説明

スフィンゴミエリン類縁体とその製法

【課題】 光アフィニティー標識スフィンゴミエリン類縁体の提供。
【解決手段】 一般式(1)
【化1】


(式中、R1は炭素数1〜20を有するアルキル基を意味し、R2は炭素数が1〜20のアルキル基、アリール基、またはアリール基置換炭素数1〜6のアルキル基を意味し、そしてZは光アフィニティー標識基を意味する。)
で表されるスフィンゴミエリン類縁体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光アフィニティー標識スフィンゴミエリン類縁体、その中間体およびそれらの製法に関する。
【背景技術】
【0002】
スフィンゴミエリンの代謝物であるセラミド、スフィンゴシン、スフィンゴシン1−リン酸などのスフィンゴ脂質は、細胞死、細胞分化、PKC阻害などさまざまな生体内情報伝達に関与していることから非常に注目を集めている。このことから、スフィンゴミエリンをセラミドへ変換する酵素、スフィンゴミエリナーゼは非常に重要な酵素であると位置付けることができる。しかし、この酵素の作用機構や高次構造などの情報はまだわかっておらず、その作用解明のための物質の開発が望まれている。
本発明者らは、光アフィニティー標識スフィンゴミエリン類縁体が当該目的を達成することを見出し、その合成に成功し、第33回複素環化学討論会で報告した(非特許文献1参照)。しかしながら、ここで開示された化合物は、スフィンゴミエリンの主鎖あるいはアシル基の末端に光アフィニティー標識基が結合しているため、その標識基が疎水的な環境にあり、且つ、反応点であるリン酸エステル部位から非常に離れた位置にあるため作用機構を調べるには最適の位置ではないと考えられる。そこで、より効果的にスフィンゴミエリナーゼの作用機構を解明できる化合物の開発が望まれていた。
【0003】
【非特許文献1】第33回複素環化学討論会講演要旨集、42-43頁、2003年9月19日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者らは種々検討した結果、下記の一般式(1)で表される光アフィニティー標識スフィンゴミエリン類縁体が当該目的を達成すること、および本発明にかかる製法により当該類縁体が効率よく合成できることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、下記一般式
【化1】

(式中、R1は炭素数1〜20のアルキル基を意味し、R2は炭素数が1〜20のアルキル基、アリール基、またはアリール基置換炭素数1〜6のアルキル基を意味し、そしてZは光アフィニティー標識基を意味する。)で表されるスフィンゴミエリン類縁体またはその光学活性体に関する。
【0006】
本発明は、下記式
【化2】

(式中、P1はアミノ保護基を意味し、R1は前掲と同じ。)で表される化合物のアミノ保護基を脱保護し、次いで、アミノ基をアミド化し、下記式
【化3】

(式中、R1およびR2は前掲と同じ。)で表される化合物とし、次いで、1級水酸基を保護し、下記式
【化4】

(式中、P2は水酸基保護基を意味し、R1およびR2は前掲と同じ。)で表される化合物とし、次いで、2級水酸基を保護し、更に、1級水酸基を脱保護し、下記式
【化5】

(式中、P3は水酸基保護基を意味し、R1およびR2は前掲と同じ。)で表される化合物とし、次いで、下記式
【化6】

(式中、R3は炭素数1〜6のアルキル基を意味し、P4はアミノ保護基を意味し、そしてZは光アフィニティー標識基を意味する。)で表される化合物と反応させ、次いで、アミノ保護基を脱保護し、下記式
【化7】

(式中、R1、R2、R3、P3およびZは前掲と同じ。)で表される化合物とし、次いで、リン酸エステルを加水分解し、次いで、アミノ基をメチル化し、そして2級水酸基を脱保護することを特徴とする下記式
【化8】

(式中、R1、R2およびZは前掲と同じ。)
で表されるスフィンゴミエリン類縁体またはその光学活性体の製造方法に関する。
【0007】
本発明は、また下記式
【化9】

(式中、Xはハロゲンを意味する。)で表される化合物と、光アフィニティー標識基を有する化合物とを反応させ、一般式
【化10】

(式中、XおよびZは前掲と同じ。)で表される化合物とし、次いで、2−アミノエタノールを反応させ、アミノ基を保護し、下記式
【化11】

(式中、ZおよびP4は前掲と同じ。)で表される化合物とし、そして亜リン酸ハロゲン化物と反応させることを特徴とする下記式
【化12】

(式中、R3、P4およびZは前掲と同じ。)で表される化合物の製造方法に関する。
また、下記式
【化13】

(式中、R3、P4およびZは前掲と同じ。)で表される化合物にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の式(1)で表される化合物の合成法を図示すると下記の通りである。
【化14】

(式中の各記号は前掲と同じものを意味する。)
【0009】
(i) 化合物(2)は公知(特開2003−261794参照)であり、その製法については特に限定されないが、3−ベンジル−4−アルコキシカルボニル−2−オキサゾリジノンにアセチリドイオンを反応させてケトンとし、カルボニルを還元させてアルコールとし、三重結合を還元してオキサゾリジノン環を加水分解するという公知の手段で製造することができる。
【0010】
(ii) 化合物(2)のアミノ保護基を脱保護、続いてアミド化することにより化合物(3)が得られる。
アミノ基の脱保護は常法により行うことができるが、例えば保護基がt−ブトキシカルボニル基の場合、トリフルオロ酢酸、希塩酸等を用いて脱保護すればよい。
アミド化において、用いられる試薬としては、アセチルクロリド、プロピオニルクロリド、ブチリルクロリド、バレリルクロリド、ヘキサノイルクロリド、ベンゾイルクロリド等の炭素数1〜20の環状または非環状アシルクロリドが好ましく挙げられる。これら酸クロリドの使用量は、基質に対して1〜3当量が好ましく、更に好ましくは1〜1.5当量が好ましい。
【0011】
使用することができる溶媒としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、水媒体、並びにこれらの混合溶媒等が好ましく挙げられる。
反応温度は0℃から溶媒の還流温度までで、好ましくは0℃から25℃である。
【0012】
(iii) 化合物(3)の1級水酸基を保護することにより、化合物(4)が得られる。
該水酸基を保護する試薬としては、トリメチルシリルクロリド、トリエチルシリルクロリド、t−ブチルジメチルシリルクロリド、t−ブチルジフェニルシリルクロリド等のハロゲン化シリル試薬が好ましく挙げられる。使用するハロゲン化シリル試薬の使用量は、基質に対して1〜5当量が好ましく、更に好ましくは1〜1.5当量である。
使用することができる溶媒としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、並びにこれらの混合溶媒等が好ましく挙げられる。
反応温度は-78℃から溶媒の還流温度までで、好ましくは-10℃から25℃である。
【0013】
(iv) 化合物(4)の2級水酸基を保護し、続いて1級水酸基の脱保護を行うことにより、化合物(5)が得られる。
2級水酸基を保護する試薬としては、無水酢酸、無水プロピオン酸等の有機脂肪酸無水物が好ましく挙げられる。これら保護試薬の使用量は基質に対して1〜5当量が好ましく、さらに好ましくは1〜3当量である。
使用することができる溶媒としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、並びにこれらの混合溶媒等が好ましく挙げられる。
【0014】
使用する塩基としては、ピリジン、ピコリン、ルチジン、コリジン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチルアミノピリジン等の3級アミン類が挙げられるが、好ましくはピリジンであり、これは溶媒としても使用できる。
反応温度は-78℃から溶媒の還流温度までで、好ましくは0℃から溶媒の還流温度までである。
【0015】
1級水酸基の脱保護は常法により行うことができるが、例えば、保護基がトリブチルジメチルシリル基の場合、フッ化水素を用いることができる。脱保護試薬の使用量は基質に対して1〜10当量が好ましく、さらに好ましくは1〜5当量である。
使用することができる溶媒としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、並びにこれらの混合溶媒等が好ましく挙げられる。
【0016】
(v) 化合物(5)に光アフィニティー標識基を有する亜リン酸エステル(6)
【化15】

(式中の各記号は前掲と同じものを意味する。)
とを反応させ、次いで、アミノ保護基を脱保護することにより、化合物(7)が得られる。
【0017】
光アフィニティー標識基を有する亜リン酸エステル(6)の使用量は基質に対して1〜5当量であり、さらに好ましくは1〜2当量である。
反応温度は−78℃から溶媒の還流温度までで、好ましくは−78℃から0℃である。
使用する塩基としては、ピリジン、ピコリン、ルチジン、コリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチルアミノピリジン等の3級アミン類が挙げられるが、好ましくはピリジンである。塩基の使用量は基質に対して1〜10当量であり、さらに好ましくは1〜5当量である。
アミノ基の脱保護は常法により行うことができるが、例えば、保護基がt−ブトキシカルボニル基である場合、トリフルオロ酢酸などの有機酸を用いることができる。
【0018】
(vi) 化合物のリン酸エステル(7)を加水分解し、次いで、アミノ基をメチル化し、1級水酸基を脱保護することにより、光アフィニティー標識化スフィンゴミエリン類縁体(1)が得られる。
リン酸エステルの加水分解に使用できる試薬としては、ピリジン、ピコリン、ルチジン、コリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチルアミノピリジン等の3級アミン類が挙げられるが、好ましくはトリメチルアミンである。塩基の使用量は基質に対して1〜10当量であり、さらに好ましくは1〜5当量である。
【0019】
使用することができる溶媒としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、水溶媒、並びにこれらの混合溶媒等が好ましく挙げられる。
反応温度は0℃から溶媒の還流温度までで、好ましくは0℃から室温までである。
メチル化に使用できる試薬としては、ヨウ化メチル等のハロゲン化メチルが挙げられる。
【0020】
使用する塩基としては、ピリジン、ピコリン、ルチジン、コリジン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジメチルアミノピリジン等のアミン類、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム等の炭酸金属塩類が挙げられるが好ましくは炭酸カリウムである。塩基の使用量は、基質に対して1〜20当量であり、さらに好ましくは5〜10当量である。
【0021】
使用することができる溶媒としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、水媒体、並びにこれらの混合溶媒等が好ましく挙げられる。
反応温度は0℃から溶媒の還流温度までで、さらに好ましくは0℃から室温である。
【0022】
1級水酸基の脱保護に用いる試薬としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の強塩基が好ましく用いられる。
使用することができる溶媒としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、水媒体、並びにこれらの混合溶媒等が好ましく挙げられる。
反応温度は0℃から溶媒の還流温度までで、好ましくは0℃から室温である。
【0023】
次に化合物(6)の製造法につき以下に説明する。
化合物(6)の合成法を図示すると下記の通りである。
【化16】

(式中、R3、P4およびZは前掲と同じものを意味する。)
【0024】
(vi) 化合物(8)と光アフィニティー標識基を有する化合物とを反応させることにより、一般式(9)で表される化合物が得られる。光アフィニティー標識基を有する化合物は分子内に光アフィニティー標識基を有する化合物であればなんら限定されないが、例えば、4−(3−トリフルオロメチル−3H−ジアジリン−3−イル)−フェノールを用いる場合は、Chem. Pharm. Bull. 826 (1994)に記載された方法で合成することができる。
使用する試薬としては、アゾジカルボン酸ジエチル、アゾジカルボン酸ジイソプロピル等のアゾジカルボン酸エステルと、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等のホスフィン化合物の組み合わせが挙げられる。
【0025】
使用することができる溶媒としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、並びにこれらの混合溶媒等が好ましく挙げられる。
反応温度は-78℃から使用することができるよう溶媒の還流温度までであってよく、好ましくは0℃から25℃である。
【0026】
(vii) 化合物(9)とアミノエタノールとを反応させ、次いで、アミノ基を保護することにより、化合物(10)が得られる。
使用するアミノエタノールの量は、基質に対して1〜100当量であり、好ましくは10〜50当量である。
使用することができる溶媒としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、並びにこれらの混合溶媒等が好ましく挙げられる。
反応温度は-78℃から使用することができるよう溶媒の還流温度までであってよく、好ましくは0℃から25℃である。
アミノ基の保護は常法により行うことができるが、例えば、保護基がt−ブトキシカルボニル基である場合、二炭酸ジt−ブチル、炭酸カリウムを使用してよい。
【0027】
(viii) 化合物(10)と亜リン酸エステルハロゲン化物とを反応させることにより、化合物(6)が得られる。
使用する試薬としては、塩化亜リン酸ジメチルエステル、塩化亜リン酸ジエチルエステルなどが挙げられる。使用量は基質に対して1〜5当量であり、好ましくは1〜2当量である。
【0028】
使用することができる溶媒としては、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、トリグライム、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン系溶媒、水媒体、並びにこれらの混合溶媒等が好ましく挙げられる。
反応温度は−78℃から使用できる溶媒の還流温度までであってよく、好ましくは-78℃から0℃である。
【0029】
ところで、光アフィニティ標識スフィンゴミエリン類縁体(1)の光学活性体は、出発物質である化合物(2)の光学活性体を用いることにより高光学純度の光学活性体(1)を製造することができる。
【実施例】
【0030】
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0031】
セラミド3aの合成
N-Bocスフィンゴシン (1.28 g, 3.21 mmol) の塩化メチレン溶液 (16.1 mL) に0℃でトリフルオロ酢酸 (6.43 mL) を加えた。そのままの温度で2時間攪拌した。反応溶液に1N NaOH水溶液を加え、中和した後、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をTHF, H2O (32.1 mL, 1 : 1)で溶解し、0℃で炭酸カリウム (2.22 g, 16.1 mmol)、パルミトイルクロリド (1.17 mL, 3.85 mmol) を順次加え、15分間攪拌した。反応混合液を飽和塩化アンモニウム水溶液で中和し、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(from 0% to 10% methanol in chloroform)により分離・精製し、セラミド3a (6.96 g, 99%)を得た。
【化17】

[α]D21.5 3.967 (c= 0.963, CHCl3)
IR (KBr disk): 3297, 2915, 1640, 1549, 1468, 1042, 721 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ:6.26 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 5.77 (dtd, J = 1.0, 6.8, 15.4 Hz, 1H), 5.47 (dtd, J = 1.2, 6.3, 15.4 Hz, 1H), 4.29 (dd, J = 4.6, 4.6 Hz, 1H), 3.90 (m, 2H), 3.69 (dd, J = 2.7, 10.7 Hz, 1H), 3.09 (brs, 2H), 2.22 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 2.05 (td, J = 7.1, 7.1 Hz, 2H), 1.63 (m, 2H), 1.37-1.26 (m, 46H), 0.88 (t, J = 6.6 Hz, 6H) ; 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ:174.0, 134.1, 128.9, 74.4, 62.4, 54.8, 36.8, 32.3, 31.9, 29.7, 29.6, 29.5, 29.5, 29.4, 29.3, 29.2, 29.2, 25.8, 22.7, 14.0.
【0032】
1-OTBDPSセラミド4aの合成
セラミド 3a (1.19 g, 2.21 mmol) の塩化メチレン溶液 (44.2 mL) に室温でイミダゾール (301 mg, 4.42 mmol)、TBDPSCl (0.69 mL, 2.67 mmol) を順次加えた。そのままの温度で、8時間攪拌した。反応溶液を氷水に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(from 17% to 25% ethyl acetate in hexane)により分離・精製し、1-OTBDPSセラミド4a (1.41 g, 84%) を得た。
【化18】

[α]D21.5 6.426 (c=0.985, CHCl3)
IR (Neat): 3316, 2926, 1649, 1466, 1113, 702 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 7.62 (m, 4H), 7.47-7.36 (m, 6H), 6.09 (d, J= 7.8 Hz, 1H), 5.76 (dtd, J= 1.2, 6.8, 15.4 Hz, 1H), 5.47 (dd, J= 5.9, 15.4 Hz, 1H), 4.19 (m, 1H), 3.97 (m, 1H), 3.95 (dd, J= 3.9, 10.5 Hz, 1H), 3.76 (dd, J= 3.2, 10.5 Hz, 1H), 3.53 (d, J= 8.1 Hz, 1H), 2.15 (t, J= 7.3 Hz, 2H), 2.03 (td, J= 6.8, 6.8 Hz, 2H), 1.60 (m, 2H), 1.35-1.26 (m, 46H), 1.08 (s, 9H), 0.88 (t, J= 6.6 Hz, 3H); 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ: 173.3, 135.5, 135.5, 134.8, 133.4, 132.5, 132.4, 130.1, 129.6, 129.0, 127.9, 127.7, 74.2, 64.0, 54.0, 36.8, 32.3, 31.9, 29.7, 29.7, 29.5, 29.5, 29.4, 29.3, 29.3, 29.2, 26.9, 26.6, 25.8, 22.7, 19.2, 14.1.
【0033】
3-OAcセラミド5aの合成
1-OTBDPSセラミド4a (1.41 g, 1.85 mmol) のピリジン溶液 (9.23 mL) に室温で無水酢酸 (3.70 mL) を加え、7時間攪拌した。反応溶液に飽和硫酸銅水溶液を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和硫酸銅水溶液、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をTHF (9.26 mL) にとかし、Et3N-HF (0.91 mL, 5.56 mmol) を加え、1日間攪拌した。反応溶液を氷水に注ぎ、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(from 0% to 2% methanol in chloroform)により分離・精製し、3-OAcセラミド5a (793 mg, 74%)を得た。
【化19】

[α]D22.8 20.32 (c= 0.775 , CHCl3)
IR (KBr disk): 3310, 2919, 2851, 1732, 1638, 1545, 1732, 1638, 1238 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ:6.00 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.77 (td, J = 6.8, 15.4 Hz, 1H), 5.46 (dd, J = 7.8, 15.4 Hz, 1H), 5.29 (dd, J = 7.3, 7.3 Hz, 1H), 4.14 (m, 1H), 3.64 (m, 2H), 2.92 (brs, 1H), 2.17 (dt, J = 2.9, 7.3 Hz, 2H), 2.09 (s, 3H), 2.03 (td, J = 6.8, 6.8 Hz, 2H), 1.60 (m, 2H), 1.26 (m, 46H), 0.88 (t, J = 6.8 Hz, 6H) ; 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ: 173.4, 171.0, 137.3, 124.7, 74.2, 61.8, 53.2, 36.8, 32.3, 31.9, 29.7, 29.5, 29.5, 29.4, 29.3, 29.3, 29.2, 28.9, 25.7, 22.7, 21.2, 14.1.
ESI HRMS m/z calcd for C36H69NNaO4 (M+ + Na) 602.5124, found 602.5137.
【0034】
ブロミド9aの合成
2-ブロモエタノール (0.32 mL, 4.45 mmol) のTHF (8.9 mL)溶液に0℃で、トリフェニルホスフィン (1.17 g, 4.45 mmol)、DIAD (0.88 mL, 4.45 mmol)、続いて、フェノールP (600 mg, 2.97 mmol) のTHF (5.9 mL) 溶液を加え、室温にて3時間攪拌した。その後、反応混合物を減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(1% ethyl acetate in hexane)により分離・精製し、ブロミド9a (563 mg, 61%) を得た。
【化20】

IR (Neat): 2934, 1615, 1518, 1184, cm-1
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ:7.15 (md, J = 8.5 Hz, 2H), 6.91 (md, J = 9.0 Hz, 2H), 4.28 (t, J = 6.1 Hz, 2H), 3.62 (t, J = 6.1 Hz, 2H) ; 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ: 159.1, 128.2, 122.2 (q, JC-F = 275.0 Hz), 121.7, 115.1, 67.9, 28.6.
【0035】
アルコール10aの合成
ブロミド9a (1.47 g, 4.77 mmol) のアセトニトリル溶液 (14.3 mL) に室温で2-アミノエタノール (8.6 mL, 143 mmol) を加え、そのままの温度で2日間攪拌した。反応溶液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水で洗浄後、減圧濃縮を行った。残渣をTHF, H2O (57.6 mL, 1 : 1)に溶かし、0℃で炭酸カリウム (3.29 g, 23.8 mmol)、Boc2O (1.56 g, 7.15 mmol) を加え、2.5時間攪拌した。反応混合液を飽和塩化アンモニウム水溶液で中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(from 33% to 50% ethyl acetate in hexane)により分離・精製し、アルコール10a (1.57 g, 85%) を得た。
【化21】

IR (Neat): 3437, 2978, 1692, 1520, 1236, 1181, 828 cm-1
1H NMR (CDCl3, 400 MHz) δ: 7.15 (md, J= 8.5 Hz 2H), 6.90 (md, J= 8.8 Hz 2H), 4.16 (brm, 2H), 3.77 (brm, 2H), 3.64 (brm, 2H), 3.51 (brm, 2H), 1.46 (s, 9H) ; 13C NMR (CDCl3, 100 MHz) δ: 159.5, 128.2, 123.5 (q, J= 274.6 Hz), 120.8, 114.8, 80.6, 66.7, 62.4, 51.7, 48.2, 28.4.
【0036】
亜リン酸エステル6aの合成
アルコール10a (1.40 g, 3.60 mmol) の塩化メチレン溶液 (18.0 mL) に 0℃でピリジン (1.45 mL, 18.0 mmol)、クロロ亜リン酸ジメチル (0.924 g, 7.19 mmol) を順次加え、そのままの温度で10分間攪拌した。反応混合液をジエチルエーテルで希釈し、沈殿を濾過にて除去した。濾液を水、飽和食塩水で洗浄した。減圧濃縮を行い、亜リン酸エステル6a (1.67 g) を得た。精製は行わず、そのまま次の反応に用いた。
【化22】

【0037】
アミン7aの合成
3-OAcセラミド5a (400 mg, 0.690 mmol)、亜リン酸エステル7a (501 mg, 1.04 mmol) の塩化メチレン溶液(13.8 mL) に0℃でピリジン (0.22 mL, 2.76 mmol)、臭化ヨウ素 (285 mg, 1.38 mmol) を加えた。そのままの温度で、4.5時間攪拌した。反応溶液に10%亜硫酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(from 0% to 2% methanol in chloroform)により粗精製した。塩化メチレン(6.9 mL)を加え、0℃でトリフルオロ酢酸 (2.3 mL) を加え、そのままの温度で、7時間攪拌した。反応溶液を1N NaOH水溶液で中和し、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮を行った。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー (from 1% to 20% methanol in chloroform) により分離・精製し、アミン7a (652 mg, 83%) を得た。
【化23】

[α]D22.8 12.09 (c= 1.050 , CHCl3)
IR (KBr disk): 3302, 2919, 1734, 1649, 1520, 1468, 1236, 1182, 1040 cm-1
1H NMR (CD3OD, 400 MHz) δ: 7.14 (md, J= 8.5 Hz, 2H), 6.91 (md, J= 8.8 Hz, 2H), 6.16 (d, J= 9.0 Hz, 1H), 5.79 (td, J= 6.8, 14.9, 1H), 5.39-5.28 (m, 2H), 4.40 (m, 1H), 4.20-4.07 (m, 6H), 3.79-3.72 (m, 4H), 3.06 (t, J= 5.1 Hz, 2H), 2.98 (t, J= 5.1 Hz, 2H), 2.18-2.13 (m, 2H), 2.05 (s, 3H), 2.03-1.97 (m, 2H), 1.58 (m, 2H), 1.32-1.25 (m, 44H), 0.88 (t, J= 7.1 Hz, 6H) ; 13C NMR (CD3OD, 100 MHz) δ: 173.0 (1/2C), 172.9 (1/2C), 169.8 (1/2C), 169.7 (1/2C), 159.7, 137.9 (1/2C), 137.8 (1/2C), 128.1, 124.3, 122.2 (q, JC-F= 258 Hz), 121.2, 114.9, 73.0, 67.5 (m), 66.4 (m), 64.2, 54.6 (m), 50.9 (m), 49.2 (m), 48.2 (m), 44.4 (m), 36.7, 32.3, 31.9, 29.7, 29.5, 29.5, 29.4, 29.3, 29.3, 29.2, 28.9, 25.6, 22.7, 21.1, 14.1.
ESI HRMS m/z calcd for C49H84F3N4NaO8P (M+ + Na) 967.5887, found 967.5886.
【0038】
光アフィニティー標識化スフィンゴミエリン1aの合成
アミン6a (544 mg, 0.576 mmol) のメタノール溶液 (5.8 mL) に室温で、30%トリメチルアミン水溶液 (2.9 mL) を加え、8時間攪拌した。反応溶液を減圧濃縮し、残渣をアセトニトリル、メタノール、水の混合溶媒(5.8 mL, 8:1:1)で溶解した。炭酸カリウム (796 mg, 5.76 mmol)、ヨウ化メチル (0.58 mL, 9.32 mmol) を加え、室温で1.5時間攪拌した。反応溶液を水で希釈し、クロロホルム、メタノールで抽出した。有機層を減圧濃縮し、その残渣をメタノール (5.8 mL) で溶解した。2N KOH水溶液 (1.9 mL) を加え、1時間攪拌した。反応溶液を水で希釈し、クロロホルム、メタノールで抽出した。有機層を減圧濃縮し、その残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(from 20% methanol in chloroform to CHCl3:MeOH:H2O = 65:25:4)により分離・精製し、光アフィニティー標識化スフィンゴミエリン1a (329 mg, 62%) を得た。
【化24】

[α]D23.0 1.069 (c= 0.6550 , CH3OH)
IR (KBr disk): 3380, 2920, 1644, 1520, 1468, 1236, 1057 cm-1
1H NMR (CD3OD, 400 MHz) δ: 7.90 (d, J= 8.8 Hz, 1H), 7.25 (md, J= 8.8 Hz, 2H), 7.12 (md. J= 9.0 Hz, 2H), 5.69 (td, J= 6.8, 14.9 Hz, 1H), 5.44 (dd, J= 7.6, 15.4 Hz, 1H), 4.84 (m, 2H), 4.54 (m, 2H), 4.32 (m, 2H), 4.12-3.98 (m, 4H), 3.96 (t, J= 4.4 Hz, 2H), 3.77 (t, J= 4.4 Hz, 2H), 3.30 (s, 6H), 2.17 (m, 2H), 2.02 (dt, J= 6.8, 6.8 Hz, 2H), 1.56 (m, 2H), 1.39-1.29 (m, 46H), 0.90 (t, J= 7.1 Hz, 6H); 13C NMR (CD3OD, 100 MHz) δ: 175.9, 160.2, 135.1, 131.3, 129.5, 123.7 (q, JC-F= 273.8 Hz), 123.0, 116.5, 72.6, 66.2 (d, JC-P= 6.6 Hz), 65.9 (d, JC-P= 5.8 Hz), 65.2, 63.2, 60.3 (d, JC-P= 5.0 Hz), 55.3 (d, JC-P= 7.4 Hz), 53.4, 49.0, 37.4, 33.5, 33.1, 30.8, 30.7, 30.6, 30.51, 30.47, 30.4, 27.2, 23.8, 14.5.
ESI HRMS m/z calcd for C48H84F3N4NaO7P (M+ + Na) 939.5927, found 939.5927.
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明により、酵素であるスフィンゴミエリナーゼの機能解明に役立つと共に、本発明の化合物の医薬品、特に診断薬への応用が期待される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式
【化1】

(式中、R1は炭素数1〜20のアルキル基を意味し、R2は炭素数が1〜20のアルキル基、アリール基、またはアリール基置換炭素数1〜6のアルキル基を意味し、そしてZは光アフィニティー標識基を意味する。)で表されるスフィンゴミエリン類縁体またはその光学活性体。
【請求項2】
式(1)におけるZが4−(3−トリフルオロメチル−3H−ジアジリン−3−イル)−フェニルである請求項1に記載のスフィンゴミエリン類縁体またはその光学活性体。
【請求項3】
下記式
【化2】

(式中、P3は水酸基保護基を意味し、R3は炭素数1〜6のアルキル基を意味し、R1、R2およびZは前掲と同じ。)で表される化合物。
【請求項4】
下記式
【化3】

(式中、R1は炭素数1〜20のアルキル基を意味し、そしてP1はアミノ保護基を意味する。)で表される化合物のアミノ保護基を脱保護し、次いで、アミノ基をアミド化し、下記式
【化4】

(式中、R2は炭素数が1〜20のアルキル基、アリール基、またはアリール基置換炭素数1〜6のアルキル基を意味し、R1は前掲と同じ。)で表される化合物とし、次いで、1級水酸基を保護し、下記式
【化5】

(式中、P2は水酸基保護基を意味し、R1およびR2は前掲と同じ。)で表される化合物とし、次いで、2級水酸基を保護し、更に、1級水酸基を脱保護し、下記式
【化6】

(式中、P3は水酸基保護基を意味し、R1およびR2は前掲と同じ。)で表される化合物とし、次いで、下記式
【化7】

(式中、R3は炭素数1〜6のアルキル基を意味し、P4はアミノ保護基を意味し、そしてZは光アフィニティー標識基を意味する。)で表される化合物と反応させ、次いで、アミノ保護基を脱保護し、下記式
【化8】

(式中、R1、R2、R3、P3およびZは前掲と同じ。)で表される化合物とし、次いで、リン酸エステルを加水分解し、次いで、アミノ基をメチル化し、そして2級水酸基を脱保護することを特徴とする下記式
【化9】

(式中、R1、R2およびZは前掲と同じ。)
で表されるスフィンゴミエリン類縁体またはその光学活性体の製造方法。
【請求項5】
Zが4−(3−トリフルオロメチル−3H−ジアジリン−3−イル)−フェニルである請求項4に記載の化合物の製造方法。
【請求項6】
下記式
【化10】

(式中、Xはハロゲンを意味する。)で表される化合物と、光アフィニティー標識基を有する化合物とを反応させ、一般式
【化11】

(式中、Zは光アフィニティー標識基を意味し、Xは上記に同じ。)で表される化合物とし、次いで、2−アミノエタノールを反応させ、アミノ基を保護し、下記式
【化12】

(式中、P4はアミノ保護基を意味し、Zは前掲と同じ。)で表される化合物とし、そして亜リン酸ハロゲン化物と反応させることを特徴とする下記式
【化13】

(式中、R3は炭素数1〜6のアルキル基を意味し、P4およびZは前掲と同じ。)で表される化合物の製造方法。
【請求項7】
Zが4−(3−トリフルオロメチル−3H−ジアジリン−3−イル)−フェニルである請求項6に記載の化合物の製造方法。
【請求項8】
下記式
【化14】

(式中、R3は炭素数1〜6のアルキル基を意味し、P4はアミノ保護基を意味し、そしてZは光アフィニティー標識基を意味する。)で表される化合物。
【請求項9】
式(6)におけるZが4−(3−トリフルオロメチル−3H−ジアジリン−3−イル)−フェニルである請求項8に記載の化合物。

【公開番号】特開2006−22019(P2006−22019A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−199484(P2004−199484)
【出願日】平成16年7月6日(2004.7.6)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成16年3月11日 社団法人日本化学会発行の「日本化学会第84春季年会(2004) 講演予稿集2」に発表
【出願人】(000108993)ダイソー株式会社 (229)
【Fターム(参考)】