望の生体影響を誘導するのに十分に近い状態を指す。例えば、p38 MAPKを含む細胞または組織に化合物を接触させることは、細胞における所望の生体影響をもたらすp38 MAPKと化合物との間の相互作用を可能にする任意の方法で実施され得る。細胞または組織に接触させることは、例えば、化合物(種類I〜IVの化合物;および/または塩、エステル、プロドラッグおよび/またはその中間体、および/または上記の内の1つ以上を含む薬学的組成物など)の混合または投与により達成され得る。
【0123】
あるいは、細胞または組織に接触させることは、化合物がp38 MAPKを含む細胞または組織を直接的または間接的に標的とするような方法で化合物を導入することにより達成され得る。細胞または組織に接触させることは、化合物がp38 MAPKと結合する条件下で達成され得る。このような条件としては、化合物およびp38含有細胞または組織の近接度、pH、温度、あるいはp38 MAPKへの化合物の結合に影響を及ぼす任意の条件が含まれる。
【0124】
特定の実施形態において、細胞はインビトロで化合物と接触させ;他の実施形態において、細胞はインビボで化合物と接触させる。
【0125】
細胞をインビボで接触させる場合、有効濃度(EC)は、p38 MAPKの活性の低下に依存する特異的な生理反応で測定されるような特定の率(例えば、50%、40%、30%、20%、10%)のp38 MAPKの活性の低下をもたらす濃度である。このような生理反応は、例えば、TNFαの血液または他の体液の濃度の低下であってよい。例えば、EC50、EC40、EC30、EC20、EC10は、用量反応曲線上のそれぞれ50%、40%、30%、20%、10%のTNFα濃度の低下によって測定されるようなp38 MAPKの活性の低下をもたらす濃度として決定される。SAPK系調節化合物のEC50は、p38γの阻害について好ましくは約10pM〜約500μMの範囲、好ましくは約10pM〜約5μMまたは約100nM〜約500μM、より好ましくは約500pM〜約1μM、さらにより好ましくは約500pM〜約1μMである。
【0126】
特定の実施形態において、化合物は、薬学的に許容されるキャリアと共に薬学的組成物の形態で提供される。
処置および/または予防の方法
別の実施形態は、疾患状態、例えば線維症状態を処置または予防する方法を提供する。前記方法は、線維症状態の危険性があるかもしくはこのような状態を有する被験体を同定すること、および線維症状態を処置または予防するのに有効な量の化合物を被験体に投与することを含む。好ましい実施形態において、化合物は、p38γの阻害について約10pM〜約500μM、好ましくは約10pM〜約5μMまたは約100nM〜約500μM、より好ましくは約500pM〜約1μM、さらにより好ましくは約500pM〜約1μMの範囲のIC50を示す。好ましい実施形態において、化合物のp38αに関するIC50値は、p38γに関するIC50値の2倍を超える。好ましい実施形態において、有効量は、化合物によるp38γの阻害についてIC50またはIC40またはIC30またはIC20またはIC10以下の血液または血清または別の体液の濃度をもたらし、さらに有効量は、化合物によるp38αの阻害についてIC50またはIC40またはIC30またはIC20またはIC10以下の血液または血清または別の体液の濃度をもたらす。好ましい実施形態において、化合物は、TNFα分泌の阻害について約10pM〜約5μM、より好ましくは約500pM〜約1μM、さらにより好ましくは約500pM〜約1μMの範囲のEC50を示す。他の好ましい実施形態において、有効量は、化合物による体液内のLPS刺激TNFα放出の阻害についてEC50またはEC40またはEC30またはEC20またはEC10以下の血液または血清または別の体液の濃度をもたらす。有効量は、例えば傾眠状態、消化器不調および光線過敏性発疹などが含まれるがこれらに限定されない被験体における望ましくない副作用の原因となる量の好ましくは約70%以下、より好ましくは約50%未満である。処置または予防に使用される化合物は、好ましくは種類I〜IVの化合物である。
【0127】
線維症状態の危険性があるかもしくはこのような状態を有する被験体を同定する方法は、当業者に既知である。本明細書に記載の方法によって処置または予防され得る線維症状態の例としては、p−38関連状態、例えば、改変サイトカイン活性に関連する状態、SAPK系の調節に関連する状態、自己免疫疾患、および線維症に関連した疾患などが含まれる。サイトカインは、好ましくはIL−1β、IL−6、IL−8およびTNFαからなるがこれらに限定されない群から選択される。一実施形態において、炎症性の状態の処置または予防に使用する化合物は、SAPKシグナル伝達経路のキナーゼを阻害する化合物である。好ましい化合物の例としては、種類I〜IVの化合物などが含まれる。
【0128】
「p38関連状態」という用語は、直接的であるにせよ間接的であるにせよ、p38MAPキナーゼシグナル伝達経路が関係する疾患または他の有害な状態を意味する。p38関連状態の例としては、p38活性のレベルの維持、持続、増大または上昇から生じるIL−1β、TNFα、IL−6またはIL−8調節異常あるいは過剰発現が含まれる。このような状態としては、炎症性疾患、自己免疫疾患、線維症疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、感染症、神経変性疾患、アレルギー、卒中における再灌流虚血、心臓発作、血管新生障害、臓器の低酸素症状態、血管の過形成、心肥大、トロンビン誘導血小板凝集、ならびにプロスタグランジン経路またはシクロオキシゲナーゼ経路に関連する状態(例えば、プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼに関わる状態)が含まれるが、これらに限定されない。p38関連状態は、p38のアイソフォームに関連またはそれを介したいずれの状態も包含し得る。
【0129】
「線維症状態」、「繊維増殖性状態」、「線維症疾患」、「繊維増殖性疾患」、「線維症障害」および「繊維増殖性障害」は、繊維芽細胞の無調節な増殖または活性、および/または膠原組織の病的または過剰な蓄積を特徴とする状態、疾患または障害を意味するために交換可能に使用される。一般的に、いずれの疾患、障害または状態も、本明細書に記載の化合物の投与による処置の対象となる。線維症の障害としては、特発性肺繊維症(IPF)や既知の病因による肺線維症を含めた肺線維症、肝線維症および腎線維症が含まれるが、これらに限定されない。他の例示的な線維症状態としては、筋骨格系線維症、心臓の線維症、術後癒着、強皮症、緑内障および皮膚病変(ケロイドなど)が含まれる。
【0130】
「SAPK系の調節」という用語は、インビトロであろうとインビボであろうと、例えばp38活性を阻害することによって、ストレス活性化プロテインキナーゼ系の活性を増減させることを意味する。特定の実施形態において、細胞におけるp38活性が未投与の対照細胞のp38活性よりも約50%、約40%、約30%、約20%または約10%阻害される場合、SAPK系は調節される。
【0131】
本明細書で使用される改変されたサイトカイン活性に関連する状態とは、サイトカイン活性が非疾患状態と比較して改変される状態を指す。これには、p38活性に関連し得るサイトカイン活性のレベルの維持、持続、増大または上昇をもたらすIL−1β、TNFα、IL−6またはIL−8過剰産生または調節異常に起因する状態が含まれるが、これらに限定されない。このような状態としては、炎症性疾患、自己免疫疾患、線維症疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、感染症、神経変性疾患、アレルギー、卒中における再灌流/虚血、心臓発作、血管新生障害、臓器の低酸素症状態、血管の過形成、心肥大、トロンビン誘導血小板凝集、ならびにシクロオキシゲナーゼ経路およびリポキシゲナーゼシグナル伝達経路に関連する状態(例えば、プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼに関わる状態)が含まれるが、これらに限定されない。サイトカイン関連状態は、IL−1(特にIL−1β)、TNFα、IL−6またはIL−8、あるいはp38によって調節され得る他の任意のサイトカインに関連またはそれを介したいずれの状態も包含し得る。好ましい実施形態において、サイトカイン関連状態は、TNFαに関連する状態である。
【0132】
本明細書に記載の方法はまた、自己免疫疾患ならびに急性および慢性炎症に関連する疾患を処置するために使用することもできる。これらの疾患としては、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、炎症性肺線維症(IPF)、関節リウマチ;リウマチ様脊椎炎;変形性関節症;痛風、他の関節炎状態;敗血症;敗血症性ショック;内毒素性ショック;グラム陰性敗血症;トキシックショック症候群;顔面筋疼痛症候群(MPS);細菌性赤痢;喘息;成人呼吸窮迫症候群;炎症性腸疾患;クローン病;乾癬;湿疹;潰瘍性大腸炎;糸球体腎炎;強皮症;慢性甲状腺炎;グレーブス病;オーモンド病;自己免疫性胃炎;重症筋無力症;自己免疫性溶血性貧血;自己免疫性好中球減少症;血小板減少症;膵線維症;肝線維症を含む慢性活動性肝炎;急性および慢性腎疾患;腎線維症;過敏性大腸症候群;発熱(pyresis);再狭窄;大脳マラリア;脳卒中および虚血傷害;神経外傷;アルツハイマー病;ハンチントン病;パーキンソン病;急性疼痛および慢性疼痛;アレルギー性鼻炎およびアレルギー性結膜炎を含むアレルギー;心肥大、慢性心不全;急性冠動脈症候群;悪液質;マラリア;ハンセン病;リーシュマニア症;ライム病;ライター症候群;急性滑膜炎;筋肉変性、滑液包炎;腱炎;腱鞘炎;ヘルニア様の、破裂性椎間板症候群または脱出性椎間板症候群;大理石骨病;血栓症;珪肺症;肺サルコイドーシス(pulmonary sarcosis);骨粗鬆症や多発性骨髄腫関連骨障害などの骨吸収疾患;癌(転移性乳癌、直腸結腸癌悪性黒色腫、胃癌および非小細胞肺癌を含むがこれらに限定されない);対宿主移植片反応;および多発性硬化症や狼瘡や線維筋痛などの自己免疫疾患;AIDSおよび他のウイルス性疾患(帯状疱疹、単純ヘルペスI型またはII型、インフルエンザウイルス、重症急性呼吸器症候群(SARS)およびサイトメガロウイルスなど);および糖尿病が含まれるが、これらに限定されない。さらに、実施形態の方法は、急性骨髄性白血病や慢性骨髄性白血病やカポシ肉腫や多発性骨髄腫や乳癌(転移性乳癌を含む)を含めた増殖性障害(良性および悪性の過形成を含む);直腸結腸癌;骨転移など;神経筋疼痛や頭痛や癌疼痛や歯痛や関節炎痛を含めた疼痛性障害;固形腫瘍の血管新生や、眼血管新生や、幼児性血管腫を含めた血管新生障害;プロスタグランジンエンドペルオキシドシンターゼ−2に関連する状態(浮腫、発熱、痛覚消失および疼痛など)を含めたシクロオキシゲナーゼおよびリポキシゲナーゼシグナル伝達経路に関連する状態;臓器の低酸素状態;トロンビン誘導血小板凝集、を処置するために使用することができる。さらに、本明細書に記載の方法は、哺乳類を含めた動物の原虫症の処置に有用であり得る。
【0133】
被験体は、1つ以上の細胞または組織、または有機体を含んでよい。好ましい被験体は哺乳類である。哺乳類はいずれの哺乳類も包含し得る。非限定例として、好ましい哺乳類には、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ラクダ、バッファロー、ネコ、イヌ、ラット、マウスおよびヒトが含まれる。非常に好ましい被験体哺乳類は、ヒトである。化合物は、当該技術分野で既知の任意の薬物送達経路を介して被験体に投与され得る。特定の例示的な投与経路としては、経口、経眼、直腸、口腔内、局所、鼻噴、眼、皮下、筋肉内、静脈内(ボーラス投与および点滴)、脳内、経皮および肺内が含まれる。
【0134】
本明細書で使用される「治療上有効量」および「予防上有効量」の文脈において使用される「有効量」という用語は、同定された疾患または状態の処置、軽減または予防に十分な化合物の量、あるいは検出可能な治療効果、予防効果または阻害効果を示すのに十分な化合物の量を指す。例えば、前記効果は、以下の実施例では開示されるアッセイによって検出され得る。被験体の正確な有効量は、被験体の体重、サイズおよび健康;状態の性質および程度;および投与のために選択される治療法または治療法の組み合わせにより変動する。所定の状況のための治療上および予防上有効量は、臨床医の技術および判断の範囲内のルーチン試験によって決定され得る。好ましくは、実施形態の化合物の有効量により、38MAPキナーゼの阻害についてのIC50、IC40、IC30、IC20またはIC10未満の血液または血清または別の体液の濃度が生じる。好ましくは、実施形態の化合物の有効量により、全血からのTNFα分泌を10%、15%、20%、30%,40%または50%変えるのに効果的な血液または血清または別の体液の濃度が生じる。
【0135】
いずれの化合物においても、治療上または予防上有効量は、細胞培養アッセイ(例えば新生細胞)または動物モデル(通常、ラット、マウス、ウサギ、イヌまたはブタ)のいずれかで最初に推定され得る。動物モデルはまた、適切な濃度域および投与経路を決定するために使用することもできる。そして、このような情報は、ヒトにおける投与に有用な用量および経路を決定するために使用することができる。
【0136】
治療上/予防上の有効性および毒性は、細胞培養または実験動物における標準的薬学的手法、例えばED50(集団の50%に治療上有効な用量)やLD50(集団の50%に致死的な用量)。治療効果と毒性効果との間の用量比が治療指数であり、それは比率ED50/LD50で表される。高い治療指数を示す薬学的組成物が好ましい。しかし、狭い治療指数を示す薬学的組成物もまた、実施形態の適用範囲内で含まれる。細胞培養アッセイおよび動物実験から得られるデータは、ヒト使用における投与量の範囲を定式化する際に使用してよい。このような組成物における投与量は、好ましくはほとんど毒性のないED50を含む血中濃度の範囲内に含まれる。投与量は、使用される剤形、患者の感受性および投与経路に基づく範囲内で変化させてよい。
【0137】
正確な投与量は、処置を必要とする被験体に関する因子を考慮して施術者によって決定されるであろう。用法・用量を調整して活性薬剤の十分なレベルがもたらされ、所望の効果が維持される。考慮され得る因子としては、疾患状態の重症度、被験体の健康状態、被験体の年齢および体重および性別、食事、投与の時間および頻度、薬剤併用、反応感受性、ならびに処置に対する忍容性/反応が含まれる。長時間作用性の薬学的組成物は、特定の製剤の半減期およびクリアランス率によって3〜4日毎、週毎または2週間に1回投与してよい。
【0138】
本明細書に記載の処置には、疾患を予防すること、徴候を軽減すること、疾患進行を緩慢化すること、損傷を逆転させること、または疾患を治癒させることが含まれることが理解されるであろう。
【0139】
一態様においては、線維症状態の処置により、未処置の被験体の集団と比較して、処置された被験体の集団の平均生存期間の増加がもたらされる。好ましくは、平均生存期間は、約30日超;好ましくは約60日超;より好ましくは約90日超;およびさらにより好ましくは約120日超増加する。集団の生存期間の増加は、任意の再現可能な手段で測定され得る。また、好ましい態様において、集団の平均生存期間の増加は、例えば活性化合物の投与開始後の集団における生存の平均長さを算定することにより測定され得る。また、別の好ましい態様において、集団の平均生存期間の増加は、例えば活性化合物の投与の第1のラウンドの完了後の集団における生存の平均長さを算定することにより測定され得る。
【0140】
別の態様においては、線維症状態の処置により、キャリアを単独で投与される被験体の集団と比較して、処置された被験体の集団の死亡率の低下がもたらされる。別の態様においては、線維症状態の処置により、未処置の被験体の集団と比較して、処置された被験体の集団の死亡率の低下がもたらされる。さらなる態様において、線維症状態の処置により、実施形態の化合物やその薬学的に許容される塩、代謝物、類似体および誘導体ではない薬物の単剤療法を受ける集団と比較して、処置された被験体の集団の死亡率の低下がもたらされる。好ましくは、死亡率は、約2%超;より好ましくは約5%超;より好ましくは約10%超;および最も好ましくは約25%超低下する。好ましい態様において、処置された被験体の集団の死亡率の低下は、任意の再現可能な手段で測定され得る。別の好ましい態様において、集団の死亡率の低下は、例えば活性化合物の投与開始後の集団における単位期間当たりの平均の疾患関連死亡数を算定することにより測定され得る。また、別の好ましい態様において、集団の死亡率の低下は、例えば活性化合物の投与の第1のラウンドの完了後の開始後の集団における単位期間当たりの平均の疾患関連死亡数を算定することにより測定され得る。
【0141】
別の態様においては、線維症状態の処置により、腫瘍の増殖率の低下がもたらされる。好ましくは、処置後、腫瘍増殖率は、処置前に比べて少なくとも約5%低下し;より好ましくは、腫瘍増殖率は少なくとも約10%低下し;より好ましくは少なくとも約20%低下し;より好ましくは少なくとも約30%低下し;より好ましくは少なくとも約40%低下し;より好ましくは少なくとも約50%低下し;さらにより好ましくは少なくとも60%低下し;および最も好ましくは少なくとも約75%減少する。腫瘍増殖率は、任意の再現可能な測定手段で測定してよい。好ましい態様において、腫瘍増殖率は、単位期間当たりの腫瘍の直径の変化により測定される。
【0142】
別の態様において、線維症状態の処置により、細胞増殖率の低下がもたらされる。好ましくは、処置後、細胞増殖率は、少なくとも約5%;より好ましくは少なくとも約10%;より好ましくは少なくとも約20%;より好ましくは少なくとも約30%;より好ましくは少なくとも約40%;より好ましくは少なくとも約50%;さらにより好ましくは少なくとも約60%;および最も好ましくは少なくとも約75%低下する。細胞増殖率は、任意の再現可能な測定手段で測定してよい。好ましい態様において、細胞増殖率は、例えば単位期間当たりの組織試料の分裂細胞の数を測定することによって測定される。
【0143】
別の態様において、線維症状態の処置により、増殖性細胞の比率の低下がもたらされる。好ましくは、処置後、増殖性細胞の比率は、少なくとも約5%;より好ましくは少なくとも約10%;より好ましくは少なくとも約20%;より好ましくは少なくとも約30%;より好ましくは少なくとも約40%;より好ましくは少なくとも約50%;さらにより好ましくは少なくとも約60%;および最も好ましくは少なくとも約75%低下する。増殖性細胞の比率は、任意の再現可能な測定手段で測定してよい。好ましい態様において、増殖性細胞の比率は、例えば組織試料の非分裂細胞の数と比べて分裂細胞の数を定量化することによって測定される。別の好ましい態様において、増殖性細胞の比率は分裂指数に相当する。
【0144】
別の態様において、線維症状態の処置により、細胞増殖の領域または帯域のサイズの減少がもたらされる。好ましくは、処置後、細胞増殖の領域または帯域のサイズは、処置前のそのサイズと比べて少なくとも5%減少し;より好ましくは少なくとも約10%減少し;より好ましくは少なくとも約20%減少し;より好ましくは少なくとも約30%減少し;より好ましくは少なくとも約40%減少し;より好ましくは少なくとも約50%減少し;さらにより好ましくは少なくとも約60%減少し;および最も好ましくは少なくとも約75%減少する。細胞増殖の領域または帯域のサイズは、任意の再現可能な測定手段で測定してよい。好ましい態様において、細胞増殖の領域または帯域のサイズは、細胞増殖の領域または帯域の直径または幅として測定され得る。
【0145】
本明細書に記載の方法は、処置を必要とする被験体を同定することを含んでよい。好ましい実施形態において、前記方法は、処置を必要とする哺乳類を同定することを含む。非常に好ましい実施形態において、前記方法は、処置を必要とするヒトを同定することを含む。処置を必要とする被験体を同定することは、処置から利益を受け得る被験体を示す任意の手段によって達成され得る。例えば、処置を必要とする被験体の同定は、当業者に既知の臨床診断、臨床検査または任意の他の手段によって行ってよく、それらには、同定のための手段のいずれの組み合わせも含まれる。
【0146】
本明細書の他で記載される通り、本明細書に記載の化合物は、薬学的組成物において調製され、所望により、疾患または状態の処置が可能となる任意の経路によって投与され得る。好ましい投与経路は経口投与である。投与は単回投与の形態をとり得るか、もしくは実施形態の化合物を、分割投与あるいは連続放出型調製または投与の方法(例えば、ポンプ)で一定時間投与することができる。いかに実施形態の化合物を被験体に投与しようと、投与される化合物の量、および選択される投与経路は、疾患状態の効果的な処置が可能となるように選択されなければならない。
【0147】
実施形態の方法はまた、疾患状態の処置ための1つ以上のさらなる治療剤と共に本明細書に記載の化合物または化合物を使用することも含む。したがって、例えば、活性成分の組み合わせは:(1)複合製剤において同時に共調製(co−formulated)および投与または送達され得る;(2)交互または同時に別々の製剤として送達され得る;あるいは(3)当該技術分野で既知の他の併用投与方式によるものであり得る。代替治療で送達される場合、本明細書に記載の方法は、例えば別個の溶液、乳剤、懸濁液、錠剤、丸剤またはカプセル剤、あるいは別個の注射器における種々の注射によって、逐次的に活性成分を投与または送達することを含んでよい。一般的に、代替治療の間は各活性成分の有効薬量は逐次的、すなわち連続して投与されるが、同時の治療においては2種以上の活性成分の有効薬量が一緒に投与される。また、各種の順序の間欠的な併用投与も使用してよい。
【0148】
診断検査は、本明細書に記載の方法の一部であると考えられる。例えば、組織生検試料は、線維症状態、例えばp38関連またはサイトカイン関連状態を患う被験体から採取してよい。生検試料は、試料におけるp38活性のレベル(またはサイトカインレベル)を決定するために試験され;そして試料に実施形態の選択された化合物を接触させ、そしてp38活性(またはサイトカインレベル)を測定して化合物が所望の効果(例えば、p38γの阻害について約10pM〜約500μM、好ましくは約10pM〜約5μMまたは約100nM〜約500μM、より好ましくは約50pM〜約1μM、さらにより好ましくは約50pM〜約1μMの範囲のIC50値、ならびにp38γの阻害についてのIC50値の少なくとも2倍のp38αに関するIC50値のp38またはサイトカイン活性の阻害)を有するどうかが決定される。このような試験は、このような化合物の投与がその被験体に効果があると見込まれるのかどうかを決定するために使用してよい。あるいは、試料に標式化合物(例えば、蛍光標識化合物または放射能標識化合物)を接触させてよく、そして次に試料を検査し、蛍光または放射性シグナルを検出して組織試料のp38の分布を決定する。また、治療の経過中に採取を繰り返した生検試料を使用して治療の有効性を検討してもよい。本明細書に記載の化合物を使用する他の診断検査は、本明細書の教示に鑑みて当業者に明らかであろう。
【0149】
従って、例えば、一実施形態は、細胞または組織試料におけるp38タンパク質の存在、位置および/または量を決定する方法を提供する。前記方法は、a)化合物がp38 MAPKに結合し得る条件下で細胞または組織試料に実施形態の化合物を接触させること;およびb)細胞または組織試料内の化合物の存在、位置および/または量を決定し、それにより細胞または組織試料内のp38 MAPKの存在、位置および/または量を決定することを含む。細胞または組織試料内の化合物の存在、位置および/または量の決定は、細胞または組織試料内の化合物の存在、位置および/または量を明らかにする任意の手段によって実施してよい。例えば、上記したように、放射能標識または蛍光標識の方法を使用してよい。細胞または組織試料内の化合物の存在、位置および/または量を決定するさらなる方法は、当業者にとって明らかであろう。
【0150】
別の実施形態は、(1)化合物が炎症性の状態を患う被験体の処置に有用な治療剤であるのかどうか、または(2)疾患の重症度、または(3)疾患修飾剤の投与中の疾患経過、を決定する方法を提供する。前記方法は、a)本明細書に記載の化合物または疾患修飾剤の投与の終了前、終了中および終了後の被験体からの細胞または組織試料を得ること;b)化合物を試料に接触させること;およびc)化合物によるp38 MAPKに対する結合が試料内のp38 MAPKの量に関連するものである試料と結合する化合物の量を決定することを含む。
【0151】
(本明細書に記載の化合物および方法により処置されることが企図される疾患の具体例)
COPD
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、(1)気管および実質の炎症細胞(好中球、マクロファージおよびSD8T細胞)の数の増加、(2)炎症性サイトカインおよびケモカイン発現の増加、および(3)プロテアーゼ(エラスターゼ、カテプシンおよびマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP))の数の増加が含まれる肺の慢性的炎症プロセスを特徴とする。気道炎症の多くの潜在的メディエーターの産生および作用は、ストレス誘発性MAPKまたはp38キナーゼカスケードにより変動すると考えられる。肺の事象の多血症:肺の微小血管内皮細胞におけるLPS−およびTNF−α−誘導細胞間接着分子−1の発現、MMP−9活性化、肺の動脈細胞の低酸素誘導性刺激、気管支上皮細胞の高浸透圧性誘導IL−8発現、ならびに好酸球輸送および生存の上昇、にp38キナーゼ活性化が関連することが、いくつかの報告により支持される。
【0152】
Trifilieffら(2005 Brit J Pharmacol 144:1002−10)は、CGH2466、組み合わせたアデノシン受容体拮抗薬、p38 MAPKおよびホスホジエステラーゼ4型阻害剤が、喘息およびCOPDなどの疾患においてインビトロおよびインビボで効力のある抗炎症作用を示したことを報告した。Underwoodら(2000 Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 279:L895−L902)は、効力がありかつ選択的なp38 MAPK阻害剤、すなわちSB239063が、肺における好中球輸送および活性化の低下につながる繊維芽細胞増殖およびマトリックス産生を調節する能力のため気管線維症に関連付けられてきたIL−1β、TNF−α、IL−6およびIL−8を含めた炎症誘発性サイトカインの産生を低下させたことを示した。その前には、その同じ化合物が、ブレオマイシンによって誘導される慢性的線維症と関連する反応を変更させ得ることが明らかにされている。この阻害活性は、p38のαおよびβアイソフォームに対して選択的であった。本明細書に記載の化合物および方法は、COPDの処置において有用である。
【0153】
肺線維症
肺線維症とは、特発性肺繊維症(IPF)、びまん性間質性肺線維症、炎症性肺線維症または線維化性肺胞隔炎とも呼称され、炎症性肺障害、ならびに線維症が生しる肺胞中隔内への炎症性細胞浸潤を含む肺胞炎に起因する肺胞間の線維組織の異常形成を特徴とする状態の混成群である。IPFの作用は、慢性的で、進行性であり、そして多くの場合致命的である。p38 MAPK活性化は、肺線維症患者の肺において示されてきた。肺線維症についての多くの研究は、肺におけるいくつかのサイトカインの発現の持続および増大は、後に肺構造のリモデリングが続く炎症細胞の漸増および細胞外マトリックス成分の蓄積に関連する。特に、TNF−αやインターロイキンIL−1βなどの炎症誘発性サイトカインは、肺臓炎および肺線維症の形成において主要な役割を果たすことが示された。さらに、TGF−βやCTGFなどの線維症誘発性サイトカインもまた、肺線維症の病因において重要な役割を果たす。Matsuokaら(2002;Am J Physiol Lung Cell Mol Physiol 283:L103−L112)は、p38阻害剤(FR−167653)がマウスのブレオマイシン誘導肺線維症を軽減することを示した。さらに、ピルフェニドン(5−メチル−1−フェニル−2−(1H)−ピリドン)、すなわち抗炎症、抗酸化および抗線維化効果とが組み合わされた化合物は、肺線維症の実験モデルならびに臨床試験で効果的であることが明らかにされている(Raghu,et al.,1999 Am J Respir Crit Care Med 159:1061−1069;Nagai,et al.,2002 Intern Med 41:1118−1123;Gahl,et al.,2002 Mol Genet Metab 76:234−242;Azuma,et al.,2002 Am J Respir Crit Care Med 165:A729)。本明細書に記載の化合物および方法は、IPFなどの肺線維症の処置に有用である。
【0154】
腎線維症
最初の発作の内容に関わらず、腎線維症は、腎臓疾患が末期腎不全へと進行する一般的最終経路であると考えられる。Stambeら(2004;J Am Soc Nephrol 15:370−379)は、腎線維症のラットモデルでScios(米国カリフォルニア州サンフランシスコ)によって開発されたp38(NPC31169)の活性(リン酸化)形態の阻害剤を試験し、間隙容量、IV型コラーゲン沈着および結合組織成長mRNAレベルによる評価で腎線維症の有意な低下を報告した。本明細書に記載の化合物および方法は、腎線維症の処置に有用である。
【0155】
平滑筋腫
子宮平滑筋腫または子宮類線維腫は、利用できる長期に有効な薬物療法が知られていない女性における最も一般的な骨盤腫瘍である。平滑筋腫は、細胞増殖の増大および組織線維症を特徴とする。ピルフェニドンが、培養された子宮筋および平滑筋腫の平滑筋細胞において細胞増殖およびコラーゲン発現に関して試験され、子宮筋および平滑筋腫細胞増殖における有効な阻害剤であることが判明している(Lee,et al.,1998 J Clin Endocrinol Metab 83:219−223)。本明細書に記載の化合物および方法は、平滑筋腫の処置に有用である。
【0156】
心内膜心筋線維症
心内膜心筋線維症(EMF)とは、収縮性心筋症が認められることを特徴とする障害である。EMFは、レフラー心内膜炎(非熱帯性好酸球増加性心内膜心筋線維症または好酸球増加症を伴う線維形成性壁心内膜炎)を含む単一の疾患プロセスの範囲の一部であると考えられる場合がある。EMFにおいては、心内膜心筋表面がさらに一般的に関与する場合、基礎をなすプロセスによって心臓の心内膜表面に斑状の線維症が生じ、これは服薬遵守の低下、そして最終的には生理機能の制約につながる。心内膜の線維症は、主に左右の心室の流入路を巻き込み、そして房室弁に影響を及ぼし、これが三尖弁逆流および僧帽弁逆流につながり得る。MAPK活性化は、EMFにおける不斉脈惹起性の心房の構造的リモデリングに寄与することが示された。本明細書に記載の化合物および方法は、心内膜心筋線維症の処置および/または予防に有用である。
【0157】
他の炎症性疾患
多くの自己免疫疾患ならびに慢性炎症および急性反応に関連する疾患は、p38MAPキナーゼの活性化ならびに炎症性サイトカインの過剰発現または調節異常に関連付けられてきた。これらの疾患としては、関節リウマチ;リウマチ様脊椎炎;変形性関節症;痛風、他の関節炎状態;敗血症;敗血症性ショック;内毒素性ショック;グラム陰性敗血症;トキシックショック症候群;喘息;成人呼吸窮迫症候群;慢性閉塞性肺疾患;慢性肺炎症;炎症性腸疾患;クローン病;乾癬;湿疹;潰瘍性大腸炎;膵線維症;肝線維症;急性および慢性腎疾患;過敏性大腸症候群;発熱;再狭窄;大脳マラリア;脳卒中および虚血傷害;神経外傷;アルツハイマー病;ハンチントン病;パーキンソン病;急性疼痛および慢性疼痛;アレルギー性鼻炎;アレルギー性結膜炎;慢性心不全;急性冠動脈症候群;悪液質;マラリア;ハンセン病;リーシュマニア症;ライム病;ライター症候群;急性滑膜炎;筋肉変性、滑液包炎;腱炎;腱鞘炎;ヘルニア様の、破裂性椎間板症候群または脱出性椎間板症候群;大理石骨病;血栓症;癌;再狭窄;珪肺症;肺サルコイドーシス;骨粗鬆症などの骨吸収疾患;対宿主移植片反応;および多発性硬化症や狼瘡や線維筋痛などの自己免疫疾患;AIDSおよび他のウイルス性疾患(帯状疱疹、単純ヘルペスI型またはII型、インフルエンザウイルス、およびサイトメガロウイルスなど);および糖尿病が含まれるが、これらに限定されない。
【0158】
多くの研究により、p38MAPキナーゼの活性を低下(その上流活性化因子またはその下流エフェクター)が、遺伝子的または化学的手段のいずれかによって炎症反応を弱め、組織の損傷を予防または最小化することが明らかにされている(例えば、English,et al.,2002 Trends Pharmacol Sci 23:40−45;およびDong,et al.,2002 Annu Rev Immunol 20:55−72を参照)。従って、p38活性の阻害剤は、余分または未調節のサイトカイン産生も阻害し、単一の炎症誘発性サイトカインより多くのものを阻害し得るものであって、抗炎症の剤や治療法として有用であり得る。さらに、p38MAPキナーゼ関連炎症反応に関連する多数の疾患は、これらの状態を処置するための効果的な方法の必要性があることを示している。
【0159】
心臓血管疾患:炎症および白血球の活性化/浸潤は、アテローム性動脈硬化症や心不全が含まれる心臓血管疾患の開始および進行に主な役割を果たす。急性p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路の阻害により、心筋虚血/再灌流障害における組織損傷および白血球蓄積が抑制される。本明細書に記載の化合物および方法は、心臓血管疾患の処置に有用である。
【0160】
多発性硬化症:中枢神経系の炎症は、多発性硬化症などの疾患において認められ、軸索の機能障害および破壊につながる。インビトロおよびインビボの両所見により、介在性の炎症性軸索障害における一酸化窒素(NO)の重要な役割が明らかにされている。NO曝露によりp38MAPキナーゼは活性化され、p38シグナル伝達の阻害がニューロンおよび軸索の生存作用につながることが明らかにされている。OCMおよびIGF−1は、NO曝露された皮質ニューロンにおいてp38活性化を低下させ、NOに曝露される培養物における軸索の生存、すなわちマイトジェン活性化プロテインキナーゼ/細胞外シグナル関連キナーゼシグナル伝達に依存するプロセスを改善した。本明細書に記載の化合物および方法は、多発性硬化症の処置に有用である。
【0161】
初期移植片機能不全:非特異的な炎症は、初期移植片機能不全(PNF)と関連している。炎症性膵島障害には、常在性膵島マクロファージによって産生されるインターロイキン−1β(1L−1β)や腫瘍壊死因子−α(TNF−α)などの炎症誘発性サイトカインが少なくとも部分的に介在している。p38経路は、単球マクロファージ系統の細胞におけるサイトカイン産生に関与することが知られている。化学的p38阻害剤(SB203580)によるp38経路の阻害により、リポポリサッカライド(LPS)および/または炎症性サイトカインに曝露されるヒト膵島におけるIL−1βおよびTNF−αの産生が抑制される。IL−1βは、大部分が常在性マクロファージによって産生されるが、導管細胞および膵島血管内皮細胞は、単離したヒト膵島におけるIL−1βの別の細胞源であることが明らかにされている。SB203580もまた、投与された膵島の誘導性一酸化窒素シンターゼ(iNOS)およびシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の発現を阻害した。さらに、移植前にSB203580を1時間投与したヒト膵島については、移植片の機能の有意な改善が認められた。本明細書に記載の化合物および方法は、臨床的な膵島移植における移植片生存の改善に有用である。
【0162】
急性腎損傷:シスプラチンは重要な化学療法剤であるが、急性腎損傷を引き起こす可能性がある。この急性腎損傷の一部は、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)が介在している。シスプラチンは、p38 MAPKを活性化し、癌細胞のアポトーシスを誘導する。p38 MAPKの活性化は、虚血傷害およびマクロファージにおけるTNF−αの産生の増加につながる。インビトロにおいて、シスプラチンは、近位尿細管細胞におけるp38 MAPKの用量依存的活性化を引き起こした。p38 MAPKの活性化の阻害は、TNF−α産生の阻害につながった。インビボにおいて、シスプラチンの単回投与を受けたマウスは、腎臓のp38 MAPK活性の増加および白血球の浸潤の増大を伴う重度の腎機能障害を発現した。しかし、シスプラチンと共にp38 MAPK阻害剤SKF86002を投与された動物は、シスプラチン+ビヒクル投与の動物と比べて、腎機能障害の低下、組織学的障害の重症度の低下、および白血球の減少を示した。本明細書に記載の化合物および方法は、急性腎損傷の予防に有用である。
【0163】
歯周炎:炎症誘発性メディエーターであるブラジキニン(BK)は、インビトロでヒト歯肉線維芽細胞のインターロイキン8(IL−8)産生を促進し、歯周炎などの各種炎症性疾患の病因において重要な役割を果たす。特異的p38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)阻害剤SB203580は、BKおよびIL−1βの組み合わせにより促進されるIL−8産生ならびにIL−1β促進IL−8産生を低下させた。本明細書に記載の化合物および方法は、歯周炎の処置または予防に有用である。
【0164】
いくつかの実施形態において、上記の使用のいずれかにおけるp38阻害剤は、
【0165】
【化20−1】

【0166】
【化20−2】

【0167】
【化20−3】

およびピルフェニドンからなる群から選択されない。
【0168】
(薬学的組成物)
本明細書に記載の化合物は単独で投与することが可能であるが、薬学的組成物として化合物を調製することが好ましい場合がある。従って、さらに別の態様においては、本発明の方法において有用な薬学的組成物が提供される。さらに具体的には、本明細書に記載の薬学的組成物は、とりわけ、炎症性の状態、例えばp38活性またはサイトカイン活性またはそのあらゆる組み合わせに関連する状態の処置または予防に有用であり得る。薬学的組成物は、状態を処置または軽減するためにインビトロまたはインビボまたは両方で被験体に投与され得るいずれかの組成物である。好ましい実施形態において、薬学的組成物は、インビボで投与され得る。被験体は、1つ以上の細胞または組織または有機体を含み得る。好ましい被験体は、哺乳類である。非限定的な例として、哺乳類には、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ラクダ、バッファロー、ネコ、イヌ、ラット、マウスおよびヒトなどのいずれの哺乳類も含まれる。非常に好ましい被験体哺乳類は、ヒトである。
【0169】
一実施形態において、薬学的組成物は、特定の投与様式や剤形によって、キャリア、溶媒、安定剤、アジュバント、希釈剤などの薬学的に許容される賦形剤により調製され得る。薬学的組成物は一般的に、生理的に適合するpHを達成するように調製しなければならず、剤形および投与経路によって約3のpH〜約11のpH、好ましくは約pH3〜約pH7の範囲であってよい。別の実施形態においては、pHを約pH5.0〜約pH8の範囲に調整することが好ましい場合がある。さらに具体的に、薬学的組成物は、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と共に、治療的または予防的に有効な量の本明細書に記載の少なくとも1つの化合物を含むことができる。場合により、薬学的組成物は、本細書に記載される化合物の組み合わせを含むこともできれば、あるいは細菌感染症の処置または予防に有用な第2の活性成分(例えば、抗バクテリア剤または抗菌剤)を含むこともできる。
【0170】
例えば非経口または経口投与用の製剤は、最も一般的には固体、液体溶液、乳剤または懸濁液であるが、肺内投与用の吸入可能な製剤は、一般的に好まれている粉末製剤を含めて一般的に液体または粉末である。好ましい薬学的組成物はまた、投与前に生理的に適合した溶媒と再構成された凍結乾燥固体として調製され得る。別の薬学的組成物は、シロップ剤、クリーム、軟膏、錠剤などとして調製され得る。
【0171】
「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、本明細書に記載の化合物などの医薬品の投与のための賦形剤を指す。本用語は、過度の毒性なしで投与され得るいずれかの薬学的賦形剤を指す。
【0172】
薬学的に許容される賦形剤は、部分的には、投与される特定の組成物ならびに組成物の投与に使用する特定の方法によって決定される。従って、薬学的組成物の多種多様で適切な製剤が存在する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciencesを参照)。
【0173】
適切な賦形剤は、タンパク質、多糖類、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、アミノ酸ポリマー、アミノ酸コポリマーおよび不活性ウイルス粒子などの大きくて遅く代謝する巨大分子を含めたキャリア分子であってよい。他の例示的な賦形剤としては、アスコルビン酸などの抗酸化剤;EDTAなどのキレート剤;デキストリン、ヒドロキシアルキルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ステアリン酸などの炭水化物;油、水、生理食塩水、グリセロールおよびエタノールなどの液体;湿潤剤または乳化剤;pH緩衝物質などが含まれる。リポソームもまた、薬学的に許容される賦形剤の定義の中に含まれる。
【0174】
本明細書に記載の薬学的組成物は、所期の投与方法に適切な任意の形態で調製してよい。例えば経口的使用を意図する場合は、錠剤、トローチ、口内錠、水性または油性懸濁液、非水溶液、分散性の粉末または顆粒(微粒状粒子またはナノ粒子を含む)、乳剤、硬カプセル剤または軟カプセル、シロップまたはエリキシルを調製し得る。経口的使用を意図した組成物は、薬学的組成物を製造する当該技術分野で既知の任意の方法によって調製され得、このような組成物は、味のよい製剤を提供するために、甘味剤、着香剤、着色剤および保存剤を含む1つ以上の剤を含有し得る。
【0175】
錠剤と組み合わせた使用に特に適している薬学的に許容される賦形剤としては、例えば、セルロース、カルシウムまたは炭酸ナトリウム、ラクトース、カルシウムまたはリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;架橋ポビドン、トウモロコシ澱粉またはアルギン酸などの崩壊剤;ポビドン、デンプン、ゼラチンまたはアカシアなどの結着剤;ならびにステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクンなどの滑沢剤が含まれる。
【0176】
錠剤はコーティングしなくてもよければ、あるいは胃腸管における崩壊および吸着を遅延させ、それにより長期間に亘る持続作用をもたらすマイクロカプセル化を含めた既知の手法によってコーティングしてよい。例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリルの単独あるいは蝋剤との併用などの時間遅延材料を使用してよい。
【0177】
経口使用のための製剤はまた、活性成分と不活性固体希釈剤(セルロース、ラクトース、リン酸カルシウムまたはカオリンなど)とを混合した硬ゼラチンカプセルとするか、もしくは活性成分と非水媒質または油性媒質(グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、落花生油、流動パラフィンまたはオリーブ油など)とを混合した軟ゼラチンカプセルとすることができる。
【0178】
別の実施形態において、薬学的組成物は、懸濁液の製造に適切な少なくとも1つの薬学的に許容される賦形剤と混合して実施形態の化合物を含む懸濁液として調製され得る。
【0179】
さらに別の実施形態において、薬学的組成物は、適切な賦形剤の添加によって懸濁液の調製に適切な分散性の粉末および顆粒として調製され得る。
【0180】
懸濁液と組み合わせた使用に適している賦形剤としては、懸濁化剤(カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、アラビアゴムなど)、分散剤または湿潤剤(天然由来のリン脂質(例えばレシチン)など)、酸化アルキレンと脂肪酸との縮合物(例えばポリオキシエチレンステアレート)、酸化エチレンと長鎖脂肪族アルコールとの縮合物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール)、酸化エチレンと、脂肪酸および無水ヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)、ならびに増粘剤(カルボマ、蜜蝋、固形パラフィンまたはセチルアルコールなど)が含まれる。懸濁液は、1種以上の保存剤(酢酸、メチルおよび/またはn−プロピル p−ヒドロキシ−ベンゾアート);1種以上の着色剤;1種以上の着香剤;および1種以上の甘味剤(スクロースまたはサッカリンなど)を含んでよい。
【0181】
薬学的組成物はまた、水中油乳剤の形態であってもよい。油性相は、植物油(オリーブ油または落花生油など)、鉱油(流動パラフィンなど)、あるいはそれらの混合物であってよい。適切な乳化剤としては、天然ゴム(アラビアゴムまたはトラガカントゴムなど);天然由来のリン脂質(大豆レシチンあるいは脂肪酸から誘導されるエステルまたは部分エステルなど);無水ヘキシトール(ソルビタンモノオレエートなど);およびこれらの部分エステルと酸化エチレンとの縮合物(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなど)が含まれる。乳化剤は、甘味剤および着香剤を含んでもよい。シロップおよびエリキシルは、グリセロール、ソルビトールまたはスクロースなどの甘味剤と共に調製してよい。このような製剤はまた、粘滑薬、保存剤、香料または着色剤を含んでもよい。
【0182】
さらに、薬学的組成物は、無菌注射用水性乳剤または油性懸濁液などの無菌注射用製剤の形態であってよい。この乳剤または懸濁液は、前述のそれらの適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して既知の技術によって調製され得る。無菌注射用製剤はまた、非経口的に許容し得る無毒性の希釈剤または溶媒中の無菌注射用溶液または懸濁液(1,2−プロパンジオール中の溶液など)であってよい。
【0183】
無菌注射用製剤はまた、凍結乾燥粉末としても調製され得る。水、リンゲル液および等張食塩液は、使用してよい許容し得るビヒクルおよび溶媒の中の一部である。さらに、無菌の不揮発性油を溶媒または懸濁媒として使用してよい。この目的のために、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドを含めた無刺激の不揮発性油を使用してよい。さらに、オレイン酸などの脂肪酸は、同様に注射剤の調製に使用してよい。
【0184】
薬学的組成物の安定した水溶性の剤形を得るために、本明細書に記載の化合物の薬学的に許容される塩は、コハク酸の0.3M溶液またはより好ましくはクエン酸などの有機酸または無機酸の水溶液に溶解され得る。可溶塩の形態が利用できない場合、化合物は、適切な共溶媒または共溶媒の組み合わせに溶解してよい。適切な共溶媒の例としては、全容量の約0〜約60%の範囲の濃度のアルコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール300、ポリソルベート80、グリセリンなどが含まれる。一実施形態において、活性化合物は、DMSOに溶解され、そして水で希釈される。
【0185】
薬学的組成物は、水または等張食塩水またはデキストロース溶液などの適切な水性ビヒクル中の活性成分の塩形態の溶液の形態であってよい。例えばエステル化、グリコシル化、PEG化などによって、送達においてより適切なものとなる(例えば、溶解性、生理活性、美味性の増大、有害反応の減少など)化学的または生化学的部分の置換または付加によって修飾された化合物もまた企図される。
【0186】
好ましい実施形態において、本明細書に記載の化合物は、難溶解性化合物に適切な脂質系製剤において経口投与用に調製され得る。脂質系製剤は、このような化合物の経口バイオアベイラビリティを一般的に高めることができる。
【0187】
従って、好ましい薬学的組成物は、中間鎖脂肪酸またはそのプロピレングリコールエステル(例えば、カプリルおよびカプリン脂肪酸などの食用脂肪酸のプロピレングリコールエステル)ならびにポリオキシル40硬化ヒマシ油などの薬学的に許容される界面活性剤からなる群から選択される少なくとも1種の薬学的に許容される賦形剤と共に、治療的または予防的に有効な量の本明細書に記載の化合物を含む。
【0188】
別の好ましい実施形態において、シクロデキストリンは、水溶解度向上剤(aqueous solubility enhancer)として添加され得る。好ましいシクロデキストリンとしては、α−、β−およびγ−シクロデキストリンのヒドロキシプロピル誘導体、ヒドロキシエチル誘導体、グルコシル誘導体、マルトシル誘導体、およびマリトトリオシル誘導体が含まれる。特に好ましいシクロデキストリン溶解度向上剤(cyclodextrin solubility enhancer)はヒドロキシプロピル−ο−シクロデキストリン(BPBC)であり、これは上記組成物のいずれかに添加して実施形態の化合物の水溶解度特性をさらに向上させ得るものである。一実施形態において、前記組成物は、約0.1%〜約20%のヒドロキシプロピル−ο−シクロデキストリン、より好ましくは、約1%〜約15%のヒドロキシプロピル−ο−シクロデキストリン、およびさらにより好ましくは約2.5%〜約10%のヒドロキシプロピル−ο−シクロデキストリンを含む。使用される溶解度向上剤(solubility enhancer)の量は、前記組成物中の実施形態の化合物の量により変動する。
【0189】
薬学的組成物は、所期の治療効果を達成するのに十分な総量の活性成分を含む。さらに具体的には、いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、治療上有効量(例えば、炎症性疾患または状態の徴候の予防または処置に効果的なSAPK調節化合物の量であって、前記化合物が、p38 MAPKの阻害について約100μM〜約1000μM、好ましくは約200μM〜約800μMの範囲のIC50を示すもの)を含む。単位剤形を生成するキャリア材料と結合し得る前記化合物の総量は、処置される宿主および特定の投与様式によって変化する。好ましくは、前記組成物は、0.01〜100mg/体重kg/日の間の用量のSAPK調節化合物が前記組成物の投与を受ける患者に投与されるように調製される。
【実施例】
【0190】
(実施例1)
インビトロでp38MAPキナーゼによってATF2のリン酸化を阻害する能力に関して化合物をスクリーニングする。このインビトロアッセイにおけるATF2のリン酸化を阻害する化合物の能力は、インビボにおけるp38MAPキナーゼの阻害およびTNFαの発現と相関しており、そのため、潜在的なインビボの治療活性の指標である(Raingeaud,J.,et al.,1995 J.Biol.Chem.270:7420−7426;Brinkman,M.N.,et al.,1999 J.Biol.Chem.274:30882−30886;およびFuchs,S.Y.,et al.,2000 J.Biol.Chem.275:12560−12564)。
【0191】
すべてのキナーゼおよび基質ATF2は、Upstate(米国バージニア州シャーロットビル)から入手される。p38MAPキナーゼは、大腸菌内で発現しかつ大腸菌から精製されるアミノ末端GST融合の組換えヒト完全長タンパク質である。ATF2は、大腸菌内で発現したヒトATF2のアミノ酸19〜96を含むGST融合タンパク質である。すべてのタンパク質を等分し、そして−80℃にて保存する。
【0192】
6ngのp38αタンパク質、12ngのp38βタンパク質、1.5ngのp38γまたは0.4ngのJNK2α2と共に25mM HEPES、pH7.5、10mM MgCl、2mM DTT、20mM β−グリセロリン酸、0.1mM NaVO、40μMのATPおよび1.25μMのATF2を含むアッセイ緩衝液を使用して、p38MAPキナーゼアッセイを実施する。化合物をDMSOに連続して希釈し、各濃度の2μLの試験化合物を使用する。ビヒクル対照には、DMSOのみを投与する。
【0193】
キナーゼ緩衝液(25mM HEPES、pH7.5、10mM MgCl、2mM DTT、20mM β−グリセロリン酸、および0.1mM NaVO)中で20μLの酵素により、室温にて15分間試験化合物をプレインキュベートする。30μLの基質溶液の添加によって反応を開始して、キナーゼ緩衝液中で終濃度が40μMのATPおよび1.25μMのATF2を生成する。前記反応物を30分間37℃にてインキュベートし、そして18μLの200mM EDTAを添加して中止する。ELISA法を使用してThr69におけるATF2のリン酸化を測定する。高結合96ウェルプレートに、37℃にて1時間、50μLのキナーゼ反応物をコーティングする。コーティングしたプレートを200μLの洗浄緩衝液(25mMトリスHCl、pH8.3、192mMグリシン、0.1%SDSおよび0.05%Tween−20)で3回洗浄する。次に前記プレートをSuperBlock in TBS(Pierce、37535)で3回洗浄する。遮断後、プレートを50μLのウサギ抗−ホスホ−ATF2抗体(Cell Signaling、9221L、1:500)により37℃にて30分間インキュベートする。
【0194】
プレートを洗浄緩衝液で3回洗浄した後、50μLのHRP−共役ヤギ抗ウサギ抗体(Cell Signaling、7074、1:500)により37℃にて30分間インキュベートする。次にプレートを洗浄緩衝液で3回洗浄した後、50μLのUltra TMB−ELISA(Pierce、34028)により室温にて8分間インキュベートする。最後に、50μLのリン酸(1M)を添加して反応を停止し、そして450nmにおけるプレートの吸光度をSpectraMax250プレートリーダーで読み取る。
【0195】
前記化合物は、このインビトロアッセイにおいてATF2のリン酸化を阻害する。好ましい化合物は、約100μM未満、好ましくは約1μM未満のIC50値を示す。
【0196】
(実施例2)
インビボでリポポリサッカライド(LPS)によって刺激されるTHP−1細胞からのTNFα放出を阻害する能力に関して化合物をスクリーニングする。このインビトロアッセイにおいてTNFα放出を阻害する化合物の能力は、p38活性およびTNFαの阻害と相関しており、そのため潜在的なインビボの治療活性の指標である(Lee J.C.,et al.,1993 Ann.N.Y.Acad.Sci.696:149−170;および1994 Nature 372:739−746)。
【0197】
10%ウシ胎児血清と1%ペニシリン/ストレプトマイシンと50μM β−メルカプトエタノールとを補充した4.5g/Lのグルコースを含有するRPMI1640培地(MediaTech[米国バージニア州ハーンドン])中で、ATCC(TTB202)製のTHP−I細胞を37℃、5%COで維持する。
【0198】
最初に1%のDMSO(v/v)を含むRPMI培地に試験化合物を溶解する。次に、後のすべての希釈剤用に化合物をRPMI培地に連続して希釈する。アッセイを無菌条件下で実施する。細胞が6〜8×10個/mLの培養密度のTHP−1細胞を採集して、細胞が10個/mLのRPMI培地中で再懸濁する。100μLの試験化合物を含む100μLの再懸濁された細胞を各ウェルに添加する。試験化合物を2倍の終濃度で調製する。DMSO終濃度は0.5%(v/v)に過ぎない。37℃、5%COで60分間化合物により細胞をプレインキュベートした後、リポポリサッカライド(LPS)(Sigma L−2880、4mg/mLのPBS中のストック)で刺激する。各ウェルのLPS終濃度は、TNFαおよびIL−1β放出についてそれぞれ10または30μg/mLである。刺激さない対照細胞懸濁液には、PBSビヒクルのみを投与する。TNFαおよびIL−1β放出について、それぞれ細胞混合物を18または48時間インキュベートする。150μLの上澄液を採取して新品のプレートへ移し、さらなる分析まで−20℃にて保存する。TNFαおよびIL−1βのレベルを、ELISAキットを使用して測定する。ルミネセンスをプレートリーダーとして使用する。分析を非線形回帰によって実施し、用量応答曲線を作成する。算出されたIC50値は、TNFαまたはIL−1βのレベルを50%低下させる試験化合物の濃度である。
【0199】
化合物は、このインビトロアッセイにおいてTNFα、IL−1βまたはTNFαとIL−1βの両方の放出を阻害する。好ましい化合物は、約100μM未満、好ましくは約1μM未満のTNFαおよび/またはIL−1βのIC50値を示す。
【0200】
(実施例3)
インビボでリポポリサッカライド(LPS)によって刺激される一次的なヒト末梢血単核細胞(PBMC)からのTNFα放出を阻害する能力に関して化合物をスクリーニングする。このインビトロアッセイにおいてTNFα放出を阻害する化合物の能力は、p38活性の阻害と相関しており、そのため潜在的なインビボの治療活性の指標である(2002 Osteoarthritis & Cartilage 10:961−967;およびLaufer,S.A. and Wagner,G.K.2002 J.Med.Chem.45:2733−2740)。
【0201】
3〜8人の個々の供血者のプール血清からのFicoll−HyPaque密度勾配による分画遠心分離によって、ヒト末梢血単核細胞(PBMC)を分離する。分離したPBMCは、約10%のCD−14陽性単球、90%のリンパ球および1%未満の顆粒球および血小板を含有する。PBMC(106/mL)は、ポリスチレンプレートで培養され、GIBCO(登録商標)無血清RPM1培地(Invitrogen[米国カリフォルニア州カールズバッド])中37℃にて24時間、繰り返し、連続希釈で試験化合物の存在および非存在下においてリポポリサッカライド(LPS;50ng/mL;Sigma[米国ミズーリ州セントルイス])により刺激される。細胞の上澄液のTNFαレベルを、商業的に入手可能なキット(MDS Panlabs #309700)を使用してELISAによって測定する。
【0202】
好ましい化合物は、約100μM未満、好ましくは約1μM未満のIC50値でこのアッセイにおけるTNFαの放出を阻害する。
【0203】
(実施例4)
インビボ動物モデルにおけるTNFαの放出を阻害する能力に関して化合物をスクリーニングする(例えば、Griswold D.E.,et al.,1993 Drugs Exp.Clin.Res.19:243−248;Badger,A.M.,et al.,1996 J.Pharmacol.Exp.Ther.279:1453−1461;Dong,C.,et al.,2002 Annu.Rev.Immunol.20:55−72(およびその中の引用文献);Ono,K. and Han,J.,et al.,2000 Cellular Signalling 12:1−13(およびその中の引用文献);およびGriffiths,J.B.,et al.,1999 Curr.Rheutmatol.Rep.1:139−148を参照)。
【0204】
いかなる特定の理論にも拘束されることなく、このモデルにおけるTNFαの阻害は、前記化合物によるp38MAPキナーゼの抑制に起因すると考えられる。
【0205】
雄性のSprague−Dawleyラット(0.2〜0.35kg)を無作為に6群以上に分け、点滴または大量瞬時注射によって静脈内投与するか、もしくは各場合において適切な剤形における試験化合物を経口投与する。点滴または大量瞬時注射の終了の30分後、および経口投与の1〜2時間後、リポポリサッカライド大腸菌/0127:B8(0.8mg/kg)を静脈内投与する。LPSの投与の1.5時間後、血液試料を採集する。血清TNFαのレベルを、Biosource(KRC3011C)製のELISAキットを使用して測定し、ビヒクル投与対照と比較する。
【0206】
好ましい化合物は、このインビボアッセイのTNFαの放出を阻害する。好ましい化合物は、500mg/kg未満、好ましくは400mg/kg未満、好ましくは200mg/kg未満、好ましくは100mg/kg未満、より好ましくは50mg/kg未満、より好ましくは40mg/kg未満、より好ましくは30mg/kg未満、より好ましくは20mg/kg未満、より好ましくは10mg/kg未満のED50の値を示す。
【0207】
化合物によってp38の阻害のIC50を決定する方法には、上記のp38 MAPKの下流基質のいずれかの定量的検出を可能にする当該技術分野で既知のいかなる方法も含まれる。そのため、これらの方法としては、別々または遺伝子アレイのいずれかでp38によって調節されることが知られている遺伝子の発現の検出が含まれるが、これに限定されない。
【0208】
(実施例5)
キナーゼアッセイ
P38キナーゼアイソフォームP38γおよびP38αの活性は、32P−γ−ATPの存在下におけるATF−2のリン酸化によって決定される。阻害剤の有無におけるATF−2への32Pの組込みが決定される。この生化学アッセイにおいてP38γおよびP38αキナーゼ活性を阻害することに関して、本明細書に記載の化合物を試験する。水またはDMSOに前記化合物を可溶化し、希釈剤用およびビヒクル対照として適切な溶媒を使用して0〜10mMの種々の濃度で試験する。酵素P38γおよびP38αは、活性化および精製された組換えタンパク質として得られる(Upstate[米国バージニア州シャーロットビル])。最終反応で活性化酵素を24.8nMで使用する。前記酵素を希釈した後、以下の緩衝液中で反応させる(1M HEPES、pH7.4、500mM DTT、1%Triton X−100および10mg/mL BSA)。2倍の原液として調製される以下の溶液中で反応を行い(1M HEPES、pH7.4、500mM DTTおよび1%Triton X−100)、前記反応に非放射性ATPを6.25μM ATP(Cell Signaling、[米国マサチューセッツ州ビバリー])で供する。ATF−2のリン酸化を判定するために、7.5μMの濃度で3000Ci/mmolの32P−γ−ATPを各反応物に添加する。キナーゼ基質として、ATF−2(Cell Signaling[米国マサチューセッツ州ビバリー])を3μMで使用する。酵素反応を起こす際の第一段階として、活性化されたキナーゼおよび阻害剤または適切なビヒクル対照を反応緩衝液に添加し、室温にて30分間インキュベートする。キナーゼ反応は、ATF−2およびATP混合物の添加によって開始される。各反応の最終容量は20μLであり、そして室温にて30分間実施する。30分間インキュベートした後、80μLのレムリバッファー(Laemmlie buffer)を添加する。その後、還元条件下でSDS−Page(BioRad[米国カリフォルニア州ハーキュリーズ])上で前記反応物の20%を分離する。前記電気泳動法の後、ゲルを一晩中室温にて32P−増感スクリーンに曝露させ、そしてホスホイメージャー(phosphoimager)(Storm System(Amersham Biosciences[米国ニュージャージー州ピスカタウェイ])を使用して解析する。バックグラウンド補正後、得られるシグナルを定量化し、0%阻害としてビヒクル対照と共に阻害されないキナーゼ活性を使用して阻害率として算出する。種々の阻害剤濃度がある場合には、キナーゼ活性をKaleidagraph(Synergy Software[米国ペンシルベニア州レディング])を使用してプロットし、化合物および試験されたP38キナーゼ毎にEC50を決定する。
【0209】
TNFα誘導の阻害
ATCCによって推奨される通りの標準的な組織培養条件下でTHP−1(ATCC[米国メリーランド州ロックビル])を発育させる。実験の18時間前に1ウェル当たり50万個の細胞の密度で、1%血清と0.25mL培養容量とを含む標準的な培地において、96ウェルフォーマットで細胞を平板培養した。化合物を各ウェルに3回ずつ添加し、そして適切な溶媒対照を各アッセイに使用する。1μM/mLのP38阻害剤SB203850(Upstate[米国マサチューセッツ州ウォルサム])を各アッセイにおける陽性対照として使用する。TNFαの発現の誘導のために、化合物添加30分後に1μg/mLのLPSを各ウェルに添加する。組織培養条件下で4時間インキュベートした後、遠心分離(10分、1000rpm、ベックマン卓上型遠心機)細胞を沈殿させ、細胞のない上澄液の一部を採集して、TNFα特異的ELISA(R&D Systems[米国ミネソタ州ミネアポリス])において定量化するための10倍の希釈剤に使用する。TNFαELISAについては、製造業者によって定められる使用法に従って実施する。TNFαは、pg/mLにおいて検出され、溶媒対照におけるTNFα発現に対して標準化される部分的な活性としてプロットされる。
【0210】
細胞に基づくアッセイにおける化合物毒性試験
細胞膜の崩壊の結果としてのLDHの放出は、細胞毒性の基準として適用される。LDHは、商業的に入手可能な診断キット(Roche Diagnostics、カタログ番号1644793)を使用してその酵素活性によって検出される。THP−1細胞は、その前の実験で誘導されたTNFα発現との一貫性を保つ細胞毒性の決定に使用される。TNFα誘導の阻害の試験について先述したように、1%血清および標準的組織培養の条件下で96ウェルフォーマットにおいて細胞を培養する。3回ずつ種々の濃度で化合物を添加する。適切な溶媒対照を各アッセイにおいて使用する。化合物添加後、標準的組織培養条件下で18時間細胞を培養する。このインキュベーション期間後、Triton−X−100(2%v/v)を未投与の細胞に添加することによって陽性対照を入れ、そして完全に細胞を溶解するためにさらに10分間インキュベートする。その後、遠心分離によって細胞を沈殿させ、上澄液の一部を抽出して、製造業者の説明書に従ってLDH酵素活性に関して解析する。100%細胞毒性としてのTriton−X−100溶解細胞に対して標準化されたパーセント細胞毒性としてデータを示す。
【0211】
(実施例6)
【0212】
【化21】

式(1)の化合物を直前に示す通りに合成する。市販の原料から得られるかもしくは既知の手法を介して調製されるR−置換3−アシルピリジン(化合物2)をメルカプト酢酸エチルのアニオンで反応させ、チエノ[2,3−b]ピリジン誘導体(化合物3)を形成する。化合物3をN−オキサイド(化合物4)に酸化し、それを無水酢酸による処理でピリジノン(化合物5)に変化させた後、加水分解を行う。酢酸銅の存在下において4−クロロフェニルボロン酸を使用する模式図1で示されるものなどの既知の手法を使用して化合物5をN−アリール化する。化合物1は、種類Iの化合物の例である。種類Iの他の化合物も同様に合成され得る。
【0213】
(実施例7)
【0214】
【化22】

式(9)の化合物を直前に示す通りに合成する。リチウムジイソプロピルアミドによる2−チオメチル−4−メチルピリミジンの脱プロトン化の後、適切なN,O−ジメチルヒドロキシアミド(化合物1)による処理を行うことにより、対応するケトン(化合物2)が得られる。後者は、酢酸中の亜硝酸ナトリウムによる反応によってα−オキシモケトン(oximoketone)(化合物3)に変化する。N−ベンジルオキシカルボニル(Cbz)−保護ピペリジン−4−カルバルデヒドによる化合物3の縮合によって、N−ヒドロキシイミダゾール(化合物4)が得られ、それを還元によりN−メチル−イミダゾール(化合物6)に形質転換して通常の条件下でイミダゾール中間体(化合物5)を形成した後、メチル化を行う。酸化を行ってスルホン(化合物7)を形成した後、メチルスルホニル基をアミンで置換してアミノピリミジン誘導体(化合物8)を提供する。酢酸中のHBrなどの標準条件下のピペリジン窒素の最終的脱保護によって、標的置換イミダゾール(化合物9)を提供する。化合物9は、種類IIの化合物の例である。種類IIの他の化合物も同様に合成され得る。
【0215】
(実施例8)
【0216】
【化23】

式(4)の化合物を、既知の方法によって直前に示す通りに合成する(J.Org.Chem.,62,17,5908−5919を参照)。ピナコロンのアニオンをシュウ酸エチルと反応させて5,5−ジメチル−2,4−ジオキソヘキサン酸(化合物1)のエチルエステルを得る。適切に置換されたヒドラジンによる化合物1の反応によって、ピラゾール(化合物2)が得られ、これは通常の手法によって標的化合物4に変化する。化合物4は、種類IIIの化合物の例である。種類IIIの他の化合物も同様に合成され得る。
【0217】
(実施例9)
【0218】
【化24】

式(4)の化合物を直前に示す通りに合成する。エタノールアンモニアによるエチル4−メチルチオメチルベンゾエートの処理によって調製されるベンズアミジン(化合物1)をα−クロロケトン(化合物2)と反応させて、イミダゾール(化合物3)を提供する。例えば図示されるような過硫酸カリウムによって標準条件下で中間体3を酸化した後に標的化合物4を得る。化合物4は、種類IVの化合物の例である。種類IVの他の化合物も同様に合成され得る。
【0219】
(実施例10)
p38αまたはp38γを標的とする短いヘアピンRNA(shRNA)の培養細胞への導入:MISSIONTM TRC shRNAレンチウイルス粒子をSigma Aldrich(米国ミズーリ州セントルイス)から得た。これらの自己不活性化の複製能力のないウイルス粒子を、U6プロモーターからshRNAを発現して感染細胞のピューロマイシン選択を可能にするように設計する。この研究において使用するshRNAは、ヒトp38γ(配列番号1〜4のコード領域を含むレンチウイルス粒子)、ヒトp38α(配列番号5〜8のコード領域を含むレンチウイルス粒子)を標的とするように設計される。第1の対照レンチウイルス粒子は、すべての既知のヒトおよびマウスの遺伝子に対して少なくとも5つの不適合を有し、いかなる既知のヒトやマウスの遺伝子を標的にしないshRNAをコードする。第2の対照レンチウイルス粒子は、shRNAを発現しない。緑色蛍光タンパク質(GFP)を発現するように設計された第3の対照レンチウイルス粒子を使用して感染状態を最も効果的にした。
【0220】
Lグルタミン酸塩と10%ウシ胎仔血清と重炭酸ナトリウム(1.5g/L)とペニシリン/ストレプトマイシンとが補充されたF12K培地(MediaTech[米国バージニア州ハーンドン])中で37℃および5%CO2でHFL1細胞(ATCC[米国メリーランド州ロックビル])を維持した。感染1日前に細胞を24ウェルプレートで平板培養し、感染時には約2/3の集密であった。感染のため、培地を除去し、0〜12μg/mLの臭化ヘキサジメトリン(Sigma Aldrich[米国ミズーリ州セントルイス])を含む新しい培地と取り替えた後、1〜5の感染多重度(MOI)でレンチウイルス粒子を添加した。24時間後、感染培地を除去し、新しい培地と取り替えた。感染後のすべての手順において、細胞は必要に応じて継代を行って5と完全な集密との間のストックを維持した。1〜3日間で感染後細胞を、非感染細胞のピューロマイシン感受性に基づいて定められた0.25〜1μg/mLの終濃度のピューロマイシン選択下で配置した。選択を5〜10日間維持し、非感染細胞の生育力の喪失だけでなくGFPを発現するように設計されたレンチウイルスでトランスフェクトされた細胞を観察することによって選択の経過を評価した。HFL1細胞を模擬感染(非ウイルス)させるか、あるいはピューロマイシン抵抗を与えて以下の内の1つを発現するように設計されたレンチウイルスで感染させた:shRNA標的ヒトp38α(配列番号5〜8)、shRNA標的ヒトp38γ(配列番号1〜4)、既知のヒトまたはマウスの遺伝子を標的にしないshRNA、何も発現しない(対照ウイルス)または緑色蛍光タンパク質。
【0221】
Lグルタミン酸塩と10%ウシ胎仔血清と重炭酸ナトリウム(1.5g/L)とペニシリン/ストレプトマイシンとが補充されたDMEM培地(MediaTech[米国バージニア州ハーンドン])中でNIH3T3細胞(ATCC[米国メリーランド州ロックビル])を維持した。細胞を感染させ、上記の通りにピューロマイシン選択に供した。NIH3T3細胞を模擬感染(非ウイルス)させるか、もしくはピューロマイシン抵抗を与えて以下の内の1つを発現するように設計されたレンチウイルスで感染させた:shRNA標的マウスp38α(配列番号5〜8)、shRNA標的マウスp38γ(配列番号1〜4)、既知のヒトまたはマウスの遺伝子を標的にしないshRNA、何も発現しない(対照ウイルス)または緑色蛍光タンパク質。
【0222】
(実施例11)
mRNAの単離、ならびに定量的PCRを使用したmRNAレベルの測定:製造業者の説明書に従ってRNaqueous 96 RNA単離キット(Ambion[米国テキサス州オースティン])を使用して、約1万5千〜15万個の細胞からRNAを得た。また、製造業者の説明書に従って、ランダム六量体プライマーを使用したTaqMan(登録商標)逆転写試薬(Applied Biosystems[米国ニュージャージー州ブランチバーグ])を使用して、RNAをcDNAに変化させた。上で得られたcDNAを使用するApplied Biosystems 7900 HT配列検出システム(Applied Biosystems[米国ニュージャージー州ブランチバーグ])、商業的に入手可能なプローブ・プライマーセット(TaqMan(登録商標)遺伝子発現アレイ、Applied Biosystems)およびTaqMan(登録商標) Universal PCR Master Mix(Applied Biosystems[米国ニュージャージー州ブランチバーグ])により、製造業者の説明書に従って、定量的PCR反応を3回ずつ実施した。ヒトグリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素(GAPDH;内在性コントロール)、ヒトp38αおよびヒトp38γを増幅するように設計されたプローブ/プライマーセットを使用して3枚のプレートをHFL1細胞について供した。マウスグリセルアルデヒド−3−リン酸脱水素酵素(GAPDH;内在性コントロール)、マウスp38αおよびマウスp38γを増幅するように設計されたプローブ/プライマーセットを使用して3枚のプレートをNIH3T3細胞について供した。データは、内在性コントロールとしてグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼを使用して入力RNAレベルを標準化するΔΔCt法を使用して解析された。サイクル閾値(Ct)を増幅プロットの幾何学的位相から得た。遺伝子発現の相対レベルは、以下の方程式を使用して決定された。
【0223】
ΔΔCt=(平均Ctanalyte GAPDH−平均Ctcontrol GAPDH)−(平均Ctanalyte P38−平均Ctcontrol p38
(式中、
平均Ctanalyte GAPDHは、GAPDHプローブ・プライマーセットによる被検体(レンチウイルス投与)細胞株に関する平均Ct値であり、
平均Ctcontrol GAPDHは、GAPDHプローブ・プライマーセットによる対照細胞(未投与)に関する平均Ct値であり、
平均Ctanalyte P38は、p38(αまたはγ)プローブ・プライマーセットによる被検体(レンチウイルス投与)細胞株に関する平均Ct値であり、
平均Ctcontrol p38とは、p38プローブ・プライマーセットによる対照細胞(未投与)に関する平均Ct値である)
GAPDH内在性対照を使用して入力RNAレベルを補正する際の未投与細胞と比較したレンチウイルス投与細胞の相対的p38mRNAレベルとして、データを報告する。選択されたshRNAの構成要素に関する観測されたp38mRNAレベルを、以下の実施例12の表1に示す。
【0224】
(実施例12)
コラーゲンレベルアッセイ:Lグルタミン酸塩と10%ウシ胎仔血清と重炭酸ナトリウム(1.5g/L)とペニシリン/ストレプトマイシンとが補充されたF12K培地(MediaTech[米国バージニア州ハーンドン])中で標準的HFL1細胞あるいはレンチウイルスに感染およびピューロマイシンで選択された細胞を37℃、5%COで発育させて集密させた。コラーゲンアッセイのために、2mL/ウェルの飢餓培地(Lグルタミン酸塩と10%ウシ胎仔血清と重炭酸ナトリウム(1.5g/L)とペニシリン/ストレプトマイシンとが補充されたF12K培地)において1ウェルにつき約6×10個の細胞の密度で細胞を6ウェルプレートに平板培養した。16〜20時間後、培地を除去し、20μg/mLのアスコルビン酸(EM Science[米国ニュージャージー州ギブスタウン])および10μMのL−プロリン(Calbiochem[米国カリフォルニア州ラホーヤ])で補充された新しい飢餓培地と取り替える。この培地変更の1時間後、5ng/mL(10ng/ウェル)のトランスフォーミング成長因子−β1(TGF−β;Chemicon/Millipore[米国マサチューセッツ州ビルリカ]またはSigma[米国ミズーリ州セントルイス])を細胞に投与した。TGF−βを添加して40〜48時間後、細胞培地を除去し、1.25%Triton X−100(Fisher[米国ニュージャージー州フェアローン])および完全プロテイナーゼ阻害剤カクテル(Roche[ドイツ マンハイム])で補充した250μLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中に細胞を溶解した。細胞スクレーパーまたはピペットチップを使用して細胞をプレートから剥がし、溶解物を−20℃にて凍結させた。
【0225】
NIH3T3細胞ならびにレンチウイルスに感染しかつピューロマイシンで選択されたNIH3T3細胞について、F12K培地をDMEM(Mediatech[米国バージニア州ハーンドン])に置き換えた以外は、同様の方法で投与した。DMEM培地には、上記のF12Kと同様にさらなる成分が補充された。
【0226】
得られた細胞を解凍して氷に移した。1.7mLのマイクロチューブ内で200μLの試料を等容量の0.5M酢酸と混合した。コラーゲン濃度については、製造業者のプロトコルの変形を使用して、Sircol Soluble Collagen Assay(Biocolor[英国北アイルランド ニュートンアビー])を使用して測定された。簡単に説明すると、1ミリリットルのSircol染料試薬を添加し、試料を30〜60分間振り混ぜた(時間の長さは実験におけるすべての試料について不変であった)。次に、卓上型小型遠心機で、約10,000×gで30分間前記試料を遠心分離した。ペレットから、ピペットチップで、ペレットの乱れを避けるよう注意して非結合性染料を除去した。前記試料をさらに4分間遠心分離し、ピペットチップでペレットから残留非結合性染料を慎重に除去した。次に200μLの製造業者のアルカリ試薬を添加し、析出物が溶解するまで前記試料を振り混ぜた。上記プロトコルにおけるコラーゲン標準(Biocolor[米国北アイルランド ニュートンアビー])の既知量を使用して標準曲線を作成した。100μLの標準または試料をクリア96ウェルプレートに添加し、μQuantスペクトロフォトメータ(Bio−Tek[米国バーモント州ウィヌースキ])を使用して540nmにおける試料吸光度(aborbance)を測定した。
【0227】
以下の表1ならびに図1および2から分かる通り、p38αまたはp38γの発現の低下はコラーゲンのレベルの低下をもたらし、p38αおよびp38γのレベルの上昇はコラーゲンのレベルの上昇をもたらした。したがって、これらのデータから、例えばp38γの阻害は、コラーゲンのレベルの低下をもたらし、そのため線維症の抑制をもたらし得ることが確認される。
【0228】
【表1】

(実施例13)
いくつかの化合物をp38αおよびp38γのMAPKアイソフォームの阻害について評価した。全体が参考として本明細書で援用される国際公開第2006/122154号の実施例5に記載されるアッセイを使用して、IC50値を決定した。結果を表2に記載する。
【0229】
【表2】

2−ピリドン窒素に結合したアリール基は、N−メチルピリジニウム部分である。
ブロモアリール基は、2−ピリドン環の5および6位に融合する。NC(算出されず)とは、定量化の上限を越え、そのため確実に割り当てるには余りに大きな値を指す。
【0230】
以上において本発明を明確にし、理解するため多少詳細に説明してきたが、本発明の真の適用範囲から逸脱することなく、形態および詳細の種々の変更が行われ得ることが、当業者に理解されるであろう。上で参照したすべての図、表、添付物、特許、特許出願および刊行物は、参考として本明細書で援用される。
【図面の簡単な説明】
【0231】
【図1】図1は、非誘導細胞内のコラーゲンの値を、その細胞に投与されるshRNAをコードする各種レンチウイルス粒子を含めた種々のレンチウイルス粒子の関数として示す。
【図2】図2は、TGF−βによって誘導される細胞内のコラーゲンの値を、その細胞に投与されるshRNAをコードする各種レンチウイルス粒子を含めた種々のレンチウイルス粒子の関数として示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

の化合物であって、
式中、Rが、H、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、必要に応じて置換されたC1−6アルキル、必要に応じて置換されたC3−7シクロアルキル、必要に応じて置換されたC4−10アルキルシクロアルキル、必要に応じて置換されたC2−6アルケニル、必要に応じて置換されたC1−6アルコキシ、必要に応じて置換されたCまたはC10アリール、必要に応じて置換されたピリジニル、必要に応じて置換されたピリミジニル、必要に応じて置換されたチエニル、必要に応じて置換されたフラニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたフェノキシ、必要に応じて置換されたチオフェノキシ、必要に応じて置換されたスルホンアミド、必要に応じて置換された尿素、必要に応じて置換されたチオ尿素、必要に応じて置換されたアミド、必要に応じて置換されたケト、必要に応じて置換されたカルボキシル、必要に応じて置換されたカルバミル、必要に応じて置換されたスルフィド、必要に応じて置換されたスルホキシド、必要に応じて置換されたスルホン、必要に応じて置換されたアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシヘテロシクリル、必要に応じて置換されたアルキルアミノ、必要に応じて置換されたアルキルカルボキシ、必要に応じて置換されたカルボニル、必要に応じて置換されたスピロ環式シクロアルキル、必要に応じて置換されたピラジニル、必要に応じて置換されたピリダジニル、必要に応じて置換されたピロリル、必要に応じて置換されたチオフェニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたイミダゾリル、必要に応じて置換されたイソオキサゾリル、必要に応じて置換されたピラゾリル、必要に応じて置換されたイソチアゾリル、必要に応じて置換されたナフチル、必要に応じて置換されたキノリニル、必要に応じて置換されたイソキノリニル、必要に応じて置換されたキノキサリニル、必要に応じて置換されたベンゾチアゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチオフェニル、必要に応じて置換されたベンゾフラニル、必要に応じて置換されたインドリルおよび必要に応じて置換されたベンゾイミダゾリルからなる群から選択される、
化合物。
【請求項2】
式:
【化2】

の化合物であって、
式中、Rが、H、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、必要に応じて置換されたC1−6アルキル、必要に応じて置換されたC3−7シクロアルキル、必要に応じて置換されたC4−10アルキルシクロアルキル、必要に応じて置換されたC2−6アルケニル、必要に応じて置換されたC1−6アルコキシ、必要に応じて置換されたCまたはC10アリール、必要に応じて置換されたピリジニル、必要に応じて置換されたピリミジニル、必要に応じて置換されたチエニル、必要に応じて置換されたフラニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたフェノキシ、必要に応じて置換されたチオフェノキシ、必要に応じて置換されたスルホンアミド、必要に応じて置換された尿素、必要に応じて置換されたチオ尿素、必要に応じて置換されたアミド、必要に応じて置換されたケト、必要に応じて置換されたカルボキシル、必要に応じて置換されたカルバミル、必要に応じて置換されたスルフィド、必要に応じて置換されたスルホキシド、必要に応じて置換されたスルホン、必要に応じて置換されたアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシヘテロシクリル、必要に応じて置換されたアルキルアミノ、必要に応じて置換されたアルキルカルボキシ、必要に応じて置換されたカルボニル、必要に応じて置換されたスピロ環式シクロアルキル、必要に応じて置換されたピラジニル、必要に応じて置換されたピリダジニル、必要に応じて置換されたピロリル、必要に応じて置換されたチオフェニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたイミダゾリル、必要に応じて置換されたイソオキサゾリル、必要に応じて置換されたピラゾリル、必要に応じて置換されたイソチアゾリル、必要に応じて置換されたナフチル、必要に応じて置換されたキノリニル、必要に応じて置換されたイソキノリニル、必要に応じて置換されたキノキサリニル、必要に応じて置換されたベンゾチアゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチオフェニル、必要に応じて置換されたベンゾフラニル、必要に応じて置換されたインドリルおよび必要に応じて置換されたベンゾイミダゾリルからなる群から選択される、
化合物。
【請求項3】
式:
【化3】

の化合物であって、
式中、RおよびRが、H、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、必要に応じて置換されたC1−6アルキル、必要に応じて置換されたC3−7シクロアルキル、必要に応じて置換されたC4−10アルキルシクロアルキル、必要に応じて置換されたC2−6アルケニル、必要に応じて置換されたC1−6アルコキシ、必要に応じて置換されたCまたはC10アリール、必要に応じて置換されたピリジニル、必要に応じて置換されたピリミジニル、必要に応じて置換されたチエニル、必要に応じて置換されたフラニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたフェノキシ、必要に応じて置換されたチオフェノキシ、必要に応じて置換されたスルホンアミド、必要に応じて置換された尿素、必要に応じて置換されたチオ尿素、必要に応じて置換されたアミド、必要に応じて置換されたケト、必要に応じて置換されたカルボキシル、必要に応じて置換されたカルバミル、必要に応じて置換されたスルフィド、必要に応じて置換されたスルホキシド、必要に応じて置換されたスルホン、必要に応じて置換されたアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシヘテロシクリル、必要に応じて置換されたアルキルアミノ、必要に応じて置換されたアルキルカルボキシ、必要に応じて置換されたカルボニル、必要に応じて置換されたスピロ環式シクロアルキル、必要に応じて置換されたピラジニル、必要に応じて置換されたピリダジニル、必要に応じて置換されたピロリル、必要に応じて置換されたチオフェニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたイミダゾリル、必要に応じて置換されたイソオキサゾリル、必要に応じて置換されたピラゾリル、必要に応じて置換されたイソチアゾリル、必要に応じて置換されたナフチル、必要に応じて置換されたキノリニル、必要に応じて置換されたイソキノリニル、必要に応じて置換されたキノキサリニル、必要に応じて置換されたベンゾチアゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチオフェニル、必要に応じて置換されたベンゾフラニル、必要に応じて置換されたインドリルおよび必要に応じて置換されたベンゾイミダゾリルからなる群からそれぞれ独立して選択され;
該化合物は、1−(5−tert−ブチル−2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[4−(2−モルホリン−4−イル−エトキシ)ナフタレン−1−イル]尿素(BIRB 796)ではない;
化合物。
【請求項4】
式:
【化4】

の化合物であって、
式中、RおよびRが、H、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、必要に応じて置換されたC1−6アルキル、必要に応じて置換されたC3−7シクロアルキル、必要に応じて置換されたC4−10アルキルシクロアルキル、必要に応じて置換されたC2−6アルケニル、必要に応じて置換されたC1−6アルコキシ、必要に応じて置換されたCまたはC10アリール、必要に応じて置換されたピリジニル、必要に応じて置換されたピリミジニル、必要に応じて置換されたチエニル、必要に応じて置換されたフラニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたフェノキシ、必要に応じて置換されたチオフェノキシ、必要に応じて置換されたスルホンアミド、必要に応じて置換された尿素、必要に応じて置換されたチオ尿素、必要に応じて置換されたアミド、必要に応じて置換されたケト、必要に応じて置換されたカルボキシル、必要に応じて置換されたカルバミル、必要に応じて置換されたスルフィド、必要に応じて置換されたスルホキシド、必要に応じて置換されたスルホン、必要に応じて置換されたアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシヘテロシクリル、必要に応じて置換されたアルキルアミノ、必要に応じて置換されたアルキルカルボキシ、必要に応じて置換されたカルボニル、必要に応じて置換されたスピロ環式シクロアルキル、必要に応じて置換されたピラジニル、必要に応じて置換されたピリダジニル、必要に応じて置換されたピロリル、必要に応じて置換されたチオフェニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたイミダゾリル、必要に応じて置換されたイソオキサゾリル、必要に応じて置換されたピラゾリル、必要に応じて置換されたイソチアゾリル、必要に応じて置換されたナフチル、必要に応じて置換されたキノリニル、必要に応じて置換されたイソキノリニル、必要に応じて置換されたキノキサリニル、必要に応じて置換されたベンゾチアゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチオフェニル、必要に応じて置換されたベンゾフラニル、必要に応じて置換されたインドリルおよび必要に応じて置換されたベンゾイミダゾリルからなる群からそれぞれ独立して選択され;
該化合物は、XがNである
【化5】

ではない;
化合物。
【請求項5】
式:
【化6】

の化合物であって、
式中、p38γに対する該化合物の結合の際に、Rが、p38γ Met109 スルフヒドリル部分から5Å以上かつ25Å以下離れて位置する基である、
化合物。
【請求項6】
が、H、ハロ、シアノ、ニトロ、ヒドロキシ、必要に応じて置換されたC1−6アルキル、必要に応じて置換されたC3−7シクロアルキル、必要に応じて置換されたC4−10アルキルシクロアルキル、必要に応じて置換されたC2−6アルケニル、必要に応じて置換されたC1−6アルコキシ、必要に応じて置換されたCまたはC10アリール、必要に応じて置換されたピリジニル、必要に応じて置換されたピリミジニル、必要に応じて置換されたチエニル、必要に応じて置換されたフラニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたフェノキシ、必要に応じて置換されたチオフェノキシ、必要に応じて置換されたスルホンアミド、必要に応じて置換された尿素、必要に応じて置換されたチオ尿素、必要に応じて置換されたアミド、必要に応じて置換されたケト、必要に応じて置換されたカルボキシル、必要に応じて置換されたカルバミル、必要に応じて置換されたスルフィド、必要に応じて置換されたスルホキシド、必要に応じて置換されたスルホン、必要に応じて置換されたアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシアミノ、必要に応じて置換されたアルコキシヘテロシクリル、必要に応じて置換されたアルキルアミノ、必要に応じて置換されたアルキルカルボキシ、必要に応じて置換されたカルボニル、必要に応じて置換されたスピロ環式シクロアルキル、必要に応じて置換されたピラジニル、必要に応じて置換されたピリダジニル、必要に応じて置換されたピロリル、必要に応じて置換されたチオフェニル、必要に応じて置換されたチアゾリル、必要に応じて置換されたオキサゾリル、必要に応じて置換されたイミダゾリル、必要に応じて置換されたイソオキサゾリル、必要に応じて置換されたピラゾリル、必要に応じて置換されたイソチアゾリル、必要に応じて置換されたナフチル、必要に応じて置換されたキノリニル、必要に応じて置換されたイソキノリニル、必要に応じて置換されたキノキサリニル、必要に応じて置換されたベンゾチアゾリル、必要に応じて置換されたベンゾチオフェニル、必要に応じて置換されたベンゾフラニル、必要に応じて置換されたインドリルおよび必要に応じて置換されたベンゾイミダゾリルからなる群から選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
個体における炎症性疾患または線維症疾患を処置または予防する方法であって、該方法が、請求項1に記載の化合物の有効量を該個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項8】
個体における炎症性疾患または線維症疾患を処置または予防する方法であって、該方法が、請求項2に記載の化合物の有効量を該個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項9】
個体における炎症性疾患または線維症疾患を処置または予防する方法であって、該方法が、請求項3に記載の化合物の有効量を該個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項10】
個体における炎症性疾患または線維症疾患を処置または予防する方法であって、該方法が、請求項4に記載の化合物の有効量を該個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項11】
個体における炎症性疾患または線維症疾患を処置または予防する方法であって、該方法が、請求項5に記載の化合物の有効量を該個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項12】
個体における炎症性疾患または線維症疾患を処置または予防する方法であって、該方法が、請求項6に記載の化合物の有効量を該個体に投与する工程を含む、方法。
【請求項13】
前記炎症性状態または前記線維症状態が、線維症、特発性肺繊維症、慢性閉塞性肺疾患、炎症性肺線維症、関節リウマチ;リウマチ様脊椎炎;変形性関節症;痛風;敗血症;敗血症性ショック;内毒素性ショック;グラム陰性敗血症;トキシックショック症候群;顔面筋疼痛症候群(MPS);細菌性赤痢;喘息;成人呼吸窮迫症候群;炎症性腸疾患;クローン病;乾癬;湿疹;潰瘍性大腸炎;糸球体腎炎;強皮症;慢性甲状腺炎;グレーブス病;オーモンド病;自己免疫性胃炎;重症筋無力症;自己免疫性溶血性貧血;自己免疫性好中球減少症;血小板減少症;膵線維症;慢性活動性肝炎;肝線維症;腎疾患;腎線維症;過敏性大腸症候群;発熱;再狭窄;大脳マラリア;脳卒中および虚血傷害;神経外傷;アルツハイマー病;ハンチントン病;パーキンソン病;急性疼痛および慢性疼痛;アレルギー;心肥大、慢性心不全;急性冠動脈症候群;悪液質;マラリア;ハンセン病;リーシュマニア症;ライム病;ライター症候群;急性滑膜炎;筋肉変性、滑液包炎;腱炎;腱鞘炎;ヘルニア様の、破裂性椎間板症候群または脱出性椎間板症候群;大理石骨病;血栓症;珪肺症;肺サルコイドーシス;骨吸収疾患;癌;多発性硬化症、狼瘡;線維筋痛;AIDS;帯状ヘルペスウイルス感染、単純ヘルペスウイルス感染;インフルエンザウイルス;重症急性呼吸器症候群(SARS);サイトメガロウイルス感染;および糖尿病からなる群から選択される、請求項7〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ストレス活性化プロテインキナーゼ(SAPK)系を調節する方法であって、
化合物にp38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)を接触させる工程;
を含み、
該化合物が、p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約500μMの範囲のIC50値を示し;そして
該化合物が示すp38α MAPKの阻害についてのIC50値が、該p38γ MAPKの阻害についての該IC50値よりも少なくとも2倍高い;
方法。
【請求項15】
前記化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50値を示す、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約100nM〜約500μMの範囲のIC50値を示す、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
ストレス活性化プロテインキナーゼ(SAPK)系を調節する方法であって、
化合物にp38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)を接触させる工程;
を含み、
該化合物が、p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約500μMの範囲のIC50値を示し;そして
該化合物が示すp38α MAPKの阻害についてのIC50値が、該p38γ MAPKの阻害についての該IC50値よりも少なくとも5倍高い;
方法。
【請求項18】
前記化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50値を示す、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約100nM〜約500μMの範囲のIC50値を示す、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
ストレス活性化プロテインキナーゼ(SAPK)系を調節する方法であって、
化合物にp38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)を接触させる工程;
を含み、
該化合物が、p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約500μMの範囲のIC50値を示し;そして
該化合物が示すp38α MAPKの阻害についてのIC50値が、該p38γ MAPKの阻害についての該IC50値よりも少なくとも10倍高い;
方法。
【請求項21】
前記化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50値を示す、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約100nM〜約500μMの範囲のIC50値を示す、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
ストレス活性化プロテインキナーゼ(SAPK)系を調節する方法であって、
化合物にp38マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)を接触させる工程;
を含み、
該化合物が、p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約500μMの範囲のIC50値を示し;そして
該化合物が、p38α MAPKの阻害について約10pM〜約1500μMの範囲のIC50値を示す;
方法。
【請求項24】
前記化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50値を示し;そして
該化合物が、前記p38α MAPKの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50値を示す;
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約100nM〜約500μMの範囲のIC50値を示し;そして
該化合物が、前記p38α MAPKの阻害について約100nM〜約1500μMの範囲のIC50値を示す;
請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記接触させる工程が、SAPKを調節する濃度で実施され、前記化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約50pM〜約1μMの範囲のIC50値を示す、請求項14〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記接触させる工程が、SAPKを調節する濃度で実施され、前記化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約50pM〜約200nMの範囲のIC50値を示す、請求項14〜25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
被験体に前記化合物を投与する工程をさらに含む、請求項14〜27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
被験体の疾患状態を処置または予防する方法であって、
炎症性状態または線維症状態の危険性があるかあるいはこのような状態を有する被験体を同定する工程;および
該炎症性状態または該線維症状態を処置または予防するのに有効な量の化合物を該被験体に投与する工程;
を含み、
該化合物が、p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約500μMの範囲のIC50を示し;そして
該化合物が示すp38α MAPKの阻害についてのIC50が、該p38γ MAPKの阻害についての該IC50よりも少なくとも2倍高い;
方法。
【請求項30】
前記化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50を示す、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約100nM〜約500μMの範囲のIC50を示す、請求項29に記載の方法。
【請求項32】
被験体の疾患状態を処置または予防する方法であって、
炎症性状態または線維症状態の危険性があるかあるいはこのような状態を有する被験体を同定する工程;および
該炎症性状態または該線維症状態を処置または予防するのに有効な量の化合物を該被験体に投与する工程;
を含み、
該化合物が、p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約500μMの範囲のIC50を示し;そして
該化合物が示すp38α MAPKの阻害についてのIC50が、該p38γ MAPKの阻害についての該IC50よりも少なくとも5倍高い;
方法。
【請求項33】
前記化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50を示す、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約100nM〜約500μMの範囲のIC50を示す、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
被験体の疾患状態を処置または予防する方法であって、
炎症性状態または線維症状態の危険性があるかあるいはこのような状態を有する被験体を同定する工程;および
該炎症性状態または該線維症状態を処置または予防するのに有効な量の化合物を該被験体に投与する工程;
を含み、
該化合物が、p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約500μMの範囲のIC50を示し;そして
該化合物が示すp38α MAPKの阻害についてのIC50が、該p38γ MAPKの阻害についての該IC50よりも少なくとも10倍高い;
方法。
【請求項36】
前記化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50を示す、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約100nM〜約500μMの範囲のIC50を示す、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記投与された化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約50pM〜約1μMの範囲のIC50を示す、請求項29〜37のいずれかに記載の方法。
【請求項39】
前記投与された化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約50pM〜約200nMの範囲のIC50を示す、請求項29〜37のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
薬学的に活性な化合物を同定する方法であって、
化合物のライブラリを提供する工程;
p38α MAPKの阻害について該ライブラリ由来の複数の化合物をアッセイする工程;および
p38γ MAPKの阻害について該ライブラリ由来の複数の化合物をアッセイする工程;および
該複数の化合物から少なくとも1種の化合物を選択する工程であって、該化合物が、該p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約500μMの範囲のIC50を示す、工程;
を含み、
該化合物が示す該p38α MAPKの阻害についてのIC50が、該p38γ MAPKの阻害についての該IC50よりも少なくとも10倍高い;
方法。
【請求項41】
前記少なくとも1種の化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50を示す、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも1種の化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約100nM〜約500μMの範囲のIC50を示す、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
薬学的に活性な化合物を同定する方法であって、
化合物のライブラリを提供する工程;
p38α MAPKの阻害について前記ライブラリ由来の複数の化合物をアッセイする工程;および
p38γ MAPKの阻害について前記ライブラリ由来の複数の化合物をアッセイする工程;および
該複数の化合物から少なくとも1種の化合物を選択する工程であって、該化合物が、該p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約500μMの範囲のIC50を示す、工程;
を含み、
該化合物が示す該p38α MAPKの阻害についてのIC50が、該p38γ MAPKの阻害についての該IC50よりも少なくとも5倍高い;
方法。
【請求項44】
前記少なくとも1種の化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50を示す、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記少なくとも1種の化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約100nM〜約500μMの範囲のIC50を示す、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
薬学的に活性な化合物を同定する方法であって、
化合物のライブラリを提供する工程;
p38α MAPKの阻害について該ライブラリ由来の複数の化合物をアッセイする工程;および
p38γ MAPKの阻害について該ライブラリ由来の複数の化合物をアッセイする工程;および
該複数の化合物から少なくとも1種の化合物を選択する工程であって、該化合物が、該p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約500μMの範囲のIC50を示す、工程;
を含み、
該化合物が示す該p38α MAPKの阻害についてのIC50が、該p38γ MAPKの阻害についての該IC50よりも少なくとも2倍高い;
方法。
【請求項47】
前記少なくとも1種の化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50を示す、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記少なくとも1種の化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約100nM〜約500μMの範囲のIC50を示す、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
薬学的に活性な化合物を同定する方法であって、
化合物のライブラリを提供する工程;
p38γ MAPKの阻害について該ライブラリ由来の複数の化合物をアッセイする工程;および
該複数の化合物から少なくとも1種の化合物を選択する工程であって、該化合物が、該p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約500μMの範囲のIC50を示す、工程;
を含み、
該化合物が示すp38α MAPKの阻害についてのIC50が、該p38γ MAPKの阻害についての該IC50よりも少なくとも10倍高い;
方法。
【請求項50】
前記少なくとも1種の化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50を示す、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記少なくとも1種の化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約100nM〜約500μMの範囲のIC50を示す、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
薬学的に活性な化合物を同定する方法であって、
化合物のライブラリを提供する工程;
p38γ MAPKの阻害について該ライブラリ由来の複数の化合物をアッセイする工程;および
該複数の化合物から少なくとも1種の化合物を選択する工程であって、該化合物が、該p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約500μMの範囲のIC50を示す、工程;
を含み、
該化合物が示すp38α MAPKの阻害についてのIC50が、該p38γ MAPKの阻害についての該IC50よりも少なくとも5倍高い;
方法。
【請求項53】
前記少なくとも1種の化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50を示す、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記少なくとも1種の化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約100nM〜約500μMの範囲のIC50を示す、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
薬学的に活性な化合物を同定する方法であって、
化合物のライブラリを提供する工程;
p38γ MAPKの阻害について該ライブラリ由来の複数の化合物をアッセイする工程;および
該複数の化合物から少なくとも1種の化合物を選択する工程であって、該化合物が、該p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約500μMの範囲のIC50を示す、工程;
を含み、
該化合物が示すp38α MAPKの阻害についてのIC50が、該p38γ MAPKの阻害についての該IC50よりも少なくとも2倍高い;
方法。
【請求項56】
前記少なくとも1種の化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50を示す、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記少なくとも1種の化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約100nM〜約500μMの範囲のIC50を示す、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
薬学的に活性な化合物を同定する方法であって、
化合物のライブラリを提供する工程;
p38α MAPKの阻害について該ライブラリ由来の複数の化合物をアッセイする工程;および
該複数の化合物から少なくとも1種の化合物を選択する工程であって、該化合物が、該p38α MAPKの阻害について約10pM〜約1500μMの範囲のIC50を示す、工程;
を含み、そして、
該化合物が示す該p38α MAPKの阻害についてのIC50が、p38γ MAPKの阻害についてのIC50よりも少なくとも10倍高い;
方法。
【請求項59】
前記少なくとも1種の化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50を示す、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記少なくとも1種の化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約100nM〜約1500μMの範囲のIC50を示す、請求項58に記載の方法。
【請求項61】
薬学的に活性な化合物を同定する方法であって、
化合物のライブラリを提供する工程;
p38α MAPKの阻害について該ライブラリ由来の複数の化合物をアッセイする工程;および
該複数の化合物から少なくとも1種の化合物を選択する工程であって、該化合物が、該p38α MAPKの阻害について約10pM〜約1500μMの範囲のIC50を示す、工程;
を含み、そして、
該化合物が示す該p38α MAPKの阻害についてのIC50が、p38γ MAPKの阻害についてのIC50よりも少なくとも5倍高い;
方法。
【請求項62】
前記少なくとも1種の化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50を示す、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記少なくとも1種の化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約100nM〜約1500μMの範囲のIC50を示す、請求項61に記載の方法。
【請求項64】
薬学的に活性な化合物を同定する方法であって、
化合物のライブラリを提供する工程;
p38α MAPKの阻害について該ライブラリ由来の複数の化合物をアッセイする工程;および
該複数の化合物から少なくとも1種の化合物を選択する工程であって、該化合物が、該p38α MAPKの阻害について約10pM〜約1500μMの範囲のIC50を示す、工程;
を含み、そして、
該化合物が示す該p38α MAPKの阻害についてのIC50が、p38γ MAPKの阻害についてのIC50よりも少なくとも2倍高い;
方法。
【請求項65】
前記少なくとも1種の化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約10pM〜約5μMの範囲のIC50を示す、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記少なくとも1種の化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約100nM〜約1500μMの範囲のIC50を示す、請求項64に記載の方法。
【請求項67】
接触させる工程が、SAPKを調節する濃度で実施され、接触する化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約50pM〜約1μMの範囲のIC50値を示す、請求項40〜66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
接触させる工程が、SAPKを調節する濃度で実施され、接触する化合物が、前記p38γ MAPKの阻害について約50pM〜約200nMの範囲のIC50値を示す、請求項40〜66のいずれかに記載の方法。
【請求項69】
前記選択された化合物の哺乳動物毒性を決定する工程をさらに含む、請求項40〜68のいずれかに記載の方法。
【請求項70】
試験被験体に前記選択された化合物を投与する工程をさらに含む、請求項40〜69のいずれかに記載の方法。
【請求項71】
前記試験被験体が、炎症性状態または線維症状態を有するかあるいはこのような状態の危険性がある、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記化合物が、
【化7−1】

【化7−2】

【化7−3】

およびピルフェニドンからなる群から選択されない、請求項14〜71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
a)請求項1または請求項2または請求項3または請求項4または請求項5または請求項6に記載の化合物;および
b)薬学的に許容されるキャリア;
を含む、薬学的組成物。
【請求項74】
本明細書に記載の疾患または状態を処置または予防する方法であって、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物の有効量を個体に投与する工程を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−517390(P2009−517390A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542451(P2008−542451)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/045287
【国際公開番号】WO2007/062167
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(502191619)インターミューン インコーポレイテッド (25)
【Fターム(参考)】