説明

ストレーナ

【課題】 スクリーンの装着,取外しを手動操作で行うことができるようにして作業性の向上を図るとともに、手動操作であってもスクリーンを確実に押えてろ過機能の確保を図る。
【解決手段】 流入口2及び流出口3を有した流路4を備えた本体1と、本体1の流路4内に設けられ流入開口51及び底部51aを有したカップ状のスクリーン50と、本体1の側面に設けられスクリーン50の出し入れを行なうための孔部10と、孔部10を閉塞する着脱可能な蓋11とを備え、本体1の流入口2側の流路4を形成する内壁内側にスクリーン50の開口端部55が挿入される端部保持部6を形成してなり、スクリーン50の開口端部55の外周に、端部保持部6の内周面に弾接するシールリング56を設け、本体1に、スクリーン50の開口端部55が端部保持部6から抜けることを阻止する手動で着脱可能な抜け止め手段60を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水,油等の流体の流れる管路において、この流体内に含まれるゴミ等の異物を濾過するスクリーンを備えたストレーナに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のストレーナとしては、例えば、本願出願人が先に提案したストレーナが知られている(特許第4272907号公報に掲載)。図15に示すように、このストレーナSaは、流入口201及び流出口202を有した流路を有した本体200と、本体200の流路内に着脱可能に装着され流体が流入する流入開口211を有したカップ状のスクリーン210とを備えて構成されている。スクリーン210は、前後一対のリング状のフレーム210aに、筒状の網状部材210bを溶接により一体形成したものである。本体200は、その流路を直線状とする管体で形成されており、側壁にはスクリーン210の出し入れを行なうための孔部203が形成され、流入口201側の流路を形成する側壁内周にはスクリーン210の装着時にスクリーン210の流入開口端面212が押圧されて密着する受面204を有した受部205が形成され、流路を形成する内壁には、本体200の軸線と挿入時のスクリーン210の軸線とが同軸になるようにスクリーン210を支持してガイドするガイド突起206が設けられている。このガイド突起206のスクリーン210と当接する当接面はスクリーン210の外側に沿うように円周面に形成されている。
【0003】
また、スクリーン210の流入開口端面212を本体200の受面204に押圧する押圧手段220を備えている。この押圧手段220は、本体200の流路を形成する内壁であってスクリーン210の底部213よりも流出口202側に設けられる雌ネジ部221と、一端側224aに雌ネジ部221に螺合される雄ネジ部222を有するとともに他端側224bに締め付け具により回転させられるボルト頭223を有したボルト224と、ボルト224に同軸に設けられボルト224の他端側224bに向けて末広がりの円錐台部225と、円錐台部225の円錐面225aに当接するテーパ面226aを有しボルト224の雌ネジ部221に対するねじ込みによりスクリーン210の流入開口端面212を本体200の受面204に押圧する押圧部材226とを備えて構成されている。押圧部材226は、後側のリング状のフレーム210aで構成されている。
【0004】
また、このストレーナSaは、孔部203を開閉する蓋207を備えている。本体200の孔部203の周囲には蓋207を固定するための雌ネジ230が形成され、この雌ネジ230に雄ネジ231を螺合して立設している。蓋207には雄ネジに231に挿通される通孔232が形成され、この通孔232に雄ネジ231を挿通して蓋207を孔部203に被せ、それから、この雄ネジ231にナット233を締め付けることにより蓋207を固定するようにしている。雄ネジ231とナット233の組み合わせは等角度関係で例えば8組設けられる。また、蓋207と孔部203の周囲の当接面には、リング状のパッキン234が介装され、流体の本体200の外部への流出を防止している。
【0005】
スクリーン210を本体200に装着するときは、蓋207を取り外して孔部203を開にする。この場合、スパナなどの締め付け具で雄ネジ231に対してナット233を緩めて、ナット233を取り外し、それから、蓋207を取り外す。
次に、スクリーン210を孔部203から本体200内に入れてガイド突起206に載置し、スクリーン210の流入開口端面212を本体200の受面204に対峙させる。それから、押圧手段220によりスクリーン210の流入開口端面212を本体200の受面204に押圧する。詳しくは、ボルト224の雄ネジ部222を本体200の雌ネジ部221に螺合し、ボルト224のボルト頭223を締め付け具で回転させてボルト224を本体200にねじ込む。この際、円錐台部225の円錐面225aが、押圧部材226に設けられるテーパ面226aを徐々に押し下げ、押圧部材226はスクリーン210の底部213に固着され、またスクリーン210はガイド突起206に載置されていることからボルト224の軸方向に移動せず、ガイド突起206の円周面に沿って流入口201側に進み、スクリーン210の流入開口端面212が本体200の受部205の受面204に密着する。
【0006】
その後、蓋207を孔部203に被せて孔部203を閉にする。その後、スパナなどの締め付け具を用いて雄ネジ231に対してナット233をねじ込んで締め付け、蓋207を本体200に固定する。
このようにスクリーン210が装着されたストレーナSaに流入口201から流体が流入すると、この流体に混在する異物がスクリーン210で濾過されて流出口202から流出するようになる。
また、スクリーン210にゴミ等の異物が溜まってこのスクリーン210を洗浄あるいは交換をする際には、蓋207を取り外して孔部203を開にする。この場合、スパナなどの締め付け具で雄ネジ231に対してナット233を緩めて、ナット233を取り外し、それから、蓋207を取り外す。そして、ボルト頭223を締め付け具で回転させてボルト224の雄ネジ部222を本体200の雌ネジ部221に対して緩め、ボルト224を取り外し、円錐台部225による押圧部材226の押圧を解除してスクリーン210を取り出し、スクリーン210を掃除するかあるいは新しいものと交換し、上記したように、再び、スクリーン210を取り付ける。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4272907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、この従来のストレーナSaにおいては、スクリーン210を本体200に装着する際、あるいは、スクリーン210にゴミ等の異物が溜まってこのスクリーン210を洗浄あるいは交換をする際には、蓋207を取り外してから、ボルト頭223を締め付け具で回転させてボルト224の雄ネジ部222を本体200の雌ネジ部221に対して緩め、ボルト224を取り外し、円錐台部225による押圧部材226の押圧を解除してスクリーン210を取り出す。この状態で、スクリーン210を掃除するかあるいは新しいものと交換し、再び、ボルト224の雄ネジ部222を本体200の雌ネジ部221に螺合し、ボルト224のボルト頭223を締め付け具で回転させてボルト224を本体200にねじ込む。
そのため、スクリーン210の装着,取外しにおいては、逐一、スパナなどの締め付け具でボルト224を緩め、締め付けなければならないので、それだけ作業が煩雑になっているという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、スクリーンの装着,取外しを手動操作で行うことができるようにして作業性の向上を図るとともに、手動操作であってもスクリーンを確実に押えてろ過機能の確保を図ったストレーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このような目的を達成するため、本発明のストレーナは、流入口及び流出口を有した流路を備えた本体と、該本体の流路内に設けられ流入開口及び底部を有したカップ状のスクリーンと、該本体の側面に設けられ上記スクリーンの出し入れを行なうための孔部と、該孔部を閉塞する着脱可能な蓋とを備え、上記本体の流入口側の流路を形成する内壁内側に上記スクリーンの開口端部が挿入される端部保持部を形成してなるストレーナにおいて、
上記スクリーンの開口端部の外周に、上記端部保持部の内周面に弾接するシールリングを設け、上記本体に、上記スクリーンの開口端部が上記端部保持部から抜けることを阻止する手動で着脱可能な抜け止め手段を設けた構成としている。
【0011】
これにより、スクリーンを本体に装着するときは、本体の蓋を取り外して孔部を開にし、スクリーンを孔部から流路内に入れ、本体の端部保持部にスクリーンの開口端部を挿入する。次に、抜け止め手段を手動で装着し、再び蓋を閉める。この場合、抜け止め手段は手動で装着できるので、蓋を開けた状態でのスクリーンの装着は、従来に比較して極めて簡単に行われ、作業性の向上を図ることができる。
【0012】
また、蓋が閉められた状態では、スクリーンは抜け止め手段により抜け止めされるので、スクリーンの開口端部は本体の端部保持部内に保持される。そのため、スクリーンの開口端部の外周に設けられたシールリングが端部保持部の内周面に弾接し、この状態が保持されるので、シールリングによるシール性を確保することができ、スクリーンの開口端部の外周と端部保持部の内周との間からゴミなどが通過してろ過不良を生じる事態を防止することができ、確実にスクリーンでの捕捉を行うことができるようになる。即ち、スクリーンのネットのメッシュに細かいものを使用しても、このメッシュより粗いゴミ等の異物がスクリーンの開口端部と端部保持部との間から逃げ出すことがなく、目の細かいスクリーンにも対応できるようになる。
【0013】
そして、ストレーナの使用に伴い、スクリーンの網状部材にゴミが溜まったときには、スクリーンの洗浄を行い、あるいは、しばしば損傷したり破損したりすることがあり、この場合には網状部材の交換を行う。この場合には、蓋を本体の孔部から取り外し、抜け止め手段を手動で取り外し、スクリーンの取り出しを行う。この際には、抜け止め手段を手動で取り外すことができるので、従来に比較して極めて簡単に行われ、作業性の向上を図ることができる。次に、上記と同様に、スクリーンを孔部から流路内に入れ、本体の端部保持部にスクリーンの開口端部を挿入する。次に、抜け止め手段を手動で装着し、再び蓋を閉める。この場合、抜け止め手段は手動で装着できるので、蓋を開けた状態でのスクリーンの装着は、従来に比較して極めて簡単に行われ、作業性の向上を図ることができる。
【0014】
そして、必要に応じ、上記抜け止め手段を、上記本体の流路を形成する内壁であって上記スクリーンの底部よりも流出口側に設けられる挿通孔と、一端が上記挿通孔に挿通されて上記スクリーンの底部を押える押え杆とを備えて構成している。これによれば、押え杆を挿通孔に挿脱するだけで、押え杆の着脱ができるので、作業がきわめて簡単であり、より一層作業性の向上を図ることができる。
【0015】
また、必要に応じ、上記挿通孔を、上記本体の流路を形成する内壁であって該本体に装着された上記蓋に対向する部位に設け、上記押え杆の他端を該装着された蓋に係止可能に形成した構成としている。押え杆の一端は挿通孔に保持され、他端は蓋に係止されて保持されるので、押え杆の保持が安定し、確実にスクリーンを押えることができる。
【0016】
更に、必要に応じ、上記抜け止め手段を、上記押え杆に同軸に設けられ該押え杆の他端側に向けて末広がりの円錐台部と、上記スクリーンの底部に設けられ上記円錐台部の円錐面に当接し上記スクリーンの上記流出口側への移動により上記押え杆の他端を上記蓋の下面に向けて押圧する押圧部材とを備えて構成している。
これにより、スクリーンが流体により流出口側に押されても、スクリーンの押圧部材が押え杆の円錐台部のテーパ面を徐々に押し上げるので、より一層押え杆は蓋によって押えられることになり、確実にスクリーンの移動が阻止される。
この場合、上記押圧部材を上記底部外周に固設したリング状のフレームで構成したことが有効である。フレームはスクリーンと一体なので、流路を阻害する事態が防止される。
【0017】
また、本発明では、上記蓋を孔部の所定深さ位置に嵌挿可能にし、上記孔部の内周及び蓋の外周のいずれか一方に他方に弾接するシール部材を設け、上記孔部の内周であって嵌挿された蓋本体の上面外周に沿う溝を形成し、上記蓋の上に配置されるとともにバネ材料で形成され拡径されて外周部が上記溝に挿入され且つ内周部が該蓋の上面外縁部を押さえるリング部材を設け、該リング部材を拡径して保持する手動の拡径保持機構を備えた構成としたことが有効である。
【0018】
これにより、本体の孔部を蓋で塞ぐときは、蓋を孔部の所定深さ位置に嵌挿するとともに、蓋の上にリング部材を配置し、拡径保持機構を手動で作動し、拡径保持機構によりリング部材を拡径して保持する。リング部材が拡径すると、リング部材の外周部が孔部の溝に挿入され且つ内周部が蓋の上面外縁部を押さえ、即ち、リング部材が溝と蓋との境界に跨って配置され、蓋を押える。この状態では、孔部の内周及び蓋の外周のいずれか一方に設けられたシール部材が他方に弾接してシールを行う。
このため、手動で蓋を閉めて固定することができるので、作業性の向上を図ることができる。特に、従来においては、蓋のシールは、蓋の裏面と孔部の開口端面との面接触によるので、ナットを堅く締め付けなければシールできず、締め付け荷重が大きくなるが、リング部材は、比較的小さい荷重で拡径できるので、拡径保持機構を手動で行う簡易な機構にして、作業性を向上させることができるのである。
また、蓋が閉められた状態では、孔部の内周及び蓋の外周のいずれか一方に設けられたシール部材が他方に弾接してシールを行う。この場合、本体の流路に内圧がかかるなどしても、リング部材が溝と蓋との境界に跨って配置されて蓋を押えるので、蓋が傾くなどすることなく安定することから、シール部材によるシール性を確保することができ、流体の漏れを阻止することができる。特に、蓋が閉められた状態で、本体の流路に内圧がかかる場合には、蓋が浮き上がって開方向へ移動しようとするが、この蓋によってリング部材が溝の壁面に押圧されるので、それだけ、押えが確実になることから、確実に蓋が固定され、シール性が確保される。
【0019】
一方、蓋を本体の孔部から取り外すときは、拡径保持機構を手動で作動し拡径保持機構によるリング部材の拡径保持を解除する。これにより、リング部材はバネ材料で形成されているので、縮径し、リング部材の外周部が孔部の溝から外れるようになる。そのため、リング部材による蓋の押さえがなくなるので、蓋を容易に外すことができるようになる。 このため、手動で蓋の固定を解除して開けることができるので、作業性の向上を図ることができる。
即ち、蓋の開閉もスクリーンの着脱も両者とも手動操作で行うことができるので、より一層、スクリーンの着脱作業性を向上させることができるのである。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、スクリーンを本体に装着するときは、本体の蓋を取り外した状態で、スクリーンを孔部から流路内に入れ、本体の端部保持部にスクリーンの開口端部を挿入するとともに、抜け止め手段を手動で装着する。一方、スクリーンの取り出しを行うときは、本体の蓋を取り外した状態で、抜け止め手段を手動で取り外し、本体の端部保持部からスクリーンの開口端部を抜いて、スクリーンを取り出す。そのため、抜け止め手段の手動の簡易な操作により、スクリーンの装着,取外しが容易にできるので、作業性の向上を図ることができる。
【0021】
また、蓋が閉められた状態では、スクリーンは抜け止め手段により抜け止めされるので、スクリーンの開口端部は本体の端部保持部内に保持される。そのため、スクリーンの開口端部の外周に設けられたシールリングが端部保持部の内周面に弾接し、この状態が保持されるので、シールリングによるシール性を確保することができ、スクリーンの開口端部の外周と端部保持部の内周との間からゴミなどが通過してろ過不良を生じる事態を防止することができ、確実にスクリーンでのごみなどの異物の捕捉を行うことができるようになる。即ち、スクリーンのネットのメッシュに細かいものを使用しても、このメッシュより粗いゴミ等の異物がスクリーンの開口端部と端部保持部との間から逃げ出すことがなく、目の細かいスクリーンにも対応できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係るストレーナを示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るストレーナを示す平面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るストレーナを示す側面半断面図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るストレーナを、蓋を閉じた状態で示す正面断面図である。
【図5】本発明の実施の形態に係るストレーナにおいて、スクリーン及び押え杆を本体に装着する工程を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態に係るストレーナにおいて、蓋を本体に装着する前の状態を示す要部断面図である。
【図7】本発明の実施の形態に係るストレーナにおいて、蓋を本体に装着する工程を示す工程図であり、(a)は蓋を入れる初期の図、(b)は蓋を所定位置に嵌挿した状態でリング押えが解除位置にある状態を示す図、(c)は蓋を所定位置に嵌挿した状態でリング押えが押圧位置にある状態を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態に係るストレーナにおいて、リング押えが押圧位置及び解除位置にあるときのリング部材の拡径状態を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態に係るストレーナにおいて、リング押えが押圧位置にあるときの状態を示す要部断面図である。
【図10】本発明の別の実施の形態に係るストレーナを示す分解斜視図である。
【図11】本発明の別の実施の形態に係るストレーナを示す平面図である。
【図12】本発明の別の実施の形態に係るストレーナを示す正面断面図である。
【図13】本発明の別の実施の形態に係るストレーナにおいて、拡径保持機構を示す要部断面図である。
【図14】本発明の実施の形態に係るストレーナであって、位置認知機構の別の例を備えたストレーナを示し、(a)は平面図、(b)は要部側面断面図である。
【図15】従来のストレーナの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係るストレーナについて詳細に説明する。
図1乃至図9には、本発明の実施の形態に係るストレーナSを示している。ストレーナSの基本的構成は、流入口2及び流出口3を有した流路4を有した本体1と、本体1に形成された孔部10を開閉する蓋11と、本体1の流路4内に孔部10を通して着脱可能に装着され流体が流入する流入開口51を有したカップ状のスクリーン50とを備えてなる。
【0024】
本体1は、図1乃至図4に示すように、その流路4を直線状とする管体であって鋳物で形成されている。この本体1の流入口2及び流出口3の内縁には、夫々、流体が流れる他の管体に本体1を取り付けるためのフランジ5が形成されている。また、本体1の流入口2側の流路4を形成する内壁内側には、スクリーン50の装着時にスクリーン50の開口端部が挿入される端部保持部6が形成されている。端部保持部6は、スクリーン50の流入開口51の挿入時にその端面が当接可能な段差面6aを有している。
【0025】
更に、図4に示すように、流路4を形成する内壁には、本体1の軸線と挿入時のスクリーン50の軸線とが同軸になるようにスクリーン50を支持してガイドするガイド突起7が設けられている。このガイド突起7のスクリーン50と当接する当接面はスクリーン50の外側に沿うように円周面に形成されている。
更にまた、この本体1の側壁に、スクリーン50の出し入れを行なうための孔部10が設けられている。この孔部10は円形筒状に形成されている。
【0026】
孔部10にはこれを開閉する蓋11が設けられる。この蓋11は、本体1と同様の鋳物で中心軸Pを有した円盤状に形成されており、孔部10の所定深さ位置に嵌挿可能に形成されている。孔部10の内周には、蓋11の下面外周縁部が当接する段差部12が形成されており、この段差部12に当接した状態で、蓋11は孔部10の所定深さ位置に位置決めされる。尚、段差部12に至る途中にも、テーパ状の段差部13(図6)が形成されており、徐々に蓋11が孔部10に嵌着されるようにしている。
また、孔部10の内周及び蓋11の外周のいずれか一方には、他方に弾接するシール部材14が設けられている。実施の形態では、シール部材14は、ゴム製のO−リングで構成され、蓋11の外周に形成した溝部15に環着されている。
【0027】
また、孔部10の内周には、嵌挿された蓋11の上面外周に沿う溝16が形成されている。また、蓋11の上には、バネ材料で形成され拡径されて外周部が溝16に挿入され且つ内周部が蓋11の上面外縁部を押さえるリング部材20が配置されている。リング部材20は、断面円形であり、環状のバネ材料の一部を切り欠いた切欠き部21を有したC字状に形成されており、切欠き部21を構成する両端部には外向きの突出部22が一体形成されている。孔部10の周囲を構成する壁部には、溝16に連通しリング部材20の装着時にその突出部22が外側に突出して臨む上解放の凹所23が、等角度(180°)の位置関係で、一対形成されている。
【0028】
更に、孔部10を構成する壁部の端面には、本体1をウインチなどで吊り下げ移動するために、ウインチのフックを係止するためのアイボルト26が、等角度(180°)の位置関係で、一対立設されている。
更にまた、蓋11には、本体1内部の圧力を抜くための、コック27aの手動操作で開閉を行うボールバルブ27が設けられている。
尚、符号28は、本体1に設けられ圧力抜きあるいは液抜き用のプラグである。
【0029】
そして、本ストレーナSは、上記のリング部材20を拡径して保持する手動の拡径保持機構30を備えている。
拡径保持機構30は、蓋11の上側に上下方向に移動可能に設けられ移動によりリング部材20を拡径方向に押圧する押圧位置X及びリング部材20の押圧を解除する解除位置Yに位置可能なリング押え31を備えて構成されている。拡径保持機構30は、このリング押え31を解除位置Yから押圧位置Xに手動により移動させて押圧位置Xに保持する。
詳しくは、リング押え31は、蓋11の外形とほぼ同形の外径を有した円環状の円環体32と、円環体32に架設され、手で把持して円環体32を移送可能にする架設部材33とを備えて構成されている。リング押え31の円環体32の下側外周縁は、押圧位置X方向への移動時に、リング部材20の内側に当接しリング部材20を拡径方向に押圧する傾斜面に形成された当接部34を有して構成されている。リング押え31の架設部材33の中央には貫通孔35が形成されている。
一方、蓋11の上面外縁部36は、リング部材20の内側に当接し蓋11の開方向への移動時にリング部材20を拡径方向に押圧する傾斜面に形成されている。
【0030】
そしてまた、拡径保持機構30は、リング押え31を解除位置Y方向に付勢するスプリング37を備えて構成され、リング押え31をスプリング37の付勢力に抗して移動させて押圧位置Xに位置させる一方リング押え31をスプリング37の付勢力により解除位置Yに移動可能にするよう構成されている。
また、拡径保持機構30は、蓋11の中心の上面に立設されるとともにリング押え31の架設部材33の中央に形成した貫通孔35が挿通され、リング押え31を移動可能に支持するスタッドボルト40と、リング押え31の上側でスタッドボルト40に進退可能に螺合し進出時にリング押え31を押圧して押圧位置Xに位置させ後退時にリング押え31を解除位置Yに移動可能にする手動の進退部材41とを備えて構成されている。進退部材41は、手で操作可能な棒状のハンドル型に形成されている。スプリング37は、スタッドボルト40に挿通され蓋11とリング押え31との間に設けられるコイルスプリングで構成されている。
【0031】
また、スタッドボルト40の進退部材41の上側には、進退部材41がリング押え31を押圧位置Xに位置させた状態で、この進退部材41をロックする蝶ナット42が螺合している。更に、蝶ナット42の上側には、進退部材41がリング押え31を解除位置Yに位置する位置で、リング押え31の円環体32の下面と蓋11の上面との間E(図6)を、例えば4mmの所定の間隔に保持し、リング部材20の縮径を許容するための一対の位置決めナット43が螺合している。
【0032】
更に、本ストレーナには、リング押え31が押圧位置Xに位置したことを認知するための位置認知機構70が設けられている。具体的には、孔部10の周囲を構成する壁部には、蓋11の上下方向軸線に直行する方向の軸線を有する雌ネジ24が、等角度(180°)の位置関係で、一対形成されている。各雌ネジ24には、この雌ネジ24に螺合し雌ネジ24に外側からねじ込まれて、押圧位置Xにあるリング押え31(図4,図6(c))の上側に臨む雄ネジ25aを有した蝶ボルト25が設けられている。位置認知機構70は、この各雌ネジ24及びこれらに螺合する蝶ボルト25で構成されている。
【0033】
そして、予め、図6に示すように、蓋11にリング部材20と拡径保持機構30を付帯しておく。即ち、蓋11にスタッドボルト40を立設し、リング部材20を蓋11の上に配置し、スタッドボルト40にスプリング37を挿通し、それから、リング押え31をその貫通孔35をスタッドボルト40に貫通させて蓋11の上に配置する。その後、スタッドボルト40に進退部材41,蝶ナット42及び位置決めナット43を螺合する。この場合、蓋11の上面からリング押え31の下面が所定間隔離間して、リング部材20を縮径させておくようにする。
【0034】
スクリーン50は、図1,図4及び図5に示すように、本体1の流路4内に設けられ流入開口51及び底部51aを有したカップ状に形成されている。このスクリーン50は、円筒形のカップ状に形成されステンレス等の金属製の網状部材52を備えている。網状部材52の両端には、ステンレス等の金属製でリング状の前フレーム53及び後フレーム54が溶接により固設されている。前フレーム53はスクリーン50の流入開口51を有した開口端部55を構成する一方、後フレーム54は後述の押圧部材65を構成する。網状部材52は、多数の小孔を有した金属製パンチ板で形成された外側部材(図示せず)と、外側部材の内側に溶接により付設され金属製ネットで形成された内側部材(図示せず)とを備えて構成されている。内側部材を構成する金属製ネットは、例えば、20メッシュ〜200メッシュのもので構成される。例えば、100メッシュ(1インチ四方に、1×104個の目を持つもの)のものが使用される。網状部材52は、金属製パンチ板と金属製ネットとの2層構造なので、強度が高くなる。
【0035】
前フレーム53からなる開口端部55の外周には、本体1の端部保持部6の内周面に弾接するシールリング56が設けられている。実施の形態では、シールリング56は、ゴム製のO−リングで構成され、前フレーム53の外周に形成した溝部57に環着されている。スクリーン50には把手58が設けられている。
【0036】
また、本体1には、スクリーン50の開口端部55が端部保持部6から抜けることを阻止する抜け止め手段60が設けられている。
抜け止め手段60は、本体1の流路4を形成する内壁であってスクリーン50の底部51aよりも流出口3側に設けられる挿通孔61と、一端が挿通孔61に挿通されてスクリーン50の底部51aを押える押え杆62とを備えて構成されている。挿通孔61は、本体1の流路4を形成する内壁であって、本体1に装着された蓋11に対向する部位に設けられている。押え杆62の他端は、装着された蓋11に係止可能に形成されている。具体的には、押え杆62の他端62aは、装着された蓋11の下面に当接して押さえられる平面状に形成されている。
【0037】
また、抜け止め手段60は、押え杆62に同軸に上下一対設けられ押え杆62の他端側に向けて末広がりの円錐台部63,64と、スクリーン50の底部51aに設けられ円錐台部63,64の円錐面63a,64aに当接しスクリーン50の流出口3側への移動により押え杆62の他端を蓋11の下面に向けて押圧する押圧部材65とを備えて構成されている。押圧部材65は、スクリーン50の網状部材52の底部51aの外周に固設した後フレーム54で構成されている。そして、押圧部材65である後フレーム54の外周が上側の円錐台部63の円錐面63aに当接し、後フレーム54の内周が下側の円錐台部64の円錐面64aに当接する。尚、挿通孔61は、その形成時に本体1を貫通させるので、その外側はめくらプラグ66で塞がれている。
【0038】
従って、この実施の形態に係るストレーナSにおいて、スクリーン50を本体1に装着するときは、図5に示すように、先ず、本体1の蓋11を取り外して孔部10を開にし、スクリーン50の把手58を把持してこのスクリーン50をその底部51a側から孔部10に入れて流路4内に収容する(図5中、S1→S2)。流路4内では、スクリーン50をガイド突起7に載置し、スクリーン50の流入開口51を本体1の端部保持部6に対峙させる(図5中、S2)。それから、スクリーン50の開口端部55を端部保持部6に挿入する(図5中、S3)。次に、押え杆62を本体1内に入れその一端を貫通孔35に挿通して支持する(図5中、S4→S5)。この場合、押え杆62は手動で装着でき、しかも、挿通孔61に挿通するだけの簡単な作業でよいので、従来に比較して極めて簡単に行われ、作業性の向上を図ることができる。
【0039】
この状態で、本体1の孔部10を蓋11で塞ぐ。この場合、先ず、図6及び図7(a)に示すように、リング部材20と拡径保持機構30を付帯した蓋11を孔部10に入れる。次に、図7(b)に示すように、蓋11を孔部10に押し込み、蓋11を所定深さ位置に嵌挿する。そして、図7(c)に示すように、拡径保持機構30を手動で作動する。この際には、進退部材41をスタッドボルト40に対してねじ込んでいく。進退部材41はハンドル型なので操作性がよいものになっている。この操作においては、従来の蓋のシールは、蓋の裏面と孔部の開口端面との面接触によるので、ナットを堅く締め付けなければシールできず、締め付け荷重が大きくなるが、リング部材20は、比較的小さい荷重で拡径できるので、スタッドボルト40に螺合した進退部材41を手動で回転させる簡易な操作でよく、簡易な機構にして、作業性を向上させることができる。これにより、図8に示すように、リング押え31が押圧位置Xに移動させられ、リング部材20が拡径されて保持される。
【0040】
この状態で、図4及び図7(c)に示すように、位置認知機構70により、リング押え31が押圧位置Xに位置したことを認知して確認を行う。具体的には、蝶ボルト25をねじ込む。この場合、蝶ボルト25の雄ネジ25aがねじ込まれないで、リング押え31の側面に当接したならば、リング押え31が押圧位置Xに位置していないことが認知できる。その場合には、リング押え31を押圧位置Xに位置させるように、進退部材41を更にスタッドボルト40に対してねじ込んでいく。また、蝶ボルト25の雄ネジ25aがねじ込まれて、リング押え31の上側に臨むならば、リング押え31が押圧位置Xに位置したことを認知できる。そのため、リング部材20を確実に溝16に挿入できるので、リング部材20が溝16に入らない誤作動を防止することができる。
【0041】
また、リング押え31が押圧位置Xに位置したならば、蝶ナット42をねじ込んで進退部材41をロックする。図9に示すように、リング部材20が拡径すると、リング部材20の外周部が孔部10の溝16に挿入され且つ内周部が蓋11の上面外縁部36を押さえ、即ち、リング部材20が溝16と蓋11との境界に跨って配置され、蓋11を押える。この場合、リング押え31の当接部34を傾斜面に形成したので、リング押え31によるリング部材20を拡径方向に押圧する分力が大きくなり、それだけ、リング部材20の拡径を容易に行って、拡径を保持することができる。
このようにして、手動で蓋11を閉めて固定することができるので、作業性の向上を図ることができる。この状態では、蓋11の外周に設けられたシール部材14が孔部10の内周に弾接してシールを行う。また、押え杆62は、その他端が装着された蓋11の下面に当接して押さえられる。
【0042】
ストレーナSの使用時においては、流入口2から流体が流入すると、この流体に混在する異物がスクリーン50で濾過されて流出口3から流出するようになる。この場合、スクリーン50は押え杆62によってその底部51aが押えられているので、スクリーン50の移動が阻止される。そのため、スクリーン50の前フレーム53からなる開口端部55には、シールリング56が設けられ、このシールリング56が本体1の端部保持部6の内周面に弾接しているので、スクリーン50の開口端部55の外周面と本体1の端部保持部6の内周面との間から、流体に含まれるゴミ等の異物が網状部材52に濾過されずに通過してしまう事態が防止される。即ち、シールリング56によるシール性を確保することができ、スクリーン50の開口端部55の外周と端部保持部6の内周との間からゴミなどが通過してろ過不良を生じる事態を防止することができ、確実にスクリーン50での捕捉を行うことができるようになる。その結果、スクリーン50のネットのメッシュに細かいものを使用しても、このメッシュより粗いゴミ等の異物がスクリーン50の開口端部55と端部保持部6との間から逃げ出すことがなく、目の細かいスクリーン50にも対応できるようになる。
【0043】
また、押え杆62の一端は挿通孔61に保持され、他端は蓋11に係止されて保持されるので、押え杆62の保持が安定し、確実にスクリーン50を押えることができる。この場合、流体によりスクリーン50が流出口3側に押されても、スクリーン50の押圧部材65(後フレーム54)が押え杆62の円錐台部63,64の円錐面63a,64aを徐々に押し上げ、より一層押え杆62は蓋11によって押えられることになり、確実にスクリーン50の移動が阻止される。
【0044】
また、この流体の流れている際には、蓋11が閉められた状態なので、蓋11の外周に設けられたシール部材14が孔部10の内周に弾接してシールを行う。この場合、本体1の流路4に内圧がかかるなどしても、リング部材20が溝16と蓋11との境界に跨って配置されて蓋11を押えるので、蓋11が傾くなどすることなく安定することから、シール部材14によるシール性を確保することができ、流体の漏れを阻止することができる。特に、蓋11が閉められた状態では、本体1の流路4の内圧により、蓋11が浮き上がって開方向へ移動しようとするが、この蓋11によってリング部材20が溝16の壁面に押圧されるので、それだけ、押えが確実になることから、確実に蓋11が固定され、シール性が確保される。
また、図9に示すように、蓋11が閉められた状態で、本体1の流路4に内圧がかかるなどして、蓋11が浮き上がって開方向へ移動すると、蓋11が抜けようとするが、蓋11の上面外縁部36が傾斜面に形成されているので、この傾斜面により、リング部材20を拡径方向に押圧する分力が大きくなり、それだけ、押えが確実になることから、より一層確実に蓋11が固定され、シール性が確保される。
【0045】
そして、ストレーナSの使用に伴い、スクリーン50の網状部材52にゴミが溜まったときには、スクリーン50の洗浄を行い、あるいは、しばしば網状部材52が損傷したり破損したりすることがあり、この場合には網状部材52の交換を行う。この場合には、蓋11を本体1の孔部10から取り外し、スクリーン50の取り出しを行う。
この際には、蓋11の取り外しは、本体1の流路4内の内圧が無い状態にして、上記とは逆の工程をとる(図7(c)→図7(b)→図7(a)→図6)。即ち、蝶ボルト25を緩めるとともに、拡径保持機構30の蝶ナット42を緩めて進退部材41のロックを解除し、それから進退部材41を緩めていき、拡径保持機構30によるリング部材20の拡径保持を解除する。これにより、リング部材20はバネ材料で形成されているので、縮径し、リング部材20の外周部が孔部10の溝16から外れるようになる。このとき、図7(b)に示すように、拡径保持機構30のスプリング37の付勢力により、リング押え31が解除位置Y方向に強制的に移動させられるので、リング部材20の拡径解除が確実に行われ、リング部材20の外周部が孔部10の溝16から確実に外れるようになる。
【0046】
この場合、もし、リング部材20の縮径が不十分で、リング部材20の外周部が孔部10の溝16から外れにくくなる場合には、図2に示すように、C字状の切欠き部の両端部にある外向きの突出部22を、互いに近接するように手動で移動させる、これにより、リング部材20が強制的に縮径するので、リング部材20の外周部を孔部10の溝16から確実に外すことができ、これにより蓋11を容易に外すことができるようになる。
図6に示すように、リング部材20と拡径保持機構30を付帯した蓋11を孔部10から引き抜いて取り外す。この場合、リング部材20による蓋11の押さえがなくなるので、蓋11を容易に外すことができるようになる。このため、手動で蓋11の固定を解除して開けることができるので、作業性の向上を図ることができる。
【0047】
そして、スクリーン50の取り出しを行う。この場合も、図5に示す上記の工程とは逆の工程をとる。即ち、押え杆62を挿通孔61から手で引き抜き、スクリーン50の取り出しを行う。この際には、押え杆62及びスクリーン50を手動で取り外すことができるので、作業が従来に比較して極めて簡単に行われ、作業性の向上を図ることができる。次に、上記と同様に、スクリーン50を孔部10から流路4内に入れ、本体1の端部保持部6にスクリーン50の開口端部55を挿入する。次に、押え杆62を手動で装着し、上記と同様に再び蓋11を閉める。この場合も、押え杆62は手動で装着できるので、蓋11を開けた状態でのスクリーン50の装着は、従来に比較して極めて簡単に行われ、作業性の向上を図ることができる。即ち、蓋11の開閉もスクリーン50の着脱も両者とも手動操作で行うことができるので、より一層、スクリーン50の着脱作業性を向上させることができるのである。
【0048】
ところで、一般には、ストレーナSにおいては、蓋11を開けるのは、本体1の流路4の内圧が無い状態で行うのが通常であるが、これに反して、本体1の流路4に内圧がかかった状態で、誤って、蓋11を開けようとする場合もありうる。しかしながら、実施の形態では、このように本体1の流路4に内圧がかかった状態で、誤って、蓋11を開けようとして、拡径保持機構30を手動で作動しても、内圧により蓋11が外側に押されているので、リング部材20を溝16に対して押圧することから、リング部材20が縮径しようとしてもこれが阻止される。そのため、蓋11が内圧により外側に飛び出る事態が防止され、安全性を確保することができる。即ち、本ストレーナSにおいては、内圧が無くなってからでないと蓋11を開けることができない構造なので、手動で簡易に蓋11を開けることができるという操作性の向上を図りつつ、蓋11を開ける際の安全性も確保することができる。
特に、蓋11の上面外縁部36が傾斜面に形成されているので、この傾斜面により、リング部材20を拡径方向に押圧する分力が大きくなり、それだけ、押えが確実になることから、より一層確実に蓋11が固定され、蓋11が内圧により外側に飛び出る事態を確実に防止して、安全性を向上させることができるのである。
【0049】
図10乃至図13には、本発明の別の実施の形態に係るストレーナSを示している。これは、上記のストレーナSと異なって、拡径保持機構30においては、スタッドボルト40を複数設け、リング押え31に各スタッドボルト40に対応した貫通孔35を形成し、各スタッドボルト40にコイルスプリング37を設けている。貫通孔35は、リング押え31の円環体32に、等角度(90°)の位置関係で4つ設けられている。貫通孔35は、図13に示すように、上側の小径部35aと下側の大径部35bとからなり、スプリング37は、大径部35bに収容され、大径部35bと小径部35aとの段部と蓋11の上面とで両端が押えられている。貫通孔35に対応する蓋11の外周部に、スタッドボルト40が4本立設されている。上記と異なって、進退部材41は蝶ナットで構成され、ロック用の蝶ナット及びナットは設けられていない。代わりに、スタッドボルト40に挿通されるスプリングワッシャ45を備えている。この別の実施の形態に係るストレーナSにおいても、上記と同様の作用,効果を奏する。
【0050】
図14には、位置認知機構70の別の例を備えたストレーナSを示す。これは、上記のスタッドボルト40を備えたタイプのストレーナである。位置認知機構70は、上記と異なり、スタッドボルト40の所定位置に、スタッドボルト40の軸線に直行する貫通孔71を形成し、この貫通孔71に挿通されリング押え31を押圧位置Xに位置させた進退部材41の上側に臨むピン72を設けて構成されている。ピン72は、貫通孔71への挿入時にスタッドボルト40を挾持する略U字状に折曲形成された押え部72aを有した所謂スナップリングで構成されている。尚、図14中符号75は、本体1内部の圧力を抜くための手動開閉型のバルブであり、上記のボールバルブ27に代わるものである。また、本例では、進退部材41をロックする蝶ナット42は設けられていない。
【0051】
これによれば、進退部材41を進出させてリング押え31を押圧位置Xに位置させてから、ピン72を貫通孔71に差し込む。この場合、ピン72が貫通孔71に差し込まれないでスタッドボルト40に当たる場合には、リング押え31が押圧位置Xに位置していないことを認知できる。また、ピン72が貫通孔72に差し込まれて、進退部材41の上側に臨むならば、リング押え31が押圧位置Xに位置したことを認知できる。そのため、リング部材20を確実に溝16に挿入できるので、リング部材20が溝16に入らない誤作動を防止することができる。
【0052】
尚、上記実施の形態において、スタッドボルト40の数や設ける位置は、上述したものに限定されるものではなく、適宜変更して差し支えない。リング部材20の形状も断面円形に限定されず、断面矩形など適宜変更して差し支えない。そのほか、拡径保持機構30の構成は、上述したものに限定されない。
また、本発明では、蓋は上記実施の形態に係る蓋に限定されるものではなく、例えば、従来と同様に、ボルト,ナットで固定するタイプのもの、蓋自体をねじ込むタイプのもの等、どのような形態のものでも適用できることは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
S ストレーナ
1 本体
2 流入口
3 流出口
4 流路
6 端部保持部
6a 段差面
7 ガイド突起
10 孔部
11 蓋
12 段差部
14 シール部材
15 溝部
16 溝
20 リング部材
21 切欠き部
22 突出部
23 凹所
24 雌ネジ
25 蝶ボルト
26 アイボルト
27 ボールバルブ
28 プラグ
30 拡径保持機構
31 リング押え
X 押圧位置
Y 解除位置
32 円環体
33 架設部材
34 当接部
35 貫通孔
36 上面外縁部
37 スプリング
40 スタッドボルト
41 進退部材
42 蝶ナット
43 ナット
45 スプリングワッシャ
50 スクリーン
51 流入開口
51a 底部
52 網状部材
53 前フレーム
54 後フレーム
55 開口端部(前フレーム53)
56 シールリング
57 溝部
60 抜け止め手段
61 挿通孔
62 押え杆
63,64 円錐台部
63a,64a 円錐面
65 押圧部材(後フレーム54)
66 プラグ
70 位置認知機構
71 貫通孔
72 ピン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入口及び流出口を有した流路を備えた本体と、該本体の流路内に設けられ流入開口及び底部を有したカップ状のスクリーンと、該本体の側面に設けられ上記スクリーンの出し入れを行なうための孔部と、該孔部を閉塞する着脱可能な蓋とを備え、上記本体の流入口側の流路を形成する内壁内側に上記スクリーンの開口端部が挿入される端部保持部を形成してなるストレーナにおいて、
上記スクリーンの開口端部の外周に、上記端部保持部の内周面に弾接するシールリングを設け、上記本体に、上記スクリーンの開口端部が上記端部保持部から抜けることを阻止する手動で着脱可能な抜け止め手段を設けたことを特徴とするストレーナ。
【請求項2】
上記抜け止め手段を、上記本体の流路を形成する内壁であって上記スクリーンの底部よりも流出口側に設けられる挿通孔と、一端が上記挿通孔に挿通されて上記スクリーンの底部を押える押え杆とを備えて構成したことを特徴とする請求項1記載のストレーナ。
【請求項3】
上記挿通孔を、上記本体の流路を形成する内壁であって該本体に装着された上記蓋に対向する部位に設け、上記押え杆の他端を該装着された蓋に係止可能に形成したことを特徴とする請求項2記載のストレーナ。
【請求項4】
上記抜け止め手段を、上記押え杆に同軸に設けられ該押え杆の他端側に向けて末広がりの円錐台部と、上記スクリーンの底部に設けられ上記円錐台部の円錐面に当接し上記スクリーンの上記流出口側への移動により上記押え杆の他端を上記蓋の下面に向けて押圧する押圧部材とを備えて構成したことを特徴とする請求項3記載のストレーナ。
【請求項5】
上記押圧部材を上記底部外周に固設したリング状のフレームで構成したことを特徴とする請求項4記載のストレーナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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