説明

スナップファスナー取付け機

【課題】 設置スペースが小さく、軽量で、位置変更も容易なスナップファスナー取付け機を提供する。
【解決手段】 受け具5に保持されたリベット部材Bと打込み具6に保持された嵌合用部材Cとの間に可撓性膜体Dを配置して、エアシリンダー装置7を作動することにより、打込み具が受け具に対して接近移動し、リベット部材の突起を可撓性膜体に突き刺すと共に嵌合用部材の貫通孔に挿通させ、その突起の先端部を打込み具に装備されたハンマー6aで打撃して拡径変形させることにより、リベット部材と嵌合用部材とを可撓性膜体を挟んだ状態にカシメ止めするようにしたスナップファスナー取付け機Aにおいて、受け具、打込み具及びエアシリンダー装置が取り付けられた本体フレーム1の支柱3をエアシリンダー装置に圧力空気を供給するための蓄圧タンクTに兼用構成し、支柱側面に、前記蓄圧タンクに圧力空気を供給する電動式エアコンプレッサー11を取り付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受け具に保持されたリベット部材と受け具に保持された嵌合用部材との間に可撓性膜体を配置して、エアシリンダー装置を作動することにより、打込み具が受け具に対して接近移動し、リベット部材の突起を可撓性膜体に突き刺すと共に嵌合用部材の貫通孔に挿通させ、その突起の先端部を打込み具に装備されたハンマーで打撃して拡径変形させることにより、リベット部材と嵌合用部材とを可撓性膜体を挟んだ状態にカシメ止めするようにしたスナップファスナー取付け機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のスナップファスナー取付け機は、特許文献1にも記載されているように、打込み具の駆動をエアシリンダー装置によって行うため、一回転クラッチを介して打込み具を昇降駆動するタイプのスナップファスナー取付け機に比べると、装置構成の簡略化が可能である等の利点を有している。
【0003】
しかしながら、従来のスナップファスナー取付け機では、図4に示すように、エアシリンダー装置に圧力空気を供給するための蓄圧タンクTと蓄圧タンクTに圧力空気を供給する電動式エアコンプレッサー11が、スナップファスナー取付け機Aとは別体に構成されており、蓄圧タンクTとスナップファスナー取付け機Aをホース19で接続するように構成されていた。
【0004】
そのため、全体として嵩張り、広い設置スペースが必要である上、重量も大きくなり、作業所内へのスナップファスナー取付け機の設置や位置変更などに不便であった。大規模な衣服製造工場であれば、一箇所に大型の蓄圧タンクを据え付け、これに多数のスナップファスナー取付け機を長尺のホースで配管接続することができるので、個々のスナップファスナー取付け機の設置スペースが小さくて済み、位置変更も容易であるが、衣服に対するスナップファスナーの取付け作業は、家内工業的な小規模な作業所で行われることが多く、図示のようなスナップファスナー取付け機A毎に蓄圧タンクT及びエアコンプレッサー11を装備したものが使用されるのである。
【0005】
【特許文献1】特開2004−73368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記の現状に鑑み、本発明は、設置スペースが小さくて済み、軽量で、位置変更も容易なスナップファスナー取付け機を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明が講じた技術的手段は、次の通りである。即ち、請求項1に記載の発明は、受け具に保持されたリベット部材と打込み具に保持された嵌合用部材との間に可撓性膜体を配置して、エアシリンダー装置を作動することにより、打込み具が受け具に対して接近移動し、リベット部材の突起を可撓性膜体に突き刺すと共に嵌合用部材の貫通孔に挿通させ、その突起の先端部を打込み具に装備されたハンマーで打撃して拡径変形させることにより、リベット部材と嵌合用部材とを可撓性膜体を挟んだ状態にカシメ止めするようにしたスナップファスナー取付け機において、受け具、打込み具及びエアシリンダー装置が取り付けられた本体フレームをエアシリンダー装置に圧力空気を供給するための蓄圧タンクに形成し、本体フレームの外部に蓄圧タンクに圧力空気を供給するエアコンプレッサーを取り付けてあることを特徴としている。
【0008】
具体的には、請求項2に記載のように、ベースとベース上に立設された支柱と支柱の上部に連設された駆動ケースを兼ねた上部フレームとからなる本体フレームの前記支柱を中空構造として蓄圧タンクに兼用してある。また、エアコンプレッサーは、請求項3に記載のように、支柱の側面に取り付けてある。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、スナップファスナー取付け機の本体フレームを蓄圧タンクに形成し、本体フレームの外部にエアコンプレッサーを取り付けたので、蓄圧タンクのための設置スペースが省略されることになり、設置スペースが小さくて済み、位置変更も容易である。
【0010】
殊に、請求項2に記載の発明によれば、本体フレームの前記支柱を中空構造として蓄圧タンクに兼用したので、軽量化が達成され、位置変更が一層容易であり、兼用による構成部材数の削減とそれによるコストダウンが可能である。また、請求項3に記載の発明によれば、エアコンプレッサーを支柱の側面に取り付けたので、スナップファスナー取付け機を建物の壁面に近接させて設置でき、作業室の空間を有効に利用できることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1〜図3は、本発明に係るスナップファスナー取付け機Aの一例を示す。これらの図において、1は自立可能な本体フレームであり、本体フレーム1は、ベース2とベース2上に立設された支柱3と支柱3の上部に連設された駆動ケースを兼ねた上部フレーム4とから構成されている。上部フレーム4の前部側は、前方と左右両側方に開放した作業スペースSを形成するように、上フレーム部4aと下フレーム部4bとに分かれている。
【0012】
下フレーム部4bには、合成樹脂製のリベット部材Bをその突起が上向きになるように保持する受け具5が設けられており、上フレーム部4aには、受け具5に対して昇降可能な打込み具6と打込み具6を昇降駆動するエアシリンダー装置7とが設けられている。
【0013】
そして、受け具5に保持されたリベット部材Bと打込み具6に保持された合成樹脂製の嵌合用部材Cとの間に可撓性膜体Dを配置して、エアシリンダー装置7を作動することにより、リンク機構8を介して打込み具6が受け具5に対して接近移動し、リベット部材Bの突起を可撓性膜体Dに突き刺すと共に嵌合用部材Cの中央貫通孔に挿通させ、その突起の先端部を打込み具6に装備されたハンマー6aで打撃して拡径変形させることにより、リベット部材Bと嵌合用部材Cとを可撓性膜体Dを挟んだ状態にカシメ止めするように構成してある。9はエアシリンダー装置7に対する圧力空気の流路切換バルブ10を操作するための足踏みペダルであり、支柱3右側のベース2上に設けられている。
【0014】
本体フレーム1の前記支柱3は、図1に示すように、横断面角型の中空構造としてされており、図1、図3に示すように、前記エアシリンダー装置7に圧力空気を供給するための蓄圧タンクTに兼用構成してある。11は蓄圧タンクTに圧力空気を供給する電動式エアコンプレッサーであり、支柱3の左の側面(足踏みペダル9と反対側の側面)に取り付けられている。12はエアコンプレッサーメインスイッチであり、支柱3の右の側面に取り付けられている。Vは逆止弁、Vは安全弁、13はドレンキャッチ、14はレギュレーター、15は圧力計、16は蓄圧タンクTの底部に設けたドレンコックである。図2に示す17は、前記受け具5を下フレーム部4bに弾性的に支持するためのスプリングである。前記打込み具6は、図2に示すように、リベット部材Bの突起を打撃するハンマー6aと、嵌合用部材Cを保持する筒状の保持部材6bと、昇降ロッド6c等で構成され、ハンマー6aと昇降ロッド6cは互いにねじで固定され、保持部材6bはハンマー6aに対して摺動自在であり、スプリング18によりハンマー6aに対して下方へ摺動付勢されている。
【0015】
上記の構成によれば、スナップファスナー取付け機Aの本体フレーム1の前記支柱3を中空構造として蓄圧タンクTに兼用したので、構成部材点数が減少して、軽量化と低コスト化が達成されるばかりでなく、蓄圧タンクTのための設置スペースが一切不要であることと、エアコンプレッサー11を支柱3側面に取り付けたこととが相俟って、スナップファスナー取付け機Aの設置スペースが小さくて済み、位置変更も容易である。
【0016】
また、エアコンプレッサー11を支柱3の側面に取り付けたので、スナップファスナー取付け機Aを建物の壁面に近接させて設置でき、作業室の空間を有効に利用できることになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態を示すスナップファスナー取付け機の斜視図である。
【図2】受け具及び打込み具の構成を示す要部の縦断側面図である。
【図3】圧力空気の流路構成を説明する図である。
【図4】従来のスナップファスナー取付け機の斜視図である。
【符号の説明】
【0018】
A スナップファスナー取付け機
B リベット部材
C 嵌合用部材
D 可撓性膜体
T 蓄圧タンク
1 本体フレーム
2 ベース
3 支柱
5 受け具
6 打込み具
11 エアコンプレッサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受け具に保持されたリベット部材と打込み具に保持された嵌合用部材との間に可撓性膜体を配置して、エアシリンダー装置を作動することにより、打込み具が受け具に対して接近移動し、リベット部材の突起を可撓性膜体に突き刺すと共に嵌合用部材の貫通孔に挿通させ、その突起の先端部を打込み具に装備されたハンマーで打撃して拡径変形させることにより、リベット部材と嵌合用部材とを可撓性膜体を挟んだ状態にカシメ止めするようにしたスナップファスナー取付け機において、受け具、打込み具及びエアシリンダー装置が取り付けられた本体フレームをエアシリンダー装置に圧力空気を供給するための蓄圧タンクに形成し、本体フレームの外部に蓄圧タンクに圧力空気を供給するエアコンプレッサーを取り付けてあることを特徴とするスナップファスナー取付け機。
【請求項2】
本体フレームがベースとベース上に立設された支柱と支柱の上部に連設された駆動ケースを兼ねた上部フレームとからなり、支柱を中空構造として蓄圧タンクに兼用したことを特徴とする請求項1に記載のスナップファスナー取付け機。
【請求項3】
支柱の側面にエアコンプレッサーを取り付けてあることを特徴とする請求項2に記載のスナップファスナー取付け機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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