説明

スパム投稿判定装置、方法及びシステム

【課題】スパム投稿の判定を容易にすると共に、スパム記述パターンの判定を用いることなく、新たなスパム記述パターンのスパム投稿にも即時に対応可能なスパム投稿判定装置、方法及びシステムを提供すること。
【解決手段】スパム投稿判定装置10は、ユーザ端末20に、文字情報の作成開始をトリガとして時間の計測を開始させ、所定時間の計測毎に入力された文字数を特定可能な入力文字数情報を生成させ、スパム投稿判定装置に送信させる時間計測スクリプトを、ユーザ端末20に送信する時間計測スクリプト送信手段111と、ユーザ端末20から受信した入力文字数情報に基づき、所定時間の間隔毎に入力された文字数の時系列の推移を求め、当該文字数の変化の度合に基づきスパム投稿か否かを判定するスパム投稿判定手段114とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパム投稿判定装置、方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネット上の掲示板、メール、ブログ等の他の装置に対して文字情報を投稿するサービスにおいて、商業的な目的等で、大量の文字情報を自動的に作成して投稿するスパム投稿が存在する。このようなスパム投稿は、上記サービスにおけるコミュニーケーションの妨げになるばかりでなく、サーバや回線を高負荷にするため、サービスに支障がきたしている。
そこで、このようなスパム投稿を排除するための技術が従来から提案されている。
【0003】
特許文献1には、このようなスパム投稿を排除するための技術として、ブログ記事に予め設定されたスパム記述パターンが含まれるか否かの判定を行い、ブログ記事からスパム記述を含むブログ記事を判別し分離する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−157510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、予めスパム記述パターンを特定しなければ、スパム投稿か否かの判定ができない。また、あるスパム記述パターンを特定したとしても、既存のスパム記述パターン以外の新たなスパム記述パターンのスパム投稿についてはスパム投稿と判定できないので、当該新たなスパム記述パターンをさらに特定して排除するまでの期間については、このような新しいスパム記述パターンのスパム投稿の影響を排除することができない。
【0006】
そこで、本発明は、スパム投稿の判定を容易にすると共に、スパム記述パターンの判定を用いることなく、新たなスパム記述パターンのスパム投稿にも即時に対応可能なスパム投稿判定装置、方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) ネットワークを介して端末と接続し、前記端末から送信された文字情報を受信して、前記文字情報がスパム投稿か否かを判定するスパム投稿判定装置であって、前記端末に、前記文字情報の作成開始をトリガとして時間の計測を開始させ、所定時間の計測毎に入力された文字数を特定可能な入力文字数情報を生成させ、前記スパム投稿判定装置に送信させる時間計測スクリプトを、前記端末に送信する時間計測スクリプト送信手段と、前記端末から受信した前記入力文字数情報に基づき、前記所定時間の間隔毎に入力された文字数の時系列の推移を求め、当該文字数の変化の度合に基づきスパム投稿か否かを判定するスパム投稿判定手段と、を備えるスパム投稿判定装置。
【0008】
(1)のスパム投稿判定装置は、ネットワークを介して端末と接続し、端末から送信された文字情報を受信して、文字情報がスパム投稿か否かを判定する。スパム投稿判定装置の時間計測スクリプト送信手段は、端末に、文字情報の作成開始をトリガとして時間の計測を開始させ、所定時間の計測毎に入力された文字数を特定可能な入力文字数情報を生成させ、前記スパム投稿判定装置に送信させる時間計測スクリプトを、端末に送信し、スパム投稿判定手段は、端末から受信した入力文字数情報に基づき、所定時間の間隔毎に入力された文字数の時系列の推移を求め、当該文字数の変化の度合に基づきスパム投稿か否かを判定する。
【0009】
ここで、仮に、スパム投稿であれば、通常、投稿記事は機械的に原文がコピーされ、このコピーされた原文がペーストされて投稿されているので、ペーストが行われた所定時間の間隔における文字数の変化の度合は、他の所定時間の間隔における文字数の変化の度合に比べ、大きい。
【0010】
(1)のスパム投稿判定装置は、スパム投稿のスパム記述パターンを特定することなく、所定時間の間隔毎に入力された文字数の変化の度合によって、スパム投稿か否かを判定できる。
よって、スパム投稿の判定を容易にすると共に、スパム記述パターンの判定を用いることなく、新たなスパム記述パターンのスパム投稿にも即時に対応できる。
【0011】
(2) 前記時間計測スクリプトは、前記端末に対して、前記所定時間の計測毎に、その都度入力された文字数の各々を実データとして含む前記入力文字数情報を生成させ、さらに、前記スパム投稿判定装置に逐次送信させる、(1)に記載のスパム投稿判定装置。
【0012】
(2)のスパム投稿判定装置は、(1)の作用効果に加え、受信手段において端末から逐次入力文字数情報を受信することで、スパム投稿判定手段により最大限スパム投稿か否かの判定を早く行うことができる。
【0013】
(3) 前記時間計測スクリプトは、前記端末に対して、前記所定時間の計測毎に、その都度入力された文字数の各々を実データとして含む前記入力文字数情報を生成させて記憶させ、さらに、前記スパム投稿判定装置に前記所定時間の計測とは独立したタイミングで送信させる、(1)に記載のスパム投稿判定装置。
【0014】
ここで、スパム対策は、ユーザに認識された場合、対策が立てられるおそれがあるので、ユーザに認識されないように行うことが望ましい。
【0015】
(3)のスパム投稿判定装置は、(1)の作用効果に加え、時間計測スクリプトは、端末に対して、スパム投稿判定装置に所定時間の計測とは独立したタイミングで入力文字数情報を送信させるので、例えば、端末から文字情報を受信するタイミングで入力文字数情報も受信することで、ユーザに違和感を感じさせないので、ユーザに認識されずにスパム対策を行うことができる。
【0016】
(4) 前記時間計測スクリプトは、前記端末に対して、前記所定時間の計測毎に、その都度入力された文字からなる文字情報自体を実データとして含む前記入力文字数情報を生成させる(1)に記載のスパム投稿判定装置。
(4)のスパム投稿判定装置は、(1)の作用効果に加え、文字からなる文字情報自体を、入力文字数情報として生成させることで、ユーザに違和感を感じさせないので、ユーザに認識されずにスパム対策を行うことができる。
【0017】
(5) 前記時間計測スクリプトは、前記端末に対して、前記所定時間の計測毎に、その都度入力された文字からなる文字情報自体を実データとして含む前記入力文字数情報を生成させて記憶させ、さらに、前記スパム投稿判定装置に前記所定時間の計測とは独立したタイミングで送信させる、(1)に記載のスパム投稿判定装置。
(5)のスパム投稿判定装置は、(3)及び(4)のスパム投稿判定装置と同様の効果を奏する。
【0018】
(6) ネットワークを介して端末と接続し、前記端末から送信された文字情報を受信して、前記文字情報がスパム投稿か否かを判定するスパム投稿判定装置が実行するスパム投稿判定方法であって、前記端末に、前記文字情報の作成開始をトリガとして時間の計測を開始させ、所定時間の計測毎に入力された文字数を特定可能な入力文字数情報を生成させ、前記スパム投稿判定装置に送信させる時間計測スクリプトを、前記端末に送信する時間計測スクリプト送信ステップと、前記端末から受信した前記入力文字数情報に基づき、前記所定時間の間隔毎に入力された文字数の時系列の推移を求め、当該文字数の変化の度合に基づきスパム投稿か否かを判定するスパム投稿判定ステップと、を含むスパム投稿判定方法。
【0019】
(6)のスパム投稿判定方法によれば、(1)のスパム投稿判定装置と同様の効果を奏する。
【0020】
(7) 端末と、ネットワークを介して前記端末と接続し、前記端末から送信された文字情報を受信して、前記文字情報がスパム投稿か否かを判定するスパム投稿判定装置と、を備えるスパム投稿判定システムであって、前記スパム投稿判定装置は、前記端末に、前記文字情報の作成開始をトリガとして時間の計測を開始させ、所定時間の計測毎に入力された文字数を特定可能な入力文字数情報を生成させ、前記スパム投稿判定装置に送信させる時間計測スクリプトを、前記端末に送信する時間計測スクリプト送信手段と、前記端末から受信した前記入力文字数情報に基づき、前記所定時間の間隔毎に入力された文字数の時系列の推移を求め、当該文字数の変化の度合に基づきスパム投稿か否かを判定するスパム投稿判定手段と、を備え、前記端末は、前記時間計測スクリプトにより、前記入力文字数情報を生成する時間計測手段と、前記時間計測スクリプトにより、前記時間計測手段が生成した前記入力文字情報を前記スパム投稿判定装置に送信する入力文字情報送信手段と、を備えるスパム投稿判定システム。
【0021】
(7)のスパム投稿判定システムによれば、(1)のスパム投稿判定装置と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、スパム投稿の判定を容易にすると共に、スパム記述パターンの判定を用いることなく、新たなスパム記述パターンのスパム投稿にも即時に対応可能なスパム投稿判定装置、方法及びシステムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態に係るスパム投稿判定システムの機能構成を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る入力文字数情報を説明する図である。
【図3】第1実施形態に係る投稿ログデータベースを説明する図である。
【図4】第1実施形態に係るスパム投稿判定手段の機能を説明する図である。
【図5】第1実施形態に係るスパム投稿判定装置においてスパム投稿を判定する処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】第1実施形態に係る時間計測スクリプトがユーザ端末に実行させる処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係るスパム投稿判定システムの機能構成を示す図である。
【図8】第2実施形態に係る入力文字数情報を説明する図である。
【図9】第2実施形態の変形例に係る入力文字数情報を説明する図である。
【図10】第2実施形態に係る時間計測スクリプトがユーザ端末に実行させる処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態の説明にあたって、同一構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
【0025】
〈第1実施形態〉
[スパム投稿判定システム1の機能構成]
図1は、本発明の第1実施形態に係るスパム投稿判定システム1の機能構成を示す図である。
スパム投稿判定システム1は、ユーザにより文字情報が作成されるユーザ端末20と、ネットワーク7を介してユーザ端末20と接続し、ユーザ端末20から送信された文字情報を受信して、当該文字情報がスパム投稿か否かを判定するスパム投稿判定装置10と、を備える。
本実施形態において、文字情報とは、メール、ブログ等の他のユーザ端末に対してユーザ端末20から送信される投稿情報である。
【0026】
スパム投稿判定装置10は、時間計測スクリプト送信手段111と、受信手段112と、投稿情報取得手段113と、スパム投稿判定手段114と、投稿ログ記憶手段120と、を備える。
【0027】
時間計測スクリプト送信手段111は、ユーザ端末20に、文字情報の作成開始をトリガとして時間の計測を開始させ、所定時間の計測毎に入力された文字数を特定可能な入力文字数情報を生成させる時間計測スクリプトを、ユーザ端末20に送信する。
第1実施形態に係る時間計測スクリプトは、ユーザ端末20に対して、所定時間の計測毎に、その都度入力された文字数の各々を入力文字数情報として生成させ、さらに、スパム投稿判定装置10に逐次送信させる。
【0028】
図2は、第1実施形態に係る入力文字数情報を説明する図である。
第1実施形態に係る入力文字数情報は、投稿ID、ユーザID及び入力開始時刻に対して実データとしての入力された文字数が対応づけられ、所定時間の計測毎に作成される。
図2(a)は、入力開始時刻から所定時間1秒経過後に作成された入力文字数情報を示している。また、図2(b)は、入力開始時刻から所定時間10秒経過後に作成された入力文字数情報を示している。また、図2(c)は、入力開始時刻から所定時間30秒経過後に作成された入力文字数情報を示している。なお、第1実施形態に係る入力文字数情報は、入力された文字数の各々を実データとして含んでいるが、入力された文字からなる文字情報自体を実データとして含んでもよい。
【0029】
図1に戻って、受信手段112は、ユーザ端末20から、ユーザにより作成された文字情報及び所定時間の計測毎に送信された入力文字数情報を受信し、文字情報及び入力文字数情報を投稿ログ記憶手段120に記憶する。
【0030】
投稿ログ記憶手段120は、投稿ログデータベースを記憶する。
図3は、第1実施形態に係る投稿ログデータベースを説明する図である。
投稿ログデータベースには、投稿IDに、ユーザID、入力開始時刻、所定時間に入力された文字数、投稿時刻、文字数、スパム判定結果及び文字情報が対応づけられて記憶されている。
【0031】
図1に戻って、スパム投稿判定手段114は、受信手段において所定時間の間隔毎に受信され、投稿ログ記憶手段120に記憶された入力文字数情報に基づき、所定時間の間隔毎に入力された文字数の時系列の推移を求め、当該文字数の変化の度合に基づきスパム投稿か否かを判定する。
【0032】
図4は、第1実施形態に係るスパム投稿判定手段114の機能を説明する図である。
スパム投稿判定手段114は、入力文字数情報に基づき、所定時間の間隔毎に入力された文字数の時系列の推移として各所定時間の間隔における文字数の増加数を求める。
ここで、以下説明の便宜上、入力開始時刻から所定時間経過したことを、基準時刻である入力開始時刻を省略して、所定時間経過したと適宜表現する。
例えば、投稿ID0001であれば、入力開始時刻から所定時間1秒経過後までの文字数の増加数は、所定時間1秒経過後の時点までに入力された累積の文字数(図2(a)参照)と同じ2文字である。所定時間1秒経過後から所定時間10秒経過後までの文字数の増加数は、所定時間10秒経過後の時点までに入力された累計の文字数(図2(b)参照)の15文字から、所定時間1秒経過後の時点で入力された累計の文字数2文字を減算した文字数、即ち13文字である。所定時間10秒経過後から所定時間30秒経過後までの文字数の増加数は、所定時間30秒経過後の時点までに入力された累積の文字数(図2(c)参照)の50文字から、所定時間10秒経過後の時点までに入力された累積の文字数15文字を減算した文字数、即ち35文字である。
【0033】
次に、スパム投稿判定手段114は、文字数の変化の度合を算出する。具体的には、スパム投稿判定手段114は、所定時間の間隔毎に入力された文字数の増加数を間隔時間で除算した変化量を算出する。
ここで、間隔時間とは、文字数の増加数が求められる対象の時間であり、入力開始時刻又は第1の所定時間経過後の時点を開始時点として、第1の所定時間の次の第2の所定時間経過後の時点を終了時点として、開始時点から終了時点までの間の時間をいう。具体的には、入力開始時刻から所定時間1秒(第2の所定時間)経過後まの間隔時間は1秒である。同様に、所定時間1秒(第1の所定時間)経過後から所定時間10秒(第2の所定時間)経過後までの間隔時間は9秒である。所定時間10秒(第1の所定時間)経過後から所定時間30秒(第2の所定時間)経過後の間隔時間は20秒である。
【0034】
よって、所定時間1秒経過後の変化量は2(2文字/1秒)であり、所定時間1秒経過後から所定時間10秒経過後までの変化量は1.44(13文字/9秒)であり、所定時間10秒経過後から所定時間30秒経過後までの変化量は1.75(35文字/20秒)である。
【0035】
そして、スパム投稿判定手段114は、所定時間の間隔毎の変化量を互いに対比し、所定時間の間隔毎の変化量の互いの差が所定の範囲内(例えば、変化量1前後)であれば通常の文字情報であると判定し、所定時間の間隔毎の変化量の互いの差が所定の範囲を超えていればスパム投稿であると判定する。スパム投稿判定手段114は、スパム投稿か否かの判定結果を投稿ログデータベース(図3参照)に記憶する。
【0036】
図1に戻って、ユーザ端末20は、入力手段210と、表示手段220と、ユーザ端末制御手段230と、を備える。
入力手段210は、ユーザによる文字情報を作成する操作等を受け付ける。
表示手段220は、入力手段210で受け付けた操作により作成された文字情報等を画像として表示する。
ユーザ端末制御手段230は、スパム投稿判定装置10より送信された時間計測スクリプトにより機能する時間計測手段231及び入力文字数情報送信手段232と、投稿要求受付手段233と、投稿情報送信手段234と、を備える。
【0037】
時間計測手段231は、所定時間の計測毎に、その都度入力された文字数の各々を入力文字数情報(図2参照)として生成する。
入力文字数情報送信手段232は、時間計測手段231が生成した入力文字数情報をスパム投稿判定装置10に逐次送信する。
投稿要求受付手段233は、文字情報をスパム投稿判定装置10へ送信することを要求する投稿要求を受け付ける。
投稿情報送信手段234は、投稿要求受付手段233で投稿要求を受け付けたことに応じて文字情報をスパム投稿判定装置10へ送信する。
【0038】
[スパム投稿判定システム1のハードウェア構成]
実施形態に係るスパム投稿判定システム1のスパム投稿判定装置10及びユーザ端末20は、コンピュータ及びその周辺装置に適用される。スパム投稿判定装置10及びユーザ端末20における各部は、コンピュータ及びその周辺装置が備えるハードウェア並びに当該ハードウェアを制御するソフトウェアによって構成される。
【0039】
上記ハードウェアには、CPU(Central Processing Unit)、記憶部の他、通信装置、表示装置、入力装置が含まれる。記憶部としては、例えば、メモリ(RAM:Random Access Memory、ROM:Read Only Memory等)、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)、及び光ディスク(CD:Compact Disk、DVD:Digital Versatile Disk等)ドライブが挙げられる。通信装置としては、例えば、各種有線及び無線インターフェース装置が挙げられる。表示装置としては、例えば、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の各種ディスプレイが挙げられる。入力装置としては、例えば、入力キー、タッチパネル、キーボード及びポインティング・デバイス(マウス、トラッキングボール等)が挙げられる。
【0040】
上記ソフトウェアには、上記ハードウェアを制御するコンピュータ・プログラム及びデータが含まれる。コンピュータ・プログラム及びデータは、記憶部により記憶され、各制御部により適宜実行、参照される。また、コンピュータ・プログラムやデータは、通信回線を介して配布されることも可能であり、CD−ROM等のコンピュータ可読媒体に記録して配布されることも可能である。
【0041】
[スパム投稿判定システム1の制御フロー]
次に、スパム投稿判定装置10のスパム投稿を判定する処理の制御フローについて説明する。
図5は、第1実施形態に係るスパム投稿判定装置10においてスパム投稿を判定する処理の流れを示すフローチャートである。
【0042】
ステップS11において、受信手段112は、ユーザ端末20から、所定時間の計測毎に送信された入力文字数情報を受信し、入力文字数情報を投稿ログ記憶手段120に記憶する。
ステップS12において、スパム投稿判定手段114は、ステップS11で投稿ログ記憶手段120に記憶された入力文字数情報に基づき、所定時間の間隔毎に入力された文字数の時系列の推移として各所定時間の間隔における文字数の増加数を求める。
ステップS13において、スパム投稿判定手段114は、ステップS12で求めた所定時間の間隔毎に入力された文字数の増加数を間隔時間で除算した文字数の変化の度合である変化量を算出する。
ステップS14において、スパム投稿判定手段114は、ステップS13で算出した所定時間の間隔毎の変化量を互いに対比し、所定時間の間隔毎の変化量の互いの差が所定の範囲であれば通常の文字情報であると判定し、所定時間の間隔毎の変化量の互いの差が所定の範囲を超えていればスパム投稿であると判定し、この判定結果を投稿ログデータベース(図3参照)に記憶する。
ステップS15において、スパム投稿判定装置10は、投稿ログ記憶手段120を参照し、入力文字数情報を受信している全ての投稿についてスパム投稿か否かの判定を行ったか否かを判定し、全ての投稿について判定を行ったと判定した場合は本処理を終了し、全ての投稿について判定を行ったと判定しない場合はステップS11に処理を戻す。
【0043】
次に、時間計測スクリプトがユーザ端末20に実行させる処理について説明する。
図6は、第1実施形態に係る時間計測スクリプトがユーザ端末20に実行させる処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS21において、時間計測手段231は、文字情報の作成が開始されたか否かを判定し、文字情報の作成が開始されたと判定した場合はステップS22に処理を移し、文字情報の作成が開始されたと判定しない場合は処理を戻す。
ステップS22において、時間計測手段231は、時間の計測を開始する。
ステップS23において、時間計測手段231は、所定時間の計測毎に、その都度入力された文字数の各々を入力文字数情報(図2参照)として生成する。
ステップS24において、入力文字数情報送信手段232は、ステップS23で生成した入力文字数情報をスパム投稿判定装置10に逐次送信する。
【0044】
〈第2実施形態〉
次に、本発明の第2実施形態に係るスパム投稿判定システム1Aについて説明する。
スパム投稿判定システム1Aは、第1実施形態に係るスパム投稿判定システム1で用いたものとは異なる、時間計測スクリプト及び入力文字数情報を用いる。このため、スパム投稿判定システム1Aは、第1実施形態に係るスパム投稿判定システム1のものとは異なる機能的構成を有している。 図7は、本発明の第2実施形態に係るスパム投稿判定システム1Aの機能構成を示す図である。
【0045】
スパム投稿判定装置10Aは、時間計測スクリプト送信手段111Aと、受信手段112Aと、投稿情報取得手段113と、スパム投稿判定手段114と、を備える。
時間計測スクリプト送信手段111Aは、ユーザ端末20Aに、文字情報の作成開始をトリガとして時間の計測を開始させ、所定時間の計測毎に、当該所定時間に入力された文字数を特定可能な入力文字数情報を生成させる時間計測スクリプトを、ユーザ端末20Aに送信する。
第2実施形態に係る時間計測スクリプトは、ユーザ端末20Aに対して、所定時間の計測毎に、その都度入力された文字数の各々を入力文字数情報として生成させて時間記憶領域240に記憶させ、さらに、スパム投稿判定装置10Aに所定時間の計測とは独立したタイミングで送信させる。
【0046】
図8は、第2実施形態に係る入力文字数情報を説明する図である。
第2実施形態に係る入力文字数情報は、投稿IDに、ユーザID、入力開始時刻、実データとしての所定時間毎の文字数が対応づけられて構成されており、時間記憶領域240に記憶される。
【0047】
第2実施形態の変形例に係る時間計測スクリプトは、ユーザ端末20Aに対して、所定時間の計測毎に、その都度入力された文字からなる文字情報自体を、入力文字数情報の実データとして生成させる。
図9は、第2実施形態の変形例に係る入力文字数情報を説明する図である。
第2実施形態の変形例に係る入力文字数情報は、投稿IDに、ユーザID、入力開始時刻、実データとしての所定時間毎の文字情報自体が対応づけられて構成されており、時間記憶領域240に記憶される。
【0048】
図7に戻って、受信手段112Aは、ユーザ端末20Aから、ユーザにより作成された文字情報及び時間計測スクリプトにより生成され、所定時間の計測とは独立したタイミングで送信された入力文字数情報を、受信し、文字情報及び入力文字数情報を投稿ログ記憶手段120に記憶する。所定時間の計測とは独立したタイミングとは、例えば、文字情報が投稿情報として送信されるタイミングである。
【0049】
ユーザ端末20Aは、入力手段210と、表示手段220と、ユーザ端末制御手段230Aと、時間記憶領域240とを備える。
ユーザ端末制御手段230Aは、スパム投稿判定装置10より送信された時間計測スクリプトにより機能する時間計測手段231及び入力文字数情報記憶手段232Aと、投稿要求受付手段233と、投稿情報及び入力文字数情報送信手段234Aと、を備える。
入力文字数情報記憶手段232Aは、時間計測手段231が生成した入力文字数情報(図8参照)を時間記憶領域240に記憶する。
投稿情報及び入力文字数情報送信手段234Aは、投稿要求受付手段233で投稿要求を受け付けたことに応じて文字情報及び時間記憶領域240に記憶された入力文字数情報をスパム投稿判定装置10Aへ送信する。
【0050】
次に、時間計測スクリプトがユーザ端末20Aに実行させる処理について説明する。
図10は、第2実施形態に係る時間計測スクリプトがユーザ端末20Aに実行させる処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS31において、時間計測手段231は、文字情報の作成が開始されたか否かを判定し、文字情報の作成が開始されたと判定した場合はステップS32に処理を移し、文字情報の作成が開始されたと判定しない場合は処理を戻す。
ステップS32において、時間計測手段231は、時間の計測を開始する。
ステップS33において、時間計測手段231は、所定時間の計測毎に、その都度入力された文字数の各々を入力文字数情報(図8参照)として生成する。
ステップS34において、入力文字数情報記憶手段232Aは、ステップS33で生成した入力文字数情報を時間記憶領域240に記憶する。
【0051】
上記実施形態によれば、以下のような作用効果がある。
第1及び第2実施形態によれば、スパム投稿判定装置10又は10Aは、ネットワーク7を介してユーザ端末20又は20Aと接続し、ユーザ端末20又は20Aから送信された文字情報を受信して、文字情報がスパム投稿か否かを判定する。ただし、スパム投稿判定装置10又は10Aは、文字情報がスパム投稿か否かを判定するにあたり、文字情報それ自体を判定対象に用いるのではなく、所定時間に入力された文字数を特定可能な入力文字数情報を判定対象に用いる。なお、入力文字数情報が、結果として文字情報そのものになる場合もあるが、この場合であっても、判定対象に用いられる際には、入力文字数情報として取り扱われる。時間計測スクリプト送信手段111又は111Aは、ユーザ端末20又は20Aに、文字情報の作成開始をトリガとして時間の計測を開始させ、所定時間の計測毎に、当該所定時間に入力された文字数を特定可能な入力文字数情報を生成させ、スパム投稿判定装置10又は10Aに送信させる時間計測スクリプトを、ユーザ端末20又は20Aに送信する。受信手段112又は112Aは、ユーザ端末20又は20Aから送信されてくる入力文字数情報を受信する。スパム投稿判定手段114は、受信手段112又は112Aにおいて所定時間の間隔毎に受信された入力文字数情報に基づき、所定時間の間隔毎に入力された文字数の時系列の推移を求め、当該文字数の変化の度合に基づきスパム投稿か否かを判定する。
【0052】
ここで、仮に、スパム投稿であれば、通常、投稿記事は機械的に原文がコピーされ、このコピーされた原文がペーストされて投稿されているので、ペーストが行われた所定時間の間隔における文字数の変化の度合は、他の所定時間の間隔における文字数の変化の度合に比べ、大きい。
【0053】
スパム投稿判定装置10又は10Aは、スパム投稿のスパム記述パターンを特定することなく、所定時間の間隔毎に入力された文字数の変化の度合によって、スパム投稿か否かを判定できる。
よって、スパム投稿の判定を容易にすると共に、スパム記述パターンの判定を用いることなく、新たなスパム記述パターンのスパム投稿にも即時に対応できる。
【0054】
また、第1実施形態によれば、スパム投稿判定装置10は、受信手段112においてユーザ端末20から逐次入力文字数情報を受信することで、スパム投稿判定手段114により最大限スパム投稿か否かの判定を早く行うことができる。
【0055】
また、第2実施形態によれば、スパム投稿判定装置10Aは、受信手段112Aにより所定時間の計測とは独立したタイミングで入力文字数情報を受信するので、例えば、受信手段112Aにより、ユーザ端末20Aから文字情報を受信するタイミングで入力文字数情報も受信することで、ユーザに違和感を感じさせないので、ユーザに認識されずにスパム対策を行うことができる。
【0056】
また、第2実施形態の変形例によれば、スパム投稿判定装置10Aは、文字からなる文字情報自体を、入力文字数情報として生成させることで、ユーザに違和感を感じさせないので、ユーザに認識されずにスパム対策を行うことができる。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。例えば、入力文字数情報は、所定時間に入力された文字数を特定可能な情報であれば足り、特に上述した実施形態で採用したものに限られない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0058】
7 ネットワーク
10,10A スパム投稿判定装置
111,111A 時間計測スクリプト送信手段
112,112A 受信手段
20,20A ユーザ端末

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して端末と接続し、前記端末から送信された文字情報を受信して、前記文字情報がスパム投稿か否かを判定するスパム投稿判定装置であって、
前記端末に、前記文字情報の作成開始をトリガとして時間の計測を開始させ、所定時間の計測毎に入力された文字数を特定可能な入力文字数情報を生成させ、前記スパム投稿判定装置に送信させる時間計測スクリプトを、前記端末に送信する時間計測スクリプト送信手段と、
前記端末から受信した前記入力文字数情報に基づき、前記所定時間の間隔毎に入力された文字数の時系列の推移を求め、当該文字数の変化の度合に基づきスパム投稿か否かを判定するスパム投稿判定手段と、
を備えるスパム投稿判定装置。
【請求項2】
前記時間計測スクリプトは、前記端末に対して、前記所定時間の計測毎に、その都度入力された文字数の各々を実データとして含む前記入力文字数情報を生成させ、さらに、前記スパム投稿判定装置に逐次送信させる、
請求項1に記載のスパム投稿判定装置。
【請求項3】
前記時間計測スクリプトは、前記端末に対して、前記所定時間の計測毎に、その都度入力された文字数の各々を実データとして含む前記入力文字数情報を生成させて記憶させ、さらに、前記スパム投稿判定装置に前記所定時間の計測とは独立したタイミングで送信させる、
請求項1に記載のスパム投稿判定装置。
【請求項4】
前記時間計測スクリプトは、前記端末に対して、前記所定時間の計測毎に、その都度入力された文字からなる文字情報自体を実データとして含む前記入力文字数情報を生成させる、
請求項1に記載のスパム投稿判定装置。
【請求項5】
前記時間計測スクリプトは、前記端末に対して、前記所定時間の計測毎に、その都度入力された文字からなる文字情報自体を実データとして含む前記入力文字数情報を生成させて記憶させ、さらに、前記スパム投稿判定装置に前記所定時間の計測とは独立したタイミングで送信させる、
請求項1に記載のスパム投稿判定装置。
【請求項6】
ネットワークを介して端末と接続し、前記端末から送信された文字情報を受信して、前記文字情報がスパム投稿か否かを判定するスパム投稿判定装置が実行するスパム投稿判定方法であって、
前記端末に、前記文字情報の作成開始をトリガとして時間の計測を開始させ、所定時間の計測毎に入力された文字数を特定可能な入力文字数情報を生成させ、前記スパム投稿判定装置に送信させる時間計測スクリプトを、前記端末に送信する時間計測スクリプト送信ステップと、
前記端末から受信した前記入力文字数情報に基づき、前記所定時間の間隔毎に入力された文字数の時系列の推移を求め、当該文字数の変化の度合に基づきスパム投稿か否かを判定するスパム投稿判定ステップと、
を含むスパム投稿判定方法。
【請求項7】
端末と、ネットワークを介して前記端末と接続し、前記端末から送信された文字情報を受信して、前記文字情報がスパム投稿か否かを判定するスパム投稿判定装置と、を備えるスパム投稿判定システムであって、
前記スパム投稿判定装置は、
前記端末に、前記文字情報の作成開始をトリガとして時間の計測を開始させ、所定時間の計測毎に入力された文字数を特定可能な入力文字数情報を生成させ、前記スパム投稿判定装置に送信させる時間計測スクリプトを、前記端末に送信する時間計測スクリプト送信手段と、
前記端末から受信した前記入力文字数情報に基づき、前記所定時間の間隔毎に入力された文字数の時系列の推移を求め、当該文字数の変化の度合に基づきスパム投稿か否かを判定するスパム投稿判定手段と、を備え、
前記端末は、
前記時間計測スクリプトにより、前記入力文字数情報を生成する時間計測手段と、
前記時間計測スクリプトにより、前記時間計測手段が生成した前記入力文字情報を前記スパム投稿判定装置に送信する入力文字情報送信手段と、
を備えるスパム投稿判定システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−12142(P2013−12142A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−145734(P2011−145734)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)
【Fターム(参考)】