説明

スピーカ

【課題】 製造の手間を軽減し再生音圧レベルの高い高効率の薄型スピーカを提供する。
【解決手段】 周囲に設けられたエッジ3を介してフレーム5に支持された振動板2と、前記振動板2の一部に固着され外面にボイスコイル7が巻き回された細長形状のコイルボビン6と、互いに平行な直線状で両端が開放した磁気ギャップ17a、17bを有するヨーク部材14,15,16とを有し、前記コイルボビン16の中間部18が前記ヨーク部材の磁気ギャップ17a、17b内に配置される一方、両端19が前記磁気ギャップ外に位置するように前記フレーム5内に配設された複数の磁気回路ユニット10と、前記それぞれのコイルボビン16の両端下部と前記フレーム5とに連結され、前記コイルボビン16をそれぞれ支持する支持部材8と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型のテレビやディスプレイなどの音響機器において、特に低音再生に好適なスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
薄型テレビや薄型ディスプレイなどにおいては、特許文献1(特開2011−87146号公報)に示すように高音用、中音及び低音用のスピーカを備える場合が多い。これは、薄型テレビでは、スピーカの組み入れスペースが小さく、小型薄型のスピーカが好適に用いられる一方、このスピーカは低音をクリアに再生できないため、別途低音用のスピーカを併用している。
【0003】
一般には、低音用のスピーカは大きな振動板を有しており、コーン型の振動板の大きさに応じて高さ寸法(振動板の法線方向の寸法)も大きいものであることが多い。このため、これらの大きなスピーカをどのようにして限られたスペースに搭載するかについては、広く研究されている。
【0004】
このため、その高さ方向の寸法が大きくなりがちな低音用のスピーカをできるだけ薄型化する技術が求められている。例えば、特許文献2(特開2010−288088号公報)などに開示されているように、パネル型の平板スピーカが用いられている。
【0005】
特許文献2に開示の平面スピーカは、コーン状の振動板を用いることなく、薄型のスピーカを提供するものである。当該平面スピーカは、線状の加振装置を互いに平行に、又は複数個の環状の加振装置を基板上に取り付けた構成であり、加振装置の振動板で発生した音声のうち低周波のものは基板に伝搬され基板が振動することによって低音の音声が再生される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−87146号公報
【特許文献2】特開2010−288088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、この平面スピーカは、個々の加振装置がマグネット、ボイスコイル、振動板などを有しており、その構成が複雑である。また、それぞれの加振装置は独立して基板に設けられるため、それぞれの加振装置への給電構造が複雑になり、個々のボイスコイルへの電気信号の供給にずれが生じる可能性がある。さらに、構成が複雑な加振装置の支持を基盤のみでする構成であるため、基板には相当な強度が求められ、この結果、低音発生時における音声が不鮮明になるという問題があった。
【0008】
また、加振装置自体に振動板が設けられており、加振装置の振動を基板に伝搬させる構成であるため、基板の垂直振動が不安定となるという問題を有していた。
【0009】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、簡単な構成で製造の手間を軽減し再生音圧レベルの高い高効率を実現することができる薄型のスピーカを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成のスピーカを提供する。
【0011】
本発明の第1態様によれば、周囲に設けられたエッジを介してフレームに支持された振動板と、
前記振動板の一部に固着され外面にボイスコイルが巻き回された細長形状のコイルボビンと、互いに平行な直線状で両端が開放した磁気ギャップを有するヨーク部材とを有し、前記コイルボビンの中間部が前記ヨーク部材の磁気ギャップ内に配置される一方、両端が前記磁気ギャップ外に位置するように前記フレーム内に配設された複数の磁気回路ユニットと、
前記それぞれのコイルボビンの両端下部と前記フレームとに連結され、前記コイルボビンをそれぞれ支持する支持部材と、を備えることを特徴とするスピーカを提供する。
【0012】
本発明の第2態様によれば、前記振動板は略矩形であり、前記コイルボビンは、互いに平行に設けられていることを特徴とする第1態様のスピーカを提供する。
【0013】
本発明の第3態様によれば、前記コイルボビンは、長手方向面が互いに平行で、両端側が円弧上の面に構成されているトラック形状であることを特徴とする第1又は第2態様のスピーカを提供する。
【0014】
本発明の第4態様によれば、前記コイルボビンは、前記両端部に下方に伸びる突状部が設けられた底壁を有し、
前記フレームは、前記突状部が設けられる位置に貫通孔を備え、
前記支持部材は、前記フレームの外底面に配置され前記貫通孔を通して前記突状部に連結することを特徴とする、第1から第3態様のいずれか1つのスピーカを提供する。
【0015】
本発明の第5態様によれば、前記支持部材は、薄板状に構成されフレームに連結される外側部と、前記突状部が挿入される固定穴が設けられた内側部とを有し、前記内側部が外側部の厚み方向に変位するように構成されていることを特徴とする、第1から第4態様のいずれか1つのスピーカを提供する。
【0016】
本発明の第6態様によれば、前記支持部材は、前記外側部と内側部を接続する接続部を有することを特徴とする、第5態様のスピーカを提供する。
【0017】
本発明の第7態様によれば、前記磁気回路ユニットに設けられているヨーク部材は、複数個が間欠的に設けられており、
前記コイルボビンは、前記複数のヨーク部材間の隙間に短手方向に対向する面を連接する補強部材を備えることを特徴とする、第1から第6態様のいずれか1つのスピーカを提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ヨーク部材の磁気ギャップを両端が開放した互いに平行な直線状のものとすることにより簡単な構成とすることができ、また、ボイスコイルとの隙間調整が容易なため、製造工程を容易にすることができる。さらに、コイルボビンを短手方向に対向する面が平行な細長い形状とすることで、振動板に広く駆動力を伝えることができ、振動板の振動直線性が大きくなることから、分割共振モードの発生を抑えることができる。
【0019】
さらに、コイルボビンの両端下部を支持部材により支持することにより、コイルボビンを支持する振動板と支持部材との間の距離が大きくなり、振動板の垂直振動の安定性を向上させることができる。よって、スピーカの高さ寸法を小さくすることができる。したがって、高音声レベルでありながら耐入力性を兼ね備えた薄型のスピーカを提供することができる。また、複数の磁気回路ユニットを設けることで、大きな振動板を効率よく駆動させることができ、低音再生に適したスピーカを簡単な構成で薄型に構成することができ、また、再生音圧レベルの高い高効率を実現することができる。
【0020】
本発明の第2態様によれば、矩形の振動板に、並行に設けたコイルボビンを設けることにより、振動板全体に効率よく振動を与えることができる。よって、再生音圧レベルの高い高効率を実現可能な低音再生に適したスピーカを薄型化することができる。
【0021】
本発明の第4態様及び第5態様によれば、コイルボビンと支持部材の固定を容易にすることができ、また、コイルボビンを補強することができることから、コイルボビンを薄肉化して軽量化することができる。また支持部材を下側から容易に取り付けることができるので、組立ての効率を高くすることができ、スピーカを小型化することができる。
【0022】
本発明の第6態様によれば、支持部材を薄板状に構成することができ、コイルボビンの下側に設けられる支持部材の取り付けスペースを小さくして、スピーカの高さ寸法を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態にかかるスピーカの外観構成を示す斜視図である。
【図2】図1のスピーカの内部構造を示す平面図である。
【図3】図1のスピーカの組立分解図である。
【図4】図1のスピーカの磁気回路ユニットの組立分解図である。
【図5】図2のスピーカのA−A線における断面図である。
【図6】図2のスピーカのB−B線における断面図である。
【図7】図2のスピーカのC−C線における断面図である。
【図8】図6の拡大断面図である。
【図9】コイルボビンの両端部近傍の部分拡大一部断面図である。
【図10】支持部材の他の構成を示す図である。
【図11】支持部材とフレームの取り付け構成を示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態にかかるスピーカの構成を示す図であり、フレーム内部に4つの磁気回路ユニットを取り付けた例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係るスピーカについて、図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1は、本発明の実施形態にかかるスピーカの外観構成を示す斜視図である。図2は、図1のスピーカの内部構造を示す平面図であり、振動板を取り除いた状態を示している。本発明のスピーカ1は、取り付け空間の小型化が要望されている薄型のテレビなどの電子機器に用いられる低音再生に適したスピーカである。
【0026】
本実施例のスピーカ1は、一辺が約100mmの略正方形のフレーム5内に磁気回路ユニット10などの各種部材を収容する。フレーム5の上面には、振動板2が設けられる。
【0027】
振動板2の外周端には、エッジ3が接着されており、さらにエッジ3の外周側には、上部フレーム4が設けられている。上部フレーム4は、略正方形のフレーム5に対応した略正方形状に構成されている。なお、本実施形態においては、振動板2、エッジ3、上部フレーム4はそれぞれ別部材で構成されているが、薄い樹脂フィルム膜などを用いて1つの部材として構成されていてもよい。
【0028】
エッジ3は、柔軟性を有する素材で形成されており、例えば発泡ゴムなどが好適に用いられる。エッジ3は、振動板2の全周を支持し、振動板2全体が一体的に垂直振動できるようにする。
【0029】
上部フレーム4は、エッジ3の周囲に設けられ、フレーム5と振動板2を連結するための部材である。振動板2及びエッジ3は、フレーム5の上面に上部フレーム4を介して固定される。
【0030】
磁気回路ユニット10は、ヨーク部材及びコイル部材とから構成されており、ヨーク部材はフレーム5に固定され、コイル部材は振動板に固定され、後述するように支持部材8によって下側から支持されている。
【0031】
振動板2の裏面には、磁気回路ユニット10のコイル部材を構成する部品であるトラック形のコイルボビン6が一対設けられる。本実施形態では、コイルボビン6は、振動板2の対向する2辺に沿って互いに平行に設けられている。
【0032】
トラック形のコイルボビン6の側壁6aの周囲には、全周にわたってボイスコイル7が巻き回されている。コイルボビン6の長手方向長さは、概ね70mm程度である。
【0033】
フレーム5の上方に設けられた開口には、振動板2の上部フレーム4が係合する。フレーム5の開口部分は振動板2に対応した形状の段差で構成された振動板固定部11が設けられており、振動板2とフレーム5との取り付け位置が特定される。
【0034】
図3は、図1のスピーカの組立分解図である。図4は、図1のスピーカの磁気回路ユニットの組立分解図である。図5は、図2のスピーカのA−A線における断面図である。図6は、図2のスピーカのB−B線における断面図である。図7は、図2のスピーカのC−C線における断面図である。
【0035】
図3に示すように、本実施形態にかかるスピーカ1のフレーム5には、ヨーク部材を特定位置に固定するヨーク固定部30と端子板9を固定するための端子板固定部31とが設けられている。ヨーク固定部30は、ヨーク部材中のヨーク14の外側を狭持するための2枚の立壁で構成されており、内面にヨーク14と係合するための突起32が設けられている。ヨーク14には、当該突起32と係合する係合孔14bが設けられている。
【0036】
端子板固定部31は、端子板9の外縁を係止する突起を備え、端子板9を2つのヨーク部材の中間部分に固定する。端子板9には電力線33及びそれぞれの磁気回路ユニット10からのコイル引き出し線7aが接続されている。電力線33から供給される音声信号は、端子板9を介してコイル引き出し線7aに送られる。なお、フレーム5の端子板固定部31の近傍には、電力線33をフレーム底面側へ案内及び固定するためのガイド部34が設けられている。
【0037】
ヨーク固定部30の両端側には、支持部材配置孔54が設けられている。支持部材配置孔54は後述するように、コイルボビン6の両端部に設けられている突状部21がフレームの底壁と干渉しないようにするための逃げの機能を持たせるものであり、さらに、外側から設けられる支持部材8を位置決めする。
【0038】
ヨーク部材は、図4に示すように、フレーム5の特定箇所に固定される細長形のヨーク14と、ヨーク14の底部に配置される配置されるマグネット15と、マグネットの上に設けられるポール16とから構成されている。
【0039】
ヨーク14は、断面がコの字状の磁性体金属で構成されており、底面14aにマグネット15が配置される。細長形のマグネット15は細長形に構成されており、ポール16もマグネット15とほぼ同形の細長形状である。マグネット15及びポール16は、間に間隙15aをおいてヨーク14内に2つ配置される。当該間隙15aは、後述するコイルボビン6の補強部材20aが配置される。
【0040】
ヨーク14側面の長辺とポール16側面の長辺との間には、均等な幅を有する互いに平行な二辺の直線状の磁気ギャップ17a、17bが形成される。磁気ギャップ17a、17bは、両端が開放しており、幅寸法はスピーカのサイズによって多少の違いが見られるが概ね数mm程度に構成されている。
【0041】
本実施例のマグネット15は、残留磁化および保磁力が大きく、小さい体積でも保磁力の強いNd−Fe−B系の希土類磁石を用いるが、特に限定されるものではなく、フェライト系磁石であってもよい。なお、希土類磁石とは、Nd−Fe−B系のネオジウム磁石、もしくは、Sm−Co系のサマリウムコバルト磁石であって、磁石の最大エネルギー積(BH)maxが大きな値となる点が特徴である。
【0042】
振動板2に設けられるコイルボビン6は、トラック形状の筒状体であり、ジュラルミンやアルミニウムなどの軽金属、耐熱樹脂フィルムなどをプレス成形して製造することができる。本実施形態では、放熱効果が大きいアルミニウムのプレス加工品が用いられている。コイルボビン6は、中間部分が直線部18であり、両方の端部19が半円形状を有するトラック形状に構成されている。直線部18を構成するコイルボビン6の短手方向に対向する2面は、互いに平行である。
【0043】
直線部18は、図6に示すように、その一部分が磁気回路ユニット10の磁気ギャップ17a,17bに配置され、一方、両端部19は、磁気回路ユニット10の磁気ギャップ17a,17b外に配置される。直線部18のみを磁気回路ユニット10の対向する磁気ギャップに配置することにより、ヨーク14及びマグネット15の幅によって磁気ギャップ間の位置調整を容易にすることができる。
【0044】
また、コイルボビン6の直線部18及び磁気ギャップ17a,17bは、互いに並行に構成されているため、磁気回路ユニット10とボイスコイル7との長手方向の相対位置関係の調整は、多少のずれがあってもよい。
【0045】
コイルボビン6は、中央部に補強部材20aが設けられている。補強部材20aはトラック形状のコイルボビン6の変形を防止するために、対向する2つの直線部18の下端同士を接続するものである。上記のように、マグネット15及びポール16は、2つに分割されて構成されているため、補強部材20aは、当該2つのマグネット15及びポール16の間隙15aに配設される。
【0046】
図8は図6の拡大断面図である。コイルボビン6は、図7に示すように、外側壁40の全周にわたってボイスコイル係止部41と補強リブ43が設けられている。ボイスコイル係止部41は、外側壁40に設けられた段差構造を有しており、空巻きして形成されたボイスコイル7をトラック形状にしてボイスコイル係止部41に挿入して、上端の段差42に突き当てることによりボイスコイル7の位置決めを行う。
【0047】
コイルボビン6の側壁上部に形成された補強リブ43は、振動板2の底面との接着に用いられる。
【0048】
外側壁40の上端に設けられた補強リブ43と及び、コイルボビン6の中央下部に設けられた補強部材20aによって、コイルボビン6の直線部18に外力が加わっても、その変形を防止することができる。
【0049】
図9は、コイルボビンの両端部近傍の部分拡大一部断面図である。コイルボビン6の両端下部は、薄い板状の支持部材8と連結し、後述するように支持部材8を介してフレーム5に固定されている。支持部材8は、コイルボビン6を下側から支持する。
【0050】
コイルボビン6の両端部19には、図8に示すように、底板20が設けられている。底板20の下面には、突状部21が設けられている。突状部21は、下側に伸び、支持部材8の固定孔25に挿入されて支持部材8を固定する。
【0051】
支持部材8は、板状の部材であり、ほぼ相似形に構成された外周部24及び内周部22が同心位置に配置され、両者の間に接続部の一例としてのプリーツ23が設けられている。プリーツ23によって、外周部24と内周部22がその厚み方向に移動することができる。
【0052】
本実施形態においては、支持部材8は、略円板状の布成形品で構成され、中心部分に設けられた固定孔25を有する内周部22がプリーツ23によって、最外周部に位置する外周部(フランジ)24と接続されている。固定孔25にはコイルボビン6の突状部21が挿通されてコイルボビン6と接続し、外周部24はフレーム5の支持部材配置孔54に接続される。
【0053】
支持部材8は、その面に交差する方向の力が加わると、プリーツ23が変形してフランジ24と固定孔25との高さ方向の変位を吸収する。
【0054】
なお、支持部材8は、上記の機能を有するものであればその構造は特に限定されるものではない。また、材質は、金属板や樹脂板なども好適に用いられる。図10に支持部材8の変形例を示す。図10の支持部材8は、合成樹脂の薄板で構成されており、外周部24と内周部22が細い接続部23で接続された構成である。
【0055】
支持部材8は、図11に示すようにフレーム5の底面外側から支持部材配置孔54に取り付けられる。フレーム5底面の支持部材配置孔54は、支持部材8を配置するための貫通孔である。上記のようにコイルボビン6の突状部21は、下向きに突出して設けられているため、一部分が支持部材配置孔54内に位置している。この状態で、フレーム底面外側から支持部材8の外周部24を支持部材配置孔54の周縁に取り付け、さらに支持部材8の内周部22の固定孔25に突状部21を挿入させる。この取り付け方法により容易な工程でフレーム5とコイルボビン6とが支持部材8を介して連結できる。
【0056】
また、支持部材配置孔54内にコイルボビン6の突状部21が配置されることで、フレーム5の厚み寸法を小さくすることができ、スピーカを薄型化することができる。
【0057】
このように配置された支持部材8とコイルボビン6は、定常時には、支持部材8がコイルボビン6を下側から支持する。なお、支持部材8は、プリーツ23が同心円状に設けられているため、その面に沿ったいずれの方向からの応力についても支持力を発揮することができ、例えば、振動板2が正面を向くような向きにスピーカ1を配置したとしても、コイルボビン6を支持することができる。
【0058】
スピーカ1の使用時において、コイルボビン6の垂直振動に伴って、支持部材8が変形する。上記のようにコイルボビン6は、上端が振動板2に固定され、下端を支持部材8により支持されているため、支持箇所の間隔が広く、安定した垂直振動を確保することができる。また、安定した垂直振動を確保しながらフレーム5の高さを小さくすることができるため、薄型のスピーカを実現することができる。
【0059】
上記構成により、コイルボビン6は、振動板2と支持部材8とで、上下から支持されることとなり、振動板2に加わる応力は軽減される。したがって、音圧レベルを高めるためにコイルボビン6を大きく構成したとしても、振動板2に加わる応力が軽減されるため、振動板を薄肉化、軽量化することができる。したがって、大型のコイルボビン6による音圧レベルの向上に加えて、振動板の軽量化に伴う音圧レベルの向上を実現することができる。
【0060】
図12は、スピーカの振動板とコイルボビンの他の取り付け構造例を示す図である。この例では、スピーカの振動板に2対のコイルボビンを用いており、振動板の各辺に沿って平行にコイルボビンを取り付ける。この例によれば、振動板に垂直振動を与える構造を多くすることができ、より高出力のスピーカとすることができる。
【0061】
以上説明したように、本発明の実施形態にかかるスピーカによれば、支持部材8と振動板2とで狭持するようにコイルボビン6を支持する。このため、コイルボビン6を大型化しても振動板2の補強が少なくてすみ、再生音圧のレベルを高めることができる。また、コイルボビン6を支持する箇所の距離を大きくすることができるため、振動板2の振動直線性を高めることができ、スピーカの薄型化を図ることができる。
【0062】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。例えば、コイルボビン6と支持部材8との連結構造は、コイルボビンの両端下部に薄板状の支持部材を取り付ける構成であれば広く適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 スピーカ
2 振動板
3 エッジ
4 上部フレーム
5 フレーム
6 コイルボビン
7 ボイスコイル
8 支持部材
9 端子板
10 磁気回路ユニット
11 振動板固定部
14 ヨーク
15 マグネット
16 ポール
17a,17b 磁気ギャップ
18 直線部
19 端部
20 底板
20a 補強部材
21 突状部
22 内周部
23 プリーツ(接続部)
24 外周部
25 固定孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
周囲に設けられたエッジを介してフレームに支持された振動板と、
前記振動板の一部に固着され外面にボイスコイルが巻き回された細長形状のコイルボビンと、互いに平行な直線状で両端が開放した磁気ギャップを有するヨーク部材とを有し、前記コイルボビンの中間部が前記ヨーク部材の磁気ギャップ内に配置される一方、両端が前記磁気ギャップ外に位置するように前記フレーム内に配設された複数の磁気回路ユニットと、
前記それぞれのコイルボビンの両端下部と前記フレームとに連結され、前記コイルボビンをそれぞれ支持する支持部材と、を備えることを特徴とするスピーカ。
【請求項2】
前記振動板は略矩形であり、前記コイルボビンは、互いに平行に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のスピーカ。
【請求項3】
前記コイルボビンは、長手方向面が互いに平行で、両端側が円弧上の面に構成されているトラック形状であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のスピーカ。
【請求項4】
前記コイルボビンは、前記両端部に下方に伸びる突状部が設けられた底壁を有し、
前記フレームは、前記突状部が設けられる位置に貫通孔を備え、
前記支持部材は、前記フレームの外底面に配置され前記貫通孔を通して前記突状部に連結することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1つに記載のスピーカ。
【請求項5】
前記支持部材は、薄板状に構成されフレームに連結される外側部と、前記突状部が挿入される固定穴が設けられた内側部とを有し、前記内側部が外側部の厚み方向に変位するように構成されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1つに記載のスピーカ。
【請求項6】
前記支持部材は、前記外側部と内側部を接続する接続部を有することを特徴とする、請求項5に記載のスピーカ。
【請求項7】
前記磁気回路ユニットに設けられているヨーク部材は、複数個が間欠的に設けられており、
前記コイルボビンは、前記複数のヨーク部材間の隙間に短手方向に対向する面を連接する補強部材を備えること特徴とする、請求項1から6のいずれか1つのスピーカ。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2013−102360(P2013−102360A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245102(P2011−245102)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(509290902)大和音響株式会社 (3)
【Fターム(参考)】