説明

スパウト

【課題】カップに対して安定した姿勢で固定されるスパウトを提供する。
【解決手段】液体を収容し開口をフィルムFで封止されたカップCに装着されるスパウトSにおいて、注出部と、フィルムFを破って孔を開ける穿孔部とを有し、カップCに固定される第1固定部11と、第1固定部11の固定位置に対してカップCの異なる位置に固定される第2固定部12と、第1固定部11と第2固定部12とを連結し、第1固定部11及び第2固定部12に対し、互いに接近する方向に弾性力を付与する連結部13とを備え、第1固定部11及び第2固定部12によって、該スパウトSを異なる複数の位置で支持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体を収容したカップ内の開口を封止したフィルムを穿孔するとともにカップに固定されて飲み口として使用されるスパウトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、飲料を収容したカップの開口に、フィルムを固着して、飲料を気密状態に封止した製品が製造及び販売されている。この種のカップは、収容した飲料が冷却された状態で販売されており、カップ内の飲料を飲む際には、フィルムにストローを突き刺し、ストローを介して飲料を吸引する。
【0003】
一方、カップに入れられた温かい飲料を飲む場合には、ストローを介した吸引量を制御しにくい等の理由から、ストローの使用は適さない。このため、温かい飲料を上記構成のカップに封入した場合にも好適に使用できるスパウト構造が要請されていた。
【0004】
例えば特許文献1には、フィルム(密封シート)を押し切るスパウト構造を備えたオーバーキャップ付き容器が記載されている。このオーバーキャップは、フィルムの外側を覆うようにカップに装着されるものであって、容器本体の口部を全面にわたって覆い隠す天面壁を備える。また、この天面壁には、注出筒体が、ヒンジを介して揺動可能に保持されている。注出筒体は、ヒンジを起点とする引き起こしによって、天面壁に形成された貫通開口からその下方に挿入され、天面壁の下方に配置されたフィルムを押し切る。引き起こされた注出筒体は、注出筒体の外側面に形成された係合突起と、天面壁の貫通開口の縁部とを当接させて、その引き起こされた姿勢を保つようにする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−179348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述したスパウト構造では、注出筒体は、オーバーキャップに対し、係合突起と縁部の基端とを当接させるのみで、引き起こされた姿勢を保つようにしているため、例えば注出筒体に対しカップ内側へ押圧するような力が加わった場合には、係合突起と凹部との係合が解除されてしまう可能性がある。係合突起と凹部との係合が解除されると、ヒンジを起点として、注出筒体が、カップ内側へ向かって傾動するため、カップから飲料を飲みにくくなる虞がある。従って、カップに対して安定した姿勢で固定されるスパウトが要請されていた。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、カップに対して安定した姿勢で固定されるスパウトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、液体を収容し開口をフィルムで封止されたカップに装着されるスパウトにおいて、注出部と、前記フィルムを破って孔を開ける穿孔部とを有し、前記カップに固定される第1固定部と、前記第1固定部の固定位置に対して前記カップの異なる位置に固定される第2固定部と、前記第1固定部と前記第2固定部とを連結し、前記第1固定部及び前記第2固定部に対し互いに接近する方向に弾性力を付与する連結部とを備え、前記第1固定部及び前記第2固定部によって異なる複数の位置で支持されることを要旨とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、スパウトは、カップに固定される第1固定部及び第2固定部と、第1固定部に形成された注出部及び穿孔部とを備えるので、スパウトの注出部からカップ内の飲料を飲むことができる。また、スパウトは、異なる複数の位置で支持されるとともに、連結部は、第1固定部及び第2固定部が互いに近接する方向に弾性力を付与するため、カップを挟むような弾性力が付与され、スパウトをカップに対して強固に固定することができる。このため、スパウトが傾いたりずれたりしにくく、カップ内の液体を飲みやすくすることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスパウトにおいて、前記第1固定部及び前記第2固定部は、前記カップの縁部であって、前記カップの開口を介して対向する位置にそれぞれ固定されることを要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、第1固定部及び第2固定部は、カップ開口を介して対向する位置にそれぞれ固定されるので、連結部は、カップ開口を横切るように配設される。従って、スパウトを、カップ重心に対して、重みが一方に偏らないように固定することができるため、スパウトを装着することによってカップが倒れやすくなることを抑制し、スパウトが装着されたカップ全体を安定した姿勢にすることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のスパウトにおいて、前記連結部は、一対の弓状部から構成され、該弓状部は前記第1固定部及び第2固定部の間で撓ませた状態で設けられるとともに、前記弓状部は、その撓み量が減少する方向に伸張されることで前記第1固定部及び第2固定部を近接する方向に弾性力を付与することを要旨とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、連結部は、撓ませて設けられた弓状部から構成されるので、帯上部を撓み量が減少する方向に伸張させて第1固定部及び第2固定部をカップに固定することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスパウトにおいて、前記第1固定部は、前記装着位置で前記フィルムを下方に押圧するフランジ部をさらに備えたことを要旨とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、装着位置でフランジ部はフィルムに押し付けられるので、スパウトとフィルムとの間のシール性を確保することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のスパウトにおいて、前記穿孔部のうち、前記装着位置で前記カップの内側面と対向する位置には、前記穿孔部と前記カップ内側面との間隙と前記穿孔部内側とを連通する連通孔が形成されていることを要旨とする。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、穿孔部のうち、カップの内側面と対向する位置には連通孔が形成されているので、穿孔部とカップ内側面との間隙に介入した液体も、連通孔を介して、穿孔部内側に導出することができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のスパウトにおいて、前記第2固定部は、前記フィルムに空気孔を開ける空気孔用の刃部をさらに備えたことを要旨とする。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、第2固定部には、空気孔用の刃部をさらに備えたので、スパウトを装着する一つの工程で、液体を導出する孔と空気孔との両方を開けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を具体化した一実施形態のスパウトであって、カップに固定された状態を示す斜視図。
【図2】同スパウトを正面側からみた斜視図。
【図3】同スパウトを背面側からみた斜視図。
【図4】同スパウトを幅方向中央で切断した断面図。
【図5】同スパウトの下面図。
【図6】同スパウトの側面図。
【図7】同スパウトの装着開始状態を示す断面図。
【図8】同スパウトの装着開始状態を示す平面図。
【図9】同スパウトの装着完了状態を示す断面図。
【図10】同スパウトの装着完了状態を示す平面図。
【図11】同スパウトが装着されたカップを傾けた状態を示す断面図。
【図12】本発明を具体化した別例のスパウトであって、カップに固定された状態を示す平面図。
【図13】本発明を具体化した別例のスパウトであって、カップに固定された状態を示す平面図。
【図14】本発明を具体化した別例のスパウトであって、カップに固定された状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明のスパウトを具体化した一実施形態を図1〜図10にしたがって説明する。
図1に示すように、本実施形態のスパウトSは、飲料を収容したカップCに対して装着され、カップCを傾けて飲料を啜るために使用されるものである。カップCは、飲料を収容したカップ本体Bと、カップ本体Bの上部開口を、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の切り裂き可能なフィルムFで封止した構成である。カップ本体Bは、その開口部に、外側に向かって突き出したカップ鍔部C1を有している。カップ鍔部C1の上面は、数mmの幅を有し、フィルムFの周縁は、このカップ鍔部C1の上面に対し熱溶着又は接着剤により固着されることで、カップCに張設されている。このスパウトSは、飲料を飲む前にフィルムFの一部に固定され、使用後はカップCから取り外すことができる。尚、スパウトSがカップCに装着された際に、カップCの径方向内側を向く面を正面、径方向外側の面を背面とし、フィルムFの上面側となる面を平面、カップ底面側を向く面を下面とする。
【0021】
スパウトSは、カップCの縁部に固定される第1固定部11と、第1固定部11の固定位置に対して、カップ開口を介した対向位置に固定される第2固定部12と、第1固定部11及び第2固定部12を連結する連結部13とを備えている。このスパウトSは、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)等の樹脂からなり、射出成形等によりそれぞれ成形されている。
【0022】
まず、第1固定部11について説明する。図2に示すように、第1固定部11は、略板状の台座14を備えている。この台座14の中央には、楕円形状の注出孔16が厚み方向に貫通形成されている。また、台座14の上面には、注出孔16を囲むように筒状の注出部17が形成されている。この注出部17は、背壁部17aの高さが最も高く、背壁部17aから前面側に向かうにつれて高さが低くなるような形状に形成されている。
【0023】
また図3に示すように、台座14の背面側には、ガイド部15が形成されている。ガイド部15は、台座14に対して垂直且つ下方に向かって延出されている。また、ガイド部15の幅方向(図中Y方向)の形状は、カップ鍔部C1の周方向の形状に合わせて、正面側に湾曲している。さらに、ガイド部15の下端は円弧状に湾曲している。また、図4に示すように、ガイド部15の正面のうち、高さ方向(図中Z方向)及び幅方向の中央には、掛止爪15aが正面側に突出するように形成されている。
【0024】
また、図4に示すように、台座14の下面には、注出孔16を囲む筒状の穿孔部18が形成されている。穿孔部18は、その先端が、正面から背面に向かって下方に傾斜した先細り形状に形成されている。また、穿孔部18のうち、ガイド部15と対向する背面側には、一対の略楕円形状の連通孔18aが貫通形成されている。
【0025】
また、台座14の下面であって、穿孔部18の基端部には、フランジ部19が形成されている。フランジ部19は、その基端から先端にかけて斜め下方に延出されている。またフランジ部19の正面側の先端は、背面側の先端よりも下方に向かって張り出し、フランジ部19は側面からみて正面側に傾いた形状となっている。
【0026】
次に、第2固定部12について説明する。図3に示すように、第2固定部12は、板状をなし、その幅方向(図中Y方向)の形状が、カップ鍔部C1の周方向の形状に合わせて背面側に向かって湾曲している。その長手方向の長さは、ガイド部15の幅方向の長さとほぼ同じになっている。
【0027】
図4に示すように、第2固定部12の背面のうち、高さ方向及び幅方向の中央には、掛止爪12aが形成されている。さらに、図5に示すように、第2固定部12の背面のうち、掛止爪12aの上方には、空気孔形成部21が張り出している。この空気孔形成部21の下面には、円錐状の刃部22が突出形成されている。
【0028】
次に、連結部13について説明する。図2に示すように、連結部13は、内側に弓状に撓んだ1対の弓状部13aから構成されている。弓状部13aは、その一端が、第1固定部11の正面側の両端部に固定され、他端が、第2固定部12の両端に固定されている。
【0029】
弓状部13aは、外力が加えられていない状態では、内側に撓んだ原位置に配置されている。このとき、図6に示すように、ガイド部15の外周面から第2固定部12の外周面までの長さ(以下、全長L1という)は、カップ鍔部C1を含めたカップCの直径よりも数mm〜数cm程小さい長さである。
【0030】
そして、第1固定部11を固定し、第2固定部12を、第1固定部11から離間させるように引っ張ると、撓んでいた弓状部13aが、その撓み量が減少する方向に伸張される。その結果、スパウトSの全長L1は長くなり、カップCの直径に到達する。この際、弓状部13aは、元の撓んだ原位置に戻ろうとするので、弓状部13aの復元力により、第1固定部11及び第2固定部12に対し互いに近接する方向の弾性力が付与される。
【0031】
このように、スパウトSは、フィルムF全域を覆うような容器一体型の蓋部ではなく、カップCとは独立したアタッチメントとして機能するので、小型化することができる。このため、スパウトSに使用される樹脂量を減らすことができるので、コストを低減することができる。
【0032】
次に本実施形態のスパウトSの作用について図7〜図11に従って説明する。スパウトSをカップCに装着する際には、図7に示すように、スパウトSの弓状部13aの長手方向をフィルムFに対して平行にする。そして、ガイド部15の内側面をカップ鍔部C1の外側面に当接させながらスパウトSを下降させる。すると、ガイド部15と穿孔部18との間隙にカップ鍔部C1が差し込まれる。
【0033】
またスパウトSを下降させると、穿孔部18の先端がフィルムFに突き刺さり、フィルムFの穿孔が開始される。さらにスパウトSをカップCに近付けるように下降させると、穿孔部18がカップCにより深く差し込まれ、フィルムFの孔がその外側に向かって拡大されていく。
【0034】
第1固定部11のみにカップ鍔部C1を差し込んだ状態では、図8に示すように、弓状部13aは内側に撓んだ原位置に配置され、第2固定部12はカップCの縁部に固定されていない状態である。また、スパウトSの全長L1は、カップ鍔部C1まで含めたカップCの直径よりも小さい。
【0035】
第1固定部11のみにカップ鍔部C1を差し込んだ状態から、第2固定部12をカップ径方向外側に向かって引っ張ると、図9に示すように弓状部13aが伸長して、その撓み量が減少していく。そして、第2固定部12をカップ鍔部C1まで引っ張ると、第2固定部12をカップ鍔部C1に引っ掛ける。
【0036】
その結果、図10に示すように、第1固定部11及び第2固定部12がカップCに固定される。スパウトSがカップCに固定された装着位置では、第1固定部11及び第2固定部12の固定位置は、カップ開口を介して対向した位置となる。換言すると、それらの各固定位置は、カップCの高さ方向と平行な中心軸X1を基準として、互いに対称となる位置である。この装着位置では、スパウトSの全長L1は、カップ鍔部C1まで含めたカップCの直径とほぼ同じとなる。
【0037】
また連結部13は、撓みが減少した伸張位置に配置され、原位置に戻ろうとする復元力により、第1固定部11及び第2固定部12に対しカップ径方向内側に向かう方向の弾性力を付与する。その結果、第1固定部11及び第2固定部12は、カップCの縁部を外側から挟むように押圧力を付与するので、スパウトSはカップCに強固に固定される。
【0038】
また、スパウトSが装着位置にあるとき、第1固定部11の穿孔部18は、カップCに対してより深く差し込まれ、フィルムFには、円形状の孔が開けられる。また、フランジ部19は、フィルムFが固着されたカップ鍔部C1とカップ開口部に張設されたフィルムFの上面に圧接され、スパウトSとフィルムFとの間のシール性を確保する。このとき、フランジ部19とフィルムFが固着されたカップ鍔部C1とが圧接されるため、シール性を良好に確保することができる。さらに、フランジ部19が正面側に傾いていることから、フランジ部19の正面側の先端が、比較的撓みやすいカップ径方向内側のフィルムFに圧接されるため、フランジ部19の先端とフィルムFとの間に、隙間を生じさせないようにすることができる。
【0039】
また、第2固定部12の刃部22は、フィルムFに孔を開ける。このとき形成される孔は、穿孔部18によって形成される孔に比べ、開口面積が小さく、穿孔部18によって形成された孔の位置に対し、カップ中心軸を介してほぼ対称となる位置に設けられている。
【0040】
このように装着位置にあるスパウトSは、連結部13の弾性力により、スパウトSのカップ径方向、高さ方向、周方向の移動が規制される。さらに、第1固定部11の台座14がカップ鍔部C1及びフィルムFの上方に配置されるので、カップ深さ方向への移動も規制される。また、スパウトSを上方に移動させるような外力が加わると、掛止爪12a,15aとカップ鍔部C1に掛止され、その移動を規制する。このため、スパウトSが、カップCに対して傾いたりずれたりしにくく、安定した姿勢を保持することができる。
【0041】
また、スパウトSは、カップCの中心軸を通り、且つカップ開口を横切るように装着される。このため、スパウトSを、カップ重心に対して、重みが一方に偏らないように固定することができるため、スパウトSを装着することによってカップCが倒れやすくなることを抑制し、スパウトSが装着されたカップ全体を安定した姿勢にすることができる。
【0042】
スパウトSが装着されたカップ内の飲料を飲む際には、図11に示すように、注出部17の背壁部17a側にカップCを傾ける。すると、カップ内の飲料Lが、空気孔から流入した空気によって押し出され、フィルムFの下方に配置された穿孔部18内に流入し、注出孔16を介して注出部17に導出されるので、注出部17に口をつけて飲料Lを飲むことができる。この際、上述したようにスパウトSが傾いたり、ずれたりしにくいので、飲料Lを飲みやすくすることができる。
【0043】
また、カップCを傾けると飲料Lがスパウト近傍に飲料Lが集まるため、スパウト近傍は水圧が高くなるが、上述したようにフランジ部19がフィルムFを介してカップ鍔部C1に圧接されることでシール性が高められ、飲料Lが、スパウトSとフィルムFとの間から漏れ出すことを抑制することができる。また、穿孔部18とカップ内側面との間に介在する飲料Lも、穿孔部18の連通孔18aを介して、穿孔部内に導出することができるので、カップ内に飲料を極力残さずに飲むことができる。
【0044】
従って、上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、スパウトSは、カップに固定される第1固定部11及び第2固定部12と、第1固定部11に形成された注出部17及び穿孔部18とを備えるので、スパウトSの注出部17からカップ内の飲料を飲むことができる。また、連結部13は、第1固定部11及び第2固定部12が互いに近接する方向に弾性力を付与するため、第1固定部11及び第2固定部12に対しカップCを挟むような弾性力が付与され、スパウトSをカップCに対して強固に固定することができる。このため、スパウトSが、傾いたりずれたりしにくく、カップCに固定された装着位置で安定した姿勢を保持することができるので、カップ内の液体を飲みやすくすることができる。
【0045】
(2)上記実施形態では、第1固定部11及び第2固定部12を、カップ上方縁部のそれぞれ異なる位置に固定するようにした。即ち、連結部13は、カップ中心軸を通り、カップ開口を横切るように装着される。このため、スパウトSを、カップ重心に対して、一方に偏らないように固定することができるため、スパウトSを装着することによってカップCが倒れやすくなることを抑制し、スパウトSが装着されたカップ全体を安定した姿勢にすることができる。
【0046】
(3)上記実施形態では、連結部13は、第1固定部11及び第2固定部12の間に撓ませて設けられた弓状部13aから構成されるので、第2固定部12を、撓み量が減少する方向に引っ張ることで、第1固定部11及び第2固定部12に対し、互いに近接する方向に弾性力を付与することができる。また、連結部13の構成を複雑化せず、スパウトSに一体に成形することができる。
【0047】
(4)上記実施形態では、スパウトSは、装着位置でフィルムFに当接するフランジ部19を備えた。また、フランジ部19は、正面側に傾斜しているので、撓みやすい径方向内側のフィルムFにフランジ部19を圧接させることができる。このため、スパウトSとフィルムFとの間のシール性を確保し、スパウトSとフィルムFとの隙間から飲料が漏出することを抑制することができる。
【0048】
(5)上記実施形態では、穿孔部18のうち、カップCの内側面と対向する位置には連通孔18aが形成されているので、カップ内の飲料を飲む際に、穿孔部18とカップ内側面との間隙に介入した飲料も、この連通孔18aを介して、穿孔部内側に導出して飲むことができる。
【0049】
(6)上記実施形態では、第2固定部12には、空気孔用の刃部22をさらに備えたので、スパウトSを装着する一つの工程で、飲料を導出する孔と空気孔との両方をフィルムFに開けることができる。
【0050】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・連結部は、弓状に撓んだ弓状部13a以外に、蛇腹状の弓状部等から構成してもよい。又は、連結部は、スパウト本体に一体に成形されていなくてもよく、ゴム等の他の弾性部材から構成してもよい。ゴム部材から連結部を構成する場合には、図12に示すように、第1固定部11及び第2固定部12に、ゴム部材50の一部をそれぞれ固定する。ゴム部材50は、第2固定部12が引っ張られた際に伸長し、第1固定部11及び第2固定部12が互いに近接する方向に弾性力を付与する。
【0051】
・上記実施形態では、第2固定部(第2固定部12)を1つとしたが、複数でもよい。例えば、図13に示すように、第2固定部12を3つ設け、第1固定部11及び第2固定部12を、連結部である弓状部13aによって連結してもよい。尚、弓状部13aは、外部から力が加えられていない状態では、第1固定部11及び第2固定部12の間に撓ませて配置されている。この際、スパウトSは、カップCの4点で支持されるので、カップCに対し安定した姿勢で固定される。
【0052】
・上記実施形態では、第1固定部及び第2固定部を、カップ開口を介して対向する位置にそれぞれ固定したが、これ以外の位置にそれぞれ固定してもよい。例えば、図14に示すように、スパウトSのガイド部15から、下方に連結部55を延ばし、その先端に第2固定部56を設けてもよい。第1固定部11はカップ鍔部C1に固定され、第2固定部56は例えば鉤状をなしカップCの底部に形成された切欠きC2(又は凹部)に固定される。また、カップCに固定されていない際には連結部55は撓んだ状態で設けられている。この場合でも、スパウトSは、カップCの2点で支持され、第1固定部及び第2固定部に対し互いに近接するような弾性力を付与するので、カップCに強固に固定される。
【0053】
・掛止爪12a,15aは、第2固定部12及びガイド部15の幅方向の全域に亘って形成されていてもよい。
・第1固定部11の下面にシリコン等のシール部材を固着する等して、スパウトSとフィルムFとのシール性が良好に確保される場合には、フランジ部19を省略してもよい。
【0054】
・穿孔部18に形成される連通孔18aは、1対形成されているとしたが、1個でもよく、3個以上でもよい。また、連通孔18aは、幅方向に延びるスリットでもよい。
・上記実施形態では、空気孔をフィルムFに形成する刃部22を、第2固定部12に設けたが、第1固定部11のうち、穿孔部18よりも先端(正面)側に設けてもよく、連結部13の途中に設けるようにしてもよい。
【0055】
・上記実施形態では、カップCには温かい飲料に限らず、冷たい飲料が封入されていてもよい。また、飲料でなくても、飲用可能な医薬品等の液体でもよい。
【符号の説明】
【0056】
11…第1固定部、12,56…第2固定部、13,55…連結部、13a…弓状部、18…穿孔部、17…注出部、18a…連通孔、19…フランジ部、22…刃部、C…カップ、F…フィルム、S…スパウト。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容し開口をフィルムで封止されたカップに装着されるスパウトにおいて、
注出部と、前記フィルムを破って孔を開ける穿孔部とを有し、前記カップに固定される第1固定部と、
前記第1固定部の固定位置に対して前記カップの異なる位置に固定される第2固定部と、
前記第1固定部と前記第2固定部とを連結し、前記第1固定部及び前記第2固定部に対し互いに接近する方向に弾性力を付与する連結部とを備え、
前記第1固定部及び前記第2固定部によって異なる複数の位置で支持されることを特徴とするスパウト。
【請求項2】
前記第1固定部及び前記第2固定部は、前記カップの縁部であって、前記カップの開口を介して対向する位置にそれぞれ固定されることを特徴とする請求項1に記載のスパウト。
【請求項3】
前記連結部は、一対の弓状部から構成され、該弓状部は前記第1固定部及び第2固定部の間で撓ませた状態で設けられるとともに、
前記弓状部は、その撓み量が減少する方向に伸張されることで前記第1固定部及び第2固定部を近接する方向に弾性力を付与する請求項1又は2に記載のスパウト。
【請求項4】
前記第1固定部は、該スパウトが前記カップに装着された装着位置で前記フィルムを下方に押圧するフランジ部をさらに備えた請求項1〜3のいずれか1項に記載のスパウト。
【請求項5】
前記穿孔部のうち、該スパウトが前記カップに装着された装着位置で前記カップの内側面と対向する位置には、前記穿孔部と前記カップ内側面との間隙と前記穿孔部内側とを連通する連通孔が形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のスパウト。
【請求項6】
前記第2固定部は、前記フィルムに空気孔を開ける空気孔用の刃部をさらに備えた請求項1〜5のいずれか1項に記載のスパウト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−67403(P2013−67403A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207041(P2011−207041)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】