説明

スフェロイド形ポリエステルポリマー粒子

【課題】特有の物理的形態を有しかつ固相重合を必要としないポリエステルポリマースフェロイドのバルクの提供。
【解決手段】A)少なくとも0.72dL/gのIt.V.並びにB)少なくとも2つの融解ピーク(その一方は140〜220℃の範囲内のピーク温度を有し且つ少なくとも1J/gの絶対値の融解吸熱面積の低ピーク融点である)又はC)少なくとも20%の範囲内の低い結晶化度及び式:Tcmax=50%−CA−OH[式中、CAはポリエステルポリマー中のカルボン酸残基100モル%に基づくテレフタル酸残基以外の全てのカルボン酸残基の総モル%、OHはヒドロキシル官能性化合物残基100モル%に基づくエチレングリコール残基以外のヒドロキシル官能性化合物残基の総モル%]で定義される最大結晶化度Tcmaxのいずれか一方又は両方を有するポリエステルポリマースフェロイドのバルク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2004年9月2日に出願された米国仮特許出願第60/606,727号及び2004年10月15日に出願された米国仮特許出願第60/618,951号の利益を請求する。これらの出願の全体を引用することによって本明細書中に組み入れる。
【0002】
発明の分野
本発明は、特有の物理的形態(morphology)及び幾何学的形態(geometry)を有するポリエステルポリマー粒子に関する。
【背景技術】
【0003】
従来のポリエステルポリマー粒子及びペレットは典型的には円筒形であり、固相重合されており、高い結晶化度を有する。そのため、従来のペレットは、射出成形機又は押出機に注ぎ込む乾燥機中で通常は凝集しない。乾燥温度(150〜185℃)においては若干の粘着が起こるが、この問題は通常は、乾燥機からのペレットの流れを完全に遮断するほどの凝集は引き起こさない。
【0004】
本発明者らは、独特の物理的形態を有し且つ固相重合の必要のないポリエステルポリマー粒子を提供することが有利であることを見出した。この物理的形態は、1つ又はそれ以上の以下の特徴を含む:低い融点、低い結晶化度及び固相重合せずに得られる高いIt.V.。本発明者らは、これらの粒子は、従来の形状で製造された場合には、取り除くのに機械的撹拌を必要とするほど乾燥機中では粘着する可能性があることを発見した。本発明者らは、円筒形の固相化ペレットは乾燥機ホッパー中でさらさらしていたが、独特の物理的形態を有する円筒形の非固相化ペレットは場合によってはペレット乾燥機中で凝集したことに気付いた。
【0005】
この研究により、ペレットの自由流動性がそれらの幾何学的形態(geometry)によるのではなく、物理的形態(morphology)によることが結論づけられた。本発明者らの研究は、これらのペレットの凝集(agglomeration)の問題の原因を突き止めるために続けて行った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
乾燥機中における凝集を最小限に抑え且つ前記特性の1つ又はそれ以上を有するポリエステルポリマーを提供できれば望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、意外なことに、独特の形状を有するポリエステル粒子を用いる場合には、ペレット粒子の幾何学的形態は、従来の固相(solid state)高結晶性ペレットとは異なり、乾燥機中における粒子の凝集の低下において重要な役割を果たすことを発見した。本発明の粒子の幾何学的形態は、スフェロイド形(spheroided)である。従って、
A)少なくとも0.72dL/gの平均It.V.、並びに
B)(i)少なくとも2つの融解ピーク(その一方は、DSC第1加熱走査で測定した場合に、140〜220℃の範囲内のピーク温度を有し且つ少なくとも1J/gの絶対値の融解吸熱面積を有する低ピーク融点である)、又は
(ii)DSC第1加熱走査で測定した場合に、200℃若しくはそれ以下の温度で吸熱方向においてベースラインから離れる加熱曲線を有する1つ若しくはそれ以上の融点を有すること
を特徴とする融点、又は
C)少なくとも20%の範囲内の低い結晶化度及び式:
cmax=50%−CA−OH
[式中、CAは、ポリエステルポリマー中のカルボン酸残基100モル%に基づく、テレフタル酸残基以外の全てのカルボン酸残基の総モル%であり、OHは、ヒドロキシル官能性化合物残基100モル%に基づく、エチレングリコール残基以外のヒドロキシル官能性化合物残基の総モル%である]
で定義される最大結晶化度Tcmax
のいずれか一方、或いはB)及びC)の両方、並びに場合によっては、しかし好ましくは
D)10ppm又はそれ以下の残留アセトアルデヒド
を有するスフェロイド形ポリエステルポリマーペレットのバルクが提供される。
【0008】
また、これらのスフェロイドの製造方法が提供される。
【0009】
また、
A)乾燥ゾーン中でポリエステルポリマースフェロイドを乾燥させて、乾燥スフェロイドを生成させ;
B)前記乾燥スフェロイドを溶融ゾーン中に導入し;
C)前記溶融加工ゾーン中で前記ポリエステルポリマースフェロイドを溶融させ;そして
D)溶融ポリマーから製品を形成する
ことによる、スフェロイドの乾燥及び溶融加工方法であって、前記乾燥ゾーン中に導入するポリエステルポリマースフェロイドが固相重合されておらず、且つ前記ポリエステルポリマースフェロイドが場合によっては1つ又はそれ以上の前記特性を有する方法が提供される。
【0010】
この実施態様におけるスフェロイドは、また、前記結晶化度の範囲内であるのが好ましい。
【0011】
前記スフェロイドから製造される、又は前述した方法の実施態様のいずれかよって製造される、ボトルプレフォーム及び延伸ブロー成形ボトルも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実験に用いた乾燥機ホッパーの幾何学的配置及び寸法をインチで示す。
【図2】粒状材料の安息角を試験するためのゲート試験装置を示す。
【図3】粒状材料の安息角を試験するための堆積試験装置を示す。
【図4】ゲート試験法によって調べた5つの材料に関する安息角の比較を示す。
【図5】堆積試験法によって調べた材料に関する安息角の比較を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、以下の発明の詳細な説明を参照することによって、より容易に理解できる。プラスチック製品を加工するための具体的方法及び/又はプロセス条件自体は言うまでもなく変化できるので、本発明は記載した具体的な方法及び条件に限定されないことを理解されたい。
【0014】
また、本明細書及び添付した「特許請求の範囲」中で使用する単数形“a”、“an”及び“the”は複数の指示対象を含むことに留意すべきである。例えば1つの熱可塑性「プレフォーム(予備成形物)」、「製品(article)」、「容器」又は「ボトル」の加工への言及は、複数の熱可塑性プレフォーム、製品、容器又はボトルの加工を含むものとする。記載した温度における又は発熱体によるポリマーの加工への言及は、特に断らない限り、加工履歴全体にわたる異なる時間において記載したものに加えて、所望ならば、他の温度及び追加発熱体を含む。1種の成分又は1種のポリマーを含む組成物への言及は、名前を挙げたもの他に他の成分又は他のポリマーをそれぞれ含むものとする。
【0015】
範囲は、本明細書中では「〜以内」若しくは「〜の間」又は1つの値からもう1つの値までとして表すことができる。いずれの場合にも、端点はその範囲に含まれる。或る値より大きい(或る値超)又は或る値より小さい(或る値未満)として表す範囲は、端点を含まない。
【0016】
「〜を含んでなる」又は「〜を含む」又は「〜を有する」は、少なくとも名前を挙げた化合物、要素、粒子又は方法工程などがその組成物又は製品又は方法に存在しなければならないが、他の化合物、材料、スフェロイド、プロセス工程などが名前を挙げたものと同じ働きを有するとしても、他のこのような化合物、材料、スフェロイド、プロセス工程などの存在を排除するものではないことを意味する。
【0017】
前後関係にかかわらず、温度の表示は、「実際の」ポリマー温度又は溶融温度として特に表さなければ、ポリマーに適用した温度を意味する。
【0018】
また、1つ又はそれ以上の方法工程の言及は、追加の方法工程又ははっきりと特定された、それらの方法工程の間の介在工程の存在を除外しないことを理解すべきである。
【0019】
本明細書全体に記載した極限粘度数(intrinsic viscosity)は、25℃において60/40wt/wtのフェノール/テトラクロロエタン中で測定したインヘレント粘度から計算したものをdL/gで記載してある。インヘレント粘度(inherent viscosity)は、測定した溶液粘度から計算する。下記式は、このような溶液粘度測定値と、Ih.V.への及びIh.V.からIt.V.へのその後の計算値を記載する。
【0020】
ηint=[ln(ts/t0)]/C
[式中、ηint=0.50g/100mL(フェノール60%及び1,1,2,2−テトラクロロエタン40%)のポリマー濃度における25℃でのインヘレント粘度
ln=自然対数
s=毛細管を通るサンプルの流下時間
0=毛細管を通る溶媒ブランクの流下時間
C=溶媒100mL当たりのポリマー(g)の濃度(0.50%)]。
【0021】
極限粘度数は、ポリマーの比粘度(specific viscosity)の無限稀釈における極限値である。これは以下の式によって定義される。
ηint=lim(ηsp/C)=lim ln(ηr/C)
C→0 C→0
[式中、ηint=極限粘度数
ηr=相対粘度(relative viscosity)=ts/t0
ηsp=比粘度=ηr−1]。
【0022】
計測器の較正(calibration)は、標準対照材料を反復試験し、次いで適当な数式を適用して「許容」I.V.値を得ることを含む。
【0023】
較正係数(キャリブレーションファクター)=対照材料の許容IV/反復測定値の平均
修正Ih.V.=計算Ih.V.×較正係数
極限粘度数(It.V.、即ちηint)は、Billmeyer式を用いて以下のようにして概算できる。
ηint=0.5[e0.5×修正IhV−1]+(0.75×修正Ih.V.)。
【0024】
一実施態様において、
A)少なくとも0.72dL/gの平均It.V.、並びに
B)(i)少なくとも2つの融解ピーク(その一方は、DSC第1加熱走査で測定した場合に、140〜220℃の範囲内のピーク温度を有し且つ少なくとも、1J/gの絶対値の融解吸熱面積を有する低ピーク融点である)、又は
(ii)DSC第1加熱走査で測定した場合に、200℃若しくはそれ以下の温度で吸熱方向においてベースラインから離れる加熱曲線を有する1つ若しくはそれ以上の融点を有すること
によって特徴づけられる融点、又は
C)少なくとも20%の範囲内の低い結晶化度及び式:
cmax=50%−CA−OH
[式中、CAは、ポリエステルポリマー中のカルボン酸残基100モル%に基づく、テレフタル酸残基以外の全てのカルボン酸残基の総モル%であり、OHは、ヒドロキシル官能性化合物残基100モル%に基づく、エチレングリコール残基以外のヒドロキシル官能性化合物残基の総モル%である]
で定義される最大結晶化度Tcmax
のいずれか一方、或いはB)及びC)の両方
を有するスフェロイド形ポリエステルポリマーペレットのバルクが提供される。
【0025】
このポリエステルポリマー組成物は、溶融相プロセスにおけるポリエステル組成物とは異なり、結晶化度が与えられるので、単離された形態であるか、又はメルト(溶融体)としては結晶性が消失するので、押出機中ではメルトとして存在する。
【0026】
本発明のポリエステルポリマー粒子は、スフェロイドの形である。スフェロイドは、形が球形(speherical)又はほぼ球形又は球状(globular)の粒子である。スフェロイドは実質的には球形であるが完璧な球形ではなく、スラブ、円筒、パステル、コーン、ロッド又は角を有する不規則な形状の粒子とは区別することができる。スフェロイドは特性の組合せを有する。例えばスフェロイドはそれらの中央を通る長軸のいずれの末端においても立つことができず、2未満のy/x比(yは長軸であり、xは短軸である)を有するのが好ましいが、必ずしも有さない。また、10.0gのペレットを、ペレットの1つの密な集まりとして、平滑な水平鋼板の一つの縁近くに置き、鋼板の縁を滑らかに且つ徐々に持ち上げて鋼板を傾けると、鋼板が最初に水平に対して13°の角をなすときに、スフェロイドは鋼板から転がっていき、その結果、鋼板上に残るペレットは0.5g以下である。スフェロイドは、球形、楕円形、卵形であることができ、尾部(tail)を有することができる。
【0027】
一実施態様において、スフェロイドは、真円度分布(roundness distribution)におけるピークモードが1.4未満、又は1.3未満、又は1.2未満である。スフェロイドの真円度は、(周長)2/(4π×面積)と定義される。「周長」及び「面積」は、スフェロイドの横断面図に関連して定義される。
【0028】
スフェロイド粒子は、ダイを通ってウォーターハウジング中に流れる溶融ポリマーを水中で切断すること(underwater cutting)によって作ることができる。スフェロイド粒子は、溶融流がダイ孔を通って強制的に押し出される際にブレードによって切断することができる。水中切断の場合には、スフェロイドは典型的には完全な球形ではなく、通常は、それらが水又は他の適当な液体の流れの中で切断され且つダイプレートから取り除かれる部分にわずかな尾部を有する。
【0029】
スフェロイドは望ましくはスフェロイド100個当り少なくとも0.10gの、より好ましくはスフェロイド100個当り1.0g超で且つスフェロイド100個当り約100g以下の数平均重量を有する。スフェロイドの体積は特には限定しないが、一実施態様においては、少なくとも1m3、又は少なくとも3m3、又は少なくとも5m3の体積を占めるスフェロイドのバルクが提供される。
【0030】
ポリエステルポリマースフェロイドの「バルク」は、好ましくは前記の重量及び体積の範囲内の、少なくとも10個の独立したスフェロイドである。ポリエステルスフェロイドのバルクは、本明細書中に表した特性を、スフェロイドのバルク中の10個又はそれ以上のスフェロイドのランダムサンプリング全体の平均として示す。任意の製造方法においても同様であるが、本明細書中に記載したものに含まれる又はそれ以外のいずれかの特性を示す異常なスフェロイドが得られる可能性がある。しかし、本発明のスフェロイドは、バルク全体にわたって前記特性を示し、これらの特性は、少なくとも10個のスフェロイドのランダムサンプリングを行い且つそれら10個のスフェロイド全体の平均として前記特性を算出することによって判定できる。10個のスフェロイド全てを1つの分析で一緒に判定することもできるし、又は各スフェロイドを別個に分析することもできる。
【0031】
ポリエステルポリマースフェロイドのバルクはコンテナ中に詰めるのが望ましい。スフェロイドを収容できる適当なコンテナの例は、1つの場所から別の場所への輸送を待つ間においてスフェロイドを収容できる貯蔵サイロである。コンテナの別の例は、押出機又は射出成形機に取り付けられた乾燥機ホッパーである。スフェロイドを収容できる容器の別の例は、輸送コンテナ、例えばGaylordボックス、クレート、鉄道車両、トラックに取り付け可能なトレイラー、ドラム缶、船荷又はスフェロイドの運搬に使用される任意の他の適当なパッケージである。従って、完成されており且つペレットを製品の変えるために顧客に直ちに輸送できる又は輸送されるスフェロイドを含むコンテナが提供される。スフェロイドは、粒子の製造業者によって、ペレットを製品に変える顧客に受け入れられる特性を有する粒子を生成するのに必要な全ての加工条件に既に暴露されている。ペレットを乾燥機ホッパーに入れることができる実施態様においては、ペレットの加工業者は、ペレットのバルクを乾燥機ホッパー中に入れ、ペレットから残留水分を除去して、溶融加工時における過剰なIVの悪化を防ぐ。
【0032】
これらの実施態様の全てにおいて、コンテナ中のスフェロイドは、少なくとも以下の性質を有する。
A)少なくとも0.72dL/gの平均It.V.並びに
B)(i)少なくとも2つの融解ピーク(その一方は、DSC第1加熱走査で測定した場合に、140〜220℃の範囲内のピーク温度を有し且つ少なくとも1J/gの絶対値の融解吸熱面積を有する低ピーク融点である)、若しくは
(ii)DSC第1加熱走査で測定した場合に、200℃若しくはそれ以下の温度で吸熱方向においてベースラインから離れる加熱曲線を有する1つ若しくはそれ以上の融点を有すること
によって特徴づけられる融点又は
C)少なくとも20%の範囲内の低い結晶化度及び式:
cmax=50%−CA−OH
[式中、CAは、ポリエステルポリマー中のカルボン酸残基100モル%に基づく、テレフタル酸残基以外の全てのカルボン酸残基の総モル%であり、OHは、ヒドロキシル官能性化合物残基100モル%に基づく、エチレングリコール残基以外のヒドロキシル官能性化合物残基の総モル%である]
で定義される最大結晶化度Tcmax
のいずれか一方、或いはB)及びC)の両方並びに
D)10ppm又はそれ以下の残留アセトアルデヒドレベル。
【0033】
好ましい実施態様において、スフェロイドのバルクは固相重合されず、より好ましい実施態様において、コンテナ中の、より好ましくは輸送コンテナ中の固相重合されていないスフェロイドのバルクが提供される。
【0034】
ポリエステルポリマースフェロイドは、25℃及び1気圧において固体である。ポリエステルスフェロイドは充分な溶融強度を有するので、ボトル及びトレイのような容器用途に適当である。ポリエステルスフェロイドのIt.V.は少なくとも0.72dL/gである。例えば、ポリエステルスフェロイドのIt.V.は少なくとも0.75dL/g、又は少なくとも0.78dL/g又は少なくとも0.71dL/gであって且つ約1.2dL/g以下又は1.1dL/g以下であることができる。関連する実施態様において、前記ポリエステルポリマースフェロイドは少なくとも0.75dL/gのIt.V.を有する。
【0035】
本発明のポリエステルポリマーは、望ましくはポリマー鎖中にアルキレンテレフタレート又はアルキレンナフタレート反復単位を含む。より好ましいのは、
(a)テレフタル酸、テレフタル酸誘導体、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸誘導体又はそれらの混合物の残基を少なくとも80モル%含むカルボン酸成分及び
(b)エチレングリコール又はプロパンジオールの残基を少なくとも80モル%含むヒドロキシル成分
を含む(ポリエステルポリマー中のカルボン酸成分残基100モル%及びヒドロキシル成分残基100モル%に基づく)ポリエステルポリマーである。
【0036】
典型的には、ポリエチレンテレフタレートのようなポリエステルは、ジエチレングリールのようなジオールを遊離酸としてのジカルボン酸又はそのC1〜C4ジアルキルエステルと反応させてエステルモノマー及び/又はオリゴマーを生成し、次いで重縮合させてポリエステルを生成することによって製造する。1つ若しくはそれ以上のカルボン酸基又は1つ若しくはそれ以上のその誘導体を含む1種より多くの化合物をこのプロセスの間に反応させることができる。前記ポリエステル生成物の一部となる1つ若しくはそれ以上のカルボン酸基又は1つ若しくはそれ以上のその誘導体を含む、このプロセスに入る化合物は全て、「カルボン酸成分」を構成する。生成物中に存在する1つ若しくはそれ以上のカルボン酸基又は1つ若しくはそれ以上のその誘導体を含む化合物全てのモル%は合計で100になる。前記ポリエステル生成物中に存在する、1つ若しくはそれ以上のカルボン酸基又は1つ若しくはそれ以上のその誘導体を含む1種若しくはそれ以上の化合物の「残基」は、1種若しくはそれ以上の前記化合物を1つ若しくはそれ以上のヒドロキシル基を含む1種若しくはそれ以上の化合物と縮合させ且つ更に重縮合させて種々の長さのポリエステルポリマー鎖を形成した後に、前記ポリエステル生成物中に残る1種若しくはそれ以上の前記化合物の部分を意味する。
【0037】
1つ若しくはそれ以上のヒドロキシル基又はその誘導体を含む1種より多くの化合物は、1種若しくはそれ以上のポリエステルポリマー生成物の一部となることができる。1種若しくはそれ以上の前記ポリエステル生成物の一部となる1つ若しくはそれ以上のヒドロキシル基又はその誘導体を含む、このプロセスに入る化合物は、全てヒドロキシル成分を構成する。1種若しくはそれ以上の前記生成物の一部となる、1つ若しくはそれ以上のヒドロキシル基又はその誘導体を含む化合物全てのモル%は合計で100になる。前記ポリエステル生成物の一部となる、1種若しくはそれ以上のヒドロキシル官能性化合物又はその誘導体の残基は、1種又はそれ以上の前記化合物を1つ若しくはそれ以上のカルボン酸基又は1つ若しくはそれ以上のその誘導体を含む1種又はそれ以上の化合物と縮合させ且つ更に重縮合させて種々の長さのポリエステルポリマー鎖を形成した後に、前記ポリエステル生成物中に残る1種又はそれ以上の前記化合物の部分を意味する。
【0038】
1種又はそれ以上の生成物中の、ヒドロキシル残基及びカルボン酸残基のモル%は、プロトンNMRによって測定できる。
【0039】
好ましい実施態様において、ポリエステルポリマーは、
(a)テレフタル酸、テレフタル酸誘導体、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸誘導体もしくはそれらの混合物の残基を少なくとも90モル%、又は少なくとも92モル%、又は少なくとも96モル%含むカルボン酸成分、及び
(b)エチレングリコールの残基を少なくとも90モル%、又は少なくとも92モル%、又は少なくとも96モル%含むヒドロキシル成分
を含む(ポリエステルポリマー中のカルボン酸成分残基100モル%及びヒドロキシル成分残基100モル%に基づく)。
【0040】
ヒドロキシル成分は所望ならば大過剰で、例えば使用するカルボン酸成分100モル%に対して、約200モル%まで使用できるので、ポリエステルポリマーの製造時におけるカルボン酸成分とヒドロキシル成分との反応は前記のモル百分率に制限されない。しかし、この反応によって製造されるポリエステルポリマーは、芳香族ジカルボン酸残基及びエチレングリコール残基を前記の量で含むものとする。
【0041】
テレフタル酸及びナフタレンジカルボン酸の誘導体としては、C1〜C4ジアルキルテレフタレート及びC1〜C4ジアルキルナフタレート、例えばジメチルテレフタレート及びジメチルナフタレートが挙げられる。
【0042】
テレフタル酸、テレフタル酸誘導体、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸誘導体又はそれらの混合物からなる二酸成分の他に、このポリエステルのカルボン酸成分は、1種又はそれ以上の追加の改質用カルボン酸化合物を含むことができる。このような追加の改質用カルボン酸成分としては、モノカルボン酸化合物、ジカルボン酸化合物及びそれより多くのカルボン酸基を含む化合物が挙げられる。例としては、炭素数が好ましくは8〜14の芳香族ジカルボン酸、炭素数が好ましくは4〜12の脂肪族ジカルボン酸又は炭素数が好ましくは8〜12の脂環式ジカルボン酸が挙げられる。酸成分として有用な改質用ジカルボン酸のより具体的な例は、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シクロヘキサン二酢酸、ジフェニル−4,4’−ジカルボン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸などであり、イソフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸及びシクロヘキサンジカルボン酸が最も好ましい。これらの酸の対応する酸無水物、エステル及び酸塩化物の使用も用語「カルボン酸」に含まれることを理解されたい。トリカルボキシル化合物及びそれより多くのカルボン酸基を含む化合物もポリエステルを改質できる。
【0043】
エチレングリコールを含むヒドロキシル成分の他に、このポリエステルのヒドロキシル成分は追加の改質用モノオール、ジオール又はこれより多くのヒドロキシル基を有する化合物を含むことができる。改質用ヒドロキシル化合物の例としては、炭素数が好ましくは6〜20の脂環式ジオール及び/又は炭素数が好ましくは3〜20の脂肪族ジオールが挙げられる。このようなジオールのより具体的な例としては以下のものが挙げられる。ジエチレングリコール;トリエチレングリコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール;プロパン−1,3−ジオール;ブタン−1,4−ジオール;ペンタン−1,5−ジオール;ヘキサン−1,6−ジオール;3−メチルペンタンジオール−(2,4);2−メチルペンタンジオール−(1,4);;2,2,4−トリメチルペンタン−ジオール−(1,3);2,5−エチルヘキサンジオール−(1,3);2,2−ジエチルプロパン−ジオール−(1,3);ヘキサンジオール−(1,3);1,4−ジ−(ヒドロキシエトキシ)−ベンゼン;2,2−ビス−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−プロパン;2,4−ジヒドロキシ−1,1,3,3−テトラメチル−シクロブタン;2,2−ビス−(3−ヒドロキシエトキシフェニル)−プロパン;及び2,2−ビス−(4−ヒドロキシプロポキシフェニル)−プロパン。
【0044】
改質剤としては、ポリエステルポリマーは、好ましくはイソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジメタノール及びジエチレングリコールのようなコモノマーを含むことができる。
【0045】
ポリエステルペレット組成物は、ポリアルキレンテレフタレート及び/又はポリアルキレンナフタレートと他の熱可塑性ポリマー、例えばポリカーボネート(PC)及びポリアミドとのブレンドを含むことができる。ポリエステル組成物は大部分のポリエステルポリマーを、全熱可塑性ポリマー(充填剤、無機化合物若しくはスフェロイド、繊維、耐衝撃性改良剤又は不連続相を形成する可能性がある他のポリマーを除く)の重量に基づき、より好ましくは少なくとも80重量%又は少なくとも95重量%、最も好ましくは100重量%の量で含むのが望ましい。また、ポリエステルポリマーは充填剤、繊維若しくは耐衝撃性改良剤又は不連続相を形成する他のポリマーを含まないのが好ましい。
【0046】
ポリエステル組成物は、エステル化及び重縮合を行うのに充分な、当業界で知られた重合方法によって製造できる。ポリエステルの溶融相製造プロセスは、エステル化ゾーン中でのジカルボン酸とジオールとの、場合によってはエステル化触媒の存在下における直接縮合並びにその後の、プレポリマー及び仕上げゾーン中での重縮合触媒の存在下における重縮合;又はエステル交換ゾーン中での、通常はエステル交換触媒の存在下におけるエステル交換並びにその後の、重縮合触媒の存在下における予備重合及び仕上げを含む。
【0047】
ポリエステルポリマーは、溶融相重合中において製造した後は、スフェロイドへと固化させる。溶融相プロセスからのポリエステルポリマーを固化させる方法は限定しない。例えば、溶融相からの溶融ポリエステルポリマーは、ダイを通して誘導するか、又は単に切断するか、又はダイを通して誘導した後に溶融ポリマーを切断することができる。溶融ポリエステルポリマーをダイを通して強制的に押し出す推進力として、ギアポンプを使用できる。ギアポンプを用いる代わりに、溶融ポリエステルポリマーを一軸又は二軸スクリュー押出機中に供給し、ダイを通して、場合によっては190℃若しくはそれ以上の温度で押出機ノズルにおいて押出することができる。ダイを通過した後は、ポリエステルポリマーは液体中でダイヘッドにおいて切断する。ポリエステルポリマーメルトは、場合によっては濾過して指定寸法より大きい粒子を除去してから、切断する。スフェロイドの製造のための任意の公知の常法も使用できる。
【0048】
本発明のポリエステルポリマーは、部分結晶化させて半結晶質スフェロイドを生成する。ポリエステルポリマーの結晶化に使用する方法及び装置は限定せず、気体又は液体中における熱的結晶化を含む。結晶化は機械的撹拌容器;流動床;流体の動きによって撹拌される床;非撹拌容器又はパイプ中で;液体媒体中でポリエステルのTgより高温で、好ましくは140〜190℃において;又は当業界で知られた任意の他の手段で行うことができる。ポリマーは、そのTgより低いポリマー温度において(ガラスから)晶析器に供給することもできるし、又はそのTgより高いポリマー温度において晶析器に供給することもできる。例えば、溶融相重合反応器からの溶融ポリマーは、ダイプレートを通して供給し且つ水中で切断し、次いで直ちに水中熱結晶化反応器に供給することができ、そこでポリマーを水中で結晶化させる。別法として、溶融ポリマーを切断し、そのTg未満まで冷却させ、次いで水中熱結晶化装置又は任意の他の適当な結晶化装置に供給することもできる。或いは、溶融ポリマーを任意の常法で切断し、そのTg未満まで冷却させ、場合によっては貯蔵し、次いで結晶化させることもできる。場合によっては、結晶化ポリエステルスフェロイドを公知方法に従って固相化することもできる。
【0049】
結晶化及びアニールはポリエステルポリマーに所望の結晶化度及び融点特性を与えるのに有効である。一実施態様において、ポリエステルポリマー粒子は、DSC第1加熱走査において少なくとも2つの融解ピークを有し、その一方は、140〜220℃の範囲内のピーク温度を有し且つ少なくとも絶対値1J/gの融解吸熱面積を有する低ピーク融点である。「融点」とは、重さ約10mgのサンプルについて20℃/分の速度で温度を上方へ増加させる、示差走査熱量計(DSC)における吸熱のピーク温度を意味する。粒子についてDSC分析を行うことは必要ではなく、粒子が前記の物理的形態を有することが必要なだけである。前記試験はポリマーの性質を明らかにする。これらは、ポリマーが前記特性を有するか否かを判定するために実施すれば充分である。
【0050】
ポリエステルポリマー粒子が少なくとも2つの融解ピークを示すこの実施態様において、低ピーク融点は、以下の詳細に説明するように、Tm1aと見なし、それを、DSC第1加熱走査時における加熱曲線の下の面積が少なくとも絶対値1J/gである場合の融解ピークと分類する。この曲線の下の面積が1J/g未満である場合には、曲線が実際にピークであるか否かに関する不確実性が過度に高くなる。更に、DSC走査における吸熱が、ベースラインをから離れる第1勾配、第1勾配とは逆の符号の第2勾配、第2勾配とは逆の符号の第3勾配及び第3勾配とは逆の符号の第4勾配の少なくとも4つの勾配を示す場合には、少なくとも2つのピークが存在すると判断できる。各曲線上のピークの温度位置が、加熱曲線上の融点を規定する。融解吸熱の面積をコンピューターで計算するための、2つのピークの間の分割点(dividing point)は、曲線がベースラインに最も近づくピーク間の点である。
【0051】
この実施態様において、DSC第1加熱走査からの曲線上に2つ又はそれ以上のピークが現れる場合には、第1ピークは低ピーク融点Tm1aであり、第2ピークは、Tm1a<Tm1bであるような高ピーク融点Tm1bである。ポリマー粒子の低ピーク融点は、130〜220℃の範囲内である。好ましくは、ポリエステルポリマーの低ピーク融点は、少なくとも140℃又は少なくとも150℃又は少なくとも160℃又は少なくとも170℃のピーク温度を有し、且つ210℃又は200℃又は195℃以下である。
【0052】
場合によっては、比較的低温における且つ/又は短い時間の結晶化による低結晶化度においては、特に20℃/分の走査速度での第1加熱走査の間にDSC計測器内で結晶転移が非常に急速に起こり得るので、低融点は検知されない。その場合には、低融点は、DSC計測器の温度勾配(temprature ramp rate)を増加させ且つより小さいサンプルを用いることによって検出することができる。サンプルが低融解ピークを有する場合には、それはより速い走査速度において検出されるであろう。500℃/分までの走査速度を用いることができる。比較的長い時間に比較的高い温度を経験し且つ20℃/分の走査速度において1つの融解ピークしか示さない固相化サンプルについては、これより速い走査速度においても低融解ピークがないことが予想される。
【0053】
場合によっては、ポリエステル樹脂ペレットの特定の熱履歴によっては、DSC第1加熱走査時に得られるDSC曲線は、2つの別個の、境界の明瞭な融解ピークではなく、主たる吸熱融解ピークの低温側に吸熱のショルダーを示すことがある。この型の低温吸熱のショルダーは、最初のDSC曲線の温度に関して一次導関数を取ることによって得られる曲線によって規定される。この肩は、この導関数曲線においてピークとして現れる。温度の増加につれて、この導関数曲線は、好ましくは200℃若しくはそれ以下又は190℃若しくはそれ以下又は180℃若しくはそれ以下の温度において吸熱方向でベースライン(温度Aにおいて)から離れ、次いでベースラインから最大の移動を遂げ、それから次いで方向を逆転し、そしてベースラインに近づくか又はベースラインに戻るが、ベースラインと交差しない。更に高温では、この導関数曲線は方向を逆転し(温度Bにおいて)再び吸熱方向に向かってカーブして、最初のDSC曲線の第1融解ピークの出発点を示す。ショルダーによって表される融解熱は、最初のDSC曲線の下の、温度AとBとの間の面積に相当し、これは、真のショルダーと見なされるには1J/gの絶対値に等しいか又はそれ以上でなければならない。当業者ならば、最初のDSC曲線の小さい計測器ノイズが、導関数曲線において高振幅で短時間のスパイクとして現れる可能性があることがわかる。このようなノイズは、5℃未満に広がる導関数曲線の全ての特徴を無視することを規定することによって、除外することができる。
【0054】
極めて高い融点、例えば約230℃又はそれ以上の融点は、以前のように140〜190℃の範囲の温度においてポリエステルポリマー粒子を有効に乾燥させるのには必要ない。そのように選択するならば、溶融加工温度を1℃若しくはそれ以上又は3℃若しくはそれ以上低下させ、それによって溶融加工ゾーンに注ぎ込む乾燥機ホッパー中の乾燥温度を低下させずに生成アセトアルデヒドのレベルを低下させるという柔軟性を与えるより低い融点を有し且つ結晶化されたポリマー粒子が提供される。230℃又はそれ以上の融点を有する粒子が約200℃又はそれ以上のより高い温度で乾燥される可能性があったとしても、190℃超では粒子が空気中で変色し始めるので、実際的な乾燥温度の上限はいずれにしても約190℃である。更に、ピーク整定値の低下という柔軟性を発熱体にもたらすペレットを用いるのが望ましい。いずれのアプローチでも、又は両者の組合せでも、溶融加工ゾーンにおいて発生するアセトアルデヒドの量を低下させ、また、成形品に必要な冷却時間を短縮するであろう。
【0055】
別の実施態様において、ポリマー粒子は、DSC第1加熱走査において測定した場合に、200℃若しくはそれ以下又は190℃若しくはそれ以下又は180℃若しくはそれ以下の温度において吸熱方向でベースラインから離れる加熱曲線を有する、1つ又はそれ以上の融点を有することができる。この実施態様において、DSC加熱曲線は、融点を1つだけ示すこともできるし、又は2つの融点を示すこともできる。いずれにしても、粒子の熱履歴は、それらが、DSC第1加熱走査において測定した場合に、200℃若しくはそれ以下の温度においてベースラインから離れ始める加熱曲線を示すようなものである。この実施態様において、200℃若しくはそれ以下においてベースラインから離れる融解ピークによって示される吸熱曲線の面積は少なくとも絶対値が1J/gである。
【0056】
全ての実施態様において、吸熱曲線の面積は少なくとも、絶対値1.5J/g又は絶対値少なくとも2J/gであることができる。
【0057】
好ましい実施態様において、晶析器の条件は少なくとも20%の範囲の結晶化度及び式:
cmax=50%−CA−OH
[式中、CAは、カルボン酸残基100モル%に基づく、テレフタル酸残基以外の全てのカルボン酸残基の総モル%であり、OHは、ヒドロキシル官能性化合物残基100モル%に基づく、エチレングリコール残基以外の全てのヒドロキシル官能性化合物残基の総モル%である]
で定義される最大結晶化度Tcmaxを有するポリマー粒子を生成するように調節する。ポリエステル組成物中の結晶化度は、通常は55%より高く、更には60%より高い、従来の市販ペレット中に見られる結晶化度よりも低い。20%未満の結晶化度においては、粒子は互いに及び乾燥装置に粘着する傾向が過度に大きい。本発明の他の特徴と組み合わせて、結晶化度を前記限度内に保持することによって、スクリューモーターへのアンペア数又は発熱体への電力のような、溶融加工ゾーンのエネルギーコストは低減される。
【0058】
ポリエステルポリマーを前記式の範囲内の結晶化度まで結晶化させる好ましい実施態様においては、当業界においてホモポリマーとしても一般に知られている、テレフタル酸及びエチレングリコール残基のみを含むポリマーは50%の最大結晶化度を達成できる。テレフタル酸又はエチレングリコール以外の出発原料で改質されたポリエステルポリマーは、50%未満の結晶化度を有する。例えば2モル%のイソフタル酸残基及び2.7モル%のジエチレングリコール残基で改質されたポリエチレンテレフタレートポリマーは45.3%(50−2−2.7)の最大結晶化度を有する。
【0059】
更に好ましくはペレットは少なくとも25%又は少なくとも30%又は少なくとも32%の結晶化度まで結晶化させる。前記式に示されるようにして計算された最大結晶化度より低い、好ましい上限はないが、多くの場合、結晶化度は45%%以下又は40%以下である。
【0060】
ペレットの融解温度及び結晶化度は示差走査熱量測定法(DSC)を用いて測定する。この測定のためのサンプル重量は10±1mgであり、サンプルは(1)単一のペレットの一部分又はより好ましくは(2)数グラムの低温粉砕ペレットから採取されたサンプルからなる。第1走査を実施する。サンプルは、約25℃から加熱し、20℃/分の速度で約290℃まで昇温する。[融解吸熱(1つ又はそれ以上)の面積]−[全ての結晶化吸熱の面積の絶対値]を算出する。この面積は正味の融解熱に相当し、これをジュール/gで表す。100%結晶性のPETの融解熱を119ジュール/gと見なし、従って、ペレットの重量分率結晶化度は(正味融解熱÷119)として計算する。重量%結晶化度を得るためには、重量分率結晶化度に100を掛ける。特に断らない限り、融点はいずれの場合もまた同じDSC走査を用いて測定する。
【0061】
パーセント結晶化度は低ピーク融点(Tm1a)及び高ピーク融点(Tm1b)両方から計算する。
【0062】
場合によっては、比較的低温における且つ/又は短時間での結晶化による低い結晶化度においては、特に20℃/分の走査速度での第1加熱走査の間にDSC計測器中で結晶転移が非常に急速に起こる可能性があるので、真の比較的低い融点は検出されない。その場合には、DSC計測器の温度勾配を増加させ且つより小さいサンプルを用いることによって比較的低い融点を検出することができる。高速熱量測定法にはPerkin−Elmer Pyris−1熱量計を用いる。検体の質量は、走査速度に反比例するように調節する。約1mgのサンプルは500℃/分で用い、約5mgのサンプルは100℃/分で用いる。典型的なDSCサンプルパンを用いる。ベースラインの湾曲を最小限に抑えるために、ベースラインを減じる。
【0063】
ポリエステルポリマーの低ピーク融点及び結晶化度は、多数の結晶化条件及び他の因子によって得られ、影響される。これらの条件及び因子は、結晶時においてポリマーに適用される温度条件の制御、結晶化ゾーン内における滞留時間、ポリマーの性質、ポリマーを結晶化させるのに使用する媒体の能力及びポリマーが受ける歪みなどである。ポリエステルポリマー結晶化技術を有する者ならば、融点及び結晶化度を調節するのに適当な、従来の晶析器中の条件を承知しており、所定のポリマー組成に関して前記範囲内の融点及び結晶化度を有するポリマーを得ることができる。例えば100〜200℃の緩和な熱的結晶化温度は、1分〜3時間の範囲の滞留時間で使用でき、正確な条件はポリマーの性質による。これらの変数はポリマーの融点及び結晶化度の両方に影響を及ぼすが、同じ結晶化度まで結晶化されたポリエステルポリマーが全て同じ融点を有するわけではなく、同じ融点を有するポリエステルポリマーが全て必ずしも同じ結晶化度を有するわけではない。異なる組成を有するポリエステルポリマーは同じ結晶化度でも他のポリエステルポリマーとは異なる融点に達するであろう。同じ温度条件下で異なる滞留時間において組成が同一のポリエステルポリマーの別個のサンプルを加工するとまた、異なる結晶化度のポリエステルポリマーが生成する。従って、結晶化度は、同一組成の2種のポリマー間でも異なる可能性がある。更に、結晶化度が同一であったとしても、異なる組成の2種のポリマー間では融点が異なる可能性がある。
【0064】
ポリエステルポリマー組成物は好ましくは少なくとも75%の、より好ましくは少なくとも78重量%の未使用ポリエステルポリマーから製造し、未使用材料は89重量%若しくはそれ以上又は95重量%若しくはそれ以上又は全てであることができる。未使用材料はスクラップ又は粉砕再生ポリマーを含むことができるが、使用済みの再生ポリマーとは区別される。しかし、未使用材料はスクラップ又は粉砕再生材料を含むことができるが、一実施態様においては、スクラップ又は粉砕再生材料は未使用材料を含まない。
【0065】
未使用ポリエステルポリマーを、容器用途に適当な分子量(即ちIt.V.=/>0.72dL/g)にするための前記溶融重合プロセスとそれに続く比較的穏やかな温度、例えば100〜200℃における熱的結晶化に加えて、他の方法も、本発明のポリマー組成物の製造に使用できる。例えば前記範囲外のレベルの結晶化度及び融点を有する未使用ポリマーを、例えば押出機中で再溶融させてから、比較的緩和な温度(100〜200℃)において熱的結晶化することができる。別法として、中間分子量(It.V.0.20〜0.70dL/g)への溶融相重合の後に、ポリエステルを緩和な温度で前記範囲内の結晶化度まで結晶化させ、次いでまた170〜200℃の範囲の緩和な温度において固相重合させて、容器用途に適当な値までIt.V.を増加させることもできるが、後者の場合には、固相重合ゾーン中における滞留時間を増加させるか、圧力を更に減少させるか、不活性ガスの流速を増加させるか、又はそれらの任意の組合せを行う。
【0066】
好ましくは、ポリエステルポリマーは、溶融相重縮合反応において少なくとも0.72dL/gのIt.V.まで製造する。別の好ましい実施態様において、固相重合されておらず且つ本明細書中に記載したIt.V.、融点及びAA特性を有するポリエステルスフェロイドを含む輸送コンテナが提供される。別の実施態様において、スフェロイドを、乾燥機中に供給してから溶融加工することによって、スフェロイドが固相重合されておらず且つ前記の特性を有する製品を形成する。
【0067】
固相重合プロセスに供されるペレットは、典型的には、固相重合ゾーンにおいて適用される高温条件における粘着を回避するのに充分に高い結晶化度及び融点を与えるために、最初に結晶化されるので、これらの実施態様は好ましい。固相重合プロセスに先行する結晶化プロセスは一般に、ペレットに高い結晶化度を与えて、高温で運転される固相反応器中における凝集を抑制する。固相化プロセスから得られたペレットは一般に、約220℃又はそれ以上の高い融点を有する。このような高融点は、押出機中においてポリマーメルトの温度を数度上昇させ、その結果、成形物に必要な冷却時間を増加させ、それが、機械のサイクル時間を増加させ、また、より多くのアセトアルデヒドを形成する可能性を増加させるという欠点を有する。更に、固相重合プロセスから得られたペレットは、約50%を越える高結晶化度を有する傾向があり、それが融解潜熱を増加させ、その結果、スフェロイドの融解に必要なエネルギーを増加させる。最後に、固相重合プロセスにおいて、長時間にわたってポリマーに適用される高温はともすれば実際にはポリマーを過度にアニールする可能性があり、その結果、一部のスフェロイドは溶融加工ゾーン中で完全には溶融しないために、成形物又は押出物に変形を生じる。従って、スフェロイドを固相重合しないこと及びスフェロイドを生成するための溶融相プロセス中で得られた適当なIt.V.を有するスフェロイドを提供することが好ましい。
【0068】
本発明のポリエステルスフェロイドは、好ましくは10ppm若しくはそれ以下のアセトアルデヒド(ASTM F2013−00の”Determination of Residual Acetaldehyde in Polyethylene Terephthalate Bottle Polymer Using an Automated Static Head−Space Sampling Device and a Capillary GC with a Flame Ionization Detector”によって測定)、より望ましくは約7若しくはそれ以下又は3ppm若しくはそれ以下の残留アセトアルデヒド(AA)を含む。これはスフェロイドからAAを気体ストリッピングすることによって達成できる。別法として又は気体ストリッピングの他に、アセトアルデヒド掃去剤をポリマーに転化することもでき、それには、アセトアルデヒド生成速度を更に低下させるという付随する利点がある。AAストリッピングが本質的に完了した後に掃去剤を添加する場合には、掃去剤は、溶融時に形成されるAAと反応することによって、ボトルプレフォームのような成形品中のAAの量を低下させるであろう。AAストリッピングの前に又はAAストリッピングの代わりに過剰の掃去剤を添加する場合には、一部は消費されず、成形品中のAAの量を低下させる可能性がある。別法として、AA掃去剤の添加点は2つ又はそれ以上とすることができる。
【0069】
気体ストリッピング操作においては、空気又は窒素のような不活性気体のような気体を、連続又は回分プロセス、好ましくは連続プロセスにおいて容器内でスフェロイドの流れに対して、並行流として又は対向流として、好ましくは対向流としてポリエステルポリマースフェロイドと接触させる。AAストリッピング容器中に導入する気体の温度は特には限定しないが、好ましくは周囲温度〜40℃であり、より好ましくはほぼ周囲温度である。ストリッピング容器から出る気体の温度は、ストリッピング容器中に供給されるペレットの温度に近いであろう。従って、スフェロイドを100℃において導入する場合には、気体の出口温度は約100℃+/−20℃となるであろう。容器から出る気体の温度は、スフェロイドの分子量が固相において増加される温度を超えてはならない。スフェロイドの滞留時間は、気体温度及びスフェロイド質量/気体比によって決まるが、一般には、滞留時間は1〜24時間の範囲である。気体の組成は特には限定しないが、窒素、二酸化炭素又は周囲空気を含む。気体の働きは、ペレットを乾燥させることではなく、ペレットから残留AAをストリッピングすることであるので、気体を乾燥させる必要はない。しかし、所望ならば、気体は乾燥させることができる。
【0070】
アセトアルデヒドの気体ストリッピングは、製品を製造するための押出機に注ぎ込む乾燥機中で行われることもできるが、乾燥機中で使用する気体流を減少させ且つ/又は押出機から製造される製品の品質を改良するために、10ppm又はそれ以下の残留アセトアルデヒドを既に有するポリマースフェロイドを乾燥機に供給することが好ましい。更に、AAストリッピングプロセスにおいては、乾燥気体はスフェロイドからAAをストリッピングする必要はないが、乾燥プロセスにおいては乾燥空気流をスフェロイドを通して循環させて、主としてスフェロイド上又はスフェロイド中の水分を減少させ、これもまたAAを除去するという第2の利点を有する。従って、AAストリッピングプロセスにおいて、周囲空気はストリッピング媒体として使用することができ、好ましくは使用する。
【0071】
従って、一実施態様において、少なくとも0.72dL/gのIt.V.及びTcmaxまで20%の範囲内の結晶化度若しくは130〜220℃の範囲の低ピーク融点又は両者を有するスフェロイドを容器に、好ましくは容器の上端から、高温スフェロイド(例えば100〜180℃)として供給して、AAストリッピングの効率を増加させ且つ容器の底部端に向かって重力によって流れるペレットの床を形成すると共に、周囲空気のような気体の対向流を床全体に循環させる。前記気体は周囲条件〜180℃又は周囲温度〜40℃の範囲の温度において容器中に導入し、それによって、容器に導入するスフェロイド上の残留AAのレベルを低下させる。スフェロイドは、気体の対向流中への導入から約5〜30時間以内に、容器から回収する。容器は加圧することもできるが、気体流から生じた圧力によるものを除いて、加圧はしないのが望ましい。容器は望ましくは約0〜5psig又は周囲圧力で操作する。
【0072】
気体は、ブロアー、ファン、ポンプなどのような任意の従来の手段によって容器中に導入することができる。気体は、容器を通る粒子の流れに対して並行流として若しくは対向流として又はそれを横切って流れることができる。粒子床を通る気体の好ましい流れは、床を通る粒子流に対して対向流である。気体は、容器に供給される粒子中のアセトアルデヒドのレベルを低下させるのに有効な、容器上の任意の望ましい点において導入することができる。好ましくは、気体の導入点は、容器中の床高さの下方半分、より好ましくは床高さの下方1/4である。気体は粒子床の少なくとも一部を通って、好ましくは床の少なくとも50容積%を通って、より好ましくは粒子床容積の少なくとも75%を通って流れる。本発明には、空気、二酸化炭素及び窒素のような任意の気体が適当である。一部の気体は、入手しやすさ及び低コストのために他の気体よりも好ましい。例えば、窒素ではなく空気を使用すると、運転コストがかなり改善されるであろう。窒素ガスを用いなければ多くのポリエステルポリマーと周囲酸素の間で起こるであろう、ペレットの変色を引き起こす酸化反応に対して窒素は不活性であるので、晶析器のような、180℃より高い温度で粒子の床に気体の高温流を操作においては窒素ガスの使用が必要であると考えられていた。しかし、容器から出る気体が190℃を越えないようにプロセス温度を低く保つことによって、粒子の変色は最低限に抑えられる。一実施態様において、気体は90容積%未満の又は85容積%未満の又は80容積%未満の窒素を含む。別の実施態様においては、気体は酸素を17.5容積%又はそれ以上の量で含む。周囲組成(容器が配置されるプラントの位置における空気の組成)の空気又は分離も精製もされていない空気を使用するのが好ましい。望ましくは周囲空気を気体入口を通して供給する。空気は所望ならば乾燥させることができるが、本発明の目的は粒子からのアセトアルデヒドの除去であるので、空気の乾燥は必要ない。
【0073】
粒子を収容でき且つ気体及び粒子を容器中に供給すると共に容器から送り出すことができる任意の容器が適当である。例えば、少なくとも気体の入口、ポリエステルポリマー粒子の入口、気体の出口及び仕上粒子の出口を有する容器を用意する。容器は、熱を逃さないように断熱するのが好ましい。気体の入口及び完成粒子の出口は、気体の出口及び粒子の入口より下方に配置するのが望ましく、気体出口及び粒子入口は容器の頂部近くに配置し且つ気体入口及び完成粒子出口は容器の底部近くに配置するのが好ましい。気体は容器内の床中に、容器内の床高さの約1/2又は1/4において導入するのが望ましい。粒子は好ましくは容器の頂部において導入し、重量によって容器の底部まで移動する。一方、気体は好ましくは、粒子流の方向に対して対向流として流れる。粒子は、容器内に蓄積して粒子の床を形成し、重力によって容器の長さの下方に向かって容器底部の完成粒子出口へとゆっくりと下降する。床の高さは限定されないが、連続法では好ましくは実質的に一定の高さであり、ストリッピングゾーン内の粒子を含む容器の高さの少なくとも75%である。容器は好ましくは少なくとも2又は少なくとも4又は少なくとも6のアスペクト比L/Dを有する。このプロセスは、粒子が流れないので気体流を任意の方向で粒子の床に通すことができる回分式又は半回分式で実施することもできるが、粒子を容器に供給しながら、粒子の流れが粒子入口から仕上粒子まで連続的に流れる連続式であるのが好ましい。
【0074】
容器に導入され且つ粒子の床の少なくとも一部を通る気体の適当な流速は、容器中に導入される粒子上の残留アセトアルデヒドの量を減少させるのに充分なものである。例えば、1時間当たりに容器に装入される粒子1ポンドについて容器中に導入する気体の適当な流速は、少なくとも0.0001標準立方フィート/分(SCFM)、又は少なくとも0.001SCFM、又は少なくとも0.005SCFMである。高流速も適当であるが必要なく、気体の流速は、ガスポンプ、ファン又はブロアーによる不要なエネルギー消費を回避するために、充分に低く保たなければならない。更に、粒子の過度な冷却や乾燥は、典型的にはこれらの目的のいずれか又は両方の達成に高気体流速の使用を必要とするので、望ましくない。気体流速は、1時間当たりの装入粒子1ポンドにつき、好ましくは0.15SCFM以下又は0.10SCFM以下又は0.05SCFM以下又は更には0.01SCFM以下である。
【0075】
別法として又は更に、ポリマーの溶融相製造の終わり近くで又は高IVスフェロイドをアセトアルデヒド掃去剤と溶融ブレンドすることによって、ポリエステルポリマーにアセトアルデヒド掃去剤を添加することもできる。ポリマーの溶融相製造への掃去剤の添加は、可能な限り遅く、好ましくは仕上げ段階の終わり近くで、即ち、真空下のおける最終段階の終わり近くで、又はより好ましくは仕上げ段階の後で行うべきである。比較的高配合量のアセトアルデヒドを含むポリマーコンセントレートを形成するための配合は、当業界で知られている。ポリエステルコンセントレートはポリエステル中に掃去成分を少なくとも約0.5重量%含む。これらのコンセントレートは、押出機を経て添加することもできるし、或いは前記掃去成分の液体分散液を、ポリマーの溶融相製造の終わり近くで、ポリマーがまだ溶融している間にポンプによって添加することもできる。別法として、これらのポリマーコンセントレート粒子をポリマースフェロイドと、いずれの型の粒子も固相に保持する温度でブレンドすることもできる。コンセントレートとポリマースフェロイドとのブレンドは次に押出機に、好ましくはボトルプレフォームのようなプラスチック製品の成形に使用される押出機に供給することができる。ポリマー粒子を生成するための溶融プロセスは、アセトアルデヒドストリッピングと、溶融相プロセスの最後の最後近くで又はその出口で添加されるアセトアルデヒド掃去剤との組合せを使用することができる。ストリッピングゾーンから出る粒子はコンセントレート粒子と、いずれの型の粒子も固体の形態に保持される温度においてブレンドすることができる。
【0076】
有効なアセトアルデヒド掃去剤の例は当業界で知られた任意のものであり、特に、分子量が25,000g/モル未満、又は20,000g/モル未満又は12,000g/モル未満のアミノを末端基とするポリアミド、好ましくはアジピン酸とm−キシリレンジアミンとの反応生成物である。これらのポリアミドの末端基はAAと「イミン」を形成し、実質的にそれをポリアミド末端中に結合する。アミノを末端基とするポリアミドのアセトアルデヒド掃去剤が、米国特許第6,444,283B1号、第6,239,233号、第5,340,884号、第5,266,413号及び第5,258,233号に開示されている。これら全体を、引用することによって本明細書中に取り入れる。別法として、米国特許第6,762,275号及び第6,274,212 B1号(引用することによってそれらの全体を本明細書中に取り入れる)に開示されたようなアントラニルアミド誘導体を使用することもできる。
【0077】
前述した性質を有するポリエステルポリマースフェロイドを製造したら、それらは、スフェロイドから水分を除去するために乾燥した後に、容器又はシートの製造に適当な押出機に供給することができる。従って、更に
A)乾燥ゾーン中でポリエステルポリマースフェロイドを乾燥させて、乾燥スフェロイドを生成させ;
B)前記乾燥スフェロイドを溶融ゾーン中に導入し;
C)前記ポリエステルポリマースフェロイドを前記溶融加工ゾーン中で溶融させ;そして
D)前記溶融ポリマーから製品を形成する
ことを含み、前記乾燥ゾーンに導入されるポリエステルポリマースフェロイドが前記の特性を有する、ポリエステルポリマースフェロイドの溶融加工方法が提供される。
【0078】
乾燥ゾーンは乾燥機を含む。溶融加工ゾーンに注ぎ込む乾燥機は、スフェロイドの含水量を減少させる。溶融押出チャンバーに供給されるスフェロイド中又はスフェロイド上の水分は、溶融温度においてエステル結合の加水分解によってメルトに過度のIt.Vを失わせ、その結果、ポリマーの溶融流れ特性とボトルへの吹込成形時のプレフォームの延伸比に悪影響を及ぼす。従って、押出前に、スフェロイドは140℃又はそれ以上の高温乾燥気体流を用いて乾燥させて、粒子上及び粒子中の水分のほとんどを追い出す。乾燥機中におけるスフェロイドの滞留時間を短縮し且つ処理量を増加させるためには、スフェロイドは140℃又はそれ以上の高温で乾燥させるのが望ましい。一般に、従来の温度(140〜190℃)における乾燥気中のスフェロイドの典型的な滞留時間は平均して0.75〜12時間であろう。
【0079】
任意の常用の乾燥機を使用することができる。スフェロイドは、加熱された空気又は窒素のような不活性ガスの流れと接触させて、スフェロイドの温度を上昇させ且つスフェロイドの中から揮発分を除去することができる。スフェロイドは、回転混合ブレード又はパドルによって撹拌することもできる。加熱用気体を用いる場合には、その流速は、エネルギー消費、スフェロイドの滞留時間及び好ましくはスフェロイド流動化の回避の間のバランスである。適当な気体流速は、乾燥機から排出されるスフェロイド1ポンド/時当り0.05〜100SCFM、好ましくは0.2〜5SCFMの範囲である。
【0080】
本発明のスフェロイドは、固相重合されていないか又は同様な特性を有する、従来の幾何学的形状を有する粒子よりも、乾燥機中で乾燥温度において凝集する傾向が低い。
【0081】
スフェロイドは乾燥したら、溶融加工ゾーン中に導入して溶融ポリエステルポリマーを形成し、次いでシート又は成形品のような製品を形成する。スフェロイドの溶融及びそれからの製品の形成に用られる任意の従来の方法を使用できる。適当な溶融加工ゾーンは、バレル、バレル中の1つ又はそれ以上のスクリュー、スクリューを回転させるためのモーター、バレルを通してスフェロイドに熱を導く発熱体及び溶融ポリマーを強制的に押し通すダイプレートを装着した押出機を含む。ダイは、場合によっては熱成形金型に接続された、シートダイであることができる。別の溶融加工ゾーンは、ポリマーを1つ又はそれ以上の金型キャビティ中に導くランナーシステム中にポリマーを強制的に押し込むノズルをダイの代わりに用いる以外は、同じ装備を装着した射出成形機である。成形品の一例としては、ボトルプレフォーム(パリソン)が挙げられる。
【0082】
製品を製造するための溶融加工ゾーンにおいて、又はポリエステルポリマーを製造するための溶融相プロセスにおいて、ポリエステルポリマーの性能特性を向上させるために、他の成分を本発明の組成物に添加することができる。これらの成分はそのままバルクポリエステルに添加することもできるし、液体キャリヤー中の分散液として添加することもできるし、或いはバルクポリマーにレットダウンされる、ポリエステル中に少なくとも0.5重量%の成分を含むポリエステルコンセントレートとしてバルクポリエステルに添加することもできる。適当な成分の種類としては、結晶化助剤、耐衝撃性改良剤、表面潤沢剤、安定剤、嵌め外し剤(denesting agent)、酸化防止剤、紫外線吸収剤、金属活性低下剤、着色剤、成核剤、アセトアルデヒド低下用化合物、再加熱速度増加用助剤(reheat rate enhancing aid)、タルクのような粘着性ボトル用添加剤及び充填剤などが挙げられる。樹脂は、少量の分岐剤、例えば三官能価又は四官能価コモノマー、例えばトリメリット酸無水物、トリメチロールプロパン、ピロメリット酸二無水物、ペンタエリスリトール又は当業界で一般的に知られた他のポリエステル形成性多酸若しくはポリオールを含むこともできる。全てのこれらの添加剤及び多くの他の添加剤並びにそれらの利用法は、当業界でよく知られており、詳細な説明は必要ない。これらの化合物はいずれも本発明において使用できる。
【0083】
これらの各実施態様において、製造品は限定されず、シート及びボトルプレフォームを含む。ボトルプレフォームは、常法によってボトルに延伸ブロー成形できる。従って、一実施態様において更に、本発明のスフェロイドから製造される、又は本発明の任意の方法によって製造される、又は本発明のスフェロイドを用いて任意の従来の溶融加工方法によって製造されるボトルが提供される。
【0084】
本発明の方法に従って製造されるスフェロイドからは容器を製造できるだけでなく、シート、フィルム、ボトル、トレイ、他の包装材料、ロッド、チューブ、リッド、フィラメント及び繊維並びに他の成形品も本発明のポリエステルスフェロイドを用いて製造できる。ポリエチレンテレフタレートから製造される、水又は炭酸飲料を収容するのに適当な飲料ボトル及びボトル中に熱間充填される飲料を収容するのに適当な熱硬化飲料ボトルは、本発明の結晶化スフェロイドから製造されるボトルの種類の例である。
【実施例】
【0085】
本発明は、説明のための以下の非限定的実施例を参照することによってより深く理解することができる。
【0086】
以下に記載する材料を、以後の全ての例において用いた。
【0087】
Voridian PET CB12ポリエステルポリマーは、Eastman Chemical Companyから市販されている。CB12ペレットは、ほぼ円筒形で、ポリマーのストランドの切断によって製造される。CB12ペレットは半結晶質であり、固相化(solid−stated)されている。
【0088】
UWC及びUW ACペレットは、Vrodian PET CB12ポリエステルポリマーを供給材料として用いて、水中ペレット化装置で製造した。これらのペレットのIt.V.は測定しなかったが、このように加工したCB12ポリエステルは典型的には0.78〜0.82dL/gのIt.V.を有する。これらのペレットは、前記定義によると、スフェロイド形である。
【0089】
UWCペレットは、樹脂を約160℃の水温で水中で切断することによって製造した。従って、半結晶質ペレットが得られた。加圧高温水晶析器中におけるペレットの滞留時間は約5分であった。
【0090】
UW ACペレットは、樹脂を約90℃の水温において水中で切断するによって製造したもので、従って、ペレットは非晶質である。これらはその後、小バッチ・パドル晶析器中で結晶化させた。室温のペレットを、210℃の整定値まで予熱された晶析器中に装入した。平均ペレット温度(IPパイロメーター「ガン」を用いて測定)は、30分後に約157℃、35分後に約162℃であった。次に、ペレットをバケットに排出し、自然に冷却させた。
【0091】
16−3001ポリマーは3.0モル%のイソフタル酸及び約3.6モル%のジエチレングリコールで改質されている。これを溶融相で約0.82の最終It.V.まで重合させ、標準切断−ストランドペレット化を行って、典型的なほぼ円筒形のペレットを生成させた。これらのペレットは、放射状にパドルが取り付けられた縦方向の軸によって撹拌される水平ジャケット付きの2つの細長い容器に通すことによって、連続法で結晶化させた。ジャケットを通して循環させる熱媒体は180℃に設定し、容器から出るペレットの温度を約165℃とした。容器中におけるポリマーの滞留時間は約30分であった。
【0092】
12−3001ポリマーは、3.0モル%のイソフタル酸及び約3.6モル%のジエチレングリコールで改質されている。これを溶融相で約0.82の最終It.V.まで重合させ、標準切断−ストランドペレット化を行って、典型的なほぼ円筒形のペレットを生成させた。これらのペレットは、ポリマーを180℃まで加熱し、次いで周囲温度まで冷却し戻すことによって、バッチ式回転ダブルコーンドライヤー中で結晶化させた。
【0093】
表Iは、この研究に用いた球形及び円筒形ペレットについての重要な情報を要約する。
【0094】
RPUペレットは、供給材料としてVoridian PET CB12ポリエステルポリマーを用いてRoll Processing Unitで製造した。RPUペレットは「スラブ形」である。この研究に用いたペレットは全て3×3mmの公称横寸法と2.25〜2.5mm(0.090〜0.100インチ)の厚さを有していた。RPUペレットは約150℃のカレンダーロール温度整定値を用いて約325 lb/時の速度で製造した。
【0095】
表IIはこの研究に用いたRPUペレットについての重要な情報を要約する。シート温度はIRパイロメーター「ガン」を用いて測定した。従って、シート温度はシート表面の温度である。RPU 150ペレット及びRPU 179ペレットのIt.V.は測定しなかったが、(同様な乾燥及び押出条件を用いて製造された他のペレットの多くの測定値に基づき)、0.79〜0.81の範囲であると予想される。結晶化度は20℃/分で行われた第1加熱DSCから、全ての融解ピークの融解熱(J/g)を合計し、全ての結晶化ピークの熱を差し引き、119(100%結晶性PETの融解熱(J/g))で割ることによって、デュプリケートで求めた。
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

【0098】
実施例1
ペレットを乾燥機のホッパー中で加熱した。乾燥機は、断熱マニホールドシステムを用いて単一コンエアー(Conair)乾燥装置によって使用可能にされる5個1組のホッパーからなるものであった。典型的には、検査するペレットを、ホッパー1(供給マニホールド上の第1ホッパー)に入れ、ダミーペレットをホッパー3に入れ、ホッパー2、4及び5への空気供給弁を閉じた。ホッパー1を通る空気流が過度に速くならないように、この手法に従った。
【0099】
図1は実験において用いた乾燥機ホッパーの幾何学的形態及び寸法をインチで示す。
【0100】
ホッパーの底面は、単純なスライド式ゲートバルブによってシールされる。スライドは、ホッパー出口を充分にあけるために完全に取り外すことができる。ホッパーにペレットを装入する前に、乾燥機をその運転温度まで充分に予熱した。ホッパー3にはダミーペレット(典型的には、CB12)約20ポンド(ホッパー容量の約80%)を装入し、ホッパー1には同様な量の試験ペレットを装填した。シーズ熱電対を試験ペレットの床中に、その先端が床表面の数インチ下になるように挿入し、温度を定期的に記録した。
【0101】
ホッパー1中におけるペレットの滞留時間は一定の3.0時間であった。ゲートバルブからスライドを取り外した。ペレットがホッパー出口から自由に流れない場合には、ホッパーの底面をゲートバルブの位置においてスライドの縁によって手動で強くたたいた。この「ワッキング(whacking)」を、ペレットの流れが始まるまで、ワック(whack)最高20回までゆっくりとした速さで繰り返した。ペレットの床がこの後もくっついたままである場合には、ロッドを、開いているゲートバルブ中に上向きにペレット床を貫通するように挿入した。急速なペレット流を引き起こし且つホッパーを完全に空にするには、常にロッドの1つきで充分であり;多数回のストローク又は「チッピング」は決して必要なかった。これはまた、ペレット流をワッキングによって誘発する場合にも同じであり;ペレット流がいったん開始されると、ペレットの床全体がホッパーから自由に且つ急速に流れた。いかなる場合にも、ホッパーにおける粘着度にかかわらず、ペレットがホッパーからいったん流れると、ペレット間に粘着性は残らなかった−ペレットの塊も、「ダブレット」も「トリプレット」もなく、バケットいっぱいの独立したペレットだけがあった。
【0102】
ペレットの代表的な第1加熱DSC走査を行い、分析した。おおむね、DSC転移が起こる温度とペレットの粘着性との間には明らかな関係はなかった。
【0103】
乾燥機に供給したRPUペレットの全てに関するDSCの結果は非常に類似しており、唯一の特徴は、195〜200℃においてベースラインから離れ且つ250〜252℃でピークに達する単一融解ピークであった。16−3001ペレット並びにUWC AC及びUWCペレットに関するDSCの結果は、約160℃においてベースラインから離れ且つ181℃に中心がある低融解温度吸熱という明らかな特徴を示した。低融解温度吸熱は、174℃でピークに達した。これは、155〜160℃のペレット結晶化温度を示している。このピークは135〜140℃においてベースラインから離れたが、ベースラインの想定勾配の小さな変化がこの温度を20〜25℃増加させる。
【0104】
ホッパー中のペレットが達する最終温度は190℃であった。温度は、30分では180℃;45分では187℃;60分では188℃;90分及びそれ以降では190℃であった。ペレット温度は、約45分後には平衡に非常に近づき、約90分後にはまさにその極限値に達した。
【0105】
ペレット粘着実験の結果を表IIIに記載する。前に詳述したように、ペレットをホッパー1中で指定温度まで30分間加熱し、ゲートバルブスライドを取り外し、ゲートバルブをホッパーの底面で、ペレットの流れが開始するまでゆっくりとした速さでスライドによって強くたたいた。スライドによるこのようなワックを20回行った後にペレットの流れが開始しない場合には、実験を終了させ、試験条件を「ワック回数>20」と記録した。
【0106】
対照として粘着プロトコールに供した通常の固相化CB12は、乾燥装置中で達成可能な最高温度である約185℃において自由に流動する(流れの開始に必要なワックはゼロである)ことがわかった。
【0107】
【表3】

【0108】
スフェロイド形ペレット−UW ACペレット及びUWCペレットの両方−は、スラブ形のRPUペレット又は円筒形の16−3001ペレットのいずれよりも高温ではるかに粘着性が低いことは明らかである。約175℃においては、空気中及び水中で結晶化したスフェロイド形ペレットはさらさらしていたが、他の型のペレットは全て、流れを誘発するのに少なくとも5回のワックを必要とした(RPU 150ペレットに関してはこれを断言するにはデータは充分ではないが、存在するデータに基づき、それはほぼ確実な想定であると思われる)。粘着性の差は181〜182℃においてよりいっそう顕著であり、その温度では、球形ペレットはいずれの型も、流れの開始に1回のワックしか必要とせず(UWCに関しては測定し、UW ACに関しては2点間に補間した)、RPU 166ペレットは7回のワックを必要とし、他の型のペレットは全て>20のワックを必要とした。186℃においては、UWCペレットが1回のワック後にやはり自由に流れ、UW ACペレットが3回のワック後に自由に流れたのに対して、円筒形ペレット及びスラブ形ペレットは全て、20回のワック後に依然として粘着性であった。
【0109】
16−3001ペレットは、UW ACペレットと非常に類似した温度及び方法で結晶化した。これらの2つの型のペレットは、極めて類似した組成及びIVを有している。
【0110】
実施例2
この一連の実験においては、種々の形状(shape)及び物理的形態(morphology)の安息角を分析した。安息角は、粒状材料の摩擦特性の尺度であり、乾燥機中におけるペレットの粘着傾向に関連づけることができる。より高い安息角は、ペレットが乾燥機中で粘着する可能性がより高いことを意味するのに対し、より低い安息角は、材料がよりさらさらしていることを示す。
【0111】
図2及び3は、粒状材料の安息角の試験のための設備を示す。試験設備は、大きな乾燥機の内部で高温において機能するように設計した。乾燥機には、空気流を試験設備に導き且つペレットを効率的に加熱するためにバッフルを装着する。
【0112】
ゲート試験(図2)は、金網底面1、2つの固定側壁3、固定後壁(lack wall)5及び垂直に取り外し可能な側面又はゲート7を含むボックスである。ゲート試験ボックスの内寸は5.75×5,75×8.00インチである。試験の開始時に、ボックスをペレット9で満たすことができるように、ゲート7をラッチによって所定の位置に保持する。乾燥機は時間0で作動させる。適当な経過時間後、乾燥機を開け、ペレット温度をRaytek Raynger MX IRパイロメーター(モデル#RAYMX4PCFU)で測定する。次いで、ゲート7の上縁が底面1より低くなり且つゲート7が取り外し可能になるまで、ゲート7をゆっくりと垂直方向に下げる。ゲート7を下げるにつれて、一部のペレット9がボックスから流れ出る。ペレット9の流れが止まった後、後壁5におけるペレットの床高さHを測定する。安息角φは、tanφ=H/D(式中、Dは床の深さであり、ボックスの側壁1の水平寸法に等しい)によって計算できる。
【0113】
堆積試験(heap test)(図3)は、可動ボックス内部の固定プラットホームである。このボックスは4つの溶接側面21と金網底面を有する。堆積試験ボックスの内寸は5.75×5.75×3.00インチである。次に、ボックスを、ペレット25に空気流を通せるように中に孔が開けられたジャッキスタンド23上に取り付けた。ジャッキスタンドは脚31、ジャッキ用スクリュー33及び高さ調節用ノブ35を含む。半径R=1.5インチの水平ディスク22を固定棒37に取り付けた。ロッド37はボックス底面及びジャッキスタンド23の孔を貫通した。試験の開始時に、ディスク22がボックス底面と接触するように、ボックスを上昇させた。次に、ボックスにペレット25を満たした。乾燥機を時間ゼロで作動させた。適当な経過時間後に、乾燥機を開け、ペレット温度をペレット温度をRaytek Raynger MX IRパイロメーター(モデル#RAYMX4PCFU)で測定する。次いで、ボックス壁21の頂部がディスク22より下になるまでノブ35を回すことによって、ボックスをゆっくりと下げる。ディスク22上に残るペレット25の堆積の高さHを測定する。安息角はtanφ=H/Rによって計算できる。
【0114】
安息角は温度依存性であるので、これらの測定は、乾燥機内部で加熱されたまま行う。ペレットを冷却すると、試験設備内におけるペレットの堆積が崩れ落ち、意図的に低い安息角測定値を得られるであろう。
【0115】
乾燥時間は3〜8時間、乾燥温度整定値は165〜185℃とした。これらの条件は、商業的に一般に実施される乾燥機の運転条件に近づくように選択した。
【0116】
両試験方法からの結果を、表IV及びVに示す。乾燥機の所定の整定値温度に対して、実際のペレット温度にはかなりのばらつきがあった。ばらつきは20℃にもなった。従って、全ての結果は、実際の温度に関して分析する必要がある。ほとんどの場合、所定の整定値温度に関して、乾燥機中での経過時間が増すにつれて、より高い実際のペレット温度に向かう傾向があった。ゲート試験法におけるペレット温度は、堆積試験法において達するペレット温度よりも一貫して約10℃高かった。全体としては、これらのデータは、実際のペレット温度が、乾燥機中における経過時間よりも安息角に強い影響を与えたことを示している。
【0117】
ゲート試験の方が一貫して、より高い安息角測定値を生じた。差の一部は温度の偏りによって説明することができるが、実験計画法に従って各試験法内で認められた20℃の温度範囲は、10℃の温度の偏りによって試験方法間で観察されるよりも、生じるばらつきが少なかった。従って、試験方法の幾何学的配置が結果にかなりの影響を与えると結論づけることが妥当である。
【0118】
温度及び時間は安息角に若干の影響を及ぼすが、ペレットの幾何学的形態(geometry)及び物理的形態(morphology)の影響の方がより大きかった。図4は、ゲート試験法によって調べられた5種の材料に関する安息角の比較を示す。各材料に関する5つのデータ点は、調べられた時間/温度の全ての組合せを示す。一連の乾燥時間及び温度について、スフェロイド形のUWC材料は、他の円筒形又はスラブ形材料よりもはるかに低い安息角を示した。このデータから、ペレットの幾何学的形態は、材料の物理的形態よりも、低安息角の提供という点では重要であると考えられる。
【0119】
図5は、堆積試験に関する同様な分析を示す。各材料に関する5つのデータ点は、調べられて時間/温度の全ての組合せを示す。この場合には、スフェロイド形のUWCペレットは、他の円筒形又はスラブ形材料よりも著しく低い安息角を有する。このデータから、ペレットの幾何学的形態は、材料の物理的形態よりも、低安息角の提供という点において重要であると考えられる。
【0120】
両方の安息角試験を考慮すると、スフェロイド形のUWCペレットは一貫して、最も低い安息角を示す。ゲート試験と堆積試験との結果の差を考えると、同じペレットの幾何学的形態と非常に類似した組成(16−3001、12−3001及びCB12)に関して、アニール時間の関数としてデータの有意傾向を検出することは難しい。実験の開始時には、結晶化及び/又は固相化時のアニールが乾燥温度におけるペレット間の相互作用に関与する可能性のある非晶質材料の量を低下させ、その結果、アニールが安息角の低下を導くという仮定があった。ゲート試験のデータセットによってこのことは若干認められるが、幾何学的影響の方がはるかに大きい。
【0121】
高温実験からの安息角データのモデリングは、材料間の差異は別として、それほど影響を生じなかった。室温の安息角データがモデリングに含まれた場合には、温度及び材料の有意な影響が95%の信頼度で検出されたが、乾燥時間は有意なパラメーターではなかった。
【0122】
この実施例から、以下の結論を導き出すことができる:
a)UWC球形ペレットは、調べた他のペレットよりも際だって低い安息角を有していた。ペレットの幾何学的形態は、この結果に関与する主な要因であると推定される。
【0123】
b)乾燥時間は、おそらくは調べた最高温度又は最長期間を除けば、安息角にそれほど影響を与えないと考えられた。
【0124】
c)乾燥機の操作に一般的な温度範囲では、安息角は、非常に小さい温度依存性と、ペレット形状へのはるかに有意な依存性を示した。
【0125】
従って、一実施態様において、ゲート試験において5時間後の165℃の実際のペレット温度で34.0°未満又は32.0°未満又は31.0°若しくはそれ以下又は30.0°若しくはそれ以下の安息角を有するスフェロイドペレットが提供される。
【0126】
【表4】

【0127】
【表5】

以下に、本発明の関連態様を列挙する。
態様1.A)少なくとも0.72dL/gの平均It.V.、並びに
B)a.一方が、第1DSC走査で測定した場合に、140〜220℃の範囲内のピーク温度を有し且つ少なくとも絶対値が1J/gの融解吸熱面積を有する低ピーク融点を有する、少なくとも2つの融解ピーク、又は
b.DSC第1加熱走査で測定した場合に、200℃若しくはそれ以下の温度で吸熱方向においてベースラインから離れる加熱曲線を有する1つ若しくはそれ以上の融点を有すること
によって特徴づけられる融点、又は
C)少なくとも20%の範囲内の低い結晶化度及び式:
cmax=50%−CA−OH
[式中、CAは、ポリエステルポリマー中のカルボン酸残基100モル%に基づく、テレフタル酸残基以外の全てのカルボン酸残基の総モル%であり、OHは、ヒドロキシル官能性化合物残基100モル%に基づく、エチレングリコール残基以外のヒドロキシ化官能性化合物残基の総モル%である]
で定義される最大結晶化度Tcmax
のいずれか一方、或いはB)及びC)の両方
を有するポリエステルポリマースフェロイドを含んでなるバルク。
態様2.前記バルクが少なくとも75%の未使用ポリエステルポリマーを含む態様1に記載のバルク。
態様3.前記バルクが10ppm又はそれ以下の残留アセトアルデヒドレベルを有する態様2に記載のバルク。
態様4.前記スフェロイドが、ゲート試験によって5時間後の165℃の実際のペレット温度を用いて測定した場合に、34.0°未満の安息角を有する態様1に記載のバルク。
態様5.前記安息角が32°未満である態様4に記載のバルク。
態様6.前記安息角が31°又はそれ以下である態様5に記載のバルク。
態様7.前記スフェロイドが真円度分布を有し、分布モードが1.4未満である態様1に記載のバルク。
態様8.前記真円度分布モードが1.2又はそれ以下である態様5に記載のバルク。
態様9.前記スフェロイドがB)及びC)の両方を特徴とする態様1に記載のバルク。
態様10.前記ポリエステルポリマースフェロイドが、ポリエステルポリマー中のカルボン酸成分残基100モル%及びヒドロキシル成分残基100モル%に基づいて、
(a)テレフタル酸若しくはテレフタル酸誘導体又はそれらの混合物の残基を少なくとも80モル%含むカルボン酸成分、及び
(b)エチレングリコールの残基を少なくとも80モル%含むドロキシル成分
を含む態様1に記載のバルク。
態様11.前記ポリエステルポリマースフェロイドが、ポリエステルポリマー中のカルボン酸成分残基100モル%及びヒドロキシル成分残基100モル%に基づいて、
(a)テレフタル酸及び/又はテレフタル酸誘導体の残基を少なくとも90モル%含むカルボン酸成分、並びに
(b)エチレングリコールの残基を少なくとも90モル%含むヒドロキシル成分
を含む態様10に記載のバルク。
態様12.前記スフェロイドが160〜210℃の範囲内の低ピーク融点、25〜45%の範囲の結晶化度、粒子100個当り少なくとも1.0gであって且つ粒子100個当り100g以下の数平均重量及び7ppm又はそれ以下の残留アセトアルデヒド含量を有する態様1に記載のバルク。
態様13.前記スフェロイドが、0.75dL/gから約1.1dL/gまでの範囲内のIt.V.を有し、且つ2ppm又はそれ以下の残留アセトアルデヒドを含む態様12に記載のバルク。
態様14.前記スフェロイドが低ピーク融点のショルダーを有する態様1に記載のバルク。
態様15.前記スフェロイドのIt.V.が0.78〜1.1dL/gの範囲である態様1に記載のバルク。
態様16.前記スフェロイドのIt.V.が0.81〜1.2dL/gの範囲である態様1に記載のバルク。
態様17.前記スフェロイドが輸送コンテナに含まれ、且つ前記スフェロイドが固相重合されていない態様1に記載のバルク。
態様18.前記スフェロイドがポリエステルポリマーの水中切断によって得られる態様1に記載のバルク。
態様19.前記スフェロイドがポリエステルポリマーのTgより高い温度において水を含む液体媒体中でスフェロイドを熱的結晶化させることによって得られた結晶化度を有する態様1に記載のバルク。
態様20.A)乾燥ゾーン中でポリエステルポリマースフェロイドを乾燥させて乾燥スフェロイドを生成させ;
B)前記乾燥スフェロイドを溶融加工ゾーン中に導入し;
C)前記ポリエステルポリマースフェロイドを前記溶融加工ゾーン中で溶融させ;そして
D)前記溶融ポリマーから製品を形成する
ことを含んでなり、前記乾燥ゾーンに導入されるポリエステルポリマースフェロイドが固相重合されていない、ポリエステルポリマースフェロイドの乾燥及び溶融加工方法。
態様21.前記乾燥ゾーン中に導入されるスフェロイドの残留アセトアルデヒドレベルが10ppm又はそれ以下である態様20に記載の方法。
態様22.前記スフェロイドが25〜45%の範囲の結晶化度を有する態様20に記載の方法。
態様23.前記スフェロイドが、
a.その一方が、DSC第1加熱走査で測定した場合に、140〜220℃の範囲内のピーク温度を有し且つ少なくとも絶対値が1J/gの融解吸熱面積を有する低ピーク融点を有する、少なくとも2つの融解ピーク又は
b.DSC第1加熱走査で測定した場合に、200℃若しくはそれ以下の温度で吸熱方向においてベースラインから離れる加熱曲線を有する1つ若しくはそれ以上の融点を有すること
によって特徴づけられる1つ又はそれ以上の融点を有する態様20に記載の方法。
態様24.前記乾燥ゾーンに導入されるスフェロイドが、
A)少なくとも0.72dL/gの平均It.V.、並びに
B)(i)一方が、DSC第1加熱走査で測定された場合に、140〜220℃の範囲内のピーク温度を有し且つ少なくとも絶対値が1J/gの融解吸熱面積を有する低ピーク融点を有する、少なくとも2つの融解ピーク又は
(ii)DSC第1加熱走査で測定した場合に、200℃若しくはそれ以下の温度で吸熱方向においてベースラインから離れる加熱曲線を有する1つ若しくはそれ以上の融点を有すること
によって特徴づけられる融点、又は
C)少なくとも20%の範囲内の低い結晶化度及び式:
cmax=50%−CA−OH
[式中、CAは、ポリエステルポリマー中のカルボン酸残基100モル%に基づく、テレフタル酸残基以外の全てのカルボン酸残基の総モル%であり、OHは、ヒドロキシル官能性化合物残基100モル%に基づく、エチレングリコール残基以外のヒドロキシル官能性化合物残基の総モル%である]
で定義される最大結晶化度Tcmax
のいずれか一方、並びに
D)10ppm又はそれ以下の残留アセトアルデヒドレベル
を有する態様20に記載の方法。
態様25.前記乾燥ゾーンに導入されるスフェロイドが少なくとも75%の未使用ポリエステルポリマーを含む態様20に記載の方法。
態様26.前記乾燥ゾーンに導入されるスフェロイドが、ゲート試験によって5時間後の165℃の実際のペレット温度を用いて測定した場合に、34.0°未満の安息角を有する態様20に記載の方法。
態様27.前記安息角が32°未満である態様26に記載の方法。
態様28.前記乾燥ゾーンに導入されるスフェロイドが真円度分布を有し、分布モードが1.4未満である態様20に記載の方法。
態様29.前記モードが1.2又はそれ以下である態様20に記載の方法。
態様30.前記乾燥ゾーンに導入されるスフェロイドが、ポリエステルポリマー中のカルボン酸成分残基100モル%及びヒドロキシル成分残基100モル%に基づいて、
(a)テレフタル酸若しくはテレフタル酸誘導体又はそれらの混合物の残基を少なくとも80モル%含むカルボン酸成分、及び
(b)エチレングリコールの残基を少なくとも80モル%含むヒドロキシル成分
を含む態様20に記載の方法。
態様31.前記乾燥ゾーンに導入されるスフェロイドが、ポリエステルポリマー中のカルボン酸成分残基100モル%及びヒドロキシル成分残基100モル%に基づいて、
(a)テレフタル酸及び/又はテレフタル酸誘導体の残基を少なくとも90モル%含むカルボン酸成分、並びに
(b)エチレングリコールの残基を少なくとも90モル%含むヒドロキシル成分
を含む態様20に記載の方法。
態様32.前記乾燥ゾーンに導入されるスフェロイドが、160〜210℃の範囲内の低ピーク融点、25〜45%の範囲の結晶化度、粒子100個当り少なくとも1.0gであって且つ粒子100個当り100g以下の数平均重量及び7ppm又はそれ以下の残留アセトアルデヒド含量を有する態様20に記載の方法。
態様33.前記乾燥ゾーンに導入されるスフェロイドが0.78〜1.1dL/gまでの範囲内のIt.V.を有する態様20に記載の方法。
態様34.前記乾燥ゾーンに導入されるスフェロイドがポリエステルポリマーの水中切断によって得られる態様20に記載の方法。
態様35.前記スフェロイドがポリエステルポリマーのTgより高い温度において水を含む液体媒体中でスフェロイドを熱的結晶化させることによって得られた結晶化度を有する態様20に記載の方法。
態様36.態様20の方法によって得られるプレフォーム。
態様37.態様20の方法によって得られる延伸ブロー成形ボトル。
態様38.態様24の方法によって得られるプレフォーム。
態様39.態様24の方法によって得られる延伸ブロー成形ボトル。
態様40.態様1のバルクから得られるプレフォーム。
態様41.態様1のバルクから得られる延伸ブロー成形ボトル。
態様42.前記製品がシートである態様20に記載の方法。
態様43.前記製品がシートである態様24に記載の方法。
態様44.態様1のバルクから得られるシート。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)少なくとも0.72dL/gの平均極限粘度数(It.V.)、並びに
B)a.一方が、第1DSC走査で測定した場合に、140〜220℃の範囲内のピーク温度を有し且つ少なくとも絶対値が1J/gの融解吸熱面積を有する低ピーク融点を有する、少なくとも2つの融解ピーク、又は
b.DSC第1加熱走査で測定した場合に、200℃若しくはそれ以下の温度で吸熱方向においてベースラインから離れる加熱曲線を有する1つ若しくはそれ以上の融点を有すること
によって特徴づけられる融点、又は
C)少なくとも20%の範囲内の低い結晶化度及び式:
cmax=50%−CA−OH
[式中、CAは、ポリエステルポリマー中のカルボン酸残基100モル%に基づく、テレフタル酸残基以外の全てのカルボン酸残基の総モル%であり、OHは、ヒドロキシル官能性化合物残基100モル%に基づく、エチレングリコール残基以外のヒドロキシ化官能性化合物残基の総モル%である]
で定義される最大結晶化度Tcmax
のいずれか一方、或いはB)及びC)の両方
を有するポリエステルポリマースフェロイドを含んでなるバルク。
【請求項2】
前記バルクが少なくとも75%の未使用ポリエステルポリマーを含む請求項1に記載のバルク。
【請求項3】
前記バルクが10ppm又はそれ以下の残留アセトアルデヒドレベルを有する請求項2に記載のバルク。
【請求項4】
前記スフェロイドが、ゲート試験によって5時間後の165℃の実際のペレット温度を用いて測定した場合に、34.0°未満の安息角を有する請求項1に記載のバルク。
【請求項5】
前記安息角が32°未満である請求項4に記載のバルク。
【請求項6】
前記安息角が31°又はそれ以下である請求項5に記載のバルク。
【請求項7】
前記スフェロイドが真円度分布を有し、分布モードが1.4未満である請求項1に記載のバルク。
【請求項8】
前記真円度分布モードが1.2又はそれ以下である請求項5に記載のバルク。
【請求項9】
前記スフェロイドがB)及びC)の両方を特徴とする請求項1に記載のバルク。
【請求項10】
前記ポリエステルポリマースフェロイドが、ポリエステルポリマー中のカルボン酸成分残基100モル%及びヒドロキシル成分残基100モル%に基づいて、
(a)テレフタル酸若しくはテレフタル酸誘導体又はそれらの混合物の残基を少なくとも80モル%含むカルボン酸成分、及び
(b)エチレングリコールの残基を少なくとも80モル%含むドロキシル成分
を含む請求項1に記載のバルク。
【請求項11】
前記ポリエステルポリマースフェロイドが、ポリエステルポリマー中のカルボン酸成分残基100モル%及びヒドロキシル成分残基100モル%に基づいて、
(a)テレフタル酸及び/又はテレフタル酸誘導体の残基を少なくとも90モル%含むカルボン酸成分、並びに
(b)エチレングリコールの残基を少なくとも90モル%含むヒドロキシル成分
を含む請求項10に記載のバルク。
【請求項12】
前記スフェロイドが160〜210℃の範囲内の低ピーク融点、25〜45%の範囲の結晶化度、粒子100個当り少なくとも1.0gであって且つ粒子100個当り100g以下の数平均重量及び7ppm又はそれ以下の残留アセトアルデヒド含量を有する請求項1に記載のバルク。
【請求項13】
前記スフェロイドが、0.75dL/gから1.1dL/gまでの範囲内の極限粘度数(It.V.)を有し、且つ2ppm又はそれ以下の残留アセトアルデヒドを含む請求項12に記載のバルク。
【請求項14】
前記スフェロイドが低ピーク融点のショルダーを有する請求項1に記載のバルク。
【請求項15】
前記スフェロイドの極限粘度数(It.V.)が0.78〜1.1dL/gの範囲である請求項1に記載のバルク。
【請求項16】
前記スフェロイドの極限粘度数(It.V.)が0.81〜1.2dL/gの範囲である請求項1に記載のバルク。
【請求項17】
前記スフェロイドが輸送コンテナに含まれ、且つ前記スフェロイドが固相重合されていない請求項1に記載のバルク。
【請求項18】
前記スフェロイドがポリエステルポリマーの水中切断によって得られる請求項1に記載のバルク。
【請求項19】
前記スフェロイドがポリエステルポリマーのTgより高い温度において水を含む液体媒体中でスフェロイドを熱的結晶化させることによって得られた結晶化度を有する請求項1に記載のバルク。
【請求項20】
A)乾燥ゾーン中でポリエステルポリマースフェロイドを乾燥させて乾燥スフェロイドを生成させ;
B)前記乾燥スフェロイドを溶融加工ゾーン中に導入し;
C)前記ポリエステルポリマースフェロイドを前記溶融加工ゾーン中で溶融させ;そして
D)前記溶融ポリマーから製品を形成する
ことを含んでなり、前記乾燥ゾーンに導入されるポリエステルポリマースフェロイドが固相重合されていない、ポリエステルポリマースフェロイドの乾燥及び溶融加工方法。
【請求項21】
前記乾燥ゾーン中に導入されるスフェロイドの残留アセトアルデヒドレベルが10ppm又はそれ以下である請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記スフェロイドが25〜45%の範囲の結晶化度を有する請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記スフェロイドが、
a.その一方が、DSC第1加熱走査で測定した場合に、140〜220℃の範囲内のピーク温度を有し且つ少なくとも絶対値が1J/gの融解吸熱面積を有する低ピーク融点を有する、少なくとも2つの融解ピーク又は
b.DSC第1加熱走査で測定した場合に、200℃若しくはそれ以下の温度で吸熱方向においてベースラインから離れる加熱曲線を有する1つ若しくはそれ以上の融点を有すること
によって特徴づけられる1つ又はそれ以上の融点を有する請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記乾燥ゾーンに導入されるスフェロイドが、
A)少なくとも0.72dL/gの平均極限粘度数(It.V.)、並びに
B)(i)一方が、DSC第1加熱走査で測定された場合に、140〜220℃の範囲内のピーク温度を有し且つ少なくとも絶対値が1J/gの融解吸熱面積を有する低ピーク融点を有する、少なくとも2つの融解ピーク又は
(ii)DSC第1加熱走査で測定した場合に、200℃若しくはそれ以下の温度で吸熱方向においてベースラインから離れる加熱曲線を有する1つ若しくはそれ以上の融点を有すること
によって特徴づけられる融点、又は
C)少なくとも20%の範囲内の低い結晶化度及び式:
cmax=50%−CA−OH
[式中、CAは、ポリエステルポリマー中のカルボン酸残基100モル%に基づく、テレフタル酸残基以外の全てのカルボン酸残基の総モル%であり、OHは、ヒドロキシル官能性化合物残基100モル%に基づく、エチレングリコール残基以外のヒドロキシル官能性化合物残基の総モル%である]
で定義される最大結晶化度Tcmax
のいずれか一方、並びに
D)10ppm又はそれ以下の残留アセトアルデヒドレベル
を有する請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記乾燥ゾーンに導入されるスフェロイドが少なくとも75%の未使用ポリエステルポリマーを含む請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記乾燥ゾーンに導入されるスフェロイドが、ゲート試験によって5時間後の165℃の実際のペレット温度を用いて測定した場合に、34.0°未満の安息角を有する請求項20に記載の方法。
【請求項27】
前記安息角が32°未満である請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記乾燥ゾーンに導入されるスフェロイドが真円度分布を有し、分布モードが1.4未満である請求項20に記載の方法。
【請求項29】
前記モードが1.2又はそれ以下である請求項20に記載の方法。
【請求項30】
前記乾燥ゾーンに導入されるスフェロイドが、ポリエステルポリマー中のカルボン酸成分残基100モル%及びヒドロキシル成分残基100モル%に基づいて、
(a)テレフタル酸若しくはテレフタル酸誘導体又はそれらの混合物の残基を少なくとも80モル%含むカルボン酸成分、及び
(b)エチレングリコールの残基を少なくとも80モル%含むヒドロキシル成分
を含む請求項20に記載の方法。
【請求項31】
前記乾燥ゾーンに導入されるスフェロイドが、ポリエステルポリマー中のカルボン酸成分残基100モル%及びヒドロキシル成分残基100モル%に基づいて、
(a)テレフタル酸及び/又はテレフタル酸誘導体の残基を少なくとも90モル%含むカルボン酸成分、並びに
(b)エチレングリコールの残基を少なくとも90モル%含むヒドロキシル成分
を含む請求項20に記載の方法。
【請求項32】
前記乾燥ゾーンに導入されるスフェロイドが、160〜210℃の範囲内の低ピーク融点、25〜45%の範囲の結晶化度、粒子100個当り少なくとも1.0gであって且つ粒子100個当り100g以下の数平均重量及び7ppm又はそれ以下の残留アセトアルデヒド含量を有する請求項20に記載の方法。
【請求項33】
前記乾燥ゾーンに導入されるスフェロイドが0.78〜1.1dL/gまでの範囲内のIt.V.を有する請求項20に記載の方法。
【請求項34】
前記乾燥ゾーンに導入されるスフェロイドがポリエステルポリマーの水中切断によって得られる請求項20に記載の方法。
【請求項35】
前記スフェロイドがポリエステルポリマーのTgより高い温度において水を含む液体媒体中でスフェロイドを熱的結晶化させることによって得られた結晶化度を有する請求項20に記載の方法。
【請求項36】
請求項20の方法によって得られるプレフォーム。
【請求項37】
請求項20の方法によって得られる延伸ブロー成形ボトル。
【請求項38】
請求項24の方法によって得られるプレフォーム。
【請求項39】
請求項24の方法によって得られる延伸ブロー成形ボトル。
【請求項40】
請求項1のバルクから得られるプレフォーム。
【請求項41】
請求項1のバルクから得られる延伸ブロー成形ボトル。
【請求項42】
前記製品がシートである請求項20に記載の方法。
【請求項43】
前記製品がシートである請求項24に記載の方法。
【請求項44】
請求項1のバルクから得られるシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−62493(P2012−62493A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−783(P2012−783)
【出願日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【分割の表示】特願2007−530193(P2007−530193)の分割
【原出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(511182596)グルーポ ペトロテメックス,ソシエダ アノニマ デ カピタル バリアブレ (6)
【Fターム(参考)】