説明

ストロンチウムおよびビタミンDを含む組成物およびその使用

【課題】ストロンチウムおよびビタミンDを含む組成物およびその使用の提供。
【解決手段】本発明は、1つの薬学的組成物中に2つのストロンチウム塩を組み合わせることによって、非常に好ましい薬動力学的特性が得られるという発見に関係する。本発明は、一局面において、2つ以上のストロンチウム塩を含有する、医薬品として、特に、骨粗鬆症等の骨疾患の治療および予防のための医薬品として使用するための薬学的組成物に関係する。この組成物は、炭酸ストロンチウムおよび塩化ストロンチウムを含有することが好ましい。さらに、ビタミンD化合物、好ましくはビタミンDが含有される場合がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、軟骨障害および骨障害の治療に有用な医薬品を製造するための薬学的組成物に関係する。本発明に従う組成物は、2つ以上のストロンチウム塩を含有し、さらにビタミンD化合物等の第2の活性成分を含有する場合がある。この組成物は、様々な型の調剤物において使用され得る。この組成物は、ストロンチウム塩の全量に対して多量のストロンチウムを含有し、よって骨疾患および骨障害治療のための医薬品の製造に大変有用である。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
骨物質は、絶えず破骨細胞によって除去され、骨芽細胞によって形成された新たに形成される骨物質に置換されている。
【0003】
この継続的プロセスは高度に調節されており、すなわち、例えば除去された分と同じ量の骨が形成される等、骨の全量が一定となるよう、破骨細胞および骨芽細胞の機能は連結している。
【0004】
骨芽細胞は、骨基質であるコラーゲン性前駆体を合成し、これの石灰化も調節する。この骨芽細胞の作用は、骨格成長および骨格基質の要求に合致しており、また骨格の維持および力学的機能も調節している。
【0005】
これらの作用は、ホルモン、成長因子、生理学的活性、および他の刺激等、様々な要因によって影響を受けると考えられる。骨芽細胞は、副甲状腺ホルモンおよびエストロゲンに対する受容体を有していると考えられている。破骨細胞は吸収される骨表面に接着し、ある様式の骨芽細胞からのシグナルによって活性化されると考えられている。
【0006】
骨の再生および分解の調節が不適切となることによって、骨障害あるいは代謝性骨疾患が導かれることがあり得る。当該疾患の例には骨粗鬆症があり、閉経後骨粗鬆症、ページェット病およびくる病が挙げられる。
【0007】
骨疾患の他の原因あるいは例には、クッシング症候群による副腎皮質ホルモン過剰、甲状腺亢進症、上皮小体亢進症、寝たきり、および骨の癌が挙げられる。
【0008】
破骨細胞活性の相対的上昇は、例えば、骨粗鬆症において見られるもののように、骨密度および骨体積の減少を引き起こし得る。骨粗鬆症は、骨密度の全般的減少によって特徴付けられる。骨が細く、弱くなることによって、些細な外傷による骨折が増加する。骨粗鬆症は、一次疾患、あるいは別の疾患もしくは他の疾患の二次疾患のいずれかであり得る。
【0009】
骨粗鬆症は最も一般的な代謝性骨疾患であり、女性の約3人に1人、男性の約8人に1人が骨粗鬆症を患っている。閉経後骨粗鬆症は、現在、最も一般的な骨粗鬆症の形態である。閉経後骨粗鬆症において最も多い骨折は、手首および脊椎の骨折である。老人性骨粗鬆症は、男女高齢患者が罹り、若年者が骨粗鬆症を患う場合もある。老人性骨粗鬆症は、大腿骨骨折が平均よりも高いことによって特徴づけられる。
【0010】
エストロゲン欠乏症は、閉経後骨粗鬆症の主要な原因であると認められている。実際、エストロゲン等のステロイドが治療剤として使用され、カルシウム栄養補助剤およびビスホスホネートで補充される。この治療によって、体重増加(体液の浸潤−浮腫)、悪心、嘔吐、頭痛、子宮(頚管)粘膜からの出血、および血栓の危険性の増加のような、多くの副作用が生じた。さらに、近年の報告では、閉経後骨粗鬆症のエストロゲン治療が乳癌を引き起こしたことを示している。このように、骨粗鬆症等の骨障害の治療は、好ましくは、改良されてこれらの副作用を避ける、あるいは最小にし、且つ治療効果を上昇させるべきである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の概要)
本発明は、骨疾患治療のための医薬品製造のための薬学的組成物に関係する。この医薬品は、活性成分の高含量、高溶解性および高いアベイラビリティーにより、副作用がより少なく、治療効果が改善された医薬品として、骨疾患および骨障害の治療を改善する。
【0012】
本発明は、少なくとも2つのストロンチウム塩を含有する薬学的組成物に関係する。この組成物はさらに、少なくとも1つのビタミンD化合物を含有し得る。
【0013】
本発明のさらなる局面は、本発明の薬学的組成物を、医薬品製造のために使用することに関係する。
【0014】
本発明はさらに、本発明の薬学的組成物を、軟骨疾患/障害および骨疾患/障害の治療、あるいは予防のための医薬品の製造のために使用することに関係する。
【0015】
本発明の一局面は、薬学的有効量の、本発明に従う薬学的組成物あるいは医薬品を患者に投与する工程を含む、治療方法に関係する。
【0016】
本発明はさらに、以下の部品からなるパーツのキットに関係する:
i.少なくとも2種類のストロンチウム塩を含有する医薬品、および
ii.少なくとも1種類のカルシウム塩を含有する医薬品であり、ここで組成物iと組成物iiとは別個の物である。
例えば、本願発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
少なくとも2種のストロンチウム塩を含む、薬学的組成物。
(項目2)
少なくとも1種のビタミンD化合物を含む、項目1に記載の薬学的組成物。
(項目3)
項目1に記載の薬学的組成物であって、ここで前記少なくとも2種のストロンチウム塩は:ショウノウ酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、クエン酸ストロンチウム、エタンスルホン酸ストロンチウム、フマル酸ストロンチウム、グルコン酸ストロンチウム、乳酸ストロンチウム、リンゴ酸ストロンチウム、マレイン酸ストロンチウム、マロン酸ストロンチウム、メタンスルホン酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、シュウ酸ストロンチウム、リン酸ストロンチウム、ケイ酸ストロンチウム、コハク酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、および酒石酸ストロンチウムの群から選択される、薬学的組成物。
(項目4)
項目1〜3のいずれか1項に記載の薬学的組成物であって、前記少なくとも2種のストロンチウム塩が:炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、およびケイ酸ストロンチウムの群から選択される、薬学的組成物。
(項目5)
前記組成物が炭酸ストロンチウムを含む、項目1〜4のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
(項目6)
前記組成物が、SrCl、SrCl・2HO、SrCl・6HOの群から選択される塩化ストロンチウムを含む、項目1〜5のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
(項目7)
前記塩化ストロンチウムがSrCl・6HOである、項目6に記載の薬学的組成物。
(項目8)
前記組成物が塩化ストロンチウム6水和物および炭酸ストロンチウムを含む、項目1〜7のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
(項目9)
前記少なくとも1種のビタミンDがビタミンDである、項目2〜8のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
(項目10)
前記薬学的組成物が可溶化剤を含む、項目1〜10のいずれか1項に記載の薬学的組成物。
(項目11)
軟骨または骨の障害/疾患の予防または処置のための医薬品の製造のための、項目1〜10のいずれか1項に記載の薬学的組成物の使用。
(項目12)
前記医薬品が骨粗鬆症の治療または予防のためである、項目11に記載の使用。
(項目13)
前記医薬品が末梢性の投与のためである、項目11〜12のいずれか1項に記載の使用。
(項目14)
前記医薬品が経口投与のためである、項目13に記載の使用。
(項目15)
放出されるストロンチウムの量が45分以内で少なくとも40%である、項目11〜14のいずれか1項に記載の使用。
(項目16)
前記医薬品が錠剤として処方される、項目11〜15のいずれか1項に記載の使用。
(項目17)
前記錠剤がコーティング錠である、項目16に記載の使用。
(項目18)
前記医薬品が制御放出のために処方される、項目11〜17のいずれか1項に記載の使用。
(項目19)
前記医薬品が溶解可能な医薬品として処方される、項目11〜18のいずれか1項に記載の使用。
(項目20)
前記医薬品が矯味矯香付き飲料である、項目11〜19のいずれか1項に記載の使用。
(項目21)
1投与量が3.0〜15mmolのストロンチウムを含む、項目11〜20のいずれか1項に記載の使用。
(項目22)
項目11〜21のいずれか1項に規定される医薬品の治療上有効な量を被験体に投与する工程を包含する、治療方法。
(項目23)
軟骨または骨の障害/疾患の治療または予防のための、項目22に記載の治療法。
(項目24)
骨粗鬆症の治療または予防のための、項目22に記載の治療法。
(項目25)
3.0〜15mmolのストロンチウムが投与量あたり投与される、項目22に記載の方法。
(項目26)
カルシウムを含む医薬品の投与をさらに包含し、ここでカルシウムの投与がストロンチウムの投与とは分離されている、項目22に記載の方法。
(項目27)
以下:
i) 少なくとも2種のストロンチウム塩を含む医薬品、および
ii) 少なくとも1種のカルシウム塩を含む医薬品
を備えるパーツのキットであって、組成物i)およびii)が別個の単位であるパーツのキット。
(項目28)
前記医薬品i)が項目1〜10に規定される薬学的組成物の1つ以上の特徴を有する、項目27に記載のパーツのキット。
(項目29)
前記医薬品が項目11〜21に規定される医薬品の1つ以上の特徴を有する、項目28〜30のいずれか1項に記載のパーツのキット。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】様々なストロンチウム塩におけるSr84のICP−MS分析。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(本発明の詳細な説明)
本出願は、特に軟骨障害および骨障害の予防または治療のための医薬品製造のための薬学的組成物に関係する。本発明の医薬品は、骨障害の症状の緩和に関して、驚くほど効果的であることが認められている。この医薬品は、骨障害治療のためのこれまでに記載されている医薬品より効果的であって、これを使用する際に関係する副作用はより少ない。この医薬品は骨粗鬆症の治療のために使用されるステロイドとは無関係なため、本発明に従う医薬品を使用する治療は、ホルモン治療に関係する副作用がない。
【0019】
理論に縛られることなく、ストロンチウムおよび/またはビタミンDおよび/またはカルシウムの共協調的な投与は、医薬品の効果の改善に寄与すると考えられる。ストロンチウムおよび/またはビタミンDおよび/またはカルシウムとの協調的な投与は、カルシウムの吸収に関して骨組織を感作させ得、これによって骨組織に対する有益な効果が得られる。
【0020】
このように、ストロンチウムとビタミンDは、カルシウムと別々に投与することが好ましく、こうすることによってストロンチウム(およびビタミンD)は、カルシウムの吸収および骨形成を刺激、誘導する。ストロンチウム(およびビタミンD)は、骨の形成と、食物から得られるカルシウムおよび、医薬品および栄養補助食品から得られるカルシウムを含む、カルシウムの吸収を刺激する場合がある。
【0021】
(カルシウム)
カルシウムは、骨組織の維持等、体内における様々な機能に必要である。特に、食物製品は、体内に容易に吸収されることが可能なカルシウムに富む。野菜等の他の製品もカルシウムを含有し、つまり、カルシウムの補給は、患者の食事を変えることによって増加し得る。食事が十分なカルシウムを身体に供給しない、あるいは身体が食品中のカルシウムを利用することができない場合に、カルシウムの栄養補助食品が必要とされる場合がある。
【0022】
(ストロンチウム)
ストロンチウムはカルシウムと同様、アルカリ土類金属であり、他のアルカリ土類金属のように、酸化数が+2であって、このため反応性が非常に高い。ストロンチウムには、84、86、87および88という4つの安定した同位体が存在し、後者が優勢に存在する。放射性同位元素89および90は、これまでに大きな関心を持たれたことがあるが、その毒性のため、これらの放射性元素は、本発明に関係しない。
【0023】
カルシウムとストロンチウムとの化学的類似性のため、両化合物は類似する陰イオン官能基と容易に塩を形成する。ストロンチウムは通常の食品に少量存在し、その食品のほとんどは、これら2つの元素の類似性からカルシウムを含有する。
【0024】
本発明は、骨障害の治療に関して、ストロンチウム、ビタミンDおよびカルシウムの投与を協調させてカルシウム取り込みを刺激すること、ならびにカルシウムが骨の再生またはさらなる骨組織および/もしく骨密度の減少を防ぐのに利用可能であることを確実にすることは有利であるという知見に関する。骨障害あるいは骨疾患を患う患者にとって、食物から得られるストロンチウム、ビタミンD、およびカルシウムの量は十分でなく、通常の栄養補助食品は関係する化合物を適切な量で提供しない。
【0025】
(ビタミンD化合物)
ビタミンDは、体内におけるカルシウムおよびリンの代謝に必須の役割を果たしている。ビタミンD前駆体である7−デヒドロコレステロールの豊富な供給がヒト皮膚内に存在し、これは適度な量の紫外線によって活性化されることのみを必要とする。ビタミンDの欠乏は、ビタミンD(照射酵母に見出され、一部の市販ビタミンに使用されている)もしくはビタミンD(魚肝油および強化牛乳に見出される)の食品添加物の摂取、または紫外線への暴露によって補うことが可能である。
【0026】
ビタミンD群と分類される化合物群は、2つの脂溶性化合物;ビタミンD(カルシフェロール)およびビタミンD(コレカルシフェロール)からなる。コレカルシフェロールは後に肝臓にて25−ヒドロキシコレカルシフェロールに転換され、これは続いて腎臓にて、1,25ジヒドロキシコレカルシフェロールに変換される。後者のこれら2つのビタミンD形態は、バイオアベイラビリティーの点から、コレアルシフェルール自体よりもそれぞれ5倍および10倍効力が大きい。
【0027】
(ストロンチウム組成物)
本発明は、少なくとも2種のストロンチウム塩を含むストロンチウム組成物を使用する改善された効果、ならびにストロンチウムおよび/またはビタミンDおよび/またはカルシウムを協調的な投与の効果に基づく。
【0028】
(ストロンチウム塩)
本発明の一実施形態は、少なくとも1種のストロンチウム塩を含むストロンチウム組成物に関係する。この組成物は医薬品の製造に使用され得る。
【0029】
1グラムのストロンチウム塩から得られるストロンチウムの量は、化合物内のストロンチウム分子の数に対する化合物の分子量に依存する。即ち、ストロンチウム1分子当たりの分子量が小さい塩が好ましくあり得る。
【0030】
これは、塩の有効率として表される場合がある。有効率(R)は、以下のように定義され得る:
【0031】
【数1】

有効率が大きければ、必要とされる塩の量はより少ない。比較的高量の活性成分が必要とされる場合、有効率の高いストロンチウム塩が好ましい。
【0032】
ストロンチウム組成物に含まれるストロンチウム塩のRは、0.20を超えるか、または0.25もしくは0.30を超えるか、例えば0.31を超えるか、例えば0.32を超えるか、例えば0.33を超えるか、例えば0.34を超えるか、例えば0.36を超えるか、例えば0.38を超え、より好ましくは0.40を超えるか、例えば0.42を超えるか、例えば0.44を超えるか、例えば0.46を超えるか、例えば0.50を超えるか、例えば0.52を超えるか、例えば0.54を超えるか、例えば0.56を超えるか、例えば0.58を超えるか、あるいは例えば0.60を超える。
【0033】
一実施形態において、ストロンチウム組成物に含まれるストロンチウム塩のRは、0.35を超え、より好ましくは0.40を超え、最も好ましくは少なくとも0.45または0.5を超える。
【0034】
一実施形態では、少なくとも1つのストロンチウム塩が以下からなる群から選択される;ショウノウ酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、クエン酸ストロンチウム、エタンスルホン酸ストロンチウム、フマル酸ストロンチウム、グルコン酸ストロンチウム、乳酸ストロンチウム、リンゴ酸ストロンチウム、マレイン酸ストロンチウム、マロン酸ストロンチウム、メタンスルホン酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、シュウ酸ストロンチウム、リン酸ストロンチウム、ケイ酸ストロンチウム、コハク酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、および酒石酸ストロンチウム。
【0035】
第2の実施形態では、少なくとも1つのストロンチウム塩が以下からなる群から選択される。;塩化ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、ケイ酸ストロンチウム。
【0036】
さらに、第3の実施形態では、ケイ酸ストロンチウム、即ちSrSiOおよびSrSiOが本発明に使用される場合がある。
【0037】
好ましい実施形態において、少なくとも1つのストロンチウム塩は、水和量の異なる塩化ストロンチウムであり、SrCl、SrCl・2HO、SrCl・6HOからなる群から選択される。このストロンチウム塩は塩化ストロンチウム6水和物(SrCl・6HO)であることがより好ましい。
【0038】
炭酸ストロンチウムはRが高いため、低量の塩で高量の活性成分を提供するので、好ましい塩となる。即ち、第5の好ましい実施形態では、ストロンチウム塩は炭酸ストロンチウムである。
【0039】
本発明は特に、2つ以上のストロンチウム塩を使用して、改良されたストロンチウム組成物が処方され得るという知見に関係する。
【0040】
胃におけるストロンチウムの溶解性あるいは有用性は、2つ以上のストロンチウム塩を組み合わせることによって改善され得る。即ち、一実施形態において、ストロンチウム組成物は、少なくとも2種のストロンチウム塩、少なくとも3つのストロンチウム塩、または3種より多くのストロンチウム塩を含有する。
【0041】
上記有効率(R)はまた、少なくとも2種のストロンチウム塩を含む組成物に関しても考慮され得る。そこで、この有効率は、ストロンチウムの総重量を少なくとも2種のストロンチウム塩の総重量(「和」)で除算するように計算される。
【0042】
【数2】

少なくとも2種のストロンチウム塩のRは、0.30を超えることが好ましく、例えば0.31を超える、例えば0.32を超える、例えば0.33を超える、例えば0.34を超える、例えば0.36を超える、例えば0.38を超える、例えば0.40を超える、または例えば0.42を超える、例えば0.44を超える、例えば0.46を超える、例えば0.50を超える、例えば0.52を超える、例えば0.54を超える、例えば0.56を超える、例えば0.58を超える。
【0043】
一実施形態において、この少なくとも2種のストロンチウム塩のRは0.30〜1.00であり、例えば0.35〜0.80、例えば0.40〜0.59、好ましくは0.46〜0.58、またさらに好ましくは0.50〜0.57である。
【0044】
別の実施形態において、ストロンチウム組成物に含まれるストロンチウム塩のRは、0.35より大きく、好ましくは0.40を超え、最も好ましくは少なくとも0.45または0.5以上であることが最も好ましい。
【0045】
少なくとも2種の塩を組み合わせは、組成物の効果を最適化すること、および/または使用される化合物の所望されない効果を最小にすることにさらに役立ち得る。ある化合物(例えば、炭酸塩)の大量の取り込みは、胃腸内のpHを変化させ、これによって他の化合物の取り込みおよび分泌を好ましくない様式で影響を与え得る。代替的な実施形態において、この大量取り込みは、炭酸塩が胃液を中和し得るので有利であり得、この大量取り込みは胃酸過多の場合に特に好ましくあり得る。
【0046】
2種以上のストロンチウム塩を組み合わせることによって、所望する効果が得られ得る。
【0047】
この2種以上のストロンチウム塩は、以下からなる群から選択され得る;ショウノウ酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、クエン酸ストロンチウム、エタンスルホン酸ストロンチウム、フマル酸ストロンチウム、グルコン酸ストロンチウム、乳酸ストロンチウム、リンゴ酸ストロンチウム、マレイン酸ストロンチウム、マロン酸ストロンチウム、メタンスルホン酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、シュウ酸ストロンチウム、リン酸ストロンチウム、ケイ酸ストロンチウム、コハク酸ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、および酒石酸ストロンチウム。
【0048】
好ましくは、少なくとも2種のストロンチウム塩は、炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、あるいはケイ酸ストロンチウムの群から選択される。
【0049】
より好ましくは、少なくとも2種のストロンチウム塩は、炭酸ストロンチウムおよび塩化ストロンチウムであり、例えば、炭酸ストロンチウムと特に塩化ストロンチウム6水和物である。
【0050】
塩化ストロンチウムは、組成物の安定した錠剤を形成する能力に対する正方向への影響を有していると考えられる。特に塩化ストロンチウム6水和物によって、容易な組成物の加湿が可能となり、これによって打錠に適する混合物の形成が可能となる。
【0051】
理論に縛られることなく、さらに、塩化ストロンチウム、特に塩化ストロンチウム6水和物は、胃内部の酸性環境において第2のストロンチウム塩の溶解を刺激すると考えられる。よって塩化ストロンチウムは他のストロンチウム塩の効果を増強する。
【0052】
炭酸ストロンチウムの高いRは、少量の塩が高い量の活性成分を提供するので、好ましい塩である。
【0053】
本発明に従うストロンチウム組成物は、2つのストロンチウム塩を異なる割合で含有し得る。即ち、炭酸ストロンチウムは、この組成物が含有するストロンチウム全量の1〜99.95%に寄与し得る。
【0054】
一実施形態において、ストロンチウム組成物は50%以上の炭酸ストロンチウムを含有する。この組成物は、好ましくは、モル分率に関して、塩化ストロンチウムの形態よりも炭酸ストロンチウムの形態で、より多くのストロンチウムを含有し得る。好ましい実施形態において、この組成物は、例えば、炭酸ストロンチウム形態のストロンチウム55%〜99.95%および塩化ストロンチウム形態のストロンチウム0.05%〜45%、または炭酸ストロンチウム形態のストロンチウム60%〜95%および塩化ストロンチウム形態のストロンチウム5%〜40%、または炭酸ストロンチウム形態のストロンチウム70%〜90%および塩化ストロンチウム形態のストロンチウム10%〜30%、または炭酸ストロンチウム形態のストロンチウム75%および塩化ストロンチウム形態のストロンチウム25%を、含み得る。
【0055】
有効性の高い薬学的組成物において、塩化ストロンチウムの量は、その組成物の、例えば少なくとも0.05%のストロンチウムに寄与する。他の実施形態において、塩化ストロンチウムの量は、少なくとも0.1%以上、例えば1%、例えば少なくとも5%または少なくとも10%であり、さらに例えば、少なくとも15%または少なくとも20%以上の塩化ストロンチウムに寄与し得る。具体的な実施形態において、塩化ストロンチウムは、組成物中のストロンチウムの少なくとも25%、例えば30%に寄与するか、または代替的に組成物のうち40%または50%のストロンチウムに寄与する。
【0056】
このストロンチウム組成物の効果の増加は、さらに、組成物の高溶解性と関係する。
【0057】
従って、本発明に従うストロンチウム塩は、水中または胃の酸性環境中で容易に溶解可能なものであるべきである。胃のpHは4であるが、食物を摂取すると、このpHは4から2へと低下し得る。
【0058】
ストロンチウム組成物の溶解性は、ストロンチウムイオンのアベイラビリティーに関して重要である。さらに、活性化合物が投与後正しいタイミングで利用可能であることを確実にするため、ストロンチウム塩(類)の溶解速度を評価することが重要である。
【0059】
ストロンチウム塩(類)の溶解速度は、当分野で周知されている任意の方法によって測定され得る。SrCOおよびSrCLならびにこれらの混合物の溶解速度は、実施例10にて記載するように、誘導結合プラズマ質量分析計(ICP−MS)を使用して測定した。
【0060】
(第2の活性成分)
この薬学的組成物の効果の改善は、ストロンチウムおよび/またはビタミンDおよび/またはカルシウムの協調的投与によって達成される。第2の活性成分は個別に、続いて、そして/または同時にストロンチウム組成物と共に投与され得る。従って、第2の活性成分は、別個の医薬品として投与されるか、または組み合わた医薬品においてストロンチウムと共に投与され得る。
【0061】
一実施形態において本発明は、少なくとも2種のストロンチウム塩および1つ以上の第2の活性成分を含む組成物に関係する。
【0062】
カルシウムの代謝は、ビタミンDによって調節されており、本発明はさらに、ストロンチウムとビタミンD化合物との協調的な投与によって、軟骨障害および骨障害の改善した治療を記載する。ビタミンD化合物は、個別に、続いて、そして/または同時にストロンチウム組成物と共に投与され得る。従って、本発明に従い、ビタミンD化合物は、別個の医薬品により含まれ得、これによって別個にまたは続いてストロンチウム組成物と投与されるか、あるいは組み合わせ医薬品においてストロンチウムと同時に投与され得る。
【0063】
本発明に従い、ストロンチウム組成物は、医薬品の製造に適する任意のビタミンD化合物を含有し得る。このビタミンD化合物は、1つ以上の天然に存在するビタミンD化合物およびビタミンD化合物、1つ以上のビタミンDアナログおよびビタミンDアナログ、あるいは体内にてカルシウムおよびリン酸塩の代謝を補助し得る任意の合成ビタミンD代替物であり得る。特に、カルシウムの吸収を増大させる能力のある化合物が好ましい。
【0064】
一実施形態において、薬学的組成物は、1つ以上のビタミンDアナログを含有する。第2の好ましい実施形態では、薬学的組成物は医薬品の調製に適切な形態にあるビタミンDを含有する。第3の好ましい実施形態では、薬学的組成物は、医薬品の調製に適切な形態にあるビタミンDを含有する。好ましい一実施形態において、薬学的組成物は、ビタミンDあるいはビタミンDアナログを含有し、最も好ましくはビタミンDである。
【0065】
骨障害治療の成功性は、カルシウムとの協調的投与によって上昇する。従って、本発明に従い、カルシウムは別個の医薬品に含有され得、これによってストロンチウム組成物とは別々に投与されるか、あるいはストロンチウム組成物に続いて投与され得る。従って、最適な利益のため、薬学的組成物は多量のカルシウムを含有すべきではない。理論に縛られることなく、この組成物がストロンチウムよりも多くカルシウムを含有する場合、ストロンチウムの効果は中和されると考えられる。よって、カルシウムに対するストロンチウムの重量割合は、1よりも小さくあるべきではない。さらに、ストロンチウム量がカルシウムの量を超える場合に、効果の上昇が得られると考察される。従って、カルシウムに対するストロンチウムの重量割合は1を超え、例えば1.2を超え、または例えば1.5を超え、または例えば1.8を超え、または例えば2を超え、または例えば5を超え、または例えば10を超え、または例えば15を超え、または例えば20を超え、または例えば25を超えることが、好ましい。
【0066】
ストロンチウムを含む薬学的組成物は、僅かな量のカルシウムを含有することが最も好ましい。
【0067】
この含ストロンチウム組成物はごく少量のカルシウムのみを含有し得るが、本発明はさらに、ストロンチウム含有医薬と協調的に投与するための、カルシウムを含有する第2の薬学的組成物に関係する。医薬品は、医薬品の調製に適した任意の形態でカルシウムを含み得る。
【0068】
薬学的組成物の調製に有用なカルシウム化合物には、以下の化合物が含まれる。:酢酸カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム(あるいはグルビオン酸カルシウム)、グルセプテート酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、乳酸グルコン酸カルシウム、第2あるいは第3リン酸カルシウム。
【0069】
本発明のカルシウム組成物は、炭酸カルシウム、第2リン酸カルシウム(CaHPO)あるいは第3リン酸カルシウム(Ca(PO/Ca(OH)(PO)、あるいはクエン酸カルシウム(Ca(C・4HO)あるいは乳酸カルシウム((CaCHCHOHCOO)5・HO)等のカルシウムキレート化合物の形態にあるカルシウムを含有することが好ましい。
【0070】
本発明のカルシウム組成物は、乳酸カルシウムあるいはグルコン酸カルシウムのような、他の物質と組み合わされた形態のカルシウムを含み得る。
【0071】
好ましい一実施形態においてこのカルシウム組成物は、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、およびクエン酸カルシウムからなる群から選択されるカルシウム塩を含有する。
【0072】
第2の実施形態においてこのカルシウム組成物は、カルシウム塩であるクエン酸カルシウムを含有する。
【0073】
第3の実施形態においてこのカルシウム組成物は、カルシウム塩である炭酸カルシウムを含有する。
【0074】
治療を改善することが可能な他の成分を、この組成物に従う薬学的組成物に加え得る。
【0075】
さらに骨を強くするために、他の化合物を加え得る。このような化合物は、例えばケイ素のような他の金属から選択され得る。
【0076】
一実施形態において本発明に従う組成物は、さらにケイ素を含有する。
【0077】
本発明は、少なくとも1種のストロンチウム塩、ビタミンDおよびカルシウム塩の協調的に投与によって、最も効果的な治療が得られるという知見に関する。この3つの成分は別々に、続けてまたは同時に投与され得る。最も重要なことは、カルシウム塩を少なくとも1種のストロンチウム塩およびビタミンD化合物とは別に投与すべき点である。
【0078】
(薬学的組成物)
本発明の薬学的組成物は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 1995,E.W.Martin編,Mack Publishing Company,第19版,Easton,Paに記載されているような、通常の技術によって調製され得る。質量のばらつきおよび分解時間の標準試験は、European Pharmacopoeia(Ph.Eur.)に記載されているように測定され得る。
【0079】
本発明の一局面は、少なくとも2種のストロンチウム塩からなる薬学的組成物に関する。さらに別の実施形態において本発明は、この明細にて先に記載したストロンチウム組成物の任意の特性を有する薬学的組成物に関係する。
【0080】
理論に縛られることなく、好ましい薬学力学的特性を有する組成物は、少なくとも2種のストロンチウム塩を組み合わせること(例えば、炭酸ストロンチウムおよび塩化ストロンチウム、特に塩化ストロンチウム6水和物)によって得られる。
【0081】
この医薬品は、任意の適切な投与形態、特に経口投与の形態に調製され得る。
【0082】
経口投与は、消化管にて吸収されるべき医薬品の好ましい投与形態である。医薬品の固形錠剤およびカプセルは、飲み込まれ、その後胃と腸で分解される。活性成分(1個または複数)は、小腸の内側を覆う吸収性粘膜によって小腸にてその大半が吸収される。液体薬剤または使用前に溶解する固形薬剤は、溶液として飲み込まれ得、これによって医薬品は胃へ入り、続いて活性成分が消化管、特に小腸にて吸収され得る。本発明の経口投与は、嚥下によって消化器系内部へ薬剤を導入することに関係する。医薬品の組成に応じて、活性成分を胃内部で、あるいは消化管を通過する間に吸収され得る。活性成分は血液循環系に移動し、血液循環を介して作用部位に到達する。
【0083】
好ましい実施形態においてこの医薬品は、経口投与のためのものである。
【0084】
本発明の医薬品は、様々な経口投与製剤のために調製され得る。この医薬品は、少なくとも2種のストロンチウム塩および適切な薬学的に受容可能な担体あるいは賦形剤を含有し、これは固体あるいは液体であり得る。
【0085】
経口投与のためのこのような賦形剤としては、製薬等級のマンニトール、乳糖、澱粉、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、滑石、二酸化ケイ素、セルロース(好ましくは微結晶)、ポリビドン、グルコース、ゼラチン、ショ糖、ウルトラミル(ultramyl)、炭酸マグネシウム等が挙げられ、好ましくは滑石および二酸化ケイ素である。
【0086】
一実施形態ではマンニトールが好ましく、さらにポリビドン(ポリ(1−ビニル−2−ピロリドン))およびステアリン酸マグネシウムが好ましくあり得る。さらなる実施形態では、この組成物はウルトラミル(ultramyl)を含有することが好ましい。
【0087】
粉末においては、担体は、微細に分割された本発明の活性成分と共に混合された微細に分割された固体である。錠剤においては、本発明の活性成分は必要な結合能を有する担体と、適切な割合で混合され、所望する形および大きさに成形される。粉末および錠剤は、1%〜約70%の本発明に従う組成物を含有することが好ましい。適切な担体は、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、滑石、糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、澱粉、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロース、炭酸メチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、ココアバター等である。「調製物」という語には、カプセルを提供する担体として、カプセル化物質を有する本発明の組成物が含むことを意図され、このカプセル内で本発明の組成物は、担体を伴うにせよ伴わないにせよ、その組成物と関係している担体によって取り囲まれている。同様に、カシェ剤およびトローチ剤が挙げられる。錠剤、粉剤、カプセル、丸剤、カシェ剤、およびトローチ剤は経口投与に適する。
【0088】
固形投与形態調製物には、粉剤、錠剤、丸剤、カプセル、カシェ剤、座薬、および分散性顆粒が含まれる。固形投与形態調製物には、着色剤として働き得る1つ以上の物質、矯味矯香剤、安定剤、緩衝剤、人口甘味料および天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤、希釈剤、潤滑剤、懸濁剤、結合剤、保存剤、加湿剤、錠剤崩壊剤、およびカプセル化物質が挙げられ得る。
【0089】
本発明に従う医薬品は、錠剤、カプセル、粉末、溶解可能な錠剤もしくは粉末として、または経口投与に適する任意の他の形態によって投与され得る。
【0090】
好ましい調製物の形態は錠剤である。製造法は完全に一般的なものであり得、例えば、粉砕した成分の一部あるいは全部を含む顆粒中間体を作製し、続いて任意で他の成分と混合し、圧縮して錠剤とする。以下に記載するような錠剤の標準製造法を使用して安定した錠剤を形成することのできる薬学的組成物が、好ましい。錠剤の安定性は、当分野で公知の方法に基づいて評価され得る。好ましい一実施形態において、本発明の医薬品は錠剤である。
【0091】
さらに、少なくとも2種のストロンチウム塩の組み合わせは、この組成物が錠剤に圧縮される能力を増強し得ることが企図される。一部のストロンチウム塩は、従来の薬学的賦形剤を用いても安定した錠剤を容易には形成しない。安定した錠剤の形成を容易にするために、少なくとも2種のストロンチウム塩が本発明に従って使用される。
【0092】
初期の足跡により、一部の錠剤は数日以内(例えば、4〜5日以内)で数日で分解したため、錠剤の調製には困難が示された。本発明に従って、組成物は、安定した錠剤形成を助る少なくとも2種のストロンチウム塩を含有し、例えば、7日以内は分解せず、例えば2週間以内は分解せず、好ましくはこの錠剤は少なくとも3週間、または4週間、またはそれ以上の間安定であり、より好ましくは2ヶ月安定である。最も好ましくは、3ヶ月以上安定であり、例えば、少なくとも4ヶ月または5ヶ月、好ましくは6ヶ月安定である。等量の活性成分を有する均一な錠剤の形成に関するさらなる問題に直面した。これらの問題は、少なくとも2種のストロンチウム塩を使用することによって軽減され得る。
【0093】
経口投与に適切な他の形態には、乳剤、シロップ、エリキシル、水性溶液、水性懸濁液等の液体調製物、または使用直前に液体調製物へと転換されることを意図される固形調製物が挙げられる。乳剤は、水性ポリエチレングリコール溶液内の溶液に調製され得るか、またはレシチン、オレイン酸ソルビタン、あるいはアカシアゴム等の乳化剤を含み得る。水性溶液は、本発明の組成物を水に溶解し、適切な着色剤、矯味矯香剤、安定剤および増粘剤を加えることによって調製され得る。水性懸濁液は、微細に分割した本発明の組成物を、天然ゴムもしくは合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、および他の周知されている懸濁剤のような粘性物質と共に水中に分散させることによって、調製され得る。液状形態の調製物には、溶液、懸濁液、および乳剤が挙げられ、本発明の組成物に加えて、着色剤、矯味矯香剤、安定剤、緩衝剤、人工甘味料および天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含み得る。
【0094】
本発明に従う医薬品は、点滴剤として投与され得る。点滴剤は、滅菌または非滅菌の、水性または油性の、溶液または懸濁液を含み得、適切な水性溶液中に溶解することによって調製され得、任意で殺菌剤および/または殺真菌剤および/または任意の他の適切な保存剤を含み、そして任意で界面活性剤を含む。次に、得られた溶液を濾過によって清浄にし、適切な容器に移し得、次いでこの容器を密封し、オートクレーブあるいは98〜100℃を30分間保つことによって滅菌する。あるいは、この溶液を濾過によって滅菌し、無菌的に容器へ移す場合がある。点滴剤が含有するのに適する殺菌剤および殺真菌剤の例には、硝酸フェニル水銀あるいは酢酸フェニル水銀(0.002%)、塩化ベンザルコニウム(0.01%)、および酢酸クロルヘキシジン(0.01%)がある。油性溶液調製物のための適切な溶媒には、グリセロール、希釈アルコール、およびプロピレングリコールが含まれる。
【0095】
使用の直前に経口投与のための液状形態の調製物に転換されることを意図する固形調製物も含まれる。当該調製物は、溶解可能な錠剤あるいは溶解可能な粉末であ得る。当該液状形態には、溶液、懸濁液、および乳液が含まれる。これらの調製物は、本発明の活性成分に加えて、着色剤、矯味矯臭剤、安定剤、緩衝剤、人工および天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤等を含み得る。
【0096】
第2の好ましい実施形態において、この医薬品は溶解可能な錠剤である。
【0097】
第3の好ましい実施形態において、この医薬品は溶解可能な粉末である。
【0098】
液体調製物はさらに、少なくとも1種のストロンチウム塩(例えば、少なくとも2種のストロンチウム塩)を含有する飲料(例えば、フルーツジュース、カカオミルク、あるいはタンパク質/ビタミン組成物)であり得る。特に高齢者は、錠剤または他種の医薬品を嚥下するのに問題があり、より好ましい風味の飲料を好み得る。ストロンチウム塩(1個あるいは複数)は、その飲料の風味を許容できない方向へは変化させないことが好ましい。ストロンチウム塩の味を覆うために強い風味を有する飲料の使用が好ましい。一般に、塩化ストロンチウムの味は、炭酸ストロンチウムおよび他のストロンチウム塩の味よりもより不快であり、よって塩化ストロンチウムのモル比は、0.75、0.5あるいは0.25を下回る等、1を下回ることが好ましい。加えるストロンチウム塩の量は、必要に応じて調整すべきである。
【0099】
(可溶化剤)
溶液中の薬剤はより早く吸収されることから、経口投与には懸濁液よりも溶液の方が好ましい。また溶液は、嗜好性という点において、患者によりよく受け入れられることが多い。薬剤の乾燥発泡性処方物を調製することが提唱されている。この乾燥発泡性処方物では、水(あるいは他の液体)に加えると、この医薬品は発泡作用によって水中に分散され、撹拌の結果として、あるいはその処方物の成分との相互作用によって溶解する。
【0100】
調製物の溶解を助けるため、この医薬品に可溶化剤が含まれ得る。可溶化剤は、酸性成分とアルカリ成分(炭酸塩あるいは重炭酸塩)を含む発泡対であり得、これは水に接触すると二酸化炭素を発生する。この発泡対のアルカリ性成分は、酸性成分の化学量論的平衡より過剰に存在することが好ましい。
【0101】
この酸およびアルカリは、、錠剤もしくは粉末が水に接触するようにされた場合に、これらの発泡および崩壊を提供する成分である。酸性成分として水和型および無水型双方のクエン酸が使用され得るが、酒石酸、フマル酸、アジピン酸、リンゴ酸等の他の食用の酸を同様に使用することができる。
【0102】
炭酸塩は、発泡を生ずる二酸化炭素の供給源を代表し、一般的に、(重)炭酸カリウムあるいは(重)炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、あるいはグリシン炭酸ナトリウム等の水溶性アルカリ炭酸塩である。発泡を誘発する以外に医薬品の強度に影響することが可能なので、炭酸塩の選択は非常に重要である。重炭酸ナトリウムは非常に溶解性が高く安価であるため、最もよく使用される炭酸塩の一つである。あるいは、修飾された重炭酸ナトリウムを使用することが可能であり、これは、粒子表面を炭酸ナトリウムに転換して安定性を増すために、一般的な重炭酸ナトリウムを加熱することによって得られる。
【0103】
発泡対は、迅速に分散し、処方物成分の溶解を助けるのに十分な量にて、使用される。
【0104】
一実施形態において、本発明の薬学的組成物あるいは医薬品は、1つ以上の可溶化剤を含有する。
【0105】
本発明の可溶化剤は、ストロンチウム塩の溶解性の増加させ、これによってストロンチウムイオン(Sr2+)の吸収を上昇させて血液循環に入るストロンチウムの量を増加させるのに役立つ。
【0106】
可溶化剤は、炭酸アンモニウムおよび炭酸ナトリウムの群から選択され得る。
【0107】
炭酸アンモニウム(NHCO、あるいは炭酸アンモニウムとしてより正確なCH・xNHは、様々な割合の重炭酸アンモニウム(CHNO)およびカルバミン酸アンモニウム(CH)からなる。
【0108】
一実施形態において可溶化剤は炭酸アンモニウムである。
【0109】
一実施形態においてこの炭酸アンモニウムは、各々等量のCH成分およびCHNO成分を有する。
【0110】
一実施形態においてこの炭酸アンモニウムは、CHをCHNOよりも多く有する。
【0111】
一実施形態においてこの炭酸アンモニウムは、CHをCHNOよりも少なく有する。
【0112】
炭酸ナトリウムは、無水型、および各炭酸ナトリウム分子に会合した10の水分子を含む水和型にて存在する。これによって化合物は迅速に水に溶解することが可能となる。
【0113】
一実施形態において可溶化剤は炭酸ナトリウムである。
【0114】
一実施形態においてこの炭酸ナトリウムは、炭酸ナトリウム10水和物(NaCO・10HO)である。
【0115】
一実施形態において可溶化剤は、好ましくはクエン酸と、重炭酸ナトリウム(NaHCO)またはグリシン炭酸ナトリウムとを基礎とする発泡対である。
【0116】
(潤滑剤)
錠剤は、ラウリル硫酸ナトリウムあるいは安息香酸ナトリウム等の通常の水溶性潤滑剤を、典型的には最大約7.5%、あるいはそれより少なく含み得る。あるいは、錠剤は、例えばステアリン酸マグネシウム等を含有する固形潤滑プラセボ成型物(compact)が一方の面上に作られ、続いて色素を予め潤滑する、液体潤滑圧縮物あるいは両面圧縮物による表面潤滑化を用いて作られ得る。
【0117】
(緩衝剤)
本発明に従う薬学的組成物および医薬品は、pHを安定化/中和するのに有用な1つ以上の緩衝剤を含み得る。当該緩衝剤の例は、塩化アンモニウムあるいはクエン酸である。他の緩衝剤は、酢酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、リン酸塩、クエン酸塩、trisまたはhepesを含み得る。
【0118】
(カプセル形成物質)
この医薬品は、医薬品を覆うカプセル形成物質を含み得る。カプセル形成物質は医薬品表面上でのコーティングであり得、活性成分に経口投与に適切な表面を提供する、さらにこのコーティングは、活性成分が口内の唾液に接触により直ちに放出されるのを妨げ得る。従って、カプセル形成物質は、消化器系の特定の部位に到達するまで活性成分の放出を遅らせるのに役立ち得る。胃における活性成分の放出を妨げることが有利である場合があり、従って、腸に到達するまで活性成分はカプセルに封入されてい得る。一実施形態では、ヒプロメロースおよびマクロゴール6000をコーティング剤として使用する。詳細は以下を参照のこと。
【0119】
(制御放出の組成物)
以下の語は、本発明の目的のためには、実質的に制御放出と等価であるとみなされ得る:持続的放出、制御性放出、遅延放出、デポー、順次放出、長時間放出、計画的放出、長期放出、均衡放出、遷延放出、持続性、遅延性、徐放性、間隔放出、持続性放出、時間被覆、時限放出、遅延作用、長時間作用、重層時間作用、長期作用、持効性作用、反復作用、遅延作用、持続性作用、持続作用型薬剤、および持効性放出。これらの語のさらに詳細な議論は、Lesczeck Krowczynski,Extended−Release Dosage Forms,1987(CRC Press,Inc.)にて、確認することもできる。
【0120】
様々な制御放出技術が、非常に広範囲の薬剤製剤を対象としている。制御放出技術には、物理的システムおよび化学的システムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
物理的システムには、マイクロカプセル化、マクロカプセル化、および膜システム等の速度調節膜を用いる貯蔵システム;中空繊維、超微細孔トリ酢酸セルロース、および細孔高分子物質および発泡体等の速度調節膜を有さない型貯蔵システム;非孔性高分子マトリックスまたはエラストマーマトリックス(例えば、非侵食性、侵食性、環境因子移入、および分解可能、等)の中に物理的に分散させたシステム、ならびに非孔性高分子マトリックスまたはエラストマーマトリックス(例えば、非侵食性、侵食性、環境因子移入、および分解可能、等)の中に物理的に分散させた材料が挙げられる、モノリシックシステム;外側調節層と化学的に同様または異なる貯蔵層を含む、層構造物;ならびに浸透圧ポンプまたはイオン交換樹脂への吸着など他の物理学的手法、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0122】
化学的システムには、高分子マトリックスの化学的腐食(例えば異種腐食あるいは同種腐食)、または高分子マトリックスの生物学的腐食(例えば異種腐食あるいは同種腐食)が挙げられるが、これらに限定されない。制御放出システムの分類のさらなる議論は、Agis F.Kydonieus,Controlled Release Technologies:Methods,Theory and Applications,1980(CRC Press,Inc.)にて、確認することもできる。
【0123】
また、制御放出の薬物送達システムは、速度前計画型薬物送達システム、活性化調節型薬物送達システム、フフィードバック制御型薬物送達システム、および部位標的化薬剤送達系システムが挙げられる(しかし、これらに限定されない)、基本となる技術分野に基づいて分類され得る。
【0124】
速度前計画型薬物送達システムでは、送達システムからの薬剤分子の放出は、特定の速度特性で「前計画された」である。これは、送達システム内あるいはその周囲にある障壁媒体の中の薬物分の分子拡散子および/またはこれを通過する薬物分子の分子拡散を制御するシステム設計によって達成され得る。しばしばフィックの拡散の法則に従う。
【0125】
活性化調節型薬物送達システムでは、送達システムからの薬剤分子の放出は、いくつかの物理的プロセス、化学的プロセスまたは生化学的プロセスによって活性化され、そして/または外部からエネルギーを供給されることによって促進される。さらに、薬剤の放出速度は、利用するプロセスまたはエネルギー投入を制御することによって調節される。
【0126】
フィードバック調節型薬物送達システムでは、送達システムからの薬剤分子の放出は、生化学的物質等、体内で反応を誘発事象によって達成され得る。さらに、薬剤の放出速度は、フィードバック調節機構におけるセンサーによって検出される誘発因子の濃度によって調節される。
【0127】
部位標的化制御放出薬物送達システムでは、薬剤送達システムによって、活性分子は特定の部位または標的組織もしくは標的細胞に標的指向される。これは、例えば、薬物送達システムを標的組織(あるいは細胞)の近くへと導く部位特異的標的指向部分、送達システムの標的組織への輸送および好ましくは標的組織への取り込みを可能にする可溶化剤、およびスペーサーを介して骨格高分子に共有結合し、且つ標的組織で特定の酵素のみが開裂させることのできる切断可能な官能基を含有する薬物部分、を含有する結合体によって達成され得る。
【0128】
制御放出薬剤送達の好ましい様式は経口法であるが、本発明の制御放出組成物を送達する他の様式が用いられ得る。これには、粘膜送達、経鼻送達、眼内送達、経皮送達、非経口の制御放出送達、膣送達、直腸送達および子宮内送達が挙げられる。全てのこれらの投与量形態は、この明細書で議論する技術と共に、通常の技術を用いて製造され得る。
【0129】
経口投与に好ましい制御放出薬物組成物が多数開発されている。これには、浸透圧調節型消化器送達システム;水力学的圧制御型の消化器送達システム;膜透過制御型の消化器系送達システム(細孔膜透過制御型の消化器送達デバイスが挙げられる);胃液耐性の腸標的化制御放出の消化器送達デバイス;ゲル拡散調節型の消化器送達システム;ならびに、陽イオンおよび陰イオンを含むイオン交換制御型の消化器送達システム、が挙げられるが、これらに限定されない。制御放出薬剤送達システムに関する更なる情報は、Yie W.Chen,Novel Drug Delivery Systems,1992(Marcel Dekker,Inc.)にて、確認することもできる。これらの組成物の内のいくつかのものは、ここでさらに詳細を議論することとなる。
【0130】
有害な副作用の危険性を軽減するため、あるいは、これがなければ胃内の環境に暴露されることによる分解に供され得る薬剤の安定性を維持するため、錠剤に腸溶性コーティングが適用されて、胃内部で薬剤が放出されるのを防ぎ得る。この目的のために使用される高分子の大半は、水性溶媒中の溶解性がpHに依存するという事実によって機能するポリ酸であり、これらは、通常胃内で接するより高いpHを有する状態を必要とする。
【0131】
本発明の化合物の固形形態または液体形態をコーティングするために、腸溶性コーティングを使用し得る。腸溶性コーティングは、本発明の化合物が、胃液にさらされた時に、特定期間、投薬形態に物理的に取り込まれた状態であり続けることを促す。さらに、腸溶性コーティングは、迅速に吸収されるよう腸液中で分解するよう設計される。化合物の吸収の遅延は、消化管を通過する速度に依存し、そのため胃内容排出速度が重要な要因である。一部の研究者は、顆粒等の複数単位型の投薬形態が単回単位型よりも優れてい得ることを報告している。従って、好ましい一実施形態において本発明の化合物は、腸溶性コーティングされた複数単位型の投薬形態内に含まれ得る。より好ましい一実施形態では、本発明の化合物の投薬形態は、不活性コア物質上にある腸溶性コーティング剤固形分散物である化合物のスプレーコーティング顆粒によって調製される。これらの顆粒は、良いバイオアベイラビリティーで薬物の吸収を長期化する結果をもたらすことができる。
【0132】
典型的な腸溶性コーティング剤には、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタクリル酸−メタクリル酸エステル共重合体、ポリビニル酢酸−フタル酸、およびフタル酸セルロース酢酸が挙げられるが、これらに限定されない。Akihiko Hasegawa,Application of solid dispersions of
Nifedipine with enteric coating agent to prepare a sustained−release dosage form,Chem.Pharm.Bull.33:1615−1619(1985)。分解時間、コーティングの厚み、および径破壊強度の好ましい組み合わせを持つように最初から設計された腸溶性コーティング投薬形態を達成するための試験に基づき、様々な腸溶性コーティング物質が選択され得る。S.C.Porter et al.,The Properties of Enteric Tablet Coatings Made From Polyvinyl Acetate−phthalate and Cellulose acetate Phthalate,J.Pharm.Pharmacol.22:42p(1970)。一実施形態では、ヒプロメロースおよびマクロゴール6000が、コーティング剤として使用される。
【0133】
場合によっては、腸溶性コーティング剤の性能は、その透過性によって決まり得る。S.C.Porter et al.,The Permeability of Enteric Coatings and the Dissolution Rates of Coated Tablets,J.Pharmacol.34:5−8(1981)。当該経口薬剤送達システムを用いると、薬剤放出過程は、腸溶性コーティング剤を通過する水性液体の拡散によって開始され得る。研究によって、腸溶性コーティング投薬形態からの重要な放出機構として、浸透圧駆動/破裂効果が提案されている。Roland Bodmeier et al.,Mechanical Properties of Dry and Wet Cellulosic and Acrylic Films Prepared from Aqueous Colloidal Polymer Dispersions used in the Coating of Solid Dosage Forms,Pharmaceutical Research,11:882−888(1994)。
【0134】
別の種類の有用な経口制御放出構造体は、固体分散体である。固体分散体は、融解(融合)法、溶媒法、あるいは融解溶媒法によって調製された固形状態の不活性担体あるいはマトリックス内の1つ以上の活性成分の分散物として定義することもできる。Akihiko Hasegawa,Super Saturation Mechanism of Drugs from Solid Dispersions with Enteric Coating Agents,Chem.Pharm.Bull.36:4941−4950(1998)。また、固体分散体は、固相分散体と呼ばれる場合もある。また、溶媒法によって得られるこれらの調製物を指すために、「共沈物」という語が使用される場合もある。
【0135】
固体分散体を使用して、難水溶性の可能性のある本発明の化合物の溶解性および/または分解速度を改善し得る。全般的なことは、Hiroshi Yuasa,et al.,Application of the Solid Dispersion Method to the Controlled Release Medicine.III.Control of the Release Rate of Slightly Water−Soluble Medicine From Solid Dispersion Granules,Chem.Pharm.Bull.41:397−399(1993)を参照する。固体分散法は、元々、ポリエチレングリコールあるいはポリビニルピロリドン等の水溶性担体に薬剤を分散させることによって、難水溶性薬剤の溶解速度を増進するために使用された。Hiroshi Yuasa,et al.,Application of the Solid Dispersion Method to the Controlled Release of Medicine.IV.Precise Control of the Release Rate of a Water−Soluble Medicine by Using the Solid Dispersion Method Applying the Difference in the Molecular Weight of a Polymer,Chem.Pharm.Bull.41:933−936(1993)。
【0136】
表面成分の溶解速度は、複数成分混合物中の他の成分によって影響を受け得るため、担体の選択は、分散する薬剤の溶解特性に対して影響を及ぼす場合がある。例えば、水溶性担体では、薬剤がマトリックスから急速に放出される結果となる場合があり、あるいは、難溶性もしくは不溶性担体は、薬剤のマトリックスからの放出が緩慢となる場合がなる。また、本発明の難水溶性化合物の溶解性は、一部、担体との相互作用によって上昇する場合もある。
【0137】
本発明の固体分散体に有用な担体の例には、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、あるいはヒドロキシプロピルメチルセルロース等の水溶性高分子が挙げられるが、これらに限定されない。Akihiko Hasegawa,Application
of Solid Dispersions of Nifedipine with
Enteric Coating Agent to Prepare a Sustained−release Dosage Form,Chem.Pharm.Bull.33:1615−1619(1985)。
【0138】
普通に周知されている、固体分散体を調製するための様々な方法がある。これには融解法、溶媒法、および融解溶媒法が挙げられるが、これらに限定されない。
【0139】
融解法では、水溶性担体中にある薬剤の物理的混合物を、これが融解するまで直接加熱する。次にこの融解混合物を冷却し、厳密に撹拌しながら迅速に固化する。最終固体物を疎砕して粉砕し、ふるいにかける。この方法を用いると、高温度から融解物を急速に消滅させることによって、システム中の溶質あるいは薬剤の過飽和を得ることがしばしば可能である。当該条件下では、瞬時の固化過程によって、溶質分子は溶媒マトリックス中に捕捉され得る。短所は、高温での融合プロセスの過程で、薬剤あるいは担体のいずれについても、多数の物質が分解されるかまたは蒸発する場合のあることである。しかし、物理的混合物を密封した容器内で加熱すれば、この蒸発の問題が避けられ得る。薬剤あるいは担体の酸化を防ぐために、真空下あるいは窒素等の不活性ガス層下での融解が採用され得る。
【0140】
溶媒法は、有機化合物または無機化合物の固体溶液または混合結晶の調製に使用されている。2つの固体成分からなる物理的混合物を共通の溶媒内で溶解し、次に溶媒を蒸発させることによって、溶媒法分散物を調製す得る。溶媒法の主な長所は、有機溶媒の蒸発に必要なのは低温であるため、薬剤あるいは担体の熱分解が妨げられ得ることである。しかし、この方法に伴ういくつかの欠点は、調製費用が比較的高いこと、液体溶媒を完全に除去することが困難なこと、おそらくは僅かな量の溶媒の、薬剤の化学的安定性に対する有害な影響の可能性のあることである。
【0141】
固体分散体を作製する別の方法は、融解溶媒法である。最初に薬剤を適切な液体溶媒に溶解し、次いでこの溶液を、70℃未満で得られるポリエチレングリコール融解物中に直接混合することによって、液体溶媒を除去することなく固体分散体を調製することが可能である。選択される溶媒あるいは溶解されるアデノシンアナログは、ポリエチレングリコール融解物と混和性でない溶液であるように選択され得る。続いてこの融解物中で、多様な形態のアデノシンアナログが沈殿し得る。当該独自の手法は、融解法と溶媒法双方の利点を有する。Win Loung Chiou,et al.,Pharmaceutical Applications of Solid Dispersion Systems,J.Pharm.Sci.60:1281−1301(1971)。
【0142】
別の制御放出製剤は、イオン交換樹脂と本発明の化合物と間の複合体である。イオン交換樹脂−薬剤複合体は、酸性および塩基性薬剤の持続放出型製品を調剤するために使用されている。好ましい一実施形態では、イオン交換樹脂薬剤複合体粒子に高分子フィルムコーティングを処理し、これらの粒子からの薬剤放出を拡散制御されたものにする。Y.Raghunathan et al.,Sustained−release drug
delivery system I:Coded ion−exchange resin systems for pheylpropanolamine and other drugs,J.Pharm.Sceiences 70:379−384(1981)を参照する。
【0143】
注射可能なマイクロスフェアは、別の制御放出製剤である。注射可能なマイクロスフェアは、非水相分離法、および噴霧乾燥法よって調製され得る。マイクロスフェアは、ポリ乳酸あるいは共重合体(乳酸/グリコール酸)(Shigeyuki Takada,Utilization of an Amorphous Form of a Water−Soluble GPIIb/IIIa Antagonist for Controlled Release From Biodegradable Micro
spheres,Pharm.Res.14:1146−1150(1997))、およびエチルセルロース(Yoshiyuki Koida,Studies on Dissolution Mechanism of Drugs from Ethyl Cellulose Microcapsules,Chem.Pharm.Bull.35:1538−1545(1987))を使用して調製され得る。
【0144】
本発明の実践に際して使用される場合のある他の放出制御法は、実に様々ある。これらには、Elan Pharmaceutical Techinologies,Dublin,Irelandから入手できる、SODAS(楕円体経口薬吸収システム)、INDAS(不溶性薬剤吸収システム)、IPDAS(腸保護型薬剤吸収システム)、MODAS(多孔経口薬吸収システム)、EFVAS(発泡性薬剤吸収システム)、PRODAS(プログラム制御経口薬吸収システム)、およびDUREDAS(二重放出系薬剤吸収システム)が挙げられる。SODASは、制御放出ビーズを利用する多種粒子製剤である。INDASは、難溶性薬剤の溶解性を増進するよう設計された薬剤送達法の一種である。IPDASは、高密度制御放出ビーズと即時放出型顆粒との組み合わせを利用する多種粒子錠剤である。MODASは、制御放出シングルユニット製剤である。各錠剤は、薬剤の放出速度を制御する多孔半透膜によって覆われた内部コア物質から構成される。EFVASは、発泡性薬剤吸収システムであり、PRODASは、即時放出型ミニビーズと制御放出ミニビーズとの組み合わせを利用する多種粒子製剤である。DUREDASは、1つの製剤内で2種類の放出速度を提供する2層型錠剤である。これらの製剤は技術者に周知されているが、これらの製剤の一部については、より詳細をここで論じることとなる。
【0145】
INDASは、特に、難水溶性薬剤の溶解性および吸収特性を改善するために開発された。溶解性、特に消化管流体内での溶解は、難水溶性薬剤の総合的な経口のバイオアベイラビリティーを判定するのに重要な素因である。溶解性を増進することによって、薬剤の総合的な生物学的有用性を増し、結果として投与量の減少を得ることができる。INDASは、高エネルギーマトリックス錠の形態を取る。本発明の好ましい一実施形態では、作製には、エネルギー、賦形剤、および独特の加工手順の組み合わせと共に、アモルファス形態にあるアデノシンアナログを含める工程を包含する。
【0146】
所望する物理的形態に包含されると、得られる高エネルギー複合体は、再結晶化を防ぐための新しい高分子架橋結合法を利用する吸収プロセスによってよって安定化され得る。採用する賦形剤の溶解特性に連結して、本発明のアデノシンアナログの物理的状態の変化を組み合わせることによって、本発明のアデノシンアナログの溶解性は増進する。得られる吸収性アモルファスの薬物複合体顆粒は、持続的に円滑且つ継続的な吸収を促進するために、ゲル形成侵食性錠剤系と共に調剤され得る。
【0147】
IPDASは、潜在的に刺激性あるいは潰瘍誘発性のある薬剤の消化管寛容性を増強し得る多種粒子錠剤技術である。消化管全体に渡って本発明の刺激性アデノシンアナログの分散を促進するIPDAS処方物の多種粒子的性質によって、腸保護が容易にされる。個々のビーズの制御放出特性によって、高濃度の薬剤が局所的に放出されること、および全身的に吸収されることが回避され得る。双方の手法を組み合わせると、本発明のアデノシンアナログの潜在的有害性を最小にすることに役立ち、結果として患者の利益が得られる。
【0148】
IPDASは、多数の高密度の制御放出ビーズから構成される。各ビーズは、最初に本発明のアデノシンアナログが包埋されたマイクロマトリックスを製造し、続いてこのマイクロマトリックスを、生体内での速度制限性半透膜を形成する高分子溶液でコーティングするという2つの手順によって製造される。IPDAS錠剤は、摂取されると胃内で崩壊してビーズを遊離し得る。続いてこれらのビーズは、好ましくは制御されて徐々に(供給速度に関係なく)、十二指腸および消化管を通過する。アデノシンアナログ放出は、マイクロマトリックス、続いて速度制御型半透膜の孔を通過する拡散過程によって発生する。IPDAS錠剤からの放出速度は、最適な臨床的利益を伴う薬剤特異的吸収特性をもたらすよう特別に調整され得る。活性が迅速に開始されなければならない場合、即時放出型顆粒がこの錠剤に包含され得る。個人の力価のために投与量を減らすことが必要である場合、実質的に薬剤の放出に悪影響を及ぼすことなく、錠剤を投与の前に割り得る。
【0149】
MODASは、本発明の水溶性アデノシンアナログの吸収を制御するのに使用される場合のある薬剤送達システムである。MODASは、形成される半透膜による生体内での速度制限拡散の過程によって、物理的に薬剤の放出を操作する非崩壊性錠剤処方物である。この拡散過程は、体内への摂取が抑制される等、薬剤の消化管液への提示速度を本質的に決定する。賦形剤の使用が最小であるため、MODASは容易に小型製剤に適応することができる。各MODAS錠剤は、活性成分と賦形剤とを含有するコア物質として出発する。このコアが不溶性高分子および溶解性賦形剤でコーティングされている。錠剤は摂取されると、消化管流体が外側コーティング層の溶解性賦形剤を分解して、実質的に不溶性高分子を後に残し得る。結果生じるのは、消化管から水溶性薬剤の内側薬剤コア物質へと流体を連絡する小さく細いチャネルのネットワークである。この流体はこれらのチャネルを通じてコア物質内へ侵入し、薬剤を分解する。さらに、得られる薬剤の溶液は、制御されながら拡散して出て行くこともできる。これによって、調節分解と吸収の両方が可能とな得る。このシステムの利点は、錠剤の薬剤放出孔が、錠剤のほぼ全表面に渡って分布している点である。これによって、均一な薬剤吸収が促され、攻撃的な単一方向的薬剤送達が減少する。MODASは非常に柔軟性のある投薬形態であり、内部コア物質と外側半透膜のどちらも、薬剤の個々の送達要求性に合わせて変更できる。特に、内側コア物質に賦形剤を加えることは、より予測可能な放出速度と吸収速度とを助長する、錠剤内の微小環境を作り出すのに役立ち得る。外側コーティング剤の即時放出を加えることによって、組み合わせ製品の開発が可能とな得る。
【0150】
加えて、PRODASが、本発明のアデノシンアナログを送達するのに使用され得る。PRODASは、直径が1.5〜4mmの範囲の大きさの、制御放出の小錠剤の作製に基づいた、多種粒子薬剤送達法である。PRODAS技術は、多種粒子錠剤法と親水性マトリックス錠剤法を合わせたものであり、一つの製剤にて、これら両方の薬剤送達システムの利点が組み込まれ得る。
【0151】
最も基本的な形態において、PRODASは、即時放出性顆粒の直接圧縮を包含しており、本発明のアデノシンアナログを含有する個々の小錠剤を作製する。続いてこれらの小錠剤は、最終製剤となる硬質ゲルおよびカプセル内に取り込まれる。この技術のより有益な使用法は、制御放出組成物の作製である。この場合、顆粒内部に様々な高分子複合物を取り込むことによって、個々の小錠剤からの薬剤の放出速度が遅くし得る。さらなる放出遅延特性を付加するために、続いてこれらの小錠剤は、制御放出性高分子溶液でコーティングされ得る。このさらなるコーティングは、胃刺激物性の可能性のある高水溶性薬物の場合に必要であり得、この場合、この処方物が消化管のより遠位領域に到達するまで、放出を遅らせることができる。
【0152】
(包装)
錠剤および溶解可能な錠剤は、便利のため、ねじ蓋付きビン、アルミホイル小袋、プラスチック管あるいは金属管、あるいはアルミPTP包装等、保護的容器に包装されることが好ましい。溶解可能な粉末あるいは顆粒は、便利のため、各々が1回投与量の医薬品を含有するバッグ、サック、サシェ、あるいは小袋(saccule)に個別に包装されることが好ましい。バッグは、アルミホイル等の耐水性あるいは耐湿性物質から作製され得る。包装容器内に乾燥剤を組み込むことが適切であり得る。
【0153】
包装物は、別々にストロンチウム医薬品、ビタミンD医薬品、およびカルシウム医薬品を備え得るか、またはストロンチウムとビタミンDとの組み合わせ医薬品、およびカルシウム含む別個の医薬品を備え得る。当該包装物は、ストロンチウム錠剤(ビタミンDを含有するか、または含有しない)およびカルシウム錠剤を隣り合わせに備えるPTP包装の形態にあり得る。これによって患者は、複数の医薬品包装物を扱うの手間を避けながら、別個の薬剤を独立して投与する可能性を得ることができる。この包装物はさらに、それぞれの薬剤を投与するタイミングについての情報を備え得る。
【0154】
(パーツのキット)
包装物は、患者への投与に適した1つ以上の医薬品中に活性成分を含有するパーツのキットであり得る。
【0155】
一実施形態において本発明は、以下を含むパーツのキットに関係する:
i. 少なくとも2種のストロンチウム塩を含む医薬品、および
ii.少なくとも1種のカルシウム塩を含む医薬品
であって、医薬品iと医薬品iiとは別個の単位である。
【0156】
第2の実施形態においてストロンチウム医薬品は、ビタミンD化合物を含有する。
【0157】
本発明に従うパーツのキットは、上記の薬学的組成物および医薬品の1つ以上の性質を有する医薬品を含み得る。
【0158】
(溶解性)
効果的な経口投与医薬品は、容易に溶解されるべきである。医薬品の崩壊によって溶解性が増し、即ち、迅速な崩壊は医薬品の溶解、および続く吸収のために重要である。経口投与剤質に関して、物質がpH1〜7の範囲に渡って10mg/mlを越える水溶性を持たないと、吸収の潜在的問題が発生し得ることが、良く経験されている。溶解性と分解速度は相互関係にあるため、溶解度が1mg/mlに満たない場合、吸収が分解速度に制限される可能性がある。
【0159】
本発明の製薬組組成物および医薬品は、水中あるいは胃の酸性環境中で容易に溶解する。
【0160】
薬学的組成物を評価するために、活性成分の溶解性を確認することが重要である。腸および胃の環境は酸性であることから、経口投与のための薬学的組成物の溶解性は、pH5未満(例えば、pH4未満、あるいはpH3未満、好ましくはpH2未満)の同様の環境において測定することが好ましい。
【0161】
薬学的組成物の活性成分の放出は、錠剤として調剤された薬剤からのストロンチウムの放出を測定する、実施例15にて記載するように測定され得る。放出されたストロンチウムの量を、15分後、30分後、45分後、および60分後に測定する。一実施形態では、放出されたストロンチウムの量は、45分以内に少なくとも40%、あるいは45分以内に少なくとも50%が放出され、好ましくは少なくとも55%、より好ましくは少なくとも60%が45分以内に放出される。別の実施形態では、30分以内に少なくとも35%が放出され、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも45%、最も好ましくは少なくとも50%が、30分以内に放出される。
【0162】
(崩壊)
固形薬剤に関しては、崩壊によって医薬品の表面積が増え、よって溶解性が増す。従って、医薬品の崩壊は迅速であることが好ましい。
【0163】
溶解可能な薬剤の簡便な使用のため、薬剤の崩壊時間は短いことが好ましく、即ち、薬剤が水に浸されてから溶液が準備できるまでの時間は、長くあるべきではない。同時に、薬剤は、患者がその薬剤を取り扱い、配送し、そして持ち運ぶことを可能とするように、妥当な強固性を有していなければならない。
【0164】
崩壊時間は、インビボ試験あるいはインビトロ試験のいずれかによって特性を明らかにすることができる。本発明の溶解可能な薬剤の崩壊時間は、0〜300秒の範囲、0〜240秒の範囲、好ましくは0〜120秒の範囲、より好ましくは1〜60秒あるいは1〜30秒の範囲、最も好ましくは0〜20秒の範囲であることが所望される。
【0165】
コーティング錠剤の崩壊速度は、Ph.Eur.のように水中で測定され得、60分を超えないはずあって、崩壊時間は最大で45分(例えば、最大で30分)であることが好ましく、最も好ましくは30分未満である。
【0166】
本発明は、高度に最密化が可能で迅速に分散する錠剤、および直接圧縮されて、実用的な硬さと輸送および摩擦に対する耐性を有する即時分散性錠剤を形成し得る、1つ以上の活性成分から構成される、薬学的組成物および医薬品を記載する。
【0167】
本発明はさらに、一つ以上の活性成分を含む、高度に最密化可能で即時分散性の粉末から構成される、薬学的組成物および医薬品に関係する。
【0168】
(溶解可能な薬剤の崩壊量)
溶解可能な錠剤あるいは粉末は、患者が消費するのに適切な、ある容量の水(または他の液体)中で容易に崩壊されるべきである。得られる溶液は、患者に不快にならない粘稠度、色、および味であるべきである。一実施形態において一回投与の溶解量は、250ml未満(例えば200ml未満、150ml未満、100ml未満)である。
【0169】
(投薬量)
投与の必要量は、採用する具体的な薬剤組成物、投与経路、および治療を受ける特定の患者に応じて異なることとなる。理想的には、本手法による治療を受ける患者は、最大耐容量(MTD)を超えない薬学的有効量の化合物を受け入れ、これは通常、薬剤耐性が発症する前に必要とされる量を超えない。
【0170】
適切な投薬レジメンは、投与される患者の分類(患者の年齢、体重、性別、および医学的状態)、投与経路、患者の腎機能および肝機能、所望する効果、および採用する具体的な化合物が挙げられる、当分野で周知の要因を考慮に入れて判定することが好ましい。
【0171】
投与量はさらに、治療に応じて変動し得る。例えば、予防的治療および維持的治療は、約半量の活性成分からなる投与量を含み得る。維持的治療の期間は通常の治療に続いて、健康および/または強靭な骨を維持するために、またはその疾患もしくは障害の再発を防ぎ得る。予防的治療は、例えばリウマチ/関節炎の患者等、副腎皮質ホルモン治療を受けている患者に関係し得る。当該治療は限定された期間であり得るか、または生涯続く治療であり得る。
【0172】
(ストロンチウム)
ストロンチウムの有効投与剤には、3.5mmolのストロンチウムに等価である、少なくとも300mgのストロンチウムが含まれる。即ち、ストロンチウムの投与量は、ストロンチウム塩(類)が3.5mmol〜15mmolであるべきである。
【0173】
好ましい実施形態において、この医薬品の1回投与量製剤は、3.0〜15mmolのストロンチウムを含有するか、または例えば4〜12mmolのストロンチウム、または例えば5〜10mmolのストロンチウム、または例えば6〜8mmolのストロンチウム、または例えば6.5〜7.5mmolのストロンチウムを含有する。
【0174】
ストロンチウムは、本発明に従って、たとえば炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、あるいはケイ酸ストロンチウムのような、少なくとも2種のストロンチウム塩として投与される。
【0175】
1投与量は、薬学的組成物により含まれるストロンチウム塩に応じて、様々な量のストロンチウム塩を含む。1投与量は、0.5g〜2.2gの炭酸ストロンチウム、または例えば0.57g〜2.7gのケイ酸ストロンチウム、あるいは例えば0.5g〜4gの塩化ストロンチウムを含有する場合があり、これもまた水和レベルに依存する。
【0176】
好ましい一実施形態において、1投与量は、0.9g〜4.0gの塩化ストロンチウム6水和物を含有する。
【0177】
2つのストロンチウム塩を含む実施形態において、1投与量は、ストロンチウム塩に関係する箇所にて記載したように、様々な量のストロンチウム塩を含み得る。
【0178】
(カルシウム)
本発明に従うと、この医薬品の1投与量は、5〜50mmolのカルシウムを含有するか、または例えば、10〜40mmol、または例えば12.5〜37.5mmol、または例えば15〜35mmol、または例えば20〜30mmol、または例えば22.5〜28mmolのカルシウムを含有する。
【0179】
一実施形態において1投与量は、10〜50mmolのカルシウムを含有する。
【0180】
本発明の医薬品の等価な投与量は、200〜2000mmgのカルシウムを含有するか、あるいは例えば1投与量あたり、例えば400mg〜1600mg、または例えば500mg〜1500mg、または例えば600mg〜1400mg、または例えば800mg〜1200mg、または例えば900mg〜1100mgのカルシウムを含有する。
【0181】
本発明に従うと、この医薬品は好ましくは、500mg〜1500mgのカルシウムを含有するか、あるいは例えば1投与量あたり750mg〜1225mgのカルシウム、または例えば1投与量あたり900mg〜1100mgのカルシウム、または例えば1投与量あたり約1000mgのカルシウム等のカルシウムを含有する。
【0182】
カルシウム化合物に応じて、様々な量のカルシウム塩の量は、例えば0.5g〜5.0gの炭酸カルシウム、および0.95g〜9.5gのクエン酸カルシウム、および0.8mg〜8.5mgのリン酸二カルシウム無水物、および0.5g〜8gのリン酸三カルシウムである。
【0183】
(ビタミンD)
ビタミンD化合物の量は、必要に応じて変化す得る。以下に記すように、ビタミンD化合物を許容できない患者の部分集合はほとんどなく、従って、僅かな量のビタミンDを有する医薬品は有用であり得る。別の実施形態では、この医薬品はビタミンDを含有する。本発明に従うと、1回の投与量当たり少なくとも25IU(例えば、少なくとも50IU、少なくとも100IU、少なくとも200IU、少なくとも400IU)のビタミンDを投与すべきである。
【0184】
本発明に従うと、1回の投与量当たり、1000IU以下(例えば、800IU以下、600IU以下、400IU以下、200IU以下)のビタミンDを投与すべきである。上記のように、医薬品の製造に適したビタミンDの効果を有する任意の化合物(ビタミンD、ビタミンDおよびこれらのアナログが挙げられる)が、使用され得る。
【0185】
一実施形態において、この医薬品の1投与量は、100〜800IUのビタミンD化合物を含有する。
【0186】
好ましい一実施形態において、この医薬品の1投与量は、200〜400IUのビタミンD化合物を含有する。
【0187】
好ましい一実施形態において、この医薬品の1投与量は、200〜400IUまたは5〜12マイクログラムのビタミンD(コレカルシフェロール)を含有する。
【0188】
正確な投与量は、年齢、臨床的評価、食事、栄養状態、および日光利用性に依存す得る。
【0189】
さらに、ある患者の部分集合は、ビタミンD化合物を許容し得ないことが予期される。このような部分集合の例は、サルコイドーシスまたはベック病を患う患者であり、従ってこのような特定の症例においては、ビタミンD化合物は省くべきである。さらに、腎機能が低下している患者では、コレカルシフェロールの代謝が変化しているため、これらの患者にビタミンD(コレカルシフェロール)を投与すべきではない。
【0190】
(骨障害)
不適切な骨再生および分解の調節は、骨障害または代謝性骨疾患を導き、骨の弱体化および続く骨折頻度の上昇に帰結し得る。これに含まれるのは、例えば、骨粗鬆症、骨関節症、大理石骨病、オステオペニアおよびパジェット病、悪性高カルシウム血症(hypercalcemia of malignancy)、歯周疾患、上皮小体機能亢進症、リウマチ様関節炎における関節周囲侵食、骨形成異常、骨化性筋炎、ベヒテレフ病、悪性高カルシウム血症(malignant hypercalcemia)、骨転移によって生じる溶骨性病変、骨転移による骨痛、性ホルモン欠乏症による骨量減少、ステロイドホルモン治療による骨異常、ガン治療によって起こる骨異常、骨軟化症、ベーチェット病、骨化過剰症、転移性骨疾患、運動抑止誘発オステオペニアもしくは骨粗鬆症、あるいは糖質コルチコイド誘発オステオペニアもしくは骨粗鬆症、骨粗鬆症偽性神経膠腫症候群、特発性若年性骨粗鬆症、外傷後の骨折あるいは非外傷性骨折、移植不安定性、筋肉組織強化の必要状態ならびに体重増加の必要状態のような、軟骨および/または骨の疾患および/または状態であり、患者体内で軟骨代謝および/または骨代謝の異常調節を生じる。
【0191】
(治療)
本発明の医薬品は、上記のような軟骨および骨の疾患/障害の治療または予防のために使用され得る。疾患/障害の治療には、疾患/障害の症状の軽減、骨疾患/障害の発症の予防、または疾患/障害の進行の予防もしくは阻害が挙げられる。
【0192】
一実施形態において、本発明の薬学的組成物は、軟骨または骨の疾患/障害の治療および予防のための医薬品の調製のために、使用される。
【0193】
第2の実施形態において、本発明の薬学的組成物は、骨粗鬆症の治療または予防のための医薬品の調製のために、使用される。
【0194】
(予防および治療の方法)
本発明の一局面は、少なくとも2種のストロンチウム塩を含有する医薬品の薬学的有効量を患者に投与する工程を含む、治療方法または予防方法に関する。
【0195】
一実施形態において、本発明は、本発明に従う薬学的組成物または医薬品の薬学的有効量を投与する工程を含む治療方法に関係する。
【0196】
さらなる実施形態において、この治療方法は、軟骨または骨の疾患/障害の予防あるいは治療のためのものである。
【0197】
第2の実施形態において、この治療方法は、骨粗鬆症の予防あるいは治療のためのものである。
【0198】
好ましい一実施形態において、この治療方法には、1回投与量当たり3.5〜15mmolのストロンチウムの投与が含まれる。
【0199】
さらに、本発明の方法は、少なくとも2種のストロンチウム塩および/またはビタミンDおよび/またはカルシウムを含有する、本発明の医薬品の協調的投与を包含する。協調的投与によって、医薬品は別々に、続けて、または同時に投与され得ることが意味される。
【0200】
一実施形態において、この方法には、カルシウムを含む医薬品の投与が含まれ、ここでカルシウムの投与はストロンチウムの投与とは分離されている。
【0201】
一実施形態において、ストロンチウムを含む医薬品は、カルシウムを含む医薬品前に投与され、例えば、少なくとも30分前、少なくとも45分前、少なくとも60分前、少なくとも90分前、少なくとも120分前、少なくとも180分前、少なくとも240分前、少なくとも300分前、少なくとも360分前に投与される。好ましい実施形態において、このストロンチウムを含む医薬品は、カルシウムを含む医薬品の少なくとも7時間前、またはより好ましくは少なくとも8時間前に投与される。
【0202】
第2の実施形態において、ストロンチウムを含む医薬品は、カルシウムを含む医薬品の前に投与され、例えば、最大360分前、最大300分前、最大240分前、最大180分前、最大120分前、最大90分前、最大60分前、最大45分前、最大30分前に投与される。このストロンチウムは、好ましくは、カルシウムを含む医薬品の最大10時間前、例えば9時間前あるいは8時間前に投与される。
【0203】
さらに別の実施形態において、このストロンチウムを含む医薬品は、別個の薬剤または組み合わせ薬剤として、ビタミンD化合物と同時に投与される。
【0204】
(図の詳細な説明)
図1。実施例10に記載するように、炭酸ストロンチウムと塩化ストロンチウムとの組成物をICP−MS分析することによって得られた84Srシグナル。
【0205】
矢印は、溶解速度を算出するのに使用した第1曲線および最大値を指し示す。
【実施例】
【0206】
以下の実施例は本発明を説明するが、本発明に制限を与えるものではない。
【0207】
実施例1
炭酸ストロンチウム 100%
=0.59
炭酸ストロンチウム 1038g(7mmol)。
【0208】
実施例2
炭酸ストロンチウム 75%
塩化ストロンチウム 25%
=0.52
炭酸ストロンチウム 778.50g(5.3mmol)
塩化ストロンチウム 469.25g(1.7mmol)。
【0209】
実施例3
炭酸ストロンチウム 50%
塩化ストロンチウム 50%
=0.46
炭酸ストロンチウム 519g(3.5mmol)
塩化ストロンチウム 938.5g(3.5mmol)。
【0210】
実施例4
塩化ストロンチウム 75%
炭酸ストロンチウム 25%
=0.39
塩化ストロンチウム 1,410g(5.3mmol)
炭酸ストロンチウム 250g(1.7mmol)。
【0211】
実施例5
塩化ストロンチウム 100%
=0.325
塩化ストロンチウム 1,866g(7mmol)。
【0212】
実施例6
塩化ストロンチウム 1.33g(5mmol)
炭酸ストロンチウム 0.74g(5mmol)。
【0213】
実施例7
塩化ストロンチウム6水和物 1.33g(5mmol)
炭酸ストロンチウム 0.74g(5mmol)
20μgのビタミンD(コレカルシフェロール)
実施例8
炭酸アンモニウムで溶解した塩化ストロンチウム
塩化ストロンチウム 2.66g(10mmol)
炭酸アンモニウム(可溶化剤)。
【0214】
実施例9
炭酸ナトリウムで溶解した炭酸ストロンチウム
炭酸ストロンチウム 1.48g(10mmol)
ビタミンD 20μg (コレカルシフェロール)
炭酸ナトリウム10水和物(可溶化剤)。
【0215】
実施例10
誘導結合型プラズマ質量分析(ICP−MS)による、溶解速度の測定
溶解度は、ICP−MSを使用し、経時的なストロンチウムシグナルとして測定したものである。この手法を用いると、複数の同位体元素の追跡が可能となる。この場合84Sr、86Sr、87Srおよび88Srである。
【0216】
測定は、先の実施例1〜3に従い、表1に示したようにストロンチウム塩に関して実行した。塩酸塩溶液(0.1M)を試料に加え、続いて、蠕動ポンプによって直ちにICP−MSのアトマイザーに入れた。ポンプ速度は4.4ml/分であった。0.1Mの塩化物塩の濃度は、胃におけるHClの濃度に等しい。HCl溶液の温度は37℃であった。
【0217】
【表1】

(結果)
84S同位体に関係するシグナルを追跡した。実験3にて得られたシグナルを図1に示す。
【0218】
正面の曲線の傾きを分析することによって、化合物の溶解速度が得られる。第1曲線は実験物を表し、第2曲線は装置を表す。従って、この2つの曲線の傾きの間の差異を用いて、最高到達値で除算することによって溶解速度を計算する。ストロンチウムの溶解速度は、3回の実験にて著しく異ならないと認められた。
【0219】
塩酸中での炭酸ストロンチウムに関する溶解度および塩化ストロンチウムに関する溶解速度は、非常に大きい。平均溶解度は、1秒間にストロンチウム240±165mgと決定した。
【0220】
実施例11
錠剤として組成された薬剤
塩化ストロンチウム由来のストロンチウムは、全ストロンチウムの0.06%を提供する。
【0221】
【数3】


【0222】
下記の成分を使用して、1000個の錠剤を調剤することも可能である。
【0223】
(成分)
炭酸ストロンチウム(58.75%Sr) 510.64g 3.46mol塩化ストロンチウム(32.5%Sr) 615.38mg 2.3mmolビタミンD3*100,000IE/G 1.1g(+10%OD)
セルロース(マイクロクリスタル)(Ph Eur) 52g
マンニトール(Ph Eur) 510.64g
ポリビドン(Ph Eur) 25.60
ステアリン酸マグネシウム(Ph Eur) 5.50g
錠剤の重さ 1106mg/錠剤
ストロンチウム含量 3.46mmol/錠剤。
【0224】
錠剤作製のため、さらに以下を使用する。
96%エタノール(Ph Eur) 230.40g
(コーティング)
ヒプロメロース(Ph Eur) 8.84g
マクロゴール600(Ph Eur) 883mg。
【0225】
コーティングのため、さらに以下を使用する。
96%エタノール(Ph Eur) 81.37g
水(精製?) 19.53g。
【0226】
*ビタミンD3組成物は、以下から構成される(活性に従って測定した。):
コレカルシフェロール(Ph Eur) 2.9mg
ゼラチン(Ph Eur) 0.26g
サッカロース(Ph Eur) 0.39g
修飾澱粉(FCC) 0.20g
トリグリセリド溶媒鎖(Ph Eur) 0.21g
ケイ酸アルミニウムナトリウム塩(E 544) 2.9mg
ブチルヒドロキシトルエン(Ph Eur) 10.5mg
水 27.6mg
合計 1104mg
Ph Eur(The European Pharmacopoeia)
FCC(Food Chemical codex)。
【0227】
実施例12
組成物がさらに2%ウルトラミル(ultramyl)を含有する点を除いて、実施例11と同様。
【0228】
実施例13
組成物が2倍量のビタミンD3(例えば、2.2g(+10% OD))を含有する点を除いて、実施例11および実施例12と同様。
【0229】
実施例14
原子吸光分析(AAS)による、ストロンチウムの定量測定。
波長:460.7nm
フレーム:アセチレン−一酸化二窒素
ランタン溶液:29.3g La+50ml濃縮HCl+HOで、500ml
標準物質:1ppm、2ppm、3ppm、4ppm、5ppmのストロンチウム標準溶液。10mlのLa溶液を含有する50ml溶液として。
【0230】
10個の錠剤の重さを計測し、平均重量(W)を求める。
【0231】
錠剤を破砕して、1.200グラムを測り分ける(2連)。錠剤破砕物を100mlのフラスコに移し(2連)、10mlのHOと10mlの6M HCLをそれぞれのフラスコに加える。この懸濁液をガス炎上で加熱する。加熱30分後にHOを加えて100mlとする。この溶液を濾過し、HOにて2:100の希釈物を調製する。この溶液2mlを50mlのフラスコに入れ、10mlのランタン溶液を加え、さらにHOを加えて50mlにする。
【0232】
計算:
錠剤1個当たりのストロンチウム(mg)
【0233】
【数4】


【0234】
実施例15
ストロンチウム錠剤の溶解度
(材料)
USP装置2、パドル、 50rpm
0.1N HCl 900ml
37℃
底から2.5 cmの高さ
ランタン溶液:23.9g La+50ml濃縮HCL+HOで、500ml。
【0235】
測定は6回の独立した実験で行う。錠剤を、37℃にてそれぞれ5mlの0.1N HClに沈め、15分後に各試験管から5mlの試料を取り出す、試料は直ちに濾過する。この5mlを、37℃で0.1N HClに置き換える。濾過した試料の1mlを50mlのフラスコに移し、10mlのLa(II)溶液および0.1 HClを加えて50mlとする。この手順を、実験の開始から30分後、45分後、および60分後に繰り返す。ストロンチウムの含量は、実施例14に記載したように、原子吸収分光法(AAS)を用いて測定する。
【0236】
波長:460.7nm
フレーム:アセチレン−一酸化二窒素
標準物質:1ppm、2ppm、3ppm、4ppm、5ppmのストロンチウム標準溶液。10mlのLa溶液を含有する50ml溶液として。
【0237】
計算:
【0238】
【数5】


【0239】
実施例16
実施例15に記載したように測定した、実施例11にて記載した錠剤の溶解性。
【0240】
結果
溶解したストロンチウムの割合を示す。;括弧内の数値は得られた最高値および最低値である。
15分後、溶解したストロンチウムは、32.7%(25.5−38.4)。
30分後、溶解したストロンチウムは、41.7%(36.4−49.7)。
45分後、溶解したストロンチウムは、51.6%(44.3−58.8)。
60分後、溶解したストロンチウムは、60.7%(55.0−70.7)。
【0241】
実施例17
3.5nmolのストロンチウムを含有する錠剤の例
炭酸ストロンチウム 463mg
塩化ストロンチウム 93mg
MCC 297mg
二酸化ケイ素 12mg
ステアリン酸マグネシウム 5mg。
【0242】
実施例18
炭酸ストロンチウムおよび塩化ストロンチウムの量が異なる点を除いて、実施例11または実施例17のように組成した錠剤。下記の表1は、SrCOおよびSrCLが寄与するストロンチウムの割合および、3.5molのストロンチウムを含有する錠剤中の各成分のモル量を示す。
【0243】
【表2】

さらに別の例において、この組成物は、さらに実施例12および実施13にて記載されるような成分を含み得る。
【0244】
錠剤の溶解性は、実施例15のように分析される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記載された発明。

【図1】
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【公開番号】特開2012−193208(P2012−193208A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−157477(P2012−157477)
【出願日】平成24年7月13日(2012.7.13)
【分割の表示】特願2007−516973(P2007−516973)の分割
【原出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(511185287)
【Fターム(参考)】