説明

スパッタ源、スパッタ装置

【課題】有機薄膜表にダメージを与えずにその表面にスパッタ膜を形成する。
【解決手段】
ターゲット113aが配置された筒状側壁103の開口に、粒子通路130aを配置し、その両側に、第一、第二のトラップ磁石121a、122aを配置し、粒子通路130aに磁力線を形成する。粒子通路130を通過しようとするスパッタリング粒子の中で、中性粒子だけが直進でき、それにより、成膜対象物の有機薄膜表面にスパッタ膜が形成される。荷電粒子や電子は磁力線によって飛行方向が曲げられ、有機薄膜表面に到達できないので、有機薄膜へのダメージが小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は有機EL素子の製造方法および製造装置に関し、特に有機層上にスパッタリングにより電極を形成する有機EL素子の製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来では有機層上に電極、特に金属もしくは合金の電極を形成する場合、蒸着法が採用されていた。蒸着法では、電子などがほとんど発生せず有機層に損傷を与えないためである。
【0003】
しかし、蒸着法では、金属もしくは合金を高温に加熱して蒸発させ有機層が形成された基板に蒸着するため、有機層が高温で損傷しないよう、蒸着源を基板から充分離し、かつ基板を冷却する必要があった。さらに、温度上昇を抑えるため成膜速度も速くできなかった。
【0004】
さらに、蒸着法では高沸点の金属は使用できないため、使用する金属に制限があった。特に、高沸点の金属化合物等は使用できなかった。
このため、スパッタリングにより有機層上に電極膜を形成する方法が提案されている。
【0005】
しかし、通常の半導体上などに電極膜を形成するスパッタリング方法では、発生した荷電粒子が有機層に損傷を与える場合がある。有機EL等で使用される有機層は非常に繊細なため、入射した荷電粒子による損傷で電子もしくはホールの伝達等の機能が消失もしくは著しく低下する場合がある。
【0006】
このため、基板とターゲットの間に、接地電位もしくは正電位のグリッド電極やアパーチャを設けて基板に衝突する電子を減少させる技術が公開されている(特許文献1)。
【0007】
さらに、基板とターゲットの間に、基板と平行な磁場を発生させ基板に衝突する電子を減少させる技術が公開されている(特許文献2)。
【0008】
しかし、上記従来技術では、基板の大型化に伴いグリッド電極やアパーチャの大型化、磁場発生装置の大型化が必要で、実質的に対応が困難である。さらに、大きなグリッド電極やアパーチャを備えると、クリーニングの頻度が大きくなりメンテナンス上不利になる場合もある。さらに、汚れの剥離によるアーキングなどの影響を大きく受ける場合もある。
【0009】
さらにまた、複数の金属を同時にもしくは順次に成膜する場合に、一の装置で実施できない場合があった。
【特許文献1】特開平10−158821
【特許文献2】特開平10−228981
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
有機層上にスパッタリングにより金属等のスパッタ膜を形成する場合に、有機層へのダメージを抑えることができる電極膜の形成方法および形成装置を提供する。
さらに、基板が大型化しても対応が容易であるスパッタ膜の形成方法および形成装置を提供する。
【0011】
さらに、複数の金属を同時もしくは順じ、一の装置で形成できるスパッタによる電極膜の形成装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明は、ターゲットと、前記ターゲットを取り囲む筒状側壁とを有し、前記筒状側壁の筒先端に形成された粒子通路から前記ターゲットのスパッタリング粒子が放出されるように構成されたスパッタ源であって、前記粒子通路に磁力線を形成する磁力線形成部とを有し、前記筒状側壁から該スパッタ源の外部に放出される荷電粒子の飛行方向は、前記磁力線で曲げられるように構成されたスパッタ源である。
また、本発明は、導電性の板に複数の孔が形成されたフィルタ板が前記筒先端に配置され、前記粒子通路は前記フィルタの孔によって構成されたスパッタ源である。
また、本発明は、前記フィルタ板は、前記スパッタ源が配置された真空槽と同電位に接続されたスパッタ源である。
また、本発明は、前記磁力線形成部は、前記筒先端に配置された第一のトラップ磁石と、前記第一のトラップ磁石の外側に離間して配置された第二のトラップ磁石を有し、前記粒子通路に形成される磁力線は、前記第一、第二のトラップ磁石の間に形成されるスパッタ源である。
また、本発明は、真空槽内に本発明のスパッタ源が配置され、前記スパッタ源により、前記真空槽内に搬入された成膜対象物に薄膜を形成するように構成されたスパッタ装置である。
【0013】
本発明は上記のように構成されており、筒状側壁内で生成されたスパッタリング粒子が通る粒子通路を有しており、磁力線形成部が粒子通路に配置する磁力線により、粒子通路を通過する荷電粒子の飛行方向が曲げられ、成膜対象物に到達しないように構成されている。フィルタ板や導電性蓋部が接地電位に接続される場合は、荷電粒子はフィルタ板や蓋部に入射し、粒子通路を通過できない。
成膜対象物には電子や他の荷電粒子は入射しないので、成膜対象物表面の有機薄膜にダメージが生じない。
【発明の効果】
【0014】
有機薄膜表面にスパッタ膜を形成する際、電子やイオンが有機薄膜表面に入射しないので、有機薄膜にダメージが生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1を参照し、符号10は、本発明のスパッタ装置である。その真空槽5の底壁上には、一乃至複数台の本発明の第一例のスパッタ源11が配置されている。
【0016】
真空槽5の天井側には、成膜対象物6が配置されている。真空槽5には真空排気系9が接続されており、真空槽5内を真空排気し、真空槽5の内部と第一例のスパッタ源11(及び後述する各例のスパッタ源)の内部を真空雰囲気に置けるように構成されている。
スパッタ源11は、後述するように、真空槽5内にスパッタリング粒子を放出するように構成されている。
【0017】
成膜対象物6の表面には有機薄膜が形成されている。成膜対象物6は、スパッタ源11と対向した状態で回転するように構成されており、スパッタ源11から放出されたスパッタリング粒子は成膜対象物6の有機薄膜表面に均一に到達し、有機薄膜表面に膜厚分布が均一なスパッタ薄膜が形成されるようになっている。
【0018】
この例ではスパッタ源11は、二台であり、成膜対象物6は、スパッタ源11の中央付近の上に配置され、両方のスパッタ源11から放出されるスパッタリング粒子が成膜対象物6表面に到達するように構成されている。両方のスパッタ源11から同じ物質のスパッタリング粒子を放出してもよいし、異なる物質のスパッタリング粒子を放出するようにしてもよい。
【0019】
図2は、第一例のスパッタ源11の内部概略図であり、図5は、その概略斜視図、図6は分解斜視図である。
【0020】
このスパッタ源11は、ターゲット部110aと、該ターゲット部110aを取り囲む筒状側壁103とを有しており、筒状側壁103の一端である開口部分には、第一のトラップ磁石121aが配置されている。図2の符号108は、筒状側壁103の開口部分を構成する筒先端を示している。
【0021】
筒状側壁103の外周の側面には、第二のトラップ磁石122aが配置されている。筒状側壁103は円筒形や角筒形等の筒形であり、第一、第二のトラップ磁石121aはリング状である。
【0022】
第1のトラップ磁石121aは筒状側壁103の外部であって、筒状側壁103の開口部分上に位置している。第1のトラップ磁石121aは、筒先端108よりも小さく、筒先端108との間で、後述するスパッタリング粒子中の中性粒子が通過する隙間である粒子通路130aが成されている。
【0023】
第一のトラップ磁石121aの中央には、蓋部135が配置されており、第一のトラップ磁石121aの中央を閉塞しており、スパッタ粒子は第一のトラップ磁石121aよりも内側は通過せず、後述するように、粒子通路130aを通って筒状側壁103の外部に放出されるように構成されている。なお、ここでは、蓋部135は不図示の部材によって筒先端108に取りつけられている。
【0024】
第二のトラップ磁石122aは、筒状側壁103よりも大きく形成されており、筒状側壁103の外周に位置し、筒状側壁103を取り囲んでいる。
その結果、小さい方の第一のトラップ磁石121aは大きい方の第二のトラップ磁石122aの内側に位置しており、中性粒子が通過する粒子通路130aは第一のトラップ磁石121aと第二のトラップ磁石122aの間に位置している。
【0025】
第一、第二のトラップ磁石121a、122aは、粒子通路130aを間に挟んで異なる磁極が位置するように構成されており、例えば、第一のトラップ磁石121aの外周がN極であれば、第二のトラップ磁石122aの内周側又は上部はS極にされている。
【0026】
従って、第一、第二のトラップ磁石121a、122aとで粒子通路130aに磁力線が形成されている。符号120aは、第一、第二のトラップ磁石121a、122aから成る磁力線形成部を示している。
【0027】
筒状側壁103は有底であり、底面部分102とで容器状になっている。ここでは筒状側壁103は円筒形であり、従って、底面部分102は円形である。第一、第二のトラップ磁石121a、122aは円形リング状である。
【0028】
ターゲット部110aは、ターゲットホルダ112aを有しており、ターゲットホルダ112a上にはターゲット113aが配置され、裏面には、マグネトロン磁石114aが配置されている。
【0029】
ターゲット部110aは、マグネトロン磁石114a側が底壁102aに向けられ、ターゲット113a側が筒先端108に向けられている。従って、筒状側壁103の開口部の下にはターゲット113aの表面が露出されている。
【0030】
真空槽5が接続された電位を接地電位としたとき、ターゲットホルダ112aは、不図示のスパッタ電源に接続され、ターゲット113aにスパッタ電圧(直流の負電圧、交流電圧、又は負のバイアス電圧を含む交流電圧)が印加されるように構成されている。
【0031】
筒状側壁103には、スパッタリングガス導入系109が接続されており、真空排気系9によって真空槽5の内部と筒状側壁103の内部が真空雰囲気に置かれた後、スパッタリングガス導入系109から筒状側壁103の内部にスパッタリングガスを導入し、ターゲットホルダ112aにスパッタ電圧を印加すると、ターゲット113a表面近傍にプラズマが発生する。プラズマは筒状側壁103内部に発生する。
【0032】
そのプラズマにより、ターゲット113a表面から、ターゲット113aを構成する材料から成るスパッタリング粒子が飛び出す。そのスパッタリング粒子やプラズマ中に含まれる電子は、粒子通路103を通って筒状側壁103の外部に飛び出そうとする。
【0033】
スパッタリグ粒子には、正のイオン、負のイオン、及び中性粒子が含まれるが、正又は負のイオンや電子が、粒子通路130aを通過する際に磁力線形成部120aが形成する磁力線を横切ろうとすると、磁力線によって飛行方向が曲げられる。
【0034】
このスパッタ源11及び後述する各スパッタ源12〜17は、粒子通路130aに配置された磁力線は、成膜対象物6の表面に対して略平行になっており、電子や正又は負の荷電粒子は磁力線に巻き付き、移動方向が成膜対象物6とは平行な方向に変更され、その結果、第一又は第二のトラップ磁石121aが位置する方向に向かって飛行する。
【0035】
成膜対象物6は、このスパッタ源11及び後述する各スパッタ源12〜17の上方に位置しており、スパッタ源11〜17内部から成膜対象物6に向かって飛行する中性粒子には磁力線の影響は少なく、直進して成膜対象物6の有機薄膜表面に入射する。
【0036】
従って、有機薄膜には電子や正又は負の荷電粒子は入射せず、スパッタ膜は、中性粒子によって形成される結果、有機薄膜に電荷は蓄積されず、ダメージが生じない。
【0037】
筒状側壁103と蓋部135は金属製であり、筒状側壁103と蓋部135の間は絶縁されている。筒状側壁103は、真空槽5や他の部材に対して絶縁されている。
【0038】
この第一例のスパッタ源11、及び下記の第二、第三例のスパッタ源12、13でも、筒状側壁103を浮遊電位に置き、蓋部135をターゲット113a、113bの電位よりも接地電圧に近い電位、接地電位、又は正電位に置き、電子や負の荷電粒子を蓋部135に入射させることができる。
【0039】
その場合、電子や負の荷電粒子は蓋部135に入射し、外部に放出されず、有機薄膜に入射されることがない。なお、筒状側壁103は絶縁物で構成することもできる。
【0040】
上記第一例のスパッタ源11では、第二のトラップ磁石122aが筒状側壁103の外周に配置されていたが、本発明のスパッタ源はそれに限定されるものではない。
【0041】
図3に示した本発明の第二例のスパッタ源12では、上記第一例のスパッタ源11と同様に、第一のトラップ磁石121bは、筒状側壁103の外部であって、筒状側壁103の一端である開口部分付近に配置されている。
他方、第二のトラップ磁石122bは、筒状側壁103の外周ではなく、筒状側壁103の外部であって、筒先端108付近に配置されている。
【0042】
第一、第二のトラップ磁石121b、122bはリング状であり、第一のトラップ磁石121bは、筒先端108よりも小さく、第一のトラップ磁石121bの外周と筒先端108との間は離間されている。
【0043】
第二のトラップ磁石122bは第一のトラップ磁石121bよりも大きく、第一のトラップ磁石121aが位置する平面内に位置し、第一のトラップ磁石121aの外周を取り囲むように配置されている。
【0044】
従って、小径の第一のトラップ磁石121bの外周と、第二のトラップ磁石122bの内周とは向き合っており、中性粒子が通過する粒子通路130bは、第一、第二のトラップ磁石121b、122bの間に位置している。
【0045】
第一のトラップ磁石121bの中央は、蓋部135によって閉塞されており、筒状側壁103内部で生成されたスパッタリング粒子が筒状側壁103の外部に飛び出す際には、第一のトラップ磁石121aよりも内側位置と、第二のトラップ磁石122bよりも外側位置は通過せず、第一、第二のトラップ磁石121b、122b間の粒子通路130bを通過するように構成されている。
【0046】
第一のトラップ磁石121bの外周と第二のトラップ磁石122bの内周には異なる磁極が配置されており、第一、第二のトラップ磁石121b、122bにより、粒子通路130bに磁力線を形成する磁力線形成部120bが構成されている。
【0047】
従って、この第二例のスパッタ源12でも、第一例と同様に、粒子通路130bを通過しようとする荷電粒子や電子は磁力線を横切る際に飛行方向が曲げられ、他方、中性粒子は直進して成膜対象物6に到達できる。
【0048】
上記第一例のスパッタ源11では、ターゲット113aは平坦な板であり、その表面が筒状側壁108の中心軸線に対して垂直であったが、それに限定されない。
【0049】
図4に示した第三例のスパッタ源12では、筒状側壁103内部に配置されたターゲット部110bが、筒状側壁103の内部に挿入され、筒状側壁103の内周に沿って配置された筒状のターゲット113bを有している。このターゲット113bの外周には、ターゲットホルダ112bが配置され、ターゲットホルダ112bの外周には、ターゲット113bの外周をを取り囲むリング状のマグネトロン磁石114bが配置されている。
【0050】
他の構成は第一例のスパッタ源11と同じであり、筒状側壁103内部のターゲット113bで囲まれた空間内にプラズマが形成される。
【0051】
この第三例のスパッタ源13でも、磁力線形成部120aによって、筒状側壁103の先端位置の粒子通路130aに磁力線が配置されており、円筒のターゲット113bから飛び出したスパッタ粒子のうちの中性粒子や電荷/質量比の小さな荷電粒子によってスパッタ薄膜が形成されるようになっている。
【0052】
次に、図7〜図9の第四〜第六例のスパッタ源14〜16は、それぞれ本発明の第一〜第三例のスパッタ源11〜13の変形例である。第四〜第六例のスパッタ源14〜16では、第一のトラップ磁石121a(又は121b)と筒先端108との間に第一のフィルタ板140aが配置されている。他の構成は、第四から第六例の各スパッタ源14〜16に対応する第一例から第三例のスパッタ源11〜13と同じ構成である。
【0053】
図12は、第一のフィルタ板140aの平面図である。
第四例〜第六例のスパッタ源14〜16では、第一例のフィルタ板140aは他のフィルタ板に交換することができる。
【0054】
図13(a)は、第一のフィルタ板140aと交換可能な第二のフィルタ板140bの平面図であり、同図(b)は、その斜視図である。第一、第二のフィルタ板140a、140bは、板状の金属や絶縁物から成る遮蔽部材141a、141bと、遮蔽部材141a、141bに形成された孔142a、142bで構成されている。
【0055】
第一のフィルタ板140aの孔142aは小さい円形や小さい四角形であり、遮蔽部材141aに多数個形成されており、第一のフィルタ板104aが筒先端108条に配置された第四〜第六例のスパッタ源14〜16では、それら多数の孔142aによって、粒子通路130bが形成されている。
【0056】
第二のフィルタ板140bの孔142bは、幅狭のリング状であり、孔142bの内側に第一のトラップ磁石121a、121bが配置され、孔142bの外側に第二のトラップ磁石122a、122bが配置されるようになっている。
第二のフィルタ板140bが筒先端108に配置された状態では、第二のフィルタ板140bの孔142bによって粒子通路が形成される。
【0057】
図14の符号17は、第四のスパッタ源14の第一のフィルタ板140aを第二のフィルタ板140bに交換した第七例のスパッタ源であり、第二のフィルタ板140bの孔142bによって粒子通路130cが形成されている。第五、第六のスパッタ源15、16の第一のフィルタ板140aを第二のフィルタ板140bに交換でき、その場合もリング状の孔142bによって粒子通路が形成される。
【0058】
第一又は第二のフィルタ板140a、140bを有する第四〜第七例のスパッタ源14〜16では、各ターゲット部110a、110bのターゲット113a、113bから放出されたスパッタリング粒子は、孔142a、142bが構成する粒子通路130b、130cを通って外部に飛び出そうとする。
【0059】
その際、第一、第二のトラップ磁石121a、121b、122a、122bが粒子通路130b、130cに形成する磁力線により、中性粒子が直進でき、成膜対象物6に到達できる。従って、有機薄膜にダメージを与えずにスパッタ膜を形成することができる。
【0060】
第一、第二のフィルタ板140a、140bは、筒状側壁103を浮遊電位に置いた状態で、ターゲット113a、113bよりも接地電位に近い負電位、接地電位、又は接地電位を超える正電位に置くことができる。その場合、殆どの電子や負の荷電粒子はフィルタ板140a、140bに入射し、粒子通路130b、130cを通過できない。わずかに通過する電子や荷電粒子は磁力線により概ね完全に捕捉することができる
【0061】
なお、図1のスパッタ装置10では、真空槽5内に同種の第一例のスパッタ源11を複数個配置したが、第一例〜第七例のスパッタ源11〜17のうちの異なる種類のスパッタ源を複数個配置してもよい。また、他のスパッタ源を一緒に配置することができる。
上記筒状側壁103は有底であり、底面部分102を有する容器状であったが、底面部分102は設けなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明のスパッタ装置の一例
【図2】本発明の第一例のスパッタ源
【図3】本発明の第二例のスパッタ源
【図4】本発明の第三例のスパッタ源
【図5】本発明の第一例のスパッタ源の概略斜視図
【図6】本発明の第一例のスパッタ源の分解斜視図
【図7】本発明の第四例のスパッタ源
【図8】本発明の第五例のスパッタ源
【図9】本発明の第六例のスパッタ源
【図10】本発明の第四例のスパッタ源の概略斜視図
【図11】本発明の第四例のスパッタ源の分解斜視図
【図12】第一例のフィルタ板の平面図
【図13】第二例のフィルタ板の、(a):平面図、(b):斜視図
【図14】本発明の第七例のスパッタ源
【符号の説明】
【0063】
10……スパッタ装置
11〜17……第一〜第七例のスパッタ源
103……筒状側壁
108……筒先端
113a、113b……ターゲット
120a、120b……磁力線形成部
121a、121b……第一のトラップ磁石
122a、122b……第二のトラップ磁石
130a、130b、130c……粒子通路
140a、140b……フィルタ板
142a、142b……孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ターゲットと、
前記ターゲットを取り囲む筒状側壁とを有し、
前記筒状側壁の筒先端に形成された粒子通路から前記ターゲットのスパッタリング粒子が放出されるように構成されたスパッタ源であって、
前記粒子通路に磁力線を形成する磁力線形成部とを有し、
前記筒状側壁から該スパッタ源の外部に放出される荷電粒子の飛行方向は、前記磁力線で曲げられるように構成されたスパッタ源。
【請求項2】
導電性の板に複数の孔が形成されたフィルタ板が前記筒先端に配置され、前記粒子通路は前記フィルタの孔によって構成された請求項1記載のスパッタ源。
【請求項3】
前記フィルタ板は、前記スパッタ源が配置された真空槽と同電位に接続された請求項2記載のスパッタ源。
【請求項4】
前記磁力線形成部は、前記筒先端に配置された第一のトラップ磁石と、
前記第一のトラップ磁石の外側に離間して配置された第二のトラップ磁石を有し、
前記粒子通路に形成される磁力線は、前記第一、第二のトラップ磁石の間に形成される請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載のスパッタ源。
【請求項5】
真空槽内に請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載のスパッタ源が配置され、
前記スパッタ源により、前記真空槽内に搬入された成膜対象物に薄膜を形成するように構成されたスパッタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−257498(P2006−257498A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−76677(P2005−76677)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000231464)株式会社アルバック (1,740)
【Fターム(参考)】