説明

スパッツ

【課題】 両脚、下腹、腰、及びヒップを被うと共に身体に密着し、そして締付け力が互いに異なる複数生地を縫い付けたスパッツであって、血行をよくして脚の冷えやムクミを緩和することが出来るスパッツの提供。
【解決手段】 両脚を被う脚部1a,1bでは締付け力の弱い生地4と締付け力の強い生地5を螺旋状を成して縫製し、しかし脚が屈曲する膝部6a,6bは締付け力の弱い生地4で構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は着用することで下半身の冷えやムクミを緩和することが出来るスパッツに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来においても、色々な種類のスパッツ(タイツ)が市販されているが、スパッツとは一般的に身体に密着して伸縮性に優れた生地で構成し、原則として下半身の保温を目的としたものである。一方、近年では激しい運動を行うスポーツ選手がスポーツウエアとしてスパッツやタイツを使用しているが、この種のスパッツやタイツとはテーピング機能やサポート機能を備えたものであり、特定の部位を強力にサポートしたり制動することが出来る形態となっている。
【0003】
例えば、特開2004−238789号に係る「運動支援タイツ」は、テーピング機能を有するスパッツとは異なり、着用者の下半身の正しい運動を支援するタイツであり、着用者の下半身の動作を支援するタイツにおいて、全体として伸縮性を有する素材によって成形され、締付け力の強い強領域と締付け力の弱い弱領域とを有している。そして、強領域は少なくとも着用者の下腹部に相当する第1領域と、背腰部に相当する第2領域とを含み、好ましくは第2領域が着用者の背腰部から骨盤まで延びる構造と成っている。
【0004】
特開平11−12814号に係る「テーピング機能タイツ」は、よりハードなスポーツテーピング作用を発揮し、着用者の運動機能を阻害することがないタイツである。そこで、人体のウエストラインから踝までの下半身の体表に密着して着用する伸縮素材によって構成したタイツ型をなし、体側該当部と膝部内側該当部に、高伸縮強度を持った素材からなる脇側部材と内側部材を切り替え配置し、脇側部材と内側部材を膝位置の下方で山形に対向して頂部を突き合わせ縫合連結して膝部テーピング構造としている。
【0005】
特開2004−339623号に係る「身体に密着する衣料」は、腰部にかかる緊迫力と、ヒップなどの腹部以外の箇所にかかる緊迫力とを連動させることで、相乗的に体型補正機能を向上させるものである。
【0006】
特許第3012819号に係る「下肢部保護衣料」は、人体表面にほぼ密着して着用される下肢部の中でも大腿部後面の筋肉であるハムストリングスの補強に有効な保護衣料である。ハムストリングスとは大腿部後面にある大腿二頭筋、半腱様筋、及び半腱様筋を併せたものを指し、これらの筋肉は走る動作の中でも特に加速する局面で地面を強く後に押す際、ジャンプ時により高く飛ぶ為、自転車のペダルを踏み込んだ後に引き上げる際などに使われる。
【0007】
このような作用を有すハムストリングスは、その他にラクビー、サッカー、バスケットボール、バレーボール、野球、ゴルフ、競輪など、様々なスポーツにおいて重要な働きを有すものである。この発明に係る「保護衣料」は、着用して運動することでハムストリングスを強化することが出来、運動能力の向上が図られるとされる。
【特許文献1】特開2004−238789号に係る「運動支援タイツ」
【特許文献2】特開2004−339623号に係る「身体に密着する衣料」
【特許文献3】特許第3012819号に係る「下肢部保護衣料」
【特許文献4】特開平11−12814号に係る「テーピング機能タイツ」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、スポーツ選手が運動能力を向上させる為に色々なタイツ又はスパッツが開発されている。本発明は直接的に運動選手を対象としたものではないが、血行をよくして脚の冷えやムクミを緩和することが出来るスパッツを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るスパッツは伸縮性のある生地を用いて構成したものであるが、伸縮性の異なる複数種類の生地が用いられて、しかも脚部は螺旋状に縫製している。従って、脚部は締付け力の強い強領域と締付け力の弱い弱領域とが長手方向に交互に設けられて構成される。また、上記螺旋状ではなくて強領域リングと弱領域が形成されるリングを交互に配列することもある。従来のタイツやスパッツにはこのような思想は存在せず、本発明では脚に締付け力の強弱を順次規則正しく与えることで、脚先から腰部へ流れる血流を促進させるように機能する。
【0010】
ただし、膝の部分には弱領域として強領域が位置しないように構成し、膝の曲げに支障のない生地で構成している。そして、膝上方に設ける強領域となる螺旋生地はヒップ部へ繋がり、該ヒップの下内側から両側上方へ湾曲して延びている。ところで、上記強領域と弱領域を構成する締付け力の強弱生地は互いに縫い付けされるが、締付け力の弱い生地でスパッツ全体を構成し、その生地に締付け力の強い生地を重ねて縫い合わせることも出来る。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るスパッツの脚部は、締付け力が異なる強領域と弱領域を概略螺旋状に構成している。従って、脚全体を補整すると共に身体を動かすことで血液の流れを足先から上方(腰部側)へ促すことが出来、血行を良好ならしめる。その結果、下半身の冷え及びムクミを緩和する効果が得られる。すなわち、着用して毎日の家事をする際の軽い動きで血行がよくなり、特別な運動を行う必要はない。
【0012】
そして、膝部分には締付け力の弱い生地が設けられるために、歩く際の膝の屈伸には何ら支障はない。特に生地から遠赤外線が放射するように構成するならば、上記冷え防止とムクミ防止効果は一段と向上する。さらに、締付け力の強い生地を膝上方からピップ下内側へ繋がり、そしてヒップ上外側部にかけて湾曲した形状で設けることで、ヒップアップ効果も得られる。
【実施例】
【0013】
図1は本発明のスパッツを着用した正面図、図2はスパッツを着用した背面図である。スパッツは周知の通り、身体に密着して着用する衣類であり、両脚、下腹、腰、及びヒップを被うと共に適度に締め付けることが出来る。該スパッツは両脚部1a,1b、下腹部2、及びヒップ部3を有し、下半身を被うために着用できる形態に縫製されている。
【0014】
ところで、両脚部1a,1bは2種類の生地が組み合わされて縫製され、その形態は螺旋状を成している。同図の螺旋形態のうちで、4は締付け力の弱い生地、5は締付け力が強い生地となっていて、互いに縫い合わされて脚部1a,1bが縫製されている。ここで、締付け力が弱い生地4とは一定大きさの力で引っ張った場合にその伸びが大きい生地であり、締付け力の強い生地5とは一定大きさの力で引っ張った際にその伸びが小さい生地である。
【0015】
本発明のスパッツは、このように2種類の生地4,5を用いて螺旋状に縫い合わせることで脚部1a,1bが縫製されている。ただし、膝部分には締付け力の強い生地5が位置しないようにし、すなわち、歩く際に膝の屈曲に支障を来たすことがないように考慮され、弱くて伸縮性に優れた生地が用いられている。
【0016】
そして、図2の背面図にも示しているように、締付け力が強い生地5a,5bは膝上からヒップにかけて延び、該ヒップ部3ではヒップ下内側からヒップ上外側部に湾曲して延びている。従って、締付け力の強い生地5a,5bにてヒップを支えることが出来る。しかも、ヒップ部3だけに独立した形態で設けているのではなく、締付け力の強い生地5a,5bは脚部1a,1bと連続している為に、脚を動かすだけでもヒップを引き締める効果がある。
【0017】
ところで、本発明は締付け力の強い生地5と締付け力の弱い生地4とが互いに縫い合わされて脚部1a,1bを構成している。従って、該スパッツを着用することで、締付け力の強い生地5にて強領域が形成され、締付け力の弱い生地にて弱領域が形成される。これら強領域と弱領域を形成するには、帯状を成す締付け力の強い生地5と同じく帯状を成す締付け力の弱い生地4の縁を互いに縫付けることで本発明のスパッツが縫製される。
【0018】
しかし、スパッツ全体を締付け力の弱い生地4を用いて縫製し、その上面に締付け力の強い生地5を螺旋状に重ね合わせて縫い付けすることも可能である。むしろ、その方がスパッツとしての耐久性が向上し、縫い付けされる部位がほころぶことはない。
【0019】
重ね合わせることで、この部分の締付け力が必然的に強くなるが、従って、ひいて締付け力の強い生地5でなくても、締付け力の弱い生地4を重ね合わせることで、この領域の締付け力は強化される。ここで、本発明では締付け力の強い生地5及び締付け力の弱い生地4となる具体的な生地質は限定しないことにする。
【0020】
図1、図2に示しているスパッツはその脚部1a,1bを強弱2種類の生地4,5が螺旋状をなしているが、所定の間隔をおいて強弱2種類のリング生地を縫い合わせて脚部1a,1bを縫製することも可能である。勿論、螺旋状に縫製した方が血行の促進及びムクミ防止の効果は良くなるが、リング状生地を交互に縫い合わせて脚部1a,1bを縫製することである程度の効果は得られる。この場合、リング状の強弱生地の配列は順序正しく成される。
【0021】
勿論、この場合にも膝部には締付け力の強い生地は用いられない。そして、ヒップ3を支える為の締付け力の強い生地5a,5bは脚部上端部に設けるリング生地と繋ぎ合わされる。従って、脚の動きにてヒップが引き締まるように作用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るスパッツを表す正面図。
【図2】本発明に係るスパッツを表す背面図。
【符号の説明】
【0023】
1 脚部
2 下腹部
3 ヒップ部
4 締付け力の弱い生地
5 締付け力の強い生地
6 膝部












【特許請求の範囲】
【請求項1】
両脚、下腹、腰、及びヒップを被うと共に身体に密着し、そして締付け力が互いに異なる複数生地を縫い付けたスパッツにおいて、上記両脚を被う脚部では上記複数生地を螺旋状を成して縫製し、しかし脚が屈曲する膝部は締付け力の弱い生地で構成したことを特徴とするスパッツ。
【請求項2】
両脚、下腹、腰、及びヒップを被うと共に身体に密着し、そして締付け力が互いに異なる複数生地を縫い付けたスパッツにおいて、上記両脚を被う脚部では上記複数生地をリング状とし、締付け力の強弱の順に配列して縫製し、しかし脚が屈曲する膝部は締付け力の弱い生地で構成したことを特徴とするスパッツ。
【請求項3】
上記生地として、締付け力が強い生地と締付け力が弱い生地の2種類を用いて構成した請求項1、又は請求項2記載のスパッツ。
【請求項4】
上記ヒップ部には、ヒップ下内側からヒップ上外側部にかけて湾曲した形状で締付け力が強い生地を設け、該生地はヒップ下内側から脚膝上部に設けている締付け力の強い生地と繋げた請求項1、請求項2、又は請求項3記載のスパッツ。
【請求項5】
上記スパッツ全体を締付け力の弱い生地で構成し、この生地の上面に締付け力が強い生地を重ねて縫製した請求項1、請求項2、請求項3、又は請求項4記載のスパッツ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2007−138348(P2007−138348A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−335656(P2005−335656)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(591084447)株式会社エル・ローズ (20)
【Fターム(参考)】