説明

スパンディックスワインダー

【課題】 積み重ねられたワインダー用の独立した糸線を経てスパンディックスを巻くためのワインダー装置。
【解決手段】 この装置は、第1の複数のスパンディックス糸線(4A)を上方ワインダー(3A)に、また第2の複数のスパンディックス糸線(4B)を下方ワインダー(3B)に独立的に向けるための手段を備え、第1及び第2の複数の糸線は互いに一つ置きの関係にあり、上方ワインダーに取り付けられた各管芯(1A)は,下方ワインダーに取り付けられた対応管芯(1B)から管芯の長さの約1/2だけ軸方向で食い違いにされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパンディックスの巻取り装置に関し、特に互いに積み重ねられたかかるワインダーに対して独立した糸線(thread line)を提供する巻取り用の配列に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、管の上に糸を巻くための配列であって、各管がスピンドル上に個別に取り付けられ、複数の糸を巻くための異なった長さを有する複数の対応スピンドルが要求される前記配列を開示する。しかし、この装置は、各包装体がそれ自体のスピンドル上に巻かれるため、典型的にはスパンディックス用の多くの小さい包装体を巻き上げるためには、受け入れ難いほど背が高くかつ非常に費用がかかる。特許文献2に明らかにされたようなスパンディックスワインダーは、他のワインダー上に直接積み重ねることができる。上方及び下方のワインダーの両者に対する組み合わせられたスパンディックス糸線は、糸線を分割して一方の糸線を上方ワインダーの接触ロールに向けかつ他方の糸線を下方ワインダーの横移動用ガイドに向けるより前に、上方ワインダーのガイドを経て及び上方ワインダー用の横移動用ガイドを経て導くことができる。次いでスパンディックスは、包装体を形成するように管芯上に巻かれる。しかし、この配列は、スパンディックスの破断を生じ紡糸作業の継続性を失い更に費用の増加をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許4417700号
【特許文献2】米国特許3165274号
【発明の概要】
【0004】
スパンディックスを巻くための本発明の装置は、第1の複数のスパンディックス糸線を上方ワインダーに、及び第2の複数のスパンディックス糸線を下方ワインダーに独立的に向けるための手段を備えたスパンディックス巻取り装置であって、各ワインダーがスパンディックスを回転可能な接触ロールに沿って横移動(traverse)させるための横移動用組立体、及び接触ロールと外周で接触していて、スパンディックスを上に巻き得る複数の管芯(tubecore)を回転可能に支持するためのスピンドルを備え、第1及び第2の複数の糸線が互いに一つ置きの関係にあり、かつ上方ワインダーに取り付けられた各管芯が下方ワインダーに取り付けられた対応管芯から軸方向で管芯の長さの約1/2だけ変位されている。
【0005】
スパンディックスを巻くための本発明の方法は、第1の複数のスパンディックス糸線を上方ワインダーに向け、第1の複数の糸線を、上方ワインダーに回転可能に取り付けられた対応の第1の複数の管芯の上に巻き、第2の複数のスパンディックス糸線を下方ワインダーに向け、そして第2の複数の糸線を、下方ワインダーに回転可能に取り付けられた対応の第2の複数の管芯の上に巻く諸段階を含み、第1及び第2の複数の糸線が互いに一つ置きの関係にあり、更に上方ワインダーに取り付けられた各管芯が下方ワインダーに取り付けられた対応管芯から軸方向で管芯の長さの約1/2だけ変位される。
【0006】
この方法で作られたスパンディックス包装体もまた提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1A】本発明の装置の側面図を示す。
【図1B】本発明の装置の平面図を示す。
【図1C】本発明の装置の正面図を示す。
【図2A】本装置の第1の上方ガイドの平面図である。
【図2B】本装置の第2の上方ガイドの平面図である。
【図2C】上方ガイドの側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
スパンディックスは、繊維形成物質が少なくも85重量%のセグメントポリウレタンよりなる長鎖人造エラストマーである人造繊維である。人造エラストマーは、一般に、溶剤を除去するように紡糸口金の毛管を通して加熱カラム内に押し出される紡糸用溶液を形成するように、ジメチルアセトアミドのような適切な溶剤中で作られる。得られたスパンディックスは、カラム底部においてワインダーにより管芯上に巻かれる。
【0009】
紡糸用カラムの底部の空間は通常極めて限定され、そして高い生産性と高い包装体品質とを維持しつつこの空間を効率的に使用することは困難である。ワインダー上に別のワインダーを重ねることにより空間を節約でき、空間効率の大きな犠牲なしに生産性及び最終包装体品質の向上をもたらすことができる。本発明の配列の使用により紡糸作業中における切断の減少も得られる。本発明の装置は巻上げ張力を50%まで低くすることを許し、これにより包装体内において生ずる圧縮を小さくして、スパンディックスの使用中における取出しをより容易にすることができる。
【0010】
上下のワインダーに糸線を向ける手段は、これを図1に示されたような複数の固定ガイドとすることができる。図1の管芯は、その上に、ある程度のスパンディックス1cが既に巻かれた状態で示される。
【0011】
まず図1Aを参照すれば、ワインダー装置が側面から示される。上方ワインダー3aのスピンドル2aに取り付けられた管芯1aは、下方ワインダー3bのスピンドル2bに取り付けられた対応管芯1bとは軸方向位置が食い違っている。この食い違いの量は管芯の長さの約1/2である。この場合、ワインダーは垂直方向で揃えられ、そして管芯の食い違いは、スピンドル2aより長いスピンドル2bにより与えられる。しかし、実質的に等しい長さの管芯を使用しかつスピンドル軸線により定められる方向に沿って適切な距離だけワインダー3aとワインダー3bとを食い違いにすることよっても同じ結果を得ることができる。管芯の所要の食違いを与えるために、これらの方法の適宜の組合せを使うことができる。
【0012】
管芯が適切な接触ロールと外周で接触できるような方法で、上方接触ロール10a及び下方接触ロール10bが取り付けられる。希望のように、接触ロールが自由回転できスピンドルが駆動され、或いはスピンドルが自由回転でき接触ロールが駆動されるかのいずれとすることもできる。
【0013】
図1Aにおいては第1の上方ガイドは示されない。複数の第2の上方ガイドが5aで示され、複数の第2の下方ガイドが5bで示される。下方ガイド5bはセルフ糸通し式であることが好ましい。選択的に、糸通しを容易にするために横移動用ガイドから離れるように糸線を向け直すために、上下のワインダーに「フリッパーバー」を設けることができる。
【0014】
図1Aには、この図の総数8個の管芯に対応して8個の糸線4が示される。第1の上方ガイドは、第1の複数の糸線4aを、上方管芯1a上に巻くように上方ワインダー3aに向ける。第2の上方ガイド5aと下方ガイド5bとは、第2の複数の糸線4bを下方管芯1b上に巻くために、上方ワインダー3aの横移動用組立体(図示せず)を通過して下方
ワインダー3bに向ける。第1及び第2の複数の糸線は互いに一つ置きの関係にある。
【0015】
図1bは、本発明の装置の平面図である。複数の第1の上方ガイド6aが、第1の複数の糸線4aを、横移動用ガイド15aを備えた上方横移動用組立体7aに向け、このガイドが接触ロール10aを横切って糸線を横移動させ、このロールが糸線を管芯1aに通過させる。同様に、第2の上方ガイド5aは、一つ置きの糸線を下方ガイドに向け、ここで下方横移動用組立体により横移動させられ、接触ロール10bの周りを通過して最終的に管芯1b上に巻かれる。これらの糸線、下方ガイド及び下方横移動用組立体は、この平面図では見られない。
【0016】
図1Cは、本装置のワインダー3a及び3bの積み重ねられた対の正面図である。第1の複数の糸線4aは、第1の上方ガイド6aにより、横移動用ガイド15aを有する上方横移動用組立体7aに向けられる。次いで、糸線は接触ロール10aを回って通過し管芯1a上に巻かれる。第2の複数の糸線4bは、第2の上方ガイド5aにより下方ガイド5bに向けられ、このガイドは、この糸線を、横移動用ガイド15bを有する下方横移動用組立体7bに向ける。糸線は接触ロール10bを回って通過し管芯1b上に巻かれる。
【0017】
全てのガイドを固定することができるが、第2の上方ガイド5aについては、糸通し中の第2の上方ガイドにおける糸線4aと4bとの縺れを最小にするために後退できることが有利である。図2に示されるように、これは、第2の上方ガイド5aの各を、第1の糸通し位置から第2の巻取り位置に強制する(例えば鋼の)ばねストリップに取り付けることにより達成することができる。
【0018】
図2Aは、第1の上方ガイド6aと第2の上方ガイド5aとをより詳細に平面図で示す。この図面において、ガイド5aは後退した糸通し位置にあり、かつガイド6aとほぼ揃えられる。図2Bにおいては、ガイド5aは、ハンドルバー12に取り付けられた柱11によりガイド6aとの整列から外れるように強制されている運転位置にある。バーのハンドルは、バーを回転させかつ柱を鋼のばねストリップ13に押し付けるように回されている。図2Cは、ばねストリップ13に取り付けられた第2の上方ガイド5aが第1の上方ガイド6aから離れるように強制される運転位置において、装置正面から見た第1及び第2の上方ガイドを示す。柱11は、運転位置に回されたバー12のハンドルにより隠される。ストリップ13は、一方の端部において支持体14に固定される。この図においては、選択的に追加されたガイド6aaも示される。これらガイドの使用により、巻かれているスパンディックス包装体の形を改善する。
【0019】
図面では各スピンドルについて4個の管芯が示されるが、適宜の数、例えば8個、12個、16個、18個、21個、24個等々の管芯を使用することができる。
【0020】
横移動用組立体7a及び7bは、各が、カムボックス、ボックス内に回転可能に取り付けられた円柱状の溝付きカム、溝内で摺動可能に取り付けられたカム従動子、ボックス内に固定取付けされた1対のレール、及びカム従動子に取り付けられかつレール間に摺動可能に置かれた横移動用ガイド15を備える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の複数のスパンディックス糸線を上方ワインダーに、及び第2の複数のスパンディックス糸線を下方ワインダーに独立的に向けるための手段を備えたスパンディックス巻取り装置であって、
各ワインダーがスパンディックスを回転可能な接触ロールに沿って横移動させるための横移動用組立体、及び接触ロールと外周で接触していて、スパンディックスを上に巻き得る複数の管芯を回転可能に支持するためのスピンドルを備え、第1及び第2の複数の糸線が互いに一つ置きの関係にあり、かつ上方ワインダーに取り付けられた各管芯が下方ワインダーに取り付けられた対応管芯から軸方向で管芯の長さの1/2だけ変位されており、
管芯の変位が、下方ワインダーのスピンドルの長さからの長さの差を有する上方ワインダーのスピンドルにより達成され、
各スピンドルが軸線を有し、軸線がワインダーの方向を定め、そして管芯の変位は、この方向に沿って下方ワインダーから食い違いにされている上方ワインダーにより達成され、
方向付け手段が第1の複数の糸線を上方ワインダーの横移動用組立体に向けるための複数の第1の上方ガイド、及び第2の複数の糸線を、上方ワインダーの横移動用組立体を通り過ぎて、糸線を下方ワインダーの横移動用組立体に向ける複数の下方ガイドに向けるための複数の第2の上方ガイドを備える
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
第2の上方ガイドが後退可能であり、かつ下方ガイドが自己糸通し式である請求項1の装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【公開番号】特開2009−67602(P2009−67602A)
【公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1561(P2009−1561)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【分割の表示】特願2000−577108(P2000−577108)の分割
【原出願日】平成10年10月20日(1998.10.20)
【出願人】(599088656)インビスタ テクノロジーズ エス エイ アール エル (11)