説明

スパッタリングターゲットおよびその製造方法

金属板をクロック圧延して所望厚さの圧延板とする工程を含む金属の処理方法。スパッタリングターゲットおよびその他の金属部材も開示。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンタル製およびタンタル合金製のスパッタリングターゲットおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スパッタリングの適用分野では、スパッタリングターゲットアセンブリは典型的にはスパッタリングターゲットと裏当て板とを含む。例えば、金属ターゲットあるいは金属ターゲットブランク材(タンタル、チタン、アルミニウム、銅、コバルト、タングステン、ハフニウムなど)を裏当て板に接合する。裏当て板は、例えば銅、アルミニウム、あるいはこれら各々の合金のような裏当て板フランジアセンブリであってよい。スパッタリングターゲットアセンブリのスパッタリング性能に影響するファクタとして、結晶粒径と、スパッタリング面に対する結晶粒の結晶方位とがある。所望の結晶粒径および結晶学的集合組織は、機械的な変形と焼鈍を組み合わせることで同時に達成できる。
【0003】
従来、例えばタンタルに所望の金属組織を形成する方法では、鍛造、圧延、押し出し、あるいはこれらの組み合わせにより機械的な変形を行っていた。タンタルのスパッタリングターゲットを製造する従来の方法では、機械的な変形の各工程間で焼鈍を複数工程行うことによって再結晶を起こさせ、(111)結晶面または(100)結晶面がスパッタリングターゲット面に平行な均一細粒組織を形成していた。
【0004】
一例として、Michaluk et al.のアメリカ合衆国特許6,348,113に記載されている種々の実施形態のうちの1つでは、タンタル金属を90°のクロス圧延した矩形の板を切断して円形のスパッタリングターゲットディスクを作っている。
【0005】
Segal(アメリカ合衆国公開特許2002/0153071A1)はFCC金属用の製造方法に関する。Jepson(アメリカ合衆国公開特許2002/0112789A1)、Hormann et al.(アメリカ合衆国特許4,884,746)、Turner(アメリカ合衆国公開特許2002/0125128A1)、Zhang(アメリカ合衆国特許6,193,821)およびBroussoux et al.(アメリカ合衆国特許5615465)はスパッタリングターゲット用のタンタル板の製造方法で、種々の方法で矩形の板を作製し、これを切断して円形のディスクにしている。この方法は、高価なタンタル材料を非常に浪費している。
【0006】
Koenigsmann et al.(アメリカ合衆国公開特許2003/0089429)は、粉末冶金法でタンタルスパッタリングターゲットを製造している。Shah et al.(アメリカ合衆国公開特許2002/0063056)は潤滑ダイを用いて直交圧延することで強い(100)集合組織を持つタンタルスパッタリングターゲットを製造している。Segal(アメリカ合衆国特許6,238,494B1)およびSegal et al.(アメリカ合衆国特許6,348,139B1)は強い(100)集合組織を持つタンタル円形板を製造している。この方法では、インゴットの鍛造と圧延との組み合わせで円形のタンタル板を製造している。その際、鍛造時にダイの潤滑が必要であったこと、できるだけ低温で再結晶させることで強い(100)集合組織を持ち結晶粒径が適正で結晶学的集合組織が均一であるタンタルターゲットを製造したことが記載されている。
【0007】
以上の従来方法はいずれも、タンタルの変形工程を中断して再結晶のための焼鈍工程を挟むことで塑性歪を低減し、それによって割れの発生を防止すると共に加工硬化を除去して加工を容易にしている。
【0008】
また、これらいずれの方法も、円柱状のインゴットを鍛造および圧延して矩形あるいは正方形に形状変換した後、この矩形または正方形の板材を円形に切断することで、円形のスパッタリングターゲットを製造している。このように円形のインゴットを矩形にしてから再び円形に戻す形状変換は、非常に非効率であるし材料の浪費が多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明の目的の1つは、スパッタリングターゲットのような金属部材を製造する方法であって、加工熱処理を行い、望ましくは焼鈍は1回だけとして加工処理の最後に行うか、または2回として加工処理の途中の中間焼鈍と加工処理の最後の焼鈍とを行う方法を提供することである。
【0010】
本発明のもう1つの目的は、形成工程全体を通して円形の形状を維持しつつ、スパッタリングターゲットのような円形の部材を形成する方法を提供することである。
【0011】
本発明の更にもう1つの目的は、強い(111)結晶学的集合組織のような、非常に強い結晶学的集合組織を持つスパッタリングターゲットのような金属部材を提供することである。
【0012】
本発明の上記以外の目的および利点は、以下の開示中で説明され、該開示から読み取れ、また本発明の実施例により知ることができる。本発明の目的および他の利点は、以下の開示および特許請求の範囲に記載された各構成要素とその組み合わせにより実現および達成される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、本発明によれば、金属板を所望厚さになるまで2圧延パス以上でクロック圧延して圧延板とする工程を含む金属の処理方法が提供される。望ましくは、金属はBCC金属であり、より望ましくはタンタルまたはニオブまたはこれら各々の合金である。
【0014】
更に本発明によれば、円形の金属部材を製造する方法であって、円筒形の金属インゴットを処理し、その処理中に円筒形の形状が維持されるように処理する方法を提供する。
【0015】
本発明の方法は特にスパッタリングターゲットの形成に有用である。
【0016】
また、本発明によれば、1つまたは複数の本発明の方法で形成されたタンタル金属またはニオブ金属のような金属が提供される。
【0017】
更に、本発明によれば、焼鈍前に約3.0以上の真歪を付与して形成したタンタルまたはニオブのスパッタリングターゲットのようなスパッタリングターゲットが提供される。
【0018】
本発明について、以上の概括的な記載も以下の詳細な記載も単に例示および説明であって、特許請求の範囲に記載した本発明を補足説明するためのものである。
【0019】
以下に、図面を参照して本発明を更に詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、スパッタリングターゲットのような金属部材を形成する方法に関する。一般に、本発明は金属のクロック圧延を用いて所望寸法の圧延金属板を得ることに関する。以下に詳細に説明するように、金属のクロック圧延によって、集合組織バンドが劇的に低減し、同時に金属の表面および厚さ全体に亘って均一細粒組織が得られる。本発明の一実施形態は、金属の処理あるいは圧延の方法であって、所望厚さになるまで金属をクロック圧延して圧延板とする工程を含む。クロック圧延は、一般に2圧延パス以上、望ましくは3圧延パス以上、例えば3圧延パスから30あるいは40圧延パスあるいはそれ以上で行う。所望の厚さ、集合組織の均一性、および/または結晶粒径に応じて、上記の範囲内あるいは範囲外の圧延パス回数とすることができる。金属、望ましくは本発明による処理対象とする金属は、バルブ金属、耐熱金属、BCC金属であるが、他の金属であってよい。本発明により処理できる金属を非限定的に例示すると、タンタル、ニオブ、銅、チタン、金、銀、コバルト、およびこれら各々の合金が挙げられる。
【0021】
本発明においては、クロック圧延は金属板のような金属部材を図2に示すように圧延機で圧延パスを行う。金属の厚さを減少させるなどの金属の変形が可能であれば、どのような従来の圧延機も用いることができる。図2に示すように、クロック圧延においては、円形のディスクのような金属材を圧延機で圧延し、次いでこの金属ディスクをある角度だけ回転させ、そして再度圧延し、次いで任意にある角度だけディスクを回転させ、そして再度圧延する。各パス後に、圧延機で負荷する力の量によって、同じあるいは異なる真歪を金属に付与することができる。図2に示した望ましいクロック圧延では、各パス後にディスクを120°回転させる。一般には、120°以外に、90°超または90°未満の回転角を用いることができる。すなわち、各パス後の回転角は100°以上、例えば100°〜170°であってよい。各パス後の回転角は同じでも異なってもよい。例えば、図2に示す場合は、各パス後に金属ディスクを120°回転させる。別の形として、第1パス後に120°回転させ、第2パス後に100°回転させ、任意の第3パス後に120°、150°、等々回転させる形でもよい。このように回転角は一般に90°超にして単なる横方向の圧延にならないようにする。更に望ましくは、各圧延パス後に、部材の回転は横方向に対して10°以内にならないようにする。クロック圧延の際、金属部材を裏返して更にクロック圧延してもよい。新たな圧延パスセットの開始前にある角度だけ金属を改定することも任意である。すなわち、図2を参照すると、120°クロック圧延を用いた場合、3パス後に、同図中に1で示した最初の開始位置で圧延する替わりに、次回の圧延では、金属を10°〜110°のようなある角度回転させてから次のパスを行うことにより、ディスクなどの部材内で圧延方向が分散するようにしてもよい。
【0022】
少なくとも1つの実施形態においては、圧延前または圧延工程の途中で焼鈍はしない。圧延は室温で行うことができる。変形過程で、加工材料の温度は上昇することがあり、例えばタンタルでは150°に達することがある。圧延前に加工材料を例えば40℃〜350℃に加熱して圧延機に必要な力を低減することができる。所望厚さを得るまでの圧延パス回数を多くすると、圧延された部材の均一性が高まる。圧延パス当たりの真歪は典型的には約0.3〜約0.04の範囲である。
【0023】
クロック圧延を行う金属板は、ビレットを鍛造などにより機械的に変形させて作製することができる。
【0024】
1つの実施形態においては、クロック圧延によって付与される真歪は約1.0〜約2.0、より望ましくは約1.2〜約1.9、またはその範囲内のどんな値であってもよい。更に、個々の圧延パスで付与される真歪は約0.02〜約0.5であってよい。この範囲より下または上の真歪であってもよい。
【0025】
前述したように、クロック圧延において、金属板の一面をクロック圧延した後に、金属板の他面をクロック圧延することもできる。一面と他面とでクロック圧延のパス回数は同じでも異なっていても同程度でもよい。
【0026】
金属板を得るための鍛造は望ましくは軸鍛造である。この鍛造により、少なくとも1つの実施形態においては、約0.75〜約2.0の真歪が付与される。ただし真歪値はこの範囲より上でも下でもよい。鍛造するビレットはビレット径に対するビレット長の比が約3以下であってよい。鍛造によって付与する真歪は約0.8〜約1.4であることが望ましい。
【0027】
ビレットは金属インゴットを所望の直径に押し出しまたはスエージングして押し出しインゴットまたはスエージインゴットとして得ることができる。インゴットは市販品であってよい。インゴットはMichaluk et al.(アメリカ合衆国特許6,348,113)(ここで引用したことにより本願の開示として取り込む)の教示により準備することができる。この方法は、高純度タンタル金属を変形処理に適した形状に直接鋳込む方法や、電子ビーム溶解によりスラブを形成する方法も含んでいる。押し出しまたはスエージしたインゴットを適宜切断して、上述したように鍛造のような次の処理のためのサイズのビレットにすることもできる。次いで、押し出しまたはスエージしたインゴットを切断して、板としての所要体積が得られるような体積にする。例えば、厚さ0.5インチ、直径10インチの金属板が必要な場合には、直径4インチで長さが3.12インチより若干長いビレットを用いることができる。ビレットの切断は、水ジェット切断、EDM、鋸切断、旋盤での旋削など、従来の方法で行うことができる。次工程での成形処理中に表面疵が進行しないように十分にビレット表面の仕上げを行いさえすれば、ビレットの切断方法は本発明の方法に特に影響はない。金属インゴットの出発直径は特に限定する必要はなく、望ましくは約7インチ以上、例えば約7インチ〜約13インチ、またはそれ以上である。押し出しまたはスエージング後に、押し出しまたはスエージされたインゴットは、例えばビレットとして、直径が約3インチ〜約7インチ、より望ましくは約3インチ〜約6インチ(例えば、4インチ、5インチ、6インチなど)であってよい。インゴットの出発直径は、これ以外に、10インチ〜12インチ、8インチ〜10インチ、6インチ〜8インチであってよい。出発材料であるインゴットを押し出しまたはスエージする際、少なくとも1つの実施形態においては、押し出しまたはスエージにより付与される真歪は約0.5〜約2.0(例えば、0.77〜1.58など)である。その他のインゴットサイズおよびビレットサイズを用いても良い。ディスクの結晶粒径と結晶学的方位均一性は直径11インチのインゴットを用いることにより向上するので、スパッタリングターゲットの製法には望ましい。インゴットの出発直径が3〜6インチのオーダーなら、押し出しまたはスエージングによる処理は必要ない。押し出しまたはスエージングは室温(10℃〜35℃)で行うことができる。押し出しまたはスエージングは約35℃より高温、例えば40℃〜350℃で行うこともできる。
【0028】
押し出しまたはスエージング後の焼鈍をしない処理も可能である。しかし、押し出しまたはスエージング後に焼鈍しないと、押し出しまたはスエージ後、鍛造および圧延の前に焼鈍した場合に比べて結晶粒組織および結晶方位の均一性が低い。
【0029】
次いでプレス機を用い、適正な体積のビレットをビレット軸方向に鍛造する。直径4〜6インチのタンタルビレットのプレス加工に用いる典型的なプレス力は約5000トンである。ビレットのプレス加工は典型的には室温で行う。しかし、タンタルビレットのプレス加工を40℃〜350℃のような高温で行うことも可能である。プレス鍛造したビレットは焼鈍してもよいし、焼鈍を省略しても良い。
【0030】
プレス鍛造ビレットを検査する。表面疵が発見されたら、研磨または機械加工で除去する。更に、ビレットを研磨により面取りして圧延し易くすると、最終的に得られる部材の品質が一般に高まる。ただし、良品の製造に疵取り研磨と面取りが必須ということではない。プレス鍛造時の真歪は例えば0.94〜1.38の範囲である。
【0031】
プレス鍛造ビレットを鍛造上がりのビレット高さから圧延して最終的な板厚にまで変形させることができる。1つの望ましい実施形態においては、圧延の際、各圧延パス後に圧延材料を120°回転させる。3パス後に圧延材料を裏返し、更に3パス圧延を行い、その際にも各パス後に120°回転させる。一回目の3パス圧延と二回目の3パス圧延とは、角度を30°ずらして行う。図2に、一回目の圧延パスと二回目の圧延パスの関係を示す。この処理を繰り返して板厚を所望値にする。この圧延処理は直交方式ではなく、全ての結晶粒を活性化して集合組織バンドの生成傾向を低減する。図8に、タンタル圧延板の集合組織バンドの生成レベルが120°クロック圧延によって変わることを示す。超音波操作法で検査すると、120°クロック圧延を用いて製造した板では集合組織バンドは全く観察されないのに対して、直交圧延で製造した板では非常に顕著な集合組織バンドが観察される。
【0032】
任意の処理として、本明細書で説明している処理プロセスのどの工程の前および/または後に、1工程以上の焼鈍を行ってよい。1つの実施形態においては、圧延板(クロック圧延による)は焼鈍してよいが、処理プロセス全体に先立って焼鈍をしない方が望ましい。すなわち、インゴット、ビレット、ビレットを鍛造した板には焼鈍を施さない。
【0033】
任意の処理として、押し出しまたはスエージングしたインゴットに焼鈍を施してもよい。押し出しまたはスエージング後の焼鈍および圧延後の焼鈍によって、ディスクの結晶粒サイズおよび結晶学的方位の均一性が高まる傾向がある。しかし、許容可能な結晶粒径および結晶学的集合組織の均一性が得られるのは、圧延後に焼鈍した場合のみである。
【0034】
スエージング後に焼鈍を行う場合は、スエージングしたインゴットの切断前または切断後に焼鈍を行う。どちらを選択するかは、スエージングした長いインゴットと切断した小さいビレットのどちらを焼鈍炉が収容できるかによる。
【0035】
タンタルを焼鈍する場合、真空焼鈍により、完全再結晶が起きるのに十分な温度および時間で行うことが望ましい。前述したように、タンタルインゴットおよびそれを成形した種々の形状のインゴットを、処理プロセスのどの工程の前および/または後で1回または2回以上の焼鈍を行うことができる。
【0036】
焼鈍は、少なくとも部分再結晶および/または結晶粒径の変化を起こす温度のような従来の焼鈍温度で行うことができる。
【0037】
焼鈍は、適当な温度で行うことができる。例えば、真空中で、約975℃〜約1125℃で焼鈍を行うことができる。他の温度でもよい。加熱速度は10〜50℃/min(例えば30℃/min)であってよい。鍛造後に焼鈍すると、ディスクの結晶粒径および結晶学的方位の均一性が高まる傾向があるので、スパッタリングターゲットの製造には望ましい。しかし、製品の要求を満たすためにこの付加的な焼鈍が必要ない場合もある。その場合には、中間焼鈍を省略してもよい。
【0038】
鍛造と圧延の組み合わせにより付与される真歪は約2〜約3.5の範囲であってよい。しかし、この範囲の上または下の真歪値になることもある。
【0039】
本発明の方法においては、少なくとも1つの実施形態においては、処理プロセス全体により付与される真歪圧下量は、3.0以上、4.0以上、または例えば約3.0〜約6.0である。
【0040】
本発明のもう1つの実施形態においては、本発明は円形の金属部材を作成する方法であって、処理プロセス全体に亘って円柱状を維持するように、円柱状の金属インゴットを処理する。すなわち、押し出しまたはスエージング、鍛造、圧延、および例えば研磨、加工熱処理などの工程を含む処理プロセス全体に亘って、円形の出発材料の円形形状を維持する。
【0041】
本発明の一実施形態において、スエージング、押し出し、回転鍛造、無潤滑の据え込み鍛造をクロック圧延と組み合わせて用い、非常に強い(111)結晶学的集合組織を持つ円形の金属ターゲットディスクを作製することができる。強い(111)集合組織以外にも、非常に強い(100)などの結晶学的集合組織を得ることができる。
【0042】
本発明の1つの特徴として、変形を中断して焼鈍を行わないので、焼鈍前に付与される真歪が大きい。例えば、真歪が4.43以上であるタンタルを焼鈍なしで得ることができる。望ましくは、全ての機械的な変形の後にのみ焼鈍を行い、ターゲット形成工程で1回または2回のみの焼鈍を行う。焼鈍の際に金属を酸素および窒素から保護するために、真空雰囲気やアルゴン雰囲気を用いるか、金属中への酸素および窒素の拡散を防止する保護層で金属を被覆する必要があるので、焼鈍は高価な処理プロセスである。特にタンタルやニオブの場合にはこのことが当てはまる。酸素および窒素はタンタルの延性を低下させて機械的性質に悪影響を及ぼすことが知られている。したがって、製造プロセスから焼鈍を排除することによって、金属の品質が向上し(例えば酸素および窒素による汚染が減少)かつスパッタリングターゲットの製造コストも低減する。
【0043】
本発明においては、円柱状のインゴットを、処理プロセス全体を通して円柱状に維持しつつ処理する。円形形状を維持することにより、材料歩留まりが少なくとも2倍に向上する。
【0044】
本発明においては、タンタル金属およびその他のBCC金属は、純度95%以上のような純度であってよい。望ましくは、金属の純度は99%以上、99.95%以上、99.99%以上、99.995%以上である。この純度であればガスは排除される。望ましくは、タンタル金属およびその他のBCC金属は、純度99.999%以上であり、約99.995%〜約99.999%またはそれ以上である。他の範囲として、約99.998%〜約99.999%、約99.999%〜約99.9992%、約99.999%〜約99.9995%としてもよい。
【0045】
本発明は更に、BCC金属またはタンタル金属を含む合金、例えばタンタル基合金またはその他、1合金成分としてBCC金属またはタンタルを含有する合金に関する。本明細書中で望ましい金属としてタンタルを記載しているが、本願全体として本明細書の記載は他のバルブ金属またはBCC金属にも適用される。
【0046】
タンタル金属中に存在する不純物(例えば金属不純物)は0.005%以下であり、典型的にはニオブ、モリブデン、タングステンなど、タンタル中の溶解度が無限大であるBCC耐熱金属である。例えば、金属不純物、例えばTa中の不純物としてのMo、W、Nbは、各々または合計で、50ppm以下、20ppm以下、10ppm以下、更に合計で5ppm以下とすることができる。酸素含有量は100ppm未満、50ppm未満、20ppm未満、10ppm未満とすることができる。他の全ての元素不純物(放射性元素を含む)は金属であれ非金属であれ合計で200ppmm未満、50ppm未満、25ppm未満、10ppm未満、それ以下とすることができ、任意にO50ppm以下、N25ppm以下、炭素25ppm以下とするか、これらの組み合わせとすることができる。
【0047】
タンタル金属およびその合金は、最終的な用途、例えばスパッタリング用として有利な集合組織を持つことが望ましい。任意な一形態として、本発明の各実施形態において、金属の表面および/または厚さ全体に亘って集合組織が均一である。望ましくは、タンタル金属またはその合金で形成したスパッタリングターゲットでスパッタリングを行った場合、本発明のタンタル金属の集合組織を持つスパッタリングターゲットは、スパッタリングが容易であり、スパッタリングし難い領域がほとんど無い。また、本発明のタンタル金属の集合組織を持つスパッタリングターゲットは、スパッタリングによるエロージョンが非常に均一に発生するので、スパッタリングにより形成された薄膜も均一になる。スパッタリングが容易なスパッタリングターゲットが得られる集合組織の一つは、異種の集合組織が混合して均一に分布している。
【0048】
タンタル金属が微細な集合組織を持つことが望ましい。一つの実施形態として、集合組織は、タンタルの厚さ増分5%毎の(100)ピーク強度が約15ランダム(ランダム集合組織の約15倍)未満であり、かつ/または、同じ厚さ増分毎の(111):(100)中心ピーク強度の自然対数(Ln)比が約−4.0より大(すなわち、−4.0、−3.0.−2.0、−1.5、−1.0など)であるか、または、上記の(100)中心ピーク強度と上記の比の両方である。中心ピーク強度は望ましくは約0ランダム〜約10ランダム、より望ましくは約0ランダム〜約5ランダムである。その他の(100)中心ピーク強度範囲として、非限定的には、約1ランダム〜約10ランダム、約1ランダム〜約5ランダムである。また、(111):(100)中心ピーク強度の対数比は約−4.0〜約15、より望ましくは約−1.5〜約7.0である。対数比の他の適切な範囲は、非限定的には、約−4.0〜約10、約−3.0〜約5.0である。最も望ましくは、本発明のタンタル金属は、(100)増分強度と増分中心強度の(111):(100)比とについて結晶粒径および望ましい集合組織を備えている。集合組織の評価に用いる方法および装置については、Adams et al., Materials Science Forum, vol.157-162 (1994), pp. 31-42、Adams et al., Metallurgical Transactions A, vol.24A, April 1993-No.4, pp.819-832、Wright et al., International Academic Publishers, 137 Chaonei Dajie, Beijing, 1996 (“Texture of Material: Proceedings of the Eleventh International Conference on Textures of Materials)、Wright, Journal of Computer-Assisted Microscopy, vol.5, No.3 (1993)に記載されており、ここで引用したことによりこれら全てを本願に取り込む。一実施形態において、タンタル金属は、a)平均結晶粒径が約50μm以下であり、b)(100)極点図が中心ピーク強度が約15ランダム以下である集合組織を持ち、またはc)(111):(100)中心ピーク強度の対数比が約−4.0より大であり、またはこれらの組み合わせである。
【0049】
本発明においては、集合組織は(111):(100)混合組織のような混合集合組織でもよく、この混合集合組織は望ましくは板またはターゲットの表面および/または厚さ全体に亘って均一である。もう一つの実施形態においては、タンタルは望ましくは(111)主集合組織または混合集合組織および(100)最小集合組織をスパッタリングターゲットの厚さ全体に亘って持ち、望ましくは(100)集合組織バンドを実質的に含まない。
【0050】
また、インゴット、板、仕上がり板、ターゲットの集合組織について、スラブのような材料の表面および/または厚さ全体に亘って、(100)主集合組織、(111)主集合組織、(111):(100)混合集合組織であってよい。望ましくは、スラブのような材料は、集合組織が(111)主集合組織または(111):(100)混合集合組織である場合には、(100)集合組織バンドのような集合組織のバンド発生は起きない。
【0051】
タンタル金属の結晶粒径によって、スパッタリングエロージョンおよびスパッタリングの容易性が影響を受ける可能性がある。本発明のタンタル金属は結晶粒径に限定はない。望ましくは、本発明のタンタル金属は、平均結晶粒径が約1000μm以下、750μm以下、500μm以下、250μm以下、150μm以下、100μm以下、75μm以下、50μm以下、35μm以下、25μm以下、20μm以下、15μm以下、または10μm以下である。本発明のタンタル金属に適した他の結晶粒径は、平均結晶粒径約5μm〜約125μmであってよい。望ましくは、本発明のタンタル金属は平均結晶粒径が約10μm〜約100μmであってよい。本発明のタンタル金属は平均結晶粒径が約5μm〜約75μm、25μm〜75μm、約25μm〜約50μmであってよい。更に、一実施形態においては、結晶粒の95%が粒径100μm以下である。これは1サンプルについて500個の結晶粒を測定して求めることができる。望ましくは、結晶粒の95%が粒径75μm以下である。また、結晶粒の95%が平均結晶粒径の3倍未満であってよい。
【0052】
本発明の一実施形態においては、本発明の方法による製造物は、望ましくは板またはスパッタリングターゲットであって、その結晶粒の95%以上が100μm以下、75μm以下、50μm以下、35μm以下、または25μm以下である。より望ましくは、本発明の方法による製造物は、板またはスパッタリングターゲットであって、その結晶粒の99%以上が100μm以下、75μm以下、50μm以下、より望ましくは35μm以下、更に望ましくは25μm以下である。望ましくは、結晶粒の99.5%以上が上記の望ましい粒組織であり、より望ましくは結晶粒の99.9%以上が上記粒組織すなわち100μm以下、75μm以下、50μm以下、より望ましくは35μm以下、更に望ましくは25μm以下である。このように細粒の高いパーセンテージを求めるには、結晶粒組織を示す顕微鏡写真上でランダムに選択した500個の結晶粒を測定することが望ましい。
【0053】
少なくとも1つの実施形態においては、板(あるいはスパッタリングターゲット)は表面にマーベライジングを実質的になしに製造できる。ここで実質的になしとは、望ましくは板あるいはスパッタリングターゲットの表面積の25%以下がマーベライジングなし、より望ましくは板またはスパッタリングターゲットの表面積の20%以下、15%以下、10%以下、5%以下、3%以下、または1%以下がマーベライジングなし、ということを意味する。典型的には、マーベライジングは、主集合組織とは異なる集合組織を含む斑点状の大きなバンド領域である。例えば、(111)主集合組織が存在する場合、斑点状の大きなバンド領域を成すマーベライジングは、板またはターゲットの表面上の(100)集合組織である可能性があり、板またはターゲットの厚さを貫通して存在する可能性がある。一実施形態においては、斑点状の大きなバンド領域は一般的には板またはターゲットの全表面積の0.25%以上を占める斑点である可能性があり、更には、単一の斑点で0.5%以上、1%以上、2%以上、3%以上、4%以上、または5%以上である可能性がある。板またはターゲットの表面にマーベライジングとして識別される斑点は複数個存在する可能性がある。本発明によれば、個々のマーベライジング斑点のサイズを低減すると共に、マーベライジング斑点の個数を低減する。すなわち本発明はマーベライジングの発生する面積を最小化すると共に、マーベライジング斑点の個数を減少させる。板またはターゲットの表面のマーベライジングを低減することにより、板またはターゲットは更に加工する必要もないし、更に焼鈍する必要もない。また、マーベライジングの影響を除去するための板またはターゲットの表面除去も必要ない。
【0054】
アメリカ合衆国特許出願60/545617(この引用により全体を本願中に取り込む)に記載の非破壊バンド試験を用いた結果、本発明の種々の実施形態においてバンド発生が非常に少ないことが定量的に確認できた。すなわち一形態においては、本発明は集合組織バンド面積が非常に少ない板のような金属部材をも提供する。この集合組織バンド面積はアメリカ合衆国特許出願60/545617に記載された自動超音波検出法などの手段により求めることができる。詳しくは、検出法で得られた測定データに基づいて、金属部材の一部または全体の面積中のバンドのパーセンテージが直ちに求まる。本発明は、合計バンド面積が1%未満(検出時に走査した全面積を基準とする)である金属部材をも提供する。このバンド面積のパーセンテージは金属部材の厚さ内部のみについてのバンド面積パーセンテージである。したがって、少なくとも一実施形態においては、このバンド面積パーセンテージには、表面をエッチングした状態またはエッチングしない状態で見える表面の集合組織バンドは含まれない。超音波検出法でバンド面積パーセンテージを求める1つの方法は、集合組織バンドに対応する閾値を満たす画素(ピクセル)の個数に基づくことができる。すなわち、超音波検出法においてバンドを有する既知の対象物を用いて較正(キャリブレーション)を行なって、バンドの存在を明示するかバンドの存在と相関する閾値を求めることができる。この較正ができたら、試験対象とする金属部材に超音波検出を行ない、閾値(例えば信号強度)を満たす画素の個数がバンド面積に対応するものと考える。すなわち、特定の金属部材またはその一部を測定した際に、予め定めた閾値を満たす画素の個数を集合組織バンドの面積の検出値として取り扱い、この画素個数を全画素個数と比較してバンド面積のパーセンテージを求める。超音波検出法で用いる分解能は特に限定しないが、分解能が高くなるほど、求まるバンド面積パーセンテージの精度が高まる。例えば、分解能は5mm以下、望ましくは1mm以下であってよい。有効な分解能は、画素分解能については約0.5mm〜1.5mmである。集合組織バンドの面積パーセンテージは、1%未満、例えば0.10以下から0.95%まで、望ましくは約0.10〜0.50%、または0.50%未満、または0.10〜0.45%、または0.10〜0.25%、または0.1〜0.4%である。本発明においては上記の方法で観測される集合組織バンドの最低値以下を許容する。キャボット社の従来法の幾つかでは、作製された金属は集合組織バンドは0.6〜0.7%以上のオーダーであったのに対して、本発明で得られる金属は集合組織バンド0.6%未満を安定して確保できる。
【0055】
本発明の少なくとも一実施形態においては、金属板またはターゲットのような金属部材について軸集合組織が得られる。望ましくは、軸集合組織は軸対称集合組織である。例えば、金属部材の軸集合組織は、主軸が<111>または<100>であってよい。当業者によっては用語「優先」集合組織または「強い」集合組織という表現で、主軸が<111>または<100>である結晶学的集合組織を規定している。例えば、図3にはスパッタリングターゲットとしてのタンタル板の軸集合組織の一例を示す。図3には強い<111>軸の結晶学的主集合組織が示されている。アメリカ合衆国特許6,348,113B1に「集合組織」および関連用語が説明されている。<110>極および<100>極はランダムに分布し、かつ/または、<111>軸周りの回転によって図3に示すように軸対称集合組織を備えている。本発明は更に、金属板またはスパッタリングターゲットのような金属部材であって、BCC金属部材(例えば、BCC金属板またはBCC金属スパッタリングターゲット、例えばタンタル、ニオブ、またはこれら各々の合金)で、主軸が<111>または<100>である軸集合組織を持っている金属部材をも提供する。従来の加工熱処理の直交圧延により作製されたタンタル板を示す図9を図3と比較すると、<110>極および<100>極の分布はランダムではなく、かつ/または、非対称であって、(111)結晶学的主集合組織に対する配向性が強い。このようにある方位への配向性が強くなると、ターゲットのスパッタリングが不均一になる。そのため本発明の一実施形態では、主軸が<111>または<100>であることが判る図3の極点図を持つ金属部材をも提供する。図3は(111)結晶学的主集合組織を示すが、軸が(100)結晶学的主集合組織である類似の極点図もあり得る。この軸集合組織は、BCC金属圧延板またはBCC金属スパッタリングターゲットのような圧延板には特に重要である。また、本発明によれば、結晶学的主集合組織ではない集合組織の軸が非常に弱く、(111)または(100)結晶学的主集合組織の軸が非常に強い集合組織が得られる。
【0056】
望ましくは、金属は部分再結晶しており、より望ましくはタンタル金属の約80%以上が性結晶しており、更に望ましくはタンタル金属の約98%以上が再結晶している。最も望ましくは、タンタル金属は完全再結晶している。例えば、タンタル製造物は望ましくは均一な混合集合組織または(111)主集合組織を、表面に、厚さ全体に亘って、またはこれら両者に備えており、これは後方散乱電子回折(EBSD)、例えばTSLの方位画像顕微鏡(Orientation Imaging Microscope)などの手段によって測定される。上記のタンタルは結晶粒径が非常に微細であり、かつ/または、均一に分布している。タンタルは平均再結晶粒径が、望ましくは約150μm以下、より望ましくは約100μm以下、更に望ましくは約50μm以下である。適正な平均結晶粒径は、約5〜約150μm、約30〜約125μm、約30〜約100μmであってよい。
【0057】
望ましくは、本発明のタンタルから作製されるスパッタリングターゲットの寸法は、厚さが約0.080〜約1.50インチ、表面積が約7.0〜約1225平方インチである。他の寸法でも良い。
【0058】
真歪の定義は、e=Ln(ti/tf)であり、eは真歪または真歪圧下量、tiは板の初期厚さ、tfは板の最終厚さ、Lnは自然対数である。
【0059】
本発明の金属板は、スパッタリング後または化学的エロージョン後の光沢斑点が表面積の75%未満、例えば50%未満、あるいは25%未満である。望ましくは、スパッタリング後または化学的エロージョン後の光沢斑点が表面積の10%未満である。より望ましくは、スパッタリング後または化学的エロージョン後の光沢斑点が表面積の5%未満、最も望ましくは1%未満である。
【0060】
アメリカ合衆国特許6,348,113に記載されているような薄膜、キャパシタ容器、キャパシタの形成などの種々の用途に本発明は適用できる。また、アメリカ合衆国特許6,348,113に記載されている用途、金属部材、形状、ターゲット部品、粒径、集合組織、純度も本発明に適用できる。
【0061】
本発明の金属板は極方位(Ω)の全体変化がある。極方位の全体変化はアメリカ合衆国特許6,462,339に従って板の厚さ全体に亘って測定できる。極方位の全体変化の測定方法は多結晶材料の集合組織均質性を定量化する方法と同じでよい。この方法は、基準の極方位を選定し、走査方位像顕微鏡を用いて材料またはその一部分の厚さ断面を増分区間毎に走査して厚さ全体に亘って各増分区間内の多数の結晶粒の実際の極方位を各々求め、材料またはその一部分の多数の結晶粒の個々の実際の極方位と基準の極方位との方位差をそれぞれ求め、厚さ全体に亘って測定された個々の結晶粒について基準の極方位からの方位差の値を割り当て、厚さ全体に亘って個々の測定増分区間の平均方位差を求め、そして厚さ全体に亘って個々の測定増分区間の平均方位差の二次微分を求めることにより集合組織バンドを求める。この方法を用いて、本発明の金属板の厚さ全体に亘って測定した極方位の全体変化は約50/mm未満であってよい。アメリカ合衆国特許6,462,339に従って本発明の金属板の厚さ全体に亘って測定した極方位の全体変化は、望ましくは約25/mm未満、より望ましくは約10/mm以下、最も望ましくは約5/mm以下である。
【0062】
本発明の金属板は、アメリカ合衆国特許6,462,339に従って厚さ全体に亘って測定した集合組織変曲のスカラー重度(Λ)を有する。この方法は、基準の極方位を選定し、走査方位像顕微鏡を用いて材料またはその一部分の厚さ断面を増分区間毎に走査して厚さ全体に亘って各増分区間内の多数の結晶粒の実際の極方位を各々求め、材料またはその一部分の多数の結晶粒の個々の実際の極方位と基準の極方位との方位差をそれぞれ求め、厚さ全体に亘って測定された個々の結晶粒について基準の極方位からの方位差の値を割り当て、厚さ全体に亘って個々の測定増分区間の平均方位差を求め、そして厚さ全体に亘って個々の測定増分区間の平均方位差の二次微分を求めることにより集合組織バンドを求める。板の厚さ全体に亘って測定した本発明の基板の集合組織変曲のスカラー重度は約5/mm未満であってよい。アメリカ合衆国特許6,462,339に従って厚さ全体に亘って測定した集合組織変曲のスカラー重度は、望ましくは約4/mm未満、より望ましくは約2/mm未満、最も望ましくは約1/mm未満である。
【0063】
本発明のタンタル金属および他の金属は種々の分野で使用できる。例えば、スパッタリングターゲットの作製や、化学エネルギー(CE)兵器弾頭の金属含有ライナーの作製に用いることができる。キャパシタのアノードの作製や、抵抗薄膜層の作製に用いることもできる。本発明のタンタル金属は、従来タンタル、ニオブ、その他のBCC金属が用いられていた部材および部品に用いることができ、また、従来のタンタルを含む種々の部材および部品を作製する方法および手段は、高純度タンタル金属を種々の部材および部品に作製する場合も含めて、本発明に適用できる。例えば、アメリカ合衆国特許5,753,090および5,522,535に記載されている裏当て板のようなスパッタリングターゲットの作製に用いる付随的な手段も本発明に適用可能であり、上記特許はここで引用したことにより全体を本願中に取り込む。
【0064】
スパッタリング用途の分野では、典型的にはスパッタリングターゲットアセンブリはスパッタリングターゲットと裏当て板を備えている。例えば、金属ターゲットまたは金属ターゲットのブランク材(例えばタンタル、チタン、アルミニウム、銅、コバルト、タングステンなど)を、銅、アルミニウム、またはこれら各々の合金のような裏当て板フランジアセンブリのような裏当て板に接合する。ターゲットと裏当て材との熱的および電気的な接触を十分に行なうために、両者の接合は一般に爆発接合、摩擦溶接、摩擦ろう付け、半田付け、ろう付け、拡散接合、締め付け、エポキシセメントなどにより行なう。
【0065】
裏当て板の例としては、非限定的に、銅、銅合金、タンタル、ニオブ、コバルト、チタン、アルミニウム、およびこれら各々の合金、例えばTaW、NbW、TaZr、NbZr、TaNb、NbTa、TaTi、NbTi、TaMo、NbMoなどが挙げられる。スパッタリングターゲットも裏当て材も材質は限定しない。ターゲット材料および裏当て板材料の厚さはスパッタリングターゲットの形成に適した厚さであれば特に限定しない。すなわち、ターゲット材料および裏当て板あるいはその他の裏当て板に接合する金属板は用途に適した厚さでよい。裏当て板およびターゲット材料に適した厚さとして、非限定的に、裏当て板の厚さとしては約0.25以下から約2インチまで、あるいはそれ以上、またターゲット材料の厚さとしては約0.060インチから約1インチまで、あるいはそれ以上である。本発明において、裏当て板に接合するターゲット材料は例えばアメリカ合衆国特許6,348,113に記載されているような従来のターゲット用材料であってよく、該特許はここで引用したことにより本願中に全体を取り込む。スパッタリングターゲットは従来工業的に用いられていたように中間層を備えていて良い。また、スパッタリングターゲットは中空陰極マグネトロンスパッタリングターゲットであってよいし、固定式または回転式の永久磁石または電磁石を備えたプレーナマグネトロンアセンブリのような他の形態のスパッタリングターゲットであってよい。純度、集合組織、および/または結晶粒径その他のパラメータとしてサイズなどは、本発明において必須の要件ではない。本発明は、スパッタリングターゲットおよび裏当て板のタイプを限定しないスパッタリングターゲットアセンブリを作製する方法を提供する。
【0066】
少なくとも一実施形態においては、本発明の実施に用いるターゲット部材は2面、すなわちスパッタリング面とその反対側の接合面とを備えている。本発明の裏当て部材は2面、すなわちボンディング面とその反対側の背面とを備えている。本発明のスパッタリングターゲットアセンブリは、ターゲット部材の接合面を裏当て部材の接合面に固定することで形成すなわちアセンブル(組立て)される。ターゲット部材の接合面と裏当て部材の接合面との間に界面が規定される。両者の接合面同士の固定のされ方は、裏当て部材の接合面の表面とターゲット部材の接合面の表面とが実質的に接触した状態でもよいし、実質的に接触してない状態でもよいし、両者間の一部に中間層が介在した状態でもよい。この中間層を接合媒体としてもよい。中間層は箔、板、ブロックなどの形状であってよい。中間層に用いる材料として、非限定的に、ジルコニウムなどが従来から工業的に用いられ、チタンがアメリカ合衆国特許5,863,398およびアメリカ合衆国特許6,071,389に記載され、アルミニウム、銀、ニッケル、およびこれら各々の合金がアメリカ合衆国特許5,693,203に記載され、グラファイトがアメリカ合衆国特許6,183,613に記載されており、これらはここで参照したことにより全て本願に取り込む。
【0067】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。
【実施例】
【0068】
本発明の方法により数種類のサンプルを製造した。以下にその詳細を説明する。
【0069】
サンプルAは、先ず直径11インチのタンタルインゴットを直径5インチまでスエージングし、次いでこのスエージインゴットを1050℃で2時間焼鈍した。次いでこの焼鈍したスエージインゴットを切断してビレット(高さ3.24インチ)とした。ビレットを鍛造して高さ1.26インチとした。鍛造したビレットを、9パス〜27パスでクロック圧延して最終厚さ0.36インチとした。圧延したビレットを1050℃で2時間焼鈍した。これにより得られたターゲットディスクは、最終焼鈍前の真歪が約2.19、平均結晶粒径が30μmであり、結晶粒の約77%は(111)面が板面に平行に配向している。
【0070】
サンプルAの別の製造方法として、スエージング後の焼鈍を省略した。この場合、最終焼鈍前の合計真歪は2.98、平均結晶粒径は30μmであり、結晶粒の77%は(111)面が板面に平行に配向していた。
【0071】
他の例として、サンプルBは、直径11インチのTaインゴットを直径5インチまでスエージングし、切断してビレット(長さ5.29インチ)とし、1050℃で2時間焼鈍した。焼鈍したビレットを鍛造して高さ2インチとし、クロック圧延により最終厚さ0.55インチとした。圧延後、ディスクを1050℃で2時間焼鈍し、トリミングして最終直径15.5インチとした。この場合、最終焼鈍前の真歪は2.26であった。焼鈍後、得られた部材は、平均結晶粒径が63μmで、結晶粒の61%は(111)面が板面に平行に配向していた。
【0072】
もう1つ別の例として、サンプルCは、直径8インチのインゴットを直径5インチまでスエージングし、切断してビレット(高さ5.76インチ)とし、1050℃で2時間焼鈍した。焼鈍したビレットを鍛造して高さ1.75インチとし、クロック圧延により最終厚さ0.36インチとした。圧延後、ディスクを1050℃で2時間焼鈍し、トリミングして最終直径20インチとした。焼鈍後、得られた部材は、平均結晶粒径が50μmで、結晶粒の75%は<111>方向が板面の法線に平行(10°以内)に配向していた。
【0073】
もう1つの別の例として、サンプルDは、直径11インチのインゴットを直径6インチまでスエージングし、切断して長さ6.4インチのビレットとし、次いで鍛造して高さ1.94インチとした。鍛造したビレットを9パス〜27パス、各パス間の回転角120°でクロック圧延して最終厚さ0.4インチとした。クロック圧延した板を1050℃で2時間真空焼鈍し、次いで板を切断して直径24インチのディスクとした。この場合、得られた部材は、最終焼鈍前の真歪が3.03であった。焼鈍後、得られた部材は、平均結晶粒径が34μmで、結晶粒の95%は<111>方向が板面の法線に平行に配向していた。
【0074】
サンプルDの別の製造方法として、直径11インチのインゴットを直径5インチまでスエージングし、切断して長さ9.22インチのビレットとし、1050℃で2時間焼鈍した。この焼鈍の際に、真空を用いるか、ガラス保護被膜などの耐酸化被膜でビレットを被覆することによって、空気に対して保護する。焼鈍後、ビレットを鍛造して高さ2.39インチとし、9パス〜27パスでクロック圧延して最終厚さ0.4インチとした。クロック圧延した板を1050℃で2時間焼鈍した。焼鈍の前は真歪が2.42であり、焼鈍後は平均結晶粒径が55μmで、結晶粒の64%は(111)面が板面に平行(10°以内)に配向していた。
【0075】
別の例として、サンプルEは、直径8インチのインゴットを直径6インチまでスエージングし、1050℃で1〜3時間焼鈍し、切断して長さ10インチのビレットとした。ビレットを鍛造して高さ2.51インチとし、クロック圧延して最終厚さ0.4インチとした。圧延したディスクを975〜1125℃で1〜3時間真空焼鈍した。最終焼鈍前のディスクは、未焼鈍の真歪が3.22であり、焼鈍後は、平均結晶粒径が38μmで、結晶粒の82%は<111>方向が板面の法線に平行に配向していた。このディスクは、スエージングと鍛造との間の焼鈍を省略して製造することもできる。
【0076】
典型的には、従来のタンタル板の圧延では、タンタル金属の結晶粒が負荷応力の下で回転して圧延方向と横方向とに配向した特徴的な結晶学的配向が形成される。この場合、圧延板をカップ状またはドーム状に成形すると、成形中の材料の流れは圧延方向を基準として種々に変化する。このように金属の結晶学的な配向の差によって材料の流れが異なると、カップ状またはドーム状に成形された状態で耳が発生してしまう。圧延面に異方性がある圧延板をカップ成形すると必ず耳が発生する。耳発生があると、最終的なターゲットを製造するのに十分な材料を確保するために余分な材料が必要になるため、材料効率が低下する。本発明によれば、ディスク板内のどの方向についても等方的に変形する板またはターゲットが提供されるので、耳発生が低減または完全に解消し、耳発生の問題を解消または低減できる。
【0077】
スパッタリングターゲットの形状によっては、金属板を更に複雑な形状に成形することがある。一例として、中空陰極構造を用いた形状のスパッタリングターゲットがある。この場合、スピン成形、鍛造、静水圧プレス、引抜きなどの金属板成形方法を用いて、ドームまたはカップを成形し、スパッタリングプラズマを複雑な形状内に収容する。このような複雑な形状が必要な場合には、金属板はディスク面のどの方向にも等方的に変形しなくてはならない。図7に、直交圧延を用いた場合と、120°クロック圧延などのクロック圧延を用いた場合とについて、得られたタンタル板の耳発生を比較して示す。図7の結果から、クロック圧延によって耳発生が耳高さで0.7インチから0.25インチに低減することが分かる。
【0078】
本明細書にて引用した参考文献の内容は全て本願の開示に取り込む。また、量、濃度などの値またはパラメータを、範囲、望ましい範囲、または望ましい上限値および下限値として記載したときには、範囲の両端を規定する1対の値の間の全ての値を開示したものと理解すべきである。更に、範囲の両端を規定する値自体は、特に断らない限り範囲に含めるし、全ての整数値および分数値を含める。本発明の範囲は、特定の範囲を規定するために記載した特定の値に限定されない。
【0079】
当業者は、本明細書を考慮し本願開示の発明を実施することにより、本願開示した以外の実施形態を容易に想到できる。本明細書に開示した実施例は単なる例示であって、本発明の真の範囲および精神は特許請求の範囲によって規定される。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】スパッタリングターゲットの製造に用いるための金属板の作製に用いる処理工程を示す模式図。
【図2】120°クロック圧延のための各圧延パスの関係を示す模式図。
【図3】図1に示した方法を用いて作製したタンタル板の(111)、(110)、(100)の各極点図。
【図4】図1に示した方法を用いて作製したタンタル板の後方散乱電子回折(EBSD)マップ。
【図5】本発明の方法を用いて作製した種々のタンタル板の真歪を示す表。
【図6】矩形処理に対する円形処理の材料歩留まりの向上を示す表。
【図7】円形処理を用いて等方性タンタル板を作製した場合に中空陰極スパッタリングターゲットの製造に用いるためのカップ形状あるいはドーム形状にタンタル板を形成した際の耳発生の低減を示すグラフ。
【図8】2枚のタンタル板についてバンド発生状況の超音波測定結果の比較。ここで、1枚はクロック圧延により圧延したものであり、他の1枚は直交圧延により圧延したもの。クロック圧延により集合組織のバンド発生が劇的に低下していることが観察された。
【図9】従来の直交圧延により得られたタンタル板の(111)、(110)、(100)の各極点図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板を所望厚さになるまでクロック圧延して圧延板とする工程を含む金属の処理方法。
【請求項2】
請求項1記載の方法において、上記クロック圧延に供する上記金属板は、ビレットを鍛造して得ることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1記載の方法において、上記金属板が円形であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項2記載の方法において、上記ビレットは、金属インゴットを所望の直径まで押出しまたはスエージングして押出しまたはスエージインゴットとし、更に任意に、該押出しまたはスエージインゴットを切断することにより得ることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4記載の方法において、上記金属インゴットは出発直径が約7インチ以上であり、上記ビレットは直径が約3インチ〜約6インチであることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項1記載の方法において、上記圧延板を焼鈍する工程を更に含む方法。
【請求項7】
請求項4記載の方法において、上記押出しまたはスエージインゴットを焼鈍する工程を更に含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1記載の方法において、上記クロック圧延を、各圧延パス後に100°〜170°回転させて行なうことを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法において、個々のクロック圧延を、各圧延パス後に約120°回転させて行なうことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、上記圧延板を焼鈍する工程を更に含み、上記方法の前には焼鈍を行なわないことを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1記載の方法において、上記方法により上記圧延板に3.0以上の真歪み圧下を付与することを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1記載の方法において、上記方法により上記圧延板に4.0以上の真歪み圧下を付与することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1記載の方法において、上記方法により上記圧延板に約3.0〜約6.0の真歪み圧下を付与することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項4記載の方法において、上記押出しまたはスエージインゴットに付与する真歪みが約0.5〜約2.0であることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項4記載の方法において、上記ビレットはビレット直径に対するビレット長の比が約3以下であることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項2記載の方法において、上記鍛造が軸鍛造であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16記載の方法において、上記軸鍛造により約0.75〜約2.0の真歪みを付与することを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1記載の方法において、上記クロック圧延は、上記金属板の一方の面をクロック圧延する工程と、次いで該金属板の他方の面をクロック圧延する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項18記載の方法において、上記一方の面および上記他方の面のクロック圧延は、圧延パス回数が同じかほぼ同じであることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項1記載の方法において、上記圧延パスにより約0.02〜約2.0の真歪みを付与することを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項1記載の方法において、上記クロック圧延により約1.0〜約2.0の真歪みを付与することを特徴とする方法。
【請求項22】
請求項1記載の方法において、圧延パス回数が3以上であることを特徴とする方法。
【請求項23】
請求項1記載の方法において、圧延パス回数が6以上であることを特徴とする方法。
【請求項24】
金属板の耳発生を低減または制御する方法であって、該金属板に2パス以上のクロック圧延を行なうことを特徴とする方法。
【請求項25】
請求項4記載の方法において、上記インゴットは出発直径が約10〜14インチであることを特徴とする方法。
【請求項26】
請求項1記載の方法において、上記金属板がタンタル板であることを特徴とする方法。
【請求項27】
請求項1記載の方法において、上記圧延板がスパッタリングターゲットであることを特徴とする方法。
【請求項28】
円形金属部材を作製する方法であって、円柱形の金属インゴットを、該円柱形を維持しつつ処理する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項29】
金属部材の面内のどの方向にも等方的に変形するBCC金属部材。
【請求項30】
請求項29記載のBCC金属部材において、円板であることを特徴とするBCC金属部材。
【請求項31】
請求項29記載のBCC金属部材において、スパッタリングターゲットの円板であることを特徴とするBCC金属部材。
【請求項32】
請求項29記載のBCC金属部材において、タンタル部材であることを特徴とするBCC金属部材。
【請求項33】
請求項29記載のBCC金属部材において、ニオブ部材であることを特徴とするBCC金属部材。
【請求項34】
1つの軸に対して軸対称集合組織を備えたBCC金属板。
【請求項35】
図3に示す極点図を備えたBCC金属板。
【請求項36】
請求項34記載のBCC金属板において、上記軸が<111>結晶軸である主集合組織を有することを特徴とするBCC金属板。
【請求項37】
請求項34記載のBCC金属板において、上記軸が<100>結晶軸である主集合組織を有することを特徴とするBCC金属板。
【請求項38】
請求項34記載のBCC金属板において、タンタル板であることを特徴とするBCC金属板。
【請求項39】
請求項34記載のBCC金属板において、ニオブ板であることを特徴とするBCC金属板。
【請求項40】
請求項34記載のBCC金属板において、BCC金属スパッタリングターゲットであることを特徴とするBCC金属板。
【請求項41】
請求項40記載のBCC金属板において、裏当て板を取り付けたBCC金属スパッタリングターゲットであることを特徴とするBCC金属板。
【請求項42】
請求項40記載のBCC金属板において、タンタル板であることを特徴とするBCC金属板。
【請求項43】
請求項40記載のBCC金属板において、ニオブ板であることを特徴とするBCC金属板。
【請求項44】
1次集合組織を備えた金属部材であって、該主集合組織に対して不整合または不均一な集合組織バンドの面積が0.5%未満であることを特徴とする金属部材。
【請求項45】
請求項44記載の金属部材において、BCC金属部材であることを特徴とする金属部材。
【請求項46】
請求項44記載の金属部材において、タンタル部材、ニオブ部材、またはタンタル、ニオブまたはこれら両方を含有する合金部材であることを特徴とする金属部材。
【請求項47】
請求項40記載のBCC金属板において、
a)純度95%以上、
b)平均結晶粒径150μm以下
の少なくともいずれか一方を備えていることを特徴とするBCC金属板。
【請求項48】
請求項46記載の金属部材において、上記主集合組織が(111)主集合組織であることを特徴とする金属部材。
【請求項49】
請求項48記載の金属部材において、上記集合組織バンドの面積が(100)集合組織バンドに対するものであることを特徴とする金属部材。
【請求項50】
請求項46記載の金属部材において、均一な(111):(100)混合集合組織を供えていることを特徴とする金属部材。
【請求項51】
請求項46記載の金属部材において、スパッタリングターゲット用ブランク材であることを特徴とする金属部材。
【請求項52】
請求項46記載の金属部材において、裏当て板を接合したスパッタリングターゲットであることを特徴とする金属部材。
【請求項53】
請求項46記載の金属部材において、板、ビレット、ロッド、またはディスクであることを特徴とする金属部材。
【請求項54】
請求項46記載の金属部材において、バンド領域が0.1%以上、0.5%未満であることを特徴とする金属部材。
【請求項55】
請求項46記載の金属部材において、バンド領域が0.1〜0.4%であることを特徴とする金属部材。
【請求項56】
請求項46記載の金属部材において、バンド領域が0.1〜0.25%であることを特徴とする金属部材。
【請求項57】
請求項46記載の金属部材において、タンタル部材であることを特徴とする金属部材。
【請求項58】
請求項57記載の金属部材において、上記タンタル部材がスパッタリングターゲット用ブランク材であることを特徴とする金属部材。
【請求項59】
請求項57記載の金属部材において、上記タンタル部材が裏当て板を接合したスパッタリングターゲットであることを特徴とする金属部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−532765(P2008−532765A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555157(P2007−555157)
【出願日】平成18年2月7日(2006.2.7)
【国際出願番号】PCT/US2006/004143
【国際公開番号】WO2006/086319
【国際公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】