説明

ストレーナ装置

【課題】ノズル側に設けても十分な有効濾過面積を確保することで目詰りに強くする。
【解決手段】消火ノズル14を続続した消火配管5の中に、流入側の端面が閉じ流出側の端面が開口した屈曲性をもつ円筒形のストレーナ濾過部材2を固定配置する。ストレーナ濾過部材2は、消火ノズル14の開口面積の2倍を越える有効濾過面積を確保する管路方向の長さを有する。ストレーナ濾過部材2は、例えば金属網で構成され、この金属網は上下左右方向に撓み変形自在な網目構造、例えばバイアス織り構造を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管に設けられたノズルに供給する用水に含まれるゴミを除去するためのストレーナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
消火設備に用いるストレーナ装置としては、例えば図9に示すものがある。ストレーナ本体101は、フランジ102,103によって消火用配管の主管部分に接続される。ストレーナ本体101の中には図10の断面図のように、金属円筒体に網穴を打ち抜き形成したこし網104が収納されている。
【0003】
消火用水は、ストレーナ本体101内のこし網104を通過しながら矢印で示す方向に流れ、消火配管内のゴミなどは、こし網104により、瀘過される。こし網104は、ボルト105により蓋106を外すことで、外に取り外して清掃することができる。
【0004】
また消火ノズルとしては、図11に示すようなものがある(特開平5−7633号)。図11は、ヒュージブルリンク式の消火ノズルであり、ノズル本体116は消火用配管115にねじ込まれている。ノズル本体116には、放出口117が形成され、放出口117に設けられた栓118と、デフレクター119との間に、一対のレバー110A,110Bを接触点111A,111B,111Cによって係止し、栓118を閉鎖状態に支持している。レバー110Aとレバー110Bは、感熱体としてのヒューズ113で固着された一対のリンク112が装着され、栓118の閉鎖状態を維持している。
【0005】
火災の発生による温度上昇でヒューズ113が溶けると、一対のリンク112が矢印で示すように分解し、レバー110A,レバー110Bの係止が解除され、水圧によってレバー110A,レバー110Bがはじけ、放出口117から噴出し、散水が開始される。このとき、放出口117から噴出した水は、デフレクター119に当たって防護範囲全体に均一に散水される。
【特許文献1】実願昭60−102028号(実開平62−099259号)のマイクロフィルム
【特許文献2】実願平01−030443号(実開平02−121111号)のマイクロフィルム
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような従来の消火設備において、ストレーナ装置は、主に消火用配管の主管部分に挿入され、定期的に点検・清掃することになっている。しかしながら、消火設備の消火用配管は、火災に備え常に消火用水が加圧された状態で満たされているものの、常に流れていないため、錆などが徐々に発生することがある。
【0007】
このため火災により消火ノズルが作動した場合、ノズル付近の消火配管内に発生した錆や、設置時に混入した消火配管の切削カス、溶接カス、シールテープカスなどがデフレクターに付着し、その影響で、期待した放水範囲を防護できず、消火設備が有効に機能できないという問題があった。
【0008】
この問題を解決するため、消火ノズルそのものにストレーナ装置を設けたものも存在する。例えば図11の消火ノズルを例にとると、消火配管115に接続するノズル本体116の内部にストレーナ装置を設けることが考えられる。しかし、ストレーナ装置を設けることのできる消火ノズル内部のスペースは制限されており、ストレーナ装置に必要な十分な濾過面積を確保することが困難である。
【0009】
このため消火用水に含まれるゴミなどによってストレーナ装置が短時間で目詰りを起し、消火ノズルからの散水量が減少して消火性能が低下する恐れがあった。
【0010】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、ノズル側に設けても十分な有効濾過面積を確保することで目詰りに強いストレーナ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この目的を達成するため本発明は次のように構成する。本発明のストレーナ装置は、消火ノズルを接続した消火配管の中に、流入側の端面が閉じ流出側の端面が開口した屈曲性をもつ円筒形のストレーナ濾過部材を固定配置したことを特徴とする。ここで、ストレーナ濾過部材は、消火用水の散水時に予想される所定量のゴミの流入に対し、消火ノズルの開口面積の2倍を越える有効濾過面積を確保する管路方向の長さを有する。
【0012】
このような本発明のストレーナ装置によれば、消火配管内のゴミが消火ノズルに侵入しないため、目詰まりなどにより消火ノズルの機能に支障をきたすことがない。またストレーナ濾過部材を消火ノズルを接続している消火配管の中に位置させることで、十分に長くすることができ、相当量のゴミが配管内部に堆積したとしても、消火ノズルの性能に必要な有効瀘過面積を確保し、長期にわたり信頼性を確保できる。
【0013】
特に、消火配管の先端を90度屈曲して消火ノズルを接続している場合にあっても、ストレーナ濾過部材は屈曲性をもっているため、屈曲した配管内にも撓み変形して容易に配置できる。
【0014】
ストレーナ濾過部材は、例えば金属網で構成され、この金属網は上下左右方向に撓み変形自在な網目構造、例えばバイアス織り構造を備える。またストレーナ濾過部材は、合成樹脂性の円筒枠体と、円筒枠体の流入側端面及び円筒面に装着された合成樹脂製又は合成繊維製の網部材で構成することもできる。この場合、円筒枠体は、流入側の端面に、消火配管にストレーナ濾過部材を嵌め入れる際に案内する案内片を形成し、屈曲配管であっても容易に装着可能とする。
【0015】
またストレーナ濾過部材は、ゴム製の円筒枠体と、この円筒枠体の流入側端面及び円筒面に一体に形成されたゴム製の網部材で構成してもよい。このように合成樹脂、合成繊維、ゴムで構成することで、耐腐食性、耐薬品性が向上する。
【0016】
またストレーナ濾過部材は、流入側を閉鎖し流出側を開口した合成樹脂製又は合成繊維製の細長い網袋と、この網袋の内部に収納され網袋を円筒形状に保持するコイルバネとで構成してもよい。このように網袋とコイルバネを使用することで、構造が簡単で作り易くなり、コストを更に低減でき、また屈曲配管に対してはコイルバネが自由に湾曲して容易に装着でき、更にコイルバネによって確実に網袋を円筒形状で保持し、つぶれないようにする。
【0017】
更に、ストレーナ濾過部材は、流入側を閉鎖すると共に流出側を開口し、長手方向に合成樹脂製の網目部と蛇腹部と交互に連設した構造としてもよい。このように網目部と蛇腹部と交互に連設した一体化構造により、配管内に装着する際の屈曲性と円筒網形状の保持が確実にでき、製造コストも低減できる。
【0018】
ストレーナ瀘過部材は、消火ノズルの消火配管取付ねじ部に円筒体の開口側を固定する。また瀘過部材は、消火ノズルと消火配管の接続に使用される継手管に円筒体の開口側を固定してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、消火ノズル側に屈曲可能な筒状のストレーナ装置を設けたことで消火配管内のゴミが消火ノズルに侵入せず、ノズル内での目詰まりやノズルの機能に支障を起こすことなく、高い信頼性が得られる。
【0020】
またストレーナ瀘過部材を消火ノズルを接続している消火配管の内部に位置させることで、十分な長さを確保することができ、相当量のゴミが流入しても目詰まりを起こすことなく、消火ノズルの性能に十分な有効瀘過面積を確保することができ、長期に亘り信頼性を確保できる。
【0021】
更に消火配管の先端を90度屈曲して消火ノズルを接続している場合にあっても、ストレーナ瀘過部材は屈曲性をもっているため、屈曲した配管内にも撓み変形して容易に設置することができる。更にストレーナ瀘過部材を金属網に代えて合成樹脂もしくはゴムで成形することで、耐腐食性と耐薬品性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1は本発明によるストレーナ装置の実施形態の説明図であり、図1(A)に監視状態を示し、図1(B)に火災による熱を受けて動作した状態を示す。
【0023】
図1(A)において、消火設備から防護区画に引き出された消火配管5の先端には、継手管6を介して消火ノズル7が取り付けられている。消火ノズル7は配管取付ねじ部8に継手管6をねじ込み固定しており、流入路7aに下方より栓9を挿入して流路を閉鎖しており、栓9の閉鎖状態は消火ノズル7の下部に突出して設けた感熱分解部10により支持固定されている。
【0024】
感熱分解部10が火災による熱を受けて脱落分解すると、図1(B)のように内部に保持していたヘッド11が下降し、このヘッド11の下降に伴い、流入路7aを閉鎖していた栓9が下降して流路を開くようになる。ヘッド11は消火用水を防護範囲全域の内の所定部分に集中的に散水するものであり、消火ノズル7内に通る消火用水の水流の力を利用してヘッド11が回転し防護範囲全域の放水を行う消火用水ノズルである。消火ノズル7の配管取付ねじ部8の流入路側には、本発明によるストレーナ装置1が装着されている。
【0025】
ストレーナ装置1は、網目構造をもった円筒体であるストレーナ瀘過部材2を有し、ストレーナ瀘過部材2の網目状の円筒部2aに対し、上部に位置する流入側端部2bは網目構造で閉鎖されており、消火ノズル7側となる流出側端部2cは開放している。ストレーナ瀘過部材2の流出端部2cには、リング状の取付部4が固着され、この取付部4を消火ノズル7の配管取付ねじ部8の開口部に例えば圧入することで、消火ノズル7の流入側にストレーナ装置1が固定される。
【0026】
消火ノズル7の配管取付ねじ部8に流出側を固定したストレーナ装置1は、その円筒形状を持ったストレーナ瀘過部材2を消火配管5及び継手管6の配管内に位置させている。ここでストレーナ装置1における配管内に配置された網目構造をもつストレーナ瀘過部材2の長さLは、消火ノズル7における栓9を装着した流入路7aの開口面積に対し、ストレーナ瀘過部材2の有効瀘過面積が例えば約30倍となるように決めており、例えばL=100mm程度の長さを持っている。なお、有効濾過面積とは、網目の開口穴の総面積のことをいう。
【0027】
図2は、図1のストレーナ装置1を構成するストレーナ瀘過部材2の網目構造を拡大して取り出している。図2(A)は、ストレーナ瀘過部材2の一部を拡大しており、この実施形態にあっては、金網として平織金網12を使用している。この平織金網は、例えば金網の線径が0.1〜0.3mmφ、2.54cm当たり(1インチ当たり)の線数を20〜30本、網目の開口穴面積比を40〜60%とする。
【0028】
更に、平織金網12を構成する縦線と横線が図示のように左右斜め45度方向に交差するように配置したバイアス織りとし、交差点の金網同士はくっついておらず、自由に動ける状態で接触しているので、図2(B)(C)のように、上下方向及び左右方向の応力に対し金網自体がある程度撓むことができる。この結果、本発明のストレーナ装置1は消火ノズルを接続している消火配管が屈曲していても、撓み変形する網目構造を持つストレーナ瀘過部材2を、円筒形状を保ったまま屈曲した配管内に配置することができる。
【0029】
図3は消火ノズルを消火配管に対し90度屈曲した位置に設置した場合の本発明の実施形態である。この実施形態にあっては、水平配置された消火配管5の先端にエルボ継手管13を介して90度屈曲する方向に消火ノズル14を接続している。消火ノズル14は、図9の従来例に示したと同じヒュージブルリンク式の消火ノズルを例にとっている。
【0030】
この消火ノズル14についても、ストレーナ装置1のストレーナ瀘過部材2は、流出側に設けた取付部4を消火ノズル14の配管取付ねじ部15の内側に固定され、ストレーナ瀘過部材2はエルボ継手管13の部分で90度屈曲され、水平配置された消火配管5の中に位置している。このようにストレーナ装置のストレーナ瀘過部材2が90度屈曲した状態で配置されても、図2(A)〜(C)のように上下左右の応力に対し平織金具12を用いた網目部分は菱形の網目形状を変化させることで変形し、ストレーナ瀘過部材2の円筒形状を維持したまま潰れることなく、90度屈曲した状態で配管内に配置することができる。
【0031】
この図3の実施形態においても、屈曲状態で配置されたストレーナ瀘過部材2の中心線の配管内の長さLが、図1の場合と同様、消火ノズル14の開口部14aの開口面積の約30倍となるように、例えばL=100mm程度の長さとしている。
【0032】
次に図1もしくは図3に示した本発明のストレーナ装置1の機能を説明する。本願発明者にあっては、消火設備を使用した実験で、図3のようにストレーナ装置1を内蔵した消火ノズルを5ヶ所に設置し、配管内部にゴミが存在する状態で5ヶ所に設けた消火ノズルから90秒間放水を行った。この放水により各消火ノズルの配管内部には約111〜829mm3の容積のゴミが流入し、ゴミの総容積は約2596mm3であった。
【0033】
この放水実験にあっては、5ヶ所の消火ノズルからの散水量に特に変化は見られず、消火ノズルにゴミが流入しても本発明のストレーナ装置1により流入したゴミが除去され、且つストレーナ装置1にゴミが付着しても十分な有効瀘過面積が確保され、消火ノズルからの散水量に変化が起きないことが確認された。
【0034】
この放水実験では5ヶ所の消火ノズルから放水しているが、同じゴミ総容量に対し1ヶ所の消火ノズルから放水して約2596mm3のゴミ総容量が一度に流入したとしても、消火ノズルの口径面積の約30倍の有効瀘過面積が初期状態で確保されており、ゴミが流入した後も消火ノズルの口径面積の約8.4倍の有効瀘過面積が確保された。
【0035】
実際の消火にあっては、消火ノズルの口径面積の約2倍の有効瀘過面積が確保できれば消火ノズルの性能を維持することができ、この結果、本発明のストレーナ装置1にあっては、消火ノズル側に設置してもゴミの流入に対し問題なくノズルの消火性能を確保することが確認された。
【0036】
図4は本発明のストレーナ装置の他の実施形態であり、この実施形態にあっては、ストレーナ装置を合成樹脂で成形するようにしたことを特徴とする。
【0037】
図4において、消火ノズル14は継手管6を介して消火配管5の先端に接続されており、消火ノズル14の内部流入側に合成樹脂製のストレーナ装置1が配置されている。このストレーナ装置1は、合成樹脂製の円筒枠体17と網部材18で構成される。円筒枠体17は、管路方向に配置されたリング部17aを例えば3ヶ所に配置し、リング部17aを縦方向の柱部17bで連結して枠体を構成している。
【0038】
円筒枠体17の円周面及び流入側の面には、それぞれ網部材18が設けられている。網部材18は合成樹脂製の網を円筒枠体17と一体に成形してもよいし、合成樹脂製の円筒枠体17に合成繊維の網部材18を埋め込み成形してもよい。円筒枠体17の消火ノズル14側の流出側には取付部19が一体に成形されている。
【0039】
また円筒枠体17の流入側には、図4(B)に取り出して示すように、流入側開口端部についても網部材18が設けられ、更に流入側端部のリング部17aに対し流入側に対し三角形に尖った案内片20を一体に形成している。案内片20は、ストレーナ装置1を消火配管5に挿入する際のガイド機能を果たす。
【0040】
例えば図3のような消火配管5に対し90度屈曲した位置に消火ノズル14を設置する場合、図4のストレーナ装置1を90度屈曲したエルボ継手管13を介して消火配管5に挿入すると、先端の案内片20がガイドとなって滑らかにストレーナ装置1が挿入できるようにしている。
【0041】
この図4の合成樹脂製のストレーナ装置1によれば、定常監視状態で閉鎖状態にある消火ノズル14に対する消火用水が充満された配管内にストレーナ装置1が配置されており、長期間にわたって消火用水の中に置かれても、合成樹脂で作られていることから、耐腐食性、耐薬品性が確保され、網部材18が破損したり破れたりすることなく、火災時の消火用水の流入に対しゴミを除去する瀘過機能を確実に果たすことができる。
【0042】
図5は図4と同じ合成樹脂製のストレーナ装置1の他の実施形態であり、この実施形態にあっては、ストレーナ装置1を消火配管5と消火ノズル14を接続する継手管6に固定するようにしたことを特徴とする。即ち、ストレーナ装置1は合成樹脂製の円筒枠体17と同じく合成樹脂製もしくは合成繊維を作られた網部材18で構成されており、円筒枠体17の消火ノズル14側となる流出側に取付部19を一体に形成しており、この取付部19が継手管6に対する圧入で固定されている。
【0043】
図6は本発明の他の実施形態となるゴム製のストレーナ装置で使用するゴム製ストレーナ瀘過部材21を部分的に取り出している。このゴム製のストレーナ装置1は、図4,図5に示したと同じ合成樹脂製のストレーナ装置1と基本的に同じ構造を備えている。即ち、円筒枠体17、網部材18、取付部19及び案内片20がゴムで一体に形成され、網部材18の部分が図6に取り出して示すようにゴム製ストレーナ瀘過部材21で構成されている。ゴム製ストレーナ瀘過部材21は、例えば開口面積が40〜60%となるように網目開口22を備えている。
【0044】
このゴム製ストレーナ瀘過部材21を網目部材に使用したストレーナ装置についても、ゴム製ストレーナ瀘過部材21は屈曲性を有することから、図3のような屈曲配管に対する組付けも容易にでき、また図4,図5の合成樹脂製のストレーナ装置と同様、配管内の消火用水の中に長期間に亘って組み込まれていても、耐腐食性、耐薬品性が十分に確保され、火災時のゴミの流入に対し瀘過機能を確実に果たすことができる。
【0045】
図7は合成樹脂製のストレーナ装置の他の実施形態であり、この実施形態にあっては、合成樹脂製の網袋とコイルバネを使用したことを特徴とする。
【0046】
図7において、消火ノズル14は継手管6を介して消火配管5の先端に接続されており、消火ノズル14の内部流入側に合成樹脂製のストレーナ装置1が配置されている。このストレーナ装置1は、合成樹脂製のストレーナ取付部材30、網袋32、及びコイルバネ34で構成される。
【0047】
ストレーナ取付部材30は、流入側に段付円筒形状のバネ取付部30aを形成し、コイルバネ34の一端を支持しており、流出側に円筒状のノズル取付部30bを形成し、配管取付ねじ部15の中に圧入固定されている。
【0048】
網袋32は、合成樹脂製の網目シートを巻き、流入側を閉じて閉鎖端部32aとし、流出側は開口して開口端部32bとしており、開口端部32bをストレーナ取付部材30のバネ取付部30aの外側に嵌め入れ、接着等により固着している。網袋32に使用する合成樹脂製の網目シートとしては、例えば1インチ当り30〜50メッシュ(#30〜#50)程度のものを使用する。
【0049】
この細長い網袋32の内部には、コイルバネ34がストレーナ取付部材30のバネ取付部30aに対する支持で配置され、網袋32を図示のように、円筒形状に保持している。
【0050】
この図7の合成樹脂製のストレーナ装置1によれば、定常監視状態で閉鎖状態にある消火ノズル14に対する消火用水が充満された配管内にストレーナ装置1が配置されており、長期間にわたって消火用水の中に置かれても、合成樹脂で作られていることから、耐腐食性、耐薬品性が確保され、網部材18が破損したり破れたりすることなく、火災時の消火用水の流入に対しゴミを除去する瀘過機能を確実に果たすことができる。
【0051】
また、網袋32の中にコイルばね34を入れた構造のため消火配管内の水圧により網袋32がつぶれて配管内をつまらせることがない。また、図3のような屈曲した配管にも容易に取り付けることができる。
【0052】
また細長い網袋32の中にコイルバネ34を入れてストレーナ取付部材30により配管内に配置するという簡単な構造で済み、低コストで容易に実現できる。
【0053】
尚、コイルバネ34としては、合成樹脂の代わりに、ステンレス等の錆にくい金属製のコイルバネを使用してもよい。
【0054】
図8は合成樹脂製のストレーナ装置の他の実施形態であり、この実施形態にあっては、合成樹脂製の網目部と蛇腹部の連設構造としたことを特徴とする。
【0055】
図8において、消火ノズル14は継手管6を介して消火配管5の先端に接続されており、消火ノズル14の内部流入側に合成樹脂製のストレーナ装置1が配置されている。このストレーナ装置1は、合成樹脂製のストレーナ取付部40に続いて網目部42と蛇腹部44を交互に連設し、更に、流入側に位置する先端に、円錐状の案内部46を設けた構造としている。
【0056】
即ち、ストレーナ取付部材40は円筒形状をもち、配管取付ねじ部15の中に圧入固定されている。ストレーナ取付部40に続き網目部42と蛇腹部44を交互に連設し、更に案内部44を設けた構造は、ストレーナ装置1を成型する金型の中に、合成樹脂製の網目シートを円筒状に巻いて複数セットし、この状態でストレーナ取付部40、各蛇腹部42及び案内部44を射出成形することで一体に作られる。網目部42に使用する合成樹脂製の網目シートは、例えば1インチ当り30〜50メッシュ(#30〜#50)程度のものを使用する。
【0057】
ストレーナ装置1の複数箇所に形成された蛇腹部44は、網目部42を円筒形状に保持すると共に、消火配管5が図3のように屈曲している場合に、長手方向に湾曲させる。
【0058】
この図8の合成樹脂製のストレーナ装置1によれば、定常監視状態で閉鎖状態にある消火ノズル14に対する消火用水が充満された配管内にストレーナ装置1が配置されており、長期間にわたって消火用水の中に置かれても、合成樹脂で作られていることから、耐腐食性、耐薬品性が確保され、網部材18が破損したり破れたりすることなく、火災時の消火用水の流入に対しゴミを除去する瀘過機能を確実に果たすことができる。
【0059】
尚、上記の実施形態は、ストレーナ装置の網目構造を持ったストレーナ瀘過部材の配管内の長さLを消火ノズル側の口径面積の約30倍となる有効瀘過面積が確保できるように決めているが、本発明はこれに限定されず、ストレーナ装置1の網目構造を持ったストレーナ瀘過部材が消火ノズル側もしくは消火ノズル側に位置する継手管に端部を固定し、この片持状態で瀘過部材の部分が配管内に延在して位置している構造であれば、配管内の長さLは必要に応じて適宜に定めることができる。
【0060】
また合成樹脂製のストレーナ装置では合成樹脂製の網目シートを使用しているが、合成繊維の網目シートを使用してもよい。
【0061】
また本発明の実施形態にあっては、図1の可動型のヘッドを備えた消火ノズル7や図3のヒュージブルリンク型の消火ノズル14を例にとるものであったが、消火ノズルの形式や構造に限定されないことはもちろんである。
【0062】
また、理解の容易なように具体的な例として消火設備における消火用配管に用いた場合について説明したが、消火用配管に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の消火用散水ノズルを示す図
【図2】弁開度と散水量の変化を示すグラフ
【図3】二つの散水ノズルの弁開度と散水量の変化を示すグラフ
【図4】スプリンクラー消火設備を示す図
【図5】図5で用いる散水ノズルの閉弁時の断面図
【図6】図5で用いられる散水ノズルの開弁時の断面図
【図7】従来の消火設備を示す図
【図8】従来の散水ノズルを示す図
【図9】消火配管の本管部分に設置される従来のストレーナ装置の説明図
【図10】図9のストレーナ装置の断面図
【図11】従来の消火ノズルの説明図
【符号の説明】
【0064】
31:空気供給配管
32:給水配管
34:空気タンク室(第1のタンク室)
36:水タンク室(第2のタンク室)
37:第1の電動弁(第1の開閉弁)
38:ノズル部
39:第2の電動弁(第2の開閉弁)
42:防災制御盤
43:開閉制御信号発生部
44:火災感知器
65:散水ノズル
80:ボディ
81:放水孔
83:可動筒
84:外筒
95:鋼球

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の中に、流入側の端面が閉じた屈曲性をもつ筒形のストレーナ濾過部材を固定配置したことを特徴とするストレーナ装置。
【請求項2】
請求項1記載のストレーナ装置に於いて、前記ストレーナ濾過部材は、消火用水の散水時に予想される所定量のゴミの流入に対し、前記消火ノズルの開口面積の2倍を越える有効濾過面積を確保する管路方向の長さを有することを特徴とするストレーナ装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のストレーナ装置に於いて、前記ストレーナ濾過部材は、金属網で構成され、前記金属網は上下及び左右方向に撓み変形自在な網目構造を備えたことを特徴とするストレーナ装置。
【請求項4】
請求項1又は2記載のストレーナ装置に於いて、前記ストレーナ濾過部材は、合成樹脂製の円筒枠体と、該円筒枠体の流入側端面及び円筒面に装着された合成樹脂製又は合成繊維製の網部材で構成されたことを特徴とするトレーナ装置。
【請求項5】
請求項4記載のストレーナ装置に於いて、前記円筒枠体は、流入側の端面に、消火配管に前記ストレーナ濾過部材を嵌め入れる際に案内する案内片を形成したことを特徴とするストレーナ装置。
【請求項6】
請求項1又は2記載のストレーナ装置に於いて、前記ストレーナ濾過部材は、ゴム製の円筒枠体と、該円筒枠体の流入側端面及び円筒面に一体に形成されたゴム製の網部材で構成されたことを特徴とするストレーナ装置。
【請求項7】
請求項1又は2記載のストレーナ装置に於いて、前記ストレーナ濾過部材は、流入側を閉鎖し流出側を開口した合成樹脂製又は合成繊維製の細長い網袋と、前記網袋の内部に収納され前記網袋を円筒形状に保持するコイルバネとで構成されたことを特徴とするストレーナ装置。
【請求項8】
請求項1又は2記載のストレーナ装置に於いて、前記ストレーナ濾過部材は、流入側を閉鎖すると共に流出側を開口し、長手方向に合成樹脂製の網目部と蛇腹部と交互に連設したことを特徴とするストレーナ装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のストレーナ装置に於いて、前記瀘過部材は、消火ノズルの配管取付ねじ部に前記円筒体の開口側を固定したことを特徴とするストレーナ装置。
【請求項10】
請求項1乃至8のいずれかに記載のストレーナ装置に於いて、前記瀘過部材は、消火ノズルと消火配管の接続に使用される継手管に前記円筒体の開口側を固定したことを特徴とするストレーナ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−105484(P2007−105484A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−308602(P2006−308602)
【出願日】平成18年11月15日(2006.11.15)
【分割の表示】特願平10−216692の分割
【原出願日】平成10年7月31日(1998.7.31)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】