説明

スピロピペリジン化合物および糖尿病治療のためのその医薬用途

式(I)の化合物:


(I)
またはその医薬的に許容可能な塩および医薬組成物ならびに糖尿病を治療するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(該当なし)
【背景技術】
【0002】
糖尿病は発展途上国が直面している最も深刻な医療問題のうちの1つである。2型糖尿病(T2D)のための一部の有益な市販の経口治療は、PPARガンマ受容体の調節を介して作用すると考えられている。
【0003】
これらの薬剤の投与は、時々、低血糖症、肝臓障害、胃腸疾患、体重増加を含む、望ましくない副作用、またはPPARガンマ活性と関連し得る他の望ましくない作用と関連している。T2Dを管理するためのより望ましい安全性プロファイルを与える新規の治療選択は、多くの患者における糖尿病を効果的に治療または予防することが望まれる。特に、PPARガンマ活性化と関連している作用を最小化または回避できる新規機構に基づいた治療法がとりわけ望まれる。
【0004】
GPR40は、齧歯動物の膵臓ベータ細胞、インスリノーマ細胞株、およびヒト膵島において高レベルで主に発現されると報告されているGタンパク質共役受容体である。この受容体は培地および長鎖脂肪酸によって活性化されるので、その受容体はFFAR1(遊離脂肪酸受容体1)としても知られている。非特許文献1を参照のこと。インスリン分泌のグルコース依存性は、GPR40を活性化し、この受容体を、T2Dの治療に使用するための所望の安全性プロファイルを有する効果的な治療を開発するための優れた標的とする重要な特徴である。このような化合物は有効性を示し、インスリンおよびスルホニル尿素などの既存の治療と比べてより望ましい安全性プロファイルが特に望まれ得る。
【0005】
最近公開された特許文献1(「908」)は概して、炭化水素スピロ基の特性を有する化合物を開示しており、Gタンパク質共役受容体40(「GPR−40」)調節因子としての活性を有すると記載されている。しかしながら、「908」の開示は、PPARガンマに対する選択性について言及していない。加えて、「908」の開示の化合物は、スピロ特性においてヘテロ原子を含まない炭化水素スピロ基を必要とする化合物である。対照的に、本発明で特許請求されているスピロピペリジン化合物の多くは、検出可能なPPAR活性を有さずにGPR40の所望の選択的活性化を与える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願US2009/0170908A1号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Briscoe CPら,The orphan G protein−coupled receptor GPR40 is activated by medium and long chain fatty acids,Journal Biological Chemistry 278:11303−11311,2003
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の化合物はGPR−40の有効な活性化因子である。本発明は、商業的に利用可能な治療と比べて特有の薬理学的機構を介して作用する所望の新規治療選択を提供し、さらに、PPARガンマと比べてGPR−40を選択的に活性化する化合物を提供する。選択的GPR−40活性化因子としての本発明の化合物の薬理学的プロファイルはT2Dの治療に使用するのに特に望ましくなり得る。加えて、選択的GPR−40調節は、PPARガンマ調節と関連する作用を回避することによってT2Dの治療に使用するのに特に望ましい安全性プロファイルを提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の式の化合物:
【化1】

[式中、
は、H、FおよびClからなる群より選択され;
は、H、C1−3アルキル、CF、OCH、F、およびClからなる群より選択され;
およびR4aは、各々独立して、H、OCH、C1−3アルキル、CF、およびFからなる群より選択され、ここで、RおよびR4aからなる群より選択される少なくとも1つはHであり;
は、HまたはC≡CCHであり;
Xは、−CH(R)CH−、−CH(R)=CH−、−N(R)CH−および−C(O)CH−からなる群より選択され;
は、HおよびC1−3アルキルからなる群より選択され;
は、H、C1−3アルキル、およびフェニルからなる群より選択される]
またはその医薬的に許容可能な塩に関する。
【0010】
本発明は、以下の式の中間体化合物:
【化2】

[式中、
は、H、FおよびClからなる群より選択され;
は、H、C1−3アルキル、CF、OCH、F、およびClからなる群より選択され;
およびR4aは、各々独立して、H、OCH、C1−3アルキル、CF、およびFからなる群より選択され、ここで、RおよびR4aからなる群より選択される少なくとも1つはHであり;
は、HまたはC≡CCHであり;
は、C1−3アルキルからなる群より選択され;
Xは、−CH(R)CH−、−C(R)=CH−、−N(R)CH−および−C(O)CH−からなる群より選択され;
は、HおよびC1−3アルキルからなる群より選択され;
は、H、C1−3アルキル、C(O)OC1−4アルキル、およびフェニルからなる群より選択される]
またはその塩を提供する。
【0011】
式IIの化合物(式中、RはC−Cアルキルからなる群より選択される)は、スピロピペリジン化合物の合成における中間体として有用である。
【0012】
本発明のさらなる実施形態は、薬剤の製造において使用するための本発明によって特許請求されている化合物またはその医薬的に許容可能な塩の使用を提供する。本発明の別の実施形態において、その薬剤は糖尿病の治療における使用のためである。本発明のさらなる実施形態は、治療として使用するための、本明細書で特許請求されている化合物またはその医薬的に許容可能な塩の使用である。本発明のさらなる実施形態は、糖尿病の治療に使用するための本発明によって特許請求されている化合物、またはその医薬的に許容可能な塩である。さらに、本発明は、薬剤としての使用のための本発明によって特許請求されている化合物に関する。
【0013】
本発明のさらなる実施形態は、哺乳動物における糖尿病を治療するための方法であって、本発明によって特許請求されている化合物またはその医薬的に許容可能な塩を哺乳動物に投与する工程を含む、方法を提供する。
【0014】
別の実施形態において、本発明はまた、本発明によって特許請求されている化合物、またはその医薬的に許容可能な塩、および医薬的に許容可能な担体を含む医薬組成物に関する。さらなる実施形態は、第2の薬剤をさらに含む本発明の医薬組成物である。
【0015】
本発明の化合物はGPR−40を選択的に活性化することが好ましい。例示した化合物のPPAR活性についての相対的IC50は概して10μMより高く、そのような化合物がPPARアイソフォームを活性化しないことを支持する。
【0016】
実施例1の化合物である、(3S)−3−(4−{[4−(1’H−スピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−1’−イルメチル)ベンジル]オキシ}フェニル)ヘキサ−4−イン酸、またはその塩が好適であり得る。
【0017】
実施例24の化合物である、(3S)−3−[4−({4−[(1−メチル−1,2,−ジヒドロ−1’H−スピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]ベンジル}オキシ)フェニル]ヘキサ−4−イン酸、またはその塩が好適であり得る。
【0018】
がC≡CCHである場合、式Iの化合物はキラル中心を有する。本発明は、ラセミ化合物および個々の異性体の両方を意図する。RがC≡CCHである場合、S異性体が概して好適である。
【0019】
はC≡CCHである、式Iの化合物が好適であり得る。RはHであり、RはFまたはClである化合物が好適であり得る。RはHであり、RはFである化合物が好適であり得る。RはC≡CCHであり、RはHである化合物が好適であり得る。RはHである化合物が好適であり得る。Xは−C(R)=CH−、−CH(R)CH−および−N(R)CH−からなる群より選択される化合物が好適である。Xは−C(R)=CH−である化合物が好適であり得る。RはHおよびCHからなる群より選択される化合物が好適である。RはHである化合物が好適であり得る。R4aはHである化合物が好適である。RはH、OCH、CH、およびCFからなる群より選択される化合物が好適である。RはHである化合物が好適であり得る。RはH、OCH、CH、CF、およびFからなる群より選択される化合物が好適である。RはOCH、CH、CF、およびFからなる群より選択される化合物が好適であり得る。RはHである化合物が好適であり得る。R4aはHおよびClからなる群より選択される化合物が好適であり得る。RおよびR4aは各々Hである化合物が好適であり得る。Xは−N(R)CH−である化合物が好適であり得る。RはHおよびC−Cアルキルからなる群より選択される化合物が好適である。RはCHである化合物が特に好適であり得る。
【0020】
はC≡CCHである式IIの化合物が好適であり得る。
【0021】
はFおよびClからなる群より選択され、RはHである式IIの化合物が好適であり得る。
【0022】
はHであり;Rは各々Hであり;RはC≡CCHであり;−XはC(R)=CH−であり、RはHである式Iの化合物またはその医薬的に許容可能な塩が好適であり得る。
【0023】
はFまたはClであり;RおよびR4aは各々Hであり;RはHであり;Xは−C(R)=CH−である式Iの化合物またはその医薬的に許容可能な塩が好適であり得る。
【0024】
はFまたはClであり;RおよびR4aは各々Hであり;RはC≡CCHであり;XはC(R)=CH−である式Iの化合物またはその医薬的に許容可能な塩が好適であり得る。
【0025】
がHである場合、RはFまたはClであり;RがC≡CCHである場合、RはH、FおよびClから選択され;RおよびR4aは各々Hであり;RはCFであり;Xは−C(R)=CH−であり、RはHである式Iの化合物またはその医薬的に許容可能な塩が好適であり得る。
【0026】
がHである場合、RはFまたはClであり;RがC≡CCHである場合、RはH、FおよびClから選択され;RおよびR4aは各々Hであり;RはCFであり;Xは−C(R)=CH−である式Iの化合物またはその医薬的に許容可能な塩が好適であり得る。
【0027】
がHである場合、RはFまたはClであり;RがC≡CCHである場合、RはH、FおよびClから選択され;RはCH、CF、OCH、およびFからなる群より選択され;RはHであり;RはHまたはC≡CCHであり;Xは−N(R)CH−である式Iの化合物またはその医薬的に許容可能な塩が好適であり得る。
【0028】
がHである場合、RはFまたはClであり;RがC≡CCHである場合、RはH、FおよびClから選択され;RはCH、CF、OCH、F、およびClからなる群より選択され;RはH、OCH、CH、CF、およびFからなる群より選択され;RはHまたはC≡CCHであり;RはC1−3アルキルであり;Xは−N(R)CH−であり、RはC(O)OCアルキルである式IIの中間体として有用な化合物またはその医薬的に許容可能な塩が好適であり得る。
【0029】
がHである場合、RはFまたはClであり;RがC≡CCHである場合、RはHであり;RはCH、CF、OCH、およびFからなる群より選択され;RおよびR4aは各々Hであり;RはHまたはC≡CCHであり;Xは−N(R)CH−である式Iの化合物またはその医薬的に許容可能な塩が好適であり得る。
【0030】
がHである場合、RはFまたはClであり;RがC≡CCHである場合、RはHから選択され;RはHであり;RはOCH、CH、CF、およびFからなる群より選択され;RはHまたはC≡CCHであり;Xは−N(R)CH−である式Iの化合物またはその医薬的に許容可能な塩が好適であり得る。
【0031】
がHである場合、RはFまたはClであり;RがC≡CCHである場合、RはHから選択され;RはHであり;RはH、OCH、CH、CF、およびFからなる群より選択され;RはHまたはC≡CCHであり;Xは−N(R)CH−であり;RはCHである式Iの化合物またはその医薬的に許容可能な塩が好適であり得る。
【0032】
はC≡CCHである式Iの化合物のS異性体が概して好適である。本発明の化合物のS異性体は概して好適である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の化合物は好ましくは種々の経路によって投与される医薬組成物として製剤化される。最も好ましくは、このような組成物は経口投与用である。このような医薬組成物およびそれを調製するためのプロセスは当該技術分野において周知である。例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(A.Gennaroら,eds.,21st ed.,Mack Publishing Co.,2005を参照のこと)。
【0034】
「医薬的に許容可能な塩」とは、臨床および/または獣医的用途に許容可能であるとみなされる本発明の化合物の塩を指す。医薬的に許容可能な塩およびそれらを調製するための一般的方法論は当該技術分野において周知である。例えば、P.Stahlら,Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection and Use,(VCHA/Wiley−VCH,2002);S.M.Bergeら,「Pharmaceutical Salts」,Journal of Pharmaceutical Sciences,Vol.66,No.1,1977年1月を参照のこと。
【0035】
用語「医薬的に許容可能な担体」とは、組成物の他の成分と医薬的に適合する担体、希釈剤、賦形剤、および塩を意味する。
【0036】
ある立体化学中心は特定されていないままであり、ある置換基は明確さのために以下のスキームにおいて取り除かれており、スキームの教示を限定することを意図するものでは決してない。さらに、個々の異性体、鏡像異性体、またはジアステレオマーは、キラルクロマトグラフィーなどの方法によって式Iの化合物の合成において任意の都合の良い点で分離されてもよい。加えて、以下のスキームに記載されている中間体は、多くの窒素、ヒドロキシ、および酸保護基を含む。可変保護基は、特定の反応条件および実施されるべき特定の変換に応じて各々の存在において同じであっても、または異なっていてもよい。保護および脱保護条件は、当業者に周知であり、文献に記載されている。例えば、GreeneおよびWuts,Protective Groups in Organic Synthesis,(T.GreeneおよびP.Wuts,eds.,2d ed.1991)を参照のこと。
【0037】
本明細書で使用される略語は、Aldrichimica Acta,Vol.17,No.1,1984に従って定義される。他の略語は以下のように定義される:「Prep」は調製例を指し;「Ex」は実施例を指し;「min」は分を指し;「ACN」はアセトニトリルを指し;「ADDP」は1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジンを指し;「boc」または「t−boc」はtertブトキシカルボニルを指し;「DCM」はジクロロメタンを指し;「EtO」はジエチルエーテルを指し;「EtOAc」は酢酸エチルを指し;「EtOH」はエチルアルコールまたはエタノールを指し;「IPA」はイソプロピルアルコールを指し;「MeOH」はメチルアルコールまたはメタノールを指し;「TFA」はトリフルオロ酢酸を指し;「THF」はテトラヒドロフランを指し;「T」は保持時間を指し;「IC50」は薬剤に関して可能な50%の最大阻害反応を生じるその薬剤の濃度を指し;「DMEM」はダルベッコ改変イーグル培地を指し;「DTT」はジチオスレイトールを指し;「F12」はHam’s F12培地を指し;「FBS」はウシ胎仔血清を指し;「HEK」はヒト胎児腎臓細胞を指し;「PPAR」はペルオキシソーム増殖剤活性化受容体を指し;「PPRE」はペルオキシソーム増殖剤応答エレメントを指し;「RPMI」はRoswell Park Memorial Instituteを指し;「TK」はチミジンキナーゼを指し、「RFU」は相対蛍光ユニットを指し;「ESI」はエレクトロスプレーイオン化を指す。
【0038】
以下のスキームにおいて、他に示さない限り、全ての置換基は以前に定義された通りである。試薬および出発物質は一般に当業者に容易に利用可能である。他のものは、知られている構造的に同様の化合物の合成と同様の有機化学および複素環化学の標準的な技術ならびに任意の新規手順を含む以下の調製例および実施例に記載されている手順によって作製され得る。
【化3】

式Iの化合物はスキームIに示されている反応に従って調製され得る。スキームI(工程1a)は、工程2におけるエステルの還元後に置換ベンジルアルコール(5)を得るために、適切な置換ピペリジン(3)を用いる置換臭化ベンジル(1)のアルキル化を示す。化合物(5)はさらにヒドロキシルで伸長されて、式Iの化合物を得ることができるか、または化合物はさらに脱保護されて、式Iの化合物を得ることができる。「PG」は、エステルなどの酸、ならびにまたカルバメートおよびアミドなどのアミノ基のために生成された保護基である。そのような保護基は周知であり、当該技術分野において理解されている。例えば、GreeneおよびWuts,Protective Groups in Organic Synthesis,前出を参照のこと。
【0039】
式(1)の化合物はアルキル化条件下で式(3)の化合物と反応する(工程1a)。当業者は、臭化ベンジルおよびアミンの反応から生じるアミンアルキル化についての多くの方法および試薬が存在することを認識するだろう。例えば、ジイソプロピルエチルアミンまたは炭酸セシウムなどの塩基の存在下で、式(1)の適切な化合物と、式(3)の適切なアミンまたはトリフルオロ酢酸塩もしくはHCl塩などのアミン塩との反応により、式(4)の化合物が得られる。式4のエステルのカルボニルは、水素化ジイソブチルアルミニウム、水素化アルミニウムリチウムまたは水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤を用いて工程2におけるように還元されて、化合物(5)を得ることができる。次いで化合物(5)はさらに、光延条件下で式(7)の化合物とアルキル化されて、式(I)の化合物を得ることができる。光延条件は当該技術分野において周知であり、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、またはトリエチルホスフィンなどのホスフィンおよびADDPなどのアゾジカルボニルまたはジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)などのアゾジカルボキシレートを用いてアルコール(5)とフェノール(7)などの求核試薬との反応を伴う。代替として、化合物5は三臭化リンなどの適切な臭素化剤を用いて臭化ベンジル(6、工程3)に変換され得る。化合物(6)は、工程4bにおいて、炭酸カリウムなどの適切な塩基を用いて(7)とアルキル化され、必要な場合、脱保護されて、式Iの化合物を得ることができる。別の変形において、式(1)の化合物は、工程1bに示すように水素化ジイソブチルアルミニウムなどの還元剤を用いてブロモベンジルヒドロキシ(2)に還元され得るか、または化合物(2)は商業的に利用可能であり得、ジイソプロピルエチルアミンまたは炭酸セシウムなどの塩基の存在下で、式(3、工程1c)の適切なアミンまたはアミン塩とアルキル化されて、化合物(5)を得ることができ、次いで上記のように実施されて、式(I)の化合物を得ることができる。
【0040】
任意選択の工程において、式(I)の化合物の医薬的に許容可能な塩は、標準的な条件下で適切な溶媒中での式(I)の適切な酸と、適切な医薬的に許容可能な塩基との反応によって形成され得る。加えて、そのような塩の形成はエステルの加水分解時に同時に起こり得る。そのような塩の形成は当該技術分野において周知であり、理解されている。
【化4】

【0041】
スキームII、工程1において、保護されたピペリジン−4−カルボキシアルデヒド(8)は、酸触媒環化において置換フェニルヒドラジン(9)と反応して、置換スピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン](10)を得て、次いでそれをアルキル化し、脱保護し、さらにアルキル化して、式(I)の化合物を得ることができる。例えば、フェニルヒドラジン(9)または置換フェニルヒドラジン(9)およびトリフルオロ酢酸などの適切な酸に、窒素保護−4−ホルミル−ピペリジン(8)を加える。適切な反応時間の後、水素化ホウ素ナトリウムなどの還元剤およびメタノールなどのアルコールを加えて、所望の置換スピロ{インドリン−3,4’−保護ピペリジン](10)を得る。工程2において、(10)のインドリン窒素は、酢酸などの適切な酸およびメタノールなどのアルコール中で、適切なアルデヒドおよびシアノ水素化ホウ素ナトリウムなどの適切な還元剤を用いて還元的アルキル化によってアルキル化され得る。脱保護の後、化合物(11)が単離され得る。代替として、インドリンアミン(10)は、ジ−tert−ブチルジカルボネートを用いてbocなどの保護基で保護され得るか、またはインドリンアミンは、ブロモベンゼンなどのアルキル化剤、および炭酸セシウムなどの適切な塩基を用いて標準的な条件下でアルキル化され得る。ピペリジン窒素の脱保護の後、化合物(11)は単離され得る。ピペリジン窒素上の保護基は、水素化または酸性条件などの当該技術分野において周知の標準的条件下で除去されて、化合物(11)を得ることができる。次いで工程3において、化合物(11)は上記のように(1)とアルキル化されて、化合物(12)を得ることができ、工程4において、スキームI(工程1aおよび2)に以前に記載されるように還元されて、化合物(5’)を得ることができる。次いで化合物(5’)は、化合物(5)と実質的に同様のスキームIに関して記載したように式(I)の化合物を得るように実施され得る。
【0042】
【化5】

スキームIIIにおいて、置換安息香酸は、DIBAL−Hなどの還元剤を用いて当該技術分野において周知の条件下で還元されて、工程1において化合物(14)を得ることができる。工程2において、ヒドロキシル化合物(14)は、イミダゾールおよびtert−ブチルクロロジメチルシランなどの塩基を用いてtert−ブチル−ジメチルシランなどの保護基で保護されて、(15)を得ることができる。化合物(15)は、炭酸カリウムなどの塩基を用いて化合物(7)でアルキル化され、脱保護されて、工程3における化合物(16)を得ることができる。化合物(16)のヒドロキシルは、三臭化リンなどの臭素化条件を用いて臭化物に変換されて、工程4における化合物(17)を得ることができる。次いで化合物(17)は、炭酸セシウムまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基を用いて当該技術分野において周知の条件下で、化合物(3、スキームI)でアルキル化され、脱保護されて、式(I)の化合物を得ることができる。
【0043】
【化6】

代替として、スキームIVに示したように、1,4−ビス(ブロモメチル)ベンゼン(18)は、炭酸セシウムなどの塩基を用いて化合物(7)でモノアルキル化されて、化合物(17)を得ることができる。次いで化合物(17)は、炭酸セシウムまたはN,N−ジイソプロピルエチルアミンなどの塩基を用いて当該技術分野において周知の条件下で、化合物(3、スキームI)でアルキル化され、脱保護されて、式(I)の化合物を得ることができる。
【0044】
【化7】

当該技術分野において周知である式(I)の化合物の成分を作製する種々の方法が存在する。スキームVに示すように、一例は、例えば、クネーフェナーゲル縮合においてメルドラム酸(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン)、(20)を用いて置換ベンズアルデヒド(19)のアルデヒドを保護して、工程1aにおける(21)を得ることである。アルデヒドは、商業的に購入できるか、または当該技術分野において周知の標準的な方法によって調製できる。ベンズアルデヒド(19)はヒドロキシルで置換されてもよく、またはヒドロキシルは当該技術分野において周知の保護基によって保護されてもよい。次いでグリニャール反応が、1−プロピニルマグネシウムブロミドなどの典型的なグリニャール試薬を用いて達成されて、(22、工程2a)を得ることができる。ピリジン−水などの塩基を用いるメルドラム酸中間体(22)の脱保護および酸の処理により、化合物(23、工程3a)、カルボン酸を得る。保護されたヒドロキシルは三臭化ホウ素を用いて脱保護され得、RがC≡CCHである場合、酸は保護されて(7’’、工程4a)を得ることができる。キラル分離が、工程3aなどのプロセスにおける種々の工程にて達成され得ることは留意されるべきである。次いで化合物(7’’)は、化合物(7)と実質的に同様にスキームIにおけるように使用されて、式(I)の化合物を得ることができる。
【0045】
代替として、ヒドロキシル保護ベンズアルデヒド(19)は、トリエチルホスホアセテートなどのホスホニウム塩および水素化ナトリウムなどの塩基と反応し、ウィッティヒ試薬を形成して、エチル保護アクリラート(24、工程1b)を得ることができる。二重結合は、10% Pd/Cおよび水素などの典型的な触媒を用いる水素化条件下で還元され、続いて、三臭化ホウ素を用いるヒドロキシルを脱保護して、工程2bにおける化合物(7’)を得ることができる。次いで化合物(7’)が化合物(7)と実質的に同様にスキームIにおいて使用されて、式(I)の化合物を得ることができる。
【実施例】
【0046】
(調製例および実施例)
以下の調製例および実施例は本発明をさらに説明し、式(I)の化合物の典型的な合成を示すものである。本発明の化合物に関する化合物名は、一般に、IUPACNAME ACDLABSおよびSymyx Draw3.2によって提供される。
【0047】
(調製例1)
ベンジルスピロ[インドリン−3、4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート
【化8】

49:1のトルエン:アセトニトリル(50mL)の溶液中のフェニルヒドラジン(1.29g、12.0mmol)およびトリフルオロ酢酸(3.0mL)の溶液を35℃で加熱する。4−ホルミル−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(2.7g、10.91mmol)を49:1のトルエン:アセトニトリルの溶液(10mL)中で溶解させ、混合物に滴下して加える(国際公開第2005046682号パンフレット)。混合物を一晩35℃で攪拌する。得られた溶液を0℃に冷却し、メタノール(5mL)を加える。NaBH(0.619g、16.38mmol)を一部ずつ溶液に加え、混合物を45分間攪拌する。反応混合物をNHOH水溶液(6%、25mL)およびブライン(30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発乾固して乾燥させ、黄色の固体を得る。粗固体をEtOAcから再結晶化し、黄色の固体(1.25g、第1の収集物)を得る。母液を蒸発させ、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、ヘキサン:酢酸エチル(8:2)で溶出して、標題化合物を淡黄色の固体(1.2g、第2の収集物)として(2.4g、76%)の総収率で得る。ESI/MS m/z 323(M+H)
【0048】
以下の化合物を、調製例1の方法によって記載したように実質的に調製する。
【0049】
【表1】

【0050】
(調製例7)
ベンジル1−メチルスピロ[インドリン−3、4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート
メタノール(25mL)中のベンジルスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート(1.15g、3.56mmol)、ホルムアルデヒド(37%の水溶液、1.44mL、17.83mmol)および酢酸(1.02mL、17.83mmol)の0℃の溶液に、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.67g、10.68mmol)を加える。反応混合物を一晩、室温まで加温する。混合物のpHを10%のNaHCO溶液で約8まで調整し、EtOAc(3×50mL)で抽出する。合わせた抽出物を水(50mL)およびブライン(50mL)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、蒸発乾固する。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、ヘキサン:酢酸エチル(85:15)で溶出して、オフホワイト色の固体(0.9g、75%)として標題化合物を得る。ESI/MS m/z 337.2(M+H)
【0051】
以下の化合物を、適切なアルデヒドを用いて、調製例7の方法によって記載されたように実質的に調製する。
【0052】
【表2】

【0053】
(調製例14)
ベンジル1−フェニルスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート
【化9】

1−4ジオキサン(5mL)中のベンジルスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート(1.5g、4.65mmol)の溶液に、ブロモベンゼン(0.803g、5.115mmol)、4,5−(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン(0.807g、1.395mmol)および炭酸セシウム(4.54g、13.95mmol)を0℃で加える。反応混合物を15分間、窒素ガスでパージして、酢酸パラジウム(0.062g、0.279mmol)を加える。混合物を100℃で5時間、攪拌し、濾過し、塩化アンモニウム溶液で希釈し、EtOAcで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。粗物質を、ヘキサン:酢酸エチル(9.0:1.0)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、標題化合物(1.6g、86.48%)を得る。ESI/MS m/z 399.4(M+H)
【0054】
(調製例15)
1−メチルスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]
メタノール(50mL)中のベンジル1−メチルスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート(0.85g、2.52mmol)の溶液に、Pd(OH)/C(10%、0.15g)を加え、混合物を16時間、バルーンを用いて水素添加する。反応混合物を珪藻土で濾過し、メタノール(50mL)で洗浄し、蒸発乾固し、標題化合物(0.5g、98%)を得る。ESI/MS m/z 203.4(M+H)
【0055】
以下の化合物を、調製例15の方法によって記載したように実質的に調製する。
【0056】
【表3】

【0057】
(調製例22)
7−クロロ−1−メチル−スピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]
トリフルオロ酢酸(10mL)中のベンジル7−クロロ−1−メチル−スピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1’−カルボキシレート(1.1g、2.96mmol)の溶液を3時間還流する。反応混合物を濃縮し、残渣のpHを、10%のNaHCO(20mL)で塩基性に調整し、EtOAc(3×20mL)で抽出する。合わせた抽出物を10%のNaHCO(20mL)、水(20mL)、およびブライン溶液(20mL)で洗浄し、乾燥剤で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固し、標題化合物を茶色の液体(0.73g、103.9%の粗物質)として得る。ESI/MS m/z 237.1(M+H)
【0058】
(調製例23)
5−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4、6−ジオン
水(250mL)中の4−ヒドロキシベンズアルデヒド(20g、163mmol)の溶液に、75℃で、水(250mL)中のスラリーとして、メルドラム酸(2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン)(24.78g、171mmol)を加える。反応混合物を2時間、攪拌し、氷槽内で冷却し、EtOAc(2×400mL)で抽出する。合わせた抽出物を飽和ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して黄色の固体(39g、97%)を得る。ESI/MS m/z 247.1(M−H)
【0059】
以下の化合物を、調製例23の方法によって記載したように実質的に調製する。
【0060】
【表4】

【0061】
(調製例25)
5−[1−(4−ヒドロキシフェニル)ブト−2−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン
【化10】

THF(0.5N、322mL、161.28mmol)中の1−プロピニル臭化マグネシウムの溶液に、窒素雰囲気下でカニューレにより、THF(200mL)中の5−(4−ヒドロキシ−ベンジリデン)−2,2−ジメチル[1,3]ジオキサン−4,6−ジオン(20g、80.64mmol)の溶液を加える。添加の過程の間に、反応混合物は、厚い黄色の懸濁液へと変わる。添加が完了した後、反応混合物を、50℃で15分間、攪拌し、NHCl水溶液でクエンチし、2NのHClを用いてpH約2に酸性化する。混合物をEtOAc(2×300mL)で抽出し、合わせた抽出物を、飽和ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、黄色の固体(20g、86%)を得る。生成物は粗物質で実施する。
【0062】
以下の化合物を、調製例25の方法によって記載したように実質的に調製する。
【0063】
【表5】

【0064】
(調製例27)
3−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサ−4−イン酸
ピリジン−水(5:1、390mL)中の5−[1−(4−ヒドロキシフェニル)ブト−2−イニル]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキサン−4,6−ジオン(20g、69.44mmol)の溶液を、16時間、還流で加熱し、冷却後に、5NのHClでpH約2に酸性化し、EtOAc(2×300mL)で抽出する。合わせた抽出物を飽和ブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮し、オフホワイト色の固体(13.5g、96%)を得る。ESI/MS m/z 203(M−H)
【0065】
以下の化合物を、調製例27の方法によって記載したように実質的に調製する。
【0066】
【表6】

【0067】
(調製例29)
(3S)−3−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサ−4−イン酸
3−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサ−4−イン酸の鏡像異性体を、キラルクロマトグラフィー[カラムキラルパックIA(250mm×4.6mm)移動相(A)n−ヘキサン、移動相(B)0.01%のTFAを含むイソプロピルアルコール;組成(85:15)、流速1.0mL/分、検出225nm)によって分離して、標題化合物(4.2g、50.58%)を得る。保持時間7.96。ESI/MS m/z 203(M+H)。鏡像異性体の混合物を、国際公開第2005086661号パンフレットに記載されたものと同様の方法を用いて、キラル分離により分離して、標題化合物を得る。
【0068】
(調製例30)
エチル(3S)−3−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサ−4−イノエート
エタノール(135mL)中の(3S)−3−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサ−4−イン酸(2.7g、13.2mmol)の0℃の溶液に、硫酸(2.7mL)を加え、混合物を4時間、還流にて加熱し、濃縮し、水で希釈し、EtOAc(2×100mL)で抽出する。合わせた抽出物を飽和ブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、黄色の油(2.1g、68%)を得る。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.23(d,J=8.0Hz,2H),6.76(d,J=8.0Hz,2H),4.9(bs,1H),4.11(q,J=6.8Hz,2H),4.04(m,1H),2.60−2.75(m,2H),1.82(s,3H),1.21(t,J=6.8Hz,3H)。
【0069】
以下の化合物を、調製例30の方法によって記載したように実質的に調製する。
【0070】
【表7】

【0071】
a.H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ9.25(s,1H),7.01(d,J=8.4Hz,2H),6.65(d,J=8.4Hz,2H),3.97−4.02(m,2H),3.9(m,1H),2.59(d,J=7.6Hz,1H),2.46(m,1H),1.7(s,3H),1.09(t,J=7.6Hz,3H)。
32b.メチル3−(2−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)ヘキサ−4−イノエートを、キラルHPLC(キラルパックIA、流速0.6mL/分、検出225nm、90:10のヘプタン:IPA)で分離して、メチル3−(2−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)ヘキサ−4−イノエート、異性体−1を得る。
【0072】
(調製例33)
3−(2−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)ヘキサ−4−イン酸
3−(2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)ヘキサ−4−イン酸(0.250g、1.12mmol)をDCM(5mL)中で溶解させ、三臭化ホウ素(0.5mL、3.7mmol)を−10℃で加える。混合物を周囲温度で1時間、攪拌する。溶液を減圧下で濃縮し、水で希釈し、EtOAcで抽出し、乾燥剤で乾燥させ、減圧下で濃縮して、標題化合物を薄茶色の液体(0.180g、76%)として得る。ESI/MS m/z 212(M−H)
【0073】
(調製例34)
エチル3−(2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)プロパノエート
エタノール(120mL)中のエチル(E)−3−(2−フルオロ−4−メトキシ−フェニル)プロパ−2−イノエート(11g、49mmol)および10%のPd/C触媒(1.1g)の混合物を、水素雰囲気下で一晩、バルーンで攪拌する。混合物を珪藻土で濾過し、エタノールで洗浄し、その濾液を蒸発乾固し、標題化合物(10g、90%)を得る。H NMR(400MHz,DMSO−d6)δ7.17(t,J=8.8Hz,1H),6.74(d,J=12.4Hz,1H),6.69(d,J=8.4Hz,1H),4.02(q,J=7.2Hz,2H),3.71(s,3H),2.77(t,J=7.6Hz,2H),2.53(t,J=7.6Hz,2H),1.13(t,J=7.2Hz,3H)。
【0074】
以下の化合物を、調製例34の方法によって記載したように実質的に調製する。
【0075】
【表8】

【0076】
(調製例36)
[4−(ブロモメチル)フェニル]メタノール
DCM(200mL)中の4−ブロモメチル安息香酸メチルエステル(5g、21.82mmol)の溶液に、DIBAL−H(ヘキサン中1.0M、54.56mL、54.56mmol)を、−78°Cにて滴下して加える。反応混合物を室温まで加温し、16時間、攪拌する。反応混合物を酒石酸カリウムナトリウム(10%溶液、8mL)でクエンチし、DCM(100mL)で希釈する。合わせた有機層を水(50mL)、ブライン(25mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させて、標題化合物をオフホワイト色の固体(3.5g、81%)として得る。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.23−7.21(m,2H),7.4−7.3(m,2H),4.5−4.3(bs,2H),4.68(s,2H)。
【0077】
以下の化合物を、調製例36の方法によって記載したように実質的に調製する。
【0078】
【表9】

【0079】
a.H NMR(400MHz,CDCl)7.25−7.24(d,J=4Hz,1H),6.98−6.96(d,J=8Hz,1H),6.91(s,1H),4.67(s,2H),4.48(s,2H),3.88(s,3H)。
【0080】
(調製例39)
エチル(3S)−3−[4−[[4−(ブロモメチル)フェニル]メトキシ]フェニル]ヘキサ−4−イノエート
【化11】

DMF(5mL)中のエチル(3S)−3−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサ−4−イノエート(0.1g、0.43mmol)および1,4−ビス(ブロモメチル)ベンゼン(0.227g、0.861mmol)の溶液に、CsCO(0.28g、0.861mmol)を0℃で加える。反応混合物を2時間にわたって室温まで加温する。反応混合物を水(25mL)で希釈し、EtOAc(3×10mL)で抽出する。合わせた有機層を水(10mL×3)および飽和ブライン溶液(10mL)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、蒸発乾固する。粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、ヘキサン:酢酸エチル(9.0:1.0)で溶出して、標題化合物(0.1g、55.9%)を得る。ESI/MS m/z(M+H)415.4。
【0081】
以下の化合物を、調製例39の方法によって記載したように実質的に調製する。
【0082】
【表10】

【0083】
a.H NMR(400MHz,CDCl)δ7.42−7.36(m,4H),7.12−7.07(m,1H),6.68−6.3(m,2H),5.01(s,2H),4.50(s,2H),4.10−4.09(m,2H),2.92−2.88(m,2H),2.60−2.58(m,2H),1.24−1.21(m,3H)。
【0084】
(調製例41)
エチル−4−(スピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−1’−イルメチル)ベンゾエート
【化12】

エタノール(25mL)中のスピロ−[インデン−1,4−ピペリジン]トリフルオロアセテート(4g、14mmol)の溶液に、エチル4−(ブロモメチル)−ベンゾエート(2.9g、12.6mmol)を加え、その後、ジイソプロピルエチルアミン(9.6mL、56mmol)を加える。反応混合物を一晩、85℃で還流する。エタノールを減圧下で取り除き、残渣をEtOAc(150mL)と水(50mL)との間に分配する。有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮する。残渣を、ヘキサン:酢酸エチル(8.0:2.0)で溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製し、標題化合物を茶色の固体(2.8g、60%)として得る。H NMR(400MHz)7.94(d,J=8Hz,2H),7.51(d,J=8Hz,2H),7.43(d,J=7.2Hz,1H),7.31(d,J=7.2Hz,1H),7.18(m,J=7.2Hz,2H),6.94(d,J=5.6Hz,1H),6.78(d,J=5.6Hz,1H),4.30(q,J=7.2Hz,2H),3.67(s,2H),2.85(d,J=11.6Hz,2H),2.38(t,J=11.6Hz,2H),2.09(t,J=10.4Hz,2H),1.31(t,J=7.2Hz,2H),1.19(d,J=12.8Hz,2H)。
【0085】
以下の化合物を、調製例41の方法によって記載したように実質的に調製する。
【0086】
【表11】

【0087】
(調製例48)
(4−(スピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−1’−イルメチル)フェニル)メタノール
【化13】

DCM(50mL)中のエチル−4−(スピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−1−イルメチル)ベンゾエート(2.8g、80mmol)の−78℃の溶液に、水素化ジイソブチルアルミニウム(THF中1M、40mL、40mmol)を加える。混合物を2時間、−78℃で攪拌する。反応を水(25mL)でクエンチし、30分間、室温で攪拌する。反応混合物を珪藻土で濾過し、DCM(25mL×2)で抽出する。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、標題化合物を白色の固体(1.5g、46%)として得る。H NMRδ 7.94(d,J=8Hz,2H),7.51(d,J=8Hz,2H),7.43(d,J=7.2Hz,1H),7.31(d,J=7.2Hz,1H),7.18(m,2H),6.94(d,J=5.6Hz,1H),6.78(d,J=5.6Hz,1H),5.37(t,J=6Hz,1H),4.57(d,J=6Hz,2H),3.47(s,2H),2.93(d,J=12Hz,2H),2.36(d,J=11.6Hz,2H),2.06(t,J=12.8Hz,2H),1.19(d,J=10.4Hz,2H)。
【0088】
以下の化合物を、調製例48の方法によって記載したように実質的に調製する。
【0089】
【表12】

【0090】
(調製例55)
[4−(スピロ[インダン−1,4’−ピペリジン]−1’−イルメチル)フェニル]メタノール
DMF(12mL)中の2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン](0.4g、1.78mmol)の攪拌溶液に、CsCO(1.4g、4.4mmol)および[4−(ブロモメチル)フェニル]メタノール(0.36g、1.78mmol)を加え、反応混合物を一晩、室温で攪拌する。反応混合物を冷水に注ぎ、EtOAc(3×50mL)で抽出する。合わせた有機層をブライン溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空下で濃縮させる。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(DCM/MeOH 8/2の勾配)によって精製して、標題化合物(0.6g、98%)を得る。ESI/MS m/z 308.40(M+H)
【0091】
(調製例56)
1’−[[4−(ブロモメチル)フェニル]メチル]スピロ[インデン−1、4’−ピペリジン]
DCM(50mL)中の[4−(スピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−1’−イルメチル)フェニル]メタノール(1.5g、4.91mmol)の0℃の溶液に、三臭化リン(0.667mL、6.8mmol)を加える。反応混合物を0℃で15分間、攪拌する。反応混合物を0℃にて、水(100mL)で希釈し、DCM(2×200mL)で抽出する。合わせた抽出物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、標題化合物をオフホワイト色の固体(1.1g、61%)として得る。ESI/MS m/z 369(M+H)
【0092】
以下の化合物を、調製例56の方法によって記載したように実質的に調製する。
【0093】
【表13】

【0094】
(調製例62)
[4−(ブロモメチル)−2−メトキシ−フェニル]メトキシ−tert−ブチル−ジメチル−シラン
【化14】

ジクロロメタン(15mL)中の(4−ブロモメチル−2−メトキシ−フェニル)−メタノール(1.1g、4.76mmol)の溶液に、イミダゾール(0.861g、5.71mmol)およびtert−ブチルクロロジメチルシラン(0.971g、12.98mmol)を0℃で加える。反応混合物を室温まで加温させて、一時間、攪拌する。反応混合物を水でクエンチして濃縮する。残渣をDCMで希釈し、水(15mL)およびブライン(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、標題化合物(1.1g、66.9%)を得る。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.43−7.41(d,J=8Hz,1H),7.00−6.98(d,J=8Hz,1H),6.94(s,1H),4.73(s,2H),4.50(s,2H),3.83(s,3H),0.95(s,9H),0.10(s,6H)。
【0095】
以下の化合物を、調製例62の方法によって記載したように実質的に調製する。
【0096】
【表14】

【0097】
(調製例64)
エチル3−[4−[[4−[(tert−ブチル(ジメチル)シリル)オキシメチル]−3−メトキシ−フェニル]メトキシ]−2−フルオロ−フェニル]プロパノエート
【化15】

ACN(20mL)中の3−(2−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−プロピオン酸エチルエステル(0.54g、3.188mmol)の溶液に、炭酸カリウム(1.32g、9.56mmol)および4−ブロモメチル2−メトキシ−ベンジルオキシ)−tert−ブチル−ジメチル−シラン(1.1g、3.188mmol)を室温で加え、反応混合物を25℃で16時間、攪拌する。反応混合物を濃縮し、水で希釈し、EtOAc(2×50mL)で抽出する。合わせた抽出物を水(15mL)および飽和ブライン(15mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、標題化合物を無色のゲル(1g、66.66%)として得る。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.47−7.45(d,J=8Hz,1H),7.11−7.07(t,J=8Hz,1H),7.00−6.98(d,J=8Hz,1H),6.87(s,1H),6.69−6.65(t,J=5.2Hz,2H),5.00(s,2H),4.74(s,2H),4.14−4.09(q,2H),3.83(s,3H),2.91−2.88(t,3H),2.59−2.26(t,2H),1.25−1.22(t,2H),0.95(s,9H),0.10(s,6H)。
【0098】
以下の化合物を、調製例64の方法によって記載したように実質的に調製する。
【0099】
【表15】

【0100】
a.H NMR(400MHz,CDCl)δ7.46−7.44(d,J=8Hz,1H),7.28−7.25(d,J=12Hz,2H),7.00−6.98(d,J=8Hz,1H),6.92−6.88(t,J=12Hz,3H),5.01(s,2H),4.74(s,2H),4.12−4.05(m,3H),3.81(s,3H),2.71−2.64(m,2H),1.81(s,3H),1.25−1.21(t,J=8Hz,3H),0.95(s,9H)。
【0101】
(調製例67)
エチル3−[2−フルオロ−4−[[4−(ヒドロキシメチル)−3−メトキシ−フェニル]メトキシ]フェニル]プロパノエート
【化16】

THF(15mL)中の3−{4−[4−(tert−ブチル−ジメチルシラニルオキシメチル)−3−メトキシ−ベンジルオキシ]−2−フルオロ−フェニル}−プロピオン酸エチルエステル(1g、2.1mmol)の溶液に、テトラ−n−ブチルフッ化アンモニウム(THF中1M、3.15mL、3.15mmol)を0℃で加え、反応混合物を、2時間、25℃で攪拌する。反応混合物を、水でクエンチし、濃縮する。残渣をEtOAcで希釈し、水(15mL)およびブライン(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮して、標題化合物(1.0g、粗物質)を得る。粗生成物をさらに精製せずに用いる。
【0102】
以下の化合物を、調製例67の方法によって記載したように実質的に調製する。
【0103】
【表16】

【0104】
a.H NMR(d6−DMSO,400MHz)δ7.37−7.35(d,J=8Hz,1H),7.30−7.29(m,2H),7.259−7.24(m,2H),6.92−6.89(dd,J=12Hz,2H),5.00(s,2H),4.70(s,2H),4.13−4.11(q,J=8Hz,2H),2.72−2.65(m,2H),2.36(s,1H),2.18(s,2H),1.82(s,3H),1.27−1.23(t,J=8Hz,3H),1.087(s,9H)。
【0105】
(調製例71)
エチル3−[4−[[4−(ブロモメチル)−3−メトキシ−フェニル]メトキシ]−2−フルオロ−フェニル]プロパノエート
【化17】

ジクロロメタン(25mL)中の3−[2−フルオロ−4−(4−ヒドロキシメチル−3−メトキシ−ベンジルオキシ)−フェニル]−プロピオン酸エチルエステル(1.0g、2.76mmol)の溶液に、三臭化リン(0.4mL、4.41mmol)を0℃で加え、反応混合物を0℃で15分間、攪拌する。混合物を0℃に冷却し、水で希釈し、ジクロロメタン(2×100mL)で抽出する。合わせた抽出物を、飽和ブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、標題化合物(1.1g、粗物質)を得る。H NMR(DMSO,400MHz)δ7.34−7.32(d,J=8Hz,1H),7.12−7.08(t,J=8Hz,1H),6.96−6.94(d,J=8Hz,2H),6.67−6.64(d,J=12Hz,2H),4.98(s,2H),4.55(s,2H),4.12−4.09(q,2H),2.90−2.88(t,2H),2.60−2.56(t,J=8Hz,2H),1.25−1.22(t,J=8Hz,3H)。
【0106】
以下の化合物を、調製例71の方法によって記載したように実質的に調製する。
【0107】
【表17】

【0108】
(調製例75)
4−[(tert−ブチル(ジフェニル)シリル)オキシメチル]−3−メチル−ベンズアルデヒド
テトラヒドロフラン中の(4−ブロモメチル−2−メチル−ベンジルオキシ)−tert−ブチル−ジフェニル−シラン(3g、6.83mmol)の攪拌溶液に、窒素雰囲気下で、−78℃で、sec−ブチルリチウムを加える。反応混合物を、0℃まで加温して、30分間攪拌する。反応混合物を−78°Cまで冷却し、N−ホルミルピペリジン(1.13mL、10.24mmol)を加え、反応混合物を3時間、室温で攪拌する。反応混合物を0°Cにて水でクエンチし、EtOAc(50mL×3)で抽出する。合わせた有機層をブライン溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下で濃縮して、標題化合物(3g、46%)を得る。ESI/MS m/z 389.1(M+H)
【0109】
(調製例76)
[4−[(tert−ブチル(ジフェニル)シリル)オキシメチル]−3−メチル−フェニル]メタノール
無水DCM中の4−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシメチル)−3−メチル−ベンズアルデヒド(0.1g、0.257mmol)の攪拌溶液に、−78°Cにて、水素化ジイソブチルアルミニウム(ヘキサン中1.0M、0.3mL、0.3mmol)を混合するまでゆっくりと加える。添加が完了した後、反応混合物を室温まで加温して、2時間攪拌する。2Nの酒石酸カリウムナトリウム四水和物(10mL)の水溶液を、反応混合物に加え、その混合物を30分間、攪拌する。反応生成物をDCM(20mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮乾固して、標題化合物(0.3g、30%)を得る。ESI/MSm/z391.1(M+H)
【0110】
(調製例77)
[4−(ブロモメチル)−2−メチル−フェニル]メトキシ−tert−ブチル−ジフェニル−シラン
【化18】

DCM(30mL)中の[4−[(tert−ブチル(ジフェニル)シリル)オキシメチル]−3−メチル−フェニル]メタノール(0.3g、0.76mmol)の攪拌溶液に、三臭化リン(0.072mL、0.76mmol)を0°Cで加え、反応混合物を1時間、攪拌する。反応混合物をジクロロメタン(50mL)で希釈し、炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、真空下で濃縮して、標題化合物を淡黄色の固体(0.3g、粗物質)として得る。ESI/MS m/z 438.1(M+H)
【0111】
(調製例78)
エチル(3S)−3−[4−[[4−[(tert−ブチル(ジフェニル)シリル)オキシメチル]−3−メチル−フェニル]メトキシ]フェニル]ヘキサ−4−イノエート
【化19】

THF中の1,1’−(アゾジカルボニル)ジピペリジン(0.770g、3.075mmol)の溶液に、トリブチルホスフィン(EtOAc中50%、7.17mL、3.58mmol)を0〜5℃にて加える。反応混合物を30分間、室温で攪拌する。[4−(tert−ブチル−ジフェニル−シラニルオキシメチル)−3−メチル−フェニル]−メタノール(0.8g、2.05mmol)を0°Cにて加える。反応混合物を、30分間攪拌し、3−(4−ヒドロキシ−フェニル)−ヘキサ−4−イン酸エチルエステル(0.523g、2.25mmol)を加える。混合物を室温まで加温し、一晩攪拌する。ヘキサン(75mL)を反応混合物に加え、形成された沈殿物を濾過する。濾液を減圧下で濃縮する。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(10〜30%のEtOAc:ヘキサンの勾配)によって精製して、標題化合物(1.3g、83%)を得る。H(d−DMSO,400MHz)δ7.70−7.68(d,J=8Hz,3H),7.53−7.51(d,J=8Hz,1H),7.42−7.41(m,5H),7.39−7.35(m,4H),7.29−7.25(d,J=16Hz,2H),6.93−6.91(d,J=8Hz,2H),5.00(s,2H),4.72(s,2H),4.13−4.11(q,J=8Hz,2H),2.72−2.65(m,2H),2.36(s,1H),2.18(s,2H),1.82(s,3H),1.27−1.23(t,J=8Hz,3H),1.087(s,9H)。
【0112】
(調製例79)
エチル(3S)−3−[4−[[4−(スピロ[インデン−1、4’−ピペリジン]−1’−イルメチル)フェニル]メトキシ]フェニル]ヘキサ−4−イノエート
【化20】

アセトニトリル(25mL)中のエチル(3S)−3−(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサ−4−イネート(0.350g、1.5mmol)の溶液に、炭酸カリウム(0.621g、4.5mmol)および1’−[4−(ブロモメチル)ベンジル]スピロ[インデン−1,4’−ピペリジン](0.77g、2.1mmol)を加える。反応混合物を16時間、90℃で加熱する。混合物を濃縮し、水で希釈し、EtOAc(2×200mL)で抽出する。合わせた抽出物を水(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、濃縮乾固して、標題化合物(0.3g、38%)を得る。ESI/MS m/z 520(M+H)
【0113】
以下の化合物を、調製例79の方法によって記載したように実質的に調製する。
【0114】
【表18】

【0115】
(調製例86)
エチル3−[2−フルオロ−4−[[4−(スピロ[インダン−1、4’−ピペリジン]−1’−イルメチル)フェニル]メトキシ]フェニル]プロパノエート
DMF(15mL)中の1’−[4−(ブロモメチル)ベンジル]−2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1,4’−ピペリジン](0.35g、0.94mmol)、エチル3−(2−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパノエート(0.2g、0.94mmol)およびKCO(0.32g、2.3mmol)の混合物を、一晩、室温で攪拌する。反応混合物を冷水で希釈し、DCM(3×50mL)で抽出する。合わせた有機層をブライン溶液で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空下で濃縮する。粗物質をシリカゲルクロマトグラフィー(DCM/MeOH 8/2の勾配)によって精製して、標題化合物をオフホワイト色の固体(0.22g、粗物質)として得る。ESI/MS 502(M+H)
【0116】
(調製例87)
メチル3−[2−フルオロ−4−[[4−(スピロ[インデン−1、4’−ピペリジン]−1’−イルメチル)フェニル]メトキシ]フェニル]ヘキサ−4−イノエート、異性体1
【化21】

THF(2mL)中のADDP(0.302g、1.2mmol)の溶液に、トリブチルホスフィン(0.291g、1.44mmol)を0°Cで加え、15分間、0°Cで攪拌する。THF(2mL)中の[4−(1’H−スピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−1’−イルメチル)フェニル]メタノール(0.219g、0.9mmol)の溶液を加え、反応混合物を0℃で15分間、攪拌する。THF(2mL)中の3−(2−フルオロ−4−ヒドロキシ−フェニル)−ヘキサ−4−イン酸メチルエステル(異性体−1、0.200g、0.8mmol)の溶液を0℃で加え、反応混合物を16時間、室温で攪拌する。反応混合物をヘキサンで希釈し、珪藻土で濾過し、濾液を蒸発させる。粗物質を、酢酸エチルの勾配(6:4)を用いてシリカゲルクロマトグラフィーにより精製して、表題化合物を液体(0.220g、42%)として得る。ESI/MS m/z 524(M+H)
【0117】
以下の化合物を、調製例87の方法によって記載したように実質的に調製する。
【0118】
【表19】

【0119】
(調製例94)
エチル(3S)−3−[4−[[4−[(1−メチルスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]フェニル]メトキシ]フェニル]ヘキサ−4−イノエート
【化22】

DMF(5mL)中の1−メチルスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン](0.0486g、0.204mmol)、エチル(3S)−3−(4−{[4−(ブロモメチル)ベンジル]オキシ}フェニル)ヘキサ−4−イノエート(0.100g、0.24mmol)、およびCsCO(0.156g、0.48mmol)の混合物を、室温で16時間、攪拌する。反応混合物を水(30mL)で希釈し、EtOAc(3×25mL)で抽出する。合わせた有機層を水(3×25mL)および飽和ブライン溶液(25mL)で洗浄し、乾燥剤で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固して、液体を得る。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィー(EtOAc/ヘキサン30%の勾配)によって精製して、標題化合物を無色の液体(0.095g、73.3%)として得る。ESI/MS m/z 537(M+H)
【0120】
以下の化合物を、調製例94の方法によって記載したように実質的に調製する。
【0121】
【表20−1】

【表20−2】

【表20−3】

【表20−4】

【0122】
(調製例110)
エチル(3S)−3−[4−[[4−(スピロ[インダン−1、4’−ピペリジン]−1’−イルメチル)フェニル]メトキシ]フェニル]ヘキサ−4−イノエート
【化23】

アセトニトリル(20.0mL)中の2,3−ジヒドロスピロ[インデン−1、4’−ピペリジン](0.37g、1.68mmol)の溶液に、CsCO(1.37g、4.21mmol)を室温で加え、次いで、3−[4−(4−ブロモメチル−ベンジルオキシ)−フェニル]−ヘキサ−4−イン酸エチルエステル(0.70g、1.68mmol)を加える。反応混合物一晩、室温で攪拌する。反応混合物を珪藻土で濾過し、濾液を蒸発させる。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM中の3%のメタノールの勾配)により精製して、標題化合物を無色のゲル(0.82g、93.7%)として得る。ESI/MS522.2(M+H)+。
【0123】
(調製例111)
エチル3−[2−フルオロ−4−[[3−メトキシ−4−(スピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−1’−イルメチル)フェニル]メトキシ]フェニル]プロパノエート
【化24】

EtOH(15mL)中のスピロ[インデン−1、4’−ピペリジン](0.515g、2.58mmol)の溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(1.4mL、2.589mmol)および3−[4−(4−ブロモメチル−2−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−2−フルオロ−フェニル]−プロピオン酸エチルエステル(1.1g、2.58mmol)を室温で加え、反応混合物を80℃で16時間、攪拌する。混合物を濃縮し、水で希釈し、EtOAc(2×50mL)で抽出する。合わせた抽出物を水(20mL)および飽和ブライン(20mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮させる。粗物質を、シリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製して、標題化合物を無色のゲル(0.650g、47.7%)として得る。H NMR(400MHz,CDCl)δ7.42−7.35(m,2H),7.31−7.29(d,J=8Hz,1H),7.20−7.01(m,3H),7.05(s,1H),7.01−6.99(d,J=8Hz,1H),6.64−6.93(d,J=4Hz,1H),6.86−6.83(d,J=12Hz,1H)6.77(s,1H),5.05(s,2H),4.03−3.98(m,2H),3.79(s,3H),3.57(s,2H),2.89−2.86(d,J=12Hz,2H),2.79−2.76(t,J=8Hz,2H),2.55−2.53(d,J=8Hz,2H),2.41−2.35(t,J=12Hz,2H),2.10−2.05(t,J=8Hz,2H),1.22−1.17(t,J=8Hz,3H)。
【0124】
以下の化合物を、調製例111の方法によって記載したように実質的に調製する。
【0125】
【表21】

【0126】
(調製例117)
3−[4−[[4−[(1−tert−ブトキシカルボニルスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]フェニル]メトキシ]−2−フルオロ−フェニル]プロパン酸
【化25】

エタノール:水(3:1、4mL)中のtert−ブチル1’−[[4−[[4−(3−エトキシ−3−オキソ−プロピル)−3−フルオロ−フェノキシ]メチル]フェニル]メチル]スピロ[インドリン−3、4’−ピペリジン]−1−カルボキシレート(0.32g、0.53mmol)およびKOH(0.148g、2.65mmol)の混合物を室温で16時間、攪拌する。反応混合物を蒸発乾固する。残渣を水(8mL)中に再び溶解させ、0℃まで冷却し、1.5NのHClでpH約6に酸性化し、EtOAc(3×15mL)で抽出する。合わせた有機層を水(15mL)および飽和ブライン溶液(15mL)で洗浄し、乾燥剤で乾燥させ、濾過し、蒸発乾固して、標題化合物をオフホワイト色の固体(0.22g、72.1%)として得る。ESI/MS m/z 575.6(M+H)
【0127】
(調製例118)
メチル3−[2−フルオロ−4−[[4−(スピロ[インドリン−3、4’−ピペリジン]−1’−イルメチル)フェニル]メトキシ]フェニル]プロパノエート塩酸塩
【化26】

メタノール(5mL)中のtert−ブチルスピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]−1(2H),−カルボキシレート−3−{2−フルオロ−4−[(4−メチルベンジル)オキシ]フェニル}プロパン酸(0.12g、0.208mmol)の溶液に、メタノール(4M、5mL)中のHClを0°Cで加える。反応混合物を室温まで加温し、一時間、攪拌する。反応混合物を蒸発乾固して、標題化合物を淡黄色の固体(0.07g、64%)として得る。ESI/MS m/z 489.6(M+H)
【0128】
(実施例1)
(3S)−3−(4−{[4−(1’H−スピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−1’−イルメチル)ベンジル]オキシ}フェニル)ヘキサ−4−イン酸
【化27】

エタノール(12mL)中のエチル(3S)−3−[4−[[4−スピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−1’−イルメチル)フェニル]メトキシ]フェニル]ヘキサ−4−イノエート(0.3g、0.58mmol)の攪拌溶液に、5.0Mの水酸化ナトリウム(0.231mL、1.156mmol)を加える。反応混合物に、5分間、90℃でマイクロ波を照射する。反応混合物を濃縮乾固し、水で希釈し、2NのHClでpH約4に酸性化して、濾過により回収した沈殿物を得る。固体を水(5mL)およびヘキサン(10mL)で洗浄し、乾燥させて、標題化合物を白色の固体(0.210g、73%)として得る。ESI/MS m/z 492.1(M+H)
【0129】
この物質を、直接精製するか、または10%のMeOH/DCMを用いるシリカゲルクロマトグラフィー精製のために他のロットと合わせて、標題化合物を白色の固体(0.31g)として得る。ESI/MS m/z 492.1(M+H)
【0130】
以下の化合物を、実施例1の方法によって記載したように実質的に調製する。
【0131】
【表22−1】

【表22−2】

【表22−3】

【表22−4】

【0132】
(実施例24)
(3S)−3−[4−({4−[(1−メチル−1,2−ジヒドロ−1’H−スピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]ベンジル}オキシ)フェニル]ヘキサ−4−イン酸
【化28】

エタノール:水(3:1、2mL)中のエチル(3S)−3−[4−[[4−[(1−メチルスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]フェニル]メトキシ]フェニル]ヘキサ−4−イノエート(0.09g、0.167mmol)の溶液に、KOH(0.047g、0.838mmol)を加え、室温で2時間、攪拌する。反応混合物を蒸発乾固する。残渣を水(5mL)に再び溶解させ、EtO(3×5mL)で洗浄する。水層を1.5NのHClでpH約6に酸性化する。固体の沈殿物を濾過し、水で洗浄し、乾燥させる。固体をジクロロメタン(40mL)中に溶解させ、10%のNaHCO(15mL)、水(15mL)、および飽和塩化アンモニウム溶液(15mL)で洗浄し、乾燥させ、濾過し、蒸発乾固して、標題化合物をオフホワイト色の固体(0.05g、58.2%)として得る。ESI/MS m/z 509(M+H)
【0133】
以下の化合物を、実施例24の方法によって記載したように実質的に調製する。
【0134】
【表23−1】

【表23−2】

【表23−3】

【0135】
(実施例38)
3−(4−{[4−(2,3−ジヒドロ−1’H−スピロ[インデン−1,4’−ピペリジン]−1’−イルメチル)ベンジル]オキシ}−2−フルオロフェニル)プロパン酸
【化29】

MeOH(15mL)中のエチル3−[2−フルオロ−4−[[4−(スピロ[インダン−1,4’−ピペリジン]−1’−イルメチル)フェニル]メトキシ]フェニル]プロパノエート(0.22g、0.43mmol)の攪拌溶液に、LiOH・HO(0.20g、4.8mmol)を加え、混合物をマイクロ波オーブン内で、45分間、85℃で加熱する。メタノールを蒸発させ、残渣を水中に溶解させる。pHを約6に調整し、固体の沈殿物を濾過し、回収し、乾燥させて、標題化合物をオフホワイト色の固体(0.12g、55.0%)として得る。ESI/MS 474.6(M+H)
【0136】
(実施例39)
3−[4−({4−[(1,5−ジメチル−1,2−ジヒドロ−1’H−スピロ[インドール−3,4’−ピペリジン]−1’−イル)メチル]ベンジル}オキシ)−2−フルオロフェニル]プロパン酸
【化30】

DMF(10mL)中の1,5−ジメチルスピロ[インドリン−3,4’−ピペリジン](0.30g、1.38mmol)およびエチル3−(4−{[4−(ブロモメチル)ベンジル]オキシ}−2−フルオロフェニル)プロパノエート(0.60g、1.52mmol)の攪拌溶液に、CsCO(0.89g、2.76mmol)を加える。反応混合物を室温で12時間、攪拌し、水(100mL)で希釈し、EtOで抽出する。有機層を分離し、NaSOで乾燥させ、真空下で濃縮して、(0.2g、0.376mmol)を得る。この物質をエタノール/水(4mL/1mL)中に溶解させ、KOH(0.063g、1.12mmol)を加える。混合物を室温で4時間、攪拌し、エタノールを蒸発させる。pHを1NのHCl溶液で約5に調整し、形成された沈殿物を濾過して、標題化合物をオフホワイト色の固体(0.13g、18.6%)として得る。ESI/MS m/z 503(M+H)
【0137】
T2Dの原因は、2倍のインスリン抵抗性、および循環グルコース値を低下させるための適切な量のインスリンを産生する膵臓ベータ細胞の進行性破壊であると考えられている。正常なインスリン値が、骨格筋および脂肪組織を含む、標的組織内の循環血漿グルコースを処分できない場合、インスリン抵抗は発達する。膵臓が、インスリン抵抗性に起因する過剰に高いグルコース値を補うためにより多くのインスリンを産生するので、膵臓ベータ細胞は最終的に枯渇し、さらなるインスリンが分泌に使用できなくなる。時間とともに、膵臓ベータ細胞は完全に機能しなくなり、T2Dを有するヒトは、1型糖尿病を有するヒトを同様になる。高レベルの循環グルコースは糖尿病の特徴であり、最終的に、心臓疾患および脳卒中、高血圧、失明、腎障害および神経障害、感染、ならびに歯周病などの重篤な合併症を引き起こし得る。従って、運動;適切な食事;経口抗糖尿病治療;および最終的にインスリンを用いてできる限り早期にT2Dを制御および治療することは重要である。本発明によって特許請求されている化合物はさらなる薬理学的治療の選択を提供する。GPR40を選択的に調節する化合物が特に望まれ得る。
【0138】
GPR40:情報
Nagasumiによって最近報告されているインスリンIIプロモーターの制御下でヒトGPR40遺伝子を過剰発現するトランスジェニックマウスを用いる研究結果は、特にインスリン抵抗性の齧歯動物モデルにおいてインビボでのGDISおよび血漿グルコース値の調節においてGPR40が重要な役割を果たすということをさらに支持している。Nagasumi Kら,Overexpression of GPR40 in pancreatic β−cells augments glucose−stimulated insulin secretion and improves glucose tolerance in normal and diabetic mice Diabetes 58:1067−1076,2009。これらの見解は、新規GPR4調節化合物の開発がT2Dの治療における使用に特に望まれ得ることをさらに支持している。
【0139】
カルシウム流出一次アッセイ
本明細書に例示した化合物を以下に記載するように実質的に試験し、カルシウム流出一次アッセイについて1μM未満のEC50値を示す。
【0140】
このアッセイを使用して、リガンドがGPR40に結合し、活性化する場合に得られる細胞内カルシウム濃度の増加を測定することによって化合物をスクリーニングし、それにより、GPR40アゴニストの有効性および効果を実証する。37℃および5%COにて3:1の比で10%FBSと800μg/mlのジェネテシンとを補足したF12培地を含むダルベッコ改変イーグル培地に維持したヒトGPR40 cDNAを過剰発現するHEK293細胞をこの研究について用いる。アゴニストアッセイを、アッセイ緩衝液(1×HBSS(ハンクス平衡塩類溶液)および20mMのHEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸)中の脂肪酸遊離BSAの存在下(0.1%)または非存在下でCalcium 4 Dyeアッセイキット(Molecular Devices)を用いて実施する。蛍光測定画像解析用プレートリーダー(FLIPR)を用いて細胞内カルシウムの増加として受容体活性化を測定する。ベースライン上での蛍光の最大変化を使用して、アゴニスト反応を決定する。化合物のEC50(最大反応の半分の有効濃度)値を、濃度対相対蛍光ユニット(RFU)をプロットすることによってエクセルフィットソフトウェア(バージョン4;IDBS)を用いて計算する。有効性の割合を、天然のリガンドである、リノール酸と比較して、化合物によって示される最大反応に基づいて計算する。実施例1の試験化合物は、このアッセイにおいて試験した場合、91+/−10%の有効性で186+/−93nMのEC50を有する。これらの結果はさらに、GPR−40アゴニストとしての望ましい効果および有効性を実証する。
【0141】
グルコース依存性インスリン分泌(GDIS)アッセイ
GPR40の活性化は、高グルコース濃度に依存するインスリン分泌を生じることが知られているので、2つの別々のアッセイ系(インスリノーマ細胞株および初期の齧歯動物の膵島)を発展させて、上記で議論したGPR40一次アッセイにおいて細胞内カルシウムを増加させることが知られている化合物をさらに特徴付ける。
【0142】
GDISアッセイを、マウスインスリノーマ細胞株Min6を用いて実施する。Min6細胞を、37℃+5%COにて非必須アミノ酸、10%FBS、50mMの2−メルカプトエタノールならびに1%ペニシリンおよびストレプトマイシンを含有するダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)に維持する。実験の日に、グルコースを含まない200μlの予熱したクレブスリンガー緩衝液で2回、細胞を洗浄する。2.5mMのグルコースを含有する200μLの予熱したクレブスリンガー緩衝液の添加を使用して、細胞を飢餓し、その後、高濃度のグルコース(25mM)の存在下で化合物を添加する。プレートを37℃で2時間インキュベートする。2時間のインキュベーションの終わりに、上清をミリポアフィルタープレートに穏やかに移し、200g(重力)にて3分間回転させる。インスリンを、メルコディア(Mercodia)インスリン測定キットを用いてアッセイする。1μM+25mMのグルコースでの実施例1のMin6細胞への添加は、25mMのグルコース単独で達成したものと比較して、インスリン分泌の統計的に有意な2倍の増加を生じた。
【0143】
初期の齧歯動物の膵臓ランゲルハンス島を用いるGDISアッセイも使用して、例示した化合物を特徴付ける。膵島を、コラゲナーゼ消化およびヒストパック(Histopaque)密度勾配分離により雄性SD(Sprague Dawley)ラットから単離する。膵島を、GlutaMAXn(安定化した、L−グルタミンのジペプチド形態(Invitrogenカタログ番号61870−010))を含むRPMI−1640培地中で一晩培養して、単離プロセスからの回収を容易にする。インスリン分泌を、48ウェルプレートにおけるEBSS(アール平衡塩溶液)緩衝液中での90分のインキュベーションにより決定する。手短に述べると、膵島を2.8mMのグルコースを含むEBSS中で最初に30分間プレインキュベートし、次いで150μlの2.8mMグルコースを含有する48ウェルプレート(4個の膵島/ウェル)に移し、試験化合物の存在下または非存在下で2.8または11.2mMグルコースを含む150μlのEBSSと90分間インキュベートする。インキュベーションの終わりに緩衝液をウェルから取り除き、ラットインスリンELISAキット(Mercodia)を用いてインスリン値についてアッセイする。このアッセイ系において、異なる濃度での実施例1の投与により、11.2mMグルコース単独で達成されたものと比較して、インスリンの2倍〜4倍の増加が得られる。
【0144】
選択的アッセイ
ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体(PPAR)α、δ、およびγ結合および機能的アッセイ
GPR40は、PPARγに対するリガンドによって活性化されることが知られているので、例示した化合物を、PPARα、PPARδ、およびPPARγ結合および機能的アッセイにおいて試験して、例示した化合物のGPR40に対する選択性を決定する。本明細書に例示した化合物を、PPAR結合に対して以下に記載するように実質的に試験し、概して、10μM濃度の試験化合物で1000nMより高い結合値を有し、それにより、PPAR活性に対して陰性であるとみなされる。
【0145】
PPARα、δ、およびγ受容体に対する化合物の結合親和性を、シンチレーション近接アッセイ(SPA)技術を用いて評価する。ビオチン化オリゴヌクレオチドダイレクトリピート2(DR2)を、ケイ酸イットリウムストレプトアビジンでコーティングされたSPAビーズに受容体を結合するために使用する。PPARα、δ、γおよびレチノイドX受容体(RXR)αをHEK293細胞において過剰発現させ、特定の受容体を含有する細胞溶解物を個々のアッセイにおいて使用する。DR2を、10mMのHEPES pH7.8、80mMのKCl、0.5mMのMgCl、1mMのDTT、0.5%の3[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−プロパンスルホン酸(CHAPS)、および4.4%のウシ血清を含有する結合緩衝液中で30分間にわたってSPAビーズに結合させる。細胞溶解物を、アルファおよびデルタ受容体アッセイについて、放射性標識した(約0.033.8μCiH)PPARα/δ二重アゴニスト参照化合物、およびガンマ受容体アッセイについて、放射性標識した(約0.037.3μCiH)PPARγアゴニスト参照化合物、110.3μgのイットリウムSPAストレプトアビジンでコーティングされたビーズ、0.126nMのHDオリゴDR2、および結合緩衝液中の0.5μgのRXRαと0.3μgのPPARα、0.5μgのRXRαと0.5μgのPPARδ、または3.03μgのRXRαと1.25μgのPPARγのいずれか、その上さらに14%のグリセロールおよび5μgの剪断したサケ精子DNAの存在下で11の濃度の化合物のうちの1つを含む各ウェルにおいてインキュベートする。非特異的結合は、10,000nMの、アルファおよびデルタ受容体アッセイについて、非標識PPARα/δ二重アゴニスト参照化合物、およびガンマ受容体アッセイについて、PPARγアゴニスト参照化合物の存在下で決定される。結合反応物(96ウェル[Costar3632]プレート中に100μl/ウェル)を10時間インキュベートし、Wallac Microbetaで壊変毎分(dpm)をカウントする。化合物に対する受容体結合親和性(IC50)を、4パラメータロジスティック式を用いて11点濃度反応曲線をフィットすることによって決定する。チェン−プルソフ(Cheng−Prussoff)式および飽和結合によって決定されたKdを用いて、KをIC50から決定する。実施例1の化合物に関して、10μMまでの濃度で3つのPPAR結合アッセイのいずれにおいても結合は検出されない。従って、本明細書に記載したアッセイにより、実施例1の化合物が、望ましくないPPAR活性を回避しながら、GPR−40を選択的に活性化するということが支持される。例示した化合物の相対的IC50は概してPPARアイソフォームに対して10μMより高く、これにより、その化合物が、望ましいGPR−40活性化を与えながら、PPAR活性を回避するということが支持される。
【0146】
Gal4 PPARα、Gal4 PPARδ、およびPPARγ受容体機能的アッセイも使用して、例示した化合物の選択性をモニターする。アフリカミドリザルの腎組織由来のCV1細胞を、Fugeneを用いて種々の受容体およびレポータープラスミドでトランスフェクトする。Gal4 PPARαおよびPPARδアッセイに関して、アデノウイルスの主要後期プロモーターによって駆動されるホタルルシフェラーゼ遺伝子の上流でクローニングされる、酵母転写タンパク質Gal4反応エレメントの5つのタンデムコピーを含有するレポータープラスミドを、Gal4 DNA結合ドメイン(DBD)、およびPPARαまたはPPARδリガンド結合のいずれかを含有するハイブリッドタンパク質を構造的に発現するシミアンウイルス40(SV40)により駆動されるプラスミドと一緒にトランスフェクトする。PPARγアッセイに関して、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーターによって両方駆動される、PPARγおよびRXRαをコードするプラスミドを、TKプロモーターによって駆動されるルシフェラーゼレポーターcDNAおよび受容体反応エレメント(2×PPRE)を含有するプラスミドと一緒にトランスフェクトする。細胞を、T225cm細胞培養フラスコ内の5%活性炭処理済(charcoal−stripped)FBSを含むDMEM培地中でトランスフェクトする。一晩のインキュベーション後、トランスフェクトした細胞をトリプシン処理し、不透明な96ウェルディッシュ内の5%活性炭処理済FBSを含有するDMEM培地中に播種し(15,000細胞/ウェル)、4時間インキュベートし、3.2倍(half log)希釈で0.17nM〜10μMの試験化合物または参照化合物に曝露する。化合物との24時間のインキュベーション後、細胞を溶解し、ルシフェラーゼ活性を、蛍光による受容体活性化の尺度として決定する。データを4パラメーター−フィットロジスティックモデルにフィットして、EC50値を決定する。最大刺激の割合を、10μMの適切なPPARアゴニスト参照化合物で得た最大刺激に対して決定する。PPARα、PPARδ、またはPPARγの機能的活性化は、特異的PPAR共トランスフェクション(CTF)/上記の機能的アッセイにおいて10μMまでで試験した場合、実施例1の化合物では検出されない。従って、このアッセイにより、例示した化合物が、望まれるように、PPARアゴニスト活性を回避することが支持される。
【0147】
インビボでの有効性:腹腔内グルコース負荷試験(IPGTT)
例示した化合物の抗糖尿病効果を生じるインビボでGPR40を活性化させる、すなわち、インスリンを増加させ、グルコース値を減少させる能力を試験するために、4日の腹腔内グルコース負荷試験(ipGTT)研究を、各化合物を用いて完了する。
【0148】
雄性Balb/c(アルビノマウス)マウス(8〜9週齢)を一つに収容し、通常の齧歯動物食事および水を自由に与える。動物の体重を測定し、体重によって無作為化し、毎日の体重を記録する。研究開始後、1日1回で3日間、メチルセルロースおよびtween−80を有する製剤を用いて動物に経口投与する。4日のIPGTT研究の前の夜に、動物をきれいなケージで一晩絶食させる。IPGTT(4日)の朝、IPGTT(グルコース2kg/kg、i.p.)の60分前に、化合物またはビヒクルのみを動物に経口投与する。グルコースチャレンジ後、0、3、7、15、30、および60分にて取得した尾の出血から血糖値を決定する。血漿を単離し、使用して、それぞれのインスリン値を測定する。t=0からt=60分の血糖可動域プロファイルを使用して、各処置について曲線下面積(AUC)を積分する。グルコースの低下の割合を、ビヒクル群のAUCに対して化合物のAUCデータから計算する。0.03、0.1、0.3、1.0、または3.0mg/kgにて試験化合物を経口投与し、ポジティブコントロールを10mg/kgにて投与する。実施例1の化合物またはポジティブコントロールの濃度は、GTTの間、3分の時点でグルコース値を有意に低下させなかった。対照的に、グルコース値は、7分の時点で0.3、1.0、および3.0mg/kgの用量の実施例1の化合物およびポジティブコントール、ならびに15分の時点で0.1、0.3、1.0、および3.0mg/kgの用量の実施例1の化合物およびポジティブコントロールで有意に低下する。実施例1の化合物およびポジティブコントロールの全ての用量は、30および60分の時点でグルコース値を有意に低下させた。グルコース低下についてのAUCに基づいた実施例1の化合物についてのED50は0.09mg/kgである。この研究において、インスリン値は、GPR40の活性化と一致する3分の時点で1.0および3.0mg/kg用量の実施例1の化合物で有意に増加した。このアッセイの結果により、GPR−40の化合物の活性化が、インビボでの抗糖尿病効果を生じることが支持される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式の化合物:
【化1】

[式中、
は、H、FおよびClからなる群より選択され;
は、H、C1−3アルキル、CF、OCH、F、およびClからなる群より選択され;
およびR4aは、各々独立してH、OCH、C1−3アルキル、CF、およびFからなる群より選択され、RおよびR4aからなる群より選択される少なくとも1つはHであり;
は、HまたはC≡CCHであり;
Xは、−CH(R)CH−、−C(R)=CH−、−N(R)CH−および−C(O)CH−からなる群より選択され;
は、HおよびC1−3アルキルからなる群より選択され;
は、H、C1−3アルキル、およびフェニルからなる群より選択される]
またはその医薬的に許容可能な塩。
【請求項2】
Xは、−N(R)CH−、−C(R)=CH−、および−CH(R)CHからなる群より選択される、請求項1に記載の化合物またはその塩。
【請求項3】
Xは、−C(R)=CH−である、請求項1または2のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項4】
は、HおよびCHからなる群より選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項5】
は、Hである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項6】
Xは、−N(R)CH−である、請求項1または2のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項7】
は、H、C1−3アルキルからなる群より選択される、請求項6に記載の化合物またはその塩。
【請求項8】
は、CHである、請求項7に記載の化合物またはその塩。
【請求項9】
は、OCH、CH、CF、およびFからなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項10】
4aは、HおよびClからなる群より選択される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項11】
およびR4aは、各々Hである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項12】
は、H、OCH、CH、およびCFからなる群より選択される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項13】
は、Hである、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項14】
は、C≡CCHである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項15】
は、FおよびClからなる群より選択され;RはHである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項16】
は、Hである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項17】
前記化合物は、S異性体である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項18】
前記化合物は、医薬的に許容可能な塩である、請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項19】
医薬的に許容可能な担体および請求項1〜17のいずれか一項に記載の少なくとも1つの化合物またはその医薬的に許容可能な塩を含む、医薬組成物。
【請求項20】
別の薬剤をさらに含む、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
哺乳動物における糖尿病を治療するための方法であって、請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容可能な塩を前記哺乳動物に投与する工程を含む、方法。
【請求項22】
治療として使用するための請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物またはその医薬的に許容可能な塩。
【請求項23】
糖尿病の治療に使用するための請求項1〜17のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
以下の式の化合物
【化2】

またはその医薬的に許容可能な塩。
【請求項25】
以下の式の化合物
【化3】

またはその医薬的に許容可能な塩。
【請求項26】
以下の式の中間体化合物:
【化4】

[式中、
は、H、FおよびClからなる群より選択され;
は、H、C1−3アルキル、CF、OCH、F、およびClからなる群より選択され;
およびR4aは、各々独立してH、OCH、C1−3アルキル、CF、およびFからなる群より選択され、RおよびR4aからなる群より選択される少なくとも1つはHであり;
は、HまたはC≡CCHであり;
は、C1−3アルキルからなる群より選択され;
Xは、−CH(R)CH−、−C(R)=CH−、−N(R)CH−および−C(O)CH−からなる群より選択され;
は、HおよびC1−3アルキルからなる群より選択され;
は、H、C1−3アルキル、C(O)OC1−4アルキル、およびフェニルからなる群より選択される]
またはその塩。
【請求項27】
は、C≡CCHである、請求項26に記載の化合物またはその塩。
【請求項28】
は、FおよびClからなる群より選択され;RはHである、請求項25に記載の化合物またはその塩。

【公表番号】特表2013−508279(P2013−508279A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534259(P2012−534259)
【出願日】平成22年10月11日(2010.10.11)
【国際出願番号】PCT/US2010/052126
【国際公開番号】WO2011/046851
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】