説明

スピノシン燻蒸剤

エアゾール、霧、煙又は蒸気の形態でスピノシン組成物を分散させることにより節足動物害虫を抑制する方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【関連出願に対する関係】
【0001】
本出願は2006年5月25日に出願された仮(35 USC 119(e))出願第60/808,510号明細書の非仮出願(Non−Prov)である。
【背景技術】
【0002】
害虫駆除の1つの一般に使用される方法は燻蒸である。燻蒸剤は、温室植物、粒状物質(穀物のような)及びその他の貯蔵収穫物(トマト及び食材のような)及び空間(建物のような)を保護するために必要な、害虫駆除及び害虫蔓延に対する防護のために広く使用される。しかし、燻蒸剤使用における高い揮発性の必要性のために、通常、ごく少数の化学薬品が使用される。
【0003】
本明細書で使用される用語「燻蒸剤」は、貯蔵庫、建物、温室、船、貨車、貯蔵製品中、食品、植物、他の生存生物上又は、害虫による攻撃、すなわち害虫の蔓延、を受け易い、あらゆる閉鎖領域中の害虫を抑制するために、超少量の液滴(煙)又は蒸気の形態で揮発させることができる殺虫組成物を表す。用語「燻蒸」は害虫を抑制するための分散される殺虫組成物の使用を表す。
【0004】
液滴サイズは、空気中に殺虫剤の液滴がどのくらい長く浮遊したままでいるか、一定料の殺虫剤から生成される液滴数及び、各液滴により覆われる処理面積又は領域のサイズを決定する。以下の範疇が区別されなければならない:
a.400ミクロン以上の粒径の液滴をもつ粗いスプレー、
b.100〜400ミクロンの粒径の液滴をもつ微細スプレー、
c.50〜100ミクロンの液滴をもつ霧、
d.0.1〜50ミクロンの範囲の粒径をもつ粒状物又は液滴をもつエアゾール、霧及び超低容量(ULV)の霧又は煙(熱い空気の爆風(熱霧)中への殺虫剤の注入、液化ガスとの混合、小孔を通す放出(アエゾール)、非常に微細なノズルを通す噴霧化、又は高速ローターでの分離により生成される)、
f.すべての粒状物が0.001ミクロン未満の粒径をもつ蒸気(熱発生装置により生成)、
g.ガス。
【発明の概要】
【0005】
発明の定義
本発明は、1種又は複数のスピノシン化合物を利用する燻蒸法を対象とする。
【0006】
1つの態様において、本発明は、0.1〜50ミクロンの範囲の粒径を有する液滴又は粒状物の形態で分散されたスピノシン組成物を利用する燻蒸法を対象とする。
【0007】
より特定の態様において、本発明は、密閉空間内の植物又は植物製品を閉じ込め、そして該空間内に0.1〜50ミクロンの範囲の粒径を有する液滴又は粒状物の形態のスピノシン組成物を分散する方法:を含んでなる、植物又は植物製品の害虫を駆除し、保護する方法を提供する。
【0008】
更に、密閉空間内に貯蔵製品を閉じ込め、そして0.1〜50ミクロンの範囲の粒径を有する液滴又は粒状物の形態の、スピノサド及び液体担体を含んでなる組成物を該空間内に分散する方法を含んでなる貯蔵製品を保護する方法が提供される。
【0009】
本発明を実施する際に使用されるスピノシン組成物は好ましくは、不活性の液体担体中に溶解又は懸濁された、スピノサド又はスピネトラム、あるいはそれらの有機可溶性塩である。
【0010】
スピノシン化合物は、12−員の大環状ラクトン、中性糖(ラムノース)及びアミノ糖(フォロスアミン)に縮合された5,6,5−三環式環系よりなる(Kirst等(1991)参照)。天然のスピノシン化合物は、Midwest Area Northern Regional Research Center,Agricultural Research Service,United States Department of Agriculture,1815 North University Street,Peoria,Ill.61604の保存培養コレクションのNRRL 18719、18537、18538、18539、18743、18395及び18823として預けられた培養物から発酵により生成することができる。スピノシン化合物はまた、米国特許第5,496,931号、第5,670,364号、第5,591,606号、第5,571,901号、第5,202,242号、第5,767,253号、第5,840,861号、第5,670,486号及び第5,631,155号明細書に開示されている。時々スピノソイドと呼ばれる天然のスピノシン化合物の誘導体は、米国特許第6,001,981号明細書に開示されている。スピノシンは、これも本発明の方法に有用な、塩の形態で単離することができる。塩は、塩の製造の標準法を使用して製造される。例えば、スピノシンは、適当な酸で中和されて酸付加塩を形成することができる。代表的な適当な酸付加塩は、有機又は無機酸のいずれか、例えば硫酸、塩酸、リン酸、酢酸、琥珀酸、クエン酸、乳酸、マレイン酸、フマル酸、コリン酸、パモエ酸、ムチン酸、グルタミン酸、カンファー酸、グルタル酸、グリコール酸、フタル酸、酒石酸、ギ酸、ラウリン酸、ステアリン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ソルビン酸、ピクリン酸、安息香酸、桂皮酸、等の酸との反応により形成される塩を包含する。本明細書で使用される用語「スピノシン」は、スピノソイド及び酸付加塩を包含する。
【0011】
スピノサドは主として約85%のスピノシンA及び約15%のスピノシンDよりなる、Dow AgroSciences(Indianapolis,Indiana)により製造される殺虫剤である。スピノシンA及びDは米国特許第5,362,634号明細書に開示されたサッカロポリスポラ・スピノサ(Saccharopolyspora spinosa)の発酵により生成される天然産物である。スピノサドはTRACER、SUCCESS、SPINTOR及びCONSERVE昆虫抑制製品を包含する、Dow AgroSciencesから市販されているいくつかの殺虫調合物の有効成分である。例えば、TRACER製品は、約44%〜約48%のスピノサド(w/v)又は、1ガロン当り約4ポンドのスピノサド(119.8g/l)からなる。顆粒及び液体調合物中のスピノシン化合物は、クモ類、線虫類及び昆虫、とりわけ鱗翅目(Lepidoptera)、総翅目(Thysanoptera)及び双翅目(Diptera)種の抑制に確立された有用性をもつ。スピノシンは低い揮発性をもつ大型分子であるため、燻蒸剤としてのそれらの有用性は以前は思いもよらなかった。
【0012】
本発明の実施に対して特に興味深い他のスピノシン化合物は、5,6−ジヒドロ−3’−エトキシスピノシンJ及び3’−エトキシスピノシンLである。これらの2化合物は米国特許第6,001,981号明細書中の実施例A25及びA38として開示されている。それらは天然スピノシン化合物、スピノシンJ及びスピノシンLの誘導体である。
【0013】
【表1】

【0014】
スピネトラム(以前はDE−175として知られた)は、Dow AgroSciencesにより開発されている、5,6−ジヒドロ−3’−エトキシスピノシンJ(主成分)及び3’−エトキシスピノシンLの混合物である。混合物はスピノシンJ及びスピノシンLの混合物をエトキシル化し、次に水素化することにより製造することができる。スピノシンJ及びその3’−エトキシの5,6二重結合は、スピノシンL及びその3’−エトキシ誘導体におけるC−5のメチル基による立体妨害により、スピノシンL及びその3’−エトキシ誘導体の二重結合よりずっと容易に水素化される。
【0015】
驚くべきことには、スピノシン組成物は、従来の燻蒸装置、例えばULV霧発生器及び冷噴霧器、熱噴霧器、燃焼性燻蒸製品(燻蒸缶又は蚊取りコイルのようなコイル、のような)及び、噴霧器及びマットタイプの装置のような熱蒸発機、を使用して、ULVエアゾール又は霧として適当な濃度で分散されて、有効に害虫を抑制することができる。
【0016】
本発明に使用されるスピノシン組成物は、非水性溶媒中のスピノシン又はスピノシンの有機可溶性塩の溶液又はエマルションであることができる。適当な非水性溶媒の例は、1個〜10個の炭素原子を有するアルキルアルコール(例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、等)、炭化水素溶媒(例えば、ヘキサン、オクタン、シクロペンタン、ベンゼン、トルエン、キシロール、等)、ハロゲン化炭化水素溶媒(例えば、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、ジクロロベンゼン、等)、エーテル溶媒(例えば、エチルエーテル、ブチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、等)、ケトン溶媒(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサン、等)、エステル溶媒(例えば、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピル、酢酸フェニル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、等)、アルコール溶媒(例えば、ジアセトンアルコール、等)及び高沸点炭化水素溶媒である。
【0017】
エアゾール発生機又は、調合物の加熱が必要でないために冷噴霧器としても知られるULV噴霧器及び、殺虫剤を熱空気の衝風中に射出する熱噴霧器は本発明の実施における使用に適し、当該技術分野で周知であり、そして、例えばCurtis Dyna−Fog Ltd.,PO Box 297,Westfield IN uu46074,United States http://www.dynafog.com及びIndustrial Chemical Cleaner,6333 Sidney Street,Houston Texas,777021,hhtp://www.iccfoggers.com/index.htmから市販されている。
【0018】
米国特許第4,871,115号明細書は本発明の実施における使用に適する煙発生装置を開示している。
【0019】
米国特許第4,777,032号明細書は本発明を実施する際の使用に適する燃焼性燻蒸装置を開示している。装置は殺虫剤がその中に取り入れられた紙を含んでなる。紙を燃やして、殺虫剤を散布させる。少量のみの煙を含有し、そして、有効化合物を分解しないように限定された温度における特別の燃焼反応から発生する、大量の燃焼ガスによる、効率のよい、急速な散布を確保するために、この紙は、窒素の割合が5%を超え、そして繊維がセルロース及びニトロセルロース繊維の混合物よりなるニトロセルロース基材の紙であり、ここでこの混合物は少なくとも18%のセルロース繊維を含んでなり、そして有効化合物は130℃を超える分解温度をもつ。
【0020】
燃焼性コイルは物質(例えば殺虫剤、香、等)を蒸発させるもう1つの知られた方法である。燃焼性コイルを記載している代表的な特許は、米国特許第3,248,287号、第3,723,615号、第3,819,823号、第4,144,318号、第5,657,574号及び第6,419,898号明細書である。これらの装置は忌避剤、殺虫剤、昆虫成長調整剤のような昆虫抑制成分を含有する、緩徐に燃焼性の固形物質のコイルである。それらが燃焼すると、熱が昆虫抑制成分を蒸発させる(そしてそれにより分散させる)。少量の煙はまた、昆虫抑制成分を分散させる補助をする。このような装置は蚊を抑制するために好都合に使用される1つの手段である。蚊取りコイルはしばしば、居住区内の飛翔昆虫を殺す又は追い払うために使用される。伝統的蚊取りコイル組成物は、この物質が許容されうる蚊取りコイルを形成するための必須の成分であると考えられるので、除虫菊絞りカス(marc)として知られる、除虫菊を製造する工程からの残留物を約25%以上包含する。除虫菊絞りカスに加えて、蚊取りコイルに使用される主要燃焼剤又は燃料はココナツの殻の粉末、タブー(tabu)粉末、おが屑、粉砕樹葉、粉砕樹皮、デンプン、等である。
【0021】
熱蒸発装置は、殺虫剤溶液で含浸されたマットが外界空気中に殺虫剤を蒸発させるための熱板上に配置されるように使用されるマットタイプのものを包含する。米国特許第6,031,967号、第6,551,560号明細書を参照されたい。このような装置はまた、蚊の抑制に好都合に使用される。
【0022】
殺虫剤コイルが使用される場合、不活性支持体は例えば、除虫菊絞りカス化合物、タブー粉末(又はマキルス・トンベルギイ(Machilus thumbergii)の葉の粉末)、除虫菊の茎の粉末、ヒマラヤスギの葉の粉末、おが屑(松のおが屑のような)、デンプン及びココナツの殻の粉末であることができる。その場合、有効成分の用量は0.03重量%〜1重量%であることができる。不燃性の繊維の支持体(マット)が使用される場合、有効物質の用量は0.03重量%〜95重量%であることができる。
【0023】
本発明は、例えば、貯蔵穀物あるいは、粉又は粗挽き粉(meal)又は動物飼料のような貯蔵食品を保護するために使用することができる。
【0024】
1つの態様において、本発明はスピノシン燻蒸により、タバコのような農産物の害虫を駆除する方法を提供する。貯蔵タバコ及びタバコ製品の主要害虫は、シガレット甲虫、ライソデルマ・セリコルネ(Laisoderma serricorne)である。過去50年間、シガレット甲虫及び他の貯蔵製品害虫の抑制のために、タバコ及び他の農産物を燻蒸するために、シアン化水素、臭化メチル及びリン化水素のような毒性燻蒸剤が使用されてきた。殺虫剤に対する作業者の暴露、農産物上の殺虫剤残留物、燻蒸剤の可燃性並びに空気及び水の汚染に関する規制当局の懸念のために、過去数年間、様々な燻蒸剤の使用がますます制限されてきた。
【0025】
本発明の燻蒸法は節足動物門(Phylum Arthropoda)の害虫を抑制するために使用することができる。
【0026】
1つの態様において、本発明は六脚類亜門(Subphylum Hexapoda)の害虫を抑制するために使用することができる。より特別には、本発明は昆虫綱(Class Insecta)の害虫を抑制するために使用することができる。例えば、本発明の燻蒸法は、コレオプテラ(Coleoptera)(甲虫類)、デルマプテラ(Demaptera)(ハサミ虫)、ジクチオプテラ(Dictyoptera)(ゴキブリ)、双翅目(Diptera)(真の蝿)、半翅目(Hemiptera)(真の昆虫)、総翅目(Homoptera)(アブラ虫、カイガラ虫、コナジラミ、ヨコバイ)、膜翅目(Hymenoptera)(アリ、スズメバチ及びミツバチ)、イソプテラ(Isoptera)(シロアリ)、鱗翅目(Lepidoptera)(蛾及び蝶々)、マロファガ(Mallophaga)(噛むシラミ)、直翅目(Orthoptera)(バッタ、イナゴ及びコウロギ)、フチラプテラ(Phthiraptera)(吸血シラミ)、シホナプテラ(Siphonaptera)(ノミ)及びシサノプテラ(Thysanoptera)(アザミウマ)を抑制するために使用することができる。
【0027】
もう1つの態様において、本発明の燻蒸法は鋏角類亜門(Subphylum Chelicerata)害虫を抑制するために使用することができる。より特別には、本発明の燻蒸法はクモ類(Class Arachnida)の害虫を抑制するために使用することができる。例えば、本発明の燻蒸法はダニ類(Acarina)(ケダニ及びダニ)を抑制するために使用することができる。
【実施例】
【0028】
実施例1〜10
実験室試験を熱噴霧器の送達による殺虫作用に対してスピノサド及びスピネトラムを試験するために実施した。試験昆虫は、エデス・エギプチ(Aedes aegypti)黄熱病の蚊、ドロソフィラ・メラノガステル(Drosophila melanogaster)ショウジョウバエ、ムスカ・ドメスチカ(Musca domestica)イエバエ及びプロジア・インテルプンクテラ(Plodia interpunctella)ひきわりトウモロコシ蛾、を包含した。
【0029】
テスト室
テスト室はPVCパイプの支持構造物からポリエチレン(PE)の袋を吊るすことにより開発された。袋は、約100ft(28.3m)の密閉内容積をもつ、48”(122cm)W×48”(122cm)D×102”(259cm)H(ULINE製品#S−8366)の測定値をもつ3milのPEのパレットカバーであった。室は平坦な4milのPEシートに床レベルでシールされた。4種の処理複製物及び1種の溶媒ブランク対照を収納するために5室を作製した。すべての室を1適用につき1回使用して、次に廃棄した。
【0030】
保持ケージ
黄熱病の蚊、イエハエ及びひきわりトウモロコシ蛾用保持ケージを、18×16メッシュの標準アルミニウム防虫網から作製した。円形ケージは3.5”(8.75cm)の直径及び5.5”(14.0cm)の高さの大きさに作製した。保持ケージの床及び天井は滅菌アクリルペトリ皿のカバー及び底であった。各保持ケージ中の昆虫に、7.5mlのガラスバイヤル及び滅菌糸芯から10%蔗糖溶液を供給した。ショウジョウバエに対しては、0.8mmメッシュの開口部をもつ白色ポリエステルの蚊用網を果物用ビンの蓋に糊付けし、ペトリ皿の底中に置いて、適当な保持ケージを作製した。砂糖水を2mlのバイアルから提供した。
【0031】
熱噴霧装置
Dynafog Trailblazerモデル2600E、シリーズ3熱噴霧装置を適用に使用した。噴霧装置は0.5〜50ミクロンの範囲の粒径をもち、1時間当り19リットルまでの調合物を送達するようになっている。それは500ft(141.5m)を超える密閉空間に適用するようになっている。その結果、噴霧器は、100ft(28.3m)のテスト室を入れるように調整することができる、より小さい容量を送達するように修飾された。
【0032】
調合物を送達したすべてのホースを3.2mmのOD、2.0mmIDのナイロンチュービングに縮小した。調合物タンクはチュービングを収納するための適当な付属品を伴う250mlのHDPEビンに縮小した。噴霧器のオン/オフスイッチはバイパスされ、手動のトグルスイッチと置き換えた。この構造物を1時間に約4.0リットルを送達するようにニードル弁調整により基準合わせをした。
【0033】
昆虫の処理
ひきわりトウモロコシ蛾の採集は培養ビンから二酸化炭素麻酔した個体を選択することにより実施した。成虫黄熱病蚊、イエハエ及びショウジョウバエは培養ビンから50mlの保持ビン中に吸引し、次に二酸化炭素で麻酔し、採集した。すべての昆虫を試験開始の前少なくとも1時間は麻酔から回復させた。各反復試験に50匹の成虫を使用した。処理から死亡した、又は傷害されたあらゆる昆虫を前処理死亡率データとして記録した。
【0034】
適用
試験に使用された調合物は1.1%スピノサド(90%純度)、1.5%イソプロピルミリステート(Cognis Corporation,Cincinnati,OH)、4.0%Emersol 213(Cognis Corporation)及び93.4%Exxsol D80(ExxonMobil,Houston,TX)又は、1.2%スピネトラム(81%純度)、1.5%イソプロピルミリステート(Cognis Corporation)、4.0%Emersol 213(Cognis Corporation)及び93.3%Exxsol D80(ExxonMobil)よりなった。溶媒混合物だけを伴うブランク処理は対照処理の1つであった。他の対照処理は有効成分及び溶媒の不在であった。
【0035】
すべての適用を約71〜72°F(21.7〜22.1℃)の室温で実施した。すべての昆虫保持ケージは処理の直前にテスト室の角にハンガーから吊るすか又は、ショウジョウバエの場合は、テスト保持ケージは床上に置いた。
【0036】
噴霧器は溶媒のみを充填し、実施して、ライン(lines)を洗浄した。毎秒約1mlを送達するように目盛調整後に、流量を調整した。
【0037】
以下の工程1〜11は1種の調合物に対する1試験と考えられる:
1.噴霧器のスイッチを入れて温度まで暖めた(3〜5分)。
2.トグル弁を開いて、各処理の実行前に調合物をラインに充填させた(〜50ml)。
3.調合物タンク内の調合物の量をSartorius BL1500秤上で秤量し、次に噴霧器に再度取り付けた。
4.噴霧器を処理室中の長方形の開口切り口の前に配置した。デジタルタイマーをセットし、トグル弁を開いて、調合物又は溶媒を適用した。
5.5〜7秒後に、トグル弁を閉め、噴霧器を停めた。
6.長方形の開口部をパッキングテープで即座にシールした。
7.調合物タンクを秤量し、秒における適用時間における質量の差を記録した。
8.タンクを再度取り付け、工程4〜7を次の3つの処理室に対して反復した。
9.4つの処理室を実施後に、噴霧器を清浄な溶媒(〜50ml)でフラッシュして噴霧器から調合物を除去した。
10.次に秤量後、溶媒のみを含む新規調合物タンクを再度取り付けた。
11.噴霧器に溶媒を充填し、次に工程3〜7を溶媒ブランク処理室について実施した。
【0038】
未処理対照試験ケージを同一温度及び照明条件下の隣室に維持した。
【0039】
効果の評価
適用の効果は1時間、4時間、18時間及び24時間に記録した。すべての処理、溶媒対照及び未処理対照試験ケージにつき、各期間に、生存及び死亡昆虫数を記録した。
【0040】
実施例1
【表2】

【0041】
実施例2
【表3】

【0042】
実施例3
【表4】

【0043】
実施例4
【表5】

【0044】
実施例5
【表6】

【0045】
実施例6
【表7】

【0046】
実施例7
【表8】

【0047】
実施例8
【表9】

【0048】
実施例9
【表10】

【0049】
実施例10
【表11】

【0050】
実施例11
【表12】

【0051】
調合実施例1
可燃性コイル
最初に0.5gのスピネトラムを20mlのアセトンに溶解する。溶液を均一に撹拌し、99.4gの蚊取りコイル用担体(4:3:3のカンファー粉末:かす(lees)粉末:木粉の混合物)と混合する。それに120mlの水を添加し、混合物を十分混練し、次に成形し、乾燥すると可燃性コイルを得る。
【0052】
調合実施例2
コイル
最初に0.5gの各スピネトラムを20mlのアセトンに溶解する。溶液を、99.4gの蚊取りコイル用担体(4:3:3の比率のタブー粉末:除虫菊絞りカス粉末:木粉を混合することにより製造)と撹拌しながら均一に混合する。混合物を120mlの水で十分混練し、次に成形し、乾燥すると可燃性コイルを与える。
【0053】
調合実施例3
電気マット
アセトンを0.5gのスピネトラム及び0.4gのピペニルブトキシドに添加して、成分を溶解して、総量10ml量の溶液を製造する。2.5cm×1.5cm×0.3cmの厚さの電気マット用基材(シートに固めた綿リンター及びパルプの混合物のフィブリル)を前記の溶液で均一に含浸すると電気マットを得る。
【0054】
調合実施例4
熱燻蒸剤
最初に100mgのスピネトラムを適量のアセトンに溶解する。4.0cm×4.0cm×1.2cmの厚さの多孔質セラミックシートを生成された溶液で含浸させると熱燻蒸剤を得る。
【0055】
スピノサドで含浸した電気加熱マットは標準プロトコール(SANS法6136)に従って試験されると、成虫の蚊を抑制する効力を示した。
【0056】
以上に言及されたすべての特許及び刊行物は本明細書に引用により取り入れられている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
節足動物害虫の抑制が所望される空間に、スピノシン及び液体担体を含んでなる組成物を分散する方法を含んでなり、そこで組成物が0.1〜50ミクロンの範囲の粒径を有する液滴又は粒状物の形態で分散されて霧を生成する、節足動物害虫の抑制法。
【請求項2】
組成物がスピノサドを含んでなる、請求項1の方法。
【請求項3】
組成物がスピネトラムを含んでなる、請求項1の方法。
【請求項4】
組成物が熱噴霧器を使用して分散される、請求項1の方法。
【請求項5】
組成物が密閉空間内に分散される、請求項1の方法。
【請求項6】
甲虫、ゴキブリ又はアリを抑制するために使用される請求項1の方法。
【請求項7】
蝿又は蛾を抑制するために使用される請求項1の方法。
【請求項8】
空間が温室内である、請求項1の方法。
【請求項9】
密閉空間が、節足動物害虫から保護されることが望まれる植物材料(plant material)を含有する、請求項5の方法。
【請求項10】
密閉空間が節足動物害虫から保護されることが望まれる貯蔵製品を含有する、請求項5の方法。
【請求項11】
0.1〜50ミクロンの範囲の粒径を有する液滴又は粒状物の形態の、スピノシン及び非水性有機溶媒を含んでなる組成物を空間に分散して、霧を形成する方法を含んでなる、空間の害虫駆除法。
【請求項12】
スピネトラムで含浸された基材を含んでなる電気蚊避けマット。
【請求項13】
燃焼性担体及びスピネトラムを含んでなる燃焼性コイル。
【請求項14】
節足動物害虫の抑制が望まれる空間にスピネトラム及び液体担体を含んでなる組成物を分散する方法を含んでなり、そこで組成物が0.001ミクロン以下の粒径を有する液滴又は粒状物の形態で分散されて蒸気を生成する、節足動物害虫の抑制法。
【請求項15】
組成物が密閉空間中に分散される請求項14の方法。
【請求項16】
0.001ミクロン以下の粒径を有する液滴又は粒状物の形態の、スピネトラム及び非水性有機溶媒を含んでなる組成物を空間に分散させて蒸気を生成する方法を含んでなる、空間の害虫を駆除する方法。

【公表番号】特表2009−545520(P2009−545520A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512142(P2009−512142)
【出願日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際出願番号】PCT/US2007/012365
【国際公開番号】WO2007/139872
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(390039192)ダウ・アグロサイエンス・エル・エル・シー (20)
【氏名又は名称原語表記】Dow AgroSciences LLC
【Fターム(参考)】