ストレス管理装置、ストレス管理方法及びストレス管理プログラム
【課題】利用者本人が、意識的に検査を受けなくとも、精神的ストレスのチェックを行うことができるストレス管理装置、ストレス管理方法及びストレス管理プログラムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明によるストレス管理装置は、入力した文章から、予め定められているネガティブな表現を検出することにより、当該文章の執筆者をメンタルケア対象者かどうか判定するネガティブ思考判定手段2を備えたことを特徴とする。
【解決手段】本発明によるストレス管理装置は、入力した文章から、予め定められているネガティブな表現を検出することにより、当該文章の執筆者をメンタルケア対象者かどうか判定するネガティブ思考判定手段2を備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の精神的ストレスをチェックするストレス管理装置、ストレス管理方法及びストレス管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鬱病に代表される精神疾患が社会問題化している。仕事や人間関係の悩みによって働く人の精神的ストレスが増加したことによる欠勤・休職・自殺が多発し、本人、家族及び企業に深刻なダメージを与えている。これに対して、薬物療法や心理カウンセリングなどによる対処策が提案・実施されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、ストレス診断機能によって利用者のストレス状態を評価し、リラクゼーション機能によって音楽や簡単な対話を用いたストレス軽減処置を施すことにより、深刻な高ストレス状態に至らないようにする方法が開示されている。また、カウンセリング受付機能によって専門家によるカウンセリング・サービスに結びつけることができる。これらの機能を情報処理装置によって提供することで、利用者が都合のよい時にストレス診断を受けたり、ストレスが増大している時期に簡便なストレス軽減処置を受けたり、さらには専門家のカウンセリングの申込みが容易に行なえる。
【0004】
また、特許文献1では、リラクゼーション機能の1つであるキャラクタ・ストレス代謝機能において、利用者が感情的内容(例えば「寂しい」)を入力すると、その感情的内容に対応する応答メッセージ(例えば「いつもそばで見ているよ」)がリラクゼーションファイル群に登録されていれば、その応答メッセージを利用者に提示するというストレス軽減の手段を開示している。
【0005】
また、特許文献2では、カメラを用いて受診者の顔画像を撮影し、複数の角度の顔画像から感情を表す特徴量を抽出することにより、鬱病などの精神疾患の状態を判定する方法を開示している。
【0006】
一方、精神的ストレスが主要な原因の1つと見なされている鬱病を改善するための心理療法として、認知療法または認知行動療法(Cognitive Behavioural Therapy、以下、CBTと記載することがある)がある。CBTの一つであるコラム法は、クライアント(受診者)が自ら体験した出来事やそれに対する思考を書き記し、その内容を使ってクライアントの思考修正を促す、CBTではメジャーな手法である。
【0007】
コラム法は、適切な手順に則って利用することによりクライアント本人のみでも実施できるため、高まる需要に対するCBTの専門医や心理カウンセラーの不足を補い、クライアントの受診コスト軽減にも役立つ。そのため、コラム法を解説した書籍や情報処理端末用のアプリケーションも提供されている。例えば、非特許文献1は、CBTの一般向け入門書であり、7ステップからなるコラム法を読者自ら実施できるようになっている。また、コラム法の学習と実施ができる会員制Webサイトとして、非特許文献2が開示されている。iPhone(登録商標)向けのアプリケーションソフトウェアである「i認知療法」も、コラム法をクライアント自身が手軽に実践できる。
【0008】
また、特許文献3には、リスク管理上有用な知識を抽出することを目的とし、高頻度情報を含む文書を抽出してフォルダに保存した後、残りの文書を集めて低頻度情報のフォルダに保存する機能を設け、その文章からネガティブ語およびモダリティ表現を検出することについて記載されている。
【0009】
また、特許文献4には、カウンセラーの負担の増加を招くことなく、相談者に対して適切な対応を行い、カウンセラーの質を高品質、等質にさせるために、システムが問いかけをする自動カウンセリングの方法について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−108674号公報
【特許文献2】特許第4697949号公報
【特許文献3】特開2004−178123号公報
【特許文献4】特開2002−373199号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】大野裕著「こころが晴れるノート―うつと不安の認知療法自習帳」創元社,2003年3月20日、p.39-41、p.68-69
【非特許文献2】“うつ・不安ネット”、[online]、[平成23年11月8日検索]、インターネット〈URL:http://www.cbtjp.net〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上に挙げたような一般的なストレス検査や対処の手段は、その利用者が意識的に検査を受ける必要がある。しかし、鬱病などの精神疾患は、本人が自覚しないうちに進行する場合も多いため、早期発見・対処のためには本人の意志に依らない検査機会を与えることが重要である。また、会社組織などで制度を設けて強制的に検査を受けさせる場合も、その頻度は年に1〜2回程度であり、早期発見・対処に十分とは言い難い。
【0013】
特許文献1に記載された方法では、ストレス診断を利用者本人の意志で受ける必要があり、その診断も気軽に実施できるような特段の工夫は開示されていない。実施例では40項目のYES/NO型質問に答える方法が示されており、これを習慣付けることは容易でない。前述したキャラクタ・ストレス代謝機能も、ストレスがあると判断された利用者に対して感情的内容の入力を受け付けるものであり、先にストレス診断を利用者本人の意志で受けなければならない。従って、鬱病の予防や未自覚な患者の早期発見には効果を発揮できない。
【0014】
特許文献2に記載されたカメラを用いた顔画像の解析による鬱病診断や、その他のセンサー機器を身に付けて日常的に診断する方法も考えうるが、機器の導入コストや生活スタイルへの制約が問題となる。
【0015】
コラム法を用いた一般的なCBTも、専門医などによる診察と同様にその利用動機がクライアント本人の意志か定期健診のような組織制度に委ねられているため、予防や患者の早期発見には効果を発揮し難い。また、標準的なコラム法は自動思考やその根拠、反論の記述を自ら行なう7ステップからなり、クライアントにとって高い頻度で実施するには時間的にも精神的にも負担が大きい。
【0016】
特許文献3には、リスク管理が具体的に何を行なうことなのか、ネガティブ語やモダリティ表現を用いて抽出した知識が具体的に何に用いられるのかが説明されていない。また、特定種類の人物を選出したり、その人物に対して何らかのケアや働きかけをするといった用途も記載されていない。
【0017】
特許文献4に記載された方法では、カウンセリングの対象者は自動で選出する手段は述べられていないので、利用者が自分の意思でカウンセリングを受ける必要がある。
【0018】
そこで、本発明は、利用者本人が意識的に検査を受けなくとも精神的ストレスのチェックを行うことができるストレス管理装置、ストレス管理方法及びストレス管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明によるストレス管理装置は、入力した文章から、予め定められているネガティブな表現を検出することにより、当該文章の執筆者をメンタルケア対象者かどうか判定するネガティブ思考判定手段を備えたことを特徴とする。
【0020】
本発明のストレス管理方法は、入力した文章から、予め定められているネガティブな表現を検出することにより、当該文章の執筆者をメンタルケア対象者かどうか判定することを特徴とする。
【0021】
本発明のストレス管理プログラムは、コンピュータに、入力した文章から、予め定められているネガティブな表現を検出することにより、当該文章の執筆者をメンタルケア対象者かどうか判定するネガティブ思考判定処理を実行させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、利用者本人が意識的に検査を受けなくとも、精神的ストレスのチェックを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態1におけるストレス管理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1におけるストレス管理装置のネガティブ表現辞書の具体例を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態1におけるストレス管理装置のネガティブ思考判定手段の構成例を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態1におけるストレス管理装置のネガティブ思考判定手段による処理の具体例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態1におけるストレス管理装置の対象属性付きネガティブ表現辞書の具体例を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態1におけるストレス管理装置のメンタルケア手段の構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態1におけるストレス管理装置のメンタルケア手段の動作を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態2におけるストレス管理装置の構成を示すプロック図である。
【図9】本発明の実施形態2におけるストレス管理装置のストレス状況集計手段の出力画面例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態1及び実施形態2におけるストレス管理装置のハードウェア構成例を説明する図である。
【図11】本発明のストレス管理装置の主要部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
実施形態1.
図1は、本発明の実施形態1におけるストレス管理装置の構成を示すブロック図である。本実施形態のストレス管理装置は、情報取得手段1と、ネガティブ思考判定手段2と、メンタルケア手段3とを含んでいる。
【0026】
情報取得手段1は、ストレス管理の対象範囲内の人々によって記述された文章を自動的に取得する。その実現方法としては、例えば、情報取得手段1が文章入力のためのユーザインタフェースを備え、ストレス管理装置を日記や掲示板、日報、週報などの入力用アプリケーションとして機能させる。また、例えば、Eメールなどのサーバーに情報取得手段1を接続し、配信されるEメールなどを収集することによって文章を取得してもよい。
【0027】
ネガティブ思考判定手段2は、情報取得手段1が取得した文章を入力し、その文章からネガティブな思考を表す記述を含んだものを識別する。ネガティブな思考を表す記述は、例えば後述するネガティブな表現の辞書を用いることで検出できる。
【0028】
メンタルケア手段3は、ネガティブ思考判定手段2によりネガティブな思考を表す記述が含まれる文章が検出された場合に、その文章の執筆者が精神的ストレスを抱えている状態にあると判断し、所定のメンタルケアの処置を実行する。
【0029】
図2は、本発明の実施形態1におけるストレス管理装置のネガティブ表現辞書の具体例を示す説明図である。利用者が入力した文章中に、ネガティブ表現辞書に登録されているいずれかのネガティブ表現(図2の例におけるいずれか1行分の文字列)が含まれていれば、その文章にはネガティブな思考を表す記述が含まれていると判断する。
【0030】
ネガティブ思考判定手段2の構成について具体例を用いて説明する。図3は、本発明の実施形態1におけるストレス管理装置のネガティブ思考判定手段の構成例を示す説明図である。図3に示すように、ネガティブ思考判定手段2は、例えば言語解析手段21と、ネガティブ表現検出手段22と、対象識別手段23とを備える。
【0031】
言語解析手段21は、文章を単語単位に分割(形態素解析)し、さらに文法的係り受け関係を判定(構文解析)する。
【0032】
ネガティブ表現検出手段22は、ネガティブ表現辞書を用いて文章からネガティブ表現を検出する。ただし、後段の対象識別手段23の処理のために、後述する図5に示すようなネガティブ表現辞書を用いる。
【0033】
対象識別手段23は、検出されたネガティブ表現の対象が何であるか、すなわち、否定的に捉えている対象が文章の執筆者自身か又は他の誰かということを、文法的係り受け関係とネガティブ判定辞書から識別する。図3に示したネガティブ思考判定手段2は、例えばネガティブ表現の対象が文章の執筆者自身である場合にのみ、ネガティブな思考をしていると判定する。
【0034】
ネガティブ思考判定手段2の動作について、具体例を用いて詳細に説明する。図4は、本発明の実施形態1におけるストレス管理装置のネガティブ思考判定手段2による処理の具体例を示す説明図である。また、図5は、本発明の実施形態1におけるストレス管理装置の対象属性付きネガティブ表現辞書の具体例を示す説明図である。まず、図4に示す文章T0が、情報取得手段1により取得される。言語解析手段21は、文章T0を単語に分割し、単語分割結果T1を得る。文章の単語単位への分割は、例えばWebサイト(http://mecab.sourceforge.net/)に開示されている形態素解析ソフトウェアMeCabを用いることで実現できる。
【0035】
言語解析手段21は、さらに単語分割結果T1の係り受け関係を解析し、係り受け判定結果T2を出力する。文章の単語分割結果からの係り受け関係の解析は、例えばWebサイト(http://code.google.com/p/cabocha/)に開示されている構文解析ソフトウェアCaboChaを用いることで実現できる。ネガティブ表現検出手段22は、係り受け判定結果T2に含まれる単語から図5に示すネガティブ表現辞書に登録されているネガティブ表現の文字列を検出する。
【0036】
図4に示す係り受け判定結果T2からは、図5に示したネガティブ表現辞書の「嫌になる」が含まれていることを検出でき、ネガティブ表現検出結果T3を得る。対象識別手段23は、検出されたネガティブ表現「嫌になる」の対象が何かを識別するため、図5のネガティブ表現辞書を参照する。図5のネガティブ表現辞書には、例えば「嫌になる」の対象が「(PRE:Xが)」で示されるXにより検出できると定義されている。つまり、「(PRE:Xが)」は、ネガティブ表現に係っている「Xが」(Xは変数)という記述がネガティブ表現の前(PRE)にある場合、Xに対応する語が当該ネガティブ表現の対象になることを表す。
【0037】
図4の例では、係り受け判定結果としてネガティブ表現「嫌になる」に「自分/が」が係っており、ネガティブ表現辞書で得た「Xが」のパターンに合致することから、対象識別手段23は、Xに対応する「自分」が対象であると判定する。対象識別手段23はさらに、ネガティブ表現の対象が当該文章の執筆者自身か否かを、「私」「僕」「俺」「自分」「自身」のいずれかに合致するか否かで判定する。本例では「自分」に合致するため、図4の例の「自分/が」と「嫌になる」の係り受け関係の組が、文章執筆者のネガティブ思考を表す記述であると判定できる。以上により、図4の例では、ネガティブ思考判定手段2は、文章T0にネガティブ思考を表す記述が含まれるとする判定結果(例えば“ネガティブ=YES”と文章T0)を出力する。
【0038】
メンタルケア手段3の構成及び動作について具体例を用いて説明する。図6は、本発明の実施形態1におけるストレス管理装置のメンタルケア手段3の構成例を示すブロック図である。図6に示すメンタルケア手段3は、認知療法対話手段31と、対話履歴記録手段32とを備えている。
【0039】
認知療法対話手段31は、認知行動療法(CBT)の一手法であるコラム法に基づき、ネガティブな思考を表す記述が含まれた文章の執筆者に対して所定の問いかけを行い、その問いかけに対する前記執筆者の回答の入力を受け付ける。問いかけと回答の入力は複数段階からなるものであってもよい。
【0040】
図7は、本発明の実施形態1におけるストレス管理装置のメンタルケア手段の動作を示す説明図である。具体的には、図7は、認知療法対話手段31の実行画面例を示している。図7において、ネガティブな思考を表す記述が含まれた文章D0が最初に表示され、次に文章D0に関する執筆者への問いかけ文D1が表示される。問いかけ文D1は、執筆者に対して文章D0について執筆者自身が抱いた考えを問う内容となっており、この問いかけ文D1に対して、執筆者は回答文D2を入力する。
【0041】
次に、認知療法対話手段31は、問いかけ文D3を表示し、これに対して執筆者が回答文D4を入力する。問いかけ文D3は、執筆者が入力した回答文D2について、執筆者自身による反論を問う内容となっている。このように、コラム法は対象者に自身の考えやそれに対する反論などを述べさせ、対象者の思考の偏りを修正させる。
【0042】
図6に示す対話履歴記録手段32は、認知療法対話手段31で提示した問いかけ文や執筆者からの回答文を記録し、必要に応じて当該執筆者が過去の対話履歴を参照できるようにする。対話履歴の参照画面は、例えば記録した問いかけ文と回答文を用いて図7に示したような対話時の画面をそのまま再現することで実現できる。
【0043】
なお、本実施形態のストレス管理装置は、メンタルケア手段3を必ずしも備えていなくてもよい。その場合、ストレス管理装置は、例えば外部のシステム又はカウンセラー等にネガティブ思考判定手段2から得られた情報を出力し、ストレス管理装置の外部でメンタルケアを行う。
【0044】
本実施形態によるストレス管理装置によれば、利用者がストレス検査を意識せず日常的な業務や生活の一環として書いた文章を参照することで、精神的ストレスの有無をチェックし、さらに精神的ストレスを抱えた人に対話的なメンタルケアを実施することができる。
【0045】
実施形態2.
次に、組織や集団に対しメンタルケア対策の必要性を判断するための情報を提供することができるストレス管理装置の例について、図面を参照して説明する。図8は、本発明の実施形態2におけるストレス管理装置の構成を示すプロック図である。本実施形態のストレス管理装置は、情報取得手段1、ネガティブ思考判定手段2、ストレス状況集計手段4及びメンタルケア手段3を備える。なお、図8に示す情報取得手段1、ネガティブ思考判定手段2及びメンタルケア手段3は、図1に示した実施形態1のものと同じであるため、説明を省略する。ストレス状況集計手段4は、ストレス状況記録手段41とストレス状況分析手段42とを備える。
【0046】
ストレス状況記録手段41は、例えば、所定の期間に情報取得手段1が取得し、ネガティブ思考判定手段2が入力した文章の総数と、各文章の執筆者の総数(異なる文章で同じ執筆者の場合の冗長性は除去)と、ネガティブ思考判定手段2でネガティブな思考を表す記述が含まれていると判断された文章の総数と、そのような文章の執筆者の総数(異なる文章で同じ執筆者の場合の冗長性は除去)とを記録する。
【0047】
ストレス状況分析手段42は、ストレス状況記録手段41によって記録されたデータを用いて集計を行ない、集計結果を出力する。例えば、所定の期間に取得した全文章の執筆者の総数に対して、ネガティブな思考を表す記述が含まれている全文章の執筆者の総数の割合を計算し、その結果を表示する。
【0048】
図9は、本発明の実施形態2におけるストレス管理装置のストレス状況分析手段42の出力画面例を示す図である。図9は、ストレス管理の対象範囲内のある組織において、2011年9月1日から2011年9月30日までの間に取得した全文章の執筆者の総数1392人に対し、ネガティブな思考を表す記述が含まれている全文章の執筆者、すなわち精神的ストレスを抱えていると判断されたメンタルケア対象者の割合が29%であったことを表している。
【0049】
執筆者が、ネガティブな思考を表す記述を含む文章を一度や二度書いたとしても、その執筆者が必ずしも精神的ストレスを抱えた状態にあるとは限らない。そこで、ストレス状況分析手段42は、例えば、所定の期間内に同じ執筆者が書いた複数の文章に、ネガティブな思考を表す記述が所定の割合以上(例えば50%以上)含まれる場合にのみ、その執筆者をカウントするようにしてもよい。
【0050】
そして、例えば上記組織の管理者が、ストレス状況分析手段42の出力情報に基づいて、その組織に対するメンタルケアを行うかどうかを判断する。
【0051】
なお、本実施形態のストレス管理装置は、実施形態1と同様に、メンタルケア手段3を必ずしも備えていなくてもよく、その場合例えば外部のシステム又はカウンセラー等にストレス状況分析手段42から得られる情報を出力し、外部でメンタルケアを行えばよい。
【0052】
本実施形態のストレス管理装置によれば、従業員や学生などの組織メンバーが、どの程度の割合で精神的ストレスを抱えている状態にあるのかを、当該組織の管理者が容易かつ継続的に把握できる。そのため、具体的なメンタルケアをタイムリーに適用できるようになる。
【0053】
次に、本発明の実施形態1及び実施形態2におけるストレス管理装置のハードウェア構成の具体例について説明する。図10は、本発明の実施形態1及び実施形態2におけるストレス管理装置のハードウェア構成例を説明する図である。図10に示すストレス管理装置Aは、CPU(Central Processing Unit)A1、主記憶部A2、出力部A3、入力部A4及び補助記憶部A6を少なくとも含む。また、ストレス管理装置Aは、通信部A5を備えていても良い。
【0054】
主記憶部A2は、例えばRAM(Random Access Memory)等のメインメモリであって、データの作業領域やデータの一時退避領域として用いられる。出力部A3は、例えば液晶ディスプレイ装置等の表示装置、又はプリンタ等の印刷装置であり、データを出力する機能を有する。入力部A4は、例えばキーボードやマウス等の入力デバイスであり、データを入力する機能を有する。また、ファイル読み込みによってデータ入力を行なう場合には、入力部A4は、外部記録媒体読取装置等であってもよい。補助記憶部A6は、例えばROM(Read Only Memory)やハードディスク装置等である。また、図10に示すように、ストレス管理装置Aにおいて、以上の各構成要素A1〜A6は、システムバスA7を介して相互に接続されている。
【0055】
また、補助記憶部A6は、図1又は図8に示した情報取得手段1、ネガティブ思考判定手段2、メンタルケア手段3及びストレス状況集計手段4をそれぞれ実現するプログラムを記憶している。さらに、補助記憶部A6は、実施形態1におけるメンタルケア手段3の対話履歴記録手段32が出力する対話履歴のデータ又は実施形態2におけるストレス状況集計手段4のストレス状況記録手段41が出力するストレス状況のデータを記憶する。
【0056】
情報取得手段1は、入力部A4または通信部A5を通じて文章を取得する。また、実施形態1におけるメンタルケア手段3の認知療法対話手段31は、出力部A3を通じてストレス管理装置Aの利用者に問いかけを行なう。また、実施形態2におけるストレス状況集計手段4のストレス状況分析手段42も、同様に出力部A3を通じてストレス管理装置Aの利用者に、図9に示したようなストレス状況の集計結果を提示する。
【0057】
なお、ストレス管理装置Aは、その内部に、図1又は図8に示したような機能を実現するプログラムを組み込んだLSI(Large Scale Integration)等のハードウェア部品からなる回路を実装することで、ハードウェアにより実現してもよい。また、図10に示したように、図1又は図8に示したような機能を提供するプログラムを、コンピュータのCPUA1に実行させることで、ソフトウェアにより実現してもよい。この場合、CPUA1は、補助記憶部A6に格納されているプログラムを、主記憶部A2にロードして実行し、ストレス管理装置Aの動作を制御することにより、上述した各機能をソフトウェアにより実現することができる。
【0058】
また、通信部A5は、周辺機器と接続され、データの送受信を行なう機能を有する。周辺機器の1つとして、図10に示す外部記憶装置Bが通信部A5によりネットワーク(情報通信ネットワーク)を介してストレス管理装置Aと接続され、外部記憶装置Bに格納された文章を情報取得手段1が取得してもよい。さらに、前述した対話履歴記録手段32が出力する対話履歴のデータや、ストレス状況記録手段41が出力するストレス状況のデータを外部記憶装置Bに格納してもよい。
【0059】
図11は、本発明のストレス管理装置の主要部を示すブロック図である。図11に示すように、ストレス管理装置Aは、入力した文章から、予め定められているネガティブな表現を検出することにより、当該文章の執筆者をメンタルケア対象者かどうか判定するネガティブ思考判定手段2を備えている。
【0060】
また、上記の各実施形態には、以下の(1)〜(5)に示すようなストレス管理装置も開示されている。
【0061】
(1)ストレス管理装置Aは、情報通信ネットワークを通じて、ストレス管理の対象範囲内の執筆者が入力した文章と、当該文章の執筆者を特定する情報とを自動的に取得し、ネガティブ思考判定手段(例えば、ネガティブ思考判定手段2)に出力する情報取得手段(例えば、情報取得手段1)を備える。
(2)ストレス管理装置Aにおいて、検出されたネガティブな表現を含んだ文章に応じた文章を(例えば、問いかけ文D1又は問いかけ文D3)を、メンタルケア対象者に対して提示するメンタルケア手段(例えば、メンタルケア手段3)を備えるように構成されていてもよい。
【0062】
(3)ストレス管理装置Aにおいて、ネガティブ思考判定手段は、入力した文章から検出したネガティブな表現の対象が、当該文章の執筆者自身である場合に、当該執筆者をメンタルケア対象者と判定するように構成されていてもよい。
【0063】
(4)ストレス管理装置Aにおいて、メンタルケア手段は、メンタルケア対象者に対して、ネガティブな表現を含む文章についてメンタルケア対象者自身が抱いた考えを問う質問(例えば、問いかけ文D1)と、その考えに対する反論を問う質問(例えば、問いかけ文D3)とを提示するように構成されていてもよい。
【0064】
(5)ストレス管理装置Aにおいて、ネガティブ思考判定手段が入力した文章の執筆者の総数に対する、ネガティブ思考判定手段がネガティブな表現と判定した文章の執筆者の総数の割合を出力するストレス状況集計手段(例えば、ストレス状況集計手段4)を備えるように構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明によれば、組織内のEメールやメッセージング・サービス、掲示板などの情報共有ツール、または日記の記入ツールや日報などの提出ツールと連動することにより、精神的ストレスにより鬱病に至る可能性がある人に対して認知療法に基づくセルフカウンセリングや管理者を通じた対策へと素早く誘導できる、アクティブなメンタルケア・サービスを提供可能になる。
【符号の説明】
【0066】
1 情報取得手段
2 ネガティブ思考判定手段
3 メンタルケア手段
4 ストレス状況集計手段
21 言語解析手段
22 ネガティブ表現検出手段
23 対象識別手段
31 認知療法対話手段
32 対話履歴記録手段
41 ストレス状況記録手段
42 ストレス状況分析手段
A ストレス管理装置
A1 CPU
A2 主記憶部
A3 出力部
A4 入力部
A5 通信部
A6 補助記憶部
A7 システムバス
B 外部記憶装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の精神的ストレスをチェックするストレス管理装置、ストレス管理方法及びストレス管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鬱病に代表される精神疾患が社会問題化している。仕事や人間関係の悩みによって働く人の精神的ストレスが増加したことによる欠勤・休職・自殺が多発し、本人、家族及び企業に深刻なダメージを与えている。これに対して、薬物療法や心理カウンセリングなどによる対処策が提案・実施されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、ストレス診断機能によって利用者のストレス状態を評価し、リラクゼーション機能によって音楽や簡単な対話を用いたストレス軽減処置を施すことにより、深刻な高ストレス状態に至らないようにする方法が開示されている。また、カウンセリング受付機能によって専門家によるカウンセリング・サービスに結びつけることができる。これらの機能を情報処理装置によって提供することで、利用者が都合のよい時にストレス診断を受けたり、ストレスが増大している時期に簡便なストレス軽減処置を受けたり、さらには専門家のカウンセリングの申込みが容易に行なえる。
【0004】
また、特許文献1では、リラクゼーション機能の1つであるキャラクタ・ストレス代謝機能において、利用者が感情的内容(例えば「寂しい」)を入力すると、その感情的内容に対応する応答メッセージ(例えば「いつもそばで見ているよ」)がリラクゼーションファイル群に登録されていれば、その応答メッセージを利用者に提示するというストレス軽減の手段を開示している。
【0005】
また、特許文献2では、カメラを用いて受診者の顔画像を撮影し、複数の角度の顔画像から感情を表す特徴量を抽出することにより、鬱病などの精神疾患の状態を判定する方法を開示している。
【0006】
一方、精神的ストレスが主要な原因の1つと見なされている鬱病を改善するための心理療法として、認知療法または認知行動療法(Cognitive Behavioural Therapy、以下、CBTと記載することがある)がある。CBTの一つであるコラム法は、クライアント(受診者)が自ら体験した出来事やそれに対する思考を書き記し、その内容を使ってクライアントの思考修正を促す、CBTではメジャーな手法である。
【0007】
コラム法は、適切な手順に則って利用することによりクライアント本人のみでも実施できるため、高まる需要に対するCBTの専門医や心理カウンセラーの不足を補い、クライアントの受診コスト軽減にも役立つ。そのため、コラム法を解説した書籍や情報処理端末用のアプリケーションも提供されている。例えば、非特許文献1は、CBTの一般向け入門書であり、7ステップからなるコラム法を読者自ら実施できるようになっている。また、コラム法の学習と実施ができる会員制Webサイトとして、非特許文献2が開示されている。iPhone(登録商標)向けのアプリケーションソフトウェアである「i認知療法」も、コラム法をクライアント自身が手軽に実践できる。
【0008】
また、特許文献3には、リスク管理上有用な知識を抽出することを目的とし、高頻度情報を含む文書を抽出してフォルダに保存した後、残りの文書を集めて低頻度情報のフォルダに保存する機能を設け、その文章からネガティブ語およびモダリティ表現を検出することについて記載されている。
【0009】
また、特許文献4には、カウンセラーの負担の増加を招くことなく、相談者に対して適切な対応を行い、カウンセラーの質を高品質、等質にさせるために、システムが問いかけをする自動カウンセリングの方法について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2003−108674号公報
【特許文献2】特許第4697949号公報
【特許文献3】特開2004−178123号公報
【特許文献4】特開2002−373199号公報
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】大野裕著「こころが晴れるノート―うつと不安の認知療法自習帳」創元社,2003年3月20日、p.39-41、p.68-69
【非特許文献2】“うつ・不安ネット”、[online]、[平成23年11月8日検索]、インターネット〈URL:http://www.cbtjp.net〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上に挙げたような一般的なストレス検査や対処の手段は、その利用者が意識的に検査を受ける必要がある。しかし、鬱病などの精神疾患は、本人が自覚しないうちに進行する場合も多いため、早期発見・対処のためには本人の意志に依らない検査機会を与えることが重要である。また、会社組織などで制度を設けて強制的に検査を受けさせる場合も、その頻度は年に1〜2回程度であり、早期発見・対処に十分とは言い難い。
【0013】
特許文献1に記載された方法では、ストレス診断を利用者本人の意志で受ける必要があり、その診断も気軽に実施できるような特段の工夫は開示されていない。実施例では40項目のYES/NO型質問に答える方法が示されており、これを習慣付けることは容易でない。前述したキャラクタ・ストレス代謝機能も、ストレスがあると判断された利用者に対して感情的内容の入力を受け付けるものであり、先にストレス診断を利用者本人の意志で受けなければならない。従って、鬱病の予防や未自覚な患者の早期発見には効果を発揮できない。
【0014】
特許文献2に記載されたカメラを用いた顔画像の解析による鬱病診断や、その他のセンサー機器を身に付けて日常的に診断する方法も考えうるが、機器の導入コストや生活スタイルへの制約が問題となる。
【0015】
コラム法を用いた一般的なCBTも、専門医などによる診察と同様にその利用動機がクライアント本人の意志か定期健診のような組織制度に委ねられているため、予防や患者の早期発見には効果を発揮し難い。また、標準的なコラム法は自動思考やその根拠、反論の記述を自ら行なう7ステップからなり、クライアントにとって高い頻度で実施するには時間的にも精神的にも負担が大きい。
【0016】
特許文献3には、リスク管理が具体的に何を行なうことなのか、ネガティブ語やモダリティ表現を用いて抽出した知識が具体的に何に用いられるのかが説明されていない。また、特定種類の人物を選出したり、その人物に対して何らかのケアや働きかけをするといった用途も記載されていない。
【0017】
特許文献4に記載された方法では、カウンセリングの対象者は自動で選出する手段は述べられていないので、利用者が自分の意思でカウンセリングを受ける必要がある。
【0018】
そこで、本発明は、利用者本人が意識的に検査を受けなくとも精神的ストレスのチェックを行うことができるストレス管理装置、ストレス管理方法及びストレス管理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明によるストレス管理装置は、入力した文章から、予め定められているネガティブな表現を検出することにより、当該文章の執筆者をメンタルケア対象者かどうか判定するネガティブ思考判定手段を備えたことを特徴とする。
【0020】
本発明のストレス管理方法は、入力した文章から、予め定められているネガティブな表現を検出することにより、当該文章の執筆者をメンタルケア対象者かどうか判定することを特徴とする。
【0021】
本発明のストレス管理プログラムは、コンピュータに、入力した文章から、予め定められているネガティブな表現を検出することにより、当該文章の執筆者をメンタルケア対象者かどうか判定するネガティブ思考判定処理を実行させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、利用者本人が意識的に検査を受けなくとも、精神的ストレスのチェックを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態1におけるストレス管理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態1におけるストレス管理装置のネガティブ表現辞書の具体例を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態1におけるストレス管理装置のネガティブ思考判定手段の構成例を示す説明図である。
【図4】本発明の実施形態1におけるストレス管理装置のネガティブ思考判定手段による処理の具体例を示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態1におけるストレス管理装置の対象属性付きネガティブ表現辞書の具体例を示す説明図である。
【図6】本発明の実施形態1におけるストレス管理装置のメンタルケア手段の構成例を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態1におけるストレス管理装置のメンタルケア手段の動作を示す説明図である。
【図8】本発明の実施形態2におけるストレス管理装置の構成を示すプロック図である。
【図9】本発明の実施形態2におけるストレス管理装置のストレス状況集計手段の出力画面例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態1及び実施形態2におけるストレス管理装置のハードウェア構成例を説明する図である。
【図11】本発明のストレス管理装置の主要部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
実施形態1.
図1は、本発明の実施形態1におけるストレス管理装置の構成を示すブロック図である。本実施形態のストレス管理装置は、情報取得手段1と、ネガティブ思考判定手段2と、メンタルケア手段3とを含んでいる。
【0026】
情報取得手段1は、ストレス管理の対象範囲内の人々によって記述された文章を自動的に取得する。その実現方法としては、例えば、情報取得手段1が文章入力のためのユーザインタフェースを備え、ストレス管理装置を日記や掲示板、日報、週報などの入力用アプリケーションとして機能させる。また、例えば、Eメールなどのサーバーに情報取得手段1を接続し、配信されるEメールなどを収集することによって文章を取得してもよい。
【0027】
ネガティブ思考判定手段2は、情報取得手段1が取得した文章を入力し、その文章からネガティブな思考を表す記述を含んだものを識別する。ネガティブな思考を表す記述は、例えば後述するネガティブな表現の辞書を用いることで検出できる。
【0028】
メンタルケア手段3は、ネガティブ思考判定手段2によりネガティブな思考を表す記述が含まれる文章が検出された場合に、その文章の執筆者が精神的ストレスを抱えている状態にあると判断し、所定のメンタルケアの処置を実行する。
【0029】
図2は、本発明の実施形態1におけるストレス管理装置のネガティブ表現辞書の具体例を示す説明図である。利用者が入力した文章中に、ネガティブ表現辞書に登録されているいずれかのネガティブ表現(図2の例におけるいずれか1行分の文字列)が含まれていれば、その文章にはネガティブな思考を表す記述が含まれていると判断する。
【0030】
ネガティブ思考判定手段2の構成について具体例を用いて説明する。図3は、本発明の実施形態1におけるストレス管理装置のネガティブ思考判定手段の構成例を示す説明図である。図3に示すように、ネガティブ思考判定手段2は、例えば言語解析手段21と、ネガティブ表現検出手段22と、対象識別手段23とを備える。
【0031】
言語解析手段21は、文章を単語単位に分割(形態素解析)し、さらに文法的係り受け関係を判定(構文解析)する。
【0032】
ネガティブ表現検出手段22は、ネガティブ表現辞書を用いて文章からネガティブ表現を検出する。ただし、後段の対象識別手段23の処理のために、後述する図5に示すようなネガティブ表現辞書を用いる。
【0033】
対象識別手段23は、検出されたネガティブ表現の対象が何であるか、すなわち、否定的に捉えている対象が文章の執筆者自身か又は他の誰かということを、文法的係り受け関係とネガティブ判定辞書から識別する。図3に示したネガティブ思考判定手段2は、例えばネガティブ表現の対象が文章の執筆者自身である場合にのみ、ネガティブな思考をしていると判定する。
【0034】
ネガティブ思考判定手段2の動作について、具体例を用いて詳細に説明する。図4は、本発明の実施形態1におけるストレス管理装置のネガティブ思考判定手段2による処理の具体例を示す説明図である。また、図5は、本発明の実施形態1におけるストレス管理装置の対象属性付きネガティブ表現辞書の具体例を示す説明図である。まず、図4に示す文章T0が、情報取得手段1により取得される。言語解析手段21は、文章T0を単語に分割し、単語分割結果T1を得る。文章の単語単位への分割は、例えばWebサイト(http://mecab.sourceforge.net/)に開示されている形態素解析ソフトウェアMeCabを用いることで実現できる。
【0035】
言語解析手段21は、さらに単語分割結果T1の係り受け関係を解析し、係り受け判定結果T2を出力する。文章の単語分割結果からの係り受け関係の解析は、例えばWebサイト(http://code.google.com/p/cabocha/)に開示されている構文解析ソフトウェアCaboChaを用いることで実現できる。ネガティブ表現検出手段22は、係り受け判定結果T2に含まれる単語から図5に示すネガティブ表現辞書に登録されているネガティブ表現の文字列を検出する。
【0036】
図4に示す係り受け判定結果T2からは、図5に示したネガティブ表現辞書の「嫌になる」が含まれていることを検出でき、ネガティブ表現検出結果T3を得る。対象識別手段23は、検出されたネガティブ表現「嫌になる」の対象が何かを識別するため、図5のネガティブ表現辞書を参照する。図5のネガティブ表現辞書には、例えば「嫌になる」の対象が「(PRE:Xが)」で示されるXにより検出できると定義されている。つまり、「(PRE:Xが)」は、ネガティブ表現に係っている「Xが」(Xは変数)という記述がネガティブ表現の前(PRE)にある場合、Xに対応する語が当該ネガティブ表現の対象になることを表す。
【0037】
図4の例では、係り受け判定結果としてネガティブ表現「嫌になる」に「自分/が」が係っており、ネガティブ表現辞書で得た「Xが」のパターンに合致することから、対象識別手段23は、Xに対応する「自分」が対象であると判定する。対象識別手段23はさらに、ネガティブ表現の対象が当該文章の執筆者自身か否かを、「私」「僕」「俺」「自分」「自身」のいずれかに合致するか否かで判定する。本例では「自分」に合致するため、図4の例の「自分/が」と「嫌になる」の係り受け関係の組が、文章執筆者のネガティブ思考を表す記述であると判定できる。以上により、図4の例では、ネガティブ思考判定手段2は、文章T0にネガティブ思考を表す記述が含まれるとする判定結果(例えば“ネガティブ=YES”と文章T0)を出力する。
【0038】
メンタルケア手段3の構成及び動作について具体例を用いて説明する。図6は、本発明の実施形態1におけるストレス管理装置のメンタルケア手段3の構成例を示すブロック図である。図6に示すメンタルケア手段3は、認知療法対話手段31と、対話履歴記録手段32とを備えている。
【0039】
認知療法対話手段31は、認知行動療法(CBT)の一手法であるコラム法に基づき、ネガティブな思考を表す記述が含まれた文章の執筆者に対して所定の問いかけを行い、その問いかけに対する前記執筆者の回答の入力を受け付ける。問いかけと回答の入力は複数段階からなるものであってもよい。
【0040】
図7は、本発明の実施形態1におけるストレス管理装置のメンタルケア手段の動作を示す説明図である。具体的には、図7は、認知療法対話手段31の実行画面例を示している。図7において、ネガティブな思考を表す記述が含まれた文章D0が最初に表示され、次に文章D0に関する執筆者への問いかけ文D1が表示される。問いかけ文D1は、執筆者に対して文章D0について執筆者自身が抱いた考えを問う内容となっており、この問いかけ文D1に対して、執筆者は回答文D2を入力する。
【0041】
次に、認知療法対話手段31は、問いかけ文D3を表示し、これに対して執筆者が回答文D4を入力する。問いかけ文D3は、執筆者が入力した回答文D2について、執筆者自身による反論を問う内容となっている。このように、コラム法は対象者に自身の考えやそれに対する反論などを述べさせ、対象者の思考の偏りを修正させる。
【0042】
図6に示す対話履歴記録手段32は、認知療法対話手段31で提示した問いかけ文や執筆者からの回答文を記録し、必要に応じて当該執筆者が過去の対話履歴を参照できるようにする。対話履歴の参照画面は、例えば記録した問いかけ文と回答文を用いて図7に示したような対話時の画面をそのまま再現することで実現できる。
【0043】
なお、本実施形態のストレス管理装置は、メンタルケア手段3を必ずしも備えていなくてもよい。その場合、ストレス管理装置は、例えば外部のシステム又はカウンセラー等にネガティブ思考判定手段2から得られた情報を出力し、ストレス管理装置の外部でメンタルケアを行う。
【0044】
本実施形態によるストレス管理装置によれば、利用者がストレス検査を意識せず日常的な業務や生活の一環として書いた文章を参照することで、精神的ストレスの有無をチェックし、さらに精神的ストレスを抱えた人に対話的なメンタルケアを実施することができる。
【0045】
実施形態2.
次に、組織や集団に対しメンタルケア対策の必要性を判断するための情報を提供することができるストレス管理装置の例について、図面を参照して説明する。図8は、本発明の実施形態2におけるストレス管理装置の構成を示すプロック図である。本実施形態のストレス管理装置は、情報取得手段1、ネガティブ思考判定手段2、ストレス状況集計手段4及びメンタルケア手段3を備える。なお、図8に示す情報取得手段1、ネガティブ思考判定手段2及びメンタルケア手段3は、図1に示した実施形態1のものと同じであるため、説明を省略する。ストレス状況集計手段4は、ストレス状況記録手段41とストレス状況分析手段42とを備える。
【0046】
ストレス状況記録手段41は、例えば、所定の期間に情報取得手段1が取得し、ネガティブ思考判定手段2が入力した文章の総数と、各文章の執筆者の総数(異なる文章で同じ執筆者の場合の冗長性は除去)と、ネガティブ思考判定手段2でネガティブな思考を表す記述が含まれていると判断された文章の総数と、そのような文章の執筆者の総数(異なる文章で同じ執筆者の場合の冗長性は除去)とを記録する。
【0047】
ストレス状況分析手段42は、ストレス状況記録手段41によって記録されたデータを用いて集計を行ない、集計結果を出力する。例えば、所定の期間に取得した全文章の執筆者の総数に対して、ネガティブな思考を表す記述が含まれている全文章の執筆者の総数の割合を計算し、その結果を表示する。
【0048】
図9は、本発明の実施形態2におけるストレス管理装置のストレス状況分析手段42の出力画面例を示す図である。図9は、ストレス管理の対象範囲内のある組織において、2011年9月1日から2011年9月30日までの間に取得した全文章の執筆者の総数1392人に対し、ネガティブな思考を表す記述が含まれている全文章の執筆者、すなわち精神的ストレスを抱えていると判断されたメンタルケア対象者の割合が29%であったことを表している。
【0049】
執筆者が、ネガティブな思考を表す記述を含む文章を一度や二度書いたとしても、その執筆者が必ずしも精神的ストレスを抱えた状態にあるとは限らない。そこで、ストレス状況分析手段42は、例えば、所定の期間内に同じ執筆者が書いた複数の文章に、ネガティブな思考を表す記述が所定の割合以上(例えば50%以上)含まれる場合にのみ、その執筆者をカウントするようにしてもよい。
【0050】
そして、例えば上記組織の管理者が、ストレス状況分析手段42の出力情報に基づいて、その組織に対するメンタルケアを行うかどうかを判断する。
【0051】
なお、本実施形態のストレス管理装置は、実施形態1と同様に、メンタルケア手段3を必ずしも備えていなくてもよく、その場合例えば外部のシステム又はカウンセラー等にストレス状況分析手段42から得られる情報を出力し、外部でメンタルケアを行えばよい。
【0052】
本実施形態のストレス管理装置によれば、従業員や学生などの組織メンバーが、どの程度の割合で精神的ストレスを抱えている状態にあるのかを、当該組織の管理者が容易かつ継続的に把握できる。そのため、具体的なメンタルケアをタイムリーに適用できるようになる。
【0053】
次に、本発明の実施形態1及び実施形態2におけるストレス管理装置のハードウェア構成の具体例について説明する。図10は、本発明の実施形態1及び実施形態2におけるストレス管理装置のハードウェア構成例を説明する図である。図10に示すストレス管理装置Aは、CPU(Central Processing Unit)A1、主記憶部A2、出力部A3、入力部A4及び補助記憶部A6を少なくとも含む。また、ストレス管理装置Aは、通信部A5を備えていても良い。
【0054】
主記憶部A2は、例えばRAM(Random Access Memory)等のメインメモリであって、データの作業領域やデータの一時退避領域として用いられる。出力部A3は、例えば液晶ディスプレイ装置等の表示装置、又はプリンタ等の印刷装置であり、データを出力する機能を有する。入力部A4は、例えばキーボードやマウス等の入力デバイスであり、データを入力する機能を有する。また、ファイル読み込みによってデータ入力を行なう場合には、入力部A4は、外部記録媒体読取装置等であってもよい。補助記憶部A6は、例えばROM(Read Only Memory)やハードディスク装置等である。また、図10に示すように、ストレス管理装置Aにおいて、以上の各構成要素A1〜A6は、システムバスA7を介して相互に接続されている。
【0055】
また、補助記憶部A6は、図1又は図8に示した情報取得手段1、ネガティブ思考判定手段2、メンタルケア手段3及びストレス状況集計手段4をそれぞれ実現するプログラムを記憶している。さらに、補助記憶部A6は、実施形態1におけるメンタルケア手段3の対話履歴記録手段32が出力する対話履歴のデータ又は実施形態2におけるストレス状況集計手段4のストレス状況記録手段41が出力するストレス状況のデータを記憶する。
【0056】
情報取得手段1は、入力部A4または通信部A5を通じて文章を取得する。また、実施形態1におけるメンタルケア手段3の認知療法対話手段31は、出力部A3を通じてストレス管理装置Aの利用者に問いかけを行なう。また、実施形態2におけるストレス状況集計手段4のストレス状況分析手段42も、同様に出力部A3を通じてストレス管理装置Aの利用者に、図9に示したようなストレス状況の集計結果を提示する。
【0057】
なお、ストレス管理装置Aは、その内部に、図1又は図8に示したような機能を実現するプログラムを組み込んだLSI(Large Scale Integration)等のハードウェア部品からなる回路を実装することで、ハードウェアにより実現してもよい。また、図10に示したように、図1又は図8に示したような機能を提供するプログラムを、コンピュータのCPUA1に実行させることで、ソフトウェアにより実現してもよい。この場合、CPUA1は、補助記憶部A6に格納されているプログラムを、主記憶部A2にロードして実行し、ストレス管理装置Aの動作を制御することにより、上述した各機能をソフトウェアにより実現することができる。
【0058】
また、通信部A5は、周辺機器と接続され、データの送受信を行なう機能を有する。周辺機器の1つとして、図10に示す外部記憶装置Bが通信部A5によりネットワーク(情報通信ネットワーク)を介してストレス管理装置Aと接続され、外部記憶装置Bに格納された文章を情報取得手段1が取得してもよい。さらに、前述した対話履歴記録手段32が出力する対話履歴のデータや、ストレス状況記録手段41が出力するストレス状況のデータを外部記憶装置Bに格納してもよい。
【0059】
図11は、本発明のストレス管理装置の主要部を示すブロック図である。図11に示すように、ストレス管理装置Aは、入力した文章から、予め定められているネガティブな表現を検出することにより、当該文章の執筆者をメンタルケア対象者かどうか判定するネガティブ思考判定手段2を備えている。
【0060】
また、上記の各実施形態には、以下の(1)〜(5)に示すようなストレス管理装置も開示されている。
【0061】
(1)ストレス管理装置Aは、情報通信ネットワークを通じて、ストレス管理の対象範囲内の執筆者が入力した文章と、当該文章の執筆者を特定する情報とを自動的に取得し、ネガティブ思考判定手段(例えば、ネガティブ思考判定手段2)に出力する情報取得手段(例えば、情報取得手段1)を備える。
(2)ストレス管理装置Aにおいて、検出されたネガティブな表現を含んだ文章に応じた文章を(例えば、問いかけ文D1又は問いかけ文D3)を、メンタルケア対象者に対して提示するメンタルケア手段(例えば、メンタルケア手段3)を備えるように構成されていてもよい。
【0062】
(3)ストレス管理装置Aにおいて、ネガティブ思考判定手段は、入力した文章から検出したネガティブな表現の対象が、当該文章の執筆者自身である場合に、当該執筆者をメンタルケア対象者と判定するように構成されていてもよい。
【0063】
(4)ストレス管理装置Aにおいて、メンタルケア手段は、メンタルケア対象者に対して、ネガティブな表現を含む文章についてメンタルケア対象者自身が抱いた考えを問う質問(例えば、問いかけ文D1)と、その考えに対する反論を問う質問(例えば、問いかけ文D3)とを提示するように構成されていてもよい。
【0064】
(5)ストレス管理装置Aにおいて、ネガティブ思考判定手段が入力した文章の執筆者の総数に対する、ネガティブ思考判定手段がネガティブな表現と判定した文章の執筆者の総数の割合を出力するストレス状況集計手段(例えば、ストレス状況集計手段4)を備えるように構成されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明によれば、組織内のEメールやメッセージング・サービス、掲示板などの情報共有ツール、または日記の記入ツールや日報などの提出ツールと連動することにより、精神的ストレスにより鬱病に至る可能性がある人に対して認知療法に基づくセルフカウンセリングや管理者を通じた対策へと素早く誘導できる、アクティブなメンタルケア・サービスを提供可能になる。
【符号の説明】
【0066】
1 情報取得手段
2 ネガティブ思考判定手段
3 メンタルケア手段
4 ストレス状況集計手段
21 言語解析手段
22 ネガティブ表現検出手段
23 対象識別手段
31 認知療法対話手段
32 対話履歴記録手段
41 ストレス状況記録手段
42 ストレス状況分析手段
A ストレス管理装置
A1 CPU
A2 主記憶部
A3 出力部
A4 入力部
A5 通信部
A6 補助記憶部
A7 システムバス
B 外部記憶装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力した文章から、予め定められているネガティブな表現を検出することにより、当該文章の執筆者をメンタルケア対象者かどうか判定するネガティブ思考判定手段を備えた
ことを特徴とするストレス管理装置。
【請求項2】
検出されたネガティブな表現を含んだ文章に応じた文章を、メンタルケア対象者に対して提示するメンタルケア手段を備えた
請求項1記載のストレス管理装置。
【請求項3】
情報通信ネットワークを通じて、ストレス管理の対象範囲内の執筆者が入力した文章と、当該文章の執筆者を特定する情報とを自動的に取得し、ネガティブ思考判定手段に出力する情報取得手段を備えた
請求項1又は請求項2記載のストレス管理装置。
【請求項4】
ネガティブ思考判定手段は、
入力した文章から検出したネガティブな表現の対象が、当該文章の執筆者自身である場合に、当該執筆者をメンタルケア対象者と判定する
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載のストレス管理装置。
【請求項5】
メンタルケア手段は、
メンタルケア対象者に対して、ネガティブな表現を含む文章についてメンタルケア対象者自身が抱いた考えを問う質問と、その考えに対する反論を問う質問とを提示する
請求項2記載のストレス管理装置。
【請求項6】
ネガティブ思考判定手段が入力した文章の執筆者の総数に対する、ネガティブ思考判定手段がネガティブな表現と判定した文章の執筆者の総数の割合を出力するストレス状況集計手段を備えた
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載のストレス管理装置。
【請求項7】
入力した文章から、予め定められているネガティブな表現を検出することにより、当該文章の執筆者をメンタルケア対象者かどうか判定する
ことを特徴とするストレス管理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
入力した文章から、予め定められているネガティブな表現を検出することにより、当該文章の執筆者をメンタルケア対象者かどうか判定するネガティブ思考判定処理
を実行させるためのストレス管理プログラム。
【請求項1】
入力した文章から、予め定められているネガティブな表現を検出することにより、当該文章の執筆者をメンタルケア対象者かどうか判定するネガティブ思考判定手段を備えた
ことを特徴とするストレス管理装置。
【請求項2】
検出されたネガティブな表現を含んだ文章に応じた文章を、メンタルケア対象者に対して提示するメンタルケア手段を備えた
請求項1記載のストレス管理装置。
【請求項3】
情報通信ネットワークを通じて、ストレス管理の対象範囲内の執筆者が入力した文章と、当該文章の執筆者を特定する情報とを自動的に取得し、ネガティブ思考判定手段に出力する情報取得手段を備えた
請求項1又は請求項2記載のストレス管理装置。
【請求項4】
ネガティブ思考判定手段は、
入力した文章から検出したネガティブな表現の対象が、当該文章の執筆者自身である場合に、当該執筆者をメンタルケア対象者と判定する
請求項1から請求項3のうちのいずれか1項に記載のストレス管理装置。
【請求項5】
メンタルケア手段は、
メンタルケア対象者に対して、ネガティブな表現を含む文章についてメンタルケア対象者自身が抱いた考えを問う質問と、その考えに対する反論を問う質問とを提示する
請求項2記載のストレス管理装置。
【請求項6】
ネガティブ思考判定手段が入力した文章の執筆者の総数に対する、ネガティブ思考判定手段がネガティブな表現と判定した文章の執筆者の総数の割合を出力するストレス状況集計手段を備えた
請求項1から請求項5のうちのいずれか1項に記載のストレス管理装置。
【請求項7】
入力した文章から、予め定められているネガティブな表現を検出することにより、当該文章の執筆者をメンタルケア対象者かどうか判定する
ことを特徴とするストレス管理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
入力した文章から、予め定められているネガティブな表現を検出することにより、当該文章の執筆者をメンタルケア対象者かどうか判定するネガティブ思考判定処理
を実行させるためのストレス管理プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−109656(P2013−109656A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255392(P2011−255392)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
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