説明

スパウト

【課題】フィルムの穿孔の際にカップ内の液体の飛散を防ぐことができるスパウトを提供する。
【解決手段】液体を収容し開口をフィルムFで封止されたカップCに装着されるスパウトSにおいて、雌螺子部が形成された筒部を有し、カップの縁部に固定される固定部材11と、雌螺子部に螺合する雄螺子部と、カップ内の液体を導出する導出部と、フィルムFを破って孔を開ける穿孔部とを備える穿孔部材12とを備え、カップCの縁部に固定部材11を固定し、該固定部材11の筒部に穿孔部材12を螺合させることでフィルムFを穿孔する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液体を収容したカップ内の開口を封止したフィルムを穿孔するとともにカップに固定されて飲み口として使用されるスパウトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、飲料を収容したカップの開口に、フィルムを固着して、飲料を気密状態に封止した製品が製造及び販売されている。この種のカップは、収容した飲料が冷却された状態で販売されており、カップ内の飲料を飲む際には、フィルムにストローを突き刺し、ストローを介して飲料を吸引する。
【0003】
一方、カップに入れられた温かい飲料を飲む場合には、ストローを介した吸引量を制御しにくい等の理由から、ストローの使用は適さない。このため、温かい飲料を上記構成のカップに封入した場合にも好適に使用できるスパウト構造が要請されていた。
【0004】
例えば特許文献1には、フィルム(密封シート)を押し切るスパウト構造を備えたオーバーキャップ付き容器が記載されている。このオーバーキャップは、フィルムの外側を覆うようにカップに装着されるものであって、容器本体の口部を全面にわたって覆い隠す天面壁を備える。また、この天面壁には、注出筒体が、ヒンジを介して揺動可能に保持されている。注出筒体は、ヒンジを起点とする引き起こしによって、天面壁に形成された貫通開口からその下方に挿入され、天面壁の下方に配置されたフィルムを押し切る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−179348号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述したスパウト構造は、例えばワンタッチでフィルムを切り開くタイプのものではないものの、注出筒体に印加する力の大きさを制御しにくく、注出筒体を勢いよくフィルム側に押し込んだ場合には、カップ内の液体が飛散する可能性が未だあった。例えば、スパウトによってフィルムを穿孔する際、穿孔が開始される時に最も大きい力を要するが、穿孔開始直後は、穿孔開始時に要した力がそのまま注出筒体に印加されるため、注出筒体が勢いよくカップ内側に挿入され、液体が周囲に飛散する虞がある。従って、穿孔の際に、カップ内の液体をより飛散させにくいスパウトが要請されていた。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、フィルムの穿孔の際にカップ内の液体の飛散を防ぐことができるスパウトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、液体を収容し開口をフィルムで封止されたカップに装着されるスパウトにおいて、雌螺子部が形成された筒部を有し、前記カップの縁部に固定される固定部材と、前記雌螺子部に螺合する雄螺子部と、前記カップ内の液体を導出する導出部と、前記フィルムを破って孔を開ける穿孔部とを備える穿孔部材とを備え、前記カップの縁部に前記固定部材を固定し、該固定部材の前記筒部に前記穿孔部材を螺合させることで前記フィルムを穿孔することを要旨とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、スパウトは、カップの縁部に固定される固定部材と、飲料を導出する導出部を有しフィルムに孔を開ける穿孔部材とを備えるので、穿孔部材を固定部材に装着したまま、穿孔部材の導出部からカップ内の飲料を飲むことができる。また、フィルムに孔を開ける際には、穿孔部材を固定部材の筒部に螺合させることで穿孔刃を徐々に下降させるため、フィルムは伸ばされながら穿孔される。このため、穿孔部材が勢いよくフィルムに差し込まれることで、フィルムが大きく裂けることがない。従って、穿孔時にカップ内の液体が周囲に飛散したり、漏れたりすることを防ぐことができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスパウトにおいて、前記固定部材は、前記カップの縁部を外側から支持する支持部を備えるとともに、前記穿孔部材は、前記筒部への螺合が完了した螺合完了位置で、その先端が前記カップの内側に配置され、前記支持部との間に前記カップの縁部を挟んで該スパウトのカップ径方向の移動を規制することを要旨とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、固定部材に装着された穿孔部材の先端と支持部との間にカップの縁部が挟まれるので、スパウトのカップ径方向の移動が規制される。従って、スパウトに口をつけて飲む際にも、スパウトが傾いたり、ずれたりせず、安定した姿勢を保持することができるので、カップから飲料を飲みやすくすることができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のスパウトにおいて、前記固定部材は、前記カップの縁部を上下から挟む壁部を備えることを要旨とする。
請求項3に記載の発明によれば、壁部により、カップの縁部が上下から挟まれるので、スパウトのカップの上下方向に沿った移動を規制することができる。このため、スパウトの姿勢を安定させることができるとともに、スパウトがカップに深く差し込まれることによる液体の飛散を抑制することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のスパウトにおいて、前記穿孔部材は、前記筒部への螺合が完了した螺合完了位置で、該穿孔部材のカップ深さ方向への移動を規制する規制部をさらに備えたことを要旨とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、螺合完了位置で、規制部により、穿孔部材のさらなる移動が規制されるため、スパウトが、装着されるべき位置よりも深くカップ内に差し込まれることによる飲料の飛散を防ぐことができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載のスパウトにおいて、前記穿孔部の刃先は、前記穿孔部材の中心軸上に配置されていることを要旨とする。
請求項5に記載の発明によれば、穿孔刃の刃先は、穿孔部材の中心軸上に配置されているので、穿孔部材を回転させて筒部に螺合することによって、刃先が、フィルムの一定位置を集中的に押圧して、その位置に孔を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を具体化した一実施形態のスパウトであって、カップに固定された状態を示す斜視図。
【図2】同スパウトの分解斜視図。
【図3】同スパウトを構成する固定部材を下面からみた斜視図。
【図4】同スパウトを構成する穿孔部材であって、(a)は穿孔部材の側面図、(b)は穿孔部材の下面図。
【図5】同固定部材をカップに装着する際の装着開始状態を示す、図2中A−A線における断面図。
【図6】同固定部材をカップに装着した状態を示す断面図。
【図7】同固定部材に同穿孔部材を螺合開始する状態を示す断面図。
【図8】同固定部材に同穿孔部材を螺合した螺合完了状態を示す断面図。
【図9】スパウトが装着されたカップを傾けた状態を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のスパウトを具体化した一実施形態を図1〜図9にしたがって説明する。
図1に示すように、本実施形態のスパウトSは、飲料を収容したカップCに対して装着され、カップCを傾けて飲料を啜るために使用されるものである。カップCは、飲料を収容したカップ本体Bと、カップ本体Bの上部開口を、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の切り裂き可能なフィルムFで封止した構成である。カップ本体Bは、その開口部に、外側に向かって突き出したカップ鍔部C1を有している。カップ鍔部C1の上面は、数mmの幅を有し、フィルムFの周縁は、このカップ鍔部C1の上面に対し熱溶着又は接着剤により固着されることで、カップCに張設されている。このスパウトSは、飲料を飲む前にフィルムFの一部に固定され、使用後はカップCから取り外すことができる。尚、スパウトSがカップCに装着された際に、カップCの径方向内側を向く面を正面、径方向外側の面を背面とし、フィルムFの上面側となる面を平面、カップ底面側を向く面を下面とする。
【0018】
スパウトSは、カップCの縁部に固定される固定部材11と、固定部材11に装着され、フィルムFを破いて孔を開ける穿孔部材12とを備えている。これらの部材は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)等の樹脂からなり、射出成形等によりそれぞれ成形されている。
【0019】
まず、固定部材11について説明する。図2に示すように、固定部材11は、カップ鍔部C1をスライド挿入するための支持部15と、その内側面に雌螺子部18が形成された筒部17とを備えている。
【0020】
支持部15は、平面視において湾曲した細長状をなし、その外周面は、カップ鍔部C1の形状に合わせた湾曲形状に形成されている。この支持部15は、固定部材11がカップCに対して固定された固定位置でフィルムFの上方に配置される上壁部15aと、カップ鍔部C1の下方に配置される下壁部15bと、カップ鍔部C1の外側に配置される側壁部15cとを有し、断面略コの字状に形成されている。
【0021】
上壁部15aは、固定位置において、フィルムFの周縁部のうち一部を覆うような大きさ及び形状に形成されている。側壁部15cは、上壁部15aに対して垂直な方向に延び、その中央には、開口16が形成されている。また、図3に示すように、下壁部15bのうち、背面側の形状は、上壁部15aとほぼ同じであるが、その幅は、上壁部15aよりも短く形成されている。これらの上壁部15a、下壁部15b及び側壁部15cにより、カップ鍔部C1を挿入可能な溝部15dが構成される。上壁部15aから下壁部15bまでの相対距離、即ち溝部15dの高さは、フィルムFの厚さ及びカップ鍔部C1の厚さの和と同一か、若干大きく形成されている。
【0022】
また、図2に示すように、固定部材11の上壁部15aには、筒部17が上方に向かって突出形成されている。筒部17は、その上端に上部開口17aを有するとともに、上壁部15aの下面で開口した下部開口17b(図3参照)を有している。さらに、筒部17の内側面には、雌螺子部18が形成されている。
【0023】
次に、穿孔部材12について説明する。図2に示すように、穿孔部材12は、胴部21と、胴部21の上端から連続して形成された導出部20と、胴部21の下端から連続して形成された穿孔刃23とを備えている。
【0024】
胴部21は、略有底筒状をなし、図4(a)に示すように、その外側面の上側から下側に向かって、雌螺子部18に螺合可能な雄螺子部22が形成されている。また、図4(b)に示すように、胴部21の底壁部には、カップ内の液体を、胴部内に導入する導入孔24が貫通形成されている。
【0025】
図4(a)に示すように、導出部20は、略円環状に形成されており、筒部17に嵌合される嵌合部20aと、嵌合部20aよりも外側に張り出した大径部20bとを備えている。嵌合部20aの外径は、筒部17の先端部の内径よりも若干大きくなっている。
【0026】
また、穿孔刃23は、胴部21の下端に連続して形成された、規制部としての基端部23aと、基端部23aから穿孔部材12の中心軸X1に向かって斜め下方に延出された梁部23bとを有している。基端部23aは、筒状に形成されている。また、図4(b)に示すように、梁部23bは、その先端が穿孔部材12の中心軸X1(図4(a)参照)上に集中するように形成されている。このため、図4(b)に示すように、穿孔刃23は、下面からみて放射状をなすとともに、図4(a)に示すように側面からみて、先端が中心軸X1上に配置された略三角形状をなす。
【0027】
この穿孔部材12には、穿孔刃23から胴部21を介して導出部20に至るまで、液体が通過可能な流路が連通している。即ち、カップ内の液体は、各梁部23bの間から導入され、基端部23aの内側を通過し、導入孔24を介して胴部21内に導入される。さらに胴部21に導入された液体は、胴部21内を通過して、導出部20から導出される。
【0028】
このように、スパウトSは、フィルムF全域を覆うような容器一体型の蓋部ではなく、カップCとは独立したアタッチメントとして機能するので、小型化することができる。このため、スパウトSに使用される樹脂量を減らすことができるので、コストを低減することができる。
【0029】
次に本実施形態のスパウトSの作用について図5〜図9に従って説明する。まず図5に示すように、固定部材11とフィルムFとを平行とし、側壁部15cが形成されていない正面側を、カップ鍔部C1側に向ける。そして、固定部材11を、上壁部15aをフィルムFの上面に滑らせるように、カップ鍔部C1に対し図中矢印方向にスライド挿入する。
【0030】
図6に示すように、カップ鍔部C1が、固定部材11の側壁部15cに度当てされるまで固定部材11をカップCに対してスライドさせると、カップ鍔部C1の上下面が、上壁部15a及び下壁部15bによって挟まれた状態となる。その結果、固定部材11のカップCの高さ方向に沿った上下方向の移動が、上壁部15a及び下壁部15bによって規制される。また、この位置では、筒部17は、フィルムFの上方に配置される。
【0031】
固定部材11をカップCに装着すると、図7に示すように、穿孔部材12を、穿孔刃23を下方に向け、且つ導出部20を上方に向けた姿勢で、回転させつつ筒部17に押し込む。すると、穿孔部材12の雄螺子部22と、筒部17の雌螺子部18との螺合が開始される。このとき穿孔刃23の刃先は、フィルムFに当接し、フィルム上の1点に押圧力が集中して加わるので、穿孔が開始されやすい。また、穿孔部材12を雄螺子部22と雌螺子部18との螺合により支持することができるので、安定した姿勢を保持しながら穿孔を行うことができる。
【0032】
また、穿孔部材12は、雌螺子部18を構成する突条のピッチに従って回転しながら下降するので、穿孔部材12が固定部材11に対して急に押し込まれることはない。このため、穿孔刃23は徐々にフィルム下方に差し込まれていく。すると、フィルムFは、穿孔刃23の差込みに伴い穿孔刃23に密着しながら伸び、限界まで引き伸ばされた箇所から徐々に破れ始める。このため、フィルムFと穿孔刃23との間に大きな隙間が形成されにくい。従って、穿孔の際に、カップ内の飲料が周囲に飛び散ることがなく、飲料が漏れにくくなる。一方、穿孔部材12がフィルムFに対して勢いよく差し込まれることが許容されるような構成である場合には、穿孔部材12の差込みに伴いフィルムFが大きく裂ける。従ってこの場合には、フィルムFの裂けと穿孔部材12との隙間から飲料が周囲に飛散したり漏れたりする虞がある。
【0033】
さらに穿孔部材12を回転させて、嵌合部20aの一部が筒部17に挿入されると、穿孔部材12が螺合完了位置に配置される。この位置では、嵌合部20aは筒部17に対して、しまり嵌めとなるように固定され、嵌合部20aと筒部17との間のシール性が確保される。その結果、穿孔部材12のカップ深さ方向へのさらなる下降が規制されるので、穿孔部材12の押し込み過ぎによる、カップ内の飲料の飛散を防ぐことができる。また、穿孔部材12が固定部材11に螺合されることにより、固定部材11をフィルムF及びカップ鍔部C1の上面に対して押し付けるような力が加わるため、固定部材11は容易にはカップ周方向に移動しない。
【0034】
また、穿孔刃23は、梁部23bの部分がフィルム下方に差し込まれ、フィルムFに円形状の孔を形成する。さらに穿孔刃23のうちフィルム下方に差し込まれた部分と、固定部材11の側壁部15cとにより、カップ鍔部C1が挟まれた状態となるため、スパウトSをカップ径方向内側に移動させようとすると、固定部材11の側壁部15cがカップ鍔部C1の外側に当接して、その移動を規制する。また、スパウトSをカップ径方向外側に移動させようとすると、穿孔刃23がカップ内側面に当接して、その移動を規制する。
【0035】
このように、螺合完了位置でのスパウトSは、カップ径方向、及びカップ周方向及びカップCの高さ方向及び深さ方向といった各方向への移動が規制されるので、カップ内の飲料を飲む際にも、スパウトSが傾いたり、ぐらついたりせず、安定した姿勢を保持することができるので、飲料が飲みやすくなる。
【0036】
スパウトSが装着されたカップ内の飲料を飲む際には、図9に示すように、スパウト側にカップCを傾ける。すると、カップ内の飲料Lが、穿孔刃23の梁部23bの間から、導入孔24を通過し、胴部21に流入する。さらに、胴部21に流入した飲料は、導出部20側に導出されるので、導出部20に口をつけて導出された飲料を飲むことができる。
【0037】
また、スパウトSをカップCから外すときには、穿孔部材12を、装着時とは逆方向に回転させて固定部材11から取り外し、固定部材11を、カップ鍔部C1から引き抜く。
従って、上記実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0038】
(1)上記実施形態では、スパウトSは、カップ鍔部C1に固定される固定部材11と、飲料を導出する導出部20を有しフィルムFに孔を開ける穿孔部材12とを備えるので、穿孔部材12を固定部材11に装着したまま、導出部20を介してカップ内の飲料を飲むことができる。また、フィルムFに孔を開ける際には、穿孔部材12を固定部材11に螺合させることで徐々に下降させるため、フィルムFは穿孔部材12に密着しつつ引き伸ばされて穿孔される。このため、穿孔部材12が勢いよくフィルムFに差し込まれることで、フィルムFが大きく裂けることがない。従って、穿孔時に、カップ内の飲料が周囲に飛び散ることを防ぐことができる。また、フィルムFを穿孔部材12に密着させながら穿孔することで、フィルムFと穿孔部材12との間に大きな隙間が発生しにくいため、フィルムFと穿孔部材12との隙間を介した飲料の漏れを抑制することができる。
【0039】
(2)上記実施形態では、固定部材11に装着された穿孔部材12の先端と側壁部15cとの間にカップ鍔部C1が挟まれるので、スパウトSのカップ径方向の移動が規制される。従って、スパウトSに口をつけて飲む際にも、スパウトSが傾いたり、ずれたりせず、安定した姿勢を保持することができるので、カップ内の飲料を飲みやすくすることができる。
【0040】
(3)上記実施形態では、固定部材11は、カップCの縁部を上下から挟む上壁部15a及び下壁部15bを備えるので、スパウトSが上下に動かず、その姿勢を安定させることができる。また、スパウトSがカップCに深く押し込まれることを防ぐことができるので、飲料の飛散を防ぐことができる。
【0041】
(4)上記実施形態では、螺合完了位置で、筒部17に穿孔部材12の嵌合部20aが嵌合されて、穿孔部材12のさらなる下降が規制される。このため、穿孔部材12がさらに深くカップ内に差し込まれることによる飲料の飛散を防ぐことができる。
【0042】
(5)上記実施形態では、穿孔刃23の刃先は、穿孔部材12の中心軸上に配置されているので、穿孔部材12を回転させて筒部17に螺合することによって、刃先が、フィルムの一定位置を集中して押圧することができる。このため、比較的容易に、フィルムFの穿孔を開始することができる。
【0043】
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・固定部材11の支持部15の形状は、カップ開口の半分を覆う半月状でもよい。
・上記実施形態では、穿孔部材12は回転しながらフィルムFを穿孔するようにしたが、穿孔部材12の一部が筒部17に挿入されることによって小さな孔を形成した後、穿孔部材12の雄螺子部22と固定部材11の雌螺子部18との螺合を開始するようにしてもよい。この場合であっても、穿孔部材12を筒部17により支持しつつ、安定した姿勢にして穿孔することができるとともに、穿孔部材12を、雌螺子部18のピッチに従って徐々に下降させることができる。
【0044】
・固定部材11の上壁部15a及び下壁部15bとの相対距離、即ち溝部15dの高さは、カップ鍔部C1の厚さよりも小さくてもよい。この場合、上壁部15a及び下壁部15bが弾性変形して、カップ鍔部C1をその上面及び下面から挟持する。
【0045】
・上記実施形態では、穿孔部材12のカップ深さ方向への移動を規制する規制部を、筒部17に対してしまり嵌めとされる嵌合部20aから構成したが、嵌合部20aと大径部20bとの段差面を規制部としてもよい。この場合、その段差面が、筒部17の上端に当接され、穿孔部材12の下降を規制する。
【0046】
・上記実施形態では、カップCには温かい飲料に限らず、冷たい飲料が封入されていてもよい。また、飲料でなくても、飲用可能な医薬品等の液体でもよい。
【符号の説明】
【0047】
11…固定部材、12…穿孔部材、15…支持部、15a…上壁部、15b…下壁部、16…開口、17…筒部、18…雌螺子部、20…導出部、22…雄螺子部、23…穿孔刃、C…カップ、C1…カップ鍔部、F…フィルム、L…液体としての飲料、S…スパウト、X1…中心軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を収容し開口をフィルムで封止されたカップに装着されるスパウトにおいて、
雌螺子部が形成された筒部を有し、前記カップの縁部に固定される固定部材と、
前記雌螺子部に螺合する雄螺子部と、前記カップ内の液体を導出する導出部と、前記フィルムを破って孔を開ける穿孔部とを備える穿孔部材とを備え、
前記カップの縁部に前記固定部材を固定し、該固定部材の前記筒部に前記穿孔部材を螺合させることで前記フィルムを穿孔することを特徴とするスパウト。
【請求項2】
前記固定部材は、前記カップの縁部を外側から支持する支持部を備えるとともに、
前記穿孔部材は、前記筒部への螺合が完了した螺合完了位置で、その先端が前記カップの内側に配置され、前記支持部との間に前記カップの縁部を挟んで該スパウトのカップ径方向の移動を規制する請求項1に記載のスパウト。
【請求項3】
前記固定部材は、前記カップの縁部を上下から挟む壁部を備える請求項1又は2に記載のスパウト。
【請求項4】
前記穿孔部材は、
前記筒部への螺合が完了した螺合完了位置で、該穿孔部材のカップ深さ方向への移動を規制する規制部をさらに備えた請求項1〜3のいずれか1項に記載のスパウト。
【請求項5】
前記穿孔部の刃先は、前記穿孔部材の中心軸上に配置されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のスパウト。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−86802(P2013−86802A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225739(P2011−225739)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】