説明

スパチュラを備えた化粧料容器及び化粧料用スパチュラ

【課題】左右どちらの指でも同様に使用できる化粧料用スパチュラと、そのスパチュラを使い勝手良く中蓋に収納できる化粧料容器の提供。
【解決手段】スパチュラ14は、前方に掬い面が形成された湾曲形状であって、外側湾曲形状は中蓋9の内周部に沿う形状であり、掬い面は両面に形成され、両凸状である断面形状を有する胴部を備えた化粧料掬い用スパチュラであり、中蓋9は、容器本体開口部に取付けられる中蓋9であって、短円筒の立ち上がり壁及び平らな底部からなる皿状をなし、中蓋9の内周部に沿ってスパチュラ14の収容部を形成し、中蓋9の内周にスパチュラ14の収容位置を規制させるとともに、スパチュラ14の両端位置にスパチュラ14が中蓋円周方向及び中蓋底面中心方向に移動することを規制する突部を設け、蓋の弧状の内周形状に類似した形状のスパチュラ14を左右方向自在に収容可能とした構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパチュラを収容した化粧料用容器及び化粧料用スパチュラに関する。
【背景技術】
【0002】
スパチュラを収容可能とした化粧料容器及び化粧料用のスパチュラは公知である。例えばスパチュラを収容可能とした化粧料容器は、特許文献1(特許第3708605号公報)、特許文献2(特開2004−201970号公報)、特許文献3(特開2001−80663号公報)に開示されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、中蓋の上面に浅い収納凹所を設け、薄いへら状のスパチュラを収納するようにした化粧料容器が開示されている(特許文献1図7等参照)。
【0004】
特許文献2には、化粧料が収容される容器本体と、この容器本体の首部に着脱自在に取付けられるキャップと塗布具(スパチュラ)を備えている。そして容器本体とキャップとで挟持される保持具を設け、この保持具に、塗布具の柄部を挿通して抜け落ち防止状に保持しうる挿通孔が穿設され、塗布具を収容する塗布具付き化粧料容器(特許文献2図1、2参照)が開示されている。
特許文献3には、キャップ裏面にスパチュラを取り付けた化粧料容器が開示されている(特許文献3図1参照)。
【0005】
従来の、スパチュラの形状は、スプーンあるいは真っ直ぐな平板状である。内容物を使い切るには不適であり、又該内容物を使い切る構成であっても該構成が複雑になってしまっている。「ヘラ」「スプーン」「刷毛」状で内容器形状にマッチングしていなかったり、内容器に入れっぱなしで不衛生であったり、また容器の外側に設けたことで、携帯性が損なわれている。スパチュラの利便性と容器の構造をマッチングさせた容器は提案されていない。
【0006】
【特許文献1】特許第3708605号公報
【特許文献2】特開2004−201970号公報
【特許文献3】特開2001−80663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、左右どちらの指でも同様に使用できる化粧料用スパチュラを提供し、そのスパチュラを使い勝手良く中蓋に収納できる化粧料容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のクリームなどを収容する化粧料容器は、スパチュラを中蓋に左右方向自在に収納でき、且つ、取り出し容易に構成したものであって、容器の形状・構造とスパチュラ形状・構造を関連づけて設計することにより、全体の使用性を向上させたものである。
【0009】
本発明の主な構成は次のとおりである。
(1)外蓋、スパチュラ収容部が設けられた中蓋、開口蓋円形である容器本体及びスパチュラを備えた化粧料容器において、
スパチュラは、前方に掬い面が形成された湾曲形状であって、外側湾曲形状は中蓋の内周部に沿う形状であり、掬い面は両面に形成され、両凸状である断面形状を有する胴部を備えた化粧料掬い用スパチュラであり、
中蓋は、容器本体開口部に取付けられる中蓋であって、短円筒の立ち上がり壁及び平らな底部からなる皿状をなし、中蓋の内周部に沿ってスパチュラの収容部を形成し、中蓋の内周にスパチュラの収容位置を規制させるとともに、スパチュラの両端位置にスパチュラが中蓋円周方向及び中蓋底面中心方向に移動することを規制する突部を設け、蓋の弧状の内周形状に類似した形状のスパチュラを左右方向自在に収容可能とした構造を備えたこと
を特徴とするスパチュラを備えた化粧料容器。
(2)中蓋には、一端部が底面に固着し、他端部を自由端とする湾曲片であり、自由端が側面視において中蓋の上縁より上部に位置するつまみ片が設けられており、
外蓋と容器本体は螺着係止構造であって、螺着時において、前記つまみ片の自由端が外蓋裏面に圧着状態が形成される構成であること
を特徴とする(1)記載のスパチュラを備えた化粧料容器。
(3)内容器は、化粧料収納内面の縦断面の形状が湾曲形状であり、内面深さがスパチュラの長さより浅いことを特徴とする(1)又は(2)記載のスパチュラを備えた化粧料容器。
(4)容器本体は、胴部から底部にかけて隙間を設けた外容器と内容器の二重構造であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のスパチュラを備えた化粧料容器。
(5)スパチュラは、前方に掬い面が形成された湾曲形状であって、外側湾曲形状は中蓋の内周部に沿う形状であり、掬い面は両面に形成され、両凸状である断面形状を有する胴部を備えた、化粧料容器中蓋に収納される化粧料用スパチュラ。
【発明の効果】
【0010】
1.スパチュラを中蓋に収納したコンパクトな化粧料収納容器である。スパチュラは、掬い面が両面に形成されており、使用者の癖などに応じて中蓋に左右置き可能に収容でき、また、スパチュラの胴部が両面膨らみの凸レンズ状断面とすることにより、中蓋の平坦面に載置された状態から縁が浮いている状態であるので、指でつまみ出すことが容易であるので、使用性を向上させることができた。
スパチュラを中蓋内周部に沿って収納し、スパチュラの両端位置にスパチュラが中蓋内周方向及び中蓋底面の中心方向に移動することを規制する突部を設けているが、規制突部の間は、平坦部であり、スパチュラの胴部の縁が浮き上がった状態で収納されているので、指先を引っかけて、容易にスパチュラを取り出すことができる。
2.スパチュラは、長手方向に湾曲しており、尾端を把持した状態で、自然に掬い部が下を向いて化粧料を掬い取ることができる。また、直線上のスパチュラの場合は、掬い取り時に肘を上げるなど動作が必要であるが、本発明のスパチュラは、そのような動作は必要が無く、無理なく自然に行うことができる。
3.スパチュラが湾曲しているので、特に、容器コーナー部の掬い取り性が向上する。
4.化粧料収容部の深さを、スパチュラの長さと同程度あるいは浅くすることにより、化粧料の掬い性を向上させることができる。
5.化粧料容器の内面を湾曲させた場合でも、スパチュラが湾曲しているので、掬い取りが容易である。
6.中蓋のつまみ部が外蓋の天井面に圧接した状態となるので、中蓋と容器本体が密着し、密閉性が向上する。
7.化粧料収納部が空間を介在させた2重構造であるので断熱性があり、化粧料に対する温度変化を小さくすることができる。また、外容器の形状設計の自由度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、使用性に優れた両面同一構造とした湾曲状のスパチュラとそのスパチュラの使用性を活かしつつコンパクトに中蓋に収納する化粧料容器である。
本発明は、スパチュラと化粧料容器から構成され、化粧料容器は、外蓋、スパチュラを収納する中蓋、容器本体から構成されている。
【0012】
図1〜図4を参考にして本願発明の例を説明する。図1は容器の分解状態図、図2はスパチュラを収納した状態の化粧料容器の断面図、図3は中蓋、図4はスパチュラを示す。
本願発明の化粧料容器1は、図1に示すように、外蓋2、中蓋9、スパチュラ14、容器本体18から構成され、その構成部材は、図2に従って、断面構成として示すと、容器本体18は外容器4と内容器6の二重構造、蓋は皿状の中蓋9が設けられ、中蓋9の皿状の凹部にはスパチュラ14が収納されている。
【0013】
[スパチュラ]
スパチュラは、図4に示す。図4(a)は全体形状を示し、(b)〜(e)はA−A 〜D−Dの各断面を示す。スパチュラ14は、湾曲形状であって、掬い部15を前方の両面に設け、胴部16は断面が両側に膨らんだ凸レンズ状(c)、(e)とする。後端部は、尾状に細く形成されているが、把持部となるので、操作性が保たれる範囲であれば、形状は特定されない。掬い部15は、胴部よりも薄く、平坦から若干凹面(b)、(d)に形成され、掬い部15の外縁23は円く形成される。外側湾曲縁21は、収容される中蓋の円形の内周縁に沿う凸状の湾曲形状とする。内側湾曲縁22は掬い部15から後端に向けて凹状の湾曲形状とする。
このスパチュラ14は、表裏対称となっているので、左右どちらの手指でも同様に使用することができ、また、中蓋の底などの平坦部に置いた場合に胴部が凸レンズ状に膨らんでいるので、湾曲縁部が浮いた状態となっているので、取り出しが容易であり、左右どちら向きでも置く事が可能であり、利便性がよい。また、中蓋などに載置した状態では、両面に設けられた掬い部の面が直接接触することがないので、塵埃と接触することが無く清潔に保つことができる。
また、このスパチュラ14は、湾曲形状であるので、後端部を把持した状態で掬い部を下方に向けることができるので、使用時に肘を上げるなどの動作が必要でなく、負担が少なく自然に行うことができる。また、湾曲であるので、容器のコーナー部から内壁面の掬い取り操作性が向上する。内容器の収納部深さをスパチュラの長さと同程度あるいは浅くすることにより、さらに、掬い操作性を向上させることができる。
【0014】
[化粧料容器]
(容器本体)
容器本体18は、外容器4と内容器6とからなる二重構造となっている。両者は、口頸部において接合され、胴部から底部にかけては、空隙を設けることが望ましい。二重構造とすることにより、材質あるいは形状を別にすることができ、化粧料の保存性を重視する内容器と外容器の材質を違うものとすることができる。また、外容器の形状設計を自由にすることができる。空隙は、断熱性を付与することができ、化粧料に対する外部温度の変化の影響を緩和することができる。特に、約3〜5mmの静止空気層を設けると断熱機能を高めることができる。
外容器4は、雄ネジ5が設けられ、外蓋に設けられた雌ネジ3と螺着する。内容器6は
上端を円形の開口部7を有する化粧料収容部が設けられている。内容器コーナー部8は、スパチュラの掬い部15の外縁に沿う丸みを設けることが好ましい。
【0015】
(外蓋)
外蓋2は、内面を平坦とし、雌ネジ3を設けたネジ蓋である。
(中蓋)
中蓋9は図3に示す。(a)は中蓋の平面図、(b)はスパチュラ、(c)はスパチュラを収容した状態を示す。内容器開口部7を覆うように取付けられる中蓋であって、短円筒の立ち上がり壁13(図1参照)、立ち上がり壁13の上端から拡幅された縁部19及び平らな底部20からなる皿状をなし、底部にはスパチュラを収納可能とする両端位置に( )型の規制突部10を設けてスパチュラ収容部11を形成し、蓋の弧状の内周形状に類似した形状のスパチュラを左右方向自在に収容可能とした構造を備えている。( )型の規制突部10はスパチュラが中蓋円周方向及び中蓋底面の中心方向に移動することを規制する。規制突部の形状は、スパチュラを左右方向に収容可能とされる形状であれば( 型に限るものではない。また、中蓋にはつまみ部12が突起状に設けられている。
このつまみ部12は、一端部が底面に固着し、他端部を自由端とする湾曲片であり、自由端が側面視において中蓋の上縁より上部に位置する構成とすることにより、外蓋を螺着した状態でつまみ部12の自由端が外蓋裏面に圧着状態となり、内蓋の密着性を向上させることができる(断面図を示す図2を参照)。
中蓋9は、短円筒の立ち上がり壁13の内周とスパチュラの外側湾曲縁21の形状が沿う形状とし、スパチュラの長さよりやや大きな間隔をおいて、スパチュラの掬い部の外縁の円みに沿った形状の規制突部を2個設けることにより、スパチュラを左右の両方向に収納することが可能とされる。規制突部の間は、平坦部であり、スパチュラの胴部の縁が浮き上がった状態で収納されているので、指先を引っかけて、容易にスパチュラを取り出すことができる。
【0016】
(全体組み合わせ構造、作用)
この化粧料容器は、内容器6に化粧料17が収容され、内容器の開口部7に中蓋9を被せ、スパチュラ14を中蓋の空間に収納し、外容器の雄ネジと外蓋の雌ネジを螺着する。使用時は、外蓋を外し、中蓋を外し、スパチュラを用いて、化粧料を手の甲などに掬い取って利用することができる。クリームなどの粘稠性のある化粧料を指などで化粧料を直接掬い取る場合よりもスパチュラを用いることにより化粧料に異物が混入することが防止でき、衛生的且つきれいに使用することができる。また、スパチュラの両面使用性、左右利用性、収容部からの取り出し容易性、湾曲による掬い操作性、湾曲と中蓋の収容部の合致性、さらに、封鎖時の密閉性など容器全体の構成が一体として、優れた作用効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】容器の分解状態図
【図2】スパチュラを収納した状態の化粧料容器の断面図
【図3】中蓋
【図4】スパチュラ
【符号の説明】
【0018】
1 化粧料容器
2 外蓋
3 外蓋雌ネジ部
4 外容器
5 外容器雄ネジ部
6 内容器
7 開口部
8 内容器コーナー部
9 中蓋
10 規制突部
11 スパチュラ収容部
12 つまみ部
13 立ち上がり壁
14 スパチュラ
15 掬い部
16 胴部
17 化粧料
18 容器本体
21 外側湾曲線
22 内側湾曲線
23 外縁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外蓋、スパチュラ収容部が設けられた中蓋、開口蓋円形である容器本体及びスパチュラを備えた化粧料容器において、
スパチュラは、前方に掬い面が形成された湾曲形状であって、外側湾曲形状は中蓋の内周部に沿う形状であり、掬い面は両面に形成され、両凸状である断面形状を有する胴部を備えた化粧料掬い用スパチュラであり、
中蓋は、容器本体開口部に取付けられる中蓋であって、短円筒の立ち上がり壁及び平らな底部からなる皿状をなし、中蓋の内周部に沿ってスパチュラの収容部を形成し、中蓋の内周にスパチュラの収容位置を規制させるとともに、スパチュラの両端位置にスパチュラが中蓋円周方向及び中蓋底面中心方向に移動することを規制する突部を設け、蓋の弧状の内周形状に類似した形状のスパチュラを左右方向自在に収容可能とした構造を備えたこと
を特徴とするスパチュラを備えた化粧料容器。
【請求項2】
中蓋には、一端部が底面に固着し、他端部を自由端とする湾曲片であり、自由端が側面視において中蓋の上縁より上部に位置するつまみ片が設けられており、
外蓋と容器本体は螺着係止構造であって、螺着時において、前記つまみ片の自由端が外蓋裏面に圧着状態が形成される構成であること
を特徴とする請求項1記載のスパチュラを備えた化粧料容器。
【請求項3】
内容器は、化粧料収納内面の縦断面の形状が湾曲形状であり、内面深さがスパチュラの長さより浅いことを特徴とする請求項1又は2記載のスパチュラを備えた化粧料容器。
【請求項4】
容器本体は、胴部から底部にかけて隙間を設けた外容器と内容器の二重構造であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスパチュラを備えた化粧料容器。
【請求項5】
スパチュラは、前方に掬い面が形成された湾曲形状であって、外側湾曲形状は中蓋の内周部に沿う形状であり、掬い面は両面に形成され、両凸状である断面形状を有する胴部を備えた、化粧料容器中蓋に収納される化粧料用スパチュラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−222193(P2007−222193A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−43303(P2006−43303)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(397028326)株式会社アテニア (1)
【出願人】(593106918)株式会社ファンケル (310)