説明

ストロボ装置

【課題】本発明は、小光量発光モードと、大光量発光モードと、フラット発光モードとを小電力で最適な発光制御を可能とするストロボ装置を得る。
【解決手段】本発明のストロボ装置は、昇圧回路1と、メインコンデンサ2と、閃光放電管3と、IGBT4と、閃光放電管3に供給する発光用電流を制限する電流制限手段6と、該電流制限手段6への発光用電流の供給をバイパス可能な第1の切替手段7と、電流制限手段6に発生する誘導電流を電流制限手段6に還流可能な第2の切替手段8とを備え、第2の切替手段8は、電流制限手段6と逆方向に並列接続して電流制限手段6に発生する誘導電流を電流制限手段6に還流可能に切り替える第2のサイリスタ11と、該第2のサイリスタ11をオン・オフするMOS−FET12と、該MOS−FET12をオン・オフするトランジスタ(スイッチング素子)13とを備える構成を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小光量発光モードと、大光量発光モードと、フラット発光モードとを切り替え可能な発光制御回路を備えるストロボ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、写真撮影の際に被写体を照明する光源としてストロボ装置が多用されている。このようなストロボ装置には、小光量で発光する小光量発光モードと、大光量で発光する大光量発光モードとを切替可能な発光制御回路を備えるもの(特許文献1参照)や、小光量発光モード又は大光量発光モードと、略一定の輝度で所定時間発光を継続するフラット発光モードとを切替可能な発光制御回路を備えるもの(特許文献2、3参照)などがある。
【0003】
具体的には、特許文献1に記載されたストロボ装置の発光制御回路は、図3(a)に示すように、電源電池Eと、電源電圧を昇圧する昇圧回路1と、該昇圧回路1によって昇圧された電圧により電荷を蓄積するメインコンデンサ2と、該メインコンデンサ2の蓄積電荷を消費することで発光する閃光放電管3と、該閃光放電管3の発光強度に応じてスイッチング動作を行うIGBT4と、閃光放電管3を励起するためのトリガ回路5と、メインコンデンサ2と閃光放電管3と直列接続された第1の電流制限コイル14及び第2の電流制限コイル15と、第1の電流制限コイル14に逆方向に並列接続する第1の還流ダイオード16と、第2の電流制限コイル15に順方向に並列接続して第2の電流制限コイル15をバイパス可能に切り替える第1のサイリスタ17と、閃光放電管3、第1の電流制限コイル14及び第2の電流制限コイル15と逆方向に並列接続する第2の還流ダイオード18とを備える。
【0004】
また、特許文献2に記載されたストロボ装置の発光制御回路は、図3(b)に示すように、電源電池Eと、昇圧回路1と、メインコンデンサ2と、閃光放電管3と、IGBT4と、トリガ回路5と、(第1の)電流制限コイル14と、該(第1の)電流制限コイル14に逆方向に並列接続して(第1の)電流制限コイル14をバイパス可能に切り替える第2のサイリスタ19と、該第2のサイリスタ19のゲートに直列接続されるダイオード20と、第2のサイリスタ19をオン・オフするトランジスタ21と、閃光放電管3、(第1の)電流制限コイル14と逆方向に接続する(第2の)還流ダイオード18とを備える。
【0005】
また、特許文献3に記載されたストロボ装置の発光制御回路は、図3(c)に示すように、電源電池Eと、昇圧回路1と、メインコンデンサ2と、閃光放電管3と、IGBT4と、トリガ回路5と、(第2の)電流制限コイル15と、第1のサイリスタ17と、該第1のサイリスタ17のゲートに直列接続される切替回路22と、閃光放電管3、(第2の)電流制限コイル15と逆方向に接続する(第2の)還流ダイオード18とを備える。切替回路22は、トライアック(双方向サイリスタ)を用いてスイッチングを行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10− 48714号公報
【特許文献2】特開平 8−160509号公報
【特許文献3】特開2006− 84608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載されたストロボ装置の発光制御回路は、発光波形の緩やかな増加、減少が要求されるFP発光(フラット発光)と、発光波形の急峻な立ち上がり、立下りが要求される閃光発光の相反する発光波形を実現することを目的とし、小光量発光モードIと大光量発光モードIIとを切替可能な回路構成を有する。小光量発光モードIでは、メインコンデンサ2から供給される発光用電流は、サイリスタ17をオフすることにより、第1の電流制限コイル14及び第2の電流制限コイル15を介して閃光放電管3に供給される。よって、小光量発光モードIでは、閃光放電管3の閃光波形の立ち上がりが緩やかになり、発光量の制御性がよい。
【0008】
一方、大光量発光モードIIでは、閃光放電管3の閃光波形の立ち上がりを緩やかにする必要はなく、むしろ鋭くしてその発光量を増加させることが求められる。そこで、この発光制御回路では、サイリスタ17をオンすることによって、第2の電流制限コイル15をバイパスするように切り替えることができる。しかし、第1の電流制限コイル14は、バイパスすることができないため、発光用電流が第1の電流制限コイル14に流れる分だけ、閃光波形の立ち上がりが鈍くなる。
【0009】
特許文献2に記載されたストロボ装置の発光制御回路は、通常発光モード(小光量発光モードI又は大光量発光モードIIのいずれか)とフラット発光モードIIIとを切替可能な回路構成を有する。この通常発光モードを小光量発光モードIとして用いる場合は、発光用電流が(第1の)電流制限コイル14を介して閃光放電管3に供給されるため、閃光放電管3の閃光波形の立ち上がりが緩やか穏やかになり、発光量の制御性がよい。しかし、大光量発光モードIIとして用いる場合は、(第1の)電流制限コイル14は、バイパスすることができないため、発光用電流が第1の電流制限コイル14に流れる分だけ、閃光波形の立ち上がりが鈍くなるとともに、その分の光量が損失となる。
【0010】
また、この発光制御回路は、ダイオード20のアノード電圧が上昇する場合に第2のサイリスタ19のゲート電圧を上げて、導通を遮断するようになっているが、そのために大電力が必要となる。
【0011】
特許文献3に記載されたストロボ装置の発光制御回路は、通常発光モード(大光量発光モードII)とフラット発光モードIIIとを切替可能な回路構成を有する。この発光制御回路は、通常発光モードを小光量発光モードIに用いる場合は、切替回路22によって第1のサイリスタ17をオンすることにより、(第2の)電流制限コイル15を介して閃光放電管3に供給される。しかし、切替回路22にトライアックを用いており、スイッチング速度が速く、立ち上がり動作に伴う閃光波形が鋭く、発光量の制御性が悪い。
【0012】
通常発光モードを大光量発光モードIIに用いる場合は、切替回路22によって第1のサイリスタ17をオフすることにより、(第2の)電流制限コイル15をバイパスして閃光放電管3に供給される。よって、大光量発光モードIIでは、閃光放電管3の閃光波形の立ち上がりが鋭くなり、発光量を増加させることができる。
【0013】
特許文献3に記載されたストロボ装置の発光制御回路は、特許文献1、2に記載されたストロボ装置の発光制御回路の、大光量発光モードIIでの閃光波形の立ち上がりが鈍くなるという課題を解決することができる。しかし、小光量発光モードIでの閃光波形の立ち上がりが鋭くなるという課題を解決することができない。特許文献2に記載されたストロボ装置の発光制御回路は、この特許文献3に記載されたストロボ装置の発光制御回路の課題を解決することができるが、第2のサイリスタ19の導通の遮断に大電力が必要である。
【0014】
本発明は、小光量発光モードと、大光量発光モードと、フラット発光モードとを小電力で最適な発光制御を可能とするストロボ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明のストロボ装置は、小光量で発光する小光量発光モードと、大光量で発光する大光量発光モードと、略一定の輝度で所定時間発光を継続するフラット発光モードとに切替可能なストロボ装置であって、電源電圧を昇圧する昇圧回路と、該昇圧回路によって昇圧された電圧により電荷を蓄積するメインコンデンサと、該メインコンデンサの蓄積電荷を消費することで発光する閃光放電管と、該閃光放電管の発光強度に応じてスイッチング動作を行うIGBTと、メインコンデンサから閃光放電管に供給する発光用電流を制限する電流制限手段と、該電流制限手段への発光用電流の供給をバイパス可能な第1の切替手段と、電流制限手段に発生する誘導電流を電流制御手段に還流可能な第2の切替手段とを備え、第2の切替手段は、電流制限手段と逆方向に並列接続して電流制限手段に発生する誘導電流を電流制御手段に還流可能に切り替えるサイリスタと、該サイリスタをオン・オフするMOS−FETと、該MOS−FETをオン・オフするスイッチング素子とを備える構成を有している。
【0016】
かかる構成によれば、小光量発光モードで第1の切替手段を電流制限手段への発光用電流の供給を許容するように動作させることにより、閃光放電管への発光用電流が制限され、閃光放電管の閃光波形の立ち上がりが緩やかにすることができる。所定の発光量に達することにより、閃光放電管の発光を停止する場合においても、第2の切替手段を電流制限手段に発生する誘導電流を電流制御手段に還流可能なように動作させることにより、閃光放電管への発光用電流の供給を遮断することができ、発光量の制御性がよい。
【0017】
大光量発光モードで第1の切替手段を電流制限手段への発光用電流の供給がバイパスされるように動作させることにより、閃光放電管への発光用電流が電流制限手段による損失を伴うことはなく、閃光放電管の閃光波形の立ち上がりを鋭くすることができ、発光量を増加させることができる。
【0018】
フラット発光モードで第1の切替手段を電流制限手段への発光用電流の供給を許容することにより、閃光放電管の閃光波形を一定の輝度で発光させることができる。
【0019】
そして、第2の切替手段は、その制御にサイリスタを用いることにより、その切り替えを小電力で動作させることができる。このように、第1及び第2の切替手段を用いることにより、小光量発光モードと、大光量発光モードと、フラット発光モードとを小電力で最適な発光制御を可能とする。
【0020】
また、請求項2に記載の発明において、第1の切替手段は、電流制限手段と順方向に並列接続して電流制限手段への発光用電流の供給をバイパス可能なサイリスタを備える構成を有することが好ましい。
【0021】
かかる構成によれば、サイリスタをオフさせることにより、電流制限手段への発光用電流の供給を許容し、サイリスタをオンさせることにより、電流制限手段への発光用電流の供給を制限し、バイパスすることができる。
【0022】
また、請求項3に記載の発明において、スイッチング素子は、トランジスタであることが好ましい。
【0023】
かかる構成によれば、トランジスタをオン・オフすることによりMOS−FET、サイリスタを制御し、よって、第2の切替手段を制御することができる。
【発明の効果】
【0024】
これにより、小光量発光モードと、大光量発光モードと、フラット発光モードとを小電力で最適な発光制御を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係るストロボ装置の回路構成を示すブロック図
【図2】同実施形態の各発光モードにおける閃光波形を示す図
【図3】(a)〜(c)は、従来のストロボ装置の回路構成の一部を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態に係るストロボ装置について図面を参酌しつつ説明する。まず、本実施形態に係るストロボ装置の回路構成について、図1を参酌しつつ説明する。
【0027】
本実施形態に係るストロボ装置は、電源電池Eと、該電源電池Eからの電源電圧を直流高電圧に昇圧する昇圧回路1と、該昇圧回路1によって昇圧された直流高電圧により電荷を蓄積する(充電する)メインコンデンサ2と、該メインコンデンサ2の蓄積電荷を消費することで発光するキセノン管等の閃光放電管3と、該閃光放電管3の発光強度に応じてスイッチング動作を行うIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)4と、閃光放電管3を励起するためのトリガ回路5と、メインコンデンサ2から閃光放電管4に供給する発光用電流を制限する電流制限コイル6と、該電流制限コイル6への発光用電流の供給をバイパス可能な第1の切替回路7と、電流制限コイル6に発生する誘導電流を電流制限コイル6に還流可能な第2の切替手段8と、電流制限コイル6に発生する誘導電流を電流制限コイル6から電流制限コイル6に還流する還流ダイオード9とを備える。なお、電流制限コイル6は、本発明の電流制限手段であり、第1の切替回路7及び第2の切替回路8は、それぞれ本発明の第1の切替手段及び第2の切替手段である。
【0028】
電流制限コイル6は、メインコンデンサ2と閃光放電管3とに直列接続して、メインコンデンサ2から閃光放電管3への発光用電流の増加及び減少を緩やかに変化させるコイルである。
【0029】
第1の切替回路7は、メインコンデンサ2と閃光放電管3とに直列接続するとともに、電流制限コイル6と順方向に並列接続して電流制限コイル6への発光用電流の供給をバイパス可能な第1のサイリスタ10と、該第1のサイリスタ10のゲートに接続され、第1のサイリスタ10をオン・オフ制御する第1の信号入力端子S1とを備える。
【0030】
また、第1のサイリスタ10は、ダイオードD1をゲート−カソード間に逆方向に並列に接続し、コンデンサC1をゲート−カソード間に並列に接続し、抵抗R1及びコンデンサC2をゲート間に直列接続する。ダイオードD1は、フラット発光モードでの発光動作時に第1のサイリスタ10の誤動作を防止するために設けられる。コンデンサC1は、第1のサイリスタ10のフラット発光モードでの発光動作時の誤動作を防止する。抵抗R1及びコンデンサC2は、大光量発光モードでの発光動作時の第1の信号入力端子S1をトライアックでGNDにショートさせる。
【0031】
第2の切替回路8は、電流制限コイル6と逆方向に並列接続して電流制限コイル6に発生する誘導電流を電流制限コイル6に還流可能に切り替える第2のサイリスタ11と、該第2のサイリスタ11のゲートに接続され、第2のサイリスタ11をオン・オフするMOS−FET(電界効果トランジスタ)12と、該MOS−FET12のゲートに接続され、MOS−FET12をオン・オフするトランジスタ(スイッチング素子)13と、該トランジスタ13のベースに接続され、トランジスタ13をオン・オフ制御する第2の信号入力端子S2とを備える。
【0032】
また、第2のサイリスタ11は、ダイオードD2をゲート−カソード間に順方向に接続し、抵抗R2をゲート−アノード間に接続する。ダイオードD2は、発光中の第2のサイリスタ11のゲート−カソード間の破損を防止する。抵抗R2は、発光停止時後に第2のサイリスタ11をオンさせる。
【0033】
MOS−FET12は、抵抗R3をゲート−ソース間に接続し、ツェナーダイオードZDをゲート−ソース間に接続され、抵抗R3は、トランジスタ13がオフのときに、MOS−FET12のゲート−カソード間の電圧をゼロにする。ツェナーダイオードZDは、MOS−FET12のゲート電圧を必要以上かからないようにすることで、MOS−FET12の破損を防止する。
【0034】
トランジスタ13は、抵抗R4をコレクタに接続し、コンデンサC3をベース−エミッタ間に接続し、抵抗R5をベース−エミッタ間に接続し、抵抗R6をベースに接続する。抵抗R4は、トランジスタ13がオンのときにMOS−FET12のゲートバイアスを与える。コンデンサC3は、誤動作を防止する。抵抗R5は、第2の信号入力端子S2がオフのときにトランジスタ13をオフにする。抵抗R6は、第2の信号入力端子S2がオンのときにトランジスタ13のベース電流を制限する。
【0035】
以上の構成からなるストロボ装置の動作について図1、図2を参酌しつつ説明する。本実施形態のストロボ装置は、図2に示すように、第1の切替回路7及び第2の切替回路8により、小光量で発光する小光量発光モードIと、大光量で発光する大光量発光モードIIと、略一定の輝度で所定時間発光を継続するフラット発光モードIIIとに切替可能になっている。
【0036】
具体的には、図2に示す小光量発光モードI及びフラット発光モードIIIの立ち上がり時の閃光波形は、閃光放電管3の発光開始からIGBT4がオフするまでの経過時間に対して発光光量が緩やかに増加し、大光量発光モードIIの立ち上がり時の閃光波形は、加速度的に鋭く増加する。すなわち、大光量発光モードIIの立ち上がり時の発光光量は、小光量発光モードI及びフラット発光モードIIIの立ち上がり時の発光光量と比較して、その単位経過時間t当たりの発光光量の増加傾向が速くなるようになっている。一方、図2に示す小光量発光モードI及び大光量発光モードIIの立ち下がり時の閃光波形は、瞬時に減少し、フラット発光モードIIIの立ち下がり時の閃光波形は、緩やかに減少する。すなわち、小光量発光モードI及び大光量発光モードIIの立ち下がり時の発光光量は、発光停止と略同時にゼロまで減少する。フラット発光モードIIIの立ち下がり時の発光光量は、小光量発光モードI及び大光量発光モードIIの立ち下がり時の発光光量と比較して、その単位経過時間t当たりの発光光量の減少傾向が遅くなるようになっている。
【0037】
まず、小光量発光でのストロボ装置の動作について説明する(小光量発光モードI)。この場合、IGBT4がオンとなり、メインコンデンサ2の放電が開始される直前において、第1及び第2の信号入力端子S1、S2にはオン信号が検出される。この状態で、IGBT4がオンとなり、メインコンデンサ2の放電が開始される。第1の信号入力端子S1には、オフ信号が検出されており、第1のサイリスタ10は、オフする。メインコンデンサ2からの発光用電流は、電流制限コイル6を通過して閃光放電管3に供給される。このときの発光用電流の変化は、緩やかに増加する。閃光放電管3の立ち上がり時の閃光波形の変化も緩やかになる。
【0038】
発光量が所望の光量に達すると、IGBT4がオフすると同時に、第2の信号入力端子S2にオフ信号が検出される。IGBT4がオフすることにより、閃光放電管3への発光用電流が遮断されるが、電流制限コイル6には、発光用電流の減少に伴って電流の減少を妨げる方向の起電力が生じる。すなわち、電流制限コイル6にこの起電力に基づく誘導電流が発生する。第2の信号入力端子S2にオフ信号が検出されることにより、トランジスタ13がオフし、トランジスタ13のコレクタ−エミッタ間を遮断する。トランジスタ13がオフすることにより、MOS−FET12がオフして、MOS−FET12のソース−ドレイン間を遮断する。MOS−FET12がオフすることにより、第2のサイリスタ11がオンして、第2のサイリスタ11のアノード−カソード間が導通する。電流制限コイル6で発生した誘導電流は、この第2のサイリスタ11に供給され、電流制限コイル6に還流される。よって、この誘導電流は、閃光放電管3に供給されないようになっている。このときの発光用電流の変化は、瞬時に減少する。閃光放電管3の立ち下がり時の閃光波形の変化も瞬時に減少する。
【0039】
次に、大光量発光でのストロボ装置の動作について説明する(大光量発光モードII)。この場合、IGBT4がオンとなり、メインコンデンサ2の放電が開始される直前において、第1の信号入力端子S1にはオン信号が検出される(第2の信号入力信号S2は、動作に直接関係しないため、オン・オフ信号の何れであってもよい)。この状態で、IGBT4がオンとなり、メインコンデンサ2の放電が開始される。第1の信号入力端子S1には、オン信号が検出されており、第1のサイリスタ10は、オンする。メインコンデンサ2からの発光用電流は、電流制限コイル6をバイパスして閃光放電管3に供給される。このときの発光用電流の変化は、電流制限コイル6による損失を伴うことなく、増加する。閃光放電管3の立ち上がり時の閃光波形の変化を鋭くすることができ、発光量を増加させることができる。
【0040】
発光量が所望の光量に達すると、IGBT4がオフする。IGBT4がオフすることにより、閃光放電管3への発光用電流が遮断される。このとき、電流制限コイル6はバイパスされているため、電流制限コイル6に誘導電流は発生しない。発光用電流の変化は、瞬時に減少する。閃光放電管3の立ち下がり時の閃光波形の変化も瞬時に減少する。
【0041】
次に、フラット発光でのストロボ装置の動作について説明する(フラット発光モードIII)。この場合、IGBT4がオンとなり、メインコンデンサ2の放電が開始される直前において、第1及び第2の信号入力端子S1にはオフ信号、S2にはオン信号が検出される。この状態で、IGBT4がオンとなり、メインコンデンサ2の放電が開始される。第1の信号入力端子S1には、オフ信号が検出されており、第1のサイリスタ10は、オフする。メインコンデンサ2からの発光用電流は、電流制限コイル6を通過して閃光放電管3に供給される。このときの発光用電流の変化は、緩やかに増加する。閃光放電管3の立ち上がり時の閃光波形の変化も緩やかになる。
【0042】
発光強度が所定の輝度に達すると、IGBT4がオフ・オフして所定時間発光を継続する。IGBT4がオフするときは、閃光放電管3への発光用電流が遮断される。このとき、電流制限コイル6に誘導電流が発生する。誘導電流は、閃光放電管3を通過して還流ダイオード9を介して電流制限コイル6に還流する。このとき、第2のサイリスタ11は、オンさせない。よって、発光用電流の変化は、誘導電流により緩やかに減少する。閃光放電管3の閃光波形の変化も瞬時に減少せず、緩やかに減少し、発光を継続する。続けて、IGBT4がオンするときは、メインコンデンサ2からの発光用電流は、電流制限コイル6を通過して閃光放電管3に供給される。このときの発光用電流の変化は、緩やかに増加する。閃光放電管3の閃光波形の変化も緩やかに増加し、発光を継続する。そして、IGBT4をオン・オフして所定時間発光を継続する。
【0043】
発光量が所定時間に達すると、IGBT4がオフする。IGBT4がオフすることにより、閃光放電管3への発光用電流が遮断される。このとき、電流制限コイル6に誘導電流が発生する。誘導電流は、閃光放電管3を通過して還流ダイオード9を介して電流制限コイル6に還流する。このとき、第2のサイリスタ11は、オンさせない。よって、発光用電流の変化は、誘導電流により緩やかに減少する。閃光放電管3の閃光波形の変化も瞬時に減少せず、緩やかに減少する。
【0044】
このように、小光量発光モードIで第1の切替回路7を電流制限コイル6への発光用電流の供給を許容するように動作させることにより、閃光放電管3への発光用電流が制限され、閃光放電管3の閃光波形の立ち上がりが緩やかにすることができる。所定の発光量に達することにより、閃光放電管3の発光を停止する場合においても、第2の切替回路8を電流制限コイル6に発生する誘導電流を電流制限コイル6に還流可能なように動作させることにより、閃光放電管3への発光用電流の供給を遮断することができ、発光量の制御性がよい。
【0045】
大光量発光モードIIで第1の切替回路7を電流制限コイル6への発光用電流の供給がバイパスされるように動作させることにより、閃光放電管3への発光用電流が電流制限コイル6による損失を伴うことはなく、閃光放電管3の閃光波形の立ち上がりを鋭くすることができ、発光量を増加させることができる。
【0046】
フラット発光モードIIIで第1の切替回路7を電流制限コイル6への発光用電流の供給を許容することにより、閃光放電管3の閃光波形を一定の輝度で発光させることができる。
【0047】
そして、第2の切替回路8は、その制御にサイリスタ11とFET12を用いることにより、抵抗R4の値を大きくすることができるため消費電流を小さくすることができ、その結果、切り替えを小電力で動作させることができる。このように、第1及び第2の切替回路7、8を用いることにより、小光量発光モードIと、大光量発光モードIIと、フラット発光モードIIIとを小電力で最適な発光制御を可能とする。
【0048】
また、第2のサイリスタ11をオンさせることにより、電流制限コイル6への発光用電流の供給を許容し、第2のサイリスタ11をオフさせることにより、電流制限コイル6への発光用電流の供給を制限し、バイパスすることができる。
【0049】
なお、本発明に係るストロボ装置は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲でさまざまの変更が可能である。
【0050】
例えば、上記実施形態に係るストロボ装置は、スイッチング素子をトランジスタとする例を説明したが、これに限定されるものではなく、オン・オフ制御可能な半導体素子などのスイッチング素子であれば適宜変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明にかかるストロボ装置は、小光量発光モードと、大光量発光モードと、フラット発光モードとを小電力で最適な発光制御を可能とすることを有し、小光量発光モードと、大光量発光モードと、フラット発光モードとを切り替え可能な発光制御回路を備えるストロボ装置等として有用である。
【符号の説明】
【0052】
E 電源電池
1 昇圧回路
2 メインコンデンサ
3 閃光放電管
4 IGBT
5 トリガ回路
6 電流制限手段(電流制限コイル)
7 第1の切替手段(第1の切替回路)
8 第2の切替手段(第2の切替回路)
10 第1のサイリスタ(サイリスタ)
11 第2のサイリスタ(サイリスタ)
12 MOS−FET
13 トランジスタ(スイッチング素子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小光量で発光する小光量発光モードと、大光量で発光する大光量発光モードと、略一定の輝度で所定時間発光を継続するフラット発光モードとに切替可能なストロボ装置であって、電源電圧を昇圧する昇圧回路と、該昇圧回路によって昇圧された電圧により電荷を蓄積するメインコンデンサと、該メインコンデンサの蓄積電荷を消費することで発光する閃光放電管と、該閃光放電管の発光強度に応じてスイッチング動作を行うIGBTと、メインコンデンサから閃光放電管に供給する発光用電流を制限する電流制限手段と、該電流制限手段への発光用電流の供給をバイパス可能な第1の切替手段と、電流制限手段に発生する誘導電流を電流制御手段に還流可能な第2の切替手段とを備え、第2の切替手段は、電流制限手段と逆方向に並列接続して電流制限手段に発生する誘導電流を電流制御手段に還流可能に切り替えるサイリスタと、該サイリスタをオン・オフするMOS−FETと、該MOS−FETをオン・オフするスイッチング素子とを備えることを特徴とするストロボ装置。
【請求項2】
第1の切替手段は、電流制限手段と順方向に並列接続して電流制限手段への発光用電流の供給をバイパス可能なサイリスタを備える請求項1に記載のストロボ装置。
【請求項3】
スイッチング素子は、トランジスタである請求項1又は請求項2に記載のストロボ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−197530(P2011−197530A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66053(P2010−66053)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】