説明

スパッタリング装置

【課題】短い円筒型のサブターゲットを円筒軸方向に並べて構成される長い円筒型ターゲットを用いて、膜質の変化を抑制して成膜を行うスパッタリング装置を提供する。
【解決手段】基板17を第1の円筒ターゲット19の近傍を所定の方向Dsに搬送させながら、中心軸Ax19に沿って延在する第1の円筒ターゲット19からスパッタリングして、当該基板17に薄膜を形成するスパッタリング装置Asであって、前記第1の円筒ターゲット19は、当該第1の円筒ターゲット19より筒長の短い第2の円筒ターゲット18が第1の所定数kだけ前記中心軸Ax19に沿って連結されて構成されると共に、当該中心軸Ax19が前記基板搬送方向Dsに対して第1の所定の角度θを成すように配置され、当該第1の所定の角度θは0°より大きく90°より小さいことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒型ターゲットを備えるスパッタリング装置に関するもので、さらに詳述すれば、大型の基板にスパッタリングを行うためのスパッタリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スパッタリング装置(マグネトロンスパッタ)は、真空中に設置された金属や金属化合物などのターゲットの裏側に磁場発生装置と冷却機構とを配し、ターゲットをその裏面から冷却しつつ、磁場によりターゲットにイオンを衝突させ、ターゲットの材料をはじき出し、ターゲットに対向する位置にある基板上にこの材料を付着させて薄膜を形成させる装置である。
【0003】
一般的に、スパッタリング装置に設置されるターゲットの形状は平板型や円筒型などがある。図5に、円筒型ターゲットを有する従来のスパッタリング装置の一例を示す。スパッタリング装置Asc1において、基板42はその主表面が、互いに直行するX軸及びZ軸で規定されるXZ平面に対して実質的に平行に配置されている。円筒型ターゲット41は1本の円筒状チューブを有して、その中心軸Ax41がXZ平面及びZ軸に対して概ね平行に配置されている。円筒型ターゲット41を中心軸Ax41の周りに回転させながら、基板42を円筒型ターゲット41に対してXZ平面に平行且つ中心軸Ax41に垂直なDs方向(以降、「基板搬送方向Ds」と称す)に移動させる。その時に、基板42の、円筒型ターゲット41の周壁41wの近傍に位置する部分にスパッタが行われる。
【0004】
円筒型ターゲット41の周壁41wに設けられたターゲット材の全面がエロージョンとなり均一に削られるため、スパッタリング装置Asc1は、平板型ターゲットを用いるスパッタリング装置に比べて材料利用効率が高いという特長を有する(特許文献1)。このように材料利用効率に優れている円筒型ターゲット41であるが、平板型のターゲットと比較して形状が複雑であるのでターゲット41の作成が難しく、特に基板42が大型である場合には、成膜するために円筒型ターゲット41の筒長を大きく作成することが困難である。さらに、筒長の大きな円筒型ターゲット41を金属酸化物などの焼結体から作成することも困難である。
【0005】
図6に、上述のスパッタリング装置Asc1の問題を解決するべく提案されているスパッタリング装置の一例(特許文献2)を示す。スパッタリング装置Asc2は、上述のスパッタリング装置Asc1において、円筒型ターゲット41が円筒型ターゲット43に置き換えられている。円筒型ターゲット43は、円筒型ターゲット41が1本の円筒状チューブを有しているのに対して、作成が比較的簡単な短い円筒型のサブターゲット43_1〜43_n(nは任意の自然数)を中心軸Ax43方向に並べ、その軸芯に1本の金属筒のバッキングチューブが用いられている。n個のサブターゲット43_1〜43_nを円筒型ターゲット43と称し、その任意の1つをサブターゲット43_m(1≦m≦n)と識別する。なお、図6においては、紙面の都合上、n=5、つまり5つのサブターゲットが示されている。
【0006】
このように、複数(n個)の円筒型のサブターゲット43_1〜43_nを並べて、1つの長い円筒型ターゲット43を構成することは、1つの長い円筒型ターゲット41を1つの焼結体で作成する場合に比べて容易である。よって、現在は通常、短い円筒型のサブターゲット43_1〜43_nを軸方向に並べて構成された円筒型ターゲット43が利用されている。
【0007】
しかし、短い円筒型サブターゲット43_1〜43_nを並べて構成された円筒型ターゲット43には、中心軸Ax43と交わる方向に、サブターゲット43_1〜43_nの継ぎ目Jが生じる。より詳しくは、サブターゲット43_1と43_2との間に継ぎ目J1/2が、サブターゲット43_2と43_3との間に継ぎ目J2/3が、・・・、サブターゲット43_m−1と43_mとの間に継ぎ目Jm−1/mが、サブターゲット43_mと43_m+1との間に継ぎ目Jm/m+1が、・・・サブターゲット43_n−1と43_nとの間に継ぎ目Jn−1/nが、それぞれ形成される。なお、紙面の都合上、図6には継ぎ目J1/2、Jm−1/m、Jm/m+1、及びJn−1/nのみが示されている。なお、円筒型ターゲット43の周壁における、継ぎ目J以外の部分を、非継ぎ目部NJとする。
【0008】
上述の円筒型ターゲット43を回転させながら、基板42を基板搬送方向Ds方向に搬送させながら、円筒型ターゲット43からスパッタリングを生じさせて、基板42上に成膜を行わせる。しかしながら、非継ぎ目部NJでは円筒型ターゲット43の形状が安定しているが、これらの継ぎ目Jの近傍では円筒型ターゲット43の形状が変化しているため、スパッタリングを行うためのプラズマの均一性が崩れる。そのため、円筒型ターゲット43から飛び出す被スパッタ粒子が継ぎ目Jと非継ぎ目部NJとで変化が発生し、継ぎ目Jの近傍を通過する基板42上に成膜されたスパッタ膜の膜質が基板搬送方向Dsに沿って領域Zのようにスジ状に変化してしまう。このスジ状に変化した領域Zをスジ状領域Zと称する。なお、非継ぎ目部NJの近傍を通過する基板42上に成膜されたスパッタ膜は膜質が安定しており、この領域はスパッタリング装置Asc1の円筒型ターゲット41の周壁41wで成膜されたスパッタ膜と基本的に同一であり、基本領域Fと呼ぶものとする。
【0009】
つまり、継ぎ目Jのそれぞれに対応したスジ状領域Zが生じる。より詳しくは、継ぎ目J1/2・・・、Jm−1/m、Jm/m+1、・・・、Jn−1/nのそれぞれに対応してスジ状領域Z1/2・・・、Zm−1/m、Zm/m+1、・・・、Zn−1/nが生じる。なお、紙面の都合上、図6にはスジ状領域Z1/2、Zm−1/m、Zm/m+1、及びZn−1/nのみが示されている。
【0010】
とくに、円筒型ターゲット43が複合金属酸化物から成る場合、複合している金属酸化物の元素成分それぞれの蒸気圧などの物性が異なっている。そのために、元素成分毎にスパッタリング効率に差が発生し、円筒型ターゲット43の箇所によって、基板42上に形成される膜の組成比が異なる。結果、円筒型ターゲット43を長期間使用した際に、スジ状領域Zの膜特性の変化が大きくなる。
【0011】
この場合、円筒型ターゲット43と基板42との間の距離を大きくし、継ぎ目Jに対応するスジ状領域Zを「ぼかす」ことで、スジ状領域Zの膜質変化を抑制することは可能である。しかしながら、真空チャンバの体積が増大し、特に大型基板のスパッタリング装置の場合はそのことによる真空ポンプへの負荷の増大と装置価格の上昇が顕著である。このような円筒型ターゲット43の問題に対して、種々の技術が提案されている。
【0012】
例えば、複数の円筒型ターゲットの継ぎ目での段差を抑制した長尺の円筒型スパッタリングターゲット(特許文献3)が提案されている。同円筒型スパッタリングターゲットでは、段差が抑制された継ぎ目でのプラズマの状態の変化を小さくして、継ぎ目での膜質の変化の抑制を図っている。
【0013】
また、複数の円筒型ターゲットを、その軸心と断面とを直交させずに斜めにつなぎ合わされたスパッタ用ターゲット(特許文献4)が提案されている。同スパッタ用ターゲットを回転させることにより、周期的にターゲットの継ぎ目と基板との相対位置を変化させて、基板搬送方向に線状に発生する膜質が変化する現象の解消を図っている。
【0014】
さらに、搬送方向を横切る方向に円筒ターゲットを揺動させながら基板を搬送して成膜を行うことで、揺動により周期的にターゲットの継ぎ目と基板との相対位置が変化するようにすることで基板搬送方向に線状に発生する膜質が変化する現象の解消を図るものがある(特許文献5)。
【0015】
なおさらに、円筒の軸方向に分割された長い瓦状のターゲット片をバッキングチューブ外周に沿って並べて円筒型ターゲットを作成すること(特許文献6)が提案されている。同円筒型ターゲットでは、回転周方向、即ち基板搬送方向でターゲットの継ぎ目を無くすことで、継ぎ目近傍での膜質の変化を解消している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特表昭58−500174号公報
【特許文献2】特開平7−228967号公報
【特許文献3】特開2010−100930号公報
【特許文献4】特開昭63−223168号公報
【特許文献5】国際公開WO06/071596号公報
【特許文献6】特開2007−119824号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、複数の円筒型ターゲットの継ぎ目での段差を抑制した長尺の円筒型スパッタリングターゲット(特許文献3)においては、円筒型ターゲットの継ぎ目を近接(段差を抑制)させようとすると、スパッタリング時の温度上昇によって円筒型ターゲットが膨張し、継ぎ目部分で両側の円筒型ターゲットが接触して破損し易い。
【0018】
また、複数の円筒型ターゲットを、その軸心と断面とを直交させずに斜めにつなぎ合わされたスパッタ用ターゲット(特許文献4)では、円筒型ターゲットの断面が軸心に対して斜めという複雑な形状であり、円筒型ターゲットが焼結体である場合は、通常の円筒型ターゲットと比べて作成しにくい上に、鋭角になるほうの円周の端部から破損が発生し易い。
【0019】
さらに、搬送方向を横切る方向に円筒ターゲットを揺動させながら基板を搬送して成膜を行う場合(特許文献5)には、スパッタ装置に揺動機構を組み込む必要があり、スパッタ装置の構成が複雑になる。
【0020】
円筒の軸方向に分割された長い瓦状のターゲット片をバッキングチューブ外周に沿って並べて作成される円筒型ターゲット(特許文献6)の場合、大型基板に用いる、特に1mを超えるような大型の円筒型ターゲットの場合、円筒の筒長に対する瓦状の個片の幅が狭く、ターゲット片が非常に細長い瓦状になってしまい、ターゲット片の作成が困難である。
【0021】
本発明は、上記の問題に鑑みて、短い円筒型のサブターゲットを円筒軸方向に並べて構成される長い円筒型ターゲットを用いて、均一な成膜を行えるスパッタリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記目的を達成するために、本発明のスパッタリング装置は、基板を第1の円筒型ターゲットの近傍を所定の方向に搬送させながら、中心軸に沿って延在する第1の円筒型ターゲットからスパッタリングして、当該基板に薄膜を形成するスパッタリング装置であって、
前記第1の円筒型ターゲットは、当該第1の円筒型ターゲットより筒長の短い第2の円筒型ターゲットが第1の所定数だけ前記中心軸に沿って連結されて構成されると共に、当該中心軸が前記搬送方向に対して第1の所定の角度θを成すように配置され、
当該第1の所定の角度(θ)は0°より大きく90°より小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、短い円筒型のサブターゲットを円筒軸方向に並べて構成される長い円筒型ターゲットを用いて、膜質の変化を抑制して成膜を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1に係るスパッタリング装置の概略図である。
【図2】図1のスパッタリング装置における、円筒ターゲットと基板との位置関係の一例を示す図である。
【図3】図1のスパッタリング装置における、円筒ターゲットと基板との位置関係の他の例を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係るスパッタリング装置における、円筒ターゲットと基板との位置関係の一例を示す図である。
【図5】円筒型ターゲットを有する従来のスパッタリング装置の概略図である。
【図6】サブターゲットからなる円筒型ターゲットを有する従来のスパッタリング装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する前に、本発明の技術思想について簡単に述べる。本発明は、上述の従来技術のスパッタリング装置Asc2によって基板42に形成された成膜におけるスジ状領域Zの面積を拡大することによって、スパッタ成膜の均一性に対するスジ状領域Zの影響を低減するものである。そのために、本発明によっては、円筒ターゲット19の回転軸(中心軸)Ax19を基板搬送方向Dsに対して直角から鋭角に成るように傾けることによって、継ぎ目Jによって基板17にスパッタされるスジ状領域Zを拡大すると共に、拡大されたスジ状領域Zに非継ぎ目部NJによるスパッタ膜(基本領域F)を上塗りすることによって、スジ状領域Zのスパッタ膜における影響度を低減して、スパッタ膜全体の均一性を確保するものである。以下に、本発明の実施の形態について具体的に述べる。
【0026】
(実施の形態1)
以下に、図1を参照して、本発明の実施の形態1に係るスパッタリング装置について説明する。スパッタリング装置Asは、真空チャンバ11と、この真空チャンバ11を減圧するための排気機構12と、真空チャンバ11内にスパッタリングガスを導入するガスライン13と、ターゲットユニット14と、このターゲットユニット14に放電電力を供給するスパッタリング電源15と、被成膜基板を固定する基板保持用治具16と、基板保持用治具16に固定された基板17を搬送する搬送機構(図示せず)とを備える。
【0027】
前記ターゲットユニット14は、長い円筒状のターゲット19と、バッキングチューブ(図示せず)と、冷却機構(図示せず)と、磁場発生機構(図示せず)と、回転機構20とを含む。長い円筒状のターゲット19は、短い円筒状のターゲット18を複数個並べて構成される。以降、短い円筒状のターゲット18及び長い円筒状のターゲット19を、それぞれサブ円筒ターゲット18および円筒ターゲット19と呼ぶ。なお、サブ円筒ターゲット18と円筒ターゲット19は、それぞれ上述のサブターゲット43_mと円筒型ターゲット43と同様に構成されており、サブ円筒ターゲット18間の継ぎ目Jおよびサブ円筒ターゲット18の周壁である非継ぎ目部NJを有するが、これについては図2を参照して述べる。
【0028】
円筒ターゲット19の長さ程度の長さを持つ銅などの金属で形成されたバッキングチューブの軸に順次隣接するように、サブ円筒ターゲット18が装着され、ボンディング加工が行なわれて円筒ターゲット19が構成される。サブ円筒ターゲット18の筒長は特に制限はないが、作成し易さと円筒ターゲット19の筒長によって決めてよい。円筒ターゲット19の筒長に対して、サブ円筒ターゲット18の筒長が短すぎると、1本のバッキングチューブに多数のサブ円筒ターゲット18をボンディングする必要があるために加工が煩雑になる。逆に、サブ円筒ターゲット18の筒長が長すぎると、特に焼結体ターゲットの場合、ターゲットの作成が困難になる。このような状況を考慮して、サブ円筒ターゲット18の筒長は適宜設計される。
【0029】
また、サブ円筒ターゲット18及び円筒ターゲット19の直径及び肉厚には特に制限はない。このようにして構成された円筒ターゲット19に、磁場発生機構、冷却機構、及び回転機構20を組み合わせることでターゲットユニット14が形成される。そして真空チャンバ11の内部に、ターゲットユニット14が取り付けられる。ターゲットユニット14を基板17が搬送される方向に複数台設置し、1回の基板通過による成膜量を増やすことでスパッタリング装置Asの生産性(成膜能力)を高めてもよい。
【0030】
冷却機構は、スパッタリング時の円筒ターゲット19の加熱を防止する。磁場発生機構は、円筒ターゲット19の内側で磁場を発生させる。回転機構20は、円筒ターゲット19を軸心(回転軸)Ax19の周りに回転させる。スパッタリング電源15の種類としては、DC電源、DCパルス電源、及びRF電源などを用いることが出来るが、特に大型の金属酸化物ターゲット(円筒ターゲット19)のスパッタリング電源15としてはDCパルス電源を用いることが好ましい。
【0031】
スパッタリング電源15(DCパルス電源)の2本の電力線の一方は円筒ターゲット19に接続され、もう一方は真空チャンバ11に接続される。排気機構12に用いられる真空ポンプ(図示せず)は、所定の性能を達することが可能なものであればポンプの種類には制限はなく、一例としてターボ分子ポンプ及びクライオポンプなどを用いることができる。また、排気の機構を2段階に分け、大気〜低真空までの真空引きを行う1段階目と、低真空〜高真空までの真空引きを行う2段階目とで異なるポンプを用いても良い。
【0032】
また、生産性向上のために、基板17の出し入れごとに真空チャンバ11の大気開放を不要にして、真空チャンバ11と大気との間にロードロック室などの前室(図示せず)を設けてもよい。ただし、前後の工程も真空のままの一貫ライン構成で、基板17が大気に曝されない構造であれば、前室の設置は不要である。また、真空チャンバ11内で基板17を搬送する機構は、基板保持用治具16と、基板保持用治具16の搬送機構(図示せず)とから構成されている。搬送機構によって、基板保持用治具16と基板保持用治具16にセットされた基板17は真空チャンバ11内を矢印Dsの方向へ搬送され、スパッタリングプラズマが発生しているターゲット近傍を通過することで基板上にスパッタリング成膜が行なわれる。なお、矢印Dsの方向を、基板搬送方向Dsと呼ぶ。
【0033】
真空チャンバ11内にスパッタリングガスを導入するガスライン13はガス配管とマスフローコントローラ(図示せず)からなり、導入するガスの種類分だけ設置されている。通常用いられるスパッタリングガスとしてはAr(アルゴン)があるが、酸化膜の形成を行う場合には酸素を導入する場合もある。スパッタリングガスは、成膜時の圧力に応じてマスフローコントローラで流量と流量比とが制御されて、真空チャンバ11内に導入される。成膜圧力は、成膜する材料にもよるが、一般には0.1〜10Pa程度である。
【0034】
ターゲットユニット14のバッキングチューブ内部に配置される磁場発生機構を構成する磁石の材料としては、サマリウムコバルト磁石やネオジム磁石などの磁束密度の大きいマグネットが好ましいが、その他のマグネットや電磁石も使用することができる。また永久磁石と電磁石を組み合わせるなど、複数の磁気発生源を組み合わせてもよい。
【0035】
図1に示すように、ターゲットユニット14の回転軸Ax19は、真空チャンバ11内に設置された基板搬送機構の基板搬送方向Dsに対して所定の角度θ(0°<θ<90°、90°<θ<180°)を成すように、つまり直交しないように配置される。これについては、後ほど図2〜図3を参照して詳述する。
【0036】
次に、スパッタリング装置Asによる、基板17に対する成膜工程について説明する。先ず、真空チャンバ11の真空排気を実施し、Arなどのスパッタリングガスを真空チャンバ11に0.1〜10Pa程度導入し、円筒ターゲット19をカソードとしてスパッタリング電源15より電力を供給しプラズマを形成する。形成されたプラズマのArイオンの衝突により、円筒ターゲット19の表面からスパッタ粒子が飛び出す。
【0037】
この状態において、基板保持用治具16にセットされた基板17が置かれた前室に接続されたゲートバルブが開かれ、搬送機構によって基板保持用治具16が真空チャンバ11内で搬送される。搬送機構は、基板保持用治具16を円筒ターゲット19の軸心Ax19に対して角度θを成す基板搬送方向Dsに一定の速度で搬送する、そして、基板17が円筒ターゲット19の近傍を通過するときに、円筒ターゲット19の表面から飛び出したスパッタ粒子が基板17上に堆積して、スパッタ膜が形成される。
【0038】
図2にスパッタリング装置Asの円筒ターゲット19の近傍を基板17が通過する際の様子を示す。上述のように、ターゲットユニット14に装着されている円筒ターゲット19はサブ円筒ターゲット18を、軸心Ax19の方向に複数並べて構成されており、隣接するサブ円筒ターゲット18同士の間には継ぎ目Jが存在する。そしてサブ円筒ターゲット18の周壁は非継ぎ目部NJである。なお、図2においては、説明の便宜上、4つのサブ円筒ターゲット18の周壁部及び継ぎ目部をそれぞれ識別すること無く非継ぎ目部NJ及び継ぎ目Jとして表示している。継ぎ目Jは、一般的には狭い方が継ぎ目Jの部分でのスパッタリングの変化が小さいため好ましいが、狭くしすぎるとスパッタリング時の熱による膨張でサブ円筒ターゲット18同士が衝突して欠けや破損が発生してしまう。そのため、継ぎ目Jは必要最小限の値をもって設定される。
【0039】
さらに回転機構20により、軸心Ax19のまわりを回転している円筒ターゲット19の近傍(図2において、円筒ターゲット19の隠れている側)を基板17は搬送機構によって搬送されて通過する。このとき、基板搬送方向Dsと円筒ターゲット19の軸心Ax19は所定の角度θ1(θ1<90°)を有している。このため、円筒ターゲット19が基板17と交差する際に、継ぎ目Jは通過する基板17に対してある一定の幅を持った領域Z28を通過する。円筒ターゲット19の継ぎ目Jの近傍では、スパッタリングの状態が異なり、成膜した場合の膜の組成比などの膜質が他の部分と比べて差が生じることがある。
【0040】
本実施の形態においては、領域Z28が一定の幅を有しているために、この領域Z28において、この膜質が異なる部分(継ぎ目Jの近傍を用いて成膜された部分)とそれ以外の部分である基本領域F(非継ぎ目部NJを用いて成膜された部分)との膜が混在する。しかしながら、スパッタリングにおいて、継ぎ目Jでスパッタされたスジ状領域Z28は、軸心Ax19が基板搬送方向Dsに対して角度θ1だけ傾いているので、継ぎ目Jも基板搬送方向Dsに対して、角度(90°−θ1)だけ傾いてスパッタリングを行うことになる。結果、従来のように軸心Ax43が基板搬送方向Dsに対して直角の場合に形成されるスジ状領域Zに比べて、スジ状領域Z28はsin(90°−θ1)だけ拡大されて形成される。つまり、この拡大された分(sin(90°−θ1))だけ、継ぎ目Jの基本領域Fに対する差(不均一さ)は改善される。
【0041】
さらに、スジ状領域Z28は、継ぎ目Jの上下の非継ぎ目部NJの一部(スジ状領域Z28の境界で切り取られる三角形)の一部分であるサブ領域△NJb及び△NJtの均質なスパッタリングで上塗りされる。なお、サブ領域△NJb及び△NJtはそれぞれ、サブ円筒ターゲット18の側壁の半分より小さい。これにより、スジ状領域Z28はθ1だけ傾いた継ぎ目Jと非継ぎ目部NJのサブ領域△NJb及び△NJtによるスパッタにより、他の基本領域F28との膜質の差が減少される。つまり、基板17にスジ状領域Z28と基本領域F28とで形成される薄膜の全体の均一性は大幅に改選され得る。なお、円筒ターゲットの回転速度、回転方向には特に制限はない。
【0042】
図3に、基板17に対する円筒ターゲット19の配置の別の例を示す。本図に示す例では、軸心Ax19は更に基板搬送方向Ds方向に傾いて、所定の角度θ2(θ2<θ1<90°)を成している。この場合、サブ領域△NJtと△NJbとで非継ぎ目部NJは2分される。結果、基板17では継ぎ目J及び非継ぎ目部NJのサブ領域△NJtと△NJbとでスパッタ成膜されたスジ状領域Z31が連続的に形成されている。
【0043】
つまり、傾斜角がθ1(図2)からθ2(図3)に変更された結果、スジ状領域Z28(図2)は拡大されてスジ状領域Z31(図3)になり、基本領域F28(図2)が無くなる。つまり、基板17の表面に形成される薄膜の全体がスジ状領域Z31のみになる。なお、スジ状領域Z31は、継ぎ目Jによるスパッタがサブ領域△NJtと△NJbとのスパッタにより上書きされた状態である。よって、基板17に形成される薄膜の全体の均一性は、図2に示した場合に比べて更に改善される。
【0044】
なお、サブ円筒ターゲット18の筒長をLとし、外径をDとし、円筒ターゲット19と基板17との距離をSとしたときに、スジ状領域Z31が互いに重ならず、かつ離れない、つまりスジ状領域Z31がそれぞれ接してシームレスに成膜される条件は、次式(1)にて表される。
tanθ=D/L ・・・・(1)
【0045】
即ち、基板17側からみると、基板17の全面に渡って、スジ状領域Z31で成膜されることになり、非継ぎ目部NJのみを用いて成膜が行われる領域が存在しないため、図2に示す例よりもさらに膜質の変化を抑制することが出来る。円筒ターゲット19が1つの場合、図3に示す配置はサブ円筒ターゲット18の数が3つ以上のときに効果的である。またターゲットユニット14(円筒ターゲット19)が複数の場合でも、各ターゲットユニット14を上記の配置のまま前後に並置することで膜質を均一にしたまま、成膜速度を高めることができる。
【0046】
上記の式(1)は、隣り合うそれぞれのスジ状領域Z31を重ならず、かつ離れないシームレスに配置するための条件である。しかし、実際はサブ円筒ターゲット18の端部(継ぎ目J)で膜質が変化するのは、ターゲット端部の直下を通る基板の箇所だけではなく、ある程度の幅を持って膜質が変化している。膜質が変化する幅は、一般にターゲット(サブ円筒ターゲット18或いは円筒ターゲット19)と基板17との距離S程度である、即ち、ターゲット端部で成膜された膜の膜質が変化する領域は、ターゲット(サブ円筒ターゲット18或いは円筒ターゲット19)と基板17との距離S程度の大きさの幅をもっている。従って、式(1)におけるθの値はある程度の幅を持っている。
【0047】
つまり、隣り合うそれぞれのスジ状領域Z31を距離Sの値以上重ならないように、かつ距離Sの値以上離れないように配置することで、基板17にスパッタ形成される膜の膜質を実質的に均一にできる。なお、スジ状領域Z31が重なる時、重なり幅Woは次式(2)で表され、スジ状領域Z31が距離S以上重ならない条件は、次式(3)で表される。
Wo=Dcosθ−Lsinθ ・・・・(2)
Dcosθ−Lsinθ≦S ・・・・(3)
【0048】
一方、スジ状領域Z31が離れる時、離れ幅Wdは次式(4)で表され、スジ状領域Z31が距離S以上離れない条件は、次式(5)で表される。
Wd=L−D/tanθ ・・・・(4)
L−D/tanθ≦S ・・・・(5)
【0049】
つまり、上式(3)および(5)で表される条件を満たすことで、基板17に形成される膜の膜質を実質的に均一にできる。なお、S=0の時、すなわち、上式(1)が成立する(tanθ=D/L)時、膜質は最も均一になる。
【0050】
(実施の形態2)
以下に図4を参照して、本発明の実施の形態2に係るスパッタリング装置について説明する。スパッタリング装置As’は少なくとも、q(qは任意の自然数)台のターゲットユニット14_1〜14_qを有している。q台のターゲットユニット14のそれぞれが、k個のサブ円筒ターゲット18_1〜18_kが連結された円筒ターゲット19_1〜19_qを含む。なお、ターゲットユニット14_1〜14_q及び円筒ターゲット19_1〜19_qは、それぞれ上述のターゲットユニット14および円筒ターゲット19と同様に構成されている。
【0051】
ただし、ターゲットユニット14_1〜14_qは、円筒ターゲット19_1と19_qとが軸心(回転軸)Ax19の方向つまり軸心方向Daに、所定の距離だけずれて配置され、残りの円筒ターゲット19_2〜19_q−1は円筒ターゲット19_1と19_qとの間に、軸心方向Daに等間隔に配置されている。スパッタリング装置As’においては、次式(6)及び(7)の関係が成立する。
Dcosθ−(L/q)sinθ≦S かつ (L/q)−D/tanθ≦S
・・・・(6)
P=(L/q)×sinθ ・・・・(7)
【0052】
図4を参照して、3台のターゲットユニット14_1、14_2、及び14_3を有するスパッタリング装置As’における、円筒ターゲット19_1、19_2、及び19_3の近傍を基板17が通過する際の様子について説明する。なお、図4においては、説明の便宜上、ターゲットユニット14_1、14_2、及び14_3の円筒ターゲット19_1、19_2、及び19_3と基板17のみが示されている。円筒ターゲット19_1、19_2、及び19_3はそれぞれ、上述の円筒ターゲット19と同様に複数のサブ円筒ターゲット18_1〜18_k(本例においては、k=4)から成る。基板搬送方向Dsと円筒ターゲット19_1、19_2、及び19_3それぞれの軸心Ax19は、所定の角度θ3(θ1<θ3<90°)を有している。同スパッタリング装置As’においては、次式(8)に示す関係が成立する。
tanθ=D/(L/q) ・・・(8)
【0053】
さらに、基板法線方向から見た、サブ円筒ターゲット18の継ぎ目Jの線36の中心37は基板17の搬送方向Dsにそれぞれ並行に軌跡39を形成する。なお、線36は、継ぎ目Jの回転軸Ax19方向の幅を、回転軸Ax19方向に二分する面を回転軸Ax19に対して垂直な方向から見たときの線である。中心37は、基板17との離間距離が最小である線36上の点である。つまり、基板17に対してスパッタリングが行われているときの、継ぎ目Jの中心である。軌跡39は説明の便宜上に図示されているが、実際に成膜される基板17に、中心37の跡がつくという意味ではない。軌跡39は、円筒ターゲット19_1〜19_q(本例においては、q=3)のそれぞれを構成するk個のサブ円筒ターゲット18の個数kに対してk−1箇所、つまりターゲットユニット14_1〜14_qが3台であれば、3×(k−1)箇所存在する。円筒ターゲット19_1〜19_qそれぞれの、サブ円筒ターゲット18の継ぎ目Jが形成する軌跡39の間隔Pが、P=(L/3)×sinθとなるようにターゲットユニット14_1〜14_qが配置されている。ただし、基板搬送方向両端よりも外側、即ち成膜に関係しない部分に関してはこの限りではない。
【0054】
先に述べたように、サブ円筒ターゲット18の継ぎ目Jがある一定の幅をもって基板17と交差し、基板17上のこの部分(スジ状領域Z40)はサブ円筒ターゲット18の継ぎ目Jの部分の領域(以下、境界領域とする)を通って成膜される。複数の円筒ターゲット19を上記のように配置することにより、いずれの円筒ターゲット19_1〜19_qの境界領域の幅がPに等しくなり、かつ、円筒ターゲット19_1の境界領域を通って成膜される基板17のスジ状領域Z40_1と円筒ターゲット19_2の境界領域を通って成膜される基板17のスジ状領域Z40_2と円筒ターゲット19_3の境界領域を通って成膜される基板17のスジ状領域Z40_3とが基板搬送方向Dsと基板面上で直交する方向に隙間無く互い違いに配置される。そのため、基板17の全ての領域は3つの円筒ターゲットのうちのいずれか1つのターゲットの境界領域を通過することになる。このスジ状領域Z40において、継ぎ目Jの近傍を用いて成膜された部分と、非継ぎ目部NJを用いて成膜された部分との膜が混在する。スジ状領域Z40において、いずれかの円筒ターゲット19の継ぎ目Jの近傍を用いた成膜が1回行われるのに対して、非継ぎ目部NJを用いた成膜は当該円筒ターゲット19以外の円筒ターゲット19によって(q−1)回行われる。継ぎ目Jの近傍を用いてスパッタされた膜は、非継ぎ目部NJを用いた(q−1)回のスパッタにより上書きされる。よって、基板17に形成される薄膜の全体の均一性は、図3に示した場合に比べて更に改善される。
【0055】
また、本発明の実施の形態2においても、前述の実施の形態1と同様に、実際はサブ円筒ターゲット18の端部(継ぎ目J)で膜質が変化するのは、ターゲット端部の直下を通る基板の箇所だけではなく、ある程度の幅を持って膜質が変化している。上述の通り、ターゲット端部で成膜された膜の膜質が変化する領域は、ターゲット(サブ円筒ターゲット18或いは円筒ターゲット19)と基板17との距離S程度の大きさの幅をもっている。従って、式(8)におけるθの値はある程度の幅を持っている。
【0056】
つまり、隣り合うそれぞれのスジ状領域Z40を距離Sの値以上重ならないように、かつ距離Sの値以上離れないように配置することで、基板17にスパッタ形成される膜の膜質を実質的に均一にできる。なお、スジ状領域Z40が重なる時、重なり幅Wo’は次式(9)で表され、スジ状領域Z40が距離S以上重ならない条件は、次式(10)で表される。
Wo’=Dcosθ−(L/q)sinθ ・・・・(9)
Dcosθ−(L/q)sinθ≦S ・・・・(10)
【0057】
一方、スジ状領域Z40が離れる時、離れ幅Wd’は次式(11)で表され、スジ状領域Z40が距離S以上離れない条件は、次式(12)で表される。
Wd’=(L/q)−D/tanθ ・・・・(11)
(L/q)−D/tanθ≦S ・・・・(12)
【0058】
つまり、上式(10)および(12)で表される条件を満たすことで、基板17に形成される膜の膜質を実質的に均一にできる。なお、S=0の時、すなわち、上式(8)が成立する(tanθ=D/(L/q))時、膜質は最も均一になる。
【0059】
また、実施の形態2では、スパッタリング装置As’は少なくとも1台以上、q台のターゲットユニット14を有しているために成膜速度が速く、装置生産性は高い。また、例えば、2×q台のターゲットユニット14を配置して、そのうちのq台のターゲットユニット14を1組として実施の形態2に従って配置し、その組をもう1組設けることでさらに装置生産性を高めることができる。
【0060】
上述の通り、本発明は、サブ円筒ターゲットを軸心方向に並べて作成した円筒ターゲットを備えるスパッタリング装置で成膜を行う際に、基板搬送によりターゲットの継ぎ目近傍を通過する部分の膜質の変化を抑制することのできるスパッタリング装置を提供することができる。
【0061】
特に、金属酸化物などの焼結体ターゲット、とりわけ複合金属酸化物の大型ターゲットを作る場合、長い円筒型ターゲットを作ることが困難で、サブ円筒ターゲットを組み合わせて円筒ターゲットを形成する必要があるため、本発明によってターゲットの作成しやすさと膜厚均一性を両立させることが出来る。
【0062】
上記の焼結体ターゲットに用いられる複合金属酸化物の例としてはITO(インジウム−スズ酸化物)、IZO(インジウム−亜鉛酸化物)、IWO(インジウム−タングステン酸化物)、IGO(インジウム−ガリウム酸化物)、IGZO(インジウム−ガリウム−亜鉛酸化物)、ATO(アルミニウム−スズ酸化物)、AZO(アルミニウム−亜鉛酸化物)などを挙げることができる。
【0063】
これらの材料の薄膜は透明導電体薄膜や透明半導体薄膜として産業上広く用いられており、特に大面積基板上に形成された均一な膜質の薄膜はディスプレイパネルや太陽電池などの製造の用途に用いることが出来るため、本スパッタリング装置はこれらの製造工程に好適に用いることが出来る。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、円筒型ターゲットを備えるスパッタリング装置に利用できる。
【符号の説明】
【0065】
As、As’、Asc1、Asc2 スパッタリング装置
11 真空チャンバ
12 排気機構
13 ガスライン
14 ターゲットユニット
15 スパッタリング電源
16 基板保持用治具
17、42 基板
18 サブ円筒ターゲット
L サブ円筒ターゲットの回転軸方向の長さ
D サブ円筒ターゲットの外径
19、41、43 円筒ターゲット
Ax19、Ax41、Ax43 円筒ターゲットの回転軸
S 円筒ターゲットと基板との距離
20 回転機構
Ds 基板搬送方向
J サブターゲットの継ぎ目
NJ 非継ぎ目部
θ、θ1、θ2、θ3 搬送方向と円筒ターゲットの回転軸がなす角
Z、Z28、Z31、Z40 スジ状領域
F、F28 基本領域
37 継ぎ目の線の中心
39 継ぎ目の線の中心が基板上になす軌跡
P 軌跡の間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を第1の円筒型ターゲットの近傍を所定の方向に搬送させながら、中心軸に沿って延在する第1の円筒型ターゲットからスパッタリングして、当該基板に薄膜を形成するスパッタリング装置であって、
前記第1の円筒型ターゲットは、当該第1の円筒型ターゲットより筒長の短い第2の円筒型ターゲットが第1の所定数だけ前記中心軸に沿って連結されて構成されると共に、当該中心軸が前記搬送方向に対して第1の所定の角度θを成すように配置され、当該第1の所定の角度は0°より大きく90°より小さいことを特徴とする、スパッタリング装置。
【請求項2】
前記第2の円筒型ターゲットの中心軸方向の長さをL、外径をDとし、前記第1の円筒型ターゲットと前記基板との距離をSとし、
Dcosθ−Lsinθ≦S 且つ L−D/tanθ≦S の関係が満たされることを特徴とする、請求項1に記載のスパッタリング装置。
【請求項3】
第2の所定数(q)の前記第1の円筒型ターゲットを前記中心軸が互いに平行になるように備え、前記第2の円筒型ターゲット同士の継ぎ目の中心が、前記所定の方向に搬送される前記基板になす軌跡の間隔をPとするとき、
Dcosθ−(L/q)sinθ≦S、
(L/q)−D/tanθ≦S、及び
P=(L/q)×sinθ
の関係が満たされることを特徴とする、請求項1に記載のスパッタリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−255194(P2012−255194A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129572(P2011−129572)
【出願日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】