説明

スピードスプレーヤの噴頭装置

【目的】 製造が能率化され、かつ他の機種のスピードスプレーヤ10へ共通に搭載できるスピードスプレーヤ10の噴頭装置32を提供する。
【構成】 左左ノズルパイプ38等のノズルパイプ38,40,42,44は、防渦板36のノズル26側の面にホルダ48を介して取付けられる。複数の管路体50は、ノズルパイプ38,40,42,44の各々から分岐して、噴頭部28内を前後方向へ延び、撚り戻し管52を基部管54に対して中心線の周りに回転自在とされ、撚り戻し管52の先端側にノズル26を取付けられる。モータ64a-dは噴頭板34の機械室24側に取付けられ、支持管56は両端部において回転自在に噴頭板34及び防渦板36に軸支され、ノズル26は群ごとにリンクロッド94を介して相互に連結されている。操作ロッド88はモータ64a-dの作動により支持管56を回動させ、連動ロッド96は支持管56の回動に伴ってノズル26を回動させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、スピードスプレーヤの噴頭装置に係り、詳しくは製造を能率化できる噴頭装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】スピードスプレーヤによる散布作業では、散布状況に応じて、ノズルの向きを調整する必要が生じる。
【0003】従来のスピードスプレーヤでは(例:実公昭63−30517号公報)、ノズルの向きを変更するリンク及び駆動装置の構成要素は、噴頭部の後方にある送風機や、前方にある機械室等にも配設されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のスピードスプレーヤでは、噴頭装置は、送風機と一緒に製造したり、スピードスプレーヤのフレーム上で製造したりする制約があり、製造能率が低い。また、噴頭装置は、スピードスプレーヤのフレームやシャシーに組付けられつつ製造される結果、異なるフレームやシャシー、すなわち異なる機種のスピードスプレーヤには、そのまま搭載できない。
【0005】請求項1の発明の目的は、ノズルを駆動して向きを制御する機能を装備するスピードスプレーヤの噴頭装置について、製造が能率化され、かつ異機種のスピードスプレーヤへも搭載できるようにすることである。請求項2の発明の目的は、吐出風の向きを制御する導風板を駆動して向きを制御する機能も装備するスピードスプレーヤの噴頭装置について、製造が能率化されるようにすることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明を、実施例に対応する図面の符号を使用して説明する。請求項1のスピードスプレーヤ(10)の噴頭装置(32)は次の(a)〜(f)の構成要素を有している。
(a)それぞれ前後に配設されて噴頭部(28)の前側及び後ろ側を画定する噴頭板(34)及び防渦板(36)(b)噴頭板(34)又は防渦板(36)の反噴頭部側へ組付けられるノズルパイプ(38,40,42,44)(c)撚り戻し部(52)を備えノズルパイプ(38,40,42,44)から分岐して噴頭部(28)内を前後方向へ延びる複数個の管路体(50)(d)各管路体(50)の先端部に取付けられノズルパイプ(38,40,42,44)から管路体(50)を介して圧送されて来る散布液を噴出するノズル(26)(e)噴頭板(34)又は防渦板(36)の反噴頭部側へ組付けられる駆動手段(64a-d)(f)駆動手段(64a-d)により変位してノズル(26)を回動させるノズル用リンク手段(88,94,96)
【0007】請求項2のスピードスプレーヤ(10)の噴頭装置(32)は、請求項1のスピードスプレーヤ(10)の噴頭装置(32)において、さらに、次の(g)〜(i)の構成要素を有している。
(g)噴頭板(34)及び/又は防渦板(36)に回転自在に軸支され噴頭部(28)内を前後方向へ延びる支軸(56)(h)支軸(56)に回転方向へ一体的に取付けられて噴頭部(28)からの吐出風の向きを制御する導風板(60)(i)駆動手段(64a-d)により変位されて支軸(56)を回動する導風板用リンク手段(86,88)
【0008】
【作用】請求項1のスピードスプレーヤ(10)では、ノズルパイプ(38,40,42,44)及び駆動手段(64a-d)は、噴頭板(34)又は防渦板(36)の反噴頭部側へ組付けられる。管路体(50)は、ノズルパイプ(38,40,42,44)を介して又は直接噴頭板(34)又は防渦板(36)へ組付けられる。ノズル(26)は、管路体(50)を介して最終的に噴頭板(34)又は防渦板(36)へ組付けられる。ノズル用リンク手段(88,94,96)は、両端側において駆動手段(64a-d)及びノズル(26)へ連結される結果、最終的に噴頭板(34)又は防渦板(36)へ組付けられることになる。ノズル用リンク手段(88,94,96)は駆動手段(64a-d)により変位され、また、管路体(50)は撚り戻し部(52)において回動するようになっているので、ノズル(26)は、駆動手段(64a-d)により操作されて、管路体(50)の撚り戻し部(52)の回動により管路体(50)の軸線の周りに回動して、向きを変更する。散布液は、ノズルパイプ(38,40,42,44)から管路体(50)を経てノズル(26)へ導かれ、ノズル(26)から噴出される。
【0009】請求項2のスピードスプレーヤ(10)では、導風板(60)は支軸(56)を介して噴頭板(34)及び/又は防渦板(36)へ組付けられている。導風板用リンク手段(86,88)は、両端側において駆動手段(64a-d)及び支軸(56)へ連結される結果、最終的に噴頭板(34)又は防渦板(36)へ組付けられていることになる。駆動手段(64a-d)の作動により、導風板用リンク手段(86,88)は変位し、支軸(56)が回動して、導風板(60)の向きが変化する。
【0010】
【実施例】以下、この発明を図面の実施例について説明する。図9はスピードスプレーヤ10の概略側面図である。フレーム12は、前輪14及び後輪16により支持されつつ、自走可能になっている。フレーム12の上部には前側から順番に、ハンドル18を備える運転席20、薬液等の散布液を貯留する散布液タンク22、エンジンやポンプ等の機械を内部に収容している機械室24、放射方向外方へ向けられて周辺部に沿って配列されている複数個のノズル26を備える噴頭部28、及び後方から吸入した空気を噴頭部28へ吐出する送風機30が、配設されている。
【0011】図1は噴頭装置32の斜視図である。噴頭装置32は、ユニットとして製作され(詳細は図8で説明する。)、フレーム12の上に載置される。噴頭板34及び防渦板36は、それぞれ前後に配設されて、噴頭部28の前後を画定している。左左ノズルパイプ38、左中ノズルパイプ40、右中ノズルパイプ42、及び右右ノズルパイプ44は、防渦板36の後面側、すなわち送風機30側において防渦板36に取付けられ、左左ノズルパイプ38は防渦板36の左辺部に沿って延び、左中ノズルパイプ40は防渦板36の上辺部の左半部に沿って延び、右中ノズルパイプ42は防渦板36の上辺部の右半部に沿って延び、右右ノズルパイプ44は防渦板36の右辺部に沿って延びている。仕切り板46は、噴頭部28を前後に仕切り、周縁を噴頭板34及び防渦板36の周縁から放射方向へ内側へ引き込ませている。
【0012】図2は噴頭装置32を側方から見た構造図である。図2では、右右ノズルパイプ44に関して図示されているが、左左ノズルパイプ38、左中ノズルパイプ40、及び右中ノズルパイプ42に関する構造も同一である。ホルダ48は、左左ノズルパイプ38、左中ノズルパイプ40、右中ノズルパイプ42、及び右右ノズルパイプ44の各々に沿って適宜間隔で配列され、それらノズルパイプ38,40,42,44を把持し、防渦板36に固定する。図1及び図2R>2において、左左ノズルパイプ38、左中ノズルパイプ40、右中ノズルパイプ42、及び右右ノズルパイプ44の各々には、複数個の管路体50が、接続され、スピードスプレーヤ10の前後方向前方へ水平に延び、防渦板36を貫通して、噴頭部28内の仕切り板46の近辺へ達している。各管路体50は、基部側にある固定的な基部管54と、基部管54と中心線を揃えて基部管54の先端側に軸線の周りに回転自在に結合する撚り戻し管52とを有している。ノズル26は、ナット27を介して撚り戻し管52の先端部に固定され、撚り戻し管52と回転方向へ一体化される。支持管56は、スピードスプレーヤ10の前後方向へ水平に延び、中間部において仕切り板46を貫通し、両端部を噴頭板34及び防渦板36に回転自在に軸支され、軸方向の所定位置には、導風板60の取付けのためのピン挿通孔58を有している。支持管56は、左左ノズルパイプ38、左中ノズルパイプ40、右中ノズルパイプ42、及び右右ノズルパイプ44の各々に対応して複数個ずつ群を構成し、各群において、支持管56の総本数はノズル26の総個数以下とされている。各支持管56には、仕切り板46に対して噴頭板34側及び防渦板36側に導風板60をそれぞれ取付けられ、送風機30からの風の流れ方向に関して、各導風板60の下流側縁は、導風板60の任意の回動位置で仕切り板46の周縁を下流側へ越えて突出しないようにされている。
【0013】図8はユニット化されている噴頭装置32の主要部分の構成図である。第1の群のスペーサ用ボルト120は、噴頭部28の周辺部に適宜個数配設され、噴頭板34の外面側から挿入され、噴頭部28を水平に横断し、防渦板36の外面側へ達している。第1の群の各スペーサ用ボルト120は、噴頭部28においてカラー122を被せられ、頭部を噴頭板34の外面側に突き当て、防渦板36の外面側からはプレートナット124を螺着されて、噴頭板34及び防渦板36に固定されている。各カラー122は、両端において噴頭板34及び防渦板36の内面側に当接し、両者の間隔を保持する。第2の群のスペーサ用ボルト120は、仕切り板46の周辺部において適宜個数配設され、噴頭板34側から挿入されて、噴頭部28を水平に横断し、防渦板36の外面側へ達している。第2の群の各スペーサ用ボルト120は、仕切り板46における貫通部に対して噴頭板34側及び防渦板36側においてそれぞれカラー126及び128を被せられ、カラー126は噴頭板34と仕切り板46の周縁部との間隔を保持し、カラー128は仕切り板46の周縁部と防渦板36との間隔を保持する。複数個の横断面正六角形の軸状体130は、仕切り板46の周縁部において適宜個数配設され、スペーサ用ボルト120に対して平行に延び、仕切り板46の周縁部と防渦板36との間隔を保持する。各軸状体130は、仕切り板46の周縁側において、固定ボルト132を螺着されて、仕切り板46の周縁に固定され、防渦板36側の小径部において、防渦板36を貫通して、防渦板36の外面側からプレートナット124を螺着され、防渦板36に固定されている。接続部134は、防渦板36の外面側において隆起し、送風機30のファンケースの内周側に嵌合し、図示していない固定ボルトを挿通孔136へ挿入されて、ファンケースへ着脱自在に装着される。噴頭装置32のユニット化により、噴頭装置32を単位として在庫管理を行うことが可能となる。
【0014】図4及び図5は異なる回動位置で導風板60の取付状態を示している。1対のピン挿通孔58は、相互に90°の交差関係で支持管56に形成されている。導風板60は支持管56に相対回転自在に嵌合し、クレビスピン62により相対回転位置を拘束されるとともに、クレビスピン62を挿通させるピン挿通孔58を変更させることにより、支持管56に対する導風板60の回動位置を90°切替自在になっている。
【0015】図3は噴頭装置32を噴頭板34側から見た部分図である。図1〜図3において、正逆転自在のモータ64a-d(一部のみ図示)は、それぞれ左左ノズルパイプ38、左中ノズルパイプ40、右中ノズルパイプ42、及び右右ノズルパイプ44に対応して設けられ、噴頭板34の機械室24側の面に固定されている。ピニオン66はモータ64a-dの出力軸に取付けられ、セクタギヤ68は、噴頭板34の機械室24側に配設されて、噴頭板34に回転自在に支持され、ピニオン66にかみ合っている。ポテンショメータ80a-dは、モータ64a-dに対応して噴頭板34の機械室24側に配設され、セクタギヤ68の支軸の回転に関係して抵抗を変化させ、その抵抗に関係する電圧、すなわちノズル26及び導風板60の回動位置と関数関係にある電圧を出力する。導風板用駆動リンクレバー82は、各群の支持管56の中央の支持管56に回転方向へ一体的に取付けられ、導風板用被駆動リンクアーム84は、他の支持管56に回転方向へ一体的に取付けられている。左左ノズルパイプ38及び右右ノズルパイプ44に属する群では、リンクロッド86は両端部において隣接同士の導風板用駆動リンクレバー82又は導風板用被駆動リンクアーム84へ回転自在に連結し、また、左中ノズルパイプ40及び右中ノズルパイプ42に属する群では、共通のリンクロッド86が導風板用駆動リンクレバー82と全部の導風板用被駆動リンクアーム84とへ回転自在に連結し、これにより、各群では、支持管56は連動して回動する。操作ロッド88は、両端部においてセクタギヤ68及び導風板用駆動リンクレバー82へ回転自在に連結し、セクタギヤ68の回転に伴って、導風板用駆動リンクレバー82を回転させる。ノズル用駆動リンクレバー90は、噴頭部28内に配設され、各群の管路体50の中央の管路体50の撚り戻し管52に回転方向へ一体的に取付けられ、ノズル用被駆動リンクアーム92は他の管路体50の撚り戻し管52に回転方向へ一体的に取付けられている。左左ノズルパイプ38及び右右ノズルパイプ44の属する群では、リンクロッド94は隣接同士の導風板用駆動リンクレバー82へ回転自在に連結し、左中ノズルパイプ40及び右中ノズルパイプ42の属する群では、共通のリンクロッド94がノズル用駆動リンクレバー90と全部のノズル用被駆動リンクアーム92とへ回転自在に連結し、これにより、各群のノズル26は連動して回動する。揺動板98(図1)は、噴頭部28の周縁から放射方向外方への突出を回避されつつ、噴頭部28の左右の最下端部に配設され、左左ノズルパイプ38及び右右ノズルパイプ44に属する導風板60へリンクロッド86を介して連結して、それらの回動と連動して揺動するようになっており、噴頭部28の最下端部から周囲へ放出される風の向きを規定する。ステー100は、導風板用駆動リンクレバー82を取付けられている支持管56の防渦板36側の導風板60に固定され、連動ロッド96は、ステー100とノズル用駆動リンクレバー90とへ両端部を回転自在に連結し、これにより、導風板60の回動に連動して、ノズル26が回動するようになる。
【0016】図6は操作パネル102の正面図である。操作パネル102は、運転席20において、速度計等の他の計器と同様に、運転者の前方に運転者に対峙して設けられている。ポテンショメータ106a-dは、それぞれ左左ノズルパイプ38、左中ノズルパイプ40、右中ノズルパイプ42、及び右右ノズルパイプ44に対応して設けられ、ポテンショメータ106a-dのダイヤル104が操作パネル102に配置され、各ダイヤル104の回転によりポテンショメータ106a-dの抵抗値、したがって出力電圧が変化するようになっている。各ダイヤル104は、運転者が希望するノズル26の向きに向きを合わせられる突起105を有し、ダイヤル104の各々の周囲には複数個のノズル向きマーク108a-dが示されている。突起105の向き及び各ノズル向きマーク108a-dの向きは、ダイヤル104の操作の結果として制御されるノズル26の実際の向き、すなわち散布方向に等しく設定されている。運転者は、ダイヤル104を手動で回して、ノズル向きマーク108a-dを参考にしつつ、突起105を所望の向きへ合わせる。
【0017】図7はノズル26及び導風板60の回動位置を制御する制御装置の構成図である。運転席20のエンジンスイッチ114がオンにされると、制御器110は、例えば両端電圧12Vのバッテリ112から電力を受け、作動状態になる。ポテンショメータ80a-d,106a-dの両端には予め所定電圧が印加され、制御器110は、ポテンショメータ80a-d,106a-dの抵抗値に関係する電圧を入力され、各ポテンショメータ80a-dからの入力電圧が各ポテンショメータ106a-dからの入力電圧に等しくなるように、各モータ64a-dを駆動する。制御器110は、バッテリ112からの入力電圧12Vを変換して、ポテンショ用出力116へ5Vで出力し、ポテンショ用出力116の5Vの出力は、ポテンショメータ80a-d,106a-dの両端端子へ印加されるようになっている。
【0018】実施例の作用について説明する。スピードスプレーヤ10の機械室24内のポンプ(図示せず)は、散布液タンク22内の散布液を吸入して、吐出し、吐出された散布液は、左左ノズルパイプ38、左中ノズルパイプ40、右中ノズルパイプ42、及び右右ノズルパイプ44を経て、各管路体50を通り、ノズル26へ至り、ノズル26から噴頭部28の放射方向外方へ向けて噴出される。また、送風機30は、後方から吸入した空気を噴頭部28へ吐出し、風は、噴頭部28の噴頭板34及び防渦板36により方向をスピードスプレーヤ10の前後方向から噴頭部28の放射方向へ転換され、噴頭部28より放射方向外方へ放出される。
【0019】各ノズル26及び導風板60の向きを調整する場合は、運転者は、運転席20において、前方の操作パネル102へ手を伸ばして、ダイヤル104を回動させて、突起105を、ノズル26及び導風板60を向かせたい向きに合わせる。制御器110は、各ポテンショメータ80a-dからの入力電圧が各ポテンショメータ106a-dからの入力電圧に等しくなるように、モータ64a-dへ電流を送って、モータ64a-dを正逆転させる。モータ64a-dの回転動力は、セクタギヤ68及び操作ロッド88を介して導風板用駆動リンクレバー82へ伝達されて、各群の支持管56を回動させて、導風板60の向きを操作パネル102における突起105の向きに合わさせる。さらに、導風板用駆動リンクレバー82の揺動が連動ロッド96を介してノズル用駆動リンクレバー90へ伝達され、各群の管路体50の撚り戻し管52を回動させて、ノズル26の向きを操作パネル102における突起105の向きに合わさせる。モータ64a-dへの給電電流の向き及びオン、オフは制御器110により自動的に行われるので、作業者は、操作パネル102の突起105を所望の向きに合わせるだけであり、後ろを振り返って、噴頭部28から吐出されて来る噴霧の方向を確認しながら、モータ64a-dの給電電流の切替、及びオン、オフを操作する手間を省略される。
【0020】ノズル26及び導風板60は、それぞれ管路体50及び支持管56に取付けられているので、ノズル26の個数及び導風板60の枚数は、相互に従属することなく、適切な数に設定できる。また、噴頭部28の周方向におけるノズル26の間隔及び導風板60の間隔も、相互に従属することなく、それぞれ個々に適切な値を設定でき、導風板60は、十分に長い大型のものを採用することができ、風向制御の性能が向上する。支持管56には、管路体50の撚り戻し管52のような撚り戻し部が不要であり、支持管56は片持ち式ではなく、両端部をそれぞれ噴頭板34及び防渦板36に回動自在に軸支され、支持を安定化される。さらに、管路体50は、重い導風板60を取付けられないので、必要な耐久性を確保しつつ、強度を低くできる。
【0021】左左ノズルパイプ38、左中ノズルパイプ40、右中ノズルパイプ42、及び右右ノズルパイプ44ごとに開閉コック(図示せず)が設けられ、各開閉コックの操作により、左左ノズルパイプ38、左中ノズルパイプ40、右中ノズルパイプ42、及び右右ノズルパイプ44ごとに散布、及び散布中止を切替えることができる。これにより、左側散布する場合は、左左ノズルパイプ38及び左中ノズルパイプ40用の開弁コックのみを開き、左左ノズルパイプ38及び左中ノズルパイプ40に属するノズル26からのみ散布液を散布する。同様に、上方へ散布する場合は、左中ノズルパイプ40及び右中ノズルパイプ42用の開閉コックのみを開き、右側散布する場合は、右中ノズルパイプ42及び右右ノズルパイプ44用の開閉コックのみを開く。
【0022】上方への散布を中止する場合、左中ノズルパイプ40及び右中ノズルパイプ42用の開閉コックを閉じて、左中ノズルパイプ40及び右中ノズルパイプ42への散布液の供給を中止するだけでなく、左中ノズルパイプ40及び右中ノズルパイプ42の群に属する各導風板60は、水平向きとなるまで回動される。左中ノズルパイプ40及び右中ノズルパイプ42の群に属する全部の導風板60が水平向きとされる結果、噴頭部28の上辺部では、その上辺に沿って複数枚の導風板60は、隣接同士が間にほぼ間隙を残すことなく連続して並び、噴頭部28の上辺部を遮断し、すなわち、遮風板として作用し、上方への風の吐出を停止させる。これにより、左左ノズルパイプ38及び/又は右右ノズルパイプ44に属するノズル26から噴出された散布液が、上方へ回り込んで、吐出風により上方へ搬送されるのが阻止される。なお、導風板60を遮風板として機能させるために、導風板60の各長さは、導風板60が噴頭部28の放射方向へ直角の回動位置となったとき、相互に隣接する導風板60の端縁の間に間隙がほぼ残らないように、設定される。
【0023】同様に、片側散布の場合も、散布を中止する方の側の群に属する導風板60は、噴頭部28の放射方向に対して直角となる回動位置まで回動され、それら複数の導風板60が、噴頭部28の周方向へ連続して並び、散布を中止する側の周辺部を遮断し、すなわち、遮風板として作用し、非散布方向への風の吐出を停止させ、散布側から回り込んだ噴出散布液が非散布方向へ放出されないようにする。
【0024】このように、導風板60は遮風板としての機能を果たす。そして、導風板60は、噴頭部28においてノズル26より放射方向内側に配設され、回動位置に関係なく噴頭部28内に完全に没しているので、導風板60から成る遮風板は、噴頭部28から放射方向外側へ突出して、スピードスプレーヤ10の走行中、被散布対象の枝葉等を引っ掛けるのを防止される。
【0025】ノズル26の向きを個々に調整するときは、ナット27を緩めて、管路体50の撚り戻し管52に対するノズル26の回動位置を変更して、行われる。また、導風板60の向きを個々に調整するときは、クレビスピン62を支持管56のピン挿通孔58から抜いて、別のピン挿通孔58へ挿入することにより行われ、ほぼ90°向きを切替えることができ、この切替には工具が不要である。
【0026】ステー100とノズル用駆動リンクレバー90とを連結するリンクロッド86は交換自在であり、リンクロッド86を、長さの異なるリンクロッド86へ変更することにより、操作ロッド88の変位量に対する導風板用駆動リンクレバー82及びノズル用駆動リンクレバー90の揺動量の変化量の比が変化し、この結果、ノズル26の回動量に対する導風板60の回動量の比を適宜変更できる。
【0027】ポテンショメータ106a-dの出力電圧を変化させるダイヤル104の回転範囲を増減させ、それに合わせてダイヤル104の突起105が向けられる角度範囲を増減させれば、ノズル26及び導風板60の回動位置の制御可能な角度範囲も任意に変更できる。
【0028】噴頭装置32は、各ノズル26へ散布液を導く左左ノズルパイプ38、左中ノズルパイプ40、右中ノズルパイプ42、及び右右ノズルパイプ44からノズル26までの管路系が噴頭板34及び防渦板36へ直接又は間接的に組付けられる。また、ノズル26及び導風板60の向きを制御するための機械運動部分としての支持管56、モータ64a-d、セクタギヤ68、リンクロッド86、操作ロッド88、リンクロッド94、及び連動ロッド96もまた、ノズル26及び導風板60、並びにノズル26のための管路系と共に噴頭板34及び防渦板36へ直接又は間接的に組付けられる。したがって、噴頭装置32は、フレーム12上で組付けたり、送風機30と一緒に製造する制約は解消され、ユニットとして、製造され、フレーム12上に載置される。また、噴頭装置32はフレーム12上で組み立てられたり、送風機30と一緒に組み立てられたりする制約はないので、同じ噴頭装置32を種々の機種のスピードスプレーヤ10へ組付けることができる。
【0029】
【発明の効果】請求項1の発明では、ノズルの向きを変化させる機能に関る機構部分が噴頭板及び防渦板へ組付けられるので、噴頭装置を、ユニット化して、スピードスプレーヤ及び送風機等から切り離して、製造することができ、噴頭装置の製造能率が向上する。また、噴頭装置をフレームやシャシーに組付けられつつ製造する制約がないので、ユニット化された噴頭装置を種々の機種のスピードスプレーヤに搭載できる。
【0030】請求項2の発明では、導風板の向きを変化させる機能に関る機構部分も噴頭板及び防渦板へ組付けられるので、導風板の向き変更機能も装備する噴頭装置をユニット化して製造することができ、その噴頭装置の製造能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】噴頭装置の斜視図である。
【図2】噴頭装置を側方から見た構造図である。
【図3】噴頭装置を噴頭板側から見た部分図である。
【図4】所定の回動位置で導風板の取付状態を示す図である。
【図5】図4とは別の回動位置で導風板の取付状態を示す図である。
【図6】操作パネルの正面図である。
【図7】ノズル及び導風板の回動位置を制御する制御装置の構成図である。
【図8】ユニット化されている噴頭装置の主要部分の構成図である。
【図9】スピードスプレーヤの概略側面図である。
【符号の説明】
10 スピードスプレーヤ
26 ノズル
28 噴頭部
32 噴頭装置
34 噴頭板
36 防渦板
38 左左ノズルパイプ(ノズルパイプ)
40 左中ノズルパイプ(ノズルパイプ)
42 右中ノズルパイプ(ノズルパイプ)
44 右右ノズルパイプ(ノズルパイプ)
50 管路体
52 撚り戻し管(撚り戻し部)
56 支持管(支軸)
60 導風板
64a−d モータ(駆動手段)
86 リンクロッド(導風板用リンク手段)
88 操作ロッド(ノズル用リンク手段、導風板用リンク手段)
94 リンクロッド(ノズル用リンク手段)
96 連動ロッド(ノズル用リンク手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 (a)それぞれ前後に配設されて噴頭部(28)の前側及び後ろ側を画定する噴頭板(34)及び防渦板(36)、(b)前記噴頭板(34)又は前記防渦板(36)の反噴頭部側へ組付けられるノズルパイプ(38,40,42,44)、(c)撚り戻し部(52)を備え前記ノズルパイプ(38,40,42,44)から分岐して噴頭部(28)内を前後方向へ延びる複数個の管路体(50)、(d)前記各管路体(50)の先端部に取付けられ前記ノズルパイプ(38,40,42,44)から前記管路体(50)を介して圧送されて来る散布液を噴出するノズル(26)、(e)前記噴頭板(34)又は前記防渦板(36)の反噴頭部側へ組付けられる駆動手段(64a-d)、及び(f)前記駆動手段(64a-d)により変位して前記ノズル(26)を回動させるノズル用リンク手段(88,94,96)、を有していることを特徴とするスピードスプレーヤの噴頭装置。
【請求項2】 (g)前記噴頭板(34)及び/又は前記防渦板(36)に回転自在に軸支され前記噴頭部(28)内を前後方向へ延びる支軸(56)、(h)前記支軸(56)に回転方向へ一体的に取付けられて前記噴頭部(28)からの吐出風の向きを制御する導風板(60)、及び(i)前記駆動手段(64a-d)により変位されて前記支軸(56)を回動する導風板用リンク手段(86,88)、を有していることを特徴とする請求項1記載のスピードスプレーヤの噴頭装置。

【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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