説明

スパッタリング方法及び光発電素子の製造方法

【課題】周期表IB族、IIIB族、VIB族の元素を用いるスパッタリング法により、所望の組成のスパッタリング膜が効率よく形成可能なスパッタリング方法等を提供する。
【解決手段】不活性ガスArの雰囲気下において、高周波電源IIに接続したターゲット電極21a,22a,23a上に載置した周期表IB族、IIIB族、VIB族から選ばれる複数の元素から構成される複合ターゲット21,22,23と被成膜体としての基板11とを対向配置し、ターゲット電極21a,22a,23aに高電圧を印加し複合ターゲット21,22,23の表面をスパッタリングすることにより基板11上に薄膜を成膜することを特徴とするスパッタリング方法。基板11を複数の複合ターゲット21,22,23の前を移動させることにより基板11上に薄膜の積層体が成膜される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタリング方法等に関し、より詳しくは、複合ターゲットを用いるスパッタリング法等に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽電池への期待が高まり、特にCuInSe系を中心としたカルコパイライト型化合物半導体を用いるCIS系太陽電池は、光電変換効率が高いことから注目されている。CIS系太陽電池の各層を構成する薄膜のうち、特に発電を担う半導体層の成膜方法の一つとしてスパッタリング法が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2000−087234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、工業的な観点から、CIS系太陽電池を低コストで製造可能なプロセスの開発が必要とされている。スパッタリング法を採用する場合、化合物半導体層の前駆体となる組成の薄膜を成膜し、その後、成膜された薄膜を溶融・再結晶化する必要がある。
しかし、本発明者等が検討した結果によれば、CIS系半導体材料を使用するスパッタリング操作において、成分の一つであるセレン(Se)元素については所望の組成が得られない場合があることが判明している。この場合、セレン(Se)元素の組成を調整するために、セレン(Se)元素単独のターゲットを用いるスパッタリング操作を行っても、セレン(Se)元素が比較的低温の融点を有することから、効率的に成膜されないという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、周期表IB族、IIIB族、VIB族の元素を用いるスパッタリング法により、所望の組成のスパッタリング膜が効率よく形成可能なスパッタリング方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、裏面電極層から表面電極層を、スパッタリング法により高速で一貫成膜できる光発電素子の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明では、スパッタリング法により、化合物半導体材料の元素の組成が異なる複数の半導体前駆体層を成膜するために、化合物半導体材料に含まれる複数の元素から構成される複合ターゲットを用いている。また、光発電素子の製造方法において、複合ターゲットを用いるスパッタリングにより、元素の組成が異なる複数の半導体前駆体層が積層された薄膜積層体を成膜し、これを溶融拡散させる方法を採用している。
【0007】
かくして本発明によれば、不活性ガスの雰囲気下において、高周波電源に接続したターゲット電極上に載置した周期表IB族、IIIB族、VIB族から選ばれる複数の元素から構成される複合ターゲットと被成膜体としての基板とを対向配置し、ターゲット電極に高電圧を印加し複合ターゲットの表面をスパッタリングすることにより基板上に薄膜を成膜することを特徴とするスパッタリング方法が提供される。
ここで、本発明が適用されるスパッタリング方法において、複合ターゲットは、セレン(Se)とセレン(Se)化合物とから構成されることが好ましい。
さらに、セレン化合物が、銅(Cu)−セレン(Se)化合物又はインジウム(In)−セレン(Se)化合物であることが好ましい。
さらにまた、本発明が適用されるスパッタリング方法において、周期表IB族、IIIB族、VIB族から選ばれる複数の元素の組成比が異なる複数の複合ターゲットを基板と対向させて配置し、基板を複数の複合ターゲットの前を移動させることにより基板上に薄膜の積層体を成膜することが好ましい。
【0008】
次に、本発明によれば、裏面電極層、化合物半導体層及び表面電極層を有する光発電素子の製造方法であって、基板上に、裏面電極層を成膜する裏面電極層成膜工程と、成膜された裏面電極層上に化合物半導体材料を構成する元素を含む複数の半導体前駆体層が積層された薄膜積層体を成膜する薄膜積層体成膜工程と、成膜された薄膜積層体上に表面電極層を成膜する表面電極層成膜工程と、表面電極を成膜した後、薄膜積層体の複数の半導体前駆体層を溶融拡散させpn接合が形成可能な化合物半導体層を形成する半導体層形成工程と、を有し、薄膜積層体の複数の半導体前駆体層は、化合物半導体材料に含まれる複数の元素から構成される複合ターゲットを用いるスパッタリングにより成膜されることを特徴とする光発電素子の製造方法が提供される。
【0009】
ここで、本発明が適用される光発電素子の製造方法において、裏面電極層、薄膜積層体及び表面電極層は、スパッタリングにより一貫成膜されることが好ましい。
また、化合物半導体層は、周期表IB族、IIIB族、VIB族の元素を含むカルコパイライト型化合物半導体材料から構成されることが好ましい。
さらに、化合物半導体層は、銅(Cu)、インジウム(In)、セレン(Se)を含むカルコパイライト構造を有するCIS系半導体材料から構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、化合物半導体材料を構成する複数の元素を含む複合ターゲットを用いることにより、スパッタリングにより元素の組成が異なる複数の半導体前駆体層を効率よく成膜することが可能となる。
また、スパッタリングにより裏面電極層、半導体前駆体層、表面電極層等を連続的に成膜し、その後に加熱処理することにより、良好な結晶性を有しpn接合が形成可能な化合物半導体層を有する光発電素子を、高速で一貫した操作により製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが出来る。また、使用する図面は本実施の形態を説明するためのものであり、実際の大きさを表すものではない。
【0012】
本実施の形態が適用される光発電素子の製造方法では、先ず、所定のスパッタ装置を用い、基板上に裏面電極層、半導体前駆体層の薄膜積層体及び表面電極層をスパッタリング法により一貫成膜する。
半導体前駆体層の薄膜積層体は、化合物半導体材料に含まれる複数の元素から構成される複合ターゲットを用い、スパッタリング法により成膜される。このとき、複合ターゲットを構成する元素の組み合わせ等を適宜変更し、元素の組成が異なる複数の半導体前駆体層を成膜する。複合ターゲットについては後述する。
次に、裏面電極層、半導体前駆体層の薄膜積層体及び表面電極層を成膜した基板を、所定の加熱装置(例えば、ハロゲンランプ等による光照射)を使用し、半導体前駆体層を加熱する。この加熱操作により、複数の半導体前駆体層を溶融拡散させ、pn接合が形成可能な化合物半導体の結晶からなる化合物半導体層を形成する。
【0013】
図1は、本実施の形態が適用される光発電素子の製造方法により形成される光発電素子の一例を説明するための図である。
図1(a)は、半導体前駆体層の薄膜積層体を成膜した光発電素子前駆体Iを示し、図1(b)は、化合物半導体層が形成された光発電素子Iを示す。
図1(a)に示すように、光発電素子前駆体Iの製造は、先ず、基板1上に、金属材料からなる裏面電極層2を成膜する(裏面電極層成膜工程)。次に、裏面電極層2上に、化合物半導体材料に含まれる元素から構成される複数の半導体前駆体層として、p型半導体形成用前駆体層8a、拡散制御用前駆体層8b及びn型半導体形成用前駆体層8cを順番に成膜し、半導体前駆体層の薄膜積層体8を成膜する(薄膜積層体成膜工程)。続いて、この上に透明電極材料からなる表面電極層5を成膜する(表面電極層成膜工程)。各層は、所定のスパッタ装置を使用し、スパッタリングにより行われる。
【0014】
本実施の形態では、複数の半導体前駆体層の積層体としての薄膜積層体8は、化合物半導体材料に含まれる複数の元素から構成される複合ターゲットを用いて成膜される。ここで、化合物半導体材料としては、周期表IB族、IIIB族、VIB族の元素を含むカルコパイライト型化合物半導体材料が好ましい。特に、本実施の形態では、銅(Cu)、インジウム(In)及びセレン(Se)を含むカルコパイライト構造を有するCu−In−Se系半導体材料が好ましい。
【0015】
従って、半導体前駆体層から構成される薄膜積層体8を成膜する際に使用する複合ターゲットの元素は、周期表IB族、IIIB族、VIB族の元素から選ばれることが好ましい。具体的には、周期表IB族の元素としては、銅(Cu)が挙げられる。周期表IIIB族の元素としては、インジウム(In)、ガリウム(Ga)が挙げられる。周期表VIB族の元素としては、セレン(Se)、硫黄(S)が挙げられる。
【0016】
ここで、図1(a)において、光発電素子前駆体Iのp型半導体形成用前駆体層8aは、後述する加熱操作によりp型半導体化合物が形成可能な元素の組成を有する薄膜である。本実施の形態では、具体的には、セレン(Se)濃度が33.3at%〜52.5at%の範囲で、セレン(Se)濃度が増加すると融点が低下するCu−Se系化合物を用いて成膜している。
また、n型半導体形成用前駆体層8cは、後述する加熱操作によりn型半導体化合物が形成可能な元素の組成を有する薄膜である。本実施の形態では、具体的には、セレン(Se)濃度が50at%〜60at%の範囲で、セレン(Se)濃度が増加すると融点が上昇するIn−Se系化合物を用いて成膜している。
さらに拡散制御用前駆体層8bは、p型半導体形成用前駆体層8aとn型半導体形成用前駆体層8cとが、溶融拡散により相互に拡散することを制御するために設けられている。
【0017】
本実施の形態において、スパッタ装置のターゲットとして、複合ターゲットを用いることにより、化合物半導体材料に含まれる元素の組成比が異なる複数の半導体前駆体層を容易に成膜することができる。
特に、本実施の形態では、複合ターゲットは、セレン(Se)とセレン(Se)化合物とから構成されることが好ましい。ここで、セレン(Se)化合物としては、例えば、InSe、InSe等のIn−Se系化合物;Cu−Se系化合物、Cu−Ga系化合物が挙げられる。
【0018】
即ち、上述したように、半導体前駆体層に含まれるCu−Se系化合物又はIn−Se系化合物の融点は、これらの化合物中に含まれるセレン(Se)の濃度により調整することが可能であるため、セレン(Se)とセレン(Se)化合物とを適当な組成比で組み合わせた複合ターゲットを用いることにより、半導体前駆体層中のSe−In−Cuの組成を制御することが可能となる。また、このような複合ターゲットを用いることにより、スパッタリングに際し、特殊な組成の合金をターゲットとして使用する必要がない。
特に、セレン(Se)は、他の元素より比較的融点が低い性質を有しているため、セレン(Se)単独からなるターゲットを用いてもセレン(Se)元素が効率的に成膜されないという問題を解決することができる。
【0019】
次に、図1(a)に示すように、表面電極層5側から電磁波としての赤外線9を一定時間照射し、前述した薄膜積層体8を構成するp型半導体形成用前駆体層8a、拡散制御用前駆体層8b及びn型半導体形成用前駆体層8cを加熱する。赤外線9の光源としてはハロゲンランプが好ましい。
赤外線9を照射されたp型半導体形成用前駆体層8a、拡散制御用前駆体層8b及びn型半導体形成用前駆体層8cの各層に含まれる化合物は、溶融拡散により拡散する。そして、図1(b)に示すように、p型半導体層3a及びn型半導体層3bから構成されるpn接合が形成可能な化合物半導体層3が形成され、光発電素子Iが製造される。
ここで、本実施の形態では、光発電素子Iの発電を担う化合物半導体層3は、周期表IB族、IIIB族、VIB族の元素を含むカルコパイライト型化合物半導体材料から構成されている。具体的には、化合物半導体層3は、銅(Cu)、インジウム(In)、セレン(Se)を含むカルコパイライト構造を有するCIS系半導体材料から構成されている。
【0020】
尚、基板1を構成する材料としては、例えば、ステンレス等の金属フィルム、有機フィルム、ガラス等が挙げられる。
裏面電極層2を構成する材料としては、金属が好ましく、例えば、Mo、Ti、Cr、Al、Ag、Au、CuおよびPtから選択された少なくとも1つの金属またはこれらの合金が挙げられる。
表面電極層5は、本実施の形態では、ITO(Indium Tin Oxide)、SiO、ZnOから選択された少なくとも1つを含む透明電極材料を用いている。
【0021】
(スパッタ装置)
図2は、本実施の形態において使用するスパッタ装置の一例である。
図2に示すスパッタ装置Xは、所定の真空チャンバー10の内部に、化合物半導体材料に含まれる元素の組成が異なる3個の複合ターゲット21,22,23と、複合ターゲット21,22,23と対向して配置される基板11を保持可能に構成された基板ホルダ13と、基板ホルダ13を取り付けた成膜トレー12と、が配置されている。ここで、複合ターゲット21,22,23は、周期表IB族、IIIB族、VIB族から選ばれる複数の元素から構成されている。図1に示すように、複合ターゲット21,22,23と基板11とは互いに平行になるように設置されている。また、基板ホルダ13を取り付けた成膜トレー12は、所定の移動手段14により矢印Aの方向に移動可能となっている。
【0022】
複合ターゲット21,22,23は、それぞれ高周波電源IIに接続されたターゲット電極21a,22a,23aと一体的に接合されている。また、基板11の電極を兼ねる成膜トレー12は高周波電源IIIに接続されている。また、真空チャンバー10には、真空ポンプVaに接続された排気口が設けられていると共に、アルゴンガス等の不活性ガスAr(放電ガス)の導入口が設けられている。
【0023】
本実施の形態では、例えば、複合ターゲット21は、光発電素子前駆体I(図1参照)のp型半導体形成用前駆体層8aを成膜するための複数の元素を組み合わせて構成される。また、複合ターゲット22は、拡散制御用前駆体層8bを成膜するための複数の元素を組み合わせて構成される。さらに、複合ターゲット23は、n型半導体形成用前駆体層8cを成膜するための複数の元素を組み合わせて構成される。
図2に示すように、本実施の形態では、基板11が矢印Aの方向に移動することにより、基板11の表面に、3つの複合ターゲット21,22,23の表面をそれぞれスパッタリングすることによる3つの半導体前駆体層の薄膜が連続的に積層され、薄膜積層体8(図1参照)が成膜される。
【0024】
(複合ターゲット)
図3は、複合ターゲットの例を説明する図である。図3(a)は、それぞれ短冊状に形成された2個のSe元素板と1個のIn−Se系化合物板とを用い、Se元素板の間にIn−Se系化合物板を挟むように組み合わせた複合ターゲットである。
図3(b)は、それぞれ短冊状に形成された3個のSe元素板と2個のCu−Se系化合物板とを用い、Se元素板によりCu−Se系化合物板を挟むようにSe元素板とCu−Se系化合物板とが交互に配置された複合ターゲットである。
図3(c)は、それぞれ短冊状に形成された4個のSe元素板と2個のCu−Se系化合物板と2個のIn−Se系化合物板とを用い、Se元素板とCu−Se系化合物板とIn−Se系化合物板とが所定の角度を有して交互に配置された複合ターゲットである。
【0025】
図3(d)は、四辺形に形成されたCu−Se系化合物板をマトリックスとし、このマトリックス中に部分的にSe元素が存在するように、所定の径で形成された4個の円形のSe元素板が配置された構造を有する複合ターゲットである。
図3(e)は、比較的縦長の四辺形の形状形成されたIn−Se系化合物板をマトリックスとし、このマトリックス中に部分的にSe元素が存在するように、所定の径で形成された3個の円形のSe元素板が配置された構造を有する複合ターゲットである。
図3(f)は、四辺形に形成されたIn−Se系化合物板をマトリックスとし、このマトリックス中に部分的にSe元素が存在するように、所定の幅と長さの短冊状に形成された2個のSe元素板が配置された構造を有する複合ターゲットである。
【0026】
図3(g)は、全体として円形の形状を有し、円の中心を通る4本の直線によって8個に等分割された領域に、4個のSe元素板と4個のIn−Se系化合物板とがそれぞれ交互に配置された構造を有する複合ターゲットである。
図3(h)は、同心円状に区画された領域を有する円形形状において、内側の領域にSe元素板が配置され、中央部と外周部とにCu−Se系化合物板とが配置された構造を有する複合ターゲットである。
【0027】
図3(i)は、複合ターゲットの断面構造である。所定のプレート上に、2個のSe元素板と1個のIn−Se系化合物板とを用い、2個のSe元素板の間にIn−Se系化合物板を挟むように組み合わせて配置された複合ターゲットである。
図3(j)は、所定のプレート上に1個のIn−Se系化合物板を形成し、さらにその上に、2個のSe元素板を所定の間隔を設けて配置した構造を有する複合ターゲットである。
【0028】
図3は、本実施の形態で使用する複合ターゲットの一例を示すものであり、これらに限定されるものではない。本実施の形態において、複合ターゲットを構成する元素の数、混合物や化合物の数、複合ターゲットの形状、複合ターゲットを構成する各元素板の厚さ・幅・長さ等の大きさ、各元素板の配置等は、成膜しようとする化合物半導体層の組成に応じ適宜選択することができ、特に限定されない。
【0029】
さらに、以上説明した実施の形態では、光発電素子Iの化合物半導体層3と表面電極層5の間に、必要に応じてバッファー層を設けることができる。化合物半導体層3と表面電極層5の間にバッファー層を設けることにより、化合物半導体層3と表面電極層5の界面で発生する欠陥を抑制すること等ができる。
【0030】
尚、以上の説明は、本発明の実施の形態を説明するための一例に過ぎず、本発明は本実施の形態に限定されるものではない。
本発明は複数の元素から構成される半導体層と、これを挟む二つの電極層を備える光発電素子や、このような構造を有する光発電素子の製造方法に応用することができる。例えば、Cd−Te系に代表されるII−VI族半導体、Cu−In−Se系に代表されるI−III−VI族半導体、Cu−Zn−Sn−S系化合物に代表されるI−II−IV−VI族半導体、II−IV−V族半導体、Si−Ge系等の2種類以上の元素からなるIV族半導体に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本実施の形態が適用される光発電素子の製造方法により形成される光発電素子の一例を説明するための図である。
【図2】本実施の形態において使用するスパッタ装置の一例である。
【図3】複合ターゲットの例を説明する図である。
【符号の説明】
【0032】
1,11…基板、2…裏面電極層、3…化合物半導体層、3a…p型半導体層、3b…n型半導体層、5…表面電極層、8…薄膜積層体、8a…p型半導体形成用前駆体層、8b…拡散制御用前駆体層、8c…n型半導体形成用前駆体層、9…赤外線、10…真空チャンバー、12…成膜トレー、13…基板ホルダ、14…移動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
不活性ガスの雰囲気下において、高周波電源に接続したターゲット電極上に載置した周期表IB族、IIIB族、VIB族から選ばれる複数の元素から構成される複合ターゲットと被成膜体としての基板とを対向配置し、
前記ターゲット電極に高電圧を印加し前記複合ターゲットの表面をスパッタリングすることにより前記基板上に薄膜を成膜することを特徴とするスパッタリング方法。
【請求項2】
前記複合ターゲットは、セレン(Se)とセレン(Se)化合物とから構成されることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリング方法。
【請求項3】
前記セレン(Se)化合物が、銅(Cu)−セレン(Se)化合物又はインジウム(In)−セレン(Se)化合物であることを特徴とする請求項2に記載のスパッタリング方法。
【請求項4】
周期表IB族、IIIB族、VIB族から選ばれる複数の元素の組成比が異なる複数の前記複合ターゲットを前記基板と対向させて配置し、当該基板を複数の当該複合ターゲットの前を移動させることにより当該基板上に薄膜の積層体を成膜することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のスパッタリング方法。
【請求項5】
裏面電極層、化合物半導体層及び表面電極層を有する光発電素子の製造方法であって、
基板上に、裏面電極層を成膜する裏面電極層成膜工程と、
成膜された前記裏面電極層上に化合物半導体材料を構成する元素を含む複数の半導体前駆体層が積層された薄膜積層体を成膜する薄膜積層体成膜工程と、
成膜された前記薄膜積層体上に表面電極層を成膜する表面電極層成膜工程と、
前記表面電極層を成膜した後、前記薄膜積層体の複数の前記半導体前駆体層を溶融拡散させpn接合が形成可能な化合物半導体層を形成する半導体層形成工程と、を有し、
前記薄膜積層体の前記複数の半導体前駆体層は、化合物半導体材料に含まれる複数の元素から構成される複合ターゲットを用いるスパッタリングにより成膜される
ことを特徴とする光発電素子の製造方法。
【請求項6】
前記裏面電極層、前記薄膜積層体及び前記表面電極層は、スパッタリングにより一貫成膜されることを特徴とする請求項5に記載の光発電素子の製造方法。
【請求項7】
前記化合物半導体層は、周期表IB族、IIIB族、VIB族の元素を含むカルコパイライト型化合物半導体材料から構成されることを特徴とする請求項5又は6に記載の光発電素子の製造方法。
【請求項8】
前記化合物半導体層は、銅(Cu)、インジウム(In)、セレン(Se)を含むカルコパイライト構造を有するCIS系半導体材料から構成されることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の光発電素子の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−98061(P2010−98061A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−266562(P2008−266562)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】