説明

ストロー付きレトルトパウチ食品の製造法

【課題】粘性食品の充填が容易で、しかも充填後のストロー部の完璧な密封を保証でき、安心、安全性の高いストロー付レトルトパウチ食品の製造法を提供する。
【解決手段】ストローの機能を果たすスパウトを取り付けた袋状容器に中性食品に属する内容物が充填されたレトルトパウチ食品を得るに当たり、取出し筒に一体に閉鎖部を設けたスパウトを使用し、スパウトにキャップを取り付けることなく、目的食品を袋状容器の適所から充填し、その充填部位をシールして袋状容器を密封し、レトルト処理前及びレトルト処理後にそれぞれスパウトからの内容物の漏れ検査を行い、その後に取出し筒にキャップを施す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はストロー付きレトルトパウチ食品の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
弱酸性飲料水やゼリー飲料をストロー付きフルキシブルパックに充填したものが現在、年間約5億パック製造・販売されている。前記パックは、樹脂フイルムあるいはアルミニウムと樹脂との複合フイルムを用いた袋状容器(パウチ)にスパウトと称するストローの機能をも果たす口栓を取り付けたもので、スパウトには、パウチに挿着される取出しパイプの中間につばを設け、つばより上位に雄ねじを外周に有する取出し口部(ストロー部あるいはノズル部)を設け、取出し口部にキャップを螺合するようにした構造が用いられ、キャップはキャップの緩めによって切断されるように下端に脆弱部を介してバージンリングが設けられ、これが雄ねじより下のつばに位置するようになっている。
【0003】
こうした構造のパウチでは、内容物がふつう弱酸性食品であり、この場合の殺菌温度は80〜98℃程度である。このため、内容物が果汁などの液である場合、スパウト本体の取り出し部開口から充填を行い、その直後にキャップを施し、また、ゼリー飲料である場合は、ゲル化剤を混ぜた約90℃の液を充填機で取り出し部開口から充填し、直ちにキャップをし、密封後冷却することにより液の中に含まれたゲル化剤によってゼリー状にする。したがって、殺菌処理に起因する容器の変形、漏れ等の問題や、安全性の問題はほとんど生じない。
【0004】
ところが、近年、一般用、介護用、非常食用等のためのレトルト飲食品やホット飲食品、たとえば、朝食代用食品、介護用の食品、運動時などエネルギー消費時のための高カロリー食品、栄養補助食品、離乳食品などについて、ストローから直接手軽に摂取できるストロー付フルキシブルパック形式化の要請がある。
これらの食品は、一般に中性食品に属するので、レトルト処理により加圧加熱殺菌を行うことが不可欠であるが、従来の充填密閉方法を適用した場合、大きな問題が存在した。
【0005】
すなわち、従来のスパウトは、雄ねじと雌ねじによる開口の閉止であるので、これをそのまま中性食品のスパウトに適用し、スパウト本体の取出し部の開口を通して食品を充填し、取出し部にキャップを施した場合、レトルト処理時において、熱によるキャップや本体の膨張、収縮、変形に伴うキャップの緩みなどにより密閉が解かれてしまい、内容物が漏れ出したり、細菌が侵入したりする衛生上の問題が発生する。
【0006】
したがって、レトルト処理に対応するためプラスチック製キャップのみの密封では不十分であり、この対策として、従来、いくつかの方法が考えられていた。
1)取出し口部から食品を充填後、ラミネートアルミ箔等を口部に貼着する方法。
2)取出し口部にあらかじめラミネートアルミ箔等を貼着しておき、パウチの上、横、底等から食品を充填後、パウチをシールする方式。
【0007】
しかし、このような方法では、次のような問題があった。すなわち、レトルト飲食品やホット飲食品は、たとえば、かゆ、すりつぶした魚肉、食肉、野菜などを1種以上含有したペースト、クリーム状の粘性流動物の形態をなしていることが多く、若干の固形物を含んでいるものや、特に誤嚥下対策として「とろみ」を意図的につけたものが多い。
このことから、1)の方法では、取出し口部の細い口径(直径9mm程度)から充填したときに、取出し口部に粘性の強い液が付着し、この付着物によりシール不良の原因となり、内容物の漏れや、外部からの細菌類の浸入などが生じる可能性があり、安全上問題が大きい。
【0008】
2)の方法はパウチ側からの充填であるため、充填時の問題はほとんどない。しかし、充填後の殺菌時に取出し口部のシールの異常があることを考慮し、あらかじめキャップ巻締めを行うことになるが、レトルト処理直後、あるいはさらに冷却する工程において、アルミ箔による密封が完全になされたかどうかの検査が困難であり、密封不良やそれに伴う液漏れが見逃される危険がある。
また、レトルト処理後のスローリーク、マイクロリークの検査、チェックも困難であり、レトルト処理時にレトルト機内の蒸気シャワーにより、キャップと取出し口部の間に水が入り、液漏れ等の検査が更に困難になる。したがって、商品の安全性を確認できないという問題があった。
しかも、1)2)とも、飲食するときに小さなアルミ箔を剥がすのに手間と時間がかかり、また、剥がしたアルミ箔片の処理も面倒である問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は前記のような問題点を解消するためになされたもので、その目的とするところは、粘性食品の充填が容易で、しかも充填後のストロー部の完璧な密封を保証でき、安心、安全性の高いストロー付レトルトパウチ食品の製造法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため本発明は、ストローの機能を果たすスパウトを取り付けた袋状容器に中性食品に属する内容物が充填されたレトルトパウチ食品を得るに当たり、取出し筒に一体に閉鎖部を設けたスパウトを使用し、スパウトにキャップを取り付けることなく、目的食品を袋状容器の適所から充填し、その充填部位をシールして袋状容器を密封し、レトルト処理前及びレトルト処理後にそれぞれスパウトからの内容物の漏れ検査を行い、その後に取出し筒にキャップを施すことを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
袋状の容器本体に食品を直接充填するので粘性の液や固形物入り液でも充填が容易であり、また、スパウトの取出し口へのアルミ箔貼りといったシール作業を要さず、スパウトにキャップを施さないままレトルト処理を実施するので工程が簡易であり、スパウトにキャップが取り付けられておらず取出し口が露出していることあいまって、スパウトの密封が完全かどうかやマイクロスローリークの判定をレトルト処理前、レトルト処理後にダブルチェックするので、安全、安心なレトルト又はホット飲食品を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
スパウトを内容物充填前に袋状容器に取り付け、スパウトを避けた部位の袋状容器に充填を行うか、または、スパウトを袋状容器に取り付けずに充填を行い、充填後にスパウトを袋状容器に挿着しシールする。
前者は容量の大きなパウチ食品に好適であり、後者は容量の比較的小さなパウチ食品に好適である。
【0013】
好適には、スパウトの閉鎖部が、取出しパイプの上端より下方の内側に、取出しパイプ部内面とリング状の脆弱部を介してつながりかつわずかな空隙をおいて軸方向に延び、外周にラチェットを有する突出部を有し、キャップが、前記ラチェットと係合するラチェットを形成しており、キャップの緩めによりリング状の脆弱部が切除して開封され、取出しパイプ部が開口するとともに切除された脆弱部がキャップに保持されるようになっている。
【0014】
これによれば、リング状の脆弱部がスパウトの取出しパイプの口部内側にあるので、搬送時やレトルト処理時などにおいて、スパウトが機材等に衝突しても損傷を受けにくく、レトルト処理時に熱によりシールが解除される懸念も少なくすることができる。
また、キャップを装着してもシールが解除されず、飲食時まで的確な密封状態を維持することができる。そして、閉鎖部は飲食時にキャップを緩めることで働きが解除され、取り外された閉鎖部は自動的にキャップに保持されるので、飲食が容易である。
【0015】
キャップが透明材からなっている。
これによれば、レトルト処理後の漏れチェックも目視で容易に行なえ、万一液漏れがあったときに判別が容易である。
【実施例1】
【0016】
以下添付図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図1ないし図10は本発明によるストロー付きレトルトパウチ食品の製造法の第1実施例を示している。
図1は工程及び設備の概要を示しており、内容物を調合する工程と、調合した内容物を殺菌する工程と、殺菌済みの内容物をキャップ未装着のままレトルト対応容器に充填する工程と、容器本体をシールし密封する工程と、第1段リーク検査工程と、レトルト処理工程と、取出し部の水分除去工程と、第2段リーク検査工程と、取出し部へのキャップ装着工程と、第3段リーク検査工程と、製品箱詰め工程の順で行われる。
【0017】
内容物Aは、通常、中性食品に属するものが選ばれる。その例としては、かゆ、すりつぶした魚肉、食肉、野菜などを1種以上含有したペースト、クリーム状の粘性流動物の形態をなしているもの、これに若干の固形物を含んでいるもの、誤嚥下対策として「とろみ」をつけたものなどが挙げられる。用途は、一般用、介護用、非常食用等など任意である。
かかる内容物Aは、充填前に図1のライン1のように調合タンクにて調合され、ここから抽出され、高温殺菌機たとえばチューブ式殺菌機で殺菌される。内容物がかゆ類のように半固形状のものが混在しているものである場合やコーヒーやミルクで代表される液体の場合には、均一化処理が行なわれず、ライン2のようにUHT殺菌機など所定の方式で耐熱菌等を滅する。
こうして殺菌された内容物は充填・スパウトシール設備に送られ、パウチ容器に充填される。
【0018】
図2と図3は本発明において使用するのに好適な容器の例を示しており、図2において、1は袋状容器(パウチ)、2はスパウトであり、この段階ではキャップは取り付けられない。
前記パウチ1は、この例では合成樹脂フイルムとアルミニウム箔などを少なくとも2層貼り合わせてラミネートした非通気性、不透光性材料の袋からなり、ガゼットを有してもよいし、有しなくてもよい。
この例では前記パウチ1は容積がたとえば400cc以上という比較的大型のものであるため、予め両側部と底部が熱シールされ、帯状シール部1a、1a、1bが設けられている。
スパウト2は耐熱性の合成樹脂成形体からなっており、中間部にシール用つば部3aを有し、そのシール用つば部3aよりも下方にはパウチ内に挿入される注出パイプ部3bが設けられている。前記シール用つば部3aはパウチ1の上部に装着され、その状態でパウチ上部が部分的に熱シールされることで仮止めされている。符号1cはパウチ上部の帯状シール部であり、この例ではこの上部シール部1cの一部に未シール部分が残され、充填用の開口1dが設けられている。
【0019】
前記スパウト2のシール用つば部3aには数段のつば3cを介して取出しパイプ部3dが形成されている。取出しパイプ部3dは飲食時のストローないしノズルとして機能する部分であり、上端から所要の距離をおいた位置の外周に、係止用のつば30とこれと適度な距離をおいて雄ねじ31が設けられている。
【0020】
前記取出しパイプ部3dには、充填時の密閉状態の確保と摂取時の軽快な開封に好適な閉鎖構造を付加している。すなわち、図3と図4に詳細を示すように、取出しパイプ部3dの雄ねじ31よりも上位にある取出し口32の内側でかつこれの上端より所要距離下方の位置に、前記取出し口32と同心状の突出部3eを形成しており、突出部3eは上端から取出し口32の上端より突出する切断トルク導入用の径小部3fを有している。径小部3fはこの例では突出部3eの天壁を底としてカップ状に構成されている。そして、径小部3fの外周には、一方向のみに働かせるための歯たとえば時計方向に曲がった複数のラチェット35が配設されている。それらラチェット35の外接円は突出部3eの外径とほぼ同径になっている。
【0021】
前記突出部3eはこの例では筒状をなし、取出し口32の内面との間に環状の空隙7を有せしめて連結部33をもって取出し口32の内面と一体化されているが、前記連結部33の基端部位には、所定の高さを有した薄肉リング膜状の脆弱部34を形成している。
前記連結部33は、全周が取出し口筒32の高さ方向で同一レベルにあってもよいが、この例では、意図的に所定の位置ずれを有せしめており、これに呼応して、脆弱部34は、取出しパイプ部軸線と直交しておらず、傾斜角度αで交差している。すなわち、図3(a)では、左端が取出し口32の最も奥にあり、180度対称の右端が取出し口32の入り口寄りにあり、その間で連続的に変化している。したがって、内筒部3eの長さは周方向で異長であり、図3(a)では、左端がもっとも長く、右端がもっとも短く、その間で連続的に変化している。
【0022】
前記容器は充填機に供給され、充填機のノズル5が前記パウチ1の充填用の開口1dに挿入され、たとえば85〜95℃の範囲内の温度に熱せられた内容物Aが注入される。このとき、スパウト2の取出しパイプ部3dにはキャップが施されていないが、前記のように脆弱部34を含む突出部3eが取り出しパイプ部3dの口を閉止状態としているので、内容物の逆流排出は生じず、粘性を有する内容物であっても円滑に能率よく充填できる。
【0023】
こうして充填が終わったならば、パウチ1は回転されて充填機の下流にあるシーラーに送られ、充填用の開口1dを形成していたパウチ部分を熱シールするとともにスパウトのシール用つば部3aを本シールし、密封する。これで、図5のような一次製品Bとなる。
この一次製品Bは、シーラーからレトルト機に搬送されるが、この途中で、一次製品Bを横に転倒させあるいは立てた状態のままで、図1の図6のようにパウチ1の腹部を若干圧迫し、内容物Aの漏れの有無を検査する。この検査はピンホールの検査も含み、検査方法は目視でもよいし、光電式スキャン、X線スキャンなどに任意である。能率化のため、この検査は、図1のように、コンベア6と対峙させて圧迫用コンベア6´を配し、コンベア6で搬送されているパウチ1の腹部を圧迫し、その直後下流に検査手段8を配して、パウチシール部分と取出しパイプ部3dの状態をチャックする。
スパウト2の取出しパイプ部3dにキャップが施されていないので、内容物の漏れの有無すなわち密封が完全であるかをダイレクトに精度よく検知することができ、漏れがある時は自動的に不良品として排除するので、無駄なレトルト処理を減少できる。
【0024】
ついで、第1段検査に合格した一次製品Bは、レトルト機に送り込まれる。このときのレトルト条件は、たとえば105〜125℃、5〜30分の範囲から選定される。
キャップを取出しパイプ部に螺合させて開口を閉じているのと違って、取出しパイプ部3dでは、突出部3eが脆弱部34と連結部33によって取出しパイプ部3dの取出し口32内側と一体に連結されている。したがって、前記条件での加圧と高温が作用しても適切な加圧加熱殺菌が行なわれ、キャップ装着条件でのレトルト処理にまつわる液漏れなどの懸念は皆無である。
【0025】
こうしてレトルト処理が終わったならば、一次製品Bはノーキャップのまま冷却処理される。それに続いて、図1と図7のように一次製品Bをコンベアで搬送しながら取り出しパイプ部3dを中心に矢印のようにエア5を吹付ける。これにより、空隙7にある水分を飛ばして乾燥させる。また、製品の種類によってUV殺菌機によって殺菌を行なう。
ついで、一次製品Bはキャッパーへと搬送されるが、この搬送開始からキャッパーにいたるまでの過程において、一次製品Bを横に転倒させあるいは立てた状態のままで、第1段検査のときと同じく、図1と図6のようにコンベア6と対峙させて圧迫用コンベア6´を配し、コンベア6で搬送されているパウチ1の腹部を圧迫し、その直後下流に検査手段8を配して、パウチシール部分と取出しパイプ部3dの状態をチャックする。この検査方法は目視でもよいし、光電式スキャン、X線スキャンなどに任意である。この検査により、レトルト処理時における脆弱部34や連結部33の変形などによる異常発生の有無が判定され、不良品の発生を回避することができる。
【0026】
ついで、取り出しパイプ部3dにキャップ4を取り付ける。図8は本発明で使用するキャップ4の例を示しており、好適には、キャップ4の全体が透明材料で作られている。キャップ4は、前記スパウト2の雄ねじ31に螺合する雌ねじ41を内周壁に有し、周壁の下部には数本の連結帯(スコア部)42を介してリング部4aが連設されている。該リング部4aはキャップの自然的な緩みと悪戯防止のためのもので、スパウト2の係止用のつば30に掛けられ、キャップ4の緩め時に連結帯42が切除されるようになっている。
しかも、キャップ4は、前記雌ねじ41よりも奥の位置に、取り出しパイプ部3dへの冠着時に取出し口32の上端面に当接可能な段部43が形成されており、この位置から天壁にかけた内周面に、図8(b)のように、反時計方向に曲がって前記スパウト2のラチェット35と係合可能な複数の追い羽根状のラチェット44が配設されている。また、キャップの天壁中央部位には、前記スパウト2の径小部3fの穴にはまる突起45が垂下されている。突起45と径小部3fは逆の関係すなわち、突起が径小部に外嵌する形態であってもよい。
【0027】
キャッパーでは、前記キャップ4を取出しパイプ部3dに螺合することで行なわれる。このときにはラチェット35,44は働かない。これで図9のような状態となり、雌ねじ41と雄ねじ31が螺合するだけでなく、突起45が径小部3fの穴に嵌り、ラチェット35と内周側ラチェット44が噛み合う。これで取出しパイプ部3dは2重の密閉が施されるので、安全性が高いものとなる。
【0028】
そして、密閉製品Bは箱詰めラインに送られるが、この途中で、前記第1段及び第2段検査と同じように、密閉製品Bを若干圧迫して内容物Aの漏れの有無を最終検査する。この検査方法は目視でもよいし、光電式スキャン、X線スキャンなどに任意である。
すでに取出しパイプ部3dにエアブローを行ってレトルト処理時に付着した水分をとばしているので、漏れがあった場合には内容物であることになる。キャップ4を透明に構成しておいた場合、内容物は有色であるので、目視や光電式スキャンなどで色のついた液が見えた場合には液漏れがあることを意味し、これを不良品として排除する。キャップ4が不透明である場合には、X線によるスキャンで検知する。以上で液漏れなどのない優良なストロー付きレトルト食品が製造され、合格したものを箱詰めする。なお、最終検査は、場合によっては省略することもできる。
【0029】
そして、食品を摂取するときには、図11のように、キャップ4を緩め側に回動する。キャップ側のラチェット44がスパウト側のラチェット35と噛み合っているので、キャップ4の回転によって径小部3fと突出部3eとがねじられ、取出しパイプ部3dの取出し口32は開放され、内容物Aを飲食することができる。径小部3fが突起45に嵌っているので、切除された突出部3eはそのままキャップ4に帯同される。
【0030】
なお、脆弱部34が取り出しパイプ部軸線と直交しておらず、斜め角度で存している場合、すなわち取出し口32の口端から遠い部位(ラチェットかみ合い位置から高さ方向で遠い位置)から近い部位(ラチェットかみ合い位置から高さ方向で近い位置)へと連続的に変化している場合には、ねじ切りトルクの大きさが周方向で変化し、通常、キャップ4の回転時に、取出し口32の口端から近い部位に強いねじ切り力がかかり、ここに亀裂が入ってそれが伝播していく。
このため、脆弱部34は小さなトルクで切除することができ、指の力が弱い者でも、楽に開封することができる。また、その分だけ脆弱部34の厚みを加圧加熱殺菌に耐える厚みにすることができるので、安全性も高くなる。
また、連結部33が軸線に対して斜めになっているので、パウチ1を圧迫して収容物を注出するときの抵抗が周方向で漸次連続的に変化し、収容物が傾斜に即して徐々に排出されることになる。したがって、飲み込みも楽に行なえる。
【実施例2】
【0031】
図12ないし図14は本発明の第2実施例を示している。
この実施例はパウチ容器の容積が比較的小さい場合に適しており、内容物を調合する工程とそれを殺菌する工程と、殺菌済みの内容物をスパウト未装着のままレトルト対応容器に充填する工程と、容器をシールするとともにスパウトを装着・シールし密封する工程と、第1段検査工程と、レトルト処理工程と、取出し部の水分除去工程と、第2段検査工程と、取出し部へのキャップ装着工程と、要すれば最終検査工程を経てから製品箱詰め工程が行われる。
【0032】
第1実施例と異なるのは、第1に、パウチ1にスパウト2を挿着固定することなく、内容物の充填を行なうことである。すなわち、図12のようにパウチ1は上部が全開または所要範囲が未シール状態とされ、それによる充填用の開口1dに充填機のノズル5が挿入され、充填が行なわれる。したがって、粘性のある内容物を円滑に充填することができる。
第2に、内容物の充填が終わった後、図13のように充填用の開口1dにスパウト2を挿入し、充填用の開口1dを熱シールして密封するとともに、スパウト2のシール用つば部3aを囲繞するように熱シールして密封する。スパウト2の構成は第1実施例のものと同じであり、これで図14のような密封製品Bが得られる。
このシール後の工程は第1実施例と同様であるから、説明を援用する。
【0033】
本発明は実施例に示すものに限定されない。たとえば、パウチ1への内容物の充填部位は、上部でなく側部あるいは底部であってもよい。
また本発明は、ストロー付きレトルトパウチ食品の製造装置の発明を含んでおり、次の2態様を含んでいる。
1)内容物調合設備と、調合した内容物殺菌設備と、殺菌済みの内容物をキャップ未装着のスパウトを有するレトルト対応容器に充填する設備と、容器本体をシールし密封する設備と、一次製品搬送ラインに付設された押圧手段と直下流の検査手段を含む第1段リーク検査設備と、レトルト処理設備と、取出し部の水分除去設備と、レトルト処理済製品の搬送ラインに付設された押圧手段と直下流の検査手段を含む第2段リーク検査設備と、取出し部へのキャップ装着設備と、キャップ装着済み製品をの搬送ラインに付設された押圧手段と直下流の検査手段を含む第3段リーク検査設備と、製品箱詰め設備を一連に設けたもの。
【0034】
2)内容物調合設備と、内容物殺菌設備と、殺菌済みの内容物をスパウト未装着のままレトルト対応容器に充填する設備と、容器をシールする設備と、スパウトを装着・シールし密封する設備と、一次製品搬送ラインに付設された押圧手段と直下流の検査手段を含む第1段リーク検査設備と、レトルト処理設備と、取出し部の水分除去設備と、レトルト処理済製品の搬送ラインに付設された押圧手段と直下流の検査手段を含む第2段リーク検査設備と、取出し部へのキャップ装着設備と、キャップ装着済み製品をの搬送ラインに付設された押圧手段と直下流の検査手段を含む第3段リーク検査設備と製品箱詰め設備を一連に設けたもの。
【0035】
本発明はいずれにしても、スパウトにキャップを施すことなく内容物の充填を行なうので、内容物が固形物を含んでいたり、粘性があったりしても、円滑かつ能率的に充填することができる。また、スパウト2に膜状の閉鎖部が一体成形されており、取り出し口への煩雑なアルミ箔の貼り付け作業も要さないので、コストの削減と能率化を図ることができる。
また、レトルト処理前と処理後に簡便かつ的確に内容物の漏れとシールの良否をチェックするので、不良品の発生を低減できる。スパウト2に膜状の閉鎖部34が一体成形されているので、レトルト処理も、キャップの螺合だけの場合のような熱による緩みといった問題が生じず、安定して行なうことができる。そして、レトルト処理後の第2次検査終了後にはじめてキャップ4を装着し、箱詰め前に漏れの最終チェックを行うので、前記レトルト処理前、処理後のチェックとの3重チェックにより不良品の発生をほぼ皆無にすることが可能となる。したがって、衛生的で安全なストロー付き中性食品を量産することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の製造工程を示す説明図である。
【図2】第1実施例に使用する容器の部分切欠正面図である。
【図3】(a)は図2の部分的拡大図、(b)は(a)のX−X線に沿う断面図である。
【図4】第1実施例の充填状態を示す部分切欠正面図である。
【図5】充填後のシール完了状態を示す部分切欠正面図である。
【図6】第1段階検査の状態を示す側面図である。
【図7】レトルト後のエアブロー状態を示す説明図である。
【図8】(a)は本発明で使用するキャップの断面図、(b)は(a)のY−Y線に沿う断面図である。
【図9】(a)はキャップ装着状態の断面図、(b)は(a)の横断面図である。
【図10】第2段階検査状態の説明図である。
【図11】飲食のためのキャップ取り外し状態を示す断面図である。
【図12】本発明の第2実施例における充填時の状態を示す部分切欠正面図である。
【図13】シール時の状態を示す部分切欠正面図である。
【図14】シール完了状態を示す部分切欠正面図である。
【符号の説明】
【0037】
1 袋状容器(パウチ)
2 スパウト
3d 取出し筒部
3e 突出部
34 脆弱部
35、44 ラチェット
4 キャップ
5 充填ノズル
6 搬送コンベア
6´ 圧迫手段
8 検査手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ストローの機能を果たすスパウトを取り付けた袋状容器に中性食品に属する内容物が充填されたレトルトパウチ食品を得るに当たり、取出し筒に一体に閉鎖部を設けたスパウトを使用し、スパウトにキャップを取り付けることなく、目的食品を袋状容器の適所から充填し、その充填部位をシールして袋状容器を密封し、レトルト処理前及びレトルト処理後にそれぞれスパウトからの内容物の漏れ検査を行い、その後に取出し筒にキャップを施すことを特徴とするストロー付きレトルトパウチ食品の製造法。
【請求項2】
キャップを施した後、さらにスパウトからの液漏れを検査することを特徴とする請求項1に記載のストロー付きレトルトパウチ食品の製造法。
【請求項3】
スパウトを内容物充填前に袋状容器に取り付け、袋状容器のスパウトを避けた部位で充填を行うことを特徴とする請求項1または2に記載のストロー付きレトルトパウチ食品の製造法。
【請求項4】
スパウトを袋状容器に取り付けずに袋状容器に充填を行い、充填後にスパウトを袋状容器に挿着しシールすることを特徴とする請求項1または2に記載のストロー付きレトルトパウチ食品の製造法。
【請求項5】
スパウトの閉鎖部が、取出しパイプの上端より下方の内側に、取出しパイプ部内面とリング状の脆弱部を介してつながりかつわずかな空隙をおいて軸方向に延び、外周にラチェットを有する突出部を有し、キャップが、前記ラチェットと係合するラチェットを形成しており、キャップの緩めによりリング状の脆弱部が切除して開封され、取出しパイプ部が開口するとともに切除された脆弱部がキャップに保持されるようになっている請求項1ないし3のいずれかに記載のストロー付きレトルトパウチ食品の製造法。
【請求項6】
キャップが透明材からなっている請求項1ないし5のいずれかに記載のストロー付きレトルトパウチ食品の製造法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−264725(P2006−264725A)
【公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−84320(P2005−84320)
【出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(390034876)日本ウイリング株式会社 (6)
【Fターム(参考)】