説明

スパッタリング装置

【課題】複数のターゲット表面上の反応ガスの分圧を互いに等しくし、各ターゲットを互いに同じ速度でスパッタできるスパッタリング装置を提供する。
【解決手段】
互いに離間して一列に並んで配置された複数のターゲット211〜214と、隣り合う二個のターゲット211〜214を一組として、一組のターゲット211〜214間に電圧が印加されるターゲット装置2012、2034とを有し、各ターゲット装置2012、2034は、一組のターゲット211〜214の側面と対向して配置された隔壁231〜234と、隔壁231〜234とターゲット211〜214との間に設けられたガス導入口281〜284と、真空槽11の底面に設けられた主排気口2512、2534とをそれぞれ有し、ガス導入口281〜284から導入された反応ガスは、一組のターゲット211〜214間を通って主排気口2512、2534から真空排気される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパッタリング装置に係り、特に反応性スパッタリングの分野に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、フラットパネルディスプレイ(FPD)の大型化に関する研究開発が活発に行われている。FPDの薄膜トランジスタ(TFT)の素材にはIGZO等の透明酸化物半導体が注目されており、透明酸化物半導体の成膜には反応性スパッタリング法がよく用いられている。
【0003】
図4は従来のスパッタリング装置100の内部側面図である。
真空槽111内には複数のターゲット1211〜1214が、互いに離間して一列に並んで配置されている。
【0004】
各ターゲット1211〜1214の裏面側には磁石装置1271〜1274と反応ガス導入口128a、128bとが配置されており、真空槽111の底面には主排気口125が設けられ、主排気口125には第一の真空ポンプ131が接続されている。
【0005】
一方、各ターゲット1211〜1214の表面と対面する位置には基板118が、各ターゲット1211〜1214の表面と離間して対向して配置されており、真空槽111の、基板118の裏面側の壁面にはスパッタガス導入部115と第二の真空ポンプ133a、133bとがそれぞれ接続されている。
【0006】
各ターゲット1211〜1214表面と基板118表面との間の放電空間155の周囲には、放電空間155を取り囲んで第一、第二の防着部材119a、119bが配置されている。スパッタガス導入部115から真空槽111内にスパッタガスを導入すると、スパッタガスは基板118と第一の防着部材119aとの隙間、又は第一の防着部材119aと第二の防着部材119bとの隙間を通って放電空間155に流入する。
【0007】
一方、反応ガス導入口128a、128bから真空槽111内に反応ガスを導入すると、反応ガスの一部は隣り合うターゲット1211〜1214間を通ってターゲット1211〜1214表面上に流入し、他の一部は主排気口125から第一の真空ポンプ131により真空排気される。
【0008】
バッキングプレート1221〜1224を介して各ターゲット1211〜1214にそれぞれ電圧を印加すると、各ターゲット1211〜1214表面上のスパッタガスと反応ガスとがプラズマ化して、各ターゲット1211〜1214表面はそれぞれスパッタされ、基板118表面に薄膜が形成される。
【0009】
ところが、主排気口125から離れた位置ほど、反応ガスの排気速度が小さく、ターゲット1211〜1214表面上の反応ガスの分圧は高くなり、ターゲット1211〜1214表面と反応ガスとの反応する割合は多くなって、スパッタ速度は低下してしまう。
【0010】
そのため、基板118表面のうち、主排気口125から遠い位置に配置されたターゲット1214と対面する部分では、主排気口125の近くに配置されたターゲット1211と対面する部分よりも、薄膜の膜厚が薄くなるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2009−057608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上記従来技術の不都合を解決するために創作されたものであり、その目的は、複数のターゲット表面上の反応ガスの分圧を互いに等しくして、各ターゲットを互いに同じ速度でスパッタできるスパッタリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために本発明は、真空槽と、前記真空槽内に、互いに離間して一直線上に一列に並んで配置された複数個のターゲットと、隣り合う二個の前記ターゲットを一組として、一組の前記ターゲット間に電圧が印加されるターゲット装置と、前記真空槽内に反応ガスを導入する反応ガス導入部と、前記真空槽内を真空排気する真空排気部と、を有し、真空排気された前記真空槽内に反応ガスを導入し、各前記ターゲット装置の前記ターゲットに電圧を印加してスパッタし、各前記ターゲットと対向して配置された基板に薄膜を形成するスパッタリング装置であって、各前記ターゲット装置は、一組の前記ターゲットの互いに対向する側面とは逆側の側面に対向して配置された隔壁と、前記隔壁と、隣接する前記ターゲットとの間に設けられ、前記反応ガス導入部に接続されたガス導入口と、前記真空槽の底面に設けられ、前記真空排気部に接続された主排気口と、をそれぞれ有し、前記ガス導入口から導入された前記反応ガスは、一組の前記ターゲット間を通って前記主排気口から真空排気されるスパッタリング装置である。
本発明はスパッタリング装置であって、各前記ターゲットは長手方向をそれぞれ有し、各前記長手方向は前記一直線に対して直角な同一方向に向けられ、前記主排気口は前記長手方向と平行に並んで複数設けられたスパッタリング装置である。
本発明はスパッタリング装置であって、前記真空槽の壁面のうち、各前記ターゲットと前記基板との間の放電空間と対面するリング状の範囲には、リングの内周に沿って等間隔に複数の副排気口が設けられ、前記真空排気部は各前記副排気口にそれぞれ接続されたスパッタリング装置である。
本発明はスパッタリング装置であって、各前記隔壁は長手方向をそれぞれ有し、各前記隔壁の前記長手方向は各前記ターゲットの前記長手方向と平行に向けられ、各前記隔壁の前記長手方向に沿った一端と他端は、前記真空槽の壁面にそれぞれ密着されたスパッタリング装置である。
【発明の効果】
【0014】
各ターゲット装置内に導入された反応ガスは隔壁で遮られるため、一のターゲット装置内での反応ガスの増減が、他のターゲット装置内の反応ガスの分圧に干渉することはなく、各ターゲット装置毎に分圧を容易に制御できる。
各ターゲット表面上の反応ガスの分圧を予め定められた値にできるため、各ターゲットを互いに同じ速度でスパッタして、基板表面に均一な膜厚の薄膜を形成できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明のスパッタリング装置の内部側面図
【図2】本発明のスパッタリング装置の内部平面図
【図3】本発明のスパッタリング装置の第二例の内部側面図
【図4】従来のスパッタリング装置の内部側面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のスパッタリング装置の構造を説明する。
図1はスパッタリング装置10の内部側面図、図2は同内部平面図である。
【0017】
スパッタリング装置10は、真空槽11と、真空槽11内に、互いに離間して一直線L上に一列に並んで配置された複数個のターゲット211〜214と、隣り合う二個のターゲット211、212又は213、214を一組として、一組のターゲット211、212又は213、214間に電圧が印加されるターゲット装置2012、2034と、真空槽11内に反応ガスを導入する反応ガス導入部1312、1334と、真空槽11内を真空排気する真空排気部30とを有している。本発明で「反応ガス」とは、ターゲット211〜214の表面と化学反応するガスであり、例えばO2ガスやN2ガスである。
【0018】
本実施形態では、各ターゲット211〜214は長手方向をそれぞれ有し、各長手方向は一直線Lに対して直角な同一方向に向けられている。
ここでは、各ターゲット211〜214は平板形状であり、表面を一直線Lに対して直角な同一方向に向けて配置されている。
【0019】
各ターゲット211〜214表面と対面する位置には、各ターゲット211〜214表面と離間して対向して基板18が配置されるようになっている。
各ターゲット211〜214の表面とは逆の裏面には、導電性のバッキングプレート221〜224が密着してそれぞれ配置され、バッキングプレート221〜224には電源2412、2434が電気的に接続されている。
電源2412、2434を動作させると、バッキングプレート221、222又は223、224を介して、一組のターゲット211、212又は213、214間に電圧が印加されるようになっている。
【0020】
各ターゲット211〜214の裏面側には、磁石装置271〜274がそれぞれ配置されている。各磁石装置271〜274のうち、バッキングプレート221〜224の裏面と対向する部分には磁極がそれぞれ設けられ、磁極から放射された磁力線は、各ターゲット211〜214を貫通して、各ターゲット211〜214の表面上に磁場が形成されるようになっている。
【0021】
本発明のスパッタリング装置10では、各ターゲット装置2012、2034は、一組のターゲット211、212又は213、214の互いに対向する側面とは逆側の側面に対向して配置された隔壁231、232又は233、234と、各隔壁231〜234と、隣接するターゲット211〜214との間に設けられ、反応ガス導入部1312、1334に接続されたガス導入口281〜284と、真空槽11の底面(ターゲット211〜214の裏面側の壁面)に設けられ、真空排気部30に接続された主排気口2512、2534とをそれぞれ有している。
【0022】
隔壁231〜234と、その隔壁231〜234に隣接するターゲット211〜214との間には、直線状のガス導入管261〜264が、ターゲット211〜214の長手方向と平行に延設され、ガス導入口281〜284はガス導入管261〜264の管壁に長手方向に沿って複数設けられている。
【0023】
反応ガス導入部1312、1334はガス導入管261〜264に接続されており、ガス導入部1312、1334から反応ガスを放出させると、放出された反応ガスは、ガス導入管261〜264の内側を通って、各ガス導入口281〜284から真空槽11内に、長手方向に対して均一な流量で、導入されるようになっている。
【0024】
本実施形態では、各反応ガス導入部1312、1334は、それぞれ異なるターゲット装置2012、2034の一組のガス導入管261、262又は263、264に接続され、ターゲット装置2012、2034毎に個別にガスの導入量を制御できるようになっている。一組のガス導入管261、262又は263、264のガス導入量は互いに等しくされている。
【0025】
隔壁231〜234の、ターゲット211〜214の長手方向に沿った一端と他端は、真空槽11の壁面にそれぞれ密着されている。また、隔壁231〜234の、真空槽11の底面側の端部は、真空槽11の底面に密着されている。そのため、一のターゲット装置2012又は2034のガス導入口281、282又は283、284から導入された反応ガスは、隔壁231、232又は233、234に遮られて、隣接する他のターゲット装置2034又は2012内に流入しないようになっており、各反応ガス導入部1312、1334の放出量を制御すると、各ターゲット装置2012、2034毎に、個別に反応ガスの分圧を制御することができる。
【0026】
主排気口2512、2534は、ターゲット装置2012、2034毎に個別に、真空槽11の底面に設けられている。ここでは、主排気口2512、2534は、一組のターゲット211、212又は213、214の中心を結ぶ線分の垂直二等分線上に、一列に並んで配置されているが、垂直二等分線を対称軸とする線対称な配置であればよく、二列以上に並んで配置されていてもよい。
【0027】
ここでは真空排気部30は第一の真空ポンプ31を有しており、第一の真空ポンプ31は主排気口2512、2534に接続されている。
第一の真空ポンプ31を動作させると、ガス導入口281、282又は283、284から導入された反応ガスは、一組のターゲット211、212又は213、214間を通って主排気口2512、2534から真空排気されるようになっている。
【0028】
そのため、一組のターゲット211、212又は213、214の表面上では反応ガスの排気速度が互いに等しくなり、一組のガス導入口281、282又は283、284からのガス導入量が互いに等しい場合には、一組のターゲット211、212又は213、214の表面上では、反応ガスの分圧が互いに等しくなる。
【0029】
本実施形態では、主排気口2512、2534はターゲット211〜214の長手方向と平行に並んで複数個配置されている。そのため、反応ガスの排気速度は、ターゲット211〜214の長手方向に対して均一になっている。
【0030】
真空槽11の壁面のうち、ターゲット211〜214と基板18との間の放電空間55と対面するリング状の範囲には、リングの内周に沿って等間隔に複数の副排気口16a〜16dが設けられ、真空排気部30は各副排気口16a〜16dに接続されている。各副排気口16a〜16dは放電空間55に露出している。
【0031】
ここでは真空排気部30は複数の第二の真空ポンプ32a〜32dを有しており、各第二の真空ポンプ32a〜32dはそれぞれ異なる副排気口16a〜16dに接続されている。
各第二の真空ポンプ32a〜32dを動作させると、ターゲット211〜214と基板18との間の放電空間55は、放電空間55に露出する各副排気口16a〜16dから直接真空排気され、放電空間55のガスの圧力が基板18表面内で均一になるようにされている。
【0032】
なお、各副排気口16a〜16dに同一の真空ポンプが接続された構成も本発明に含まれるが、基板18が大型化し、放電空間55が大型化する場合には、各副排気口16a〜16dにより大きな排気能力が要求されるため、各副排気口16a〜16dにそれぞれ異なる真空ポンプ32a〜32dが接続された構成の方が好ましい。
【0033】
<スパッタリング装置の使用方法>
本発明のスパッタリング装置10を用いた薄膜の形成方法を、IGZO膜の形成方法を一例に説明する。
【0034】
各ターゲット211〜214の材質はここではIGZO(InGaZnOx)であり、反応ガスにはO2ガスを使用する。
スパッタリング中の反応ガスの分圧の値をあらかじめ定めておく。
【0035】
真空排気部30を動作させて、真空槽11内を真空排気し、真空雰囲気を形成する。以後、真空排気部30の動作を継続して、真空槽11内の真空雰囲気を維持する。
真空槽11内の真空雰囲気を維持しながら、基板18を真空槽11内に搬入し、各ターゲット211〜214の表面と対面する位置に、各ターゲット211〜214表面と離間して対向して基板18を配置する。基板18の外周部分と対面する位置には防着部材19が離間して配置され、基板18の外周部分に薄膜が付着することが防止されている。
【0036】
真空槽11の、基板18の裏面側の壁面には、スパッタガスを放出するスパッタガス導入部15と、真空排気部30とがそれぞれ接続されている。ここでは真空排気部30は第三の真空ポンプ33a、33bを有しており、第三の真空ポンプ33a、33bが基板18の裏面側の壁面に接続されている。スパッタガスにはここではArガスを使用する。
【0037】
真空排気された真空槽11内に、スパッタガス導入部15からスパッタガスを導入し、反応ガス導入部1312、1334からガス導入口281〜284を通して反応ガスを導入する。
スパッタガス導入部15から導入されたスパッタガスは、基板18の外周部分と防着部材19との間の隙間を通って、放電空間55に流入する。一方、各ガス導入口281〜284から導入された反応ガスは、各隔壁231〜234と隣接するターゲット211〜214との間の隙間を通って各ターゲット211〜214表面上に流入する。
【0038】
反応ガス導入部1312、1334からの反応ガス導入量を制御して、各ターゲット装置2012、2034毎に個別に反応ガスの分圧を制御し、各ターゲット211〜214表面上の反応ガスの分圧を予め定めた値にする。
【0039】
一のターゲット装置2012又は2034内に導入された反応ガスは、隔壁231、232又は233、234に遮られて、隣接する他のターゲット装置2034又は2012内に流入しない。そのため、一のターゲット装置2012又は2034内での反応ガスの増減が、他のターゲット装置2034又は2012内の反応ガスの分圧に干渉することはなく、各ターゲット装置2012、2034毎に分圧を容易に制御することができる。
【0040】
各ターゲット装置2012、2034のターゲット211〜214表面上に導入された反応ガスは、一組のターゲット211、212又は213、214間を通って主排気口2512、2534から真空排気される。そのため、一組のターゲット211、212又は213、214の表面上では反応ガスの排気速度が互いに等しくなり、反応ガスの分圧が互いに同じになる。
以後、反応ガス導入部1312、1334からの反応ガス導入量の制御を継続して、各ターゲット211〜214表面上の反応ガスの分圧を予め定めた値に維持する。
【0041】
真空槽11を接地電位にし、電源2412、2434から各ターゲット装置2012、2034のターゲット211、212又は213、214間に、ここでは互いに逆極性の電圧を交互に印加すると、一方のターゲット(例えば符号211と213のターゲット)が負電位に置かれてカソードになるときに、他方のターゲット(符号212と214のターゲット)はアノードになり、ターゲット211〜214表面上ではスパッタガスと反応ガスとが電離されてプラズマが生成され、スパッタガスのイオンは負電位に置かれたターゲット211〜214の表面に入射して、ターゲット211〜214の表面をスパッタする。
各ターゲット211〜214表面上では、反応ガスの分圧は予め定められた値にされており、各ターゲット211〜214表面は互いに同じ速度でスパッタされる。
【0042】
ターゲット211〜214表面からスパッタされたスパッタ粒子は、各ターゲット211〜214の表面と対向して配置された基板18に到達し、基板18表面に薄膜が形成される。各ターゲット211〜214表面は互いに同じ速度でスパッタされ、基板18表面のうち、各ターゲット211〜214の表面と対向する部分の成膜速度は互いに等しく、形成される薄膜の膜厚は基板18表面内で均一になる。
【0043】
所定の膜厚の薄膜を形成した後、電源2412、2434からの電圧印加を停止してプラズマを消失させ、スパッタガス導入部15、反応ガス導入部1312、1334からのスパッタガス、反応ガスの導入をそれぞれ停止する。成膜済みの基板18を真空槽11の外側に搬出する。次いで、未成膜の基板18を真空槽11内に搬入し、上述の成膜工程を繰り返す。
【0044】
なお、磁石装置271〜274にはターゲット装置2012、2034毎に不図示の磁石揺動装置がそれぞれ接続され、成膜中に磁石装置271〜274をターゲット装置2012、2034毎にターゲット211〜214表面と平行な方向に揺動させ、各ターゲット211〜214表面のエロージョン領域を拡大させてもよい。ターゲット211〜214の寿命を延ばすことができるという利点がある。
【0045】
また、基板18には不図示の基板揺動装置が接続され、成膜中に、一組のターゲット211、212又は213、214の中心間距離を一ピッチとし、一直線Lと平行にここでは半ピッチ分、基板18を揺動させてもよい。基板18を静止させた状態で成膜を行うと、各ターゲット211〜214の中心の真上位置と、一組のターゲット211、212又は213、214間の真上位置とでは、プラズマ密度の違いに起因して膜厚差が生じるおそれがあるが、基板18を揺動させると、この膜厚差を解消でき、薄膜の膜厚の均一性をより改善することができる。
【0046】
上述の実施形態では、各ターゲット211〜214は平板形状であったが、図3に示すように、各ターゲット211〜214は細長の円筒形状であり、中心軸線を中心に回転できるように構成されていてもよい。
【0047】
なお、本実施形態では、各ターゲット211〜214の長手方向は鉛直方向と平行に向けられているが、本発明の各ターゲット211〜214の向きはこれに限定されず、各ターゲット211〜214の長手方向が水平に向けられ、各ターゲット211〜214表面が鉛直上方に向けられていてもよいし、各ターゲット211〜214の長手方向が水平に向けられ、各ターゲット211〜214表面が鉛直下方に向けられていてもよい。
【0048】
図1〜3の図面上では、スパッタリング装置10は二台のターゲット装置2012、2034を有しているが、ターゲット装置2012、2034の数は二台に限定されず、三台以上でもよい。
【符号の説明】
【0049】
10……スパッタリング装置
11……真空槽
1312、1334……反応ガス導入部
16a〜16d……副排気口
2012、2034……ターゲット装置
211〜214……ターゲット
231〜234……隔壁
2512、2534……主排気口
281〜284……ガス導入口
30……真空排気部
55……放電空間


【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空槽と、
前記真空槽内に、互いに離間して一直線上に一列に並んで配置された複数個のターゲットと、
隣り合う二個の前記ターゲットを一組として、一組の前記ターゲット間に電圧が印加されるターゲット装置と、
前記真空槽内に反応ガスを導入する反応ガス導入部と、
前記真空槽内を真空排気する真空排気部と、
を有し、真空排気された前記真空槽内に反応ガスを導入し、各前記ターゲット装置の前記ターゲットに電圧を印加してスパッタし、各前記ターゲットと対向して配置された基板に薄膜を形成するスパッタリング装置であって、
各前記ターゲット装置は、
一組の前記ターゲットの互いに対向する側面とは逆側の側面に対向して配置された隔壁と、
前記隔壁と、隣接する前記ターゲットとの間に設けられ、前記反応ガス導入部に接続されたガス導入口と、
前記真空槽の底面に設けられ、前記真空排気部に接続された主排気口と、
をそれぞれ有し、
前記ガス導入口から導入された前記反応ガスは、一組の前記ターゲット間を通って前記主排気口から真空排気されるスパッタリング装置。
【請求項2】
各前記ターゲットは長手方向をそれぞれ有し、各前記長手方向は前記一直線に対して直角な同一方向に向けられ、
前記主排気口は前記長手方向と平行に並んで複数設けられた請求項1記載のスパッタリング装置。
【請求項3】
前記真空槽の壁面のうち、各前記ターゲットと前記基板との間の放電空間と対面するリング状の範囲には、リングの内周に沿って等間隔に複数の副排気口が設けられ、
前記真空排気部は各前記副排気口にそれぞれ接続された請求項1又は請求項2のいずれか1項記載のスパッタリング装置。
【請求項4】
各前記隔壁は長手方向をそれぞれ有し、各前記隔壁の前記長手方向は各前記ターゲットの前記長手方向と平行に向けられ、
各前記隔壁の前記長手方向に沿った一端と他端は、前記真空槽の壁面にそれぞれ密着された請求項2記載のスパッタリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−49884(P2013−49884A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−187684(P2011−187684)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】