説明

スパッタリング装置、磁石部材移送装置、及びスパッタリング方法

【課題】スパッタリングターゲットの効率を向上させる。
【解決手段】一面が基板に対向するスパッタリングターゲットと、前記スパッタリングターゲットの他面に対向するように配置された磁石部材と、前記スパッタリングターゲットの中心部に対応する部分が前記スパッタリングターゲットの前記他面に平行な第1方向に沿って形成された直線部を備え、前記スパッタリングターゲットのエッジ部に対応する部分が前記スパッタリングターゲットに対して、前記第1方向と垂直な第2方向に遠くなるように形成された傾斜部を備えるガイドレールと、前記ガイドレールに対向し、前記第1方向に沿って形成されたスクリューラインと、前記磁石部材と弾性部材により連結されて、前記スクリューラインに沿って前記磁石部材を前記第1方向に運動させる連結ブロックと、を備える、スパッタリング装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタリング装置、磁石部材移送装置、及びスパッタリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スパッタリングシステムは、大気圧を有するチャンバーと真空状態のチャンバーとの間で基板が移動できるように、大気圧と真空状態とを緩衝させるために、大気圧と真空状態とを交互に形成するローディング/アンローディングチャンバー、基板に金属膜のような薄膜を蒸着させるスパッタリング装置が備えられたスパッタリングチャンバー、基板に薄膜を蒸着する前に膜特性及び薄膜の均一性を向上させるために、基板の予備加熱を実施するヒーティングチャンバー、及びロボットを通じて基板の移送を行うトランスファチャンバーを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】韓国公開特許第10−2005−0046170号公報
【特許文献2】韓国登録特許第10−0345924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
スパッタリングチャンバーに備えられたスパッタリング装置は、基板に薄膜を蒸着させるスパッタリング工程が行われる。スパッタリング工程では、磁石部材で発生する磁場により、スパッタリングターゲットからターゲット物質が発生する。この過程で、スパッタリングターゲットが腐食されるが、往復運動する磁石部材のため、スパッタリングターゲットのエッジでは、中心部に比べて腐食の程度がはなはだしく、スパッタリングターゲットの使用効率が急激に低下するという問題がある。
【0005】
本発明の目的は、傾斜部を備えるガイドレール及び弾性部材を通じてスパッタリングターゲットを均一に腐食させて、スパッタリングターゲットの効率を向上させるスパッタリング装置、磁石部材移送装置、及びスパッタリング方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面によれば、一面が基板に対向するスパッタリングターゲットと、前記スパッタリングターゲットに磁場を印加するためのものであって、前記スパッタリングターゲットの他面に対向するように配置された磁石部材と、前記磁石部材と連結されて、前記磁石部材を支持してガイドするガイドレールであって、前記スパッタリングターゲットの中心部に対応する部分は、前記スパッタリングターゲットの前記他面に平行な第1方向に沿って形成された直線部を備え、前記スパッタリングターゲットのエッジ部に対応する部分は、前記スパッタリングターゲットに対して、前記第1方向と垂直な第2方向に遠くなるように形成された傾斜部を備えるガイドレールと、前記ガイドレールに対向し、前記第1方向に沿って形成されたスクリューラインと、前記磁石部材と弾性部材により連結されて、前記スクリューラインに沿って前記磁石部材を前記第1方向に運動させる連結ブロックと、を備えるスパッタリング装置を提供する。
【0007】
ここで、前記スパッタリングターゲットの他面を支持するプレートをさらに備える。
【0008】
ここで、前記磁石部材は、前記スパッタリングターゲットと離隔されて配置される。
【0009】
ここで、前記スクリューラインを回転させるモータをさらに備え、前記モータにより前記スクリューラインが回転することにより、前記連結ブロックが第1方向に運動する。
【0010】
ここで、前記弾性部材は、圧縮コイルばねであり、前記磁石部材が前記直線部に位置する場合には、前記圧縮コイルばねが弛緩され、前記磁石部材が前記傾斜部に位置する場合には、前記圧縮コイルばねが圧縮される。
【0011】
ここで、前記磁石部材は、ベアリングを含む連結部を通じてガイドレールと連結される。
【0012】
ここで、前記スパッタリングターゲットのエッジ部に対応する部分は、前記磁石部材の出発部、ターニング部または終了部のうちいずれか一つ以上に該当する。
【0013】
本発明の他の側面によれば、スパッタリングターゲットに磁場を印加するためのものであって、前記スパッタリングターゲットの他面に対向するように配置された磁石部材と、前記磁石部材と連結されて、前記磁石部材を支持してガイドするガイドレールであって、前記スパッタリングターゲットの中心部に対応する部分は、前記スパッタリングターゲットの他面に平行な第1方向に沿って形成された直線部を備え、前記スパッタリングターゲットのエッジ部に対応する部分は、前記スパッタリングターゲットに対して、前記第1方向と垂直な第2方向に遠くなるように形成された傾斜部を備えるガイドレールと、前記ガイドレールに対向し、前記第1方向に沿って形成されたスクリューラインと、前記磁石部材と弾性部材により連結されて、前記スクリューラインに沿って前記磁石部材を前記第1方向に運動させる連結ブロックと、を備える磁石部材移送装置を提供する。
【0014】
ここで、前記スクリューラインを回転させるモータをさらに備え、前記モータにより前記スクリューラインが回転することにより、前記連結ブロックが第1方向に運動する。
【0015】
ここで、前記弾性部材は、圧縮コイルばねであり、前記磁石部材が前記直線部に位置する場合には、前記圧縮コイルばねが弛緩され、前記磁石部材が前記傾斜部に位置する場合には、前記圧縮コイルばねが圧縮される。
【0016】
ここで、前記磁石部材は、ベアリングを含む連結部により前記ガイドレールと連結される。
【0017】
ここで、前記スパッタリングターゲットのエッジ部に対応する部分は、前記磁石部材の出発部、ターニング部または終了部のうちいずれか一つ以上に該当する。
【0018】
本発明のさらに他の側面によれば、一面が基板に対向するスパッタリングターゲットと、前記スパッタリングターゲットに磁場を印加するためのものであって、前記スパッタリングターゲットの他面に対向するように配置された磁石部材と、前記磁石部材と連結されて、前記磁石部材を支持してガイドするガイドレールであって、前記スパッタリングターゲットの中心部に対応する部分は、前記スパッタリングターゲットの前記他面に平行な第1方向に沿って形成された直線部を備え、前記スパッタリングターゲットのエッジ部に対応する部分は、前記スパッタリングターゲットに対して、前記第1方向と垂直な第2方向に遠くなるように形成された傾斜部を備えるガイドレールと、前記ガイドレールに対向し、前記第1方向に沿って形成されたスクリューラインと、前記磁石部材と弾性部材により連結されて、前記スクリューラインに沿って前記磁石部材を前記第1方向に運動させる連結ブロックと、を備えるスパッタリング装置のスパッタリング方法において、基板を準備するステップと、前記磁石部材が前記スパッタリングターゲットの前記他面に平行な第1方向に運動しつつ、前記スパッタリングターゲットに磁場を印加するステップと、前記磁石部材に対応する前記スパッタリングターゲットから、前記磁場によりターゲット物質が発生して、前記基板に蒸着されるステップと、を含み、前記磁場を印加するステップは、前記スパッタリングターゲットのエッジ部に対応する部分で、磁場の強度が変化することを特徴とするスパッタリング方法を提供する。
【0019】
ここで、前記ガイドレールの傾斜部により、前記スパッタリングターゲットのエッジ部に対応する部分で、前記磁石部材が前記スパッタリングターゲットから前記第1方向と垂直な第2方向に遠くなることで、前記磁場の強度が変化する。
【0020】
前述した以外の他の側面、特徴、利点が以下の図面、特許請求の範囲及び発明の詳細な説明から明確になる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように本発明によれば、スパッタリングターゲットのエッジで、傾斜部を備えるガイドレール及び弾性部材を通じて磁石部材がスパッタリングターゲットから距離が遠くなることで、磁場が弱くなって蒸着速度が遅くなり、スパッタリングターゲットの腐食が減る。結局、スパッタリングターゲットの中心部とエッジの腐食程度の差が減り、均一にスパッタリングターゲットが腐食されて、スパッタリングターゲットの全体使用効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態によるスパッタリング装置を備えるスパッタリングチャンバーを示す図面である。
【図2】図1のスパッタリング装置に備えられた磁石部材移送装置の一実施形態を示す図面である。
【図3】図1のスパッタリング装置に備えられた磁石部材移送装置の一実施形態を示す図面である。
【図4A】本発明の一実施形態によるスパッタリング装置を使用したスパッタリング方法を示す図面である。
【図4B】本発明の一実施形態によるスパッタリング装置を使用したスパッタリング方法を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0024】
第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明するのに使われるが、構成要素は、用語により限定されてはならない。用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。
【0025】
本出願で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使われたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上、明白に取り立てて意味しない限り、複数の表現を含む。本出願において、“含む”または“有する”などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらを組み合わせたものの存在または付加の可能性をあらかじめ排除しないものと理解されねばならない。
【0026】
以下、添付された図面に示した本発明による実施形態を参照して、本発明の構成及び作用を詳細に説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態によるスパッタリング装置200を備えるスパッタリングチャンバー1を示す図面である。
【0028】
図1を参照すれば、スパッタリングチャンバー1は、スパッタリング装置200を備える。スパッタリングチャンバー1は、プラズマ放電によりガラスまたはプラスチックのような基板3の表面をメタルのようなターゲット物質粒子で成膜させるように、その内部が真空に形成される。スパッタリングチャンバー1は、一側にアルゴンガスのような不活性気体を供給するガスライン5を備える。図示していないが、スパッタリングチャンバー1は、基板3を多数のピンで支持する支持台(図示せず)を備える。ここで、支持台(図示せず)は、スパッタリングチャンバー1の一側に備えられたゲート7に投入される基板3を水平状態に受けて、スパッタリングターゲット10と平行な垂直状態に旋回させるように、ヒンジ軸またはロボットアームを含んでスパッタリングチャンバー1内に装着されている。
スパッタリング装置200は、スパッタリングターゲット10、スパッタリングターゲット10を支持するプレート9、及び磁石部材移送装置100を備える。
【0029】
プレート9は、支持台(図示せず)が垂直状態に旋回された時、支持台(図示せず)に装着された基板3の表面がプレート9に装着されたスパッタリングターゲット10と平行な対向状態をなすように、スパッタリングチャンバー1の一側面に固定されている。図示していないが、プレート9には、直流電源を印加させるためのパワーサプライが連結されている。スパッタリング工程では、プレート9に電源を印加させ、磁石部材移送装置100を動作させる。
【0030】
スパッタリングターゲット10は、一面が基板3に対向するように配置される。スパッタリングターゲット10は、磁場によりメタル粒子を発生させて、基板3にメタル薄膜を形成させるソースに該当する。スパッタリングターゲット10は、アルミニウム、アルミニウム合金、耐火性金属シリサイド、金、銅、チタン、チタン−タングステン、タングステンまたはモリブデンのような金属物質、またはシリコンダイオキサイドのような無機物質で構成される。スパッタリングターゲット10は、メタル粒子を発生させると共に腐食される。したがって、スパッタリングターゲット10の表面上の腐食パターンと、基板3上の蒸着パターンとは一致する。スパッタリングターゲット10は、平均して約5mmないし45mmの厚さを有する。特に、スパッタリングターゲット10は、均一な厚さを有している。したがって、磁石部材110(図2)の出発部、ターニング部または終了部で、スパッタリングターゲット10の局部的な腐食が起こる場合、スパッタリングターゲット10が該当部分のメタル粒子の発生を持続できない。この場合、スパッタリングターゲット10の全体を交替せねばならない。かかる問題は、スパッタリングターゲット10の全体の使用効率を低下させるという問題がある。
【0031】
図2及び図3は、図1のスパッタリング装置200に備えられた磁石部材移送装置100を詳細に示す図面である。特に、図3は、図2の磁石部材移送装置100をI−I′方向に沿って切断した図面である。以下では、図2及び図3を参照して、磁石部材移送装置100について詳細に説明する。
【0032】
磁石部材移送装置100は、第1方向の正方向及び逆方向に往復移動しつつ、スパッタリングターゲット10に磁場を印加する磁石部材110、磁石部材110と連結されて、磁石部材110をガイドするガイドレール120、回転運動を直線運動に変換するスクリューライン140、スクリューライン140に挟まれて、磁石部材110を移送させる連結ブロック130、及び連結ブロック130と磁石部材110とを連結する弾性部材150を備える。
【0033】
磁石部材110は、スパッタリングターゲット10に磁場を印加するためのものであって、スパッタリングターゲット10の他面に対向するように配置される。これによって、磁石部材110で発生した磁場により、スパッタリングターゲット10からメタル粒子が発生し、このように発生したメタル粒子は、スパッタリングターゲット10と基板3との間でプラズマ放電を起こしつつ、磁石部材110が形成する移動磁場に沿ってスパッタリングターゲット10の一面に向かう基板3にメタル粒子が成膜される。また、磁石部材110は、スパッタリングターゲット10と離隔されて配置される。磁石部材110がスパッタリングターゲット10と離隔された距離は、スパッタリングターゲット10の種類、品質、必要とする薄膜の厚さ及び均一性、要求される磁場の大きさによって決定される。
【0034】
磁石部材110は、連結部160を通じてガイドレール120と連結される。ガイドレール120は、磁石部材110と連結されて、磁石部材110を支持してガイドする。また、連結部160を通じて、磁石部材110は、ガイドレール120の形状通りに柔軟に動くことができる。特に、連結部160は、ガイドレール120と接する部分がボールベアリング、環状のベアリングなど多様な形状のベアリングで具現される。連結部160の材質は、金またはプラスチックなどが適用される。
【0035】
ガイドレール120は、磁石部材110を支持してガイドし、直線部Bと傾斜部Aとを備えることを特徴とする。直線部Bは、スパッタリングターゲット10の中心部に対応する部分であって、スパッタリングターゲット10の他面に平行な第1方向に沿って形成される。一方、傾斜部Aは、スパッタリングターゲット10のエッジ部に対応する部分であって、スパッタリングターゲット10に対して、前記第1方向と垂直な第2方向に遠くなるように形成される。ここで、第1方向とは、磁石部材110が進む方向と平行な方向であって、スパッタリングターゲット10の他面と平行な方向を意味する。また、第2方向とは、第1方向と垂直な方向であって、スパッタリングターゲット10の他面と垂直な方向を意味する。ここで、スパッタリングターゲット10のエッジ部に対応する部分とは、磁石部材110の出発部、ターニング部または終了部のうちいずれか一つ以上を意味する。本発明の一実施形態によれば、スパッタリング時の磁場の強度を変化させることで、基板3に蒸着される薄膜の厚さを制御できる。磁石部材110の出発部、ターニング部または終了部に対応するスパッタリングターゲット10のエッジ部は、他の部分、例えば、スパッタリングターゲット10の中心部に比べて腐食がはなはだしい。なぜならば、磁石部材110が出発、終了時にとどまる時間が長くなり、ターニング時にも直線運動時よりとどまる時間が長くなるためである。したがって、本発明の一実施形態によれば、スパッタリングターゲット10のエッジ部に対応する部分で磁場の強度を変化させることで、スパッタリングターゲット10の中心部とエッジ部との腐食を一定に制御する。具体的に、ガイドレール120の傾斜部Aが存在することで、スパッタリングターゲット10のエッジ部に対応する部分で、磁石部材110がスパッタリングターゲット10から遠くなる。これにより、磁石部材110から発生する磁場の強度が弱くなり、結局、スパッタリングターゲット10のエッジ部の腐食程度と中心部の腐食程度とが均一になる。
【0036】
ガイドレール120の傾斜部Aの傾斜角度は、直線部Bを基準として約10°ないし60°でありうる。傾斜角度が約10°未満である場合、スパッタリングターゲット10のエッジ部が中心部と均一に腐食されず、傾斜角度が約60°を超える場合、磁石部材110の磁場の影響が減って、スパッタリングが行われがたい。傾斜部Aの傾斜角度は、磁石部材110の材質、大きさのような構成によって変化し、要求される薄膜の特性によっても変化する。
【0037】
ガイドレール120は、磁石部材110から延びて連結された連結部160がガイドレールにはめ込まれるように溝が形成される。しかし、これに限定されず、連結部160がはめ込まれるように開口ラインが形成されてもよい。
【0038】
スクリューライン140は、ガイドレール120に対応して、第1方向に沿って形成される。スクリューライン140は、モータ170と連結される。モータ170としては、一般的なモータが使われ、ギア内蔵モータが使われる。スクリューライン140は、ベルトを通じてモータ170と連結される。
【0039】
スクリューライン140は、円形の断面を有し、外面にはねじが形成されているが、ねじは連結ブロック130と接触する。スクリューライン140は、モータ170により回転運動しつつ、スクリューライン140に連結された連結ブロック130を第1方向の正方向または逆方向に直線運動させる。スクリューライン140は、回転運動を直線運動に変換させ、これによって、連結ブロック130及びそれと連結された磁石部材110を第1方向に移送する。スクリューライン140は、ガイドレール120と離隔されて形成され、スパッタリングターゲット10とも離隔されて平行に形成される。スクリューライン140の長さは、基板3の一方向の長さより長い。そのようにしてはじめて、基板3の最もエッジまでメタル粒子の成膜が可能であるためである。スクリューライン140は、時計回り方向に回転する場合、連結ブロック130を第1方向の正方向に移送し、逆時計回り方向に回転する場合、連結ブロック130を第1方向の逆方向に移送する。しかし、これは、一実施形態に過ぎず、逆に適用されてもよい。本発明の一実施形態によれば、スクリューライン140は一つ備えられ、ボールスクリューラインでありうる。しかし、スクリューライン140の個数及び形態は、図面に示したところに限定されない。スクリューライン140は、二つ以上備えられもする。
【0040】
連結ブロック130は、一側が磁石部材110と連結され、他側には螺子山が備えられた貫通孔131が形成されて、スクリューライン140がはめ込まれる。したがって、連結ブロック130は、スクリューライン140の回転運動によって、第1方向の正方向または逆方向に運動しつつ、磁石部材110を共に動かす。連結ブロック130は、金属やプラスチックを成形して製作し、その厚さ及び形態には制限がないが、一実施形態によれば、スクリューライン140がはめ込まれる貫通孔131が形成される程度の大きさであるものとする。
【0041】
連結ブロック130は、スクリューライン140の個数によって、複数個の貫通孔131が形成される。貫通孔131の形態及び大きさは、スクリューライン140の断面の形態及び大きさに対応する。
【0042】
連結ブロック130は、弾性部材150により磁石部材110と連結される。具体的に、連結ブロック130の一側と、連結ブロック130に対する磁石部材110の一側との間に、弾性部材150が連結される。ここで、弾性部材150は、圧縮コイルばねでありうる。弾性部材150は、磁石部材110を連結ブロック130により第1方向に移送させると共に、磁石部材110をガイドレール120に沿ってガイドさせる。すなわち、磁石部材110がガイドレール120の形状に沿って、連結ブロック130の運動方向に移動可能にする。
【0043】
例えば、磁石部材110がガイドレール120の直線部Bに位置すれば、圧縮コイルばねが弛緩され、連結ブロック130が第1方向に移動するにつれて、磁石部材110をガイドレール120の直線部Bに沿って移動させる。一方、磁石部材110がガイドレール120の傾斜部Aに位置すれば、圧縮コイルばねが圧縮され、連結ブロック130が第1方向に移動するにつれて、磁石部材110をガイドレール120の傾斜部Aに沿って移動させる。すなわち、本発明の一実施形態によれば、弾性部材150が存在することで、ガイドレール120の傾斜部Aから直線部Bに、または直線部Bから傾斜部Aに磁石部材110の自然な移動が可能になる。なぜならば、弾性部材150が弛緩と収縮とを通じて磁石部材110と連結ブロック130との距離を調節できるので、磁石部材110が連結ブロック130により第1方向に移動する時、ガイドレール120を軌跡に沿って移動させるのである。本発明の一実施形態では、弾性部材150を圧縮コイルばねとして図示したが、その他にも円錐形ばね、長鼓形ばねなどを使用できる。
【0044】
図4A及び図4Bは、本発明の一実施形態によるスパッタリング装置200を使用したスパッタリング方法を示す図面である。
【0045】
図4A及び図4Bには、説明の便宜のために、ガイドレール120の軌跡及び前記軌跡に沿って存在する磁石部材110の形態が示されている。連結ブロック130、スクリューライン140、弾性部材150及びモータ170は、図面で省略している。
【0046】
図4A及び図4Bを参照すれば、基板3が準備され、基板3の下面にスパッタリングターゲット10が配置される。また、スパッタリングターゲット10の下面に磁石部材110が配置され、磁石部材110が第1方向に移動しつつ、スパッタリングターゲット10に磁場を印加する。これにより、磁石部材110に対応する位置でプラズマ放電が起こり、スパッタリングターゲット10からターゲット物質が発生する。このように発生したターゲット物質は基板3に蒸着されて、薄膜を形成する。
【0047】
図4Aを参照すれば、出発部Sでガイドレール120が傾斜部Aを有するので、磁石部材110は、スパッタリングターゲット10から距離d1に存在する。したがって、スパッタリングターゲット10に磁場E1が印加される。次いで、図示していないスクリューライン140が回転運動しつつ、連結ブロック130を第1方向に移動させ、磁石部材110は、ガイドレール120に連結されているので、ガイドレール120に沿って第1方向に移動する。
【0048】
中心部Mでガイドレール120が直線部Bを有するので、磁石部材110は、スパッタリングターゲット10から距離d2に存在する。したがって、スパッタリングターゲット10に磁場E2が印加される。次いで、図示していないスクリューライン140が回転運動しつつ、連結ブロック130を第1方向に移動させ、磁石部材110は、ガイドレール120に連結されているので、ガイドレール120に沿って第1方向に移動する。
【0049】
終了部Eでガイドレール120が傾斜部Aを有するので、磁石部材110は、スパッタリングターゲット10から距離d3に存在する。したがって、スパッタリングターゲット10に磁場E3が印加される。終了部Eは、磁石部材110が第1方向の逆方向に移動する場合、ターニング部Tとなりうる。このように、磁石部材110は、第1方向を正方向及び逆方向に往復運動できる。このように印加される磁場により、スパッタリングターゲット10からターゲット物質が発生して、基板3に金属薄膜を形成できる。
【0050】
本発明の一実施形態によれば、d1及びd3の長さは、d2の長さより長い。したがって、磁場の大きさは、E1及びE3がE2より小さい。すなわち、スパッタリングターゲット10のエッジ部に対応する部分で、磁場の強度が中心部に対応する部分より小さい。その理由は、磁石部材110がスパッタリングターゲット10のエッジ部に対応する部分でさらに遠くなるためである。
【0051】
これによって、本発明では、図4Bに示したように、スパッタリングターゲット10のエッジ部及び中心部が均一に腐食されて、スパッタリングターゲット10の使用効率が向上する効果がある。実験結果によれば、既存のスパッタリングターゲット10の使用効率が約20ないし30%のレベルであったが、本発明の一実施形態によるスパッタリング装置200を使用した場合、スパッタリングターゲット10の使用効率を少なくとも40%以上に向上させることができた。
【0052】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、スパッタリングシステム関連の技術分野に適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 スパッタリングチャンバー
3 基板
5 ガスライン
7 ゲート
9 プレート
10 スパッタリングターゲット
100 磁石部材移送装置
110 磁石部材
120 ガイドレール
130 連結ブロック
131 貫通孔
140 スクリューライン
150 弾性部材
160 連結部
170 モータ
200 スパッタリング装置
A 傾斜部
B 直線部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面が基板に対向するスパッタリングターゲットと、
前記スパッタリングターゲットに磁場を印加するためのものであって、前記スパッタリングターゲットの他面に対向するように配置された磁石部材と、
前記磁石部材と連結されて、前記磁石部材を支持してガイドするガイドレールであって、前記スパッタリングターゲットの中心部に対応する部分は、前記スパッタリングターゲットの前記他面に平行な第1方向に沿って形成された直線部を備え、前記スパッタリングターゲットのエッジ部に対応する部分は、前記スパッタリングターゲットに対して、前記第1方向と垂直な第2方向に遠くなるように形成された傾斜部を備えるガイドレールと、
前記ガイドレールに対向し、前記第1方向に沿って形成されたスクリューラインと、
前記磁石部材と弾性部材により連結されて、前記スクリューラインに沿って前記磁石部材を前記第1方向に運動させる連結ブロックと、
を備える、スパッタリング装置。
【請求項2】
前記スクリューラインを回転させるモータをさらに備え、
前記モータにより前記スクリューラインが回転することにより、前記連結ブロックが第1方向に運動する、請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項3】
前記弾性部材は、圧縮コイルばねであり、
前記磁石部材が前記直線部に位置する場合には、前記圧縮コイルばねが弛緩され、前記磁石部材が前記傾斜部に位置する場合には、前記圧縮コイルばねが圧縮される、請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項4】
前記磁石部材は、ベアリングを含む連結部を通じて前記ガイドレールと連結される、請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項5】
前記スパッタリングターゲットのエッジ部に対応する部分は、前記磁石部材の出発部、ターニング部または終了部のうちいずれか一つ以上に該当する、請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項6】
前記スパッタリングターゲットの前記他面を支持するプレートをさらに備える、請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項7】
前記磁石部材は、前記スパッタリングターゲットと離隔されて配置された、請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項8】
スパッタリングターゲットに磁場を印加するためのものであって、前記スパッタリングターゲットの他面に対向するように配置された磁石部材と、
前記磁石部材と連結されて、前記磁石部材を支持してガイドするガイドレールであって、前記スパッタリングターゲットの中心部に対応する部分は、前記スパッタリングターゲットの他面に平行な第1方向に沿って形成された直線部を備え、前記スパッタリングターゲットのエッジ部に対応する部分は、前記スパッタリングターゲットに対して、前記第1方向と垂直な第2方向に遠くなるように形成された傾斜部を備えるガイドレールと、
前記ガイドレールに対向し、前記第1方向に沿って形成されたスクリューラインと、
前記磁石部材と弾性部材により連結されて、前記スクリューラインに沿って前記磁石部材を前記第1方向に運動させる連結ブロックと、
を備える、磁石部材移送装置。
【請求項9】
前記スクリューラインを回転させるモータをさらに備え、
前記モータにより前記スクリューラインが回転することにより、前記連結ブロックが第1方向に運動する、請求項8に記載の磁石部材移送装置。
【請求項10】
前記弾性部材は、圧縮コイルばねであり、
前記磁石部材が前記直線部に位置する場合には、前記圧縮コイルばねが弛緩され、前記磁石部材が前記傾斜部に位置する場合には、前記圧縮コイルばねが圧縮される、請求項8に記載の磁石部材移送装置。
【請求項11】
前記磁石部材は、ベアリングを含む連結部により前記ガイドレールと連結される、請求項8に記載の磁石部材移送装置。
【請求項12】
前記スパッタリングターゲットのエッジ部に対応する部分は、前記磁石部材の出発部、ターニング部または終了部のうちいずれか一つ以上に該当する、請求項8に記載の磁石部材移送装置。
【請求項13】
一面が基板に対向するスパッタリングターゲットと、
前記スパッタリングターゲットに磁場を印加するためのものであって、前記スパッタリングターゲットの他面に対向するように配置された磁石部材と、
前記磁石部材と連結されて、前記磁石部材を支持してガイドするガイドレールであって、前記スパッタリングターゲットの中心部に対応する部分は、前記スパッタリングターゲットの前記他面に平行な第1方向に沿って形成された直線部を備え、前記スパッタリングターゲットのエッジ部に対応する部分は、前記スパッタリングターゲットに対して、前記第1方向と垂直な第2方向に遠くなるように形成された傾斜部を備えるガイドレールと、
前記ガイドレールに対向し、前記第1方向に沿って形成されたスクリューラインと、
前記磁石部材と弾性部材により連結されて、前記スクリューラインに沿って前記磁石部材を前記第1方向に運動させる連結ブロックと、を備えるスパッタリング装置のスパッタリング方法において、
前記基板を準備するステップと、
前記磁石部材が前記スパッタリングターゲットの前記他面に平行な第1方向に運動しつつ、前記スパッタリングターゲットに磁場を印加するステップと、
前記磁石部材に対応する前記スパッタリングターゲットから、前記磁場によりターゲット物質が発生して、前記基板に蒸着されるステップと、を含み、
前記磁場を印加するステップは、前記スパッタリングターゲットのエッジ部に対応する部分で、前記磁場の強度が変化することを特徴とする、スパッタリング方法。
【請求項14】
前記ガイドレールの傾斜部により、前記スパッタリングターゲットのエッジ部に対応する部分で、前記磁石部材が前記スパッタリングターゲットから前記第1方向と垂直な第2方向に遠くなることで、前記磁場の強度が変化する、請求項13に記載のスパッタリング方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【公開番号】特開2012−36502(P2012−36502A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171649(P2011−171649)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(308040351)三星モバイルディスプレイ株式會社 (764)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Mobile Display Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】San #24 Nongseo−Dong,Giheung−Gu,Yongin−City,Gyeonggi−Do 446−711 Republic of KOREA
【Fターム(参考)】