説明

スパッタ装置

【課題】スパッタ装置におけるアノード消失を防止する。
【解決手段】処理室2内でターゲットのスパッタリングによって基板15上に電気的に絶縁物である薄膜を形成するためのスパッタ装置において、処理室2内に、薄膜の原料となるターゲット10a、10bとアノード板20、22、24を備え、ターゲット10a、10bとアノード板20、22、24との間に電圧を印加する電源部12を備え、アノード板20、22、24の少なくとも一部の表面に、大きさ0.5mm〜10mm、深さ1mm〜50mmの穴30を複数形成することで、スパッタリング中にアノードに電気的な絶縁物が堆積してアノードの導電性を損なうのを防止し、長期に亘って良好なスパッタリングを行うことを可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、処理室内にターゲットとアノードを備え、前記ターゲットをスパッタリングして処理室内の設置した基板に電気的に絶縁物である薄膜を形成するスパッタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
反応性スパッタ装置では、内部雰囲気の設定が可能な処理室を有し、該処理室内に薄膜原料となるターゲットと、アノードとを配置し、処理室内にプラズマ用ガスおよび反応性ガスを導入するとともにターゲットとアノードとの間に電圧を印加する。これにより放電が生じ、処理室内でプラズマ用ガスがプラズマ化される。このプラズマガスによってターゲットがスパッタリングされるとともに反応性ガスと反応して、薄膜を構成するスパッタリング粒子が生成される。スパッタリング粒子は、酸化物や窒化物などの電気的絶縁物からなり、処理室内で飛散して処理室内に配置された基板上に堆積して所望の薄膜を基板上に形成する。
【0003】
しかし、スパッタリングを継続していると、スパッタリング粒子が基板表面以外にアノード表面に付着、堆積する。従来のスパッタ装置は、処理室内壁にスパッタリング粒子が堆積しないように防着板が配置され、この防着板がアノード電位となるように構成されている。したがって反応性スパッタ法で直流またはパルス放電により薄膜を形成しようとする場合、防着板にスパッタリング粒子が次第に堆積する。
スパッタリング粒子は、上記したように電気的絶縁物からなるので、アノード表面に堆積すると、アノード抵抗が増加し、最終的には絶縁化状態に及ぶ。この抵抗の変化は、放電状態の安定性を阻害し、放電が不安定になってスパッタリングを良好に行うことが難しくなる。この現象をアノードの消失と称することもある。
【0004】
上記アノードの消失については、従来から問題視されており、種々の対策が提案されている。例えば、特許文献1では、アノードとなる電極板を間隙を有して多重に重ねることで、アノードに絶縁膜が付着しない領域を設けるものとしている。
また、特許文献2では、金属材料からなる防着板を電気的にフロート状態に配置したスパッタリング装置が提案されている。
さらに、特許文献3では、ターゲットに挟まれた位置にアノードを配置し、また、ターゲットのエロージョン領域の一部とアノードとの距離を所定範囲に設定することで、アノードに絶縁物が付着して不動態化するのを最小限に抑えるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08−232064号公報
【特許文献2】特開2000−232064号公報
【特許文献3】特開2007−131930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記提案技術では、アノードの消失を十分に防止することができない。また、特許文献1〜3では、アノードの形状や配置位置が制限され、自由な装置設計の妨げになるという問題がある。
本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、部材配置などの制約を生じることなくアノードの消失を効果的に防止することができるスパッタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明のスパッタ装置のうち、第1の本発明は、処理室内でターゲットのスパッタリングによって基板上に電気的に絶縁物である薄膜を形成するためのスパッタ装置において、
前記処理室内に、アノードと、前記薄膜の原料となるターゲットと、を備え、
前記ターゲットとアノードとの間に電圧を印加する電源部を備え、
前記アノードは、少なくとも一部の表面に、大きさ0.5mm〜10mm、深さ1mm〜50mmの穴が複数形成されていることを特徴とする。
【0008】
第2の本発明のスパッタ装置は、前記第1の本発明において、前記穴は底部を有し、前記アノードの他面側に貫通しないものであることを特徴とする。
第3の本発明のスパッタ装置は、前記第1または第2の本発明において、前記ターゲット表面に磁場を作用させる磁石を備えることを特徴とする。
第4の本発明のスパッタ装置は、前記第1〜第3の本発明のいずれかにおいて、前記ターゲットが、互いに対向する複数からなることを特徴とする。
第5の本発明のスパッタ装置は、前記第1〜第4の本発明のいずれかにおいて、当該装置は、反応性スパッタ装置であり、前記処理室に反応性ガスを導入する反応性ガス導入部を備えることを特徴とする。
第6の本発明のスパッタ装置は、前記第1〜第4の本発明のいずれかにおいて、前記ターゲットが、化合物ターゲットであることを特徴とする
第7の本発明のスパッタ装置は、前記第1〜第6の本発明のいずれかにおいて、前記穴が、少なくとも、前記ターゲットに対しアノードの裏面側に形成されていることを特徴とする。
第8の本発明のスパッタ装置は、前記第1〜第7の本発明のいずれかにおいて、前記アノードの少なくとも一部の表面を覆う防着板を備えることを特徴とする。
【0009】
すなわち、本発明によれば、スパッタリングによってアノードの表面に絶縁物が付着する際にも、穴の内部で導電面が確保される。このため、スパッタリングの継続によってアノードが消失することはなく、長期に亘って安定したスパッタリングが可能になる。すなわち、アノードに形成された穴は、シースの現象により穴の内壁に絶縁物の成膜がなされるのを防ぎ、成膜時の最初から終わりまで、アノードにおいて電気的な電子の流れを極力一定に保つことが可能になる。
【0010】
また、穴が形成されている以外は、アノードの形状や配置位置が特に限定されるものではなく、設計の自由度が高くなる。
ただし、アノードは、穴の開口部がプラズマに対して直行するように配置するのは避けて配置することが望ましい。それは、スパッタの原理を考えるならば容易に理解できる。言い換えれば、穴の軸方向がアノード表面に交差しないのが望ましい。
プラズマソースでは上方向と下方向にスパッタリング粒子が飛ぶことになる。スパッタリング粒子の軌道は電子に左右されないが、Ar+イオンは電子に影響される。Arイオンの質量は電子の73000/1で同一電圧で加速した時の速度は271倍となる。
穴の開口部付近に電子とArイオンが存在した場合、電子は穴内部に容易に流れること事ができるがArイオンは急転換できず穴の開口部周辺に激突する。穴周辺は(+)、内部は(−)となりシースの効果によりますますArイオンは入れなくなる。穴の開口部周辺では上記のような電子とArイオンが物理的にスパッタ粒子をバリアすることになる。この作用は、穴の開口部がプラズマに対し斜行していることにより顕著になる。
【0011】
なお、穴は、適度な大きさと深さとを有していることが必要であり、これらが不適当であると、アノードの導電面確保が不十分になる。穴の大きさは、スパッタ粒子と活性化(イオン化)された分子の挙動に関係し、穴の内部深くまで絶縁物が侵入するのを防止する。
ここで、穴の大きさは、円形状の場合で、直径0.5mm〜10mmとする。また、多角形穴などでは、最小大きさ、最大大きさともに0.5mm〜10mmになるように設定する。すなわち、穴は、直径0.5mmの円形と直径10mmの円形の間に収まる大きさを有しているものとする。ただし、効果に影響がない程度に穴のごく一部でこの条件を外れている形状を除外するものではない。なお、穴の大きさは、さらに下限を1.0mm、上限を5.0mmとするのが望ましく、3.0mm±1.0mmの範囲が一層望ましい。
【0012】
次いで、穴の大きさによる作用の違いを図3(a)(b)(c)に基づいて説明する。
図3(c)が、適切な大きさの穴Hによる状況を説明するものである。図に示すように、アノードAの表面には、絶縁物が堆積して絶縁物層Dが生成されており、また穴Hの開口上部側の穴内壁にも絶縁部の回り込みにより絶縁物層Dが形成される。ただし、穴H内での絶縁物の回り込みは穴Hの開口上部側に限られており、それ以上深くにまで絶縁物層Dが成長することがない。このため、穴Hの内壁では開口上部の下方側では絶縁物の回り込みがないか、大幅に少なくなっており、導電面Cが確保されてアノードAとしての機能を良好に維持することができる。
【0013】
一方、図3(a)は、穴Hの大きさが小さすぎる場合(0.5mm未満)を模式的に示している。この例では、アノードAの表面に堆積して形成された絶縁物層Dが、穴Hの周囲から次第に穴側にオーバーハングし、穴内部への電子eの流入を阻害し、高抵抗になって導電性を損なう。オーバーハングがさらに進むと穴の開口を塞いでしまい、最終的には成膜が中断される。
【0014】
また、図3(b)は、穴Hの大きさが大きすぎる場合(10mm超)を模式的に示したものである。穴Hが大きいと、アノードAの表面に達するようなスパッタリング粒子が容易に穴内に入り込み、穴Hの奥深くまで絶縁物層Dを形成してしまう。このため、アノードAは、表面にとどまらず、穴Hの内部までが絶縁物層Dで覆われて比較的早期にアノードが消失しやすくなる。この結果、アノード(電極)のプラズマが不安定、または消失してしまう。より顕著になると成膜が中断される。
【0015】
上記のように、穴の大きさを適正に設定する他、穴の深さを適正に設定することが必要であり、その深さは、1mm〜50mmの範囲内とする。穴深さは、スパッタリングに際してのパワーの大小による粒子のエネルギーに依存し、パワーが大きいほど穴の深さが必要になる。
穴の深さが1mm未満であると、アノードの表面側から回り込んだスパッタリング粒子によって穴の穴壁が覆われ、導電性を維持することが難しくなる。一方、穴の深さが50mmを越えると、真空雰囲気で処理を行う場合、該雰囲気を阻害する。また、同様の理由で下限を10mm、上限を35mmとするのが望ましい。
また、穴は、アノードを表面側から他面側に貫通していないのが望ましい。穴が貫通していると電子が穴を通過してしまい、アノードとしての機能を損なう。
【0016】
上記した穴は、アノードの少なくとも一部の表面に形成されていればよく、アノードの全面に形成されている必要はない。その形成領域は、任意に設定することができ、アノードとして確保したい面積などに応じて適宜設定することができる。
【0017】
上記穴を有するアノードをプラズマソースの内部及びその周辺に配置することにより、スパッタリング粒子の影響を小さくして、電子の流れを一定に保ち、安定した長期放電を可能とすることが出来る。このため、アノードをプラズマ近傍に配置しても支障がない。
【0018】
また、穴を設けたアノードの他に、防着板を設けるようにしてもよい。防着板はアノードとして機能させてもよく、また、フロート電位を与えるようにしてもよい。防着板をアノード電位にする場合に、絶縁物薄膜の形成で防着板の抵抗が変化しても、絶縁物薄膜の形成に影響しない穴あきのアノードを別に有するので、アノード電位を一定にして放電を安定させることができる。アノードと防着板とは、結合または独立した構造とすることができる。
【0019】
なお、本発明は、ターゲットを対向させ、かつ磁石を用いたマグネトロンスパッタ装置においてより顕著な効果が得られる。
また、アノードとなる部材は、ターゲットのエロージョンによって絶縁物膜をできるだけ均一に形成しておき、その後のスパッタに備えることができる。絶縁物膜の均一成膜は、プラズマ生成を抑えてスパッタリングすることによって行うことができる。本発明は、穴が複数形成されていることにより、スパッタに際しアノードにおいて良好な導電性を維持することができる。このため、上記のようにアノード表面に均等に絶縁物膜を形成しても、アノードの消失を招くことがない。しかも、予め絶縁物膜をアノード表面に形成しておくことで、スパッタリング中に次第にアノード表面に絶縁物膜が堆積してプラズマ生成が不安定になるのを防止し、安定したプラズマ生成を可能にする。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明によれば、処理室内でターゲットのスパッタリングによって基板上に電気的に絶縁物である薄膜を形成するためのスパッタ装置において、前記処理室内に、アノードと、前記薄膜の原料となるターゲットとを備え、さらに、前記ターゲットとアノードとの間に電圧を印加する電源部を備え、前記アノードは、少なくとも一部の表面に、穴が分散して形成されており、好ましくは、前記穴の大きさが0.5mm〜10mm、深さが1mm〜50mmであるので、スパッタリング中にアノードに電気的な絶縁物が堆積してアノードの導電性を損なうのを防止し、長期に亘ってアノードの通電が確保され安定したプラズマ生成によって良好なスパッタリングを行うことを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態のスパッタ装置を示す図である。
【図2】同じく一部を拡大して示す斜視図である。
【図3】アノードに設けた穴の大きさによる絶縁物の堆積状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明のスパッタ装置1を示す断面図である。
スパッタ装置1は、内部を真空に調整する処理室2を有し、該処理室2内にターゲット11a、11bを対向して設置するためのターゲット保持板10a、10bを対向して配置されている。ターゲット保持板10a、10bは、処理室2外に配置した外部電源12の陽極に電気的に接続されている。ターゲット11a、11bは、ターゲット保持板10a、10bに設置することで外部電源12に電気的に接続され、カソードとして機能する。 ターゲット保持板10a、10bのそれぞれの上方側および下方側には、互いに異極となる磁極をターゲット対向方向に有する磁石13a、14a、13b、14bを有しており、これら磁石13a、14a、13b、14bは、ターゲット保持板10a、10bに設置されたターゲット11a、11bの表面に磁力を作用させる。
【0023】
また、処理室2には、処理室2内にプラズマ用ガスを導入するプラズマ用ガス供給ライン3がバルブ3aを介して接続され、さらに処理室2内に反応性ガスを導入する反応性ガス供給ライン4がバルブ4aを介して接続されている。プラズマ用ガス供給ライン3は処理室2の上部側側面に接続され、反応性ガス供給ライン4は処理室2の底部中央に接続されている。
【0024】
処理室2の底部には、図1、2に示すように2枚のアノード板20、20が積層されており、その上面にアノード板20、20の外寸を超える大きさの防着板21が積層されている。アノード板20、20は本発明のアノードに相当する。アノード板20、20には、その端面に穴30が分散して形成されている。
また、磁石14a、14bの前面側には、アノード板22、22が短尺方向を縦にして配置されており、その前面側に防着板23が短尺方向を縦にして配置されている。アノード板22、22は本発明のアノードに相当する。防着板23は、アノード板22よりも大きな高さを有している。アノード板22、22には、その端面に穴30が分散して形成されている。
さらに磁石13a、13bの前面側には、アノード板24、24が短尺方向を縦にして配置されており、その前面側に防着板25、25が短尺方向を縦にして配置されている。防着板25は、アノード板24、24の上下および左右方向でアノード板24、24の外寸を超えている。さらに、アノード板24、24の側面側には、図2に示すように防着板26、26が配置されている。アノード板24、24には、その端面に穴30が分散して形成されている。
【0025】
上記アノード板20、22、24では、上記したように端面にある表面にそれぞれ穴30が分散して形成されている。なお、穴30の分散領域は、アノード板20、22、24の側面における限られた領域であってもよい。穴30は、大きさが0.5mm〜10mm、深さ1mm〜50mmの範囲内にあり、各アノード板において、上記範囲内において穴の大きさや深さが異なるものであってもよい。なお、アノード板20、22、24、防着板21、23、25、26は、図2に示すように、適宜のボルト27等によって処理室内部に固定されている。アノード板20、22、24に形成された穴は、上記範囲内であればそれぞれのアノード板で大きさや深さが異なるものであってもよく、分散の程度を異なるものとしてもよい。
【0026】
また、処理室2内には、薄膜を形成する基板15を保持するための基板保持部16を有しており、該基板保持部16は、処理室2の天板部に下向きに設置され、該基板保持部16の下面側に基板15が保持される。
【0027】
次に、上記スパッタ装置の動作について説明する。
先ず処理室2内に、薄膜の原料となるターゲット11a、11bをターゲット保持板10a、10bに取り付け、基板保持部16には、表面に薄膜を形成する基板15を取り付ける。
その後、開閉弁3aを開けてプラズマ用ガス供給ライン3からArなどのプラズマ用ガスを処理室2内に導入するとともに、開閉弁4aを開けて反応性ガス供給ラインから窒素、酸素などの反応性ガスを処理室2内に導入する。その後、外部電源12によって所定の電圧をターゲット10a、10bとアノード間に印加してプラズマ用ガスによってプラズマを発生させる。
【0028】
プラズマと反応性ガスとは、ターゲット11a、11bに引き寄せられ、ターゲット11a、11bに衝突してターゲット原料と反応性ガスとが反応したスパッタリング粒子が発生する。なお、ターゲット11a、10bの表面では、磁石13a、14a、13b
、14bによって磁力が作用し、プラズマを磁場内に閉じこめてスパッタ効率を上げている。スパッタリング粒子は、ターゲット材料と反応性ガスとの反応によって絶縁物成分になっており、処理室2内で飛散する。
【0029】
スパッタリング粒子は、基板15に引き寄せられて基板15表面に堆積して薄膜を形成するとともに、アノード側にも付着堆積する。アノード板20、22、24では、防着板21、23、25で平板表面が覆われており、スパッタリング粒子は防着板21、23、25に優先的に付着して、アノード板20、22、24への付着・堆積が抑制されている。しかし、飛散するスパッタリング粒子が防着板21、22、25で覆われていないアノード板20、22、24の表面に次第に付着して堆積する。ただし、アノード板20、22、24では、前記したように適切な大きさと深さを有する穴30が分散して形成されており、図3(c)に示すように穴30内部でアノードの露出面が確保されており、導電性を維持することができる。この結果、プラズマ放電が安定し、良好なスパッタリングを行うことができる。なお、予め緩やかなスパッタリングを行って、アノードの表面に均一な絶縁物膜を形成しておいてもよい。スパッタリングに際しては、処理終了に至るまで穴30内部で露出面が確保されている。
【0030】
上記実施形態では、各アノード板のそれぞれに穴30を分散形成したが、一部のアノードに対してのみ穴30を形成するようにしてもよい。ただし、より均等な放電状態を得られるように、位置が異なるアノードにもそれぞれ穴30を設けて放電の安定性を得るのが望ましい。
【0031】
なお、上記実施形態では、反応性ガスを用いたスパッタについて説明を行ったが、化合物からなるターゲットを用いた場合にも、同様の効果を得ることができる。
以上、本発明について上記実施形態に基づいて説明を行ったが、本発明は上記実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りは適宜の変更が可能である。
【符号の説明】
【0032】
1 スパッタ装置
2 処理室
3 プラズマ用ガス供給ライン
4 反応性ガス供給ライン
11a ターゲット
11b ターゲット
12 外部電源
13a 磁石
13b 磁石
14a 磁石
14b 磁石
15 基板
20 アノード
21 防着板
22 アノード
23 防着板
24 アノード
25 防着板
26 防着板
30 穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理室内でターゲットのスパッタリングによって基板上に電気的に絶縁物である薄膜を形成するためのスパッタ装置において、
前記処理室内に、アノードと、前記薄膜の原料となるターゲットと、を備え、
前記ターゲットとアノードとの間に電圧を印加する電源部を備え、
前記アノードは、少なくとも一部の表面に、大きさ0.5mm〜10mm、深さ1mm〜50mmの穴が複数形成されていることを特徴とするスパッタ装置。
【請求項2】
前記穴は、底部を有し、前記アノードの他面側に貫通しないものであることを特徴とする請求項1記載のスパッタ装置。
【請求項3】
前記ターゲット表面に磁場を作用させる磁石を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のスパッタ装置。
【請求項4】
前記ターゲットが、互いに対向する複数からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のスパッタ装置。
【請求項5】
当該装置は、反応性スパッタ装置であり、前記処理室に反応ガスを導入する反応ガス導入部を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のスパッタ装置。
【請求項6】
前記ターゲットが、化合物ターゲットであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のスパッタ装置。
【請求項7】
前記穴が、少なくとも、前記ターゲットに対し裏面側となるアノードの表面に形成されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のスパッタ装置。
【請求項8】
前記アノードの少なくとも一部の表面を覆う防着板を備えることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のスパッタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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