説明

ストレージ装置の検査方法

【課題】ODDをはじめとするストレージ装置におけるSATAインタフェース部の物理層の検査に際して、検査するための動作モードであるBISTモードから外れて誤った測定値を得、或いは検査時間が増大する問題を解消する。
【解決手段】例えばLEDによる点灯表示、スレッドモータの回転による音や振動の発生により、ストレージ装置がBISTモードであることを操作者に知らせる。ストレージ装置が元来有する構成要素を利用することで、部品点数の増大を防ぐ。BISTモードの解除は、COMRESET信号のみで行うことにより、例えば光ディスクを排出するためのイジェクトスイッチが誤って押されたことによって、BISTモードが解除されることを防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はストレージ装置の検査方法に係り、特に測定の誤りを低減したストレージ装置の検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ODD(Optical Disc Drive)、HDD(Hard Disc Drive)をはじめとする情報データのストレージ装置においては、データ処理の高速化の要求に応えて、最近ではSATA(Serial Advanced Technology Attachment)規格に基づいてホスト装置との間のインタフェースを行うことが多い。
ストレージ装置を製作した際には、例えばSATAインタフェース部の物理層の動作を検査する必要がある。前記物理層の応答(コンプライアンス)テストを行うために、ストレージ装置は、BIST(Bilt - In Self Test)モードと呼ばれる検査モードを備えている。前記した検査を行う際には、ストレージ装置は、例えばSATAインタフェースを介して接続されたPC(Personal Computer)をはじめとするホスト装置からの指令によりBISTモードとされる。さらに、ストレージ装置は操作者によりSATAケーブルを外され、測定装置につなぎ代えられる。この際、ストレージ装置に電源を供給する電源ケーブルは接続されたままとする。その後、前記測定装置により所定の測定が行われる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記したBISTモードにおいては、例えばSATAインタフェース部における伝送路インピーダンス、信号の振幅、信号が含むジッタ(時間軸変動)の測定が行われる。
測定装置が信号の振幅やジッタを測定する際には、例えば、先ず所定の信号パターンをストレージ装置に送る。ストレージ装置のSATAインタフェース部は、タイミングを取り直して同じ信号パターンを測定装置に送り返す。或いは、前記信号パターンに関連した特定の信号パターンを測定装置に送り返す。測定装置は供給された信号パターンを表示し、或いはその振幅やジッタを実測する。
【0004】
しかしながら、実際に測定を行う際には、操作者が気付かない要因によりBISTモードが解除されることがあり、正しい測定値を得られない問題がある。BISTモードが誤って解除される原因には、例えば次のような事項がある。測定装置がストレージ装置に供給する信号パターンを切換える際、或いは測定を一次中断した際に、前記信号パターンに期待しない信号やノイズが発生することがあり、これが等価的にリセット信号として作用しBISTモードが解除されることがある。
【0005】
また、ストレージ装置に測定装置を接続する際、電源コネクタの緩みなどで電源の供給が途切れ、BISTモードが解除されることがある。さらには、ODDのようなストレージ装置においては、光ディスク記録媒体を取外すためのイジェクトスイッチを備えているが、測定中に操作者が誤ってイジェクトスイッチを押すと動作がリセットされ、BISTモードが解除される。
【0006】
これまでは、操作者が測定時の信号波形をモニタして異常のないことを確認するか、明らかに異常なデータを得た場合に測定装置が測定エラーを示すことにより、BISTモードが誤って解除されたことを知るようにしている。
【0007】
しかし、BISTモードが誤って解除された際には再度測定をする必要があるため、検査に要する時間が増大する問題がある。また、一見では誤りとは思えない正しそうな測定データを得た場合には、測定の誤りが見過ごされる危険がある。
本発明の目的は前記した問題に鑑み、測定の誤りを低減したストレージ装置の検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため本発明は、記録媒体に対して情報データを書込み読取りし、或いは記録媒体に書込まれた情報データを読取るストレージ装置の検査方法であって、
前記ストレージ装置に電源を投入する電源投入ステップと、前記ストレージ装置の動作モードを検査モードに設定するためのコマンドを受信するコマンド受信ステップと、該コマンド受信ステップが前記コマンドを受信した後に前記ストレージ装置の動作モードが検査モードであることを報知する検査モード報知ステップと、前記コマンド受信ステップが前記コマンドを受信した後に前記ストレージ装置の動作モードを検査モードに設定する検査モード設定ステップを有することを特徴としている。
【0009】
また本発明は前記したストレージ装置の検査方法において、前記ストレージ装置は点灯部を備え、前記検査モード報知ステップは、前記ストレージ装置の動作モードが検査モードであることを報知する際に、動作モードが検査モードではない場合と比較して異なる明るさ、または点滅周期で前記点灯部を点灯して報知することを特徴としている。
【0010】
また本発明は前記したストレージ装置の検査方法において、前記ストレージ装置は着脱可能な光ディスク記録媒体から光ピックアップにより情報データを読取る光ディスクドライブ装置であり、前記ストレージ装置が前記検査モード設定ステップにより検査モードに設定された際は、前記検査モード設定ステップは、前記光ディスク記録媒体を前記光ディスクドライブ装置から取外す指令を受けた場合においても、前記検査モードを維持することを特徴としている。
【0011】
また本発明は前記したストレージ装置の検査方法において、前記ストレージ装置が前記検査モード設定ステップにより検査モードに設定された際は、前記検査モード設定ステップは、前記ストレージ装置に対して電源を供給する際に前記ストレージ装置の動作を初期化する際に用いられるCOMRESET信号が供給された場合のみ、前記検査モードを解除することを特徴としている。
【0012】
また本発明は前記したストレージ装置の検査方法において、前記ストレージ装置が前記検査モード設定ステップにより検査モードに設定された際は、前記検査モード設定ステップは、前記ストレージ装置に対して前記電源が供給される間は、前記検査モードを維持することを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、測定の誤りを低減したストレージ装置の検査方法を提供でき、正しい検査結果を得るために要する時間を低減できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施例におけるストレージ装置の検査方法のフロー図である。
【図2】本発明の一実施例におけるストレージ装置のブロック図である。
【図3】本発明の一実施例におけるストレージ装置の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例につき図面を用いて説明する。まず、ストレージ装置の検査のための測定を行うBISTモードを設定し、また解除するフローについて述べる。
図1は、本発明の一実施例におけるストレージ装置の検査方法のフロー図である。
ステップS101で、例えばODDをはじめとする検査対象のストレージ装置に電源が投入される。電源は外部のホスト装置からストレージ装置に供給される。
【0016】
ステップS102で、ホスト装置とストレージ装置は、SATAの規格における所定の信号パターンの送受信を行って、互いに通信できる状態を作る。信号パターンの送受信方法の一例を述べる。まず、ステップS101でホスト装置からストレージ装置に電源が供給された後、ホスト装置はストレージ装置に対して、COMRESETと呼ばれる所定の第1の信号パターンを送信する。第1の信号パターンを受信したストレージ装置は、自身の動作モードをリセットして状態を初期化し、またホスト装置に対して第1の信号パターンと同様な所定の第2の信号パターンを送信する。
【0017】
第2の信号パターンを受信したホスト装置はストレージ装置に対して、第2の信号パターンとは異なる所定の第3の信号パターンを送信する。第3の信号パターンを受信したストレージ装置は、自身の内部回路が省電力モードであれば通常の電力モードに復帰させ、またホスト装置に対して第3の信号パターンを送り返す。ストレージ装置から送り返された第3の信号パターンを受信したホスト装置は、ストレージ装置に対して通信で用いる所定の同期信号を送信する。同期信号を受信したストレージ装置は、該信号を同期信号として用いて通信できることを確認して、ホスト装置に対して同期確認信号を送信する。
以上の手順を行った後に、ストレージ装置はホスト装置との間で互いに通信をできる状態となり、例えばホスト装置からの指令に応じて情報信号を記録再生することができ、また前記したBISTモードと呼ばれる検査のための動作モードを設定することができる。なお、ROM型のストレージ装置では情報信号の記録動作はなく、再生動作のみとなるが、本実施例はROM型のストレージ装置にも適用できる。
【0018】
ステップS103で、BISTモードを設定するための準備が開始される。まずストレージ装置はホスト装置から、検査モードを設定するよう指示するコマンド“BIST”を受信する。
ステップS104で、ストレージ装置はスタンバイ(ホスト装置からの指示待ち)モードへ移行し、内蔵する回路ブロックのうちSATAインタフェース部の物理層を検査するうえでは不要な回路ブロックの電源を切断する。この際、電源が切断される回路ブロックについては後に図2を用いて示すが、制御用マイコンの一部、SATAインタフェース部、及び表示部以外の回路ブロックの電源を切断すると良い。即ち、BISTモードにおいては、検査の対象となるSATAインタフェース部のほか、表示部の機能も有効とされる。
【0019】
従来の検査方法ではステップS104の後に、直ちにBISTモードが設定され検査のための測定が開始されていた。これに対して本実施例においては、次のステップS105が設けられていることに一つの特徴がある。
ステップS105で、ストレージ装置が有する例えばLED(Light Emitting Diode)をはじめとする表示部が通常よりも明るく点灯する、或いは点滅を繰返すなどして操作者にBISTモードであることを知らせるようにする。また、BISTモードを解除するためのリセットコマンドは、例えば前記したCOMRESETに制限する。これにより、例えばODDにおけるイジェクトスイッチが押されたことによる割込みではリセットをかけず、即ちBISTモードを解除しないようにする。
【0020】
BISTモードにおいては、例えばLEDを通常とは異なる方法で点灯させることにより、操作者はストレージ装置がBISTモードであることを知ることができる。これにより、前記したような期待しない信号、ノイズ、或いは電源の寸断が発生した際に動作モードがリセットされBISTモードが解除された場合においても、操作者は直ちにこれを知って不具合に対処することができるので、検査時間の増大を防ぐことができる。また、誤った測定データにより検査結果の判定を誤る危険をなくすことができるという効果がある。さらに、例えばマイコン111への割り込みを禁止すればイジェクトスイッチが押されてもBISTモードが解除されることはないため、誤ってBISTモードが解除される問題も解消できるという効果がある。
【0021】
以上述べたように、ステップS103からS105において、ストレージ装置をBISTモードに設定するための準備が行われる。
次いでステップS106で、ストレージ装置には検査モードであるBISTモードが設定され、SATAインタフェースの物理層に対する測定が開始される。なお、測定の開始に先立って操作者は、電源供給部以外のSATAインタフェース部の接続を、ホスト装置から測定装置へ変更する。
【0022】
従来の検査方法では、ステップS106の後は、前記したイジェクトスイッチが押されたことによる割込みをはじめとして、多くの割込みがあった際にはリセット動作を行い、BISTモードが解除されていた。これに対して本実施例においては、誤ってBISTモードが解除されないよう、次のステップS107およびS105が設けられていることにも一つの特徴がある。
【0023】
ステップS107でストレージ装置は、測定装置から例えば測定終了時に送信されるCOMRESET信号を受信したか否かを判定する。COMRESET信号を受信しない場合には(図中のNo)、そのままBISTモードを維持する。
COMRESET信号を受信した場合には(図中のYes)、ステップS108に移行して動作をリセットしBISTモードを解除する。即ち、ストレージ装置が有するファームウェアは、COMRESET信号を受信した際に必要な測定が終了したと判断してストレージ装置の動作状態を初期化する。例えば、前記したLEDの点灯方法を通常の状態に戻し、イジェクトスイッチによる割込みを有効にして、これが押された際にはリセットがかかるようにする。また、ステップS104で電源を切断された回路ブロックへの電源供給を再開する。
【0024】
これにより、ステップS109では検査のためのBISTモードが解除されており、通常モードでの動作、例えば情報データの記録再生動作を行うことができる。
なお、ステップS107において、リセットをかけるための信号をCOMRESET信号としたが、必ずしもこれに限定するものではない。前記したようなイジェクトスイッチが押されたことによるリセットなど、検査時にトラブルの原因となり易い事項が排除されていれば良い。例えば検査中に電源が切断された場合には、ステップS108に移行してリセット動作を行って良い。またBISTモードでは、COMRESET信号も含め全てのリセット信号を受付けないようにし、BISTモードを解除する際は電源の切断をした後、ステップS108に移行してリセット動作を行うことで解除しても良い。
【0025】
次に、以上で述べた検査方法について、ハードウェア構成との関係を明らかにする。
図2は、本発明の一実施例におけるストレージ装置のブロック図であり、ここではストレージ装置の一例としてODDを例にして示している。なお、1はODDの全体を示し、2は外部のホスト装置、または測定装置を示す。前記したように、ODD1のSATAインタフェース部の物理層を検査する際は、その過程で電源供給部を除き操作者がホスト装置から測定装置へのつなぎ代えを行う。
【0026】
記録媒体である光ディスク101は、例えばDVD、BDやCDのディスクである。装着された光ディスク101は、ディスクモータ(スピンドルモータ)105により所定の回転速度で回転駆動される。そのためのディスクモータ制御信号115は、DSP(Digital Signal Processor)109が含むサーボ部113で生成され、増幅器108で電力増幅されたうえでディスクモータ105に供給される。なお、サーボ部113が前記ディスクモータ制御信号115を生成するために、回転数検出回路106が設けられており、回転数検出回路106が発生するディスクモータ105の回転数を示す信号がDSP109に供給されている。
【0027】
光ピックアップ102は対物レンズ104を介して、レーザ光束を光ディスク101の記録面に照射し、データを記録または再生する。
光ピックアップ102は、スレッド機構に搭載されており、スレッドモータ103の回転に伴い、光ディスク101上の半径方向に移動して所定のトラック位置においてデータの記録再生を行う。このためのスレッドモータ制御信号118はサーボ部113で生成され、増幅器108で電力増幅されてスレッドモータ103に供給される。
また、対物レンズ104は電磁力を用いたトラッキングアクチュエータ119とフォーカスアクチュエータ120(図では煩雑化を避けるため、119と120は対物レンズ104を駆動する方向のみ示す)に搭載されている。
【0028】
トラッキングアクチュエータ119には、サーボ部113で生成され増幅器108で電力増幅されたトラッキングアクチュエータ制御信号116が供給され、これに基づき対物レンズ104は、レーザ光束が光ディスク101の所定の記録トラック上を正しくトレースするよう、光ディスク101に対する半径方向(トラッキング方向)の位置を微調整される。また、フォーカスアクチュエータ120には、サーボ部113で生成され増幅器108で電力増幅されたフォーカスアクチュエータ制御信号117が供給され、これに基づき対物レンズ104は、レーザ光束が光ディスク101の所定の記録トラック上に正しくフォーカスするよう、光ディスク101に対する垂直方向(フォーカス方向)の位置を微調整される。
【0029】
光ピックアップ102が含む光検出器121は、前記レーザ光束の光ディスク101からの反射光を検出し、光ディスク101に記録されていた情報信号を検出して電気信号に変換する。検出された情報信号は信号処理部107に供給される。信号処理部107は、AFE(Analog Front End)回路とも呼ばれ、ディジタル記録であっても本質的にはアナログ信号として扱うべき段階における前記情報信号の処理を行う。即ち信号処理部107は、前記情報信号を演算処理して、例えばトラッキング制御用の信号とフォーカス制御用の信号を生成し、DSP109が含むサーボ部113に供給する。サーボ部113は、供給された該信号に基づきトラッキング用とフォーカス用のサーボ信号、即ち先のトラッキングアクチュエータ制御信号116とフォーカスアクチュエータ制御信号117を生成し、増幅器108を介して光ピックアップ102に供給し、前記したトラッキング動作とフォーカス動作を制御する。
【0030】
また信号処理部107は、光ディスク101に対してデータを記録再生した際の振幅や位相の周波数特性を等化したうえで、等化されたデータをDSP109が含むデコーダ部112に供給する。デコーダ部112は、光ディスク101に記録されていた情報信号の再生処理を行う。例えば、光ディスク101に記録する以前に情報信号に施されたデータ圧縮処理とは逆の伸張処理を行い、元の情報信号をデコードする。なお、先の信号処理部107は、DSP109と同じ半導体チップ上に集積されることがある。
【0031】
以上述べた光ディスク装置の動作は、マイコン(マイクロコンピュータ)を含む制御部111が生成する制御信号に基づいて行われる。なお、制御部111もDSP109と同じ半導体チップ上に集積されることがある。制御部111は、前記したストレージ装置1の全体を制御するファームウェアを有する。また制御部111には、例えば操作者が光ディスク101を取外すよう、イジェクトスイッチ111Aを押した際に発生されるイジェクト信号が供給されている。さらに制御部111は、例えばLEDを備える表示部114に制御信号を送り、電源のON/OFF、或いはBISTモードであるか否かを、その点灯状態により操作者へ知らせる作用を有している。
【0032】
なお、前記した光ディスクのイジェクト指令を除いて、ユーザからの動作指令は光ディスク装置の上位装置であるホスト装置2で生成される。ホスト装置2で生成された指令信号は、DSP109が含むSATAインタフェース(I/F)部110が、ストレージ装置1とホスト装置2の間の通信を仲介することで伝達される。
【0033】
次に、図1のフロー図で述べた事項と、図2のブロック図で述べた事項との関係を説明する。
ステップS101での電源の投入、ステップS102での通信できる状態の設定、ステップS103でのコマンドの受信は、制御部111がSATAインタフェース部110を介しホスト装置2と信号を授受して行う。
【0034】
ステップS104での不要な回路ブロックの電源の切断は、制御部111が行う。BISTモードで電源を要する回路ブロックは、制御部111の一部とSATAインタフェース部110と表示部114であり、他の回路ブロックの電源は切断される。
【0035】
ステップS105での例えばLEDの点灯制御は、制御部111が表示部114を制御して行う。またイジェクトスイッチ111Aから操作者によるイジェクト指示が入力されても、制御部111はこれを無視し、リセット動作を行わない状態とする。
【0036】
ステップS106でのBISTモードの設定は、制御部111がSATAインタフェース部110に指示して行わせる。外部の測定装置はSATAインタフェース部110と通信して、伝送路インピーダンス、信号の振幅やジッターをはじめとする各項目のデータを測定する。
【0037】
ステップS107での状態の判定とステップS108でのリセット動作は、制御部111が行う。これによりステップS109では、ストレージ装置2はBISTモードが解除され、通常の動作モードに復帰している。
【0038】
次に、操作者に対してストレージ装置1がBISTモードであることを知らせる方法について述べる。
図3は、本発明の一実施例におけるストレージ装置1の外観図である。表示部114は例えばLEDであって、制御部111からの指示に応じて、装置の電源がONである時に点灯するとすれば、BISTモードにおいては一段明るく点灯するか、点滅を繰返すようにすると良い。
【0039】
また、表示部に限らず他の構成要素を利用しても良い。例えばBISTモードでは、スレッドモータ103を回転させて光ピックアップ102を光ディスク101の半径方向に往復させ、或いは不規則に移動させ、通常の動作モードでは発生しないような音や振動を発生させても良い。ディスクモータ105を回転させて同様な音や振動を発生させても良い。またトラッキングアクチュエータ119やフォーカスアクチュエータ120を利用して対物レンズ104を往復させ、或いは不規則に移動させて同様な音や振動を発生させても良い。
【0040】
これにより、操作者にストレージ装置がBISTモードであることを知らせることができ、そのために新たな構成要素を追加する必要はないというメリットがある。
ここまで示した実施形態は一例であって、本発明を限定するものではない。本発明の趣旨に基づきながら異なる実施形態を考えられる。例えばHDDをはじめとする他のストレージ装置に本発明を適用した場合は、BISTモードで磁気ヘッドを磁気ディスクの半径方向に往復させ、或いは不規則に移動させて音や振動を発生させると良い。もちろん、磁気ディスクを回転させるディスクモータを回転させて音や振動を発生させても良い。また図1のフロー図に対して変更を加えた例を考えることができるが、いずれの場合も本発明の範疇にある。
【符号の説明】
【0041】
1:ストレージ装置、2:ホスト装置、101:光ディスク、102:光ピックアップ、103:スレッドモータ、104:対物レンズ、105:ディスクモータ、109:DSP、110:SATAインタフェース部、111:制御部、114:表示部、119:トラッキングアクチュエータ、120:フォーカスアクチュエータ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対して情報データを書込み読取りし、或いは記録媒体に書込まれた情報データを読取るストレージ装置の検査方法であって、
前記ストレージ装置に電源を投入する電源投入ステップと、
前記ストレージ装置の動作モードを検査モードに設定するためのコマンドを受信するコマンド受信ステップと、
該コマンド受信ステップが前記コマンドを受信した後に前記ストレージ装置の動作モードが検査モードであることを報知する検査モード報知ステップと、
前記コマンド受信ステップが前記コマンドを受信した後に前記ストレージ装置の動作モードを検査モードに設定する検査モード設定ステップ
を有することを特徴とするストレージ装置の検査方法。
【請求項2】
請求項1に記載のストレージ装置の検査方法において、前記ストレージ装置は点灯部を備え、前記検査モード報知ステップは、前記ストレージ装置の動作モードが検査モードであることを報知する際に、動作モードが検査モードではない場合と比較して異なる明るさ、または点滅周期で前記点灯部を点灯して報知することを特徴とするストレージ装置の検査方法。
【請求項3】
請求項1に記載のストレージ装置の検査方法において、前記ストレージ装置は光ディスク記録媒体から光ピックアップにより情報データを読取る光ディスクドライブ装置であり、
前記検査モード報知ステップは、前記ストレージ装置の動作モードが検査モードであることを報知する際に、前記光ディスク記録媒体を回転させるディスクモータ、または前記光ピックアップの位置を移動させるアクチュエータを駆動し、駆動音を発生させて報知することを特徴とするストレージ装置の検査方法。
【請求項4】
請求項1に記載のストレージ装置の検査方法において、前記ストレージ装置は磁気ディスク記録媒体から磁気ヘッドにより情報データを読取る磁気ディスクドライブ装置であり、
前記検査モード報知ステップは、前記ストレージ装置の動作モードが検査モードであることを報知する際に、前記磁気ディスク記録媒体を回転させるディスクモータ、または前記磁気ヘッドの位置を移動させるアクチュエータを駆動して、駆動音を発生させて報知することを特徴とするストレージ装置の検査方法。
【請求項5】
請求項1に記載のストレージ装置の検査方法において、前記ストレージ装置は着脱可能な光ディスク記録媒体から光ピックアップにより情報データを読取る光ディスクドライブ装置であり、
前記ストレージ装置が前記検査モード設定ステップにより検査モードに設定された際は、前記検査モード設定ステップは、前記光ディスク記録媒体を前記光ディスクドライブ装置から取外す指令を受けた場合においても、前記検査モードを維持することを特徴とするストレージ装置の検査方法。
【請求項6】
請求項1に記載のストレージ装置の検査方法において、
前記ストレージ装置が前記検査モード設定ステップにより検査モードに設定された際は、前記検査モード設定ステップは、前記ストレージ装置に対して電源を供給する際に前記ストレージ装置の動作を初期化する際に用いられるCOMRESET信号が供給された場合のみ、前記検査モードを解除することを特徴とするストレージ装置の検査方法。
【請求項7】
請求項1に記載のストレージ装置の検査方法において、
前記ストレージ装置が前記検査モード設定ステップにより検査モードに設定された際は、前記検査モード設定ステップは、前記ストレージ装置に対して前記電源が供給される間は、前記検査モードを維持することを特徴とするストレージ装置の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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