説明

スナック惣菜類用粉末油脂及びスナック惣菜類

【課題】たこ焼き、お好み焼き等のスナック惣菜類の生地に添加し、生地を焼成後の離型性が良く、生地に卵を含まない場合でも優れた焼き色、食感を有し、冷凍保存後に再加熱した場合でも優れた食感を有し、老化防止効果にも優れ、冷凍保存した場合でも長時間食感低下を来す虞のないスナック惣菜類を得ることができるスナック惣菜類用粉末油脂を提供する。
【解決手段】スナック惣菜類用粉末油脂は、食用油脂、重合度2〜4のマルトオリゴ糖及びラクトースを含有する粉末化基材、乳化剤としてレシチン及びグリセリン脂肪酸エステルを含む水中油型乳化物を乾燥粉末化した粉末油脂であって、粉末油脂中にレシチン0.1〜2重量%、グリセリン脂肪酸エステル0.5〜6.5重量%が含有されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たこ焼き、お好み焼き等のスナック惣菜類用粉末油脂及びスナック惣菜類に関する。
【背景技術】
【0002】
たこ焼きや、お好み焼きは、小麦粉に水、卵、具材、調味料等を添加混合して調製した生地を焼成して得られるものであり、たこ焼きでは外側がぱりっとし、中身がとろっとした食感を有するものが好まれ、お好み焼きではふんわりと柔らかく、口溶けが良く歯切れの良い食感のものが好まれており、優れた食感のたこ焼きやお好み焼きを得るための方法が、提案されている(特許文献1、特許文献2等)。また、たこ焼き、お好み焼きは、近年、冷蔵流通、冷凍流通が広く行われるようになり、店舗や家庭において解凍、再加熱して提供されることが多くなっており、焼き上げ直後の食感が優れるのみならず、解凍、再加熱した後の食感も優れていることが要求される。しかしながら冷蔵・冷凍保存されたたこ焼きやお好み焼きを解凍、再加熱すると、硬くなって食感が低下するため、電子レンジ等で再加熱した際の食感を改良する方法も提案されている(特許文献3、特許文献4等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−125578号公報
【特許文献2】特開2000−116311号公報
【特許文献3】特開2000−316504号公報
【特許文献4】特開平7−298839号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1にはお好み焼き類の生地に用いる澱粉のα化度を調整することで、滑らかで口溶けが良く、軽い食感が持続するお好み焼き類を製造する方法が、特許文献2記載には、水、エタノール、糖類、乳化剤を含む油脂組成物を、たこ焼きや、お好み焼き用バッターに練り込んで使用することで、しなやかな食感を有し、しっとりとして歯切れの良い食感のお好み焼きや、たこ焼きを得る方法が記載されている。また特許文献3には油脂、乳化剤、糖類等を含む水中油型乳化液を噴霧乾燥して得られ、水に乳化分散した時の粒度分布が5〜120μmとなる改質剤を、お好み焼き等の小麦加工食品に添加することで、食品を冷凍または冷蔵した後の食感低下を改善する方法が、特許文献4には起泡性粉末油脂を、たこ焼き等の電子レンジで加熱すると硬くなり易い食品に添加することで、電子レンジ加熱した時の食感低下を防ぐ方法が記載されている。
【0005】
しかしながら、特許文献1、特許文献2記載の方法では、焼成直後のたこ焼きやお好み焼きの食感をある程度向上することはできるものの、必ずしも十分とは言えないとともに、たこ焼きやお好み焼きを冷蔵、冷凍保存した後、電子レンジ等で解凍、再加熱した際の食感低下を改善することはできなかった。また特許文献3記載の方法で用いる改質剤は水に乳化分散したときの油脂粒子の粒度分布が大きいため、油脂粒子が合一し易く、電子レンジ加熱による食感低下は防止できても、製造直後の食感は悪くなり易い。更に起泡性粉末油脂を添加する特許文献4記載の方法は、生地に混合する際に空気を抱き込み易く、生地を焼成した際に抱き込んだ空気が膨張して製品に穴があき、商品価値低下を来し易いという問題があった。
本発明は上記従来技術の問題を解決すべくなされたもので、焼成直後の食感が優れているとともに、電子レンジ加熱しても食感が良好なたこ焼きやお好み焼き等のスナック惣菜類を提供することができるスナック惣菜類用粉末油脂及び、この粉末油脂を用いたスナック惣菜類を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち本発明は、
(1)食用油脂、粉末化基材、乳化剤としてレシチン及びグリセリン脂肪酸エステルを含む水中油型乳化物を乾燥粉末化した粉末油脂であって、粉末油脂中にレシチン0.1〜2重量%、グリセリン脂肪酸エステル0.5〜6.5重量%が含有されていることを特徴とするスナック惣菜類用粉末油脂、
(2)グリセリン脂肪酸エステルが、グリセリンモノ脂肪酸エステルとグリセリン有機酸脂肪酸エステルとの混合物である上記(1)のスナック惣菜類用粉末油脂、
(3)乳化剤として、レシチン、グリセリン脂肪酸エステルとともに、更にポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.1〜10重量%含有する上記(1)又は(2)のスナック惣菜類用粉末油脂、
(4)粉末化基材が、重合度2〜4のマルトオリゴ糖及びラクトースを含有する上記(1)〜(3)のいずれかのスナック惣菜類用粉末油脂、
(5)水に分散させたときの油脂のメディアン径が0.3〜2μmとなる上記(1)〜(4)のいずれかのスナック惣菜類用粉末油脂、
(6)上記(1)〜(5)のいずれかのスナック惣菜類用粉末油脂を含有する生地を焼成して得たスナック惣菜類、
を要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明のスナック惣菜類用粉末油脂を用いた生地を焼成して得られるたこ焼き、お好み焼き等のスナック惣菜類は、焼成時の離型性が良く、生地に卵を含まない場合でも、卵を用いた場合のような焼き色、食感を有し、焼成直後の食感に優れるのみならず、冷凍保存後に電子レンジ等で解凍、再加熱した場合でも優れた食感を有し、また優れた老化防止効果を有するため冷蔵保存した場合でも長時間食感低下を来す虞がない。またスナック惣菜類としてたこ焼きを製造する場合、外側がパリッとして中身がとろりとした優れた食感のたこ焼きを得ることができ、またたこ焼き形状に丸めやすいとともに、焼成時間が短くてすみ、ボリュームの大きいたこ焼きを得ることができる等の効果を奏する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明粉末油脂における食用油脂としては、液体、固体の動植物油脂、硬化した動植物油脂、動植物油脂のエステル交換油、分別した液体油又は固体脂等、食用に適するものであれば全て使用可能である。具体的には、ナタネ油、コーン油、大豆油、綿実油、サフラワー油、パーム油、ヤシ油、米糠油、ごま油、カカオ脂、オリーブ油、パーム核油等の植物性油脂、魚油、豚脂、牛脂、鶏脂、乳脂等の動物性油脂及び、これらの油脂の硬化油又はエステル交換油、或いはこれらの油脂を分別して得られる液体油、固体脂等が挙げられ、これらより選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0009】
本発明の粉末油脂における粉末化基材としては、乳蛋白、大豆蛋白、小麦蛋白、全脂粉乳、脱脂粉乳、小麦粉、デンプン、ゼラチン、ガム質、デキストリン、マルトオリゴ糖、ラクトースや、これら以外のグルコース、フルクトース、ガラクトース等の単糖類、ショ糖、水飴、トレハロース等の糖類を用いることができる。マルトオリゴ糖としては重合度2〜4のものが用いられ、重合度2〜4のマルトオリゴ糖は、グルコース同士がα−1,4グリコシド結合で2〜4重合した少糖類で、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオースが挙げられる。乳蛋白としては酸カゼイン、レンネットカゼイン、カゼインナトリウム、ホエー蛋白等が、デンプンとしては、オクテニルコハク酸デンプン、馬鈴薯デンプン、コーンスターチ、小麦デンプン、タピオカデンプン等が挙げられる。ガム質としてはキサンタンガム、アラビアガム、トラガントガム、ジェランガム、ローカストビーンガム、タマリンドシードガム、カラギーナン、寒天、LMペクチン、HMペクチン等が、デキストリンとしては、サイクロデキストリン、分岐サイクロデキストリン、マルトデキストリン等が挙げられる。粉末化基材は、重合度2〜4のマルトオリゴ糖及びラクトースを含有することが好ましく、粉末化基材中のマルトオリゴ糖とラクトースとの割合が50重量%以上あることが好ましく、より好ましくは64重量%以上、特に好ましくは68重量%以上である。上記マルトオリゴ糖とラクトースとを重量比で、マルトオリゴ糖:ラクトース=80:20〜20:80の割合で含有することが好ましいが、特にマルトオリゴ糖:ラクトース=70:30〜30:70の割合で含有することで、よりしっとりとした食感を得る事ができるなど保水効果がより発揮されるため好ましい。またマルトオリゴ糖が粉末油脂中に1重量%以上含有されることが望ましい。
マルトオリゴ糖及びラクトースとともに他の粉末化基材との混合物を粉末化基材として用いる場合、デキストリン及びカゼインナトリウムを、マルトオリゴ糖、ラクトースと併用すると、粉末油脂の油脂の染み出しや劣化が生じにくいという保存安定性、再溶解したときの分散性や乳化安定性がより高まるため好ましい。
【0010】
乳化剤として用いるレシチンとしては、大豆レシチン、卵黄レシチン、酵素分解レシチン等が挙げられる。またグリセリン脂肪酸エステルとしては、グリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンジ脂肪酸エステル、グリセリン有機酸脂肪酸エステル等が挙げられ、これらグリセリン脂肪酸エステルは1種又は2種以上を混合して用いることができるが、グリセリンモノ脂肪酸エステルとグリセリン有機酸脂肪酸エステルを併用することが好ましい。グリセリンモノ脂肪酸エステルは、グリセリン1分子に1分子の脂肪酸がエステル化した化合物であり、グリセリンモノ脂肪酸エスエルとしては、脂肪酸が飽和であることが好ましく、さらにステアリン酸であることが好ましい。グリセリン有機酸脂肪酸エステルは、グリセリンに脂肪酸と有機酸の両方がそれぞれ1個から2個エステル結合した構造の化合物で、グリセリンモノ脂肪酸エステルと有機酸との反応、油脂と有機酸とのエステル交換、又はグリセリンと有機酸と脂肪酸との反応などにより得ることができる。有機酸として例えば、酢酸、乳酸、コハク酸、ジアセチル酒石酸、クエン酸等が挙げられる。グリセリン有機酸脂肪酸エステルの構成脂肪酸は、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸のいずれでも良い。グリセリン有機酸脂肪酸エステルは、有機酸や脂肪酸の種類の異なるものを混合して用いることもできる。本発明において用いるグリセリン有機酸脂肪酸エステルは、有機酸がコハク酸、ジアセチル酒石酸であるものが食感、風味等の点から好ましく、特に有機酸がジアセチル酒石酸であると口溶け感が向上し更に好ましい。グリセリン有機酸脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、特にステアリン酸等の飽和脂肪酸であることが好ましい。グリセリンモノ脂肪酸エステルとグリセリン有機酸脂肪酸エステルは、重量比で10:1〜1:1の割合で混合して用いることが好ましい。7:1〜3:1の割合がより好ましい。本発明のスナック惣菜類用粉末油脂は、粉末油脂中にレシチンを0.1〜2重量%、グリセリンエステルを0.5〜6.5重量%含有するが、レシチンを0.5〜1重量%、グリセリンエステル3〜6重量%が好ましい。粉末油脂中のレシチンの割合が0.1重量%未満であると粉末化する前の水中油型(O/W型)乳化物の安定性が悪くなり、2重量%を超えると、粉末化に際して水分が飛散し難く、粉末油脂の流動性が悪くなり、いずれの場合も粉末油脂の状態が悪くなる。またグリセリンエステルの割合が0.5重量%未満であるとO/W型乳化物の安定性が悪くなり、6.5重量%を超えるとたこ焼きやお好み焼きの風味が低下する。
【0011】
本発明において乳化剤として、上記レシチン及びグリセリン脂肪酸エステルとともに、更にポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを含有しているとたこ焼きやお好み焼きのソフトさが向上するとともに、たこ焼きではボリュームのあるものが得られるという効果がある。ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルは、リシノール酸同士が縮合したエステルと、ポリグリセリンとがエステル化したものであり、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを構成するポリグリセリンとしては、重合度4〜10量体が好ましい。また縮合リシノール酸としては3〜6量体がエステル結合しているものが好ましい。ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルを併用する場合、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルはレシチン、グリセリン脂肪酸エステルの合計重量の0.1〜10重量%用いることが好ましく0.5〜3重量%がより好ましい。
【0012】
本発明のスナック惣菜類用粉末油脂は、水に分散させたときの油脂のメディアン径が0.3〜2μmとなるものは、粉末油脂の保存安定性が良好であり、スナック惣菜類の生地中に微細に油脂が分散するため、食感が向上し、澱粉の老化防止効果があるため好ましい。
【0013】
本発明の粉末油脂は、食用油脂、粉末化基材、乳化剤、乳化剤を含むO/W型乳化物を乾燥粉末化して得られる。O/W型乳化物は、まず、水相に油相を添加し、ホモミキサー等で攪拌後、ホモゲナイザー等を使用し、均質化して得ることができる。O/W型乳化物を調製する際に、乳化剤は水相、油相の両方、またはいずれか一方に含有されていれば良い。また、粉末化基材は水相に添加して用いることができる。O/W型乳化物を調製するに際し、粉末化基材は10〜60重量%配合することが好ましい。O/W型乳化物を乾燥粉末化する方法としては、一般的に知られている噴霧乾燥法、真空凍結乾燥法、真空乾燥法等用いることができる。得られた粉末油脂を水に分散させたときの油脂のメディアン径が0.3〜2μmとなる粉末油脂は、均質化時の圧力を10〜150kgf/cmに調整することにより得ることが出来る本発明の粉末油脂を得る際に、O/W型乳化物中に必要に応じて香料や酸化防止剤等を配合し、粉末油脂中に香料、酸化防止剤を含有させても良い。
【0014】
本発明の粉末油脂は、たこ焼きやお好み焼き等のスナック惣菜類の生地における穀粉類100重量部に対し、1〜50重量部配合することが好ましく、5〜30重量部配合することが好ましい。穀粉類としては、小麦粉、澱粉、米粉等が用いられる。
【実施例】
【0015】
以下、実施例、比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。
実施例1〜13、比較例1〜4、参考例
油脂を70℃に調温後、表1に示す乳化剤を添加し油相を調製した。水相は、水を60℃に調温し、表1に示す粉末化基材を添加し調製した。油相を70℃、水相を60℃で保持し、水相をホモミキサーで攪拌しながら油相の全量を添加し、O/W型に乳化させた後、ホモジナイザーで150kg/cmの圧力をかけて均質化し(実施例13は、30kg/cm)、均質化後、スプレードライヤーにより粉末化して粉末油脂を得た。得られた粉末油脂の状態を表1に併せて示した。
【0016】
【表1】

【0017】
※1:エマルジーMS(理研ビタミン製)
※2:ポエムW−10(理研ビタミン製)
※3:ポエムB−10(理研ビタミン製)
※4:SYグリスターCR−ED(阪本薬品工業製)
※5:レシチンM(昭和産業製)
【0018】
※6:粉末油脂の状態
目視により状態を確認して以下の基準で評価した。
○:乾燥状態が良好で油脂の染み出しもなく、流動性も良い。
△:乾燥状態は良好だが、わずかに油脂の染み出しがあり、流動性が若干悪い。
×:乾燥が不十分であるか油脂の染み出しがあり、流動性が悪い。
【0019】
※7:粒径(メディアン径)
粉末油脂の10重量%水溶液のメディアン径を、島津製作所製:SALD−2100湿式レーザー回折装置により測定して求めた。
【0020】
表1に示す粉末油脂を用い、下記配合に基づき、まず食塩及び調味料、全卵、水をミキサーボールに入れて混合した後、これに、薄力粉、ベーキングパウダー、粉末油脂を混合したものを添加、混合して調製したたこ焼き生地を、下記の条件で焼成してたこ焼きを製造し、評価を行った。結果を表2に示した。尚、参考例は、粉末油脂を添加しないことを除いて他の成分は実施例、比較例と同様に配合した生地を用いて焼成した。
【0021】
たこ焼き生地配合
薄力粉 100重量部
全卵 20重量部
ベーキングパウダー 1重量部
粉末油脂 6重量部
食塩及び調味料 4重量部
水 415重量部
【0022】
たこ焼き生地の焼成条件
予め油脂を均一に塗布した焼き型に生地を流し込んで焼成し、生地がまとまったところで反転し、均一な焼き色が付くまで焼成を行った。
【0023】
【表2】

【0024】
※8:焼成時間
表面に均一な焼き色がつくまでの焼成時間を測定し、
◎:17分未満
○:17分以上、18分未満
△:18分以上、19分未満
×:19分以上
と評価した。
【0025】
※9:ボリューム
焼成して得たたこ焼きの幅、高さをノギスで測定し、その平均値を直径とする真球とみなして下記式より体積を算出し、30個のボリュームの平均値により、
◎:ボリュームの平均値が26〜28cm
○:ボリュームの平均値が24〜26cm未満
△:ボリュームの平均値が22〜24cm未満
×:ボリュームの平均値が22cm未満
と評価した。
(数1)
たこ焼きの体積=4πr/3(r:球の半径)
【0026】
※10:離型性
たこ焼き30個分の焼き型に生地を流し込み、焼成時に反転する際の型への付着度により、
◎:30個全てが型に付着することなく容易に反転できた。
○:一部型への付着はあるが、容易に反転できた。
△:生地がややまとまりにくく、30個全てを反転するのに時間がかかる。
×:生地が型にべたつき、かなり火が通ってからでないと反転が困難。
と評価した。
【0027】
※11:食感
焼成直後のたこ焼きの食感と、焼成後、24時間冷凍保存し、電子レンジで解凍した後のたこ焼きの食感10名のパネラーが試食し、たこ焼きの内側(中身部分)と外側(皮部分)の食感を下記の5段階で評価し、10名のパネラーの評価の平均値を示した。
(1)内側の食感の評価
5:非常にトロトロしている。
4:トロトロしている。
3:若干トロトロしている。
2:殆どトロミがないが、生地が柔らかい。
1:全くトロミがなく、中の生地に硬さがある。
(2)外側の食感の評価
5:かなりパリパリしており、皮の存在感がある。
4:パリパリ感がある。
3:若干パリパリ感がある。
2:かなり柔らかい。
1:大変柔らかい。
【0028】
※12:耐老化性
焼成直後のたこ焼き内側の食感評価値と、電子レンジで解凍した冷凍保存たこ焼きの内側の食感評価値の差により、
◎:評価値の差が0。
○:評価値の差が0超、0.5以下。
△:評価値の差が0.5超、1以下。
×:評価値の差が1超。
と評価した。
【0029】
全卵を無添加の下記配合のたこ焼き生地によりたこ焼きを焼成したところ、全卵を添加した生地を用いた場合と遜色ない焼き色のたこ焼きを得ることが出来た。
【0030】
全卵無添加のたこ焼き生地配合
薄力粉 100重量部
ベーキングパウダー 1重量部
粉末油脂 6重量部
食塩及び調味料 4重量部
水 415重量部
【0031】
表1に示す粉末油脂を用い、下記配合に基づいて、薄力粉、ベーキングパウダー、粉末油脂を混合し、これを、食塩及び調味料、全卵、水を混合したものと合わせてミキシングして得た生地を下記条件で焼成してお好み焼きを得た。
【0032】
お好み焼き生地配合
薄力粉 100重量部
粉末油脂 6重量部
全卵 30重量部
ベーキングパウダー 1重量部
食塩及び調味料 4重量部
水 110重量部
【0033】
お好み焼き生地の焼成条件
生地250gと粗微塵にしたキャベツを合わせた後、200℃に加熱したプレート上に流し入れ、端を押さえて成型し、生地表面が沸騰して来たら裏返して表面側を焼成し、焦げ目がついたら再度裏返して2分焼成して加熱終了した。
【0034】
生地を焼成する際の焼成時間及び好み焼きの食感、老化性を評価した結果を表3に示した。尚、参考例は、粉末油脂を添加しないことを除いて他の成分は実施例、比較例と同様に配合した生地を用いて焼成した。
【0035】
【表3】

【0036】
※13:焼成時間は、内部まで火が通り、表皮に均一な焼き色がつくまでの時間を測定し、
◎:14分未満
○:14分以上、15分未満
△:15分以上、16分未満
×:16分以上
として評価した。
【0037】
※14:食感
焼成直後のお好み焼きの食感と、焼成後、24時間冷凍保存し、電子レンジで解凍した後のお好み焼きの食感を、10名のパネラーが試食してソフトさを下記の5段階で評価し、10名のパネラーの評価の平均値を示した。
ソフトさの評価
5:非常にソフトな食感。
4:ソフトな食感。
3:ややソフトな食感。
2:やや硬い食感。
1:硬い食感。
【0038】
※15:耐老化性
焼成直後のお好み焼きの食感評価値と、電子レンジで解凍した冷凍保存お好み焼きの食感評価値の差により、
◎:評価値の差が0。
○:評価値の差が0超、0.5以下。
△:評価値の差が0.5超、1以下。
×:評価値の差が1超。
と評価した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用油脂、粉末化基材、乳化剤としてレシチン及びグリセリン脂肪酸エステルを含む水中油型乳化物を乾燥粉末化した粉末油脂であって、粉末油脂中にレシチン0.1〜2重量%、グリセリン脂肪酸エステル0.5〜6.5重量%が含有されていることを特徴とするスナック惣菜類用粉末油脂。
【請求項2】
グリセリン脂肪酸エステルが、グリセリンモノ脂肪酸エステルとグリセリン有機酸脂肪酸エステルとの混合物である請求項1記載のスナック惣菜類用粉末油脂。
【請求項3】
乳化剤として、レシチン、グリセリン脂肪酸エステルとともに、更にポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステルを0.1〜10重量%含有する請求項1又は2記載のスナック惣菜類用粉末油脂。
【請求項4】
粉末化基材が、重合度2〜4のマルトオリゴ糖及びラクトースを含有する請求項1〜3のいずれかに記載のスナック惣菜類用粉末油脂。
【請求項5】
水に分散させたときの油脂のメディアン径が0.3〜2μmとなる請求項1〜4のいずれかに記載のスナック惣菜類用粉末油脂。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかのスナック惣菜類用粉末油脂を含有する生地を焼成して得たスナック惣菜類。

【公開番号】特開2013−102757(P2013−102757A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−251201(P2011−251201)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(000114318)ミヨシ油脂株式会社 (120)
【Fターム(参考)】