説明

スパッタリングターゲット及びその製造方法

【課題】 スパッタ法により良好にNa添加されたGa添加濃度1〜40原子%のCu−Ga膜を成膜可能なスパッタリングターゲット及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 スパッタリングターゲットのSeを除く金属成分として、Ga:1〜40at%、Na:0.05〜2at%を含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる成分組成を有し、Naがセレン化ナトリウムの状態で含有されている。このスパッタリングターゲットを用いたスパッタ法により、発電効率の向上に有効なNaを含有したCu−Ga膜を成膜することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CIGS薄膜型太陽電池の光吸収層を形成するためのCu−In−Ga−Se化合物膜(以下、CIGS膜と略記することがある。)を形成するときに使用するスパッタリングターゲット及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、カルコパイライト系の化合物半導体による薄膜型太陽電池が実用に供せられるようになり、この化合物半導体による薄膜型太陽電池は、ソーダライムガラス基板の上にプラス電極となるMo電極層を形成し、このMo電極層の上にCIGS膜からなる光吸収層が形成され、この光吸収層上にZnS、CdSなどからなるバッファ層が形成され、このバッファ層上にマイナス電極となる透明電極層が形成された基本構造を有している。
【0003】
上記光吸収層の形成方法として、蒸着法により成膜する方法が知られており、この方法により得られた光吸収層は高いエネルギー変換効率が得られるものの、蒸着法による成膜は蒸着速度が遅いため、大面積の基板に成膜した場合には、膜厚分布の均一性が低下しやすい。そのために、スパッタ法によって光吸収層を形成する方法が提案されている。
【0004】
スパッタ法により上記光吸収層方法としては、まず、Inターゲットを使用してスパッタによりIn膜を成膜する。このIn膜上にCu−Ga二元系合金ターゲットを使用してスパッタすることによりCu−Ga二元系合金膜を成膜し、得られたIn膜およびCu−Ga二元系合金膜からなる積層プリカーサ膜をSe雰囲気中で熱処理してCIGS膜を形成する方法(いわゆる、セレン化法)が提案されている。
【0005】
さらに、以上の技術を背景に、前記Cu−Ga合金膜及びIn膜の積層プリカーサ膜を、金属裏面電極層側からGa含有量の高いCu−Ga合金層、Ga含有量の低いCu−Ga合金層、In層の順序でスパッタリング法により作製し、これをセレン及び/又は硫黄雰囲気中で熱処理することにより、界面層(バッファ層)側から金属裏面電極層側への薄膜光吸収層内部でのGaの濃度勾配を徐々(段階的)に変化させることで、開放電圧の大なる薄膜型太陽電池を実現すると共に、薄膜光吸収層の他の層からの剥離を防止する技術が提案されている。この場合、CuGaターゲット中のGa含有量は1〜40原子%と提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
一方、CIGS膜からなる光吸収層の発電効率を向上させるため、この光吸収層へのNaの添加が有効とされている。例えば、非特許文献1では、CIGS膜中のNa含有量を、0.1%程度としている。
Naを光吸収層に添加するため、基板上に形成された裏面電極層上に、In、Cu及びGaの金属元素を含有成分としたプリカーサ膜を形成した後、該プリカーサ膜に対して四ホウ酸ナトリウム、硫化ナトリウム及び硫酸ナトリウムアルミニウム含有水溶液を付着させ、さらに、それをHSeガス雰囲気中で熱処理を行い、セレン化させる方法が提案されている。(特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−135495号公報
【特許文献2】国際公開第2005/109525号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】A.Romeo、「Development of Thin-film Cu(In,Ga)Se2 and CdTe Solar Cells」、Prog. Photovolt: Res. Appl. 2004; 12:93-111 (DOI: 10.1002/pip.527
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来の技術には、以下の課題が残されている。
すなわち、特許文献2に記載の方法では、Naの化合物膜をプリカーサ膜上に形成することにより、裏面金属電極と光吸収膜との間の界面剥がれを防止できるが、ナトリウム塩の水溶液を使用することが必須である。従って、製造工程が増える上、さらに大面積の基板に成膜する場合、プリカーサ膜へのナトリウム塩水溶液の均一付着が困難となる。
このため、プリカーサ膜中に直接にNaを添加する方法として、例えばプリカーサ膜を形成するための各種ターゲットにNaを添加し、スパッタによってプリカーサ膜にNaを含有させる方法が考えられる。しかしながら、特許文献1に記載のように上記セレン化法を用いる太陽電池の製造では、Cu−Ga膜を形成するためにCu−Ga合金ターゲットが用いられるが、NaがCuに固溶しないこと、また金属Naの融点(98℃)及び沸点(883℃)が非常に低いこと、さらに金属Naが非常に酸化しやすいことから、金属NaをCu−Ga合金ターゲットに添加することは極めて困難である。
【0010】
本発明は、前述の課題に鑑みてなされたもので、スパッタ法によりGa濃度が1〜40at%のCu−Ga膜にNaを添加することが可能なスパッタリングターゲット及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、Ga濃度1〜40at%のCu−Ga合金ターゲットにNaを添加できるように研究を行った。その結果、金属Naの状態ではなく化合物状態のセレン化ナトリウムとしてターゲットに添加すれば、Naを添加可能であることを見出した。
【0012】
本発明は、上記知見から得られたものであり、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明のスパッタリングターゲットは、スパッタリングターゲットのSeを除く金属成分として、Ga:1〜40at%、Na:0.05〜2at%を含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる成分組成を有し、Naがセレン化ナトリウムの状態で含有されていることを特徴とする。
なお、本発明のNa含有量およびGa含有量は、スパッタリングターゲットのSeを除く金属成分全体に対するものであり、以下のように、ターゲット中のCu,Ga及びNaの各原子の和との比で計算される。
Na(at%):Na/(Na+Cu+Ga)×100%
Ga(at%):Ga/(Na+Cu+Ga)×100%
【0013】
なお、セレン化ナトリウムの状態で含まれるNa添加量を上記範囲内に設定した理由は、Na添加量が2at%を超えると、CuGa膜中のNaがCuGa膜と金属裏面電極であるMo膜との界面に偏析し、Mo膜とCuGaInSe膜との密着性を低下させるためである。一方、Na添加量が0.05at%より少ないと、膜中のNa量が不足し、発電効率の向上効果が得られないためである。なお、発電効率の観点からNaの好ましい含有量は、0.1〜0.5at%である。
【0014】
セレン化ナトリウムをCu−Ga合金ターゲットに添加する場合、ターゲットは粉末焼結法により製造する。従って、CuGaの合金粉末、セレン化ナトリウム粉末、さらに必要に応じてCu粉末を原料として用いるので、これらの原料に含まれた酸素が、ターゲット中の酸素含有量を増加させることになる。ターゲット中の酸素は、プリカーサ膜中の酸素量の増加を招き、さらに、CIGS化合物結晶が形成される際に酸素がSeサイトに侵入し、最終的に光吸収層の光電変換効率を低下させる可能性がある。そのため、本発明は、セレン化ナトリウムを添加したCu−Ga合金ターゲット中の酸素含有量が1000ppm以下の、低い酸素含有量のターゲットであることが好ましい。
すなわち、このスパッタリングターゲットは、酸素含有量を100〜1000ppmにし、スパッタで得られるプリカーサ膜中の酸素量をコントロールすることにより、CIGS薄膜型太陽電池の光吸収層中の光電変換効率の向上に寄与することができる。
ターゲット中の酸素含有量を上記好ましい範囲内に設定する理由は、酸素含有量が1000ppmを超えると、スパッタで得られたNa含有CuGa膜中の酸素濃度が高くなり、これがCIGS化合物形成後の光電変換効率の低下を招くためである。一方、酸素含有量を100ppm未満にするために、原料粉末中の酸素含有量を低減する必要があり、ターゲットの製造コストを上昇させるからである。
【0015】
第2の発明のスパッタリングターゲットは、第1の発明において、ターゲット素地中にNaSe化合物相が分散している組織を有し、前記NaSe化合物相の平均粒径が5μm以下であることを特徴とする。
Cu−Ga合金ターゲットに化合物状態のセレン化ナトリウムを添加し、直流スパッタを行うと、絶縁体のセレン化ナトリウムによって異常放電が発生しやすい。太陽電池の光吸収層は非常に厚く(例えば、1000〜2000nm)、即ち、Cu−Gaの膜は非常に厚いので、異常放電抑制のため、低いスパッタパワーでスパッタリングすると成膜速度が低くなり、量産に必要な高速スパッタが困難となる。これを解決すべく、本発明のスパッタリングターゲットでは、NaSe化合物の粒子サイズを最適化することで、従来のCu−Ga合金ターゲットと同様のスパッタ条件でも直流スパッタを可能にした。
【0016】
すなわち、本発明のスパッタリングターゲットでは、上記のNaSe化合物相の平均粒径を5μm以下にすることで、NaSe化合物による異常放電を抑制して安定した直流スパッタが可能になる。
なお、ターゲットの断面組織をSEMを用いて観察する際、0.1mm視野中に外接円の直径が10μm以上のNaSe化合物粒子は5個以下であることが、異常放電を抑制する観点から好ましい。
【0017】
第3の発明のスパッタリングターゲットは、第1又は第2の発明において、ターゲット素地中の金属相の平均粒径が10〜100μmであることを特徴とする。
セレン化ナトリウムを添加した場合、微細なCuGa粉末又はCu粉末を使用することで、セレン化ナトリウムの粒子が均一に分散しやすいが、金属粉末が細かくなることで比表面積が増え、酸素含有量が上昇する。一方、粒径が大きくなると、セレン化ナトリウムの分散が不十分になる。また、大きい粒径の原料粉を用いて製造したターゲットは、焼結後の粒径が100μmを超え、セレン化ナトリウムが金属相の粒界に集中しやすい。このようなターゲットは機械加工中にチッピングが発生しやすい。
そこで、これらを解決すべく、本発明のスパッタリングターゲットでは、ターゲット素地中の金属相の平均粒径(投影面積円相当径)を10〜100μmとすることで、機械加工時に、チッピングが少ないターゲットを製造することが可能になり、異常放電の抑制効果も発揮してスパッタが安定し、さらに耐スパッタ割れ性を向上させることができる。
【0018】
第4の発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、第1から第3の発明のいずれかのスパッタリングターゲットを製造する方法であって、NaSe化合物粉末とCu−Ga合金粉末との混合粉末、又はNaSe化合物粉末とCu−Ga合金粉末とCu粉末との混合粉末からなる成形体を、真空中、不活性ガス中または還元性雰囲気中で焼結する工程を有していることを特徴とする(以下は常圧焼結法という)。
【0019】
第5の発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、第1から第3の発明のいずれかのスパッタリングターゲットを製造する方法であって、NaSe化合物粉末とCu−Ga合金粉末との混合粉末、又はNaSe化合物粉末とCu−Ga合金粉末とCu粉末との混合粉末を、真空または不活性ガス雰囲気中でホットプレスする工程を有していることを特徴とする(以下はホットプレス法という)。
【0020】
第6の発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、第1から第3の発明のいずれかのスパッタリングターゲットを製造する方法であって、NaSe化合物粉末とCu−Ga合金粉末との混合粉末、又はNaSe化合物粉末とCu−Ga合金粉末とCu粉末との混合粉末を、熱間静水圧プレス法を用いて焼結する工程を有していることを特徴とする(以下はHIP法という)。
【0021】
すなわち、これらのスパッタリングターゲットの製造方法では、上記混合粉末を、粉末焼結の方法を使用することで、溶解法によってセレン化ナトリウムを添加して製造するターゲットに比べ均一に分散分布させることができる。
溶解法で製造する上記ターゲットは、セレン化ナトリウムが粒界に偏析するため、ターゲットの機械的強度が低下し、機械加工の際に割れやすい。さらに、セレン化ナトリウムは常圧においては1000℃以上から激しく蒸発または分解するため、1000℃以上の溶解鋳造で作ったセレン化ナトリウム含有Cu−Ga合金ターゲットは、セレン化ナトリウム含有量が大きくずれる。これに対して、粉末焼結法である本発明の製造方法で製造したスパッタリングターゲットは、セレン化ナトリウムが「Cu−Ga合金焼結相」または「Cu−Ga合金」と「Cu」との焼結相のマトリックス中に凝集体として分散して存在し、ターゲットの強度を低下させることがなく、機械加工時に欠けやチッピングを生じることなく、スパッタ時においても、割れが発生することなく安定に成膜できる。
【0022】
第7の発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、第4の発明において、前記成形体の焼結を、700〜950℃で行うことを特徴とする。
第8の発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、第5の発明において、前記ホットプレスを、500〜900℃で行うことを特徴とする。
第9の発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、第6の発明において、前記熱間静水圧プレスを、500〜900℃で行うことを特徴とする。
【0023】
すなわち、これらのスパッタリングターゲットの製造方法では、焼結を以上の条件で行うことで、スパッタ中において異常放電が少なく、また高い耐スパッタ割れ性を有するターゲットが得られる。
なお、第7の発明において、焼結温度を上記範囲内に設定した理由は、700℃未満であると、ターゲット密度が十分に上がらず、ターゲットをスパッタする際の異常放電が多くなるためである。一方、焼成温度が950℃を越えると、セレン化ナトリウムの蒸発が開始し、ターゲット組成のずれが発生するためである。なお、より好ましい温度は、700〜850℃の範囲内である。
第8の発明において、ホットプレス温度を上記範囲内に設定した理由は、500℃未満であると、ターゲット密度が十分に上がらず、ターゲットをスパッタする際の異常放電が多くなるためである。一方、ホットプレス温度が900℃を越えると、NaSe化合物が焼結過程においてCu−Ga合金粉末やCu粉末の粒界に移動し、焼結体の強度が低下し、機械加工時にチッピングを生じたり、スパッタ時に割れを発生しやすくなるためである。なお、より好ましい温度は、650〜850℃の範囲内である。
第9の発明において、HIP処理温度を上記範囲内に設定した理由は、500℃未満であると、ターゲット密度が十分に上がらず、ターゲットをスパッタする際の異常放電が多くなるためである。一方、焼成温度が900℃を越えると、ターゲットの強度が低下し、機械加工時にチッピングを生じたり、スパッタ時に割れを発生しやすくなるためである。なお、より好ましい温度は、550〜650℃の範囲内である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明に係るスパッタリングターゲット及びその製造方法によれば、スパッタリングターゲットのSeを除く金属成分として、Ga:1〜40at%、Na:0.05〜2at%を含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる成分組成を有し、Naがセレン化ナトリウムの状態で含有されているので、スパッタ法により、発電効率の向上に有効なNaを含有したCu−Ga膜を成膜することができる。したがって、本発明のスパッタリングターゲットを用いてスパッタ法によりCIGS薄膜型太陽電池の光吸収層を成膜することで、光吸収層へ必要量のNaを添加することができ、発電効率の高い太陽電池を製造することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明に係るスパッタリングターゲット及びその製造方法の一実施形態を説明する。
【0026】
本実施形態のスパッタリングターゲットは、スパッタリングターゲットのSeを除く金属成分として、Ga:1〜40at%、Na:0.05〜2at%を含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる成分組成を有し、Naがセレン化ナトリウムのうち少なくとも1種の状態で含有されている。なお、酸素含有量が100〜1000ppmであることが好ましい。
また、本実施形態のスパッタリングターゲットは、Cu−Ga合金の焼結相またはCu−Ga合金とCuとの焼結相からなる金属相のターゲットの素地を形成しており、このターゲット素地にNaSe化合物相が分散している組織を有すると共に、前記NaSe化合物相の平均粒径が5μm以下であることを特徴とする。
【0027】
なお、ターゲットの断面組織をSEMを用いて観察する際、0.1mm視野中に外接円の直径が10μm以上のNaSe化合物粒子個数が5個以下であることが好ましい。
さらに、本実施形態のスパッタリングターゲットは、ターゲット素地の金属相の平均粒径(投影面積円相当径)が10〜100μmであることを特徴とする。
この平均粒径を測定するための観察用サンプルの作製方法および平均粒径の計算は、以下の通りである。
【0028】
(1)焼結したスパッタリングターゲットの任意部位を切断し、約5×10×3mmのブロック状サンプルを作成する。
(2)上記サンプルをRa:0.5μm以下まで研磨し、観察面を作製する。さらに、この観察面を、純水50ml、過酸化水素水5ml、アンモニア水45mlのエッチング液に5秒間浸漬してエッチングする。
(3)エッチング面を250倍の光学顕微鏡で、合金組織を撮影する。このとき、500μm×1000μm視野中の結晶の断面積を計算し、投影面積円相当径に換算したのち、上記視野中の粒子の平均粒径を計算する。
【0029】
上記本実施形態のスパッタリングターゲットを製造する方法は、NaSe化合物粉末とCu−Ga合金粉末との混合粉末、又はNaSe化合物粉末とCu−Ga合金粉末とCu粉末との混合粉末を予め用意し、以下の3つの焼結方法で製造することができる。
【0030】
1.前記混合粉末を金型に充填し、冷間にてプレス成形した成形体あるいは成形モールドに充填、タッピングして一定のかさ密度を有する成形体を形成し、それを真空中、不活性ガス中または還元性雰囲気中において700〜950℃で焼結する。
2.混合粉末を真空または不活性ガス雰囲気中で500〜900℃の温度範囲内でホットプレスする。
3.混合粉末をHIP法で温度:500〜900℃、圧力:30〜150MPaにて焼結する。
【0031】
この混合粉末を用意するには、例えば以下の(1)〜(3)のいずれかの方法で行う。
(1)NaSe化合物は、純度3N以上で、酸素含有量の上昇を抑えると共にCu−Ga合金粉とCu粉との混合性を考慮して、一次粒子径が0.01〜1.0μmのものが好ましい。また、ターゲット中の酸素含有量を1000ppm以下にするために、NaSe化合物中の吸着水分を混合する前に予め取り除く必要がある。例えば、真空乾燥機中で真空環境にて120℃、10時間の乾燥が有効である。
【0032】
解砕は、粉砕装置(例えば、ボールミル、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、アトライター等)を用いて行う。得られる平均二次粒子径は1μm〜5μmが好ましい。粉砕工程は湿度RH40%以下の乾燥した環境で行うことが好ましい。さらに、NaSe化合物は、吸湿性が強く且つ水に溶解されるので、水を使う湿式粉砕混合装置の使用は不適である。尚、セレン化ナトリウムを解砕する場合は、混合前に乾燥することが好ましい。例えば、前記同様、真空乾燥機中で120℃、10時間の乾燥が有効である。
【0033】
さらに、この乾燥させた解砕粉とターゲット組成のCu−Ga合金粉末とを、乾式混合装置を用いて相対湿度RH40%以下の乾燥した環境にて混合し、焼結用原料粉を用意する。なお、混合は還元性雰囲気中で行うことがさらに好ましい。混合中の酸素含有量の上昇の抑制と混合性とを両立させるためには、Cu−Ga合金粉末の平均粒径は1〜150μmが好ましい。さらに、Cu−Ga合金粉末の平均粒径を150μm以下とすることにより混合中での粉砕効果によってCu−Ga粉末は微細化され、焼結体のターゲットの金属相の結晶粒サイズを100μm以下に抑えることができる。焼結体の金属相の粒径は100μmを超えると、セレン化ナトリウムが金属相の粒界に集中しやすく、このようなターゲットは機械加工中にチッピングが発生しやすい。
なお、混合後の混合粉中の吸着水分を取り除く必要がある場合、例えば、真空乾燥機中で真空環境にて80℃、3時間以上の乾燥が有効である。
【0034】
(2)NaSe化合物は、純度3N以上で、酸素含有量の上昇を抑えると共にCu−Ga合金粉とCu粉との混合性を考慮して、一次粒子径が0.01〜0.5μmのものが好ましい。ターゲット中の酸素含有量を1000ppm以下にするために、混合する前にNaSe化合物中の吸着水分を取り除く必要がある。例えば、真空乾燥機中で真空環境にて120℃、10時間の乾燥が有効である。乾燥済みNaSe化合物とあらかじめ用意したターゲット組成のCu−Ga合金粉末とを、同時に粉砕装置(例えば、ボールミル、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、アトライター、V型混合機等)に充填し、混合とNaSe化合物の解砕とを同時に行い、NaSe化合物の平均二次粒子径が5μm以下になる時点で解砕を終了し、原料粉とする。混合中での酸素含有量の上昇の抑制と混合性とを両立させるためには、Cu−Ga合金粉末の平均粒径は1〜150μmが好ましい。混合は湿度RH40%以下の乾燥した環境にて行うことが好ましく、還元性雰囲気中で行うことがさらに好ましい。なお、混合後の混合粉中の吸着水分を取り除く必要がある場合、例えば、真空乾燥機中で真空環境にて80℃、3時間以上の乾燥が有効である。
【0035】
(3)まず、予め用意するCu−Ga合金粉末は、ターゲット組成のCu/Gaの割合よりもGaの含有量を多く設定する。このCu−Ga合金粉末を乾燥済みのNaSe化合物と混合してから、さらに、低Ga含有量のCu−Ga合金粉末(またはCu粉)を追加し、均一になるように混合して原料粉とする。以上の混合はすべて上記(1)および(2)のような低湿度環境で行う。なお、還元性雰囲気中で行うことがさらに好ましい。酸素含有量の上昇を抑えると共にCu−Ga合金粉とCu粉との混合性を考慮して、Cu−Ga合金粉末の平均粒径は1〜150μmが好ましく、一方、Cu粉を用いる場合、Cu粉の平均粒径は0.1〜30μmが好ましい。混合後の混合粉中の吸着水分を取り除く必要がある場合、例えば、真空乾燥機中で真空環境にて80℃、3時間以上の乾燥が有効である。
【0036】
次に、このように上記(1)〜(3)のいずれかの方法で混合した原料粉を、RH30%以下の乾燥環境でプラスチック樹脂性の袋に封入し保管する。これは、NaSe化合物の吸湿や吸湿による凝集を防止するためである。
また、Cu−Ga合金またはCuの焼結中の酸化防止のため、常圧焼結、ホットプレスまたはHIPは還元性雰囲気中、真空中または不活性ガス雰囲気中で行う。
【0037】
常圧焼結においては、NaSe化合物を添加する場合、雰囲気中の水素の存在は焼結性の向上に有利である。雰囲気中の水素含有量は1%以上であることが好ましく、80%以上はより好ましい。なお、焼結雰囲気中の水素は硫黄や、Seと反応するため、高密度の焼結体が得られにくい。この場合、真空又は還元性雰囲気での焼成で高密度の焼結体を実現できる。
ホットプレスにおいては、ホットプレスの圧力がターゲット焼結体の密度に大きな影響を及ぼすので、好ましい圧力は100〜500kgf/cmとする。また、加圧は、昇温開始前からでもよいし、一定のホットプレス温度に到達してから行ってもよい。
HIP法においては、好ましい圧力は500〜1500kgf/cmとする。
焼結体の焼結時間は組成により変わるが、1〜10時間が好ましい。1時間より短くなると、焼結が不十分であり、ターゲットの加工中にチッピングが発生したり、スパッタ時に異常放電が発生する可能性が高くなる。一方、10時間より長くしても密度を向上させる効果はほとんどない。
【0038】
次に、上記焼結したCu−Ga−Na化合物焼結体は、通常放電加工、切削加工または研削加工を用いて、ターゲットの指定形状に加工する。このとき、NaSe化合物は水に溶解するため、加工の際、冷却液を使わない乾式法または水を含まない冷却液を使用する湿式法が好ましい。また、湿式法で予め加工した後、さらに乾式法で表面を精密加工する方法もある。
【0039】
次に、加工後のスパッタリングターゲットを、Inを半田としてCuまたはSUS(ステンレス)またはその他金属(例えば、Mo)からなるバッキングプレートにボンディングし、スパッタに供する。
なお、加工済みのターゲットを保管する際には、酸化、吸湿を防止するため、ターゲット全体を真空パックまたは不活性ガス置換したパックを施すことが好ましい。
【0040】
このように作製したCu−Ga−Na化合物ターゲットは、ArガスをスパッタガスとしてDCマグネトロンスパッタに供する。このときの直流(DC)スパッタは、パルス電圧を付加するパルスDC電源を用いることでもよいし、パルスなしのDC電源でも可能である。また、スパッタ時の投入電力は1〜10W/cmが好ましい。また、Cu−Ga−Na化合物ターゲットで作製した膜の成膜の厚みは、200〜2000nmとする。
【0041】
この本実施形態のスパッタリングターゲットは、スパッタリングターゲットのSeを除く金属成分として、Ga:1〜40at%、Na:0.05〜2at%を含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる成分組成を有し、Naがセレン化ナトリウムの状態で含有されているので、スパッタ法により、発電効率の向上に有効なNaを良好に含有したCu−Ga膜を成膜することができる。また、酸素量を一定の範囲に抑制した組成にし、スパッタで得られるプリカーサ膜中の酸素量の増大を抑制することにより、CIGS薄膜型太陽電池の光吸収層中の光電変換効率の向上に寄与することができる。
また、ターゲット素地中にNaSe化合物相が分散している組織を有すると共に、NaSe化合物相の平均粒径が5μm以下であるので、NaSe化合物による異常放電を抑制して安定した直流スパッタが可能になる。
【0042】
さらに、ターゲット素地の金属相の平均粒径(投影面積円相当径)を10〜100μmとすることで、機械加工でのチッピングを抑制し、さらにスパッタ中の割れや異常放電を生じることなく安定したスパッタが可能になる。
また、本実施形態のスパッタリングターゲットの製造方法では、上述した混合粉末を、真空または不活性ガス雰囲気中で焼結することで、NaSe化合物を溶解法で製造するターゲットに比べ均一に分散分布させることができる。
【実施例】
【0043】
次に、本発明に係るスパッタリングターゲット及びその製造方法を、上記実施形態に基づき作製した実施例により、評価した結果を説明する。
【0044】
「実施例」「参考例」
まず、表1に示される成分組成および粒径を有するCu−Ga合金粉末と、Cu粉(純度4N)と、純度3Nで一次平均粒子径が0.5μmのNaF化合物、NaS化合物またはNaSe化合物(以下、Na化合物とも称す)の粉末とを、表1に示される量になるように配合し、実施例及び参考例の原料粉末とした。これらの原料粉末を、まず真空乾燥機中で10−1Paの真空環境にて120℃、10時間で乾燥させ、その後、容積10Lのポリエチレン製ポットに入れ、さらに120℃、10時間乾燥した直径5mmのジルコニアボールを入れて、ボールミルで指定された時間で混合した。混合は窒素雰囲気で行った。
【0045】
得られた混合粉末を、表2に指定された条件にて焼結した。常圧焼結する場合、まず混合粉末を金属製金型に充填し、1500kgf/cmの圧力にて常温加圧して、成形体を作った。ホットプレスの場合、原料粉末を黒鉛モールドに充填して真空ホットプレスを行った。HIPの場合も常圧焼結と同様に、まず混合粉末を金属製金型に充填し、常温1500kgf/cmで加圧成形する。得られた成形体を0.5mm厚みのステンレス容器に装入した後、真空脱気を経て封入し、HIP処理に用いる。
なお、焼結済みの焼結体に、乾式切削加工を施し、直径125(mm)×厚さ5(mm)のターゲット(実施例及び参考例)を作製した。
【0046】
【表1】

【表2】

【0047】
「評価」
本実施例及び参考例について、加工時におけるターゲットの欠け、割れ発生の有無を記録し、さらに分析用焼結体の小片について非分散赤外線吸収法にて酸素濃度分析を行った。
一方、焼結体中のNa化合物粒子を、日本電子株式会社製電子線プローブマイクロアナライザ(EPMA)(JXA−8500F)で観察した。
また、観察視野が0.05mmの写真(500倍)を2枚撮影し、その中の観察可能なNaF化合物、NaS化合物またはNaSe化合物の粒子(0.5μm以上)のサイズを測定し、粒子の平均サイズを計算した。同時に、0.1mm当たりの10μm以上のNaF化合物、NaS化合物またはNaSe化合物の凝集体個数(2枚の合計)を計算した。
【0048】
なお、NaF化合物、NaS化合物またはNaSe化合物の粒子の平均サイズは、以下(A)〜(C)の手順により測定する。
(A)EPMAにより500倍のCOMPO像(60μm×80μm)10枚を撮影する。
(B)市販の画像解析ソフトにより、撮影した画像をモノクロ画像に変換するとともに、単一しきい値を使用して二値化する。
これにより、NaF化合物、NaS化合物またはNaSe化合物は、黒く表示されることとなる。
なお、画像解析ソフトとしては、例えば、WinRoof Ver5.6.2(三谷商事社製)などが利用できる。また、二値化とは、画像の各画素の輝度(明るさ)に対してある“しきい値”を設け、しきい値以下ならば“0”、しきい値より大きければ“1”として、領域を区別化することである。
(C)この画像すべてを選択しない最大のしきい値を100%とすると、30〜35%のしきい値を使用し、黒い側の領域を選択する。
そして、この選択した領域を4回収縮し、3回膨張させたときの領域をNaF化合物、NaS化合物またはNaSe化合物の粒子とし、個々の粒子のサイズを測定する。なお、収縮および膨張の倍率としては、例えば、2.3%である。
【0049】
一方、組織観察用小片の表面を表面粗さ(Ra):0.5μm以下まで研磨し、観察面を作成する。これを、純水50ml、過酸化水素水5ml、アンモニア水45mlのエッチング液に5秒間浸漬してエッチング後、250倍の光学顕微鏡で観察し、組織を撮影した。撮影した写真を用いて、500×1000μmの視野中の結晶粒の面積を計算し、投影面積円相当径に換算したのち、上記視野中の粒子の平均粒径を計算した。
また、同時に、作製したターゲット中のGaとNaとの含有量を、ICP法(高周波誘導結合プラズマ法)を用いて定量分析を行った。
【0050】
さらに、当該ターゲットをマグネトロンスパッタ装置を用いて、投入電力:5W/cmの直流スパッタにより、Moスパッタ膜でコーティングした厚み3.2mmの青板ガラスに1000nm成膜した。なお、Moスパッタ膜の厚みは500nmとした。
また、スパッタ時のAr圧力は1.3Paとし、ターゲット−基板間距離は70mmとした。なお、成膜時の基板加熱は行っていない。さらに、以上の条件において10分間連続スパッタを行い、異常放電の発生回数をスパッタ電源に付属したアーキングカウンターにて自動的に記録した。
【0051】
このようなスパッタを5回繰り返した後、ターゲットの表面を観察し、スパッタ中のターゲットの割れや欠けの有無についても観察した。その結果を、表3に示す。
【表3】

【0052】
また、上記得られた膜を、前記電子線プローブマイクロアナライザにて膜中5箇所のNaとGaとの含有量を測定した。その平均値の結果を表4に示す。
また、当該ターゲットをマグネトロンスパッタ装置を用いて、常温、スパッタ時のAr圧力:1.3Pa、ターゲット−基板間距離:70mm、投入電力:5W/cmの直流スパッタにより、Siウエハ基板上に2000nmの膜を形成した。形成された膜を基板から剥がし、膜中の酸素含有量を分析した。
【表4】

【0053】
「比較例」「実施例」
表5に示された成分組成及び粒径を有するCu−Ga合金粉末またはCu粉末とNa化合物粉末とを用意した。なお、Na化合物粉末は事前に乾燥を行っていない。これらの原料を表1と同様にボールミルで、指定された時間で混合した。尚、混合は大気中で行った。このように混合したものを、表6の条件で、ホットプレス、常圧焼結またはHIP焼結を行った。このように得られたターゲットは、Naの含有量が0.05〜2at%の範囲外となっているか、または酸素量は100〜1000ppmの範囲外となっている。
【0054】
また、表5,6中の比較例7,15,16は、混合した粉末をホットプレスでなく、真空溶解炉を用いて黒鉛製坩堝を用いて溶解し、鉄製のモールドに鋳込み、冷却後、乾式切削による機械加工を行ったものである。
【表5】

【表6】

【0055】
上記比較例の評価は、上記実施例及び参考例と同様に行った。その評価結果を表7及び表8に示す。
【表7】

【表8】

【0056】
これら評価結果からわかるように、表1に示す本実施例及び参考例では、表3に示すように、機械加工時の割れ、欠け、およびチッピング及びスパッタ時の割れや欠けは、いずれも発生していないのに対し、表7に示すように、比較例1,2,5,8,16、実施例9で、機械加工時の割れや欠けが発生していると共に、比較例2,11,12,13,17,実施例19では、スパッタ中においての割れや欠けが発生した。
【0057】
また、比較例の中でNaの含有量が2.3at%以上と多く、NaF化合物、NaS化合物またはNaSe化合物の凝集体個数が多い比較例1,8,11,12,13、実施例9は、機械加工時又はスパッタ時に欠けが生じている。また、金属相の粒子径が大きい比較例1,7,8,15,16、実施例9は、加工中でもターゲットにチッピングや割れが発生する。
溶解鋳造法による比較例7,15,16は、原料に添加したNa化合物が溶解鋳造中で蒸発が生じ、ターゲット中のNa含有量が著しく低下した。また、Na化合物の凝集は少ないがNaの含有量が3.0at%と高い比較例12と、Naの含有量が0.0at%とNa量が検出されず、またホットプレス温度が450℃と低い比較例2と、Naの含有量が0.0at%とNa量が検出されず、またHIP温度が300℃と低い比較例5は、加工時またはスパッタ時に割れや欠けが生じている。
比較例1,2,4,8,10〜13,実施例9,19は原料粉末が大気中で混合しており、Cu原料粉末またはCuGa原料粉末が酸化され、ホットプレスやHIPで作製したターゲット中の酸素濃度が、同様な原料粉末を不活性ガス中で混合した混合粉によるものより酸素濃度が高い。一方、鋳造法で得られた比較例7,15,16のターゲットは真空溶解中に酸素が除去され、得られたターゲットの酸素含有量が低い。水素含有雰囲気中で焼結した比較例3のターゲットも、焼結中の水素還元により酸素濃度が低減された。
また、大気での常圧焼結温度が960℃と高く、さらにターゲット中のNaの含有量が0.03at%と極端に少ない比較例6は、大気焼結のためターゲットの一部表面より溶融が確認されており、さらに表面全体が酸化し、色むらが発生したため評価に至らなかった。Naの含有量が0.05at%未満の少ない比較例は、得られた膜にNaが殆ど含有せず、発明の目的を達成できなかった。
【0058】
また、比較例1,2,11,12,13,14,17,実施例19では、スパッタ時の異常放電回数がいずれも100回以上発生したのに対し、本発明の実施例19以外の実施例と参考例とでは、いずれも50回以下であった。
【0059】
このように本発明のスパッタリングターゲットでは、スパッタリングターゲットのSeを除く金属成分として、Ga:1〜40at%、Na:0.05〜2at%を含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる成分組成を有し、Naがセレン化ナトリウムの状態で含有されているので、スパッタ法により、発電効率の向上に有効なNaを良好に含有したCu−Ga膜を成膜することができる。
したがって、本発明のスパッタリングターゲットを用いてスパッタ法により光吸収層を成膜することで、Naを良好に添加でき、発電効率の高い太陽電池を作製可能である。
【0060】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態及び上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパッタリングターゲットのSeを除く金属成分として、Ga:1〜40at%、Na:0.05〜2at%を含有し、残部がCu及び不可避不純物からなる成分組成を有し、
Naがセレン化ナトリウムの状態で含有されていることを特徴とするスパッタリングターゲット。
【請求項2】
請求項1に記載のスパッタリングターゲットにおいて、
ターゲット素地中にNaSe化合物相が分散している組織を有し、前記NaSe化合物相の平均粒径が5μm以下であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のスパッタリングターゲットにおいて、
ターゲット素地中の金属相の平均粒径が10〜100μmであることを特徴とするスパッタリングターゲット。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲットを製造する方法であって、
NaSe化合物粉末とCu−Ga合金粉末との混合粉末、
又はNaSe化合物粉末とCu−Ga合金粉末とCu粉末との混合粉末を、真空中または不活性ガス雰囲気中でホットプレスする工程を有していることを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲットを製造する方法であって、
NaSe化合物粉末とCu−Ga合金粉末との混合粉末、
又はNaSe化合物粉末とCu−Ga合金粉末とCu粉末との混合粉末を、熱間静水圧プレス法を用いて焼結する工程を有していることを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
【請求項6】
請求項4に記載のスパッタリングターゲットの製造方法において、
前記ホットプレスを、500〜900℃で行うことを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
【請求項7】
請求項5に記載のスパッタリングターゲットの製造方法において、
前記熱間静水圧プレスを、500〜900℃で行うことを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。

【公開番号】特開2012−246574(P2012−246574A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−204176(P2012−204176)
【出願日】平成24年9月18日(2012.9.18)
【分割の表示】特願2011−102587(P2011−102587)の分割
【原出願日】平成23年4月29日(2011.4.29)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【出願人】(000186913)昭和シェル石油株式会社 (322)
【Fターム(参考)】